(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093420
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】描画及び消去装置および照射方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/475 20060101AFI20220616BHJP
B41J 2/47 20060101ALI20220616BHJP
G11B 7/24041 20130101ALI20220616BHJP
G11B 7/24012 20130101ALI20220616BHJP
G11B 7/24009 20130101ALI20220616BHJP
G11B 7/135 20120101ALI20220616BHJP
G11B 7/1362 20120101ALI20220616BHJP
【FI】
B41J2/475 E
B41J2/47 101D
B41J2/475 R
G11B7/24041
G11B7/24012
G11B7/24009
G11B7/135
G11B7/1362
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068551
(22)【出願日】2022-04-18
(62)【分割の表示】P 2019523378の分割
【原出願日】2018-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2017113452
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 研一
(72)【発明者】
【氏名】首藤 綾
(72)【発明者】
【氏名】平井 暢一
(72)【発明者】
【氏名】大石 雄紀
(57)【要約】
【課題】記録媒体の変形を抑制することの可能な光学装置、描画及び消去装置、ならびに照射方法を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る光学装置は、可逆性記録媒体に対して、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行う装置である。この光学装置は、近赤外域(700nm~2500nm)において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子と、複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を合波する光学系と、光学系による合波により得られた合波光を可逆性記録媒体上で走査するスキャナ部とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可逆性感熱発色性組成物と光熱変換剤とを含む複数の記録部を備え、各前記可逆性感熱発色性組成物の発色色調が前記記録部ごとに異なるとともに各前記光熱変換剤の吸収波長が前記記録部ごとに近赤外域(700nm~2500nm)において異なる可逆性記録媒体に対して、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行う光学装置であって、
近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子と、
前記複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を合波する光学系と、
前記光学系による合波により得られた合波光を前記可逆性記録媒体上で走査するスキャナ部と
を備えた
光学装置。
【請求項2】
各前記レーザ素子は、前記可逆性記録媒体に対する書き込みを行う際は、書き込み対象の前記記録部の温度が前記光熱変換剤による発熱により発色温度以上となるように設定された条件下でレーザ光を出力する
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
各前記レーザ素子は、前記可逆性記録媒体に書き込まれた情報の消去を行う際は、消去対象の前記記録部の温度が前記光熱変換剤による発熱により消色温度以上発色温度未満となるように設定された条件下でレーザ光を出力する
請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記可逆性記録媒体に書き込まれた情報の消去を行う際の前記可逆性記録媒体上のエネルギー密度[W/cm2]が、前記可逆性記録媒体に書き込みを行う際の前記可逆性記録媒体上のエネルギー密度[W/cm2]よりも小さくなるように、前記可逆性記録媒体上のエネルギー密度[W/cm2]を制御する制御機構を更に備えた
請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記制御機構は、各前記レーザ素子の消去時のレーザパワーが各前記レーザ素子の書き込み時のレーザパワーよりも小さくなるように各前記レーザ素子を制御するレーザ駆動回路である
請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記制御機構は、各前記レーザ素子の消去時のレーザパルスの照射時間が各前記レーザ素子の書き込み時の照射時間よりも短くなるように各前記レーザ素子を制御するレーザ駆動回路である
請求項4に記載の光学装置。
【請求項7】
前記制御機構は、各前記レーザ素子の消去時のレーザパルスが矩形状となるように、そして、各前記レーザ素子の書き込み時のレーザパルスが消去時の波形とは異なる波形となるように各前記レーザ素子を制御するレーザ駆動回路である
請求項4に記載の光学装置。
【請求項8】
前記制御機構は、各前記レーザ素子の消去時のスキャン速度が各前記レーザ素子の書き込み時のスキャン速度よりも早くなるように前記スキャナ部を制御するスキャナ駆動回路である
請求項4に記載の光学装置。
【請求項9】
前記制御機構は、前記合波光のフォーカス調整を行う機構である
請求項4に記載の光学装置。
【請求項10】
近赤外域(700nm~2500nm)において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子と、
前記複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を合波する光学系と、
前記光学系による合波により得られた合波光を、発色色調が互いに異なる可逆性の複数の記録部を有する可逆性記録媒体上で走査するスキャナ部と
を備えた
描画及び消去装置。
【請求項11】
可逆性感熱発色性組成物と光熱変換剤とを含む複数の記録部を備え、各前記可逆性感熱発色性組成物の発色色調が前記記録部ごとに異なるとともに各前記光熱変換剤の吸収波長が前記記録部ごとに近赤外域(700nm~2500nm)において異なる可逆性記録媒体に対して、
近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を合波し、それにより得られた合波光を前記可逆性記録媒体上で走査することにより、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行うことを含む
照射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学装置、描画及び消去装置、ならびに照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコ色素などの感熱発色性組成物を用いた感熱方式の記録媒体が普及している(例えば、特許文献1~3参照)。現在、そのような記録媒体には、一度書き込んだら消去のできない不可逆性の記録媒体と、何度でも書き換え可能な可逆性の記録媒体が実用化されている。可逆性の記録媒体では、単色表示が実用化されている一方で、フルカラー表示はまだ実用化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-74584号公報
【特許文献2】特開2004-188827号公報
【特許文献3】特開2011-104995号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、感熱方式の記録媒体では、書き込みや消去の際に過剰な熱量が加えられると、記録媒体が変形するおそれがある。従って、記録媒体の変形を抑制することの可能な光学装置、描画及び消去装置、ならびに照射方法を提供することが望ましい。
【0005】
本開示の一実施形態に係る光学装置は、可逆性記録媒体に対して、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行う装置である。ここで、可逆性記録媒体では、可逆性感熱発色性組成物と光熱変換剤とを含む複数の記録部を備えている。この可逆性記録媒体では、さらに、各可逆性感熱発色性組成物の発色色調が記録部ごとに異なるとともに各光熱変換剤の吸収波長が記録部ごとに近赤外域(700nm~2500nm)において異なっている。光学装置は、近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子と、複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を合波する光学系と、光学系による合波により得られた合波光を可逆性記録媒体上で走査するスキャナ部とを備えている。
【0006】
本開示の一実施形態に係る描画及び消去装置は、近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子と、複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を合波する光学系と、光学系による合波により得られた合波光を可逆性記録媒体上で走査するスキャナ部とを備えている。
【0007】
本開示の一実施形態に係る描画方法は、可逆性感熱発色性組成物と光熱変換剤とを含む複数の記録部を備え、各可逆性感熱発色性組成物の発色色調が記録部ごとに異なるとともに各光熱変換剤の吸収波長が記録部ごとに近赤外域(700nm~2500nm)において異なる可逆性記録媒体に対して、以下のことを行うことを含む。
近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を合波し、それにより得られた合波光を可逆性記録媒体上で走査することにより、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行うこと
【0008】
本開示の一実施形態に係る光学装置、描画及び消去装置、ならびに描画方法では、近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子から出射されたレーザ光が合波され、それにより得られた合波光が可逆性記録媒体上で走査される。このように、各レーザ素子を同時に駆動することで、各レーザ素子を時間的に別々に駆動した場合と比べて、熱拡散の観点から書き込み効率もしくは消去効率が良くなる。これにより、書き込みや消去に必要なエネルギーが低くなる。
【0009】
本開示の一実施形態に係る光学装置、描画及び消去装置、ならびに描画方法によれば、書き込みや消去に必要なエネルギーが低くなるようにしたので、記録媒体の変形を抑制することができる。なお、本開示の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されず、本明細書中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る描画装置の概略構成例を表す図である。
【
図2】可逆性記録媒体の断面構成例を表す図である。
【
図3】可逆性記録媒体に含まれる各記録層の吸収波長の一例を表す図である。
【
図4】可逆性記録媒体へのレーザ光の照射手順の一例を表す図である。
【
図8】光源部の光出力によって形成される光スポットの一例を表す図である。
【
図9】実施例に係る書き込み実験の結果を表す図である。
【
図10】実施例に係る消去実験の結果を表す図である。
【
図11】比較例に係る書き込み実験の結果を表す図である。
【
図12】比較例に係る消去実験の結果を表す図である。
【
図13】比較例に係る消去実験の結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。
【0012】
<1.実施の形態>
[構成]
本開示の一実施の形態に係る描画装置1について説明する。描画装置1は、本開示の「描画及び消去装置」の一具体例に相当する。
図1は、本実施の形態に係る描画装置1のシステム構成例を表したものである。描画装置1は、可逆性記録媒体100に対して、情報の書き込みおよび消去を行う。最初に、可逆性記録媒体100について説明し、その後に、描画装置1について説明する。
【0013】
(可逆性記録媒体100)
図2は、可逆性記録媒体100に含まれる各層の構成例を表したものである。可逆性記録媒体100は、発色色調が互いに異なる複数の記録層133を備えている。記録層113は、本開示の「記録部」の一具体例に相当する。可逆性記録媒体100は、例えば、基材110上に記録層113と断熱層114とが交互に積層された構造となっている。
【0014】
可逆性記録媒体100は、例えば、基材110上に、下地層112と、3つの記録層113(113a,113b,113c)と、2つの断熱層114(114a,114b)と、保護層115とを備えている。3つの記録層13(113a,113b,113c)は、基材110側から、記録層113a、記録層113b、記録層113cの順に配置されている。2つの断熱層114(114a,114b)は、基材110側から、断熱層114a、断熱層114bの順に配置されている。下地層112は、基材110の表面に接して形成されている。保護層115は、可逆性記録媒体100の最表面に形成されている。
【0015】
基材110は、各記録層113および各断熱層114を支持する。基材110は、その表面に各層を形成するための基板として機能する。基材110は光を透過するものであってもよいし、光を透過しないものであってもよい。光を透過しない場合には、基材110の表面の色は、例えば白色であってもよいし、白色以外の色であってもよい。基材110は、例えば、ABS樹脂により構成されている。下地層112は、記録層113aと基材110との密着性を向上させる機能を有するものである。下地層112は、例えば、光を透過する材料によって構成されている。
【0016】
3つの記録層113(113a,113b,113c)は、発色状態と消色状態との間で可逆的に状態を変化させることができるものである。3つの記録層113(113a,113b,113c)は、発色状態における色が互いに異なる色になるように構成されている。3つの記録層113(113a,113b,113c)は、それぞれ、ロイコ色素100A(可逆性感熱発色性組成物)と、書き込みの際に発熱させる光熱変換剤100B(光熱変換剤)とを含んで構成されている。3つの記録層13(113a,113b,113c)は、それぞれ、さらに、顕色剤およびポリマーを含んで構成されている。
【0017】
ロイコ色素100Aは、熱により顕色剤と結合して発色状態になり、あるいは顕色剤と分離して消色状態になるものである。各記録層113(113a,113b,113c)に含まれるロイコ色素100Aの発色色調は、記録層113ごとに異なっている。記録層113aに含まれるロイコ色素100Aは、熱により顕色剤と結合することによりマゼンタ色に発色する。記録層113bに含まれるロイコ色素100Aは、熱により顕色剤と結合することによりシアン色に発色する。記録層113cに含まれるロイコ色素100Aは、熱により顕色剤と結合することにより黄色に発色する。3つの記録層113(113a,113b,113c)の位置関係は、上記の例に限定されるものではない。また、3つの記録層113(113a,113b,113c)は、消色状態では透明になる。これにより、可逆性記録媒体100は、広い色域の色を用いて、画像を記録することができるようになっている。
【0018】
光熱変換剤100Bは、近赤外域(700nm~2500nm)の光を吸収して熱を発するものである。なお、本明細書では、近赤外域とは、700nm~2500nmの波長帯を指している。各記録層113(113a,113b,113c)に含まれる光熱変換剤100Bの吸収波長は、近赤外域(700nm~2500nm)において互いに異なっている。
図3は、各記録層113(113a,113b,113c)に含まれる光熱変換剤100Bの吸収波長の一例を表したものである。記録層113cに含まれる光熱変換剤100Bは、例えば、
図3(A)に示したように、800nmに吸収ピークを有している。記録層113bに含まれる光熱変換剤110Bは、例えば、
図3(B)に示したように、860nmに吸収ピークを有している。記録層113aに含まれる光熱変換剤100Bは、例えば、
図3(C)に示したように、915nmに吸収ピークを有している。各記録層113(113a,113b,113c)に含まれる光熱変換剤100Bの吸収ピークは、上記の例に限定されるものではない。
【0019】
断熱層114aは、記録層113aと記録層113bとの間で互いに熱が伝わりにくくするためのものである。断熱層114bは、記録層113bと記録層113cとの間で互いに熱が伝わりにくくするためのものである。保護層115は、可逆性記録媒体100の表面を保護するためのものであり、可逆性記録媒体100のオーバーコート層として機能する。2つの断熱層114(114a,114b)および保護層115は、透明な材料によって構成されている。可逆性記録媒体100は、例えば、保護層115の直下に、比較的剛性の高い樹脂層(例えば、PEN樹脂層)などを備えていてもよい。
【0020】
[製造方法]
次に、可逆性記録媒体100におけるいくつかの層の具体的な製造方法について説明する。
【0021】
下記材料を含有する塗料を、ロッキングミルを用いて2時間分散させた。それにより得られた塗料をワイヤーバーで塗布し、70℃にて5分間加熱乾燥処理を施した。このようにして、厚さ3μmの記録層13を形成した。
【0022】
記録層113aを形成するための塗料には以下の材料を含む。
・ロイコ色素(2重量部)
【化1】
・顕・減色剤(4重量部)
【化2】
・塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(5重量部)
塩化ビニル90%、酢酸ビニル10%、平均分子量(M.W.)115000
・メチルエチルケトン(MEK)(91重量部)
・光熱変換剤
シアニン系赤外吸収色素:0.19重量部
(H.W.SANDS社製、SDA7775、吸収波長ピーク:933nm)
【0023】
記録層113bを形成するための塗料には以下の材料を含む。
・ロイコ色素(1.8重量部)
【化3】
・顕・減色剤(4重量部)
【化4】
・塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(5重量部)
塩化ビニル90%、酢酸ビニル10%、平均分子量(M.W.)115000
・メチルエチルケトン(MEK)(91重量部)
・光熱変換剤
シアニン系赤外吸収色素:0.12重量部
(H.W.SANDS社製、SDA5688、吸収波長ピーク861nm)
【0024】
記録層113cを形成するための塗料には以下の材料を含む。
・ロイコ色素100A(1.3重量部)
【化5】
・顕・減色剤(4重量部)
【化6】
・塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(5重量部)
塩化ビニル90%、酢酸ビニル10%、平均分子量(M.W.)115000
・メチルエチルケトン(MEK)(91重量部)
・光熱変換剤
シアニン系赤外吸収色素:0.10重量部
(日本化薬製、CY-10、吸収波長ピーク798nm)
【0025】
ポリビニルアルコール水溶液を塗布、乾燥した。このようにして、厚さ20μmの断熱層114を形成した。また、紫外線硬化性樹脂を塗布した後、紫外線を照射して硬化させた。このようにして、厚さ約2μmの保護層115を形成した。
【0026】
(描画装置1)
次に、本実施の形態に係る描画装置1について説明する。
【0027】
描画装置1は、信号処理回路10、レーザ駆動回路20、光源部30、調整機構40、スキャナ駆動回路50、およびスキャナ部60を備えている。
【0028】
信号処理回路10は、例えば、レーザ駆動回路20とともに、可逆性記録媒体100の特徴や、可逆性記録媒体100へ書き込まれた条件に応じて、光源部30(例えば、後述の各光源31A,31B,31C)に印加する電流パルスの波高値などを制御する。信号処理回路10は、例えば、外部から入力された画像信号Dinから、スキャナ部50のスキャナ動作に同期し、レーザ光の波長などの特性に応じた画像信号を生成する。描画装置1が可逆性記録媒体100に対して書き込みを行う際には、画像信号Dinは、可逆性記録媒体100に書き込む画像データを含んでいる。描画装置1が可逆性記録媒体10に対して、書き込まれた情報の消去を行う際には、画像信号Dinは、可逆性記録媒体100に書き込まれた画像を消去するための画像データを含んでいる。
【0029】
信号処理回路10は、例えば、入力された画像信号Dinを光源部30の各光源の波長に応じた画像信号に変換(色域変換)する。信号処理回路10は、例えば、スキャナ部50のスキャナ動作に同期した投影映像クロック信号を生成する。信号処理回路10は、例えば、生成した画像信号通りにレーザ光が発光するような投影画像信号を生成する。信号処理回路10は、例えば、生成した投影画像信号を、レーザ駆動回路20に出力する。また、信号処理回路10は、例えば、必要に応じて、投影画像クロック信号を、レーザ駆動回路20に出力する。ここで、「必要に応じて」とは、後述するように、高周波信号の信号源を画像信号に同期させる際に投影画像クロック信号を用いる場合などである。
【0030】
レーザ駆動回路20は、例えば、各波長に応じた投影映像信号にしたがって光源部30の各光源31A,31B,31Cを駆動する。レーザ駆動回路20は、例えば、投影画像信号に応じた画像を描画するためにレーザ光の輝度(明暗)をコントロールする。レーザ駆動回路20は、例えば、光源31Aを駆動する駆動回路20Aと、光源31Bを駆動する駆動回路20Bと、光源31Cを駆動する駆動回路20Cとを有している。光源31A,31B,31Cは、近赤外域のレーザ光を出射する。光源31Aは、例えば、発光波長λ1のレーザ光Laを出射する半導体レーザである。光源31Bは、例えば、発光波長λ2のレーザ光Lbを出射する半導体レーザである。光源31Cは、例えば、発光波長λ3のレーザ光Lcを出射する半導体レーザである。発光波長λ1,λ2,λ3は、例えば、以下の式(1)、式(2)、式(3)を満たしている。
【0031】
λa1-20nm<λ1<λa1+20nm…(1)
λa2-20nm<λ2<λa1+20nm…(2)
λa1-20nm<λ3<λa1+20nm…(3)
【0032】
ここで、λa1は、記録層113aの吸収波長(吸収ピーク波長)であり、例えば、915nmである。λa2は、記録層113bの吸収波長(吸収ピーク波長)であり、例えば、860nmである。λa3は、記録層113cの吸収波長(吸収ピーク波長)であり、例えば、800nmである。なお、式(1)、式(2)、式(3)における「±10nm」は、許容誤差範囲を意味している。発光波長λ1,λ2,λ3が式(1)、式(2)、式(3)を満たす場合、発光波長λ1は、例えば、915nmであり、発光波長λ2は、例えば、860nmであり,発光波長λ3は、例えば、800nmである。
【0033】
光源部30は、近赤外域において発光波長の互いに異なる複数の光源を有している。光源部30は、例えば、3つの光源31A,31B,31Cを有している。光源部30は、さらに、例えば、複数の光源(例えば、3つの光源31A,31B,31C)から出射されたレーザ光を合波する光学系を有している。光源部30は、そのような光学系として、例えば、2つの反射ミラー32a,32dと、2つのダイクロイックミラー32b,32cと、レンズ32eとを有している。
【0034】
2つの光源31A,31Bから出射された各レーザ光La,Lbは、例えば、コリメートレンズによってほぼ平行光(コリメート光)にされる。その後、例えば、レーザ光Laは、反射ミラー32aで反射されるとともにダイクロイックミラー32bで反射され、レーザ光Lbは、ダイクロイックミラー32bを透過することにより、レーザ光Laとレーザ光Laとが合波される。レーザ光Laとレーザ光Laとの合波光は、ダイクロイックミラー32cを透過する。
【0035】
光源31Cから出射されたレーザ光Lcは、例えば、コリメートレンズによってほぼ平行光(コリメート光)にされる。その後、レーザ光Lcは、例えば、反射ミラー32dで反射されるとともにダイクロイックミラー32cで反射される。これにより、ダイクロイックミラー32cを透過した上記合波光と、ダイクロイックミラー32cで反射されたレーザ光Lcとが合波される。光源部32は、例えば、上記の光学系による合波により得られた合波光Lmをスキャナ部50に出力する。
【0036】
調整機構40は、光源部32から出射される合波光Lmのフォーカスを調整するための機構である。調整機構40は、例えば、ユーザによる手動操作によってレンズ32eの位置を調整する機構である。なお、調整機構40は、機械による操作によってレンズ32eの位置を調整する機構であってもよい。
【0037】
スキャナ駆動回路50は、例えば、信号処理回路10から入力された投影映像クロック信号に同期して、スキャナ部50を駆動する。また、スキャナ駆動回路40は、例えば、スキャナ部60から、後述の2軸スキャナ61などの照射角度についての信号が入力される場合には、その信号に基づいて、所望の照射角度になるようにスキャナ部60を駆動する。
【0038】
スキャナ部60は、例えば、光源部30から入射された合波光Lmを、可逆性記録媒体100の表面上で線順次で走査させる。スキャナ部60は、例えば、2軸スキャナ61と、fθレンズ62とを有している。2軸スキャナ61は、例えば、ガルバノミラーである。fθレンズ62は、2軸スキャナ61による等速回転運動を、焦点平面(可逆性記録媒体100の表面)上を動くスポットの等速直線運動に変換する。
【0039】
次に、描画装置1における情報の書き込み・消去について説明する。
【0040】
[書き込み]
まず、可逆性記録媒体100を用意し、描画装置1にセットする(ステップS101、
図4)。次に、描画装置1は、例えば、光源31A、光源31Bおよび光源31Cのうち、少なくとも1つの光源からレーザ光を出射し、可逆性記録媒体100上で走査する(ステップS102、
図4)。このとき、光源部30は、光源31A、光源31Bおよび光源31Cのうち、少なくとも2つの光源からレーザ光を出射した場合には、2つの光源から出射されたレーザ光同士を合波して出力する。また、光源部30は、可逆性記録媒体100に対する書き込みを行う際は、書き込み対象の記録層113の温度が光熱変換剤100Bによる発熱により発色温度以上となるように設定された条件下でレーザ光を出力する。
【0041】
その結果、例えば発光波長800nmのレーザ光Laが、記録層113c内の光熱変換剤100Bに吸収され、それにより、光熱変換剤100Bから発生した熱により記録層113c内のロイコ色素100Aが書き込み温度に到達し、顕色剤と結合して黄色を発色する。黄色の発色濃度は、発光波長800nmのレーザ光Laの強度に依る。また、例えば発光波長860nmのレーザ光Lbが、記録層113b内の光熱変換剤100Bに吸収され、それにより、光熱変換剤100Bから発生した熱により記録層113b内のロイコ色素100Aが書き込み温度に到達し、顕色剤と結合してシアン色を発色する。シアン色の発色濃度は、発光波長860nmのレーザ光Lbの強度に依る。また、例えば発光波長915nmのレーザ光Lcが、記録層113a内の光熱変換剤100Bに吸収され、それにより、光熱変換剤100Bから発生した熱により記録層113a内のロイコ色素100Aが書き込み温度に到達し、顕色剤と結合してマゼンタ色を発色する。マゼンタ色の発色濃度は、発光波長915nmのレーザ光Lcの強度に依る。その結果、黄色、シアン色およびマゼンタ色の混色によって、所望の色が発色する。このようにして、描画装置1は、可逆性記録媒体100における情報の書き込みを行う。
【0042】
[消去]
まず、上記のようにして情報の書き込まれた可逆性記録媒体100を用意し、消去装置1にセットする(ステップS101、
図4)。次に、描画装置1は、例えば、光源31A、光源31Bおよび光源31Cのうち、少なくとも1つの光源からレーザ光を出射し、可逆性記録媒体100上で走査する(ステップS102、
図4)。このとき、光源部30は、光源31A、光源31Bおよび光源31Cのうち、少なくとも2つの光源からレーザ光を出射した場合には、2つの光源から出射されたレーザ光同士を合波して出力する。また、光源部30は、可逆性記録媒体100に書き込まれた情報の消去を行う際は、消去対象の記録層113の温度が光熱変換剤100Bによる発熱により消色温度以上発色温度未満となるように設定された条件下でレーザ光を出力する。
【0043】
その結果、可逆性記録媒体100に照射されたレーザ光が発光波長800nmのレーザ光Laを含んでいる場合には、発光波長800nmのレーザ光Laが、記録層113c内の光熱変換剤100Bに吸収され、それにより、光熱変換剤100Bから発生した熱により記録層113c内のロイコ色素100Aが消色温度以上発色温度未満に到達し、顕色剤と分離して消色する。ここで、記録層113c内の光熱変換剤100Bから発生した熱が各記録層113に伝播し、各記録層113内のロイコ色素100Aが消色温度以上発色温度未満に到達した場合には、各記録層113内のロイコ色素100Aが顕色剤と分離して消色する。
【0044】
また、可逆性記録媒体100に照射されたレーザ光が発光波長860nmのレーザ光Lbを含んでいる場合には、発光波長860nmのレーザ光Lbが、記録層113b内の光熱変換剤100Bに吸収され、それにより、光熱変換剤100Bから発生した熱により記録層113b内のロイコ色素100Aが消色温度以上発色温度未満に到達し、顕色剤と分離して消色する。ここで、記録層113b内の光熱変換剤100Bから発生した熱が各記録層113に伝播し、各記録層113内のロイコ色素100Aが消色温度以上発色温度未満に到達した場合には、各記録層113内のロイコ色素100Aが顕色剤と分離して消色する。
【0045】
また、可逆性記録媒体100に照射されたレーザ光が発光波長915nmのレーザ光Lcを含んでいる場合には、発光波長915nmのレーザ光Lcが、記録層113a内の光熱変換剤100Bに吸収され、それにより、光熱変換剤100Bから発生した熱により記録層113a内のロイコ色素100Aが消色温度以上発色温度未満に到達し、顕色剤と分離して消色する。ここで、記録層113a内の光熱変換剤100Bから発生した熱が各記録層113に伝播し、各記録層113内のロイコ色素100Aが消色温度以上発色温度未満に到達した場合には、各記録層113内のロイコ色素100Aが顕色剤と分離して消色する。このようにして、描画装置1は、可逆性記録媒体100における情報の消去を行う。
【0046】
ところで、描画装置1は、可逆性記録媒体100に書き込まれた情報の消去を行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]が、可逆性記録媒体100に書き込みを行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]よりも小さくなるように、可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]を制御する制御機構を備えている。
【0047】
例えば、信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、上記の制御機構として、光源部30(例えば、光源31A、光源31B、光源31C)の消去時のレーザパワーが光源部30の書き込み時のレーザパワーよりも小さくなるように光源部30を制御する機構を備えていてもよい。信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、例えば、
図5(A)に示したように、可逆性記録媒体100への書き込み時には、光源部30からの出力パルスの波高値がW1となるように、光源部30に供給する電流パルスの波高値などを制御してもよい。さらに、信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、例えば、
図5(B)に示したように、可逆性記録媒体100の消去時には、光源部30からの出力パルスの波高値がW2(W2<W1)となるように、光源部30に供給する電流パルスの波高値などを制御してもよい。
【0048】
また、例えば、信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、上記の制御機構として、光源部30(例えば、光源31A、光源31B、光源31C)の消去時のレーザパルスの照射時間ΔT2が光源部30の書き込み時の照射時間ΔT1よりも短くなるように光源部30を制御してもよい。信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、例えば、
図6(A)に示したように、可逆性記録媒体100への書き込み時には、光源部30(例えば、光源31A、光源31B、光源31C)の書き込み時のレーザパルスの照射時間(パルス幅)がΔT1となるように、光源部30に供給する電流パルスのパルス幅などを制御してもよい。さらに、信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、例えば、
図6(B)に示したように、可逆性記録媒体100の消去時には、光源部30(例えば、光源31A、光源31B、光源31C)の消去時のレーザパルスの照射時間(パルス幅)がΔT2(ΔT2<ΔT1)となるように、光源部30に供給する電流パルスのパルス幅などを制御してもよい。
【0049】
また、例えば、信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、上記の制御機構として、光源部30(例えば、光源31A、光源31B、光源31C)の消去時のレーザパルスが矩形状となるように、そして、光源部30の書き込み時のレーザパルスが消去時の波形とは異なる波形となるように光源部30を制御してもよい。信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、例えば、
図7(A)に示したように、光源部30(例えば、光源31A、光源31B、光源31C)の消去時のレーザパルスが矩形状となるように光源部30を制御してもよい。さらに、信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、例えば、
図7(B)に示したように、光源部30の書き込み時のレーザパルスが三角形状となるように光源部30を制御してもよい。
【0050】
また、例えば、信号処理回路10およびスキャナ駆動回路50は、上記の制御機構として、光源部30(例えば、光源31A、光源31B、光源31C)の消去時のスキャン速度が光源部30の書き込み時のスキャン速度よりも早くなるようにスキャナ駆動回路50を制御してもよい。
【0051】
また、例えば、調整機構40は、上記の制御機構として、レーザ光La、レーザ光Lb、レーザ光Lcまたは合波光Lmのフォーカス調整を行う機構を備えていてもよい。信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、例えば、
図8(A)に示したように、光源部30(例えば、光源31A、光源31B、光源31C)の書き込み時のスポット径がΔD1となるように、レンズ32eを調整してもよい。さらに、信号処理回路10およびレーザ駆動回路20は、例えば、
図8(B)に示したように、光源部30の消去時のスポット径がΔD2(ΔD2>ΔD1)となるように、レンズ32eを調整してもよい。
【0052】
[実施例]
次に、本実施の形態に係る描画装置1の実施例について、比較例と対比して説明する。
図9、
図10は、実施例に係る描画装置1の実験結果を表したものである。
図11、
図12、
図13は、比較例に係る描画装置の実験結果を表したものである。
図9に記載の実施例1~10が書き込み時の実験結果であり、
図10に記載の実施例11~20が消去時の実験結果である。
【0053】
[実施例1,8~10、11]
可逆性記録媒体100に対して、以下に述べる条件で書き込み・消去を行い、反射濃度(OD)の測定を行った。書き込み時には、発光波長800nm、860nmおよび915nmを、それぞれ出力2Wずつ、それぞれのスポット径を70μm、それぞれのスキャン速度を5m/secの条件下で、可逆性記録媒体100に対してベタ画像の書き込みを行い、反射濃度を測定した。消去時には、発光波長800nm、860nmおよび915nmを、それぞれ出力2Wずつ、それぞれのスポット径を500μm、それぞれのスキャン速度を0.5m/secの条件下で、可逆性記録媒体100に書き込まれたベタ画像の消去を行い、消去後の反射濃度を測定した。
【0054】
[実施例2~7]
図9に記載の実施例2~7では、レーザーパワー、スポット径、スキャン速度を、
図9に記載の実施例1とは変化させた各々の条件で、可逆性記録媒体100に対してレーザー照射を行った際の書き込み後の反射濃度を測定した。
【0055】
[実施例12~20]
図10に記載の実施例12~20では、
図9に記載の実施例2~10で書き込みを行った可逆性記録媒体100に対し、レーザーパワー、スポット径、スキャン速度を変化させた各々の条件で、レーザー照射を行った際の消去後の反射濃度を測定した。
【0056】
実施例11~20のいずれにおいても、反射濃度は0.2以下となっており、可逆性記録媒体100に書き込んだベタ画像が消去されている。実施例18,19において、スポット径を広くするなどして、書き込み時よりも、可逆性記録媒体100を照射するレーザ光のエネルギー密度を低下させている。このように、書き込み条件と消去条件を調整することで、同一装置で書き換えが可能となる。
【0057】
図11には、実施例1,5,6,7と同じ条件で、各レーザー照射を短波長側から、別照射で照射し、得られたベタ画像の反射濃度を示した。比較例1~4では、実施例と比較すると、いずれも反射濃度が低下し、同等の反射濃度を得るためには2.5W程度のパワーが必要となることが分かった。また、各レーザー光を照射する箇所は同一ラインとなることが必須であり、そのアライメント精度も±2μm以下となっていることが望ましく、これを実現させるためには装置コストが上がってしまう。
【0058】
図12に、実施例11,15,16,17と同じ条件で、各レーザー照射を短波長側から、別照射で照射した際の反射濃度を示した。比較例5~8では、いずれも反射濃度が0.2以上を示し、十分に消去されていない。実施例と同等に消去するには、2.5W程度のパワーを照射するか、または、スキャン速度を0.3m/s程度に遅くする必要があり、消費電力、タクトの観点から不利である。
【0059】
図13に、実施例1の条件で描画し、それを感熱プリンターに搭載されている消去用セラミックバーにより消去した際の反射濃度を示した。スキャン速度を遅くし、十分な熱量を加えると、基材(ABS)が変形してしまう。一方、熱変形を抑制するため、スキャン速度を速くすると消え残りが生じる。以上の結果より、耐熱温度の低い基材を消去する際は、レーザーによる消去が好ましい。
【0060】
[効果]
次に、本実施の形態に係る描画装置1の効果について説明する。
【0061】
ロイコ色素などの感熱発色性組成物を用いた感熱方式の記録媒体が普及している。現在、そのような記録媒体には、一度書き込んだら消去のできない不可逆性の記録媒体と、何度でも書き換え可能な可逆性の記録媒体が実用化されている。可逆性の記録媒体では、単色表示が実用化されている一方で、フルカラー表示はまだ実用化されていない。ところで、感熱方式の記録媒体では、書き込みや消去の際に過剰な熱量が加えられると、記録媒体が変形するおそれがある。
【0062】
一方、本実施の形態に係る描画装置1では、近赤外域において発光波長の互いに異なる複数の光源(例えば、31A,31B,31C)から出射されたレーザ光が合波され、それにより得られた合波光Lmが可逆性記録媒体100上で走査される。このように、各光源を同時に駆動することで、各光源を時間的に別々に駆動した場合と比べて、熱拡散の観点から書き込み効率もしくは消去効率が良くなる。これにより、書き込みや消去に必要なエネルギーが低くなる。その結果、可逆性記録媒体100の変形を抑制することができる。
【0063】
また、本実施の形態に係る描画装置1では、可逆性記録媒体100に対する書き込みを行う際は、書き込み対象の記録層113の温度が光熱変換剤100Bによる発熱により発色温度以上となるように設定された条件下でレーザ光が出力される。これにより、書き込みに必要なエネルギー密度でレーザ照射を行うとともに、可逆性記録媒体100の変形を抑制することができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る描画装置1では、可逆性記録媒体100に書き込まれた情報の消去を行う際は、消去対象の記録層113の温度が光熱変換剤100Bによる発熱により消色温度以上発色温度未満となるように設定された条件下でレーザ光が出力される。これにより、消去に必要なエネルギー密度でレーザ照射を行うとともに、可逆性記録媒体100の変形を抑制することができる。
【0065】
また、本実施の形態に係る描画装置1では、可逆性記録媒体100に書き込まれた情報の消去を行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]が、可逆性記録媒体100に書き込みを行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]よりも小さくなるように、可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]が制御される。これにより、書き込み・消去に必要なエネルギー密度でレーザ照射を行うとともに、可逆性記録媒体100の変形を抑制することができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る描画装置1では、各光源(例えば、31A,31B,31C)の消去時のレーザパワーが各光源(例えば、31A,31B,31C)の書き込み時のレーザパワーよりも小さくなるように各光源(例えば、31A,31B,31C)が制御される。これにより、可逆性記録媒体100に対して書き込まれた情報の消去を行うことができる。
【0067】
また、本実施の形態に係る描画装置1では、各光源(例えば、31A,31B,31C)の消去時のレーザパルスの照射時間ΔT2が各光源(例えば、31A,31B,31C)の書き込み時の照射時間ΔT1よりも短くなるように各光源(例えば、31A,31B,31C)が制御される。これにより、可逆性記録媒体100に書き込まれた情報の消去を行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]を、可逆性記録媒体100に書き込みを行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]よりも小さくすることができる。その結果、書き込み・消去に必要なエネルギー密度でレーザ照射を行うとともに、可逆性記録媒体100の変形を抑制することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る描画装置1では、各光源(例えば、31A,31B,31C)の消去時のレーザパルスが矩形状となるように、そして、各光源(例えば、31A,31B,31C)の書き込み時のレーザパルスが消去時の波形とは異なる波形となるように各光源(例えば、31A,31B,31C)が制御される。これにより、可逆性記録媒体100に書き込まれた情報の消去を行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]を、可逆性記録媒体100に書き込みを行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]よりも小さくすることができる。その結果、書き込み・消去に必要なエネルギー密度でレーザ照射を行うとともに、可逆性記録媒体100の変形を抑制することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る描画装置1では、各光源(例えば、31A,31B,31C)の消去時のスキャン速度が各光源(例えば、31A,31B,31C)の書き込み時のスキャン速度よりも早くなるようにスキャナ駆動回路50が制御される。これにより、可逆性記録媒体100に書き込まれた情報の消去を行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]を、可逆性記録媒体100に書き込みを行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]よりも小さくすることができる。その結果、書き込み・消去に必要なエネルギー密度でレーザ照射を行うとともに、可逆性記録媒体100の変形を抑制することができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る描画装置1では、レーザ光La、レーザ光Lb、レーザ光Lcまたは合波光Lmのフォーカス調整を行う調整機構40が設けられている。これにより、書き込み時にフォーカスを相対的に小さくし、消去時にフォーカスを相対的に大きくすることにより、可逆性記録媒体100に書き込まれた情報の消去を行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]を、可逆性記録媒体100に書き込みを行う際の可逆性記録媒体100上のエネルギー密度[W/cm2]よりも小さくすることができる。その結果、書き込み・消去に必要なエネルギー密度でレーザ照射を行うとともに、可逆性記録媒体100の変形を抑制することができる。
【0071】
以上、実施の形態およびその変形例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
【0072】
例えば、上記実施の形態等では、可逆性記録媒体100が記録層113と断熱層114とが交互に積層されていたが、例えば、可逆性記録媒体100がロイコ色素100Aと光熱変換剤100Bとを含むマイクロカプセルを含んで構成されていてもよい。また、例えば、上記実施の形態等では、各記録層113(113a,113b,113c)は、可逆性感熱発色性組成物として、ロイコ色素100Aを含んでいたが、ロイコ色素100Aとは異なる材料を含んでいてもよい。また、例えば、上記実施の形態等では、描画装置1は、可逆性記録媒体100に対して、情報の書き込みおよび消去を行うように構成されていたが、可逆性記録媒体100に対して、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行うように構成されていてもよい。
【0073】
なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0074】
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
可逆性感熱発色性組成物と光熱変換剤とを含む複数の記録部を備え、各前記可逆性感熱発色性組成物の発色色調が互いに異なるとともに各前記光熱変換剤の吸収波長が近赤外域(700nm~2500nm)において互いに異なる情報記録部に対して、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行う光学装置であって、
近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子と、
前記複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を合波する光学系と、
前記光学系による合波により得られた合波光を前記情報記録部上で走査するスキャナ部と
を備えた
光学装置。
(2)
各前記レーザ素子は、前記情報記録部に対する書き込みを行う際は、書き込み対象の前記記録部の温度が前記光熱変換剤による発熱により発色温度以上となるように設定された条件下でレーザ光を出力する
(1)に記載の光学装置。
(3)
各前記レーザ素子は、前記情報記録部に書き込まれた情報の消去を行う際は、消去対象の前記記録部の温度が前記光熱変換剤による発熱により消色温度以上発色温度未満となるように設定された条件下でレーザ光を出力する
(2)に記載の光学装置。
(4)
前記情報記録部に書き込まれた情報の消去を行う際の前記情報記録部上のエネルギー密度[W/cm2]が、前記情報記録部に書き込みを行う際の前記情報記録部上のエネルギー密度[W/cm2]よりも小さくなるように、前記情報記録部上のエネルギー密度[W/cm2]を制御する制御機構を更に備えた
(3)に記載の光学装置。
(5)
前記制御機構は、各前記レーザ素子の消去時のレーザパワーが各前記レーザ素子の書き込み時のレーザパワーよりも小さくなるように各前記レーザ素子を制御するレーザ駆動回路である
(4)に記載の光学装置。
(6)
前記制御機構は、各前記レーザ素子の消去時のレーザパルスの照射時間が各前記レーザ素子の書き込み時の照射時間よりも短くなるように各前記レーザ素子を制御するレーザ駆動回路である
(4)に記載の光学装置。
(7)
前記制御機構は、各前記レーザ素子の消去時のレーザパルスが矩形状となるように、そして、各前記レーザ素子の書き込み時のレーザパルスが消去時の波形とは異なる波形となるように各前記レーザ素子を制御するレーザ駆動回路である
(4)に記載の光学装置。
(8)
前記制御機構は、各前記レーザ素子の消去時のスキャン速度が各前記レーザ素子の書き込み時のスキャン速度よりも早くなるように前記スキャナ部を制御するスキャナ駆動回路である
(4)に記載の光学装置。
(9)
前記制御機構は、前記合波光のフォーカス調整を行う機構である
(4)に記載の光学装置。
(10)
近赤外域(700nm~2500nm)において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子と、
前記複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を合波する光学系と、
前記光学系による合波により得られた合波光を前記可逆性記録媒体上で走査するスキャナ部と
を備えた
描画及び消去装置。
(11)
可逆性感熱発色性組成物と光熱変換剤とを含む複数の記録部を備え、各前記可逆性感熱発色性組成物の発色色調が互いに異なるとともに各前記光熱変換剤の吸収波長が近赤外域(700nm~2500nm)において互いに異なる情報記録部に対して、
近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を合波し、それにより得られた合波光を前記情報記録部上で走査することにより、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行うことを含む
照射方法。
【0075】
本出願は、日本国特許庁において2017年6月8日に出願された日本特許出願番号第2017-113452号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0076】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可逆性感熱発色性組成物と光熱変換剤とを含む複数の記録層を備え、各前記可逆性感熱発色性組成物の発色色調が前記記録層ごとに異なるとともに各前記光熱変換剤の吸収波長が前記記録層ごとに近赤外域(700nm~2500nm)において異なる可逆性記録媒体に対して、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行う描画及び消去装置であって、
前記近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子と、
前記複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を平行光にするコリメートレンズと、
前記コリメートレンズから出射された平行光を合波する光学系と、
前記光学系による合波により得られた合波光を前記可逆性記録媒体上で走査するスキャナ部と
を備えた
描画及び消去装置。
【請求項2】
前記光学系は反射ミラー及びダイクロイックミラーを有する
請求項1に記載の描画及び消去装置。
【請求項3】
前記合波光のフォーカスを調整する調整機構を更に備えた
請求項1又は請求項2に記載の描画及び消去装置。
【請求項4】
前記合波光のスポット径を調整する調整機構を更に備えた
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の描画及び消去装置。
【請求項5】
前記調整機構は、書き込み時のスポット径をΔD1、消去時のスポット径をΔD2としたとき、ΔD2>ΔD1に設定される
請求項4に記載の描画及び消去装置。
【請求項6】
各前記レーザ素子は、前記可逆性記録媒体に対する書き込みを行う際は、書き込み対象の前記記録層の温度が前記光熱変換剤による発熱により発色温度以上となるように設定された条件下でレーザ光を出力する
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の描画及び消去装置。
【請求項7】
各前記記録層の吸収波長をλa1,λa2,λa3とした時、各前記レーザ素子の発光波長λ1,λ2,λ3は下記式を満たす
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の描画及び消去装置。
λa1-20nm<λ1<λa1+20nm…(1)
λa2-20nm<λ2<λa2+20nm…(2)
λa3-20nm<λ3<λa3+20nm…(3)
【請求項8】
各前記レーザ素子は、前記可逆性記録媒体に書き込まれた情報の消去を行う際は、消去対象の前記記録層の温度が前記光熱変換剤による発熱により消色温度以上発色温度未満となるように設定された条件下でレーザ光を出力する
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の描画及び消去装置。
【請求項9】
各前記記録層は、ロイコ色素を含む
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の描画及び消去装置。
【請求項10】
前記可逆性記録媒体は、前記複数の記録層のうち互いに隣接する2つの前記記録層の間に断熱層を有する
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の描画及び消去装置。
【請求項11】
前記可逆性記録媒体は、前記複数の記録層として、3層の前記記録層を有する
請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の描画及び消去装置。
【請求項12】
前記可逆性記録媒体は、最表面に保護層を有する
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の描画及び消去装置。
【請求項13】
前記可逆性記録媒体は、基板上に前記複数の記録層を有し、さらに、前記基板と前記記録層との間に下地層を有する
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の描画及び消去装置。
【請求項14】
可逆性感熱発色性組成物と光熱変換剤とを含む複数の記録層を備え、各前記可逆性感熱発色性組成物の発色色調が前記記録層ごとに異なるとともに各前記光熱変換剤の吸収波長が前記記録層ごとに近赤外域(700nm~2500nm)において異なる可逆性記録媒体に対して、
近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子から出射されたレーザ光をコリメートレンズで平行光にし、前記コリメートレンズから出射された平行光を合波し、それにより得られた合波光を前記可逆性記録媒体上で走査することにより、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行うことを含む
照射方法。
【請求項15】
反射ミラーおよびダイクロイックミラーを用いて、前記コリメートレンズから出射された平行光を合波することを含む
請求項14に記載の照射方法。
【請求項16】
前記合波光のフォーカスを調整することを含む
請求項14又は請求項15に記載の照射方法。
【請求項17】
前記合波光のスポット径を調整することを含む
請求項14ないし請求項16のいずれか一項に記載の照射方法。
【請求項18】
書き込み時のスポット径をΔD1、消去時のスポット径をΔD2としたとき、ΔD2>ΔD1となるように、前記合波光のスポット径を調整することを含む
請求項17に記載の照射方法。
【請求項19】
前記可逆性記録媒体に対する書き込みを行う際は、書き込み対象の前記記録層の温度が前記光熱変換剤による発熱により発色温度以上となるように設定された条件下でレーザ光を各前記レーザ素子から出力することを含む
請求項14ないし請求項18のいずれか一項に記載の照射方法。
【請求項20】
各前記記録層の吸収波長をλa1,λa2,λa3とした時、各前記レーザ素子の発光波長λ1,λ2,λ3は下記式を満たす
請求項14ないし請求項19のいずれか一項に記載の照射方法。
λa1-20nm<λ1<λa1+20nm…(1)
λa2-20nm<λ2<λa2+20nm…(2)
λa3-20nm<λ3<λa3+20nm…(3)
【請求項21】
前記可逆性記録媒体に書き込まれた情報の消去を行う際は、消去対象の前記記録層の温度が前記光熱変換剤による発熱により消色温度以上発色温度未満となるように設定された条件下でレーザ光を各前記レーザ素子から出力することを含む
請求項14ないし請求項20のいずれか一項に記載の照射方法。
【請求項22】
各前記記録層は、ロイコ色素を含む
請求項14ないし請求項21のいずれか一項に記載の照射方法。
【請求項23】
前記可逆性記録媒体は、前記複数の記録層のうち互いに隣接する2つの前記記録層の間に断熱層を有する
請求項14ないし請求項22のいずれか一項に記載の照射方法。
【請求項24】
前記可逆性記録媒体は、前記複数の記録層として、3層の前記記録層を有する
請求項14ないし請求項23のいずれか一項に記載の照射方法。
【請求項25】
前記可逆性記録媒体は、最表面に保護層を有する
請求項14ないし請求項24のいずれか一項に記載の照射方法。
【請求項26】
前記可逆性記録媒体は、基板上に前記複数の記録層を有し、さらに、前記基板と前記記録層との間に下地層を有する
請求項14ないし請求項25のいずれか一項に記載の照射方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、描画及び消去装置および照射方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
ところで、感熱方式の記録媒体では、書き込みや消去の際に過剰な熱量が加えられると、記録媒体が変形するおそれがある。従って、記録媒体の変形を抑制することの可能な描画及び消去装置および照射方法を提供することが望ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示の一実施形態に係る描画及び消去装置は、可逆性記録媒体に対して、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行う装置である。ここで、可逆性記録媒体では、可逆性感熱発色性組成物と光熱変換剤とを含む複数の記録部を備えている。この可逆性記録媒体では、さらに、各可逆性感熱発色性組成物の発色色調が記録部ごとに異なるとともに各光熱変換剤の吸収波長が記録部ごとに近赤外域(700nm~2500nm)において異なっている。描画及び消去装置は、近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子と、複数のレーザ素子から出射されたレーザ光を平行光にするコリメートレンズと、コリメートレンズから出射された平行光を合波する光学系と、光学系による合波により得られた合波光を可逆性記録媒体上で走査するスキャナ部とを備えている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示の一実施形態に係る照射方法は、可逆性感熱発色性組成物と光熱変換剤とを含む複数の記録層を備え、各可逆性感熱発色性組成物の発色色調が記録層ごとに異なるとともに各光熱変換剤の吸収波長が記録層ごとに近赤外域(700nm~2500nm)において異なる可逆性記録媒体に対して、以下のことを行うことを含む。
近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子から出射されたレーザ光をコリメートレンズで平行光にし、コリメートレンズから出射された平行光を合波し、それにより得られた合波光を可逆性記録媒体上で走査することにより、情報の書き込みおよび消去のうち少なくとも一方を行うこと
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示の一実施形態に係る描画及び消去装置および照射方法では、近赤外域において発光波長の互いに異なる複数のレーザ素子から出射されたレーザ光が合波され、それにより得られた合波光が可逆性記録媒体上で走査される。このように、各レーザ素子を同時に駆動することで、各レーザ素子を時間的に別々に駆動した場合と比べて、熱拡散の観点から書き込み効率もしくは消去効率が良くなる。これにより、書き込みや消去に必要なエネルギーが低くなる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示の一実施形態に係る描画及び消去装置および照射方法によれば、書き込みや消去に必要なエネルギーが低くなるようにしたので、記録媒体の変形を抑制することができる。なお、本開示の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されず、本明細書中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
λa1-20nm<λ1<λa1+20nm…(1)
λa2-20nm<λ2<λa2+20nm…(2)
λa3-20nm<λ3<λa3+20nm…(3)