(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093313
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】X線分析装置のためのサンプルマウントシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 23/20008 20180101AFI20220616BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
G01N23/20008
G01N1/28 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021200677
(22)【出願日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】20213623.0
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503310327
【氏名又は名称】マルバーン パナリティカル ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ボクセム,ヤープ
(72)【発明者】
【氏名】ベッケルス,デトレフ
【テーマコード(参考)】
2G001
2G052
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA18
2G001CA01
2G001QA02
2G052AD52
2G052DA33
2G052GA19
(57)【要約】
【課題】 X線分析装置のためのサンプルマウントシステムを提供すること。
【解決手段】 サンプルマウントシステムが、サンプルホルダーと、サンプルホルダーを支持するためのプラットフォームを有するサンプルステージとを含む。サンプルを、マウントによってサンプルホルダーに固定することができる。サンプルホルダーは、ホルダー基準部分を含み、ホルダー基準部分は、対応するサンプルステージの基準部分(ステージ基準部分)と協働して、サンプルホルダーをサンプルステージと整列させる。ステージ基準部分及びホルダー基準部分が互いに係合するようにサンプルホルダーがプラットフォーム上に置かれると、サンプルホルダーはサンプルステージと整列する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線分析装置のためのサンプルマウントシステムであって、
マウントを含むサンプルホルダーであり、前記マウントは、前記サンプルホルダーの上面にサンプルを固定し、前記サンプルホルダーは、ホルダー基準部分をさらに含む、サンプルホルダーと、
前記サンプルホルダーを支持するためのプラットフォームを含むサンプルステージであり、前記サンプルホルダーを前記プラットフォーム上に位置づけるために前記ホルダー基準部分と協働するためのステージ基準部分を含むサンプルステージと、
を含み、
前記サンプルホルダー及び前記サンプルステージは、前記ステージ基準部分及び前記ホルダー基準部分が互いに係合するように前記サンプルホルダーが前記プラットフォーム上に置かれる整列構成を有する、サンプルマウントシステム。
【請求項2】
前記サンプルホルダーは中心軸を有し、前記整列構成において、前記ステージ基準部分及び前記ホルダー基準部分の係合が前記中心軸を中心とした前記サンプルホルダーの回転を制限するか又は防ぐように前記サンプルホルダーを保持するように、前記ステージ基準部分及び前記ホルダー基準部分は構成されている、請求項1に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項3】
前記ホルダー基準部分が突出部であり、前記ステージ基準部分が、前記突出部を受けるための凹部であるか、又は
前記ステージ基準部分が突出部であり、前記ホルダー基準部分が、前記突出部を受けるための凹部である、
請求項1又は請求項2に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項4】
前記サンプルホルダーは中心軸を有し、前記サンプルステージは、
前記プラットフォームを含むベースと、
前記ステージ基準部分を含む基準アセンブリと、
を含み、
前記基準アセンブリは前記プラットフォームに面するように配置され、前記整列構成において、前記ステージ基準部分は前記ホルダー基準部分と係合する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項5】
前記ホルダー基準部分及び/又は前記ステージ基準部分は、傾斜した壁を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項6】
前記ステージ基準部分は、前記基準アセンブリに取り付けられたベアリングを含み、前記ホルダー基準部分は、前記サンプルホルダーの上面において、前記ベアリングを受けるためのノッチを含む、請求項4に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項7】
前記凹部は、傾斜した壁を含む、請求項3乃至6のいずれか一項に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項8】
前記凹部は、湾曲した側壁を有する、請求項7に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項9】
前記サンプルホルダーは、複数のホルダー基準部分を含み、前記サンプルステージは、複数の対応するステージ基準部分を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項10】
前記サンプルホルダーは、
周縁部を有する本体と、
ホルダー整列部分と、
をさらに含み、
前記ホルダー整列部分は、前記周縁部から内部へ延びる凹部、又は、前記周縁部から外部へ延びる突出部である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項11】
前記サンプルステージに前記サンプルホルダーを積むためのサンプルチェンジャーをさらに含み、前記サンプルチェンジャーはチェンジャー整列部分を含み、前記ホルダー整列部分及び前記チェンジャー整列部分は、前記サンプルホルダーが前記サンプルチェンジャーと整列した向きにあるときに、互いに係合するように構成されている、請求項10に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項12】
前記ホルダー整列部分は突出部であり、前記チェンジャー整列部分は、前記突出部を受けるための凹部である、請求項11に記載のサンプルマウントシステム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のサンプルマウントシステムにサンプルをマウントする方法であって、
前記サンプルホルダーを前記プラットフォームの上に配置するステップと、
前記サンプルホルダーを前記ステージ基準部分に向かって動かして、前記ステージ基準部分及び前記ホルダー基準部分を接触させるステップと、
前記ホルダー基準部分を介して前記ステージ基準部分に力を加えて、前記サンプルホルダーを前記整列構成まで動かすステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記サンプルマウントシステムが、請求項11に記載のサンプルマウントシステムであり、前記方法は、
前記ホルダー整列部分の位置が前記チェンジャー整列部分の位置に対応するように前記サンプルホルダーを置くことによって、前記サンプルホルダーが整列向きにあるように、前記サンプルホルダーの向きを前記サンプルチェンジャーと整列させるステップと、
前記サンプルホルダーが前記整列向きにある状態で、前記サンプルホルダーを前記サンプルチェンジャー内に挿入するステップと、
前記サンプルホルダーを前記プラットフォームに積むステップと、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ホルダー整列部分はフランジであり、前記チェンジャー整列部分は、前記フランジを受けるための凹部であり、前記整列向きで前記サンプルホルダーを前記サンプルチェンジャー内に挿入するステップは、前記フランジを前記凹部に挿入することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばX線回折分析、X線蛍光分析、X線コンピュータ断層撮影、又はX線散乱分析によって等、X線分析によって材料サンプルを分析する分野に関する。より具体的には、本発明は、X線分析装置において使用するためのサンプルマウントシステム、サンプルマウントシステムを含むX線分析装置、及びサンプルマウントシステムを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料科学の分野では、X線分析を使用して材料サンプルを特徴づけることができる。X線分析装置は、典型的には、X線源、サンプルステージ、及びX線検出器を含む。X線源は、サンプルを照射するように配置され、X線検出器は、サンプルによって放出又は散乱されたX線を検出するように配置される。この分析の間、サンプルは、X線分析装置に配置されたサンプルホルダーにおいて保持又は含有される。
【0003】
サンプルは、X線検出器により測定されたX線強度ピークの大きさ及び/又は位置を測定することによって分析される。信頼できる結果を得るためには、X線分析装置が適切に整列させられていることが重要である。例えば、反射配置で実行されるX線回折分析によってサンプルを分析する場合、回折ピーク位置は、サンプル表面の高さに感受性がある。サンプルが角度計の中心から移された場合、回折したX線は、異なる2θ角度に対応する位置においてX線検出器によって受けられる。従って、回折ピークはシフトしているように見え、サンプルの特徴づけにおいてエラーをもたらす可能性がある。
【0004】
場合によっては、サンプルの結果を、1つ又は複数の参照基準を使用して得られた結果に比較することによってX線分析を実行することが所望される。同様に、このタイプの分析では、反復可能な様式でサンプルが確実に配置されることが所望される。
【0005】
サンプルの誤配置に関連するあり得るエラーを低減/回避することが所望されるであろう。最小限のオペレータ入力を容易にすることも所望されるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様では、X線分析装置のためのサンプルマウントシステムが提供され、当該サンプルマウントシステムは:
マウントを含むサンプルホルダーであり、マウントは、サンプルホルダーの上面にサンプルを固定し、サンプルホルダーは、ホルダー基準部分をさらに含む、サンプルホルダーと、
サンプルホルダーを支持するためのプラットフォームを含むサンプルステージであり、サンプルホルダーをプラットフォーム上に位置づけるためにホルダー基準部分と協働するためのステージ基準部分を含むサンプルステージと、
を含み、
サンプルホルダー及びサンプルステージは、ステージ基準部分及びホルダー基準部分が互いに係合するようにサンプルホルダーがプラットフォーム上に置かれる整列構成を有する。
【0007】
ステージ基準部分及びホルダー基準部分が係合するように、サンプルホルダーがプラットフォーム上に置かれるときは、サンプルステージ及びサンプルホルダーは整列させられる。サンプルホルダー及びサンプルステージが整列構成にあるときにそれらが係合する配置を提供することによって、サンプルステージ上でのサンプルホルダーの反復可能な配置が容易になる。
【0008】
サンプルホルダー及びサンプルステージが整列させられていない場合、ホルダー基準部分及びステージ基準部分は、互いに係合することができず、それによって、不正確に整列した測定及び分析が行われることを防ぐのを支援する。
【0009】
ステージ基準部分がホルダー基準部分と係合/結合する場合、サンプルホルダーの向きを固定することができる。或いは、サンプルホルダーは、その向きを自由に変更することができる。
【0010】
ステージ基準部分及びホルダー基準部分は、プラットフォーム上のサンプルホルダーに対する正確な位置(座位及び/又は向き)をユーザが決めるのを支援することができる。
【0011】
1つ又は複数のホルダー基準部分は、例えば、サンプルホルダーの上面(すなわち、サンプルがマウントされる表面)、及び/又は底部(上面とは反対の表面)、及び/又は少なくとも1つの側面等、サンプルホルダーの任意の表面に設けられてもよい。同様に、1つ又は複数のステージ基準部分は、サンプルホルダーを整列させるためにホルダー基準部分と係合するのに適した任意の位置に設けられてもよい。例えば、ホルダー基準部分がサンプルホルダーの底部に設けられた場合、ステージ基準部分は、サンプルホルダーの上ではなく、サンプルホルダーの下に(底部と同じサンプルホルダーの側)に配置されてもよい。
【0012】
サンプルホルダーは中心軸を有してもよく、整列構成において、ステージ基準部分及びホルダー基準部分の係合がサンプルホルダーを保持し、その中心軸を中心としたサンプルホルダーの回転を制限する及び/又は防ぐようにステージ基準部分及びホルダー基準部分は構成されてもよい。一部の実施形態において、ステージ基準部分がホルダー基準部分と係合/結合する場合、サンプルホルダーは、サンプルホルダーの向きが調整可能であるように、その中心軸を中心として回転してもよい。一部の他の実施形態では、プラットフォームに対するサンプルホルダーの向きは、制限又は固定されてもよい。例えば、ステージ基準部分及びホルダー基準部分の係合は、その中心軸を中心としたサンプルホルダーの回転を制限する又は防ぐことができる。
【0013】
マウントは、サンプルを含有するためのサンプル容器をサンプルホルダーに固定するように構成されてもよい。マウントは、キャピラリー等のサンプル容器をサンプルホルダーの上に取り付けるための機構であってもよい。或いは、マウントは、サンプルホルダーの上にサンプルを保持するための本体、又はサンプルホルダー内のキャビティであってもよい。例えば、サンプルを、(例えば、反射配置におけるXRF分析若しくはXRD分析に対して)サンプルホルダーのキャビティにおいて又はプレートの上で保つことができるか、又は、(例えば、透過配置におけるX線分析に対して)2つのフォイル間で含有することができる。使用される特定の容器は、部分的に、実行されることになるX線分析測定のタイプ及び分析されることになるサンプルのタイプに依存することになる。
【0014】
一部の実施態様において、ホルダー基準部分が突出部であり、ステージ基準部分が、突出部を受けるための凹部であるか、又は、ステージ基準部分が突出部であり、ホルダー基準部分が、突出部を受けるための凹部である。
【0015】
凹部は、突出部を受けるのに適した任意の形状のものであってもよい。一部の実施形態において、凹部は、ノッチ又は溝であってもよい(すなわち、細長いものであってもよい)。溝は、直線的であってもよく又は湾曲していてもよい。好ましい実施形態において、凹部及び突出部は、傾斜した壁を有してもよい。
【0016】
一部の実施形態において、サンプルホルダーは中心軸を有し、サンプルステージは:
プラットフォームを含むベース;及び
ステージ基準部分を含む基準アセンブリ;
を含んでもよく、
基準アセンブリはプラットフォームに面するように配置され、整列構成において、ステージ基準部分はホルダー基準部分と係合する。
【0017】
サンプルマウントシステムは、サンプルホルダーをその中心軸を中心として回転させるための回転機構を含んでもよい。回転機構は、オペレータがサンプルホルダーの向きを調整するのを可能にしてもよい。すなわち、ステージ基準部分及びホルダー基準部分が係合するときにサンプルホルダーがその中心軸を中心として自由に回転するようにステージ基準部分及びホルダー基準部分が形作られる場合、サンプルホルダー及びサンプルステージが整列構成にある間、サンプルホルダーはその中心軸を中心として自由に回転する。従って、回転機構は、サンプルホルダー及びサンプルステージが整列構成にある間に、オペレータがサンプルホルダーの向きを調整するのを可能にし得る。
【0018】
ホルダー基準部分及び/又はステージ基準部分は、傾斜した壁を含んでもよい。
【0019】
傾斜した壁は、基準部分が「自己整列」するように、基準部分が整列するのを支援し得る。例えば、ステージ基準部分及びホルダー基準部分が互いに近づけられると、傾斜した壁は、整列構成の位置決めを支援することができる。
【0020】
ステージ基準部分は、基準アセンブリに取り付けられたベアリングを含んでもよく、ホルダー基準部分は、サンプルホルダーの表面において、ベアリングを受けるためのノッチを含んでもよい。
【0021】
基準アセンブリは、サンプルホルダーの上方に配置されなくてもよい。その場合、ノッチは、サンプルホルダーの上面になくてもよい。代わりに、サンプルホルダーの別の表面(例えば、サンプルホルダーの底部等)にあってもよい。
【0022】
ノッチがベアリングを受けることができる限り、ノッチの形状は、ベアリングの形状とは異なってもよい。ベアリングは、ローラーベアリング又はボールベアリングであってもよい。
【0023】
ホルダー基準部分又はステージ基準部分のいずれかが、凹部(すなわち、それぞれステージ基準部分又はホルダー基準部分上の対応する突出部を受けるためのもの)を含む場合、凹部は傾斜した壁を含んでもよい。
【0024】
凹部の壁を、例えば20度から60度等、80度未満の角度で傾斜させることができる。傾斜した壁間の角度は鈍角であってもよい。従って、凹部の幅は深さと共に減るため、凹部は、先細のキャビティを形成することができる。凹部がノッチである場合、壁は、ノッチの底部に対して傾斜してもよい。凹部が溝である場合、溝が断面において三角形に見えるように、第1及び第2の側壁は、溝の底面の頂点において出会ってもよい。
【0025】
凹部は、湾曲した壁を含んでもよい。
【0026】
サンプルホルダーは、複数のホルダー基準部分を含んでもよく、サンプルステージは、複数の対応するステージ基準部分を含んでもよい。ホルダー基準部分及びステージ基準部分の量は、必ずしも等しくある必要はない。
【0027】
サンプルマウントシステムは、複数の対のそれぞれの基準部分(すなわち、複数の対のホルダー基準部分及びステージ基準部分)を含んでもよい。
【0028】
サンプルホルダーは:
周縁部を有する本体;及び
ホルダー整列部分;
をさらに含んでもよく、
ホルダー整列部分は、周縁部から内部へ延びる凹部、又は、周縁部から外部へ延びる突出部である。
【0029】
ホルダー整列部分は、ユーザがサンプルホルダーを手動で予め置くのを視覚的に支援し、それによってサンプルホルダー及びサンプルステージの適切な整列を確実にすることができるため、ステージ基準部分及びホルダー基準部分は互いに係合し、分析のためのサンプルを正確に置いている。ホルダー整列部分はまた、サンプルをプラットフォーム上に積むために、ユーザがサンプルホルダーをサンプルチェンジャーと整列させるのを支援することができる。
【0030】
サンプルマウントシステムは、
サンプルステージにサンプルホルダーを積むためのサンプルチェンジャーをさらに含んでもよく、サンプルチェンジャーは、チェンジャー整列部分を含み、ホルダー整列部分及びチェンジャー整列部分は、サンプルホルダーがサンプルチェンジャーと整列した向きにあるときに、互いに係合するように構成されている。
【0031】
ホルダー整列部分は突出部であってもよく、チェンジャー整列部分は、突出部を受けるための凹部であってもよく、又はその逆であってもよい。
【0032】
本発明の一態様では、上記のサンプルマウントシステムにサンプルをマウントする方法が提供され、当該方法は:
サンプルホルダーをプラットフォームの上に配置するステップ;
サンプルホルダーをステージ基準部分に向かって動かして、ステージ基準部分及びホルダー基準部分を接触させるステップ;及び
ホルダー基準部分を介してステージ基準部分に力を加えて、サンプルホルダーを整列構成まで動かすステップ;
を含む。
【0033】
当該方法は:
ホルダー整列部分の位置がチェンジャー整列部分の位置に対応するようにサンプルホルダーを置くことによって、サンプルホルダーが整列向きにあるように、サンプルホルダーの向きをサンプルチェンジャーと整列させるステップ;
サンプルホルダーが整列向きにある状態で、サンプルホルダーをサンプルチェンジャー内に挿入するステップ;及び
サンプルホルダーをプラットフォームに積むステップ;
をさらに含んでもよい。
【0034】
サンプルチェンジャーは、自動サンプルチェンジャーであってもよく、当該方法は、サンプルホルダーが整列向きでサンプルチェンジャーに挿入されたときに、サンプルチェンジャーが、整列構成に対応する位置においてサンプルホルダーをプラットフォームに積むように、サンプルチェンジャーをサンプルステージと予め整列させるステップをさらに含んでもよい。
【0035】
ホルダー整列部分はフランジであってもよく、チェンジャー整列部分は、フランジを受けるための凹部であってもよく、整列向きでサンプルホルダーをサンプルチェンジャー内に挿入するステップは、フランジを凹部に挿入することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
次に、本発明の実施形態が、添付の図面を参照して、例として記載される。これらの図は概略図であり、縮尺通りに描かれていないことに留意するべきである。これらの図の部分の相対的な寸法及び割合は、図面における明瞭さ及び便宜のために、サイズが誇張されて又は縮小されて示されている。
【
図1】本発明の一実施形態による、X線分析装置のためのサンプルマウントシステムの概略断面図である。
【
図2】
図1の実施形態において使用するための代替のサンプルホルダーの概略平面図である。
【
図3】本発明の実施形態において使用するための様々なステージ基準部分及びホルダー基準部分の概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるサンプルホルダーの概略斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態におけるホルダー基準部分とステージ基準部分との相互作用を例示した図である。
【
図6】
図4のサンプルホルダーを含む一実施形態の概略斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、サンプルマウントシステムのサンプルチェンジャーの概略平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、サンプルマウントシステムを使用する方法を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
典型的には、X線分析装置は、X線源、X線検出器、及びサンプル支持体を含み、また、X線検出器及び/又はX線源の角度位置を決定するために、角度計を含んでもよい。
図1は、本発明の一実施形態による、X線分析装置のためのサンプルマウントシステム10の概略図を示している。
【0038】
サンプルマウントシステム10は、サンプルホルダー1と、サンプルホルダー1を支持するためのプラットフォーム7を有するサンプルステージ3とを含む。この実施形態において、サンプルは、キャピラリー5に含有され、キャピラリー5は、サンプルホルダー1の上面でマウント9によってサンプルホルダーに固定される。サンプルステージ3はまた、サンプルホルダー1の上面が基準アセンブリ11に面するように、ベース8と、ベース8の上方に配置された基準アセンブリ11とを含む。サンプルステージ3は、ベース8に統合された回転機構17をさらに含む。回転機構17は、サンプルホルダーがプラットフォーム7上にあるときに、サンプルホルダー1をその中心Z軸19を中心として回転させるように構成される。回転機構は、その中心の長手方向軸(
図1におけるX方向)に沿ってキャピラリーを回転させるように構成することもできる。
【0039】
矢印によって例示されているように、プラットフォーム7の高さを調整して、基準アセンブリ11に対するサンプルの位置を変更する(すなわち、Z軸に沿ったサンプルの位置を変更する)ことができる。これは、例えば、サンプルを交換するときに、ユーザがサンプルホルダー1を便利に交換するのを可能にするのに寄与することができる。サンプルマウントシステム10が、角度計を含むX線装置において使用される場合、サンプルマウントシステム10は、角度計の円の中心に位置する。次に、基準アセンブリ11が所定の位置において固定され、Z軸に沿ったプラットフォーム7及び/又はサンプルホルダー1の位置を調整するときに参照する便利な基準点を提供する。
【0040】
Z軸に沿ってサンプルホルダー1を整列させることに加えて、他の方向においてサンプルホルダー1を位置づける及び/又は方向づけることができることが有用であるということを本発明者等は理解している。すなわち、高さ方向に垂直な面において(すなわち、X方向及び/又はY方向に沿って)、便利で反復可能な様式でサンプルホルダー1を置くことができることが有用である。X-Y平面において、反復可能な様式でサンプルホルダー1を位置づけるだけでなく、反復可能な様式でサンプルホルダー1を方向づけること(すなわち、基準方向に対して、中心のZ軸を中心としたサンプルの回転を低減させる/回避すること)も有用であり得る。
【0041】
入射ビーム経路に沿った方向におけるサンプルホルダー(従ってサンプル)の変位は、測定された回折ピークの位置の見かけ上のシフトをもたらす可能性がある。
図1を参照すると、ビーム経路に沿った変位は、Y方向における変位であるか、又は、入射ビーム経路がX-Y平面においてある場合は、ビーム経路に沿った変位は、Y方向の入射ビーム経路の成分に沿った方向における変位である。見かけ上のシフトとは、同じサンプルがその後の測定において分析された場合に測定された回折ピークの位置の変化を指し、サンプルは2つの測定間で変位される。すなわち、サンプルが第一に最初の位置において分析され、次に、Y軸に沿って変位され、さらに変位された位置で再度分析された場合、変位された位置において得られた回折ピークは、サンプルホルダー1が元の位置にある状態で得られた回折結果と比較して、シフトしているように見える。加えて、変位の結果としてピークがシフトする量は、回折角と共に変わる。わずか数十マイクロメートル(例えば100μm)のサンプルの変位によって、ピークシフトが生じる可能性がある。回折ピークの位置は、サンプル内に存在する成分/結晶相を特定するために使用されるため、ピーク位置のシフトは、回折分析の結果を正確に解釈することをより困難にする可能性がある。これは、一般的に、測定データが基準と比較されて、サンプル内に存在する成分/結晶相を特定するあらゆる用途で問題とされている。例えば、これは、結果をX線回折パターンのデータベースと比較することによって回折分析が行われる場合又は基準標準を使用する場合に問題とされる可能性がある。従って、サンプルホルダーは、反復可能な様式でプラットフォーム上に置かれることが所望される。
【0042】
これは、透過配置で実行されるX線分析に対して問題とされているだけではない。例えば、反射モードで実行されるX線回折分析に対して、又は、サンプルのX線蛍光(XRF)分析に対して、照射される表面の一部のみを照射することが所望される場合には、X-Y面(例えば、照射されるサンプルの表面の平面等)におけるサンプルの位置が重要である。例えば、照射される表面の平面における位置決めは(サンプルが反射配置又はXRF分析に対してマウントされる場合、照射される表面は、
図1におけるX-Y平面にある)、(不均質な)サンプルのある特定の部分のみが分析されることを確実にするために必要とされ得る。
【0043】
正確で再現性のあるサンプルの位置決めは、X線コンピュータ断層撮影(CT)測定が行われる場合にも問題とされる可能性がある。CT測定に対して、典型的には、サンプルを透過した強度が、2D検出器によって測定される。(例えば、z軸を中心としてサンプルを回転させることにより)サンプルの多くの向きに対して強度を測定し、再構成アルゴリズムを使用することによって、サンプルの3D形態学的構造を得ることができる。正確で再現性のあるサンプルの位置決めは、特に分析者がCTデータを、サンプルの部分におけるXRD又はXRF測定からのデータと相関させたい場合に問題とされる。同様に、分析者がCTデータを、同じサンプルにおける任意の他の分析と相関させたい場合、及び、サンプルを測定間に動かす又は再度マウントする必要がある場合、例えばいくつかのサンプルがサンプルチェンジャーを用いてバッチで測定される場合にも、正確で再現性のあるサンプルの位置決めが問題とされる。回転面における再現性のあるマウントも、いくつかのCT測定を合併させなければならない場合に必要である。これは、例えば、サンプルが大きすぎて単一のCTスキャンで十分な分析ができない場合に必要となる可能性がある。
【0044】
加えて、X-Y平面におけるサンプルの回転は、XRD、CT、及び/又はXRF分析の結果を正確に解釈することをより困難にし得る。透過配置で実行されるXRD測定では、照射される表面が入射X線ビームに垂直であるようにサンプルを配置することができる。サンプルが回転される場合、サンプルの一部が、その最初の位置と比較して、X線検出器に比較的近くに置かれてもよく、サンプルの別の部分が、X線検出器から比較的離れて置かれてもよい。これは、サンプルの一部からの回折が比較的高い角度で検出され、サンプルの他の部分からの回折が比較的低い角度で検出されることを意味する。従って、サンプルが回転向きにあるときに測定された回折ピークは、最初の位置のサンプルで測定された回折ピークよりも広く見える。従って、各測定に対して同じ向きでプラットフォーム上にサンプルホルダーを置くことができるということが所望される。
【0045】
本発明の実施形態において、サンプルマウントシステムは、ステージ基準部分13及びホルダー基準部分15を含み、これらは、サンプルホルダー及び基準アセンブリがX-Y平面において整列されるときに、互いに協働するように配置される。このようにして、ステージ基準部分13及びホルダー基準部分15は、プラットフォーム7上のサンプルホルダー1に対する正確な位置(座位及び/又は向き)をユーザが決めるのを支援することができる。
図1において、サンプルステージ3は、各々が突出部13である2つのステージ基準部分13と、2つの対応するホルダー基準部分15とを含む。ホルダー基準部分15は、ステージ基準部分15を受けるための凹部である。突出部13は、プラットフォーム7に向かって突出している。突出部13が凹部15と整列した状態でサンプルホルダー1がプラットフォーム7上に置かれている場合、突出部の先端が凹部の底部と接触するまで、プラットフォームを基準アセンブリ11に向かって動かすことによって、突出部13を凹部15と結合させることができる。この配置において、サンプルホルダー1は、整列した構成にある。サンプルホルダー1が基準アセンブリ11に対して特定の位置にある場合にのみホルダー基準部分15及び基準アセンブリ11が結合することができる配置を提供することによって、ユーザが反復可能な方法でサンプルホルダー1を置くのに寄与することができる。サンプルの反復可能な位置決めを支援することによって、サンプルマウントシステム10は、信頼できるX線分析結果を達成するのに寄与することができる。
【0046】
図1において例示されている実施形態において、ホルダー基準部分は、サンプルホルダーの上面に設けられているが、代わりに、異なる位置に設けられてもよい。同様に、ステージ基準部分は、サンプルホルダーの上面に面して、サンプルホルダーの上方に置かれる必要がある。例えば、ホルダー基準部分をサンプルホルダーの底部に設けることができ、ステージ基準部分をサンプルホルダーの下に配置することができる。
【0047】
図1において例示されている実施形態において、突出部及び凹部は、直方体形状である(それらは、断面で長方形として示される)。しかし、他の形状を使用することもできる。
図2は、
図1におけるホルダー基準部分15の、平面図での形状に対する様々な選択肢を示している。これらの凹部の各々を、対応する形状の突出部を有するサンプルホルダーと共に使用することができる。各例において、サンプルホルダー又は基準アセンブリは、凹部を含んでもよく、サンプルホルダー及び基準アセンブリのうちもう一方が、突出部(又は突起部)を含んでもよい。
【0048】
図2Aにおいて、ホルダー基準部分15は円形である。凹部が円形である場合、サンプルホルダー1がX-Y平面において基準アセンブリ11と整列させられると、突出部13は、任意の向きで凹部15と係合することができる。すなわち、突出部は、サンプルホルダー1が、その中心軸を中心として回転する間でさえも(すなわち、サンプルホルダーの向きが変化している間でさえも)基準アセンブリ11と係合することができる。突出部13も、形状が円形であってもよく、又は、円のセグメントであってもよい。いずれの場合においても、基準アセンブリ11と整列するようにサンプルホルダーがX-Y平面においてプラットフォーム上に置かれたときにのみ、突出部13及び凹部15は係合することができる。一部の実施態様において、基準アセンブリ11は、複数の同心円状の突出部又は突起部13を含んでもよく、サンプルホルダーは、突出部又は突起部13を受けるための複数の対応する円形の凹部15を含んでもよい。
【0049】
図2Bにおいて、サンプルホルダー1は複数の凹部を含み、その各々が円形セグメントである。この配置で使用することができる突出部(又は突起部)の一部の例は、円形突出部又は円形セグメントである。1つ又は複数の突出部が複数の異なるサンプルホルダーの向きで基準アセンブリと係合することができるように、パターンは、円形に対称であってもよい。別の例において、サンプルホルダーは、円形セグメントの凹部を含んでもよく、基準アセンブリ11は、より小さい円形セグメントの突出部又は突起部を含んでもよい(すなわち、セグメントはより小さい角度に対する)。この配置では、整列構成におけるサンプルホルダーの向きは制限され得る。
【0050】
図2Cにおいて、サンプルホルダーは、異なる形状を有する2つのホルダー基準部分を含む。基準アセンブリは、例えば、対応するパターンを有することができる。ホルダー基準部分の1つは直線的な突出部であり、もう一方は丸い小さな塊である。この配置で、サンプルホルダー及び基準アセンブリは、サンプルホルダーが1つの向きにある場合にのみ係合することができるため、整列構成において、サンプルホルダーの向きは制限される。
【0051】
ステージ基準部分及びホルダー基準部分は、一定の幅を有するように
図1において示されているけれども、各々が、一般的に、一定ではない幅を有してもよく、先細の輪郭を有してもよい。
図3は、断面における対応するステージ基準部分及びホルダー基準部分に対する一部の例となる輪郭を示している。
図3Aは、V字形の凹部15と共に、くさび形の突出部13を示している。V字形の凹部15は、凹部15の底部の頂点において出会う2つの側壁の間に画定されている。凹部は、溝であってもよく(すなわち、細長いものであってもよく)、又は、ノッチであってもよい(溝の幅は、溝の長さよりも大きくてもよい)。傾斜した壁は、整列構成の位置決めを支援することができる。特に、凹部及び突出部が共に押されると、傾斜した壁は、サンプルホルダーがステージ基準部分/ホルダー基準部分と自己整列するのに寄与し得る。
図3Bは、湾曲した底部を有する溝15と共に、丸い先端を有する突出部13を示している。
図3Cは、2つの傾斜した壁の間に画定される凹部15の別の例を示している。
【0052】
図3は、ホルダー基準部分及びステージ基準部分が同じ/類似の(すなわち、相補的な)形状を有する例を示しているけれども、これは必要ではない。基準部分が2つの対向する接触点において互いに接触する限り、ホルダー基準部分は、ステージ基準部分とは異なる形状を有してもよい。
【0053】
図4は、別の実施形態によるサンプルホルダー20を例示している。サンプルホルダーは、円形の底部21を有し、底部21の上面から突出する2つの壁部22を含む。2つの壁部は、互いに対向し、サンプルホルダー20の底部21を横切って直径方向に延びるチャネル23を画定している。マウント29は、チャネルを横切ってサンプル容器25を保持するように配置されている。壁部22は、サンプルホルダー20の周辺に配置されたノッチ35を含む。各ノッチ35は、半径方向に延びる底部を有する。各ノッチ35は、2つの壁の間に画定される。壁は、壁部の上面を含む平面に対して鋭角(例えば、約45度)で傾斜している。2つの壁の間の角度は、鈍角、すなわち90度以上であってもよい。傾斜した表面をノッチに提供することによって、ユーザが整列構成を位置決めするのを支援することができる。一実施形態において、サンプルホルダーは、3つのノッチ35に対応する1つ又は複数のくさび形の突出部又は突起部を含む基準アセンブリと共に使用される。好ましくは、基準アセンブリは、3つ以下の突起部を含む。代替的な実施形態において、基準アセンブリは、1つ又は複数の対応するベアリング(例えば、ローラーベアリング又はボールベアリング等)を含む。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態によるベアリング33とノッチ35との相互作用を例示している。X線分析装置による分析のために、サンプルホルダー1、20をサンプルステージ3の上に積むために、サンプルホルダーはプラットフォームの上に配置される。オペレータは、実行されることになるX線分析に応じて、ほぼ適切な向きでサンプルホルダーを置くことができる。すなわち、ノッチ35の位置がベアリング33の位置にほぼ(ただし、必ずしも正確ではなく)対応するように、オペレータは、サンプルホルダーをプラットフォームの上に配置することができる。次に、プラットフォームは持ち上げられて、サンプルホルダー1、20は基準アセンブリに向けられる。サンプルホルダーの上面がベアリング35に接触し、プラットフォームが基準アセンブリに向かって動かされるに従い、ベアリング35は回転し、結果として生じる力は、ノッチがベアリングを受ける位置にサンプルホルダーを押し込む(すなわち、サンプルホルダーは、整列構成まで動く)。このようにして、サンプルホルダー及び基準アセンブリは互いに協働して、サンプルホルダーを基準アセンブリとより精密に整列させる。これによって、より効率的な方法でサンプルのX線分析を実行することができるように、オペレータがサンプルホルダーを精密に整列させる時間を費やす必要性を回避することができる。加えて、X線装置とのサンプルホルダーの整列を容易にすることによって、X線分析結果の信頼性を損なうことなく、サンプルホルダーを便利に積むことができる。
【0055】
図6は、
図4のサンプルホルダーを、対応する基準アセンブリ31と共に示している。サンプルホルダー20は、プラットフォーム(図示せず)上に配置され、プラットフォームの下に配置された回転機構によって、その中心軸を中心として回転させることができる。基準アセンブリ31は、サンプルホルダー20の上面に接触するように配置された複数のステージ基準部分33を含む。ステージ基準部分33は、ベアリング(例えば、ローラーベアリング又はボールベアリング等)である。各ベアリングは、固定された中心軸を中心として回転可能な円筒形の本体を有する。
図6において示されているように、サンプルホルダー20及び基準アセンブリ31が整列される場合、ベアリングは、対応するノッチ35において受けられる。
【0056】
一部の実施形態において、ベアリング33がノッチ35において受けられると、サンプル容器が角度計の中心に配置されるように、基準アセンブリ31を置くことができる。このようにして、ベアリング33も、サンプルに対する高さ基準を提供することができる。
【0057】
一部の実施形態において、サンプルホルダーは、オペレータによって手動で別のサンプルホルダーと交換され得るか又は取り外され得る。或いは、X線装置は、サンプルステージ上のサンプルホルダーを取り外す及び交換するための自動サンプルチェンジャーを含んでもよい。サンプルチェンジャーを使用することによって、効率を改善するのに寄与することができる。しかし、従来のサンプルチェンジャーは、一般的に、サンプルの変位によって引き起こされるあり得る分析エラーを回避するために必要とされる空間的許容範囲内で、プラットフォームの上にサンプルホルダーを反復可能に置くことができない。従って、自動化されたシステムによってサンプルホルダーがプラットフォームの上に配置される場合でさえも、サンプルホルダー及び基準アセンブリが適切に整列されるのを確実にすることが重要である。サンプルホルダーがプラットフォームの上に積まれた後で基準アセンブリ及びサンプルホルダーの整列を可能にするためにサンプルホルダーがサンプルチェンジャー上で適切に方向づけられているのを確実にするために、サンプルホルダーは、サンプルチェンジャーに予め整列されてもよい。
【0058】
図7は、
図4のサンプルホルダー20と共に、サンプルチェンジャー50を示している。サンプルホルダー40は、サンプルホルダー20の本体58から外向きに突出するフランジ42を含む。サンプルチェンジャーは、サンプルホルダーを受けるためのチャンバと、フランジ42を受けるための凹部52とを含む。サンプルホルダー40がサンプルチェンジャーの上に積まれると、凹部52がフランジを受けるように置かれる。このようにして、オペレータは、サンプルホルダー40が、サンプルチェンジャー50上で適切な向きにあるのを便利に確実にすることができる。
【0059】
図8は、本発明の一実施形態によるサンプルマウントシステムを使用する方法を例示している。
図8において示されている方法の第1のステップは任意であり;予め整列させるステップ60は、サンプルマウントシステムがサンプルチェンジャーを含む場合に実行されてもよい。サンプルマウントシステムが自動サンプルチェンジャーを含まない場合、このステップは含まれない。
【0060】
予め整列させるステップ60において、サンプルホルダーは、同じチェンジャーに配置され、サンプルチェンジャーと整列するように方向付けられる。すなわち、サンプルホルダーは、ホルダー整列部分がチェンジャー整列部分と係合するように方向づけられる。
【0061】
次に、第1の積むステップにおいて、サンプルホルダーは、サンプルステージのプラットフォームの上に配置される。一部の実施形態では、サンプルホルダーを手動で積むことができる。しかし、サンプルマウントシステムがサンプルチェンジャーを含む場合、サンプルチェンジャーは、自動的にプラットフォームの上にサンプルを積むことができる。サンプルホルダーは、ほぼ適切な位置及び向きにあるように、プラットフォームの上に積まれる。後の積むステップ64において、プラットフォームは、基準アセンブリに向かって動かされて、ステージ基準部分をサンプルホルダーの上面に向ける。さらなるステップ66では、(例えば、
図5において示されているように)ステージ基準部分及びサンプルホルダーが共に押され、ステージ基準部分及びホルダー基準部分を自己整列させ、さらに、サンプルホルダーを、ステージ基準部分及びホルダー基準部分が互いに係合する構成まで動かしている。
【0062】
当業者は、依然として本発明の範囲内であるが、記載される実施形態に対して様々な修正を行うことができるということを理解する。
【0063】
図1において、キャピラリーは、サンプルを含有するために使用されている。キャピラリーは、例えば、透過配置においてX線回折分析を使用した便利な分析を可能にするために使用されてもよい。しかし、サンプルローディングシステム10を、他のタイプの容器と共に使用することができる。例えば、サンプルは、(例えば、反射配置におけるXRF分析又はXRD分析に対して)サンプルホルダーのキャビティにおいて若しくはプレート上に保持され得るか、又は(例えば、透過配置におけるX線分析に対して)2つのフォイル間で含有され得る。使用される特定の容器は、部分的に、実行されることになるX線分析測定のタイプ及び分析されることになるサンプルのタイプに依存することになる。
【0064】
マウントは、キャピラリー等のサンプル容器をサンプルホルダーの上に取り付けるための機構であってもよい。或いは、マウントは、サンプルホルダー上にサンプルを保持するための本体、又はサンプルホルダー内のキャビティであってもよい。
【0065】
ホルダー基準部分及びステージ基準部分は、(平面図及び/又は断面図において)同じ形状を有しても有さなくてもよい。
【0066】
サンプルマウントシステムは、いかなる数の対のステージ基準部分及びホルダー基準部分を含んでもよい。例えば、
図4に関連して記載される実施形態は、3つの対のステージ基準部分及びホルダー基準部分を有さなくてもよい。
【0067】
ステージ基準部分は必ずしも突出部であるわけではなく;代わりに凹部であってもよい。同様に、ホルダー基準部分は必ずしも凹部であるわけではなく;代わりに突出部であってもよい。
【0068】
ホルダー整列部分は必ずしも突出部であるわけではなく;代わりに凹部であってもよい。同様に、チェンジャー整列部分は必ずしも凹部であるわけはなく;代わりに突起部であってもよい。
【0069】
サンプルホルダーは、透過配置におけるX線回折に適した位置にサンプルを保持するように設計されなくてもよい。代わりに、例えば不均質なサンプルに対する反射配置における小さなスポットのX線蛍光又はX線回折、X線コンピュータ断層撮影法、又はこれらの技術の組み合わせ等、他のタイプのX線分析に適した位置にサンプルを保持するように設計することができる。
【0070】
サンプルステージは、回転機構を含んでも含まなくてもよい。サンプルマウントシステム(例えば、サンプルステージ等)が回転機構を含む場合、回転機構は、モーター駆動であってもよい。サンプルマウントシステム(例えば、サンプルステージ等)は、回転機構を含まなくてもよい。サンプルホルダーの回転は、全く必要とされなくてもよく、又は手動で実行されてもよい。
【0071】
凹部は、溝であってもよく(すなわち、細長くあってもよく)、又はノッチであってもよい(すなわち、細長くなくてもよい)。
【0072】
凹部及び突出部は、この対が互いに係合することができる限り、同じ形状を有してもよく、又は異なる形状を有してもよい。
【0073】
1つ又は複数のホルダー基準部分は、必ずしもサンプルホルダーの上面にあるわけではなく、代わりに、サンプルホルダーの底部又はサンプルホルダーの側面に設けることができる。同様に、1つ又は複数のステージ基準部分は、必ずしもサンプルホルダーの上面に対向する基準アセンブリ上にあるわけではなく、サンプルホルダーと係合することができる限り、ステージ上のどこにでも置くことができる。例えば、サンプルホルダーが、その底部にホルダー基準部分を含む場合、1つ又は複数のステージ基準部分を、サンプルを支持するステージの表面上(すなわち、プラットフォーム上)に設けることができる。
【外国語明細書】