(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093417
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】移動台車および移動台車の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
A61H3/04
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068271
(22)【出願日】2022-04-18
(62)【分割の表示】P 2017250991の分割
【原出願日】2017-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508090376
【氏名又は名称】リーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄平
(72)【発明者】
【氏名】藤範 洋一
(72)【発明者】
【氏名】森 政男
(57)【要約】
【課題】使用者の歩行を支援する従来の移動台車は、使用者の「歩きたい」という意図に合わせて移動を開始させることが難しかった。
【解決手段】使用者の歩行を補助する移動台車であって、使用者からの荷重を受ける把持部と、使用者が把持部を把持する把持動作を検出する把持検出部と、使用者の歩行動作を検出する動作検出部と、把持検出部が把持動作を検出し、かつ動作検出部が歩行動作の開始を検出した場合に、移動台車の移動を開始させる移動制御部とを備える移動台車を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の歩行を補助する移動台車であって、
前記使用者からの荷重を受ける把持部と、
前記使用者が前記把持部を把持する把持動作を検出する把持検出部と、
前記使用者の歩行動作を検出する動作検出部と、
前記把持検出部が前記把持動作を検出した後に、前記動作検出部が前記歩行動作の開始を検出した場合に、前記移動台車の移動を開始させる移動制御部と
を備え、
前記移動制御部は、前記把持検出部が把持動作を検出すると、前記動作検出部に歩行動作の検出を開始させる、
移動台車。
【請求項2】
前記移動制御部は、移動開始後の目標速度を一定速度とする請求項1に記載の移動台車。
【請求項3】
前記移動制御部は、移動開始後の目標速度を前記動作検出部が検出した前記歩行動作に基づいて変化させる請求項1に記載の移動台車。
【請求項4】
前記把持検出部は、前記使用者から受ける重力方向または進行方向の成分を含む荷重を検出し、
前記移動制御部は、前記荷重が予め定められた基準荷重を超えた場合に前記把持検出部が前記把持動作を検出したと判断する請求項1から3のいずれか1項に記載の移動台車。
【請求項5】
前記移動制御部は、前記把持検出部が前記把持動作の解除を検出した場合、または前記動作検出部が前記移動台車の移動に対して予め定められた前記歩行動作の遅れを検出した場合に、前記移動台車の移動を停止させる請求項1から4のいずれか1項に記載の移動台車。
【請求項6】
前記動作検出部は、前記歩行動作の開始を検出する第1検出部と、前記歩行動作の遅れを検出する第2検出部とが別センサとして構成されている請求項5に記載の移動台車。
【請求項7】
前記移動台車は、前記使用者の一側方において移動するように使用され、
前記使用者が前記移動台車に対していずれの側に位置するかに応じて前記動作検出部の検出範囲を調整する調整部を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の移動台車。
【請求項8】
前記把持部は、前記使用者の右側方において前記使用者からの荷重を受ける右手用把持部と、前記使用者の左側方において前記使用者からの荷重を受ける左手用把持部とを有し、
前記動作検出部は、前記使用者の右側方または前記使用者の左側方のいずれかに設置されている請求項1から6のいずれか1項に記載の移動台車。
【請求項9】
使用者の歩行を補助する移動台車の制御プログラムであって、
前記使用者からの荷重を受ける把持部を前記使用者が把持する把持動作を検出する把持検出ステップと、
前記使用者による歩行動作の開始を検出する動作検出ステップと、
前記把持検出ステップで前記把持動作を検出した後に、前記動作検出ステップで前記歩行動作の開始を検出した場合に、前記移動台車の移動を開始させる移動制御ステップと
をコンピュータに実行させ、
前記移動制御ステップは、前記把持検出ステップが把持動作を検出すると、前記動作検出ステップに歩行動作の検出を開始させる、
移動台車の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動台車および移動台車の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
怪我等により一時的に歩行が困難となった患者や、身体能力の低下により慢性的に歩行が困難となった高齢者等の歩行を支援するための移動台車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用者が移動台車に近づいたり、使用者が移動台車のグリップを握ったりしただけで移動台車が移動を始めてしまうと、歩行の準備が整っていない使用者は慌ててしまう。すなわち、使用者の「歩きたい」という意図に合わせて移動台車の移動を開始させることが難しかった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、使用者の意図に沿って移動を開始する移動台車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様における移動台車は、使用者の歩行を補助する移動台車であって、使用者からの荷重を受ける把持部と、使用者が把持部を把持する把持動作を検出する把持検出部と、使用者の歩行動作を検出する動作検出部と、把持検出部が把持動作を検出し、かつ動作検出部が歩行動作の開始を検出した場合に、移動台車の移動を開始させる移動制御部とを備える。
【0006】
このように構成された移動台車であれば、把持部が把持されても使用者が歩行を開始しなければ移動を開始しない。同様に、使用者が歩行開始と同様の素振りをみせても把持部が把持されてなければ移動を開始しない。すなわち、移動台車は、使用者の意図をより反映して移動を開始する。
【0007】
上記の移動台車は、移動開始後の目標速度を一定速度としても良い。移動台車が例えばリハビリ訓練に利用される場合には、使用者の移動開始を確認できた後には、訓練として設定された一定速度で移動する方が、使用者をリードして歩行を矯正させるという観点で好ましい。
【0008】
一方で、上記の移動台車は、移動開始後の目標速度を動作検出部が検出した歩行動作に基づいて変化させても良い。移動台車が例えば高齢者の歩行支援に利用される場合には、長距離移動に利用される場合も考えられ、疲労や環境に応じて利用者の歩行速度が変化することもある。このような場合には、動作検出部が検出した使用者の歩行動作に応じて目標速度を変化させると良い。
【0009】
上記の移動台車は、把持検出部を使用者から受ける重力方向の成分を含む荷重を検出するように構成して、移動制御部は、荷重が予め定められた基準荷重を超えた場合に把持検出部が把持動作を検出したと判断するようにしても良い。使用者は、歩行開始時に把持部をより大きな力で押さえつける傾向があり、このように構成された移動台車であれば、把持検出部でも使用者の歩行開始を的確に把握することができる。特に、リハビリ訓練に用いられる場合は、使用者は麻痺を患わない健脚側の手で把持部を把持し、麻痺を患う患脚側から歩行を開始することになり、このとき把持部に重力方向の大きな力が加えられる。移動台車は、この力を検出すれば、使用者の歩行開始をより的確に把握することができる。
【0010】
上記の移動台車において、移動制御部は、把持検出部が把持動作の解除を検出した場合、または動作検出部が移動台車の移動に対して予め定められた歩行動作の遅れを検出した場合に、移動台車の移動を停止させることができる。移動台車の移動を停止させる場合には、移動を開始させる場合と異なり、把持条件と歩行動作条件の少なくとも一方が満たされる場合に移動台車を停止させる方が使用者の「止まりたい」という意図に沿う。また、歩行者の転倒を回避する上でも好ましい。この場合、動作検出部は、歩行動作の開始を検出する第1検出部と、歩行動作の遅れを検出する第2検出部とを別センサとして構成しても良い。別センサとして構成すれば、より簡易なセンサでそれぞれの動作を検出することができる。
【0011】
上記の移動台車は、使用者の一側方において移動するように使用され、使用者が移動台車に対していずれの側に位置するかに応じて動作検出部の検出範囲を調整する調整部を備えても良い。このような調整部を備えれば、検出範囲を限定することができるので、使用者の歩行動作をより高精度に検出することができる。
【0012】
あるいは上記の移動台車は、把持部として、使用者の右側方において使用者からの荷重を受ける右手用把持部と、使用者の左側方において使用者からの荷重を受ける左手用把持部とを有し、動作検出部が、使用者の右側方または使用者の左側方のいずれかに設置されるように構成しても良い。このような構成であれば、右手で把持部を把持したい使用者も、左手で把持部を把持したい使用者も、移動台車に対して同じ立ち位置となるので、動作検出部を一側方に纏めて設置できる。
【0013】
本発明の第2の態様における移動台車の制御プログラムは、使用者の歩行を補助する移動台車の制御プログラムであって、使用者からの荷重を受ける把持部を使用者が把持する把持動作を検出する把持検出ステップと、使用者による歩行動作の開始を検出する動作検出ステップと、把持検出ステップで把持動作を検出し、かつ動作検出ステップで歩行動作の開始を検出した場合に、移動台車の移動を開始させる移動制御ステップとをコンピュータに実行させる。
【0014】
このように制御された移動台車であれば、把持部が把持されても使用者が歩行を開始しなければ移動を開始しない。同様に、使用者が歩行開始と同様の素振りをみせても把持部が把持されてなければ移動を開始しない。すなわち、移動台車は、使用者の意図をより反映して移動を開始する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、使用者の意図に沿って移動を開始する移動台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施例に係る移動台車の側面概観図である。
【
図3】第1の実施例に係る移動台車の制御ブロック図である。
【
図4】第1の実施例に係る移動台車の移動開始条件を説明する図である。
【
図5】第1の実施例に係る移動台車の1つ目の移動停止条件を説明する図である。
【
図6】第1の実施例に係る移動台車の2つ目の移動停止条件を説明する図である。
【
図7】第1の実施例に係る移動台車の移動制御フロー図である。
【
図8】第2の実施例に係る移動台車の側面概観図である。
【
図9】第2の実施例に係る移動台車の移動開始条件を説明する図である。
【
図10】第3の実施例に係る移動台車の上面概観図である。
【
図11】第3の実施例に係る移動台車の移動開始条件を説明する図である。
【
図12】第3の実施例に係る移動台車の2つ目の移動停止条件を説明する図である。
【
図13】第4の実施例に係る移動台車の側面概観図である。
【
図14】第4の実施例に係る移動台車の目標速度の設定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0018】
本実施形態に係る移動台車は、使用者の歩行を補助するための装置であり、使用者からの荷重を支えつつ、使用者の歩行に沿って併走する。移動台車は、怪我等により一時的に歩行が困難となった患者のリハビリ訓練に用いられたり、身体能力の低下により慢性的に歩行が困難となった高齢者等の歩行を支援するために用いられたりする。以下に本実施形態に係るいくつかの実施例を説明するが、共通する要素については同符番で表現することにより、特に言及する場合を除いて重複する説明を省略する。
【0019】
第1の実施例について説明する。
図1は、第1の実施例に係る移動台車100の側面概観図であり、
図2は、
図1の状態における移動台車100を上方から観察した上面概観図である。移動台車100は、主に、リハビリ訓練に用いられる。
【0020】
移動台車100は、移動方向に沿って2つの前輪111と1つの後輪113を備える。前輪111は、台車基台110に配設され、台車基台110に収容された不図示のモータと減速機構によって駆動されて、駆動輪として機能する。後輪113は、台車基台110から後方へ伸延する台車フレーム112の後端近傍に配設され、移動台車100の移動方向に倣うように追従する従動輪として機能する。移動台車100は、3つの車輪によって3点で接地しており、使用者900が使用していない待機状態でも自立する、静的安定車輌である。
【0021】
支柱114は、台車基台110に対して立設され、使用者900からの荷重を台車基台110へ伝達するための支持部材である。支柱114は、台車基台110に支持される一端側とは反対の他端側近傍で、水平方向へ突出するハンドル115を支持している。ハンドル115の先端部には、使用者900が把持しやすいように、例えばウレタンのグリップ116が設けられている。グリップ116は、使用者900が把持する把持部であり、使用者900から荷重を受けて、ハンドル115、更には支柱114へその荷重を伝達する。
【0022】
アーム117は、一端側で支柱114に支持され、他端側でディスプレイ122を支持する。アーム117は、複数のリンクを有し、使用者900等が調整した姿勢を保つことができる。したがって、ディスプレイ122は、例えば図示するように使用者900の顔前に配置され得る。ディスプレイ122は、例えば液晶パネルであり、周辺環境やリハビリ訓練に関する各種情報を表示する。
【0023】
制御ユニット120は、後述の移動制御部とメモリ等を含む。制御ユニット120は、ディスプレイ122や前輪111を駆動するモータの他にも、制御対象となる種々の要素と電気的に接続されている。それらの要素には、移動台車100の状態や周辺環境の状況、使用者900の動作を観察する各種センサが含まれる。
【0024】
本実施例における各種センサは、測距センサ130、前方カメラ131、足元カメラ132、把持スイッチ133を含む。測距センサ130は、支柱114に固定されており、使用者900の脚までの距離を計測する。より具体的には、測距センサ130は、例えばレーザレンジファインダであり、
図2で示す破線で囲まれる水平面内の範囲Rをスキャンしてそれぞれの方向における検出距離を継続的に取得することにより、使用者900の歩行動作を検出する。なお、
図1および
図2において移動台車100は、使用者900の右側方で移動するように使用されているが、使用者の左側方で移動するようにも使用され得る。そこで、範囲Rは、使用者が移動台車100のどちら側に立って使用する場合であっても使用者の歩行動作を検出できるように、移動方向に対して対称な範囲が設定されている。
【0025】
前方カメラ131は、移動台車100の移動方向である前方へ向けて、支柱114に固定されている。前方カメラ131は、例えばCMOSイメージセンサである撮像素子と画像データ生成部を含み、移動方向の空間を撮像して生成した画像データを出力する。前方カメラ131が撮像する画像は、使用者900の視界と同程度の画角を有し、必要に応じてディスプレイ122に表示される。
【0026】
足元カメラ132は、使用者900の足元の全体が観察できるように、支柱114に固定されている。足元カメラ132は、例えばCMOSイメージセンサである撮像素子と画像データ生成部を含み、使用者900の足元を撮像して生成した画像データを出力する。足元カメラ132が撮像する画像は、使用者が移動台車100の右側方および左側方のいずれに立った場合でもその足元が観察できる程度の画角を有し、必要に応じてディスプレイ122に表示される。
【0027】
把持スイッチ133は、グリップ116の内側に配設されたオンオフスイッチであり、使用者900がグリップ116を把持している間はオン信号を出力する。把持スイッチ133は、物理的に電気接点が接触または非接触となる素子でも良いし、圧力を検出する類の素子などであっても良い。
【0028】
図3は、移動台車100の制御ブロック図である。移動制御部200は、例えばCPUであり、制御ユニット120に収容されている。移動制御部200は、移動台車100の全体を統括的に制御する。
【0029】
ディスプレイ122は、移動制御部200がディスプレイ122用に調整した画像信号を受信して、視認可能に表示する。駆動輪ユニット210は、駆動輪である前輪111を駆動するための駆動回路やモータを含み、台車基台110に収容されている。移動制御部200は、駆動輪ユニット210へ駆動信号を送ることにより、前輪111の回転制御を実行する。車速センサ220は、前輪111の回転量を監視して、移動台車100の速度を検出する。車速センサ220は、移動制御部200の要求に応じて、検出結果を速度信号として移動制御部200へ送信する。
【0030】
メモリ230は、不揮発性の記憶媒体であり、例えばソリッドステートドライブが用いられる。メモリ230は、移動台車100を制御するための制御プログラムの他にも、制御に用いられる様々なパラメータ値、関数、ルックアップテーブル等を記憶している。
【0031】
測距センサ130は、上述のように、使用者900の脚までの距離を検出する。測距センサ130は、移動制御部200の要求に応じて、検出結果を測距信号として移動制御部200へ送信する。前方カメラ131は、上述のように、移動台車100の前方空間を撮像して画像データを出力する。前方カメラ131は、移動制御部200の要求に応じて撮像を実行し、生成したが画像データを移動制御部200へ送信する。足元カメラ132は、上述のように、使用者900の足元を撮像して画像データを出力する。足元カメラ132は、移動制御部200の要求に応じて撮像を実行し、生成したが画像データを移動制御部200へ送信する。把持スイッチ133は、使用者900にグリップ116が把持された場合にオン信号を移動制御部200へ送信する。なお、把持スイッチ133は、使用者900がグリップ116を把持している間は、オン信号を継続して移動制御部200へ送信する。
【0032】
次に、移動台車100が移動を開始する条件について説明する。
図4は、移動台車100の移動開始条件を説明する図である。上段のグラフは、経過時間(横軸)に対する把持スイッチ133のオンオフ状態(縦軸)を表す。中段のグラフは、経過時間(横軸)に対する使用者900の脚速v(縦軸)を表す。下段のグラフは、経過時間(横軸)に対する移動台車100の目標速度V(縦軸)を表す。それぞれのグラフの横軸は、相互に同期させて表している。
【0033】
移動台車100は、上述のように待機状態で自立している。待機状態では、使用者900はグリップ116を把持していないので把持スイッチ133の出力はオフである。使用者900が時刻t1の時点からグリップ116を把持すると、把持スイッチ133は時刻t1から継続してオン信号を出力する。移動制御部200は、把持スイッチ133からオン信号を受信することにより使用者900がグリップ116を把持する把持動作を検出する。すなわち、把持スイッチ133と移動制御部200は、協働して把持動作を検出する把持検出部として機能する。
【0034】
移動制御部200は、把持スイッチ133から時刻t1にオン信号を受信すると、システムの全体を、電力消費を抑制するスリープ状態から抑制を解除したアクティブ状態へ移行させる。また、測距センサ130にセンシングを開始させる。
【0035】
移動制御部200は、測距センサ130から測距信号を受信して、観察対象となる脚の脚速を演算する。すなわち、測距センサ130と移動制御部200は、協働して使用者900の歩行動作を検出する動作検出部として機能する。具体的には、移動制御部200は、測距センサ130から測距信号としてセンシング時のスキャン角と検出距離のセットを連続的に取得する。スキャン角は、測距センサ130を基点とする範囲R内の方位を表す。検出距離は、測距センサ130から脚の検出点までの距離を表す。測距センサ130は、範囲R内に脚が存在しなければ検出距離を出力しない。移動制御部200は、1周期分の測距信号を取得することにより、範囲R内に存在する両脚の位置を把握できる。
【0036】
移動制御部200は、把握する両脚のうち、移動台車100から遠い側の脚を観察対象とする。例えば、
図2で示すように、使用者900が移動台車100の左側方に位置する場合(使用者900が右手でグリップ116を把持する場合)には、移動制御部200は、左脚を観察対象とする。移動制御部200は、観察対象の脚(以下、観察脚とする)のうち、例えば最も遠い箇所を観察箇所と定め、その経時変化を観察する。移動制御部200は、移動台車100に対する観察脚の脚速として、取得した検出距離の微分値を計算する。移動制御部200は、移動開始を判断する材料としてこの脚速vを用いる。
【0037】
移動制御部200は、時刻t1後に、使用者900の脚速vが、歩行動作を開始したと認識できる基準脚速v0を超える時点を検出する。図においては、脚速vは時刻t2で基準脚速v0を超えるので、移動制御部200は、時刻t2で使用者900が歩行動作を開始したことを検出する。
【0038】
移動制御部200は、把持動作と歩行動作の開始を共に検出したので、歩行動作の開始を検出した時刻t2から、前輪111を駆動する駆動信号を駆動輪ユニット210へ送信する。そして、車速センサ220からの速度信号を監視し、目標速度VTに到達した後は、一定速度VTで移動台車100を移動させる。このように、把持動作の検出のみで移動台車100の移動を開始せず、歩行動作の開始も併せて検出した場合に移動台車100の移動を開始すれば、歩行者の「歩きたい」という意図を反映させることができる。特に、把持はしたものの、歩き出す体勢が整わないうちに移動台車が動き始めることを防ぐことができる。
【0039】
また、本実施例における移動台車100は、主にリハビリ訓練に用いられることを想定しているので、移動を開始した後は目標速度を一定速度とすることが好ましい。すなわち、リハビリ訓練においては若干の強制力を与えることで訓練効果を得るので、目標速度を一定速度とすることにより使用者の歩行をリードするという観点で好ましい。
【0040】
次に、移動台車100が移動を停止する条件について説明する。停止する条件は2つあり、いずれかの条件が満たされた場合に移動台車100は停止する。
図5は、移動台車100の1つ目の移動停止条件を説明する図である。上段のグラフは、経過時間(横軸)に対する把持スイッチ133のオンオフ状態(縦軸)を表す。下段のグラフは、経過時間(横軸)に対する移動台車100の目標速度V(縦軸)を表す。それぞれのグラフの横軸は、相互に同期させて表している。
【0041】
移動制御部200は、時刻t3で把持スイッチ133のオン信号を受信しなくなったことにより使用者900がグリップ116を離したことを検出したら、この時点から速度を漸減させ、移動台車100を停止させる。すなわち、使用者900がグリップ116を離すという動作が、「歩行を止めたい」という意図を表すものと捉え、移動台車100を停止させる。なお、移動台車100は、自立するので、使用者900がグリップ116を離しても倒れる恐れがない。
【0042】
図6は、移動台車100の2つ目の移動停止条件を説明する図である。上段のグラフは、経過時間(横軸)に対する脚距離D(縦軸)を表す。それぞれのグラフの横軸は、相互に同期させて表している。
【0043】
移動制御部200は、上述のように、脚速を追跡する過程において測距センサ130から観察脚までの脚距離Dを継続的に観察している。移動制御部200は、移動停止を判断する材料としてこの脚距離Dを用いる。
【0044】
移動制御部200は、時刻t4で脚距離Dが基準距離D0を超えたことを検出したら、この時点から速度を漸減させ、移動台車100を停止させる。すなわち、使用者900が移動台車100に対して大きく遅れを取ったという動作が、「歩行を止めたい」という意図を表すものと捉え、移動台車100を停止させる。例えば、路面の凹凸に躓いてもたついたような状況においても、移動台車100は適切に停止する。
【0045】
次に、移動台車100の移動制御に関する処理手順を説明する。
図7は、移動台車100の移動制御フロー図である。フローは、上述の待機状態から開始する。
【0046】
移動制御部200は、ステップS101で、把持スイッチ133からオン信号が送られてきているかを確認する。送られてきたならステップS102へ進み、送られてきていなければ待機状態を継続する。移動制御部200は、ステップS102で、脚速vが基準脚速v0を超えたか否かを判断する。超えたと判断したらステップS103へ進み、超えていないと判断したらステップS101へ戻る。
【0047】
ステップS103では、移動制御部200は、移動速度Vが目標速度V0となるように、車速センサ220からの速度信号を監視しつつ駆動輪ユニット210へ駆動信号を送信する。移動制御部200は、続いてステップS104で、把持スイッチ133のオン信号が受信されているか否かを確認する。オン信号が受信されていればステップS105へ進み、受信されていなければステップS106へ進む。ステップS105では、脚距離Dが基準距離D0を超えたか否かを確認する。超えたことが検出されていなければ、ステップS103へ戻って移動を継続する。超えたことが検出されていればステップS106へ進む。ステップS106では、移動制御部200は、移動速度を漸減させ、移動台車100を停止させて一連の処理を終了する。
【0048】
次に、第2の実施例について説明する。
図8は、第2の実施例に係る移動台車101の側面概観図である。移動台車101は、主に、リハビリ訓練に用いられる。実施例1に係る移動台車100が把持スイッチ133を備えていたのに対して、移動台車101は把持スイッチ133に代えて荷重センサ134を備える。
【0049】
本実施例においては、荷重センサ134として歪みセンサが用いられる。ハンドル115は、支柱114に支持されている端とグリップ116が配設されている箇所との間に、断面径が狭められた狭小部115aを有し、荷重センサ134は、この狭小部115aに貼着されている。したがって、使用者900がグリップ116を把持すると、グリップ116が受ける使用者900からの重力方向あるいは進行方向の荷重に応じて狭小部115aが歪み、荷重センサ134は、その歪み量に応じた荷重信号を出力する。移動制御部200は、荷重信号を取得することにより、使用者900がグリップ116に加える荷重を検出する。荷重センサ134と移動制御部200は、協働して荷重を含む把持動作を検出する把持検出部として機能する。
【0050】
図9は、移動台車101の移動開始条件を説明する図である。上段のグラフは、経過時間(横軸)に対する重力方向の荷重b(縦軸)を表す。中段のグラフは、経過時間(横軸)に対する使用者900の脚速v(縦軸)を表す。下段のグラフは、経過時間(横軸)に対する移動台車101の目標速度V(縦軸)を表す。それぞれのグラフの横軸は、相互に同期させて表している。
【0051】
使用者900は、時刻t0でグリップ116を把持すると、荷重センサ134は、その動作に応じた若干の荷重を検出する。しかし、この時点ではまだ歩行動作の準備をしている可能性も高いので、本実施例においては、移動制御部200はまだ把持動作と認定しない。
【0052】
通常、左脚が患脚である使用者であれば、移動台車101の左側に立って右手でグリップ116を把持し、右脚が患脚である使用者であれば、移動台車101の右側に立って左手でグリップ116を把持する。
図8のように、右手でグリップ116を把持する使用者であれば、通常は右脚が健脚であり、歩行動作は左脚の振り出しから開始される。すなわち、歩行動作の第一歩は、移動台車101に対して外側の脚であることが多い。このとき、使用者の外側の脚は麻痺などにより前に出しにくいためグリップ116と健脚を支持点として姿勢を安定させようとして、グリップ116に寄り掛かる傾向にある。したがって、一歩目の動作を開始する時点で、荷重センサ134は、大きな値を出力する。
【0053】
本実施例においては、移動制御部200は、この現象を利用して確実に把持されたと認識できる時点を検出する。すなわち、移動制御部200は、荷重センサ134が出力する荷重bが予め定められた基準荷重b0を超えた時点を使用者900がグリップ116を確実に把持した時点として検出する。図においては、荷重bが基準荷重b0を超えた時点は時刻t1である。なお、使用者900の歩行能力が回復してくると、グリップ116を進行方向に押す成分が増してくるので、ある訓練段階からは、進行方向への荷重成分に対して基準荷重を設定して、確実に把持されたと認識できる時点を検出するようにしても良い。この場合、重力方向と進行方向の2方向に対して基準荷重を設定して、いずれかの基準荷重を超えた場合にグリップ116が確実に把持されたと認識しても良い。
【0054】
移動制御部200は、時刻t1に把持を検出したら、システムの全体を、電力消費を抑制するスリープ状態から抑制を解除したアクティブ状態へ移行させる。また、測距センサ130にセンシングを開始させる。本実施例においては、測距センサ130は、移動台車101に対して内側の脚を観察しているので、移動制御部200は、時刻t1後に、使用者900の脚速vが、歩行動作を開始したと認識できる基準脚速v0を超える時点を検出する。
【0055】
移動制御部200は、把持動作と歩行動作の開始を共に検出したので、時刻t2から前輪111を駆動する駆動信号を駆動輪ユニット210へ送信する。そして、車速センサ220からの速度信号を監視し、目標速度VTに到達した後は、一定速度VTで移動台車101を移動させる。このように、グリップ116に加えられる荷重が一定値を超えたことを検出しこれを一つのトリガーとして処理すれば、歩行者の「歩きたい」という意図をより忠実に反映させることができる。
【0056】
次に、第3の実施例について説明する。
図10は、第3の実施例に係る移動台車102の上面概観図である。移動台車102は、主に、リハビリ訓練に用いられる。実施例1に係る移動台車100は、左脚が患脚である使用者であれば、移動台車100の左側に立って右手でグリップ116を把持し、右脚が患脚である使用者であれば、移動台車100の右側に立って左手でグリップ116を把持することを想定していた。しかし、移動台車102は、およそ移動台車100を移動方向に対して左右に2つ並べてこれらを連結バー118で連結した構造を有する。左右独立に設ける必要がない制御ユニット120、ディスプレイ122、前方カメラ131、足元カメラ132等は、いずれか一方の側に配設されるか、連結バー118に配設される。
【0057】
このような構造であれば、使用者900が右脚を患う患者であっても左脚を患う患者であっても、移動台車102の中央に立つことができる。使用者900は、自身の状態に応じて右手グリップ116Rを把持しても良いし、左手グリップ116Lを把持しても良い。また、歩行途中で持ち替えても良い。右手グリップ116Rには右手把持スイッチ133Rが配設されており、左手グリップ116Lには左手把持スイッチ133Lが配設されている。移動制御部200は、右手把持スイッチ133Rと左手把持スイッチ133Lの少なくともいずれかからオン信号を受けた場合に、把持スイッチからオン信号を受けたものとして処理する。
【0058】
また、移動台車102は、測距センサ130の代わりに、振出しセンサ135と遅れ検出センサ136が設けられている。振出しセンサ135は、使用者900の右側の台車フレーム112の前方(台車基台110との接続部近傍)に設けられ、遅れ検出センサ136は、使用者900の右側の台車フレーム112の後方に設けられている。
【0059】
振出しセンサ135は、例えば反射型フォトセンサであり、左右の脚のいずれかが振出し位置に到達した場合にオン信号を出力するように、使用者900が立つ内側に向けて配置されている。遅れ検出センサ136は、例えば振出しセンサ135と同様の反射型フォトセンサであり、左右の脚のいずれかが移動台車102に対して遅れを取ったと判断される位置に到達した場合にオン信号を出力するように、使用者900が立つ内側に向けて配置されている。すなわち、振出しセンサ135、遅れ検出センサ136と移動制御部200は、協働して使用者900の歩行動作を検出する動作検出部として機能する。なお、振出しセンサ135および遅れ検出センサ136は、使用者900の左側の台車フレーム112に設けられていても良い。
【0060】
図11は、移動台車102の移動開始条件を説明する図である。上段のグラフは、経過時間(横軸)に対する把持スイッチ133のオンオフ状態(縦軸)を表す。中段のグラフは、経過時間(横軸)に対する振出しセンサ135のオンオフ状態(縦軸)を表す。下段のグラフは、経過時間(横軸)に対する移動台車102の目標速度V(縦軸)を表す。それぞれのグラフの横軸は、相互に同期させて表している。
【0061】
使用者900が時刻t1に右手グリップ116Rか左手グリップ116Lを把持すると、移動制御部200は、対応する把持スイッチからオン信号を受けて、使用者900が把持動作を行ったことを検出する。
【0062】
続いて使用者900が歩行を開始して時刻t2にいずれかの脚が振出しセンサ135の検出位置に到達すると、移動制御部200は、振出しセンサ135からオン信号を受けて、使用者900が歩行動作を開始したことを検出する。
【0063】
移動制御部200は、把持動作と歩行動作の開始を共に検出したので、歩行動作の開始を検出した時刻t2から、前輪111を駆動する駆動信号を駆動輪ユニット210へ送信する。そして、車速センサ220からの速度信号を監視し、目標速度VTに到達した後は、一定速度VTで移動台車102を移動させる。
【0064】
図12は、移動台車102の2つ目の移動停止条件を説明する図であり、
図6を用いて説明した移動台車100における2つ目の移動停止条件に相当するものである。
図5を用いて説明した1つ目の移動停止条件は、本実施例にも適用される。
【0065】
上段のグラフは、経過時間(横軸)に対する遅れ検出センサ136のオンオフ状態(縦軸)を表す。下段のグラフは、経過時間(横軸)に対する移動台車102の目標速度V(縦軸)を表す。それぞれのグラフの横軸は、相互に同期させて表している。
【0066】
使用者900が歩行中の時刻t4にいずれかの脚が遅れ検出センサ136の検出位置に到達すると、移動制御部200は、遅れ検出センサ136からオン信号を受信し、使用者900が移動台車100に対して大きく遅れを取ったことを検出する。移動制御部200は、この時点から速度を漸減させ、移動台車102を停止させる。すなわち、使用者900が移動台車102に対して大きく遅れを取ったという動作が、「歩行を止めたい」という意図を表すものと捉え、移動台車102を停止させる。
【0067】
このように簡易なセンサを用いても、歩行者の「歩きたい」という意図に即して移動台車102の移動を開始することができ、「歩行を止めたい」という意図に即して移動台車102の移動を停止することができる。なお、反射型フォトセンサの代わりに、一方の台車フレーム112に投光部を設け、対向する台車フレーム112に受光部を設ける一対のフォトセンサを利用しても良い。また、左右に移動台車を配する移動台車102の構造を採用する場合であっても、移動台車100と同様に測距センサ130を採用しても良いし、移動台車101と同様に荷重センサ134を採用しても良い。その場合の移動開始条件、移動停止条件は、それぞれの実施例で説明した例を適用することができる。
【0068】
次に、第4の実施例について説明する。
図13は、第4の実施例に係る移動台車103の側面概観図である。移動台車103は、主に、身体能力の低下により慢性的に歩行が困難となった高齢者等の歩行を支援するために用いられる。移動台車103は、実施例1に係る移動台車100から前方カメラ131、足元カメラ132、アーム117、ディスプレイ122等の主にリハビリ訓練のために用いられる装置を省いたものである。歩行者支援を主な用途とすれば、装置全体を簡素化できるので、取り扱いがより容易となる。
【0069】
移動台車103は、移動開始条件および移動停止条件について移動台車100と同様であるが、目標速度の設定が異なる。
図14は、移動台車103における目標速度の設定を説明する図である。上段のグラフは、経過時間(横軸)に対する把持スイッチ133のオンオフ状態(縦軸)を表す。中段のグラフは、経過時間(横軸)に対する使用者900の脚速v(縦軸)を表す。下段のグラフは、経過時間(横軸)に対する移動台車100の目標速度V(縦軸)を表す。それぞれのグラフの横軸は、相互に同期させて表している。
【0070】
移動台車103は、
図4を用いて説明した移動開始条件と同様の条件で移動を開始する。時刻t
2で移動を開始すると、移動制御部200は、継続して脚速vを監視し、目標速度Vを脚速vに連動させて増減する。すなわち、移動制御部200は、使用者900が早く歩いている場合は目標速度を上げ、遅く歩いている場合は目標速度を下げる。目標速度は、例えば、脚速vの振幅や、単位時間あたりの積分値、周期に応じて予め設定されている。このように脚速に応じて目標速度を変化させれば、坂道などの利用環境や使用者の疲労度合などに応じて、移動台車を適切に追従させることができる。
【0071】
以上各実施例を通じて本実施形態を説明したが、それぞれに説明した移動台車の構成は、相互に要素を交換したり追加したりしても良い。移動開始条件および移動停止条件は、採用した構成に応じて適宜修正され得る。例えば、移動台車100の構成と移動台車101の構成を組み合わせて、把持スイッチ133と荷重センサ134を共に採用する場合には、把持スイッチ133が把持を検出し、かつ荷重センサ134が基準荷重b0以上を検出した場合に、使用者900が把持動作を完了したと判断しても良い。
【0072】
また、各実施例における基準定数としてのD0、VT、v0、b0は、予め定められるものとして説明したが、具体的には、想定する使用者、環境等に応じて定められ、移動台車の使用前において、使用者や補助者が調整できるようにしても良い。また、使用を積み重ねるに従って、移動制御部200が使用状況を学習して適宜調整するようにしても良い。
【0073】
また、制御に用いられる各種センサは、代表的な例を以て説明したが、同様の機能を発揮するセンサであれば、説明した例に限らない。例えば、測距センサは、レーザレンジファインダでなく、ステレオカメラであっても構わない。
【0074】
レーザレンジファインダを用いた以上の各実施例においては、移動台車に対して外側の脚を観察脚としたが、適用する測距センサの性能に応じて内側の脚を観察脚とすることもできる。上述のように、内側の脚は健脚である場合が多く、通常は外側の脚が第一歩目の脚となる。したがって、外側の脚を観察脚とする場合、使用者の歩行動作開始タイミングが正確に検知できる。また内側の脚を観察脚とする場合、歩行動作開始タイミングは半歩遅れるものの、測定範囲の狭い安価な測距センサを採用することができる。どちらの脚を観察脚にするか、移動台車100の使用目的等に応じて調整できるようにしても良い。
【0075】
また、レーザレンジファインダを用いた以上の各実施例においては、範囲Rを観察対象としたが、移動制御部200は、使用者が移動台車のどちら側に立つかを検出して、そちら側のみに観察範囲を限定しても良い。また、観察できる範囲が範囲Rの半分程度の測距センサを適用し、使用者が立つ側に測距センサの観察範囲を使用前に向けることができるように、向きを調整する調整機構を備えても良い。
【符号の説明】
【0076】
100、101、102、103 移動台車、110 台車基台、111 前輪、112 台車フレーム、113 後輪、114 支柱、115 ハンドル、115a 狭小部、116 グリップ、116R 右手グリップ、116L 左手グリップ、117 アーム、118 連結バー、120 制御ユニット、122 ディスプレイ、130 測距センサ、131 前方カメラ、132 足元カメラ、133 把持スイッチ、133R 右手把持スイッチ、133L 左手把持スイッチ、134 荷重センサ、135 振出しセンサ、136 遅れ検出センサ、200 移動制御部、210 駆動輪ユニット、220 車速センサ、230 メモリ、900 使用者