(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093423
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】サンプルを分析し、光信号検出器の性能を監視するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20220616BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20220616BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220616BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220616BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20220616BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20220616BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20220616BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20220616BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N21/64 Z
C12M1/34 B
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
C12Q1/04
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6844 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022069401
(22)【出願日】2022-04-20
(62)【分割の表示】P 2020150320の分割
【原出願日】2016-12-22
(31)【優先権主張番号】62/274,027
(32)【優先日】2015-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500169900
【氏名又は名称】ジェン-プローブ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド オパルスキー
(72)【発明者】
【氏名】スラジャン ラグワンシ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ブイ
(57)【要約】
【課題】サンプル、例えば生物学的サンプルを分析し、光信号検出器、例えば蛍光光度計の性能を監視するシステム及び方法を提供すること
【解決手段】光信号検出器の性能を測定するシステムは、第1の光源及び第1のセンサーを有する第1の検出チャネルを備える光信号検出器を含む。第1の検出チャネルは、第1の検出領域において第1の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに第1のセンサー上で光を受光する及び集束させるように構成される。システムはまた、光信号検出器に動作可能に連結され、及び光信号検出器の動作性能状態を、(i)第1の非蛍光表面部分が第1の検出領域内にある間に、センサー上に集束される光の第1の測定される特性と、(ii)空隙が第1の検出領域にある間に、センサー上に集束される光の第2の測定される特性と、のうちの少なくとも1つに基づいて判定するように構成されるコントローラーを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス、システム、または方法等。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、サンプル、例えば生物学的サンプルを分析し、光信号検出器、例えば蛍光光度計の性能を監視するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
診断アッセイは、生物学的抗原、細胞異常、疾患状態、及び宿主生物又は生物学的サンプル中に存在する疾患関連病原体の存在及び/又は量を検出及び/又は定量するための臨床診断及び健康科学研究において使用される。例示的な疾患関連病原体としては、寄生虫、真菌、細菌及びウイルスが挙げられる。診断アッセイが定量化を可能にする場合、施術者は感染又は疾患の程度を計算し、経時的に疾患の状態を判定することができる。診断アッセイは、例えば、化学物質、タンパク質、多糖類、核酸、生体高分子、細胞、又は目的の組織を検出することができる。様々なアッセイを用いて、これらの診断指標を検出及び/又は適格化することができる。
【0003】
標的核酸配列を検出するために、標的配列又はその増幅産物と実質的に相補的なヌクレオチド塩基配列を有するプローブを使用することができる。選択的アッセイ条件下で、プローブは、施術者がサンプル中の標的配列の存在を検出することを可能にする方法で、標的配列又はその増幅産物にハイブリダイズすることができる。プローブとしては、検出可能な標識、例えば放射性標識、蛍光体又は蛍光色素、ビオチン、酵素又は化学発光化合物を挙げることができる。プローブは、サンプル中の標的配列の存在を示す信号を検出することができ、信号強度が存在する標的配列又はその増幅産物の量に比例するように、標的配列又はその増幅産物にハイブリダイゼーションすることができる。増幅プロセスの間に増幅産物の存在を示す信号を周期的に測定することにより、増幅産物の経時的な増殖を検出することができる。増幅プロセスのこの「リアルタイム」監視の間に収集されるデータに基づいて、サンプル中に最初に存在していた標的核酸配列の量を確認することができる。
【0004】
単一のアッセイにおいて、異なる、目的の核酸配列を検出するために、異なる核酸配列にハイブリダイズし、異なる信号を検出可能に放出するように構成される異なるプローブを使用することができる。例えば、異なる標的核酸配列にハイブリダイズするように構成される異なるプローブに、既知の励起波長の励起光に曝される場合、既知の波長(即ち、色)で蛍光を発する蛍光体を配合しうる。リアルタイムモニタリングプロセスの間に、サンプルを異なる励起波長に交互に曝露し、各標的核酸配列に対するプローブに対応する目的の波長での蛍光のレベルを検出することにより、異なる標的核酸配列を検出するためのアッセイを並行して実行することができる。
【0005】
増幅プロセスの間に信号放射を周期的に測定するように構成される異なる信号検出器を用いて、及び異なる波長の励起信号を生成し、異なる波長の放射信号を測定するように構成される異なる信号検出器を用いて、並列処理を実行することができる。例示的な信号検出器として蛍光光度計が挙げられる。自動化された核酸アッセイ装置の一実施形態は、複数のレセプタクルで保持される多数のサンプルを処理するように構成され、レセプタクルが蛍光光度計を通過して索引付けされる時に、例えば2秒に1回、各蛍光光度計は、レセプタクルからの蛍光測定値を取得するように構成される。このようにして、各蛍光光度計は、装置の動作の1時間毎に1800回、サンプルレセプタクルに向けられる励起信号を生成することができ、各蛍光光度計は、レセプタクルの内容物により放射される放射信号を測定することができ、放射信号の強度に比例する電気信号を生成することができる。装置の動作中の蛍光光度計の誤動作(例えば、装置の故障又は性能劣化)により、その蛍光光度計により生成される蛍光測定値に誤差が生じ、それにより診断結果に誤りが生じる。このような誤動作は、蛍光光度計の動作中に発生する機械的又は電気的故障に起因する可能性がある。装置の定期的なメンテナンス中に蛍光光度計の動作を点検することができるが、試験は装置を停止する時にしか実行されないため、このような試験の機会はほとんどない。しかし、最大限のスループットのためにこの装置を長時間連続的に操作することができる。したがって、蛍光光度計の機能試験を実行するために装置を繰り返し停止することは、実用的ではなく、コスト高になり得る。したがって、アッセイを実施している間、つまり核酸診断装置が正常に動作している間、信号検出器、例えば蛍光光度計の適切な機能を定期的に確認するための手段及び方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、アッセイ装置は、第1の光源及び第1のセンサーを有する第1の検出チャネルを有する第1の蛍光光度計を含む。第1の検出チャネルは、第1の検出領域において第1の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに第1のセンサー上で受光する及び集束させるように構成される。アッセイ装置はまた、第1のレセプタクルを支持するように構成される凹部を画定する第1の非蛍光表面部分を備えるキャリアを含む。キャリア及び第1の蛍光光度計は、少なくとも、(i)第1のレセプタクルの一部が第1の検出領域内にある第1の位置と、(ii)キャリアの第1の非蛍光表面部分が第1の検出領域内にある第2の位置と、(iii)凹部が第1の検出領域内にある第3の位置と、の間で、互いに対して移動可能である。アッセイ装置はまた、第1の蛍光光度計に動作可能に連結されるコントローラーを含む。コントローラーは、キャリアが第1の位置にある間に、第1の信号検出器に集束される光の第1の測定される強度に基づいて、第1のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定するように構成される。コントローラーはまた、(i)キャリアが第2の位置にある間に第1に集束される光の第2の測定される強度と、(ii)キャリアが第3の位置にある間に第1のセンサーに集束される光の第3の測定される強度と、のうちの少なくとも1つに基づいて、第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第2の測定される強度が第1の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを判定することにより、動作性能状態を判定するように構成される。第1の所定の非蛍光表面強度範囲は、ゼロより大きいとすることができる。例えば、第1の所定の非蛍光表面強度範囲は、5~5800の相対蛍光単位(RFU)とすることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第3の測定される強度が第1の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを判定することにより、蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。第1の所定の凹部強度範囲はゼロを含むことができる。例えば、第1の所定の凹部強度範囲は、0~2260の相対蛍光単位(RFU)とすることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第2の測定される強度及び第3の測定される強度の両方に基づいて、蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、動作性能状態は、故障状態又は劣化した性能状態である。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性は、第1のレセプタクル内に収容されたサンプル中に特定の分析物が存在するかどうかである。いくつかの実施形態では、第1のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性は、第1のレセプタクル内に収容されたサンプル中の特定の分析物の量である。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の蛍光光度計はまた、第2の光源及び第2のセンサーを有する第2の検出チャネルを含む。第2の検出チャネルは、第2の検出領域において第2の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに第2のセンサー上で光を受光する及び集束させるように構成される。キャリアは、第2の非蛍光表面部分を含み、第2のレセプタクルを支持するように更に構成され得る。キャリア及び第1の蛍光光度計は、少なくとも、(i)第2のレセプタクルの一部が第2の検出領域内にある第1の位置と、(ii)第2の位置と、(iii)第3の位置と(iv)キャリアの第2の非蛍光表面部分が第2の検出領域内にある第4の位置と、の間で互いに対して移動可能である。またコントローラーは、キャリアが第1の位置にある間に、第2のセンサーに集束される光の第4の測定される強度に基づいて、第2のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定するようにも構成される。コントローラーはまた、(i)キャリアが第4の位置にある間に第2のセンサーに集束される光の第5の測定される強度と、(ii)キャリアが第3の位置にある間に第2のセンサーに集束される光の第6の測定される強度と、のうちの少なくとも1つに更に基づいて、第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第5の測定強度が第2の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを判定することにより、第5の測定される強度に基づいて第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。第1の非蛍光表面部分及び第2の非蛍光表面部分は、直線的に整列され、かつ同一平面上にあることができる。第1の非蛍光表面部分及び第2の非蛍光表面部分のそれぞれは、アルミニウム表面を含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第6の測定される強度が第2の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを判定することにより、第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラーは、第5の測定される強度及び第6の測定される強度の両方に基づいて、第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、アッセイ装置はまた、第1の光源及び第1のセンサーを有する第1の検出チャネルを備える第2の蛍光光度計を含む。第2の蛍光光度計の第1の検出チャネルは、第2の蛍光光度計の第1の検出領域において第2の蛍光光度計の第1の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに第2の蛍光光度計の第1センサーで光を受光する及び集束させるように構成される。キャリアはまた、第3の非蛍光表面部分を含み、第2の凹部を更に画定し、更に第3のレセプタクルを支持するように構成される。キャリア及び第2の蛍光光度計は、少なくとも、(i)第3のレセプタクルの一部が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にある第1の位置と、(ii)キャリアの第3の非蛍光表面部分が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にある第2の位置と、(iii)第2の凹部が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にある第3の位置と、の間で互いに対して移動可能の距離に配置される。コントローラーは、更に、キャリアが第1の位置にある間に、第2の蛍光光度計の第1のセンサーに集束される光の第7の測定される強度に基づいて、第3のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定するように構成される。またコントローラーは更に、(i)キャリアが第2の位置にある間に第2の蛍光光度計の第1のセンサーに集束される光の第8の測定される強度と、(ii)キャリアが第3の位置にある間に第2の蛍光光度計の第1のセンサーに集束される光の第9の測定される強度と、のうちの少なくとも1つに基づいて、第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第8の測定される強度が第3の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを判定することにより、第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。第3の所定の非蛍光表面強度範囲は、ゼロより大きいとすることができる。第3の所定の非蛍光表面強度範囲は、5~5800の相対蛍光単位(RFU)とすることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第9の測定される強度が第3の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを判定することにより、第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。第3の所定の凹部強度範囲はゼロを含むことができる。第3の所定の凹部強度範囲は、0~2260の相対蛍光単位(RFU)とすることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第8の測定される強度及び第9の測定される強度の両方に基づいて、第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、第3のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性は、第3のレセプタクル内に収容されたサンプル中に特定の分析物が存在するかどうかである。いくつかの実施形態では、第3のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性は、第3のレセプタクル内に収容されたサンプル中の特定の分析物の量である。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2の蛍光光度計は、第2の光源及び第2のセンサーを有する第2の検出チャネルを更に備える。第2の蛍光光度計の第2の検出チャネルは、第2の検出領域において第2の蛍光光度計の第2の光源により生成された光を放射する及び集束させる、並びに第2の蛍光光度計の第2センサーで光を受光する及び集束させるように構成される。キャリアは更に第4の非蛍光表面部分を備え、第4のレセプタクルを支持するように更に構成される。キャリア及び第2の蛍光光度計は、少なくとも、(i)第4のレセプタクルの一部が第2の蛍光光度計の第2の検出領域内にある第1の位置と、(ii)第2の位置と、(iii)第3の位置と(iv)キャリアの第4の非蛍光表面部分が第2の蛍光光度計の第2の検出領域内にある第4の位置と、の間で互いに対して移動可能である。コントローラーは、更に、キャリアが第1の位置にある間に、第2の蛍光光度計の第2のセンサーに集束される光の第10の測定される強度に基づいて、第4のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定するように構成される。コントローラーは更に、(i)キャリアが第4の位置にある間に第2の蛍光光度計の第2のセンサーに集束される光の第11の測定される強度と、(ii)キャリアが第3の位置にある間に第2の蛍光光度計の第2のセンサーに集束される光の第12の測定される強度と、のうちの少なくとも1つに更に基づいて、第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第11の測定される強度が第4の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを判定することにより、第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。第3の非蛍光表面部分及び第4の非蛍光表面部分は、直線的に整列され、かつ同一平面上にあることができる。第3の非蛍光表面部分及び第4の非蛍光表面部分のそれぞれは、アルミニウム表面を含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、コントローラーは更に、第12の測定される強度が第4の凹部強度範囲内にあるかどうかを判定することにより、第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラーは更に、第11の測定される強度及び第12の測定される強度の両方に基づいて、第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定するように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の位置における第1の蛍光光度計と第1のレセプタクルの部分との間の距離は、第2の位置における第1の蛍光光度計と第1の非蛍光表面部分との間の距離よりも大きい。いくつかの実施形態では、第1の位置における第1の蛍光光度計と第1のレセプタクルの一部との間の距離は、第2の位置における第1の蛍光光度計と第1の非蛍光表面部分との間の距離よりも小さい。
【0023】
いくつかの実施形態では、キャリアは、第1のディスクと、第1のディスクと離間する第2のディスクとを有するカルーセルであり、第2のディスクは、第1のディスクと第1の蛍光光度計との間にある。第2のディスクは、第1の非蛍光表面部分を含み、第1の凹部の開口部を画定する。第2のディスクはまた、第1の非蛍光表面部分を含むスポークにより接続される同心の内側リング及び外側リングを含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、キャリアは移動可動であり、かつ第1の蛍光光度計は固定されている。キャリアは回転可能である。いくつかの実施形態では、キャリアは移動可動であり、かつ第1の蛍光光度計は移動可動である。いくつかの実施形態では、キャリアは固定されており、かつ第1の蛍光光度計は移動可動である。
【0025】
いくつかの実施形態では、サンプルを分析する方法は、キャリア上の第1の非蛍光表面部分が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリアを配置することを含む。方法はまた、第1の蛍光光度計から放射される光を第1の蛍光光度計の第1の検出領域内の第1の非蛍光表面部分上へ導くことと、第1の非蛍光表面部分が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にある間に、第1の蛍光光度計の第1のセンサーにより検出される光の第1の強度を測定することと、を含む。方法はまた、キャリアにより画定される第1の凹部が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリアと第1の蛍光光度計を互いに対して配置することを更に含む。方法は、蛍光光度計から放射される光を第1の蛍光光度計の第1の検出領域内の第1の凹部の中へ導くことと、第1の凹部が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にある間に、第1の蛍光光度計の第1のセンサーにより検出された光の第2の強度を測定することと、を更に含む。また方法は、第1の強度及び第2の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法はまた、キャリアによって支持される第1のレセプタクルの一部が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリアと第1の蛍光光度計を互いに対して配置することと、第1の蛍光光度計から放射される光を第1の蛍光光度計の第1の検出領域内の第1のレセプタクルの一部の中へ導くことと、を含む。また方法は、第1のレセプタクルの一部が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にある間に、第1の蛍光光度計の第1のセンサーにより検出される光の第3の強度を測定することと、第3の強度に基づいて第1のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定することを含む。
【0027】
第1のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性は、第1のレセプタクルに収容されたサンプル中に特定の分析物が存在するかどうか、とすることができる。第1のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性は、第1のレセプタクル内に収容されたサンプル中の特定の分析物の量とすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1の蛍光光度計の第1の検出領域内における第1の蛍光光度計と第1のレセプタクルの一部との間の距離は、第1の蛍光光度計の第1の検出領域内における第1の蛍光光度計と第1の非蛍光表面部分との間の距離よりも大きい。いくつかの実施形態では、第1の蛍光光度計の第1の検出領域内における第1の蛍光光度計と第1のレセプタクルの一部との間の距離は、第1の蛍光光度計の第1の検出領域内における第1の蛍光光度計と第1の非蛍光表面部分との間の距離よりも小さい。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1の強度及び第2の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第1の強度が第1の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを判定することを含む。第1の所定の非蛍光表面強度範囲は、ゼロより大きいとすることができる。第1の所定の非蛍光表面強度範囲は、5~5800の相対蛍光単位(RFU)とすることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1の強度及び第2の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第2の強度が第1の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを判定することを含む。第1の所定の凹部強度範囲はゼロを含むことができる。第1の所定の凹部強度範囲は、0~2260の相対蛍光単位(RFU)とすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法はまた、第1の強度及び第2の強度の両方に基づいて、蛍光光度計の動作性能状態を判定することを含む。いくつかの実施形態では、動作性能状態は、故障状態又は劣化した性能状態である。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法はまた、キャリア上の第2の非蛍光表面部分が第1の蛍光光度計の第2の検出領域内にあるように、キャリアと第1の蛍光光度計を互いに対して配置することと、第1の蛍光光度計から放射される光を第1の蛍光光度計の第2の検出領域内の第2の非蛍光表面部分へ導くことと、を含む。また方法は、第2の非蛍光表面部分が第1の蛍光光度計の第2の検出領域内にある間に、第1の蛍光光度計の第2のセンサーにより検出される光の第4の強度を測定することを含む。方法はまた、第1の凹部が第1の蛍光光度計の第2の検出領域内にあるように、キャリアと第1の蛍光光度計を互いに対して配置することを含む。方法はまた、第1の蛍光光度計から放射される光を第1の蛍光光度計の第2の検出領域内の第1の凹部の中へ導くことと、第1の凹部が第1の蛍光光度計の第2の検出領域内にある間に、第1の蛍光光度計の第2のセンサーにより検出される光の第5の強度を測定することと、を含む。また方法は、第4の強度及び第5の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1のレセプタクルの一部が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にある間、キャリアにより支持される第2のレセプタクルの一部は第1の蛍光光度計の第2の検出領域内にある。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法はまた、蛍光光度計から放射される光を第1の蛍光光度計の第2の検出領域内の第2のレセプタクル一部の中へ導くことと、第2のレセプタクルの一部が第1の蛍光光度計の第2の検出領域内にある間に、第1の蛍光光度計の第2のセンサーにより検出される光の第6の強度を測定することと、を含む。また方法は、第6の強度に基づいて第2のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定することを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、第4の強度及び第5の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第4の強度が第2の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを判定することを含む。第1の非蛍光表面部分及び第2の非蛍光表面部分は、直線的に整列され、かつ同一平面上にあることができる。第1の非蛍光表面部分及び第2の非蛍光表面部分のそれぞれは、アルミニウム表面を含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、第4の強度及び第5の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第5の強度が第2の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを判定することを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、第4の強度及び第5の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第1の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第5の強度及び第6の強度の両方に基づいて蛍光光度計の動作性能状態を判定することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、方法はまた、キャリア上の第3の非蛍光表面部分が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリアと第2の蛍光光度計を互いに対して配置することを含む。方法はまた、第2の蛍光光度計から放射される光を第2の蛍光光度計の第1の検出領域内の第3の非蛍光表面部分上へ導くことと、第3の非蛍光表面部分が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にある間に、第2の蛍光光度計の第1のセンサーにより検出される光の第6の強度を測定することと、を含む。方法は、キャリアにより画定される第2の凹部が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリアと第2の蛍光光度計を互いに対して配置することを更に含む。また方法は、蛍光光度計から放射される光を第2の蛍光光度計の第1の検出領域内の第2の凹部の中へ導くことと、第2の凹部が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にある間に、第2の蛍光光度計の第1のセンサーにより検出された光の第7の強度を測定することと、を含む。方法はまた、第6の強度及び第7の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定することを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、キャリア上の第3の非蛍光表面部分が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にある間、キャリア上の第1の非蛍光表面部分は第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にある。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法はまた、キャリアにより支持される第3のレセプタクルの一部が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリアと第2の蛍光光度計を互いに対して配置することを含む。方法は、第2の蛍光光度計から放射されたる光を第2の蛍光光度計の第1の検出領域内の第3のレセプタクルの一部の中へ導くことと、第3のレセプタクルの一部が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にある間に、第2の蛍光光度計の第1のセンサーにより検出される光の第8の強度を測定することと、を更に含む。また方法は、第8の強度に基づいて第3のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1のレセプタクルの一部が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にある間、キャリアにより支持される第3のレセプタクルの一部は第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にある。
【0042】
いくつかの実施形態では、第3のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性は、特定の分析物がサンプル中に存在するかどうか、とすることができる。いくつかの実施形態では、第3のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性は、サンプル中の特定の分析物の量とすることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、第6の強度及び第7の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第6の強度が第3の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを判定することを含む。第3の所定の非蛍光表面強度範囲は、ゼロより大きいとすることができる。第3の所定の非蛍光表面強度範囲は、5~5800の相対蛍光単位(RFU)とすることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、第6の強度及び第7の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第7の強度が第3の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを判定することを含む。第3の所定の凹部強度範囲はゼロを含むことができる。第3の所定の凹部強度範囲は、0~2260の相対蛍光単位(RFU)とすることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第6の強度及び第7の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第6の強度及び第7の強度の両方に基づく。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法はまた、キャリア上の第4の非蛍光表面部分が第2の蛍光光度計の第2の検出領域内にあるように、キャリアと第2の蛍光光度計を互いに対して配置することを含む。方法は、第2の蛍光光度計から放射される光を第2の蛍光光度計の第2の検出領域内の第4の非蛍光表面部分上へ導くことと、第4の非蛍光表面部分が、第2の蛍光光度計の第2の検出領域内にある間に、第2の蛍光光度計の第2のセンサーにより検出される光の第9の強度を測定することと、を更に含む。方法はまた、第2の凹部が第2の蛍光光度計の第2の検出領域内にあるように、キャリアと第2の蛍光光度計を互いに対して配置することを含む。また方法は、第2の蛍光光度計から放射される光を第2の蛍光光度計の第2の検出領域内の第2の凹部の中へ導くことと、第2の凹部が第2の蛍光光度計の第2の検出領域内にある間に、第2の蛍光光度計の第2のセンサーにより検出される光の第10の強度を測定することと、を含む。また方法は、第9の強度及び第10の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、方法はまた、キャリアにより支持される第4のレセプタクルの一部が第2の蛍光光度計の第2の検出領域内にあるように、キャリアと第2の蛍光光度計を互いに対して配置することを含む。方法は、第2の蛍光光度計から放射される光を第2の蛍光光度計の第2の検出領域内の第4のレセプタクル一部の中へ導くことと、第4のレセプタクルの一部が第2の蛍光光度計の第2の検出領域内にある間に、第2の蛍光光度計の第2のセンサーにより検出される光の第11の強度を測定することと、を更に含む。また方法は、第11の強度に基づいて第4のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、第4のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性は、第4のレセプタクル収容されたサンプル中に特定の分析物が存在するかどうかである。いくつかの実施形態では、第4のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性は、第4のレセプタクル内に収容されたサンプル中の特定の分析物の量とすることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、第9の強度及び第10の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第9の強度が第4の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを判定することを含む。第3の非蛍光表面部分及び第4の非蛍光表面部分は、直線的に整列され、かつ同一平面上にあることができる。いくつかの実施形態では、第3の非蛍光表面部分及び第4の非蛍光表面部分のそれぞれは、アルミニウム表面を備える。
【0050】
いくつかの実施形態では、第9の強度及び第10の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第10の強度が第4の凹部強度範囲内にあるかどうかを判定することを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、第9の強度及び第10の強度のうちの少なくとも1つに基づいて第2の蛍光光度計の動作性能状態を判定することは、第9の強度及び第10の強度の両方に基づく。
【0052】
いくつかの実施形態では、キャリアは、第1のディスクと、第1のディスクと離間する第2のディスクとを備えるカルーセルであり、第2のディスクは、第1のディスクと第1の蛍光光度計との間にある。また第2のディスクは、第1の非蛍光表面部分を含み、第1の凹部の開口部を画定する。第2のディスクは、第1の非蛍光表面部分を含むスポークにより接続される同心の内側リング及び外側リングを備えることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、キャリア上の第1の非蛍光表面部分が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリアと第1の蛍光光度計を互いに対して配置することは、第1の蛍光光度計が固定されている間にキャリアを移動させることを含み、キャリアにより画定される第1の凹部が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリアと第1の蛍光光度計を互いに対して配置することは、第1の蛍光光度計が固定されている間にキャリアを移動させることを含む。別の実施形態では、キャリア上の第1の非蛍光表面部分が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリア及び第1の蛍光光度計を互いに対して配置することは、キャリアが固定されている間に第1の蛍光光度計を移動させることを含み、キャリアにより画定される第1の凹部が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリアと第1の蛍光光度計を互いに対して配置することは、キャリアが固定されている間に第1の蛍光光度計を移動させることを含む。別の実施形態では、キャリア上の第3の非蛍光表面部分が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリア及び第2の蛍光光度計を互いに対して配置することは、第2の蛍光光度計を移動させることと、キャリアを移動させることとを含み、キャリアにより画定される第2の凹部が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、キャリアと第2の蛍光光度計を互いに対して配置することは、第2の蛍光光度計を移動させることと、キャリアを移動させることとを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、光信号検出器の性能を測定するシステムは、第1の光源及び第1のセンサーを有する第1の検出チャネルを備える光信号検出器を含む。第1の検出チャネルは、第1の検出領域において第1の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに第1のセンサー上で光を受光する及び集束させるように構成される。システムはまた、光信号検出器に動作可能に連結され、光信号検出器の動作性能状態を、(i)第1の非蛍光表面部分が第1の検出領域内にある間に、センサー上に集束される光の第1の測定される特性と、(ii)空隙が第1の検出領域にある間に、センサー上に集束される光の第2の測定される特性と、のうちの少なくとも1つに基づいて判定するように構成されるコントローラーを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の測定される特性及び第2の測定される特性のそれぞれは、光の強度である。
【0056】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第1の測定される特性が第1の所定の非蛍光表面特性範囲内にあるかどうかを判定することにより、動作性能状態を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラーは、第2の測定される特性が第1の所定の空隙強度範囲内にあるかどうかを判定することにより、光信号検出器の動作性能状態を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラーは、第1の測定される特性及び第2の測定される特性の両方に基づいて光信号検出器の動作性能状態を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、動作性能状態は、適切な動作性能状態、故障状態、及び劣化した性能状態である。
【0057】
いくつかの実施形態では、光信号検出器は、第2の光源及び第2のセンサーを有する第2の検出チャネルを更に備える。第2の検出チャネルは、第2の検出領域において第2の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに第2のセンサー上で光を受光する及び集束させるように構成される。またコントローラーは、更に、第1の光信号検出器の動作性能状態を、(i)第2の非蛍光表面部分が第2の検出領域内にある間に、第2のセンサーに集束される光の第3の測定される特性と、(ii)空隙が第2の検出領域にある間に、第2のセンサーに集束される光の第4の測定される特性と、のうちの少なくとも1つに更に基づいて判定するように構成される。
【0058】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第3の測定される特性が第2の所定の非蛍光表面特性範囲内にあるかどうかを判定することにより、第3の測定される特性に基づいて光信号検出器の動作性能状態を判定するように構成される。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1の非蛍光表面部分及び第2の非蛍光表面部分のそれぞれは、アルミニウム表面を含むことができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、コントローラーは、第4の測定される特性が第2の所定の空隙特性範囲内にあるかどうかを判定することにより、光信号検出器の動作性能状態を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラーは、第3の測定される特性及び第4の測定される特性の両方に基づいて、光信号検出器の動作性能状態を判定するように構成される。
【0061】
いくつかの実施形態では、光信号検出器は蛍光光度計である。
【0062】
いくつかの実施形態では、光信号検出器の性能を測定する方法は、第1の非蛍光表面部分を光信号検出器の第1の検出領域に位置合わせすることを含む。この方法はまた、光信号検出器から放射される光を、光信号検出器の第1の検出領域内の第1の非蛍光表面部分に導くことと、 第1の非蛍光表面部分が光信号検出器の第1の検出領域内にある間に、第1の光信号検出器の第1のセンサーにより検出される光の第1の特性を測定することと、を含む。この方法はまた、第1の光信号検出器の第1の検出領域内に第1の空隙を配置することを含む。方法は更に、光信号検出器の第1の検出領域内の第1の空隙の中へ光信号検出器から放射される光を導くことと、第1の空隙が光信号検出器の第1の検出領域内に存在する間に、光信号検出器の第1のセンサーにより検出される光の第2の特性を測定することと、を含む。そして方法は、第1の特性及び第2の特性のうちの少なくとも1つに基づいて光信号検出器の動作性能状態を判定することを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1の測定される特性は光の第1の強度であり、第2の測定される特性は光の第2の強度である。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の測定される特性及び第2の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて光信号検出器の動作性能状態を判定することは、第1の測定される特性が第1の所定の非蛍光表面特性範囲内にあるかどうかを判定することを含む。いくつかの実施形態では、第1の測定される特性及び第2の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて光信号検出器の動作性能状態を判定することは、第2の測定される特性が第1の所定の空隙特性範囲内にあるかどうかを判定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、第1の測定される特性及び第2の測定される特性の両方に基づいて光信号検出器の動作性能状態を判定することを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、動作性能状態は、適切な動作性能状態、故障状態、及び劣化した性能状態である。
【0066】
いくつかの実施形態では、方法はまた、光信号検出器の第2の検出領域内に第2の非蛍光表面部分を配置することを含む。方法はまた、光信号検出器から放射される光を、光信号検出器の第2の検出領域内の第2の非蛍光表面部分に導くことと、第2の非蛍光表面部分が光信号検出器の第2の検出領域内にある間に、光信号検出器の第2のセンサーにより検出される光の第3の特性を測定することと、を含む。この方法はまた、光信号検出器の第2の検出領域内に第1の空隙を配置することを含む。方法は更に、光信号検出器から放射される光を光信号検出器の第2の検出領域内の第1の空隙の中へ導くことと、第1の空隙が光信号検出器の第2の検出領域内に存在する間に、光信号検出器の第2のセンサーにより検出される光の第4の特性を測定することと、を含む。また方法は、第3の測定される特性及び第4の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて光信号検出器の動作性能状態を判定することを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、第3の測定される特性及び第4の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて光信号検出器の動作性能状態を判定することは、第3の測定される特性が第2の所定の非蛍光表面特性範囲内にあるかどうかを判定することを含む。いくつかの実施形態では、第1の非蛍光表面部分及び第2の非蛍光表面部分のそれぞれは、アルミニウム表面を備える。いくつかの実施形態では、第3の測定される特性及び第4の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて、第1第3の測定される特性の動作性能状態を判定することは、第4の測定される特性が第2の所定の空隙特性範囲内にあるかどうかを判定することを含む。いくつかの実施形態では、第3の測定される特性及び第4の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて光信号検出器の動作性能状態を判定することは、第3の測定される特性及び第4の測定される特性の両方に基づいて、光信号検出器の動作性能状態を判定することを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、光信号検出器は蛍光光度計である。
【0069】
実施形態の更なる特徴及び利点、並びに様々な実施形態の構造及び動作については、添付の図面を参照して以下で詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示の目的のためだけに本明細書に提示される。更なる実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて当業者には明らかであろう。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
アッセイ装置であって、
第1の光源及び第1のセンサーを有する第1の検出チャネルを備える第1の蛍光光度計であって、前記第1の検出チャネルは第1の検出領域において前記第1の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに前記第1のセンサー上で光を受光する及び集束させるように構成される、第1の蛍光光度計と、
第1の非蛍光表面部分を備え、凹部を画定し、第1のレセプタクルを支持するように構成されるキャリアであって、前記キャリア及び前記第1の蛍光光度計は、少なくとも、(i)前記第1のレセプタクルの一部が前記第1の検出領域内にある第1の位置と、(ii)前記キャリアの前記第1の非蛍光表面部分が前記第1の検出領域内にある第2の位置と、(iii)前記凹部が前記第1の検出領域内にある第3の位置と、の間で、互いに対して移動可能である、キャリアと、
前記第1の蛍光光度計に動作可能に結合され、並びに
前記キャリアが前記第1の位置にある間に、前記第1のセンサーに集束される光の第1の測定される強度に基づいて、前記第1のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定する、及び
(i)前記キャリアが前記第2の位置にある間に前記第1のセンサーに集束される光の第2の測定される強度と、(ii)前記キャリアが前記第3の位置にある間に前記第1のセンサーに集束される光の第3の測定される強度と、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1の蛍光光度計の動作性能状態を決定するように構成される、コントローラーと、を備える、アッセイ装置。
(項目2)
前記コントローラーは、前記第2の測定される強度が第1の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記動作性能状態を決定するように構成される、項目1に記載のアッセイ装置。
(項目3)
前記第1の所定の非蛍光表面強度範囲はゼロより大きい、項目2に記載のアッセイ装置。
(項目4)
前記第1の所定の非蛍光表面強度範囲は5~5800相対蛍光単位(RFU)である、項目2又は3に記載のアッセイ装置。
(項目5)
前記コントローラーは、前記第3の測定される強度が第1の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目1~4のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目6)
前記第1の所定の凹部強度範囲はゼロを含む、項目5に記載のアッセイ装置。
(項目7)
前記第1の所定の凹部強度範囲は、0~2260の相対蛍光単位(RFU)である、項目5又は6に記載のアッセイ装置。
(項目8)
前記コントローラーは、前記第2の測定される強度及び前記第3の測定される強度の両方に基づいて、前記蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目1~7のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目9)
前記動作性能状態は、故障状態又は劣化した性能状態である、項目1~8のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目10)
前記第1のレセプタクル内に収容された前記サンプルの前記特性は、特定の分析物が前記第1のレセプタクル内に収容された前記サンプル中に存在するかどうかである、項目1~9のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目11)
前記第1のレセプタクル内に収容された前記サンプルの前記特性は、前記第1のレセプタクル内に収容された前記サンプル中の特定の分析物の量である、項目1~9のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目12)
前記第1の蛍光光度計は、第2の光源及び第2のセンサーを有する第2の検出チャネルを更に備え、前記第2の検出チャネルは、第2の検出領域において前記第2の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに前記第2のセンサー上で光を受光する及び集束させるように構成され、
前記キャリアは、第2の非蛍光表面部分を更に備え、及び更に第2のレセプタクルを支持するように構成され、前記キャリア及び前記第1の蛍光光度計は、少なくとも、(i)前記第2のレセプタクルの一部が前記第2の検出領域内にある前記第1の位置と、(ii)前記第2の位置と、(iii)前記第3の位置と、(iv)前記キャリアの前記第2の非蛍光表面部分が前記第2の検出領域内にある第4の位置と、の間で互いに対して移動可能であり、
前記コントローラーは、
前記キャリアが前記第1の位置にある間に、前記第2のセンサーに集束される光の第4の測定される強度に基づいて、前記第2のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定し、及び、
(i)前記キャリアが前記第4の位置にある間に前記第2のセンサー上に集束される光の第5の測定される強度と、(ii)前記キャリアが前記第3の位置にある間に前記第2のセンサーに集束される光の第6の測定される強度と、のうちの少なくとも1つに更に基づいて、前記第1の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように更に構成される、項目1~11のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目13)
前記コントローラーは、前記第5の測定強度が第2の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記第5の測定される強度に基づいて前記第1の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目12に記載のアッセイ装置。
(項目14)
前記第1の非蛍光表面部分及び前記第2の非蛍光表面部分は、直線的に整列され、かつ同一平面上にある、項目12又は13に記載のアッセイ装置。
(項目15)
前記第1の非蛍光表面部分及び前記第2の非蛍光表面部分の各々は、アルミニウム表面を備える、項目12~14のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目16)
前記コントローラーは、前記第6の測定される強度が第2の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記第1の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目12~15のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目17)
前記コントローラーは、前記第5の測定される強度及び前記第6の測定される強度の両方に基づいて、前記第1の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目12~16のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目18)
第1の光源及び第1のセンサーを有する第1の検出チャネルを備える第2の蛍光光度計であって、前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出チャネルは、前記第2の蛍光光度計の第1の検出領域において前記第2の蛍光光度計の前記第1の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに前記第2の蛍光光度計の前記第1センサーで光を受光する及び集束させるように構成される、第2の蛍光光度計を更に備え、
前記キャリアは、第3の非蛍光表面部分を更に含み、第2の凹部を更に画定し、及び第3のレセプタクルを支持するように更に構成され、
前記キャリア及び前記第2の蛍光光度計は、少なくとも、(i)前記第3のレセプタクルの一部が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある前記第1の位置と、(ii)前記キャリアの前記第3の非蛍光表面部分が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある前記第2の位置と、(iii)前記第2の凹部が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある第3の位置と、の間で互いに対して移動可能であり、
前記コントローラーは、
前記キャリアが前記第1の位置にある間に、前記第2の蛍光光度計の前記第1のセンサーに集束される光の第7の測定される強度に基づいて、前記第3のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定するように、及び、
(i)前記キャリアが前記第2の位置にある間に前記第2の蛍光光度計の前記第1のセンサーに集束される光の第8の測定される強度と、(ii)前記キャリアが前記第3の位置にある間に前記第2の蛍光光度計の前記第1のセンサーに集束される光の第9の測定される強度と、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第2の蛍光光度計の動作性能状態を決定するように更に構成される、項目1~17のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目19)
前記コントローラーは、前記第8の測定される強度が第3の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目18に記載のアッセイ装置。
(項目20)
前記第3の所定の非蛍光表面強度範囲は、ゼロより大きい、項目19に記載のアッセイ装置。
(項目21)
前記第3の所定の非蛍光表面強度範囲は、5~5800相対蛍光単位(RFU)である、項目19又は20に記載のアッセイ装置。
(項目22)
前記コントローラーは、前記第9の測定される強度が第3の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目18~21のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目23)
前記第3の所定の凹部強度範囲はゼロを含む、項目22に記載のアッセイ装置。
(項目24)
前記第3の所定の凹部強度範囲は、0~2260の相対蛍光単位(RFU)である、項目22又は23に記載のアッセイ装置。
(項目25)
前記コントローラーは、前記第8の測定される強度及び前記第9の測定される強度の両方に基づいて、前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目18~24のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目26)
前記第3のレセプタクル内に収容された前記サンプルの前記特性は、特定の分析物が前記第3のレセプタクル内に収容された前記サンプル中に存在するかどうかである、項目18~25のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目27)
前記第3のレセプタクル内に収容された前記サンプルの前記特性は、前記第3のレセプタクル内に収容された前記サンプル中の特定の分析物の量である、項目18~25のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目28)
前記第2の蛍光光度計は、第2の光源及び第2のセンサーを有する第2の検出チャネルを更に備え、前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出チャネルは、第2の検出領域において前記第2の蛍光光度計の前記第2の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに前記第2の蛍光光度計の前記第2のセンサー上で光を受光する及び集束させるように構成され、
第4の非蛍光表面部分を更に備える前記キャリアは、第4のレセプタクルを支持するように更に構成され、
前記キャリア及び前記第2の蛍光光度計は、少なくとも、(i)前記第4のレセプタクルの一部が前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にある前記第1の位置と、(ii)前記第2の位置と、(iii)前記第3の位置と(iv)前記キャリアの前記第4の非蛍光表面部分が前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にある前記第4の位置と、の間で互いに対して移動可能であり、
前記コントローラーは、
前記キャリアが前記第1の位置にある間に、前記第2の蛍光光度計の前記第2のセンサーに集束される光の第10の測定される強度に基づいて、前記第4のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定するように、及び、
(i)前記キャリアが前記第4の位置にある間に前記第2の蛍光光度計の前記第2のセンサーに集束される光の第11の測定される強度と、(ii)前記キャリアが前記第3の位置にある間に前記第2の蛍光光度計の前記第2のセンサーに集束される光の第12の測定される強度と、のうちの少なくとも1つに更に基づいて、前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように、更に構成される、項目18~27のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目29)
前記コントローラーは、前記第11の測定される強度が第4の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目28に記載のアッセイ装置。
(項目30)
前記第3の非蛍光表面部分及び前記第4の非蛍光表面部分は、直線的に整列され、かつ同一平面上にある、項目28又は29に記載のアッセイ装置。
(項目31)
前記第3の非蛍光表面部分及び前記第4の非蛍光表面部分の各々は、アルミニウム表面を備える、項目28~30のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目32)
前記コントローラーは、前記第12の測定される強度が第4の凹部の強度範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように更に構成される、項目28~31のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目33)
前記コントローラーは、前記第11の測定される強度及び前記第12の測定される強度の両方に基づいて、前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定するように更に構成される、項目28~32のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目34)
前記第1の位置における前記第1の蛍光光度計と前記第1のレセプタクルの前記一部との間の距離は、前記第2の位置における前記第1の蛍光光度計と前記第1の非蛍光表面部分との間の距離よりも大きい、項目1~33のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目35)
前記第1の位置における前記第1の蛍光光度計と前記第1のレセプタクルの前記一部との間の距離は、前記第2の位置における前記第1の蛍光光度計と前記第1の非蛍光表面部分との間の距離よりも小さい、項目1~33のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目36)
前記キャリアは、第1のディスクと、前記第1のディスクと離間する第2のディスクとを備えるカルーセルであり、前記第2のディスクは、前記第1のディスクと前記第1の蛍光光度計との間にあり、前記第2のディスクは、前記第1の非蛍光表面部分を含み、及び前記第1の凹部の開口部を画定する、項目1~35のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目37)
前記第2のディスクは、前記第1の非蛍光表面部分を含むスポークにより接続される同心の内側リング及び外側リングを備える、項目36に記載のアッセイ装置。
(項目38)
前記キャリアは移動可能であり、前記第1の蛍光光度計は固定されている、項目1~37のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目39)
前記キャリアは、回転可能である、項目38のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目40)
前記キャリアは移動可能であり、前記第1の蛍光光度計は移動可能である、項目1~37のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目41)
前記キャリアは固定されており、前記第1の蛍光光度計は移動可能である、項目1~37のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
(項目42)
サンプルを分析する方法であって、
キャリア上の第1の非蛍光表面部分が第1の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、前記第1の蛍光光度計に対して前記キャリアを配置することと、
前記第1の蛍光光度計から放射される光を前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内の前記第1の非蛍光表面部分上へ導くことと、
前記第1の非蛍光表面部分が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある間に、前 記第1の蛍光光度計の第1のセンサーにより検出される光の第1の強度を測定することと、
前記キャリアにより画定される第1の凹部が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第1の蛍光光度計とを互いに対して配置することと、
前記第1の蛍光光度計から放射される光を前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内の前記第1の凹部の中へ導くことと、
前記第1の凹部が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある間に、前記第1の蛍光光度計の前記第1のセンサーにより検出される光の第2の強度を測定することと、
前記第1の強度及び前記第2の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1の蛍光光度計の動作性能状態を決定することと、を含む、方法。
(項目43)
前記キャリアにより支持される第1のレセプタクルの一部は、前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第1の蛍光光度計とを互いに対して配置することと、
前記第1の蛍光光度計から放射される光を前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内の前記第1のレセプタクルの前記一部の中へ導くことと、
前記第1のレセプタクルの前記一部が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある間に、前記第1の蛍光光度計の前記第1のセンサーにより検出される光の第3の強度を測定することと、
前記第3の強度に基づいて前記第1のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定することと、を更に含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記第1のレセプタクル内に収容された前記サンプルの前記特性は、特定の分析物が前記第1のレセプタクル内に収容された前記サンプル中に存在するかどうかである、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記第1のレセプタクル内に収容された前記サンプルの前記特性は、前記第1のレセプタクル内に収容された前記サンプル中の特定の分析物の量である、項目43に記載の方法。
(項目46)
前記キャリア上の前記第1の非蛍光表面部分が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリア及び前記第1の蛍光光度計を互いに対して配置することは、前記第1の蛍光光度計が固定されている間に前記キャリアを移動させることを含み、前記キャリアにより画定される前記第1の凹部が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第1の蛍光光度計とを互いに対して配置することは、前記第1の蛍光光度計が固定されている間に前記キャリアを移動させることを含む、項目42~45のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
前記キャリア上の前記第1の非蛍光表面部分が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリア及び前記第1の蛍光光度計を互いに対して配置することは、前記キャリアが固定されている間に前記第1の蛍光光度計を移動させることを含み、前記キャリアにより画定される前記第1の凹部が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第1の蛍光光度計とを互いに対して配置することは、前記キャリアが固定されている間に前記第1の蛍光光度計を移動させることを含む、項目42~45のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記キャリア上の前記第1の非蛍光表面部分が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリア及び前記第1の蛍光光度計を互いに対して配置することは、前記第1の蛍光光度計を移動することと、前記キャリアを移動することとを含み、前記キャリアにより画定される前記第1の凹部が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第1の蛍光光度計とを互いに対して配置することは、前記第1の蛍光光度計を移動することと、前記キャリアを移動することとを含む、項目42~45のいずれか1項に記載の方法。
(項目49)
前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内における前記第1の蛍光光度計と前記第1のレセプタクルの前記一部との間の距離は、前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内における前記第1の蛍光光度計と前記第1の非蛍光表面部分との間の距離よりも大きい、項目42~48のいずれか1項に記載の方法。
(項目50)
前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内における前記第1の蛍光光度計と前記第1のレセプタクルの前記一部との間の距離は、前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内における前記第1の蛍光光度計と前記第1の非蛍光表面部分との間の距離よりも小さい、項目42~48のいずれか1項に記載の方法。
(項目51)
前記第1の強度及び前記第2の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第1の強度が第1の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目42~50のいずれか1項に記載の方法。
(項目52)
前記第1の所定の非蛍光表面強度範囲はゼロより大きい、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記第1の所定の非蛍光表面強度範囲は5~5800相対蛍光単位(RFU)である、項目51又は52に記載の方法。
(項目54)
前記第1の強度及び前記第2の強度のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第2の強度が第1の所定の凹部の強度範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目42~53のいずれか1項に記載の方法。
(項目55)
前記第1の所定の凹部強度範囲はゼロを含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記第1の所定の凹部強度範囲は、0~2260の相対蛍光単位(RFU)である、項目54又は55に記載の方法。
(項目57)
前記第1の強度及び前記第2の強度の両方に基づいて、前記蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することを更に含む、項目42~56のいずれか1項に記載の方法。
(項目58)
前記動作性能状態は、故障状態又は劣化した性能状態である、項目42~57のいずれか1項に記載の方法。
(項目59)
前記キャリア上の第2の非蛍光表面部分が前記第1の蛍光光度計の第2の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第1の蛍光光度計とを互いに対して配置することと、
前記第1の蛍光光度計から放射される光を、前記第1の蛍光光度計の前記第2の検出領域内の前記第2の非蛍光表面部分上へ導くことと、
前記第2の非蛍光表面部分が前記第1の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にある間に、前記第1の蛍光光度計の第2のセンサーにより検出される光の第4の強度を測定することと、
前記第1の凹部が前記第1の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第1の蛍光光度計とを互いに対して配置することと、
前記第1の蛍光光度計から放射される光を前記第1の蛍光光度計の前記第2の検出領域内の前記第1の凹部の中へ導くことと、
前記第1の凹部が前記第1の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にある間に、前記第1の蛍光光度計の前記第2のセンサーにより検出される光の第5の強度を測定することと、
前記第4の強度及び前記第5の強度のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することと、を更に含む、項目42~58のいずれか1項に記載の方法。
(項目60)
前記第1のレセプタクルの前記一部が、前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある間、前記キャリアにより支持される第2のレセプタクルの一部は前記第1の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にある、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記蛍光光度計から放射される光を前記第1の蛍光光度計の前記第2の検出領域内の前記第2のレセプタクルの前記一部の中へ導くことと、
前記第2のレセプタクルの前記一部が前記第1の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にある間に、前記第1の蛍光光度計の前記第2のセンサーにより検出される光の第6の強度を測定することと、
前記第6の強度に基づいて前記第2のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定することと、を更に含む、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記第4の強度及び前記第5の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第4の強度が第2の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目59~61のいずれか1項に記載の方法。
(項目63)
前記第1の非蛍光表面部分及び前記第2の非蛍光表面部分は、直線的に整列され、かつ同一平面上にある、項目59~62のいずれか1項に記載の方法。
(項目64)
前記第1の非蛍光表面部分及び前記第2の非蛍光表面部分の各々は、アルミニウム表面を備える、項目59~63のいずれか1項に記載の方法。
(項目65)
前記第4の強度及び前記第5の強度のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第5の強度が第2の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目59~64のいずれか1項に記載の方法。
(項目66)
前記第4の強度及び前記第5の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第5の強度及び前記第6の強度の両方に基づいて前記蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することを含む、項目59~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目67)
前記キャリア上の第3の非蛍光表面部分が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第2の蛍光光度計とを互いに対して配置することと、
前記第2の蛍光光度計から放射される光を前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内の前記第3の非蛍光表面部分上へ導くことと、
前記第3の非蛍光表面部分が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある間に、前記第2の蛍光光度計の第1のセンサーにより検出される光の第6の強度を測定することと、
前記キャリアにより画定される第2の凹部が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第2の蛍光光度計とを互いに対して配置することと、
前記蛍光光度計から放射される光を前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内の前記第2の凹部の中へ導くことと、
前記第2の凹部が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある間に、前記第2の蛍光光度計の前記第1のセンサーにより検出される光の第7の強度を測定することと、
前記第6の強度及び前記第7の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第2の蛍光光度計の動作性能状態を決定することと、を更に含む、項目42~66のいずれか1項に記載の方法。
(項目68)
前記キャリア上の前記第3の非蛍光表面部分が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリア及び前記第2の蛍光光度計を互いに対して配置することは、前記第2の蛍光光度計が固定されている間に前記キャリアを移動させることを含み、前記キャリアにより画定される前記第2の凹部が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第2の蛍光光度計とを互いに対して配置することは、前記第2の蛍光光度計が固定されている間に前記キャリアを移動させることを含む、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記キャリア上の前記第3の非蛍光表面部分が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリア及び前記第2の蛍光光度計を互いに対して配置することは、前記キャリアが固定されている間に前記第2の蛍光光度計を移動させることを含み、前記キャリアにより画定される前記第2の凹部が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第2の蛍光光度計とを互いに対して配置することは、前記キャリアが固定されている間に前記第2の蛍光光度計を移動させることを含む、項目67に記載の方法。
(項目70)
前記キャリア上の前記第3の非蛍光表面部分が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリア及び前記第2の蛍光光度計を互いに対して配置することは、前記第2の蛍光光度計を移動することと、前記キャリアを移動することとを含み、前記キャリアにより画定される前記第2の凹部が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第2の蛍光光度計とを互いに対して配置することは、前記第2の蛍光光度計を移動させることと、前記キャリアを移動させることとを含む、項目67に記載の方法。
(項目71)
前記キャリア上の前記第3の非蛍光表面部分が第2の蛍光光度計の第1の検出領域内にある間、前記キャリア上の前記第1の非蛍光表面部分は前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある、項目67~70のいずれか1項に記載の方法。
(項目72)
前記キャリアにより支持される第3のレセプタクルの一部は、前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第2の蛍光光度計とを互いに対して配置することと、
前記第2の蛍光光度計から放射される光を前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内の前記第3のレセプタクルの前記一部の中へ導くことと、
前記第3のレセプタクルの前記一部が前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある間に、前記第2の蛍光光度計の前記第1のセンサーにより検出される光の第8の強度を測定することと、
前記第8の強度に基づいて前記第3のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定することと、を更に含む、項目67~71のいずれか1項に記載の方法。
(項目73)
前記第1のレセプタクルの前記一部が前記第1の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある間、前記キャリアにより支持される前記第3のレセプタクルの前記一部は前記第2の蛍光光度計の前記第1の検出領域内にある、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記第3のレセプタクル内に収容された前記サンプルの前記特性は、特定の分析物が前記サンプル中に存在するかどうかである、項目72又は73に記載の方法。
(項目75)
前記第3のレセプタクル内に収容された前記サンプルの前記特性は、前記サンプル中の特定の分析物の量である、項目72~74のいずれか1項に記載の方法。
(項目76)
前記第6の強度及び前記第7の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第6の強度が第3の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目67~75のいずれか1項に記載の方法。
(項目77)
前記第3の所定の非蛍光表面強度範囲はゼロより大きい、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記第3の所定の非蛍光表面強度範囲は5~5800相対蛍光単位(RFU)である、項目76又は77に記載の方法。
(項目79)
前記第6の強度及び前記第7の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第7の強度が第3の所定の凹部強度範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目67~78のいずれか1項に記載の方法。
(項目80)
前記第3の所定の凹部強度範囲はゼロを含む、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記第3の所定の凹部強度範囲は、0~2260の相対蛍光単位(RFU)である、項目79又は80の方法。
(項目82)
前記第6の強度及び前記第7の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第6の強度及び前記第7の強度の両方に基づく、項目67~81のいずれか1項に記載の方法。
(項目83)
前記キャリア上の第4の非蛍光表面部分が前記第2の蛍光光度計の第2の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第2の蛍光光度計とを互いに対して配置することと、
前記第2の蛍光光度計から放射される光を前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出領域内の前記第4の非蛍光表面部分上へ導くことと、
前記第4の非蛍光表面部分が前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にある間に、前記第2の蛍光光度計の第2のセンサーにより検出される光の第9の強度を測定することと、
前記第2の凹部が前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第2の蛍光光度計とを互いに対して配置することと、
前記第2の蛍光光度計から放射される光を前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出領域内の前記第2の凹部の中へ導くことと、
前記第2の凹部が前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にある間に、前記第2の蛍光光度計の前記第2のセンサーにより検出される光の第10の強度を測定することと、
前記第9の強度及び前記第10の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することと、を更に含む、項目67~82のいずれか1項に記載の方法。
(項目84)
前記キャリアにより支持される第4のレセプタクルの一部が前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にあるように、前記キャリアと前記第2の蛍光光度計とを互いに対して配置することと、
前記第2の蛍光光度計から放射される光を前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出領域内の前記第4のレセプタクルの前記一部の中へ導くことと、
前記第4のレセプタクルの前記一部が前記第2の蛍光光度計の前記第2の検出領域内にある間に、前記第2の蛍光光度計の前記第2のセンサーにより検出される光の第11の強度を測定することと、
前記第11の強度に基づいて前記第4のレセプタクル内に収容されたサンプルの特性を決定することと、を更に含む、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記第4のレセプタクル内に収容された前記サンプルの前記特性は、特定の分析物が前記第4のレセプタクル内に収容された前記サンプル中に存在するかどうかである、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記第4のレセプタクル内に収容された前記サンプルの前記特性は、前記第4のレセプタクル内に収容された前記サンプル中の特定の分析物の量である、項目84に記載の方法。
(項目87)
前記第9の強度及び前記第10の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第9の強度が第4の所定の非蛍光表面強度範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目83~86のいずれか1項に記載の方法。
(項目88)
前記第3の非蛍光表面部分及び前記第4の非蛍光表面部分は、直線的に整列され、かつ同一平面上にある、項目83~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目89)
前記第3の非蛍光表面部分及び前記第4の非蛍光表面部分の各々は、アルミニウム表面を備える、項目83~88のいずれか1項に記載の方法。
(項目90)
前記第9の強度及び前記第10の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第10の強度が第4の凹部強度範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目83~89のいずれか1項に記載の方法。(項目91)
前記第9の強度及び前記第10の強度のうちの少なくとも1つに基づいて前記第2の蛍光光度計の前記動作性能状態を決定することは、前記第9の強度及び前記第10の強度の両方に基づく、項目83~90のいずれか1項に記載の方法。
(項目92)
前記キャリアは、第1のディスクと、前記第1のディスクと離間する第2のディスクとを備えるカルーセルであり、前記第2のディスクは前記第1のディスクと前記第1の蛍光光度計との間にあり、前記第2のディスクは前記第1の非蛍光表面部分を含み及び前記第1の凹部の開口部を画定する、項目42~91のいずれか1項に記載の方法。
(項目93)
前記第2のディスクは、前記第1の非蛍光表面部分を含むスポークにより接続される同心の内側リング及び外側リングを備える、項目92に記載の方法。
(項目94)
光学信号検出性能を測定するシステムであって、
第1の光源及び第1のセンサーを有する第1の検出チャネルを備える光信号検出器であって、前記第1の検出チャネルは第1の検出領域において前記第1の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに前記第1のセンサー上で光を受光する及び集束させるように構成される、光信号検出器と、
前記光信号検出器に動作可能に連結され、及び前記光信号検出器の動作性能状態を、(i)第1の非蛍光表面部分が前記第1の検出領域内にある間に、前記センサー上に集束される光の第1の測定される特性と、(ii)空隙が前記第1の検出領域にある間に、前記センサー上に集束される光の第2の測定される特性と、のうちの少なくとも1つに基づいて決定するように構成されるコントローラーと、を含むシステム。
(項目95)
前記第1の測定される特性及び前記第2の測定される特性のそれぞれは、光の強度である、項目94に記載のシステム。
(項目96)
前記コントローラーは、前記第1の測定される特性が第1の所定の非蛍光表面特性範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記動作性能状態を決定するように構成される、項目94又は95に記載のシステム。
(項目97)
前記コントローラーは、前記第2の測定される特性が第1の所定の空隙強度範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目94~96のいずれか1項に記載のシステム。
(項目98)
前記コントローラーは、前記第1の測定される特性及び前記第2の測定される特性の両方に基づいて、前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目94~97のいずれか1項に記載のシステム。
(項目99)
前記動作性能状態は、適切な動作性能状態、故障状態、及び劣化した性能状態である、項目94~98のいずれか1項に記載のシステム。
(項目100)
前記動作性能状態は、前記適切な動作性能状態である、項目99に記載のシステム。
(項目101)
前記動作性能状態は、前記故障状態である、項目99に記載のシステム。
(項目102)
前記動作性能状態は、前記劣化した性能状態である、項目99に記載のシステム。
(項目103)
前記光信号検出器は、第2の光源及び第2のセンサーを有する第2の検出チャネルを更に備え、前記第2の検出チャネルは、第2の検出領域において前記第2の光源により生成される光を放射する及び集束させる、並びに前記第2のセンサー上で光を受光する及び集束させるように構成され、
前記コントローラーは、前記第1の光信号検出器の前記動作性能状態を、(i)第2の非蛍光表面部分が前記第2の検出領域内にある間に、前記第2のセンサーに集束される光の第3の測定される特性と、(ii)前記空隙が前記第2の検出領域にある間に、前記第2のセンサーに集束される光の第4の測定される特性と、のうちの少なくとも1つに更に基づいて決定するように更に構成される、項目94~102のいずれか1項に記載のシステム。
(項目104)
前記コントローラーは、前記第3の測定される特性が第2の所定の非蛍光表面特性範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記第3の測定される特性に基づいて前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目103に記載のシステム。
(項目105)
前記第1の非蛍光表面部分及び前記第2の非蛍光表面部分の各々は、アルミニウム表面を備える、項目103又は104に記載のシステム。
(項目106)
前記コントローラーは、前記第4の測定される特性が第2の所定の空隙特性範囲内にあるかどうかを決定することにより、前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目103~105のいずれか1項に記載のシステム。
(項目107)
前記コントローラーは、前記第3の測定される特性及び前記第4の測定される特性の両方に基づいて、前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定するように構成される、項目103~106のいずれか1項に記載のシステム。
(項目108)
前記光信号検出器は蛍光光度計である、項目94~107のいずれか1項に記載のシステム。
(項目109)
光信号検出器性能を測定する方法であって、
光信号検出器から放射される光を前記光信号検出器の第1の検出領域内の第1の非蛍光表面部分上へ導くことと、
前記第1の非蛍光表面部分が前記光信号検出器の前記第1の検出領域内にある間に、前記第1の光信号検出器の第1のセンサーにより検出される光の第1の特性を測定することと、
前記光信号検出器から放射される光を前記光信号検出器の前記第1の検出領域内の第1の空隙の中へ導くことと、
前記第1の空隙が前記光信号検出器の前記第1の検出領域内にある間に、前記光信号検出器の前記第1のセンサーにより検出される光の第2の特性を測定することと、
前記第1の特性及び前記第2の特性のうちの少なくとも1つに基づいて前記光信号検出器の動作性能状態を決定することと、を含む、方法。
(項目110)
前記第1の測定される特性は光の第1の強度であり、前記第2の測定される特性は光の第2の強度である、項目109に記載の方法。
(項目111)
前記第1の測定される特性及び前記第2の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定することは、前記第1の測定される特性が第1の所定の非蛍光表面特性範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目109又は110に記載の方法。
(項目112)
前記第1の測定される特性及び前記第2の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定することは、前記第2の測定される特性が第1の所定の空隙特性範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目109~111のいずれか1項に記載の方法。
(項目113)
前記第1の測定される特性及び前記第2の測定される特性の両方に基づいて、前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定することを更に含む、項目109~112のいずれか1項に記載の方法。
(項目114)
前記動作性能状態は、適切な動作性能状態、故障状態、及び劣化した性能状態である、項目109~113のいずれか1項に記載の方法。
(項目115)
前記動作性能状態は、前記適切な動作性能状態である、項目114に記載の方法。
(項目116)
前記動作性能状態は、前記故障状態である、項目114又は115に記載の方法。
(項目117)
前記動作性能状態は、前記劣化した性能状態である、項目114~116のいずれか1項に記載の方法。
(項目118)
前記光信号検出器から放射される光を前記光信号検出器の第2の検出領域内の第2の非蛍光表面部分上へ導くことと、
前記第2の非蛍光表面部分が前記光信号検出器の前記第2の検出領域内にある間に、前記光信号検出器の第2のセンサーにより検出される光の第3の特性を測定することと、
前記光信号検出器から放射される光を前記光信号検出器の前記第2の検出領域内の前記第1の空隙の中へ導くことと、
前記第1の空隙が前記光信号検出器の前記第2の検出領域内にある間に、前記光信号検出器の前記第2のセンサーにより検出される光の第4の特性を測定することと、
前記第3の測定される特性及び前記第4の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて、前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定することと、を更に含む、項目109~117のいずれか1項に記載の方法。
(項目119)
前記第3の測定される特性及び前記第4の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定することは、前記第3の測定される特性が第2の所定の非蛍光表面特性範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目118に記載の方法。
(項目120)
前記第1の非蛍光表面部分及び前記第2の非蛍光表面部分の各々は、アルミニウム表面を備える、項目118又は119に記載の方法。
(項目121)
前記第3の測定される特性及び前記第4の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1第3の測定される特性の前記動作性能状態を決定することは、前記第4の測定される特性が第2の所定の空隙特性範囲内にあるかどうかを決定することを含む、項目118~120のいずれか1項に記載の方法。
(項目122)
前記第3の測定される特性及び前記第4の測定される特性のうちの少なくとも1つに基づいて前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定することは、前記第3の測定される特性及び前記第4の測定される特性の両方に基づいて、前記光信号検出器の前記動作性能状態を決定することを含む、項目118~121のいずれか1項に記載の方法。
(項目123)
前記光信号検出器は蛍光光度計である、項目109~122のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、実施形態を例示し、記述と共に更に実施形態の原理を説明し、関連技術分野の当業者が実施形態を実施及び使用する助けとなる。
【0071】
【
図1】一実施形態による、装置と組み合わせて使用される複数のレセプタクルデバイスユニットの形態の反応レセプタクルの斜視図である。
【0072】
【
図2】一実施形態による、
図1の矢印「60」の方向に見た、複数のレセプタクル装置の一部の拡大底面図である。
【0073】
【
図3】一実施形態による、インキュベーションプロセス中に、反応レセプタクルを所定の温度条件にさらしながら、反応レセプタクルの内容物により放射される信号を検出するための信号検出器を含む複数の容器を保持するように構成されるインキュベーターの分解斜視図である。
【0074】
【
図4】一実施形態による、インキュベーターのレセプタクルキャリアの底面図である。
【0075】
【
図5】一実施形態による、インキュベーターのレセプタクルキャリアカルーセルと、インキュベーター内の空気流を生成するための循環ファンとを組立てた構成要素の斜視図である。
【0076】
【
図6】一実施形態による、インキュベーターハウジングの底壁、レセプタクルキャリアの一部、及びレセプタクルキャリア駆動アセンブリの斜視図である。
【0077】
【
図7】一実施形態による、レセプタクルキャリアのレセプタクル仕切りの斜視図である。
【0078】
【
図8】一実施形態による、仕切りの反対側からのレセプタクル仕切りの斜視図である。
【0079】
【
図9】一実施形態による、レセプタクルキャリア上の反応レセプタクルの存在を検出するためのレセプタクル存在センサーを含むインキュベーターのレセプタクルキャリアの構成要素の部分斜視図である。
【0080】
【
図10】一実施形態による、インキュベーター床面、インキュベーター床面下に配置された信号検出器、及び信号検出器に対する信号検出位置に配置される反応レセプタクルを含むインキュベーターの一部分の部分斜視図である。
【0081】
【
図11】一実施形態による、信号検出器の斜視図である。
【0082】
【
図12】一実施形態による、信号検出器の底面図である。
【0083】
【
図13】一実施形態による、
図12の線13-13で切断した信号検出器の側面断面図である。
【0084】
【
図14】一実施形態による、信号検出器の分解斜視図である。
【0085】
【
図15】一実施形態による、レセプタクルキャリア上に保持される複数のレセプタクルデバイスとレセプタクルキャリアの下に配置される信号検出器との位置合わせ、及び信号検出器に対して下部ディスクに取り付けられる蛍光標準器の相対的な配向を示す、インキュベーターのレセプタクルキャリアカルーセルの下部ディスクの部分平面図である。
【0086】
【
図16】一実施形態による、信号検出器と、信号検出器に対する検出領域内のレセプタクルキャリア上に保持されるレセプタクルとを示す(
図15の線I-Iで切断した)部分側面断面図である。
【0087】
【
図17】一実施形態による、信号検出器と、信号検出器に対して検出領域外に移動したレセプタクルと、信号検出器と光通信するように移動されたが信号検出器に対して検出領域内にない蛍光標準器とを示す(
図15の線I-Iで切断した)部分側面断面図である。
【0088】
【
図18】一実施形態による、蛍光光度計又は他の光信号検出器の自己検査手順を示すフローチャートである。
【0089】
【
図19】一実施形態による、例示的な増幅検出色素の励起スペクトルを示すグラフである。
【0090】
【
図20】一実施形態による、例示的な増幅検出色素の放射スペクトルを示すグラフである。
【0091】
【
図21】一実施形態による、FAM、HEX、及びROX色素の励起及び放射蛍光スペクトルを示すグラフである。
【0092】
【
図22】一実施形態による、励起及び検出構成を概略的に例示するブロック図である。
【0093】
【
図23】一実施形態による、検出回路の配置を概略的に例示するブロック図である。
【0094】
【
図24】一実施形態による、励起回路の配置を概略的に例示するブロック図である。
【0095】
【
図25】一実施形態による、蛍光光度計励起回路を例示する回路図である。
【0096】
【
図26A】一実施形態による、蛍光光度計検出回路を例示する2つの回路図である。
【0097】
【
図27】一実施形態による、例示的なリアルタイム増幅アッセイのプロトコルを示すフローチャートである。
【0098】
【
図28】一実施形態による、分析物の定量化プロセスを示すフローチャートである。
【0099】
【
図29】一実施形態による、リアルタイム蛍光光度計データの時間プロットである。
【0100】
【
図30】一実施形態による、リアルタイム蛍光光度計データに曲線をフィッティングし、フィッティングを使用して閾値時間を決定する方法を示すプロットである。
【0101】
【
図31】一実施形態による、信号検出器の全ての検出チャネルの検出領域内における凹部を有する(
図31A)、及び信号検出器の1つの検出チャネルの検出領域内における非蛍光部分250を有する(
図31B)、インキュベーターのレセプタクルキャリアの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0102】
ここで、添付の図面に例示されるように、その実施形態を参照して本開示を詳細に説明する。「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例示的実施形態」、「例えば」、「一例」、「例示的な」等への言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含む必要はないことを示す。更に、このような表現は必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に記載されているか否かに関わらず、別の実施形態と関連するこのような特徴、構造、又は特性に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0103】
本明細書で使用する場合、「a」又は「an」は、「少なくとも1」又は「1つ又は複数」を意味する。
【0104】
本明細書で使用される場合、「サンプル」は、供給源にかかわらず、分析される任意の材料を指す。材料は、その本来の形態又は任意の処理段階であってもよい(例えば、材料は化学的に改変されてもよく、又はサンプルの1つ若しくは複数の他の成分から分離及び/若しくは精製される1つ若しくは複数のサンプルの成分であってもよい)。サンプルは、動物、環境、食品、工業、又は水の供給源を含む任意の供給源から得ることができるが、これらに限定されない。動物サンプルには、末梢血、血漿、血清、骨髄、尿、胆汁、粘液、痰、唾液、脳脊髄液、便、リンパ節を含む生検組織、呼吸器組織又は滲出液、胃腸組織、子宮頸部スワブサンプル、精液又は他の身体又は細胞の液体、組織、又は分泌物が含まれるが、これらに限定されない。希釈剤、移送媒体、防腐剤溶液又は他の液体を収容するレセプタクル内で、サンプルを希釈又は含有させることができる。したがって、「サンプル」という用語は、サンプルを保持することを意図した希釈剤、移送媒体、及び/又は保存剤若しくは他の流体内に含まれるサンプルを包含することを意図している。
【0105】
複数のレセプタクルデバイス
一実施形態による複数のレセプタクル162が
図1に示されている。この実施形態では、レセプタクル162は、1つの一体型複数レセプタクルデバイス(「MRD」)160として形成される。他の実施形態(図示せず)では、レセプタクル162を、別のレセプタクル162から分離して個別化することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、
図5に示すように、MRD160は5つのレセプタクル162を含む。他の実施形態では、MRD160は、5つより多くのレセプタクル162又は5つ未満のレセプタクル162を含む。例えば上端開放及び下端閉鎖の円筒形管の形態のレセプタクル162は、MRD160の両側に沿って縦方向に延在する下向きの肩部を画定する連結リブ構造164により相互に連結される。
【0107】
いくつかの実施形態では、MRD160は射出成形されたポリプロピレン、例えばMontell Polyolefins,Wilmington Delawareにより販売されているもの、製品番号PD701NW、又はHuntsmanにより販売されているもの、製品番号P5M6K-048から形成される。別の実施形態では、MRD160のレセプタクル162は、例えば、分離されたサンプルレセプタクルラックにより支持されることにより、相互に対して取り外し可能に固定される。
【0108】
MRD160は、一端に弧状遮蔽構造169を含むことができる。MRD160はまた、遮蔽構造169から延在するMRD操作構造166を含むことができる。アッセイ装置の異なる構成要素の間でMRD160を移動させる移送機構に係合するように、操作構造166を適合させることができる。MRD操作構造166は、プレート168の反対端部に垂直に延在する部片167を伴って、遮蔽構造169から水平方向に延在するプレート168を含むことができる。ガセット壁165は、遮蔽構造169と垂直部片167との間に水平プレート168から下方に延在する。
【0109】
図2に示すように、遮蔽構造169及び垂直部片167は、いくつかの実施形態では、相互に面する凸面表面を有する。係合部材を遮蔽構造169と垂直部片167との間の空間の中へ水平方向(「A」方向に)移動させることにより、MRD160を移送機構及び他の構成要素によって係合させることができる。遮蔽構造169及び垂直部片167の凸面表面は、空間の中への水平方向の相対運動を受ける係合部材のためのより広い進入点を提供する。
【0110】
MRD160は、遮蔽構造169及びMRD操作構造166に対向するMRD160の端部に、平坦な標識受容表面175を有する標識受容構造174を含むことができる。ヒト又は機械可読標識、例えば走査可能なバーコードを表面175上に配置して、MRD160に関する識別情報及び指示情報を提供することができる。
【0111】
核酸診断アッセイ
いくつかの実施形態は、「リアルタイム」増幅アッセイ及び「終点」増幅アッセイを含む、核酸診断アッセイと併せて用いることができる装置及び手順を使用する。
【0112】
リアルタイム増幅アッセイを、一例として病原有機体又はウイルスに由来するサンプル中の標的核酸の存在及び量を判定するために使用することができる。サンプル中の標的核酸の量を判定することにより、施術者は、サンプル中の有機体又はウイルスの量又は数を概算することができる。ある用途では、リアルタイム増幅アッセイを、血液媒介性病原体、例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)のために、輸血を目的とする血液又は血液製剤をスクリーニングするために使用することができる。別の用途では、病原性有機体又はウイルスに感染している患者、又は異常な若しくは突然変異した遺伝子発現を特徴とする疾患に罹患している患者における治療計画の有効性を監視するために、リアルタイムアッセイを使用することができる。リアルタイム増幅アッセイはまた、遺伝子発現判定と同様に、診断目的のために使用され得る。
【0113】
リアルタイム増幅アッセイに加えて、いくつかの実施形態は、終点増幅アッセイを実施する。終点増幅アッセイでは、標的配列又はその相補体を含有する増幅産物の存在は、増幅手順の完了時に判定される。増幅反応が起こるインキュベーターの外部に位置することができる検出ステーションにおいて、判定を行うことができる。対照的に、「リアルタイム」増幅アッセイでは、標的配列又はその相補体を含む増幅産物の量は、増幅手順中に判定される。リアルタイム増幅アッセイでは、標的核酸の濃度を標的配列又はその相補体を含むサンプル中の増幅産物の量の関数である信号の定期的な測定を行うことと、取得したデータから標的配列が増幅される速度を計算することと、により得られるデータを用いて決定することができる。
【0114】
例示的なリアルタイム増幅アッセイでは、相互作用する標識には、蛍光部分、又は他の放射部分、及び消光体部分、例えば4-(4-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)が含まれる。適切な励起波長で光エネルギーによって励起される場合、蛍光部分は、特定の放射波長の光エネルギーを放射する(即ち、蛍光を発する)。蛍光部分及び消光体部分が近接して保持される場合、蛍光部分により放出される光エネルギーは消光部分により吸収される。しかし、プローブがサンプル中に存在する核酸にハイブリダイズすると、蛍光部分と消光体部分とが互いに分離され、蛍光部分により放射される光エネルギーを検出することができる。励起され、異なる識別可能な波長で放射する蛍光部分を、異なるプローブと組み合わせることができる。異なるプローブをサンプルに添加することができ、異なる励起波長でサンプルを光エネルギーに交互に曝すことと、異なる蛍光部分に対応する異なる波長のサンプルからの光の放射を測定することとにより、各プローブと関連付けられた標的核酸の存在及び量を決定することができる。
【0115】
検出の前に、サンプル中に存在する標的配列又はその相補体の量を増加させるために増幅手順が使用される場合、増幅が生じたことを確かめるために、そしてそれにより、偽陰性を避けるために、「対照(control)」を含むことが望ましい。このような対照は、目的の配列に関係がない既知の核酸配列とすることができる。対照配列に対する特異性を有し、かつ固有の蛍光色素(即ち、対照色素)と消光体との組み合わせを有するプローブ(即ち、対照プローブ)を、標的配列だけではなく対照配列を増幅させるのに必要とされる1つ又は複数の増幅試薬と共にサンプルに添加する。サンプルを適切な増幅条件に暴露後、(対照色素の励起波長を含む)異なる励起波長の光エネルギーにサンプルを交互に暴露し、放射光が検出される。対照色素に対応する波長の放射光の検出により、増幅が成功した(即ち、対照配列が実際に増幅された)ことが確認される。したがって、標的配列のプローブに対応する放射光を検出するいかなる失敗も、増幅の失敗によるものではない。逆に言えば、対照色素からの放射光の検出の失敗は、増幅の失敗を示し、したがって、そのアッセイからの全ての結果は信憑性がない。あるいは、放射光の検出の失敗は、放射光を検出するための(以下に説明する)装置の故障、又はその機械的及び/若しくは電気性能の低下による可能性がある。いくつかの実施形態では、方法及び装置は、このような故障又は劣化した性能を検出する。ここで、「性能」とは、アッセイ又は試験結果の導出において装置の出力を信頼することができるような装置の動作の信頼性を意味する。いくつかの実施形態では、装置が正常に動作していれば、同様の動作条件下で通常予想されるであろう出力から外れた装置の出力の客観的に測定可能な特性を取得することにより、装置の故障又は劣化した性能を検出することができる。装置の故障又は劣化した性能を示すことができるこのような客観的に測定可能な特性の例としては、予期しない装置の出力の強度の低下又は装置の出力の急上昇が挙げられる。
【0116】
いくつかの実施形態では、増幅アッセイは、インキュベーター、例えば
図3~10に示すインキュベーター200で行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーター200は、制御された温度ハウジング内の回転キャリア242(例えば、カルーセル)によりMRD160を支持し、移動させる回転インキュベーターである。インキュベーター200は、インキュベーター200内に保持されるMRD160のレセプタクル162内で発生する増幅をリアルタイムで検出するように構成される、それに取り付けられた1つ又は複数の信号検出器400を含むことができる。例えば、MRD160のレセプタクル162が各色素に対応する励起光で照射される場合、信号検出器400は、MRD160の各レセプタクル162内の1つ又は複数の色素により放出される蛍光を測定するように構成される蛍光光度計であることができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、インキュベーター200は、MRD160をインキュベーター200に配置し、インキュベーター200からMRD160を除去するための1つ又は複数のレセプタクル移送機構を含む自動アッセイ装置(図示せず)に統合される。本明細書で使用される場合、「アッセイ装置」は、サンプルを分析して結果を表示することができる任意の装置を指す。本明細書で使用される場合、「サンプル」は、供給源にかかわらず分析される任意の材料を指す。材料は、その本来の形態又は任意の処理段階であってもよい(例えば、材料は化学的に改変されてもよく、又はサンプルの1つ若しくは複数の他の成分から分離及び/若しくは精製された1つ若しくは複数のサンプルの成分であってもよい)。サンプルは、動物、環境、食品、工業、又は水の供給源を含む任意の供給源から得ることができるが、これらに限定されない。動物サンプルには、末梢血、血漿、血清、骨髄、尿、胆汁、粘液、痰、唾液、脳脊髄液、便、リンパ節を含む生検組織、呼吸器組織又は滲出液、胃腸組織、子宮頸部スワブサンプル、精液又は他の身体又は細胞の液体、組織、又は分泌物が含まれるが、これらに限定されない。希釈剤、移送媒体、防腐剤溶液又は他の液体を収容するレセプタクル内で、サンプルを希釈又は含有することができる。したがって、「サンプル」という用語は、サンプルを保持することを意図した希釈剤、移送媒体、及び/又は保存剤若しくは他の流体内に含まれるサンプルを包含することを意図している。サンプルのハイブリダイゼーションアッセイ、増幅アッセイ、配列決定アッセイ、又はイムノアッセイを行うことができる任意の装置が、アッセイ装置のこの定義に含まれる。いくつかの実施形態では、サンプルを処理しないでサンプル上で直接アッセイを行うことができるが、他のサンプルはアッセイが行われる前に処理を必要とする。いくつかの実施形態では、サンプルをアッセイの工程にかける前に何らかの形態のサンプル処理を必要とするサンプルとしては、細胞サンプル、組織サンプル、便サンプル、粘液サンプル、精液サンプル、脳脊髄液サンプル、血液サンプル、骨髄サンプル、血清サンプル、尿サンプル、胆汁サンプル、呼吸器サンプル、喀痰サンプル、及びエキソソームサンプル等が含まれる。例示的なアッセイ装置としては、Hologic,Inc.,Bedford,MAにより販売されているTigris(登録商標)及びPanther(登録商標)システムが挙げられる。
【0118】
図3は、一実施形態によるインキュベーター200の分解斜視図を示す。インキュベーター200は、外壁202と、底壁206と、上壁(図示せず)とを有するハウジングを含むことができる。
図3のインキュベーター200の残りの部分から持ち上げられて示されている断熱カバー212により、外壁202、底壁206、及び上壁のそれぞれを覆うことができる。いくつかの実施形態では、側壁、底壁及び上壁はアルミニウム製であり、絶縁フードは適切な絶縁材料、例えばポリウレタン発泡体から作られている。レセプタクルキャリア242、例えばハウジング内に回転可能に取り付けられるカルーセルは、MRD160の複数のレセプタクル162を運ぶために構成される。MRD160をレセプタクルキャリア242の中へ挿入し、レセプタクルキャリア242から、外壁202に形成されるレセプタクル開口部204を通して取り外す。レセプタクル開口部204は、スライドドア216により覆われている。
【0119】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の信号検出器400がインキュベーターハウジングの底壁206の下に配置され、インキュベーター200内のレセプタクルキャリア242に保持されるMRD160のレセプタクル162の内容物により放射される信号を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、蛍光信号を検出するように構成される蛍光光度計を備えることができる信号検出器400を以下に更に詳細に説明する。
【0120】
任意の適切な手段によりインキュベーター200内で熱を発生させることができる。例えば、一実施形態では、抵抗加熱要素(図示せず)がインキュベーターハウジングの外壁202に配置される。他の適切な加熱要素としては、例えば、ペルチェ熱電加熱要素を挙げることができる。いくつかの実施形態では、コントローラー(例えば、マイクロプロセッサー)は、加熱要素を制御して一定の所望の温度を維持することができ、インキュベーター200は、コントローラーに送信される温度レベル信号を生成するように構成される1つ又は複数の温度センサーを更に含むことができる。
【0121】
循環ファン226を、インキュベーターハウジング内に、例えばレセプタクルキャリア242の上に配置することができる。一実施形態では、ファン226は、図示のように、レセプタクルキャリア242を通る気流を、及びインキュベーター200内の気流を生成するように構成される軸流ファンである。
【0122】
図4は、一実施形態による、レセプタクルキャリア242の底平面図である。
図4に示すように、レセプタクルキャリア242は、複数のMRD160を支持する。
図5は、一実施形態による、レセプタクルキャリア242の一部の斜視図であり、レセプタクルキャリア242の上に取り付けられるファン226を示す。
【0123】
いくつかの実施形態では、レセプタクルキャリア242は、上部ディスク244及び下部ディスク256を備える。いくつかの実施形態では、下部ディスク256は上部ディスク244と同一とすることができる。
図4及び
図5に示すように、下部ディスク256は、内側リング258、外側リング260、及び内側リング258と外側リング260との間に同心円上に配置される中間リング262を含む。内側放射状スポーク266は、内側リング258と中間リング262との間に延在する。外側スポーク264は、中間リング262と外側リング260との間に延在する。図示の実施形態では、外側スポーク264は非放射方向であり、各スポークは、下部ディスク256の中心に対する真の径方向の向きに対して斜めに構成されていることを意味する。外側スポーク264のうちの1つ又は複数は、非蛍光材料、例えばアルミニウムでできた表面からなる1つ又は複数の表面部分250を含むことができる。例えば、
図4に示すように、全ての第3のスポーク264は、非蛍光材料、例えば5つの表面部分250a~250eからなる複数の表面部分250を含むことができる。いくつかの実施形態では、表面部分250は開口部を画定することができ、又は他の実施形態では表面部分250は固体とすることができる。いくつかの実施形態では、スポーク264上の表面部分250は、直線的に整列している。いくつかの実施形態では、レセプタクルキャリア242の各表面部分250は、レセプタクルキャリア242の同一平面内にある。
【0124】
いくつかの実施形態では、下部ディスク256は、複数の開口部265を画定する。例えば、開口部265は、中間リング262、外側スポーク264、及び外側リング260によって集合的に画定されることができる。
図4及び
図5に示すように、開口部265は実質的に三角形の形状を有することができる。
図4に示すように、いくつかの実施形態では、下部ディスク256は18個の外側スポーク264と18個の開口部265を有することができる。
【0125】
図5に示すように、上部ディスク244は同様の構造を有することができるが、
図5では外側リング248と外側スポーク252のみが見える。上部ディスク244はまた、内側リング、中間リング、及び内側スポークを含むこともでき、それらの全ては
図5においてファン226によって遮られて見ることができない。
【0126】
いくつかの実施形態では、上部ディスク244及び下部ディスク256を、上部ディスク244及び下部ディスク256の周囲に角度間隔で配置される複数のスペーサポスト268によって互いに固定することができる。いくつかの実施形態では、スペーサポスト268は、
図5に示すように離間した平行の向きを有する。各スペーサポスト268は、上部ディスク244又は下部ディスク256の穴を通り、そして各スペーサポスト268の各端部に形成される開口部(例えば、ねじ穴)の中へ延在する適切な締結具、例えばボルト又はねじにより定位置に固定されることができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、レセプタクルキャリア242は、下部ディスク256の各外側スポーク264と、対応する上部ディスク244の外側スポーク252との間に延在する複数のレセプタクル仕切り274を更に含む。隣接して配置されるレセプタクル仕切り274の間のスペースは、それぞれが単一のMRD160を受容するように構成されるレセプタクル/MRD受入ステーション211を画定する。インキュベーター200のレセプタクルキャリア242の底面図である
図4に示すように、各レセプタクルの下端部162がレセプタクルキャリア242の底部に露出された状態で、そして各MRD160のレセプタクル操作構造166がレセプタクルキャリア242の外周を超えて放射状に延在する状態で、各MRD160は、ほぼ垂直方向に保持されることができる。
【0128】
図6~
図8は、レセプタクル仕切り274の実施形態を例示する。各レセプタクル仕切り274を、
図6に示すように下部ディスク256の外側スポーク264の1つに取り付けることができる。いくつかの実施形態では、レセプタクル仕切り274は、ディバイダ274が上部ディスク244と下部ディスク256との間に設置される場合、ほぼ垂直方向の仕切り壁276を含む。
【0129】
仕切り壁276はまた、下部ディスク256(図示せず)に形成される嵌合開口に挿入されるように構成される下部位置決めポスト278と、上部ディスク244に形成される嵌合開口(図示せず)に挿入されるように構成される上部位置決めポスト280とを含む。一実施形態では、インキュベーター200は一度に18個のMRD160を保持し、各MRDはレセプタクルキャリア242の周りに20°ずつの間隔を置いて配置される。他の実施形態では、インキュベーター200は、レセプタクルキャリア242の周りに間隔を置いて配置される18個よりも多い、又は18個未満のMRD160を保持するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、レセプタクルキャリア242は12個のMRD160が装填されるだけである。このような12個のMRDの実施形態では、下部ディスク256と上部ディスク244との間に、6つの位置に、例えばレセプタクルキャリア242の周りに60°ずつの間隔を置いて配置される、それぞれの開口部265に隣接する空の凹部(例えば、レセプタクルキャリア242を構成する構成要素のような物質がない空隙又は空間)がある。そして、12個のMRD160を、6つの空の凹部が配置されている所を除いてレセプタクルキャリア242の周りに20°ずつの間隔を置いて配置することができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、インキュベーター200は、レセプタクルキャリア242を複数の角度位置に選択的に回転させるように構成される駆動アセンブリ300を含む。駆動アセンブリ300は、インキュベーターハウジングの底壁206のモーターマウント部分208に取り付けられたモーター302を含むことができる。駆動アセンブリ300はまた、ガイドホイール304及び306と、駆動ベルト308とを含むことができる。駆動ベルト308は、モーター302の駆動シャフト(図示せず)の周りで、ガイドホイール304及び306の周りで、及び更に、上部ディスク244及び下部ディスク256の間に取り付けられた複数の仕切り壁274のベルト駆動支持部298(
図7及び8に示す)の上で固定されている。各駆動ベルト支持部298は、駆動ベルト308の歯(図示せず)と係合するための垂直リブ299を含むことができる。インキュベーターハウジングの底壁206の斜視図を示す
図6に示すように、インキュベーターハウジングの底壁206は、複数の開口部210を画定する。
図6に示すように、いくつかの実施形態では、開口部210は細長く、長方形であることができる。いくつかの実施形態では、開口部210は、レセプタクルキャリア242の回転軸に対応する点の周りに等角度間隔で形成される。開口部210は、各MRD160がレセプタクルキャリア242上に保持される場合に配向されるであろう角度と同じ角度に配向されることができ、各開口部210は、インキュベーションプロセス中のMRD160の内容物により発する信号を検出するためのインキュベーター200内へ延在する信号検出器400の上端を受け入れるように構成される。いくつかの実施形態では、モーター302は、レセプタクルキャリア242の回転を正確に制御するために、コントローラー、例えばマイクロプロセッサーにより制御されるステッパモーターである。いくつかの実施形態では、「ホーム」位置センサー(図示せず)は、いつレセプタクルキャリア242が指定の回転位置にあるかを示し、モーター302がエンコーダと共に設けられる。したがって、レセプタクルキャリア242の移動は、例えば、ホームセンサーからの信号を受信するマイクロプロセッサー、及びモーター302に連結するエンコーダによって制御され、レセプタクルキャリア242の角度移動及び位置決めを制御及び監視し、引き続きレセプタクルキャリア242上の各MRD160を開口部210の上方の信号検出位置に移動させる。
【0131】
一実施形態によるレセプタクルキャリア242の部分斜視図を例示する
図9に示すように、レセプタクルキャリア242は、下部ディスク256の内部リング258と上部ディスク244の内部リング(
図9に図示せず)との間で延在する中央ポスト270を含むことができる。いくつかの実施形態では、インキュベーター200はまた、中央ポスト270に取り付けられた、レセプタクルキャリア242のレセプタクルステーション211に挿入されたMRD160の存在を検出するように構成される、レセプタクル存在センサー272を含むことができる。レセプタクルキャリア242の角度位置を制御及び監視するコントローラーは、標識、例えば、機械可読バーコード又はRFIDタグにより識別され得る各特定のMRD160の位置も監視する。即ち、その標識又は他の手段により識別されるMRD160をインキュベーター200に移動する場合、そのMRD160を挿入するレセプタクルステーション211の角度位置が決定され、MRDがインキュベーター200内にある間は常時、追跡されて、そのMRD160の位置を監視される。
【0132】
図9~14を参照すると、信号検出器400を、例えば、レセプタクルキャリア242上に保持されるMRD160のレセプタクル162の内容物中の消光されていない蛍光色素分子の濃度を測定するように構成することができる。各MRD160の各レセプタクル162内で実行されるアッセイは、増幅により標的の濃度が増加するにつれて蛍光信号が増加するように設計されることができる。信号検出器400(例えば、蛍光光度計)は、蛍光信号、例えば蛍光信号の出現を監視することにより増幅プロセスを監視することができる。
【0133】
インキュベーター200の例示的な実施形態は、3つ~6つの信号検出器400を含むことができる。
図10に示すように、インキュベーター200は6つの信号検出器400を含む。いくつかの実施形態では、各検出器400は特定の蛍光色素(即ち、色)を測定するように設計される。各信号検出器400は、各MRD160のレセプタクル162の間隔に対応する等間隔で互いに対して離間する複数の個別の検出チャネル、例えば5つの検出チャネルを収容する。信号検出器400は、5つより多い検出チャネル又は5つ未満の検出チャネルを有することができる。いくつかの実施形態では、検出チャネルの数は、各MRD160内のレセプタクル162の数に対応する。
【0134】
いくつかの実施形態では、レセプタクルキャリア242が、信号検出器400の角度位置に対応する予め設定された角度位置で停止する場合に、各信号検出器400は、信号検出器400の各検出チャネルが、MRD160の各々のレセプタクル162の内容物により放射される信号を検出できるような向きでインキュベーター200に取り付けられる。したがって、いくつかの実施形態では、各MRD160は、各信号検出器400により、レセプタクルキャリア242の1回転につき1回走査されることができる。
【0135】
一実施形態によるインキュベーター200の部分斜視図である
図10に示すように、インキュベーター200は、6つの信号検出器400を含み、それぞれが一実施形態によるインキュベーター200のハウジング内に保持される6つの異なるMRD160の5つのレセプタクル162のそれぞれの内容物により放射される信号を検出するように構成され配置される。即ち、各信号検出器400は、信号検出器400に対してレセプタクルキャリア242により動作可能に配置されるMRD160の5つのレセプタクル162のそれぞれにより放射される信号を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、信号検出器400は、実質的に同一の構成であってもよいが、それぞれが異なる測定可能な値又は検出可能な値の信号特性を検出するように適用されてもよい。例えば、各信号検出器400を異なる波長(即ち、色)の蛍光を検出するように構成することができ、したがって、各信号検出器400を、レセプタクル162の内容物内の異なる蛍光色素を検出するように構成する、又は調整することができる。いくつかの実施形態では、各信号検出器400はまた、異なる所定の波長の、又は異なる波長範囲内の光を放射するように構成されることができる。信号検出器400から放射される光の波長は、レセプタクル162の内容物内の蛍光色素の励起波長ウィンドウに対応することができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、コントローラー、例えばマイクロプロセッサーは、コントローラーがレセプタクルキャリア242の移動及び角度の位置決めを制御するように、レセプタクルキャリア242に連結するホームセンサーからの信号を受信することにより、レセプタクルキャリア242を動かすモーター302、タイマー、及びモーター302に連結されるエンコーダを制御する。いくつかの実施形態では、コントローラーは、レセプタクルキャリア242を回転させてMRD160を信号検出器400に対して動作可能な検出位置へ移動させ、MRD160を開口部210及び信号検出器400と整列させる。コントローラーは、信号検出器400が信号検出器400に対して動作可能に配置されるMRD160からの信号読取りを取得し処理するのに十分な時間、レセプタクルキャリア242の回転を一時停止することができ、コントローラーはレセプタクルキャリア242を索引付けして、次のMRD160を信号検出器400に対して動作可能な位置に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、レセプタクルキャリア242が1回転する間、コントローラーは、レセプタクルキャリア242上の12個のMRD160を少なくとも3つの信号検出器400に対して動作可能な検出位置に配置するように、レセプタクルキャリア242を12個の異なる角度位置に索引付けするように構成する。
【0137】
図11~
図14は、一実施形態による信号検出器400を示す。信号検出器400の斜視図である
図11に示すように、検出器400はハウジングを含む。いくつかの実施形態では、検出器ハウジングは、検出器ハウジング418及び励起ハウジング402を含む。光学ハウジング434により、検出器ハウジング418と励起ハウジング402とを、互いに対して直角に接続することができる。いくつかの実施形態では、光学ハウジング434は、レンズ及びフィルターを囲む。インターフェースキャップ456が光学ハウジング438に取り付けられている。ハウジング構成要素402、418、及び434のそれぞれを、例えば、機械加工されたアルミニウムから作製し、適切な締結具、例えばボルト又はねじにより互いに固定することができる。いくつかの実施形態では、ハウジング構成要素402、418及び434のそれぞれは陽極酸化処理されている。いくつかの実施形態では、インターフェースキャップ456は、インキュベーター200と検出器400との間の熱伝導を最小にするために、非熱伝導性材料、例えばDelrin(登録商標)から機械加工される。
【0138】
いくつかの実施形態では、検出器400は、励起ハウジング402の端部に接続する励起プリント回路基板(「PCB」)406、及び検出器ハウジング418の端部に接続する検出器PCB422を含む。励起PCB406及び検出器PCB422上にそれぞれ配置される例示的な励起及び検出器回路を以下に説明する。可撓性ケーブル454は、励起PCB406を検出器PCB422に接続する。
【0139】
いくつかの実施形態では、インターフェースキャップ456は、インターフェースキャップ456の周囲を取り囲むリムフランジ460と、リムフランジ460の上方に突出するドーム部分458とを含む。例えば、
図10に示すように、インターフェースキャップ456のドーム部分458は、インキュベーター200の底壁206に形成される開口部210内に延在し、リムフランジ460は、インターフェースキャップ456と底壁206との間の遮光シールを提供するように、開口部210を囲む底壁206の底面に当接する。リムフランジ460と底壁206との間にガスケット材料を設けて、遮光シールを更に強化することができる。いくつかの実施形態では、5つの検出開口部462がインターフェースキャップ456内に設けられている。
【0140】
一実施形態による単一信号検出器400の側面断面図及び分解斜視図をそれぞれ示す
図13及び
図14に示すように、励起ハウジング402は、励起チャネル404及び放射チャネル420をそれぞれ含む5つの検出チャネルを含むことができる。各励起チャネル404は、各励起チャネル404の端部に位置する励起光源405、例えば励起PCB406に連結する発光ダイオード(「LED」)を有することができる。同様に、検出器ハウジング418は、5つの放射チャネル420を含むことができ、各々は検出器PCB422に連結するセンサー423、例えば光信号検出器センサー、例えばフォトダイオードを有する。検出器PCB422の更なる安定性を提供するために、スタンドオフ464が、励起ハウジング402と検出器PCB422との間に、検出器ハウジング418から少し離れて取り付けられている。
【0141】
いくつかの実施形態では、各信号検出器400のそれぞれの検出チャネルは、少なくとも部分的に配置された励起光学系及び放射光学系により2つの光路を、それぞれ励起チャネル及び放射チャネル内に画定する。いくつかの実施形態では、励起光路は光を生成する光源405、例えばLEDで始まる。そして、励起レンズが発生した光を平行にする。次いで、励起フィルターが平行になった光をフィルターリングする。フィルターリングされた光は、ビームスプリッターを上方に通過し、1つ又は複数の対物レンズによりレセプタクル162上に集束される。対物レンズは、レセプタクル162とビームスプリッターとの間にある。放射光路はレセプタクル162の内容物によって放射される光から生じ、対物レンズは光がビームスプリッターに向かって進むにつれて光を平行にする。次いで、ビームスプリッターは、放射された光を放射チャネル420に向けて反射する。放射チャネル420内では、放射フィルターを通ってフィルターリングされた後、光は放射レンズによりセンサー423、例えば光検出器上に集束される。
【0142】
いくつかの実施形態では、検出器400の様々な光学素子は、光学ハウジング434内に配置される。励起ハウジング402の各励起チャネル404については、いくつかの実施形態では、光学ハウジング434は励起光学系408(例えば、
図14参照)を含む。検出器ハウジング418の各放射チャネル420については、いくつかの実施形態では、光学ハウジング434は放射光学系424(例えば、
図14参照)を含む。またインターフェースキャップ456の各検出器開口部462については、いくつかの実施形態では、光学ハウジング434は入力/出力光学系444(例えば、
図14参照)を含む。励起光学系408、放射光学系424、及び入力/出力光学系444を、光学系ハウジング434内に形成される光学系チャネル436内に配置することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、励起光学系408は、Oリング10、励起レンズ412、レンズホルダー414、及び励起フィルター416を含む光学集束及びフィルターアセンブリである。Oリング410は、励起ハウジング402と光学ハウジング434との間に遮光シールを供する。励起フィルター416は、所望の励起特性(例えば、波長)を有する光源405からの励起光を、励起チャネル404内から通過させるように構成される。
【0144】
いくつかの実施形態では、放射光学系424は、Oリング426、放射レンズ428、レンズホルダー430、及び放射フィルター432を含む光学集束及びフィルターアセンブリである。Oリング426は、検出ハウジング418と光学ハウジング434との間に遮光シールを提供する。放射フィルター432を、所望の信号特性(例えば、波長)を有する、放射チャネル420内のセンサー423にレセプタクル162の内容物によって放射される信号の一部のみを送信するように構成することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、入力/出力光学系444は、Oリング452、第1の対物レンズ450、第2の対物レンズ448、及び第1と第2の対物レンズ450と448との間に配置されるスペーサリング446を含む。Oリング452は、インターフェースキャップ456と光学ハウジング434との間に遮光シールを提供する。
【0146】
いくつかの実施形態では、信号検出器400は二色性ビームスプリッター440を含むことができる。例えば、二色性ビームスプリッター440は、光学ハウジング434のビームスプリッター開口部438に挿入されるビームスプリッターフレーム442内に保持され得る。各励起チャネル404及び対応する放射チャネル420に対して、ビームスプリッター440が設けられている。ビームスプリッター440は、励起チャネル404から直進光路内に所望の信号特性(例えば、所定の励起波長)を有する励起光を通過させ、レセプタクル162の内容物から所定の検出波長を有する放射光を検出チャネル420に向けて偏光させるように構成される。
【0147】
一実施形態では、信号検出器400は、指定の関連励起波長の光励起信号を、蛍光色素が混合されているサンプルを収容するレセプタクル162に向けることにより、特定の波長(即ち、色)の蛍光色素を励起するように構成される蛍光光度計を備える。蛍光光度計はまた、特定の色素の波長(即ち、色)に対応する波長を有する放射信号を検出するように構成される。異なる蛍光色素は異なる波長で励起される。いくつかの複合的な実施形態では、適切な色素は、ローダミン色素(例えば、テトラメチル-6-ローダミン(「TAMRA」)、及びテトラプロパノー6-カルボキシローダミン「ROX」)、並びにフルオレセイン色素(例えば、6-カルボキシフルオレセイン(「FAM」))を、それぞれDABCYL消光体と組み合わせて含む。いくつかの実施形態では、他の適切な色素は、5’-ヘキサクロロフルオレセインホスホルアミダイト(「HEX」)、及び2’,7’-ジメトキシ-4’,5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(「JOE」)を含む。FAM、JOE、TAMRA及びROX色素の正規化された励起スペクトルを
図19に示す。
図20は、FAM、JOE、TAMRA及びROX色素の正規化された放射スペクトルを示す。色素は異なる波長で励起されるので、各信号検出器400を、蛍光光度計が検出しようとする特定の色素の所望の励起波長(即ち、色)又はそれに近い励起光を放射するように調整することができる。したがって、検出器/蛍光光度計の構成要素の選択は、多くの場合、信号検出器400が対象とする特定の色素により決められる。例えば、使用される特定の光源405(例えば、特定のLED)は、蛍光光度計が検出しようとする色素に依存する。
図21は、FAM、HEX、及びROX色素の正規化された励起波長対正規化された放射蛍光波長を示す。
図21に示すように、HEX励起波長帯はFAM放射波長帯と一部重なり、ROX励起波長帯はHEX放射波長帯と一部重なる。下記の表1も参照のこと。
【0148】
いくつかの実施形態では、いくつかの成分が色素特異的であることを除いて、検出器400は設計及び構成要素において同一である。色素に固有の構成要素としては、例えば光源405、励起フィルター416、放射フィルター432、及びビームスプリッター440が挙げられる。
【0149】
以下の表は、異なる種類の色素用フィルターを選択するのための例示的な仕様を提供する。
フィルター仕様
表1
【表1】
【0150】
以下の表は、異なる種類の色素用レンズを選択するのための例示的な仕様を提供する。
レンズ及びOリング仕様
表2
【表2】
【0151】
表3に、青色LED、緑色LED、及び琥珀色LEDの例示的な仕様を示す。
LED仕様
表3
【表3】
【0152】
検出器400の例示の実施形態では、ビームスプリッター440は、励起光を通過させ、放射光を反射する。励起チャネル404は放射チャネル420よりも長いので、この構成のために信号検出器400のハウジングの縦断面の幅は狭くなり、
図10に示すようにインキュベーター200の下に角度間隔で配置できる検出器400の数は最大化される。空間的な制限及び好みは、
図10に示される構成と交換可能な励起チャネル及び放射チャネルを設計する際に考慮され得る。このような別の実施形態では、励起光を反射し、放射光を通過させるビームスプリッターを使用することができる。
【0153】
MRD160の内容物により放射された信号データを取得し、格納し、処理するためのデータ取得システム及びプロセスを、
図22に関連して抽象的に記述することができる。いくつかの実施形態では、データ収集システム及びプロセスは、励起ブランチ406、検出ブランチ422、及び制御ブランチ506の3つの構成要素を含む。回路、例えば励起PCB406を含むことができる励起ブランチ406は、励起光信号を生成するように光源405(例えば、LED)を制御するための電力信号を生成する。検出ブランチ422は、回路、例えば検出器PCB422を含むことができ、センサー423(例えば、フォトダイオード)に当たる光の光子を電流に変換する。制御ブランチ506は、コントローラー、例えばマイクロプロセッサーを含むことができ、励起回路406を駆動及び制御し、検出回路422により生成される放射データを処理する。
【0154】
図23は、一実施形態による検出器PCB422上の検出回路の論理ブロック図を示す。検出器PCB422上の検出回路は、蛍光を検出し、検出される光をコントローラー506により処理され得る電圧信号に変換するように構成される検出器回路502a~502eを含むことができる。検出器回路502a~502eからの出力は、
図23に示すように、直接又はマルチプレクサ504を介してコントローラー506に接続することができる。
【0155】
図24は、一実施形態による励起PCB406上の励起回路の論理ブロック図を示す。励起回路は、コントローラー506及びデジタルアナログ変換器(DAC)510を含むことができる。励起PCB406上の励起回路はまた、各励起チャネル404の各光源405を駆動するための励起回路512a~512eを含むことができる。いくつかの実施形態では、励起回路512a~512eは、DAC制御電流源により駆動される。電流源は、光源405を流れる電流を制御する電圧-電流増幅器である。
【0156】
いくつかの実施形態では、励起PCB406上の励起回路は、励起電圧のプロセス制御を容易にするために、励起回路512a~512eに接続するモニター516を含む。光源405の両端の電圧及び光源405を通る電流をチェックすることにより、光源405が正しく機能しているかどうかを示すことができる。この診断機能は、さまざまな方法で使用されることができる。例えば、自己試験の間、電源投入時に光源405を試験することができる。したがって、蛍光光度計がパワーアップする場合、蛍光光度計は光源405に既知の電流を流すことができ、光源405の順方向電圧が予想される範囲であれば、その時システムは自己試験に合格するであろう。光源405の正確な機能を監視するためのアッセイの間に、これらの順方向電圧値を検査することもできる。
【0157】
いくつかの実施形態では、例示的蛍光光度計励起回路を示す回路図である
図25に示すように、DAC制御電流源により回路512a~512e内の各光源405を駆動することができる。電流源は、光源405を通って流れる電流を制御する電圧-電流増幅器とすることができる。
【0158】
図25に示す電流源は、光源405(例えば、LED)を通るコンピュータ制御電流波形を駆動することに加えて、光源405の電流及び電圧に基づいてプロセス制御を可能にする。U3Bにより形成される回路の出力は、光源405の両端間の電圧のモニターであり、アナログ/デジタル(A/D)変換器を使用してモニター516によりデジタル化されることができる。同様に、R22の出力(トランジスタQ3から離れた側)を使用して、光源405を流れる電流を監視し、同様にモニター516に配置されたA/D変換器によりデジタル化することができる。上述したように、診断目的のために光源405を流れる電流を監視することができる。
【0159】
いくつかの実施形態では、検出器回路502a~502eは、
図26A及び
図26Bに示すように構成することができる。
図26A及び
図26Bに示すように、各検出器回路502は、U11を含む前置増幅器回路と、U10Bのピン5~7により形成される増幅器とを含む。前置増幅器回路は、(センサー423に対応する)フォトダイオードDから電流を受け取り、増幅された電圧に変換する。示すように、U10Aのピン1~3を含む増幅器は、フォトダイオードDに入射する未変調環境光により生じるフォトダイオードDからの電流を補償するためのバイアス電流を与える。
【0160】
増幅器U11及びU10Bは、フォトダイオードD(423)からの(放射信号に対応する)電流信号の増幅の最初の2段階を形成する。C54、C44、及びC58は、電源バイパス/フィルターリングを増幅器に提供する。C12、D12、R55、R57、及びR61は、フォトダイオードDのアノードをバイアスするフィルター電源を形成する。帰還抵抗R31及びR32は、フォトダイオードDからの電流を電圧に変換し、一方、C48は、より高い周波数の信号に対してフィルターリングを行う。R43とR45により形成される分圧回路は、次の前置増幅状態で10の電圧利得を提供し、一方、コンデンサC56は追加のローパスフィルターリングを提供する。
【0161】
検出回路502a~502eは、U7Aにより形成されるレベルシフタを使用するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、レベルシフタの目的は、前置増幅器のゼロレベルをユニポーラアナログ/デジタル(A/D)変換器の中間範囲まで移動させることである。これにより、いくつかのマイクロコントローラーにより使用されるA/D変換器を使用することができるので、追加のA/D変換器は不要である。
【0162】
動作中、複数のレセプタクル162(例えば、MRD160のレセプタクル162)がインキュベーター200内で処理され、1つ又は複数の信号検出器400がレセプタクルキャリア242に保持されるレセプタクル162からの信号放射の強度を測定している間、いかなる故障又は性能低下も検出するために信号検出器を定期的に自己検査することができる。このような故障又は性能低下は、レセプタクル162からの光放射の測定次第で決まる試験結果の精度に影響を及ぼし得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250を、各信号検出器400の検出チャネルと光通信している信号検出器400の検出領域内へ移動させることにより(又は、固定されていない検出器の場合には、検出チャネルが非蛍光表面部分250と光通信するように検出器を移動させることにより)、非蛍光表面部分250により反射又は散乱され、センサー423により検出される光の光強度を測定することにより、及び測定される強度を非蛍光表面部分250により反射又は散乱される光の予想される所定の強度値の範囲と比較することにより、自己検査を行う。測定された強度が予想される強度値の範囲外である場合、それは信号検出器400のそれぞれの検出チャネルの故障又は性能劣化の合図である。いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250により反射又は散乱される光の予想される所定の強度値の範囲は、ゼロより大きく、例えば5~600相対蛍光単位(RFU)、200~5800RFU、又は5~550RFUである。信号検出器400の検出チャネルの検出領域に非蛍光表面部分250、例えばアルミニウム表面を配置することにより、僅かな、検出可能な(ゼロでない)量の光を信号検出器400へ反射又は散乱させて戻し、センサー423により検出することができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250により反射又は散乱される光の予想される所定の強度値の範囲は、光を測定する特定の信号検出器400に基づいて変化する。例えば、特定の色素、例えばFAMの波長(即ち、色)に対応する波長を有する放射信号を検出するように構成される信号検出器の非蛍光表面部分250により反射又は散乱される光の予想される所定の強度値の範囲は、異なる特定の色素、例えばHEX又はROXの波長(即ち、色)に対応する波長を有する放射信号を検出するように構成される信号検出器の非蛍光表面部分250により反射又は散乱される光の予想される所定の強度値の範囲とは、異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250により反射又は散乱され、FAM色素とともに使用されるように構成される信号検出器400により測定される光の所定の強度値の範囲は、5~600RFUである。いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250により反射又は散乱され、HEX色素とともに使用されるように構成される信号検出器400により測定される光の所定の強度値の範囲は、200~5800RFUである。そして、いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250により反射又は散乱され、ROX色素とともに使用されるように構成される信号検出器400により測定される光の所定の強度値の範囲は、5~550RFUである
【0165】
いくつかの実施形態では、自己検査は、レセプタクルキャリア242により画定される凹部(例えば、レセプタクルキャリア242を構成する構成要素のような物質がない空隙又は空間)、例えばレセプタクルステーション211であって、その中に受け入れるMRD160を持たず、及び各信号検出器400の各信号検出器の検出チャネルの検出領域内に下部ディスク256により画定される開口部265を含むレセプタクルステーション211、を移動させることと、(又は、固定されていない検出器の場合、各信号検出器400の各検出チャネルが凹部と光通信するように検出器400を移動させることと)、センサー423によって検出される光の光強度を測定することと、測定された強度を予想される所定の凹部強度値の範囲と比較することと、により実行される。測定された強度が予想される凹部強度値の範囲外である場合、それは信号検出器400のそれぞれの検出チャネルの故障又は性能劣化の合図である。いくつかの実施形態では、センサー423により検出される光の予想される所定の凹部強度値の範囲は、ゼロを含み、例えば0~300RFU、又は0~2260RFUである。信号検出器400の検出チャネルの検出領域に凹部を配置することにより、光はほとんど又は全く反射も散乱もされずに信号検出器400に戻され、センサー423によって検出される。
【0166】
いくつかの実施形態では、凹部がそれぞれの検出チャネルと光通信している場合、センサー423により検出される光の予想される所定の凹部強度値の範囲は、光を測定する特定の信号検出器400に基づいて変化する。例えば、特定の色素、例えばFAMの波長(即ち、色)に対応する波長を有する放射信号を検出するように構成される信号検出器の予想される所定の凹部強度値の範囲は、異なる特定の色素、例えばHEX又はROXの波長(即ち、色)に対応する波長を有する放射信号を検出するように構成される信号検出器の非蛍光表面部分250により反射又は散乱される光の予想される所定の強度値の範囲とは、異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、凹部がFAM色素と共に使用されるように構成される信号検出器400のそれぞれの検出チャネルと光通信している場合、検出される光の所定の強度値の範囲は0~300RFUである。いくつかの実施形態では、凹部がHEX色素と共に使用されるように構成される信号検出器400のそれぞれの検出チャネルと光通信している場合、検出される光の所定の強度値の範囲は0~2260RFUである。そしていくつかの実施形態では、凹部がROX色素と共に使用されるように構成される信号検出器400のそれぞれの検出チャネルと光通信しているときに検出される光の所定の強度値の範囲は0~300RFUである。
【0167】
いくつかの実施形態では、特定の検出チャネルの自己検査は、(1)非蛍光表面部分250を信号検出器400の検出チャネルの検出領域内に移動させることと、非蛍光表面部分250により反射又は散乱され、センサー423によって検出された光の光強度を測定することと、測定された強度を非蛍光表面部分250により反射又は散乱される光の予想される所定の強度値の範囲と比べること、及び、(2)レセプタクルキャリア242により画定される凹部を信号検出器400の検出チャネルの検出領域内に移動させることと、センサー423により検出される光の光強度を測定することと、測定された強度を予想される所定の凹部強度値の範囲と比べること、の両方によって実行される。
【0168】
固定されている信号検出器の場合、レセプタクルキャリア242上に配置された各非蛍光表面部分250は、例えば、レセプタクルキャリア242を回転させることによって周期的に配置され、信号検出器400の検出チャネルと光通信状態になる。ここで、「光通信」とは、信号検出器400の検出チャネルが非蛍光表面部分250により反射若しくは散乱された光を検出できるように、非蛍光表面部分250を信号検出器400の検出チャネルに対する位置に配置すること、又は、非蛍光表面部分250に対する位置に信号検出器400の検出チャネルを配置すること、を指す。
【0169】
いくつかの実施形態では、レセプタクルキャリア242及び信号検出器400の両方が移動可能である。参照により本明細書に組み込まれる2010年9月14日に発行された米国特許第7,794,659号に記載されているように、例えば、レセプタクルキャリア242及び信号検出器400を互いに対して移動するように構成することができる。
【0170】
図示の実施形態では、
図4、5、6及び9に示すように、非蛍光表面部分250は、レセプタクルキャリア242の下部ディスク256の外側スポーク264の部分を構成する。例示の実施形態では、レセプタクルキャリア242がインキュベーター200内で回転する場合、信号検出器400が、センサー423を用いて非蛍光表面部分250により反射又は散乱される光を測定することができる信号検出器400の検出チャネルに対する位置内へ、1つ又は複数の非蛍光表面部分250を移動させることができるように、非蛍光表面部分250は配置及び配向される。いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250は、センサー423上の小さい、0ではない強度を検出することにより、信号検出器の故障又は劣化した性能をもたらす十分な量の反射光又は散乱光を生成する非蛍光材料、例えばアルミニウムから構成される。
【0171】
いくつかの実施形態では、下部ディスク256の外側スポーク264の底面は、各信号検出器400の検出チャネルの数に対応する5つの非蛍光表面部分250の組を画定することができる。そして、いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250の組の数、即ち、非蛍光表面部分250の組を画定する外側スポーク264の数は、インキュベーター200の下に配置される信号検出器400の数に対応し、そのため全ての信号検出器400の少なくとも1つの検出チャネルが同時に自己検査することができる。即ち、一実施形態では、5つの非蛍光表面部分250の各組は、1つの信号検出器400に対応するか、それに関連する。別の実施形態では、5つの非蛍光表面部分250の各組は、対応する信号検出器400に対して配置され、そのため、1つ又は複数の別の信号検出器がサンプルからの信号放射を測定している間に、1つ又は複数の、しかし全てではない信号検出器を自己検査することができる。
【0172】
インキュベーター200内で支持構造体、例えばレセプタクルキャリア242内に非蛍光表面部分250を統合することにより、信号検出器400は、インキュベーター内での増幅反応のリアルタイム監視中を含むインキュベーター200の動作中に、自己検査することができる。したがって、インキュベーターの通常の動作を中断する必要なしに、インキュベーターの閉鎖システム内で自己検査手順を実行することができ、信号検出器の正常な動作を確認することができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250にアルミニウムを使用する代わりに、センサー423においてゼロではない小さな検出可能な強度を生成するのに十分な反射特性及び散乱特性を有する他の材料を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250は、アルミニウム以外の非蛍光性金属(例えば、コバルト、銅、及び鉄)、非蛍光性プラスチック(例えば、非常に色が濃いプラスチック)、若しくは非蛍光繊維強化複合材料、又は任意の他の適切な非蛍光材料から作られる。いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250を備える構成要素は、全体が非蛍光材料で作られる。他の実施形態では、非蛍光表面部分250を備える構成要素を、蛍光材料から作ることができるが、非蛍光表面部分250を形成するために非蛍光層(例えば、塗料、フィルム又はラミネート)でコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、非蛍光表面部分250を、信号検出器400の各タイプ(例えば、FAM、ROX、HEX等を検出するように構成される信号検出器)に対して選択される異なる材料で作ることができる。
【0174】
非蛍光材料を用いることの1つの利点は、非蛍光表面部分250により反射又はは散乱される光の特性(例えば、強度及び波長)が経時的に実質的に一定のままであることである。対照的に、例えば、蛍光材料は、蛍光材料から放射される光の強度が経時的に減少するように、経時的に光退色を受けやすい可能性がある。したがって、非蛍光材料は長期間、例えば1日に12時間、1年に300日連続して使用するアッセイ装置と共に使用するのに適している。
【0175】
いくつかの実施形態では、スポーク264以外のレセプタクルキャリア242の部分は、非蛍光表面部分250を画定することができる。例えば、レセプタクルキャリア242は、非蛍光表面部分250を画定する下部ディスク26と上部ディスク244との間の構造(図示せず)を含むことができる。
【0176】
図15に示すように、いくつかの実施形態では、外側スポーク264は、下部ディスク256の中心に対して径方向に配置されていない。このような実施形態では、各信号検出器400は、外側スポーク264と平行であり、その5つの検出チャネルのそれぞれが、信号検出器400の上に配置され、かつインキュベーターハウジングにより画定される開口部210と位置合わせされるMRD160のレセプタクル162の1つと同時に位置合わせされるように、配向される。MRD160は外側スポーク264に隣接しかつそれに平行な位置でレセプタクルキャリア242上に保持されるので、及び外側スポーク264及びMRD160はレセプタクルキャリア242の中心に対して径方向に搬送されないので、各組の非蛍光表面部分250が、信号検出器400の5つの検出チャネルの全てと同時に位置合わせをするとは限らない。したがって、信号検出器400の対応するチャネルと光通信する外側スポーク264上に非蛍光表面部分250のそれぞれを配置するために、非蛍光表面部分250により反射又は散乱される光の測定される強度に基づいて、信号検出器400の5つの検出チャネルの全てを自己検査するように、レセプタクルキャリア242は、5つの増分で5つの異なる角度位置へ回転されなければならない。一実施形態では、第1の非蛍光表面部分250a(即ち、径方向に最も外側の非蛍光表面部分250)を信号検出器400の最も外側の検出チャネルと光通信状態に配置するために、レセプタクルキャリア242を
図15に示す位置から4.65度回転させなくてはならない。次の4つの非蛍光表面部分250b~250eを、その対応する検出チャネルと光通信状態に配置するのに(
図15に示す位置と比べて)必要な次の各回転の増分は、以下の表に示されている。
【表4】
【0177】
いくつかの実施形態では、レセプタクルキャリア242を、非蛍光表面部分250b~250eを信号検出器400のそれぞれの検出チャネルと位置合わせする5つの角度位置の間で回転した後、レセプタクルキャリア242により画定される凹部が各信号検出器400の検出チャネルの各組みと位置合わせする角度位置へ、レセプタクルキャリア242を回転する。いくつかの実施形態では、凹部は、レセプタクルステーション211であり、その中にMRD160を持たず、下部ディスク256により画定される開口部265を含む。この角度位置では、検出チャネルのそれぞれのセンサー423により測定される光強度に基づいて、各信号検出器400の各検出チャネルに対して自己検査を実行することができる。
【0178】
いくつかの実施形態では、コントローラー及び駆動アセンブリ300は、レセプタクルキャリア242が1回転する間にレセプタクルキャリア242を18個の異なる角度位置へ回転させるように構成される。18個の異なる角度位置のうち12個において、MRD160のレセプタクル162は、各信号検出器400の各検出チャネルに光学的に結合される。例えば、これらの12個の位置では、MRD160のレセプタクル162の底部は、各信号検出器400の各検出チャネルの検出領域に配置される。18個の異なる角度位置のうちの1つにおいて、レセプタクルキャリア242により画定される凹部は、各信号検出器400の検出チャネルの各組に光学的に結合される。例えば、この1つの位置では、各信号検出器400の各検出チャネルの検出領域に凹部が配置される。
図31Aは、一実施形態による、この1つの角度位置で1つの信号検出器400の各検出チャネルの検出領域に位置する1つの凹部を例示する。そして、18個の異なる角度位置のうちの残りの5つにおいて、それぞれの非蛍光表面部分250は、各信号検出器400の1つのそれぞれの検出チャネルに光学的に結合される。例えば、これらの残りの5つの位置では、レセプタクルキャリア242上の非蛍光表面部分250は、各信号検出器400の1つの検出チャネルの検出領域に配置される。
図31Bは、一実施形態によるこれらの5つの角度位置の1つにおいて、1つの信号検出器400の1つの検出チャネル(即ち、中央検出チャネル)の検出領域における1つの非蛍光表面部分250(即ち、中央の非蛍光表面部分250)を例示する。
【0179】
一実施形態では、上に列挙した回転の小さな増分の各々によりレセプタクルキャリア242を移動させて、全ての信号検出器400の全ての検出チャネルを、関連する非蛍光表面部分250に対する自己検査位置に順次配置するのではなく、信号検出器400のそれぞれの異なるチャネルを、カルーセルの各回転で自己試験する。したがって、全ての信号検出器400が全てのMRD160の全てのレセプタクル容器からデータを取得する、レセプタクルキャリア242の1回転の後、カルーセルは、全ての信号検出器400の検出チャネルのうちの1つ(例えば、最も外側の検出チャネル)が、全ての第1のチャネルの自己検査のために関連する非蛍光表面部分250と位置合わせするまで進められる。レセプタクルキャリア242の次の回転の後、全ての信号検出器400の次のチャネル(例えば、第2の最も外側の検出チャネル)が、全ての第2のチャネルの自己検査のために関連する非蛍光表面部分250と位置合わせするまで、レセプタクルキャリア242を進める。このプロセスは、信号検出器400の第3、第4及び第5の検出チャネルを自己検査するために、レセプタクルキャリア242の以降の各回転毎に繰り返される。このように、この実施形態によれば、各信号検出器の各チャネルは、カルーセルの5回転毎に1回自己検査される。
【0180】
一実施形態では、信号検出器400は、レセプタクル162が信号検出器400の上に動作可能に配置される場合、レセプタクルキャリア242により保持されるレセプタクル162の一部は、対応する信号検出器400の検出チャネルの光焦点にあるように構成される。
図16に示すように、レセプタクル162がインキュベーター200内の信号検出器400の上に配置される場合、レセプタクル162の一部(例えば、レセプタクル162内のサンプルを収容する部分)は、対応する信号検出器400の検出チャネルに対して高さh
2の(信号検出器400の検出領域DZ内の)焦点fにある。一方、下部ディスク256の外側スポーク264上の非蛍光表面部分250は、信号検出器400上のh
2よりも小さい高さh
1にある。一実施形態では、h
1は1.0mmであり、h
2は8.5mmである。別の実施形態では、h
1は2.0mmであり、h
2は10mmである。別の実施形態では、h
1はh
2より1%~99%小さく、別の実施形態ではh
1はh
2より20%~80%小さく、更に別の実施形態ではh
1はh
2より60%~90%小さい。
【0181】
図17に示すように、レセプタクルキャリア242が横の矢印の方向に回転してレセプタクル162を焦点fから移動させ、非蛍光表面部分250を検出領域DZ内に信号検出器400の検出チャネルと光通信状態で配置する。非蛍光表面部分250は、対応する信号検出器400の検出チャネルの焦点fになくても良いが、非蛍光表面部分250は、信号検出器400の検出チャネルの検出領域DZ内にある。(信号検出器400のセンサー423が非蛍光表面部分250により反射又は散乱された光を検出することができる(信号検出器400に対する)焦点fの前の距離と焦点f超えた距離は、信号検出器400のそれぞれの検出チャネルの検出領域DZを制限する。)したがって、非蛍光表面部分250は、信号検出器400に関して焦点がずれているが、信号検出器400のセンサー423は、非蛍光表面部分250によって反射又は散乱された光信号を検出することができる。
【0182】
他の実施形態では、h2はh1よりも小さい。非蛍光表面部分250は、h2における焦点fの上に(又は、そうでなければ焦点fから離れたところに)あってもよい。そのような実施形態では、h2は、h1よりも1%から99%小さく、h1より20%~80%小さく、又h1より60%~90%小さくすることができる。
【0183】
信号検出器400の例示的な自動自己検査手順は、
図18に示すフローチャート350に表される。手順は、信号検出器400及びレセプタクルキャリア242を用いて実行され、それらは、コンピュータ可読媒体に符号化又は格納された手順350を具現化するアルゴリズムを含むソフトウェアを実行するコントローラー(例えば、マイクロプロセッサー)により制御される。
【0184】
ステップ352では、各信号検出器400の各センサー423(又は検出チャネル)について、非蛍光表面強度範囲RFU表面及び凹部強度範囲RFU凹部が決定される。非蛍光表面強度範囲RFU表面は、それぞれの非蛍光表面部分250により反射される及び散乱される光により、各信号検出器400の各センサー423により検出されることが期待される強度を、例えば相対蛍光単位(「RFU」)又はいくつかの実施形態では他の単位で含む。いくつかの実施形態では、非蛍光表面強度範囲RFU表面の期待値はゼロではない。例えば、非蛍光表面強度範囲RFU表面は、5~600RFUとすることができる。凹部強度範囲RFU凹部は、凹部が信号検出器400の検出領域内にある場合、信号検出器400のセンサー423により検出されることが期待される強度測定値を、例えば相対蛍光単位(「RFU」)又はいくつかの実施形態では他の単位で含む。いくつかの実施形態では、凹部強度範囲RFU凹部における値は、ノイズのためにゼロ又は非常に小さい。いくつかの実施形態では、凹部強度範囲RFU凹部は0~300RFUである。ステップ352は、信号検出器400がインキュベーター200に設置される前又は後に行うことができる。
【0185】
いくつかの実施形態では、各信号検出器400の各センサー423(又は検出チャネル)の非蛍光表面強度範囲RFU表面は同じである。他の実施形態では、各信号検出器400の各センサー423(又は検出チャネル)の非蛍光表面強度範囲RFU表面は、特定の信号検出器に基づいて変化する。
【0186】
いくつかの実施形態では、各信号検出器400の各センサー423(又は検出チャネル)の凹部強度範囲RFU凹部は同じである。他の実施形態では、各信号検出器400の各センサー423(又は検出チャネル)の凹部強度範囲RFU凹部は、特定の信号検出器に基づいて変化する。
【0187】
ステップ354で、ステップ352で決定された、各信号検出器400の各センサー423(又は検出チャネル)の非蛍光表面強度範囲及び凹部強度範囲が、コントローラー、例えばマイクロプロセッサーによりアクセス可能な適切なメモリに格納される。いくつかの実施形態では、メモリはアッセイ装置の一部である。
【0188】
ステップ356において、各信号検出器400の使用後、関連する非蛍光表面部分250をチャネルと光通信状態に(即ち、各信号検出器(k)の各チャネル(j)の検出領域DZ内に)移動させることと、関連する非蛍光表面部分250により反射されるか、又は散乱される光から光強度を測定することと、により、各信号検出器(k)の各チャネル(j)の強度測定値を取得する。非蛍光表面部分250がチャネルと光通信している場合のk番目の信号検出器のj番目のチャネルの試験基準強度は、RFUT-表面jkである。そして、ステップ356において、関連する凹部をチャネルと光通信状態に(即ち、各信号検出器の各チャネル(j)の検出領域DZ内に)移動させることと、各信号検出器(k)の各チャネル(j)のセンサーにより検出された光強度を測定することと、により、各信号検出器(k)の各チャネル(j)に対して強度測定値を取得する。関連する凹部がチャネルと光通信している場合、k番目の信号検出器のj番目のチャネルの試験基準強度はRFUT-凹部jkである。
【0189】
ステップ358において、j番目のチャネル及びk番目の蛍光光度計についての非蛍光表面強度範囲RFU表面及び凹部強度範囲RFU凹部(RFU表面jk及びRFU凹部jk)を、メモリから取り出す。
【0190】
そして、ステップ360において、信号検出器(k)の動作性能状態を、試験基準強度RFUT-表面jk及び試験基準強度RFUT-凹部jkのうちの少なくとも1つに基づいて判定することができる。動作性能状態は、蛍光光度計が適切に動作しているかどうかを示すものである。例示的な動作性能状態としては、適切な動作状態(例えば、蛍光光度計が適切に動作し、そのセンサーに集束される検出光を補正する)、故障状態(例えば、蛍光光度計が適切に動作していない、そのセンサーに集束される光を検出しない)、及び劣化した性能状態(例えば、蛍光光度計が適切に動作していない、そのセンサーに集束される光を部分的にしか検出しない)が挙げられる。例えば、試験基準強度RFUT-表面jkは、非蛍光表面部分250がチャネルと光通信している場合、非蛍光表面強度範囲RFU表面と比較され、試験基準強度RFUT-凹部jkは、凹部がチャネルと光通信している場合、凹部強度範囲RFU凹部と比較される。一実施形態では、ステップ360は、試験基準強度RFUT-表面jkが所定の非蛍光表面強度範囲RFU表面内にあるかどうかを判定し、試験基準強度RFUT-凹部jkが所定の凹部強度範囲RFU凹部内にあるかどうかを判定するアルゴリズムにより実行される。
【0191】
試験基準強度RFUT-表面jkが所定の非蛍光面強度範囲RFU表面の外側にある場合、試験基準強度RFUT-凹部jkが所定の凹部強度範囲RFU凹部の外側にある、又は、信号検出器(k)の動作性能状態が、故障状態又は劣化した性能状態のいずれかを判定される、及び信号検出器(k)の可能性のある誤動作が示される、の両方であり、ステップ362において、可能性のある誤動作のエラー警告又は他の表示が提供される。いくつかの実施形態では、ステップ362で警告表示が提供されると、信号検出器(k)の動作を中断するか又は終了することができる。
【0192】
試験基準強度RFUT-表面jkが所定の非蛍光表面強度範囲RFU表面内にあり、試験基準強度RFUT-凹部jkが所定の凹部強度範囲RFU凹部内にある場合、信号検出器(k)は適切に機能していると考えられ、蛍光光度計が動作を継続している限り(停止条件に達するまで)ステップ366で動作は継続し、ステップ356、358、及び360を繰り返すことにより定期的な自己検査が実行される。
【0193】
一実施形態では、定期的な試験基準読み取り値を取って、50分毎に少なくとも1回、最初の基準読み取り値と比較することができるが、間隔は、ユーザの好み及び実行されるアッセイのタイプに応じて著しく変化し得る。停止条件は、試験若しくはアッセイの完了、試薬、MRD、若しくは他の使い捨て用品を補充するために装置の動作を停止する必要性、又は蛍光光度計自己検査中に、試験と初期との間の偏差、ベースライン、基準値が閾値を超えているか、により示され得る。
【0194】
ステップ358、360、362、及び364は、コンピュータ可読媒体に符号化又は格納されたステップ358、360、362、及び364を具現化するアルゴリズムを含むソフトウェアを実行するコントローラー(例えば、マイクロプロセッサー)により実行される。
【0195】
いくつかの実施形態では、信号検出器400がインキュベーター200又は信号検出器400を使用する任意の他の装置に設置される前に、ステップ352~360が行われ得る。例えば、ステップ352~360は、信号検出器400が製造されている間、又は直後に実行されて、インキュベーター200又は信号検出器400を利用する任意の他のデバイス内に設置される前に、信号検出器400が適切に動作していること(例えば、故障状態又は劣化した性能状態がステップ360で示されていないこと)を検証する。インキュベーター200又は信号検出器400を利用する他の任意の装置に、号検出器400を設置する前にステップ352~360を実行するいくつかの実施形態では、プロセス350からステップ364及び362を省くことができる。
【0196】
例示的なリアルタイム増幅アッセイ手順1900のプロセスステップを、
図27に示すフローチャートに例示する。手順1900は、1つ又は複数のインキュベーター、例えばインキュベーター200がコンポーネントであり、コンピュータ可読媒体に符号化又は格納された手順1900を具現化するアルゴリズムを含むソフトウェアを実行するコントローラー(例えば、マイクロプロセッサー)により制御される、アッセイ装置により実行される。
図27に示すプロセスは、Macioszekら、「Methods for Performing Multi-Formatted assays」と題する米国特許第7,897,337号に詳細に記載されている類似のプロセスと同様である。説明されたステップは、例示的なTAA手順のみを表す。以下に記載するステップを、変更若しくは省略することができ、又は所望のリアルタイム増幅アッセイ手順に従って他のステップを追加若しくは他のステップに代えることができる。多数の増幅手順を実行するための試薬配合物は、当技術分野で周知であり、本開示で使用されることができ、又は本開示での使用に容易に適合されることができる。例えば、Kacianら、米国特許第5,399,491号、Beckerら、米国特許第7,374,885号、Linnenら、「Compositions and Methods for Detecting West Nile Virus,」米国特許第7,115,374号、Weisburgら、「Compositions,Methods and Kits for Determining the Presence of Trichomonas Vaginalis in a Test Sample」米国特許第7,381,811号、及びKacian、「Methods for Determining the Presence of SARS Coronavirus in a Sample」米国特許出願公開第2010/0279276号A1を参照されたい。
【0197】
例示的なリアルタイムTAA増幅アッセイ手順1900のプロセスステップは、レセプタクル、例えばMRD160がサンプル移送ステーション(図示せず)内のピペット操作位置に移動されるステップ1902で始まる。ステップ1904では、サンプルピペットアセンブリ(図示せず)は、磁気応答性粒子を含む標的捕捉試薬(「TCR」)、例えば100μLのTCRを、レセプタクル内に、例えばMRD160の各レセプタクル162内に分注する。いくつかの実施形態では、TCRは、捕捉プローブ、細胞を溶解し試料材料中に存在するRNAsesの活性を阻害するための界面活性剤含有溶菌剤、例えばラウリル硫酸リチウム、及び約40μgのSera-Mag(商標)MG-CM修飾カルボキシレート(Seradyn,Inc.,Indianapolis,IN;Cat.No.24152105-050250)、1ミクロンの共有結合したポリ(dT)14を有する超常磁性粒子を含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、5’標的結合領域、及び磁性粒子に結合するポリ(dT)14に結合するためのポリ(dA)30テールを有する3’領域を含む。捕捉プローブの標的結合領域は、プライマー及び検出プローブにより標的化される領域とは異なる標的核酸の領域に結合するように設計される。
【0198】
ステップ1906では、サンプル、例えばサンプル40μLがレセプタクル内に分注される。ステップ1908では、レセプタクル、例えばMRD160をミキサー(図示せず)へ移動し、ステップ1909で、サンプルとTCRを例えば16Hzで60秒間混合する。
図27で与えられる時間及び量並びにその説明は、例示的に望ましい時間及び量であり、実際の時間及び量は、実際には、所定の望ましい時間及び量から変化し得ることに留意されたい。
【0199】
一実施形態において、アッセイ装置は、3つの異なる温度で維持される3つのインキュベーター、標的捕捉及びプライマーアニーリングのための温度、例えば64℃に保持される第1のインキュベーター;レセプタクル、AT結合、及びプライマー結合を予備加熱するための温度、例えば43.7℃に保持される第2のインキュベーター;増幅ための温度、例えば42.7℃に保持される第3のインキュベーターを備える。第1、第2、及び第3のインキュベーターは、上述したインキュベーター200と同様に構成され得るが、第1及び第2のインキュベーターは、信号検出器400を省略することができる。
【0200】
ステップ1910では、レセプタクルは第2のインキュベーターに移動されて、レセプタクル及びその内容物を例えば43.7℃の温度で276秒間予熱する。他の実施形態では、レセプタクルは、予熱ステップのための温度勾配ステーション(即ち、1つ又は複数のレセプタクルを受け入れ保持するように構成される温度制御収納装置(図示せず))内に配置されてもよい。ステップ1912では、レセプタクルを、サンプルから抽出された標的核酸への捕捉プローブのハイブリダイゼーションのために、例えば64℃で1701秒間保持する第1のインキュベーター(すなわち、標的捕捉(「TC」)インキュベーター)へ移動する。(この温度では、固定化ポリ(dT)14オリゴヌクレオチドへの捕捉プローブの明らかなハイブリダイゼーションは存在しない)。ステップ1914では、磁性粒子と会合した固定化オリゴヌクレオチドが捕捉プローブに結合できるように、AT結合のためにTCインキュベーターからレセプタクルが例えば43.7℃で313秒間保持される第2のインキュベーターへレセプタクルを移動する。ステップ1916では、レセプタクルを、レセプタクルが例えば18℃で481秒間保持される冷却チラー(即ち、1つ又は複数のレセプタクル(図示せず)を受け入れ保持するように構成される温度制御収納装置)へ移動する。
【0201】
ステップ1918では、1つ又は複数のレセプタクルを1つ又は複数の磁石に近接して保持するように構成された磁気パーキングステーション(図示せず)へ移動し、各レセプタクル162の内容物を磁場に曝して、標的捕捉試薬の磁気応答性粒子を、懸濁液から磁石に隣接するレセプタクルの一部分へ引き出す。適切な磁気パーキングステーションは、Davisら、「Method and System for Performing
a Magnetic Separation Procedure」米国特許出願公開第2010/0294047号に記載されている。
【0202】
ステップ1920では、Lairら、米国特許出願公開第2007/0243600号A1に記載されているように、レセプタクルを磁性分離洗浄手順のための磁性分離ステーション(図示せず)に移動させる。磁性分離ステーション内では、反応容器のすぐそばに選択的に配置される磁石を使用して、磁気応答性粒子を容器の一部に引き込み保持する。磁気応答性粒子及びそれに結合する任意の標的核酸は、その結果固定され、反応容器から流体を吸引することにより、ハイブリダイズされた核酸を脱ハイブリダイズされた核酸から分離することができる。容器からの液体内容物の最初の吸引の後、ステップ1922において、洗浄溶液、例えば1mLの洗浄溶液がレセプタクルに加えられる。ステップ1924は、レセプタクルの流体内容物が吸引された後、ステップ1926で洗浄溶液、例えば1mLをレセプタクルに添加することと、ステップ1928で100μLの油(例えばシリコーン油)又は他の表面処理剤をレセプタクルに添加することと、を含む第2の磁気洗浄を含む。ステップ1930では、最後の磁気洗浄手順が実行され(他の実施形態では、より多くの又はより少ない磁気洗浄手順が実行され得る)、続いてステップ1932において、油(例えば、シリコーン油)例えば100μLの油、又は表面処理剤の最後の分注が行われる。
【0203】
ステップ1928においてサンプル溶液に表面処理剤、例えばシリコーン油を添加することの利点は、添加が磁性分離洗浄手順のすすぎ及び吸引ステップ中に反応レセプタクル162の内表面に付着する材料の量を低減することであり、これにより、より効果的な磁性分離洗浄手順が容易することである。MRD160は、疎水性材料、例えばポリプロピレンで作られ得るが、材料、例えば洗浄溶液の小滴は、磁性分離洗浄手順の吸引ステップ中に、MRDレセプタクル162の内表面に更に形成され得る。磁性分離洗浄手順中にレセプタクル162から適切に除去されない場合、核酸増幅阻害剤を含有し得るこの残留材料は、アッセイ結果に影響を及ぼす可能性がある。別の方法では、表面処理剤をレセプタクル162に添加し、TCR及びサンプルを添加する前に除去してもよいし、又は、TCR及びサンプルを、場合によっては洗浄溶液と共に反応管から吸引した後に、表面処理剤を反応管に添加し、そして、増幅剤及び酵素試薬を反応管に添加する前に除去してもよい。目的は、レセプタクル162の内表面に表面処理剤のコーティングを設けることである。増幅反応の阻害剤は、当該分野で周知であり、使用されるサンプル供給源及び増幅手順に依存する。可能性のある増幅阻害剤としては、以下のものが挙げられる:血液サンプル由来のヘモグロビン;尿サンプル由来のヘモグロビン、硝酸塩、結晶及び/又はβ-ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン;ヌクレアーゼ;プロテアーゼ;陰イオン界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びラウリル硫酸リチウム(LLS);並びに上述のように、核酸ベースの増幅反応において使用される共同因子であるマグネシウムのような二価陽イオンに結合するいくつかの標本の抗凝固剤及び固定剤であるEDTA。例えば、Mahonyら、J.Clin.Microbiol.,36(11):3122-2126(1998)、Al-Soud,J. Clin.Microbiol.,39(2):485-493(2001)、及びKacianら、「Method for Suppressing Inhibition of Enzyme-Mediated Reactions By Ionic Detergents Using High Concentration of Non-Ionic Detergent」米国特許第5,846,701号を参照されたい。ステップ1932では、操作中における液体内容物の蒸発及び飛散を防止するために、MRD160の各反応容器162にシリコーンオイルが添加される。
【0204】
ステップ1934では、冷蔵環境に保存されている増幅試薬を各レセプタクルに加え、レセプタクルは例えば45℃に増幅負荷ステーション(図示せず)において保持される。ステップ1936では、増幅試薬、例えば75μLを負荷ステーション内に配置されたレセプタクルに分注し、そしてレセプタクルは負荷ステーションに組み込まれたミキサーにより16Hzで25秒間混合される。例示的なTAA反応の場合、増幅試薬は、RNAポリメラーゼにより認識される3’標的結合領域及び5’プロモーター配列を有するアンチセンスプロモーター-プライマーと、プロモーター-プライマーで形成される延長産物に結合するセンスプライマーと、ヌクレオシド三リン酸(即ち、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、ATP、CTP、GTP及びUTP)と、TAA反応を実行するのに十分な共同因子とを含有する。リアルタイムTAA増幅アッセイの場合、増幅試薬はまた、鎖置換と、相互作用する標識対(例えば、相互作用する蛍光部分と、従来の手段により、その5’末端及び3’末端に結合する消光体部分)を有す分子トーチプローブと、増幅が発生している場合に増幅産物に対して、いくつかの実施形態では、レセプタクルに存在し得るあらゆる非標的核酸以外に対してに検出可能にハイブリダイズすることができる標的特異領域と、を含む。Kacianら、米国特許第5,399,491号、Beckerら、「Single-Primer Nucleic Acid Amplification」米国特許第7,374,885号(副産物形成を最小にするために、3’末端でブロックされたアンチセンスプライマー及びセンスプロモーターオリゴヌクレオチドを用いる別のTAAベースの増幅アッセイを開示している)、並びにBeckerら、米国特許第6,361,945号を参照されたい。
【0205】
ステップ1938では、レセプタクルを第2インキュベーターに移動させ、例えば43.7℃で286秒間予熱する。ステップ1940では、レセプタクルを第1のインキュベーターに移動させ、プライマーのアニーリングのために、例えば64℃で636秒間インキュベートする。ステップ1942において、レセプタクルを第2のインキュベーターに移動され、標的核酸へのプロモーター-プライマーの結合のために、例えば43.7℃で405秒間インキュベートする。いくつかの実施形態では、プロモーター-プライマーは、T7 RNAポリメラーゼにより認識されるプロモーター配列を有することができる。
【0206】
ステップ1944では、レセプタクルは、酵素試薬の添加のために、例えば45℃で負荷ステーションへ移動される。工程1946では、酵素、例えば25μLを添加し、MRDを例えば10Hzで15秒間混合する。ステップ1948において、レセプタクルを第3のインキュベーター(増幅インキュベーター)へ移動し、レセプタクルの内容物を増幅のために、例えば42.7℃で3569秒間インキュベートする。増幅中、リアルタイム蛍光測定がステップ1950で行われる。一実施形態では、ステップ1950は、レセプタクルキャリア242の回転中に複数のリアルタイム蛍光測定を行うことを含み、それにより各MRD160の各レセプタクル162は、レセプタクルキャリア242の1回転につき1回、各信号検出器400によりデータを取得される。ステップ1950の間、各信号検出器400の各チャネルは、
図18に示す自動化された自己チェック手順350のステップ356~366を使用して、定期的に、例えば、上述したように、レセプタクルキャリア242の1回転ごとに、又はレセプタクルキャリア242の5回転ごとに少なくとも1回自己検査される。いくつかの実施形態では、酵素試薬は、TAAを実行するための逆転写酵素及びT7 RNAポリメラーゼを含有する。
【0207】
核酸に基づくアッセイが完了した後、次の増幅反応の可能性のある汚染防止のために、反応容器中の核酸及び関連する増幅産物を破壊する失活試薬で反応混合物を処理することができる。このような例では、増幅及びリアルタイム測定に続いて、ステップ1952では、レセプタクルは、不活性化キュー又はモジュール(図示せず)に移動され、ステップ1954では、レセプタクル内に存在する核酸を失活させる(即ち、増幅できないように核酸を変える)ために、漂白剤系薬剤、例えば各レセプタクルに2mLの漂白剤系薬剤を供給する。このような不活性化剤としては、他の適切な不活性化剤の中でも、核酸の一次化学構造を修飾する、オキシダント、還元剤、及び反応性化学物質を含むことができる。これらの試薬は、核酸がRNAであるかDNAであるかにかかわらず、増幅反応に対して核酸を不活性にすることにより作用する。このような化学剤の例としては、次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)溶液、過マンガン酸カリウム溶液、ギ酸、ヒドラジン、硫酸ジメチル及び類似の化合物が挙げられる。失活プロトコルの更なる詳細は、例えば、Dattaguptaら、米国特許第5,612,200号、及びNelsonら、米国特許出願公開第2005/0202491号A1に見出すことができる。
【0208】
インキュベーター200は、MRD160のレセプタクル162内に位置する未消光の蛍光色素分子の濃度をリアルタイムで測定するように構成される複数の信号検出器400を含む。そして、アッセイは、増幅により標的の濃度が増加するにつれて蛍光信号が増加するように設計される。したがって、信号検出器400は、蛍光信号の出現を監視することにより増幅プロセスを監視するために使用され得る。
【0209】
所定の間隔で所定の時間に各レセプタクル162からの蛍光放射を測定することによりデータを収集すると、蛍光光度計が適切に機能していることを確認するために上述のように蛍光光度計を定期的に自己検査しながら、MRD160のレセプタクル162に収容されたサンプル中の特定の分析物(例えば、標的核酸)の濃度を決定するようにデータを処理する。測定されたデータ、即ち測定された信号は、相対蛍光単位(「RFU」)を単位として表され、それは、センサー423上に集束された蛍光放射の量に基づいて、信号検出器400の検出PCB422により生成される信号である。所定の時間間隔で測定される各データ点は、RFU(t)である。「成長曲線」として知られる様々なデータセットのRFU(t)のプロットを
図29に示す。一般に、各RFU(t)プロットは、形状がほぼS字状であり、初期の最小レベル又はその近傍における(「静的レベル」又は「ベースライン段階」として知られている)平坦部分と、続いて(「成長段階」として知られている)急峻で比較的険しい勾配部分と、及び最大レベル又はその近傍における(「プラトー段階」として知られている)ほぼ平坦な部分で終わること、を特徴とする。
【0210】
本明細書で使用する場合、「成長曲線」とは、時間又はサイクル数の関数として反応において、合成産物、例えば増幅産物の出現の特徴的なパターンを指す。成長曲線は、産生量、例えば蛍光測定、例えばRFU(y軸)のある指標に対する時間(x軸)の二次元プロットとして便利に表される。全てではないが、いくつかの成長曲線はS字形状を有する。成長曲線の「ベースライン段階」とは、産生(例えば増幅産物)の量が実質的に一定の割合で増加する曲線の初期段階を指し、この速度は成長曲線の(対数線形プロファイルを有し得る)成長段階の増加特性の速度よりも低い。成長曲線のベースライン段階は、典型的に非常に緩やかな勾配を有し、しばしばゼロに近似する。成長曲線の「成長段階」とは、測定可能な産生物が時間と共に実質的に増加する曲線部分を指す。典型的な核酸増幅反応におけるベースライン段階から成長段階への遷移は、時間と共に増加する速度で増幅産物が出現することを特徴とする。成長曲線の成長段階からプラトー段階への遷移は、増幅産物の出現速度が低下し始める変曲点で始まる。「プラトー段階」とは、曲線の最終段階を指す。プラトー段階では、測定可能な産生物形成速度は、対数線形成長段階における増幅産物産生速度よりも実質的に低く、ゼロに近づく場合さえある。
【0211】
分析物濃度を計算するための例示的なプロセスを
図28のフローチャートに示す。ステップ2100に示すように、信号検出器400からのRFU(t)データは、入力される。RFU(t)データは、ステップ2104で始まる閾値時間決定に進む。閾値時間又はT時間(出現時間としても知られている)とは、後述するように正規化されたデータRFU(t)が所定の閾値に達する時間を指す。以下でより詳細に説明するように、較正曲線を使用して、特定のサンプルについて決定されたT時間を、分析物濃度と相関させることができ、それによりサンプルの分析物濃度を示すことができる。一般的に、目的の分析物の濃度がより高いほど、より早くT時間に達する。
【0212】
T時間決定手順の第1のステップは、ステップ2106に示すように、データのバックグラウンド補正及び正規化である。バックグラウンド補正は、例えば漂遊電磁信号からバックグラウンド「ノイズ」に起因する信号データRFU(t)のその部分を差し引くために実行される。即ち、バックグラウンドノイズは、目的の分析物以外の原因に起因するRFU(t)信号のその部分を含む。バックグラウンド補正は、調整されたデータRFU*(t)を得るように、データRFU(t)からバックグラウンド値「BG」を差し引くことにより実行される。即ち、RFU*(t)=RFU(t)-BG。
【0213】
バックグラウンド値BGを、いくつかの方法で決定することができる。
【0214】
バックグラウンドノイズを決定するいくつかの実施形態では、第1のステップは、データ点間の時間間隔を決定することである。時間間隔は、サイクル時間(即ち、連続するデータ測定間の時間)にデータ点(即ち、0番目のデータ点、1番目のデータ点、2番目のデータ点、...、n番目のデータ点)を乗じ、60秒で割ることにより決定される。例えば、サイクル時間を30秒とすると、15番目のデータ点の時間間隔は(15×30秒)/60秒=7.5である。
【0215】
次のステップは、最小信号データ点と最大信号データ点を足して、2で割ることにより信号データの中間点を見つけることである。即ち、中間点は(RFUmax+RFUmin)/2である。
【0216】
次に、中間点の値に対応する時点から開始して逆向きに計算して、各データ点の対の勾配を算出する:(RFU(t)-RFU(t-1))/Δt(t→t-1)。
【0217】
次に、静的勾配値より小さい第1の勾配値(即ち、RFU(t)曲線がその上向き勾配を開始する前の値)を見つけることにより、RFU(t)の勾配が平坦化する場所を決定する。「デルタ値」としても知られる代表的な静的勾配値としては、0.0001が挙げられる。この勾配を見出した後、負ではない、又は例えば負のデルタ値(即ち、-0.0001)を超える勾配がある次のサイクルを決定し、この値をH指数とする。次に、第1のデータ点から始まり、H指数値に対応するRFU値に行くRFU(t)値の全範囲の平均が決定される。このデータの平均は、静的バックトリム値0.15(即ち、指定範囲のRFU値の最低の7.5%及び指定範囲のRFU値の最高の7.5%は除外される)を使用するこの範囲のデータにExcelのTRIMMEAN関数を使用して、計算することができる。この平均値はバックグラウンド値BGである。
【0218】
あるいは、バックグラウンド値BGは、0.0001以外のデルタ値を用いて上述の手順に従って決定されることができる。
【0219】
バックグラウンド値BGを決定するための更に別の方法は、デルタ値基準を除き、代わりにサイクル1から所定の終点、例えば5.5分の直前のサイクルまでのRFUデータのTRIMMEAN平均を決定する。この代替案では、静的バックトリム値を、例えば0.40(即ち、指定範囲内のRFU値の最低の20%及び指定範囲内のRFU値の最高の20%は、バックグラウンド計算から除外される)に補正することができる。
【0220】
バックグラウンド値BGを決定する更なる別の方法は、差し引かれるバックグラウンドであるベースライン値の推定値を導出するためにRFUデータの全部又は一部にカーブフィッティングを実行することである。曲線をRFUデータにフィッティングさせるのに適した任意のカーブフィッティング技術を使用することができる。
【0221】
例示的なカーブフィッティング技術は、典型的には核酸増幅に関連するS字状曲線をフィッティングするためのWeustenらによって導出された式の一部を使用する。Weustenら、Nucleic Acids Research、30(6e26):1-7(2002)を参照のこと。バックグラウンド差し引きの場合、ベースラインレベルを確認するだけでよい。したがって更に、曲線をベースラインを含むRFUデータの第1の部分に、通常は曲線の始めに向かってフィッティングさせるだけでよい。
【0222】
カーブフィッティングは、サイクル1から最大RFUの75%の直前のサイクルまでのRFU(t)データに対して実行することができる。上述のように、Weustenらによって導出された方程式の一部である以下の多項式は、RFUデータの最良フィッティングモデルを生成するために使用される。
RFU(t)=Y0+a1a2[ea2(t-a3)/(1+ea2(t-a3))]ln(1+ea2(t-a3))
【0223】
以下で説明するように、変数Y0、a1、a2、及びa3の初期推定値がカーブフィッティング方程式に入力され、この方程式をRFUデータにフィッティングさせる反復解法が、例えばMicrosoft ExcelのSOLVER関数を用いて実行されて、Y0、a1、a2、a3の最終的な方程式と最終的な値が得られる。
Y0=ベースライン;初期値はRFU(1)とすることができる。
a1=RFU(t)データの急峻部分(成長段階)に関連する;0.05がa1の適切な初期推定値とすることができる。
a2=RFU(t)データの急峻部分(成長段階)に関連する;1.0はa2の適切な初期推定値とすることができる。
a3=ベースラインと勾配の形体との間の遷移に関連する;RFU(t)がRFUmaxの25%の直前の値に達する時間又はサイクルは、a3の適切な初期推定値である。
【0224】
Y0、a1、a2、及びa3の最終値が導出されると、Y0はバックグラウンドとして処理され、カーブフィッティングが実行されたRFU(t)データから差し引かれる。
【0225】
上述したもの以外のカーブフィッティング方程式を使用することができる。例えば、市販のTABLECURVEソフトウェアパッケージ(SYSTAT Software Inc.、Richmond、CA)を使用して、例示的なリアルタイム核酸増幅曲線を描く方程式を識別及び選択することができる。数学的モデリングに使用されるそのような例示的な結果の方程式の1つは、以下の方程式により与えられる。
RFU(t)=Y0+b(1-exp(-(t-d*ln(1-2^(-1/e))-c)/d))^e
更に別の例示的な結果の方程式は、以下の方程式により与えられる。
RFU(t)=Y0+b/(1+exp(-(t-d*ln(2^(1/e)-1)-c)/d))^e
【0226】
いずれの場合も、上記のように、例えばMicrosoft ExcelのSOLVER関数を用いて方程式を解くことができ、Y0及び他のパラメータの最終的な方程式及び最終値が得られ、解はRFU(t)データから差し引かれるバックグラウンドであるY0を与える。
【0227】
ステップ2106では、データを正規化するために、バックグラウンドに対して補正された各データ点を、バックグラウンドに対しても補正された最大データ点で除算する。即ち、
【化1】
したがって、RFU
n(t)は-1~1となる。
【0228】
ステップ2108では、RFUn(最大)からRFUn(最小)を差し引くことにより、データの範囲が計算される。計算された範囲が指定された最小範囲(例えば、0.05)に一致しないか、又は超える場合、データは疑わしく、信頼性が疑わしいとみなされ、従ってT時間は計算されない。最小範囲は経験的に決定され、蛍光測定装置によって異なる場合がある。理想的には、指定された最小範囲は、最小値から最大値までのデータ値の変動がシステムのノイズを超えるように選択される。
【0229】
ステップ2110において、正規化されたバックグラウンド補正データにカーブフィッティング手順が適用される。任意の周知のカーブフィッティング法を用いることができるが、一実施形態では、線形最小二乗(「LLS」)カーブフィッティングが用いられる。カーブフィッティングは、所定の下界と上界との間のデータの一部分のみに対して実行される。最終目標は、データにフィッティングする曲線を見つけた後、曲線が所定の閾値を横切る点に対応する時間を見つけることである。一実施形態では、正規化されたデータの閾値は0.11である。上界及び下界は、様々な制御データセットに曲線をフィッティングし、様々な曲線が選択された閾値を横切る時間を観察することにより経験的に決定される。上界及び下界は、曲線が所定の閾値を横切る時間において曲線が最も小さい変動を示すデータ範囲のそれぞれ上端及び下端を規定する。一実施形態では、下界は0.04及び上界は0.36である。
図29を参照。曲線は、下界よりも低い第1のデータ点から上界を超える第1のデータ点を通って延びるデータにフィッティングする。
【0230】
ステップ2110で、フィッティングの傾きが統計的に有意であるかどうかを判定する。例えば、一次係数のp値が0.05未満である場合、フィッティングは有意であると考えられ、処理は継続する。そうではない場合、処理は停止する。あるいは、データの有効性を、R2値により判定することができる。
【0231】
線形曲線y=mx+bの傾きm及び切片bが、フィッティングされた曲線について決定される。その情報を用いて、ステップ2104でT時間を以下のように決定することができる。
【化2】
T時間を決定するためにフィッティングされた曲線を用いる技術を、
図30に図式的に例示している。
【0232】
ステップ2116において、内部対照/キャリブレータ補正が望ましいか否かが決定される。典型的には、試験手順は、対照として(目的の核酸以外の)既知の濃度の核酸を有する少なくとも1つの反応容器を含む、又は代替的に対照核酸配列を各サンプルに添加することができる。既知の濃度は、反応が反応容器内で起こったことを確認するための対照として単に使用することができる。即ち、既知の濃度が予想通りに増幅される場合、反応が成功したことが確認され、標的分析物に関する悪い結果は、サンプル中の標的の不在によるものと結論づけられる。他方、既知の濃度を予想通りに増幅できないことは、反応の失敗を示し、標的に関するあらゆる結果は無視される。
【0233】
既知の濃度を用いて、標的の濃度を較正することができる。統計的に有効な数のデータセットに対して、内部対照及び標的配列を含む一連の標準に対応するT時間が決定される。このデータを用いて、以下に記載するように試験サンプルの濃度が補間される較正プロットが構築される。
【0234】
較正プロットを構築する1つの方法は、標的分析物の既知の濃度をx軸上に置き、対して標的T時間と対照T時間との間の差をy軸上に置く。続いて、試験サンプルの濃度を較正曲線のフィッティングから補間する。較正プロットを構築する別の方法は、標的分析物の既知の濃度をx軸上に置き、対して[ターゲットT時間/内部対照T時間]をy軸上置く。続いて、試験サンプルの濃度を較正曲線のフィッティングから補間する。これの一例が、Haalandら、「Methods,Apparatus and Computer Program Products for Determining Quantities of Nucleic Acid Sequences in Samples Using Standard Curves and Amplification Ratio Estimates,」米国特許第6,066,458号に開示されている。更に較正プロットを構成する別の方法は、パラメトリック較正方法、例えばカリック(Carrick)ら、「Parametric Calibration Method」米国特許第7,831,417号に記載されている方法を利用する。
【0235】
時には、データセットは、最初の静的ベースライン(即ち、RFU(t)曲線の最初の平坦な部分、
図29参照)の直後、及びデータが上向きの勾配を開始する直前に、落下を示すことがある。このようなデータを識別し修正するため、及びそのデータのT時間を決定する前に、以下のアルゴリズムが採用される。H
指数から始めて、それぞれのRFU(t)値をチェックして、バックグラウンド値BGよりも小さいかどうかを判断する。「はい」の場合は、BGからRFU(t)を差し引く(結果は正の数でなければならない)。これはCor値となる。バックグラウンド減算値にCor値を加えると、RFU(t)がベースラインまで上昇する。最新のCor値が以前のCor値よりも小さくなるまで、各RFU(t)値に対してこの分析を進める。残りのバックグラウンド減算RFU(t)値のそれぞれに最大のCor値を加える。ここで、訂正されたデータセットを正規化し、上述のようにT時間を決定することができる。
【0236】
カーブフィッティング方法を用いてバックグラウンドレベルを導出する場合、上記の下降補正を必ずしも実行する必要はない。いくつかの実施形態では、残りのデータ点と比較して異常値を示すデータ点を識別し、必要に応じて破棄するために、データセットの外れ値検出を実行することができる。周知の外れ値検出方法のいずれかを使用することができる。
【0237】
定量手順2120は、分析物濃度決定の第2の部分である。既知の条件のための分析物の既知濃度のT時間を決定する。このデータを用いて、分析物濃度(典型的にはLogコピーとして表される)とT時間との間の関係を導出することができる。特定のサンプルのT時間を決定した後、導出された関係(Logコピー=f(T時間))を用いて、サンプルの分析物濃度を決定することができる。
【0238】
より具体的には、ステップ2122及び2124において、既知の濃度の対照分析物に関する較正/対照データセットは、例えば外れ値分析及び/又は他の既知のデータ検証方法によって検証される。データが有効であると判明した場合、較正は継続し、そうでなければ較正は停止する。
【0239】
対照データセットのT時間が決定され、特定の条件(例えば、特定のバッチロットの試薬で処理されたサンプル)の全てのサンプルについて、T時間対Logコピーがプロットされる。ステップ2126では、データに最もフィッティングする線の勾配m及び切片bを求めるために、カーブフィッティング、例えば線形最小二乗フィッティングが、T時間対Logコピープロットの一部に対して実行される。利用可能なT時間対Logコピーデータポイント(「キャリブレータ」として知られている)の数が(ステップ2128で決定された)所定の最小のキャリブレータの数以上である場合、最低のキャリブレータがある場合には、ステップ2130で以下の様に除去される。
【0240】
キャリブレータのデータ点に最適なフィッティングラインを見出した後、2次及び3次のカーブフィッティングも同様に試験される。これらのフィッティングが1次線形フィッティングよりも非常に優れている場合、線形カーブフィッティングから最も離れたキャリブレータデータポイントが破棄され、1次、2次、及び3次のフィッティングを見出し、残りのキャリブレータと再度比較する。このプロセスは、キャリブレータの数がキャリブレータの許容可能な最小の数以上であると仮定すると、2次と3次のフィッティングが1次の線形フィッティングよりも著しく改善されなくなるまで、繰り返さる。
【0241】
線形T時間対Logコピー方程式が導出されると、サンプルの目的の分析物の濃度(Logコピーとして)が、ステップ2132で、そのサンプルのT時間を式に代入することにより決定される。したがって、アッセイ結果は2134で得られる。
【0242】
本明細書で言及される全ての文書は参照により本明細書に盛り込まれる。しかし、請求される主題の先行技術であると認められる書類はない。
【0243】
本開示の態様は、制御及び計算ハードウェア構成要素、ユーザ作成ソフトウェア、データ入力構成要素、並びにデータ出力構成要素を介して実行される。ハードウェア構成要素は、1つ又は複数の入力値を受け取ること、入力値を操作する、又は別の方法で入力値に作用する命令を提供する非一時的機械可読媒体(例えば、ソフトウェア)上に格納される1つ又は複数のアルゴリズムを実行することにより、計算及び/又は制御ステップを実行するように、並びに、1つ又は複数の出力値を出力するように構成される計算及び制御モジュール(例えば、システムコントローラー)、例えばマイクロプロセッサー及びコンピュータを含む。このような出力は、例えば、装置の状態若しくはそれにより実行されるプロセスに関する情報をオペレーターに提供するために、オペレーターに表示されるか、若しくは他の方法で指示されてもよく、又はこのような出力は、他のプロセス及び/又は制御アルゴリズムへの入力を含むことができる。データ入力構成要素は、制御及び計算ハードウェア構成要素による使用のためにデータが入力される要素を備える。このようなデータ入力は、位置センサー、モータエンコーダ、並びに手動入力要素、例えば、グラフィックユーザインターフェース、キーボード、タッチスクリーン、マイクロホン、スイッチ、手動操作式スキャナ、音声作動入力等を含むことができる。データ出力構成要素は、ハードドライブ又は他の記憶媒体、グラフィックユーザインターフェース、モニター、プリンタ、インジケータライト、又は可聴信号要素(例えば、ブザー、ホーン、ベル等)を含むことができる。
【0244】
ソフトウェアは、制御及び計算ハードウェアによって実行される場合、制御及び計算ハードウェアに1つ若しくは複数の自動化又は半自動化プロセスを実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体に格納された命令を含む。
【0245】
本開示は、特定の例示的な実施形態を参照して、特徴の様々な組み合わせ及び部分的な組み合わせを含め、かなり詳細に記載及び図示されているが、当業者は、本開示の範囲内に包含されるような他の実施形態、並びにその変形及び修正を容易に理解するであろう。更に、そのような実施形態、組み合わせ、及び部分的な組み合わせの説明は、本開示が特許請求の範囲に明示的に記載されるもの以外の特徴又は特徴の組み合わせを必要とすることを伝えることを意図しない。したがって、本開示は、以下の添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に包含される全ての修正及び変形を含むものとみなされる。
【0246】
発明の概要でも要約の節でもなく、発明を実施するための形態の節は、請求請求の範囲を解釈するために使用されることを意図することを理解されたい。発明の概要及び要約の節は、発明者が考えた本発明の1つ又は複数の、しかし全てではない例示的な実施形態を説明し、したがって、本発明及び添付の特許請求の範囲をなんら限定するものではない。
【0247】
実施形態を、特定の機能の実装及びその関係を例示する機能的構成要素を用いて、上述した。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書において任意に定義されている。指定された機能及びそれらの関係が適切に実行される限り、代わりの境界を定義することができる。
【0248】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにし、他の人が当業者の知識を適用することにより、過度の実験をすることなく、かつ本発明の一般的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を様々な用途に容易に修正及び/又は適合させることができるであろう。したがって、このような適合及び修正は、本明細書に提示された教示及び指針に基づいて、開示された実施形態の均等物の意味及び範囲内にあることが意図される。本明細書の表現又は用語は、本明細書の用語又は表現が教示及び指針に照らして当業者により解釈されるように、説明を目的とするものであって、限定するものではないことを理解されたい。
【0249】
本発明の広がり及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれかにより限定されるべきではなく、以下の添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物に従ってのみ規定されるべきである。
【0250】
本発明を上述の実施形態に関連して説明してきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を包含することが意図されることを理解されたい。
【0251】
更に、米国特許法第112条第6項の下で許可されている「特定の機能を実行するための手段」形式の文言を含まない添付の特許請求の範囲のものは、米国特許法第112条第6項の下に基づいて本明細書及びそれらの均等物に記載された構造、材料、又は行為に限定されるものとして解釈されることを意図しない。
【外国語明細書】