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特開2022-93192ホース体取付支援システム、及び、ホース体取付支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093192
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】ホース体取付支援システム、及び、ホース体取付支援方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20220616BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
E02F9/00 B
E02F3/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206351
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健也
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 裕児
(72)【発明者】
【氏名】黒田 泰介
【テーマコード(参考)】
2D012
2D015
【Fターム(参考)】
2D012EA00
2D015BA01
(57)【要約】
【課題】機体へのホース体の適切な取付を支援できる、ホース体取付支援システム、及び、ホース体取付支援方法を、提供する。
【解決手段】本発明のホース体取付支援システム1は、機体にホース体を取り付けてなる機械における、機体へのホース体の取付を支援する、ホース体取付支援システムであって、ホース体は、ホースと、ホースの両端部に連結された一対の金具と、を有し、ホース体取付支援システムは、処理部11を備え、処理部は、ホース体の機体への取付に関するホース体取付情報と、機体の動作中でのホース体の両端部の可動範囲に関するホース体可動範囲情報と、を含む、入力情報に基づいて、ホース体を模したホース体モデルを用いて、機体の動作中におけるホース体の挙動を連続的にシミュレーションする、シミュレーション処理と、シミュレーション処理の結果に基づいて、ホース体のホースの口元部が過度に変形したか否かに基づいて異常の有無を判断する、口元判断を行う、判断処理と、を行うようにされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体にホース体を取り付けてなる機械における、前記機体への前記ホース体の取付を支援する、ホース体取付支援システムであって、
前記ホース体は、ホースと、前記ホースの両端部に連結された一対の金具と、を有し、
前記ホース体取付支援システムは、処理部を備え、
前記処理部は、
前記ホース体の前記機体への取付に関するホース体取付情報と、前記機体の動作中での前記ホース体の両端部の可動範囲に関するホース体可動範囲情報と、を含む、入力情報に基づいて、前記ホース体を模したホース体モデルを用いて、前記機体の動作中における前記ホース体の挙動を連続的にシミュレーションする、シミュレーション処理と、
前記シミュレーション処理の結果に基づいて、前記ホース体の前記ホースの口元部が過度に変形したか否かに基づいて異常の有無を判断する、口元判断を行う、判断処理と、
を行うようにされている、ホース体取付支援システム。
【請求項2】
前記ホース体取付情報は、前記ホース体の両端部の初期位置に関するホース体初期位置情報、前記ホース体の両端部の初期向きに関するホース体初期向き情報、前記ホース体の前記ホースの剛性に関するホース剛性情報、前記ホース体の前記ホースの寸法に関するホース寸法情報、並びに、前記ホース体の前記金具の形状及び寸法に関する金具情報を含む、請求項1に記載のホース体取付支援システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記口元判断において、前記シミュレーション処理の結果に基づいて、前記機体の動作中に、前記口元部が、前記口元部に隣接する前記金具の中心軸線の延長線に対する一方側から他方側へと移動したと判断した場合に、前記口元部が過度に変形したと判断し、ひいては、異常有りと判断する、請求項1又は2に記載のホース体取付支援システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記口元判断において、前記シミュレーション処理の結果に基づいて、
(a)前記機体の動作中におけるいずれかの時刻において、前記口元部の曲げ半径が、所定口元部曲げ半径閾値を下回ったと判断した場合、及び、
(b)前記機体の動作中におけるいずれかの時刻において、前記口元部の曲率が、所定口元部曲率閾値を超えたと判断した場合、
のうち少なくとも1つの場合に、前記口元部が過度に変形したと判断し、ひいては、異常有りと判断する、請求項1~3のいずれか一項に記載のホース体取付支援システム。
【請求項5】
出力部をさらに備え、
前記処理部は、前記判断処理において異常有りと判断した場合、前記出力部にアラームを出力させる、アラーム出力処理を、さらに行う、請求項1~4のいずれか一項に記載のホース体取付支援システム。
【請求項6】
前記処理部は、前記判断処理において異常有りと判断した場合、前記ホース体取付情報を変更する、ホース体取付情報変更処理を、さらに行い、
前記処理部は、ホース体取付情報変更処理の後、前記ホース体取付情報変更処理で変更された前記ホース体取付情報を含む前記入力情報に基づいて、再度前記シミュレーション処理を行う、請求項1~5のいずれか一項に記載のホース体取付支援システム。
【請求項7】
出力部をさらに備え、
前記処理部は、前記判断処理において異常無しと判断した場合、前記シミュレーション処理で用いた前記ホース体取付情報を、前記出力部に出力させる、ホース体取付情報出力処理を、さらに行う、請求項1~6のいずれか一項に記載のホース体取付支援システム。
【請求項8】
入力部をさらに備え、
前記処理部は、前記入力部で入力される、前記ホース体の使用圧力に関する使用圧力情報に基づいて、前記ホース剛性情報及び前記ホース寸法情報を補正する、補正処理を、さらに行い、
前記処理部は、前記補正処理の後、前記補正処理で補正された前記ホース剛性情報及び前記ホース寸法情報を含む前記入力情報を用いて、前記シミュレーション処理を行う、請求項2に記載のホース体取付支援システム。
【請求項9】
機体にホース体を取り付けてなる機械における、前記機体への前記ホース体の取付を支援する、ホース体取付支援システムを用いた、取付支援方法であって、
前記ホース体は、ホースと、前記ホースの両端部に連結された一対の金具と、を有し、
前記ホース体取付支援システムは、処理部を備え、
前記取付支援方法は、
前記処理部が、前記ホース体の前記機体への取付に関するホース体取付情報と、前記機体の動作中での前記ホース体の両端部の可動範囲に関するホース体可動範囲情報と、を含む、入力情報に基づいて、前記ホース体を模したホース体モデルを用いて、前記機体の動作中における前記ホース体の挙動を連続的にシミュレーションする、シミュレーションステップと、
前記処理部が、前記シミュレーションステップの結果に基づいて、前記ホース体の前記ホースの口元部が過度に変形したか否かに基づいて異常の有無を判断する、口元判断を行う、判断ステップと、
を含む、ホース体取付支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホース体取付支援システム、及び、ホース体取付支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば建設機械(例えば、油圧ショベルやホイールローダー等)や工場設備(例えば、射出成型機やダイカストマシン等)等の、流体圧(例えば、油圧)を動力とする機械は、流体圧の力を伝導するために、1つ又は複数のホース体が、機体に取り付けられている(例えば、特許文献1)。ホース体は、ホースと、ホースの両端部に連結された一対の金具と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-163752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、機体へのホース体の取付方によっては、機体の動作中でのホース体の挙動によって、ホース体に不具合が生じやすくなる。しかしながら、従来では、機体へのホース体の取付方が適切であるか否かをホース装着前に適切に評価するのが難しかった。
【0005】
本発明は、機体へのホース体の適切な取付を支援できる、ホース体取付支援システム、及び、ホース体取付支援方法を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のホース体取付支援システムは、
機体にホース体を取り付けてなる機械における、前記機体への前記ホース体の取付を支援する、ホース体取付支援システムであって、
前記ホース体は、ホースと、前記ホースの両端部に連結された一対の金具と、を有し、
前記ホース体取付支援システムは、処理部を備え、
前記処理部は、
前記ホース体の前記機体への取付に関するホース体取付情報と、前記機体の動作中での前記ホース体の両端部の可動範囲に関するホース体可動範囲情報と、を含む、入力情報に基づいて、前記ホース体を模したホース体モデルを用いて、前記機体の動作中における前記ホース体の挙動を連続的にシミュレーションする、シミュレーション処理と、
前記シミュレーション処理の結果に基づいて、前記ホース体の前記ホースの口元部が過度に変形したか否かに基づいて異常の有無を判断する、口元判断を行う、判断処理と、
を行うようにされている。
本発明のホース体取付支援システムによれば、機体へのホース体の適切な取付を支援することができる。
【0007】
本発明のホース体取付支援システムにおいて、
前記ホース体取付情報は、前記ホース体の両端部の初期位置に関するホース体初期位置情報、前記ホース体の両端部の初期向きに関するホース体初期向き情報、前記ホース体の前記ホースの剛性に関するホース剛性情報、前記ホース体の前記ホースの寸法に関するホース寸法情報、並びに、前記ホース体の前記金具の形状及び寸法に関する金具情報を含むと、好適である。
これにより、機体へのホース体の適切な取付を、より効果的に支援することができる。
【0008】
本発明のホース体取付支援システムにおいて、
前記処理部は、前記口元判断において、前記シミュレーション処理の結果に基づいて、前記機体の動作中に、前記口元部が、前記口元部に隣接する前記金具の中心軸線の延長線に対する一方側から他方側へと移動したと判断した場合に、前記口元部が過度に変形したと判断し、ひいては、異常有りと判断すると、好適である。
これにより、機体へのホース体の適切な取付を、より効果的に支援することができる。
【0009】
本発明のホース体取付支援システムにおいて、
前記処理部は、前記口元判断において、前記シミュレーション処理の結果に基づいて、
(a)前記機体の動作中におけるいずれかの時刻において、前記口元部の曲げ半径が、所定口元部曲げ半径閾値を下回ったと判断した場合、及び、
(b)前記機体の動作中におけるいずれかの時刻において、前記口元部の曲率が、所定口元部曲率閾値を超えたと判断した場合、
のうち少なくとも1つの場合に、前記口元部が過度に変形したと判断し、ひいては、異常有りと判断すると、好適である。
これにより、機体へのホース体の適切な取付を、より効果的に支援することができる。
【0010】
本発明のホース体取付支援システムにおいて、
出力部をさらに備え、
前記処理部は、前記判断処理において異常有りと判断した場合、前記出力部にアラームを出力させる、アラーム出力処理を、さらに行ってもよい。
これにより、機体へのホース体の適切な取付を、より効果的に支援することができる。
【0011】
本発明のホース体取付支援システムにおいて、
前記処理部は、前記判断処理において異常有りと判断した場合、前記ホース体取付情報を変更する、ホース体取付情報変更処理を、さらに行い、
前記処理部は、前記ホース体取付情報変更処理の後、前記ホース体取付情報変更処理で変更された前記ホース体取付情報を含む前記入力情報に基づいて、再度前記シミュレーション処理を行ってもよい。
これにより、機体へのホース体の適切な取付を、より効果的に支援することができる。
【0012】
本発明のホース体取付支援システムにおいて、
出力部をさらに備え、
前記処理部は、前記判断処理において異常無しと判断した場合、前記シミュレーション処理で用いた前記ホース体取付情報を、前記出力部に出力させる、ホース体取付情報出力処理を、さらに行うと、好適である。
これにより、機体へのホース体の適切な取付を、より効果的に支援することができる。
【0013】
本発明のホース体取付支援システムにおいて、
入力部をさらに備え、
前記処理部は、前記入力部で入力される、前記ホース体の使用圧力に関する使用圧力情報に基づいて、前記ホース剛性情報及び前記ホース寸法情報を補正する、補正処理を、さらに行い、
前記処理部は、前記補正処理の後、前記補正処理で補正された前記ホース剛性情報及び前記ホース寸法情報を含む前記入力情報を用いて、前記シミュレーション処理を行ってもよい。
これにより、機体へのホース体の適切な取付を、より効果的に支援することができる。
【0014】
本発明のホース体取付支援方法は、
機体にホース体を取り付けてなる機械における、前記機体への前記ホース体の取付を支援する、ホース体取付支援システムを用いた、取付支援方法であって、
前記ホース体は、ホースと、前記ホースの両端部に連結された一対の金具と、を有し、
前記ホース体取付支援システムは、処理部を備え、
前記取付支援方法は、
前記処理部が、前記ホース体の前記機体への取付に関するホース体取付情報と、前記機体の動作中での前記ホース体の両端部の可動範囲に関するホース体可動範囲情報と、を含む、入力情報に基づいて、前記ホース体を模したホース体モデルを用いて、前記機体の動作中における前記ホース体の挙動を連続的にシミュレーションする、シミュレーションステップと、
前記処理部が、前記シミュレーションステップの結果に基づいて、前記ホース体の前記ホースの口元部が過度に変形したか否かに基づいて異常の有無を判断する、口元判断を行う、判断ステップと、
を含む。
本発明のホース体取付支援方法によれば、機体へのホース体の適切な取付を支援することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、機体へのホース体の適切な取付を支援できる、ホース体取付支援システム、及び、ホース体取付支援方法を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るホース体取付支援システムを概略的に示すブロック図である。
図2】ホース体を備えた機械の一例のイメージを示すイメージ図である。
図3図1のホース体取付支援システムの動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、シミュレーションの対象とする、機体へのホース体の取付構造のイメージを示す、イメージ図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、図4のホース体を模したシミュレーションモデルのイメージを示す、イメージ図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、図5に示すシミュレーションモデルを用いたシミュレーションでのトルクを実線で示し、図7に示すシミュレーションモデルを用いたシミュレーションでのトルクを破線で示す、イメージのグラフである。
図7】本発明の第1実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、図5に示すシミュレーションモデルとは異なるホース体取付情報が入力されたシミュレーションモデルのイメージを示す、イメージ図である。
図8】本発明の第1実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、図7に示すシミュレーションモデルに対応する、機体へのホース体の取付構造のイメージを示す、イメージ図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、図9(a)及び図9(b)は、シミュレーションモデルのイメージを、それぞれ別々の状態で示す、イメージ図である。
図10】本発明の第2実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、図10(a)及び図10(b)は、図9(a)及び図9(b)に示すシミュレーションモデルのイメージを、それぞれさらに別々の状態で示す、イメージ図である。
図11】本発明の第4実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、シミュレーションモデルが動作する様子のイメージを示す、イメージ図である。
図12】本発明の第4実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、図11に示すシミュレーションモデルのホース体モデルのホース部の各位置での曲げ半径を示す、イメージのグラフである。
図13】本発明の第5実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、シミュレーションモデルが往動作する様子のイメージを示す、イメージ図である。
図14】本発明の第5実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、シミュレーションモデルが復動作する様子のイメージを示す、イメージ図である。
図15】本発明の第6実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、シミュレーションモデルが動作する様子のイメージを示す、イメージ図である。
図16】本発明の第6実施形態に係るホース体取付支援方法を説明するためのイメージ図であり、図15に示すシミュレーションモデルとは異なるホース体取付情報が入力されたシミュレーションモデルが、動作する様子のイメージを示す、イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のホース体取付支援システム、及び、ホース体取付支援方法は、例えば建設機械(例えば、油圧ショベルやホイールローダー等)や工場設備(例えば、射出成型機やダイカストマシン等)等の、流体圧(例えば、油圧)を動力とする機械において、機体へのホース体の取付を支援するために使用されると、好適なものである。
【0018】
以下、本発明に係るホース体取付支援システム、及び、ホース体取付支援方法の実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。
各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0019】
〔ホース体取付支援システム〕
まず、図1図2を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るホース体取付支援システム1の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るホース体取付支援システム1を概略的に示すブロック図である。図2は、機械4’の一例を示している。ホース体取付支援システム1は、機械4’における機体3’へのホース体2’の取付を支援するように、構成されている。
ホース体取付支援システム1のユーザは、例えば、ホース体2’の製造メーカーであり得る。ホース体2’の製造メーカーは、例えば、新規に機体3’にホース体2’が取り付けられる場合や、既に機体3’に取り付けられたホース体2’に不具合が生じている場合等に、機体3’へのホース体2’の適切な取付を、機械4’の製造メーカーに提案するために、ホース体取付支援システム1を使用することができる。
【0020】
機械4’(図2)は、流体圧(例えば、油圧)を動力とするものであり、例えば、建設機械(例えば、油圧ショベルやホイールローダー等)や工場設備(例えば、射出成型機やダイカストマシン等)等として構成される。図2において、機械4’は、建設機械として構成されている。
図2に示すように、機械4’は、機体3’と、1つ又は複数のホース体2’と、を備えている。機械4’は、機体3’にこれら1つ又は複数のホース体2’を取り付けてなるものである。
ホース体2’は、流体(例えば、油)を伝送し、それにより、流体圧の力を伝導するように構成されている。ホース体2’は、ホース21’と、ホース21’の両端部に連結された一対の金具221’ 、222’と、を有している。以下では、ホース体2’の一対の金具221’ 、222’のうち、一方を「第1金具221’」といい、他方を「第2金具222’」という。また、以下では、ホース体2’の両端部2a’、2b’のうち、第1金具221’側の端部2a’を、「第1端部2a’」といい、第2金具222’側の端部2b’を、「第2端部2b’」という。ホース体2’の第1端部2a’は、第1金具221’におけるホース21’とは反対側の端部である。ホース体2’の第2端部2b’は、第2金具222’におけるホース21’とは反対側の端部である。第1金具221’及び第2金具 222’は、それぞれ、機体3’に取り付けられている。
ホース21’は、例えば、少なくとも、1層以上のゴム層、かつ/又は、1層以上の樹脂層を備える。ホース21’は、1層以上の金属層、及び/又は、1層以上の繊維層をさらに備えてもよい。ホース21’は、伸縮性や可撓性を有する。
金具221’ 、222’は、管状に構成される。第1金具221’及び第2金具 222’は、例えば、管状の口金具を備える。第1金具221’及び第2金具 222’は、口金具に加えて、管状のアダプタを備えてもよい。第1金具221’及び第2金具 222’は、例えば、ねじ(おねじ又はめねじ)を有しており、当該ねじが、機体3’に設けられたねじに対して締め付けられることによって、機体3’に取り付けられてもよい。あるいは、第1金具221’及び第2金具 222’は、ねじの締め付け以外の手法によって、機体3’に取り付けられてもよい。第1金具221’及び第2金具 222’は、任意の形状に構成されてよく、例えば、直線状に延在するI字型に構成されてもよいし、あるいは、その延在途中で曲がった曲がり部を有するL字型に構成されてもよい。第1金具221’及び第2金具 222’は、互いに同じ構成を有していてもよいし、あるいは、互いに異なる構成を有していてもよい。
なお、図2は、機械4’の一例にすぎず、機械4’は、図2とは異なる構成を有してよい。
【0021】
図1に戻り、ホース体取付支援システム1は、処理部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14と、を備えている。ホース体取付支援システム1は、1つの装置(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、タブレット等)から構成されてもよいし、あるいは、複数の装置から構成されてもよい。
【0022】
処理部11は、記憶部12に記憶されたプログラムPを実行することにより、記憶部12、入力部13、及び出力部14を含む、ホース体取付支援システム1の全体を制御するように構成されている。処理部11の具体的な処理については、後述する。
処理部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを1つ又は複数含んで構成される。
処理部11と、記憶部12、入力部13、及び出力部14のそれぞれとの間の通信は、有線通信であってもよいし無線通信であってもよい。
【0023】
記憶部12は、処理部11によって実行されるプログラムPや、処理部11が行う処理に用いられる各種情報等を、記憶している。
記憶部12は、例えば、1つ又は複数のROMや1つ又は複数のRAM等から構成される。また、記憶部12は、メモリカード(USB等)のような外部記憶装置から構成されてもよい。また、記憶部12は、処理部11を構成するプロセッサの内部メモリであってもよい。
記憶部12が記憶するプログラムPは、例えば、シミュレーションプログラムPSと、支援プログラムPAとを、含む。処理部11は、シミュレーションプログラムPSを実行することにより、後述のシミュレーション処理を行う。処理部11は、支援プログラムPAを実行することにより、シミュレーション処理以外の種々の処理(例えば、後述の入力処理、判断処理、判断後処理)を行う。ただし、処理部11は、シミュレーションプログラムPSを実行することにより、シミュレーション処理以外の処理(例えば、後述の入力処理、判断処理、判断後処理)を行ってもよい。
【0024】
入力部13は、例えばキーボード、マウス、及び/又は押しボタン等から構成され、ユーザからの入力を受け付ける。
【0025】
出力部14は、処理部11で処理した結果、入力部13で入力された情報、記憶部12が記憶する情報等、種々の情報を、出力するように構成されている。出力部14は、文字、画像、動画等を表示するように構成された表示部141を有する。表示部141は、例えば、ディスプレイ又はモニタ等から構成される。表示部141と入力部13とでタッチパネルを構成してもよい。出力部14は、音声を出力するように構成された音声出力部を有してもよい。音声出力部は、例えば、スピーカー等から構成される。出力部14は、紙等の媒体に印刷するように構成された印刷部を有してもよい。印刷部は、例えば、プリンタ等から構成される。
【0026】
〔ホース体取付支援方法〕
つぎに、図3図16を参照しつつ、本発明の様々な実施形態に係るホース体取付支援方法について説明する。以下に説明する各実施形態に係るホース体取付支援方法は、機体3’にホース体2’を取り付けてなる機械4’(図2)における、機体3’へのホース体2’の取付を支援するために使用されるものであり、上述した本発明の一実施形態に係るホース体取付支援システム1を用いるものである。
【0027】
まずは、図3を主に参照しつつ、本発明の各実施形態に係るホース体取付支援方法の概略を説明する。図3に示すように、本発明の各実施形態に係るホース体取付支援方法は、入力ステップS1と、シミュレーションステップS2と、判断ステップS3と、判断後処理ステップS4と、を含むことができる。
【0028】
入力ステップS1では、処理部11が、シミュレーションプログラムPSに入力情報を入力して、シミュレーションモデルM(例えば、図5)を構築する、入力処理を行う。シミュレーションモデルMは、少なくとも、ホース体2’を模したホース体モデル2を1つ又は複数含む。シミュレーションモデルMは、機体3’の一部を模した機体モデル3を1つ又は複数さらに含んでもよい。入力情報は、ホース体取付情報と、ホース体可動範囲情報とを、含む。ホース体取付情報は、ホース体2’の機体3’への取付に関する情報である。ホース体可動範囲情報は、機体3’の動作中でのホース体2’の両端部2a’、2b’の可動範囲に関する情報である。
処理部11は、ユーザによる入力部13の操作に従って、入力情報を入力してもよいし、あるいは、入力部13での操作によらずに、自動で入力情報を入力してもよい。
処理部11は、支援プログラムPA又はシミュレーションプログラムPS(図1)を実行することにより、入力ステップS1を行う。
【0029】
シミュレーションステップS2では、処理部11が、入力ステップS1で入力された入力情報に基づいて、シミュレーションモデルM(ひいては、少なくともホース体モデル2)を用いて、機体3’の動作中におけるホース体2’の挙動を連続的にシミュレーションする、シミュレーション処理を行う。
処理部11は、シミュレーションプログラムPS(図1)を実行することにより、シミュレーションステップS2を行う。処理部11は、シミュレーション処理を、例えば有限要素解析(FEA)等、公知のシミュレーション技術を用いて行ってよい。
【0030】
判断ステップS3では、処理部11が、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)の結果に基づいて、(a)ねじれ判断、(b)ホース接触判断、(c)機体接触判断、(d)曲げ判断、(e)反転判断、及び、(f)口元判断のうち、少なくとも1つを行う、判断処理を行う。
ねじれ判断において、処理部11は、ホース体2’の所定ホース体部分が過度にねじれたか否かに基づいて異常の有無を判断する。ねじれ判断については、図4図8を参照しつつ、後述する。
ホース接触判断において、処理部11は、複数のホース体2’のホース21’どうしが接触したか否かに基づいて異常の有無を判断する。ホース接触判断については、図9図10を参照しつつ、後述する。
機体接触判断において、処理部11は、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したか否かに基づいて異常の有無を判断する。機体接触判断については、図示は省略するが、後述する。
曲げ判断において、処理部11は、ホース体2’のホース21’が過度に曲がったか否かに基づいて異常の有無を判断する。曲げ判断については、図11図12を参照しつつ、後述する。
反転判断において、処理部11は、ホース体2’のホース21’が反転したか否かに基づいて異常の有無を判断する。反転判断については、図13図14を参照しつつ、後述する。
口元判断において、処理部11は、ホース体2’のホース21’の口元部が過度に変形したか否かに基づいて異常の有無を判断する。口元判断については、図15図16を参照しつつ、後述する。
処理部11は、支援プログラムPA(図1)を実行することにより、判断ステップS3を行ってもよいし、あるいは、シミュレーションプログラムPS(図1)を実行することにより、判断ステップS3を行ってもよい。
【0031】
判断後処理ステップS4では、処理部11が、判断ステップS3(ひいては判断処理)後に、判断ステップS3(ひいては判断処理)の結果に基づいて、様々な処理を行う。例えば、判断後処理ステップS4において、処理部11は、後述のアラーム出力処理、ホース体取付情報変更処理、ホース体取付情報出力処理等を行ってよい。
処理部11は、支援プログラムPA(図1)を実行することにより、判断後処理ステップS4を行ってもよいし、あるいは、シミュレーションプログラムPS(図1)を実行することにより、判断後処理ステップS4を行ってもよい。
【0032】
上述したシミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)及び判断ステップS3(ひいては判断処理)を行うことにより、機体3’へのホース体2’の取付方が適切であるか否かを適切に評価することができる。よって、機体3’へのホース体2’の適切な取付を支援することができる。
【0033】
<ホース体取付支援方法の第1実施形態-ねじれ判断をする場合>
ここで、図4図8を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るホース体取付支援方法について詳しく説明する。第1実施形態では、処理部11は、判断ステップS3(ひいては判断処理)において、ねじれ判断を行う。
【0034】
図4は、本例においてシミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)におけるシミュレーションの対象とされる機械4’の一部分のイメージを示している。機械4’は、例えば、建設機械(例えば、油圧ショベルやホイールローダー等)でもよいし、あるいは、工場設備(例えば、射出成型機やダイカストマシン等)でもよい。なお、図4に示す機械4’の構成は、一例にすぎず、ねじれ判断は、任意の構成の機械4’の任意の部分に対して行ってよい。
図4の例において、ホース体2’の第1金具221’ は、機体3’のうち、機体3’の本体に対して固定された部分に取り付けられており、ホース体2’の第2金具222’ は、機体3’のうち、機体3’の本体に対して回転する回転部32’に取り付けられている。回転部32’の中心軸線は、回転部32’の回転軸線3c’をなしている。回転部32’の回転軸線3c’は、機体3’の本体に固定されている。機体3’の動作中において、ホース体2’の第1端部2a’は、機体3’の本体に対して位置が固定されて動かないのに対し、ホース体2’の第2端部2b’は、機体3’の回転部32’と一体となって、機体3’の本体に対して回転軸線3c’の周りに回転する。
【0035】
上述のように、まず、入力ステップS1において、処理部11が、シミュレーションプログラムPSに入力情報を入力して、シミュレーションモデルMを構築する、入力処理を行う。本例では、入力情報の入力により、図5の実線で示すシミュレーションモデルMが構築される。図5の実線で示すシミュレーションモデルMは、初期状態SSにある。図5のシミュレーションモデルMは、図4に示すホース体2’と機体3’の一部(具体的には、回転部32’)とを模したものである。本例のシミュレーションモデルMは、図4に示すホース体2’を模したホース体モデル2と、図4に示す機体3’の一部(具体的には、回転部32’)を模した機体モデル3とを、有している。ホース体モデル2は、ホース部21と、ホース部21の両端部に連結された一対の金具部221 、222と、を有している。一対の金具部221、222のうち、一方は第1金具部221であり、他方は第2金具部222である。ホース部21は、ホース体2’のホース21’を模した部分である。第1金具部221及び第2金具部222は、それぞれホース体2’の第1金具221’及び第2金具222’を模した部分である。ホース体モデル2の両端部2a、2bのうち、第1金具部221側の端部2aは、第1端部2aであり、第2金具部222側の端部2bは、第2端部2bである。ホース体モデル2の第1端部2a及び第2端部2bは、それぞれホース体2’の第1端部2a’及び第2端部2b’に対応する。ホース体モデル2は、中実な棒状をなしていてもよいし、あるいは、中空な管状をなしていてもよい。機体モデル3は、回転部32を有している。回転部32は、機体3’の回転部32’を模した部分である。
【0036】
入力ステップS1で入力される入力情報は、少なくとも、ホース体取付情報と、ホース体可動範囲情報とを、含む。本例のように、シミュレーションモデルMが機体モデル3を含む場合、入力ステップS1で入力される入力情報は、さらに、機体情報を含む。
【0037】
ホース体取付情報は、ホース体2’の機体3’への取付に関する情報である。ホース体取付情報は、ホース体モデル2の構築に用いられる。ホース体取付情報は、ホース体2’の両端部2a’、2b’の初期位置(初期状態での位置)に関するホース体初期位置情報、ホース体2’の両端部2a’、2b’の初期向き(初期状態での向き)に関するホース体初期向き情報、ホース体2’のホース21’の剛性に関するホース剛性情報、ホース体2’のホース21’の寸法に関するホース寸法情報、並びに、ホース体2’の金具221’、222’の形状及び寸法に関する金具情報を含むと、好適である。
処理部11は、ホース体初期位置情報及びホース体初期向き情報に基づいて、ホース体モデル2の両端部2a、2bの初期位置(初期状態SSでの位置)及び初期向き(初期状態SSでの向き)を設定する。
処理部11は、ホース剛性情報に基づいて、ホース体モデル2のホース部21の剛性を設定する。ここで、「剛性」とは、具体的に、曲げ剛性であると、好適である。ホース部21の剛性は、例えば、ホース部21の全体にわたって均一に設定される。
処理部11は、ホース寸法情報に基づいて、ホース体モデル2のホース部21の寸法を設定する。ホース寸法情報は、少なくともホース21’の長さに関するホース長さ情報を含むと好適である。その場合、処理部11は、ホース長さ情報に基づいて、ホース体モデル2のホース部21の長さを設定する。ホース寸法情報は、ホース21’の外径に関するホース外径情報を含んでもよい。その場合、処理部11は、ホース外径情報に基づいて、ホース体モデル2のホース部21の外径を設定する。
処理部11は、金具情報に基づいて、ホース体モデル2の金具部221、222の形状及び寸法を設定する。金具情報は、少なくとも、金具221’、222’の形状に関する金具形状情報と、金具221’、222’の寸法に関する金具寸法情報とを、含む。処理部11は、金具形状情報及び金具寸法情報に基づいて、ホース体モデル2の金具部221、222の形状及び寸法を設定する。金具形状情報は、例えば、金具221’、222’がI字型又はL字型のどちらであるかや、L字型である場合は曲がり部の曲がり角度等を、特定する情報である。本例において、ホース体2’の第1金具221’、ひいては、ホース体モデル2の第1金具部221は、I字型であり、ホース体2’の第2金具222’、ひいては
ホース体モデル2の第2金具部222は、L字型である。金具寸法情報は、例えば、金具221’、222’の長さ(例えば、全長、及び/又は、L字型である場合は、曲がり部と端部との間の長さ等)等を特定する情報である。金具情報は、金具221’、222’の剛性に関する金具剛性情報を含んでもよい。その場合、処理部11は、金具剛性情報に基づいて、ホース体モデル2の金具部221、222の剛性を設定する。金具剛性情報によって特定される剛性は、ホース剛性情報によって特定される剛性よりも、高い。
【0038】
機体情報は、機体3’の所定部分(具体的に、本例では、回転部32’)に関する情報である。機体情報は、機体3’の当該所定部分を模した機体モデル3の構築に用いられる。
機体情報は、機体3’の当該所定部分の形状に関する機体形状情報、機体3’の当該所定部分の初期位置(初期状態での位置)に関する機体初期位置情報、機体3’の当該所定部分の初期向き(初期状態での向き)に関する機体初期向き情報を含むと、好適である。処理部11は、機体形状情報、機体初期位置情報、及び、機体初期向き情報に基づいて、機体モデル3の形状、初期位置(初期状態SSでの位置)、及び、初期向き(初期状態SSでの向き)を、それぞれ設定する。機体情報は、機体3’の当該所定部分の剛性に関する機体剛性情報を含んでもよい。その場合、処理部11は、機体剛性情報に基づいて、機体モデル3の剛性を設定する。機体剛性情報によって特定される剛性は、ホース剛性情報によって特定される剛性よりも、高い。
機体3’の動作中に機体3’の当該所定部分が動く場合、機体情報は、機体可動範囲情報をさらに含むと、好適である。機体可動範囲情報は、機体3’の当該所定部分の可動範囲に関する情報であり、具体的には、機体3’の当該所定部分が、機体3’の動作中に、初期状態からどれだけどのように動くかを特定する情報である。処理部11は、機体可動範囲情報に基づいて、機体モデル3の可動範囲を設定し、具体的には、機体モデル3が、初期状態SSからどれだけどのように動くかを、設定する。図5の例において、機体可動情報は、回転部32が、初期状態SSから回転軸線3cの周りで周方向一方側(図5では時計回り)に所定角度だけ回転し(図5の破線)、その後、回転軸線3cの周りで周方向他方側(図5では反時計回り)に所定角度だけ回転して初期状態SSに戻ることを、特定している。
ただし、機体情報に機体可動範囲情報が含まれていなくてもよく、すなわち、機体モデル3は動かず固定されるように設定されてもよい。あるいは、入力情報には機体情報が含まれなくてもよく、すなわち、シミュレーションモデルMは機体モデル3を含まなくてもよい。
【0039】
ホース体可動範囲情報は、機体3’の動作中でのホース体2’の両端部2a’、2b’の可動範囲に関する情報であり、具体的には、ホース体2’の両端部2a’、2b’が、機体3’の動作中に、初期状態からどれだけどのように動くかを特定する情報である。処理部11は、ホース体可動範囲情報に基づいて、ホース体モデル2の両端部2a、2bの可動範囲を設定し、具体的には、ホース体モデル2の両端部2a、2bが、初期状態SSからどれだけどのように動くかを、設定する。図5の例において、ホース体可動範囲情報は、第1端部2aが動かずに固定であり、第2端部2bが、初期状態SSから、機体モデル3の回転部32と一体となって、回転軸線3cの周りで周方向一方側(図5では時計回り)に所定角度だけ回転し(図5の破線)、その後、機体モデル3の回転部32と一体となって、回転軸線3cの周りで周方向他方側(図5では反時計回り)に所定角度だけ回転して初期状態SSに戻ることを、特定している。
【0040】
本明細書では、便宜のため、シミュレーションモデルMが初期状態SSから最大限動いたときのシミュレーションモデルMの状態を、「最大限度状態SM」といい、シミュレーションモデルMの動きが終わったときのシミュレーションモデルMの状態を、「最終状態SF」という。シミュレーションモデルMの最大限度状態SMは、機体3’が初期状態から最大限動いたときのホース体2’及び機体3’の状態に対応する。最終状態SFは、初期状態SSと同じでもよいし、あるいは、最大限度状態SMと同じでもよいし、あるいは、初期状態SS及び最大限度状態SMのいずれとも異なっていてもよい。本例において、最大限度状態SMは、ホース体モデル2の第2端部2bと機体モデル3の回転部32とが初期状態SSから回転軸線3cの周りで周方向一方側(図5では時計回り)に所定角度だけ回転したときのシミュレーションモデルMの状態(図5の破線)であり、最終状態SFは、ホース体モデル2の第2端部2bと機体モデル3の回転部32とが最大限度状態SMから回転軸線3cの周りで周方向他方側(図5では反時計回り)に所定角度だけ回転したときのシミュレーションモデルMの状態であり、初期状態SSと同じである。
また、本明細書では、便宜のため、シミュレーションモデルMが初期状態SSから最大限度状態SMまで動くときのシミュレーションモデルMの動作を「往動作」といい、シミュレーションモデルMが最大限度状態SMから最終状態SFまで動くときのシミュレーションモデルMの動作を「復動作」という。最終状態SFが最大限度状態SMと同じである場合、シミュレーションモデルMは、往動作のみを行い、復動作は行わない。
【0041】
入力ステップS1の後、上述のように、シミュレーションステップS2において、処理部11は、入力ステップS1で入力された入力情報に基づいて、シミュレーションモデルM(本例では、ホース体モデル2及び機体モデル3)を用いて、機体3’の動作中におけるホース体2’の挙動を連続的にシミュレーションする、シミュレーション処理を行う。
シミュレーション処理において、処理部11は、入力情報におけるホース体取付情報に基づいて、初期状態SSでのホース体モデル2のホース部21の形状を計算するとともに、入力情報におけるホース体取付情報及びホース体可動範囲情報に基づいて、初期状態SS以降の所定時間毎の各時刻でのホース体モデル2の状態(金具部221、222の向きやホース部21の形状等)を計算する。
なお、本例のように機体モデル3が動く場合、機体モデル3は、シミュレーション中において、入力情報における機体情報に従って動くようにされてもよい(その場合、処理部11は、機体モデル3の挙動のシミュレーションを行わない)し、あるいは、処理部11が、機体情報に基づいて機体モデル3の挙動をシミュレーションするようにしてもよい。
【0042】
シミュレーションステップS2の後、判断ステップS3において、処理部11は、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)の結果に基づいて、判断処理を行う。本実施形態では、処理部11は、判断処理において、ねじれ判断を行う。ねじれ判断において、処理部11は、ホース体2’の所定ホース体部分が過度にねじれたか否かに基づいて異常の有無を判断する。本例では、当該所定ホース体部分は、ホース体2’の第2端部2b’である。処理部11は、ホース体2’の当該所定ホース体部分が過度にねじれたと判断した場合は、異常有りと判断し、一方、ホース体2’の当該所定ホース体部分が過度にねじれなかったと判断した場合は、異常無しと判断する。
ねじれ判断の対象とする上記所定ホース体部分としては、本例のように金具221’又は222’の一部又は全部(本例では、第2金具222’の端部2b’)であってもよいし、あるいは、ホース部21の一部又は全部であってもよいし、ホース体2の全部であってもよい。金具221’又は222’が過度にねじれると、金具221’又は222’と機体3’との間の連結に緩みが生じるおそれがあり、ひいては、流体漏れのおそれがある。本例のようにねじれ判断の対象とする上記所定ホース体部分が金具221’又は222’の一部又は全部(本例では、第2金具222’の端部2b)である場合は、機械4’の使用中に金具221’又は222’と機体3’との間の連結に緩みが生じるような、ホース体2’の機体3’への取付を回避することが可能となる。また、ホース21’が過度にねじれると、ホース21’に損傷が生じるおそれがある。ねじれ判断の対象とする上記所定ホース体部分がホース部21の一部又は全部である場合は、機械4’の使用中にホース21’に損傷が生じるような、ホース体2’の機体3’への取付を回避することが可能となる。
【0043】
ここで、処理部11は、ねじれ判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’の上記所定ホース体部分(本例では、第2端部2b’)におけるトルクが、所定トルク閾値を超えたか否かに基づいて、上記所定ホース体部分が過度にねじれたか否かを判断する、トルク判断をしてもよい。
なお、上記トルクは、向きによって正(+)又は負(-)となるように定義されてもよいし、あるいは、向きによらず常に正(+)となるように定義されてもよい。前者の場合、所定トルク閾値との比較においては、トルクの絶対値と所定トルク閾値とを比較するものとする。
このことについて、図6を参照しつつ説明する。図6のグラフにおいて、実線は、図5の例のシミュレーションモデルMを用いたシミュレーションにおいてホース体モデル2のうち上記所定ホース体部分に対応する所定ホース体モデル部分(本例では、第2端部2b)に作用するトルク(指数値)を示している。図6のグラフにおいて、横軸は、シミュレーションモデルMの動作中の時刻(秒)であり、縦軸は、ホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分(具体的には、第2端部2b)に作用するトルク(指数値)である。図6の例において、トルクは、向きによって正(+)又は負(-)となるように定義されている。このように、処理部11は、シミュレーションステップS2のシミュレーションにおけるシミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻においてホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分に作用するトルク(指数値)をそれぞれ算出する。このトルクの算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、処理部11は、判断ステップS3でのトルク判断において、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻での当該トルク(具体的に、本例では、トルクの絶対値)と所定トルク閾値Tt(図6)とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分におけるトルクが、所定トルク閾値Ttを超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれたと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれなかったと判断する。
なお、トルク判断の対象とする上記所定ホース体部分が、1点ではなく、幅を持った部分(例えば、ホース体2’の全体等)である場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置に作用するトルク(指数値)をそれぞれ算出する。そして、判断ステップS3でのトルク判断において、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻での上記所定ホース体モデル部分の上記各位置でのトルクと所定トルク閾値Ttとを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分の少なくとも一部におけるトルクが、所定トルク閾値Ttを超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれたと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれなかったと判断する。
なお、図6の実線の波形は、シミュレーションモデルMの動作中の複数の時刻において、上記所定ホース体モデル部分(第2端部2b)のトルクの絶対値が所定トルク閾値Ttを超えている。そのため、処理部11は、トルク判断において、図5のシミュレーションモデルMを用いたシミュレーションにおいて、機体3’の動作中における当該複数の時刻において、上記所定ホース体モデル部分(第2端部2b)ひいては上記所定ホース体部分(第2端部2b’)が過度にねじれたと判断することとなる。よって、図5の例のシミュレーションモデルMに対応するホース体2’の機体3’への取付構造(図4)が適切でないことがわかる。
【0044】
あるいは、処理部11は、ねじれ判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’の上記所定ホース体部分(本例では、第2端部2b’)におけるねじれ量が、所定ねじれ量閾値を超えたか否かに基づいて、上記所定ホース体部分が過度にねじれたか否かを判断する、ねじれ量判断をしてもよい。
なお、上記ねじれ量は、向きによって正(+)又は負(-)となるように定義されてもよいし、あるいは、向きによらず常に正(+)となるように定義されてもよい。前者の場合、所定ねじれ量閾値との比較においては、ねじれ量の絶対値と所定ねじれ量閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションステップS2のシミュレーションにおけるシミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻においてホース体モデル2のうち上記所定ホース体部分に対応する所定ホース体モデル部分(本例では、第2端部2b)に作用するねじれ量をそれぞれ算出する。このねじれ量の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、処理部11は、判断ステップS3でのねじれ量判断において、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻での当該ねじれ量と所定ねじれ量閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分におけるねじれ量が、所定ねじれ量閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれたと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれか時刻においても、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれなかったと判断する。
なお、ねじれ量判断の対象とする上記所定ホース体部分が、1点ではなく、幅を持った部分(例えば、ホース体2’の全体等)である場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置に作用するねじれ量(指数値)をそれぞれ算出する。そして、判断ステップS3でのねじれ量判断において、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻での上記所定ホース体モデル部分の上記各位置でのねじれ量と所定ねじれ量閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分の少なくとも一部におけるねじれ量が、所定ねじれ量閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれたと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれなかったと判断する。
【0045】
あるいは、処理部11は、ねじれ判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’の上記所定ホース体部分(本例では、第2端部2b’)における、ホース体2’の中心軸線周りでの回転角度が、所定回転角度閾値を超えたか否かに基づいて、上記所定ホース体部分が過度にねじれたか否かを判断する、回転角度判断をしてもよい。
なお、上記回転角度は、向きによって正(+)又は負(-)となるように定義されてもよいし、あるいは、向きによらず常に正(+)となるように定義されてもよい。前者の場合、所定回転角度閾値との比較においては、回転角度の絶対値と所定回転角度閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションステップS2のシミュレーションにおけるシミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻においてホース体モデル2のうち上記所定ホース体部分に対応する所定ホース体モデル部分(本例では、第2端部2b)に作用する、ホース体モデル2の中心軸線周りでの回転角度を、それぞれ算出する。この回転角度の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、処理部11は、判断ステップS3での回転角度判断において、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻での当該回転角度と所定回転角度閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分における回転角度が、所定回転角度閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれたと判断し一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれか時刻においても、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれなかったと判断する。
なお、回転角度判断の対象とする上記所定ホース体部分が、1点ではなく、幅を持った部分(例えば、ホース体2’の全体等)である場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置に作用する回転角度(指数値)をそれぞれ算出する。そして、判断ステップS3での回転角度判断において、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻での上記所定ホース体モデル部分の上記各位置での回転角度と所定回転角度閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2の上記所定ホース体モデル部分の少なくとも一部における回転角度が、所定回転角度閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれたと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、上記所定ホース体モデル部分ひいては上記所定ホース体部分が過度にねじれなかったと判断する。
【0046】
処理部11は、ねじれ判断において、上述のトルク判断、ねじれ量判断、及び回転角度判断のうち、任意の複数の判断を行ってもよい。その場合、処理部11は、ねじれ判断において、当該複数の判断のそれぞれにおいて上記所定ホース体部分が過度にねじれたと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。あるいは、処理部11は、ねじれ判断において、当該複数の判断のうち少なくとも1つにおいて上記所定ホース体部分が過度にねじれたと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。
【0047】
判断後処理ステップS4では、処理部11が、判断ステップS3(ひいては判断処理)後に、判断ステップS3(ひいては判断処理)の結果に基づいて、様々な処理を行う。
【0048】
例えば、処理部11は、判断ステップS3(ひいては判断処理)において異常有りと判断した場合、判断後処理ステップS4において、出力部14(図1)にアラームを出力させる、アラーム出力ステップ(アラーム出力処理)を行ってもよい。アラーム出力処理において、処理部11は、例えば、表示部141(図1)にアラームを表示させてもよいし、かつ/又は、音声出力部にアラームを音声で出力させてもよいし、かつ/又は、印刷部にアラームを印刷させてもよい。
アラーム出力処理によれば、ユーザは、シミュレーションステップS2でのシミュレーションの対象としたホース体2’の機体3’への取付が適切でないことを知ることができ、ひいては、そのような取付を回避することができる。
【0049】
処理部11は、判断ステップS3(ひいては判断処理)において異常有りと判断した場合、判断後処理ステップS4において、ホース体取付情報(例えば、ホース体初期位置情報、ホース体初期向き情報、ホース剛性情報、ホース寸法情報、及び、金具情報のうち少なくとも一部)を変更する、ホース体取付情報変更ステップ(ひいてはホース体取付情報変更処理)を行ってもよい。そして、処理部11は、ホース体取付情報変更ステップ(ひいてはホース体取付情報変更処理)の後、ホース体取付情報変更ステップ(ひいてはホース体取付情報変更処理)で変更されたホース体取付情報を含む入力情報に基づいて、再度シミュレーションステップS2(ひいては、シミュレーション処理)を行う。ここで、入力情報のうち、ホース体取付情報変更ステップ(ひいてはホース体取付情報変更処理)で変更されたホース体取付情報以外の情報については、前回のシミュレーションステップS2(ひいては、シミュレーション処理)で用いた情報と同じものを用いる。
このように、判断ステップS3において異常有りと判断する度に、ホース体取付情報を変更して再度シミュレーションを行うことにより、判断ステップS3において異常無しと判断するまで、シミュレーションを繰り返し行うことができるので、異常の無いようなホース体2’の機体3’への取付を探し当てることができる。よって、機体3’へのホース体2’の適切な取付を、より効果的に支援することができる。
ホース体取付情報変更処理では、処理部11は、ホース体取付情報のうち、ホース体初期位置情報以外の情報(例えば、ホース体初期向き情報、ホース剛性情報、ホース寸法情報、及び、金具情報のうち少なくとも一部)を変更すると、好適である。ホース体2’の両端部2a、2bの位置は、実際に変更するのが難しい場合があるからである。
【0050】
なお、図7は、ホース体取付情報変更ステップ(ひいてはホース体取付情報変更処理)を経て、入力ステップS1(ひいては入力処理)において、図5の例のシミュレーションモデルMに入力されたホース体取付情報とは異なるホース体取付情報が入力された、シミュレーションモデルMのイメージを示している。図7の例のシミュレーションモデルMは、図5の例のシミュレーションモデルMに対して、ホース体初期向き情報により設定されるホース体モデル2の第2端部2bの向き、ホース寸法情報のホース長さ情報により設定されるホース部21の長さ、及び、金具情報の金具寸法情報により設定される金具221、222の長さのみが、異なる。図8は、図7の例のシミュレーションモデルMに対応する、ホース体2’の機体3’への取付構造のイメージを示している。図6のグラフにおいて、破線は、図7の例のシミュレーションモデルMを用いたシミュレーションにおいてホース体モデル2のうち上記所定ホース体部分に対応する所定ホース体モデル部分(本例では、第2端部2b)に作用するトルク(指数値)を示している。図6の破線で示すトルクは、シミュレーションモデルMの動作中の全ての時刻において所定トルク閾値Tt以下であり、図7の例のシミュレーションモデルMに対応するホース体2’の機体3’への取付構造(図8)が適切であることがわかる。
【0051】
処理部11は、判断ステップS3(ひいては判断処理)において異常無しと判断した場合、判断後処理ステップS4において、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)で用いたホース体取付情報を、出力部14に出力させる、ホース体取付情報出力ステップ(ひいては、ホース体取付情報出力処理)を行ってもよい。ホース体取付情報出力処理において、処理部11は、例えば、表示部141(図1)にホース体取付情報を表示させてもよいし、かつ/又は、音声出力部にホース体取付情報を音声で出力させてもよいし、かつ/又は、印刷部にホース体取付情報を印刷させてもよい。
ホース体取付情報出力処理によれば、ユーザは、機体3’へのホース体2’の適切な取付構造(図8)を把握することができる。
【0052】
<ホース体取付支援方法の第2実施形態-ホース接触判断をする場合>
つぎに、図9図10を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係るホース体取付支援方法について詳しく説明する。第2実施形態では、処理部11は、判断ステップS3(ひいては判断処理)において、ホース接触判断を行う。
本実施形態の説明においては、便宜のため、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)におけるシミュレーションの対象とされる機械4’の図示を省略する。機械4’は、例えば、建設機械(例えば、油圧ショベルやホイールローダー等)でもよいし、あるいは、工場設備(例えば、射出成型機やダイカストマシン等)でもよい。
【0053】
入力ステップS1(ひいては、入力処理)とシミュレーションステップS2(ひいては、シミュレーション処理)については、第1実施形態と同様にして行う。
図9図10は、本例におけるシミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)におけるシミュレーションにおいてシミュレーションモデルMが動作する様子のイメージを示している。本例では、入力ステップS1(ひいては、入力処理)での入力情報の入力により、図9(a)に示すシミュレーションモデルMが構築される。図9(a)において、シミュレーションモデルMは、初期状態SSにある。本例において、シミュレーションモデルMは、複数のホース体2’のそれぞれを模した複数のホース体モデル2と、機体3’の一部を模した機体モデル3とを、有している。
【0054】
入力ステップS1で入力される入力情報は、少なくとも、複数のホース体2’のそれぞれのホース体取付情報と、機体3’の動作中での複数のホース体2’のそれぞれの両端部2a、2bの可動範囲に関するホース体可動範囲情報とを、含む。本例のように、シミュレーションモデルMが機体モデル3を含む場合、入力ステップS1で入力される入力情報は、さらに、機体情報を含む。
本例においては、機体情報には機体可動範囲情報が含まれず、すなわち、機体モデル3は動かず固定にされる。機体モデル3は、円筒形状をなしている。ただし、機体情報には機体可動範囲情報が含まれてもよく、すなわち、機体モデル3は動くように設定されてもよい。あるいは、入力情報には機体情報が含まれなくてもよく、すなわち、シミュレーションモデルMは機体モデル3を含まなくてもよい。
図9図10の例において、ホース体可動範囲情報は、各ホース体モデル2の第2端部2bが動かずに固定であり、各ホース体モデル2の第1端部2aが、互いに一体となって、初期状態SS(図9(a))から、回転軸線3cの周りで周方向一方側(図9図10では時計回り)に所定角度だけ回転し(図9(b)、図10(a)、図10(b))、最大限度状態SMとなり(図10(b))、その後、互いに一体となって、回転軸線3cの周りで周方向他方側(図9図10では反時計回り)に所定角度だけ回転して(図10(a)、図9(b)、図9(a))、初期状態SSと同じ最終状態SFとなることを、特定している。回転軸線3cは、機体モデル3のなす円筒形状の中心軸線である。
【0055】
シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)において、処理部11は、入力ステップS1で入力された入力情報に基づいて、シミュレーションモデルM(本例では、複数のホース体2’をそれぞれ模した複数のホース体モデル2及び機体モデル3)を用いて、機体3’の動作中における複数のホース体2’のそれぞれの挙動を連続的にシミュレーションする。
シミュレーション処理において、処理部11は、入力情報におけるホース体取付情報に基づいて、初期状態SSでの各ホース体モデル2のホース部21の形状を計算するとともに、入力情報におけるホース体取付情報及びホース体可動範囲情報に基づいて、初期状態SS以降の所定時間毎の各時刻での各ホース体モデル2の状態(金具部221、222の向きやホース部21の形状等)を計算する。
なお、シミュレーションモデルMが機体モデル3を含むとともに、機体モデル3が動くように設定されている場合、機体モデル3は、シミュレーション中において、入力情報における機体情報に従って動くようにされてもよい(その場合、処理部11は、機体モデル3の挙動のシミュレーションを行わない)し、あるいは、処理部11が、機体情報に基づいて機体モデル3の挙動をシミュレーションするようにしてもよい。
【0056】
判断ステップS3(ひいては判断処理)において、処理部11は、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)の結果に基づいて、判断処理を行う。本実施形態では、処理部11は、判断処理において、ホース接触判断を行う。ホース接触判断において、処理部11は、複数のホース体2’のホース21’どうしが接触したか否かに基づいて異常の有無を判断する。処理部11は、複数のホース体2’のホース21’どうしが接触した(具体的には、少なくともいずれか一対のホース体2’のホース21’どうしが接触した)と判断した場合は、異常有りと判断し、一方、複数のホース体2’のホース21’どうしが接触しなかった(具体的には、どの一対のホース体2’のホース21’どうしも接触しなかった)と判断した場合は、異常無しと判断する。
複数のホース体2’のホース21’どうしが接触すると、それらのホース21’に損傷が生じるおそれがある。ホース接触判断によれば、機械4’の使用中にホース21’に損傷が生じるような、ホース体2’の機体3’への取付を回避することが可能となる。
【0057】
ここで、処理部11は、ホース接触判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、複数のホース体2’のホース21’どうしの間に作用する接触エネルギーが、所定ホース接触エネルギー閾値を超えたか否かに基づいて、複数のホース体2’のホース21’どうしが接触したか否かを判断する、ホース接触エネルギー判断をしてもよい。
なお、上記接触エネルギーは、向きによって「正(+)」又は「負(-)」となるように定義されてもよいし、あるいは、向きによらず常に「正(+)」となるように定義されてもよい。前者の場合、所定ホース接触エネルギー閾値との比較においては、接触エネルギーの絶対値と所定ホース接触エネルギー閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、各ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置に作用する接触エネルギーをそれぞれ算出する。この接触エネルギーの算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3でのホース接触エネルギー判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻での各ホース体モデル2のホース部21の上記各位置の接触エネルギーと所定ホース接触エネルギー閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、少なくともいずれか一対のホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部における接触エネルギーが、所定ホース接触エネルギー閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、複数のホース体モデル2のホース部21どうし(ひいては、複数のホース体2’のホース21’どうし)が接触したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、複数のホース体モデル2のホース部21どうし(ひいては、複数のホース体2’のホース21’どうし)が接触しなかったと判断する。
所定ホース接触エネルギー閾値は、0に設定されてもよいし、あるいは、0より大きな値に設定されてもよい。
【0058】
あるいは、処理部11は、ホース接触判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、複数のホース体2’のホース21’どうしの間に作用する接触圧が、所定ホース接触圧閾値を超えたか否かを判断する、ホース接触圧判断をしてもよい。
なお、上記接触圧は、向きによって「正(+)」又は「負(-)」となるように定義されてもよいし、あるいは、向きによらず常に「正(+)」となるように定義されてもよい。前者の場合、所定ホース接触圧閾値との比較においては、接触圧の絶対値と所定ホース接触圧閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、各ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置に作用する接触圧をそれぞれ算出する。この接触圧の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3でのホース接触圧判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻での各ホース体モデル2のホース部21の上記各位置の接触圧と所定ホース接触圧閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、少なくともいずれか一対のホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部における接触圧が、所定ホース接触圧閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、複数のホース体モデル2のホース部21どうし(ひいては、複数のホース体2’のホース21’どうし)が接触したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、複数のホース体モデル2のホース部21どうし(ひいては、複数のホース体2’のホース21’どうし)が接触しなかったと判断する。
所定ホース接触圧閾値は、0に設定されてもよいし、あるいは、0より大きな値に設定されてもよい。
【0059】
あるいは、処理部11は、ホース接触判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、複数のホース体2’のホース21’どうしの間に作用する接触力が、所定ホース接触力閾値を超えたか否かを判断する、ホース接触力判断をしてもよい。
なお、上記接触力は、向きによって「正(+)」又は「負(-)」となるように定義されてもよいし、あるいは、向きによらず常に「正(+)」となるように定義されてもよい。前者の場合、所定ホース接触力閾値との比較においては、接触力の絶対値と所定ホース接触力閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、各ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置に作用する接触力をそれぞれ算出する。この接触力の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3でのホース接触判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻での各ホース体モデル2のホース部21の上記各位置の接触力と所定ホース接触力閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、少なくともいずれか一対のホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部における接触力が、所定ホース接触力閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、複数のホース体モデル2のホース部21どうし(ひいては、複数のホース体2’のホース21’どうし)が接触したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、複数のホース体モデル2のホース部21どうし(ひいては、複数のホース体2’のホース21’どうし)が接触しなかったと判断する。
所定ホース接触力閾値は、0に設定されてもよいし、あるいは、0より大きな値に設定されてもよい。
【0060】
あるいは、処理部11は、ホース接触判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、複数のホース体2’のホース21’ どうしの間の相対距離が、0になったか否かを判断する、ホース相対距離判断をしてもよい。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、各ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置どうしの間の相対距離をそれぞれ算出する。この相対距離の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3でのホース相対距離判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻での各ホース体モデル2のホース部21の上記各位置どうしの間の相対距離が0であるか否かを判断し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、少なくともいずれか一対のホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部どうしの間の相対距離が、0になったと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、複数のホース体モデル2のホース部21どうし(ひいては、複数のホース体2’のホース21’どうし)が接触したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、複数のホース体モデル2のホース部21どうし(ひいては、複数のホース体2’のホース21’どうし)が接触しなかったと判断する。
【0061】
処理部11は、ホース接触判断において、上述のホース接触エネルギー判断、ホース接触圧判断、ホース接触力判断、及びホース相対距離判断のうち、任意の複数の判断を行ってもよい。その場合、処理部11は、ホース接触判断において、当該複数の判断のそれぞれにおいて複数のホース体2’のホース21’どうしが接触したと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。あるいは、処理部11は、ホース接触判断において、当該複数の判断のうち少なくとも1つにおいて複数のホース体2’のホース21’どうしが接触したと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。
【0062】
判断後処理ステップS4(ひいては判断後処理)については、第1実施形態と同様である。
【0063】
なお、判断後処理ステップS4(ひいては判断後処理)において、アラーム出力ステップ(ひいてはアラーム出力処理)を行う場合、処理部11は、例えば、表示部141に、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)でシミュレーションした結果として、シミュレーションモデルMの動作を表示しつつ、そのシミュレーションモデルMの動作中に、複数のホース体モデル2のホース部21どうしが接触した時刻において、複数のホース体モデル2のホース部21どうしが接触した部分がわかるような表示をしてもよい。例えば、図9(a)及び図9(b)に示すように、複数のホース体モデル2のホース部21どうしが接触した部分を、ホース部21の他の部分とは異なる色(図9(a)及び図9(b)では黒色)で示してもよい。
これにより、ユーザは、複数のホース体2’のホース21’のどの部分がどれだけ頻繁に接触するか等を具体的に把握することができる。ひいては、ユーザは、例えば、ホース体2’のホース21’のうち、頻繁に接触する部分を外装部材で覆うことにより当該部分の損傷を防ぐ、といった対策を取ることができる。
【0064】
<ホース体取付支援方法の第3実施形態-機体接触判断をする場合>
つぎに、図示は省略するが、本発明の第3実施形態に係るホース体取付支援方法について詳しく説明する。第3実施形態では、処理部11は、判断ステップS3(ひいては判断処理)において、機体接触判断を行う。機械4’は、例えば、建設機械(例えば、油圧ショベルやホイールローダー等)でもよいし、あるいは、工場設備(例えば、射出成型機やダイカストマシン等)でもよい。
【0065】
入力ステップS1(ひいては、入力処理)とシミュレーションステップS2(ひいては、シミュレーション処理)については、第1実施形態と同様にして行う。
本例において、シミュレーションモデルMは、ホース体2’を模したホース体モデル2と、機体3’の一部を模した機体モデル3とを、有している。
【0066】
入力ステップS1で入力される入力情報は、少なくとも、ホース体取付情報と、ホース体可動範囲情報と、機体情報とを含む。
機体情報には機体可動範囲情報が含まれてもよく、すなわち、機体モデル3は動くように設定されてもよい。あるいは、機体情報には機体可動範囲情報が含まれず、すなわち、機体モデル3は動かず固定にされてもよい。
【0067】
シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)において、処理部11は、入力ステップS1で入力された入力情報に基づいて、シミュレーションモデルM(本例では、ホース体モデル2及び機体モデル3)を用いて、機体3’の動作中におけるホース体2’を連続的にシミュレーションする。
シミュレーション処理において、処理部11は、入力情報におけるホース体取付情報に基づいて、初期状態SSでのホース体モデル2のホース部21の形状を計算するとともに、入力情報におけるホース体取付情報及びホース体可動範囲情報に基づいて、初期状態SS以降の所定時間毎の各時刻でのホース体モデル2の状態(金具部221、222の向きやホース部21の形状等)を計算する。
なお、機体モデル3が動くように設定されている場合、機体モデル3は、シミュレーション中において、入力情報における機体情報に従って動くようにされてもよい(その場合、処理部11は、機体モデル3の挙動のシミュレーションを行わない)し、あるいは、処理部11が、機体情報に基づいて機体モデル3の挙動をシミュレーションするようにしてもよい。
【0068】
判断ステップS3(ひいては判断処理)において、処理部11は、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)の結果に基づいて、判断処理を行う。本実施形態では、処理部11は、判断処理において、機体接触判断を行う。機体接触判断において、処理部11は、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したか否かに基づいて異常の有無を判断する。処理部11は、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したと判断した場合は、異常有りと判断し、一方、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触しなかったと判断した場合は、異常無しと判断する。
ホース体2’のホース21’が機体3’と接触すると、ホース21’に損傷が生じるおそれがある。機体接触判断によれば、機械4’の使用中にホース21’に損傷が生じるような、ホース体2’の機体3’への取付を回避することが可能となる。
【0069】
ここで、処理部11は、機体接触判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、機体3’からホース体2’のホース21’に対して作用する接触エネルギーが、所定機体接触エネルギー閾値を超えたか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したか否かを判断する、機体接触エネルギー判断をしてもよい。
なお、上記接触エネルギーは、向きによって「正(+)」又は「負(-)」となるように定義されてもよいし、あるいは、向きによらず常に「正(+)」となるように定義されてもよい。前者の場合、所定機体接触エネルギー閾値との比較においては、接触エネルギーの絶対値と所定機体接触エネルギー閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、機体3’からホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置に作用する接触エネルギーをそれぞれ算出する。この接触エネルギーの算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での機体接触エネルギー判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の上記各位置での接触エネルギーと所定機体接触エネルギー閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部における接触エネルギーが、所定機体接触エネルギー閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触しなかったと判断する。
所定機体接触エネルギー閾値は、0に設定されてもよいし、あるいは、0より大きな値に設定されてもよい。
【0070】
あるいは、処理部11は、機体接触判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、機体3’からホース体2’のホース21’に対して作用する接触圧が、所定機体接触圧閾値を超えたか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したか否かを判断する、機体接触圧判断をしてもよい。
なお、上記接触圧は、向きによって「正(+)」又は「負(-)」となるように定義されてもよいし、あるいは、向きによらず常に「正(+)」となるように定義されてもよい。前者の場合、所定機体接触圧閾値との比較においては、接触圧の絶対値と所定機体接触圧閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、機体3’からホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置に作用する接触圧をそれぞれ算出する。この接触圧の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での機体接触圧判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の上記各位置での接触圧と所定機体接触圧閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部における接触圧が、所定機体接触圧閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触しなかったと判断する。
所定機体接触圧閾値は、0に設定されてもよいし、あるいは、0より大きな値に設定されてもよい。
【0071】
あるいは、処理部11は、機体接触判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、機体3’からホース体2’のホース21’に対して作用する接触力が、所定機体接触力閾値を超えたか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したか否かを判断する、機体接触力判断をしてもよい。
なお、上記接触力は、向きによって「正(+)」又は「負(-)」となるように定義されてもよいし、あるいは、向きによらず常に「正(+)」となるように定義されてもよい。前者の場合、所定機体接触力閾値との比較においては、接触力の絶対値と所定機体接触力閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、機体3’からホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置に作用する接触力をそれぞれ算出する。この接触力の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での機体接触力判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の上記各位置での接触力と所定機体接触力閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部における接触力が、所定機体接触力閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触しなかったと判断する。
所定機体接触力閾値は、0に設定されてもよいし、あるいは、0より大きな値に設定されてもよい。
【0072】
あるいは、処理部11は、機体接触判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’と機体3’との間の相対距離が、0になったか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したか否かを判断する、機体相対距離判断をしてもよい。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置と機体モデル3との間の相対距離をそれぞれ算出する。この相対距離の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での機体相対距離判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の上記各位置と機体モデル3との間の相対距離が0であるか否かを判断し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部と機体モデル3との間の相対距離が、0になったと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、ホース体2’のホース21’が機体3’と接触しなかったと判断する。
【0073】
処理部11は、機体接触判断において、上述の機体接触エネルギー判断、機体接触圧判断、機体接触力判断、及び機体相対距離判断のうち、任意の複数の判断を行ってもよい。その場合、処理部11は、機体接触判断において、当該複数の判断のそれぞれにおいてホース体2’のホース21’が機体3’と接触したと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。あるいは、処理部11は、機体接触判断において、当該複数の判断のうちの少なくとも1つにおいてホース体2’のホース21’が機体3’と接触したと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。
【0074】
判断後処理ステップS4(ひいては判断後処理)については、第1実施形態と同様である。
【0075】
なお、判断後処理ステップS4(ひいては判断後処理)において、アラーム出力ステップ(ひいてはアラーム出力処理)を行う場合、処理部11は、例えば、表示部141に、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)でシミュレーションした結果として、シミュレーションモデルMの動作を表示しつつ、そのシミュレーションモデルMの動作中に、ホース体モデル2のホース部21が機体モデル3と接触した時刻において、ホース体モデル2のホース部21のうち機体モデル3と接触した部分がわかるような表示をしてもよい。例えば、図9(a)及び図9(b)の例と同様に、ホース体モデル2のホース部21のうち機体モデル3と接触した部分を、ホース部21の他の部分とは異なる色(図9(a)及び図9(b)では黒色)で示してもよい。
これにより、ユーザは、ホース体2’のホース21’のどの部分がどれだけ頻繁に接触するか等を具体的に把握することができる。ひいては、ユーザは、例えば、ホース体2’のホース21’のうち、頻繁に接触する部分を外装部材で覆うことにより当該部分の損傷を防ぐ、といった対策を取ることができる。
【0076】
<ホース体取付支援方法の第4実施形態-曲げ判断をする場合>
つぎに、図11図12を参照しつつ、本発明の第4実施形態に係るホース体取付支援方法について詳しく説明する。第4実施形態では、処理部11は、判断ステップS3(ひいては判断処理)において、曲げ判断を行う。機械4’は、例えば、建設機械(例えば、油圧ショベルやホイールローダー等)でもよいし、あるいは、工場設備(例えば、射出成型機やダイカストマシン等)でもよい。
本実施形態の説明においては、便宜のため、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)におけるシミュレーションの対象とされる機械4’の図示を省略する。
【0077】
入力ステップS1(ひいては、入力処理)とシミュレーションステップS2(ひいては、シミュレーション処理)については、第1実施形態と同様にして行う。
図11は、本例におけるシミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)におけるシミュレーションにおいてシミュレーションモデルMが動作する様子を示している。本例において、シミュレーションモデルMは、ホース体2’を模したホース体モデル2のみを有しており、機体3’の一部を模した機体モデル3を有していない。ただし、シミュレーションモデルMは、機体モデル3を有してもよい。
【0078】
入力ステップS1で入力される入力情報は、少なくとも、ホース体取付情報と、ホース体可動範囲情報とを、含む。シミュレーションモデルMが機体モデル3を含む場合、入力ステップS1で入力される入力情報は、さらに、機体情報を含む。
図11の例において、ホース体可動範囲情報は、ホース体モデル2の第2端部2bが動かずに固定であり、ホース体モデル2の第1端部2aが、初期状態SSから、回転軸線3cの周りで周方向一方側(図11では時計回り)に所定角度だけ回転し、最大限度状態SMとなるとともに、最終状態SFとなることを、特定している。すなわち、本例において、ホース体モデル2は、往動作のみを行い、復動作は行わないようにされている。ただし、ホース体モデル2は復動作も行うようにされてもよい。
【0079】
シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)において、処理部11は、入力ステップS1で入力された入力情報に基づいて、シミュレーションモデルM(本例では、ホース体モデル2)を用いて、機体3’の動作中におけるホース体2’の挙動を連続的にシミュレーションする。
シミュレーション処理において、処理部11は、入力情報におけるホース体取付情報に基づいて、初期状態SSでのホース体モデル2のホース部21の形状を計算するとともに、入力情報におけるホース体取付情報及びホース体可動範囲情報に基づいて、初期状態SS以降の所定時間毎の各時刻でのホース体モデル2の状態(金具部221、222の向きやホース部21の形状等)を計算する。
なお、シミュレーションモデルMが機体モデル3を含むとともに、機体モデル3が動くように設定されている場合、機体モデル3は、シミュレーション中において、入力情報における機体情報に従って動くようにされてもよい(その場合、処理部11は、機体モデル3の挙動のシミュレーションを行わない)し、あるいは、処理部11が、機体情報に基づいて機体モデル3の挙動をシミュレーションするようにしてもよい。
【0080】
判断ステップS3(ひいては判断処理)において、処理部11は、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)の結果に基づいて、判断処理を行う。本実施形態では、処理部11は、判断処理において、曲げ判断を行う。曲げ判断において、処理部11は、ホース体2’のホース21’が過度に曲がったか否かに基づいて異常の有無を判断する。処理部11は、ホース体2’のホース21’が過度に曲がったと判断した場合は、異常有りと判断し、一方、ホース体2’のホース21’が過度に曲がらなかったと判断した場合は、異常無しと判断する。
ホース体2’のホース21’が過度に曲がると、ホース21’に損傷が生じるおそれがある。曲げ判断によれば、機械4’の使用中にホース21’に損傷が生じるような、ホース体2’の機体3’への取付を回避することが可能となる。
【0081】
ここで、処理部11は、曲げ判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’の少なくとも一部分における曲げ半径が、所定曲げ半径閾値を下回ったか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’が過度に曲がったか否かを判断する、曲げ半径判断をしてもよい。
ここで、ホース21’の「曲げ半径」とは、ホース21’の曲率半径であり、具体的には、ホース21’の外周面のうちホース21’の中心軸線に対して曲げ内側(曲率中心側)の部分の曲げ半径(曲率半径)であると好適であるが、ホース21’の中心軸線の曲げ半径(曲率半径)であってもよいし、あるいは、ホース21’の外周面のうちホース21’の中心軸線に対して曲げ外側(曲率中心とは反対側)の部分の曲げ半径(曲率半径)であってもよい。ホース体モデル2のホース部21の「曲げ半径」についても同様である。所定曲げ半径閾値は、例えばホース体2’の製造メーカー等によって予め規定された最小曲げ半径に設定されると好適であるが、それとは異なる値に設定されてもよい。
なお、上記曲げ半径は、曲率中心がホース21’に対する一方側にあるときの曲率を「正(+)」と定義し、曲率中心がホース21’に対する他方側にあるときの曲率を「負(-)」と定義するように定義されてもよいし、あるいは、曲率中心の位置によらず常に「正(+)」となるように定義されてもよい。前者の場合、所定曲げ半径閾値との比較においては、曲げ半径の絶対値と所定曲げ半径閾値とを比較するものとする。
曲げ半径判断について、図12を参照しつつ説明する。図12のグラフにおいて、各黒丸は、図11の例のシミュレーションモデルMを用いたシミュレーションにおいて初期状態SSでのホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置における曲げ半径を示している。図12のグラフにおいて、各白丸は、図11の例のシミュレーションモデルMを用いたシミュレーションにおいて最大限度状態SMでのホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置における曲げ半径を示している。図12のグラフにおいて、横軸は、ホース体モデル2の第2端部2bからホース部21上の位置までの距離(m)であり、縦軸は、当該位置での曲げ半径(m)である。このように、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置における曲げ半径をそれぞれ算出する。この曲げ半径の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での曲げ半径判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の上記各位置での曲げ半径と所定曲げ半径閾値Tr(図12)とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部分における曲げ半径が、所定曲げ半径閾値Trを下回ったと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、複数のホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が過度に曲がったと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、複数のホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が過度に曲がらなかったと判断する。
【0082】
あるいは、処理部11は、曲げ判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’の少なくとも一部分における曲率が、所定曲率閾値を超えたか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’が過度に曲がったか否かを判断する、曲率判断をしてもよい。
ここで、ホース21’の「曲率」とは、ホース21’の外周面のうちホース21’の中心軸線に対して曲げ内側(曲率中心側)の部分の曲率であると好適であるが、ホース21’の中心軸線の曲率であってもよいし、あるいは、ホース21’の外周面のうちホース21’の中心軸線に対して曲げ外側(曲率中心とは反対側)の部分の曲率であってもよい。ホース体モデル2のホース部21の「曲率」についても同様である。所定曲率閾値は、例えばホース体2’の製造メーカー等によって予め規定された最小曲げ半径から換算された曲率に設定されると好適であるが、それとは異なる値に設定されてもよい。
なお、上記曲率は、曲率中心がホース21’に対する一方側にあるときの曲率を「正(+)」と定義し、曲率中心がホース21’に対する他方側にあるときの曲率を「負(-)」と定義するように定義されてもよいし、あるいは、曲率中心の位置によらず常に「正(+)」となるように定義されてもよい。前者の場合、所定曲率閾値との比較においては、曲率の絶対値と所定曲率閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置における曲率をそれぞれ算出する。この曲率の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での曲率判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の上記各位置での曲率と所定曲率閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部分における曲率が、所定曲率閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、複数のホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が過度に曲がったと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、複数のホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が過度に曲がらなかったと判断する。
【0083】
処理部11は、曲げ判断において、上述の曲げ半径判断及び曲率判断の両方の判断を行ってもよい。その場合、処理部11は、曲げ判断において、当該両方の判断においてホース体2’のホース21’が過度に曲がったと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。あるいは、処理部11は、曲げ判断において、当該両方の判断のうち少なくとも一方においてホース体2’のホース21’が過度に曲がったと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。
【0084】
判断後処理ステップS4(ひいては判断後処理)については、第1実施形態と同様である。
【0085】
<ホース体取付支援方法の第5実施形態-反転判断をする場合>
つぎに、図13図14を参照しつつ、本発明の第5実施形態に係るホース体取付支援方法について詳しく説明する。第5実施形態では、処理部11は、判断ステップS3(ひいては判断処理)において、反転判断を行う。機械4’は、例えば、建設機械(例えば、油圧ショベルやホイールローダー等)でもよいし、あるいは、工場設備(例えば、射出成型機やダイカストマシン等)でもよい。
本実施形態の説明においては、便宜のため、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)におけるシミュレーションの対象とされる機械4’の図示を省略する。
【0086】
入力ステップS1(ひいては、入力処理)とシミュレーションステップS2(ひいては、シミュレーション処理)については、第1実施形態と同様にして行う。
図13図14は、本例におけるシミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)におけるシミュレーションにおいてシミュレーションモデルMが動作する様子を示している。本例において、シミュレーションモデルMは、ホース体2’を模したホース体モデル2と、機体3’の一部を模した機体モデル3とを、有している。機体モデル3は、円筒形状をなしている。ただし、シミュレーションモデルMは、機体モデル3を有していなくてもよい。
【0087】
入力ステップS1で入力される入力情報は、少なくとも、ホース体取付情報と、ホース体可動範囲情報とを、含む。本例のようにシミュレーションモデルMが機体モデル3を含む場合、入力ステップS1で入力される入力情報は、さらに、機体情報を含む。
図13図14の例において、ホース体可動範囲情報は、ホース体モデル2の第2端部2bが動かずに固定であり、ホース体モデル2の第1端部2aが、初期状態SS(図13)から、回転軸線3cの周りで周方向一方側(図13図14では反時計回り)に所定角度だけ回転し、最大限度状態SM(図13図14)となり、その後、回転軸線3cの周りで周方向他方側(図13図14では時計回り)に所定角度だけ回転し、初期状態SSと同じ最終状態SFとなることを、特定している。
【0088】
シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)において、処理部11は、入力ステップS1で入力された入力情報に基づいて、シミュレーションモデルM(本例では、ホース体モデル2及び機体モデル3)を用いて、機体3’の動作中におけるホース体2’の挙動を連続的にシミュレーションする。
シミュレーション処理において、処理部11は、入力情報におけるホース体取付情報に基づいて、初期状態SSでのホース体モデル2のホース部21の形状を計算するとともに、入力情報におけるホース体取付情報及びホース体可動範囲情報に基づいて、初期状態SS以降の所定時間毎の各時刻でのホース体モデル2の状態(金具部221、222の向きやホース部21の形状等)を計算する。
なお、シミュレーションモデルMが機体モデル3を含むとともに、機体モデル3が動くように設定されている場合、機体モデル3は、シミュレーション中において、入力情報における機体情報に従って動くようにされてもよい(その場合、処理部11は、機体モデル3の挙動のシミュレーションを行わない)し、あるいは、処理部11が、機体情報に基づいて機体モデル3の挙動をシミュレーションするようにしてもよい。
【0089】
判断ステップS3(ひいては判断処理)において、処理部11は、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)の結果に基づいて、判断処理を行う。本実施形態では、処理部11は、判断処理において、反転判断を行う。反転判断において、処理部11は、ホース体2’のホース21’が反転したか否かに基づいて異常の有無を判断する。ここで、ホース体2’のホース21’の「反転」とは、ホース21’の少なくとも一部分において、ホース21’の曲率中心の位置が、ホース21’に対する一方側から他方側へと移り変わる現象を指す。ホース体モデル2のホース部21の「反転」についても同様である。例えば、図14の例においては、ホース体モデル2の復動作中において、ホース体モデル2のホース部21の同じ一部分の曲率中心21cが、ホース部21に対する図面の下側から、ホース部21に対する図面の上側へと、移り変わっており、ひいては、反転が生じている。処理部11は、ホース体2’のホース21’が反転したと判断した場合は、異常有りと判断し、一方、ホース体2’のホース21’が反転しなかったと判断した場合は、異常無しと判断する。
ホース体2’のホース21’が反転すると、ホース21’に損傷が生じるおそれがある。反転判断によれば、機械4’の使用中にホース21’に損傷が生じるような、ホース体2’の機体3’への取付を回避することが可能となる。
【0090】
ここで、処理部11は、反転判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’の少なくとも一部分における、単位時間当たりの曲率の変化率が、所定曲率変化率閾値を超えたか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’が反転したか否かを判断する、曲率変化率判断をしてもよい。ここで、ホース体2’のホース21’の「曲率」は、基本的には上述の曲げ判断において説明したとおりであるが、反転判断においては、曲率中心がホース21’に対する一方側にあるときの曲率を「正(+)」と定義し、曲率中心がホース21’に対する他方側にあるときの曲率を「負(-)」と定義すると、より正確に反転判断ができるので、好適である。ただし、「曲率」は、曲率中心の位置によらず、常に「正(+)」と定義されてもよい。ホース体モデル2のホース部21の「曲率」についても同様である。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置における、単位時間当たりの曲率の変化率を、それぞれ算出する。この単位時間当たりの曲率の変化率の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での曲率変化率判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の上記各位置での単位時間当たりの曲率の変化率と所定曲率変化率閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部分における単位時間当たりの曲率の変化率が、所定曲率変化率閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が反転したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、ホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が反転しなかったと判断する。
【0091】
あるいは、処理部11は、反転判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’の少なくとも一部分における、単位時間当たりの曲げ半径の変化率が、所定曲げ半径変化率閾値を超えたか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’が反転したか否かを判断する、曲げ半径変化率判断をしてもよい。ここで、ホース体2’のホース21’の「曲げ半径」は、基本的には上述の曲げ判断において説明したとおりであるが、反転判断においては、曲率中心がホース21’に対する一方側にあるときの曲げ半径を「正(+)」と定義し、曲率中心がホース21’に対する他方側にあるときの曲げ半径を「負(-)」と定義すると、より正確に反転判断ができるので、好適である。ただし、「曲げ半径」は、曲率中心の位置によらず、常に「正(+)」と定義されてもよい。ホース体モデル2のホース部21の「曲げ半径」についても同様である。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置における、単位時間当たりの曲げ半径の変化率を、それぞれ算出する。この単位時間当たりの曲げ半径の変化率の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での曲げ半径変化率判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の上記各位置での単位時間当たりの曲げ半径の変化率と所定曲げ半径変化率閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部分における単位時間当たりの曲げ半径の変化率が、所定曲げ半径変化率閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が反転したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、ホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が反転しなかったと判断する。
【0092】
あるいは、処理部11は、反転判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’の少なくとも一部分における、単位時間当たりの引張力の変化率が、所定引張力変化率閾値を超えたか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’が反転したか否かを判断する、引張力変化率判断をしてもよい。ここで、ホース体2’のホース21’の「引張力」は、反転判断においては、曲率中心がホース21’に対する一方側にあるときの引張力を「正(+)」と定義し、曲率中心がホース21’に対する他方側にあるときの引張力を「負(-)」と定義すると、より正確に反転判断ができるので、好適である。ただし、「引張力」は、曲率中心の位置によらず、常に「正(+)」と定義されてもよい。ホース体モデル2のホース部21の「引張力」についても同様である。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置における、単位時間当たりの引張力の変化率を、それぞれ算出する。この単位時間当たりの引張力の変化率の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での引張力変化率判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の上記各位置での単位時間当たりの引張力の変化率と所定引張力変化率閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部分における単位時間当たりの引張力の変化率が、所定引張力変化率閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が反転したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、ホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が反転しなかったと判断する。
【0093】
あるいは、処理部11は、反転判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体2’のホース21’の少なくとも一部分における、単位時間当たりの圧縮力の変化率が、所定圧縮力変化率閾値を超えたか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’が反転したか否かを判断する、圧縮力変化率判断をしてもよい。ここで、ホース体2’のホース21’の「圧縮力」は、反転判断においては、曲率中心がホース21’に対する一方側にあるときの圧縮力を「正(+)」と定義し、曲率中心がホース21’に対する他方側にあるときの圧縮力を「負(-)」と定義すると、より正確に反転判断ができるので、好適である。ただし、「圧縮力」は、曲率中心の位置によらず、常に「正(+)」と定義されてもよい。ホース体モデル2のホース部21の「圧縮力」についても同様である。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2のホース部21の延在方向に沿った所定間隔毎の各位置における、単位時間当たりの圧縮力の変化率を、それぞれ算出する。この単位時間当たりの圧縮力の変化率の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での圧縮力変化率判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の上記各位置での単位時間当たりの圧縮力の変化率と所定圧縮力変化率閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の少なくとも一部分における単位時間当たりの圧縮力の変化率が、所定圧縮力変化率閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が反転したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、ホース体モデル2のホース部21(ひいてはホース体2’のホース21’)が反転しなかったと判断する。
【0094】
処理部11は、反転判断において、上述の曲率変化率判断、曲げ半径変化率判断、引張力変化率判断及び圧縮力変化率判断のうち、任意の複数の判断を行ってもよい。その場合、処理部11は、反転判断において、当該複数の判断のそれぞれにおいてホース体2’のホース21’が反転したと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。あるいは、処理部11は、反転判断において、当該複数の判断のうちいずれか1つにおいてホース体2’のホース21’が反転したと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。
【0095】
判断後処理ステップS4(ひいては判断後処理)については、第1実施形態と同様である。
【0096】
<ホース体取付支援方法の第6実施形態-口元判断をする場合>
つぎに、図15図16を参照しつつ、本発明の第6実施形態に係るホース体取付支援方法について詳しく説明する。第6実施形態では、処理部11は、判断ステップS3(ひいては判断処理)において、口元判断を行う。機械4’は、例えば、建設機械(例えば、油圧ショベルやホイールローダー等)でもよいし、あるいは、工場設備(例えば、射出成型機やダイカストマシン等)でもよい。
本実施形態の説明においては、便宜のため、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)におけるシミュレーションの対象とされる機械4’の図示を省略する。
【0097】
入力ステップS1(ひいては、入力処理)とシミュレーションステップS2(ひいては、シミュレーション処理)については、第1実施形態と同様にして行う。
図15は、本例におけるシミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)におけるシミュレーションにおいてシミュレーションモデルMが動作する様子のイメージを示している。本例において、シミュレーションモデルMは、ホース体2’を模したホース体モデル2のみを有しており、機体3’の一部を模した機体モデル3を有していない。ただし、シミュレーションモデルMは、機体モデル3を有していてもよい。
【0098】
入力ステップS1で入力される入力情報は、少なくとも、ホース体取付情報と、ホース体可動範囲情報とを、含む。シミュレーションモデルMが機体モデル3を含む場合、入力ステップS1で入力される入力情報は、さらに、機体情報を含む。
図15の例において、ホース体可動範囲情報は、ホース体モデル2の第2端部2bが動かずに固定であり、ホース体モデル2の第1端部2aが、初期状態SSから、回転軸線3cの周りで周方向一方側(図15では時計回り)に所定角度だけ回転し、最大限度状態SMとなり、その後、回転軸線3cの周りで周方向他方側(図15では反時計回り)に所定角度だけ回転し、初期状態SSと同じ最終状態SFとなることを、特定している。
【0099】
シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)において、処理部11は、入力ステップS1で入力された入力情報に基づいて、シミュレーションモデルM(本例では、ホース体モデル2)を用いて、機体3’の動作中におけるホース体2’の挙動を連続的にシミュレーションする。
シミュレーション処理において、処理部11は、入力情報におけるホース体取付情報に基づいて、初期状態SSでのホース体モデル2のホース部21の形状を計算するとともに、入力情報におけるホース体取付情報及びホース体可動範囲情報に基づいて、初期状態SS以降の所定時間毎の各時刻でのホース体モデル2の状態(金具部221、222の向きやホース部21の形状等)を計算する。
なお、シミュレーションモデルMが機体モデル3を含むとともに、機体モデル3が動くように設定されている場合、機体モデル3は、シミュレーション中において、入力情報における機体情報に従って動くようにされてもよい(その場合、処理部11は、機体モデル3の挙動のシミュレーションを行わない)し、あるいは、処理部11が、機体情報に基づいて機体モデル3の挙動をシミュレーションするようにしてもよい。
【0100】
判断ステップS3(ひいては判断処理)において、処理部11は、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)の結果に基づいて、判断処理を行う。本実施形態では、処理部11は、判断処理において、口元判断を行う。口元判断において、処理部11は、ホース体2’のホース21’ の口元部21k’(図2)が過度に変形したか否かに基づいて異常の有無を判断する。ここで、ホース体2’のホース21’の「口元部21k’」(図2)とは、ホース21’のうち、金具221’、222’のホース21’側の端部22d’から100mm程度の部分を指す。ホース体モデル2のホース部21の口元部21k(図15)についても同様である。処理部11は、ホース21’の一対の口元部21k’のうちいずれか一方のみについて口元判断を行ってもよいし、あるいは、ホース21’の一対の口元部21k’の両方についてそれぞれ口元判断を行ってもよい。図15の例において、処理部11は、ホース部21’の一対の口元部21k’のうち、第2金具222’に隣接する口元部21k’(ひいては、ホース体モデル2のホース21の一対の口元部21kのうち、第2金具部222に隣接する口元部21k)について、口元判断を行う。処理部11は、ホース体2’のホース21’ の口元部21k’が過度に変形したと判断した場合は、異常有りと判断し、一方、ホース体2’のホース21’ の口元部21k’が過度に変形しなかったと判断した場合は、異常無しと判断する。
ホース体2’のホース21’ の口元部21k’が過度に変形すると、ホース21’ の口元部21k’に損傷が生じるおそれがある。口元判断によれば、機械4’の使用中にホース21’ の口元部21k’に損傷が生じるような、ホース体2’の機体3’への取付を回避することが可能となる。
【0101】
ここで、処理部11は、口元判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中に、口元部21k’が、口元部21k’に隣接する金具221’、222’(本例では第2金具222’)の中心軸線の延長線22c’(図示せず)に対するいずれか一方側から他方側へと移動したか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’ の口元部21k’が過度に変形したか否かを判断する、両振り判断をしてもよい。
この場合、処理部11は、判断ステップS3での両振り判断において、シミュレーションモデルMの動作中に、ホース体モデル2のホース21の口元部21kが、口元部21kに隣接する金具部221、222(本例では第2金具部222)の中心軸線の延長線22cに対する一方側から他方側へと移動したか否かを判断し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中に、ホース体モデル2の口元部21kが、口元部21kに隣接する金具部221、222(本例では第2金具部222)の中心軸線の延長線22cに対するいずれか一方側から他方側へと移動した(ひいては、ホース体2’の口元部21k’が、口元部21k’に隣接する金具221’、222’(本例では第2金具222’)の中心軸線の延長線22c’に対するいずれか一方側から他方側へと移動した)と判断した場合に、ホース体モデル2のホース部21の口元部21k(ひいてはホース体2’のホース21’ の口元部21k’)が過度に変形したと判断し、一方、それ以外の場合に、ホース体モデル2のホース部21の口元部21k(ひいてはホース体2’のホース21’ の口元部21k’)が過度に変形しなかったと判断する。
【0102】
あるいは、処理部11は、口元判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、口元部21k’の曲げ半径が、所定口元部曲げ半径閾値を下回ったか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’ の口元部21k’が過度に変形したか否かを判断する、口元部曲げ半径判断をしてもよい。所定口元部曲げ半径閾値は、例えばホース体2’の製造メーカー等によって予め規定された最小曲げ半径に設定されると好適であるが、それとは異なる値に設定されてもよい。
なお、上記曲げ半径は、曲率中心がホース21’に対する一方側にあるときの曲率を「正(+)」と定義し、曲率中心がホース21’に対する他方側にあるときの曲率を「負(-)」と定義するように定義されてもよいし、あるいは、曲率中心の位置によらず常に「正(+)」となるように定義されてもよい。前者の場合、所定口元部曲げ半径閾値との比較においては、曲げ半径の絶対値と所定口元部曲げ半径閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2のホース部21の口元部21kの延在方向に沿った所定間隔毎の各位置における曲げ半径を、それぞれ算出する。この曲げ半径の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での口元部曲げ半径判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の口元部21kの上記各位置での曲げ半径と所定口元部曲げ半径閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の口元部21kの少なくとも一部分における曲げ半径が、所定口元部曲げ半径閾値を下回ったと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の口元部21k(ひいてはホース体2’のホース21’ の口元部21k’)が過度に変形したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、ホース体モデル2のホース部21の口元部21k(ひいてはホース体2’のホース21’ の口元部21k’)が過度に変形しなかったと判断する。
【0103】
あるいは、処理部11は、口元判断において、シミュレーション処理の結果に基づいて、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、口元部21k’の曲率が、所定口元部曲率閾値を超えたか否かに基づいて、ホース体2’のホース21’ の口元部21k’が過度に変形したか否かを判断する、口元部曲率判断をしてもよい。所定口元部曲率閾値は、例えばホース体2’の製造メーカー等によって予め規定された最小曲げ半径から換算された曲率に設定されると好適であるが、それとは異なる値に設定されてもよい。
なお、上記曲率は、曲率中心がホース21’に対する一方側にあるときの曲率を「正(+)」と定義し、曲率中心がホース21’に対する他方側にあるときの曲率を「負(-)」と定義するように定義されてもよいし、あるいは、曲率中心の位置によらず常に「正(+)」となるように定義されてもよい。前者の場合、所定口元部曲率閾値との比較においては、曲率の絶対値と所定口元部曲率閾値とを比較するものとする。
この場合、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中(ひいては機体3’の動作中)の所定時間毎の各時刻のそれぞれについて、ホース体モデル2のホース部21の口元部21kの延在方向に沿った所定間隔毎の各位置における曲率を、それぞれ算出する。この曲率の算出は、シミュレーションステップS2で行ってもよいし、あるいは、判断ステップS3で行ってもよい。そして、判断ステップS3での口元部曲率判断において、処理部11は、シミュレーションモデルMの動作中の各時刻でのホース体モデル2のホース部21の口元部21kの上記各位置での曲率と所定口元部曲率閾値とを比較し、その結果、シミュレーションモデルMの動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の口元部21kの少なくとも一部分における曲率が、所定口元部曲率閾値を超えたと判断した場合に、機体3’の動作中におけるいずれかの時刻において、ホース体モデル2のホース部21の口元部21k(ひいてはホース体2’のホース21’ の口元部21k’)が過度に変形したと判断し、一方、それ以外の場合に、機体3’の動作中におけるいずれの時刻においても、ホース体モデル2のホース部21の口元部21k(ひいてはホース体2’のホース21’ の口元部21k’)が過度に変形しなかったと判断する。
【0104】
処理部11は、口元判断において、上述の両振り判断、口元部曲げ半径判断、及び口元部曲率判断のうち、任意の複数の判断を行ってもよい。その場合、処理部11は、口元判断において、当該複数の判断のそれぞれにおいてホース体2’のホース21’ の口元部21k’が過度に変形したと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。あるいは、処理部11は、口元判断において、当該複数の判断のうちいずれか1つにおいてホース体2’のホース21’ の口元部21k’が過度に変形したと判断した場合に、異常有りと判断し、それ以外の場合に、異常無しと判断してもよい。
【0105】
判断後処理ステップS4(ひいては判断後処理)については、第1実施形態と同様である。
【0106】
なお、図16は、判断後処理ステップS4(ひいては判断後処理)のホース体取付情報変更ステップ(ひいてはホース体取付情報変更処理)を経て、入力ステップS1(ひいては入力処理)において、図15の例のシミュレーションモデルMに入力されたホース体取付情報とは異なるホース体取付情報が入力された、シミュレーションモデルMのイメージを示している。図16の例のシミュレーションモデルMは、図15の例のシミュレーションモデルMに対して、ホース体初期向き情報により設定されるホース体モデル2の第1端部2a及び第2端部2bの初期向き、ホース寸法情報のホース長さ情報により設定されるホース部21の長さ、及び、金具情報の金具形状情報により設定される第1金具部221の形状のみが、異なる。図16の例では、シミュレーションモデルMの動作中に、ホース体モデル2のホース21の口元部21kが、口元部21kに隣接する金具221、222(本例では第2金具222)の中心軸線の延長線22cに対する一方側(図16の左側)に留まっており、当該延長線22cに対する他方側(図16の右側)には移動していないことから、図16の例のシミュレーションモデルMに対応するホース体2’の機体3’への取付が適切であることがわかる。
【0107】
上述した各実施形態においては、処理部11は、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)の前に、補正ステップ(ひいては補正処理)を行ってもよい。この場合、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)の前に、予め、ユーザによる入力部13の操作によって、ホース体2’の使用圧力(ホース体2’内を流れる流体の圧力)に関する使用圧力情報が入力される。ここで、使用圧力情報によって特定されるホース体2’の使用圧力は、例えば、ホース体2’の製造メーカーによって予め規定される最高使用圧力であってもよいし、あるいは、実際に通常使用される圧力等であってもよい。そして、補正ステップにおいて、処理部11は、入力部13で入力される使用圧力情報に基づいて、ホース体取付情報におけるホース剛性情報及びホース寸法情報(例えば、ホース長さ情報及び/又はホース外径情報)を補正する、補正処理を行う。そして、処理部11は、補正ステップ(ひいては補正処理)の後、補正処理で補正されたホース剛性情報及びホース寸法情報を含む入力情報を用いて、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)を行う。
一般的に、ホース21’の剛性(特に、曲げ剛性)は、使用圧力が高いほど、高くなる。また、ホース21’の長さは、ホースの構造や材料等により、使用圧力によって変化する。また、ホース21’の外径は、使用圧力が高いほど、大きくなる。補正処理によれば、このような使用圧力に応じたホース21’の剛性及び寸法の変化を考慮した上でシミュレーションを行うことができるので、より正確なシミュレーションができ、ひいては、機体3’へのホース体2’の適切な取付を、より効果的に支援することができる。
なお、補正ステップ(ひいては補正処理)において、処理部11は、使用圧力が高いほど、ホース剛性情報によって特定される剛性が高くなるように、ホース剛性情報を補正すると、好適である。また、補正ステップ(ひいては補正処理)において、処理部11は、使用圧力が高いほど、ホース寸法情報のホース長さ情報によって特定されるホース21’の長さが短くなるように、ホース長さ情報を補正すると、好適である。また、補正ステップ(ひいては補正処理)において、処理部11は、使用圧力が高いほど、ホース寸法情報のホース外径情報によって特定されるホース21’の外径が大きくなるように、ホース外径情報を補正すると、好適である。
【0108】
上述した各実施形態においては、説明の便宜のため、別々のシミュレーションモデルMを用いて説明したが、判断ステップS3(ひいては判断処理)では、処理部11は、同じシミュレーションモデルMを用いたシミュレーション結果に基づいて、(a)ねじれ判断、(b)ホース接触判断、(c)機体接触判断、(d)曲げ判断、(e)反転判断、及び、(f)口元判断のうち、任意の複数の判断を行ってもよい。その場合、処理部11は、判断ステップS3(ひいては判断処理)において、当該複数の判断のうち少なくとも1つの判断において異常有りと判断した場合に、最終的に異常有りと判断し、それ以外の場合に、最終的に異常無しと判断する。
特に、判断ステップS3(ひいては判断処理)において、処理部11は、(a)ねじれ判断、(b)ホース接触判断、(c)機体接触判断、(d)曲げ判断、及び(e)反転判断のうち少なくとも1つと、(f)口元判断とを、併せて行うと、好適である。
シミュレーションモデルMは、上記各実施形態で説明した構成のものに限られず、任意の構成を有してよい。
【0109】
上述した第1実施形態、第3実施形態~第6実施形態においては、説明の便宜のため、シミュレーションモデルMがホース体モデル2を1つのみ有しているが、これらの実施形態においても、第2実施形態と同様に、シミュレーションモデルMがホース体モデル2を複数有してもよい。その場合、処理部11は、各ホース体モデル2のそれぞれについて、シミュレーションステップS2(ひいてはシミュレーション処理)及び判断ステップS3(ひいては判断処理)を行うとよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のホース体取付支援システム、及び、ホース体取付支援方法は、例えば建設機械(例えば、油圧ショベルやホイールローダー等)や工場設備(例えば、射出成型機やダイカストマシン等)等の、流体圧(例えば、油圧)を動力とする機械において、機体へのホース体の取付を支援するために使用されると、好適なものである。
【符号の説明】
【0111】
1 ホース体取付支援システム
11 処理部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
141 表示部
P プログラム
PS シミュレーションプログラム
PA 支援プログラム
2’ ホース体
2a’ 第1端部(端部)
2b’ 第2端部(端部)
21’ ホース
21k’ 口元部
221’ 第1金具(金具)
222’ 第2金具(金具)
22d’ 金具のホース側の端部
2 ホース体モデル
2a 第1端部(端部)
2b 第2端部(端部)
21 ホース部
21c 曲率中心
21k 口元部
221 第1金具部(金具部)
222 第2金具部(金具部)
22c 中心軸線の延長線
22d 金具部のホース部側の端部
3’ 機体
32’ 回転部
3c’ 回転軸線
3 機体モデル
32 回転部
3c 回転軸線
4’ 機械
SS 初期状態
SM 可動限度状態
SF 最終状態
M シミュレーションモデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16