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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093404
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】RFIDタグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20220616BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20220616BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
G06K19/077 248
G06K19/07 040
G06K19/077 112
G06K19/077 280
H01Q9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067039
(22)【出願日】2022-04-14
(62)【分割の表示】P 2021516071の分割
【原出願日】2020-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2019082379
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】知識 洸
(72)【発明者】
【氏名】新納 範高
(57)【要約】
【課題】機能モジュールを有するRFIDタグにおいて、通信可能距離の長大化を図る。
【解決手段】RFIDタグは、アンテナ導体を有する回路基板と、回路基板に搭載されたRFID用ICと、回路基板にリード線を介して接続された機能モジュールとを備える。そして、機能モジュールと回路基板上の素子とを電気的に接続する接続配線の電気長が、RFID用ICが送受信する無線信号の半波長の整数倍の±10%以内である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ導体を有する回路基板と、
前記回路基板に搭載されたRFID用ICと、
前記回路基板にリード線を介して接続された機能モジュールと、
を備え、
前記機能モジュールと前記回路基板上の素子とを電気的に接続する接続配線の電気長が、前記RFID用ICが送受信する無線信号の半波長の整数倍の±10%以内である、
RFIDタグ。
【請求項2】
前記機能モジュールと、前記回路基板における前記リード線の接続部とが、前記アンテナ導体の長手方向に並び、
前記機能モジュールは複数のリード線を介して前記回路基板に接続され、
前記複数のリード線が結束された結束部が、前記機能モジュールの中央よりも前記接続部とは反対側に位置する、
請求項1記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記アンテナ導体の長手方向において、前記結束部は、前記アンテナ導体の端部よりも前記アンテナ導体の中央とは反対側に位置する、
請求項2記載のRFIDタグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機能モジュールを有するRFID(Radio Frequency Identifier)タグに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002-65418号公報には、太陽電池及び液晶表示装置などの機能モジュールを有するRFIDタグが示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明に係るRFIDタグは、
アンテナ導体を有する回路基板と、
前記回路基板に搭載されたRFID用ICと、
前記回路基板にリード線を介して接続された機能モジュールと、
を備え、
前記機能モジュールと前記回路基板上の素子とを電気的に接続する接続配線の電気長が、前記RFID用ICが送受信する無線信号の半波長の整数倍の±10%以内である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の実施形態に係るRFIDタグを示す分解斜視図である。
図2】筐体に回路基板と機能モジュールとが搭載された構成の平面図である。
図3】実施形態のRFIDタグを示す縦断面図である。
図4】実施形態のRFIDタグの回路構成を示すブロック図である。
図5】回路基板及び機能モジュールを示す裏面図である。
図6】配線長と通信可能距離との関係を示したグラフである。
図7】リード線の結束位置と通信可能距離との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0006】
図1は、本開示の実施形態に係るRFIDタグを示す分解斜視図である。図2は、筐体に回路基板と機能モジュールとが搭載された構成の平面図である。図3は、実施形態のRFIDタグを示す縦断面図である。図2及び図3において、表示器33は二点鎖線で表している。図3は、図2の矢印A-A線の位置における断面を示している。本明細書では、図面に示されたX、Y、Zの三軸方向を用いて各方向を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、互いに直交する三軸である。また、X方向を左右の横方向、Y方向を上下方向、Z方向を前後方向として、各方向を表わすことがある。ただし、明細書で示された各方向は、RFIDタグ1の使用時における各方向と一致する必要はない。
【0007】
実施形態のRFIDタグ1は、図1に示すように、筐体10と、回路基板20と、機能モジュールとしての光発電パネル31、32と、表示器33と、蓋体40とを備える。
【0008】
筐体10は、一方が開放された凹状の形態を有し、回路基板20と表示器33とを重ねかつ表示器33の左右に2つの光発電パネル31、32を並べて収容できる。筐体10は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PC(ポリカーボネート)、POM(ポリアセタール)、PP(ポリプロピレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイト)、PA(ポリアミド)、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合)、PE(ポリエチレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)、EP(エポキシ樹脂)、PF(フェノール樹脂)などのエンジニアリングプラスチックを主材とし、例えば射出成形により形成される。筐体10は、上記の材料のいずれかを主材とし、他の材料を混合した混合材により形成されてもよいし、さらに無機フィラーが含有された材料により形成されてもよい。
【0009】
回路基板20は、XY方向に拡がる主部20Aと、主部20Aの上辺(縁部)に沿って延在し、かつ、主部20AのX方向の両側に長く延在する延在部20Bとを有する。図2においては、主部20Aと延在部20Bとの仮想的な境界線E1を示している。主部20Aは、平面視で矩形状であってもよい。
【0010】
延在部20Bは、アンテナ導体28を含み、主部20Aと一体化されている。アンテナ導体28は、回路基板20の一面(例えば図1及び図2では後面)に形成される。アンテナ導体28から放射される電磁界は、アンテナ導体28の長手方向(X方向)に垂直なYZ面において、全方位的に放射される。アンテナ導体28は、回路基板20の中間層に形成されていてもよい。
【0011】
アンテナ導体28は、無線信号の周波数で共振する電波放射用の帯状部28aと、インピーダンス整合用のパターン部28bとを含む。帯状部28aは、X方向において光発電パネル31、32が配置される範囲まで延在されている。帯状部28aは、主部20Aの横幅よりも長く、主部20AよりもX方向の一方と他方とに長く延在している。帯状部28aは、電気長がRFID用IC25の無線信号のほぼ半波長の長さを有するダイポールアンテナを構成していてもよい。パターン部28bは、例えばループ状のパターンを有し、帯状部28aとRFID用IC25の給電点との間に設けられ、両者の間でインピーダンスを整合させる。
【0012】
表示器33は、例えば液晶表示パネルであり、回路基板20と配線(フィルム配線等)33hを介して電気的に接続される。図2に示すように、表示器33は、回路基板20の主部20AとZ方向に重なり、延在部20BとZ方向に重ならない。なお、表示器33は、アンテナ導体28の帯状部28aに重ならなければ、パターン部28b及び延在部20Bの一部と重なってもよい。
【0013】
光発電パネル31、32は、外部から光を受けて発電する。光発電パネル31、32の各々は、矩形板状であってもよい。光発電パネル31、32は、被覆配線であるリード線31ha、31hb、32ha、32hbを介して回路基板20と電気的に接続される。図2に示すように、光発電パネル31、32は、回路基板20の主部20Aと延在部20Bとに二方が仕切られた回路基板20の両脇部に配置される。図3に示すように、光発電パネル31、32は、XY平面に沿った方向に見たとき、表示器33と重なり、かつ、回路基板20と重ならないように配置されてもよい。光発電パネル31、32のリード線31ha、31hb、32ha、32hbは、一部を除いてZ方向に光発電パネル31、32と重なり、XY平面に沿った方向に見たときに、回路基板20と重なる高さに配置されてもよい。
【0014】
蓋体40は、光発電パネル31、32及び表示器33に対向する範囲に透明窓41a~41cを有し、筐体10の内枠10aに接合されて筐体10内を封止する。
【0015】
図4は、実施形態のRFIDタグの回路構成を示すブロック図である。
【0016】
RFIDタグ1は、光発電パネル31、32から発電電力を入力し電力管理を行うPMIC(Power Management Integrated Circuit)21と、PMIC21から電力を受けて制御系の電源電圧を生成する第1電源IC22と、PMIC21から電力を受けて表示器33の駆動電圧を生成する第2電源IC23とを備える。さらに、RFIDタグ1は、電波を介してリーダライタと無線通信を行うRFID用IC25と、RFID用IC25との通信及び表示器33の表示制御を行う制御回路24とを備える。制御回路24と、RFID用IC25とは、第1電源IC22から電源電圧を受けて動作する。RFID用IC25は、例えばUHF(Ultra High Frequency)帯の電波を用いて無線通信を行う。RFID用IC25は、リーダライタから読み書きが可能な記憶部を有し、記憶部に識別情報又は管理情報等が格納される。制御回路24は、例えばマイクロコンピュータであり、RFID用IC25と通信を行ってRFID用IC25の記憶部の情報を読み出すことができる。制御回路24は、読み出した情報に基づいて、表示器33の表示内容を制御する。
【0017】
図5は、回路基板及び機能モジュールを示す裏面図である。
【0018】
図5に示すように、回路基板20の主部20Aには、PMIC21、第1電源IC22、第2電源IC23、制御回路24、RFID用IC25等が搭載されている。さらに、回路基板20には、表示器33の配線33hが着脱自在に接続されるコネクタ29と、リード線31ha、31hb、32ha、32hbが着脱自在に接続されるコネクタ26a、26b、27a、27bとが搭載されている。
【0019】
光発電パネル31は、外表面に発電電力が出力される2つの外部電極311、312を有する。光発電パネル31は、内部に、半導体が内部電極で挟まれた発電セルが複数個配列されており、複数の発電セルが直列に接続されて構成されている。図5中、裏面側の内部電極315a~315hを破線で示す。この直列接続の一端に位置する発電セルの内部電極315hに外部電極311が接続され、他端に位置する発電セルの内部電極315aに外部電極312が接続されている。一方の外部電極311と1つの内部電極315hとは、大きなインピーダンスを介することなく導通している。内部電極315hは、他の内部電極315a~315g及び表面側の内部電極(透明電極)とインピーダンスの大きい半導体等を介して接続されている。もう一方の外部電極312と1つの内部電極315aとは、大きなインピーダンスを介することなく導通している。内部電極315aは、他の内部電極315b~315h及び表面側の内部電極(透明電極)とインピーダンスの大きい半導体等を介して接続されている。2つの外部電極311、312は、平面視で光発電パネル31の2つの隅部(X方向において回路基板20の主部20Aから遠い方でかつY方向の一方と他方の2つの隅部)に配置されていてもよい。
【0020】
一方の外部電極311は、リード線31haと回路基板20上の基板配線201とを介して、回路基板20上の素子(例えばPMIC21の入力端子)に接続されている。すなわち、光発電パネル31と回路基板20上の素子とが、リード線31haと、コネクタ26a内の配線導体と、基板配線201と、内部電極315hとを合わせた接続配線51を介して電気的に接続されている。ただし、コネクタ26a内の配線導体とは、リード線31haから基板配線201へ電流を流す最小抵抗の経路部分を指す。接続配線51の一端と他端とは、ハイインピーダンス端子に接続され、両端間がローインピーダンスな電力(又は信号)の伝送路となっている。ハイインピーダンス端子とは、例えばコネクタ26aの接続部のインピーダンスより高い端子を意味する。ここで、インピーダンスとは、RFIDの無線周波数における値を意味する。なお、PMIC21の入力端子の前段に例えばダイオードなどのインピーダンスの高い素子が介在する場合には、接続配線51は、光発電パネル31の内部電極315hの端部からダイオードまでの区間の配線に相当する。また、PMIC21の入力端子の前段に例えば、コンデンサが介在する場合には、接続配線51は、光発電パネル31内の内部電極315hの端部からコンデンサまでの区間の配線に相当する。
【0021】
接続配線51(内部電極315h、リード線31ha、コネクタ26a内の配線導体、基板配線201)の電気長は、RFID用IC25が入出力する無線信号の半波長の±10%以内である。接続配線51の電気長は、同無線信号の半波長の±5%以内であってもよい。さらに、接続配線51の電気長は、同無線信号の半波長の整数倍の±10%以内あるいは±5%以内であってもよい。Mの±N%以内とは、(M-M×N%)~(M+M×N%)を意味する。
【0022】
もう一方の外部電極312は、リード線31hbと回路基板20のグラウンド電極とを介して、回路基板20上の素子(例えばPMIC21のグラウンド端子)に接続されている。グラウンド電極は、回路基板20の主部20Aのほぼ全域に拡がっていてもよい。外部電極312は、光発電パネル31の内部電極315aに導通している。リード線31hbは、一方のリード線31haと略同一の長さであってもよい。リード線31hbと内部電極315aとコネクタ26b内の配線導体とグラウンド電極とを合わせた配線の電気長が、前述した接続配線51の電気長と同一であってもよい。ただし、配線導体とグラウンド電極の長さとは、リード線31hbからPMIC21のグラウンド端子まで電流を流す最小抵抗の経路部分を指す。
【0023】
光発電パネル31に接続された2つのリード線31ha、31hbは、一部同士がテープ等で結束されている。結束されている部分を、結束部31hxと呼ぶ。図5に示す例にでは、2つのリード線31ha、31hbは、結束部31hxにおいて交差しているが、2つのリード線31ha、31hbは交差していなくてもよい。結束部31hxは光発電パネル31の裏面に固定されていてもよい。なお、複数のリード線の結束の態様には、複数のリード線が単一の結束具(テープ等)で結束されている態様だけでなく、個々のリード線がリード線以外のものに固定されることで、複数のリード線の一部同士が近接した状態に維持される態様も含まれる。この場合、複数のリード線の一部同士が近接した箇所が結束部に相当する。
【0024】
結束部31hxは、光発電パネル31の中央よりも回路基板20の主部20Aとは反対側(中央よりもコネクタ26a、26bとは反対側、又は、中央よりも外部電極311、312のある側と言い換えてもよい)に配置されている。さらに、結束部31hxは、X方向において、アンテナ導体28の端部よりも外方(端部よりもアンテナ導体28の中央部とは反対側と言い換えてもよい)に位置する。すなわち、結束部31hxは、Y方向に見たときに、アンテナ導体28と重ならないように配置されている。
【0025】
もう一方の光発電パネル32は、同様に、発電電力が出力される2つの外部電極321、322と、裏面側の内部電極325a~325hを含んだ複数の発電セルとを有し、2つのリード線32ha、32hbを介して回路基板20のコネクタ27a、27bに接続されている。これらの接続構成は、一方の光発電パネル31についての接続構成と、左右対称になっている以外は、ほぼ同様である。光発電パネル32の接続配線52(内部電極325h、リード線32ha、コネクタ27a内の配線導体、基板配線202)の電気長は、接続配線51の電気長と同様である。
【0026】
光発電パネル32に接続された2つのリード線32ha、32hbは、一部同士がテープ等で結束されて、結束部32hxを構成している。結束部32hxにおいて、2つのリード線32ha、32hbは、交差していても、交差していなくてもよい。結束部32hxの固定態様と配置は、左右対称になっているだけで、一方の結束部31hxと同様である。
【0027】
<試験結果>
図6は、配線長と通信可能距離との関係を示したグラフである。
【0028】
異なる長さの接続配線51、52を採用した複数の被試験装置(RFIDタグ)に対して通信試験を行うと、図6に示す結果が得られた。被試験装置の接続配線51、52の電気長としては、無線信号の周波数920MHzに対する真空の半波長163mmを中央に含んだ153mm~173mmの複数の長さを採用した。
【0029】
通信試験では、163mmの電気長を有する被試験装置に対して、通信可能距離が長く、分散値が小さい結果となった。153mmと173mmの電気長を有する被試験装置に対しては、通信可能距離の平均値が短く、分散値が大きい結果となった。
【0030】
図7は、リード線の結束位置と通信可能距離との関係を示したグラフである。
【0031】
一方の光発電パネル31についてのリード線31ha、31hbの結束部31hxと、もう一方の光発電パネル32についてのリード線32ha、32hbの結束部32hxとについて、位置をX方向とY方向とに変えた複数の被試験装置に対して通信試験を行うと、図7に示す結果が得られた。本試験において、X方向における結束部31hx、32hxの位置としては、光発電パネル31、32の端(回路基板20から遠い方の端)から5mm~25mmの複数の位置を採用した。Y方向における結束部31hx、32hxの位置としては、光発電パネル31、32の中央から-10mm~+10mmの複数の位置を採用した。光発電パネル31、32のサイズとしては、X方向の寸法が30~120mm、Y方向の寸法が30~120mmを採用した。なお、本開示のRFIDタグ1において光発電パネル31、32は、この寸法のサイズに限られるものではない。
【0032】
通信試験では、X方向の結束部31hx、32hxの位置が、端から15mmのときに、通信可能距離の平均値が高く、分散が少ない結果となった。一方、端から5mmのときには、通信可能距離の平均値は高いが、分散が大きい結果となった。また、端から25mmのときには、通信可能距離の平均値が低下し、分散が大きい結果となった。端から15mmとは、光発電パネル31、32の中央よりも回路基板20の主部20Aの反対側の位置に相当し、Y方向に見て、アンテナ導体28(その帯状部28a)と重ならない位置に相当する。端から25mmとは、光発電パネル31、32の中央近傍で、Y方向に見て、アンテナ導体28(その帯状部28a)の端部と重なる位置に相当する。Y方向の結束部31hx、32hxの位置については、-10mm~+10mmにおいて、通信可能距離の平均値及び分散は大きな差異がなかった。
【0033】
なお、光発電パネル31、32の内部電極315h、325hが長い場合、回路基板20の基板配線201、202が長い場合、又は、これら両方の場合には、リード線31ha、32haが短くても、接続配線51、52の電気長を、無線信号の半波長に合わせることができる。この場合、光発電パネル31、32の外部電極311、312、321、322は、回路基板20の主部20Aに近い方に配置されてもよい。この構成で、2本のリード線31ha、31hbが結束される場合には、結束部31hxは上述のように配置されてもよい。同様に、2本のリード線32ha、32hbが結束される場合には、結束部32hxは上述のように配置されてもよい。結束部31hxにおいて、2本のリード線31ha、31hbは交差しても、交差しなくてもよい。同様に、結束部32hxにおいて、2本のリード線32ha、32hbは交差しても、交差しなくてもよい。
【0034】
以上のように、本実施形態のRFIDタグ1によれば、光発電パネル31内から回路基板20上の素子(PMIC21)までの接続配線51の電気長が、無線信号の半波長±10%以内である。この構成により、アンテナ導体28から放射される電波が、接続配線51によって吸収される作用を低減することができ、通信可能距離の長大化を図ることができる。もう一方の光発電パネル32内から回路基板20上の素子までの接続配線52についても同様である。
【0035】
さらに、本実施形態のRFIDタグ1によれば、リード線31ha、31hbの結束部31hxが、光発電パネル32の中央よりも、コネクタ26a、26bとは反対側に位置する。結束部31hxでは、2つのリード線31ha、31hbが近接して存在し、他の部分に比べて、電波を吸収する作用が強い。一方、アンテナ導体28では、帯状部28aの両端部と、RFID用IC25が接続される給電点の近傍に強い電界が現れる。したがって、上記のように結束部31hxを配置することで、アンテナ導体28のうち強い電界が現れる給電点から結束部31hxを離すことができる。よって、アンテナ導体28から放射される電波が、リード線31ha、31hbに吸収される作用を低減できる。そして、その結果、通信可能距離の長大化を図ることができる。もう一方の光発電パネル32のリード線32ha、32hbの結束部32hxについても同様である。
【0036】
さらに、本実施形態のRFIDタグ1によれば、リード線31ha、31hbの結束部31hxが、X方向(アンテナ導体28の長手方向)において、アンテナ導体28の端部よりも外方(すなわち端部よりもアンテナ導体28の中央とは反対側)に位置する。このような配置により、強い電界が現れるアンテナ導体28の端部から結束部31hxを離すことができ、アンテナ導体28から放射される電波が、リード線31ha、31hbに吸収される作用を低減できる。その結果、通信可能距離の長大化を図ることができる。もう一方の光発電パネル32のリード線32ha、32hbの結束部32hxについても同様である。
【0037】
以上、実施形態について説明した。なお、上記実施形態では、機能モジュールとして、2つの光発電パネル31、32を適用した例を示した。しかし、機能モジュールとしては、例えば、温度、湿度、照度、振動、加速度などを検出するセンサモジュール、集音器、拡声器など、様々なモジュールが適用されてもよい。実施形態の表示器を機能モジュールとして、その配線の電気長を無線信号の半波長に対応づけるようにしてもよい。その他、実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本開示は、機能モジュールを有するRFID(Radio Frequency Identifier)タグに利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7