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特開2022-93310聴覚機器充電装置及びシステム、並びにそのためのホルダの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093310
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】聴覚機器充電装置及びシステム、並びにそのためのホルダの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220616BHJP
   H04R 25/00 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H04R25/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021200410
(22)【出願日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】17/120,056
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21159877
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PA202170091
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリック ニールセン
(72)【発明者】
【氏名】セーレン ダーヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジョン チャッペル
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】聴覚機器充電装置及びシステム並びにそのためのホルダの製造方法を提供する。
【解決手段】システム(100)における充電式聴覚機器(1A、1B)を充電する聴覚器充電装置(20)内で、充電式聴覚機器(1A、1B)を保持するためのホルダ(45)を備える充電挿入部(40)であって、充電式聴覚機器(1A、1B)は、ユーザの外耳道に少なくとも部分的に挿入されるように個別的にカスタマイズされている。聴覚機器充電装置(20)は、ホルダ(45)を備える充電挿入部(40)のための受け部(29)を有する充電ケーシング(21)と、充電ケーシング(21)内で第1の位置を有する第1の充電素子(22,23)と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式聴覚機器(1A、1B)を充電するように構成された聴覚機器充電装置(20)内で、前記充電式聴覚機器(1A、1B)を保持するためのホルダ(45)を備える充電挿入部(40)の製造方法であって、
前記充電式聴覚機器(1A、1B)は、ユーザの外耳道に少なくとも部分的に挿入されるように個別的にカスタマイズされており、
前記聴覚機器充電装置(20)は、
前記ホルダ(45)を備える前記充電挿入部(40)のための受け部(29)を有する充電ケーシング(21)と、
前記充電ケーシング(21)内で第1の位置を有する第1の充電素子(22,23)と、を備え、
前記方法は、
前記ユーザの外耳道の一部の形状を表現するデータセットに基づいて、前記外耳道部分の形状に少なくとも部分的に一致するように成形された前記充電式聴覚機器(1A、1B)の第1の仮想モデルを提供することであって、少なくとも第2の充電素子(4)を備える電子的補聴器構成要素(28)のために、前記充電式聴覚機器(1A、1B)の前記第1の仮想モデル内の第2の位置を割り当てることを含む、提供することと、
前記第1の仮想モデルに基づいて、前記聴覚機器充電装置(20)の前記受け部(29)に挿入するための充電挿入部(40)の第2の仮想モデルを提供することであって、前記第2の仮想モデルにおいて、前記充電挿入部(40)は、前記充電挿入部(40)が前記聴覚機器充電装置(20)の前記受け部(29)内に配置される場合に、前記第1の充電素子(22、23)が前記第2の充電素子(4)と第1の関係に位置決めされるように、前記充電式聴覚機器(1A、1B)を支持するように設計される、提供することと、
3D製造プロセスにより、前記第2の仮想モデルに基づいて、前記ホルダ(45)を備えるカスタマイズされた前記充電挿入部(40)を形成することと、を備える、方法。
【請求項2】
前記充電挿入部(40)の前記第2の仮想モデルを提供することは、前記充電ケーシング(21)の形状に関するデータにさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記充電挿入部(40)の前記第2の仮想モデルを提供することは、前記充電ケーシング(21)の内部の前記第1の充電コイル(22、23)の前記第1の位置に関するデータにさらに基づく、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記充電挿入部(40)の前記第2の仮想モデルを提供することは、前記充電ケーシング(21)に対する所定の向きに前記ホルダ(45)を割り当てることを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の充電素子(22,23)を前記第2の充電素子(4)と前記第1の関係に位置決めすることは、前記充電挿入部(40)が前記聴覚機器充電装置(20)の前記受け部(29)内に配置される場合、および前記充電式聴覚機器(1A,1B)が前記充電挿入部(40)に配置される場合に、前記充電ケーシング内の前記第1の充電素子(22,23)を、前記充電式聴覚機器(1A,1B)内の前記第2の充電素子(4)と位置合わせすることを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の仮想モデルを提供することは、
前記充電式聴覚機器(1A、1B)の対応する表面部分に一致する表面部分の少なくともサブセットを有する前記ホルダ(45)を設計することを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の仮想モデルを提供することは、前記第2の仮想モデル内の前記ホルダ(45)のアンダーカットの表面を除去することを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記充電挿入部(40)の前記第2の仮想モデルを提供することは、前記充電挿入部(40)の前記第2の仮想モデルをコンピュータ上でデジタル的に設計することを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記充電式聴覚機器(1A、1B)の前記第1の仮想モデルを提供することは、前記充電式聴覚機器(1A、1B)の前記第1の仮想モデルをコンピュータ上でデジタル的に設計することを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記充電式聴覚機器(1A、1B)の第2の前記充電素子(4)は、平面状の外側表面を有する前記充電式聴覚機器(1A、1B)の外側を向いたフェースプレート(5)内に形成され、
前記方法は、前記充電式聴覚機器(1A、1B)が前記ホルダ(45)内に保持される場合に、前記充電式聴覚機器(1A、1B)の前記外側を向いたフェースプレート(5)の前記平面状の表面が、前記充電挿入部(40)の上側を向いた表面と実質的に平行になるように、前記充電挿入部(40)の前記ホルダ(45)を設計することを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の充電素子(22、23)の前記位置は、前記充電ケーシング(21)内の固定された、標準化された位置にある、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記充電ケーシングは、箱形の充電基部(26)と、前記充電基部(26)を覆うように構成された充電蓋(27)とを備え、
前記第1の充電素子(22,23)が前記充電蓋(27)内で位置決めされている、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の充電素子(22,23)は第1の充電コイルであり、前記第2の充電素子(4)は第2の充電コイルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ホルダ(40)を備える前記充電挿入部(40)は、材料のブロックから材料をミリングすることによって、前記材料のブロックから形成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ホルダ(50)を備える前記充電挿入部(40)は、アディティブ製造プロセスによって形成される、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ユーザの外耳道の一部の形状を決定する最初の工程であって、
前記ユーザの前記外耳道の少なくとも一部をスキャンすることと、
前記第1の仮想モデルを提供するために、前記ユーザの前記外耳道の前記一部の前記スキャンから、前記ユーザの前記外耳道の前記一部のスキャンされた形状を表現するデータセットを提供することと、を備える前記最初の工程をさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法により形成されたホルダ(45)を備える充電挿入部(40)を備える、聴覚機器充電装置(20)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電式聴覚機器を充電するように構成された聴覚機器充電装置において、充電式聴覚機器を保持するホルダを備える充電挿入部の製造方法に関する。ここで、充電式聴覚機器は、ユーザの外耳道に少なくとも一部が挿入されるように個別的にカスタマイズされている。本発明は、更に、充電挿入部、聴覚機器充電装置、及び聴覚機器と聴覚機器充電装置を備える聴覚機器充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電式の耳内補聴器は、当技術分野で知られている。このような補聴器を充電するために、補聴器のユーザは充電装置を持ち合わせている。充電装置および補聴器はそれぞれ、協働するガルバニック接点手段を備えてもよく、または、補聴器が「無線で」充電されるように、協働する充電コイルを備えてもよく、それによって、耳内補聴器がガルバニック接点を備える必要があることを回避する。いずれにせよ、そのような充電装置は、充電中に充電装置内の固定された位置に補聴器を挿入して保持するためのホルダを有していてもよい。
【0003】
これらの装置では、協働する充電素子が、互いに第1の関係において常に正しく配置されているとは限らず、それによって、充電プロセスが中断されるか、または遅くなる可能性があることが問題である。
【0004】
したがって、補聴器のような聴覚機器のより安定した充電を提供することが目的である。
【0005】
本発明の更なる目的は、カスタマイズされた聴覚機器のためのホルダを備える充電挿入部を製造することであり、充電挿入部は、カスタムRHI(充電式聴覚機器)のための一般的な聴覚機器充電装置内に挿入可能であり、低コストで、製造が高速かつ簡単であり、後処理が不要で、生体適合性及び医療グレードの要件を満たす。
【0006】
US2019/0089187A1は、補聴器充電装置を備える標準化された補聴器を開示している。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本発明の目的は、充電式聴覚機器を充電するように構成された聴覚機器充電装置において、充電式聴覚機器のホルダを備えるか、または充電式聴覚機器を保持する充電挿入部を製造する方法によって得られ、充電式聴覚機器は、ユーザの外耳道に少なくとも部分的に挿入されるように個別的にカスタマイズされており、聴覚機器充電装置は、
ホルダを備える充電挿入部のための受け部を有する充電ケーシングと、
充電ケーシング内で第1の位置を有する第1の充電素子と、を備え、
方法は、
ユーザの外耳道の一部の形状を表現するデータセットに基づいて、外耳道部分の形状に少なくとも部分的に一致するように成形された充電式聴覚機器の第1の仮想モデルを提供することであって、少なくとも第2の充電素子を備える電子的補聴器構成要素のために、充電式聴覚装置の第1の仮想モデル内の第2の位置を割り当てることを含む、提供することと、
第1の仮想モデルに基づいて、聴覚機器充電装置の受け部に挿入するための充電挿入部の第2の仮想モデルを提供することであって、第2の仮想モデルにおいて、充電挿入部は、充電挿入部が聴覚機器充電装置の受け部内に配置される場合に、第1の充電素子が第2の充電素子と第1の関係に位置決めされるように、充電式聴覚機器を支持するように設計される、提供することと、
3D製造プロセスにより、第2の仮想モデルに基づいて、ホルダを備えるカスタマイズされた充電挿入部を形成することと、を備える。
【0008】
3D製造プロセスとは、製造されるべき物体の仮想モデル(例えば上述の第2の仮想モデル)のデータセットに基づいて、ブランクから開始し、ブランクから材料を除去するか、または物体を生成するために材料を連続的に追加することによって、3次元物体を形成するように成形され得る任意のプロセスを意味する。このようなプロセスは、それぞれ、ミリングおよびステレオリソグラフィプロセス、例えば3Dプリンティングであってもよい。
【0009】
一実施形態では、3D製造プロセスは、ラピッドプロトタイピング(RPT)プロセスであってもよい。
【0010】
実施形態において、充電挿入部の第2の仮想モデルを提供することは、充電ケーシングの形状に関するデータにさらに基づく。形状は、さらに、充電ケーシングの寸法(サイズ)に関するデータを含んでもよい。
【0011】
さらなる実施形態では、充電挿入部の第2の仮想モデルを提供することは、代替的又は追加的に、充電ケーシング内の第1の充電コイルの第1の位置に関するデータに基づいてもよい。
【0012】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、充電挿入部の第2の仮想モデルを提供することは、充電ケーシングに対する所定の向きにホルダを割り当てることを備えていてもよい。
【0013】
ここでは、ケーシングの他の部分、例えば聴覚機器充電装置のケーシングの側壁、底部、および/または蓋に対する空間的な向きを意味する。ケーシングおよび他の構成要素、例えば聴覚機器充電装置の電子的構成要素は、いくつかの実施形態では、個別化/カスタマイズされた充電式聴覚機器を保持するためのホルダを備える充電挿入部を除いて、一般的なケーシング/聴覚機器充電装置であり、ここでいう一般的とは、充電挿入部が、カスタマイズされた充電式聴覚装置に対してカスタマイズされた場合に、充電ケーシング内に挿入可能であり、充電ケーシングによって提供される空間にフィットするように、および、第1および第2の充電素子が、第1の充電素子が第2の充電素子を充電するような相互関係となるように、聴覚機器充電装置のケーシングおよび/または任意の電子的構成要素が、標準化された形状(例えば、寸法を含む)を有していてもよいという意味である。
【0014】
さらなる実施形態では、前述のいずれかの実施形態に加えて、第1の充電素子を第2の充電素子と第1の関係に位置決めすることは、充電挿入部が聴覚機器充電装置の受け部内に配置される場合、および充電式聴覚機器が充電挿入部内に配置される場合に、充電ケーシング内の第1の充電素子を、充電式聴覚機器の第2の充電素子と位置合わせすることを備えていてもよい。
【0015】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、第2の仮想モデルを提供することは、カスタマイズされた充電式聴覚機器の対応する表面部分をミラーリングした表面部分の少なくともサブセットを備えるホルダを設計することを備える。
【0016】
好ましくは、このような表面部分のサブセットは、カスタマイズされた充電式聴覚機器が充電挿入部のホルダ内で安定して支持されるように選択される。カスタマイズされた充電式聴覚機器の全ての表面部分がミラーリングされる必要はない。
【0017】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、第2の仮想モデルを提供することは、第2の仮想モデル内のホルダのアンダーカットの表面を除去することを備える。
【0018】
これにより、特に充電挿入部が硬質または半硬質材料で製造される場合に、充電挿入部および/またはカスタマイズされた充電式聴覚機器を損傷することなく、カスタマイズされた充電式聴覚機器を充電挿入部のホルダに挿入し、ホルダから取り外すことを確実にすることができる。
【0019】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、充電挿入部の第2の仮想モデルを提供することは、充電挿入部の第2の仮想モデルをコンピュータ上でデジタル的に設計することを備える。
【0020】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、充電式聴覚機器の第1の仮想モデルを提供することは、充電式聴覚機器の第1の仮想モデルをコンピュータ上でデジタル的に設計することを備えていてもよい。
【0021】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、充電式聴覚機器の第2の充電素子は、平面状の外側表面を有する充電式聴覚機器の外側を向いたフェースプレート内に形成され、方法は、充電式聴覚機器がホルダ内に保持される場合に、充電式聴覚機器の外側を向いたフェースプレートの平面状の表面が、充電挿入部の上側を向いた表面と実質的に平行になるように、充電挿入部のホルダを設計することを備える。
【0022】
「実質的に平行」とは、平行であること、または平行な状態から+/-5度以内であることを意味する。
【0023】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、第1の充電素子の位置は、充電ケーシング内の固定された、標準化された位置にある。ケーシング及び他の構成要素、例えば聴覚機器充電装置の電子的構成要素は、いくつかの実施形態では、個別化/カスタマイズされた充電式聴覚機器を保持するためのホルダを備える充電挿入部を除いて、一般的なケーシング/聴覚機器充電装置である。聴覚機器充電装置/充電ケーシングが一般的であるとは、充電挿入部が、カスタマイズされた充電式聴覚機器に対してカスタマイズされた場合に、充電ケーシング内に挿入可能であり、充電ケーシングによって提供される空間にフィットするように、および、第1及び第2充電素子が、第1の充電素子が第2の充電素子を充電するような相互関係となるように、聴覚機器充電装置のケーシング及び/又は任意の電子的構成要素が、標準化された形状(例えば、寸法を含む)を有し得るという意味である。したがって、さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、充電ケーシングも、固定された、標準化された形状およびサイズを有してもよい。
【0024】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、充電ケーシングは、箱形の充電基部と、充電基部を覆うように構成された充電蓋と、を備えていてもよい。本明細書のさらなる実施形態では、第1の充電素子は、充電蓋内に位置決めされている。後者の場合、第2の仮想モデルを提供することは、充電式聴覚装置が充電挿入部のホルダ内に配置される場合に、第2の充電素子が第1の充電素子と第1の関係に位置決めされるように、例えば、第2の充電素子が蓋内の第1の充電素子と位置合わせされる(蓋は箱形の充電基部を覆うように閉じられている)ように、第2の充電素子のためのホルダを、ケーシングに対して位置決めすることを備えていてもよい。
【0025】
さらなる実施形態において、上記のいずれかの実施形態に加えて、第1の充電素子は第1の充電コイルであり、第2の充電素子は第2の充電コイルである。あるいは、第1及び第2の充電素子は、ガルバニック接点素子である。この場合、第1の充電素子と第2の充電素子との間の第1の関係は、ガルバニックを互いに接触させることを備える。
【0026】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、ホルダを備える充電挿入部は、材料のブロックから材料をミリングすることによって、材料のブロックから形成される。あるいは、ミリングの代わりに、前述の実施形態のいずれかに加えて、ホルダを備える充電挿入部は、アディティブな製造プロセス、例えば、ステレオリソグラフィプロセスによって形成される。
【0027】
このように、ホルダを備える充電挿入部は、3Dプリンティングプロセスによって形成されてもよい。
【0028】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、充電挿入部は、プレート部およびホルダ部を備えてもよい。
【0029】
ホルダ部は、ホルダ部のキャビティとみなし得るホルダを形成する。
【0030】
ホルダ部は、好ましくは、プレート部と一体に形成されてもよい。あるいは、プレート部とホルダ部とは別体に形成され、その後に組み立てられる。
【0031】
プレート部は、充電ケーシングの受け部に協働するように、すなわち受け入れられるように、成形されたリムを備えていてもよい。好ましくは、充電ケーシングの受け部は、箱形の充電基部内に形成されている。
【0032】
いずれの場合も、好ましくは、ホルダ部は、プレート部から、すなわち、プレート部の一方の表面から延びる。
【0033】
さらなる実施形態では、前述したホルダをステレオリソグラフィプロセスによって形成する実施形態に加えて、充電挿入部は、ホルダ部の前にプレート部が形成されるように形成される。
【0034】
このように、本方法の一実施形態において、ホルダを備える充電挿入部をアディティブな製造プロセスにより形成する場合、充電挿入部は、プレート部とホルダ部とを備え、ホルダ部は、プレート部から延び、充電挿入部は、ホルダ部の前にプレート部が形成されるように形成される。
【0035】
これにより、プレート部がステレオリソグラフィプロセス全体にわたって支持を提供することになるので、充電挿入部を支持体なしに形成することが達成される。
【0036】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、ホルダを備える充電挿入部は、生体適合性材料で形成される。
【0037】
さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、本方法は、ユーザの外耳道の一部の形状を決定する最初の工程であって、
柔軟な材料の一部をユーザの外耳道に挿入し、それによって外耳道インプレッションを形成することと、
第1の仮想モデルを提供するために、外耳道インプレッションをスキャンして、外耳道インプレッションのスキャンされた形状に基づいて、特定のユーザの外耳道の一部の形状を表現するデータセットを提供することと、備える最初の工程を備える。
【0038】
ユーザの外耳道の一部の形状を表現するデータセットを提供することは、コンピュータ上でのデジタル的なスキャンから取得されてもよい。
【0039】
外耳道インプレッションは、カスタマイズされた/個人化された/個別化された聴覚機器を購入することを必要とするか、または望むユーザの外耳道に、柔軟な材料、例えばキャスティング材料、典型的には生体適合性のシリコーンベースの材料を注入することによって作製されてもよい。キャスティング材料は、充填剤および硬化剤を備える2成分液体材料であってもよい。キャスティング材料は、2つの成分の混合後数分以内に硬化する。
【0040】
また、光硬化に適したシリコーンベースの材料を使用する、キャスティング材料の光硬化は、当技術分野で知られている。
【0041】
両方のタイプのそのようなシリコーン材料は、当技術分野で知られている。この目的のために典型的に使用される製品は、Egger (egger Otoplastik + Labortechnik GmbH)社またはDreve GmbH社によって製造される。
【0042】
外耳道の一部の形状を表現するデータセットを取得することの替わりに、さらなる実施形態では、前述の実施形態のいずれかに加えて、本方法は、ユーザの外耳道の一部の形状を決定する最初の工程であって、
ユーザの外耳道の少なくとも一部をスキャンすることと、
第1の仮想モデルを提供するために、ユーザの外耳道の一部のスキャンから、ユーザの外耳道の一部のスキャンされた形状を表現するデータセットを提供することと、を備える最初の工程をさらに備えていてもよい。
【0043】
ユーザの外耳道の一部の形状を表現するデータセットを提供することは、コンピュータ上のデジタル的なスキャンから取得されてもよい。
【0044】
ユーザの外耳道の少なくとも一部をスキャンすることは、ユーザの外耳道の一部を光学的にスキャンすることによって実行されてもよい。
【0045】
本発明の第2の態様では、本発明の目的は、充電式聴覚機器を充電するように構成された聴覚機器充電装置において、充電式聴覚装置を保持するホルダを備える充電挿入部によって達成される。ここで、充電式聴覚機器は、ユーザの外耳道に少なくとも一部が挿入されるように個別的にカスタマイズされている。充電挿入部は、本発明の第1の態様の上述の実施形態のいずれかに係る方法によって形成される。
【0046】
本発明の第3の態様では、本発明の目的は、ユーザの外耳道に少なくとも一部が挿入されるように個別的にカスタマイズされた、充電式聴覚機器を充電するための聴覚機器充電装置であって、充電中に充電式聴覚機器を保持するホルダを備える充電挿入部を備え、充電挿入部は、本発明の第1の態様の上述の実施形態のいずれかに関して説明した方法によって形成される、聴覚機器充電装置によって達成される。
【0047】
第2の充電素子を備える個別的に成形された聴覚機器を充電するための聴覚機器充電装置は、
充電ケーシングと、
充電ケーシング内に配置される充電電源と、
充電電源に接続される第1の充電コイルと、
聴覚機器の充電を制御するための充電電子機器と、
充電ケーシング内に配置される、充電式聴覚機器を受け入れるように構成されたホルダであって、聴覚機器のためのホルダは、聴覚機器がホルダ内に受け入れられるときに、ホルダが聴覚機器の形状を支持し、第1の充電素子が第2の充電素子に隣接するように成形される、ホルダと、を備えていてもよい。
【0048】
一実施形態では、充電式聴覚機器のためのホルダは、充電挿入部内に設けられる。
【0049】
それにより、充電挿入部は、一般的/標準的な聴覚機器充電装置に挿入される、カスタムメイドの充電式聴覚機器のために、モデル化/計画/設計されてもよい。
【0050】
一実施形態では、充電挿入部は、3D製造プロセスによって形成されてもよい。
【0051】
一実施形態では、充電挿入部は、上面、下面、及び周縁リムを有する平坦な構造体であって、ここで、ホルダは下面から離れるように延在し、周縁リムは、充電ケーシングのリムと協働するように構成されている。
【0052】
一実施形態では、聴覚機器充電装置は、充電ケーシングと協働するように配置される充電蓋を備え、聴覚機器がホルダ内に配置され、充電蓋が閉じられている場合に、第1の充電素子が第2の充電素子に充電電力を供給するための作動位置にあるように、第1の充電素子が充電蓋内に配置される。
【0053】
これにより、充電は、蓋が閉じているときにのみ実行することができ、それによって、誤って聴覚機器が聴覚機器充電装置から脱落する危険性が低減されることが達成され得る。
【0054】
本発明の第4の態様では、本発明の目的は、聴覚機器システムによって達成される。聴覚機器システムは、
充電式聴覚機器と、
本発明の第3の態様の実施形態のいずれか1つに記載の聴覚機器充電装置と、を備える。
【0055】
一実施形態では、聴覚機器充電装置は、充電ケーシングと協働するように配置される充電蓋を備え、第1の充電素子は、充電蓋内に配置され、聴覚機器は、聴覚機器の外側を向いたフェースプレート内に形成され、ホルダ内に聴覚機器が受け入れられ、蓋が閉じられる場合に、第1の充電素子と前記第2の充電素子が、互いに向き合うように配置される第2の充電素子を備える。
【0056】
本明細書で使用される場合、「備える」という用語は、述べられた特徴、整数、工程、または構成要素の存在を指定すると解釈されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、工程、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが強調されるべきである。
【0057】
以下において、本発明は、添付の図面によって示される実施形態を参照して、より詳細に説明される。示される実施形態は、例示の目的のためだけに使用され、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではないことが強調されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1A図1Cは、充電式聴覚装置の第1の仮想モデルを提供する工程を示し、第1の仮想モデルは、本発明による方法の実施形態で使用するためのものである。図1Aはユーザの外耳道の一部の形状に類似する仮想モデルまたはデータセットを示す。図1B図1Aに示される仮想モデルまたはデータセットに基づいて、ユーザの外耳道の当該一部の形状に対応するネガを形成する聴覚機器のシェルの形状の仮想モデルまたはデータセットを示す。図1Cはユーザの外耳道の形状に合わせてカスタマイズされた形状を有する充電式聴覚機器の形状の仮想モデルまたはデータセットを表し、仮想モデルまたはデータセットは、充電式聴覚機器の構成要素の位置を備える。
図2図2A図2Fは、充電式聴覚機器を表す第2の仮想モデルまたはデータセットを提供する工程を示し、第2の仮想モデルは、本発明による方法の実施形態で使用するためのものである。図2A図1A図1Cまたは図4A図4Cに示されるように提供される充電式聴覚機器の形状を表す第1の仮想モデルまたはデータセットを示す。図2Bは充電装置の第1の充電素子の位置の複製の位置に対する、充電式聴覚機器の複製の位置をモデル化することを示す。図2Cは、充電挿入部における充電式聴覚機器の複製を示す図であり、上部の描写は側面図であり、下部の描写は上から見た斜視図である。図2Dは、充電挿入部における充電式聴覚機器の複製と、充電挿入部のホルダ部をモデル化することを示す。図2Eは、充電挿入部のホルダ部の修正された形状をモデル化することを示す。図2Fは、斜視図において、充電挿入部を形成する際に使用する充電挿入部の完成した第2の仮想モデルを示す。
図3図3A図3Dは、カスタマイズされた充電式聴覚機器のセットを形成することを示す。図3E図3Gは、本発明の第1の態様による方法の実施形態である。図3Aは、充電式聴覚機器の第1の仮想モデルを提供することを示す。図3Bは、例えば3Dプリンタにおける充電式聴覚機器のシェル部を形成することを示す。図3Cは、ユーザの左右の外耳道用にカスタマイズされた完成したシェル部を示す。図3Dは、第2の充電素子を含む構成要素が、図3Cに示されるシェル部のそれぞれに取り付けられているカスタマイズされた充電式聴覚機器のセットを示す。図3Eは、図3Aで提供された第1の仮想モデルに基づいて、図3Dに示されるカスタマイズされた充電式聴覚機器に適したカスタマイズされた充電挿入部を表す第2の仮想モデルを提供することを示す。図3Fは、例えば3Dプリンタにおいて、図3Eに示されるような第2の仮想モデルに基づいて充電挿入部を形成することを示す。図3Gは、図3Dに示されるカスタマイズされた充電式聴覚機器に適し、聴覚機器充電装置のケーシングに取り付ける準備が整った、完成したカスタマイズされた充電挿入部を示す。
図4図4A図4Cは、本発明に従った方法で使用するためにユーザの外耳道の一部の形状に関するデータセットを取得する1つの方法を示す。図4Aは、人間の耳および外耳道を通る部分断面と、外耳道の一部の外耳道インプレッションと、を示す。図4Bは、3Dスキャナに配置された外耳道インプレッションを示し、ユーザの外耳道部分に類似するデータセットを取得するためにインプレッションをスキャンする(例えば、光学的にスキャンする)工程を示す。図4Cは、キーボード、マウスおよび適切な3Dモデリングソフトウェアを備えたPCを示し、スキャンすることによって取得されるデータセットが、少なくともユーザの外耳道の一部の形状を表す仮想モデル/データセットを提供するためのソフトウェアを備えたコンピュータに、どのように転送されるかを示す。
図5】側面断面図において、カスタマイズされた充電式聴覚機器を示す。
図6】断面側面図において、本発明の第2の態様に係る充電挿入部を備え、充電挿入部は、本発明の第1の態様に係る方法で形成されている、本発明の第3の態様に係る聴覚機器充電装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
様々な実施形態が、図面を参照して以下に記載される。全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を指す。したがって、同様の要素については、各図の説明に関して詳細には説明しない。また、図面は、実施形態の説明を促進することのみを意図していることにも留意されたい。それらは、特許請求の範囲に記載された発明の網羅的な説明として、または特許請求の範囲に記載された発明の範囲の限定として意図されていない。さらに、図示された実施形態は、図示された全ての態様または利点を有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されず、そのように図示されていなくても、またはそのように明示的に説明されていなくても、任意の他の実施形態で実施することができる。
【0060】
本発明は、カスタマイズされた充電式聴覚機器1A、1B、および、充電式聴覚機器1A、1Bを充電するための聴覚機器充電装置20の製造、または、少なくともそのような聴覚機器充電装置20のための充電挿入部40の製造に関する。
【0061】
カスタマイズされた充電式聴覚機器1A、1Bは、ユーザごとに、また1人のユーザの耳ごとに形状が異なる。従って、標準化された、1つの形状のホルダを聴覚機器充電装置で使用することは、必ずしも、聴覚機器充電装置の充電素子に対して、充電式聴覚機器の充電素子の正しい配置を確保するとは限らない。充電式聴覚機器1A、1Bの充電の充電効率を向上させるために、本発明によれば、このようなカスタマイズされた充電式聴覚機器1A、1Bを、聴覚機器充電装置20の充電素子に対して正しい位置に保持するように構成されたカスタマイズされた充電挿入部40が提供される。
【0062】
ここで、図5を参照して、聴覚機器1A、1Bを最初に説明する。図5は、聴覚機器1A、1Bの断面を示す。聴覚機器1A、1Bは、上述され、以下でさらに詳細に説明されるように、製造/形成された、聴覚機器シェル1を備える。
【0063】
聴覚機器1A、1Bは、聴覚機器1A、1Bがユーザの外耳道ECに挿入されるとき、ユーザの鼓膜、すなわち鼓膜Tに最も近い近位端と、聴覚機器1A、1Bがユーザの外耳道に挿入される(図示せず)とき、ユーザの外耳道ECの入口に位置する反対側の遠位端と、を有する。聴覚機器は、聴覚機器シェル1、1A´、1B´の内側に配置された内部構成要素のセットをさらに備える。
【0064】
これらの構成要素は、電気的構成要素、例えば、一般にレシーバ、以下では聴覚機器レシーバ9、と呼ばれるスピーカ、充電式バッテリ(または聴覚機器充電式バッテリ7)、第2の充電素子4、および制御電子機器、少なくとも聴覚機器レシーバ9を制御し、第2の充電素子4を介した聴覚機器充電式バッテリ7の充電を制御する補聴器電子機器6、を備える。第2の充電素子4は、図6に関連して以下に説明する聴覚機器充電装置20に設けられた第1の充電素子22,23を介して充電される。
【0065】
聴覚機器レシーバ9は、典型的には、ユーザの外耳道ECに挿入されたときに、ユーザの鼓膜に近接するために、聴覚機器1A、1Bの近位端に配置される。他の構成要素は、聴覚機器シェル1A´、1B´の個々の形状に応じて変化し得る位置で、聴覚機器シェル1A´、1B´内に配置されてもよい。
【0066】
聴覚機器1A、1Bは、聴覚機器レシーバ9から聴覚機器の近位端までの通路と、耳垢および他の不純物が聴覚機器1A、1Bに入るのを防止するためのフィルタと、をさらに備えていてもよい。さらに、聴覚機器シェル1A´、1B´の内部空間の内面は、内部構成要素が設計/計画された位置に設置/取り付けられるように構成されてもよい。
【0067】
内部構成要素は、1つまたは複数のマイクロフォン(図5には図示せず)をさらに備えることができる。マイクロフォンは、例えば、聴覚機器の遠位端に設けられてもよい。
【0068】
内部構成要素は、さらに、他の機器と無線通信するための装置を備えていてもよい。例えば、そのような装置は、耳後方型(behind-the-ear)装置、携帯電話/セルラー電話、または他の外部電子装置と通信してもよい。
【0069】
聴覚機器1A、1Bの内部空間に配置された電子的構成要素は、エネルギーおよび/またはデータを転送するために、例えば適切な配線によって、互いに電子的に接続されてもよい。
【0070】
図5に示す聴覚機器1A、1Bは、遠位端に、聴覚機器1A、1Bの内部空間を閉鎖するためのフェースプレート5を備える。フェースプレート5は、外部環境からの不純物から、内部構成要素を備える内部空間を封止するためのものである。
【0071】
フェースプレート5は、ユーザの外耳道の輪郭にフィットするように成形されてもよい。しかしながら、聴覚機器の遠位端は、典型的には、ユーザの外耳道のいかなる表面とも接触せず、外耳道に挿入されるとき、ユーザの外耳から外耳道への開口部/入口に位置する。したがって、フェースプレート5は、図5に示すように、通常の平面状の表面を有する形状であってもよい。
【0072】
図5に示す聴覚機器1A、1Bでは、フェースプレート5に隣接して第2の充電素子4が示されている。例えば、第2の充電素子4は、フェースプレート5内に一体化されていてもよく、又はフェースプレート5の内面に隣接して配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の充電素子4は、フェースプレート5の内面に形成された凹部に配置されてもよい。あるいは、充電素子4は、内部空間の他の構成要素または聴覚機器シェル1A´、1B´の内部壁に構造的に接続されてもよい(図示せず)。
【0073】
上にも示されているように、しかしながら、第2の充電素子4は、他の実施形態では、聴覚機器1A、1Bのキャビティ/内部空間の内部の他の位置に配置されてもよい。
【0074】
図6は、聴覚機器充電装置20を示しており、以下にさらに説明する本発明の方法によって製造される充電挿入部40が挿入されている。
【0075】
聴覚機器充電装置20は、充電ケーシング21を備える。本実施形態における充電ケーシング21は、充電基部26と充電蓋27とを備える。本実施形態における充電基部26は、内部容積を有する開口した箱形構造を形成する。内部容積は、充電電源25を収容していてもよい。図示の実施形態では、充電電源25はバッテリである。バッテリは、交換可能バッテリであってもよく、使い捨ての充電不可能バッテリまたは充電式バッテリのいずれかであってもよい。あるいは、バッテリは、固定された充電式バッテリであってもよい。充電電源25が充電式バッテリである実施形態では、聴覚機器充電装置20は、1つまたは複数の聴覚機器1A、1Bのためのポータブルパワーバンクを提供し得る。
【0076】
他の実施形態では、聴覚機器充電装置20の充電電源25は、主電源を1つまたは複数の聴覚機器1A、1Bのための電力に変換するための変圧器であってもよい。さらに他の実施形態では、聴覚機器充電装置20の充電電源25は、聴覚機器充電装置20が、(図示されていないケーブルを介して)主電源に接続されたとき、および主電源から切断されたときの両方において、1つまたは複数の聴覚機器1A、1Bを充電し得るように、充電式バッテリに接続された変圧器であってもよい。
【0077】
聴覚機器充電装置20の充電ケーシング21の内部容積は、充電電源25(固定された充電式バッテリである場合)および/または1つまたは複数の聴覚機器1A、1Bの充電を制御するための充電電子機器28をさらに収容していてもよい。
【0078】
聴覚機器充電装置20は、充電すべき各聴覚機器1A、1Bに対して1つずつ、第1の充電素子22、23をさらに備える。
【0079】
充電電子機器28は、適切な配線(図示せず)を介して充電電源25に接続される。さらに、充電電子機器28は、ケーブル24のような適切な配線を介して第1の充電コイル22、23に接続される。
【0080】
充電電子機器28は、好ましくは、補聴器が存在する場合に、その近傍における聴覚機器1A、1Bの存在を検出し、充電を開始し得るように構成される。これは、聴覚機器1A、1Bの第1の充電素子4の存在が検出された場合に達成されてもよい。
【0081】
充電挿入部40は、図6に示すように、充電ケーシング21の充電基部26の内部容積を覆い、充電挿入部40が充電ケーシング21の受け部29に配置されるようにしてもよい。図5に示されるように、受け部29は、箱形の充電基部26のリムであってもよいことが理解されよう。箱形の充電基部26のリムの形態の受け部29は、充電挿入部40を受け入れるようなサイズ及び形状であることが好ましい。例えば、充電挿入部40のプレート部41の周辺リムは、ケーシング21の箱形の充電基部26のリムによって受け入れられるようなサイズ及び形状であってもよい。
【0082】
図6では、2つのホルダ45を備える充電挿入部40が図示されており、各ホルダ45は、充電式聴覚機器1A、1Bを保持するためのものである。このような充電挿入部は、以下に説明する方法に従って製造されてもよい。しかし、充電挿入部40は、単一の充電式聴覚機器1A、1Bを保持する単一のホルダ45のみを備えるように形成されてもよいことが理解されよう。このような場合、充電ケーシング21は、充電すべきカスタマイズされた充電式聴覚機器1A、1Bのそれぞれに対して1つずつの、複数の充電挿入部40のそれぞれに対する受け部29を有していてもよい。通常、これは、ほとんどのユーザが各耳に1つの充電式聴覚機器1A、1Bを必要とするので、各充電式聴覚機器1A、1Bに1つずつの、2つの充電挿入部40を意味する。
【0083】
充電挿入部20に対する1つまたは複数のホルダ45の位置は、モデリングフェースの間に、充電挿入部40が充電ケーシング21に挿入された場合、および聴覚機器1A、1Bがホルダ45に挿入された場合に、第2の充電素子4(各聴覚機器1A、1Bにおいて、図6には示されていない)が第1の充電素子22、23のそれぞれと位置合わせされるように、構成される。
【0084】
第1の充電素子4と第2の充電素子22、24との正確な位置合わせは、各聴覚機器1A、1Bを1つの特定の向きのみで挿入することを許容するホルダ45の形状によっても、保証される。
【0085】
第1の充電素子22、23は、一実施形態では、図6に示すように、充電蓋27に接続されて設けられてもよい。このような聴覚機器充電装置20の構成は、蓋が閉じられ、それによって、第1の充電素子22、24が対応する聴覚機器1A、1Bの第2の充電素子4と位置合わせされた場合にのみ、充電が開始されることを保証し得る。
【0086】
図6に示す実施形態では、ホルダ45及び充電挿入部40は、聴覚機器1A、1Bが(ホルダ45に挿入された場合に)、近位端/フェースプレート5が上方を向き、かつフェースプレート5の表面が充電挿入部40の上面によって規定される平面と平行となるように、直立して配置されるように、構成される。この場合、聴覚機器1A、1Bの第1の充電素子4は、図5に示すようにフェースプレート5A、5B内に配置されている。
【0087】
しかし、代替の実施形態では、ホルダ45及び充電挿入部40は、聴覚機器1A、1Bが、充電挿入部40の上面によって規定される平面に対して、図6に示されるものとは異なる方向を向くように、構成されてもよいことが理解されよう。例えば、聴覚機器1A、1Bは、図6に示される直立位置ではなく、「横たわる」ものであってもよい。このような場合、聴覚機器1A、1Bの第2の充電素子4は、図5および図6に示すように、フェースプレート5内ではなく、聴覚機器シェル1A´、1B´の側壁部に対して平行に配置することができる。
【0088】
さらに他の実施形態では、第1の充電素子22、23は、充電蓋27内ではなく充電ケーシング21の充電基部26の内側に配置されてもよく、その場合、ホルダ45、充電挿入部40、および/または聴覚機器1A、1B(聴覚機器1A、1Bの第1の充電素子4の位置決め)は、聴覚機器1A、1Bがホルダ45内に配置されたときに、第1および第2の充電素子が互いに位置合わせされるように、モデル化され、形成されることも理解されよう。
【0089】
それぞれのホルダ45に隣接して充電挿入部40にマーキングが形成されてもよく、マーキングは、どの聴覚機器をどのホルダ45´に挿入するかを示す。マーキングは、例えば、左および右の聴覚機器1A、1Bをそれぞれ挿入および再充電する場所を示すために、「左」に対して「L」であり、「右」に対して「R」であってもよい。代替的に、他の記号またはテキストが考慮されてもよい。マーキングは、充電挿入部40に刻印として形成されてもよい。他の実施形態では、マーキングは、ホルダを備える充電挿入部40が成形された後に、例えば、スタンピング、プリンティングまたは当技術分野において公知の他の技術によって、充電挿入部40に設けられてもよい。
【0090】
ホルダ45と対応する聴覚機器1A、1Bとの間の関係を示す、対応するマーキングは、聴覚機器1A、1Bが外面にマーキングを備えるように形成されるように、モデル化段階で設計されてもよい。
【0091】
図6はまた、聴覚機器1A、1B、のセット及び聴覚機器充電装置20を備える聴覚機器システム100を示している。
【0092】
第1の態様では、本発明は、例えば、上述したように、充電式聴覚機器1A、1Bを保持するホルダ45を備える充電挿入部40の製造方法に関する。また、上述したように、充電式聴覚機器1A、1Bは、ユーザの外耳道に少なくとも部分的に挿入されるように、個別的にカスタマイズされる。ホルダ45を備える挿入部40は、充電式聴覚機器1A、1Bを聴覚機器充電装置20に保持するように構成され、聴覚機器充電装置20は、充電式聴覚機器1A、1Bを充電するように構成されている。
【0093】
聴覚機器充電装置20は、図6に関連して上述したようであってもよいが、より一般的には、聴覚機器充電装置20は、ホルダ45を備える充電挿入部40のための受け部29を有する充電ケーシング21と、第1の充電素子22,23とを備えていてもよい。第1の充電素子22,23は、充電ケーシング21内の第1の位置を有する。
【0094】
本発明による方法は、
ユーザの外耳道の一部の形状を表すデータセット8´に基づいて、外耳道部分の形状に少なくとも部分的に一致するように成形された充電式聴覚機器1A、1Bの第1の仮想モデル70を提供することであって、充電式聴覚機器1A、1Bの第1の仮想モデル70における第2の位置を、少なくとも第2の充電素子4を備える電子的補聴器構成要素28に割り当てることを含む、提供することと、
第1の仮想モデルに基づいて、充電挿入部40が聴覚機器充電装置20の受け部29に配置されるときに、第1の充電素子22、23が第2の充電素子4と第1の関係に配置されるように、第2の仮想モデル80において充電挿入部40が充電式聴覚機器1A、1Bを支持するように設計された、聴覚機器充電装置20の受け部29に挿入するための充電挿入部40の第2の仮想モデル70を提供することと、
3D製造プロセスによって、第2の仮想モデル80に基づいて、ホルダ45を備えるカスタマイズされた充電挿入部40を形成することと、を備える。
【0095】
図1A図1Cは、充電式聴覚機器1A、1Bの第1の仮想モデル70を提供する工程を示しており、第1の仮想モデル70は、本発明による方法の実施形態で使用するためのものである。
【0096】
図1Aは、ユーザの外耳道ECの一部の形状に類似する仮想モデル8´またはデータセットを示す。そのような仮想モデル8´は、ユーザの外耳道ECをスキャンすることによって、または、外耳道の所望の部分のインプレッション8を作り、インプレッションをスキャンすることによって取得されてもよい。これについては、以下でもう少し詳細に説明する。
【0097】
ユーザの外耳道ECの一部の形状に類似/表現するデータセット8´は、聴覚機器1A、1Bのシェル1A´、1B´の形状の複製を提供するために使用される。これを図1Bに示す。図1Bは、図1Aに示される仮想モデル8´またはデータセットに基づいて、ユーザの外耳道ECの当該一部の形状に対応するネガを形成する充電式聴覚機器1A、1Bのシェル1A´、1B´の形状の仮想モデル75またはデータセットを示す。
【0098】
これらの工程のいずれかまたはすべては、好適なモデリングソフトウェアを使用してコンピュータ内で行われることが好ましい。したがって、本発明による方法では、充電式聴覚機器1A、1Bの第1の仮想モデルを提供することは、充電式聴覚機器1A、1Bの第1の仮想モデル70、75をコンピュータ上でデジタル的に設計することを含み得ることが理解されよう。
【0099】
次に、充電式聴覚機器1A、1Bのシェル1A´、1B´の形状の仮想モデル75またはデータセットを使用して、例えば図1Cに示すような、充電式聴覚機器1A、1Bの形状の複製を提供する。図1Cは、ユーザの外耳道ECの形状に合わせてカスタマイズされた形状を有する充電式聴覚機器1A、1Bの形状を表現する第2の仮想モデル80またはデータセットを示す。第2の第1のモデル70またはデータセットを提供することは、充電式聴覚機器1A、1Bの構成要素4、5、6、7、9、例えば、少なくとも第2の充電素子4だけでなく、他の聴覚機器電子機器6、充電式セル7、およびレシーバ9の、位置を決定または割り当てることを備える。図示の実施形態では、第1の仮想モデル70も、例えば上述のように、フェースプレート5の位置を組み込むように示されている。
【0100】
したがって、本発明に係る方法では、充電式聴覚機器1A、1Bの第2の充電素子4は、平面状の外側表面を有する充電式聴覚機器1A、1Bの外側を向いたフェースプレート5内に位置するように設計されてもよく、本方法は、充電式聴覚機器1A、1Bがホルダ45内に保持されるときに、充電式聴覚機器1A、1Bの外側を向いたフェースプレート5の平面状の表面が、充電挿入部40の上側を向いた面と実質的に平行になるように、充電挿入部40のホルダ45を設計することをさらに備えてもよいことが理解されよう。
【0101】
充電式聴覚機器1A、1Bのための第2の仮想モデル80を設計またはモデル化するプロセスにおいて、その構成要素、特に第2の充電素子4のための空間および配置/位置を割り当てることは、聴覚機器充電装置20のケーシング内の第1の充電素子22、23の意図された位置に関するデートを使用することを備え得ることが理解される。
【0102】
好ましくは、少なくとも充電ケーシング21は、標準化されたケーシングであってもよい。これにより、聴覚機器充電装置20の構成要素および充電式聴覚機器1A、1Bのレイアウトは、充電ケーシング21の既知の構成に対してカスタマイズされてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも第1の充電素子22、23の位置は、充電ケーシング21内の、固定された、標準化された位置にある。さらに他の実施形態では、聴覚機器充電装置20の構成要素の全てが標準化される。これにより、個別化すべき唯一の部品は、ホルダ45を備える充電挿入部40である。
【0103】
いくつかの実施形態では、本方法は、箱形の充電基部26と、充電基部26を覆うように構成され、第1の充電素子22、23が充電蓋27内に配置される充電蓋27と、を備える充電ケーシング21に適合するように、充電挿入部40を設計することを伴う。
【0104】
いずれの実施形態においても、充電素子22,23は第1の充電コイルであり、第2の充電素子4は第2の充電コイルである。この場合、第1及び第2の充電素子を位置合わせすることは、コイルの軸を位置合わせすることを意味する。
【0105】
ここで図2A図2Fを参照すると、これらの図は、充電式聴覚機器1A、1Bの第2の仮想モデル80、または充電式聴覚機器1A、1Bを表現するデータセットを提供する工程を示し、第2の仮想モデル80は、本発明による方法の実施形態で使用される。
【0106】
図2Aは、図1A図1Cまたは図4A図4Cに関連して示されるように提供される充電式聴覚機器1A、1Bの形状を表現する第1の仮想モデル70またはデータセットを示す。第1の仮想モデル70は、充電式聴覚機器1A、1Bのシェル1A´、1B´の形状を表現する、少なくとも上述の仮想モデル75またはデータセットと、第2の充電素子4の第1の仮想モデル70内の第2の充電素子位置4’と、ならびに、図2Bで示されるように、第1の充電素子22、23の計画された位置、第1の充電素子位置22´を備える。
【0107】
図2Bは、第1の充電素子位置22´、すなわち、聴覚機器充電装置20のケーシング21内の第1の充電素子22、23の位置の複製に対する、充電式聴覚機器1A、1Bの複製70、75の位置をモデル化することを示す。
【0108】
図2Cは、充電挿入部40内の充電式聴覚機器1A、1Bの複製、第1の仮想モデル70を示す。図2Cでは、充電挿入部40の充電式聴覚機器1A、1Bの複製についての、上部の描写は側面図であり、下部の描写は上方からの斜視図である。
【0109】
充電挿入部内での聴覚機器シェル1A´、1B´を表現する形状の配置は、聴覚機器シェル1A´、1B´の複製75または充電式聴覚機器1A、1Bの複製70を、聴覚機器充電装置20のケーシング21内のケーシングの壁および電子的構成要素の既知の位置に対して回転させることを備えていてもよい。この位置決めは、例えば、聴覚機器シェル1A´、1B´の複製75又は充電式聴覚機器1A、1Bの複製70を、聴覚機器充電装置20の全ての要素の既知の又は所望の位置に対して回転させることを備えていてもよい。
【0110】
図2Bに示すように、聴覚機器シェル1A´、1B´の複製75または充電式聴覚機器1A、1Bの複製70が充電挿入部40内に位置決めされた場合、ホルダ45は、図2Dに示すようにモデル化されてもよい。図2Dは、充電挿入部内の充電式聴覚機器の複製70と、充電挿入部40のホルダ部46をモデル化することを示す。モデル化することのこの部分は、完成した充電挿入部のホルダ45内の充電式聴覚機器1A、1Bのための余地を許容するために、キャビティ表面を作ることと、表面のホルダ部46をオフセットすることを伴う。
【0111】
したがって、本発明による方法では、充電挿入部40の第2の仮想モデルを提供することは、充電ケーシングの形状に関するデータに基づいてもよいことが理解されよう。上述のように、そのようなデータは、充電ケーシングのサイズおよび形状、ならびに上述の図6に関連して説明されるような、その中の構成要素のモデル化された位置に関する情報を備えていてもよい。したがって、本発明による方法では、充電挿入部40の第2の仮想モデルを提供することは、充電ケーシング21内の第1の充電コイル22、23の第1の位置に関するデータにさらに基づいてもよいことが理解されよう。
【0112】
本発明による方法において、充電挿入部40の第2の仮想モデルを提供することは、充電ケーシング21に対してホルダ45を所定の向きに割り当てることを備えることがさらに理解されよう。
【0113】
本発明に係る方法では、第1の充電素子22、23を第2の充電素子4と第1の関係に位置決めすることは、充電挿入部40が聴覚機器充電装置20の受け部29内に配置された場合、及び充電式聴覚機器1A、1Bが充電挿入部40内に配置された場合に、充電ケーシング21内の第1の充電素子22、23を充電式聴覚機器1A、1B内の第2の充電素子4と位置合わせする工程を備えることを、さらに理解されるであろう。
【0114】
図2Eは、充電挿入部のホルダ部46の修正された形状をモデル化することを示している。これは、仮想モデルからアンダーカットの体積/表面を除去することを伴ってもよい。図2Fは、斜視図において、充電挿入部40を形成する際に使用する充電挿入部40の完成した第2の仮想モデル80を示す。
【0115】
したがって、本発明による方法では、第2の仮想モデルを提供することは、充電式聴覚機器1A、1Bの対応する表面部分に一致する表面部分の少なくともサブセットを備えるホルダ45を設計することを備えていてもよいことが理解されよう。
【0116】
本発明による方法では、第2の仮想モデル80を提供することは、第2の仮想モデル80内のホルダ45のアンダーカットの表面を除去することを備えていてもよいことがさらに理解されよう。
【0117】
これらの工程のいずれかまたはすべては、好適なモデリングソフトウェアを使用してコンピュータ11で行われることが好ましい。従って、本発明による方法では、充電挿入部40の第2の仮想モデルを提供することは、充電挿入部の第2の仮想モデルをコンピュータ上でデジタル的に設計することを備えていてもよいことが理解されよう。
【0118】
ホルダ45を備えるカスタマイズされた充電挿入部40の第2の仮想モデル80が、上述したように提供されると、第2の仮想モデル80は、簡潔に上述したように、また図3E図3Fに例示されているように、例えば3D製造プロセスによって、充電挿入部40を形成または成形するために使用されてもよい。
【0119】
図3Eは、図3A又は図2A図2Fに示すように提供された第1の仮想モデル70に基づいて、例えば図3Dに示すようにカスタマイズされた充電式聴覚機器1A、1Dに適したカスタマイズされた充電挿入部40を表現する第2の仮想モデル80を提供することを示す。図3D(および図3A図3C)は、以下でさらに詳細に論じられる。
【0120】
ここで、図3Fに戻ると、この図は、例えば3Dプリンタ12において、図3Eに示すような第2の仮想モデルに基づいて、充電挿入部を形成することを示す。
【0121】
図3Gは、例えば図3Dに示されるカスタマイズされた充電式聴覚機器1A、1Bに適し、聴覚機器充電装置20のケーシング21に取り付ける準備が整った、完成したカスタマイズされた充電挿入部40を示す。
【0122】
次に、図3A図3Dに戻ると、これらの図は、カスタマイズされた充電式聴覚機器1A、1Bのセットを形成することを示す。
【0123】
図3Aは、例えば、充電式聴覚機器1A、1Bの、例えば図1A図1Cに関連して上述した、第1の仮想モデル70を提供することを示す。
【0124】
図3Bは、例えば3Dプリンタ12において、充電式聴覚機器1A、1Bのシェル部1A´、1B´を形成することを示す。聴覚機器シェル1A´、1B´を形成する他の方法が代わりに使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0125】
図3Cは、ユーザの左右の外耳道のためにそれぞれカスタマイズされた、完成した聴覚機器シェル部1A´、1A´を示す。
【0126】
聴覚機器シェル部1A´、1B´が提供されると、図5に関連して上述したような様々な構成要素が聴覚機器シェル部1A´、1B´に取り付けられてもよい。図3Dは、カスタマイズされた充電式聴覚機器のセットを示し、第2の充電素子4を含むそれらの構成要素が、図3Cに示される聴覚機器シェル部1A´、1B´の各々に取り付けられている。
【0127】
図4Aは、部分断面図で、補聴器などの聴覚機器の(将来の)ユーザの耳および外耳道ECと、外耳道の一部の外耳道インプレッション8と、を示す。図において、参照符号Pは、ユーザの耳の耳介である。ECは断面で示されている外耳道で、Tはユーザの耳の鼓膜を指す。外耳道インプレッション8は、聴覚機器、例えば補聴器がそのような装置の使用中に配置されるような位置において、外耳道ECの内側に配置されて示されている。
【0128】
外耳道インプレッション8は、個別化された聴覚機器1A、1Bを製造するために、公知のプロセスにおいて使用され得る。
【0129】
聴覚機器1A、1Bは、例えば、難聴と診断された人々のための処方補聴器であってもよいが、本発明は、使用中にユーザの外耳道に配置されるように構成された他のタイプの聴覚機器の充電に関連して使用されてもよい。
【0130】
今日、カスタマイズされた補聴器のための補聴器シェルは、外耳道のキャスト、すなわち、図4Aに示されるような外耳道インプレッション8のデジタル3Dスキャンから作製される。
【0131】
図4Aは、ユーザの1つの耳および外耳道EC、この場合は右耳および外耳道ECを示す。ユーザが左耳および左耳道を有してもよいことは明らかである。図4Aでは、右外耳道ECの外耳道インプレッション8が、右外耳道EC内の所定位置に示されている。当業者であれば、ユーザの反対側の外耳道についても同様のインプレッションを作製できることを理解するであろう。
【0132】
外耳道インプレッション8は、カスタマイズされた/個人化された/個別化された聴覚機器を購入することを必要とするか、または望むユーザの外耳道に、キャスティング材料、典型的には生体適合性のシリコーンベースの材料を注入することによって作製される。
【0133】
生体適合性のシリコーンベースの材料は、ユーザの外耳道の内側で少なくとも部分的に硬化するが、外耳道インプレッション8は、それによって、外耳道ECの形状に一致する形状に形成される。典型的には、生体適合性シリコーンベースの材料はまた、外耳道インプレッションがまた、ユーザの耳株の形状を反映するように、ユーザの耳株を覆うように作製される。これにより、外耳道インプレッション8(下記参照)に基づいて、聴覚機器1A、1Bは、ユーザの耳株にも適合するように成形することができ、これは、その回転方向に関して聴覚機器1A、1Bを外耳道内に正確に挿入することを助ける。
【0134】
材料が硬化すると、外耳道インプレッション8がユーザの外耳道ECから除去され、図4Cに示すコンピュータ上の適切な3Dモデリングソフトウェアの助けによる、オペレータによって実行されるモデル化段階で使用するために、図4Bに示すように、外耳道インプレッション8のデジタル3Dスキャンが行われる。
【0135】
図4Bは、図4Aに示す耳の外耳道ECの外耳道インプレッション8を3Dスキャンすることを示す。図4Aに示される外耳道ECのインプレッションの代わりに、またはそれに加えて、反対側の外耳道のインプレッションが同様に提供されてもよいことは明らかである。
【0136】
モデル化段階において、聴覚機器シェル1A´、1B´の形状は、スキャンすることからのデータに基づいて決定される。外耳道インプレッション8が外耳道(または少なくともその適切な部分)のソリッドモデルである場合、聴覚機器シェル1A´、1B´は、中空構造であり、ユーザの外耳道に適合する形状を有する外面と、充電式聴覚機器1A、1Bの様々な構成要素のための内部空間と、を有する。
【0137】
モデル化段階では、完成した装置(聴覚機器)に必要とされる電子的構成要素、例えば、スピーカ(しばしばレシーバと呼ばれる)、充電式バッテリ、マイクロフォン等の位置が、完成した聴覚機器1A、1Bの設計/レイアウトを提供する3Dデータファイルに定義(計画)される。
【0138】
したがって、モデル化段階では、電子的構成要素の形状および聴覚機器シェル内部の電子的構成要素および他の部品の位置/配置が計画/設計される。
【0139】
1人のユーザの外耳道の形状は、他の人の外耳道の形状とは大きく異なっているかもしれず、1人のユーザの2つの外耳道の形状も異なっているかもしれない。したがって、内部構成要素のために利用可能な空間は、ある聴覚機器と別の聴覚機器の間で変化するかもしれず、したがって、個々の聴覚機器内の内部構成要素の位置/配置も変化し得る。
【0140】
将来の聴覚機器1A、1Bの各々のレイアウトが計画される際に、各聴覚機器シェル1A´、1B´は、図3Bに示すように、典型的には3Dプリンタで製造される。聴覚機器シェル1A´、1B´は、上述したように、モデル化段階において、上述したコンピュータ内で作成された3Dデータファイル内の設計から直接的に製造されてもよい。
【0141】
聴覚機器シェル1A´、1B´の各々は、現在の生体適合性および医療グレードの要件および規制の下で、ユーザの外耳道ECに挿入するのに適しているように、生体適合性材料で製造されてもよく、または後処理されてもよい。使用される材料は、完成した聴覚機器1A、1Bをユーザの外耳道EC内に容易に挿入できるように、また、聴覚機器が例えば使用中の顎の動きに適応できるように、柔軟/弾性であってもよい。
【0142】
外耳道インプレッション8は、しばしば、後の再生産および文書化などのために記録上に保持される。
【0143】
図4A図4Cは、外耳道のキャスト(外耳道インプレッション)を使用し、キャストを3Dスキャンすることによって、ユーザの外耳道の形状に関する個別化された情報を取得する1つの方法を示す。ユーザの外耳道ECの形状(および場合によってはユーザの耳株の形状)に関するデータ/情報は、さらなる処理のためにコンピュータに転送される。
【0144】
したがって、図4Aは、外耳道ECのインプレッションを取得する工程Aを示す。図4Bは、外耳道の形状をデジタル化する工程Bを示す。図4A図4Bは、したがって、聴覚機器1A、1Bを充電するように構成された聴覚機器充電装置20内で個別的に成形された聴覚機器1A、1Bを保持するホルダ40を製造する方法において、ユーザの外耳道の少なくとも一部の形状を決定する、組み合わせた工程も示す。
【0145】
原則として、この形状データ/情報は、例えば外耳道を3Dスキャンすること、例えばユーザの外耳道の一部を光学的にスキャンすることによって、他の方法で取得されてもよい。
【0146】
上述したように、図3Aは、コンピュータ11を使用して、1つまたは複数の聴覚機器1A、1Bを設計/計画するために、工程Cで取得された形状データがどのように使用されるかを示す。
【0147】
図3B図3Dは、コンピュータ11に記憶された形状データ8´を使用して、聴覚機器1A、1Bを形成する公知のプロセスの3つの工程を示す。
【0148】
図3E図3Gは、聴覚機器充電装置30内に聴覚機器1A、1Bを受け入れるためのホルダ45を備える少なくとも1つの充電装置挿入部40を形成するプロセスの実施形態の3つの工程を示す。
【0149】
上述した全ての場合において、3D製造プロセスは、図に示されているような3Dプリンタ12において成形することの代わりに、材料のブロックから材料をミリングすることによって、材料のブロックから、ホルダ45を備える充電挿入部40を成形することを伴ってもよい。
【0150】
図面および上記の説明は、単純かつ概略的な方法で例示的な実施形態を示したことに留意されたい。当業者はこれらの詳細に精通しているはずであるので、特定の機械的詳細の多くは示されていない。
【0151】
特定の特徴が示され、説明されてきたが、それらは、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図しておらず、特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正がなされ得ることが、当業者には明らかとなることが理解されるであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。特許請求の範囲に記載された発明は、全ての代替物、修正物、および均等物を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0152】
P:ユーザの耳株、EC:ユーザの外耳道、T:ユーザの鼓膜、1:聴覚機器HI、1A:聴覚機器、左聴覚機器(左HI)、電子機器を備えるHIシェル、1A´:左聴覚機器シェル、(左HIシェル)、1B:聴覚機器、右聴覚機器(右HIシェル)、電子機器を備えるHIシェル、1B´:右聴覚機器シェル(右HIシェル)、4:第2充電素子、充電式聴覚機器の充電素子、5:フェースプレート、6:聴覚機器電子機器、7:充電式セル、8:外耳道インプレッション、8':ユーザの外耳道の一部の形状を表現するデータセット、外耳道部分の仮想複製、外耳道部分の仮想モデル、9:レシーバ、10:3Dスキャナ、11:キーボード、マウス、適切な3Dモデリングソフトウェアを備えるPC、12:3Dプリンタ、20:聴覚機器充電装置/HI充電装置、21:充電ケーシング、22:第1の充電コイル、右聴覚機器のための聴覚機器充電装置の充電コイル、23:第1の充電コイル、左聴覚機器のための聴覚機器充電装置の充電コイル、24:聴覚機器充電装置の充電電子機器を充電コイルに接続するケーブル、25:充電電源、26:充電ケーシング基部、27:充電蓋、28:充電装置の電子的構成要素、29:充電ケーシングの受け部、リム、40:充電挿入部、41:充電挿入部のプレート部、45:充電式聴覚機器を受け入れるためのホルダ、46:充電挿入部のホルダ部、50:アンダーカットを除去するためにインレーに追加される体積、51:アンダーカットの表面、70:第1の仮想モデル、充電式聴覚機器の仮想モデル、充電式聴覚機器を表現するデータセット、80:第2の仮想モデル、充電挿入部の仮想モデル、充電挿入部を表現するデータセット、100:システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】