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特開2022-93381リナグリプチンおよびメトホルミンの組合せ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093381
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】リナグリプチンおよびメトホルミンの組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/522 20060101AFI20220616BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220616BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220616BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220616BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20220616BHJP
   A61K 31/64 20060101ALI20220616BHJP
   A61K 38/28 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A61K31/522
A61P3/10
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/155
A61K31/64
A61K38/28
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022064467
(22)【出願日】2022-04-08
(62)【分割の表示】P 2018563848の分割
【原出願日】2017-06-08
(31)【優先権主張番号】16174075.8
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17154248.3
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】マイニッケ トマス
(72)【発明者】
【氏名】ファン エイナッテン マクシミリアン
(57)【要約】
【課題】以前に抗糖尿病薬によって処置されていない糖尿病患者、特に従来の経口および/または非経口抗糖尿病薬、例えば、メトホルミン、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン、グリニド、および/またはα-グルコシダーゼ阻害剤、および/またはGLP-1もしくはGLP-1類似体、および/またはインスリンもしくはインスリン類似体による血糖コントロールが不十分な患者を含む、進展期または後期2型糖尿病を有する患者や、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害を有する患者に効果的、安全、および耐用性の抗糖尿病療法を提供する
【解決手段】本発明は、慢性腎臓病(CKD)を有する患者における代謝性疾患の処置での使用のためのリナグリプチンのメトホルミンとの併用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくは30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者(好ましくは2型糖尿病患者)、例えばeGFR30~60mL/分/1.73m2を有する患者(CKDステージ3)、
特に
eGFR45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の患者、または
eGFR30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の患者
における使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくは30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者(好ましくは2型糖尿病患者)、例えばeGFR30~60mL/分/1.73m2を有する患者(CKDステージ3)、
特に
eGFR45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の患者、または
eGFR30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の患者
において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば、糖尿病性合併症、特に慢性腎臓病、または糖尿病性腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿、腎障害、網膜症、神経障害、または心血管もしくは脳血管イベントなどの大血管性合併症)の処置および/または防止(その進行の減速もしくは発症の遅延を含む)における使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
i)2型糖尿病を処置する;
ii)慢性腎臓病(糖尿病性腎症)を処置するまたはその進行を減速する;
iii)アルブミン尿(微量または顕性アルブミン尿)を処置する、防止する、それから保護する、そのリスクを低減する、その進行を遅延する、および/またはその発生を遅延する;
iv)心血管(CV)死(致死性脳卒中、致死性心筋梗塞、および突然死を含む)、非致死性脳卒中、および非致死性心筋梗塞(MI)から選択され、または不安定狭心症のための入院から選択されてもよい心血管もしくは脳血管合併症、またはイベントを防止する、それから保護する、そのリスクを低減するおよび/またはその発生を遅延する;
v)腎性死、末期腎疾患、および推算糸球体濾過量の低下(例えばeGFRがベースラインから≧50%または≧40%)から選択される腎性細小血管合併症またはイベントを防止する、それから保護する、そのリスクを低減する、その進行を遅延するおよび/またはその発生を遅延する;ならびに/あるいは、
vi)認知衰退または認知障害または痴呆を減少する、防止する、それから保護する、それを(例えば発生もしくは進行を)遅延するおよび/またはそのリスクを低減する;
の1つまたは複数によって特徴付けられる、請求項1または2に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
リナグリプチンおよびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)が、例えば単一経口剤形(例えば錠剤)の形態で、単一の医薬組成物で投与される、請求項1から4のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
好ましくは1日2回経口投与のため、有効成分含量2.5mg、;または
好ましくは1日1回経口投与のため、有効成分含量5mg
で組成物中に存在する、請求項4に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)が、
好ましくは1日2回経口投与のため、好ましくは即時放出メトホルミンの形態で、有効成分含量500mg、850mg、もしくは1000mg;
または好ましくは1日1回経口投与のため、好ましくは持続放出メトホルミンの形態で、有効成分含量500mg、750mg、1000mg、1500mgもしくは2000mg
で組成物中に存在する、請求項4または5に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
医薬組成物が、例えば組成物の1日2回経口投与のために、2.5mgのリナグリプチンおよび500mg、850mg、または1000mgのメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態、特に即時放出型)を含み、ならびに1つまたは複数の薬学的助剤を含んでもよい、
請求項4に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
医薬組成物が、例えば1つの錠剤として組成物の1日1回経口投与のために、5mgのリナグリプチンおよび1000mgのメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態、特に持続放出型)を含み、ならびに1つもしくは複数の薬学的助剤を含んでもよい、または
医薬組成物が、例えば2つの錠剤として組成物の1日1回経口投与のために、2.5mgのリナグリプチンおよび750mgもしくは1000mgのメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態、特に持続放出型)を含み、ならびに1つもしくは複数の薬学的助剤を含んでもよい、
請求項4に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
合計経口1日用量5mg、例えば1日2回2.5mgのリナグリプチンまたは1日1回5mgのリナグリプチンで投与される、請求項1から8のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用してよい、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)が、最大1日用量まで、例えば1日当たり500mg、1000mgもしくは2000mg、または2500mgまでも投与される、請求項1から9のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
2型糖尿病患者が抗高血糖薬で以前に処置されていない、請求項1から10のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)(および1つまたは複数のさらなる活性剤もよい)と併用する、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
2型糖尿病患者が、メトホルミンによる以前の単剤療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分である、請求項1から10のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)(および1つまたは複数のさらなる活性剤もよい)と併用する、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
2型糖尿病患者が、メトホルミンおよびスルホニルウレアによる以前の二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分である、請求項1から10のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)およびスルホニルウレア(および1つまたは複数のさらなる活性剤もよい)と併用する、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
2型糖尿病患者が、メトホルミンおよびインスリンによる以前の二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分である、請求項1から10のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)およびインスリン(および1つまたは複数のさらなる活性剤もよい)と併用する、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
患者が、中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)の(慢性)腎障害を有し;微量または顕性アルブミン尿を伴っても伴わなくてもよく、特に、微量または顕性アルブミン尿を伴う、請求項1から14のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
患者が、eGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の(慢性)腎障害を有する、請求項1から15のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
患者が、eGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の(慢性)腎障害を有し、塩酸メトホルミンの最大1日用量が2000mgである、請求項1から15のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項18】
患者が、eGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有する、請求項1から15のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
患者が、eGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有し、塩酸メトホルミンの最大1日用量が1000mgである、請求項1から15のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項20】
患者が、
アルブミン尿(例えば微量または顕性アルブミン尿)

大血管(例えば心血管または脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠動脈疾患、(虚血性もしくは出血性)発作、頸動脈疾患、および/または末梢動脈疾患)の既往
の両方、
ならびに/あるいは
顕性アルブミン尿を伴う(軽度もしくは中程度)腎障害(例えば、CKDステージ1、2、もしくは3、例えばCKDステージ1、2(軽度)、もしくは3(軽度~中程度)、好ましくはeGFR≧45~75mL/分/1.73m2
または
任意のアルブミン尿を伴うもしくは伴わない(例えば微量もしくは顕性アルブミン尿を伴うもしくは伴わない)(中程度もしくは高度)腎障害(例えば、CKDステージ3、例えばCKDステージ3b(中程度~高度)、好ましくはeGFR30~45mL/分/1.73m2、もしくはCKDステージ4、好ましくはeGFR15~29mL/分/1.73m2
のいずれか
を有する、請求項1から19のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項21】
患者が、
(i)アルブミン尿(微量または顕性)(例えば、尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニンまたは≧30mg/l(1リットルの尿当たりのミリグラムアルブミン)または≧30μg/分(1分当たりのマイクログラムアルブミン)または≧30mg/24h(24時間当たりのミリグラムアルブミン))および例えばa)からf):
a)心筋梗塞の既往、
b)進展型冠動脈疾患、
c)高リスク一枝冠動脈疾患、
d)虚血性または出血性発作の既往、
e)頸動脈疾患の存在、
f)末梢動脈疾患の存在
の1つまたは複数として定義される大血管疾患の既往、
ならびに/あるいは
(ii)例えば
・eGFR15~45mL/分/1.73m2もしくは30~45mL/分/1.73m2と任意の尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)とを伴う腎機能障害、および/または、
・eGFR≧45~75mL/分/1.73m2と尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)>200mg/gクレアチニンもしくは>200mg/l(1リットルの尿当たりのミリグラムアルブミン)もしくは>200μg/分(1分当たりのマイクログラムアルブミン)もしくは>200mg/24h(24時間当たりのミリグラムアルブミン)とを伴う腎機能障害
によって定義される腎機能障害(例えば、CV共存症を伴うまたは伴わない)
を有する、請求項1から20のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項22】
1つまたは複数の他の活性剤が、他の抗糖尿病薬、例えばインスリンもしくはスルホニルウレアおよび/または抗高血圧薬、例えばアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤もしくはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)から選択される、請求項1から21のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項23】
患者が、長期に渡り、例えば、少なくとも1~6年、2年以上、または3~7年、例えば3~4年、3~5年、3~6年、4~5年、4~6年、5~6年、または5~7年、好ましくは少なくとも48カ月、より好ましくは少なくとも3年処置される、請求項1から22のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項24】
患者が、eGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有し、塩酸メトホルミンの最大1日用量が1000mgであり、
リナグリプチンおよびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)が、単一の医薬組成物、例えば組成物の1日2回経口投与のために、例えば2.5mgのリナグリプチンおよび500mgのメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態、特に即時放出型)を含み、ならびに1つまたは複数の薬学的助剤を含んでもよい単一経口剤形(例えば錠剤)の形態で投与される、
請求項1から23のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CKD(慢性腎臓病)患者、特にステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでのCKDを有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)のCKDの患者において、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する使用のための特定のDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)に関する。
【背景技術】
【0002】
2型糖尿病は、インスリン抵抗性およびインスリン分泌不全の二重の内分泌作用を含む複雑な病態生理から生じる一般的な慢性および進行性疾患であり、その結果、血漿グルコースレベルを正常範囲に維持するのに必要な要求が満たされなくなる。これは、慢性高血糖ならびにその関連細小血管性および大血管性合併症または慢性障害、例えば糖尿病性腎症、網膜症もしくは神経障害、または大血管性(例えば心血管系もしくは脳血管系)合併症、および/または認知機能障害をもたらす。血管疾患成分は重要な役割を果たすが、糖尿病関連障害のスペクトルにおける唯一の因子ではない。高頻度の合併症は、平均余命の著しい低下をもたらす。糖尿病が合併症をもたらすため、糖尿病は現在、先進工業国における成人発症の視力喪失、腎不全、および切断の最も多い原因であり、心血管疾患リスクの2~5倍の増加と関連する。大血管疾患のリスクの上昇は、心血管(CV)疾患から死亡率の増加および早死にをもたらすアテローム性血栓症のリスクの増加と主に関連し、CV疾患の重要な予測因子は、同時に存在していることが多い腎機能障害、腎症、および/または慢性腎臓病(CKD)である。
【0003】
2型糖尿病の処置は、典型的には食事制限および運動から始め、経口抗糖尿病薬単剤療法へと続き、従来の単剤療法は、一部の患者では血中グルコースを最初はコントロールするが、高い二次的な失敗率と関連する。血糖コントロールを維持する単剤療法の制限は、少なくとも一部の患者において、限られた期間多剤を併用し、単剤での長期療法中では維持できない血中グルコースの低減を達成することによって克服され得る。入手可能なデータは、2型糖尿病のほとんどの患者は現在単剤療法が失敗し、多剤による処置が必要であるという結論を支持する。しかし、2型糖尿病は進行性疾患であるため、従来の併用療法に最初は良好な反応を示した患者でさえも、血中グルコースレベルを長期間安定に維持することが非常に困難であるため、結局投与量の増加または追加の経口もしくは非経口抗糖尿病薬(最終的にはインスリン療法によることが多い)によるさらなる処置が必要になる。既存の併用療法は、血糖コントロールを強化する能力を有しているが、制限がないわけではない(特に長期有効性に関して)。さらに、伝統的な療法は、低血糖または体重増加などの副作用のリスクの増加を示し、それらの有効性および許容性に支障をきたし得る。
【0004】
したがって、多くの患者では、これらの既存の薬物療法は、処置にもかかわらず代謝コントロールの進行性の低下をもたらし、特に長期間に渡り代謝状態を十分にコントロールせず、したがって従来の経口および/または非経口抗糖尿病薬物治療にもかかわらず血糖コントロールが不十分な糖尿病を含む進展期、進行期、または後期2型糖尿病において血糖コントロールの達成および維持に失敗する。
したがって、高血糖の強力な処置により慢性障害の発生率を低減することはできるが、多くの糖尿病患者が不十分に処置されたままであり、1つには従来の抗高血糖療法の長期有効性、安全性/耐用性および投与の不便さの制限のためである。
さらに、肥満、過体重、または体重増加(例えば、いくつかの従来の抗糖尿病薬治療の副作用または有害事象として)は、糖尿病、ならびにその細小血管性または大血管性、および/または認知の合併症の処置をさらに複雑にする。
治療不全の多発は、糖尿病患者における高頻度の長期高血糖関連合併症または慢性障害(細小および大血管性合併症、例えば糖尿病性腎症、網膜症もしくは神経障害、または脳血管性もしくは心血管性合併症、例えば心筋梗塞、脳卒中または血管性死亡率もしくは罹患率)の主な要因である。
【0005】
療法に従来使用される経口抗糖尿病薬(例えば、第1ライン、第2ラインもしくは第3ライン、および/または単剤もしくは(初回もしくは追加)併用療法)としては、それらに限定されないが、メトホルミン、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン、グリニド、およびα-グルコシダーゼ阻害剤が挙げられる。
治療に従来使用される非経口(典型的には注射)抗糖尿病薬(例えば、第1ライン、第2ラインもしくは第3ライン、および/または単剤もしくは(初回もしくは追加)併用療法)としては、それらに限定されないが、GLP-1またはGLP-1類似体、およびインスリンまたはインスリン類似体が挙げられる。
【0006】
しかし、これらの従来の抗糖尿病薬または抗高血糖薬の使用は様々な有害事象と関連し得る。例えば、メトホルミンは、乳酸アシドーシスまたは胃腸の副作用と関連することがあり、スルホニルウレア、グリニド、およびインスリンまたはインスリン類似体は、低血糖および体重増加と関連することがあり、チアゾリジンジオンは、浮腫、骨折、体重増加、および心不全/心臓作用と関連することがあり、アルファ-グルコシダーゼ遮断薬およびGLP-1またはGLP-1類似体は、胃腸有害事象(例えば消化不良、腹部膨満もしくは下痢、または吐き気もしくは嘔吐)と関連することがある。
これらの副作用各々に関連する罹患率に加えて、有害な心血管への影響も有し得る。例えば、低血糖および体重増加は有害CV死亡率転帰の要因と仮定される。
低血糖発作は、認知技能に害を及ぼすことも同定されており、認知障害または痴呆のより大きなリスクと関連する。低血糖のリスクは、共存症および複数の薬物治療の使用を伴う年配者においてさらに増加される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、当技術分野において、効果的、安全、および耐用性の抗糖尿病療法を提供する必要性が残っている。
特に、2型糖尿病の一定数の人々は、慢性腎臓病(CKD)を有する。これらの個体に関しては、治療の現行基準は、強力な血糖コントロールおよびアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)による処置である。
そのような処置にもかかわらず、慢性腎臓病(特に残存性アルブミン尿を有する)を伴う2型糖尿病患者は、心腎の罹患率および死亡率の相当なリスク、糖尿病性腎臓病の新規の療法の探索を駆動する未だ満たされていない必要性を依然として有する。
【0008】
したがって、以前に抗糖尿病薬によって処置されていない糖尿病患者(薬物未投与の患者)と、特に従来の経口および/または非経口抗糖尿病薬、例えば、メトホルミン、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン、グリニド、および/またはα-グルコシダーゼ阻害剤、および/またはGLP-1もしくはGLP-1類似体、および/またはインスリンもしくはインスリン類似体による血糖コントロールが不十分な患者を含む、進展期または後期2型糖尿病を有する患者;特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有する患者を含む、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害を有する患者の両方に効果的、安全、および耐用性の抗糖尿病療法を提供する必要性が当技術分野に残っている。
【0009】
特に、それは中程度から高度、または高度の細小血管負荷、例えば進展期の腎臓病(特に、高リスク、または非常に高リスクの腎臓の予後を有するもの)を有する糖尿病患者の治療のための必要性である。
さらに、2型糖尿病の療法内で、それは例えば長く続く治療上有用性を達成するために、状態を効果的に処置し、状態に伴う(細小血管性および/または大血管性)合併症を避ける、ならびに疾患の進行を遅延するまたは変更するための必要性である。
【0010】
さらに、抗糖尿病処置は、進展期の糖尿病疾患で多くみられる長期の合併症を防止および/または処置するだけでなく、そのような合併症(例えば、慢性腎臓病/糖尿病性腎症、腎機能障害、および/またはアルブミン尿)を発症した、または発症するリスクがある糖尿病患者における治療オプションでもある必要性が残っている。
抗糖尿病処置が、好ましくは細小血管性(腎臓)合併症と大血管性(CV)合併症の両方を一緒に、好ましくは1療法内で、防止および/または処置する必要性がある。
細小血管性(腎臓)合併症と大血管性(CV)合併症の両方を発症したまたは発症するリスクがある糖尿病患者に治療オプションを提供する必要性もある。
また、抗糖尿病処置が、加速する認知衰退(細小血管性および/または大血管性合併症と関連し得る)を、好ましくは細小血管性(腎臓)合併症と大血管性(CV)合併症の両方と共に、好ましくは1療法内で防止および/または処置する必要性がある。
さらに、従来の抗糖尿病療法と関連する有害事象のリスクの防止または低減を提供する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、CKD(慢性腎臓病)患者、特にステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでのCKDを有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44(CKDステージ3b)を有するなど中程度から高度のステージのCKDを有する患者において、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、特定のDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)の使用に関する。
【0012】
本発明は、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有する患者など、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者における、例えば代謝疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば、糖尿病性合併症)を処置および/または防止するための、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、特定のDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む組合せまたは医薬組成物の特定の医学的用途に関する。
本発明はさらに、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の慢性腎臓病(CKD)を処置および/または防止するための、1つまたは複数の他の活性物質(例えば、抗糖尿病薬および/またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB))と併用してもよい、特定のDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む組合せまたは医薬組成物の医学的用途に関する。
【0013】
本発明はさらに、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有する患者など、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者(好ましくは2型糖尿病患者)における、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の療法、予防、処置、または防止における使用のための(好ましくは、ヒト患者における好ましくは2型糖尿病の心保護および/または腎臓保護療法における使用のための)、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)(1つまたは複数の他の活性剤と併用してもよい)と併用する、特定のDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)に関する。
【0014】
さらに、本発明は、CKD(慢性腎臓病)の患者、特に、ステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでのCKDを有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)のCKDを有する患者など、腎機能障害を伴うまたは伴わない2型糖尿病および微量または顕性アルブミン尿の患者において、例えば、2型糖尿病を処置する、ならびに糖尿病性腎症、慢性腎臓病、アルブミン尿(例えば微量もしくは顕性アルブミン尿)、腎障害、網膜症、神経障害、学習もしくは記憶もしくは認知障害もしくは衰退、痴呆などの神経変性もしくは認知障害、および/または脳卒中もしくは心筋梗塞などの心血管もしくは脳血管イベントなど大血管性合併症を処置する、減少する、その発症を遅延するおよび/またはその進行を遅延するための、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する使用のための特定のDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)に関する。
【0015】
本発明は、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有する患者など、残存性アルブミン尿(微量または顕性アルブミン尿)を伴うまたは伴わない、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害(腎機能の障害)の患者における、代謝疾患、特に糖尿病(特に2型糖尿病)および/またはそれに関連する状態(例えば、糖尿病性合併症、特に糖尿病性慢性腎臓病)の処置および/または防止(その進行の減速または発症の遅延を含む)における使用のための、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用するDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)に関する。
【0016】
したがって、本発明はさらに、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有する患者など、残存性アルブミン尿(微量または顕性アルブミン尿)を伴うまたは伴わない、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害(腎機能の障害)の患者における、代謝疾患、特に糖尿病(特に2型糖尿病)および/またはそれに関連する状態(例えば、糖尿病性慢性腎臓病、腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿、腎障害、網膜症、神経障害、学習もしくは記憶もしくは認知障害もしくは衰退、痴呆などの神経変性もしくは認知障害、および/または脳卒中および/もしくは心筋梗塞などの心血管もしくは脳血管イベントなど大血管性合併症から選択される1つまたは複数の糖尿病性合併症)の処置および/または防止(その進行の減速または発症の遅延を含む)における、1つまたは複数の他の活性物質(他の抗糖尿病薬および/またはACE阻害剤またはARBから選択されるものなど)と併用してもよい、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する使用のためのDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン、好ましくは1日用量5mg、1日1回5mgまたは1日2回2.5mg投与する)に関し、特にここでは、軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a、eGFRレベル45~59を有するなど)の患者に投与されるメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の最大1日用量は2000mgであり、および/または特に中程度から高度のステージ(CKDステージ3b、eGFRレベル30~44を有するなど)の患者に投与されるメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の最大1日用量は1000mgである。
【0017】
また、本発明は、例えば(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害(腎機能の障害)の患者、特に、残存性アルブミン尿(微量または顕性アルブミン尿)を伴うまたは伴わない、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者における、代謝疾患、特に糖尿病(特に2型糖尿病)および/またはそれに関連する状態(例えば、糖尿病性合併症、特に糖尿病性慢性腎臓病)の処置および/または防止(その進行の減速または発症の遅延を含む)における使用のための、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、DPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、および1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでもよい薬学的組合せまたは医薬組成物に関する。
【0018】
また、本発明は、例えば(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害(腎機能の障害)の患者、特に、残存性アルブミン尿(微量または顕性アルブミン尿)を伴うまたは伴わない、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎疾患の患者における、代謝疾患、特に糖尿病(特に2型糖尿病)および/またはそれに関連する状態(例えば、糖尿病性合併症、特に糖尿病性慢性腎臓病)の処置および/または防止(その進行の減速または発症の遅延を含む)のための、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、DPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の使用を含む併用療法に関する。
【0019】
本発明はさらに、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者(好ましくは2型糖尿病患者)、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者における、
例えば、
i)慢性腎臓病(糖尿病性腎症)を処置する、防止する、またはその進行を遅延する;ならびに/あるいは、
ii)アルブミン尿(例えば微量または顕性アルブミン尿)および/または腎障害を処置する、減少する、防止する、それから保護する、その進行を遅延する、その発生を遅延する、および/またはそのリスクを低減する;ならびに/あるいは
iii)心血管(CV)死(致死性脳卒中、致死性心筋梗塞、および突然死を含む)、非致死性脳卒中、および非致死性心筋梗塞(MI)(無症候性MIは除外される)から選択され、または不安定狭心症のための入院から選択されてもよい心血管疾患もしくは脳血管疾患、合併症、またはイベントの発生を防止する、それから保護する、そのリスクを低減させるおよび/またはその発生を遅延させる;ならびに/あるいは、
iv)腎性死、末期腎疾患、および推算糸球体濾過量の低下(例えば、eGFRがベースラインから≧50%)から選択される腎性細小血管障害、合併症、またはイベントを防止する、それから保護する、そのリスクを低減する、その進行を遅延するおよび/またはその発生を遅延する;ならびに/あるいは
v)(加速した)認知衰退または認知障害または痴呆を減少する、防止する、それから保護する、それを(例えば発生もしくは進行を)遅延するおよび/またはそのリスクを低減する;
(心)血管性および/または腎性罹患率および/または死亡率を減少する、それから保護する、その発症を遅延する、その進行を減速する、および/またはそのリスクを低減するなど、
例えば、2型糖尿病の処置および/または糖尿病性合併症の防止を含む、好ましくはヒト患者の2型糖尿病の心保護および/または腎臓保護療法における好ましくは使用のための、それを必要とする(ヒト)患者の糖尿病(好ましくは2型糖尿病)の療法または処置における使用のための、1つまたは複数の他の活性剤と併用してもよい、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する特定のDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)に関し、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよく、ここで、そのような患者はさらなる(主要)(細小および/または大)血管疾患、合併症またはイベントを有するまたはそのリスクがある場合があり、例えばそのような患者は血管リスクが高い場合がある。
【0020】
本発明の他の態様は、前述および後述の記載(実施例および特許請求の範囲を含む)から当業者に明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の範囲内で、本明細書に定義した特定のDPP-4阻害剤、およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)とこれらのDPP-4阻害剤の組合せまたは医薬組成物、およびそれらの使用は、それらを本発明の目的に好適にするおよび/または本明細書に記載の1つもしくは複数の必要性を満たすために特に有用な特性または効果を有することが現在見出されている。
例えば、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)とこれらのDPP-4阻害剤の組合せまたは医薬組成物は、薬物未投与の2型糖尿病患者ならびに/あるいは経口および/もしくは非経口抗糖尿病薬、もしくは血糖降下薬によるならびに/またはインスリンの指標による療法にも関わらず血糖コントロールが不十分な患者を含む、進展期または後期2型糖尿病の患者、例えば、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)など、残存性アルブミン尿を伴うまたは伴わない(慢性)腎障害の患者、特に、推算糸球体濾過量[eGFR]45~59mL/分/1.73m2またはクレアチニンクリアランス[CrCl]45~59mL/分を有するなど、軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の(慢性)腎障害の患者において、血糖コントロールの改善ならびに/または代謝性疾患、特に糖尿病(特に2型糖尿病)および/もしくはそれに関連する状態(例えば、糖尿病性合併症、特に糖尿病性慢性腎臓病、または糖尿病性腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿、および/または腎障害)の処置および/もしくは防止(その進行の減速または発症の遅延)のために有用であり、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい。
【0022】
例えば、ステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者は、メトホルミン(例えば最大合計1日用量1000mgまでの塩酸メトホルミン(例えばCKD3a患者)または2000mgの塩酸メトホルミン(例えばCKD3b患者))と併用するリナグリプチン(合計1日用量5mg)の使用、好ましくはそれぞれ1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび500mg、850mg、もしくは1000mgの塩酸メトホルミン(即時放出型)を含有する錠剤の使用、または1日1回投与される5mgのリナグリプチンおよび1000mgの塩酸メトホルミン(持続放出型)を含有する錠剤の使用、またはそれぞれ1日1回2錠投与される2.5mgのリナグリプチンおよび750mgもしくは1000mgの塩酸メトホルミン(持続放出型)を含有する錠剤の使用を含む本発明による併用療法に適している。
【0023】
一実施形態では、軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a、eGFRレベル45~59を有する)の患者に投与されるメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の最大1日用量は2000mgであってよく、例えば1000mgを1日2回など、2回に分けた用量で与えることができる;(開始用量は最大用量の最高半分であり得る)。
【0024】
一実施形態では、中程度から高度のステージ(CKDステージ3b、例えばeGFRレベル30~44を有する)の患者に投与されるメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の最大1日用量は1000mgであってよく、例えば500mgを1日2回など、2回に分けた用量で与えることができる;(開始用量は最大用量の最高半分であり得る)。
高度または非常に高度のステージの腎障害(CKDステージ4、例えばeGFRレベル<30を有する;またはCKDステージ5、例えばeGFRレベル<15を有する、末期の腎疾患)の患者については、メトホルミンは禁忌である。
【0025】
メトホルミンと併用してリナグリプチン(合計1日用量5mg)を使用する本発明に記載の併用療法は、好ましくは、それぞれ1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび850mgもしくは1000mgの塩酸メトホルミン(即時放出型)を含有する錠剤の使用、またはそれぞれ1日1回2錠投与される2.5mgのリナグリプチンおよび750mgもしくは1000mgの塩酸メトホルミン(持続放出型)を含有する錠剤の使用により、十分な血糖コントロールのために1日当たり>1000mgのメトホルミン(例えば850mgまたは1000mgの塩酸メトホルミンBID)を必要とし、例えば、ステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの(もしくは、特定の例では30の低さまでの)慢性腎臓病(CKD)を有する患者にも有用である。
【0026】
さらなる例では、十分な血糖コントロールのために1日当たり>1000mgのメトホルミン(例えば、1000mgの塩酸メトホルミンBID)を必要とするが、例えば、特定の例では、eGFRレベル45~59mL/分/1.73m2を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、または特にeGFRレベル30~44mL/分/1.73m2を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者など、中程度の腎障害を有するなど、腎障害によりメトホルミンの用量制限がある患者(例えば、最大合計1日用量1000mgの塩酸メトホルミン)は、メトホルミン(例えば、最大合計1日用量1000mgまでの塩酸メトホルミン)と併用するリナグリプチン(合計1日用量5mg)の使用、好ましくは1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび500mgの塩酸メトホルミンを含有する錠剤の使用を含む本発明に記載の併用療法から恩恵を受ける。
【0027】
したがって、例えば、eGFRレベル45~59mL/分/1.73m2を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の(慢性)腎障害など、腎障害によりメトホルミンの用量制限がある患者(例えば、最大合計1日用量2000mgの塩酸メトホルミン)は、メトホルミン(例えば、最大合計1日用量2000mgまでの塩酸メトホルミン)と併用するリナグリプチン(合計1日用量5mg)の使用、好ましくは1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび1000mgの塩酸メトホルミンを含有する錠剤の使用を含む本発明に記載の併用療法から恩恵を受ける。
したがって、例えば、eGFRレベル30~44mL/分/1.73m2を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害など、腎障害によりメトホルミンの用量制限がある患者(例えば、最大合計1日用量1000mgの塩酸メトホルミン)は、メトホルミン(例えば、最大合計1日用量1000mgまでの塩酸メトホルミン)と併用するリナグリプチン(合計1日用量5mg)の使用、好ましくは1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび500mgの塩酸メトホルミンを含有する錠剤の使用を含む本発明に記載の併用療法から恩恵を受ける。
【0028】
一実施形態では、1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび850mgを含有する錠剤、または1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび1000mgの塩酸メトホルミンを含有する錠剤を使用する、メトホルミン(最大合計1日用量2000mgまでの塩酸メトホルミン)と併用するリナグリプチン(合計1日用量5mg)下の患者は、eGFRが45mL/分/1.73m2に達するまでこれらの処置を維持できる(これは、リナグリプチン以外の別の主要なDPP-4阻害剤(グリプチン)を使用する患者には当てはまらず、DPP-4阻害剤成分の用量調整が必要となり、リナグリプチンを除いて、処置スキームは変更されることとなる)。
【0029】
さらなる実施形態では、すでに最大用量のメトホルミン(例えば、最大合計1日用量2000mgの塩酸メトホルミン)下にある45と59mL/分/1.73m2の間のeGFRを有する患者(CKDステージ3a)は、追加の療法が必要であると考えられる場合に、好ましくは、1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび1000mgの塩酸メトホルミンを含有する錠剤を使用して、メトホルミン(例えば、最大合計1日用量2000mgの塩酸メトホルミン)と併用してリナグリプチン(合計1日用量5mg)を使用することができる。
さらなる実施形態では、1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび500mgを含有する錠剤を使用するメトホルミン(例えば、最大合計1日用量1000mgまでの塩酸メトホルミン)と併用するリナグリプチン(合計1日用量5mg)下の患者は、eGFRが30mL/分/1.73m2に達するまでこれらの処置を維持できる(これは、リナグリプチン以外の別の主要なDPP-4阻害剤(グリプチン)を使用する患者は当てはまらず、DPP-4阻害剤成分の用量調整が必要となり、リナグリプチンを除いて、処置スキームは変更されることとなる)。
【0030】
さらなる実施形態では、すでに最大用量のメトホルミン(例えば、最大合計1日用量1000mgの塩酸メトホルミン)下にある30と44mL/分/1.73m2の間のeGFRを有する患者(CKDステージ3b)は、追加の療法が必要であると考えられる場合に、好ましくは、1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび500mgの塩酸メトホルミンを含有する錠剤を使用して、メトホルミン(例えば、最大合計1日用量1000mgの塩酸メトホルミン)と併用してリナグリプチン(合計1日用量5mg)を使用することができる。
さらなる実施形態では、メトホルミンを受けていない、45と59mL/分/1.73m2の間のeGFRを有する患者(CKDステージ3a)は、メトホルミンの最大用量(例えば、最大合計1日用量2000mgまでの塩酸メトホルミン)まで用量を漸増でき、次いで、好ましくは1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび850mgまたは1000mgの塩酸メトホルミンを含有する錠剤を使用して、メトホルミン(例えば、最大合計1日用量2000mgまでの塩酸メトホルミン)と併用してリナグリプチン(合計1日用量5mg)の使用を開始することができる。
【0031】
さらなる実施形態では、メトホルミンを受けていない、30と44mL/分/1.73m2の間のeGFRを有する患者(CKDステージ3b)は、メトホルミンの最大用量(例えば、最大合計1日用量1000mgまでの塩酸メトホルミン)まで用量を漸増でき、次いで、好ましくは1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび500mgの塩酸メトホルミンを含有する錠剤を使用して、メトホルミン(例えば、最大合計1日用量1000mgまでの塩酸メトホルミン)と併用してリナグリプチン(合計1日用量5mg)の使用を開始することができる。
【0032】
さらなる実施形態では、メトホルミンを受けていない、45と59mL/分/1.73m2の間のeGFRを有する患者(CKDステージ3a)は、好ましくは1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび850mgまたは1000mgの塩酸メトホルミンを含有する錠剤を使用して、メトホルミン(例えば、最大合計1日用量2000mgまでの塩酸メトホルミン)と併用してリナグリプチン(合計1日用量5mg)を使用して、処置を開始することができる。
さらなる実施形態では、メトホルミンを受けていない、30と44mL/分/1.73m2の間のeGFRを有する患者(CKDステージ3b)は、好ましくは1日2回投与される2.5mgのリナグリプチンおよび500mgの塩酸メトホルミンを含有する錠剤を使用して、メトホルミン(例えば、最大合計まで1日用量1000mgの塩酸メトホルミン)と併用してリナグリプチン(合計1日用量5mg)を使用して、処置を開始することができる。
【0033】
2.5mgリナグリプチン/500mg塩酸メトホルミンBID併用療法は、少なくとも1000mgメトホルミンBID単剤療法と同じくらい有効であることが見出されており、それによりそのような高用量のメトホルミンに不耐性または腎障害によりメトホルミンに用量制限のある患者に代替えを提供する。
DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(例えば2.5mgリナグリプチン/500mg塩酸メトホルミンBID)を使用する本発明に記載の併用療法は、メトホルミン単独よりも、(慢性)腎障害の患者、例えば軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)または中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の患者にさえ、より有効である。
したがって、(慢性)腎障害(CKD)の患者のための、本発明に記載の併用療法の特定の実施形態は、2.5mgリナグリプチン/500mg塩酸メトホルミンBIDに関する。
本発明に記載の併用療法のより特定の実施形態は、eGFRレベル30~44を有するなど、中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者に1日2回投与される2.5mgリナグリプチン/500mg塩酸メトホルミンに関する。
【0034】
さらに、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい)を使用する本発明に記載の併用療法は、本明細書に記載のように糖尿病性腎臓病患者において(特に、例えば、高リスクもしくは非常に高リスクの腎臓の予後を有する、および/または長期に渡る処置など、進展期のCKDを伴う2型糖尿病患者において)心腎の罹患率および/または死亡率(心保護および/または腎保護)に有益な能力を有する。
【0035】
例えば、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい)を使用する本発明に記載の併用療法は、
i)心血管(CV)死(致死性脳卒中、致死性心筋梗塞、および突然死を含む)、非致死性脳卒中、および非致死性心筋梗塞(MI)(無症候性MIは除外される)から選択され、もしくは不安定狭心症のための入院から選択されてもよい心血管疾患もしくは脳血管疾患、合併症、もしくはイベントを防止する、それから保護する、そのリスクを低減するおよび/もしくはその発生を遅延する;ならびに/または、
ii)腎性死、末期腎疾患、および推算糸球体濾過量の低下(例えば、eGFRがベースラインから≧50%)から選択される腎性細小血管障害、合併症、もしくはイベントを防止する、それから保護する、そのリスクを低減する、その進行を遅延するおよび/またはその発生を遅延する。
【0036】
さらなる例では、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい)を使用する本発明に記載の併用療法は、
i)腎性死、末期腎疾患、および推算糸球体濾過量の低下(例えば、eGFRがベースラインから≧50%)から選択される腎性細小血管障害、合併症、またはイベントを防止する、それから保護する、そのリスクを低減する、その進行を遅延するおよび/またはその発生を遅延する。
さらなる例では、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい)を使用する本発明に記載の併用療法は、
i)(加速した)認知衰退または認知障害または痴呆を減少する、防止する、それから保護する、それを(例えば発生もしくは進行を)遅延するおよび/またはそのリスクを低減する。
【0037】
さらなる例では、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい)を使用する本発明に記載の併用療法は、
i)糖尿病性腎症を処置する、減少する、防止する、それから保護する、それを(例えば発生もしくは進行を)遅延するおよび/またはそのリスクを低減する。
さらなる例では、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい)を使用する本発明に記載の併用療法は、
i)アルブミン尿(例えば微量もしくは顕性アルブミン尿)を処置する、減少する、防止する、それから保護する、それを(例えば発生もしくは進行を)遅延するおよび/またはそのリスクを低減する。
さらなる例では、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい)を使用する本発明に記載の併用療法は、
i)腎障害を処置する、減少する、防止する、それから保護する、それを(例えば発生もしくは進行を)遅延するおよび/またはそのリスクを低減する。
【0038】
したがって、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミンを使用する本発明に記載の併用療法は、例えば、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン(例えばピオグリタゾン)、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ遮断薬、GLP-1もしくはGLP-1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体、ならびに/またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤もしくはアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)から選択されるなど1つまたは複数の他の抗糖尿病薬と併用してもよく、例えば本明細書に記載のいずれかなど、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、(慢性)腎臓病、腎機能不全または腎障害の患者、特に例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)など、アルブミン尿を伴うまたは伴わない、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージの(慢性)腎障害(CKDステージ3a)の患者を含む、(慢性)腎障害の患者において、代謝性疾患、特に糖尿病(特に2型糖尿病)および/またはそれに関連する状態(例えば、糖尿病性合併症、特に糖尿病性慢性腎臓病、または糖尿病性腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿および/または腎障害)の処置および/または防止(その発症の遅延または進行の減速を含む)に特に有用である。
【0039】
さらに、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミンを使用する本発明に記載の併用療法は、例えば、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン(例えばピオグリタゾン)、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ遮断薬、GLP-1もしくはGLP-1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体、ならびに/またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤もしくはアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)から選択されるなど1つまたは複数の他の抗糖尿病薬と併用してもよく、特に、長期に渡る処置で、例えば本明細書に記載のいずれかなど、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者(特に2型糖尿病患者において)において、特に例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD、特に進展期のCKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)など、アルブミン尿を伴うまたは伴わない、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の(慢性)腎障害の患者を含む、(慢性)腎障害の患者において、(糖尿病性)慢性腎臓病(CKD),糖尿病性腎症、アルブミン尿(例えば、微量または顕性アルブミン尿)、腎障害、腎性死、末期腎疾患、および/または推算糸球体濾過量の低下(例えば、eGFRがベースラインから≧50%)から選択される腎性細小血管障害の処置および/または防止(その発症の遅延または進行の減速を含む)に特に有用である。
【0040】
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者の実施形態は、微量または顕性アルブミン尿(例えば、尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)30~3000mg/gクレアチニン)を伴う本明細書に記載の腎機能障害を有する2型糖尿病患者に関する。
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者の別の実施形態は、微量または顕性アルブミン尿(例えば、尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)30~3000mg/gクレアチニン)を伴わない本明細書に記載の腎機能障害を有する2型糖尿病患者に関する。
【0041】
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者の下位概念の実施形態は、任意のアルブミン尿(例えば、尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニン)を伴う中程度から高度のステージ(CKD3b)の腎機能障害を有する2型糖尿病患者に関する。
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者の別の下位概念の実施形態は、顕性アルブミン尿(例えば、尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)>200mg/gまたは>300mg/gクレアチニン)を伴う軽度から中程度のステージ(CKD3a)の腎機能障害を有する2型糖尿病患者に関する。
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者のさらなる実施形態は、例えば微量アルブミン尿(例えば、30~200または30~300mg/gクレアチニン)および/または初期の腎機能障害(eGFR、および/または初期のCKDステージ)などの、頻繁な腎細小血管性合併症の初期ステージの2型糖尿病患者に関する。
【0042】
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者の別のさらなる実施形態は、例えば顕性アルブミン尿(例えば、>200または>300mg/gクレアチニン)および/または進展期の腎機能障害(eGFR、および/または進展期のCKDステージ)などの、頻繁な腎細小血管性合併症の進展期ステージの2型糖尿病患者に関する。
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者のさらなる実施形態は、腎機能障害を伴っても伴わなくてもよい、微量または顕性アルブミン尿を有する2型糖尿病患者に関する。
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者のさらなる実施形態は、腎機能障害を伴う、微量アルブミン尿を有する2型糖尿病患者に関する。
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者のさらなる実施形態は、腎機能障害を伴う、顕性アルブミン尿を有する2型糖尿病患者に関する。
【0043】
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者のさらなる実施形態は、(ベースラインでのeGFRおよびアルブミン尿カテゴリーによって定義されるように)高リスクまたは非常に高リスクの腎臓の予後を有する2型糖尿病患者に関する。
本明細書に記載の(慢性)腎障害(CKD)の患者のさらなる実施形態は、微量もしくは顕性アルブミン尿を伴うまたは伴わず、および大血管疾患(例えば、心筋梗塞、冠動脈疾患、脳卒中、頸動脈疾患、または末梢動脈疾患)の既往がある本明細書に示すような腎機能障害を有する2型糖尿病患者に関する。
さらなる実施形態では、本明細書に記載の患者は、1つまたは複数の他の(従来の)抗糖尿病薬および/またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)との併用に加えて、または追加して、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)によって処置される。
【0044】
さらなる実施形態では、本明細書に記載の患者は、さらなる(主要な)(細小および/または大)血管疾患、合併症、またはイベントを伴うまたはそのリスクがあり得る、例えば、そのような患者は高い血管リスクがあり得る。
例えば、血管リスクが高いそのような患者は、
アルブミン尿(例えば、微量または顕性アルブミン尿)

大血管(例えば、心または脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠動脈疾患、(虚血性もしくは出血性)脳卒中、頸動脈疾患、および/または末梢動脈疾患)の既往
の両方
ならびに/あるいは
顕性アルブミン尿を伴う(軽度もしくは中程度の)腎障害(例えば、CKDステージ1、2(軽度)もしくは3a(軽度~中程度)など、CKDステージ1、2、もしくは3、好ましくはeGFR≧45~75mL/分/1.73m2
または
任意のアルブミン尿を伴うもしくは伴わない(例えば、微量もしくは顕性アルブミン尿を伴うもしくは伴わない)(中程度[もしくは高度])腎障害(例えば、CKDステージ3b(中程度~高度)[もしくは4(高度)、好ましくはeGFR15~45mL/分/1.73m2]のCKDステージ3[もしくは4])
のいずれか
を有し得る。
【0045】
より詳細には、そのような血管リスクが高い(例えば、CVイベントのリスクが高い)患者は、以下のような患者(好ましくは、糖尿病、特に2型糖尿病患者)であり:
アルブミン尿(例えば、尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニンまたは≧30mg/l(1リットルの尿当たりのミリグラムアルブミン)または≧30μg/分(1分当たりのマイクログラムアルブミン)または≧30mg/24h(24時間当たりのミリグラムアルブミン)および例えばa)からf):
a)心筋梗塞の既往
b)進展期冠動脈疾患
c)高リスク一枝冠動脈疾患
d)虚血性または出血性脳卒中の既往
e)頸動脈疾患の存在
f)末梢動脈疾患の存在
の1つまたは複数として定義される大血管疾患の既往を伴い、
ならびに/あるいは
例えば
・任意の尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)とeGFR[15もしくは]30~45mL/分/1.73m2を伴う腎機能障害(例えば、MDRD式によって定義される)、および/または
・尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)>200mg/gクレアチニンもしくは>200mg/l(1リットルの尿当たりのミリグラムアルブミン)もしくは>200μg/分(1分当たりのマイクログラムアルブミン)もしくは>200mg/24h(24時間当たりのミリグラムアルブミン)とeGFR≧45~75mL/分/1.73m2を伴う腎機能障害(例えば、MDRD式によって定義される)
によって定義されるように腎機能障害(例えば、CV共存症を伴うまたは伴わない)を伴い得る。
【0046】
本発明は、本明細書に記載の療法または処置における同時、別々、または逐次使用のためなど特定のDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、組合せまたは医薬組成物に関する。
【0047】
本発明はまた、
例えば、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン(例えばピオグリタゾン)、グリニド、アルファ-グリコシダーゼ遮断薬、GLP-1もしくはGLP-1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体、および/またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)から選択される1つの従来の抗高血糖薬と併用してもよい、
例えば本明細書に記載のいずれかなど、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、
例えば(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者において、
特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者において、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、
例えば、第1ライン療法として、すなわち抗高血糖薬によって以前に処置されていない2型糖尿病患者(薬物未投与の患者)において、
あるいは第2または第3ライン療法として、すなわちメトホルミン、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン(例えばピオグリタゾン)、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ遮断薬、GLP-1もしくはGLP-1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体から選択される1つまたは2つの従来の抗高血糖薬による療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者においてのいずれかで、
例えば、血糖コントロールの改善のため、ならびに/または代謝性疾患、特に2型糖尿病および/もしくはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症、例えば糖尿病性慢性腎臓病、糖尿病性腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿、腎障害、糖尿病性網膜症、および/または糖尿病性神経障害および/または大血管性合併症など)の処置および/もしくは防止(その進行の減速および/または発症の遅延を含む)における使用のためなど、
それぞれ本明細書に定義した特定のDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)含む、から本質的になる、またはから作製される、
ならびに、本明細書に記載の医学的用途のため、1つまたは複数の薬学的に許容される助剤(例えば、賦形剤、安定剤、担体等を含む)を含んでよい、から本質的になってよい、またはから作製されてよい、固定のもしくは自由な組合せまたは医薬組成物にも関する。
【0048】
本発明はまた、DPP-4阻害剤およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を併用してもよい、固定用量の組合せ製剤を含む医薬組成物の本明細書に記載の医学的用途にも関する。
【0049】
一実施形態では、本発明はまた、
例えば、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン(例えばピオグリタゾン)、グリニド、アルファ-グリコシダーゼ遮断薬、GLP-1もしくはGLP-1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体、および/またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)から選択されるなど、1つまたは複数の他の抗糖尿病薬と併用してもよい、
1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、
例えば(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者において、
特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者において、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、
例えば、第1ライン療法として、すなわち抗高血糖薬によって以前に処置されていない2型糖尿病患者(薬物未投与の患者)において、
あるいは第2または第3ライン療法として、すなわちメトホルミン、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ遮断薬、GLP-1もしくはGLP-1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体から選択される1つまたは2つの従来の抗高血糖薬による療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者においてのいずれかで、
代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)の処置および/または防止(その進行の減速および/または発症の遅延を含む)における使用のための、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、またはから本質的になる、および1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでよい、またはから本質的になってよい、固定のもしくは自由な組合せまたは医薬組成物にも関する。
【0050】
特定の実施形態では、本発明は、患者が(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害を有し、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者において、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、メトホルミンによる単剤療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症、例えば糖尿病性慢性腎臓病、糖尿病性腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿、腎障害、糖尿病性網膜症、および/または糖尿病性神経障害、および/または心血管もしくは脳血管イベントなどの大血管性合併症など)の処置および/または防止(その進行の減速および/または発症の遅延を含む)における使用のための、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、および1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでもよい、組合せまたは医薬組成物に関する。
【0051】
別の特定の実施形態では、本発明はまた、患者が(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害を有し、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、メトホルミンおよびスルホニルウレアによる二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症、例えば糖尿病性慢性腎臓病、糖尿病性腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿、腎障害、糖尿病性網膜症、および/または糖尿病性神経障害、および/または心血管もしくは脳血管イベントなどの大血管性合併症など)の処置および/または防止(その進行の減速および/または発症の遅延を含む)におけるスルホニルウレアと併用する使用のための、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、および1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでもよい、組合せまたは医薬組成物にも関する。
【0052】
別の特定の実施形態では、本発明はまた、患者が(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害を有し、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、メトホルミンおよびチアゾリジンジオン(例えばピオグリタゾン)による二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症、例えば糖尿病性慢性腎臓病、糖尿病性腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿、腎障害、糖尿病性網膜症、および/または糖尿病性神経障害、および/または心血管もしくは脳血管イベントなどの大血管性合併症など)の処置および/または防止(その進行の減速および/または発症の遅延を含む)におけるチアゾリジンジオン(例えばピオグリタゾン)と併用する使用のための、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、および1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでもよい、組合せまたは医薬組成物にも関する。
【0053】
別の特定の実施形態では、本発明はまた、患者が(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害を有し、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有し、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、メトホルミンおよびインスリン(例えば基礎インスリン)による二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症、例えば糖尿病性慢性腎臓病、糖尿病性腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿、腎障害、糖尿病性網膜症、および/または糖尿病性神経障害、および/または心血管もしくは脳血管イベントなどの大血管性合併症など)の処置および/または防止(その進行の減速および/または発症の遅延を含む)におけるインスリン(例えば基礎インスリン)と併用する使用のための、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、および1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでもよい、組合せまたは医薬組成物にも関する。
【0054】
別の特定の実施形態では、本発明はまた、患者が(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害を有し、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有し、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、初期または最初の併用療法など、薬物未投与の2型糖尿病患者(例えば第1ライン療法として)において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)の処置および/または防止(その進行の減速および/または発症の遅延を含む)における使用のための、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、および1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでもよい、組合せまたは医薬組成物にも関する。
【0055】
本発明はさらに、例えば本明細書に記載の患者における、例えば本明細書に記載の第1、第2、または第3ライン療法として、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)を処置および/または防止するための医薬品の製造のため、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、および1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでもよい、組合せまたは医薬組成物の使用を提供する。
【0056】
本発明はさらに、例えば、薬物未投与の患者またはメトホルミン、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ遮断薬、GLP-1もしくはGLP-1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体から選択される1つもしくは2つの従来の抗高血糖薬による治療にもかかわらず血糖コントロールが不十分な患者において;好ましくは(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)の処置および/または防止において、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい、本明細書に定義した医薬組成物を含む、およびその使用のための説明書を含んでもよい、医薬品パッケージに関する。
【0057】
本発明はさらに、例えば、薬物未投与の患者またはメトホルミン、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ遮断薬、GLP-1もしくはGLP-1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体から選択される1つもしくは2つの従来の抗高血糖薬による治療にもかかわらず血糖コントロールが不十分な患者において;好ましくは(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)の処置および/または防止における使用のための医薬品に関し;前記医薬品はDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、および1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでもよい医薬組成物を含み、例えば活性成分の別々の、逐次の、同時の、時を同じくした、または時系列調整された使用のためなど、本明細書に記載したもののいずれかなど、1つまたは複数の他の活性物質と併用してもよい。
【0058】
本発明はさらに、例えば、薬物未投与の患者(例えば、第1ライン療法として)またはメトホルミン、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ遮断薬、GLP-1もしくはGLP-1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体(例えば、第2または第3ライン療法として)から選択される1つもしくは2つの従来の抗高血糖薬による療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な患者において;好ましくは(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)の患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)を処置および/または防止する方法を提供し;前記方法は、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含む、および1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでもよい、例えば本明細書に記載したもののいずれかなど、有効量の1つまたは複数の他の活性物質と別々に、逐次で、同時に、時を同じくして、または時系列調整してなど、単独または併用してもよい、有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象(特にヒト患者)に投与するステップを含む。
【0059】
特定の実施形態では、本発明は、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害を有する患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)の患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者を含む、薬物未投与の患者(例えば、第1ライン療法として)において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)を処置および/または防止する方法を提供し;前記方法は、本明細書に記載のように、DPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象(特にヒト患者)に投与するステップを含む。
【0060】
別の特定の実施形態では、本発明は、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者を含む、メトホルミンによる単剤療法(例えば、第2ライン療法として)にもかかわらず血糖コントロールが不十分な患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)を処置および/または防止する方法を提供し;前記方法は、本明細書に記載のようにDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象(特にヒト患者)に投与するステップを含む。
【0061】
別の特定の実施形態では、本発明は、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者を含む、メトホルミンおよびチアゾリジンジオンによる二剤併用療法(例えば、第3ライン療法として)にもかかわらず血糖コントロールが不十分な患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)を処置および/または防止する方法を提供し;前記方法は、本明細書に記載のようにDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の有効量の医薬組成物、ならびにチアゾリジンジオンを、それを必要とする対象(特にヒト患者)に投与するステップを含む。
【0062】
別の特定の実施形態では、本発明は、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者を含む、メトホルミンおよびスルホニルウレアによる二剤併用療法(例えば、第3ライン療法として)にもかかわらず血糖コントロールが不十分な患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)を処置および/または防止する方法を提供し;前記方法は、本明細書に記載のようにDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の有効量の医薬組成物、ならびにスルホニルウレアを、それを必要とする対象(特にヒト患者)に投与するステップを含む。
【0063】
さらなる実施形態では、本発明は、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者を含む、メトホルミンおよびインスリンまたはインスリン類似体による二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)を処置および/または防止する方法を提供し;前記方法は、本明細書に記載のようにDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の有効量の医薬組成物ならびにインスリンまたはインスリン類似体を、それを必要とする対象(特にヒト患者)に投与するステップを含む。
【0064】
さらなる実施形態では、本発明は、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害を有する患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者を含む、インスリンまたはインスリン類似体によって処置した患者において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば糖尿病性合併症)を処置および/または防止する方法を提供し;前記方法は、本明細書に記載のようにDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象(特にヒト患者)に投与するステップ、それにより前記インスリンまたはインスリン類似体を置き換えるステップ(すなわち、インスリン療法から本発明に記載のBI 1356&メトホルミン併用にスイッチするステップ)を含む。
【0065】
本発明の療法に適している代謝障害または疾患の例としては、限定はされないが、1型糖尿病、2型糖尿病、糖尿病性合併症(例えば、本明細書に記載)、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖障害(IFG)、高血糖、食後高血糖、吸収後高血糖、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、過体重、肥満、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高非エステル型脂肪酸血症(hyperNEFA-emia)、空腹時もしくは食後高脂血症、例えば食後脂質異常症(例えば食後高トリグリセリド血症)、高血圧、アテローム性動脈硬化、内皮機能不全、骨粗しょう症、慢性全身性炎症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、網膜症、神経障害、腎症、多嚢胞性卵巣症候群、および/または代謝性症候群が挙げられる。
【0066】
本発明はさらに、それを必要とする患者(例えば本明細書に記載の患者)、特に、(慢性)腎疾患、腎機能不全、または腎障害の患者、特に、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくはさらに30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)、またはeGFRレベル30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者において、下記の方法:
- 代謝障害または疾患、例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖障害(IFG)、高血糖、食後高血糖、吸収後高血糖、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、過体重、肥満、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高非エステル型脂肪酸血症、食後脂質異常症(例えば、食後高トリグリセリド血症)、高血圧、アテローム性動脈硬化、内皮機能不全、骨粗しょう症、慢性全身性炎症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、網膜症、神経障害、腎症、多嚢胞性卵巣症候群、および/または代謝性症候群の防止、その進行の減速、その発症の遅延、またはその処置;
- 血糖コントロールの改善および/または維持ならびに/あるいは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース、吸収後血漿グルコースおよび/またはグリコシル化ヘモグロビンHbA1cの低減、あるいは処置にも関わらず生じた血糖コントロールの悪化もしくは低下、インスリン療法の必要性またはHbA1c上昇の防止、そのリスクの低減、その進行の減速、その発症の遅延、またはその処置;
- 前糖尿病、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性および/または代謝症候群から2型糖尿病への進行の防止、減速、その発症の遅延、または好転;
- 糖尿病の合併症、例えば細小血管性および大血管疾患、例えば腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿、タンパク尿、網膜症、白内障、神経障害、学習もしくは記憶もしくは認知障害もしくは衰退、神経変性もしくは認知障害(例えば痴呆)、心血管もしくは脳血管疾患、組織虚血、糖尿病性足病変もしくは潰瘍、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、内皮機能不全、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不安定狭心症、安定狭心症、末梢動脈閉塞性疾患、心筋症、心不全、心拍障害、血管再狭窄、および/または脳卒中等の防止、そのリスクの低減、その進行の減速、その発症の遅延、またはその処置;
- 体重および/もしくは体脂肪および/もしくは肝脂肪および/もしくは筋細胞内脂肪の低減または体重および/もしくは体脂肪および/もしくは肝脂肪および/もしくは筋細胞内脂肪の増加の防止または体重および/もしくは体脂肪および/もしくは肝脂肪および/もしくは筋細胞内脂肪の低減の促進;
- 膵臓ベータ細胞の編成および/もしくは膵臓ベータ細胞の機能性低下の防止、減速、その発症の遅延、もしくはその処置ならびに/または膵臓ベータ細胞の機能性の改善、保存および/もしくは回復ならびに/または膵臓のインスリン分泌の機能性の刺激および/もしくは回復もしくは保護;
- 脂肪肝を含む非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または肝線維症の防止、減速、その発症の遅延、またはその処置(例えば脂肪肝、(肝)炎症および/または肝臓脂肪の異常蓄積の防止、その進行の減速、その発症の遅延、減弱、その処置または好転);
- 従来の抗糖尿病薬単剤または併用療法に失敗した2型糖尿病の防止、その進行の減速、その発症の遅延、またはその処置;
- 十分な治療効果のために必要な従来の抗糖尿病薬物治療(例えばスルホニルウレアまたはインスリン)の用量低減の達成;
- 従来の抗糖尿病薬物治療と関連する有害事象(例えばインスリンまたはスルホニルウレア薬物治療と関連する、例えば低血糖または体重増加)のリスクの低減;ならびに/あるいは
- インスリン感受性の維持および/もしくは改善ならびに/または抗インスリン血症および/もしくはインスリン抵抗性の処置もしくは予防;
の少なくとも1つにおける使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数の他の活性剤と併用してもよい、特定のDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)に関する。
本発明によるそのような療法は(例えば、上記または下記にさらに詳細に記載のように)、本明細書により詳細に記載したように(処置の期間)、長い期間に渡るそのような特定のDPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン、1つまたは複数の他の活性剤と併用してもよい)による処置を含み得る。
【0067】
特定の実施形態では、本発明による療法または予防法(例えば、上記および下記に記載したような)は、長期に渡り(例えば、少なくとも1~6年、2年以上、または3~7年、例えば3~4年、3~5年、3~6年、4~5年、4~6年、5~6年、または5~7年、好ましくは少なくとも48カ月、より好ましくは少なくとも3年)、メトホルミン(および1つまたは複数の活性物質、例えば本明細書に記載のものなどと併用してもよい)と併用する、特定のDPP-4阻害剤、特にリナグリプチン(好ましくは、1日当たり5mg、経口投与される)による処置の期間を含み、例えば本明細書に記載した患者(例えば、糖尿病患者、特に2型糖尿病患者)において、本発明による(心)血管および/または腎(細小血管)安全性、罹患率および/または死亡率(例えば認知障害への効果を含む)への長期効果または改善を提供し得る。
【0068】
例えば、本発明による療法または予防法(例えば、上記および下記に記載したような)は、長期に渡り、好ましくは少なくとも48カ月、より好ましくは少なくとも3年(例えば、少なくとも3~4年、または少なくとも5~6年)、メトホルミン(および1つまたは複数の活性物質、例えば本明細書に記載のものなどと併用してもよい)と併用する、特定のDPP-4阻害剤、特にリナグリプチン(好ましくは、1日当たり5mg、経口投与される)による処置の期間を含み得る。
糖尿病の処置のモニタリングにおいて、ヘモグロビンB鎖の非酵素的糖化の産物、HbA1c値は非常に重要である。その形成は本質的に血糖値および赤血球の寿命によるため、「血糖記憶」という意味でHbA1cは先行する4~12週間の平均血糖値を反映する。より集中的な糖尿病処置によって長期に渡ってHbA1cレベルがよくコントロールされている(すなわちサンプル中に<6.5%の総ヘモグロビン)糖尿病患者は、糖尿病性細小血管症からかなりよく保護されている。糖尿病に利用可能な処置は、1.0~1.5%程度のHbA1cレベルの平均的改善を糖尿病患者に与えることができる。このHbA1cレベルの低減は、<7.0%、好ましくは<6.5%、さらに好ましくは<6%のHbA1cという所望の標的範囲にするためには全ての糖尿病患者に十分ではない。
【0069】
血糖コントロールの範囲内で、HbA1cレベルの改善に加えて、2型糖尿病患者に推奨される他の治療目標は、空腹時血漿グルコース(FPG)および食後血漿グルコース(PPG)レベルの正常またはできる限り正常近くへの改善である。食前(空腹時)血漿グルコースの推奨される所望の標的範囲は90~130mg/dL(もしくは70~130mg/dL)、または<110mg/dLであり、食後2時間の血漿グルコースは<180mg/dLまたは140mg/dLである。
【0070】
本発明の意味の範囲内では、不適切または不十分な血糖コントロールは、特に患者が6.5%超え、特に7.0%超え、なおさらに好ましくは7.5%超え、特に8%超えのHbA1c値を示す状態を意味する。血糖コントロールが不適切または不十分な患者の実施形態としては、限定するものではないが、6.5~10%(または、別の実施形態では、7.5~10%、または、別の実施形態では、7.5~11%、または、別の実施形態では、6.5~8.5%、または、別の実施形態では、6.5~7.5%)のHbA1c値を有する患者が挙げられる。不適切にコントロールされた患者の特別な下位概念の実施形態は、血糖コントロールが弱い患者を指し、限定するものではないが、≧9%のHbA1c値を有する患者が挙げられる。
【0071】
一実施形態では、本発明の意味の範囲内の糖尿病患者には、以前に抗糖尿病薬によって処置されていない患者(薬物未投与の患者)が含まれ得る。したがって、一実施形態では、本明細書に記載の療法を未投与患者に使用し得る。本発明の療法の特定の実施形態では、DPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)は、そのような患者において単独でまたは1つもしくは複数の他の抗糖尿病薬と併用して使用され得る。別の実施形態では、本発明の意味の範囲内の糖尿病患者には、従来の抗糖尿病背景薬(background medication)によって以前に処置した患者、例えば進行期または後期2型糖尿病患者(従来の抗糖尿病療法に失敗した患者を含む)、例えば本明細書に記載の1、2またはそれ以上の従来の経口および/または非経口糖尿病薬に対して血糖コントロールが不適切な患者、例えばメトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニルウレア、グリニド、GLP-1もしくはGLP-1類似体、インスリンもしくはインスリン類似体、またはα-グルコシダーゼ阻害剤による(単剤)療法にもかかわらず、またはメトホルミン/スルホニルウレア、メトホルミン/チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニルウレア/α-グルコシダーゼ阻害剤、ピオグリタゾン/スルホニルウレア、メトホルミン/インスリン、ピオグリタゾン/インスリンもしくはスルホニルウレア/インスリンによる二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な患者が含まれ得る。したがって、一実施形態では、本明細書に記載の療法は、例えば本明細書に記載の従来の経口および/または非経口抗糖尿病薬単剤または二剤または三剤併用薬物による療法を経験した患者に使用してよい。本発明の療法の特定の実施形態では、そのような患者において、DPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)は、それにより患者を前処置または処置を経験した、既存のまたは進行中の従来の経口および/または非経口抗糖尿病薬単剤または二剤または三剤併用薬物に加えて、または追加して使用され得る。
【0072】
例えば、本発明の糖尿病患者(特に血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者)は、例えば、メトホルミン、α-グルコシダーゼ阻害剤、スルホニルウレアもしくはグリニド単剤療法、またはメトホルミンプラスα-グルコシダーゼ阻害剤、メトホルミンプラススルホニルウレア、メトホルミンプラスグリニド、α-グルコシダーゼ阻害剤プラススルホニルウレア、もしくはα-グルコシダーゼ阻害剤プラスグリニド二剤併用療法により前処置または処置を経験した、メトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニルウレア、グリニド、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース)、およびインスリンまたはインスリン類似体から選択される1つまたは複数(例えば1つまたは2つ)の従来の抗糖尿病薬によって未処置または前処置されていてよい。
【0073】
そのような未処置患者に関する特定の実施形態では、DPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)は、単剤療法として、あるいは例えばメトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニルウレア、グリニド、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース)、GLP-1もしくはGLP-1類似体、またはインスリンもしくはインスリン類似体などの最初の併用療法として、好ましくは単剤療法として使用され得る。
【0074】
1つまたは2つの従来の抗糖尿病薬によって前処置または処置を経験したそのような患者に関する特定の実施形態では、DPP-4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)は、付加型の併用療法として、すなわち、1つまたは複数の従来の抗糖尿病薬による療法にもかかわらず、血糖コントロールが不十分な患者における1つまたは2つの従来の抗糖尿病薬による既存のまたは背景療法に加えて、例えば、メトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニルウレア、グリニド、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース)、GLP-1もしくはGLP-1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体から選択される1つまたは複数(例えば1つまたは2つ)の従来の抗糖尿病薬への付加療法として、例えば、メトホルミンへの、α-グルコシダーゼ阻害剤への、スルホニルウレアへの、もしくはグリニドへの付加療法として、またはメトホルミンプラスα-グルコシダーゼ阻害剤への、メトホルミンプラススルホニルウレアへの、メトホルミンプラスグリニドへの、α-グルコシダーゼ阻害剤プラススルホニルウレアへの、もしくはα-グルコシダーゼ阻害剤プラスグリニドへの付加療法として、または、メトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニルウレア、グリニド、もしくはα-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ボグリボース)を伴うもしくは伴わないインスリンへの付加療法として使用され得る。
【0075】
本発明の療法に適し得る患者の実施形態としては、限定はされないが、通常のメトホルミン療法があまり適していない糖尿病患者、例えば、メトホルミンに対する耐容性低下、不耐容性もしくは禁忌のため、または腎機能障害/低下のため、少ない用量のメトホルミン療法を必要とする糖尿病患者(例えば≧60~65歳の高齢患者)が挙げられる。
さらなる実施形態では、本明細書に記載の患者は、糖尿病(例えば、1型もしくは2型糖尿病またはLADA、特に2型糖尿病)を有する対象である。
特に、本発明の範囲内の対象はヒト、例えばヒト子供、ヒト青年、または特にヒト成人であってよい。
さらに特に、本発明の範囲内の対象は、ヒト2型糖尿病患者である。
【0076】
特定の実施形態では、本発明の範囲内の対象は、初期糖尿病ステージまたは特に、進展期糖尿病ステージの(ヒト)2型糖尿病患者である。一実施形態では、患者は長期2型糖尿病を有し(例えば、>10年)、および/またはインスリンによって処置される。
さらなる特定の実施形態では、本発明の範囲内の対象は、初期CKDステージ、または特に進展期CKDステージの(ヒト)2型糖尿病患者である。
【0077】
CD26としても公知の酵素DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼIV)は、N末端にプロリンまたはアラニン残基を有するいくつかのタンパク質のN末端からのジペプチドの切断をもたらすことが公知のセリンプロテアーゼである。この特性のため、DPP-4阻害剤は、ペプチドGLP-1を含めた生理活性ペプチドの血漿レベルに干渉し、糖尿病の処置に有望な薬物であると考えられる。
本発明の範囲内で強調すべき特に好ましいDPP-4阻害剤は、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン、特にその遊離塩基(リナグリプチンまたはBI 1356としても公知である)である。
【0078】
本発明のDPP-4阻害剤は、リナグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、サクサグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチン、ジェミグリプチンおよびデュトグリプチンからなる群から選択され、または本明細書に記載のDPP-4阻害剤の1つの薬学的に許容される塩、もしくはそのプロドラッグであってよい。
DPP-4は、T細胞活性化および免疫調節で役割を果たすT細胞抗原であるCD26と類似している。さらに、DPP-4のいくつかの基質(インクレチンの他に)は、心腎作用の能力を有し得る。
さらに、選択的DPP-4阻害剤であるリナグリプチンは、本発明の目的にふさわしく、特定の抗酸化および/または抗炎症特性を有する。
リナグリプチンはさらに、腎臓の糸球体および近位細管細胞の血管内皮および有足細胞の完全性ならびに内皮機能に直接的な影響を有し、リナグリプチンは、腎臓を含む、比較的高い組織分布を有する。
さらに、ヒトの腎臓由来の試料は、タンパク尿ヒト疾患(例えば、糖尿病性腎症またはネフローゼ症候群)が、糸球体DPP-4の上方制御によって特徴付けられるようであることを示す。
さらに、リナグリプチンは、好ましくは微量または顕性アルブミン尿(例えば30~3000mg/gクレアチニン)を伴う2型糖尿病患者において、好ましくは糖尿病性腎症の現在の標準的な処置に加えて(例えば、ACE阻害剤またはARB)、抗糖尿病および抗アルブミン尿効果/有用性によって、即時目的にさらに適し得る。
【0079】
ほとんどの主要なDPP-4阻害剤(例えば、シタグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、およびビルダグリプチン)が、腎障害(CKD)集団において用量調整/低減を必要とすることは、さらに注目すべきである。しかしながら、DPP-4阻害剤であるリナグリプチンは、胆汁によって分泌され、低下する腎機能による用量の調整を必要としない点で独特である。
さらに、DPP-4阻害剤であるリナグリプチンは、腎臓の線維症など、抗線維症効果を発揮し得る。
【0080】
本発明のDPP-4阻害剤の特別な実施形態は、低用量レベル、例えば1日当たり患者ごとに<100mgまたは<70mg、好ましくは1日当たり患者ごとに<50mg、より好ましくは<30mgまたは<20mg、なおさらに好ましくは1mg~10mg(所望であれば、同じサイズであってよい1~4の単一用量、特に1または2の単一用量に分割)、特に1mg~5mg(さらに特に5mg)で治療的に有効なDPP-4阻害剤を経口投与する実施形態を指し、優先的に1日1回経口投与され、さらに優先的には、食物の有無にかかわらず、1日のいつでも投与される。したがって、例えば、治療上1日経口用量5mgのBI 1356を、食物の有無にかかわらず、1日1回投与計画(すなわち1日1回5mgのBI 1356)または1日2回投与計画(すなわち1日2回2.5mgのBI 1356)で与えることができる。
【0081】
本発明はさらに、それぞれ本明細書に記載のように、例えば本明細書に記載の療法または予防法における同時、遂次、または別々の医学的用途のために、1つまたは複数の他の治療剤と併用または交換してもよい、特定のDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含むまたはから本質的になる医薬組成物または組合せに関する。
本発明の範囲内では、本発明による組合せまたは併用は、活性成分の同時、遂次、または別々の投与を想定し得ることが理解される。
この文脈において、本発明の意味の範囲内の「組合せ」または「併用」は、限定はされないが、固定および非固定(例えば自由)形態(キット、または他の投与、適用もしくは投与剤形を含む)および使用、例えば成分の同時、逐次、または別々の使用を含み得る。
【0082】
本発明の併用投与または適用は、治療成分を一緒に投与することによって、例えば治療成分を1つの単一または2つの別々の製剤で同時に投与することによって行うことができる。あるいは、投与は、治療成分を逐次投与することによって、例えば2つの別々の製剤で連続的に投与することによって行ってよい。
本発明の併用療法では、治療成分を別々に投与し得る(治療成分を別々に製剤化することを意味する)または一緒に製剤化し得る(治療成分を同一製剤に製剤化することを意味する)。したがって、本発明の組合せの一要素の投与は、組合せの他の要素の投与前に、投与と時を同じくして、または投与後に行ってもよい。
特に指定のない限り、併用療法は第1ライン、第2ラインもしくは第3ライン療法、または初期もしくは追加併用療法または補充療法を意味する。
特に指定のない限り、単剤療法は第1ライン療法(例えば、食事および運動のみによる血糖コントロールが不十分な患者、例えば薬物未投与の患者、典型的には診断後すぐの患者および/または抗糖尿病薬によって以前に処置されていない患者、および/またはメトホルミン療法が適していない患者、例えば腎障害によりメトホルミン療法が禁忌の患者、または例えば不耐性により不適切な患者の療法)を指し得る。
特に指定のない限り、追加併用療法は、第2ラインまたは第3ライン療法(例えば、1つまたは2つの従来の抗糖尿病薬による(食事および運動プラス)療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分な患者、典型的には、1つまたは2つの抗糖尿病薬により前処置された患者、例えばそのような既存の抗糖尿病背景薬により前処置された患者の療法)を指し得る。
【0083】
特に指定のない限り、初期併用療法は第1ライン療法(例えば、食事および運動のみによる血糖コントロールが不十分な患者、例えば薬物未投与の患者、典型的には診断後すぐの患者および/または抗糖尿病薬によって以前に処置されていない患者の療法)を指し得る。
本発明によるDPP-4阻害剤は、好ましくは経口投与される。
一実施形態では、本明細書に記載のようにDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の医薬組成物または固定用量の組合せは、限定はされないが、即時放出メトホルミンおよびDPP-4阻害剤(好ましくは即時放出成分として)を含むそのような組成物を含む。そのような組成物と関連して、例えばその開示が本明細書に組み込まれる国際公開第2009/121945号をさらに参照する。国際公開第2009/121945号の実施例の節により詳細に記載されるその錠剤形態を特に参照し、ここでは単層錠剤が好ましい。
【0084】
別の実施形態では、本明細書に記載のようにDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)の医薬組成物または固定用量の組合せは、限定はされないが、制御または持続(例えば減速もしくは延長)放出メトホルミン、およびDPP-4阻害剤(好ましくは即時放出成分として)を含むそのような組成物を含む。そのような組成物の例としては、限定はされないが、薬物(DPP-4阻害剤)-コート錠剤(非機能性フィルムコートにより表面コーティングされてもよい)、例えばi)メトホルミンおよび1つまたは複数の好適な賦形剤を含む延長放出コア、ならびにii)DPP-4阻害剤(例えばフィルムコート層)を含む(好ましくは即時放出)フィルムコーティングを含む組成物が挙げられる。そのような組成物と関連して、例えばその開示が本明細書に組み込まれる国際公開第2012/120040号、国際公開第2013/131967号および国際出願PCT/EP2015074030をさらに参照する。国際出願PCT/EP2015074030の実施例の節により詳細に記載される錠剤形態を特に参照する。徐放の例としては、限定はされないが、メトホルミン組成物(例えば錠剤コア)が挙げられ、メトホルミンのピーク血漿レベルが典型的には投与の約8~22時間後に達成される速さでメトホルミンは放出される。
【0085】
より詳細な例では、本明細書に記載の医薬組成物は、特定のDPP-4阻害剤(特にリナグリプチン)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)を含み、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される助剤を含んでもよい。
本明細書に記載の医薬組成物のための薬学的に許容される助剤は、安定剤、例えば、アルギニン、特にL-アルギニンを含み得る。
【0086】
特に、本明細書に記載の医薬組成物は、リナグリプチンおよびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)、L-アルギニン(例えば不活性成分または安定剤として)を含み、ならびに1つまたは複数のさらなる薬学的に許容される助剤または賦形剤を含んでもよい。
本明細書に記載の薬学的に許容される助剤または賦形剤は、L-アルギニンに加えて他の助剤、例えば1つまたは複数の充填剤、1つまたは複数の希釈剤、1つまたは複数の結合剤、1つまたは複数の潤滑剤、1つまたは複数の放出剤、1つまたは複数の崩壊剤、1つまたは複数の分解剤、1つまたは複数のフロー剤、1つまたは複数のコーティング剤、1つまたは複数の可塑剤、1つまたは複数の顔料等を含んでもよい。
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、リナグリプチン(例を挙げると、例えば1日2回投与のために2.5mgの量で、または例えば1日1回投与のために5mgの量で)およびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態;例えば、500、750、850、または1000mgの量;例えば、即時放出製剤または延長放出製剤)、L-アルギニン(特に安定剤として)を含み、ならびに1つまたは複数の他の助剤を含んでもよい。
【0087】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、リナグリプチン(例を挙げると、特に即時放出製剤で、例えば1日2回投与のために2.5mgの量で、)、メトホルミン(特に塩酸メトホルミン、例えば500、850、または1000mgの量で、特に即時放出製剤で)、L-アルギニン(特に安定剤として)、充填剤(例えば、トウモロコシでんぷん)、結合剤(例えば、コポビドン)、および潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)を含み、ならびにフロー剤(例えば、無水コロイド状二酸化ケイ素)を含んでもよい。
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の錠剤は、例えば単層、二重層、または三重層の錠剤、コートしたコア錠剤、フィルムコート錠剤等を含む。
リナグリプチン/メトホルミンIR(即時放出)の二剤固定用量組合せ(錠剤)の典型的な有効成分含量は、2.5/500mg、2.5/850mg、および2.5/1000mg(リナグリプチン/塩酸メトホルミン)であり、1日2回投与され得る。
【0088】
特定の実施形態では、本発明による腎障害患者における使用のため、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者における使用のため、リナグリプチン/メトホルミンIR(即時放出)の特定の有効成分含量は、2.5/500mg(リナグリプチン/塩酸メトホルミン)であり、1日2回投与される。
【0089】
リナグリプチン/メトホルミンXR(延長放出)の二剤固定用量組合せ(錠剤)の典型的な有効成分含量は5/1000mg(リナグリプチン/塩酸メトホルミン)であり、1日1回1錠投与され(好ましくは食事と共に好ましくは夕方摂取する)、または2.5/750および2.5/1000(リナグリプチン/塩酸メトホルミン)であり、1日1回2錠投与され得る(好ましくは食事と共に好ましくは夕方摂取する)。
さらなる実施形態では、本発明による腎障害患者における使用のため、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者における使用のため、リナグリプチン/メトホルミンXR(延長放出)の特定の有効成分含量は、5/1000mg(リナグリプチン/塩酸メトホルミン)であり、1日1回投与される。
【0090】
特定の実施形態では、本発明による腎障害患者における使用のため、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者における使用のため、最大1日用量は1000mgの塩酸メトホルミンであり、例えば500mgBIDなど、好ましくは2分割した用量で与えられ得る。
メトホルミンは通常、約100mg~500mgもしくは200mg~850mgの種々の投与計画(1日1~3回)を使用して、1日当たり約500mg~2000mg、2500mgもしくは3000mgまで、または1日1回もしくは2回約300mg~1000mgの異なる用量で与えられ、あるいは1日1回もしくは2回約100mg~1000mg、もしくは好ましくは500mg~1000mgの用量または1日1回約500mg~2000mgの用量で遅延放出メトホルミンが与えられる。特定の有効成分含量は、250、500、625、750、850および1000mgの塩酸メトホルミンであり得る。
【0091】
異なる代謝機能障害が同時に起こることが多いため、いくつかの異なる有効成分同士の併用が適応となることが非常に多い。したがって、診断された機能障害に応じて、本発明によるDPP-4阻害剤または薬学的組合せまたは医薬組成物を、それぞれの障害に習慣的な活性物質、例えば他の抗糖尿病物質、特に血糖レベルもしくは血中脂質レベルを下げる、血中のHDLレベルを上げる、血圧を下げるまたはアテローム性動脈硬化症もしくは肥満症の処置に適応となる活性物質の中から選択される1つまたは複数の活性物質等と併用すれば、改善された処置結果を得ることができる。
【0092】
本明細書に記載のDPP-4阻害剤または薬学的組合せまたは医薬組成物は、その単独での使用に加えて、他の活性物質と併用してもよく、それにより改善された処置結果を得ることができる。そのような併用処置は、物質の自由な組合せとしてまたは固定組合せの形態、例えば錠剤またはカプセル剤で与えられ得る。これに必要な組合せ相手の医薬製剤は、医薬組成物として商業的に得ることができ、または従来の方法を使用して当業者により製剤化され得る。医薬組成物として商業的に得られる活性物質は、先行技術の多くの場合、例えば毎年作成される薬物リスト、連邦製薬工業協会(federal association of the pharmaceutical industry)の「Rote Liste(登録商標)」、または「米医薬品便覧(Physicians’ Desk Reference)」として公知の処方薬に関する製造業者の情報の毎年更新される編集物に記載されている。
【0093】
抗糖尿病組合せ相手の例(例えばメトホルミン以外)としては、スルホニルウレア、例えばグリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリボルヌリドおよびグリクラジド;ナテグリニド;レパグリニド;ミチグリニド;チアゾリジンジオン、例えばロシグリタゾンおよびピオグリタゾン;PPARガンマ修飾薬、例えばメタグリダーゼ;PPAR-ガンマアゴニスト、例えばリボグリタゾン、ミトグリタゾン、INT-131およびバラグリタゾン;PPAR-ガンマアンタゴニスト;PPARガンマ/アルファ修飾薬、例えばテサグリタザル、ムラグリタザル、アレグリタザル、インデグリタザルおよびKRP297;PPAR-ガンマ/アルファ/デルタ修飾薬、例えばロベグリタゾン;AMPK活性剤、例えばAICAR;アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC1およびACC2)阻害剤;ジアシルグリセロール-アセチルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害剤;膵臓ベータ細胞GCRPアゴニスト、例えばGRP119アゴニスト(SMT3受容体アゴニスト);11β-HSD阻害剤;FGF19アゴニストまたは類似体;アルファ-グルコシダーゼ遮断薬、例えばアカルボース、ボグリボースおよびミグリトール;アルファ2アンタゴニスト;インスリンおよびインスリン類似体、例えばヒトインスリン、インスリンリスプロ、インスリングルシリン(glusilin)、r-DNA-インスリンアスパルト、NPHインスリン、インスリンデテミル、インスリンデグルデク、インスリントレゴピル(tregopil)、インスリン亜鉛懸濁液およびインスリングラルギン;胃抑制ペプチド(GIP);アミリンおよびアミリン類似体(例えばプラムリンチドまたはダバリンチド);GLP-1およびGLP-1類似体、例えばエキセンディン-4、例えばエキセナチド、エキセナチドLAR、リラグルチド、タスポグルチド、リキシセナチド(AVE-0010)、LY-2428757(GLP-1のペグ化変形)、デュラグルチド(LY-2189265)、セマグルチドまたはアルビグルチド;SGLT2阻害剤、例えばダパグリフロジン、セルグリフロジン(KGT-1251)、アチグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジンまたはトホグリフロジン;タンパク質チロシンホスファターゼの阻害剤(例えばトロズスクエミン);グルコース-6-ホスファターゼの阻害剤;フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ修飾薬;グリコーゲンホスホリラーゼ修飾薬;グルカゴン受容体アンタゴニスト;ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)阻害剤;ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDK)阻害剤;チロシンキナーゼ、例えばPDGF-受容体キナーゼ(欧州特許出願公開第564409号、国際公開第98/35958号、米国特許第5093330号、国際公開第2004/005281号、および国際公開第2006/041976号参照)またはセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤(50mg~600mg);グルコキナーゼ/調節タンパク質修飾薬(グルコキナーゼ活性剤を含む);グリコーゲン合成キナーゼ阻害剤;SH2ドメイン含有イノシトール5-ホスファターゼ2型(SHIP2)の阻害剤;IKK阻害剤、例えば高用量サリチラート;JNK1阻害剤;タンパク質キナーゼCシータ阻害剤;ベータ3アゴニスト、例えばリトベグロン、YM178、ソラベグロン、タリベグロン、N-5984、GRC-1087、ラファベグロン、FMP825;アルドース還元酵素阻害剤、例えばAS3201、ゼナレスタット、フィダレスタット、エパルレスタット、ラニレスタット、NZ-314、CP-744809、およびCT-112;SGLT-1またはSGLT-2阻害剤;KV 1.3チャネル阻害剤;GPR40修飾薬、例えば[(3S)-6-({2’,6’-ジメチル-4’-[3-(メチルスルホニル)プロポキシ]ビフェニル-3-イル}メトキシ)-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-3-イル]酢酸;SCD-1阻害剤;CCR-2アンタゴニスト;ドーパミン受容体アゴニスト(メシル酸ブロモクリプチン[Cycloset]);4-(3-(2,6-ジメチルベンジルオキシ)フェニル)-4-オキソブタン酸;サーチュイン刺激薬;ならびに他のDPP IV阻害剤が挙げられる。
【0094】
ピオグリタゾンの投与量は通常1日1回約1~10mg、15mg、30mg、または45mgである。
ロシグリタゾンは通常1日1回(または2回に分割して)4~8mgの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は2、4および8mgである)。
【0095】
グリベンクラミド(グリブリド)は通常1日1回(もしくは2回に分割して)2.5~5から20mgの用量で与えられ(典型的な有効成分含量は1.25、2.5および5mgである)、または微粒子化グリベンクラミドが1日1回(もしくは2回に分割して)0.75~3から12mgの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は1.5、3、4.5および6mgである)。
【0096】
グリピジドは通常1日1回2.5から10~20mgの用量で(40mgまで2回に分割して)与えられ(典型的な有効成分含量は5および10mgである)、または延長放出グリピジドが1日1回5~10mg(20mgまで)の用量で与えられる(典型的な有効成分含量は2.5、5および10mgである)。
グリメピリドは通常1日1回1~2から4mg(8mgまで)の用量で与えられる(典型的な有効成分含量は1、2および4mgである)。
【0097】
グリベンクラミド/メトホルミンの二剤併用は、通常1日1回1.25/250から1日2回10/1000mgの用量で与えられる。(典型的な有効成分含量は1.25/250、2.5/500および5/500mgである)。
グリピジド/メトホルミンの二剤併用は、通常1日2回2.5/250~10/1000mgの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は2.5/250、2.5/500および5/500mgである)。
グリメピリド/メトホルミンの二剤併用は、通常1日2回1/250~4/1000mgの用量で与えられる。
ロシグリタゾン/グリメピリドの二剤併用は、通常1日1回もしくは2回4/1から1日2回4/2mgの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は4/1、4/2、4/4、8/2および8/4mgである)。
ピオグリタゾン/グリメピリドの二剤併用は、通常1日1回30/2から30/4mgの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は30/4および45/4mgである)。
ロシグリタゾン/メトホルミンの二剤併用は、通常1日2回1/500から4/1000mgの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は1/500、2/500、4/500、2/1000および4/1000mgである)。
ピオグリタゾン/メトホルミンの二剤併用は、通常1日1回もしくは2回15/500から1日3回15/850mgの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は15/500および15/850mgである)。
【0098】
非スルホニルウレアインスリン分泌促進薬ナテグリニドは通常60~120mgの用量で食事と共に与えられ(360mg/日まで、典型的な有効成分含量は60および120mgである);レパグリニドは通常0.5~4mgの用量で食事と共に与えられる(16mg/日まで、典型的な有効成分含量は0.5、1、および2mgである)。レパグリニド/メトホルミンの二剤併用は、1/500および2/850mgの有効成分含量で利用可能である。
【0099】
アカルボースは通常、25~100mgの用量で食事と共に与えられる(300mg/日まで、典型的な有効成分含量は25、50、および100mgである)。ミグリトールは通常、25~100mgの用量で食事と共に与えられる(300mg/日まで、典型的な有効成分含量は25、50、および100mgである)。
【0100】
従来の抗糖尿病薬および抗高血糖薬は、典型的には単剤または二剤または三剤(追加または初期)併用療法で使用され、限定はされないが、メトホルミン、スルホニルウレア、チアゾリジンジオン、グリニド、アルファ-グルコシダーゼ遮断薬、GLP-1およびGLP-1類似体、ならびにインスリンおよびインスリン類似体、例えば例によりその組合せを含む本明細書に示した薬剤を含み得る。
【0101】
血中の脂質レベルを下げる組合せ相手の例は、HMG-CoA還元酵素阻害剤、例えばシンバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチンおよびロスバスタチン;フィブラート系薬剤、例えばベザフィブラート、フェノフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、エトフィブラート、およびエトフィリンクロフィブラート;ニコチン酸およびその誘導体、例えばアシピモックス;PPAR-アルファアゴニスト;PPAR-デルタアゴニスト、例えば{4-[(R)-2-エトキシ-3-(4-トリフルオロメチル-フェノキシ)-プロピルスルファニル]-2-メチル-フェノキシ}-酢酸;PPAR-アルファ/デルタアゴニスト;アシル補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT;EC2.3.1.26)の阻害剤、例えばアバシミブ;コレステロール再吸収阻害剤、例えばエゼチミブ;胆汁酸に結合する物質、例えばコレスチラミン、コレスチポールおよびコレセベラム;胆汁酸輸送の阻害剤;HDL調節活性物質、例えばD4F、リバースD4F、LXR調節活性物質およびFXR調節活性物質;CETP阻害剤、例えばトルセトラピブ、JTT-705(ダルセトラピブ)または国際公開第2007/005572号の化合物12(アナセトラピブ);LDL受容体修飾薬;MTP阻害剤(例えばロミタピド);ならびにApoB100アンチセンスRNAである。
アトルバスタチンの投与量は通常1日1回1mg~40mgまたは10mg~80mgである。
血圧を下げる組合せ相手の例はベータ遮断薬、例えばアテノロール、ビソプロロール、セリプロロール、メトプロロールおよびカルベジロール;利尿薬、例えばヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、キシパミド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、スピロノラクトン、エプレレノン、アミロリドおよびトリアムテレン;カルシウムチャネル遮断薬、例えばアムロジピン、ニフェジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニピジン、マニジピン、イスラジピン、ニルバジピン、ベラパミル、ガロパミルおよびジルチアゼム;ACE阻害剤、例えばラミプリル、リシノプリル、シラザプリル、キナプリル、カプトプリル、エナラプリル、ベナザプリル、ペリンドプリル、ホシノプリルおよびトランドラプリル;ならびにアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、例えばテルミサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、アジルサルタンおよびエプロサルタンである。
テルミサルタンの投与量は通常1日当たり20mg~320mgまたは40mg~160mgである。
【0102】
血中のHDLレベルを上昇させる組合せ相手の例は、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤;内皮リパーゼの阻害剤;ABC1のレギュレーター;LXRアルファアンタゴニスト;LXRベータアゴニスト;PPARデルタアゴニスト;LXRアルファ/ベータレギュレーター、ならびにアポリポタンパク質A-Iの発現および/または血漿濃度を高める物質である。
【0103】
肥満症の処置のための組合せ相手の例は、シブトラミン;テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット);アリチム(alizyme)(セチリスタット);デクスフェンフラミン;アキソキン;カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、例えばCB1アンタゴニストリモノバント;MCH-1受容体アンタゴニスト;MC4受容体アゴニスト;NPY5およびNPY2アンタゴニスト(例えばベルネペリト);ベータ3-ARアゴニスト、例えばSB-418790およびAD-9677;5HT2c受容体アゴニスト、例えばAPD356(ロルカセリン);ミオスタチン阻害剤;Acrp30およびアディポネクチン;ステアロイル(steroyl)CoAデサチュラーゼ(SCD1)阻害剤;脂肪酸シンターゼ(FAS)阻害剤;CCK受容体アゴニスト;グレリン受容体修飾薬;Pyy3-36;オレキシン受容体アンタゴニスト;およびテソフェンシン;ならびに二剤併用ブプロピオン/ナルトレキソン、ブプロピオン/ゾニサミド、トピラマート/フェンテルミンおよびプラムリンチド/メトレレプチンである。
【0104】
アテローム性動脈硬化症の処置のための組合せ相手の例は、ホスホリパーゼA2阻害剤;チロシンキナーゼ、例えばPDGF-受容体キナーゼの阻害剤(50mg~600mg)(欧州特許出願公開第564409号、国際公開第98/35958号、米国特許第5093330号、国際公開第2004/005281号および国際公開第2006/041976号参照);酸化LDL抗体および酸化LDLワクチン;apoA-1 Milano;ASA;ならびにVCAM-1阻害剤である。
【0105】
さらに、本発明の特定のDPP-4阻害剤は、本発明の目的では、GLP-1以外でもあり得る、DPP-4の基質(特にDPP-4の抗炎症性基質)と併用して使用可能であり、そのようなDPP-4の基質としては、限定はされないが、例えば下記の1つまたは複数が挙げられる。
インクレチン:
グルカゴン様ペプチド(GLP)-1
グルコース依存性インスリン分泌性ペプチド(GIP)
向神経活性:
サブスタンスP
ニューロペプチドY(NPY)
ペプチドYY
エネルギー恒常性:
GLP-2
プロラクチン
脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)
他のホルモン:
PACAP27
ヒト絨毛性ゴナドトロピンアルファ鎖
成長ホルモン放出因子(GHRF)
黄体ホルモンアルファ鎖
インスリン様成長因子(IGF-1)
CCL8/エオタキシン
CCL22/マクロファージ由来ケモカイン
CXCL9/インターフェロンガンマ誘導モノカイン
ケモカイン:
CXCL10/インターフェロンガンマ誘導タンパク質-10
CXCL11/インターフェロン誘導性T細胞走化性因子
CCL3L1/マクロファージ炎症性タンパク質1アルファイソ型
LD78ベータ
CXCL12/ストローマ細胞由来因子1アルファおよびベータ
その他:
エンケファリン、ガストリン放出ペプチド、バソスタチン-1、ペプチドヒスチジン、メチオニン、サイロトロピンアルファ
【0106】
さらにまたは加えて、本発明の特定のDPP-4阻害剤は、例えば、利尿剤、ACE阻害剤および/またはARBから選択される、腎症の処置に適応となる1つまたは複数の活性物質と併用して使用され得る。
さらにまたは加えて、本発明の特定のDPP-4阻害剤は、心血管疾患またはイベント(大心血管イベント)の処置または防止に適応となる1つまたは複数の活性物質と併用して使用され得る。
【0107】
さらに、加えてもよい、本発明の特定のDPP-4阻害剤は、1つまたは複数の抗血小板薬、例えば(低用量)アスピリン(アセチルサリチル酸)、選択的COX-2もしくは非選択的COX-1/COX-2阻害剤、またはADP受容体阻害剤、例えばチエノピリジン(例えば、クロピドグレルまたはプラスグレル)、エリノグレルもしくはチカグレロール、またはトロンビン受容体アンタゴニスト、例えばボラパクサールと併用して使用され得る。
【0108】
さらに、加えてもよい、本発明の特定のDPP-4阻害剤は、1つまたは複数の抗凝集薬、例えばヘパリン、クマリン(例えばワルファリンもしくはフェンプロクモン)、第Xa因子の五糖阻害剤(例えばフォンダパリヌクス)、または直接トロンビン抑制剤(例えばダビガトラン)、または第Xa因子阻害剤(例えばリバーロキサバンもしくはアピキサバンもしくはエドキサバンもしくはオタミキサバン)と併用して使用され得る。
よりさらに、加えてもよい、本発明の特定のDPP-4阻害剤は、心不全の処置のための1つまたは複数の薬剤と併用して使用され得る(例えば、国際公開第2007/128761号に記載のもの)。
【0109】
本発明による組合せまたは組成物の活性成分の投与量は様々であるが、活性成分の量は好適な剤形が得られるべきである。したがって、選択された投与量および選択された剤形は、所望の治療効果、投与経路、および処置期間によるべきである。組合せのための投与量範囲は単剤の最大耐用量からより低用量までであり得る。
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態による範囲に限定されるものではない。当業者には本開示から本明細書に記載のものに加えて本発明の種々の変更形態が明らかになり得る。そのような変更形態は、添付の特許請求の範囲内に入るように意図される。
本発明のさらなる実施形態、特徴および利点は下記実施例から明らかになり得る。下記実施例は、本発明の原理をそれに限定することなく例として説明するのに役立つ。
本明細書に引用した全ての特許出願は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例0110】
本発明をより完全に理解するため、本明細書に挙げた実施例を記載する。本発明のさらなる実施形態、特徴、または態様は、実施例から明らかになり得る。実施例は、本発明の原理を限定することなく例として説明するのに役立つ。
アルブミン尿を有する2型糖尿病患者の処置:
多施設、二重盲検、プラセボ対照臨床試験により、2型糖尿病、アルブミン尿、および推算GFR≧30ml/分/1.73m2(腎機能障害を伴うまたは伴わない)の患者におけるリナグリプチンの血糖および腎臓への作用を調べる。
【0111】
単一のレニン-アンジオテンシン系遮断(ARBまたはACE阻害剤)の安定な背景(標準治療)にもかかわらず、全部で360人の2型糖尿病(HbA1c6.5~10%)および持続性のアルブミン尿(尿中アルブミンクレアチニン比[UACR]30~3000mg/gCr、すなわち微量または顕性アルブミン尿)を有する患者を、24週間、リナグリプチン5mg(n=182)またはプラセボ(n=178)のいずれかに無作為化する。最初の血糖および重要な二次腎臓代替エンドポイントはそれぞれ24週間に渡るHbA1cおよびUACRのベースラインからの変化である。
【0112】
全体平均(SD)ベースラインHbA1cおよび幾何平均(gMean)UACRはそれぞれ、7.8%(0.9)および126mg/gCr(微量アルブミン尿、73.7%;顕性アルブミン尿、20.3%)である。24週目の、リナグリプチンおよびプラセボのHbA1cにおけるベースラインからの調整平均(SE)%変化はそれぞれ、-0.63(0.06)および-0.03(0.06)であり;ベースラインからのプラセボ-調整平均HbA1c変化は、-0.60%(95% Cl-0.78、-0.43;p<0.0001)である。24週間に渡るリナグリプチンおよびプラセボのUACRにおけるベースラインからの%変化(95% Cl)の時間荷重平均のgMeanはそれぞれ、-11.0%(-16.8、-4.7)および-5.1%(-11.4、1.6)であり;UCARにおけるベースラインからの%変化の時間荷重平均のプラセボ調整gMeanは、-6.0%(95% Cl-15.0、3.0;NS)である。
【0113】
上記試験における、メトホルミンの背景がありリナグリプチンで処置した患者(および中程度の腎障害CKD3、eGFR30~60ml/分/1.73m2を有するもの)のサブグループの探索的分析は、メトホルミンと併用していない患者と比較した尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)においてプラセボに対するベースラインからの変化に数値的に大きな違いを示す(重要な二次エンドポイントの事後サブグループ分析)。
あるいは、アルファ2-HS-糖タンパク質、アルファ-1-抗トリプシン、および酸-1-糖タンパク質から構成される尿中バイオマーカーパネルのプロファイルから作成されるように、糖尿病性腎臓病の病期分類のための採点システム(糖尿病性腎症スコア)によって腎臓への作用を評価し得る。
心血管および腎臓細小血管リスクが高い2型糖尿病患者の処置:
2型糖尿病患者(例えば血管リスクが高く、糖尿病性腎臓病の進展期ステージ)の関連集団におけるメトホルミンと併用するリナグリプチンによる処置の、心血管および腎臓(細小血管)の安全性、罹患率、および/または死亡率への長期的影響ならびに関連有効性評価基準(例えば、HbA1c、空腹時血漿グルコース、処置持続可能性)は以下のように調査し得る。
【0114】
例えば以下に示した状態Iによって定義されるアルブミン尿(微量または顕性)および大血管疾患の既往
ならびに/または
例えば、以下に示した状態IIによって定義される、腎機能障害によって例えば定義される、血糖コントロールが不十分であり(連続7日間以上、例えばHbA1c6.5~10%を有する場合、GLP-1受容体アゴニスト、DPP-4阻害剤またはSGLT-2阻害剤による処置を除いて、メトホルミンを含む任意の抗糖尿病背景薬未投与または先処置された)、および心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病患者;
状態I:
アルブミン尿(例えば、尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニンまたは≧30mg/l(1リットルの尿当たりのミリグラムアルブミン)または≧30μg/分(1分当たりのマイクログラムアルブミン)または≧30mg/24時間(24時間当たりのミリグラムアルブミン)ならびに
例えばa)からf)の1つまたは複数として定義される大血管疾患の既往:
a)心筋梗塞の既往(例えば>2カ月)、
b)例えば以下のいずれか1つによって定義される進展期冠動脈疾患:
・冠動脈造影またはCT血管造影により、2またはそれ以上の主要冠動脈(例えば、LAD(左前下行枝)、CX(回旋枝)、またはRCA(右冠動脈))の内腔径が≧50%狭窄、
・内腔径が≧50%狭窄した左冠動脈主幹部、
・≧2の主要冠動脈の事前の経皮的または外科的血行再建(例えば≧2カ月)、
・事前の経皮的または外科的血行再建の組合せ、例えば1つの主要な冠動脈(例えば≧2カ月)および少なくとも1つの追加の主要冠動脈の冠動脈造影またはCT血管造影により内腔径の≧50%狭窄、
c)例えば1つの主要冠動脈の内腔径の≧50%狭窄の存在(例えば血行再建されていない患者における冠動脈造影またはCT血管造影による)および以下のうちの少なくとも1つによって定義される高リスク一枝冠動脈疾患:
・非侵襲性負荷試験陽性、例えば以下のいずれかによって確認される:
- 左脚ブロック、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、再分極異常を伴う左室肥大、またはST-T異常の場合のペース調整心室リズム、心房細動のない患者におけるECG運動負荷試験陽性、
- 誘発性局所収縮期壁運動異常を示す負荷心エコー陽性、
- 負荷誘発性可逆灌流異常を示す核心筋血流像負荷試験陽性、
- 不安定な狭心症の診断書を持つ病院から退院した患者(例えば≧2~12カ月)、
d)虚血性または出血性脳卒中の既往(例えば>3カ月)、
e)例えば以下のいずれかによって確認される頸動脈疾患の存在(例えば、症候性またはそうではない):
- 内腔が≧50%狭窄していると推測される少なくとも1つの病変を有する画像処理技術、
- 事前の経皮的または外科的血行再建、
f)例えば以下のいずれかによって確認される末梢動脈疾患の存在:
- 肢血管形成、ステント留置術、またはバイパス手術の既往、
- 不十分な大循環性による肢または足切断の既往、
- 少なくとも1つの肢で内腔径が≧50%狭窄した末梢動脈狭窄の血管造影の証拠(例えば、末梢動脈の定義:総腸骨動脈、内腸骨動脈、外腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈)、
【0115】
状態II:
例えば、
・任意の尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)で推算糸球体濾過量(eGFR)15~45mL/分/1.73m2の腎機能障害(例えばMDRD式によって定義される)、
および/または
・尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)>200mg/gクレアチニンもしくは>200mg/l(1リットルの尿当たりのミリグラムアルブミン)もしくは>200μg/分(1分当たりのマイクログラムアルブミン)もしくは200mg/24時間(24時間当たりのミリグラムアルブミン)で推算糸球体濾過量(eGFR)45~75mL/分/1.73m2の腎機能障害(例えばMDRD式によって定義される);
によって定義される、腎機能障害(例えばCV併存疾患を伴うまたは伴わない)は、メトホルミン(1つまたは複数のさらなる活性物質、例えば本明細書に記載のものと併用してもよい)と併用するリナグリプチン(好ましくは1日当たり5mg、経口投与)によって長期間に渡り処置され(例えば、4~5年、または好ましくは少なくとも48カ月)、プラセボによって処置された患者と比較する(標準治療に加えて追加療法として)。
【0116】
プラセボによって処置された患者と比較して治療成功の証拠は、例えば心血管または脳血管イベントの最初の発生にかかる(より長い)時間、例えば複合CVエンドポイントの任意の以下の成分の最初の発生にかかる時間;心血管死(致死性脳卒中、致死性心筋梗塞、および突然死を含む)、非致死性心筋梗塞(無症候性心筋梗塞は除外する)、非致死性脳卒中、および例えば不安定狭心症のための入院(これも成分に含めてもよい);ならびに/または
腎細小血管イベントの最初の発生にかかる(より長い)時間、例えば複合腎臓エンドポイントの任意の以下の成分の最初の発生にかかる時間;腎性死、持続性末期腎疾患、および50%またはそれ以上のeGFRの持続的低下におけるプラセボと比較して劣っていないこと、または優位であることに見出される。
【0117】
さらなる治療成功は、心血管死、(非)致死性心筋梗塞、無症候性MI、(非)致死性脳卒中、不安定狭心症のための入院、冠血行再建のための入院、末梢血行再建のための入院、うっ血性心不全のための入院、総死亡率、腎性死、持続性末期腎疾患、eGFRの低下、顕性アルブミン尿の新しい発生、アルブミン尿の進行、CKDの進行、抗網膜症療法の必要性;またはアルブミン尿、腎機能、CKDの改善;または認知機能の改善もしくは加速する認知衰退の防止、もしくはそれからの保護のいずれかの(より少ない)数または最初の発生にかかる(より長い)時間に見出される。
【0118】
認知機能は、例えば、ミニメンタルステート検査(MMSE)、トレイルメイキングテスト(TMT)および/または言語流暢性テスト(VFT)の使用により認知機能の測定として標準検査によって評価され得る。
追加の治療成功(プラセボと比較して)は、HbA1cおよび/またはFPGのベースラインからの大きな変化に見出される。
さらなる追加の治療成功は、血糖コントロールを維持する試験処置において、試験終了時に多くの割合の患者で見出される(例えば、HbA1c≦7%)。
【0119】
さらなる追加の治療成功は、(処置の間に)追加の抗糖尿病薬を必要とせずにHbA1c≦7%を得る血糖コントロールを維持する試験処置において、試験終了時に多くの割合の患者で見出される。
さらなる追加の治療成功は、インスリンで開始するもしくはインスリンによって処置する試験処置において少ない割合の患者で、または使用した低用量のインスリン投与で見出される。
さらなる追加の治療成功は、試験終了時の体重のベースラインからの少ない変化、または体重増加が≦2%の多くの割合の患者、または体重増加が≧2%の少ない割合の患者で見出される。
【0120】
本試験において、例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルが45の低さまでの、もしくは30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者、例えば中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)、特にeGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害の患者について、それぞれのサブグループ解析を行うことができる。
【0121】
上記試験の全参加者の3分の2を超える(71%)患者が、ベースラインでのeGFRおよびアルブミン尿カテゴリーによって、高リスク(27.2%)または非常に高リスク(43.5%)の腎臓の予後を有するとカテゴリー分類される:
eGFRおよびアルブミン尿カテゴリーによる試験集団のCKDの予後:
高リスク:
UACR(mg/g)>300およびeGFR(ml/分/1.73m2)>60、または
UACR(mg/g)30~299およびeGFR(ml/分/1.73m2)45~59、または
UACR(mg/g)<30およびeGFR(ml/分/1.73m2)30~44;
非常に高リスク:
UACR(mg/g)>300およびeGFR(ml/分/1.73m2)45~59もしくは30~44もしくは<30、または
UACR(mg/g)30~299およびeGFR(ml/分/1.73m2)30~44もしくは<30、または
UACR(mg/g)<30およびeGFR(ml/分/1.73m2)<30。
【0122】
それぞれのサブグループ分析はまた、上記に定義したように高リスクまたは非常に高リスクの腎臓予後を有する患者に関しても本試験において行うことができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用し、1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩を含む、アルブミン尿を有し、かつ経口及び/または非経口の抗糖尿病薬による治療にもかかわらず血糖コントロールが不十分である2型糖尿病患者の処置のための医薬組成物であって、
前記患者が、eGFR45~59を有する軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)またはeGFR30~44を有する中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)のの(慢性)腎障害を有する患者である、医薬組成物。
【請求項2】
2型糖尿病患者が、メトホルミンによる以前の単剤療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分である、請求項1記載の医薬組成物
【請求項3】
2型糖尿病患者が、メトホルミンおよびスルホニルウレアによる以前の二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分である、メトホルミンとスルホニルウレアと併用する、請求項1記載の医薬組成物
【請求項4】
2型糖尿病患者が、メトホルミンおよびインスリンによる以前の二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分である、メトホルミンとインスリンと併用する、請求項1記載の医薬組成物
【請求項5】
メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用し、1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、医薬組成物を製造するための、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩の使用であって、
患者が、eGFRレベル30~44を有する程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有し、塩酸メトホルミンの最大1日用量が1000mgであり、
リナグリプチンおよびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)が、単一の医薬組成物、例えば組成物の1日2回経口投与のために、例えば2.5mgのリナグリプチンおよび500mgのメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態、特に即時放出型)を含み、ならびに1つまたは複数の薬学的助剤を含んでもよい単一経口剤形(例えば錠剤)の形態で投与される、上記使用
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0122】
それぞれのサブグループ分析はまた、上記に定義したように高リスクまたは非常に高リスクの腎臓予後を有する患者に関しても本試験において行うことができる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m 2 )レベルが45の低さまでの、もしくは30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者(好ましくは2型糖尿病患者)、例えばeGFR30~60mL/分/1.73m 2 を有する患者(CKDステージ3)、
特に
eGFR45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の患者、または
eGFR30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の患者
における使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔2〕例えばステージ3までのおよび/または推算糸球体濾過量(eGFR;mL/分/1.73m 2 )レベルが45の低さまでの、もしくは30の低さまでの慢性腎臓病(CKD)を有する患者(好ましくは2型糖尿病患者)、例えばeGFR30~60mL/分/1.73m 2 を有する患者(CKDステージ3)、
特に
eGFR45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の患者、または
eGFR30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の患者
において、代謝性疾患、特に2型糖尿病および/またはそれに関連する状態(例えば、糖尿病性合併症、特に慢性腎臓病、または糖尿病性腎症、微量もしくは顕性アルブミン尿、腎障害、網膜症、神経障害、または心血管もしくは脳血管イベントなどの大血管性合併症)の処置および/または防止(その進行の減速もしくは発症の遅延を含む)における使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔3〕i)2型糖尿病を処置する;
ii)慢性腎臓病(糖尿病性腎症)を処置するまたはその進行を減速する;
iii)アルブミン尿(微量または顕性アルブミン尿)を処置する、防止する、それから保護する、そのリスクを低減する、その進行を遅延する、および/またはその発生を遅延する;
iv)心血管(CV)死(致死性脳卒中、致死性心筋梗塞、および突然死を含む)、非致死性脳卒中、および非致死性心筋梗塞(MI)から選択され、または不安定狭心症のための入院から選択されてもよい心血管もしくは脳血管合併症、またはイベントを防止する、それから保護する、そのリスクを低減するおよび/またはその発生を遅延する;
v)腎性死、末期腎疾患、および推算糸球体濾過量の低下(例えばeGFRがベースラインから≧50%または≧40%)から選択される腎性細小血管合併症またはイベントを防止する、それから保護する、そのリスクを低減する、その進行を遅延するおよび/またはその発生を遅延する;ならびに/あるいは、
vi)認知衰退または認知障害または痴呆を減少する、防止する、それから保護する、それを(例えば発生もしくは進行を)遅延するおよび/またはそのリスクを低減する;
の1つまたは複数によって特徴付けられる、前記〔1〕または〔2〕に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔4〕リナグリプチンおよびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)が、例えば単一経口剤形(例えば錠剤)の形態で、単一の医薬組成物で投与される、前記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔5〕好ましくは1日2回経口投与のため、有効成分含量2.5mg、;または
好ましくは1日1回経口投与のため、有効成分含量5mg
で組成物中に存在する、前記〔4〕に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔6〕メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)が、
好ましくは1日2回経口投与のため、好ましくは即時放出メトホルミンの形態で、有効成分含量500mg、850mg、もしくは1000mg;
または好ましくは1日1回経口投与のため、好ましくは持続放出メトホルミンの形態で、有効成分含量500mg、750mg、1000mg、1500mgもしくは2000mg
で組成物中に存在する、前記〔4〕または〔5〕に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔7〕医薬組成物が、例えば組成物の1日2回経口投与のために、2.5mgのリナグリプチンおよび500mg、850mg、または1000mgのメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態、特に即時放出型)を含み、ならびに1つまたは複数の薬学的助剤を含んでもよい、
前記〔4〕に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔8〕医薬組成物が、例えば1つの錠剤として組成物の1日1回経口投与のために、5mgのリナグリプチンおよび1000mgのメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態、特に持続放出型)を含み、ならびに1つもしくは複数の薬学的助剤を含んでもよい、または
医薬組成物が、例えば2つの錠剤として組成物の1日1回経口投与のために、2.5mgのリナグリプチンおよび750mgもしくは1000mgのメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態、特に持続放出型)を含み、ならびに1つもしくは複数の薬学的助剤を含んでもよい、
前記〔4〕に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔9〕合計経口1日用量5mg、例えば1日2回2.5mgのリナグリプチンまたは1日1回5mgのリナグリプチンで投与される、前記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用してよい、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔10〕メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)が、最大1日用量まで、例えば1日当たり500mg、1000mgもしくは2000mg、または2500mgまでも投与される、前記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔11〕2型糖尿病患者が抗高血糖薬で以前に処置されていない、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)(および1つまたは複数のさらなる活性剤もよい)と併用する、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔12〕2型糖尿病患者が、メトホルミンによる以前の単剤療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分である、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)(および1つまたは複数のさらなる活性剤もよい)と併用する、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔13〕2型糖尿病患者が、メトホルミンおよびスルホニルウレアによる以前の二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分である、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)およびスルホニルウレア(および1つまたは複数のさらなる活性剤もよい)と併用する、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔14〕2型糖尿病患者が、メトホルミンおよびインスリンによる以前の二剤併用療法にもかかわらず血糖コントロールが不十分である、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)およびインスリン(および1つまたは複数のさらなる活性剤もよい)と併用する、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔15〕患者が、中程度のステージ(CKDステージ3、eGFR30~60)の(慢性)腎障害を有し;微量または顕性アルブミン尿を伴っても伴わなくてもよく、特に、微量または顕性アルブミン尿を伴う、前記〔1〕から〔14〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔16〕患者が、eGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の(慢性)腎障害を有する、前記〔1〕から〔15〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔17〕患者が、eGFRレベル45~59を有するなど軽度から中程度のステージ(CKDステージ3a)の(慢性)腎障害を有し、塩酸メトホルミンの最大1日用量が2000mgである、前記〔1〕から〔15〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔18〕患者が、eGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有する、前記〔1〕から〔15〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔19〕患者が、eGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有し、塩酸メトホルミンの最大1日用量が1000mgである、前記〔1〕から〔15〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔20〕患者が、
アルブミン尿(例えば微量または顕性アルブミン尿)

大血管(例えば心血管または脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠動脈疾患、(虚血性もしくは出血性)発作、頸動脈疾患、および/または末梢動脈疾患)の既往
の両方、
ならびに/あるいは
顕性アルブミン尿を伴う(軽度もしくは中程度)腎障害(例えば、CKDステージ1、2、もしくは3、例えばCKDステージ1、2(軽度)、もしくは3(軽度~中程度)、好ましくはeGFR≧45~75mL/分/1.73m 2
または
任意のアルブミン尿を伴うもしくは伴わない(例えば微量もしくは顕性アルブミン尿を伴うもしくは伴わない)(中程度もしくは高度)腎障害(例えば、CKDステージ3、例えばCKDステージ3b(中程度~高度)、好ましくはeGFR30~45mL/分/1.73m 2 、もしくはCKDステージ4、好ましくはeGFR15~29mL/分/1.73m 2
のいずれか
を有する、前記〔1〕から〔19〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔21〕患者が、
(i)アルブミン尿(微量または顕性)(例えば、尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニンまたは≧30mg/l(1リットルの尿当たりのミリグラムアルブミン)または≧30μg/分(1分当たりのマイクログラムアルブミン)または≧30mg/24h(24時間当たりのミリグラムアルブミン))および例えばa)からf):
a)心筋梗塞の既往、
b)進展型冠動脈疾患、
c)高リスク一枝冠動脈疾患、
d)虚血性または出血性発作の既往、
e)頸動脈疾患の存在、
f)末梢動脈疾患の存在
の1つまたは複数として定義される大血管疾患の既往、
ならびに/あるいは
(ii)例えば
・eGFR15~45mL/分/1.73m 2 もしくは30~45mL/分/1.73m 2 と任意の尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)とを伴う腎機能障害、および/または、
・eGFR≧45~75mL/分/1.73m 2 と尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)>200mg/gクレアチニンもしくは>200mg/l(1リットルの尿当たりのミリグラムアルブミン)もしくは>200μg/分(1分当たりのマイクログラムアルブミン)もしくは>200mg/24h(24時間当たりのミリグラムアルブミン)とを伴う腎機能障害
によって定義される腎機能障害(例えば、CV共存症を伴うまたは伴わない)
を有する、前記〔1〕から〔20〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔22〕1つまたは複数の他の活性剤が、他の抗糖尿病薬、例えばインスリンもしくはスルホニルウレアおよび/または抗高血圧薬、例えばアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤もしくはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)から選択される、前記〔1〕から〔21〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔23〕患者が、長期に渡り、例えば、少なくとも1~6年、2年以上、または3~7年、例えば3~4年、3~5年、3~6年、4~5年、4~6年、5~6年、または5~7年、好ましくは少なくとも48カ月、より好ましくは少なくとも3年処置される、前記〔1〕から〔22〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
〔24〕患者が、eGFRレベル30~44を有するなど中程度から高度のステージ(CKDステージ3b)の(慢性)腎障害を有し、塩酸メトホルミンの最大1日用量が1000mgであり、
リナグリプチンおよびメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)が、単一の医薬組成物、例えば組成物の1日2回経口投与のために、例えば2.5mgのリナグリプチンおよび500mgのメトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態、特に即時放出型)を含み、ならびに1つまたは複数の薬学的助剤を含んでもよい単一経口剤形(例えば錠剤)の形態で投与される、
前記〔1〕から〔23〕のいずれか1項に記載の使用のための、メトホルミン(特に塩酸メトホルミンの形態)と併用する、および1つまたは複数のさらなる活性剤と併用してもよい、リナグリプチンまたは薬学的に許容されるその塩。
【外国語明細書】