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特開2022-93177保険提案装置、保険提案方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093177
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】保険提案装置、保険提案方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20220616BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206314
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】595140170
【氏名又は名称】東京海上日動火災保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 哲
(72)【発明者】
【氏名】山田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】森田 航二郎
(72)【発明者】
【氏名】竹川 洋都
(72)【発明者】
【氏名】藤本 豊
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】生命保険及び損害保険を含む保険の中から、ユーザの事情を考慮した保険商品の提案を支援することが可能な技術を提供すること。
【解決手段】ユーザの属性情報と、ユーザが契約済みの損害保険に関する第1保険情報と、ユーザが契約済みの生命保険に関する第2保険情報と、の入力を受け付ける受付部と、属性情報と、第1保険情報と、第2保険情報とに基づいて、損害保険及び生命保険を含む複数の保険候補の各々におけるユーザが契約する可能性を予測する予測部と、予測部により予測された、複数の保険候補の各々におけるユーザが契約する可能性に基づいて、ユーザに提案する保険の内容を出力する出力部と、を有する保険提案装置を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの属性情報と、前記ユーザが契約済みの損害保険に関する第1保険情報と、前記ユーザが契約済みの生命保険に関する第2保険情報と、の入力を受け付ける受付部と、
前記属性情報と、前記第1保険情報と、前記第2保険情報とに基づいて、損害保険及び生命保険を含む複数の保険候補の各々における前記ユーザが契約する可能性を予測する予測部と、
前記予測部により予測された、前記複数の保険候補の各々における前記ユーザが契約する可能性に基づいて、前記ユーザに提案する保険の内容を出力する出力部と、
を有する保険提案装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記属性情報と、前記第1保険情報と、前記第2保険情報とに基づいて、前記複数の保険候補の各々について、保険候補及び保険対象の組み合わせごとに、前記ユーザが契約する確率を予測し、
前記出力部は、前記予測部により予測された、前記ユーザが契約する確率に基づいて、前記ユーザに対して加入を提案する保険の内容を出力する、
請求項1に記載の保険提案装置。
【請求項3】
前記属性情報と、前記第1保険情報と、前記第2保険情報とを入力することで、所定の保険候補及び所定の保険対象の組み合わせについての前記ユーザが契約する確率を出力する、複数の第1学習済みモデル、を記憶する記憶部を含み、
前記予測部は、前記属性情報と、前記第1保険情報と、前記第2保険情報とを、前記複数の第1学習済みモデルの各々に入力し、前記複数の第1学習済みモデルの各々から出力される値に基づいて、保険候補及び保険対象の組み合わせごとに、前記ユーザが契約する確率を予測する、
請求項2に記載の保険提案装置。
【請求項4】
前記予測部は、前記属性情報と、前記第1保険情報と、前記第2保険情報とに基づいて、保険候補及び保険対象の組み合わせごとに、保険金額ごとの前記ユーザが選択する確率を予測し、
前記出力部は、前記予測部により予測された、保険金額ごとの前記ユーザが選択する確率に基づいて、前記ユーザに対して加入を提案する保険の内容を出力する、
請求項2又は3に記載の保険提案装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記属性情報と、前記第1保険情報と、前記第2保険情報とを入力することで、所定の保険候補及び所定の保険対象の組み合わせについての保険金額ごとの前記ユーザが選択する確率を出力する、複数の第2学習済みモデル、を記憶し、
前記予測部は、前記属性情報と、前記第1保険情報と、前記第2保険情報とを、前記複数の第2学習済みモデルの各々に入力し、前記複数の第2学習済みモデルの各々から出力される値を用いて、保険候補及び保険対象の組み合わせごとに、保険金額ごとの前記ユーザが選択する確率を予測する、
請求項4に記載の保険提案装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記予測部により予測された、保険候補及び保険対象の組み合わせについて、前記ユーザが契約する確率が高い順に、所定数の保険候補及び保険対象の組み合わせを1又は複数抽出することで得られた前記所定数の保険候補及び保険対象の組み合わせを、前記ユーザに対して加入を提案する保険の内容として出力する、
請求項2~5のいずれか一項に記載の保険提案装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記所定数の保険候補及び保険対象の組み合わせの中に、前記予測部により予測された、保険金額ごとの前記ユーザが選択する確率が存在する組み合わせがある場合、当該保険金額ごとの確率のうち最も高い確率の保険金額を、前記ユーザに対して加入を提案する保険の内容として出力する、
請求項6に記載の保険提案装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記ユーザに対して加入を提案する保険の中に、前記ユーザが契約済みの損害保険又は生命保険と同一の保険が含まれる場合、前記ユーザに対して加入を提案する保険の中から該同一の保険を除外した保険を、前記ユーザに提案する保険の内容として出力する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の保険提案装置。
【請求項9】
保険提案装置が実行する保険提案方法であって、
ユーザの属性情報と、前記ユーザが契約済みの損害保険に関する第1保険情報と、前記ユーザが契約済みの生命保険に関する第2保険情報と、の入力を受け付けるステップと、
前記属性情報と、前記第1保険情報と、前記第2保険情報とに基づいて、損害保険及び生命保険を含む複数の保険候補の各々における前記ユーザが契約する可能性を予測するステップと、
前記予測するステップにより予測された、前記複数の保険候補の各々における前記ユーザが契約する可能性に基づいて、前記ユーザに提案する保険の内容を出力するステップと、
を含む保険提案方法。
【請求項10】
ユーザの属性情報と、前記ユーザが契約済みの損害保険に関する第1保険情報と、前記ユーザが契約済みの生命保険に関する第2保険情報と、の入力を受け付けるステップと、
前記属性情報と、前記第1保険情報と、前記第2保険情報とに基づいて、損害保険及び生命保険を含む複数の保険候補の各々における前記ユーザが契約する可能性を予測するステップと、
前記予測するステップにより予測された、前記複数の保険候補の各々における前記ユーザが契約する可能性に基づいて、前記ユーザに提案する保険の内容を出力するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険提案装置、保険提案方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、保険会社等から多数の保険商品が提供されている。例えば、特許文献1には、保険契約を支援する装置として、人の健康状態が保険の加入条件に与える影響について客観的に評価をすることが可能な保険契約支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-194821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、生命保険会社は生命保険を取り扱い、損害保険会社は損害保険を取り扱っている。しかしながら、保険契約を希望するユーザ(顧客)に対し、年収、家族構成及び既に契約済みの保険など、あらゆる事情を考慮しながら、生命保険及び損害保険の両方の保険商品を横断的に提案することは、現状行われていない。
【0005】
そこで、本発明は、生命保険及び損害保険を含む保険の中から、ユーザの事情を考慮した保険商品の提案を支援することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る保険提案装置は、ユーザの属性情報と、ユーザが契約済みの損害保険に関する第1保険情報と、ユーザが契約済みの生命保険に関する第2保険情報と、の入力を受け付ける受付部と、属性情報と、第1保険情報と、第2保険情報とに基づいて、損害保険及び生命保険を含む複数の保険候補の各々におけるユーザが契約する可能性を予測する予測部と、予測部により予測された、複数の保険候補の各々におけるユーザが契約する可能性に基づいて、ユーザに提案する保険の内容を出力する出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生命保険及び損害保険を含む保険の中から、ユーザの事情を考慮した保険商品の提案を支援することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る保険システムの一例を示す図である。
図2】サーバが行う処理手順の概要を示す図である。
図3】サーバのハードウェア構成例を示す図である。
図4】サーバの機能ブロック構成例を示す図である。
図5】ユーザの属性情報、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)の具体例を示す図である。
図6】学習済みモデルの一例を示す図である。
図7A】2値分類用の学習済みモデルから出力される値の一例を示す図である。
図7B】多値分類用の学習済みモデルから出力される値の一例を示す図である。
図8】ユーザに提案する保険の内容(保険ランキング)の出力例を示す図である。
図9】ユーザに提案する保険の内容(補償プランの提案)の出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る保険システム1の一例を示す図である。保険システム1は、サーバ10と端末20を備える。端末20は複数であってもよい。サーバ10と端末20は、無線又は有線の通信ネットワークNを介して接続され、相互に通信を行うことができる。
【0011】
保険システム1は、保険契約を希望するユーザ(以下、単に「ユーザ」と言う。)に対して、当該ユーザの事情を考慮した保険商品の提案を支援するためのシステムである。
【0012】
サーバ10(保険提案装置)は、ユーザの属性情報(性別、年収、家族構成等)と、ユーザが契約済みの損害保険に関する情報(以下、既契約情報(損害保険)又は第1保険情報と言う。)と、ユーザが契約済みの生命保険に関する情報(以下、既契約情報(生命保険)又は第2保険情報と言う。)とに基づいて、ユーザに提案する保険商品を出力する。サーバ10は、1又は複数の物理的なサーバ等から構成されていてもよいし、ハイパーバイザー(hypervisor)上で動作する仮想的なサーバを用いて構成されていてもよいし、クラウドサーバを用いて構成されていてもよい。
【0013】
端末20は、保険システム1を用いて保険提案を行う企業の担当者等が利用する端末、又は、ユーザが利用する端末である。端末20の画面には、サーバ10から出力された、ユーザに提案する保険の内容が表示される。端末20は、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機など、サーバ10と通信することができる端末であればあらゆる端末を用いることができる。
【0014】
図2は、サーバ10が行う処理手順の概要を示す図である。ステップS10で、サーバ10は、端末20を介して、ユーザの属性、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)の入力を受け付ける。例えば、保険提案を行う企業の担当者等は、ユーザにヒアリングをしながら、端末20の画面にユーザの属性及び既契約情報を入力する。若しくは、ユーザは、自ら端末20を操作しながら、ユーザ自身の属性、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)を入力するようにしてもよい。なお、サーバ10は、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)については、保険契約を管理する装置等から直接情報を取得するようにしてもよい。
【0015】
ステップS11で、サーバ10は、損害保険及び生命保険を含む、複数の保険候補の各々について、保険候補ごとにユーザが契約する可能性を予測する。サーバ10が契約可能性を予測する保険候補は、保険システム1を運用する保険会社が取り扱う保険商品であることを想定しているが、本実施形態がこれに限定されるものではない。他企業が取り扱う保険商品が含まれていてもよい。
【0016】
サーバ10には、多数の保険契約に関する学習用データを用いて学習された学習済みモデルが格納されている。サーバ10は、当該学習済みモデルに、ユーザの属性、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)を入力することで、各保険候補についてユーザが加入する可能性を予測する。
【0017】
ステップS12で、サーバ10は、ステップS11の処理手順で得られた予測結果に基づいて、ユーザに提案する保険の内容を決定し、端末20に表示させる。保険提案を行う企業の担当者等は、端末20を参照しながら、ユーザに対して保険の提案を行うことができる。若しくは、ユーザは、端末20に表示された保険を参照しながら、加入を希望する保険を選択することができる。
【0018】
以下の説明において、保険金額とは、保険の支払い対象となる事故等が生じた場合に、保険会社から支払われる金銭の限度額(補償限度額)を意味する。また、保険対象とは、金銭が支払われる対象となる人又は物を意味する。例えば車両保険の場合、保険対象はユーザが所有する自動車である。
【0019】
<ハードウェア構成>
図3は、サーバ10のハードウェア構成例を示す図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)等のプロセッサ11、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)13、入力操作を受け付ける入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。入力デバイス14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス15は、例えば、ディスプレイ、タッチパネル及び/又はスピーカ等である。
【0020】
<機能ブロック構成>
図4は、サーバ10の機能ブロック構成例を示す図である。サーバ10は、記憶部100と、受付部101と、予測部102と、出力部103とを含む。記憶部100は、サーバ10が備える記憶装置12を用いて実現することができる。また、受付部101と、予測部102と、出力部103とは、サーバ10のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0021】
記憶部100は、予測部102が、各保険候補についてユーザが加入する可能性を予測するために用いる学習済みモデル100aが記憶される。学習済みモデル100aには、モデルに関する情報に加えて学習処理により得られた学習データ群が含まれる。学習済みモデル100aは、複数の学習済みモデル(モデルA、モデルB、モデルC・・)に分けられていてもよい。
【0022】
受付部101は、ユーザの属性情報と既契約情報(損害保険)と既契約情報(生命保険)との入力を受け付ける。
【0023】
予測部102は、受付部101で受け付けられたユーザの属性情報と、既契約情報(損害保険)と、既契約情報(生命保険)とに基づいて、損害保険及び生命保険を含む複数の保険候補の各々におけるユーザが契約する可能性を予測する。
【0024】
出力部103は、予測部102により予測された、複数の保険候補の各々におけるユーザが契約する可能性に基づいて、ユーザに提案する保険の内容を出力する。
【0025】
以上説明した機能ブロックは、複数のサーバに分散配置されていてもよいし、複数のサーバを用いて1つの機能ブロックが実現されていてもよい。例えば、記憶部100は、受付部101と予測部102と出力部103とは、それぞれ異なるサーバに配置されていてもよい。また、記憶部100は、受付部101と予測部102と出力部103とが配置されるサーバとは異なるサーバに配置されていてもよい。また、予測部102は、複数のサーバを用いて実現されていてもよい。
【0026】
<処理手順>
まず、受付部101が入力を受け付ける、ユーザの属性情報、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)について具体的に説明する。
【0027】
図5は、ユーザの属性情報、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)の具体例を示す図である。ユーザの属性情報には、例えば、ユーザの年齢、性別、職業等といったユーザ本人の属性(本人属性)、配偶者の年齢や職業等といった配偶者の属性(配偶者属性)、子供の人数や子供の学齢等といった家族構成に関する情報(家族情報)、ユーザが所持する資産に関する情報(資産情報)、月々の支出額等といったユーザの家計に関する情報(家計情報)、及び、掛け捨ての保険を好むのか又は貯蓄性のある保険を好むのかといったユーザ本人の保険に対する嗜好に関する情報(本人の保険に対する嗜好情報)が含まれる。
【0028】
既契約情報(損害保険)には、例えば、自動車保険に関する情報(自動車保険情報)、建物や家財が火災で損害を受けた場合に保険金が支払われる火災保険に関する情報(火災保険情報)、建物や家財が地震で損害を受けた場合に保険金が支払われる地震保険に関する情報(地震保険情報)、怪我をした場合等に保険金が支払われる傷害保険に関する情報(傷害保険情報)、及び、病気で入院等をした場合に保険金が支払われる医療保険に関する情報(医療保険情報)が含まれる。
【0029】
既契約情報(生命保険)には、例えば、死亡時に保険金が支払われる生命保険に関する情報(死亡保険情報)、病気や怪我で入院等をした場合に保険金が支払われる医療保険に関する情報(医療保険情報)及び癌になった場合に保険金が支払われるがん保険に関する情報(がん保険情報)が含まれる。
【0030】
なお、既契約情報(損害保険)に含まれる医療保険情報と、既契約情報(生命保険)に含まれる医療保険情報との違いは、損害保険会社で契約された医療保険なのか、生命保険会社で契約された医療保険なのかという点である。
【0031】
また、図5の具体例は一例に過ぎず、本実施形態がこれに限定されるものではない。例えば、属性情報、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)には、図5に示されていない情報が含まれていてもよいし、図5に示す情報のうち一部が含まれていなくてもよい。
【0032】
(予測処理)
次に、予測部102が、入力されたユーザの属性情報、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)を学習済みモデル100aに入力することで、保険候補ごとにユーザが加入する可能性を予測する処理について具体的に説明する。
【0033】
予測部102は、ユーザの属性情報と、既契約情報(生命保険)と既契約情報(損害保険)とに基づいて、複数の保険候補の各々について保険候補及び保険対象の組み合わせごとに、ユーザが契約する確率を予測する。
【0034】
また、予測部102は、更に、ユーザの属性情報と、既契約情報(生命保険)と既契約情報(損害保険)とに基づいて、複数の保険候補の各々について保険候補及び保険対象の組み合わせごとに、保険金額ごとのユーザが選択する確率を予測する。
【0035】
例えば、保険システム1が取り扱う保険候補Aは、AX円及びAY円から保険金額を選択可能であり、ユーザ又は配偶者のうちいずれかを保険対象として選択可能であると仮定する。この場合、予測部102は、ユーザが、保険対象を「ユーザ」(つまり本人)として保険候補Aに契約する確率と、保険対象を「ユーザ」とした場合に保険金額としてAX円を選択する確率と、保険対象を「ユーザ」とした場合に保険金額としてAY円を選択する確率と、保険対象を「配偶者」として保険候補Aに契約する確率と、保険対象を「配偶者」とした場合に保険金額としてAX円を選択する確率と、保険対象を「配偶者」とした場合に保険金額としてAY円を選択する確率を予測するようにしてもよい。
【0036】
図6は、学習済みモデル100aの一例を示す図である。本実施形態において学習モデルに用いられるアルゴリズムは、例えば、勾配ブースティング決定木(GBDT : Gradient Boosting Decision Tree)であってもよい。勾配ブースティング決定木は、複数の決定木から構成され、各決定木から出力される予測値に学習率を乗算した値の合計値が、目的変数に対する予測値となる学習モデルである。図6において、入力値(ユーザの属性情報と、既契約情報(生命保険)と既契約情報(損害保険))に従って1つ目の決定木を実行した結果、1-3の葉に到達したとする。この場合、1つ目の決定木の予測値はW1になる。同様に、2つ目の決定木を実行した結果、2-1の葉に到達したとする。この場合、2つ目の決定木の予測値はW2になる。このように、N個の決定木について、入力値に従って決定木を実行した結果得られたN個の予測値に学習率α1~αNを乗算した値の合計(W1α1+W2α2+・・・+WNαN)が、目的変数に対する予測値(確率)となる。予測値は推定値などと称されてもよい。
【0037】
なお、本実施形態において、学習モデルに用いられるアルゴリズムは勾配ブースティング決定木に限られない。例えば、ニューラルネットワークが用いられてもよいし、その他のアルゴリズムが用いられてもよい。
【0038】
学習済みモデル100aには、予測を行う目的変数が異なる複数の学習済みモデルが含まれていてもよい。例えば、“ユーザが契約する確率”を目的変数とする、保険候補及び保険対象の組み合わせごとのモデルと、“保険金額ごとのユーザが選択する確率”を目的変数とする、保険候補及び保険対象の組み合わせごとのモデルとが含まれていてもよい。言い換えると、記憶部100には、ユーザの属性情報、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)とを入力することで、所定の保険候補及び所定の保険対象の組み合わせについてのユーザが契約する確率を出力する、複数の学習済みモデルと、ユーザの属性情報、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)とを入力することで、所定の保険候補及び所定の保険対象の組み合わせについての保険金額ごとのユーザが選択する確率を出力する、複数の学習済みモデルとが記憶されていてもよい。以下、ユーザが契約する確率を出力する学習済みモデルは、目的変数の取り得る値が、ユーザが契約する/しないの2値であることから、便宜上、2値分類用の学習済みモデル(第1学習済みモデル)と呼ぶ。また、保険金額ごとのユーザが選択する確率を出力する学習済みモデルは、目的変数の取り得る値が、保険金額のパターンの数だけ存在することから、便宜上、多値分類用の学習済みモデル(第2学習済みモデル)と呼ぶ。
【0039】
例えば、保険候補Aは、AX円及びAY円のいずれかを保険金額として選択可能であり、ユーザ及び配偶者のうちいずれか一方を保険対象として選択可能であると仮定する。この場合、学習済みモデル100aには、保険候補Aに関するモデルとして以下に示す4種類のモデルが含まれていてもよい。
【0040】
モデル1.保険対象が「ユーザ」(つまり本人)である場合に、ユーザが保険候補Aに契約する確率を出力する2値分類モデル
モデル2.保険対象が「配偶者」である場合に、ユーザが保険候補Aに契約する確率を出力する2値分類モデル
モデル3.保険対象が「ユーザ」(つまり本人)である場合に、ユーザが選択する保険金額の確率を、保険金額ごとに出力する多値分類モデル
モデル4.保険対象が「配偶者」である場合に、ユーザが選択する保険金額の確率を、保険金額ごとに出力する多値分類モデル
なお、本実施形態では、保険候補によっては、保険金額の選択ができない保険や、ユーザが選択する保険金額がほぼ固定化しているような保険が存在する。従って、予測部102は、このような保険候補については、ユーザが契約する確率のみを予測し、保険金額ごとの確率については予測しないようにしてもよい。また、学習済みモデル100aには、このような保険候補に対する多値分類用の学習済みモデルは含まれていなくてもよい。
【0041】
例えば、保険候補Bは、自動車を保険対象として選択可能であると仮定する。この場合、学習済みモデル100aには、保険候補Bに関するモデルとして以下に示すモデルが含まれていてもよい。
モデル.保険対象が「自動車」である場合に、ユーザが保険候補Bに契約する確率を出力する2値分類モデル
当該モデルは、ユーザが何台の自動車を保有しているかに関わらず、ユーザが自動車を対象として保険候補Bを契約する確率を出力するモデルであってよい。若しくは、当該モデルは、ユーザが複数の自動車を保有している場合、1台目の自動車を対象として保険候補Bに契約する確率を出力するモデル、2台目の自動車を対象として保険候補Bに契約する確率を出力するモデルといったように、保有する自動車ごとに保険候補Bに契約する確率を出力する複数のモデルを含んでいてもよい。
【0042】
本実施形態における学習済みモデル100aは、既存の保険契約者に関する保険契約データを用いて生成することができる。例えば、目的変数を、保険対象を配偶者として保険Aに加入する/しない(2値)とした場合の学習済みモデル100aは、保険対象を配偶者として保険Aを契約している既存の契約者および保険対象を配偶者として保険Aを契約していない既存の契約者における、属性情報及び契約済みの損害保険及び生命保険に関する複数のデータを用いて学習済みモデルを学習させることで、生成することができる。
【0043】
また、例えば、目的変数を、保険対象を配偶者とした場合にどの保険金額が選択されるか(多値)とした場合の学習済みモデル100aも、保険対象を配偶者として保険Aを契約した契約者が選択した保険金額と、当該契約者における属性情報及び契約済みの損害保険及び生命保険に関する複数のデータを用いて学習済みモデルを学習させることで、生成することができる。
【0044】
予測部102は、上記で説明した学習済みモデル100aを用いて予測を行う。具体的には、予測部102は、ユーザの属性情報、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)を、複数の2値分類用の学習済みモデルの各々に入力し、複数の2値分類用の学習済みモデルの各々から出力される値(確率)に基づいて、保険候補及び保険対象の組み合わせごとに、ユーザが契約する確率を予測する。また、予測部102は、ユーザの属性情報、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)を、複数の多値分類用の学習済みモデルの各々に入力し、複数の第2学習済みモデルの各々から出力される値(確率)を用いて、保険候補及び保険対象の組み合わせごとに、ユーザが選択する保険金額について保険金額ごとの確率を予測する。
【0045】
図7Aは、2値分類用の学習済みモデルから出力される値の一例を示す図である。図7Aにおいて、No1~15までの値の各々は、異なる学習済みモデルから出力された値である。なお、No1「損害保険_自動車_特約A」およびNo2「損害保険_自動車_特約B」の特約A、特約Bは、例えば、一般条件の車両保険、車対車Aの車両保険、車両新価特約、レンタカー特約など、自動車保険に付随する車両保険や特約を示している。図7Aの例には図示していないが、特約C、特約Dなど、更に多くの特約に分けられていてもよい。
【0046】
また、No4「損害保険_地震(住宅)」は、保険対象を住宅とする地震保険をユーザが契約する確率を示す。また、No7「損害保険_傷害(配偶者)」は、保険対象をユーザの配偶者として、怪我による傷害等を負った場合の補償を目的とする損害保険をユーザが契約する確率を示す。また、No13「生命保険_医療(子供)」は、保険対象をユーザの子供として、医療保障を目的とする生命保険をユーザが契約する確率を示す。No14「損害保険_介護(本人)」は、保険対象をユーザとして、要介護状態になった場合の補償を目的とする損害保険をユーザが契約する確率を示す。
【0047】
図7Bは、多値分類用の学習済みモデルから出力される値の一例を示す図である。図7Bは、保険対象が住宅であり火災時の家財に対する補償を目的とする損害保険について、ユーザが選択する保険金ごとの確率を出力した例を示している。例えば、No7「損害保険_家財 ~700万円以下」は、当該損害保険を契約するユーザが600万円超~700万円以下の保険金額を選択する確率は、全体のうち約7.345%であることを示している。
【0048】
なお、図7A及び図7Bはあくまで一例であり、これに限定されるものではない。例えば、癌を対象とする保険や、家計保障を目的とする保険等が含まれていてもよい。
【0049】
(出力処理)
出力部103は、予測部102により予測された、保険候補及び保険対象の組み合わせごとのユーザが契約する確率と、保険金額ごとのユーザが選択する確率とに基づいて、ユーザに対して加入を提案する保険の内容を出力する。
【0050】
例えば、出力部103は、予測部102により予測された、保険候補及び保険対象の組み合わせについて、ユーザが契約する確率が高い順に、所定数の保険候補及び保険対象の組み合わせを1又は複数抽出し、抽出した所定数の保険候補及び保険対象の組み合わせの各々を、ユーザに対して加入を提案する保険の内容として出力するようにしてもよい。
【0051】
前述したように、保険候補には、保険金額の選択ができない保険や、ユーザが選択する保険金額がほぼ固定化しているような保険が存在する。そのため、出力部103は、予測部102で保険金額の予測が行われた保険候補に対してのみ、保険金額の提案を出力する。すなわち、抽出された保険候補及び保険対象の組み合わせの中に、予測部102により予測されたユーザが選択する保険金額についての保険金額ごとの確率が存在する組み合わせがある場合、出力部103は、当該保険金額ごとの確率のうち最も高い確率の保険金額を、ユーザに対して加入を提案する保険の内容として出力するようにしてもよい。
【0052】
図8は、ユーザに提案する保険の内容(保険ランキング)の出力例を示す図である。図8の出力例は、図7A及び図7Bに示す予測結果に対して、確率が高い順に1位から8までの保険候補及び保険対象の組み合わせを端末20の画面に表示させた場合の例を示している。「スコア」は、図7Aの「確率」の値を100倍することで算出された値である。また、保険金額ごとの確率を予測した保険候補については、最も確率が高い保険金額が「保険条件」に出力される。また、保険金額ごとの確率の予測が行われない保険候補については、「保険条件」に「-」が出力される。例えば、図7Bの例では、家財の補償を目的とする損害保険について、ユーザが選択する確率が最も高い保険金額は、~500万円以下である。従って、出力部103は、図8の「損害保険_家財」における保険条件欄に「500万円」を出力する。
【0053】
なお、出力部103は、「保険候補」欄に出力している“特約”の内容を「保険条件」欄に出力するようにしてもよい。具体的には、図8における自動車の損害保険における“特約A”及び“特約B”の文言を、「保険条件」の欄に出力するようにしてもよい。
【0054】
図9は、ユーザに提案する保険の内容(補償プランの提案)の出力例を示す図である。「あんしん補償プラン」は、自動車に関する保険の中で保険対象ごとに最もスコアが高い保険(対象となる車両が複数台ある場合は、車両ごとに最もスコアが高い保険)、住宅を保険対象とする保険の中で最もスコアが高い保険、自動車に関する保険及び住宅を保険対象とする保険以外の保険の中で、スコアが高い順に3つの保険を列挙したものである。「オリジナル補償プラン」は、全保険の中で最もスコアが高い保険、一定の条件を満たす保険のうち最もスコアが高い保険の2つを出力したものである。「おすすめ1補償プラン」は、全保険の中で最もスコアが高い保険1つを出力したものである。
【0055】
(既契約の排除)
出力部103は、ユーザに対して加入を提案する保険の中に、受付部101で受け付けたユーザが契約済みの損害保険又は生命保険と同一の保険が含まれる場合、ユーザに対して加入を提案する保険の中から当該同一の保険を除外した保険を、ユーザに提案する保険の内容として出力するようにしてもよい。例えば、ユーザが、既契約情報(生命保険)として、配偶者が死亡した際に保険金が支払われる生命保険に加入していることを入力している場合、出力部103は、図8における順位がNo6である保険(生命保険_死亡、配偶者)については、出力対象外とするようにしてもよい。これにより、ユーザが既に契約済みである保険と同一の保険については、ユーザに加入を提案しないようにすることができる。
【0056】
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、サーバ10は、ユーザの属性、既契約情報(損害保険)及び既契約情報(生命保険)に基づいて、損害保険及び生命保険を含む保険候補ごとに、ユーザが契約する可能性を予測して端末20に表示させるようにした。これにより、生命保険及び損害保険を含む保険の中から、ユーザの事情を考慮した保険商品の提案を支援することが可能になる。
【0057】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…保険システム、10…サーバ、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信IF、14…入力デバイス、15…出力デバイス、20…端末、100…記憶部、100a…学習済みモデル、101…受付部、102…予測部、103…出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9