(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093307
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】フッ素系界面活性剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/66 20060101AFI20220616BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20220616BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20220616BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
C11D1/66
C11D1/88
C11D1/28
H01L21/304 647B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200077
(22)【出願日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0173372
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521539937
【氏名又は名称】エイケイ ケムテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】チョン ウォンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム ブヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ ヒョンピル
(72)【発明者】
【氏名】パク キホ
(72)【発明者】
【氏名】シン ウォングク
(72)【発明者】
【氏名】キム ビョンチョ
【テーマコード(参考)】
4H003
5F157
【Fターム(参考)】
4H003AB15
4H003AB22
4H003AB31
4H003AC03
4H003AC06
4H003AC10
4H003AC21
4H003AD08
4H003DA05
4H003DA09
5F157AA09
5F157BC03
5F157BC04
5F157BC17
5F157BC54
5F157BD02
5F157BE63
5F157BE65
5F157BE69
5F157BF52
5F157BF54
5F157BF55
5F157BF56
5F157BF59
5F157BF63
5F157BF72
5F157BF93
5F157BF96
5F157DB03
(57)【要約】
【課題】フッ素系界面活性剤及び炭化水素系界面活性剤、特にリン脂質系界面活性剤を含む界面活性剤組成物を提供する。
【解決手段】フッ素系界面活性剤;及びリン脂質系界面活性剤;を含む組成物であって、界面活性剤として使用される組成物を構成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素系界面活性剤;及びリン脂質系界面活性剤;を含む組成物であって、
前記組成物は、界面活性剤として使用される組成物。
【請求項2】
前記リン脂質系界面活性剤はジェミニ型化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記リン脂質系界面活性剤は両親媒性ジェミニ型化合物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記フッ素系界面活性剤は非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記フッ素系界面活性剤は下記の化学式1で表現される、請求項4に記載の組成物:
[化学式1]
Rf-(CH2)y-(CH2CH2O)x-H
前記式において、Rfは、直鎖又は側鎖の過フッ化アルキルで、過フッカされた炭素数は、1~10で、
xは、1~50の整数で、
yは、1~10の整数である。
【請求項6】
前記リン脂質系界面活性剤とフッ素系界面活性剤は1:1~50の重量比で含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記リン脂質系界面活性剤とフッ素系界面活性剤は1:2~15の重量比で含まれる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、スルホサクシネート基盤の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、フッ素系界面活性剤、リン脂質系界面活性剤及びスルホサクシネート基盤の界面活性剤を1:0.1~3.0:0.1~3.0の重量比で含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、フッ素系界面活性剤、リン脂質系界面活性剤及びスルホサクシネート基盤の界面活性剤を1:0.1~1.0:0.1~2.0の重量比で含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記リン脂質系界面活性剤は下記の化学式2で表現される、請求項3に記載の組成物:
[化学式2]
前記化学式2において、
R
1は、C1-C22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和アルキル基で;
R
2、R
3、及びR
4は、互いに同一又は異なるものであって、水素原子、又はC1-C3の飽和アルキル基で;
X
-は、ハロゲン陰イオンで;
Z
+は、アルカリ金属陽イオンである。
【請求項12】
前記スルホサクシネート系界面活性剤は下記の化学式3で表現される、請求項8に記載の組成物:
[化学式3]
前記化学式3において、
R
1及びR
2は、互いに同一又は異なるものであって、C1-C22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和アルキル基で;
Z
+は、アルカリ金属陽イオンである。
【請求項13】
前記組成物は、下記の特性のうちいずれか一つ以上を満足する、請求項1から12のいずれか1項に記載の組成物:
(a)組成物の表面張力が27以下;及び
(b)組成物の界面張力が3以下。
【請求項14】
前記組成物は、半導体又はディスプレイ工程で界面活性剤として使用される、請求項1から12のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素系界面活性剤組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、組成物で配合することによって表面張力を低下させ、その結果、その組成物の塗布拡散容易性、浸透性などを向上させることができる。
フッ素系界面活性剤は、フッ素特有の低い表面張力、撥水、撥油性などの表面特性を有しており、代表的な表面改質剤及び界面活性剤として使用される。フッ素系界面活性剤の剤形への添加は、例えば、湿潤挙動、平滑化(leveling)特性、並びに、界面張力及び表面張力の数値低下などの剤形の特性を向上させることができる。影響を受ける特定の特性は、各界面活性剤の特定の組成及び特定の剤形に依存する。
特に、半導体剥離液又は洗浄液の場合、集積回路の高密度化によってパターンが微細化及び複雑化されており、その結果、より低い表面張力及び界面張力の数値を有する剥離液又は洗浄液に対する要求が増加している状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第10-1999-0082249号
【特許文献2】韓国公開特許第10-2007-0113096号
【特許文献3】韓国公開特許第10-2002-0001754号
【特許文献4】韓国公開特許第10-2013-0000705号
【特許文献5】韓国公開特許第10-2017-0054435号
【特許文献6】国際公開特許WO2018-119028号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は、前記のような問題を解決するために研究を繰り返えした結果、フッ素系界面活性剤と炭化水素系界面活性剤との組み合わせを通じて著しく低い界面張力の数値及び表面張力の優秀性を有する界面活性剤組成物を提供しようとする。
本発明の一側面は、フッ素系界面活性剤及び炭化水素系界面活性剤、特にリン脂質系界面活性剤を含む界面活性剤組成物を提供しようとする。
本発明の一側面において、前記炭化水素系界面活性剤は、リン脂質系界面活性剤及びスルホサクシネート基盤の界面活性剤を含むことができる。
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤はジェミニ型界面活性剤であり得る。
本発明の他の側面は、前記界面活性剤組成物の製造方法を提供しようとする。
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されない。本発明の目的は、以下の説明からより明らかになり、特許請求の範囲に記載の手段及びその組み合わせで実現され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、フッ素系界面活性剤;及びリン脂質系界面活性剤;を含む組成物であって、前記組成物は、界面活性剤として使用される組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤はジェミニ型化合物である、組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤は両親媒性ジェミニ型化合物である、組成物を提供する。
【0006】
本発明の一側面において、前記フッ素系界面活性剤は非イオン性界面活性剤である、組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記フッ素系界面活性剤は下記の化学式1で表現される、組成物を提供する:
[化学式1]
Rf-(CH2)y-(CH2CH2O)x-H
前記式において、Rfは、直鎖又は側鎖の過フッ化アルキルで、過フッ化された炭素数は、1~10で、xは、1~50の整数で、yは、1~10の整数である。
【0007】
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤とフッ素系界面活性剤は1:1~50の重量比で含まれる、組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤とフッ素系界面活性剤は1:2~15の重量比で含まれる、組成物を提供する。
【0008】
本発明の一側面において、前記組成物は、スルホサクシネート基盤の界面活性剤をさらに含む、組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記組成物は、フッ素系界面活性剤、リン脂質系界面活性剤及びスルホサクシネート基盤の界面活性剤を1:0.1~3.0:0.1~3.0の重量比で含む、組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記組成物は、フッ素系界面活性剤、リン脂質系界面活性剤及びスルホサクシネート基盤の界面活性剤を1:0.1~1.0:0.1~2.0の重量比で含む、組成物を提供する。
【0009】
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤は下記の化学式2で表現される、組成物を提供する:
[化学式2]
前記化学式2において、R
1は、C1-C22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和アルキル基で;R
2、R
3、及びR
4は、互いに同一又は異なるものであって、水素原子、又はC1-C3の飽和アルキル基で;X
-は、ハロゲン陰イオンで;Z
+は、アルカリ金属陽イオンである。
【0010】
本発明の一側面において、前記スルホサクシネート系界面活性剤は下記の化学式3で表現される、組成物を提供する:
[化学式3]
前記化学式3において、R
1及びR
2は、互いに同一又は異なるものであって、C1-C22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和アルキル基で;Z
+は、アルカリ金属陽イオンである。
【0011】
本発明の一側面において、前記組成物は、下記の特性のうちいずれか一つ以上を満足する組成物を提供する:
(a)組成物の表面張力が27以下;及び
(b)組成物の界面張力が3以下。
本発明の一側面において、前記組成物は、半導体又はディスプレイ工程で界面活性剤として使用される組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面に係る組成物は、界面張力が3以下であるという効果を提供する。
本発明の一側面に係る組成物は、界面張力が2.5以下であるという効果を提供する。
本発明の一側面に係る組成物は、界面張力が2.0以下であるという効果を提供する。
本発明の一側面に係る組成物は、表面張力が27以下であるという効果を提供する。
本発明の一側面に係る組成物は、界面張力が3以下であると同時に、表面張力が27以下であるという効果を提供する。
本発明の一側面に係る組成物は、塗布拡散容易性及び浸透性に優れる。
本発明の一側面に係る組成物は、フッ素特有の低い表面張力、撥水及び撥油性などの表面特性を示す。
本発明の一側面に係る組成物は、表面改質剤又は界面活性剤として使用され得る。
本発明の一側面に係る組成物は、半導体又はディスプレイ工程で使用される剥離液として使用され得る。
本発明の一側面に係る組成物は、半導体又はディスプレイ工程で使用される洗浄液として使用され得る。
本発明の効果は、以上で言及した効果に限定されない。本発明の効果は、以下の説明で推論可能な全ての効果を含むものと理解しなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は、添付の図面と関連した以下の好適な各実施例を通じて容易に理解され得る。しかし、本発明は、ここで説明する各実施例に限定されるものではなく、他の形態に具体化することも可能である。むしろ、ここで紹介する各実施例は、開示された内容が徹底的且つ完全になり得るように、そして、通常の技術者に本発明の思想を十分に伝達するために提供されるものである。
本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせなどの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとした場合、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。その反対に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下部に」あるとした場合、これは、他の部分の「直下に」ある場合のみならず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。
【0014】
他の明示がない限り、本明細書で使用された成分、反応条件、ポリマー組成物及び配合物の量を表現する全ての数字、値及び/又は表現は、これらの各数字が本質的に異なるものからこのような値を得るときに発生する測定の多様な不確実性が反映された近似値であるので、全ての場合、「約」という用語によって修飾されるものと理解しなければならない。また、本記載において、数値範囲が開示される場合、このような範囲は連続的であって、他の指摘がない限り、このような範囲の最小値から最大値が含まれた前記最大値までの全ての値を含む。さらに、このような範囲が整数を称する場合、他の指摘がない限り、最小値から最大値が含まれた前記最大値までを含む全ての整数が含まれる。
本明細書において、範囲が変数に対して記載される場合、前記変数は、前記範囲の記載された各終了点を含む記載された範囲内の全ての値を含むものと理解され得る。例えば、「5~10」の範囲は、5、6、7、8、9、及び10の値のみならず、6~10、7~10、6~9、7~9などの任意の下位範囲を含み、5.5、6.5、7.5、5.5~8.5、及び6.5~9などのように記載された範囲の範疇に妥当な各整数の間の任意の値も含むものと理解され得る。また、例えば、「10%~30%」の範囲は、10%、11%、12%、13%などの値及び30%までを含む全ての整数のみならず、10%~15%、12%~18%、20%~30%などの任意の下位範囲を含み、10.5%、15.5%、25.5%などのように記載された範囲の範疇内の妥当な各整数の間の任意の値も含むものと理解され得る。
【0015】
以下、本発明に対して詳細に説明する。
界面活性剤、特に、半導体又はディスプレイ製造工程に使用される界面活性剤組成物は、表面張力及び界面張力に優れた物性値を満足しなければならない。具体的に、表面張力は、ASTM D1331に基づいて、0.1%溶液/PGMEAでの測定した表面張力が27以下であることが好ましい。また、界面張力は、ASTM D971に基づいて、0.1%溶液/シクロヘキサン(Cyclohexane)での測定した界面張力が3以下であることが好ましい。そこで、本発明の研究者等は、前記表面張力及び界面張力のうちいずれか一つ以上の好適な物性具現が可能な水準の界面活性剤組成物を提供しようとする。
前記物性を具現するために、フッ素系界面活性剤のEO付加物と、本発明の発明者等が製法に対する技術を有しているジェミニ型炭化水素系界面活性剤と、さらに、スルホサクシネートタイプの炭化水素系界面活性剤であるソジウムジオクチルスルホサクシネート(Sodium dioctyl sulfosuccinate)の成分を含む組成物を提供しようとする。一具現例において、フッ素系界面活性剤、ジェミニ型炭化水素系界面活性剤及びスルホサクシネートタイプの炭化水素系界面活性剤は、44:9:47の重量比で含まれ得る。この場合、表面張力のみならず、界面張力の物性具現が可能である。
【0016】
以下、本発明の多様な側面に対して説明する。
本発明の一側面は、フッ素系界面活性剤;及びリン脂質系界面活性剤;を含む組成物であって、前記組成物は、界面活性剤として使用される組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤はジェミニ型化合物である、組成物を提供する。
ジェミニ型界面活性剤は、水に対する溶解度に優れ、より低い濃度で臨界ミセル形成能力、表面張力の低下能力、分散性などが向上した界面物性を示す。また、ジェミニ型界面活性剤は、構造的特性によって界面活性が変わるが、一般型界面活性剤に適当な連結グループを用いて新しい機能を付与することによって、基礎的な界面物性のみならず、乳化力、分散性、洗浄力、他の化合物との混合物性などを向上させることができる。
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤は両親媒性ジェミニ型化合物である、組成物を提供する。
【0017】
本発明の一側面において、前記フッ素系界面活性剤は非イオン性界面活性剤である、組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記フッ素系界面活性剤は下記の化学式1で表現される、組成物を提供する:
[化学式1]
Rf-(CH2)y-(CH2CH2O)x-H
前記式において、Rfは、直鎖又は側鎖の過フッ化アルキルで、過フッ化された炭素数は、1~10で、xは、1~50の整数で、yは、1~10の整数である。
Rfは、フルオロ脂肪族ラジカル又は基である。Rfは、一般に、フッ化された、好ましくは飽和された、炭素原子数3以上の1価の非芳香族ラジカルである。フルオロ脂肪族ラジカルは、線状、分岐状、又は、十分に大きい場合は環状である。完全にフッ化されたラジカルが好ましいが、水素又は塩素原子がラジカル中に存在可能であり、但し、これらのうち、多くても一つの原子が2個の炭素原子ごとに存在する。1個~12個の炭素原子を含むフルオロ脂肪族ラジカルが最も好ましい。
【0018】
一具現例において、前記化学式1で表現されるフッ素系界面活性剤は、y=1及びx=2であり得る。
一具現例において、前記化学式1で表現されるフッ素系界面活性剤は、y=1及びx=4であり得る。
一具現例において、前記化学式1で表現されるフッ素系界面活性剤は、y=1及びx=6であり得る。
一具現例において、前記化学式1で表現されるフッ素系界面活性剤は、y=1及びx=8であり得る。
一具現例において、前記化学式1で表現されるフッ素系界面活性剤は、y=1及びx=10であり得る。
【0019】
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤とフッ素系界面活性剤は1:1~50の重量比で含まれる、組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤とフッ素系界面活性剤は1:2~15の重量比で含まれる、組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記組成物は、スルホサクシネート基盤の界面活性剤をさらに含む、組成物を提供する。
【0020】
本発明の一側面において、前記組成物は、フッ素系界面活性剤、リン脂質系界面活性剤及びスルホサクシネート基盤の界面活性剤を1:0.1~3.0:0.1~3.0の重量比で含む、組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記組成物は、フッ素系界面活性剤、リン脂質系界面活性剤及びスルホサクシネート基盤の界面活性剤を1:0.1~1.0:0.1~2.0の重量比で含む、組成物を提供する。
【0021】
本発明の一側面において、前記組成物は、組成物の全体重量に対して前記フッ素系界面活性剤を0.01重量%~95重量%含むことができる。
本発明の一側面において、前記組成物は、組成物の全体重量に対して前記リン脂質系界面活性剤を0.01重量%~95重量%含むことができる。
本発明の一側面において、前記組成物は、組成物の全体重量に対して前記ジェミニ型リン脂質系界面活性剤を0.01重量%~95重量%含むことができる。
本発明の一側面において、前記組成物は、組成物の全体重量に対して前記スルホサクシネート基盤の界面活性剤を0.01重量%~95重量%含むことができる。
【0022】
本発明の一側面において、前記リン脂質系界面活性剤は下記の化学式2で表現される、組成物を提供する:
[化学式2]
前記化学式2において、R
1は、C1-C22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和アルキル基で;R
2、R
3、及びR
4は、互いに同一又は異なるものであって、水素原子、又はC1-C3の飽和アルキル基で;X
-は、ハロゲン陰イオンで;Z
+は、アルカリ金属陽イオンである。
【0023】
一具現例において、前記化学式2の界面活性剤は、下記の反応式1に示したように、式(2)で表されるリン酸塩化合物と、下記の式(3)で表されるオキシラン化合物とを反応させ、下記の式(4)で表されるビス(3-ハロ-2-ヒドロキシプロピル)リン酸塩化合物を製造する第1過程;及び下記の式(4)で表されるビス(3-ハロ-2-ヒドロキシプロピル)リン酸塩化合物と、下記の式(5)で表されるアミドプロピルアミン化合物とを結合・反応させ、下記の式(1)で表されるリン脂質系界面活性剤を製造する第2過程;を含むリン脂質系界面活性剤の製造方法を提供する。
【0024】
[反応式1]
前記反応式1において、R
1は、C1-C22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和アルキル基で;R
2、R
3、及びR
4は、互いに同一又は異なるものであって、水素原子、又はC1-3の飽和アルキル基で、X
-は、ハロゲン陰イオンで;Z
+は、アルカリ金属陽イオンである。
【0025】
前記製造方法によると、水に対する溶解度に優れ、生分解性、低刺激性などの物理化学的な特性に優れた、前記化学式2で表されるリン脂質系界面活性剤を効率的に合成することができる。
【0026】
前記化学式2のリン脂質系界面活性剤の製造方法に対してより具体的に説明すると、次の通りである。前記第1過程では、前記式(2)で表されるリン酸塩化合物と、前記式(3)で表されるオキシラン化合物とを反応させ、前記式(4)で表されるビス(3-ハロ-2-ヒドロキシプロピル)リン酸塩化合物を製造する。前記第1過程は、前記式(2)で表されるリン酸塩化合物1モルを基準にして前記式(3)で表されるオキシラン化合物を1:1.5~2.5のモル比範囲で使用し、好ましくは1:1.7~2.1のモル比範囲で使用する。前記式(3)で表されるオキシラン化合物の使用量が過度に多い場合は、未反応物として残留するので、経済的な損失が大きく、前記式(3)で表されるオキシラン化合物の使用量が過度に少ない場合は、未反応のリン酸塩化合物の存在により、人体に対する安定性を害し、最終的に製造された界面活性剤を長期保管するときに分離現象が現れ得る。前記第1過程で使用される反応溶媒としては、水、アルコール類及びグリコール類から選ばれた1種又は2種以上の極性溶媒を使用し、より具体的に説明すると、水、メタノール、エタノールなどの炭素数1~4のアルコール類、及びエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類を使用することができる。前記極性溶媒は、前記式(2)で表されるリン酸塩化合物の質量に対して20重量%~80重量%の範囲で使用することができる。反応温度は40℃~150℃に維持させ、反応温度が過度に低い場合は、反応が円滑に進められないので多量の未反応物が存在可能であり、反応温度が過度に高い場合は、オキシランの副反応物が生成され得るので、副反応物が最終生成物にも継続して残留することがあり、製品の純度を低下させる原因になり得る。第2過程は、前記式(4)で表されるビス(3-ハロ-2-ヒドロキシプロピル)リン酸塩化合物と、前記式(5)で表されるアミドプロピルアミン化合物とを結合・反応させ、本発明が目的とするリン脂質系生体界面活性剤を製造する。前記第2過程は、前記式(4)で表されるビス(3-ハロ-2-ヒドロキシプロピル)リン酸塩化合物1モルを基準にして、前記式(5)で表されるアミドプロピルアミン化合物を0.5~2.5のモル比範囲で使用し、好ましくは1:0.5~1.5のモル比範囲で使用する。前記式(5)で表されるアミドプロピルアミン化合物の使用量が過度に多い場合は、未反応物として残留するので、経済的な損失が大きく、前記式(5)で表されるアミドプロピルアミン化合物の使用量が過度に少ない場合は、未反応の前記式(4)で表される化合物の存在により、界面活性剤を長期保管するときに分離現象が現れ得る。前記第2過程で使用される反応溶媒は、前記第1過程で使用された極性溶媒から選択して使用し、前記式(4)で表される化合物の質量に対して10重量%~80重量%の範囲で使用することができる。反応温度は40℃~150℃に維持させ、反応温度が過度に低い場合は、反応が円滑に進められないので、多量の未反応物が存在することがあり、反応温度が過度に高い場合は、反応物の色が濁り、前記式(4)で表される化合物の副反応物が生成され得るので、副反応物が最終生成物にも継続して残留することがあり、製品の純度を低下させる原因になり得る。一方、前記製造方法で反応物質として使用する前記式(5)で表されるアミドプロピルアミン化合物は、下記の反応式2に示したように、下記の式(6)で表される脂肪酸化合物と、下記の式(7)で表されるジアミン化合物との縮合反応によって製造して使用することができる。
【0027】
[反応式2]
前記反応式2において、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ前記で定義した通りである。前記反応式2による製造方法では、前記化学式6で表される脂肪酸化合物1モルを基準にして、前記化学式7で表されるジアミン化合物を0.5~1.5のモル比範囲で使用し、好ましくは1:0.9~1.2のモル比範囲で使用する。前記範囲を過度に逸脱する場合は、反応に使用されていない未反応物が過量で存在することがあり、経済的な損失をもたらし得る。また、前記反応式2による製造方法では、反応触媒をさらに使用することができる。触媒は特に限定されないが、酸触媒としては、パラトルエンスルホン酸、リン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ソーダ及び硫酸から選ばれた1種以上を使用することができ、塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を使用することができ、金属触媒としては、Fe、Cu、Co、Ti、Sn及びMnから選ばれた1種以上を使用することができる。触媒の使用量は、前記式(6)で表される脂肪酸化合物の質量に対して、酸触媒の場合は0.1重量%~1.0重量%の範囲で使用することができ、塩基触媒の場合は0.1重量%~1.5重量%の範囲で使用することができ、金属触媒の場合は0.1重量%~1.0重量%の範囲で使用することができる。前記触媒の使用量が前記範囲を逸脱する場合は、未反応の脂肪酸と未反応のアミンが多量存在するという問題がある。反応温度は150℃~250℃に維持させ、反応温度が過度に低い場合は、反応が円滑に進められないので、多量の未反応物が存在することがあり、 反応温度が過度に高い場合は、脂肪酸による悪臭が発生するという問題がある。以上の製造方法を通じて製造された、前記化学式2で表されるリン脂質系界面活性剤は、固形分の濃度が20重量%~90重量%になるように濃縮させて使用することができる。
【0028】
本発明の一側面において、前記スルホサクシネート系界面活性剤は下記の化学式3で表される、組成物を提供する:
[化学式3]
前記化学式3において、R
1及びR
2は、互いに同一又は異なるものであって、C1-C22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和アルキル基で;Z
+は、アルカリ金属陽イオンである。
一具現例において、前記化学式3で表現される界面活性剤は、Z+がNa+で、R
1が炭素数8のオクチル基で、R
2が炭素数8のオクチル基である。
【0029】
一具現例において、前記化学式3で表現される界面活性剤は、下記の化学式4で表現され得る。
[化学式4]
【0030】
本発明の一側面において、前記組成物は、下記の特性のうちいずれか一つ以上を満足する組成物を提供する:
(a)組成物の表面張力が27以下;及び
(b)組成物の界面張力が3以下。
本発明の一側面において、前記組成物は、半導体又はディスプレイ工程で界面活性剤として使用される組成物を提供する。
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。下記の実施例は、本発明の理解を促進するための例示に過ぎなく、本発明の範囲がこれに限定されるのではない。
【実施例0031】
実施例1.フッ素系界面活性剤の製造
実施例1-1.エチレンオキシド(Ethylene Oxide)付加(8モル)型フッ素系界面活性剤の製造
密閉反応器内にフッ素アルコール(Perfluorohexylethyl alcohol)351g(1モル、分子量351、ニッカ株式会社、日本)を投入し、水酸化ナトリウム(NaOH、株式会社ユニード、韓国)触媒を0.7g投入する。その後、窒素ガスを投入し、反応器の内部を窒素に置換した後で昇温し、100℃になると、減圧下(1.33kPa以下)で30分間脱水を進める。その後、反応器の温度が180℃に到逹すると、エチレンオキシド352.4g(8モル、分子量44.05g)を徐々に注入しながら反応を開始する。前記エチレンオキシドガスの注入が完了すると、同一の温度で1時間熟成した後、60℃まで冷却することによってフッ素系エチレンオキシド付加(8)物を得た。
収得されたフッ素系エチレンオキシド付加物の構造式は、下記の通りである。
【0032】
実施例1-2.エチレンオキシド付加(10モル)型フッ素系界面活性剤の製造
実施例1-1に記載のエチレンオキシドを440.5g(10モル、分子量44.05g)使用したことを除いては、実施例1-1と同一の方法で合成することによってフッ素系エチレンオキシド付加(10)物を得た。
収得されたフッ素系エチレンオキシド付加物の構造式は、下記の通りである。
【0033】
実施例1-3.エチレンオキシド付加(30モル)型フッ素系界面活性剤の製造
実施例1-1に記載のエチレンオキシドを1321.5g(30モル、分子量44.05g)使用したことを除いては、実施例1-1と同一の方法で合成することによってフッ素系エチレンオキシド付加(30)物を得た。
収得されたフッ素系エチレンオキシド付加物の構造式は、下記の通りである。
【0034】
実施例2.リン脂質系界面活性剤の製造
ビス(3-ハロ-2-ヒドロキシプロピル)リン酸塩化合物305.03g(1モル、分子量305.03)及び蒸留水662.477gを投入し、これを60℃で撹拌した。徐々に撹拌しながら、60℃でアミドプロピルアミン化合物284.48g(1モル、平均分子量284.48)を投入した。アミド化合物の投入が完了すると、反応器の内部温度は60℃から約95℃付近に上昇させ、6時間にわたって反応させた。
その結果、常温で液体状態で存在する生成物(固形分30%)を得た。リン脂質系界面活性剤化合物の生成は、NMRスペクトル上(CDCl3)の2.6ppm(-CHCH
2N-)、3.7ppm(-CHOH)で表れるピークによって確認された。
確認の結果、化学構造式は下記の通りであった。
前記Rのアルキル組成は、C8~18の混合物であって、ラウリル(C12)がメインであることが確認された。
【0035】
実施例3.スルホサクシネート系列の界面活性剤
実験例に使用したスルホサクシネート界面活性剤(以下、DOSS)としては、KOREMUL K-290((株)韓農化成、韓国)製品(固形分65%)を使用した。化学構造式は、下記の通りであった。
【0036】
実施例4.ソジウムラウリルスルフェート系列の界面活性剤
実験例に使用したソジウムラウリルスルフェート(以下、SLS)界面活性剤としては、ASCO 30(AKケミテック株式会社、韓国)製品(固形分30%)を使用した。
【0037】
実施例5.ソジウムラウレススルフェート系列の界面活性剤
実験例に使用したソジウムラウレススルフェート(以下、SLES)界面活性剤としては、ASCO 24/4-26(AKケミテック株式会社、韓国)製品(固形分24%)を使用した。
【0038】
実施例6.アルファオレフィンスルホネート系列の界面活性剤
実験例に使用したアルファオレフィンスルホネート(以下、AOS)界面活性剤としては、ASCO 1416(AKケミテック株式会社、韓国)製品(固形分96%)を使用した。
【0039】
実施例7.ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート系列の界面活性剤
実験例に使用したポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート界面活性剤としては、TWEEN-80(Samchun Pure Chemical Co.,Ltd.、韓国)製品(固形分100%)を使用した。
【0040】
実施例8.ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレ-ト系列の界面活性剤
実験例に使用したポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート界面活性剤としては、TWEEN-20(Samchun Pure Chemical Co.,Ltd.、韓国)製品(固形分100%)を使用した。
【0041】
実施例9.ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート系列の界面活性剤
実験例に使用したポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート界面活性剤としては、TWEEN-85(Samchun Pure Chemical Co.,Ltd.、韓国)製品(固形分100%)を使用した。
【0042】
実施例10.ポリグリセリン脂肪酸エステル系列の界面活性剤
実験例に使用したポリグリセリン脂肪酸エステル界面活性剤としては、ALMAX-9280((株)イルシンウェルス、韓国)製品(固形分100%)を使用した。
【0043】
実施例11.ポリオキシエチレン付加型シリコン系列の界面活性剤
実験例に使用したポリオキシエチレン付加型シリコン系界面活性剤としては、DC-193Cフルイド(Fluid)(ダウコーニング株式会社、米国)製品(固形分100%)を使用した。
【0044】
実験例1.表面張力及び界面張力の測定
(1)単一成分フッ素系界面活性剤の界面張力の測定
前記製造又は入手された化合物のうち実施例1-1~1-3の化合物に対する界面張力を下記の方法で測定し、これを下記の表1に示した。
[測定方法]
KRUSS社のK-100界面張力測定機器を使用し、ASTM D971に基づいて試料0.1%溶液/シクロヘキサン溶液での界面張力を測定する。
【0045】
【表1】
前記のように、実施例1の界面活性剤のみでは界面張力が6以上であることが分かった。
【0046】
(2)混合組成物の界面張力及び表面張力の測定
次に、前記製造又は入手された化合物を下記の表2のような比率で混合し、界面活性剤組成物を製造した。
下記の表は、適切な陰イオン系界面活性剤を選定するために実行したものであって、前記と同一の方法で界面張力を測定し、これを下記の表2に示した。
【0047】
【表2】
前記のように、実施例1-1と実施例3のDOSSを混合した混合例1の界面張力が著しく減少するという効果を確認することができた。
【0048】
次に、前記製造又は入手された化合物を下記の表3のような比率で混合し、界面活性剤組成物を製造した。
下記の表は、適切な非イオン、陽性又は陽イオン系界面活性剤を選定するために実行したものであって、前記と同一の方法で界面張力を測定し、これを下記の表3に示した。
【表3】
【0049】
次に、前記の結果により、実施例1-1の化合物、実施例2の化合物、及び実施例3のDOSS化合物を表4のような比率で混合し、界面活性剤組成物を製造した。
下記の表は、表面張力の数値と界面張力の数値を同時に満足する組み合わせを選定するために実行したものであって、前記と同一の方法で界面張力を測定し、下記のような方法で表面張力を測定した後、これを下記の表4に示した。
【0050】
[測定方法]
KRUSS社のK-100表面張力測定機器を使用し、ASTM D1331に基づいて試料0.1% by PGMEA(Propyleneglycol methyl ether acetate)溶液での表面張力を測定する。
【表4】
【0051】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明が、その技術的思想や必須的な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるだろう。そのため、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないことを理解しなければならない。