(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093172
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】リジェネバーナ、リジェネバーナの交換ユニット、並びにリジェネバーナの交換ユニットの交換方法
(51)【国際特許分類】
F23J 15/06 20060101AFI20220616BHJP
F23L 15/00 20060101ALI20220616BHJP
F23L 15/02 20060101ALI20220616BHJP
F23D 14/66 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
F23J15/06
F23L15/00 A
F23L15/02
F23D14/66 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206308
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094042
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】大橋 武史
【テーマコード(参考)】
3K017
3K023
3K070
【Fターム(参考)】
3K017DC03
3K023QA18
3K023QC07
3K023SA00
3K070DA09
3K070DA47
3K070DA66
(57)【要約】
【課題】簡単かつ安価な構造で、排気バルブに流入する排気の温度を下げることが可能なリジェネバーナ、リジェネバーナの交換ユニット、並びにリジェネバーナの交換ユニットの交換方法を提供する。
【解決手段】排ガスを排出するときに開放される排気バルブ10と、排出される排ガスにより蓄熱される蓄熱部13と、蓄熱部と排気バルブとの間に設けられ、排ガスが流通されるチャンバ14と、チャンバに設けられ、当該チャンバの内外を連通する連通開孔14cと、連通開孔を閉止可能に設けられ、チャンバ内が負圧になることにより当該連通開孔を開放するダンパ15とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを排出するときに開放される排気バルブと、
排出される排ガスにより蓄熱される蓄熱部と、
該蓄熱部と上記排気バルブとの間に設けられ、排ガスが流通されるチャンバと、
該チャンバに設けられ、当該チャンバの内外を連通する連通開孔と、
該連通開孔を閉止可能に設けられ、上記チャンバ内が負圧になることにより当該連通開孔を開放するダンパとを備えたことを特徴とするリジェネバーナ。
【請求項2】
前記ダンパは、回動自在に設けられ、前記連通開孔を塞ぐ閉止状態と該連通開孔を開く開放状態とに変位可能な閉止板と、該閉止板の開放状態への変位をアシストする開放アシスト機構とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のリジェネバーナ。
【請求項3】
前記ダンパは、回動自在に設けられ、前記連通開孔を塞ぐ閉止状態と該連通開孔を開く開放状態とに変位可能な閉止板と、該閉止板の閉止状態への変位をアシストする閉止アシスト機構とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のリジェネバーナ。
【請求項4】
前記チャンバは、前記連通開孔に代えて、取り外し可能な蓋体により閉塞される点検開口を備え、
前記ダンパは、上記チャンバの内外を連通する連通開孔を有し、上記蓋体と交換して上記点検開口を閉塞するように取り付けられる交換ユニットに設けられていることを特徴とする請求項1~3いずれかの項に記載のリジェネバーナ。
【請求項5】
排ガスを排出するときに開放される排気バルブと、排出される排ガスにより蓄熱される蓄熱部と、該蓄熱部と上記排気バルブとの間に設けられ、排ガスが流通されるチャンバと、該チャンバに設けられ、取り外し可能な蓋体により閉塞される点検開口とを有するリジェネバーナであって、
上記蓋体と交換して上記点検開口を閉塞するように取り付けられ、上記チャンバの内外を連通するように設けた連通開孔を閉止可能で、上記チャンバ内が負圧になることにより当該連通開孔を開放するダンパを備えていることを特徴とするリジェネバーナの交換ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のリジェネバーナの交換ユニットの交換方法であって、
前記蓋体を前記チャンバから取り外して前記点検開口を開放し、次いで、前記交換ユニットを、該点検開口を閉塞するように上記チャンバに取り付けることを特徴とするリジェネバーナの交換ユニットの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単かつ安価な構造で、排気バルブに流入する排気の温度を下げることが可能なリジェネバーナ、リジェネバーナの交換ユニット、並びにリジェネバーナの交換ユニットの交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リジェネバーナの排気の温度を下げる技術として、例えば特許文献1~4が知られている。特許文献1の「燃焼装置」は、バーナと排気ブロアとを排気ガス流路にて連通接続し、排気ブロアの作動によりバーナの排気ガスを外部に排気するように構成し、排気ガス流路に蓄熱装置を設けている。
【0003】
特許文献2及び3の「リジェネバーナ」は、SO2成分を含む排ガスが発生する炉内に向けて複数設置され、燃焼動作時には燃料供給経路から燃料ガスが供給されるとともに給気経路から燃焼用空気が供給され、吸引動作時には排気経路へ排ガスを排出するバーナと、これら燃料供給経路、給気経路および排気経路にそれぞれ、各バーナに対応させて設けられ、該バーナの燃焼動作と吸引動作とを切り換えるべく開閉される燃料用切替弁、給気用切替弁および排気用切替弁とを備え、複数のバーナのうち、一部は稼働状態としながら、残りは、その燃料用切替弁、給気用切替弁および排気用切替弁のすべてを閉じて停止状態とするリジェネバーナにおいて、特許文献2では、各バーナとその排気用切替弁との間の上記排気経路に、流体を充填するための流体充填経路を接続するとともに、各排気用切替弁下流側の上記排気経路に、希釈用の流体を導入するための流体導入経路を接続した構成と、特許文献3では、各排気用切替弁下流側の上記排気経路に、希釈用の流体を導入するための流体導入経路を接続した構成としている。
【0004】
特許文献4の「蓄熱式交番燃焼炉の金属蒸着防止方法」は、一対のバーナにそれぞれ蓄熱体を充填した蓄熱室を設けると共に、給気ブロアと排気ブロアを四方弁を介して各バーナに接続し、四方弁を一定時間毎に切り換えて、一方のバーナの燃焼中に他方のバーナの蓄熱室で排熱を回収するようにした蓄熱式交番燃焼炉において、上記四方弁の切り換え周期を定期的又は任意時期に切り換えて通常周期よりも長くする長周期期間を設けた構成としている。この際、長周期期間には、四方弁の焼損を防止するために、電動バルブを開いて冷却用空気吸引口から外気を導入するようにしている。
【0005】
特許文献5の「非鉄金属溶解炉」は、溶解室の一側壁にセルフリジェネ式バーナを装着し、他側壁の下端部に保持室に通ずる溶湯出口を設けると共に、上記一側壁から他側壁に向かって炉床に流れ勾配を形成して成るアルミ溶解炉において、上記炉床に流れ方向に沿った複数の凹溝を設けて構成している。この際、交番燃焼による圧力変動を吸収するために、溶解室の天井の一角に穿設した小孔には、ヒンジにより回動開閉自在の蓋体が被設され、この蓋体から斜め上方に突設されたねじ棒に、位置調節自在にバランスウエイトが螺着されており、このバランスウエイトの位置を調節することにより、蓋体が僅かな力によっても開閉されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-243854号公報
【特許文献2】特許第3973494号公報
【特許文献3】特許第3898094号公報
【特許文献4】特許第3711191号公報
【特許文献5】特開2000-146447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リジェネバーナの排気は、高温であるため、排気用のバルブの耐熱温度を超えてしまうと排気用のバルブが損傷したり、排気が漏れるというトラブルが生じる。
【0008】
特許文献1~3では、排気用のバルブを保護することはできていなかった。特許文献4では、電動バルブを制御するものであり、装置が複雑であると共に、コストが嵩むものであった。特許文献5の蓋体の開閉は、蓋体の自重自体を利用するものであり、室内の圧力変動に対する作動が不安定であった。
【0009】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、簡単かつ安価な構造で、排気バルブに流入する排気の温度を下げることが可能なリジェネバーナ、リジェネバーナの交換ユニット、並びにリジェネバーナの交換ユニットの交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかるリジェネバーナは、排ガスを排出するときに開放される排気バルブと、排出される排ガスにより蓄熱される蓄熱部と、該蓄熱部と上記排気バルブとの間に設けられ、排ガスが流通されるチャンバと、該チャンバに設けられ、当該チャンバの内外を連通する連通開孔と、該連通開孔を閉止可能に設けられ、上記チャンバ内が負圧になることにより当該連通開孔を開放するダンパとを備えたことを特徴とする。
【0011】
前記ダンパは、回動自在に設けられ、前記連通開孔を塞ぐ閉止状態と該連通開孔を開く開放状態とに変位可能な閉止板と、該閉止板の開放状態への変位をアシストする開放アシスト機構とを備えていることを特徴とする。
【0012】
前記ダンパは、回動自在に設けられ、前記連通開孔を塞ぐ閉止状態と該連通開孔を開く開放状態とに変位可能な閉止板と、該閉止板の閉止状態への変位をアシストする閉止アシスト機構とを備えていることを特徴とする。
【0013】
前記チャンバは、前記連通開孔に代えて、取り外し可能な蓋体により閉塞される点検開口を備え、前記ダンパは、上記チャンバの内外を連通する連通開孔を有し、上記蓋体と交換して上記点検開口を閉塞するように取り付けられる交換ユニットに設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明にかかるリジェネバーナの交換ユニットは、排ガスを排出するときに開放される排気バルブと、排出される排ガスにより蓄熱される蓄熱部と、該蓄熱部と上記排気バルブとの間に設けられ、排ガスが流通されるチャンバと、該チャンバに設けられ、取り外し可能な蓋体により閉塞される点検開口とを有するリジェネバーナであって、上記蓋体と交換して上記点検開口を閉塞するように取り付けられ、上記チャンバの内外を連通するように設けた連通開孔を閉止可能で、上記チャンバ内が負圧になることにより当該連通開孔を開放するダンパを備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明にかかるリジェネバーナの交換ユニットの交換方法は、上記リジェネバーナの交換ユニットの交換方法であって、前記蓋体を前記チャンバから取り外して前記点検開口を開放し、次いで、前記交換ユニットを、該点検開口を閉塞するように上記チャンバに取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるリジェネバーナ、リジェネバーナの交換ユニット、並びにリジェネバーナの交換ユニットの交換方法にあっては、簡単かつ安価な構造で、排気バルブに流入する排気の温度を下げることができ、排気バルブを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るリジェネバーナの好適な一実施形態を示す概略側断面図である。
【
図3】
図1に示したリジェネバーナに適用可能なダンパの変形例を説明する説明図であって、
図3(a)は、開放アシスト機構を備えた場合、
図3(b)は、閉止アシスト機構を備えた場合、
図3(c)は、開放アシスト機構及び閉止アシスト機構双方を備えた場合である。
【
図5】
図1に示したリジェネバーナに適用可能なダンパの他の変形例を説明する説明図であって、
図5(a)は、開放アシスト機構を備えた場合、
図5(b)は、閉止アシスト機構を備えた場合、
図5(c)は、開放アシスト機構及び閉止アシスト機構双方を備えた場合である。
【
図6】本発明に係るリジェネバーナの交換ユニット及びリジェネバーナの交換ユニットの交換方法を説明する要部概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかるリジェネバーナ、リジェネバーナの交換ユニット、並びにリジェネバーナの交換ユニットの交換方法の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
リジェネバーナ1は、火口1aから炉内に向けて火炎を噴出し、また、火口1aから炉内の排ガスを吸引する2台で一組のバーナユニット2を、少なくとも一組備えて構成される(
図1は、一つのバーナユニット2を示している)。
【0020】
バーナユニット2には、
図1に示すように、燃焼用空気を供給するための給気経路3と炉内の排ガスを排出するための排気経路4とが、合流経路5を介して、接続されている。
【0021】
各バーナユニット2には、それらにそれぞれ設けられた燃料ノズル6へ燃料ガスを供給するための燃料供給経路7が接続されている。
【0022】
給気経路3には、燃焼用空気の流れ方向上流側に、給気経路3を開閉する開閉自在な給気バルブ8と、燃焼用空気を、給気経路3及び合流経路5を介して、各バーナユニット2へ圧送する給気ブロア9とが設けられている。
【0023】
排気経路4には、排ガスの流れ方向下流側に、排気経路4を開閉する開閉自在な排気バルブ10と、排ガスを排気経路4を介して炉内から吸引する排気ブロア11とが設けられている。
【0024】
給気バルブ8と給気ブロア9との間の給気経路3には、給気分岐部25が設けられると共に、排気バルブ10と排気ブロア11との間の排気経路4には、排気分岐部26が設けられ、一組をなす同じ構成のもう1台のバーナユニット(図示せず)が設けられている。
【0025】
リジェネバーナ1の操業中は、給気ブロア9と排気ブロア11は常時運転されており、排ガスを吸引排出するとき、排気バルブ10は開放され、給気バルブ8が閉じられる。火炎を生成するとき、給気バルブ8は開放され、排気バルブ10が閉じられる。
【0026】
また、燃料供給経路7には、燃料ノズル6よりも燃料ガスの流れ方向上流側に、燃料供給経路7を開閉する開閉自在な燃料供給バルブ12が設けられる。
【0027】
燃料供給バルブ12は、火炎を生成するときに開放され、排ガスを吸引排出するときに閉じられる。
【0028】
各バーナユニット2には、火口1aと合流経路5との間に配置され、火口1aから合流経路5を経て、排気経路4へと排出される排ガスから排熱を回収して蓄熱し、また、給気経路3から合流経路5を経て、火口1aへと供給される燃焼用空気を、蓄熱した排熱で加熱するための蓄熱部13が備えられている。
【0029】
2台で一組のバーナユニット2において、1台が火炎を生成しているときに、他の1台が排ガスを吸引排気し、2台のバーナユニット2相互間で、一定時間毎にこれら火炎生成と排気吸引とが切り替えられる。
【0030】
蓄熱部13には、多数の蓄熱ボール13aが充填され、この蓄熱ボール13aを介して、火口1aからの排ガス及び給気経路3からの燃焼用空気が交互に流通する。排ガスの熱が蓄熱ボール13aに蓄えられ、その熱で燃焼用空気を予熱することで、省エネ運転が行われる。
【0031】
蓄熱部13と、合流経路5を経た給気経路3の給気バルブ8及び排気経路4の排気バルブ10との間には、所謂風箱と称されるチャンバ14が設けられている。
【0032】
チャンバ14を形成する周壁14aには、合流経路5が接続され、これによりチャンバ14内と給気経路3及び排気経路4とが連通される。
【0033】
従って、チャンバには、給気経路3からの燃焼用空気や排気経路4へ向かう排ガスが流通される。
【0034】
また、チャンバ14と蓄熱部13との間には、グレーチング13bが設けられ、このグレーチング13bにより、チャンバ14と蓄熱部13とが仕切られている。
【0035】
チャンバ14の周壁14aにはまた、
図2に示すように、チャンバ14内部とチャンバ14外部とを連通する連通開孔14cが設けられている。
【0036】
本実施形態では、連通開孔14cは四角形状に形成され、合流経路5が接続される箇所と対向する位置に形成されている。
【0037】
チャンバ14内には、連通開孔14cを開閉するためのダンパ15が設けられている。
【0038】
ダンパ15は、連通開孔14cをチャンバ14の内側から覆って閉止する閉止板15aを備えている。
【0039】
閉止板15aは、周壁14a間に掛け渡してこれら周壁14aに対し回動自在に設けられた軸15bに、上端部が取り付けられ、チャンバ14の内部に軸15bから吊り下げた状態で設けられている。
【0040】
回動自在に構成された閉止板15aは、チャンバ14内で、連通開孔14cを塞ぐ閉止状態と、連通開孔14cを開く開放状態とに変位可能に設けられている。
【0041】
閉止板15aは、回動自在な軸15bから自然に吊り下げられている状態で、周壁14aに当接され、連通開孔14cを閉止するように構成されている。
【0042】
チャンバ14内に燃焼用空気が流通されるときには、閉止板15aは、チャンバ14内に生じる正圧により、強い圧力で周壁14aに当接されるようになっている。
【0043】
閉止板15aが連通開孔14cを塞ぐ閉止状態で、閉止板15aと周壁14aとが当接し合う連通開孔14c周りの部位には、閉止板15a側または周壁14a側、あるいは双方の側に、連通開孔14c周りの当該部位をシールするシール材(図示せず)が設けられている。
【0044】
ダンパ15は、給気バルブ8を開いて燃焼用空気を、給気経路3からチャンバ14、蓄熱部13を通じてバーナユニット2へ圧送すると、チャンバ14内が正圧となり、閉止板15aが周壁14a側に押圧されて連通開孔14cが閉止される。
【0045】
他方、排気バルブ10を開いて炉内の排ガスを、蓄熱部13、チャンバ14を通じて排気経路4へ吸引すると、チャンバ14内が負圧となり、閉止板15aが、回動自在な軸15bを介し、チャンバ14内方に向かって回動することとなって、閉止板15が周壁14aから離れて、連通開孔14cが開放される。
【0046】
このとき、連通開孔14cから排気ブロア11の吸引作用によって、チャンバ14外部の外気がチャンバ14内部に吸引され、この外気がチャンバ14内で排ガスと混合される。外気が混合された排ガスは、合流経路5から排気経路4に流入し、排気バルブ10を通って排出される。
【0047】
すなわち、本実施形態にかかるリジェネバーナ1によれば、蓄熱部13と排気バルブ10との間に設けられて排ガスの流路をなすチャンバ14内に設けられたダンパ15は、チャンバ14内が負圧になると連通開孔14cを開放するので、排ガスを排出する際には、連通開孔14cから外気が取り込まれ、チャンバ14を通過する排ガスは、取り込まれた外気と混合されて温度が下がる。
【0048】
これにより、排気バルブ10には、外気との混合で温度が下がった排ガスを流通させることができ、高温の排ガスによる排気バルブ10の損傷を防止することができる。
【0049】
ダンパ15は、排気ブロア11の吸引作用によってチャンバ14内が負圧になることだけで連通開孔14cを開放できるので、チャンバ14に外気を取り込むための構成がきわめて簡単であり、かつ専用の動力を用いた制御等も必要としないので、設置コストを抑えることができる。
【0050】
このように簡単な構造で、かつ安価に、排気バルブ10へ流入する排ガスの温度を下げることができるリジェネバーナ1を提供することができる。
【0051】
チャンバ14は、蓄熱部13よりも、排気バルブ10側に設けられているので、排ガスは、蓄熱部13を通過するとき、高温である。このため、排気バルブ10を通過する排ガスの温度を下げることと、高温の排ガスで蓄熱部13に蓄熱することとを、両立することができる。
【0052】
従って、リジェネバーナ1の熱効率を低下させることなく、排気バルブ10を保護することができる。
【0053】
上記実施形態においては、閉止板15aを、チャンバ14内が負圧になることにより開放する例について説明したが、これに限るものではない。例えば、閉止板15aの重量が大きいなど、チャンバ14内の圧力変化のみでは閉止板15aを開放側へ変位させ難い場合には、閉止板15aの開放状態への変位をアシストする開放アシスト機構16を備えるようにしてもよい。
【0054】
図3及び
図4に示すように、開放アシスト機構16は例えば、チャンバ14外方へ突出されている軸15bに設けられている。
【0055】
開放アシスト機構16は、チャンバ14外方で、突出している軸15bの両端部を連結するように当該チャンバ14を跨いで設けられる連結部材17を備えている。
【0056】
連結部材17は、
図3(a)に示すように、軸15bの両端部それぞれに設けられ、チャンバから先端部が迫り出すアーム17aと、これらアーム17aの先端部同士を連結する連結バー17bとを有している。
【0057】
連結部材17は、閉止板15a及び軸15bと一体に構成され、軸15bの回動により、閉止板15aと共に回動されるように構成されている。
【0058】
連結バー17bには、これより連通開孔14c側へ向けて、外周にネジ溝が形成されたスタッド18が突設され、スタッド18には、当該スタッド18の長さ方向に移動自在にウエイト19が螺合されている。
【0059】
回動自在な軸15bから自然に吊り下げられている閉止板15aが連通開孔14cを閉止しているとき、軸15bに、閉止板15aが連通開孔14cから離れる向きの回転モーメント(
図3(a)の場合、反時計回りの回転モーメント)が作用すると、閉止板15aの開放状態への変位をアシストすることができ、より小さな力で閉止板15aを開放し易くなる。これにより、チャンバ14内部の負圧によって閉止板15aを確実に開放状態へと変位させて、適切に連通開孔14cを開放することができる。
【0060】
ウエイト19を回して当該ウエイト19の位置を連結バー17bに近づけると、回転モーメントを小さくすることができ、ウエイト19の位置を連結バー17bから遠ざけると、回転モーメントを大きくすることができ、このように、ウエイト19の位置を変更することにより、閉止板15aを開放させる開放アシスト機構16の作用力を微細に調整することができる。
【0061】
ウエイト19はスタッド18に螺合しているだけなので、ウエイト19を回転させるだけで、ウエイト19の位置を容易に移動して、簡単に調整することができる。
【0062】
また、
図3(b)に示すように、開放アシスト機構16のスタッド18を、連結バー17bに対し、
図3(a)の場合とは反対向きに突設し、このスタッド18にウエイト19を螺合させることにより、
図3(a)の場合とは反対方向の回転モーメントを大きくすることができる。
【0063】
これにより、閉止板15aを周壁14a側へ、より強く押圧して確実に連通開孔14cを塞げるように、閉止板15aの閉止状態への変位をアシストする閉止アシスト機構20を構成するようにしてもよい。
【0064】
さらに、
図3(c)に示すように、
図3(a)及び(b)の構成を組み合わせて、スタッド18を連結バー17bの両方向に突設し、各々のスタッド18にウエイト19を螺合することにより、閉止板15aの開放をアシストする開放アシスト機構16及び閉止板15aの閉止をアシストする閉止アシスト機構20双方を備えるようにしてもよい。
【0065】
開放アシスト機構16と閉止アシスト機構20とを備えると、閉止板15aが開放し難かったり、閉止し難かったりという、いずれの事態にも簡単に対応できることはもちろんのこと、これら両者の調整で、閉止板15aの動きを微細に調節することができる。
【0066】
開放アシスト機構16及び閉止アシスト機構20としては、
図5に示すように、ばね21を用いて連結バー17bを付勢する構成であってもよい。
【0067】
チャンバ14には、連結バー17bに対し間隔を隔てて相対向させて、連結バー17bを付勢するばね力を受け止めて支持する支持部22aが設けられている。
【0068】
支持部22aには、先端にばねシート22cが取り付けられたねじ棒22bが螺合され、ばねシート22cと連結バー17bとの間に、ばね21が圧縮状態で設けられている。
【0069】
図5(a)に示すように、軸15bを挟んで、連通開孔14cの反対側にばね21を設置するようにすると、軸15b周りの回転モーメントで閉止板15aの開放状態への変位をアシストする開放アシスト機構16が得られる。
【0070】
図5(b)に示すように、軸15bの位置よりも連通開孔14c側にばね21を設置するようにすると、軸15b周りの回転モーメントで閉止板15aの閉止状態への変位をアシストする閉止アシスト機構20が得られる。
【0071】
ばね21を用いる場合も、
図5(c)に示すように、連結バー17bの両側にばね21を配置することにより、開放アシスト機構16及び閉止アシスト機構20双方を併設することができる。
【0072】
また、上記実施形態においては、チャンバ14内にダンパ15が設けられている場合について説明したが、これに限るものではない。
【0073】
図6に示すように、チャンバ14に点検開口14dが設けられており、この点検開口14dを、チャンバ14の外側から取り外し可能な蓋体14e(図中、仮想線で示されている)で閉塞するようにしている場合がある。
【0074】
このとき、蓋体14eと交換して点検開口14を閉塞するように、連通開孔24aとダンパ15とを備えた交換ユニット24をチャンバ14に取り付ける構成を採用することができる。
【0075】
交換ユニット24は、直方体状の中空箱体に形成され、連通開孔24aを有すると共に、点検開口14dに合わせて開口24dが形成されたハウジング24bの内部に、ダンパ15を備えて構成されている。
【0076】
ハウジング24bには、開口24d周りに、チャンバ14への取り付けのためのフランジ部24cが設けられている。
【0077】
蓋体14eを交換ユニット24に交換する際には、蓋体14eをチャンバ14から取り外して点検開口14dを開放する。次いで、交換ユニット24を、点検開口14dを閉塞するようにチャンバ14に取り付けるようにする。
【0078】
フランジ部24cをチャンバ14に取り付けると、点検開口14d及び開口24dを通じて、チャンバ14内とハウジング24b内とが連通される。
【0079】
交換ユニット24の連通開孔24aは、上記実施形態と同様に、ダンパ15の閉止板15aによって開放可能に閉止される。
【0080】
このような交換ユニット24を用いれば、既設のリジェネバーナ1に、ダンパ15を簡単に後付けすることができ、既設のリジェネバーナ1に特段の改修を施すことなく、排気バルブ10を通過する排ガスの温度を下げて、保護することができる。
【0081】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0082】
1 リジェネバーナ
1a 火口
2 バーナユニット
3 給気経路
4 排気経路
5 合流経路
6 燃料ノズル
7 燃料供給経路
8 給気バルブ
9 給気ブロア
10 排気バルブ
11 排気ブロア
12 燃料供給バルブ
13 蓄熱部
13a 蓄熱ボール
13b グレーチング
14 チャンバ
14a 周壁、
14c 連通開孔
14d 点検開口
14e 蓋体
15 ダンパ
15a 閉止板
15b 軸
16 開放アシスト機構
17 連結部材
17a アーム
17b 連結バー
18 スタッド
19 ウエイト
20 閉止アシスト機構
21 ばね
22a 支持部
22b ねじ棒
22c ばねシート
24 交換ユニット
24a 連通開孔
24b ハウジング
24c フランジ部
24d 開口
25 給気分岐部
26 排気分岐部