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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093250
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】塗布具
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/005 20060101AFI20220616BHJP
   B43L 19/00 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
B05C17/005
B43L19/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127270
(22)【出願日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2020205436
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武井 菜採
(72)【発明者】
【氏名】桑原 美祐
【テーマコード(参考)】
4F042
【Fターム(参考)】
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA25
4F042FA22
4F042FA23
4F042FA30
4F042FA40
(57)【要約】      (修正有)
【課題】塗布具を傾けて使用しても膜厚が一定の塗布跡を形成することができる塗布具を提供する。
【解決手段】内部に塗布液を収納した塗布液タンクと、これに接続された塗布先1を有し、塗布先1に塗布液の吐出口1aと突起1cを形成すると共に、突起1cが被塗布面Bと接触する塗布具の塗布角度範囲内において、突起1cの被塗布面との接触部1caにおける接面の突起の接点での垂線1cbが、塗布先1の吐出口1aが形成された面1bに到達するまでの距離を0.10mm以上0.30mm以下とした塗布具を要旨とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に塗布液を収納した塗布液タンクと、これに接続された塗布先を有し、塗布先に塗布液の吐出口と突起を形成すると共に、突起が被塗布面と接触する塗布具の塗布角度範囲内において、突起の被塗布面との接触部における接面の突起の接点での垂線が、塗布先の吐出口が形成された面に到達するまでの距離を0.10mm以上0.30mm以下とした塗布具。
【請求項2】
突起の被塗布面との接触部における接面の突起の接点での垂線が、塗布先の吐出口が形成された面に到達するまでの距離を0.16mm以上0.27mm以下とした請求項1に記載の塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な塗布具が開示されている。特許文献1には、塗布液の吐出口が形成された面に突起を設けた塗布先を備えた塗布具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7-31171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、塗布具は被塗布面に塗布跡が形成されていく部分の視認性を良くするために、使用者の利き手や塗布方向に応じて塗布具を傾けて使用するものである。特許文献1に開示されているものでは、塗布液の吐出口が形成された面が平面であり、かつ、突起の出長さのみが規定されたものであるため、塗布使用の際の塗布具の傾きによっては吐出口が形成された面が被塗布面に近づき過ぎ、又は、遠ざかり過ぎてしまい、塗布跡の膜厚が一定にならないことがあった。
本発明は、塗布具を傾けて使用しても膜厚が一定の塗布跡を形成することができる塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、内部に塗布液を収納した塗布液タンクと、これに接続された塗布先を有し、塗布先に塗布液の吐出口と突起を形成すると共に、突起が被塗布面と接触する塗布具の塗布角度範囲内において、突起の被塗布面との接触部における接面の突起の接点での垂線が、塗布先の吐出口が形成された面に到達するまでの距離を0.10mm以上0.30mm以下とした塗布具を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の塗布具は、塗布する際に、塗布先の突起の被塗布面との接触部に沿って傾く。即ち、突起が被塗布面と接触する塗布具の塗布角度範囲が、塗布液を被塗布面に塗布可能な塗布具の塗布角度範囲である。塗布先の吐出口から吐出された塗布液は、吐出口が形成された面に沿って流れつつ、接触部における接面の突起の接点での垂線の近傍から塗布具の移動方向に沿って被塗布面に流れ、塗布跡を形成していく。接触部における接面の突起の接点での垂線が、吐出口が形成された面に到達するまでの距離が0.10mm以上0.30mm以下と一所定の範囲内であるため、塗布具を傾けて使用しても、塗布跡の膜厚が安定し、乾燥した塗布跡の膜厚も一定とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】塗布先1先端部分の拡大斜視図
図2図1のA-A´線断面矢視図
図3】塗布具2の縦断面図
図4図3C部の拡大図
図5】塗布先6の先端部の拡大斜視図
図6】塗布先6を先端側から塗布具2の軸方向視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の塗布具は、内部に塗布液を収納した塗布液タンクと、塗布液タンクに直接または接続部材を介して接続する塗布先を有している。塗布液は種々選択可能であるが、例えば所謂修正液や塗料のような、顔料などの固形分が比較的多く含有され、塗布跡の乾燥が早く、比較的厚めに重ね塗りされたり、文字などよりも広い範囲を塗布するような塗布液が特に好ましく使用できる。
【0009】
塗布液タンクは、内部に塗布液を収納する部材である。塗布液を収納する方法は、塗布液タンクの内部に直接塗布液を収納する所謂直液式や、塗布液を収納した別部材を塗布液タンク内部に交換可能に収納する所謂カートリッジ式等を適宜選択可能である。
塗布液タンクの材質は、内部に収納する塗布液との反応性や成形性等を考慮し、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー、又はこれらの樹脂を含む複合材等を適宜選択可能である。
【0010】
以降、図を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。図1は部品としての塗布先1先端部分の拡大斜視図、図2図1のA-A´線断面矢視図である。
塗布先1は、塗布液タンク内部に収納された塗布液を導通させ、被塗布面へと吐出する部位である。塗布先1は、塗布液タンクと一体に成形しても、塗布液タンクと別部材として塗布液タンクの一端に取り付けても良い。塗布液の吐出機構としては、修正液や塗料のような乾燥固化するタイプの塗布液であれば不使用時に外気との遮断が可能な弁機構を使用したものが特に好ましく使用できる。
【0011】
塗布先1には塗布液の吐出口1aを設けている。吐出口1aは、塗布先1の内部を通過した塗布液を被塗布面へと吐出する開口部である。吐出口1aが形成された面1bは、塗布具の軸方向被塗布面側へと突出した曲面としている。詳細には、塗布具1の軸方向と直交する一方向に軸心をとる円柱の側壁状に突出した曲面であり、軸心と直交する方向の断面が真円の円柱であるため、当該軸心の軸方向に亘って、吐出口1aを設けている部分を除いて一定の曲がり方となっている。当該曲面は後述する突起1cとの関係で任意の曲がり方とすることができるが、円柱の軸心と直交する方向の断面の半径R1が1.5mm以上4.5mm以下程度の範囲内であると好ましい。
【0012】
塗布先1には突起1cを設けている。突起1cは、塗布具1の軸方向に延びる部位であり、本実施形態では吐出口1aを挟んで2か所に設けている。突起1cの先端面が被塗布面と接触することで、吐出口1aが形成された面1bと被塗布面との間に空間が生じ、所望の膜厚の塗布跡を形成することができる。使用者は、突起1cと吐出口1aの位置関係を鑑み、塗布跡上を突起1cが通過して塗布跡を描き取ってしまったりすることがないよう塗布方向に対して塗布具1を適宜回転させて使用するものである。
【0013】
塗布具1には、所望の膜厚の塗布跡を形成するにあたり、塗布液を被塗布面に塗布可能な塗布角度範囲(以降、「塗布角度範囲」)が存在する。塗布角度範囲とは、吐出口1aから、被塗布面上で所望の膜厚の塗布跡を形成できるだけの十分な量の塗布液を吐出可能な、塗布具1の軸心と被塗布面のなす角の範囲である。塗布角度範囲は、塗布液の吐出機構や、吐出口1aの位置や大きさ等、様々な要素により設計されるものである。例えば、吐出機構が弁構造の場合、塗布具を傾け過ぎて弁杆が被塗布面に接触しない場合や弁杆を十分に押し込むことができず弁の開口状態を形成できない場合等を生じないような範囲は塗布角度範囲から除かれるものである。弁杆の先端が、突起1cの先端から0.3mm以上突出していると、塗布角度範囲を広く設けることができ好ましい。また、弁杆の先端形状が球状の曲面であると、塗布角度範囲内で滑らかな塗布感を得ることができ好ましい。
【0014】
参照符号1caは、突起1cの被塗布面との接触部1caである。被塗布面との接触部1caは、突起1のうち、先述の塗布角度範囲において実際に被塗布面と接触することができる先端部のことである。
本実施形態において被塗布面との接触部1caは、吐出口1aが形成された面1b同様、塗布具の軸方向被塗布面側へと突出した曲面としている。詳細には、塗布具1の軸方向と直交する一方向に軸心をとる円柱の側壁状に突出した曲面であり、当該軸心と直交する方向の断面が真円の円柱であるため、当該軸心の軸方向に亘って、一定の曲がり方となっている。先述の吐出口1aが形成された面1bとの関係で任意の曲がり方とすることができるが、円柱の軸心と直交する方向の断面の半径R2が0.05mm2.40mm以下程度の範囲内であると好ましく、吐出口1aが形成された面1bの半径R1と近い値であるほど、後述する垂線1cb近傍における吐出口1aが形成された面1bと被塗布面Bとの距離が一定範囲に保たれ、塗布跡の膜厚を一定範囲のものとし易いため好ましい。使用者は、被塗布面との接触部1caに沿って塗布具を傾けて使用可能となるものである。
【0015】
参照符号1cbは、突起1cの被塗布面Bとの接触部1caにおける接面の突起の接点での垂線1cb(以降、「垂線」)である。垂線1cbの位置は、塗布具を被塗布面Bとの接触部1caに沿ってどの程度傾けるかによって決定されるものである。
塗布液は、吐出口1aから吐出された後、吐出口1aが形成された面1bに沿って流れる。吐出口1aから吐出された直後の塗布液は、吐出口1aが形成された面1bから離れず、塗布液に働く重力や塗布液タンク内から連続して導通している塗布液からの圧力を受けつつ、塗布液の表面張力や吐出口1aが形成された面1bの濡れ性等の影響により、吐出口1aが形成された面1b上に一時的に保持される。そこから塗布液が被塗布面B側へ近づく方向に流れていき、垂線1cb近傍に差し掛かると、吐出口1aが形成された面1bから離れ被塗布面Bへと流れ、塗布跡を形成していくこととなる。垂線1cb近傍とは、垂線1cbを、吐出口1aが形成された面1b上を塗布方向に対して垂直方向に移動させた場合の軌跡の近傍であり、当該垂線1cb自体に向かって塗布液が流れることを意味するものではない。
【0016】
このように、垂線1cb近傍における吐出口1aが形成された面1bと被塗布面Bとの距離によって、塗布跡の膜厚が決まり、その距離とは、垂線1cbが吐出口1aが形成された面1bに到達するまでの距離に相当する。垂線1cbが吐出口1aが形成された面1bに到達するまでの距離とは、垂線1cbを被塗布面Bから延長していき、吐出口1aが形成された面1bの曲率を維持したまま突起1c側へと延長したと仮想した場合に、垂線1cbが吐出口1aが形成された面1bの仮想延長面に到達する距離である。本発明では、その距離を0.10mm以上0.30mm以下と所定の範囲内にしている。つまり、塗布具の塗布角度範囲内における当該距離が一定であるため、塗布具を傾けて使用しても、塗布跡の膜厚が安定し、乾燥した塗布跡の膜厚も一定とすることができるものである。乾燥した塗布跡の膜厚が一定とは、塗布液の種類やその物性にもよるが、塗布液が修正液の場合は、30μm以上70μm以下の範囲内に収まる厚みを意味する。また、垂線1cbが吐出口1aが形成された面1bに到達するまでの距離を0.16mm以上0.27mm以下とすると、乾燥した塗布跡の膜厚がより一定の範囲内で安定し好ましい。
【0017】
垂線1cbが吐出口1aが形成された面1bに到達するまでの距離が先述の範囲内であれば、吐出口1aが形成された面1bや、突起1cの被塗布面との接触部1ca等の形状、突起1cの数や位置等は適宜設定可能である。さらに塗布先1の材質も、塗布液との反応性、濡れ性、成形性や耐摩耗性等を考慮し、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー、又はこれらの樹脂を含む複合材等を適宜選択可能である。
【実施例0018】
以降、図3図6を参照しつつ、本発明の実施例について説明する。
【0019】
(実施例1)
図3は、塗布具2の縦断面図である。
塗布具2は、塗布液タンク3と、前軸4と、塗布弁チップ5と、塗布先6とで構成されている。塗布液タンク3の内部には塗布液としての修正液と、炭素鋼を棒状にした撹拌体7を収納している。塗布液タンク3はポリアミド樹脂からなる有底筒状のブロー成型品であり、握って内圧を高め塗布液を吐出できるように可撓性を有している。塗布液タンク3の開口端側には、塗布液タンク3と内部空間が連通した前軸4を取り付けている。塗布液タンク3の開口端側外壁と前軸4の塗布液タンク3側開口端内壁とが螺子螺合により着脱自在に取り付けられており、修正液などの塗布液の揮発や漏れを防ぎつつも、塗布液の充填も容易となっている。前軸4はポリブチレンテレフタレート樹脂の射出成形品である。ステンレスの切削加工品であるチップ5は、前軸4により塗布液タンク3と内部空間を連通しており、吐出機構としての弁構造を備えている。前軸4には、チップ5を覆うように塗布先6が取り付けられており、前軸4の塗布先6側開口端外壁と、塗布先6の前軸4側開口端内壁とが圧入関係により取り付けられている。
【0020】
内容する塗布液の一例としての修正液の配合は、例えば以下の通りである。
TITONE R-7E(酸化チタン、堺化学工業(株)製) 30.00重量部
TITONE R-62N(酸化チタン、堺化学工業(株)製) 5.00重量部
ダイヤナールBR-105(アクリル樹脂、三菱ケミカル(株)製) 7.00重量部
イソヘキサン(溶剤) 18.30重量部
シクロペンタン(溶剤) 27.94重量部
SCHWEGO wett 6292(界面活性剤、Brend Schewegmann GmbH & Co.KG(独国)製) 1.50重量部
アエロジルR972(乾式シリカ、日本アエロジル(株)製) 0.25重量部
ウイスカルA(炭酸カルシウム、長径20μm、短径1μm、アスペクト比20、比重2.86、丸尾カルシウム(株)製) 10.00重量部
TilackD(低次酸化チタン、黒色顔料、赤穂化成(株)製) 0.015重量部
各配合物をボールミルで24時間分散し、修正液を得て、塗布液タンク3に充填した。
【0021】
図4図3C部の拡大図である。
チップ5は、弁筒5a内部に配置した弁杆5bをコイルスプリング5cで付勢し、弁筒5aの先端開口部内縁に形成した縮径部である弁座部5aaに周状に当接している。弁杆5bは、吐出口6aからその一部を突出させており、塗布具2の使用に際し、当該突出部分と被塗布面との接触に伴い塗布液タンク3側への押圧力を受けることで、弁杆5bがコイルスプリング5cの付勢力に抗いつつ後退し、弁座部5aaと弁杆5bとの間に隙間を生じることで、修正液の導通路を形成する。弁杆5bが先述の押圧力が解除されると、コイルスプリング5cの付勢力により、再度弁座部5aaと弁杆5bとが周状に当接することで、修正液の導通路を閉塞するものである。
【0022】
図5は塗布先6先端部の拡大斜視図である。
塗布先6には吐出口6aを設けている。吐出口6aからは弁杆5bの一部が突出しており、修正液の吐出を可能としている。吐出口6aが形成された面6bは、塗布具2の軸方向被塗布面側へと突出した曲面であり、塗布具2の軸方向と直交する一方向に軸心をとる円柱の側壁状に突出した曲面である。当該軸心と直交する方向の断面が真円の円柱であり、当該軸心の軸方向に亘って一定の曲がり方となっている。詳細には、吐出口6aを設けている部分を除いて円柱の軸心と直交する方向の断面の半径Rを2.0mmとしている。
塗布先6は前軸4から着脱自在に取り付けてあり、塗布先6を外すことによって、チップ5の先端部分が露出し、塗布先6を介した状態とは異なった塗布感を得ることができ、また、細部への塗布も容易となる。
【0023】
塗布先6には突起6cを設けている。突起6cは、塗布具2の軸方向に延びる部位であり、本実施例では吐出口6aを挟んで2か所に設けている。突起6cの先端面が被塗布面と接触することで、吐出口6aが形成された面6bと被塗布面との間に空間が生じ、所望の膜厚の塗布跡を形成することができる。
【0024】
突起6cの先端面には、被塗布面との接触部6caを設けている。被塗布面との接触部6caは、吐出口6aが形成された面6b同様、塗布具2の軸方向被塗布面側へと突出した曲面であり、塗布具2の軸方向と直交する一方向に軸心をとる円柱の側壁状に突出した曲面である。当該軸心と直交する方向の断面が、半径Rが2.0mmの真円の円柱であり、当該軸心の軸方向に亘って一定の曲がり方となっている。「塗布具2の軸方向と直交する一方向に軸心をとる円柱」の、吐出口6aが形成された面6b及び被塗布面との接触部6caのそれぞれの軸心は平行であり、塗布具2の軸方向視で重なっている。これにより、吐出口6aの周囲に修正液が流れるスペースを設けることができ、塗布角度範囲を広く設けることができ好ましい。
【0025】
本実施例において、塗布具2の塗布角度範囲内における被塗布面との接触部6caにおける接面の突起6cの接点での垂線が、吐出口6aが形成された面6bに到達するまでの距離は、0.13mmである。
【0026】
図6は、塗布先6を先端側から塗布具2の軸方向視した図である。
突起6の両外壁と、吐出口6aが形成された面6bの外形は全体として楕円形をしており、角となる部分がないため、使用時に塗布跡が形成される様子の視認性が向上し好ましい。
突起6の両内壁は互いに平行な平面となっている。これにより使用時に被塗布面、両内壁、吐出口6aが形成された面6bとで囲われた空間を形成するため、塗布跡の膜厚だけでなく幅も一定とすることができ好ましい。さらに被塗布面との接触部6caは、先述の通り半径Rが2.0mmの真円を断面とする円柱の側壁状の曲面であるため、被塗布面との接触部6caにおける垂線を境に塗布方向の前後において、被塗布面との間にわずかな隙間を生じる。この隙間に流入した修正液には、被塗布面及び被塗布面との接触部6caとの間で、表面張力によって、突起6の外側へ広がりにくくなるため、塗布跡の幅をより一定にすることができ好ましい。
【0027】
実施例2~実施例7、比較例1及び比較例2は、実施例1と、塗布具2の塗布角度範囲内における被塗布面との接触部6caにおける垂線が、吐出口6aが形成された面6bに到達するまでの距離のみを変更した例であり、その値と、各実施例及び比較例にて、以下の試験を行った結果を表1に記載する。
【0028】
<膜厚測定試験>
各実施例及び比較例毎に、普通紙(WP001PEP、エイピーピー・ジャパン(株))に、50mmの直線の塗布跡を、塗布角度55°、70°、85°の3つの角度で1本ずつ引いた。各塗布跡を十分に乾燥させた後、引き始めから10mm、20mm、30mmの位置の膜厚をシックネスゲージ(SM-528、株式会社テクロック)にて測定した。
【0029】
【表1】
【0030】
塗布具2の塗布角度範囲内における被塗布面との接触部6caにおける接面の突起6cの接点での垂線が、吐出口6aが形成された面6bに到達するまでの距離が、0.10mm以上0.30mm以下の範囲内である実施例1から実施例4は、全ての地点で膜厚が30μm以上70μm以下の範囲内に収まっており、一定の膜厚の塗布跡を形成することができた。
塗布具2の塗布角度範囲内における被塗布面との接触部6caにおける接面の突起6cの接点での垂線が、吐出口6aが形成された面6bに到達するまでの距離が、0.16mm以上0.27mm以下の範囲内である実施例5から実施例7は、全ての地点で膜厚が40μm以上60μm以下の範囲内に収まり、実施例1から実施例4に比べ狭い範囲内に膜厚が収まっており、さらに塗布角度ごとに膜厚の変化がなく、より一定の膜厚の塗布跡を形成することができた。
塗布具2の塗布角度範囲内における被塗布面との接触部6caにおける接面の突起6cの接点での垂線が、吐出口6aが形成された面6bに到達するまでの距離が、0.10mm未満の比較例1は、測定可能な膜厚の塗布跡を形成することができなかった。また、塗布具2の塗布角度範囲内における被塗布面との接触部6caにおける接面の突起6cの接点での垂線が、吐出口6aが形成された面6bに到達するまでの距離が、0.30mmを超える比較例2は、各塗布角度、各地点で膜厚のバラつきが大きく、一定の膜厚の塗布跡を形成することができなかった。
【符号の説明】
【0031】
1 塗布先
1a 吐出口
1b 吐出口が形成された面
1c 突起
1ca 被塗布面との接触部
1cb 垂線
2 塗布具
3 塗布液タンク
4 前軸
5 塗布弁チップ
5a 弁筒
5aa 弁座部
5b 5b
5c コイルスプリング
6 塗布先
6a 吐出口
6b 吐出口6aが形成された面
6c 突起
6ca 被塗布面との接触部
B 被塗布面
R1 半径
R2 半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6