(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093220
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】チャンバー内部の除菌方法および除菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20220616BHJP
C01B 11/02 20060101ALI20220616BHJP
C12M 1/12 20060101ALI20220616BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20220616BHJP
【FI】
A61L2/20
C01B11/02 A
C12M1/12
A61L101:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020219976
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】591101490
【氏名又は名称】エイブル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 陽一
【テーマコード(参考)】
4B029
4C058
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB01
4B029CC01
4B029CC02
4B029DG04
4C058BB10
4C058DD01
4C058DD11
4C058EE26
4C058JJ16
4C058JJ26
(57)【要約】
【課題】CO2インキュベーター等のチャンバー内部を除菌する。
【解決手段】チャンバーを除菌する方法は、あらかじめ定められた量の二酸化塩素を含む二酸化塩素水溶液を用意する工程と、水溶液に空気を導入してバブリングすることによって水溶液中の二酸化塩素の大部分を二酸化塩素ガスとして発生させ、発生した二酸化塩素をチャンバー内に供給する工程と、ファンによって、チャンバー内の空気を攪拌する工程と、二酸化塩素をチャンバー内に供給してから所定時間経過後、二酸化塩素除去手段の動作を開始して、チャンバーから二酸化塩素を除去する工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内部を除菌する方法であって、
あらかじめ定められた量の二酸化塩素を含む二酸化塩素水溶液を用意する工程と、
前記水溶液に空気を導入してバブリングすることによって前記水溶液中の二酸化塩素の大部分を二酸化塩素ガスとして発生させ、発生した二酸化塩素をチャンバー内に供給する工程と、
ファンによって、前記チャンバー内の空気を攪拌する工程と、
前記二酸化塩素をチャンバー内に供給してから所定時間経過後、二酸化塩素除去手段の動作を開始して、前記チャンバーから二酸化塩素を除去する工程と、
を有するチャンバーを除菌する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記二酸化塩素を含む二酸化塩素水溶液中の二酸化塩素の80パーセント以上を前記チャンバー内の空気中に放出すること、
を特徴とするチャンバー内部を除菌する方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の方法において、
前記二酸化塩素除去手段の動作を開始する直前の状態において、前記チャンバー内の二酸化塩素の濃度が、前記チャンバー内の二酸化塩素の最高濃度の60パーセント以上であること
を特徴とするチャンバー内部を除菌する方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法において、
前記ファンは、予め前記チャンバーに備えられたファンであること
を特徴とするチャンバー内部を除菌する方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の方法において、
前記二酸化塩素水溶液と、
前記水溶液に空気を導入してバブリングする手段と、
前記二酸化塩素除去手段のすべてを前記チャンバー内に設置して、二酸化塩素ガスの発生および除去を行うこと
を特徴とするチャンバー内部を除菌する方法。
【請求項6】
チャンバー内部を除菌するための除菌装置であって、
除菌対象であるチャンバー内に設置可能に構成された、二酸化塩素水溶液を収納する容器と、前記水溶液にチャンバー内の空気を導入してバブリングする手段と、二酸化塩素除去手段と、を有する二酸化塩素発生・除去ユニットと、
前記バブリング手段と前記二酸化塩素除去手段の運転の開始および停止を制御するコントローラと、
を有する除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインキュベータなどの、チャンバー内部を除菌する方法およびチャンバー内部を除菌する装置に関するもので、さらに詳しくは、二酸化塩素ガスを用いてチャンバー内部の除菌を行う方法およびこの方法に適用可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インキュベータは、細胞や細菌の培養などの目的で広く用いられており、殊に温度、湿度、CO2の濃度を最適に保つことができるCO2インキュベータが広く用いられている。この種のインキュベータのチャンバーは、目的とする培養の汚損やコンタミネーションの発生を抑制するため、定期的にその内部を空にして除菌(滅菌)することが行われている。
【0003】
除菌の方法としては、予めチャンバーに備えられたヒーターでその内部を高温にする方法が用いられている。その他の方法としては、例えば紫外線を照射する方法、殺菌作用のあるガスを用いる方法などがある。
特許文献1及び特許文献2にはオゾンを用いてチャンバーの除菌を行う方法が記載されている。殺菌作用のあるガスを用いる方法は、空のチャンバーを除菌する方法だけではなく、チャンバー内に対象物を置いてこの対象物を除菌する方法としても広く行われている。特許文献3には過酸化水素を用いてチャンバー内の対象物を除菌する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-154792号公報
【特許文献2】特開2004-267064号公報
【特許文献3】特開平10-328276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チャンバーをヒーターによって高温にする方法の場合、空気ファンやセンサなどの付帯設備のすべてを耐熱性のあるものにする必要があるため、CO2インキュベータが高価なものとなるなどの問題があった。また、紫外線による除菌は紫外線が照射される場所には有効であるが、ケーブルなどを通すための管の内部、CO2ガス等を導入する導入口の内面などの、陰になる部分が除菌できないという問題がある。殺菌作用のあるガスを用いる方法においては、短時間で自然に分解することがないガスを用いると、チャンバー内に微量のガスが残留して除菌後にインキュベータを用いるときに培養目的とする細胞等に悪影響を及ぼす恐れがある。そのため、短時間で分解するガスを用いることが望ましい。
【0006】
このようなガスとしては、オゾン、過酸化水素、二酸化塩素などの酸化作用をもつガスが知られている。特許文献1及び特許文献2に記載のオゾンガスは高圧放電、紫外線照射などの手段で発生させることができる。しかしながら発生手段が大型であるのみならず、発生量を正確にコントロールすることが難しいという問題がある。
【0007】
特許文献3の方法では過酸化水素ガスを用いるが、過酸化水素ガスを発生させる方法としては、過酸化水素水を高温の板に滴下して蒸発させる方法が一般的で、過酸化水素ガスと同時に大量の水蒸気が発生する。したがって過酸化水素水容器、滴下装置、ヒーターなどの他、水蒸気除去手段等を必要として、装置が大掛かりなものとなるという課題があった。
【0008】
また、この種のガスでインキュベータ内部を十分に除菌するためには、ガス濃度を所定の値より高く保つ必要があるが、濃度を過度に高くするとインキュベータの付帯設備を破損する恐れがあるため、濃度を最適化することが重要である。しかし濃度を最適の値に保つためにはガスの濃度を測定するセンサが必要であり、装置が複雑化するという課題がある。
【0009】
さらに、除菌終了後にチャンバーの扉を開ける際に、除菌用のガスが周囲に拡散しないように、ガスを分解する触媒などを用いられることがある。これらの装置をチャンバーに接続するためには、チャンバーに多数のダクトを設ける必要があり、装置が複雑化するという課題がある。
【0010】
本発明の目的の一つは、シンプルな構造の装置を利用して、チャンバー内部を除菌することが可能なチャンバー除菌方法及びチャンバー除菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明のチャンバー内部を除菌する方法は、
あらかじめ定められた量の二酸化塩素を含む二酸化塩素水溶液を用意する工程と、
前記水溶液に空気を導入してバブリングすることによって前記水溶液中の二酸化塩素の大部分を二酸化塩素ガスとして発生させ、発生した二酸化塩素をチャンバー内に供給する工程と、
ファンによって、前記チャンバー内の空気を攪拌する工程と、
前記二酸化塩素をチャンバー内に供給してから所定時間経過後、二酸化塩素除去手段の動作を開始して、前記チャンバーから二酸化塩素を除去する工程と、
を有する。
【0012】
本発明によると、予め定められた量の二酸化塩素を含む二酸化塩素水溶液をバブリングすることにより、その二酸化塩素の大部分が二酸化塩素ガスとしてチャンバー内に放出される。すなわち、使用する二酸化塩素の量を調整することで、容易に、放出される二酸化塩素ガスの量を調整することができるため、センサなどを利用することなく、チャンバー内の二酸化塩素ガス濃度を所望の値に設定することができる。また、チャンバー内の二酸化塩素ガスの除去を開始する時間を調整することで、所望の時間、チャンバー内に二酸化塩素ガスを滞留させることができる。すなわち本発明によると、使用する二酸化塩素の量と、二酸化塩素ガス除去工程を開始するまでの時間を調整するだけで、チャンバーの除菌に必要十分な態様で二酸化塩素ガスを存在させることが可能になる。すなわち本発明によると、簡易な構成の装置を利用して、精度よくチャンバーの除菌を行うことが可能になる。
特に、予めチャンバー内を空にしてから二酸化塩素ガスを放出することで、二酸化塩素がチャンバー内に置かれた有機物などの酸化されやすい物質によって分解されることがなく、二酸化塩素の濃度がほぼ一定に維持される。
【0013】
(2)このチャンバー内部を除菌する方法は、
前記二酸化塩素を含む二酸化塩素水溶液中の二酸化塩素の80パーセント以上を前記チャンバー内の空気中に放出するようにしてもよい。
【0014】
(3)このチャンバー内部を除菌する方法は、
前記二酸化塩素除去手段の動作を開始する直前の状態において、前記チャンバー内の二酸化塩素の濃度が、前記チャンバー内の二酸化塩素の最高濃度の60パーセント以上としてもよい。
【0015】
(4)このチャンバー内部を除菌する方法は、
前記ファンは、予め前記チャンバーに備えられたファンであってもよい。
【0016】
除菌を確実に行うためには、二酸化塩素を含む空気を十分に攪拌する必要があるが、予めチャンバーに備えられたファンを用いて攪拌することにより、余分な装置などを設けることなく攪拌されるので、例えば攪拌装置の機械油等の酸化されることで二酸化塩素を分解する可能性のある物質をチャンバー内に余計に持ち込むことを極力減らすことができ、二酸化塩素濃度を維持することができる。
【0017】
(5)このチャンバー内部を除菌する方法は、
前記二酸化塩素水溶液と、
前記水溶液に空気を導入してバブリングする手段と、
前記二酸化塩素除去手段のすべてを前記チャンバー内に設置して、二酸化塩素ガスの発生および除去を行ってもよい。
【0018】
(6)本発明の除菌装置は、
チャンバー内部を除菌するための除菌装置であって、
除菌対象であるチャンバー内に設置可能に構成された、二酸化塩素水溶液を収納する容器と、前記水溶液にチャンバー内の空気を導入してバブリングする手段と、二酸化塩素除去手段と、を有する二酸化塩素発生・除去ユニットと、
前記バブリング手段と前記二酸化塩素除去手段の運転の開始および停止を制御するコントローラと、
を有する。
【0019】
本発明によれば、簡易な構成でチャンバー内部を除菌することが可能な除菌装置を提供することができる。
特に、所定量の二酸化塩素を含む二酸化塩素水は、二酸化塩素発生剤の錠剤を水に投入することで得られる。したがって、所定量の二酸化塩素ガスを発生するための装置はオゾンや過酸化水素を発生するための装置に比べて大幅に小型化することが可能であり、既存のCO2インキュベータのチャンバーの中に、除菌を行う際のみ設置して除菌を行うことも可能である。また、CO2インキュベータにダクトを設けるなどの改造を行う必要がないという利点がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、二酸化塩素水の中の二酸化塩素をほぼすべて空中に放出するため、除菌するチャンバーに応じて二酸化塩素水の中の二酸化塩素の量を定めることによりセンサなどを用いて制御することなく、チャンバー内の空気中の二酸化塩素の濃度を所定の値にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の方法を適用する装置の一例を示す概念図である。
【
図2】本発明の方法に用いることができる二酸化塩素発生・除去ユニットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲に限定するものではない。
【0023】
図1に本発明の方法を実施するための装置を示す。CO2インキュベータのチャンバー1にはファン2が備わっている。チャンバー1の除菌を実施するにあたってはチャンバー1の中に、二酸化塩素発生・除去ユニット3を設置する。二酸化塩素発生・除去ユニット3はケーブル4を介して、チャンバー1の外に配置されたコントローラ5につながっている。
【0024】
図2に二酸化塩素発生・除去ユニット3の詳細を示す。二酸化塩素発生・除去ユニット3はカップ6を備えており、その中に所定量の水7と二酸化塩素発生剤の錠剤(図示せず)を入れる。二酸化塩素発生剤の錠剤は、亜塩素酸塩と固体の酸を含む錠剤で、カップ6に貯まった水7に投入すると、溶解して所定量の二酸化塩素を発生し、水を二酸化塩素水に変える。その際、水には二酸化塩素だけでなく、錠剤に含まれる酸などの成分も溶けているが問題はない。水中の二酸化塩素の量は、二酸化塩素発生剤の錠剤の量によって定まる。空気ポンプ8により、チューブ9およびスパージャー10を介して前記の二酸化塩素水に空気を送り込みバブリングすることができ、それによって二酸化塩素水の中の二酸化塩素をガスとして空中に放出することができる。
【0025】
二酸化塩素発生・除去ユニット3は二酸化塩素除去手段を備えている。二酸化塩素除去手段は二酸化塩素除去ファン11と活性炭12とフィルタ13よりなる。二酸化塩素除去ファン11は、チャンバー内の空気を吸い込んで、活性炭12を通してからチャンバー内に戻すものである。チャンバー内の空気が活性炭12を通る際に、空気に含まれる二酸化塩素ガスが活性炭12に吸着されるため、二酸化塩素ガスが除去された空気がフィルタ13を介してチャンバー内に戻ることになる。フィルタ13は活性炭12が発生する粉塵などによってチャンバー内が汚染することを防ぐものである。
【0026】
チャンバー1を除菌するにあたっては、先ず、チャンバー1の中にある培養サンプルなどをすべて取り出すとともに二酸化塩素発生・除去ユニット3を設置し、カップ6に水7と所定量の二酸化塩素発生剤の錠剤を入れる。これにより水7の中に所定量の二酸化塩素が発生する。次にチャンバー1の扉を閉めて、ファン2を運転する。空気ポンプ8の運転を開始することでチャンバー1の内部に二酸化塩素のガスが所定濃度で充満する。
【0027】
この工程で、二酸化塩素ガスの濃度を再現性良く所定の値とするには、水7の中に発生する二酸化塩素の大部分をガスとしてチャンバー1の中に充満させることが重要である。本発明者らの実験によれば、水7の中に発生する二酸化塩素の概ね80%以上をガスとして充満させることができれば、チャンバー1内の二酸化塩素の濃度を再現性良く一定にすることができる。そのようにするためには、空気ポンプ8で送り込む空気の量を十分に大きくするとともに十分な時間バブリングすればよい。二酸化塩素の概ね80%以上をガスとして充満させるように空気ポンプ8で送り込む空気の量と時間を定めておけば、原理的に、二酸化塩素ガスの発生量が二酸化塩素発生剤の錠剤により発生する二酸化塩素の80%以上100%未満となる。
【0028】
二酸化塩素のガスは空気よりも重いためチャンバー1の下側に滞留しやすいが、ファン2が運転されていることによってほぼ均一に分散される。ここで、チャンバー1にあらかじめ備えられたファン2を用いることで別途ファンを用意する必要がない。除菌に当たってチャンバー1の中に設置する装置は可能な限り少なくすることが好ましく、別途ファンを用意して用いるとファンの各部が二酸化塩素を分解する可能性があるので好ましくない。
【0029】
除菌に要する時間は、チャンバー1の内部に存在する二酸化塩素ガスの濃度に依存し、通常、二酸化塩素ガスの濃度×時間が所定の値を超えるように定める。除菌に要する時間はチャンバー1の容積や二酸化塩素発生剤の錠剤の量などによって異なるが、具体的な数値は実験により導出することができる。一般的には、数時間程度で除菌が可能である。そして、コントローラ5は、運転開始から所定時間(例えば2時間程度)空気ポンプ8を稼働させた後、空気ポンプ8の運転を止めて二酸化塩素除去ファン11の運転を開始する。
【0030】
チャンバー1の内部を十分に除菌するためには、除菌中にチャンバー1内の二酸化塩素濃度を一定以上に維持する(大幅に減少させない)ことが重要である。そのようにするためには、チャンバー1内に、培養サンプルなどの余分なものを残さず、また、二酸化塩素発生・除去ユニット3の部品などに反応性の高い有機物などを可能な限り用いないことが好ましい。これによって、チャンバー1内の二酸化塩素の濃度を、二酸化塩素ガスを除去する工程を開始する段階においても最高濃度の60パーセント以上、さらに望ましくは80パーセント以上の濃度とすることができ、十分に除菌を行うことができる。
【0031】
除菌処理が終了したら、チャンバー1内の二酸化塩素を除去する。除菌開始(二酸化塩素の供給開始)から所定時間経過後に、二酸化塩素除去ファン11の運転を開始すると、二酸化塩素が活性炭12に吸着され、チャンバー1から二酸化塩素が除去される。二酸化塩素の除去にかかる時間は、チャンバーの容量やファン11の能力、活性炭12の量の影響を受ける。具体的な設定値は、予め実験的に導出してもよいが、概ね30分程度で二酸化塩素ガスの濃度を十分に低くすることができる。その段階でコントローラ5が二酸化塩素除去ファン11の運転を止める。その後は安全にチャンバー1の扉を開けることができる。なお、空気ポンプ8の運転は、運転開始後所定時間後に、水7の中の二酸化塩素の概ね80パーセント以上をガスとして空気中に充満させた段階で、二酸化塩素除去ファン11の運転を開始する以前に停止しても良い。
【0032】
以上の工程により、チャンバー1の内部を確実に除菌することができる。特に、除菌の目的やチャンバーの容量や用途に合わせて、二酸化塩素の量や除菌工程を実施する時間を予め設定することで、必要十分な除菌処理を確実に実現することができる。このような除菌工程を定期的に行うことにより、チャンバー1の内部にカビが発生するなどの問題を防ぐことができる。
【0033】
ここに説明した例では、コントローラ5をチャンバー1の外に設置したが、二酸化塩素発生・除去ユニット3とともにチャンバー1の中に設置するようにすることも可能である。その際、電池で駆動するようにすれば、チャンバー1の外と中とをつなぐ配線を通す必要がない。
【0034】
別の形態として、二酸化塩素発生・除去ユニット3をチャンバー1の外に設置し、ダクトを介してチャンバー1の中の空気を取り出し、二酸化塩素発生・除去ユニット3を介してチャンバー1の中に空気を戻す構成とすることも可能である。その場合には、空気を取り出すためのダクトと空気を戻すためのダクトをチャンバー1に予め設けておく必要がある。
【0035】
また、あらかじめ定められた量の二酸化塩素を含む二酸化塩素水溶液を用意する方法としては、前述の二酸化塩素発生剤の錠剤を用いる方法のほかに、所定の量の亜塩素酸ナトリウム水溶液と強酸を混合する方法などが知られており、それらの方法を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1:チャンバー、 2:ファン、 3:二酸化塩素発生・除去ユニット、 4:ケーブル、 5:コントローラ、 6:カップ、 7:水、 8:空気ポンプ、 9:チューブ、 10:スパージャー、 11:二酸化塩素除去ファン、 12:活性炭、 13:フィルタ