(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093432
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】酵素的に切断可能な基を有する抗体薬物コンジュゲート(ADC)
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20220616BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220616BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220616BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220616BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20220616BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220616BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220616BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220616BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20220616BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61P43/00 111
A61P35/00
A61K39/395 T
A61K39/395 L
A61K31/40
A61K47/68
C07K19/00
C12N15/13
C07K16/46
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022072343
(22)【出願日】2022-04-26
(62)【分割の表示】P 2019533395の分割
【原出願日】2017-12-14
(31)【優先権主張番号】16205868.9
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】514298139
【氏名又は名称】バイエル・ファルマ・アクティエンゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ゲオルク・レルヒェン
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ-ソフィー・レブストック
(72)【発明者】
【氏名】ベアトリクス・シュテルテ-ルートヴィヒ
(72)【発明者】
【氏名】デニス・キルヒホフ
(72)【発明者】
【氏名】リーザ・ディーツ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・マーラート
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ・グレーフェン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・メルシュ
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ・ベルント
(72)【発明者】
【氏名】アネッテ・ソマー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニ・ハンマー
(57)【要約】
【課題】がん治療に有益である、より有効な化合物を提供することが本発明の目的である。
【解決手段】本発明は、改善された特性を有する新規な結合剤-薬物コンジュゲート(ADC)、これらのADCの活性代謝産物、およびその調製方法に関する。本発明はさらに、疾患を治療および/または予防するためのこれらのコンジュゲートの使用、ならびに疾患、特に、例えばがん疾患などの過剰増殖性および/または血管新生障害を治療および/または予防するための医薬品を調製するためのこれらのコンジュゲートの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CXCR5に結合する抗体又は抗原結合抗体フラグメントであって、
配列番号92によって示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号93によって示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号94によって示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖、ならびに配列番号96によって示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号97によって示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号98によって示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖を含む、抗体又は抗原結合抗体フラグメント。
【請求項2】
可変重鎖が配列番号91を含む、請求項1に記載の抗体又は抗原結合抗体フラグメント。
【請求項3】
可変軽鎖が配列番号95を含む、請求項1又は2に記載の抗体又は抗原結合抗体フラグメント。
【請求項4】
配列番号101を含む重鎖を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合抗体フラグメント。
【請求項5】
配列番号105を含む軽鎖を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合抗体フラグメント。
【請求項6】
CXCR5発現に関連する疾患の治療のための方法に使用するための医薬であって、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合抗体フラグメントを含む医薬。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合抗体フラグメントと、化学療法剤とを含む、コンジュゲート。
【請求項8】
化学療法剤がキネシンスピンドルタンパク質の阻害剤を含む、請求項7に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
CXCR5発現に関連する疾患の治療のための方法に使用するための医薬であって、請求項8に記載のコンジュゲートを含む医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された特性を有する新規な結合剤-薬物コンジュゲート(ADC)、これらのADCの活性代謝産物、およびその調製方法に関する。本発明はさらに、疾患を治療および/または予防するためのこれらのコンジュゲートの使用、ならびに疾患、特に、例えばがん疾患などの過剰増殖性および/または血管新生障害を治療および/または予防するための医薬品を調製するためのこれらのコンジュゲートの使用に関する。このような治療は、単独療法として、または他の医薬品もしくはさらなる治療手段と組み合わせて行うことができる。本発明によると、結合剤は好ましくは抗体である。
【背景技術】
【0002】
がんは、最も多様な組織の制御されない細胞増殖の結果である。多くの場合、新たな細胞が既存の組織に侵入する(侵入性増殖)、または遠隔器官に転移する。がんは多種多様な器官に発生し、しばしば組織特異的経過をたどる。したがって、一般的な用語としての「がん」という用語は、様々な器官、組織および細胞型の定義された疾患の大きなグループを記載する。
【0003】
初期段階のいくつかの腫瘍は、外科的処置および放射線療法の処置によって除去することができる。転移した腫瘍は、原則として、化学療法剤によって緩和的に治療することができるにすぎない。ここでの目的は、生活の質の向上と延命の最適な組み合わせを達成することである。
【0004】
特に、腫瘍関連抗原に対する内在化抗体がリンカーを介して細胞傷害剤と共有結合している抗体薬物コンジュゲート(ADC)の形態の、結合剤タンパク質と1つまたは複数の薬物分子のコンジュゲートが知られている。ADCの腫瘍細胞への導入およびその後のコンジュゲートの解離の後、細胞傷害剤自体またはそこから形成される細胞傷害性代謝産物のいずれかが腫瘍細胞内に放出され、その中で作用を直接および選択的に展開することができる。このようにして、従来のがん化学療法とは対照的に、正常な組織への損傷が、かなり狭い限度に抑制される[例えば、J.M.Lambert、Curr.Opin.Pharmacol.5、543~549(2005);A.M.WuおよびP.D.Senter、Nat.Biotechnol.23、1137~1146(2005);P.D.Senter、Curr.Opin.Chem.Biol.13、235~244(2009);L.DucryおよびB.Stump、Bioconjugate Chem.21、5~13(2010)参照]。例えば、国際公開第2012/171020号パンフレットは、複数の担毒体分子がポリマーリンカーを介して抗体と結合しているADCを記載している。可能性のある担毒体として、国際公開第2012/171020号パンフレットには、とりわけ、物質SB743921、SB715992(イスピネシブ)、MK-0371、AZD8477、AZ3146およびARRY-520が挙げられている。
【0005】
最後に挙げられた物質は、キネシンスピンドルタンパク質阻害剤である。キネシンスピンドルタンパク質(KSP、Eg5、HsEg5、KNSL1またはKIF11としても知られている)は、双極性紡錘体が機能するために不可欠なキネシン様モータータンパク質である。KSPの阻害は有糸分裂停止をもたらし、比較的長期にわたって、アポトーシスをもたらす(Taoら、Cancer Cell 2005年7月8(1)、39~59)。最初の細胞透過性KSP阻害剤であるモナストロールの発見後、KSP阻害剤は、新規な化学療法剤のクラスとして確立しており(Mayerら、Science 286:971~974、1999)、これらはいくつかの特許出願の主題である(例えば、国際公開第2006/044825号パンフレット;国際公開第2006/002236号パンフレット;国際公開第2005/051922号パンフレット;国際公開第2006/060737号パンフレット;国際公開第03/060064号パンフレット;国際公開第03/040979号パンフレット;および国際公開第03/049527号パンフレット)。しかしながら、KSPは、有糸分裂期の間の比較的短期間にのみ活性であるので、KSP阻害剤は、この期の間に十分に高い濃度で存在しなければならない。国際公開第2014/151030号パンフレットは、一定のKSP阻害剤を含むADCを開示している。しかしながら、最適な活性プロファイルを有さない酵素的に切断可能なリンカーも含むKSP阻害剤を有するADCは、特許出願、国際公開第2015/096982号パンフレットおよび国際公開第2016/096610号パンフレットに既に開示されている。
【0006】
レグマインは、腫瘍関連アスパラギニルエンドペプチダーゼであり(S.Ishii、Methods Enzymol.1994、244、604;J.M.ChenらJ.Biol.Chem.1997、272、8090)、例えば中でもドキソルビシンおよびエトポシド誘導体といった小型細胞傷害性分子のプロドラッグの処理に利用されてきた(W.WuらCancer Res.2006、66、970;L.SternらBioconjugate Chem.2009、20、500;K.M.BajjuriらChemMedChem 2011、6、54)。
【0007】
他のリソソーム酵素は、例えば、カテプシンまたはグリコシダーゼ、例えばβ-グルクロニダーゼであり、これらもプロドラッグの酵素的切断による活性化合物の放出に利用されてきた。インビボで酵素的に切断可能な基は、特に2~8-オリゴペプチド基またはグリコシドである。ペプチド切断部位は、Bioconjugate Chem.2002、13、855~869およびBioorganic&Medicinal Chemistry Letters 8(1998)3341~3346およびまたBioconjugate Chem.1998、9、618~626に開示されている。これらには、例えば、バリン-アラニン、バリン-リジン、バリン-シトルリン、アラニン-リジンおよびフェニルアラニン-リジン(場合により追加のアミド基を有する)が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2012/171020号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/044825号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/002236号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2005/051922号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/060737号パンフレット
【特許文献6】国際公開第03/060064号パンフレット
【特許文献7】国際公開第03/040979号パンフレット
【特許文献8】国際公開第03/049527号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2014/151030号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2015/096982号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2016/096610号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.M.Lambert、Curr.Opin.Pharmacol.5、543~549(2005)
【非特許文献2】A.M.WuおよびP.D.Senter、Nat.Biotechnol.23、1137~1146(2005)
【非特許文献3】P.D.Senter、Curr.Opin.Chem.Biol.13、235~244(2009)
【非特許文献4】L.DucryおよびB.Stump、Bioconjugate Chem.21、5~13(2010)
【非特許文献5】Taoら、Cancer Cell 2005年7月 8(1)、39~59
【非特許文献6】Mayerら、Science 286:971~974、1999
【非特許文献7】S.Ishii、Methods Enzymol.1994、244、604
【非特許文献8】J.M.ChenらJ.Biol.Chem.1997、272、8090
【非特許文献9】W.WuらCancer Res.2006、66、970
【非特許文献10】L.SternらBioconjugate Chem.2009、20、500
【非特許文献11】K.M.BajjuriらChemMedChem 2011、6、54
【非特許文献12】Bioconjugate Chem.2002、13、855~869
【非特許文献13】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 8(1998)3341~3346
【非特許文献14】Bioconjugate Chem.1998、9、618~626
【発明の概要】
【0010】
先行技術は、酵素的に切断可能なリンカーを有する種々の抗体-薬物コンジュゲートを開示しているが、これらは、例えば、様々な細胞に対するそれらの広い活性に関して、最適な活性プロファイルを有していない。したがって、比較的低濃度で投与した後に、持続性アポトーシス作用を示し、したがってがん治療に有益である、より有効な化合物を提供することが本発明の目的である。一方、ここでは、ADCから細胞内に放出された代謝産物のプロファイルが重要な役割を果たしている。しばしば、ADCから形成される代謝産物は排出ポンプの基質である、および/または高い細胞膜透過性を有する。両現象が、腫瘍細胞における短い滞留時間、ひいては最適以下のアポトーシス作用に寄与し得る。
【0011】
したがって、本発明は、抗体と関連して、効力および活性スペクトルに関して特に興味深い活性プロファイルを有する特定の担毒体-リンカー組成物を有する結合剤-薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。ADCおよびその代謝産物の腫瘍選択性をさらに改善するために、結合剤コンジュゲートは、レグマインまたはカテプシンなどのリソソーム腫瘍関連酵素によって放出され得るペプチドリンカーを備えている。したがって、腫瘍選択性は、抗体の選択だけでなく、さらにペプチド誘導体の酵素的切断、例えばレグマインなどの腫瘍関連酵素によっても決定される。さらに、本発明による結合剤-薬物コンジュゲート(ADC)から腫瘍細胞に放出される代謝産物は、特に興味深い特性プロファイルによって区別される。これらは腫瘍細胞からの低い流出を示し、腫瘍における高い活性化合物曝露をもたらす。したがって、腫瘍細胞で高い活性が達成される一方で、低い透過性のために、低い全身細胞傷害活性しかなく、もたらされる非特異的毒性が低い。
【0012】
本発明によって使用されるキネシンスピンドルタンパク質阻害剤は、その効果に必須のアミノ基を有する。このアミノ基をペプチド誘導体で修飾することによって、キネシンスピンドルタンパク質に関する効果が遮断され、それ故に細胞傷害性効果の発生も抑制される。これらのペプチド誘導体はまた、抗体に対するリンカーの成分でもあり得る。しかしながら、このペプチド残基またはペプチドリンカーが、レグマインまたはカテプシンなどの腫瘍関連酵素によって活性化合物から放出され得る場合、その効果は腫瘍組織において制御された様式で再確立され得る。腫瘍中で形成される代謝産物の特定の特性プロファイルは、分子中のアミノ基とは異なる位置でのキネシンスピンドルタンパク質阻害剤のさらなる修飾によって保証されるが、これは標的における高い効力に悪影響を及ぼさない。
【0013】
さらに、本発明によるADCの構造は、一定の実施形態について、抗体の高負荷(DAR、薬物対抗体比と呼ばれる)を可能にし、これは驚くべきことに、ADCの物理化学的および薬物動態学的挙動に悪影響を及ぼさない。
【0014】
驚くべきことに、ここで、式(I)の結合剤-薬物コンジュゲート
【化1】
(式中、
X
1はNを表し、
X
2はNを表し、
X
3はCを表す;
または
X
1はNを表し、
X
2はCを表し、
X
3はNを表す;
または
X
1はCHもしくはCFを表し、
X
2はCを表し、
X
3はNを表す;
または
X
1はNHを表し、
X
2はCを表し、
X
3はCを表す;
または
X
1はCHを表し、
X
2はNを表し、
X
3はCを表し、
R
1は水素またはメチルを表し、
R
2はメチル、エチル、-CH
2-CH(CH
3)
2、-CH
2-C(=O)OHまたはイソプロピルを表し、
R
3はメチル、エチル、-CH
2-CH(CH
3)
2または-CH
2-C(=O)-NH
2を表し、
Mは
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-CH
2-NH-C(=O)-CH
2-CH(##)-COOH、
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-CH
2-NH-C(=O)-CH(##)-CH
2-COOH、
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-CH
2-W、
#-C(=O)-CH
2-NH-C(=O)-CH
2-CH(##)-COOH、
#-C(=O)-CH
2-NH-C(=O)-CH(##)-CH
2-COOH、
#-C(=O)-CH
2-W、
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-(CH
2)
2~8-C(=O)-###、
#-C(=O)-(CH
2)
3-C(=O)-###、
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-(CH
2)
5-W、
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-(CH
2)-##または
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-(CH
2-CH
2-O)
1~8-(CH
2)
2-NH-C(=O)-CH
2-##
基を表し、
Wは
【化2】
基を表し、
nは1~50の数を表し、
AKは結合剤またはその誘導体、好ましくは抗体または抗原結合フラグメントを表し、
#は化合物との結合を表し、
##は結合剤のシステイン側鎖の硫黄原子との結合を表し、
###は結合剤のリジン側鎖の窒素原子との結合を表す)
ならびにその塩、溶媒和物および溶媒和物の塩が、公知のコンジュゲートと比較して優れた特性を有することが分かった。
【0015】
X
1がCHを表し、
X
2がCを表し、
X
3がNを表し、
R
1が水素またはメチルを表し、
R
2がメチル、-CH
2-CH(CH
3)
2、-CH
2-C(=O)OHまたはイソプロピルを表し、
R
3がメチル、-CH
2-CH(CH
3)
2または-CH
2-C(=O)-NH
2を表し、
Mが
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-CH
2-NH-C(=O)-CH
2-CH(##)-COOH、
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-CH
2-NH-C(=O)-CH(##)-CH
2-COOH、
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-CH
2-W、
#-C(=O)-CH
2-NH-C(=O)-CH
2-CH(##)-COOH、
#-C(=O)-CH
2-NH-C(=O)-CH(##)-CH
2-COOH、
#-C(=O)-CH
2-W、
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-(CH
2)
3-C(=O)-###、
#-C(=O)-(CH
2)
3-C(=O)-###、
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-(CH
2)
5-W、
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-(CH
2)-##または
#-C(=O)-CH(CH
3)-NH-C(=O)-(CH
2-CH
2-O)
4-(CH
2)
2-NH-C(=O)-CH
2-##
基を表し、
Wが
【化3】
基を表し、
nが1~50の数を表し、
AKが結合剤またはその誘導体、好ましくは抗体または抗原結合フラグメントを表し、
#が化合物との結合を表し、
##が結合剤のシステイン側鎖の硫黄原子との結合を表し、
###が結合剤のリジン側鎖の窒素原子との結合を表す、
式(I)の結合剤-薬物コンジュゲートならびにその塩、溶媒和物およびこれらの溶媒和物の塩が好ましい。
【0016】
R1が水素またはメチルを表し、
R2がメチルまたはイソプロピルを表し、
R3がメチルまたは-CH2-C(=O)-NH2を表し、
Mが
#-C(=O)-CH(CH3)-NH-C(=O)-(CH2)3-C(=O)-###
基を表し、
nが1~50の数を表し、
AKが結合剤またはその誘導体、好ましくは抗体または抗原結合フラグメントを表し、
#が化合物との結合を表し、
###が結合剤のリジン側鎖の窒素原子との結合を表す、
式(I)の結合剤-薬物コンジュゲートならびにその塩、溶媒和物およびこれらの溶媒和物の塩が特に好ましい。
【0017】
R1がメチルを表し、
R2がメチルを表し、
R3が-CH2-C(=O)-NH2を表し、
Mが
#-C(=O)-CH(CH3)-NH-C(=O)-(CH2)3-C(=O)-###
基を表し、
nが1~50の数を表し、
AKが結合剤またはその誘導体、好ましくは抗体または抗原結合フラグメントを表し、
#が化合物との結合を表し、
###が結合剤のリジン側鎖の窒素原子との結合を表す、
式(I)の結合剤-薬物コンジュゲートならびにその塩、溶媒和物およびこれらの溶媒和物の塩が極めて特に好ましい。
【0018】
R1がメチルを表し、
R2がメチルを表し、
R3が-CH2-C(=O)-NH2を表し、
Mが
#-C(=O)-CH(CH3)-NH-C(=O)-(CH2)3-C(=O)-###
基を表し、
nが1~20の数を表し、
AKが結合剤またはその誘導体、好ましくは抗体または抗原結合フラグメントを表し、
#が化合物との結合を表し、
###が結合剤のリジン側鎖の窒素原子との結合を表す、
式(I)の結合剤-薬物コンジュゲートならびにその塩、溶媒和物およびこれらの溶媒和物の塩が特別に好ましい。
【0019】
R1がメチルを表し、
R2がメチルを表し、
R3が-CH2-C(=O)-NH2を表し、
Mが
#-C(=O)-CH(CH3)-NH-C(=O)-(CH2)3-C(=O)-###
基を表し、
nが1~20の数を表し、
AKが抗CD123抗体、抗CXCR5抗体、抗B7H3抗体、抗TWEAKR抗体、抗Her2抗体もしくは抗EGFR抗体を表す、またはこれらの抗原結合抗体フラグメントを表し、
#が化合物との結合を表し、
###が抗体(AK)またはその抗原結合抗体フラグメントのリジン側鎖の窒素原子との結合を表す、
式(I)の結合剤-薬物コンジュゲートならびにその塩、溶媒和物およびこれらの溶媒和物の塩が選択される。
【0020】
R1がメチルを表し、
R2がメチルを表し、
R3が-CH2-C(=O)-NH2を表し、
Mが
#-C(=O)-CH(CH3)-NH-C(=O)-(CH2)3-C(=O)-###
基を表し、
nが1~20の数を表し、
AKが、TPP-9476、TPP-8988、TPP-8987およびTPP-6013からなる群から選択される抗CD123抗体を表す、TPP-9574およびTPP-9580からなる群から選択される抗CXCR5抗体を表す、抗B7H3抗体TPP-8382を表す、TPP-7006およびTPP-7007からなる群から選択される抗TWEAKR抗体を表す、抗Her2抗体TPP-1015を表す、もしくは抗EGFR抗体TPP-981を表す、またはこれらの抗原結合抗体フラグメントを表し、
#が化合物との結合を表し、
###が抗体(AK)またはその抗原結合抗体フラグメントのリジン側鎖の窒素原子との結合を表す、
式(I)の結合剤-薬物コンジュゲートならびにその塩、溶媒和物およびこれらの溶媒和物の塩が選択される。
【0021】
AKが細胞外がん標的分子に特異的に結合する結合剤を表す、上記の式の結合剤-薬物コンジュゲートが好ましい。好ましい実施形態では、結合剤が、標的細胞上のその細胞外標的分子に結合した後、結合を通して標的細胞によって内在化される。好ましくは、結合剤が抗体または抗原結合フラグメントである。
【0022】
本発明の好ましい主題では、細胞外がん標的分子が、がん標的分子EGFR、CD123、HER2、B7H3、TWEAKRおよびCXCR5からなる群から選択され;CD123、CXCR5およびB7H3が特に好ましい。
【0023】
本発明の好ましい主題では、結合剤AKが、抗CD123抗体、抗CXCR5抗体、抗B7H3抗体、抗TWEAKR抗体、抗Her2抗体もしくは抗EGFR抗体、またはこれらの抗原結合抗体フラグメントである。
【0024】
AK(AK1、AK2)がTPP-8382(抗B7H3)、TPP-6013(抗CD123)、TPP-8987(抗CD123)、TPP-8988(抗CD123)、TPP9476(抗CD123)、TPP-9574(抗CXCR5)およびTPP9580(抗CXCR5)またはこれらの抗原結合フラグメントからなる群から選択される抗体を表す、言及される式の結合剤-薬物コンジュゲートが特に好ましい。ここでは、抗体TPP-6013、TPP-8987、TPP-8988およびTPP-9476(各場合で抗CD123)が好ましい。これらの抗体の正確な構造(配列)は以下の表:抗体のタンパク質配列、この表に続く文章および配列表に見出すことができる。
【0025】
AKがTPP-8382(抗B7H3)、TPP-6013(抗CD123)、TPP-8987(抗CD123)、TPP-8988(抗CD123)、TPP9476(抗CD123)、TPP-9574(抗CXCR5)およびTPP9580(抗CXCR5)からなる群から選択される抗体を表す、式(I)の結合剤-薬物コンジュゲートが特に好ましい。ここでは、抗体(AK)TPP-6013、TPP-8987、TPP-8988およびTPP-9476(各場合で抗CD123)が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1-1】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-2】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-3】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-4】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-5】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-6】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-7】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-8】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-9】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-10】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-11】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図1-12】
図1は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体のアノテーションが付与された配列を示す図である。示されているのは、IgGの重鎖および軽鎖、ならびにこれらの抗体のVH領域およびVL領域のタンパク質配列である。配列の下に重要な領域がアノテーションされている(IgG中のVHおよびVL領域、ならびにCDR領域(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3))。
【
図2-1】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【
図2-2】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【
図2-3】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【
図2-4】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【
図2-5】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【
図2-6】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【
図2-7】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【
図2-8】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【
図2-9】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【
図2-10】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【
図2-11】
図2は、結合剤-薬物コンジュゲートについての好ましい抗体の配列および標的タンパク質の配列の配列表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、結合剤またはその誘導体と1種または複数のキネシンスピンドルタンパク質阻害剤(KSP阻害剤)である薬物分子のコンジュゲートを提供する。
【0028】
制限なく組み合わせて使用することができる本発明により使用することができる結合剤、本発明により使用することができるそのKSP阻害剤、および本発明により使用することができるリンカーを以下に記載する。特に、各場合で好ましいまたは特に好ましいとして表される結合剤を、場合により各場合で好ましいまたは特に好ましいとして表されるリンカーと組み合わせて、各場合で好ましいまたは特に好ましいとして表されるKSP阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0029】
特に好ましいKSP-阻害剤コンジュゲート(結合剤-薬物コンジュゲート)
本発明によると、AK(AK1、AK2)が結合剤またはその誘導体(好ましくは抗体)を表し、nが1~20、好ましくは1~8、より好ましくは4~8の数を表す、以下のKSP阻害剤コンジュゲートが特に好ましい。AK1は、好ましくはシステイン残基を介してKSP阻害剤と結合した抗体を表し;AK2は、好ましくはリジン残基を介してKSP阻害剤と結合した抗体を表す。ここで使用される結合剤または抗体は、好ましくは本明細書で好ましいとして記載される結合剤および抗体である。
【0030】
ここで、以下の結合剤-薬物コンジュゲートが特に好ましい:
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
および
【化9】
【0031】
AK(AK1、AK2)が細胞外がん標的分子に特異的に結合する結合剤を表す、言及される式の結合剤-薬物コンジュゲートが好ましい。好ましい実施形態では、結合剤が、標的細胞上のその細胞外標的分子に結合した後、結合を通して標的細胞によって内在化される。
【0032】
本発明の好ましい主題では、細胞外がん標的分子が、がん標的分子EGFR、CD123、Her2、B7H3、TWEAKRおよびCXCR5、特にCD123、CXCR5およびB7H3からなる群から選択される。
【0033】
本発明の好ましい主題では、結合剤AK(AK1、AK2)が、抗CD123抗体、抗CXCR5抗体、抗B7H3抗体、抗TWEAKR抗体、抗Her2抗体もしくは抗EGFR抗体、またはこれらの抗原結合抗体フラグメントである。
【0034】
AK(AK1、AK2)がTPP-8382(抗B7H3)、TPP-6013(抗CD123)、TPP-8987(抗CD123)、TPP-8988(抗CD123)、TPP-9476(抗CD123)、TPP-9574(抗CXCR5)およびTPP-9580(抗CXCR5)またはこれらの抗原結合フラグメントからなる群から選択される抗体を表す、言及される式の結合剤-薬物コンジュゲートが特に好ましい。ここでは、抗体TPP-6013、TPP-8987、TPP-8988およびTPP-9476(各場合で抗CD123)が好ましい。これらの抗体の正確な構造(配列)は以下の表:抗体のタンパク質配列、この表に続く文章および配列表に見出すことができる。
【0035】
KSP阻害剤-リンカー中間体およびコンジュゲートの調製
本発明によるコンジュゲートは、最初にその低分子量KSP阻害剤にリンカーを提供することによって調製される。次いで、このようにして得られた中間体を結合剤(好ましくは抗体)と反応させる。
【0036】
リジン残基とカップリングし、その後抗体とカップリングする中間体については、反応を以下のように例示することができる:
【化10】
【0037】
上記反応スキームにおいて、X1、X2、X3、R1、R2、R3およびAK2は式(I)で与えられる意味を有し、ここでR4はメチルを表し、nは0または1を表す。
【0038】
構築ブロックAの合成は、国際公開第2015/096982号パンフレットに記載されている。ペプチド誘導体BおよびCは、古典的なペプチド化学の方法によって調製された。中間体CおよびDは、室温で、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、DMF中HATUを使用してカップリングした。その後、ベンジルオキシカルボニル保護基とベンジルエステルの両方を10%パラジウム活性炭上で水素化分解的に除去した。次いで、完全に脱保護した中間体を、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、室温で、DMF中で1,1’-[(1,5-ジオキソペンタン-1,5-ジイル)ビス(オキシ)]ジピロリジン-2,5-ジオンと反応させて、ADC前駆体分子Eを得た。次いで、この活性化エステルを、第B-5章に記載されるそれぞれの抗体とカップリングさせた。
【0039】
システイン残基とカップリングし、その後抗体とカップリングする中間体については、反応を以下のように例示することができる:
【化11】
【0040】
上記反応スキームにおいて、X1、X2、X3、R1、R2、R3およびAK1は式(I)で与えられる意味を有し、ここでR4はメチルを表し、nは1を表す。
【0041】
類似の手順を用いて、nが0を表す化合物を調製することも可能である。
【0042】
構築ブロックAの合成は、国際公開第2015/096982号パンフレットに記載されている。ペプチド誘導体BおよびCは、古典的なペプチド化学の方法によって調製された。中間体CおよびDは、室温で、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、DMF中HATUを使用してカップリングした。その後、ベンジルオキシカルボニル保護基とベンジルエステルの両方を10%パラジウム活性炭上で水素化分解的に除去した。次いで、完全に脱保護した中間体を、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、室温で、DMF中で1-{6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル}-1H-ピロール-2,5-ジオンと反応させて、ADC前駆体分子Eを得た。次いで、このマレイミド誘導体を、第B-4章に記載されるそれぞれの抗体とカップリングさせた。
【0043】
リンカーに応じて、スクシンイミド結合ADCを、コンジュゲーション後、開鎖スクシンアミドに変換することができ、これは有利な安定性プロファイルを有する。
【0044】
この反応(開環)は、pH7.5~9、好ましくはpH8で、25℃~37℃の温度で、例えば撹拌によって行うことができる。好ましい撹拌時間は8~30時間である。
【0045】
システイン残基とカップリングし、その後抗体とカップリングし、引き続いてスクシンイミド環が開環する中間体については、反応を以下のように例示することができる:
【化12】
【0046】
上記反応スキームにおいて、X1、X2、X3、R1、R2、R3およびAK1は式(I)で与えられる意味を有し、ここでR4はメチルを表し、nは0または1を表す。
【0047】
構築ブロックAの合成は、国際公開第2015/096982号パンフレットに記載されている。ペプチド誘導体BおよびCは、古典的なペプチド化学の方法によって調製された。中間体CおよびDは、室温で、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、DMF中HATUを使用してカップリングした。その後、ベンジルオキシカルボニル保護基とベンジルエステルの両方を10%パラジウム活性炭上で水素化分解的に除去した。次いで、完全に脱保護した中間体を、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、室温で、1-{2-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-2-オキソエチル}-1H-ピロール-2,5-ジオンと反応させて、ADC前駆体分子Eを得た。次いで、このマレイミド誘導体を、小規模カップリングまたは中規模カップリングで第B-4章に記載されるそれぞれの抗体とカップリングさせた。
【0048】
結合剤
最も広い意味では、「結合剤」という用語は、結合剤-薬物コンジュゲートによって対処されるべき一定の標的細胞集団に存在する標的分子に結合する分子を意味すると理解される。結合剤という用語は、その最も広い意味で理解されるべきであり、例えばレクチン、一定の糖鎖に結合することができるタンパク質、またはリン脂質結合タンパク質も含む。このような結合剤には、例えば、高分子量タンパク質(結合タンパク質)、ポリペプチドまたはペプチド(結合ペプチド)、非ペプチド(例えば、アプタマー(米国特許第5270163号明細書)、Keefe AD.ら、Nat.Rev.Drug Discov.2010;9:537~550による概説)またはビタミン)、および他の全ての細胞結合分子または物質が含まれる。結合タンパク質は、例えば、抗体および抗体フラグメントまたは抗体模倣物、例えば、アフィボディ、アドネクチン、アンチカリン(登録商標)、DARPins、アビマー、ナノボディである(Gebauer M.ら、Curr.Opinion in Chem.Biol.2009;13:245~255;Nuttall S.D.ら、Curr.Opinion in Pharmacology 2008;8:608~617による概説)。結合ペプチドは、例えば、リガンド/受容体ペアのリガンド、例えばリガンド/受容体ペアVEGF/KDRのVEGF、例えばリガンド/受容体ペアトランスフェリン/トランスフェリン受容体のトランスフェリン、またはサイトカイン/サイトカイン受容体、例えばリガンド/受容体ペアTNFα/TNFα受容体のTNFαである。
【0049】
結合剤は結合タンパク質であり得る。結合剤の好ましい実施形態は、抗体、抗原結合抗体フラグメント、多重特異性抗体または抗体模倣物である。
【0050】
文献はまた、有機分子と結合剤、特に抗体の共有結合(コンジュゲーション)の種々の選択肢を開示している。本発明によると、抗体のシステイン残基の1個または複数の硫黄原子を介したおよび/または抗体のリジン残基の1個または複数のNH基を介した、担毒体と抗体のコンジュゲーションが好ましい。しかしながら、抗体の遊離カルボキシル基を介してまたは糖残基を介して、担毒体を抗体に結合させることも可能である。
【0051】
最も広い意味での「標的分子」は、標的細胞集団中に存在し、タンパク質(例えば、成長因子の受容体)または非ペプチド性分子(例えば、糖もしくはリン脂質)であり得る分子を意味すると理解される。標的分子は、好ましくは受容体または抗原である。
【0052】
「細胞外」標的分子という用語は、細胞の外側に位置する細胞に付着した標的分子、または細胞の外側に位置する標的分子の一部を記載するものである、すなわち結合剤はその細胞外標的分子に無傷細胞上で結合し得る。細胞外標的分子は、細胞膜に固定されてもよく、または細胞膜の構成要素であってもよい。当業者であれば細胞外標的分子を識別する方法を知っている。タンパク質の場合、これは、1個または複数の膜貫通ドメインおよび膜中のタンパク質の配向を決定することにより得る。これらのデータは通常、タンパク質データベース(例えば、SwissProt)に寄託されている。
【0053】
「がん標的分子」という用語は、同じ組織型の非がん細胞よりも1つまたは複数のがん細胞種上に豊富に存在する標的分子を記載する。好ましくは、がん標的分子は、同じ組織型の非がん細胞と比較して1つまたは複数のがん細胞種上に選択的に存在し、選択的にとは同じ組織型の非がん細胞と比較してがん細胞上に少なくとも2倍豊富であることを記載する(「選択的がん標的分子」)。がん標的分子の使用により、本発明によるコンジュゲートを使用したがん細胞の選択的治療が可能になる。
【0054】
結合剤を、結合を介してリンカーに結合させることができる。結合剤を、結合剤のヘテロ原子によって連結させることができる。結合のために使用することができる結合剤の本発明によるヘテロ原子は、硫黄(一実施形態では、結合剤のスルフヒドリル基を介して)、酸素(本発明によると、結合剤のカルボキシルまたはヒドロキシル基によって)および窒素(一実施形態では、結合剤の第一級または第二級アミン基またはアミド基を介して)である。これらのヘテロ原子は、天然結合剤中に存在してもよく、または化学的方法もしくは分子生物学の方法によって導入される。本発明によると、結合剤の担毒体への結合は、標的分子に対する結合剤の結合活性にわずかな影響しか及ぼさない。好ましい実施形態では、結合が、標的分子に対する結合剤の結合活性に全く影響を及ぼさない。
【0055】
本発明によると、「抗体」という用語は、その最も広い意味で理解されるべきであり、免疫グロブリン分子、例えばインタクトまたは改変モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体または多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)を含む。免疫グロブリン分子は、好ましくは、典型的にはジスルフィド架橋によって連結された4本のポリペプチド鎖である2本の重鎖(H鎖)および2本の軽鎖(L鎖)を有する分子を含む。各重鎖は、重鎖の可変ドメイン(略してVH)および重鎖の定常ドメインを含む。重鎖の定常ドメインは、例えば、3つのドメインCH1、CH2およびCH3を含み得る。各軽鎖は、可変ドメイン(略してVL)および定常ドメインを含む。軽鎖の定常ドメインは、ドメイン(略してCL)を含む。VHおよびVLドメインは、相補性決定領域(略してCDR)とも呼ばれる超可変性を有する領域および低配列可変性を有する領域(フレームワーク領域、略してFR)にさらに細分され得る。典型的には、各VHおよびVL領域は、3つのCDRおよび最大4つのFRで構成される。例えば、アミノ末端からカルボキシ末端まで、以下の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4である。抗体は、任意の適切な種、例えば、ウサギ、ラマ、ラクダ、マウスまたはラットから得ることができる。一実施形態では、抗体がヒトまたはマウス由来である。抗体は、例えば、ヒト、ヒト化またはキメラであり得る。
【0056】
「モノクローナル」抗体という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指す。すなわち、集団の個々の抗体が、天然に存在する突然変異を除いて同一であり、その数は少数であり得る。モノクローナル抗体は、高い特異性で単一の抗原結合部位を認識する。モノクローナル抗体という用語は、特定の調製方法を指さない。
【0057】
「インタクト」抗体という用語は、抗原結合ドメインと軽鎖および重鎖の定常ドメインの両方を含む抗体を指す。定常ドメインは、天然に存在するドメインまたはいくつかの改変されたアミノ酸位置を有するその変異体であり得、非グリコシル化(aglycosylated)であってもよい。
【0058】
「改変されたインタクト」抗体という用語は、抗体に由来しないさらなるポリペプチドまたはタンパク質と共有結合(例えば、ペプチド結合)によってそのアミノ末端またはカルボキシ末端を介して融合されたインタクト抗体を指す。さらに、抗体は、規定された位置で、反応性システインを導入して担毒体とのカップリングを促進するように改変され得る(Junutulaら、Nat Biotechnol.2008年8月;26(8):925~32参照)。
【0059】
ここでの「アミノ酸改変」または「突然変異」は、ポリペプチド配列中のアミノ酸の置換、挿入および/または欠失を意味する。ここでの好ましいアミノ酸改変は置換である。ここでの「アミノ酸置換」または「置換」は、タンパク質配列中の所与の位置にあるアミノ酸の別のアミノ酸への交換を意味する。例えば、置換Y50Wは、50位のチロシンがトリプトファンと交換されている親ポリペプチドの変異体を記載している。ポリペプチドの「変異体」は、参照ポリペプチド、典型的には天然または「親」ポリペプチドと実質的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを表す。ポリペプチド変異体が、天然アミノ酸配列の特定の位置に1つまたは複数のアミノ酸交換、欠失および/または挿入を有していてもよい。
【0060】
「ヒト」抗体という用語は、ヒトから得ることができる、または合成ヒト抗体である抗体を指す。「合成」ヒト抗体は、ヒト抗体配列の分析に基づく合成配列から、インシリコで部分的または完全に得ることができる抗体である。ヒト抗体は、例えば、ヒト由来の抗体配列のライブラリーから単離された核酸によってコードされ得る。このような抗体の例は、Soderlindら、Nature Biotech.2000、18:853~856に見出すことができる。このような「ヒト」および「合成」抗体には、PNGaseFによる脱グリコシル化または重鎖のN297(Kabat番号付け)の任意の他のアミノ酸への突然変異のいずれかによって産生された非グリコシル化変異体も含まれる。
【0061】
「ヒト化」または「キメラ」抗体という用語は、非ヒト部分およびヒト部分の配列からなる抗体を記載する。これらの抗体では、ヒト免疫グロブリン(レシピエント)の配列の一部が、非ヒト免疫グロブリン(ドナー)の配列部分によって置き換えられる。多くの場合、ドナーはマウス免疫グロブリンである。ヒト化抗体の場合、レシピエントのCDRのアミノ酸が、ドナーのアミノ酸によって置き換えられる。時折、フレームワークのアミノ酸も、ドナーの対応するアミノ酸によって置き換えられる。場合によっては、ヒト化抗体は、抗体の最適化の間に導入された、レシピエントにもドナーにも存在しないアミノ酸を含む。キメラ抗体の場合、ドナー免疫グロブリンの可変ドメインが、ヒト抗体の定常領域と融合される。このような「ヒト化」および「キメラ」抗体には、PNGaseFによる脱グリコシル化または重鎖のN297(Kabat番号付け)の任意の他のアミノ酸への突然変異のいずれかによって産生された非グリコシル化変異体も含まれる。
【0062】
本明細書で使用される相補性決定領域(CDR)という用語は、抗原との結合に必要とされる可変抗体ドメインのアミノ酸を指す。典型的には、各可変領域が、CDR1、CDR2およびCDR3と呼ばれる3つのCDR領域を有する。各CDR領域は、Kabatの定義によるアミノ酸および/またはChotiaによって定義される超可変ループのアミノ酸を包含し得る。Kabatによる定義は、例えば、およそ可変軽鎖/ドメイン(VL)のアミノ酸位置24~34(CDR1)、50~56(CDR2)および89~97(CDR3)と可変重鎖/ドメイン(VH)の31~35(CDR1)、50~65(CDR2)および95~102(CDR3)の領域を含む(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991))。Chotiaによる定義は、例えば、およそ可変軽鎖(VL)の約アミノ酸位置26~32(CDR1)、50~52(CDR2)および91~96(CDR3)と可変重鎖(VH)の26~32(CDR1)、53~55(CDR2)および96~101(CDR3)の領域を含む(ChothiaおよびLesk;J Mol Biol 196:901~917(1987))。場合によっては、CDRは、KabatおよびChotiaによって定義されるCDR領域由来のアミノ酸を含み得る。
【0063】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体を異なるクラスに分類することができる。インタクト抗体には5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのいくつかをさらなるサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に分けることができる。様々なクラスに対応する重鎖の定常ドメインは、[アルファ/α]、[デルタ/δ]、[イプシロン/ε]、[ガンマ/γ]および[ミュー/μ]と呼ばれる。抗体の三次元構造とサブユニット構造の両方が知られている。
【0064】
抗体/免疫グロブリンの「機能的断片」または「抗原結合抗体断片」という用語は、抗体/免疫グロブリンの抗原結合ドメインを依然として含む抗体/免疫グロブリンの断片(例えば、IgGの可変ドメイン)として定義される。抗体の「抗原結合ドメイン」は、典型的には、抗体の1つまたは複数の超可変領域、例えばCDR、CDR2および/またはCDR3領域を含む。しかしながら、抗体の「フレームワーク」または「骨格」領域もまた、抗体と抗原の結合の間に役割を果たし得る。フレームワーク領域は、CDRの骨格を形成する。好ましくは、抗原結合ドメインは、少なくとも可変軽鎖のアミノ酸4~103と可変重鎖のアミノ酸5~109、より好ましくは可変軽鎖のアミノ酸3~107と可変軽鎖の4~111、特に好ましくは完全可変軽鎖と完全可変重鎖、すなわちVLのアミノ酸1~109とVHの1~113(国際公開第97/08320号パンフレットによる番号付け)を含む。
【0065】
本発明の「機能的断片」または「抗原結合抗体断片」は、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント、ダイアボディ、単一ドメイン抗体(DAb)、線状抗体、抗体の個々の鎖(一本鎖Fv、略してscFv);および多重特異性抗体、例えば抗体断片C.A.K Borrebaeck編(1995)Antibody Engineering(Breakthroughs in Molecular Biology)、Oxford University Press;R.Kontermann&S.Duebel編(2001)Antibody Engineering(Springer Laboratory Manual)、Springer Verlagから形成される二重および三重特異性抗体を非決定的に包含する。「多重特異性」または「多機能性」抗体以外の抗体は、同一の結合部位を有する抗体である。多重特異性抗体は、抗原の異なるエピトープに特異的であり得る、または2つ以上の抗原のエピトープに特異的であり得る(例えば、国際公開第93/17715号パンフレット;国際公開第92/08802号パンフレット;国際公開第91/00360号パンフレット;国際公開第92/05793号パンフレット;Tuttら、1991、J.Immunol.14760 69;米国特許第4474893号明細書;同第4714681号明細書;同第4925648号明細書;同第5573920号明細書;同第5601819号明細書;またはKostelnyら、1992、J.Immunol.148 1547 1553参照)。Ch1ドメインとCLドメインとの間に生じる分子間ジスルフィド相互作用の数を減らすことができる、または完全に防ぐことができるように、F(ab’)2またはFab分子を構築することができる。
【0066】
「エピトープ」とは、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができるタンパク質決定基を指す。エピトープ決定基は、通常、アミノ酸もしくは糖側鎖またはその組み合わせなどの分子の化学的に活性な表面基からなり、通常、特異的三次元構造特性および特異的電荷特性も有する。
【0067】
「機能的断片」または「抗原結合抗体断片」は、共有結合(例えば、ペプチド結合)によって、そのアミノ末端またはカルボキシル末端を介して、抗体に由来しない別のポリペプチドまたはタンパク質と融合され得る。さらに、担毒体とのカップリングを促進するために、抗体および抗原結合フラグメントを、規定された位置に反応性システインを導入することによって改変することができる(Junutulaら、Nat Biotechnol.2008年8月;26(8):925~32参照)。
【0068】
ポリクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって調製することができる。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法(KohlerおよびMilstein、Nature、256、495-497、1975)によって調製することができる。ヒトおよびヒト化モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法(Olssonら、Meth Enzymol.92、3~16またはCabillyらの米国特許第4816567号明細書またはBossらの米国特許第4,816,397号明細書)によって調製することができる。
【0069】
当業者であれば、例えば、トランスジェニックマウス(N LonbergおよびD Huszar、Int Rev Immunol.1995;13(1):65~93)またはファージディスプレイ技術(Clacksonら、Nature.1991年8月15日;352(6336):624~8)によって、ヒト抗体およびその断片を調製する多様な方法を認識している。本発明の抗体は、例えば多数の健康なボランティアから集められた多数の抗体のアミノ酸配列からなる組換え抗体ライブラリーから得ることができる。抗体を、公知の組換えDNA技術によって産生することもできる。抗体の核酸配列は、日常的な配列決定によって得ることができる、または公的に入手可能なデータベースから入手可能である。
【0070】
「単離された」抗体または結合剤は、細胞の他の成分を除去するために精製されている。診断的または治療的使用を妨害し得る細胞の汚染成分は、例えば、酵素、ホルモン、または細胞の他のペプチド性もしくは非ペプチド性成分である。好ましい抗体または結合剤は、抗体または結合剤に関して、95重量%超の程度まで精製されたものである(例えば、ローリー法、UV-Vis分光法またはSDSキャピラリーゲル電気泳動によって測定される)。さらに、アミノ末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個のアミノ酸を決定することが可能である程度に精製された、または均質性まで精製された抗体(均質性は還元または非還元条件下SDS-PAGEによって決定される(検出は、クマシーブルー染色によって、または好ましくは銀着色によって測定され得る))。しかしながら、抗体は、通常、1つまたは複数の精製ステップによって調製される。
【0071】
「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語は、所定の抗原/標的分子に結合する抗体または結合剤を指す。抗体または結合剤の特異的結合は、典型的には、少なくとも10-7M(Kd値として、すなわち好ましくは10-7Mより小さいKd値を有するもの)の親和性を有する抗体または結合剤を記載し、抗体または結合剤は、所定の抗原/標的分子または密接に関連する抗原/標的分子ではない非特異的抗原/標的分子(例えば、ウシ血清アルブミンまたはカゼイン)よりも、所定の抗原/標的分子に対して少なくとも2倍高い親和性を有する。抗体または結合剤の特異的結合は、複数の抗原/標的分子(例えば、異なる種のオルソログ)への抗体または結合剤の結合を排除するものではない。抗体は、好ましくは、少なくとも10-7M(Kd値として、換言すれば好ましくは10-7Mより小さいKd値を有するもの)、好ましくは少なくとも10-8M、より好ましくは10-9M~10-11Mの範囲の親和性を有する。Kd値は、例えば、表面プラズモン共鳴分光法によって測定することができる。
【0072】
本発明の抗体-薬物コンジュゲートも同様にこれらの範囲の親和性を示す。親和性は、好ましくは、薬物のコンジュゲーションによって実質的に影響されない(一般に、親和性は、1桁未満低下し、換言すれば、例えば、最大で10-8Mから10-7Mである)。
【0073】
本発明によって使用される抗体はまた、好ましくは高い選択性のために注目に値する。本発明の抗体が、独立した他の抗原、例えばヒト血清アルブミンよりも、少なくとも2倍、好ましくは5倍、より好ましくは10倍優れた標的タンパク質に対する親和性を示す場合に、高い選択性が存在する(親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴分光法によって測定することができる)。
【0074】
さらに、使用される本発明の抗体は、好ましくは交差反応性である。前臨床研究、例えば、毒物学的研究または活性研究(例えば、異種移植マウスにおける)を容易にし、より良く解釈できるようにするために、本発明により使用される抗体がヒト標的タンパク質に結合するだけでなく、研究に使用される種の種標的タンパク質にも結合する場合が有利である。一実施形態では、本発明により使用される抗体が、ヒト標的タンパク質に加えて、少なくとも1つのさらなる種の標的タンパク質に対して交差反応性である。毒物学的研究および活性研究のために、げっ歯類、イヌおよび非ヒト霊長類の科の種を使用することが好ましい。好ましいげっ歯類種はマウスおよびラットである。好ましい非ヒト霊長類は、アカゲザル、チンパンジーおよび尾長マカクである。
【0075】
一実施形態では、本発明により使用される抗体が、ヒト標的タンパク質に加えて、マウス、ラットおよび尾長マカク(カニクイザル(Macaca fascicularis))からなる種の群から選択される少なくとも1つのさらなる種の標的タンパク質に対して交差反応性である。ヒト標的タンパク質に加えて、少なくともマウス標的タンパク質に対して交差反応性である、本発明により使用される抗体が特に好ましい。さらなる非ヒト種の標的タンパク質に対する親和性が、ヒト標的タンパク質に対する親和性と50倍以下、さらに特に10倍以下異なる交差反応性抗体が好ましい。
【0076】
がん標的分子に対する抗体
結合剤、例えば抗体またはその抗原結合断片が向けられる標的分子は、好ましくはがん標的分子である。「がん標的分子」という用語は、同じ組織型の非がん細胞よりも1つまたは複数のがん細胞種上に豊富に存在する標的分子を記載する。好ましくは、がん標的分子は、同じ組織型の非がん細胞と比較して1つまたは複数のがん細胞種上に選択的に存在し、選択的にとは同じ組織型の非がん細胞と比較してがん細胞上に少なくとも2倍豊富であることを記載する(「選択的がん標的分子」)。がん標的分子の使用により、本発明によるコンジュゲートを使用したがん細胞の選択的治療が可能になる。
【0077】
抗原、例えばがん細胞抗原に対して特異的な抗体は、当業者が精通している方法(例えば、組換え発現など)によって当業者によって調製され得る、または商業的に獲得され得る(例えばドイツのMerck KGaAから)。がん治療において知られている市販の抗体の例は、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、Merck KGaA)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ、Roche)およびHerceptin(登録商標)(トラスツズマブ、Genentech)である。トラスツズマブは、細胞ベースのアッセイ(Kd=5nM)においてヒト上皮成長受容体の細胞外ドメインに高い親和性で結合するIgG1κ型の組換えヒト化モノクローナル抗体である。抗体はCHO細胞中で組換え的に産生される。これらの抗体は全て、PNGase Fによる脱グリコシル化または重鎖のN297(Kabat番号付け)の任意のアミノ酸への突然変異のいずれかによって、これらの抗体の非グリコシル化変異体としても産生され得る。
【0078】
好ましい実施形態では、標的分子が選択的がん標的分子である。
【0079】
特に好ましい実施形態では、標的分子がタンパク質である。
【0080】
一実施形態では、標的分子が細胞外標的分子である。好ましい実施形態では、細胞外標的分子がタンパク質である。
【0081】
がん標的分子は当業者に公知である。これらの例を以下に列挙する。
【0082】
がん標的分子の例は以下である:
(1)EGFR(EGF受容体、NCBI参照配列NP_005219.2、NCBI遺伝子ID:1956)
(2)メソテリン(SwissProt参照Q13421-3)、メソテリンはアミノ酸296~598によってコードされる。アミノ酸37~286は巨核球増強因子をコードする。メソテリンは、GPIアンカーによって細胞膜に固定されており、細胞外に局在化している。
(3)カルボアンヒドラーゼIX(CA9、SwissProt参照Q16790)、NCBI遺伝子ID:768)
(4)C4.4a(NCBI参照配列NP_055215.2;同義語LYPD3、NCBI遺伝子ID:27076)
(5)CD52(NCBI参照配列NP_001794.2)
(6)Her2(ERBB2;NCBI参照配列NP_004439.2;NCBI遺伝子ID:2064)
(7)CD20(NCBI参照配列NP_068769.2)
(8)リンパ球活性化抗原CD30(SwissProt ID P28908)
(9)リンパ球接着分子CD22(SwissProt ID P20273;NCBI遺伝子ID:933)
(10)骨髄細胞表面抗原CD33(SwissProt ID P20138;NCBI遺伝子ID:945)
(11)膜貫通型糖タンパク質NMB(GPNMB、SwissProt ID Q14956、NCBI遺伝子ID:10457)
(12)接着分子CD56(SwissProt ID P13591)
(13)表面分子CD70(SwissProt ID P32970、NCBI遺伝子ID:970)。
(14)表面分子CD74(SwissProt ID P04233、NCBI遺伝子ID:972)。
(15)Bリンパ球抗原CD19(SwissProt ID P15391、NCBI遺伝子ID:930)
(16)表面タンパク質ムチン-1(MUC1、SwissProt ID P15941、NCBI遺伝子ID:4582)。
(17)表面タンパク質CD138(SwissProt ID P18827)
(18)インテグリンαV(NCBI参照配列:NP_002201.1、NCBI遺伝子ID:3685)
(19)奇形癌腫由来増殖因子1タンパク質TDGF1(NCBI参照配列:NP_003203.1、NCBI遺伝子ID:6997)
(20)前立腺特異的膜抗原PSMA(Swiss Prot ID:Q04609;NCBI遺伝子ID:2346)。
(21)チロシンプロテインキナーゼEPHA2(Swiss Prot ID:P29317、NCBI遺伝子ID:1969)。
(22)表面タンパク質SLC44A4(NCBI参照配列:NP_001171515.1、NCBI遺伝子ID:80736)
(23)表面タンパク質BMPR1B(SwissProt:O00238)
(24)輸送タンパク質SLC7A5(SwissProt:Q01650)
(25)上皮前立腺抗原STEAP1(SwissProt:Q9UHE8、遺伝子ID:26872)
(26)卵巣癌抗原MUC16(SwissProt:Q8WXI7、遺伝子ID:94025)。
(27)輸送タンパク質SLC34A2(SwissProt:O95436、遺伝子ID:10568)
(28)表面タンパク質SEMA5b(SwissProt:Q9P283)
(29)表面タンパク質LYPD1(SwissProt:Q8N2G4)
(30)エンドセリン受容体B型EDNRB(SwissProt:P24530、NCBI遺伝子ID:1910)。
(31)RINGフィンガータンパク質RNF43(SwissProt:Q68DV7)
(32)前立腺癌関連タンパク質STEAP2(SwissProt:Q8NFT2)
(33)陽イオンチャネルTRPM4(SwissProt:Q8TD43)
(34)補体受容体CD21(SwissProt:P20023)
(35)B細胞抗原受容体複合体関連タンパク質CD79b(SwissProt:P40259、NCBI遺伝子ID:974)
(36)細胞接着抗原CEACAM6(SwissProt:P40199)
(37)ジペプチダーゼDPEP1(SwissProt:P16444)
(38)インターロイキン受容体IL20Rα(SwissProt:Q9UHF4、NCBI遺伝子ID:3559)
(39)プロテオグリカンBCAN(SwissProt:Q96GW7)
(40)エフリン受容体EPHB2(SwissProt:P29323)
(41)前立腺幹細胞関連タンパク質PSCA(NCBI参照配列:NP_005663.2)
(42)表面タンパク質LHFPL3(SwissProt:Q86UP9)
(43)受容体タンパク質TNFRSF13C(SwissProt:Q96RJ3)
(44)B細胞抗原受容体複合体関連タンパク質CD79a(SwissProt:P11912)
(45)受容体タンパク質CXCR5(CD185;SwissProt:P32302;NCBI遺伝子ID643、NCBI参照配列:NP_001707.1)
(46)イオンチャネルP2X5(SwissProt:Q93086)
(47)リンパ球抗原CD180(SwissProt:Q99467)
(48)受容体タンパク質FCRL1(SwissProt:Q96LA6)
(49)受容体タンパク質FCRL5(SwissProt:Q96RD9)
(50)MHCクラスII分子Ia抗原HLA-DOB(NCBI参照配列:NP_002111.1)
(51)T細胞タンパク質VTCN1(SwissProt:Q7Z7D3)
(52)TWEAKR(FN14、TNFRSF12A、NCBI参照配列:NP_057723.1、NCBI遺伝子ID:51330)
(53)リンパ球抗原CD37(Swiss Prot:P11049、NCBI遺伝子ID:951)
(54)FGF受容体2;FGFR2(NCBI遺伝子ID:2263;正式記号:FGFR2)。FGFR2受容体は様々なスプライス変異体(α、β、IIIb、IIIc)に存在する。全てのスプライス変異体が標的分子として作用することができる。
(55)膜貫通糖タンパク質B7H3(CD276;NCBI遺伝子ID:80381 NCBI参照配列:NP_001019907.1、Swiss Prot:Q5ZPR3-1)。
(56)B細胞受容体BAFFR(CD268;NCBI遺伝子ID:115650)
(57)受容体タンパク質ROR 1(NCBI遺伝子ID:4919)
(58)表面受容体CD123(IL3RA;NCBI遺伝子ID:3563;NCBI参照配列:NP_002174.1;Swiss-Prot:P26951)
(59)受容体タンパク質シンシチン(NCBI遺伝子ID 30816)
(60)アスパラギン酸β-ヒドロキシラーゼ(ASPH;NCBI遺伝子ID 444)
(61)細胞表面糖タンパク質CD44(NCBI遺伝子ID:960)
(62)CDH15(カドヘリン15、NCBI遺伝子ID:1013)
(63)細胞表面糖タンパク質CEACAM5(NCBI遺伝子ID:1048)
(64)細胞接着分子L1様(CHL1、NCBI遺伝子ID:10752)
(65)受容体チロシンキナーゼc-Met(NCBI遺伝子ID:4233)
(66)ノッチリガンドDLL3(NCBI遺伝子ID:10683)
(67)エフリンA4(EFNA4、NCBI遺伝子ID:1945)
(68)エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ3(ENPP3、NCBI遺伝子ID:5169)
(69)凝固因子III(F3、NCBI遺伝子ID:2152)
(70)FGF受容体3(FGFR3、NCBI遺伝子ID:2261)
(71)葉酸ヒドロラーゼFOLH1(NCBI遺伝子ID:2346)
(72)葉酸受容体1(FOLR1;NCBI遺伝子ID:2348)
(73)グアニル酸シクラーゼ2C(GUCY2C、NCBI遺伝子ID:2984)
(74)KIT癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼ(NCBI遺伝子ID:3815)
(75)リソソーム関連膜タンパク質1(LAMP1、NCBI遺伝子ID:3916)
(76)リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E(LY6E、NCBI遺伝子ID:4061)
(77)タンパク質NOTCH3(NCBI遺伝子ID:4854)
(78)タンパク質チロシンキナーゼ7(PTK7、NCBI遺伝子ID:5754)
(79)ネクチン細胞接着分子4(PVRL4、NECTIN4、NCBI遺伝子ID:81607)
(80)膜貫通タンパク質シンデカン1(SDC1、NCBI遺伝子ID:6382)
(81)SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7、NCBI遺伝子ID:57823)
(82)輸送タンパク質SLC39A6(NCBI遺伝子ID:25800)
(83)SLIT様およびNTRK様ファミリーメンバー6(SLITRK6、NCBI遺伝子ID:84189)
(84)細胞表面受容体TACSTD2(NCBI遺伝子ID:4070)
(85)受容体タンパク質TNFRSF8(NCBI遺伝子ID:943)
(86)受容体タンパク質TNFSF13B(NCBI遺伝子ID:10673)
(87)糖タンパク質TPBG(NCBI遺伝子ID:7162)
(88)細胞表面受容体TROP2(TACSTD2、NCBI遺伝子ID:4070)
(89)ガラニン様Gタンパク質共役受容体KISS1R(GPR54、NCBI遺伝子ID:84634)
(90)輸送タンパク質SLAMF6(NCBI遺伝子ID:114836)
【0083】
本発明の好ましい主題では、がん標的分子が、がん標的分子EGFR、CD123、Her2、B7H3、TWEAKRおよびCXCR5、特にCD123、CXCR5およびB7H3からなる群から選択される。
【0084】
本発明のさらに特に好ましい主題では、結合剤が、がん標的分子EGFR、CD123、Her2、B7H3、TWEAKRおよびCXCR5、特にCD123、CXCR5およびB7H3からなる群から選択される細胞外がん標的分子に結合する。
【0085】
本発明のさらに特に好ましい主題では、結合剤が、がん標的分子EGFR、CD123、Her2、B7H3、TWEAKRおよびCXCR5、特にCD123、CXCR5およびB7H3からなる群から選択される細胞外がん標的分子に特異的に結合する。好ましい実施形態では、結合剤が、標的細胞上のその細胞外標的分子に結合した後、結合を通して標的細胞によって内在化される。これにより、結合剤-薬物コンジュゲート(免疫コンジュゲートまたはADCであり得る)が標的細胞に取り込まれる。次いで、結合剤が、好ましくは細胞内で、好ましくはリソソームで処理される。
【0086】
一実施形態では、結合剤が結合タンパク質である。好ましい実施形態では、結合剤が抗体、抗原結合抗体フラグメント、多重特異性抗体または抗体模倣物である。
【0087】
好ましい抗体模倣物は、アフィボディ、アドネクチン、アンチカリン(登録商標)、DARPins、アビマーまたはナノボディである。好ましい多重特異性抗体は二重特異性抗体および三重特異性抗体である。
【0088】
好ましい実施形態では、結合剤が抗体または抗原結合抗体フラグメント、より好ましくは単離抗体または単離抗原結合抗体フラグメントである。
【0089】
好ましい抗原結合抗体フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント、ダイアボディ、DAb、線状抗体およびscFvである。Fab、ダイアボディおよびscFvが特に好ましい。
【0090】
特に好ましい実施形態では、結合剤が抗体である。モノクローナル抗体またはその抗原結合抗体フラグメントが特に好ましい。ヒト抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ抗体またはこれらの抗原結合抗体フラグメントがさらに特に好ましい。
【0091】
がん標的分子に結合する抗体または抗原結合抗体フラグメントは、例えば化学合成または組換え発現などの公知の方法を使用して当業者によって調製され得る。がん標的分子のための結合剤は、商業的に獲得され得る、または例えば化学合成もしくは組換え発現などの公知の方法を使用して当業者によって調製され得る。抗体または抗原結合抗体断片を調製するさらなる方法は、国際公開第2007/070538号パンフレット(22頁の「抗体」参照)に記載されている。当業者であれば、どのようにファージディスプレイライブラリー(例えば、Morphosys HuCAL Gold)などの方法を編集して、抗体または抗原結合抗体断片を発見するために使用することができるか知っている(国際公開第2007/070538号パンフレット、24ff頁および70頁のAK実施例1、72頁のAK実施例2参照)。B細胞からのDNAライブラリーを使用する抗体を調製するさらなる方法は、例えば26頁に記載されている(国際公開第2007/070538号パンフレット)。抗体をヒト化する方法は、国際公開第2007070538号パンフレットの30~32頁およびQueenら、Pros.Natl.Acad.Sci.USA 8610029~10033、1989または国際公開第90/0786号パンフレットに詳細に記載されている。さらに、一般にタンパク質および特に抗体の組換え発現のための方法は、当業者に公知である(例えば、BergerおよびKimrnel(Guide to Molecular Cloning Techniques、Methods in Enzymology、第152巻、Academic Press,Inc.);Sambrookら(Molecular Cloning A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Cold Spring Harbor、N.Y.;1989)第1~3巻);Current Protocols in Molecular Biology、(F.M.Ausabelら[編]、Current Protocols、Green Publishing Associates、Inc./John Wiley&Sons,Inc.);Harlowら(Monoclonal Antibodies A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press(19881、Paul[編]);Fundamental Immunology、(Lippincott Williams&Wilkins(1998));およびHarlowら(Using Antibodies A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1998)参照)。当業者であれば、タンパク質/抗体の発現に必要な対応するベクター、プロモーターおよびシグナルペプチドを知っている。一般的な方法は、国際公開第2007/070538号パンフレットの41~45頁にも記載されている。IgG1抗体を調製する方法は、例えば、国際公開第2007/070538号パンフレットの74ff頁の実施例6に記載されている。その抗原に結合した後の抗体の内在化の決定を可能にする方法は当業者に公知であり、例えば国際公開第2007/070538号パンフレットの80頁に記載されている。当業者であれば、異なる標的分子特異性を有する抗体の調製と同様に、カルボアンヒドラーゼIX(Mn)抗体を調製するために使用されている国際公開第2007/070538号パンフレットに記載される方法を使用することができる。
【0092】
細菌発現
当業者であれば、抗体、その抗原結合フラグメントまたはその変異体を細菌発現の助けを借りて産生することができる方法を知っている。
【0093】
所望のタンパク質の細菌発現に適した発現ベクターは、適切な翻訳開始シグナルおよび翻訳終結シグナル、ならびに機能的プロモーターと共に、機能的リーディングフレーム内に所望のタンパク質をコードするDNA配列の挿入によって構築される。ベクターは、ベクターの保持、および所望であれば宿主内でのその増幅を可能にするために、1つまたは複数の表現型選択マーカーおよび複製起点を含む。形質転換に適した原核宿主には、それだけに限らないが、大腸菌(E.coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)ならびにシュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)およびブドウ球菌属(Staphylococcus)の種々の種が含まれる。細菌ベクターは、例えばバクテリオファージ、プラスミド、またはファージミドに基づき得る。これらのベクターは、市販のプラスミドに由来する選択マーカーおよび細菌複製起点を含み得る。多くの市販のプラスミドは、典型的には周知のクローニングベクターpBR322(ATCC 37017)の要素を含む。細菌系では、発現させるタンパク質の意図する使用に基づいて、いくつかの有利な発現ベクターを選択することができる。
【0094】
適切な宿主株の形質転換および宿主株の適切な細胞密度への増殖の後、選択されたプロモーターを、適切な手段(例えば、温度変化または化学的誘導)によって再プライミング/誘導し、細胞をさらなる期間培養する。細胞を、典型的には遠心分離によって収穫し、必要であれば、物理的様式または化学的手段で消化し、得られた生抽出物をさらなる精製のために保持する。
【0095】
したがって、本発明のさらなる実施形態は、本発明の新規な抗体をコードする核酸を含む発現ベクターである。
【0096】
本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントには、天然の精製産物、化学合成に由来する産物、ならびに原核宿主、例えば大腸菌(E.coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)ならびにシュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)およびブドウ球菌属(Staphylococcus)の種々の種、好ましくは大腸菌(E.coli)で組換え技術によって産生された産物が含まれる。
【0097】
哺乳動物細胞発現
当業者であれば、抗体、その抗原結合フラグメントまたはその変異体を哺乳動物細胞発現の助けを借りて産生することができる方法を知っている。
【0098】
哺乳動物細胞宿主における発現のための好ましい調節配列には、哺乳動物細胞中での高い発現をもたらすウイルスエレメント、例えばサイトメガロウイルス(CMV)(expression amplifier)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、シミアンウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))およびポリオーマ由来のプロモーターおよび/または発現増幅因子が含まれる。抗体の発現は、構成的であっても調節されていてもよい(例えば、Tet系と併せてテトラサイクリンなどの小分子誘導物質の添加または除去により誘導)。
【0099】
ウイルス調節エレメントおよびその配列のさらなる説明については、例えば、Stinskiによる米国特許第5168062号明細書、Bellらによる米国特許第4510245号明細書およびSchaffnerらによる米国特許第4968615号明細書が参照される。組換え発現ベクターはまた、複製起点および選択マーカーを含むことができる(例えば、米国特許第4399216号明細書、同第4634665号明細書および米国特許第5179017号明細書参照)。適切な選択マーカーには、ベクターが細胞に導入されると、G418、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、ブラストサイジン、ゼオシン/ブレオマイシンもしくはメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を付与する遺伝子またはグルタミン合成酵素などの宿主の栄養要求性をもたらす選択マーカーが含まれる(Bebbingtonら、Biotechnology(N Y).1992年2月;10(2):169~75)。
【0100】
例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子はメトトレキサートに対する耐性を付与し、neo遺伝子はG418に対する耐性を付与し、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のbsd遺伝子はブラストサイジンに対する耐性を付与し、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼはピューロマイシンに対する耐性を付与し、Sh ble遺伝子産物はゼオシンへの耐性を付与し、ハイグロマイシンに対する耐性は、大腸菌(E.coli)ハイグロマイシン耐性遺伝子(hygまたはhph)によって付与される。DHFRまたはグルタミンシンターゼなどの選択マーカーも、MTXおよびMSXと併せて増幅技術に有用である。
【0101】
発現ベクターの宿主細胞へのトランスフェクションは、電気穿孔、ヌクレオフェクション(nucleofection)、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、ポリカチオンベースのトランスフェクション(ポリエチレンイミン(PEI)ベースのトランスフェクションなど)およびDEAE-デキストラントランスフェクションを含む標準的な技術を用いて行うことができる。
【0102】
抗体、その抗原結合フラグメントまたはその変異体を発現するのに適した哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)、例えばCHO-K1、CHO-S、CHO-K1SV[R.J.KaufmanおよびP.A.Sharp(1982)Mol.Biol.159:601~621に記載されるDHFR選択マーカーと共に使用される、UrlaubおよびChasin、(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216~4220およびUrlaubら、Cell.1983年6月;33(2):405~12に記載されるDHFR-CHO細胞;およびFanら、Biotechnol Bioeng.2012年4月109(4):1007~15に例示される他のノックアウト細胞を含む]、NS0骨髄腫細胞、COS細胞、HEK293細胞、HKB11細胞、BHK21細胞、CAP細胞、EB66細胞およびSP2細胞が含まれる。
【0103】
抗体、その抗原結合フラグメントまたはその変異体発現はまた、HEK293、HEK293T、HEK293-EBNA、HEK293E、HEK293-6E、HEK293-Freestyle、HKB11、Expi293F、293EBNALT75、CHO Freestyle、CHO-S、CHO-K1、CHO-K1SV、CHOEBNALT85、CHOS-XE、CHO-3E7またはCAP-T細胞などの発現系において一過性または半安定性であり得る(例えば、Durocherら、Nucleic Acids Res.2002年1月15日;30(2):E9)などの発現系で一過性または半安定様式で行われ得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、発現されるタンパク質が宿主細胞が増殖している細胞培養培地に分泌されるように、発現ベクターが構築される。抗体、その抗原結合フラグメントまたはその変異体を、当業者に知られているタンパク質精製法を用いて細胞培養培地から得ることができる。
【0105】
精製
抗体、その抗原結合フラグメントまたはその変異体は、例として硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーが挙げられる周知の方法によって組換え細胞培養物から回収および精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)も同様に精製に使用することができる。例えば、Colligan、Current Protocols in Immunology、またはCurrent Protocols in Protein Science、John Wiley&Sons、NY、N.Y.、(1997~2001)、例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたい。
【0106】
本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントまたはその変異体には、天然精製産物、化学合成法からの産物、および原核生物または真核生物の宿主細胞において組換え技術を用いて産生される産物が含まれる。真核生物宿主には、例えば、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞が含まれる。組換え発現のために選択された宿主細胞に応じて、発現されるタンパク質はグリコシル化形態または非グリコシル化形態であり得る。
【0107】
好ましい実施形態では、抗体が、(1)例えばローリー法、UV-vis分光法もしくはSDSキャピラリーゲル電気泳動(例えば、Caliper LabChip GXII、GX 90もしくはBiorad Bioanalyzer機器で)によって測定される95重量%超の程度まで、より好ましい実施形態では、99重量%超まで、(2)N末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を決定するのに適した程度まで、または(3)クーマシーブルーもしくは好ましくは銀染色を用いて還元もしくは非還元条件下でSDS-PAGEによって決定される均質性まで、精製される。
【0108】
通常、単離抗体は少なくとも1つのタンパク質精製ステップを用いて得られる。
【0109】
抗CD123抗体
本発明によると、抗CD123抗体を使用することが可能である。
【0110】
「抗CD123抗体」または「CD123に特異的に結合する抗体」という表現は、がん標的分子CD123(IL3RA;NCBI遺伝子ID:3563;NCBI参照配列:NP_002174.1;Swiss-Prot:P26951;配列番号111)に、好ましくは診断および/または治療用途に十分な親和性で結合する抗体に関する。特定の実施形態では、抗体が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nMの解離定数(KD)でCD123に結合する。
【0111】
Sunら(Sunら、1996、Blood 87(1):83~92)は、IL-3Rα、CD123のN末端ドメインに結合するモノクローナル抗体7G3の作製および特性を記載している。米国特許第6,177,078号明細書(Lopez)は、抗CD123抗体7G3に関する。この抗体のキメラ変異体(CSL360)は、国際公開第2009/070844号パンフレットに記載されており、ヒト化バージョン(CSL362)は、国際公開第2012/021934号パンフレットに記載されている。7G3抗体の配列は、欧州特許第2426148号明細書に開示されている。この配列は、CDR移植によって得られたヒト化抗体の出発点を構成する。
【0112】
細胞表面抗原結合後に特に良好に内在化される抗体は、Kuoら(Kuoら、2009、Bioconjug Chem.20(10):1975~82)によって開示されている抗CD123抗体12F1である。抗体12F1は、抗体7G3よりもCD123に高い親和性で結合し、細胞表面抗原結合後、7G3よりも著しく早く内在化される。12F1に基づく二重特異性scFv免疫融合タンパク質は、国際公開第2013/173820号パンフレットに開示されている。抗体TPP-6013は12F1のキメラ変異体である。
【0113】
本発明は、特に、マウスに由来する抗体7G3(Sunら、1996、Blood 87(1):83~92)および12F1(Kuoら、2009、Bioconjug Chem.20(10):1975~82)から誘導された抗体もしくはその抗原結合抗体断片もしくはその変異体を含むコンジュゲート、またはマウスに由来する抗体12F1(Kuoら、2009、Bioconjug Chem.20(10):1975~82)から誘導された抗体もしくはその抗原結合抗体断片もしくはその変異体を含むコンジュゲートに関する。
【0114】
マウス7G3抗体およびマウス12F1抗体のヒト化変異体は、ヒトフレームワークへのCDR移植およびその後の最適化によって作製され、本発明の文脈における好ましい例である。
【0115】
本発明の文脈において、抗CD123抗体TPP-9476、TPP-8988、TPP-8987およびTPP-6013が特に好ましい。
【0116】
抗CXCR5抗体
本発明によると、抗CXCR5抗体を使用することが可能である。
【0117】
「抗CXCR5抗体」または「CXCR5に特異的に結合する抗体」という表現は、がん標的分子CXCR5(NCBI参照配列:NP_001707.1;配列番号112)に、好ましくは診断および/または治療用途に十分な親和性で結合する抗体に関する。特定の実施形態では、抗体が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nMの解離定数(KD)でCXCR5に結合する。
【0118】
CXCR5に結合する抗体および抗原結合フラグメントの例は当業者に知られており、例えば欧州特許第2195023号明細書に記載されている。
【0119】
ラット抗体RF8B2(ACC2153)のハイブリドーマ細胞をDSMZから購入し、抗体の配列を標準的な方法によって識別した。この配列は、CDR移植によって得られたヒト化抗体の出発点を構成する。
【0120】
この抗体のヒト化変異体を生殖系列配列へのCDR移植によって作製した。
【0121】
これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0122】
本発明の文脈において、抗CXCR5抗体TPP-9574およびTPP-9580が特に好ましい。
【0123】
抗B7H3抗体
本発明によると、抗B7H3抗体を使用することが可能である。
【0124】
「抗B7H3抗体」または「B7H3に特異的に結合する抗体」という表現は、がん標的分子B7H3(NCBI参照配列:NP_001019907.1配列番号113)に、好ましくは診断および/または治療用途に十分な親和性で結合する抗体に関する。特定の実施形態では、抗体が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nMの解離定数(KD)でB7H3に結合する。
【0125】
B7H3に結合する抗体および抗原結合フラグメントの例は当業者に知られており、例えば国際公開第201109400号パンフレット、欧州特許第1773884号明細書および国際公開第2014061277号パンフレットに記載されている。欧州特許第2121008号明細書は抗B7H3抗体8H9およびそのCDR配列を記載している。
【0126】
これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0127】
抗B7H3抗体の好ましい実施形態は、組換えマウスB7H3(マウスCD276;遺伝子ID:102657)およびヒトB7H3(ヒトCD276;遺伝子ID:80381)を発現する細胞について抗体ファージディスプレイライブラリーをスクリーニングすることによって得られた。得られた抗体をヒトIgG1フォーマットに形質転換した。抗B7H3抗体TPP-8382が好ましい例である。
【0128】
本発明の文脈において、抗B7H3抗体TPP-8382が特に好ましい。
【0129】
抗TWEAKR抗体
本発明によると、抗TWEAKR抗体を使用することが可能である。
【0130】
「抗TWEAKR抗体」または「TWEAKRに特異的に結合する抗体」という表現は、がん標的分子TWEAKR(NCBI参照配列:NP_057723.1配列番号114)に、好ましくは診断および/または治療用途に十分な親和性で結合する抗体に関する。特定の実施形態では、抗体が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nMの解離定数(KD)でTWEAKRに結合する。
【0131】
TWEAKRに結合する抗体の例は、例えば、国際公開第2009/020933号パンフレット、国際公開第2009/140177号パンフレット、国際公開第2014/198817号パンフレットおよび国際公開第2015/189143号パンフレットに開示されている。これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0132】
ITEM-4は、Nakayamaら(Nakayamaら、2003、Biochem Biophy Res Comm、306:819~825)によって記載された抗TWEAKR抗体である。CDR移植に基づくこの抗体のヒト化変異体は、Zhouら(Zhouら、2013、J Invest Dermatol.133(4):1052~62)および国際公開第2009/020933号パンフレットに記載されている。これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0133】
本発明の文脈において、抗TWEAKR抗体TPP-7006およびTPP-7007が特に好ましい。これらは抗体ITEM-4のヒト化変異体である。これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において好ましく使用することができる。
【0134】
抗HER2抗体:
本発明によると、抗HER2抗体を使用することが可能である。
【0135】
「抗HER2抗体」または「HER2に特異的に結合する抗体」という表現は、がん標的分子HER2(NCBI参照配列:NP_004439.2配列番号115)に、好ましくは診断および/または治療用途に十分な親和性で結合する抗体に関する。特定の実施形態では、抗体が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nMの解離定数(KD)でHER2に結合する。
【0136】
がん標的分子Her2に結合する抗体の例は、トラスツズマブ(Genentech)である。トラスツズマブは、とりわけ乳がんの治療に使用されるヒト化抗体である。特に好ましい実施形態では、抗HER2抗体がTPP-1015(トラスツズマブ類似体)である。
【0137】
HER2に結合する抗体のさらなる例は、トラスツズマブ(INN 7637、CAS番号:RN:180288-69-1)およびペルツズマブ(CAS番号:380610-27-5)に加えて、国際公開第2009/123894号パンフレット、国際公開第200/8140603号パンフレットまたは国際公開第2011/044368号パンフレットに開示されている抗体である。抗HER2コンジュゲートの例はトラスツズマブ-エムタンシン(INN番号9295)である。これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0138】
本発明の文脈において、抗HER2抗体TPP-1015(トラスツズマブに類似)が特に好ましい。
【0139】
抗EGFR抗体
本発明によると、抗EGFR抗体を使用することが可能である。
【0140】
「抗EGFR抗体」または「EGFRに特異的に結合する抗体」という表現は、がん標的分子EGFR(NCBI参照配列:NP_005219.2配列番号116)に、好ましくは診断および/または治療用途に十分な親和性で結合する抗体に関する。特定の実施形態では、抗体が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nMの解離定数(KD)でEGFRに結合する。
【0141】
好ましい実施形態では、抗EGFR抗体が、TPP-981、セツキシマブ、パニツムマブ、ニモツズマブからなる群から選択される。特に好ましい実施形態では、抗EGFR抗体がTPP-981である。
【0142】
EGFR抗体のさらなる実施形態は以下の通りである:
・ザルツムマブ/2F8/HuMax-EGFr、Genmab A/S製(国際公開第02/100348号パンフレット、国際公開第2004/056847号パンフレット、INN番号8605)
・ネシツムマブ/11F8、ImClone/IMC-11F8、ImClone Systems Inc.[Eli Lilly&Co]製[(国際公開第2005/090407号パンフレット(欧州特許第01735348号明細書、米国特許出願公開第2007/0264253号明細書、米国特許第7598350号明細書、国際公開第2005/090407号パンフレット)、INN番号9083)
・マツズマブ/抗EGFR MAb、Merck KGaA/抗EGFR MAb、Takeda/EMD 72000/EMD-6200/EMD-72000およびEMD-55900/MAb 425/モノクローナル抗体425、Merck KGaA/Takeda製(国際公開第92/15683号パンフレット、INN番号8103(マツズマブ))
・RG-7160/GA-201/GA 201/R-7160/R7160/RG 7160/RO-4858696/RO-5083945/RO-48838696/RO 5083945、Glycart Biotechnology AG製(Roche Holding AG)(国際公開第2010/112413号パンフレット、国際公開第2010/115554号パンフレット)
・GT-MAB 5.2-GEX/CetuGEX、Glycotope GmbH製(国際公開第2008/028686号パンフレット(欧州特許第01900750号明細書、欧州特許第01911766号明細書、欧州特許第02073842号明細書、米国特許出願公開第2010/0028947号明細書)
・ISU-101、Isu Abxis Inc(ISU Chemical Co.Ltd)/Scancell製(国際公開第2008/004834号パンフレット)
・ABT-806/mAb-806/ch-806/抗EGFRモノクローナル抗体806、Ludwig Institute for Cancer Research/Abbott/Life Science Pharmaceuticals製(国際公開第02/092771号パンフレット、国際公開第2005/081854号パンフレットおよび国際公開第2009/023265号パンフレット)
・SYM-004(2つのキメラIgG1抗体(992および1024)からなる)、Symphogen A/S製(国際公開第2010/022736号パンフレット)
・MR1-1/MR1-1KDEL、IVAX Corp(Teva Pharmaceutical Industries Ltd)(Duke大学)製(特許:国際公開第2001/062931号パンフレット)
・欠失突然変異体、EGFRvIIIに対する抗体、Amgen/Abgenix製(国際公開第2005/010151号パンフレット、米国特許第7628986号明細書)
・SC-100、Scancell Ltd製(国際公開第01/088138号パンフレット)
・MDX-447/EMD 82633/BAB-447/H 447/MAb、EGFR、Medarex/Merck KgaA、Bristol-Myers Squibb(米国)/Merck KGaA(ドイツ)/Takeda(日本)製(国際公開第91/05871号パンフレット、国際公開第92/15683号パンフレット)
・抗EGFR-Mab、Xencor製(国際公開第2005/056606号パンフレット)
・DXL-1218/抗EGFRモノクローナル抗体(がん)、InNexus、InNexus Biotechnology Inc製、Pharmaprojects PH048638
【0143】
抗カルボアンヒドラーゼIX抗体
がん標的分子カルボアンヒドラーゼIXに結合する抗体の例は、国際公開第2007/070538号パンフレットに記載されている(例えば、請求項1~16)。
【0144】
抗C4.4a抗体:
C4.4a抗体および抗原結合フラグメントの例は、国際公開第2012/143499号パンフレットに記載されている。抗体の配列は、国際公開第2012/143499号パンフレットの表1に示されており、各行は、列1に列挙される抗体の可変軽鎖または可変重鎖のそれぞれのCDRアミノ酸配列を示している。
【0145】
抗CD20抗体:
がん標的分子CD20に結合する抗体の例は、リツキシマブ(Genentech)である。リツキシマブ(CAS番号:174722-31-7)は、非ホジキンリンパ腫の治療に使用されるキメラ抗体である。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0146】
抗CD52抗体:
がん標的分子CD52に結合する抗体の例はアレムツズマブ(Genzyme)である。アレムツズマブ(CAS番号:216503-57-0)は、慢性リンパ性白血病の治療に使用されるヒト化抗体である。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0147】
抗メソテリン抗体:
抗メソテリン抗体の例は、例えば、国際公開第2009/068204号パンフレットに記載されている。国際公開第2009/068204号パンフレットに開示されている抗体および抗原結合フラグメントは全て、本明細書に開示される本発明の文脈において使用することができる。より好ましくは、国際公開第2009/068204号パンフレットに開示されている抗体はMF-Tである。
【0148】
抗CD30抗体
がん標的分子CD30に結合し、がん、例えばホジキンリンパ腫の治療に使用することができる抗体の例は、ブレンツキシマブ、イラツムマブ、および国際公開第2008/092117号パンフレット、国際公開第2008/036688号パンフレットまたは国際公開第2006/089232号パンフレットに開示されている抗体である。抗CD30コンジュゲートの例は、ブレンツキシマブベドチン(INN番号9144)である。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0149】
抗CD22抗体
がん標的分子CD22に結合し、がん、例えばリンパ腫の治療に使用することができる抗体の例は、イノツズマブおよびエプラツズマブである。抗CD22コンジュゲートの例は、イノツズマブオザガマイシン(INN番号8574)または抗CD22-MMAEおよび抗CD22-MC-MMAE(それぞれCAS RN:139504-50-0および474645-27-7)である。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0150】
抗CD33抗体
がん標的分子CD33に結合し、がん、例えば白血病の治療に使用することができる抗体の例は、ゲムツズマブおよびリンツズマブ(INN 7580)である。抗CD33コンジュゲートの例は、ゲムツズマブ-オザガマイシンである。これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0151】
抗NMB抗体
がん標的分子NMBに結合し、がん、例えば黒色腫または乳がんの治療に使用することができる抗体の例は、グレンバツムマブ(INN 9199)である。抗NMBコンジュゲートの例は、グレンバツマムベドチン(CAS RN:474645-27-7)である。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0152】
抗CD56抗体
がん標的分子CD56に結合し、がん、例えば多発性骨髄腫、小細胞肺癌、MCCまたは卵巣癌の治療に使用することができる抗体の例は、ロルボツズマブ(lorvotuzumab)である。抗CD57コンジュゲートの例は、ロルボツズマブメルタンシン(lorvotuzumab mertansine)(CAS RN:139504-50-0)である。これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0153】
抗CD70抗体
がん標的分子CD70に結合し、がん、例えば、非ホジキンリンパ腫または腎細胞がんの治療に使用することができる抗体の例は、国際公開第2007/038637号パンフレットおよび国際公開第2008/070593号パンフレットに開示されている。抗CD70コンジュゲートの例はSGN-75(CD70 MMAF)である。これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0154】
抗CD74抗体
がん標的分子CD74に結合し、がん、例えば多発性骨髄腫の治療に使用することができる抗体の例は、ミラツズマブである。抗CD74コンジュゲートの例は、ミラツズマブ-ドキソルビシン(CAS RN:23214-92-8)である。これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0155】
抗CD19抗体
がん標的分子CD19に結合し、がん、例えば非ホジキンリンパ腫の治療に使用することができる抗体の例は、国際公開第2008/031056号パンフレットに開示されている。さらなる抗体および抗CD19コンジュゲート(SAR3419)の例は、国際公開第2008/047242号パンフレットに開示されている。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0156】
抗ムチン抗体
がん標的分子ムチン-1に結合し、がん、例えば非ホジキンリンパ腫の治療に使用することができる抗体の例は、クリバツズマブおよび国際公開第2003/106495号パンフレット、国際公開第2008/028686号パンフレットに開示されている抗体である。抗ムチンコンジュゲートの例は、国際公開第2005/009369号パンフレットに開示されている。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0157】
抗CD138抗体
がん標的分子CD138およびそのコンジュゲートに結合し、がん、例えば多発性骨髄腫の治療に使用することができる抗体の例は、国際公開第2009/080829号パンフレット、国際公開第2009/080830号パンフレットに開示されている。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0158】
抗インテグリン-αV抗体
がん標的分子インテグリンαVに結合し、がん、例えば黒色腫、肉腫または癌腫の治療に使用することができる抗体の例は、インテツムマブ(CAS RN:725735-28-4)、アブシキシマブ(CAS RN:143653-53-6)、エタラシズマブ(CAS RN:892553-42-3)ならびに米国特許第7465449号明細書、欧州特許第719859号明細書、国際公開第2002/012501号パンフレットおよび国際公開第2006/062779号パンフレットに開示される抗体である。抗インテグリンαVコンジュゲートの例は、インテツムマブ-DM 4および国際公開第2007/024536号パンフレットに開示されている他のADCである。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0159】
抗TDGF1抗体
がん標的分子TDGF1に結合し、がんの治療に使用することができる抗体の例は、国際公開第02/077033号パンフレット、米国特許第7318924号明細書、国際公開2003/083041号パンフレットおよび国際公開第2002/088170号パンフレットに開示される抗体である。抗TDGF1コンジュゲートの例は、国際公開第2002/088170号パンフレットに開示されている。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0160】
抗PSMA抗体
がん標的分子PSMAに結合し、がん、例えば前立腺癌の治療に使用することができる抗体の例は、国際公開第97/35616号パンフレット、国際公開第99/47554号パンフレット、国際公開第01/009192号パンフレットおよび国際公開第2003/034903号パンフレットに開示される抗体である。抗PSMAコンジュゲートの例は、国際公開第2009/026274号パンフレットおよび国際公開第2007/002222号パンフレットに開示されている。これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0161】
抗EPHA2抗体
がん標的分子EPHA2に結合し、コンジュゲートを調製するためおよびがんの治療に使用することができる抗体の例は、国際公開第2004/091375号パンフレットに開示されている。これらの抗体および抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0162】
抗SLC44A4抗体
がん標的分子SLC44A4に結合し、コンジュゲートを調製するためおよびがん、例えば膵臓または前立腺癌の治療に使用することができる抗体の例は、国際公開第2009/033094号パンフレットおよび米国特許出願公開第2009/0175796号明細書に開示されている。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0163】
抗HLA-DOB抗体
がん標的分子HLA-DOBに結合する抗体の例は、がん、例えば非ホジキンリンパ腫の治療に使用することができる抗体Lym-1(CAS RN:301344-99-0)である。抗HLA-DOBコンジュゲートの例は、例えば、国際公開第2005/081711号パンフレットに開示されている。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0164】
抗VTCN1抗体
がん標的分子VTCN1に結合し、コンジュゲートを調製するためおよびがん、例えば卵巣癌、膵臓がん、肺がんまたは乳がんの治療に使用することができる抗体の例は、国際公開第2006/074418号パンフレットに開示されている。これらの抗体およびその抗原結合フラグメントを本発明の文脈において使用することができる。
【0165】
抗FGFR2抗体
抗FGFR2抗体および抗原結合フラグメントの例は、国際公開第2013076186号パンフレットに記載されている。抗体の配列は、国際公開第2013076186号パンフレットの表9および表10に示されている。M048-D01およびM047-D08と呼ばれる抗体に由来する抗体、抗原結合フラグメントおよび抗体の変異体が好ましい。
【0166】
本発明による結合剤-薬物コンジュゲートのための好ましい抗体および抗原結合抗体フラグメント
本出願において、結合剤-薬物コンジュゲートの文脈において、以下の表に示される以下の好ましい抗体が参照される:TPP-981、TPP-1015、TPP-6013、TPP-7006、TPP-7007、TPP-8382、TPP-8987、TPP-8988、TPP-9476、TPP-9574およびTPP-9580。
【0167】
【0168】
TPP-981、TPP-1015、TPP-6013、TPP-7006、TPP-7007、TPP-8382、TPP-8987、TPP-8988、TPP-9476、TPP-9574およびTPP-9580は、重鎖可変領域(VH)または軽鎖可変領域(VL)中に上記の表に特定されるCDR配列(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3)の1つまたは複数を含む抗体である。好ましくは、抗体は、特定の重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)を含む。好ましくは、抗体は、重鎖の特定の領域(IgG重鎖)および/または軽鎖の特定の領域(IgG軽鎖)を含む。
【0169】
TPP-981は、配列番号2によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号3によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号4によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号6によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号7によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号8によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗EGFR抗体である。
【0170】
TPP-1015は、配列番号12によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号13によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号14によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号16によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号17によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号18によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗HER2抗体である。
【0171】
TPP-6013は、配列番号22によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号23によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号24によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号26によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号27によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号28によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CD123抗体である。
【0172】
TPP-7006は、配列番号32によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号33によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号34によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号36によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号37によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号38によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗TWEAKR抗体である。
【0173】
TPP-7007は、配列番号42によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号43によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号44によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号46によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号47によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号48によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗TWEAKR抗体である。
【0174】
TPP-8382は、配列番号52によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号53によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号54によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号56によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号57によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号58によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗B7H3抗体である。
【0175】
TPP-8987は、配列番号62によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号63によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号64によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号66によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号67によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号68によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CD123抗体である。
【0176】
TPP-8988は、配列番号72によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号73によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号74によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号76によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号77によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号78によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CD123抗体である。
【0177】
TPP-9476は、配列番号82によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号83によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号84によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号86によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号87によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号88によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CD123抗体である。
【0178】
TPP-9574は、配列番号92によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号93によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号94によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号96によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号97によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号98によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CXCR5抗体である。
【0179】
TPP-9580は、配列番号102によって示される重鎖の可変CDR1配列(H-CDR1)、配列番号103によって示される重鎖の可変CDR2配列(H-CDR2)および配列番号104によって示される重鎖の可変CDR3配列(H-CDR3)を含む重鎖の可変領域(VH)と配列番号106によって示される軽鎖の可変CDR1配列(L-CDR1)、配列番号107によって示される軽鎖の可変CDR2配列(L-CDR2)および配列番号108によって示される軽鎖の可変CDR3配列(L-CDR3)を含む軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CXCR5抗体である。
【0180】
TPP-981は、好ましくは配列番号1に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号5に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗EGFR抗体である。
【0181】
TPP-1015は、好ましくは配列番号11に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号15に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗HER2抗体である。
【0182】
TPP-6013は、好ましくは配列番号21に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号25に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CD123抗体である。
【0183】
TPP-7006は、好ましくは配列番号31に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号35に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗TWEAKR抗体である。
【0184】
TPP-7007は、好ましくは配列番号41に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号45に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗TWEAKR抗体である。
【0185】
TPP-8382は、好ましくは配列番号51に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号55に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗B7H3抗体である。
【0186】
TPP-8987は、好ましくは配列番号61に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号65に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CD123抗体である。
【0187】
TPP-8988は、好ましくは配列番号71に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号75に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CD123抗体である。
【0188】
TPP-9476は、好ましくは配列番号81に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号85に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CD123抗体である。
【0189】
TPP-9574は、好ましくは配列番号91に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号95に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CXCR5抗体である。
【0190】
TPP-9580は、好ましくは配列番号101に示される重鎖の可変領域(VH)および配列番号105に示される軽鎖の可変領域(VL)を含む抗CXCR5抗体である。
【0191】
TPP-981は、好ましくは配列番号9に示される重鎖の領域および配列番号10に示される軽鎖の領域を含む抗EGFR抗体である。
【0192】
TPP-1015は、好ましくは配列番号19に示される重鎖の領域および配列番号20に示される軽鎖の領域を含む抗HER2抗体である。
【0193】
TPP-6013は、好ましくは配列番号29に示される重鎖の領域および配列番号30に示される軽鎖の領域を含む抗CD123抗体である。
【0194】
TPP-7006は、好ましくは配列番号39に示される重鎖の領域および配列番号40に示される軽鎖の領域を含む抗TWEAKR抗体である。
【0195】
TPP-7007は、好ましくは配列番号49に示される重鎖の領域および配列番号50に示される軽鎖の領域を含む抗TWEAKR抗体である。
【0196】
TPP-8382は、好ましくは配列番号59に示される重鎖の領域および配列番号60に示される軽鎖の領域を含む抗B7H3抗体である。
【0197】
TPP-8987は、好ましくは配列番号69に示される重鎖の領域および配列番号70に示される軽鎖の領域を含む抗CD123抗体である。
【0198】
TPP-8988は、好ましくは配列番号79に示される重鎖の領域および配列番号80に示される軽鎖の領域を含む抗CD123抗体である。
【0199】
TPP-9476は、好ましくは配列番号89に示される重鎖の領域および配列番号90に示される軽鎖の領域を含む抗CD123抗体である。
【0200】
TPP-9574は、好ましくは配列番号99に示される重鎖の領域および配列番号100に示される軽鎖の領域を含む抗CXCR5抗体である。
【0201】
TPP-9580は、好ましくは配列番号109に示される重鎖の領域および配列番号110に示される軽鎖の領域を含む抗CXCR5抗体である。
【0202】
同位体、塩、溶媒和物、同位体変種
本発明はまた、本発明の化合物の全ての適当な同位体変種も包含する。本発明の化合物の同位体変種は、ここでは、本発明の化合物中の少なくとも1個の原子が同じ原子番号であるが通常または主に自然に生じる原子質量とは異なる原子質量を有する別の原子と交換された化合物を意味すると理解される。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の同位体、例えば、2H(重水素)、3H(トリチウム)、13C、14C、15N、17O、18O、32P、33P、33S、34S、35S、36S、18F、36Cl、82Br、123I、124I、129Iおよび131Iがある。本発明による化合物の特定の同位体変種、特に1種または複数の放射性同位元素が組み込まれたものは、例えば、体内での作用機構または有効成分分布の調査に有益となり得、比較的容易な調製性および検出性のために、特に3Hまたは14Cで標識された化合物がこの目的に適している。さらに、同位体、例えば、重水素の組込みにより、化合物のより大きな代謝安定性の結果としての特定の治療上の利益、例えば、体内での半減期の延長または要求される活性剤用量の減少がもたらされ得るので、本発明による化合物のこのような修飾も、いくつかの場合、本発明の好ましい実施形態を構成し得る。本発明による化合物の同位体変種は、当業者に既知の方法、例えば、以下にさらに記載される方法および実施例に記載の手順によって、それぞれの試薬および/または出発化合物の対応する同位体修飾を用いることにより調製することができる。
【0203】
本発明の文脈において好ましい塩は、本発明の化合物の生理学的に許容される塩である。それ自体が製薬用途に適していないが、例えば、本発明の化合物を単離または精製するために使用することができる塩も包含される。
【0204】
本発明による化合物の生理学的に許容される塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0205】
本発明による化合物の生理学的に許容される塩には、従来の塩基の塩、例としておよび好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩)、およびアンモニアまたは1~16個の炭素原子を有する有機アミンに由来するアンモニウム塩、例としておよび好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、アルギニン、リジンおよび1,2-エチレンジアミンも含まれる。
【0206】
本発明の文脈における溶媒和物は、溶媒分子による配位によって固体または液体状態で錯体を形成する本発明の化合物の形態として記載される。水和物は、配位が水によるものである溶媒和物の特別な形態である。水和物が本発明の文脈において好まれる溶媒和物である。
【0207】
治療上の使用
その治療に本発明による化合物が使用され得る過増殖性疾患には、特に、がんおよび腫瘍疾患の群が含まれる。本発明の文脈において、これらは、それだけに限らないが、以下の疾患を特に意味すると理解される:乳癌および乳腫瘍(乳腺管および小葉形態、原位置も含む乳癌)、気道の腫瘍(小細胞および非小細胞癌、気管支癌)、脳腫瘍(例えば、脳幹および視床下部のもの、星細胞腫、上衣腫、膠芽腫、神経膠腫、髄芽腫、髄膜腫および神経外胚葉性腫瘍および松果体腫瘍)、消化器官の腫瘍(食道、胃、胆嚢、小腸、大腸、直腸の癌および肛門癌)、肝臓腫瘍(とりわけ、肝細胞癌、胆管癌および混合肝細胞性胆管癌)、頭頸部領域の腫瘍(喉頭、下咽頭、上咽頭、中喉頭、口唇および口腔癌、口腔黒色腫)、皮膚腫瘍(基底細胞腫、棘細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、非黒色腫性皮膚がん、メルケル細胞皮膚がん、肥満細胞腫瘍)、結合組織の腫瘍(とりわけ、軟組織肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、線維肉腫、血管肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫)、眼の腫瘍(とりわけ、眼内黒色腫および網膜芽細胞腫)、内分泌腺および外分泌腺の腫瘍(例えば、甲状腺および副甲状腺、膵臓および唾液腺癌、腺癌)、尿路の腫瘍(膀胱、陰茎、腎臓、腎盂および尿管の腫瘍)ならびに生殖器官の腫瘍(女性の子宮内膜、子宮頸部、卵巣、膣、外陰および子宮ならびに男性の前立腺および精巣の癌)。これらにはまた、固形および循環細胞としての血液、リンパ系および脊髄の増殖性疾患、例えば、白血病、リンパ腫および骨髄増殖性疾患、例えば急性骨髄性、急性リンパ芽球性、慢性リンパ球性、慢性骨髄性および有毛細胞白血病ならびにAIDS関連リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫および中枢神経系のリンパ腫も含まれる。
【0208】
ヒトにおけるこれらの十分に特徴付けられた疾患はまた、他の哺乳動物においても同等の病因で生じ得るので、そこでも同様に本発明の化合物で治療され得る。
【0209】
本明細書に記載されCD123に対する結合剤-または抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、好ましくはCD123発現がん疾患などのCD123発現障害の治療に使用することができる。典型的には、このようながん細胞は、タンパク質(例えば、免疫測定法を使用して)またはRNAレベルで測定される測定可能な量のCD123を示す。これらのがん組織のいくつかは、好ましくは同じ患者において測定された、同じ型の非癌性組織と比較して上昇したレベルのCD123を示す。場合により、CD123含量を、本発明による抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を用いたがん治療の開始前に測定する(患者層別化)。CD123に対する結合剤-薬物コンジュゲート(ADC)は、好ましくは造血およびリンパ組織の腫瘍または造血およびリンパ性悪性腫瘍などのCD123発現がん疾患などのCD123発現障害の治療に使用することができる。CD123発現に関連するがん疾患の例としては、急性骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)などの骨髄疾患が挙げられる。他の種類のがんには、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、有毛細胞白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)、ホジキンリンパ腫、未成熟T細胞急性リンパ芽球性白血病(未成熟T-ALL)、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)が含まれる。記載される発明の方法は、CD123発現がんを患っている患者の治療を含み、該方法は本発明による抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の投与を含む。
【0210】
本発明による化合物を用いた上記のがん疾患の治療は、固形腫瘍の治療とその転移形態または循環形態の治療の両方を含む。
【0211】
本発明の文脈において、「治療」または「治療する」という用語は、慣用的な意味で使用され、疾患または健康異常に対抗する、これを低減する、減弱するまたは緩和する目的で患者に接する、患者を世話する、および患者を介護する、ならびに例えば、がんイベントのように、この疾患によって損なわれる生活状態を改善することを意味する。
【0212】
よって、本発明はさらに、障害、特に上記障害を治療および/または予防するための本発明の化合物の使用を提供する。
【0213】
本発明はさらに、障害、特に上記障害を治療および/または予防するための医薬品を製造するための本発明の化合物の使用を提供する。
【0214】
本発明はさらに、障害、特に上記障害を治療および/または予防する方法における本発明の化合物の使用を提供する。
【0215】
本発明はさらに、有効量の本発明の化合物の少なくとも1種を使用して、障害、特に上記障害を治療および/または予防する方法を提供する。
【0216】
本発明の化合物は、単独で、または必要に応じて、1種または複数の他の薬理学的に活性な物質と組み合わせて使用することができ、ただし、この組み合わせは望ましくないおよび許容できない副作用をもたらさない。そのため、本発明は、特に上記障害を治療および/または予防するための、本発明の化合物の少なくとも1種と、1種または複数のさらなる薬物とを含む医薬品を提供する。
【0217】
例えば、本発明の化合物を、がん疾患を治療するために公知の抗過剰増殖、細胞増殖抑制性、細胞傷害性または免疫療法物質と組み合わせることができる。適切な組み合わせ薬物の例としては以下が挙げられる:
131I-chTNT、アバレリクス、アビラテロン、アクラルビシン、アダリムマブ、Ado-トラスツズマブ・エムタンシン、アファチニブ、アフリベルセプト、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アレンドロン酸、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド、ヘキシル-5-アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンセスチム、アネトールジチオールチオン、アネツマブ・ラブタンシン、アンギオテンシンII、アンチトロンビンIII、アプレピタント、アルシツモマブ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アテゾリズマブ、アベルマブ、アキシチニブ、アザシチジン、ベロテカン、ベンダムスチン、ベシレソマブ、ベリノスタット、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビサントレン、ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ブセレリン、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ、カルシトニン、ホリナートカルシウム、レボホリナートカルシウム、カペシタビン、カプロマブ、カルボマゼピン、カルボプラチン、カルボコン、カーフィルゾミブ、カルモフール、カルムスチン、カツマキソマブ、セレコキシブ、セルモロイキン、セリチニブ、セツキシマブ、クロラムブシル、クロルマジノン、クロルメチン、シドフォビル、シナカルセト、シスプラチン、クラドリビン、クロドロン酸、クロファラビン、コビメチニブ、コパンリシブ、クリサンタスパーゼ、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダラツムマブ、ダブラフェニブ、ダロルタミド、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デプレオチド、デスロレリン、デクスラゾキサン、塩化ジブロスピジウム、ジアンヒドロガラクチトール、ジクロフェナク、ドセタキセル、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドキソルビシン+エストロン、ドロナビノール、デュルバルマブ、エドレコロマブ、酢酸エリプチニウム、エンドスタチン、エノシタビン、エンザルタミド、エパカドスタット、エピルビシン、エピチオスタノール、エポエチンα、エポエチンβ、エポエチンζ、エプタプラチン、エリブリン、エルロチニブ、エソメプラゾール、エストラムスチン、エトポシド、エチニルエストラジオール、エベロリムス、エキセメスタン、ファドロゾール、フェンタニル、フルオキシメステロン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、葉酸、フォルメスタン、ホスアプレピタント、フォテムスチン、フルベストラント、ガドブトロール、ガドテリドール、ガドテル酸メグルミン塩、ガドベルセタミド、ガドキセト酸二ナトリウム塩(gd-EOB-DTPA二ナトリウム塩)、硝酸ガリウム、ガニレリクス、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グルカルピダーゼ、グルトキシム、ゴセレリン、グラニセトロン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリン、ヒドロキシカルバミド、I-125種、イバンドロン酸、イブリツモマブ・チウキセタン、イブルチニブ、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、イミキモド、インプロスルファン、インジセトロン、インカドロン酸、インゲノールメブテート、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、イオビトリドール、イオベングアン(123I)、イオメプロール、イピリムマブ、イリノテカン、イトラコナゾール、イクサベピロン、イキサゾミブ、ランレオチド、ランソプラゾール、ラパチニブ、ラソコリン、レナリドミド、レンバチニブ、レノグラスチム、レンチナン、レトロゾール、リュープロレリン、レバミソール、レボノルゲストレル、レボチロキシンナトリウム、リペグフィルグラスチム、リスリド、ロバプラチン、ロムスチン、ロニダミン、マソプロコール、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メラルソプロール、メルファラン、メピチオスタン、メルカプトプリン、メスナ、メタドン、メトトレキサート、メトキサレン、アミノレブリン酸メチル、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、メチロシン、ミファムルチド、ミルテフォシン、ミリプラチン、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、モガムリズマブ、モルグラモスチム、モピダモール、塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ、ナビロン、ナビキシモルス、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトレキソン、ナルトグラスチム、ネシツムマブ、ネダプラチン、ネララビン、ネリドロン酸、ネツピタント/パロノセトロン、ニボルマブ、ニボルマブ、ペンテトレオチド、ニロチニブ、ニルタミド、ニモラゾール、ニモツズマブ、ニムスチン、ニンテダニブ、ニトラクリン、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オクトレオチド、オファツムマブ、オラパリブ、オララツマブ、オマセタキシン・メペサクシネート、オメプラゾール、オンダンセトロン、オルゴテイン、オリロチモド、オシメルチニブ、オキサリプラチン、オキシコドン、オキシメトロン、オゾガマイシン、p53遺伝子療法、パクリタキセル、パルボシクリブ、パリフェルミン、パラジウム103種、パロノセトロン、パミドロン酸、パニツムマブ、パノビノスタット、パントプラゾール、パゾパニブ、ペガスパルガーゼ、ペンブロリズマブ、ペグインターフェロンα-2b、ペンブロリズマブ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ペプロマイシン、ペルフルブタン、ペルホスファミド、ペルツズマブ、ピシバニール、ピロカルピン、ピラルビシン、ピキサントロン、プレリキサフォール、プリカマイシン、ポリグルサム、リン酸ポリエストラジオール、ポリビニルピロリドン+ヒアルロン酸ナトリウム、ポリサッカリド-K、ポマリドマイド、ポナチニブ、ポルフィマーナトリウム、プララトレキサート、プレドニムスチン、プレドニゾン、プロカルバジン、プロコダゾール、プロプラノロール、キナゴリド、ラベプラゾール、ラコツモマブ、塩化ラジウム-223、ラドチニブ、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラモセトロン、ラムシルマブ、ラニムスチン、ラスブリカーゼ、ラゾキサン、レファメチニブ、レゴラフェニブ、リセドロン酸、レニウム-186エチドロネート、リツキシマブ、ロガラチニブ、ロラピタント、ロミデプシン、ロムルチド、ロニシクリブ、サマリウム(153Sm)レキシドロナム、サツモマブ、セクレチン、シルツキシマブ、シプレウセル-T、シゾフィラン、ソブゾキサン、グリシダゾールナトリウム、ソニデジブ、ソラフェニブ、スタノゾロール、ストレプトゾシン、スニチニブ、タラポルフィン、タリモジーン・ラハーパレプベック、タミバロテン、タモキシフェン、タペンタドール、タソネルミン、テセロイキン、テクネチウム(99mTc)ノフェツモマブメルペンタン、99mTc-HYNIC-[Tyr3]-オクトレオチド、テガフール、テガフール+ギメラシル+オテラシル、テモポルフィン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、テトロフォスミン、サリドマイド、チオテパ、チマルファシン、サイロトロピンα、チオグアニン、トシリズマブ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラベクテジン、トラメチニブ、トラマドール、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリフルリジン+チピラシル、トラメチニブ、トリロスタン、トリプトレリン、トロホスファミド、トロンボポエチン、ウベニメクス、バルルビシン、バンデタニブ、バプレオチド、バタラニブ、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ビスモデギブ、ボリノスタット、イットリウム90ガラスマイクロビーズ、ジノスタチン、ジノスタチンスチマラマー、ゾレドロン酸、ゾルビシン。
【0218】
さらに、本発明の化合物を、例えば、例として、以下の標的:OX-40、CD137/4-1BB、DR3、IDO1/IDO2、LAG-3、CD40に結合することができる結合剤(例えば、抗体)と組み合わせることができる。
【0219】
結合剤-薬物コンジュゲート(ADC)の非細胞透過性担毒体代謝産物は、適応免疫系の細胞に対して有害な効果を及ぼさないはずであるので、本発明はさらに、本発明による結合剤-薬物コンジュゲート(ADC)とがんまたは腫瘍の治療に使用するためのがん免疫療法の組み合わせを提供する。細胞傷害性結合剤-薬物コンジュゲートの固有の作用機序は、腫瘍細胞の細胞死の直接的な誘発、したがって免疫応答を刺激し得る腫瘍抗原の放出を含む。さらに、KSP阻害剤担毒体クラスがインビトロで免疫原性細胞死(ICD)のマーカーを誘導する兆しがある。したがって、本発明の結合剤-薬物コンジュゲート(ADC)と、1つまたは複数のがん免疫療法の治療アプローチまたは1つまたは複数の活性化合物、好ましくはがん免疫療法の分子標的に対する抗体の組み合わせは、がんまたは腫瘍を治療する好ましい方法となる。i)がん免疫療法の治療アプローチの例としては、免疫調節性モノクローナル抗体およびがん免疫療法の標的に対する低分子量物質、ワクチン、CAR T細胞、二重特異性T細胞動員抗体、腫瘍溶解性ウイルス、細胞ベースのワクチン接種アプローチが挙げられる。ii)免疫調節モノクローナル抗体に適したがん免疫療法の選択された標的の例としては、CTLA-4、PD-1/PDL-1、OX-40、CD137、DR3、IDO1、IDO2、TDO2、LAG-3、TIM-3 CD40、ICOS/ICOSL、TIGIT;GITR/GITRL、VISTA、CD70、CD27、HVEM/BTLA、CEACAM1、CEACAM6、ILDR2、CD73、CD47、B7H3、TLRが挙げられる。したがって、本発明による結合剤-薬物コンジュゲート(ADC)とがん免疫療法との組み合わせは、一方では、弱い免疫原性特性を有する腫瘍をより免疫原性にし、がん免疫療法の有効性を高め、さらに長期持続性の治療作用を展開することができるだろう。
【0220】
さらに、本発明による化合物を放射線療法および/または外科的介入と組み合わせて使用することもできる。
【0221】
一般に、以下の目的を、本発明の化合物と他の細胞増殖抑制活性剤、細胞傷害活性剤または免疫療法活性剤との組み合わせによって追求することができる:
・個々の有効成分による治療と比較して、腫瘍の成長を遅くし、そのサイズを縮小し、またはそれを完全に排除する有効性の改善;
・単独療法の場合よりも低投与量で使用される化学療法剤を使用する可能性;
・個々の投与と比較してより少ない副作用でのより耐容性のある療法の可能性;
・より広範囲の新生物障害の治療の可能性;
・療法に対するより高い反応率の達成;
・現在の標準療法と比較してより長い患者の生存時間。
【0222】
さらに、本発明による化合物を放射線療法および/または外科的介入と組み合わせて使用することもできる。
【0223】
本発明はさらに、典型的には1種または複数の不活性で、非毒性の、薬学的に適した賦形剤と共に少なくとも1種の本発明の化合物を含む医薬品、および上記目的のためのその使用を提供する。
【0224】
本発明の化合物は全身的におよび/または局所的に作用することができる。この目的のために、これらを適切な様式で、例えば非経口的に、おそらく吸入により、またはインプラントもしくはステントとして投与することができる。
【0225】
本発明の化合物をこれらの投与経路に適した投与形態で投与することができる。
【0226】
非経口投与は、吸収ステップを迂回することができる(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内)または吸収を含むことができる(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)。非経口投与に適した投与形態には、液剤、懸濁剤、乳剤または凍結乾燥物の形態の注射および注入用製剤が含まれる。非経口投与、特に、静脈内投与が好ましい。
【0227】
一般に、非経口投与の場合、有効な結果を達成するために、約0.1~20mg/kg、好ましくは約0.3~7mg/kg体重の量を投与することが有利であることが分かった。
【0228】
それにもかかわらず、具体的には体重、投与経路、有効成分に対する個体の反応、製剤の性質および投与が行われる時間または間隔の関数として言及する量から逸脱することが必要となり得る場合もある。したがって、上記最小量未満で間に合わせることで十分となり得る場合がある一方で、言及する上限を超過しなければならない場合がある。より多くの量を投与する場合は、それを1日に数回の個別の用量に分割することが得策であり得る。
【0229】
実施例
以下の実施例は、本発明を例示する。本発明はこれらの実施例に制限されない。
【0230】
特に明言しない限り、以下の試験および実施例中の百分率は、重量百分率であり、部は重量部である。溶媒比、希釈比および液体/液体溶液の濃度データは各場合において体積に基づく。
【0231】
合成経路:
実施例の例として、以下のスキームは、実施例に至る例示的合成経路を示す:
スキーム1:レグマイン切断可能リンカーを用いたリジン結合ADCの合成
【化13】
上記反応スキームにおいて、X
1、X
2、X
3、nおよびAK
2は式(I)に示される意味を有する。
【0232】
a):HATU、DMF、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、室温;b)H2、10%Pd-C、メタノール1.5時間、室温;c)1,1’-[(1,5-ジオキソペンタン-1,5-ジイル)ビス(オキシ)]ジピロリジン-2,5-ジオン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、DMF、室温で一晩撹拌;d)PBS中AK2、アルゴン下、DMSOに溶解した3~5当量の活性エステルを添加し、アルゴン下室温で60分間撹拌し、DMSOに溶解したさらに3~5当量の活性エステルを添加し、アルゴン下室温で60分間撹拌し、次いで、PBS緩衝液(pH7.2)(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)で平衡化したPD10カラムによって精製し、その後、超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で所望の濃度に設定する]。インビボバッチの場合、これに場合により滅菌濾過が続く。
【0233】
スキーム2:システイン結合ADCの合成
【化14】
上記反応スキームにおいて、X
1、X
2、X
3、nおよびAK
1は式(I)に示される意味を有する。
【0234】
a):HATU、DMF、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、室温;b):塩化亜鉛、トリフルオロエタノール、50℃、EDTA c):HATU、DMF、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、室温;d)H2、10%Pd-C、メタノール、1.5時間、室温;e)1-{6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル}-1H-ピロール-2,5-ジオン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、DMF、室温で撹拌;f)AK1をPBSに溶解し、PBS緩衝液中3~4当量のTCEPをアルゴン下で添加し、室温で約30分間撹拌し、次いで、DMSOに溶解した5~10当量の化合物Eを添加し、室温で約90分間撹拌し、次いで、PBS緩衝液(pH7.2)(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)で平衡化したPD10カラムを用いて精製し、その後、超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で所望の濃度に設定する]。インビボバッチの場合、これに場合により滅菌濾過が続く。
【0235】
スキーム3:開環スクシンイミドを介したシステイン結合ADCの合成
【化15】
上記反応スキームにおいて、X
1、X
2、X
3、nおよびAK
1は式(I)に示される意味を有する。
【0236】
a):HATU、DMF、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、室温;b)塩化亜鉛、トリフルオロエタノール、50℃、EDTA c):HATU、DMF、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、室温;d)H2、10%Pd-C、メタノール、1.5時間、室温;e):1-{2-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-2-オキソエチル}-1H-ピロール-2,5-ジオン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、DMF、室温で撹拌;f)AK1をPBSに溶解し、PBS緩衝液中3~4当量のTCEPをアルゴン下で添加し、室温で約30分間撹拌し、次いで、DMSOに溶解した5~10当量の化合物Eを添加し、室温で約90分間撹拌し、次いで、PBS緩衝液(pH8)(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)で平衡化したPD10カラムを用いてpH8に再緩衝化し、次いで、室温で一晩撹拌し、次いで、場合によりPBS緩衝液(pH7.2)(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)で平衡化したPD10カラムを用いて精製し、その後、超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で所望の濃度に設定する]。インビボバッチの場合、これに場合により滅菌濾過が続く。
【0237】
A.実施例
略語および頭字語:
ABCB1 ATP結合カセットサブファミリーBメンバー1(P-gpおよびMDR1の同義語)
abs. 無水
Ac アセチル
ACN アセトニトリル
aq. 水性、水溶液
ATP アデノシン三リン酸
BCRP 乳がん耐性タンパク質、流出輸送体
BEP 2-ブロモ-1-エチルピリジニウムテトラフルオロボレート
Boc tert-ブトキシカルボニル
br. ブロードな(NMRにおける)
Ex. 実施例
BxPC3 ヒト腫瘍細胞株
C 濃度
ca. およそ、約
CI 化学イオン化(MSにおける)
DAR 薬物対抗体比
d 二重項(NMRにおける)
d 日
TLC 薄層クロマトグラフィー
DCI 直接化学イオン化(MSにおける)
DCM ジクロロメタン
dd 二重項の二重項(NMRにおける)
DMAP 4-N,N-ジメチルアミノピリジン
DME 1,2-ジメトキシエタン
DMEM ダルベッコ改変イーグル培地(細胞培養のための標準栄養培地)
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
D/P 色素(蛍光色素)/タンパク質比
DPBS,D-PBS, ダルベッコリン酸緩衝塩溶液
DSMZ Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(ドイツ微生物細胞培養コレクション)
PBS PBS=DPBS=D-PBS、pH7.4、Sigma、番号D8537
組成:
KCl 0.2g
KH2PO4(無水物) 0.2g
NaCl 8.0g
Na2HPO4(無水物) 1.15g
H2Oを用いて1lにした
dt 三重項の二重項(NMRにおける)
DTT DL-ジチオトレイトール
EDC N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド塩酸塩
EGFR 上皮成長因子受容体
EI 電子衝突イオン化(MSにおける)
ELISA 酵素結合免疫吸着測定法
eq. 当量
ESI エレクトロスプレーイオン化(MSにおける)
ESI-MicroTofq ESI-MicroTofq(Tof=飛行時間およびq=四重極による質量分析計の名称)
FCS ウシ胎仔血清
Fmoc (9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル
sat. 飽和
GTP グアノシン-5’-三リン酸
H 時間
HATU O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HEPES 4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-エタンスルホン酸
HOAc 酢酸
HOAt 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
HOBt 1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール水和物
HOSu N-ヒドロキシスクシンイミド
HPLC 高圧、高速液体クロマトグラフィー
IC50 最大半数阻害濃度
i.m. 筋肉内、筋肉への投与
i.v. 静脈内、静脈内への投与
conc. 濃縮
KPL-4 ヒト腫瘍細胞株
KU-19-19 ヒト腫瘍細胞株
LC-MS 液体クロマトグラフィー結合質量分析
LLC-PK1 cells ルイス肺癌ブタ腎臓細胞株
L-MDR ヒトMDR1トランスフェクトLLC-PK1細胞
LoVo ヒト腫瘍細胞株
M 多重項(NMRにおける)
Me メチル
MDR1 多剤耐性タンパク質1
MeCN アセトニトリル
min 分
MOLM-13 ヒト腫瘍細胞株
MS 質量分析
MTT 3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-2H-テトラゾリウムブロミド
MV-4-11 ヒト腫瘍細胞株
NB4 ヒト腫瘍細胞株
NCI-H292 ヒト腫瘍細胞株
NMM N-メチルモルホリン
NMP N-メチル-2-ピロリジノン
NMR 核磁気共鳴分光法
NMRI 海軍医学研究所(NMRI)に由来するマウス系統
Nude mice 実験動物
NSCLC 非小細胞肺がん
PBS リン酸緩衝塩溶液
Pd/C パラジウム活性炭
P-gp P-糖タンパク質、トランスポータータンパク質
PNGaseF 糖を切断する酵素
quant. 定量的(収率における)
quart 四重項(NMRにおける)
quint 五重項(NMRにおける)
Rec-1 ヒト腫瘍細胞株
Rf 保持指数(TLCにおける)
RT 室温
Rt 保持時間(HPLCにおける)
s 一重項(NMRにおける)
s.c. 皮下投与、皮膚下への投与
SCID mice 重度の複合免疫不全を有する試験マウス
SK-HEP-1 ヒト腫瘍細胞株
t 三重項(NMRにおける)
TBAF テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド
TCEP トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン
TEMPO (2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル
Teoc トリメチルシリルエトキシカルボニル
tert 第三級
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
T3P(登録商標) 2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド
U251 ヒト腫瘍細胞株
UV 紫外分光法
v/v (溶液の)体積対体積の比
Z ベンジルオキシカルボニル
【0238】
HPLCおよびLC-MS法:
方法1(LC-MS):
機器:Waters ACQUITY SQD UPLCシステム;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ5 0×1mm;移動相A:水1l+99%濃度ギ酸0.25ml;移動相B:アセトニトリル1l+99%濃度ギ酸0.25ml;勾配:0.0分90%A→1.2分5%A→2.0分5%A;オーブン:50℃;流量:0.40ml/分;UV検出:208~400nm。
【0239】
方法2(LC-MS):
MS機器型:Waters Synapt G2S;UPLC機器型:Waters Acquity I-CLASS;カラム:Waters、BEH300、2.1×150mm、C18 1.7μm;移動相A:水1l+0.01%ギ酸;移動相B:アセトニトリル1l+0.01%ギ酸;勾配:0.0分2%B→1.5分2%B→8.5分95%B→10.0分95%B;オーブン:50℃;流量:0.50ml/分;UV検出:220nm
【0240】
方法3(LC-MS):
MS機器:Waters(Micromass)QM;HPLC機器:Agilent 1100シリーズ;カラム:Agilent ZORBAX Extend-C18 3.0×50mm 3.5ミクロン;移動相A:水1l+0.01molの炭酸アンモニウム、移動相B:アセトニトリル1l;勾配:0.0分98%A→0.2分98%A→3.0分5%A→4.5分5%A;オーブン:40℃;流量:1.75ml/分;UV検出:210nm
【0241】
方法4(LC-MS):
MS機器型:Waters Synapt G2S;UPLC機器型:Waters Acquity I-CLASS;カラム:Waters、HSST3、2.1×50mm、C18 1.8μm;移動相A:水1l+0.01%ギ酸;移動相B:アセトニトリル1l+0.01%ギ酸;勾配:0.0分10%B→0.3分10%B→1.7分95%B→2.5分95%B;オーブン:50℃;流量:1.20ml/分;UV検出:210nm
【0242】
方法5(LC-MS):
機器:Waters ACQUITY SQD UPLCシステム;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ 50×1mm;移動相A:水1l+99%濃度ギ酸0.25ml;移動相B:アセトニトリル1l+99%濃度ギ酸0.25ml;勾配:0.0分95%A→6.0分5%A→7.5分5%A;オーブン:50℃;流量:0.35ml/分;UV検出:210~400nm。
【0243】
方法6(LC-MS):
機器:Micromass Quattro Premier with Waters UPLC Acquity;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ、50×1mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml;移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;勾配:0.0分97%A→0.5分97%A→3.2分5%A→4.0分5%Aオーブン:50℃;流量:0.3ml/分;UV検出:210nm。
【0244】
方法7(LC-MS):
機器:Agilent MS Quad 6150;HPLC:Agilent 1290;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ50×2.1mm;移動相A:水1l+99%濃度ギ酸0.25ml;移動相B:アセトニトリル1l+99%濃度ギ酸0.25ml;勾配:0.0分90%A→0.3分90%A→1.7分5%A→3.0分5%A オーブン:50℃;流量:1.20ml/分;UV検出:205~305nm。
【0245】
方法8(LC-MS):
MS機器型:Waters Synapt G2S;UPLC機器型:Waters Acquity I-CLASS;カラム:Waters、HSST3、2.1×50mm、C18 1.8μm;移動相A:水1l+0.01%ギ酸;移動相B:アセトニトリル1l+0.01%ギ酸;勾配:0.0分2%B→2.0分2%B→13.0分90%B→15.0分90%B;オーブン:50℃;流量:1.20ml/分;UV検出:210nm。
【0246】
方法9:(LC-MS分取精製法)
MS機器:Waters;HPLC機器:Waters(カラムWaters X-Bridge C18、19mm×50mm、5μm、溶離液A:水+0.05%アンモニア、移動相B:アセトニトリル(ULC)、勾配;流量:40ml/分;UV検出:DAD;210~400nm)
または
MS機器:Waters、HPLC機器:Waters(カラムPhenomenex Luna 5μC18(2)100A、AXIA Tech.50×21.2mm、溶離液A:水+0.05%ギ酸、溶離液B:アセトニトリル(ULC)、勾配;流量:40ml/分;UV検出:DAD;210~400nm)。
【0247】
方法10:(LC-MS分析法)
MS機器:Waters SQD;HPLC機器:Waters UPLC;カラム:Zorbax SB-Aq(Agilent)、50mm×2.1mm、1.8μm;移動相A:水+0.025%ギ酸、溶離液B:アセトニトリル(ULC)+0.025%ギ酸;勾配:0.0分98%A-0.9分25%A-1.0分5%A-1.4分5%A-1.41分98%A-1.5分98%A;オーブン:40℃;流量:0.600ml/分;UV検出:DAD;210nm。
【0248】
方法11(HPLC):
機器:HP1100シリーズ
カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e、50~4.6mm、カタログ番号1.51450.0001、プレカラムChromolith Guardカートリッジキット、RP-18e、5~4.6mm、カタログ番号1.51470.0001
勾配:流量5ml/分
注入体積5μl
溶媒A:水中HClO4(70%)(4ml/l)
溶媒B:アセトニトリル
開始20%B
0.50分20%B
3.00分90%B
3.50分90%B
3.51分20%B
4.00分20%B
カラム温度:40℃
波長:210nm
【0249】
方法12(LC-MS):
MS機器型:Thermo Scientific FT-MS;機器型:UHPLC+:Thermo Scientific UltiMate 3000;カラム:Waters、HSST3、2.1×75mm、C18 1.8μm;移動相A:水1l+0.01%ギ酸;移動相B:アセトニトリル1l+0.01%ギ酸;勾配:0.0分10%B→2.5分95%B→3.5分95%B;オーブン:50℃;流量:0.90ml/分;UV検出:210nm/最適積分路210~300nm。
【0250】
方法13:(LC-MS):
MS機器:Waters(Micromass)Quattro Micro;機器Waters UPLC Acquity;カラム:Waters BEH C18 1.7μ50×2.1mm;移動相A:水1l+0.01molのギ酸アンモニウム、移動相B:アセトニトリル1l;勾配:0.0分95%A→0.1分95%A→2.0分15%A→2.5分15%A→2.51分10%A→3.0分10%A;オーブン:40℃;流量:0.5ml/分;UV検出:210nm。
【0251】
方法14:(LC-MS)(MCW-LTQ-POROSHELL-TFA98-10分)
MS機器型:ThermoFisherScientific LTQ-Orbitrap-XL;HPLC機器型:Agilent 1200SL;カラム:Agilent、POROSHELL 120、3×150mm、SB-C18 2.7μm;移動相A:水1l+0.1%トリフルオロ酢酸;移動相B:アセトニトリル1l+0.1%トリフルオロ酢酸;勾配:0.0分2%B→0.3分2%B→5.0分95%B→10.0分95%B;オーブン:40℃;流量:0.75ml/分;UV検出:210nm
【0252】
その調製が以下で明示的に記載されていない全ての反応物質または試薬は、一般的に利用可能な供給業者から商業的に購入した。同様にその調製が以下で記載されておらず、商業的に入手可能でなく一般的に利用可能でない供給業者から得た全ての他の反応物質または試薬については、その調製が記載されている公開参考文献を参照する。
【0253】
出発化合物および中間体:
中間体C52
(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロパン-1-アミン
【化16】
メチル4-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート10.00g(49.01mmol)を最初にDMF100.0mlに装入し、炭酸セシウム20.76g(63.72mmol)および臭化ベンジル9.22g(53.91mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水と酢酸エチルに分配し、水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。この反応をメチル4-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート90.0gで繰り返した。
【0254】
2つの合わせた反応物を分取RP-HPLC(カラム:Daiso 300x100;10μ、流量:250ml/分、MeCN/水)によって精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物メチル1-ベンジル-4-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート125.15g(理論値の87%)が得られた。
LC-MS(方法1):Rt=1.18分;MS(ESIpos):m/z=295[M+H]+。
【0255】
アルゴン下で、メチル1-ベンジル-4-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート4.80g(16.32mmol)を最初にDMFに装入し、(2,5-ジフルオロフェニル)ボロン酸3.61g(22.85mmol)、飽和炭酸ナトリウム溶液19.20mlおよび[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-ジクロロパラジウム(II):ジクロロメタン1.33g(1.63mmol)を添加した。反応混合物を85℃で一晩撹拌した。反応混合物をCelite(登録商標)に通して濾過し、濾過ケークを酢酸エチルで洗浄した。有機相を水で抽出し、次いで、飽和NaCl溶液で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルで精製した(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル100:3)。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物メチル1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート3.60g(理論値の67%)が得られた。
LC-MS(方法7):Rt=1.59分;MS(ESIpos):m/z=328[M+H]+。
【0256】
メチル1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート3.60g(11.00mmol)を最初にTHF 90.0mlに装入し、水素化アルミニウムリチウム1.04g(27.50mmol)(THF中2.4M)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。飽和酒石酸カリウムナトリウム溶液を0℃で添加し、反応混合物を酢酸エチルと混和した。有機相を飽和酒石酸ナトリウムカリウム溶液で3回抽出した。有機相を飽和NaCl溶液で1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン30.0mlに溶解した。酸化マンガン(IV)3.38g(32.99mmol)を添加し、混合物を室温で48時間撹拌した。酸化マンガン(IV)さらに2.20g(21.47mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をCelite(登録商標)に通して濾過し、濾過ケークをジクロロメタンで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣(1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-カルバルデヒド)2.80gをさらに精製することなく合成の次のステップに使用した。
LC-MS(方法7):Rt=1.48分;MS(ESIpos):m/z=298[M+H]+。
【0257】
1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-カルバルデヒド28.21g(94.88mmol)を、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド23.00g(189.77mmol)と共に最初に無水THF403.0mlに装入し、チタン(IV)イソプロポキシド67.42g(237.21mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NaCl溶液500mlおよび酢酸エチル1000.0mlを添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を珪藻土に通して濾過し、濾液を飽和NaCl溶液で2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をBiotage Isolera(シリカゲル、カラム1500+340g SNAP、流量200ml/分、酢酸エチル/シクロヘキサン1:10)を用いて精製した。
LC-MS(方法7):Rt=1.63分;MS(ESIpos):m/z=401[M+H]+。
【0258】
(R)-N-{(E/Z)-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]メチレン}-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド25.00g(62.42mmol)を最初にアルゴン下、無水THFに装入し、-78℃に冷却した。次いで、tert-ブチルリチウム(ペンタン中1.7M溶液)12.00g(187.27mmol)を-78℃で添加し、混合物をこの温度で3時間撹拌した。次いで、-78℃で、メタノール71.4mlおよび飽和塩化アンモニウム溶液214.3mlを連続で添加し、反応混合物を室温に加温させ、室温で1時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣(R)-N-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドをさらに精製することなく合成の次のステップに使用した。
LC-MS(方法6):Rt=2.97分;MS(ESIpos):m/z=459[M+H]+。
【0259】
(R)-N-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド28.00g(61.05mmol)を最初に1,4-ジオキサン186.7mlに装入し、次いで、1,4-ジオキサン中HCl溶液(4.0M)45.8mlを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を分取HPLC(カラム:Kinetix 100x30;流量:60ml/分、MeCN/水)によって精製した。アセトニトリルを減圧下で蒸発させ、ジクロロメタンを水性残渣に添加した。有機相を重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、標記化合物16.2g(理論値の75%)が得られた。
LC-MS(方法6):Rt=2.10分;MS(ESIpos):m/z=338[M-NH2]+、709[2M+H]+。
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ[ppm]=0.87(s,9H),1.53(s,2H),3.59(s,1H),5.24(d,2H),6.56(s,1H),6.94(m,1H),7.10(d,2H),7.20(m,1H),7.26(m,2H),7.34(m,2H),7.46(m,1H).
【0260】
中間体C58
(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタン酸
【化17】
中間体C52 4.3g(12.2mmol)をDCM525mlに溶解し、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド3.63g(17.12mmol)および酢酸8.4mlを添加した。室温で5分間撹拌した後、DCM175mlに溶解した中間体L57 8.99g(24.5mmol)を添加し、反応物を室温でさらに45分間撹拌した。次いで、反応物をDCM300mlで希釈し、重炭酸ナトリウム溶液100mlで2回および飽和NaCl溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。次いで、残渣を分取RP-HPLC(カラム:Chromatorex C18)によって精製した。適切な画分を合わせた後、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、メチル(2S)-4-({(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}アミノ)-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタノエート4.6g(理論値の61%)が得られた。
LC-MS(方法12)R
t=1.97分;MS(ESIpos):m/z=614(M+H)
+。
【0261】
この中間体2.06g(3.36mmol)を最初にDCM76mlに装入し、トリエチルアミン2.1mlの存在下、2-クロロ-2-オキソエチルアセテート0.81ml(7.17mmol)でアシル化した。室温で20時間撹拌した後、2-クロロ-2-オキソエチルアセテート0.36mlおよびトリエチルアミン0.94mlを添加し、反応物を室温でさらに15分間撹拌した。次いで、混合物を酢酸エチル500mlで希釈し、5%クエン酸300mlで2回、飽和炭酸水素ナトリウム溶液300mlで2回および飽和塩化ナトリウム溶液100mlで1回連続で抽出し、次いで、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。高真空下で乾燥させると、保護された中間体2.17g(理論値の79%)が得られた。
LC-MS(方法1)Rt=1.48分;MS(ESIpos):m/z=714(M+H)+。
【0262】
この中間体2.17mg(2.64mmol)をTHF54mlおよび水27mlに溶解し、2モル濃度水酸化リチウム溶液26mlを添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、TFA1.4mlを用いてpH3~4に調整した。混合物を減圧下で濃縮した。THFの大部分を留去したら、水溶液をDCMで2回抽出し、次いで、減圧下で濃縮乾固した。残渣を分取HPLC(カラム:Chromatorex C18)によって精製した。適切な画分を合わせた後、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をアセトニトリル/水から凍結乾燥させた。これにより、標記化合物1.1g(理論値の63%)が得られた。
LC-MS(方法1):Rt=1.34分;MS(ESIpos):m/z=656(M-H)-。
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ[ppm]=0.03(s,9H),0.58(m,1H),0.74-0.92(m,11H),1.40(m,1H),3.3(m,2H),3.7(m,1H),3.8-4.0(m,2H),4.15(q,2H),4.9 and 5.2(2d,2H),5.61(s,1H),6.94(m,2H),7.13-7.38(m,7H),7.48(s,1H),7.60(m,1H),12.35(s,1H).
【0263】
中間体C61
N-[(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタノイル]-β-アラニン
【化18】
中間体C58 60mg(0.091mmol)をメチルβ-アラニネートとカップリングし、引き続いて2M水酸化リチウム溶液でエステル開裂することによって、標記化合物を調製した。これにより、2ステップにわたって標記化合物67mg(理論値の61%)が得られた。
LC-MS(方法1):R
t=1.29分;MS(ESIpos):m/z=729(M+H)
+。
【0264】
中間体C102
(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ)-2-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ブタン酸
【化19】
まず、中間体C2と同様に、中間体C52をベンジル(2S)-2-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-4-オキソブタノエートで還元的にアルキル化した。次いで、第二級アミノ基を、2-クロロ-2-オキソエチルアセテートでアシル化し、次いで2つのエステル基をメタノール中2M水酸化リチウム溶液で加水分解した。
LC-MS(方法1):R
t=1.31分;MS(ESIpos):m/z=646(M-H)
-。
【0265】
中間体C110(D)
ジベンジルN-{(2S)-2-アミノ-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル{(グリコロイル)アミノ]ブタノイル}-β-アラニル-D-グルタメート
【化20】
酢酸エチルと5%炭酸水素ナトリウム溶液に分配することによって、そのp-トルエンスルホン酸塩から予め放出されたジベンジルD-グルタメートを、HATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で中間体C61とカップリングさせ、その後、トリフルオロエタノール中で塩化亜鉛を用いてTeoc保護基を脱離させることによって、標記化合物を調製した。
LC-MS(方法1):R
t=1.08分;MS(ESIpos):m/z=894[M+H]
+。
【0266】
中間体C111
ジ-tert-ブチルN-{(2S)-2-アミノ-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル{(グリコロイル)アミノ]ブタノイル}-β-アラニル-D-グルタメート
【化21】
まず、ジペプチド誘導体ジ-tert-ブチルβ-アラニル-D-グルタメートを、HATUの存在下での市販のN-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-β-アラニンとジ-tert-ブチルD-グルタメート塩酸塩(1:1)のカップリング、およびその後のZ保護基の水素化分解的脱離によるペプチド化学の従来方法によって調製した。次いで、HATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下でこの中間体を中間体C102とカップリングし、その後、標準水素圧下で1時間、室温でDCM/メタノール1:1中10%パラジウム活性炭上で水素付加することによってZ保護基を脱離させることによって、標記化合物を調製した。
LC-MS(方法1):R
t=1.06分;MS(ESIpos):m/z=826[M+H]
+。
【0267】
中間体C117
トリフルオロ酢酸ジベンジルN-{(2S)-2-(L-アスパラギニルアミノ)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]ブタノイル}-β-アラニル-D-グルタミン酸塩
【化22】
中間体C110Dおよび2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-N
2-(tert-ブトキシカルボニル)-L-アスパラギネート(251mg、764μmol)をDMF21mlに溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(363μl、2.01mmol)を添加した。反応物を室温で撹拌し、次いで、分取RP-HPLC(カラム:Chromatorex C18-10)によって直接精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を凍結乾燥した。
【0268】
得られた中間体(578mg、52μmol)をトリフルオロエタノール20.0mlに溶解した。反応混合物を塩化亜鉛(426mg、3.13mmol)と混和し、50℃で40分間撹拌した。混合物をエチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸(914 mg、3.13 mmol)と混和し、水20 mlで希釈し、TFA(200μl)を添加し、混合物を短時間撹拌した。混合物を濾過し、分取RP-HPLC(カラム:Chromatorex C18-5;125×40、流量:100ml/分、MeCN/水、0.1%TFA勾配)によって精製した。凍結乾燥によって標記化合物が得られた。
【0269】
中間体L57
メチル(2S)-4-オキソ-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタノエート
【化23】
メチルL-アスパラギネート塩酸塩500.0mg(2.72mmol)および2-(トリメチルシリル)エチル2,5-ジオキソピロリジン-1-カルボキシレート706.3mg(2.72mmol)を最初に1,4-ジオキサン5.0mlに装入し、トリエチルアミン826.8mg(8.17mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を分取RP-HPLC(カラム:Reprosil 250x40;10μ、流量50ml/分、MeCN/水、0.1%TFA)によって直接精製した。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物(3S)-4-メトキシ-4-オキソ-3-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタン酸583.9mg(理論値の74%)が得られた。
LC-MS(方法1):R
t=0.89分;MS(ESIneg):m/z=290(M-H)
-。
【0270】
(3S)-4-メトキシ-4-オキソ-3-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタン酸592.9mgを最初に1,2-ジメトキシエタン10.0mlに装入し、混合物を-15℃に冷却し、4-メチルモルホリン205.8mg(2.04mmol)およびイソブチルクロロホルメート277.9mg(2.04mmol)を添加した。沈殿を15分後に吸引濾別し、それぞれ1,2-ジメトキシエタン10.0mlで2回濾別した。濾液を-10℃に冷却し、水10mlに溶解した水素化ホウ素ナトリウム115.5mg(3.05mmol)を激しく撹拌しながら添加した。相を分離し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液および飽和NaCl溶液でそれぞれ1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物メチルN-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}-L-ホモセリネート515.9mg(理論値の91%)が得られた。
LC-MS(方法1)Rt=0.87分;MS(ESIpos):m/z=278(M+H)+。
【0271】
メチルN-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}-L-ホモセリネート554.9mg(2.00mmol)を最初にジクロロメタン30.0mlに装入し、Dess-Martinペルヨージナン1.27g(3.0mmol)およびピリジン474.7mg(6.00mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。4時間後、反応物をジクロロメタンで希釈し、有機相を10%濃度のNa2S2O3溶液、10%濃度のクエン酸溶液および飽和炭酸水素ナトリウム溶液でそれぞれ3回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。これにより、標記化合物565.7mg(理論値の97%)が得られた。
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ[ppm]=0.03(s,9H),0.91(m,2H),2.70-2.79(m,1H),2.88(dd,1H),3.63(s,3H),4.04(m,2H),4.55(m,1H),7.54(d,1H),9.60(t,1H).
【0272】
中間体L95
N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-バリル-L-アラニン
【化24】
この中間体は、N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-バリンおよびtert-ブチルL-アラニネート塩酸塩から進行して従来のペプチド化学の方法によって調製した。
LC-MS(方法12):R
t=1.34分;MS(ESIpos):m/z=323.16(M+H)
+。
【0273】
中間体L103
N-(ピリジン-4-イルアセチル)-L-アラニル-L-アラニル-L-アスパラギントリフルオロアセテート
【化25】
HATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、4-ピリジン酢酸を市販のtert-ブチルL-アラニル-L-アラニネートとカップリングすることで始め、引き続いてトリフルオロ酢酸で脱保護し、tert-ブチルL-アスパラギネートとカップリングし、その後、トリフルオロ酢酸でカルボキシル基を脱保護する、従来のペプチド化学法によって、標記化合物を調製した。
LC-MS(方法1):R
t=0.15分;MS(ESIpos):m/z=394(M+H)
+。
【0274】
中間体L116
N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-アラニル-N-メチル-L-アラニン
【化26】
HATUの存在下で、tert-ブチルN-メチル-L-アラニネート塩酸塩とカップリングさせ、最後に、TFAでtert-ブチルエステル保護基を除去することによる古典的なペプチド化学法によって、市販のN-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-アラニンから標記化合物を調製した。
LC-MS(方法1):R
t=0.68分;MS(ESIpos):m/z=309[M+H]
+。
【0275】
中間体L117
N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギントリフルオロ酢酸塩
【化27】
HATUの存在下で、N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-アラニル-N-メチル-L-アラニン(中間体L116)とカップリングさせ、最後に、TFAでtert-ブチルエステル保護基を除去することによる古典的なペプチド化学法によって、市販の4-tert-ブチルL-アスパラギネートから標記化合物を調製した。
LC-MS(方法1):R
t=0.57分;MS(ESIneg):m/z=421[M-H]
-。
【0276】
中間体L118
N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アラニン
【化28】
HATUの存在下で、N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-アラニル-N-メチル-L-アラニン(中間体L116)とカップリングさせ、最後に、TFAでtert-ブチルエステル保護基を除去することによる古典的なペプチド化学法によって、市販のtert-ブチルL-アラニネート塩酸塩から標記化合物を調製した。
LC-MS(方法12):R
t=1.25分;MS(ESIneg):m/z=378[M-H]
-。
【0277】
中間体L121
N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-L-ロイシン
【化29】
HATUの存在下で、N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-アラニル-N-メチル-L-アラニン(中間体L116)とカップリングさせ、最後に、TFAでtert-ブチルエステル保護基を除去することによる古典的なペプチド化学法によって、市販のtert-ブチルL-ロイシネート塩酸塩から標記化合物を調製した。
LC-MS(方法12):R
t=0.83分;MS(ESIneg):m/z=420[M-H]
-。
【0278】
中間体L122
(5S,8S,11S)-11-(2-アミノ-2-オキソエチル)-8-[2-(ベンジルオキシ)-2-オキソエチル]-5-メチル-3,6,9-トリオキソ-1-フェニル-2-オキサ-4,7,10-トリアザドデカン-12-酸
【化30】
最初に2,5-ジオキソピロリジン-1-イル-N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-L-アラニネートとカップリングし、次いで、TFAでtert-ブチルエステル保護基を除去し、次いで、その後、HATUの存在下で4-tert-ブチルL-アスパラギネートとカップリングし、最後に、TFAでtert-ブチルエステル保護基をもう一度除去することによる古典的なペプチド化学法によって、市販の4-ベンジル-1-tert-ブチルL-アスパルテート塩酸塩(1:1)から標記化合物を調製した。
LC-MS(方法1):R
t=0.76分;MS(ESIpos):m/z=543[M+H]
+。
【0279】
中間体L138
1-ブロモ-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザオクタデカン-18-酸
【化31】
N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で1-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-酸をブロモ酢酸無水物とカップリングさせることによって、標記化合物を調製した。
LC-MS(方法5):R
t=1.05分;MS(ESIpos):m/z=386および388(M+H)
+。
【0280】
中間体Q1
N-[(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)アセチル]-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-N
1-{(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-[(3-{[(1R)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ}-3-オキソプロピル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}-L-アスパルトアミド
【化32】
標記化合物を、化合物C110Dから進行し、まずHATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で中間体L117とカップリングさせることによって調製した。次のステップで、全ての保護基を、標準水素圧下、室温で1時間、DCM-メタノール1:1中の10%パラジウム活性炭上での水素化によって除去し、次いで脱保護中間体をN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、1-{2-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-2-オキソエチル}-1H-ピロール-2,5-ジオンと反応させることによって標記化合物に変換した。
LC-MS(方法12):R
t=1.66分;MS(ESIneg):m/z=1119[M-H]
-。
【0281】
中間体Q2
N-{5-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-5-オキソペンタノイル}-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-N
1-{(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-[(3-{[(1R)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ}-3-オキソプロピル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}-L-アスパルトアミド
【化33】
標記化合物を、化合物C110Dから進行し、まずHATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で中間体L117とカップリングさせることによって調製した。次のステップで、全ての保護基を、標準水素圧下、室温で1時間、DCM-メタノール1:1中の10%パラジウム活性炭上での水素化によって除去し、次いで、脱保護中間体をN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、1,1’-[(1,5-ジオキソペンタン-1,5-ジイル)ビス(オキシ)]ジピロリジン-2,5-ジオンと反応させることによって標記化合物に変換した。
LC-MS(方法1):R
t=0.93分;MS(ESIpos):m/z=1195[M+H]
+。
【0282】
中間体Q3
N-{5-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-5-オキソペンタノイル}-L-アラニル-L-アラニル-N
1-{(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-[(3-{[(1R)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ}-3-オキソプロピル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}-L-アスパルトアミド
【化34】
最初にHATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下でN-(tert-ブトキシカルボニル)-L-アラニル-L-アラニンとカップリングさせることによって、標記化合物を化合物C117から調製した。次いで、中間体をトリフルオロエタノールに溶解し、塩化亜鉛の存在下50℃で撹拌することによってtert-ブトキシカルボニル保護アミンを遊離させた。次のステップで、全てのベンジル保護基を、標準水素圧下、室温で1時間、DCM-メタノール1:1中の10%パラジウム活性炭上での水素化によって除去し、次いで、脱保護中間体をN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、1,1’-[(1,5-ジオキソペンタン-1,5-ジイル)ビス(オキシ)]ジピロリジン-2,5-ジオンと反応させることによって標記化合物に変換した。
LC-MS(方法1):R
t=0.90分;MS(ESIneg):m/z=1181[M-H]
-。
【0283】
中間体Q4
N-[(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-N
1-{(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-[(3-{[(1R)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ}-3-オキソプロピル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}-L-アスパルトアミド
【化35】
標記化合物を、化合物C110Dから進行し、まずHATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で中間体L117とカップリングさせることによって調製した。次のステップで、全ての保護基を、標準水素圧下、室温で1時間、DCM-メタノール1:1中の10%パラジウム活性炭上での水素化によって除去し、次いで脱保護中間体をN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、1-{6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル}-1H-ピロール-2,5-ジオンと反応させることによって標記化合物に変換した。
LC-MS(方法1):R
t=3.2分;MS(ESIpos):m/z=1177[M+H]
+。
【0284】
中間体Q5
N-{5-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-5-オキソペンタノイル}-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-N-{(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-[(3-{[(1R)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ}-3-オキソプロピル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}-L-アラニンアミド
【化36】
標記化合物を、化合物C110Dから進行し、まずHATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で中間体L118とカップリングさせることによって調製した。次のステップで、全ての保護基を、標準水素圧下、室温で1時間、DCM-メタノール1:1中の10%パラジウム活性炭上での水素化によって除去し、次いで、脱保護中間体をN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、1,1’-[(1,5-ジオキソペンタン-1,5-ジイル)ビス(オキシ)]ジピロリジン-2,5-ジオンと反応させることによって標記化合物に変換した。
LC-MS(方法1):R
t=0.96分;MS(ESIpos):m/z=1152[M+H]
+。
【0285】
中間体Q6
N-{(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-2-[(N-{5-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-5-オキソペンタノイル}-L-バリル-L-アラニル)アミノ]ブタノイル}-β-アラニル-D-グルタミン酸
【化37】
標記化合物を、化合物C110Dから進行し、まずHATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で中間体L95とカップリングさせることによって調製した。次のステップで、全ての保護基を、標準水素圧下、室温で1時間、DCM-メタノール1:1中の10%パラジウム活性炭上での水素化によって除去し、次いで、脱保護中間体をN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、1,1’-[(1,5-ジオキソペンタン-1,5-ジイル)ビス(オキシ)]ジピロリジン-2,5-ジオンと反応させることによって標記化合物に変換した。
LC-MS(方法1):R
t=0.98分;MS(ESIpos):m/z=1095[M+H]
+。
【0286】
中間体Q7
N-[(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-2-({N-[(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)アセチル]-L-バリル-L-アラニル}アミノ)ブタノイル]-β-アラニル-D-グルタミン酸
【化38】
標記化合物を、化合物C110Dから進行し、まずHATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で中間体L95とカップリングさせることによって調製した。次のステップで、全ての保護基を、標準水素圧下、室温で1時間、DCM-メタノール1:1中の10%パラジウム活性炭上での水素化によって除去し、次いで脱保護中間体をN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、1-{2-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-2-オキソエチル}-1H-ピロール-2,5-ジオンと反応させることによって標記化合物に変換した。
LC-MS(方法1):R
t=0.98分;MS(ESIpos):m/z=1021[M+H]
+。
【0287】
中間体Q8
N-{5-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-5-オキソペンタノイル}-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-N
1-{(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-[(3-{[(1R)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ}-3-オキソプロピル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}-L-ロイシンアミド
【化39】
標記化合物を、化合物C110Dから進行し、まずHATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で中間体L121とカップリングさせることによって調製した。次のステップで、全ての保護基を、標準水素圧下、室温で1時間、エタノール中の10%パラジウム活性炭上での水素化によって除去し、次いで、脱保護中間体をN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、1,1’-[(1,5-ジオキソペンタン-1,5-ジイル)ビス(オキシ)]ジピロリジン-2,5-ジオンと反応させることによって標記化合物に変換した。
LC-MS(方法1):R
t=1.02分;MS(ESIpos):m/z=1194[M+H]
+。
【0288】
中間体Q9
N-{5-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-5-オキソペンタノイル}-L-アラニル-N-メチル-L-α-アスパルチル-N
1-{(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-[(3-{[(1R)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ}-3-オキソプロピル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}-L-アスパルトアミド
【化40】
標記化合物を、化合物C110Dから進行し、まずHATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で中間体L122とカップリングさせることによって調製した。次のステップで、全ての保護基を、標準水素圧下、室温で1時間、メタノール中の10%パラジウム活性炭上での水素化によって除去し、次いで、脱保護中間体をN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、3当量の1,1’-[(1,5-ジオキソペンタン-1,5-ジイル)ビス(オキシ)]ジピロリジン-2,5-ジオンと反応させることによって標記化合物に変換した。
LC-MS(方法1):R
t=0.89分;MS(ESIpos):m/z=1225[M+H]
+。
【0289】
中間体Q10
N-(ブロモアセチル)-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-N
1-{(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-]-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-[(3-{[(1R)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ}-3-オキソプロピル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}-L-アスパルトアミド
【化41】
標記化合物を、化合物C110Dから進行し、まずHATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で中間体L117とカップリングさせることによって調製した。次のステップで、全ての保護基を、標準水素圧下、室温で1時間、DCM-メタノール1:1中の10%パラジウム活性炭上での水素化によって除去し、次いで、脱保護中間体を3当量のN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、ブロモ酢酸無水物と反応させることによって標記化合物に変換した。
LC-MS(方法1):R
t=0.95分;MS(ESIpos):m/z=1104および1106[M+H]
+。
【0290】
中間体Q11
N-(18-ブロモ-17-オキソ-4,7,10,13-テトラオキサ-16-アザオクタデカン-1-オイル)-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-N
1-{(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-[(3-{[(1R)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ}-3-オキソプロピル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}-L-アスパルトアミド
【化42】
最初に、1.5当量のHATUおよび3当量のN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、DMF中で中間体C111を中間体L117とカップリングすることによって、標記化合物の合成を行った。その後、室温で水素標準圧下、エタノール中10%パラジウム活性炭上で2時間水素付加することによって、Z保護基を除去した。次いで、脱保護中間体を1.5当量のHATUおよび3当量のN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、DMF中で中間体L138と反応させた。最後のステップで、トリフルオロエタノール中、8当量の塩化亜鉛と50℃で2時間撹拌することによってtert-ブチルエステル基を切断して標記化合物を得た。
LC-MS(方法8):R
t=4.06分;MS(ESI-pos):m/z=1353[M+H]
+。
【0291】
B:抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の調製
B-1.抗体作製の一般的方法
使用した抗体、例えばTPP-981、TPP-1015、TPP-6013、TPP-7006、TPP-7007、TPP-8382、TPP-8987、TPP-8988、TPP-9476、TPP-9574およびTPP-9580のタンパク質配列(アミノ酸配列)を、当業者に公知の方法によって対応するタンパク質をコードするDNA配列に変換し、一過性哺乳動物細胞培養に適した発現ベクターに挿入する(Tomら、Methods Express:Expression Systemsの第12章、Michael R.DysonおよびYves Durocher編、Scion Publishing Ltd、2007に記載されているように)。
【0292】
B-2.哺乳動物細胞で抗体を発現させるための一般的方法
抗体、例えばTPP-981、TPP-1015、TPP-6013、TPP-7006、TPP-7007、TPP-8382、TPP-8987、TPP-8988、TPP-9476、TPP-9574およびTPP-9580を、Tomら、Methods Express:Expression Systemsの第12章、Michael R.DysonおよびYves Durocher編、Scion Publishing Ltd、2007に記載されるように、一過性哺乳動物細胞培養で作製した。
【0293】
B-3.細胞上清から抗体を精製するための一般的な方法
抗体、例えばTPP-981、TPP-1015、TPP-6013、TPP-7006、TPP-7007、TPP-8382、TPP-8987、TPP-8988、TPP-9476、TPP-9574およびTPP-9580を、細胞培養物上清から得た。細胞上清を細胞の遠心分離によって清澄化した。次いで、細胞上清を、MabSelect Sure(GE Healthcare)クロマトグラフィーカラムでのアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。この目的のために、カラムをDPBS pH7.4(Sigma/Aldrich)で平衡化し、細胞上清をアプライし、カラムを約10カラム容量のDPBS pH7.4+500mM塩化ナトリウムで洗浄した。抗体を50mM酢酸ナトリウムpH3.5+500mM塩化ナトリウムに溶出し、次いで、DPBS pH7.4中Superdex 200カラム(GE Healthcare)でゲル濾過クロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0294】
市販の抗体を、市販品から標準的なクロマトグラフィー法(プロテインAクロマトグラフィー、分取ゲル濾過クロマトグラフィー(SEC-サイズ排除クロマトグラフィー))によって精製した。
【0295】
B-4.システイン側鎖へのカップリングのための一般的方法
以下の抗体をカップリング反応に使用した:
実施例a:TPP-981セツキシマブ(抗EGFR AK)
実施例c:TPP-6013(抗CD123 AK)
TPP-8987(抗CD123 AK)
TPP-8988(抗CD123 AK)
TPP-9476(抗CD123 AK)
実施例h:TPP-8382(抗B7H3 AK)
実施例e:TPP-1015(抗Her2 AK)
実施例k:TPP-7006(抗TWEAKR AK)
TPP-7007(抗TWEAKR AK)
実施例x:TPP-9574(抗CXCR5 AK)
TPP-9580(抗CXCR5 AK)
カップリング反応は、通常、アルゴン下で実施した。
【0296】
PBS緩衝液に溶解した2~5当量のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)を、適切な抗体のPBS緩衝液中溶液に、1mg/ml~20mg/mlの濃度範囲、好ましくは約10mg/ml~15mg/mlの範囲で添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。この目的のために、使用されるそれぞれの抗体の溶液を、実施例で明言される濃度で使用することができる、または場合によっては、これが好ましい濃度範囲に入るためにPBS緩衝液で明言される出発濃度の約半分に希釈してもよい。その後、意図する充填に応じて、2~12当量、好ましくは約5~10当量のカップリングするマレイミド前駆体化合物またはハロゲン化前駆体化合物をDMSO中溶液として添加した。ここで、DMSOの量は全体積の10%を超えるべきでない。混合物をマレイミド前駆体の場合には室温で60~240分間、ハロゲン化物前駆体の場合には室温で8~24時間撹拌し、次いで、PBS平衡化PD 10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)にかけ、PBS緩衝液で溶出した。一般に、特に指示しない限り、PBS緩衝液中の当の抗体5mgを還元およびその後のカップリングに使用した。したがって、各場合で、PD10カラムでの精製により、それぞれのADCのPBS緩衝液3.5ml中の溶液が得られた。次いで、試料を超遠心分離によって濃縮し、場合によりPBS緩衝液で再希釈した。必要に応じて、低分子量成分をより良く除去するために、PBS緩衝液で再希釈した後、限外濾過による濃縮を繰り返した。生物学的試験のために、必要に応じて、最終的なADC試料の濃度を、場合により再希釈によって0.5~15mg/mlの範囲に調整した。ADC溶液の実施例で明言されるそれぞれのタンパク質濃度を決定した。さらに、抗体負荷(薬物/mAb比)を、B-6に記載される方法を使用して決定した。
【0297】
リンカーに応じて、実施例に示されるADCはまた、抗体に結合した加水分解開鎖スクシンアミドの形態で、より低い程度またはより高い程度で存在してもよい。
【0298】
特に、リンカー部分構造
【化43】
を介して抗体のチオール基に結合しているKSP-I-ADCを、場合により開鎖スクシンアミドを介して結合したADCにおけるスキーム28に従って、pH8で約20~24時間カップリングおよび撹拌した後、再緩衝化することによって選択的に調製することもできる。
【0299】
#1は抗とへの硫黄架橋を表し、#2は修飾KSP阻害剤との結合点を表す。
【0300】
リンカーが加水分解開鎖スクシンアミドを通して抗体に結合しているこのようなADCは、場合により例としてここに示される小規模および大規模カップリングによって選択的に調製することもできる。
【0301】
PBS緩衝液に溶解した2~7当量のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)を、適切な抗体2~5mgのPBS緩衝液中溶液に、1mg/ml~20mg/mlの濃度範囲、好ましくは約5mg/ml~15mg/mlの範囲で添加し、混合物を室温で30分~1時間撹拌した。その後、意図する充填に応じて、2~20当量、好ましくは約5~10当量のカップリングするマレイミド前駆体化合物をDMSO中溶液として添加した。より高いDARを達成するために、15~20当量を使用することも可能である。ここで、DMSOの量は全体積の10%を超えるべきでない。混合物を室温で60~240分間撹拌した。溶出液をPBS緩衝液pH8で1~5mg/mlの濃度に希釈し、次いで、PBS緩衝液pH8で平衡化したPD 10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)に通過させ、PBS緩衝液pH 8で溶出した。溶出液をアルゴン下室温で一晩撹拌した。その後、溶液を超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で再希釈した。
【0302】
中規模カップリング:
アルゴン下で、PBS緩衝液中2~7当量、好ましくは3当量のTCEP溶液(c約0.2~0.8mg/ml、好ましくは0.5mg/ml)を、PBS緩衝液中当の抗体20~200mg(c約5~15mg/ml)に添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSOに溶解した2~20当量、好ましくは5~10当量のマレイミド前駆体化合物を添加した。より高いDARを達成するために、15~20当量を使用することも可能である。室温でさらに1.5時間~2時間撹拌した後、混合物を予めpH8に調整したPBS緩衝液で希釈した。次いで、この溶液を、PBS緩衝液pH8で平衡化したPD10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)にアプライし、PBS緩衝液pH8で溶出した。溶出液をPBS緩衝液pH8で2~7mg/mlの濃度に希釈した。この溶液をアルゴン下室温で一晩撹拌した。次いで、必要であれば、溶液をpH7.2に再緩衝化した。ADC溶液を超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で再希釈し、次いで、場合により再び約10mg/mlの濃度に濃縮した。
【0303】
示される構造式において、AK1は以下の意味を有することができる
実施例a:TPP-981セツキシマブ(部分還元)-S§1
実施例c:TPP-6013(抗CD123 AK)(部分還元)-S§1
TPP-8987(抗CD123 AK)(部分還元)-S§1
TPP-8988(抗CD123 AK)(部分還元)-S§1
TPP-9476(抗CD123 AK)(部分還元)-S§1
実施例e:TPP-1015(抗Her2 AK)(部分還元)-S§1
実施例h:TPP-8382(抗B7H3 AK)(部分還元)-S§1
実施例k:TPP-7006(抗TWEAKR)(部分還元)-S§1
TPP-7007(抗TWEAKR)(部分還元)-S§1
実施例x:TPP-9574(抗CXCR5 AK)(部分還元)-S§1
TPP-9580(抗CXCR5 AK)(部分還元)-S§1
(式中、
§1は、スクシンイミド基または任意の異性体加水分解開鎖スクシンアミドまたはそれから生じるアルキレン基との結合を表し、
Sは部分還元抗体のシステイン残基の硫黄原子を表す)。
【0304】
B-5.リジン側鎖へのカップリングのための一般的方法
以下の抗体をカップリング反応に使用した:
実施例a:TPP-981セツキシマブ(抗EGFR AK)
実施例c:TPP-6013(抗CD123 AK)
TPP-8987(抗CD123 AK)
TPP-8988(抗CD123 AK)
TPP-9476(抗CD123 AK)
実施例e:TPP-1015(抗Her2 AK)
実施例k:TPP-7006(抗TWEAKR AK)
TPP-7007(抗TWEAKR AK)
実施例x:TPP-9574(抗CXCR5 AK)
TPP-9580(抗CXCR5 AK)
カップリング反応は、通常、アルゴン下で実施した。
【0305】
2~8当量のカップリングする前駆体化合物を、意図する充填に応じて、1mg/ml~20mg/ml、好ましくは約10mg/mlの濃度範囲で、当の抗体のPBS緩衝液中溶液にDMSO中溶液として添加した。室温で30分~6時間撹拌した後、DMSO中同量の前駆体化合物を再び添加した。ここで、DMSOの量は全体積の10%を超えるべきでない。室温でさらに30分~6時間撹拌した後、混合物をPBSで平衡化したPD10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)にアプライし、PBS緩衝液で溶出した。よって、PD10カラムでの精製により、各場合で、それぞれのADCのPBS緩衝液中溶液が得られた。次いで、試料を超遠心分離によって濃縮し、場合によりPBS緩衝液で再希釈した。必要に応じて、低分子量成分をより良く除去するために、PBS緩衝液で再希釈した後、限外濾過による濃縮を繰り返した。生物学的試験のために、必要に応じて、最終的なADC試料の濃度を、場合により再希釈によって0.5~15mg/mlの範囲に調整した。
【0306】
ADC溶液の実施例で明言されるそれぞれのタンパク質濃度を決定した。さらに、抗体負荷(薬物/mAb比)を、B-6に記載される方法を使用して決定した。
【0307】
示される構造式において、AK2は以下の意味を有する
実施例a:TPP-981セツキシマブ(抗EGFR AK)-NH§2
実施例c:TPP-6013(抗CD123 AK)-NH§2
TPP-8987(抗CD123 AK)-NH§2
TPP-8988(抗CD123 AK)-NH§2
TPP-9476(抗CD123 AK)-NH§2
実施例e:TPP-1015(抗Her2 AK)-NH§2
実施例k:TPP-7006(抗TWEAKR AK)-NH§2
TPP-7007(抗TWEAKR AK)-NH§2
実施例x:TPP-9574(抗CXCR5 AK)-NH§2
TPP-9580(抗CXCR5 AK)-NH§2
(式中、
§2はカルボニル基との結合を表し、
NHは抗体のリジン残基の側鎖アミノ基を表す)。
【0308】
本発明によるコンジュゲートのさらなる精製および特徴付け
反応後、場合によって、反応混合物を、例えば限外濾過によって濃縮し、次いで、例えばSephadex(登録商標)G-25カラムを使用してクロマトグラフィーによって脱塩および精製した。溶出を、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて行った。次いで、溶液を滅菌濾過し、凍結させた。あるいは、コンジュゲートを凍結乾燥することができる。
【0309】
B-6.抗体、担毒体負荷および開いたシステイン付加物の割合の決定
脱グリコシル化および/または変性後の分子量決定に加えてタンパク質識別のために、トリプシン消化を行って、変性、還元および誘導体化後に、発見されたトリプシン性ペプチドを介したタンパク質の識別を確認した。
【0310】
実施例に記載されるコンジュゲートの得られたPBS緩衝液の担毒体負荷(表中、DAR、薬物対抗体比と称される)を以下のように決定した:
個々のコンジュゲート種の分子量の質量分析測定によって、リジン結合ADCの担毒体負荷の決定を行った。ここで、抗体コンジュゲートをまずPNGaseFで脱グリコシル化し、試料を酸性化し、HPLC分離/脱塩後、ESI-MicroTofQ(Bruker Daltonik)を用いた質量分析によって分析した。TIC(全イオンクロマトグラム)中のシグナル上の全てのスペクトルを加え、MaxEnt逆重畳積分に基づいて異なるコンジュゲート種の分子量を計算した。次いで、DAR(=薬物/抗体比)を、異なる種のシグナル積分後に計算した。この目的のために、担毒体数によって重み付けされた全ての種についての積分結果の合計を、全ての種について単純に重み付けされた積分結果の合計で割った。
【0311】
還元および変性ADCの逆相クロマトグラフィーによって、システイン結合コンジュゲートの担毒体負荷を決定した。グアニジニウム塩酸塩(GuHCl)(28.6mg)およびDL-ジチオトレイトール(DTT)(500mM、3μl)の溶液を、ADC溶液(1mg/ml、50μl)に添加した。混合物を55℃で1時間インキュベートし、HPLCによって分析した。
【0312】
220nmでの検出を伴うAgilent 1260HPLCシステムでHPLC分析を行った。Polymer Laboratories PLRP-Sポリマー逆相カラム(カタログ番号PL1912-3802)(2.1×150mm、粒径8μm、1000Å)を、以下の勾配:0分、25%B;3分、25%B;28分、50%Bで、1ml/分の流量で使用した。溶離液Aは水中0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)からなり、溶離液Bはアセトニトリル中0.05%トリフルオロ酢酸からなっていた。
【0313】
検出されたピークを、非コンジュゲート抗体の軽鎖(L0)および重鎖(H0)との保持時間比較によって割り当てた。もっぱらコンジュゲート試料中で検出されたピークを、1つの担毒体を有する軽鎖(L1)、ならびに1、2および3つの担毒体を有する重鎖(H1、H2、H3)に割り当てた。
【0314】
抗体の担毒体による平均負荷(DAR、薬物対抗体比と称される)を、HC負荷とLC負荷の和の2倍として積分によって決定されるピーク面積から計算した(LC負荷は全LCピークの担毒体数平均重量積分結果の和÷全LCピークの単一重量積分結果の和から計算され、HC負荷は全HCピークの担毒体数平均重量積分結果の和÷全HCピークの単一重量積分結果の和から計算される)。個々の場合で、いくつかのピークの共溶出のために、担毒体負荷を正確に決定することは不可能であった可能性があった。
【0315】
軽鎖および重鎖をHPLCによって十分に分離できなかった場合、軽鎖および重鎖での個々のコンジュゲート種の分子量の質量分析決定によって、システイン結合コンジュゲートの担毒体負荷の決定を行った。
【0316】
この目的のために、グアニジニウム塩酸塩(GuHCl)(28.6mg)およびDL-ジチオトレイトール(DTT)(500mM、3μl)の溶液を、ADC溶液(1mg/ml、50μl)に添加した。混合物を55℃で1時間インキュベートし、ESI-MicroTofQ(Bruker Daltonik)を用いてオンライン脱塩後の質量分析によって分析した。
【0317】
DAR(薬物対抗体比)決定のために、全スペクトルをTIC(全イオンクロマトグラム)のシグナルに加え、MaxEnt逆重畳積分に基づいて軽鎖および重鎖での異なるコンジュゲート種の分子量を計算した。抗体の担毒体による平均負荷を、HC負荷とLC負荷の合計の2倍として積分によって決定されたピーク面積から決定した。これに関連して、LC負荷を、担毒体数によって重み付けされた全てのLCピークについての積分結果の合計÷全てのLCピークについての単純に重み付けされた積分結果合計から計算し、HC負荷を、担毒体数によって重み付けされた全てのHCピークについての積分結果の合計÷全てのHCピークについての単純に重み付けされた積分結果合計から計算する。
【0318】
開いた構築物の場合、開いたシステイン付加物の割合を決定するために、全ての単一コンジュゲート軽鎖および重鎖変異体の閉じたシステイン付加物と開いたシステイン付加物の分子量面積比(分子量δ18ダルトン)を決定した。全ての変異体の平均により、開いたシステイン付加物の割合を得た。
【0319】
B-7.ADCの抗原結合の検証
カップリングが行われた後、結合剤が標的分子に結合する能力を確認した。当業者であれば、この目的のために使用することができる種々の方法に精通している;例えば、コンジュゲートの親和性を、ELISA技術または表面プラズモン共鳴分析(BIAcore(商標)測定)を用いて確認することができる。コンジュゲート濃度は、例えばタンパク質決定によって抗体コンジュゲートのための慣用的な方法を用いて当業者によって測定され得る(Doroninaら;Nature Biotechnol.2003;21:778~784およびPolsonら、Blood 2007;1102:616~623も参照)。
【0320】
代謝産物の実施例
実施例M1
N-{(2S)-2-アミノ-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]ブタノイル}-β-アラニル-D-グルタミン酸
【化44】
室温で水素標準圧下、エタノール中10%パラジウム活性炭上で1時間水素付加することによって、中間体C110Dを標記化合物に変換した。
LC-MS(方法1):R
t=1.78分;MS(ESIpos):m/z=714[M+H]
+。
【0321】
例示的に以下に示されるADCは、好ましい薬理学的特性を有する好ましい代謝産物M1を放出することができる。
【0322】
実施例ADC
マレイミド基を介して抗体のシステイン側鎖にカップリングした実施例の構造式に示されるADCは、リンカーおよびカップリング手順に応じて、主に各場合に示される開環または閉環形態で存在する。しかしながら、調製物は、少量のそれぞれの他の形態を含んでもよい。
【0323】
カップリング反応はアルゴン下で実施した。インビボ試験用のより大きなバッチ全てを調製の最後に滅菌濾過した。
【0324】
実施例1
【化45】
代表的な手順A:
アルゴン下、TCEP0.029mgのPBS緩衝液0.05ml中溶液を、PBS0.5ml中当の抗体5mg(c=10mg/ml)に添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO50μlに溶解した中間体Q1 0.26mg(0.00023mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、混合物を予めpH8に調整したPBS緩衝液で2.5ml容量に希釈し、次いで、PBS緩衝液pH8で平衡化したPD10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を通過させ、PBS緩衝液pH8で溶出した。溶出液をアルゴン下室温で一晩撹拌した。これに続いて超遠心分離による濃縮およびPBS緩衝液(pH7.2)による再希釈を行った。
【0325】
代表的な手順B:
アルゴン下、TCEP0.172mgのPBS緩衝液0.3ml中溶液を、PBS3ml中当の抗体30mg(c=10mg/ml)に添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO300μlに溶解した中間体Q1 1.57mg(0.0014mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、混合物を予めpH8に調整したPBS緩衝液で5ml容量に希釈し、次いで、PBS緩衝液pH8で平衡化したPD10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を通過させ、PBS緩衝液pH8で溶出した。溶出液をPBS緩衝液pH8で7.5ml容量に希釈し、アルゴン下室温で一晩撹拌した。次いで、この溶液を、PBS緩衝液pH7.2で平衡化したPD10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)にアプライし、PBS緩衝液pH7.2で溶出した。次いで、溶出液を超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で再希釈し、再濃縮し、再び滅菌濾過した。
【0326】
以下のADCをこれらの手順と同様に調製し、表に示されるように特徴付けた:
【0327】
【0328】
実施例2
【化46】
代表的な手順A:
アルゴン下で、DMSO50μlに溶解した5当量(0.2mg)の中間体Q2をPBS0.5ml中の当の抗体5mgに添加した(c=10mg/ml)。室温で1時間撹拌した後、再び同量を添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。その後、反応混合物をPBS緩衝液(pH7.2)で2.5mlに希釈し、Sephadexカラムで精製し、次いで、超遠心分離によって濃縮し、PBS(pH7.2)で再希釈した。
【0329】
代表的な手順B:
アルゴン下で、DMSO50μlに溶解した4当量(1mg)の中間体Q2をPBS緩衝液(pH7.2)3ml中の当の抗体30mgに添加した(c=10mg/ml)。室温で1時間撹拌した後、再び同量を添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。次いで、混合物をPBS緩衝液(pH7.2)で5mlに希釈し、Sephadexカラムで精製し、次いで、超遠心分離によって濃縮し、PBS(pH7.2)で再希釈し、再濃縮し、再び滅菌濾過した。
【0330】
代表的な手順C:
アルゴン下で、DMSO250μlに溶解した2.5当量(1mg)の中間体Q2をPBS緩衝液(pH7.2)5ml中の当の抗体50mgに添加した(c=10mg/ml)。室温で1時間撹拌した後、再び同量を添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。次いで、混合物をPBS緩衝液(pH7.2)で7.5mlに希釈し、Sephadexカラムで精製し、次いで、超遠心分離によって濃縮し、PBS(pH7.2)で再希釈し、再濃縮し、再び滅菌濾過した。
【0331】
代表的な手順D:
アルゴン下で、DMSO7.5mlに溶解した4.5当量(36mg)の中間体Q2をPBS緩衝液(pH7.2)150ml中の当の抗体1000mgに添加した(c=6.7mg/ml)。
【0332】
室温で1時間撹拌した後、再び同量を添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。次いで、バッチをクロスフロー濾過によって精製し、濃縮し、滅菌濾過した。
【0333】
【0334】
実施例3
【化47】
代表的な手順A:
アルゴン下で、DMSO50μlに溶解した5当量(0.2mg)の中間体Q3をPBS0.5ml中の当の抗体5mgに添加した(c=10mg/ml)。室温で1時間撹拌した後、再び同量を添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。その後、反応混合物をPBS緩衝液(pH7.2)で2.5mlに希釈し、Sephadexカラムで精製し、次いで、超遠心分離によって濃縮し、PBS(pH7.2)で再希釈した。
【0335】
代表的な手順B:
アルゴン下で、DMSO50μlに溶解した4当量(1mg)の中間体Q3をPBS緩衝液(pH7.2)3ml中の当の抗体30mgに添加した(c=10mg/ml)。室温で1時間撹拌した後、再び同量を添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。次いで、混合物をPBS緩衝液(pH7.2)で2.5mlに希釈し、Sephadexカラムで精製し、次いで、超遠心分離によって濃縮し、PBS(pH7.2)で再希釈し、再濃縮し、再び滅菌濾過した。
【0336】
【0337】
実施例4
【化48】
代表的な手順A:
アルゴン下、TCEP0.029mgのPBS緩衝液0.05ml中溶液を、PBS緩衝液(pH7.2)0.4ml中当の抗体5mg(c=12.5mg/ml)に添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO50μlに溶解した中間体Q4 0.275mg(0.00023mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、反応物をPBS緩衝液で総容量2.5mlに希釈した。次いで、この溶液を、PBS緩衝液(pH7.2)で平衡化したPD10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)にアプライし、PBS緩衝液(pH7.2)で溶出した。これに続いて超遠心分離による濃縮およびPBS緩衝液(pH7.2)による再希釈を行った。
【0338】
【0339】
実施例5
【化49】
代表的な手順A:
アルゴン下で、DMSO50μlに溶解した5当量(0.2mg)の中間体Q5をPBS0.5ml中の当の抗体5mgに添加した(c=10mg/ml)。室温で1時間撹拌した後、再び同量を添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。その後、反応混合物をPBS緩衝液(pH7.2)で2.5mlに希釈し、Sephadexカラムで精製し、次いで、超遠心分離によって濃縮し、PBS(pH7.2)で再希釈した。
【0340】
【0341】
実施例6
【化50】
代表的な手順A:
アルゴン下で、DMSO50μlに溶解した5当量(0.18mg)の中間体Q6をPBS0.4ml中の当の抗体5mgに添加した(c=12.5mg/ml)。室温で1時間撹拌した後、再び同量を添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。その後、反応混合物をPBS緩衝液(pH7.2)で2.5mlに希釈し、Sephadexカラムで精製し、次いで、超遠心分離によって濃縮し、PBS(pH7.2)で再希釈した。
【0342】
【0343】
実施例7
【化51】
代表的な手順A:
アルゴン下、TCEP0.029mgのPBS緩衝液0.05ml中溶液を、PBS0.4ml中当の抗体5mg(c=12.5mg/ml)に添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO50μlに溶解した中間体Q7 0.24mg(0.00023mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、混合物を予めpH8に調整したPBS緩衝液で2.5ml容量に希釈し、次いで、PBS緩衝液pH8で平衡化したPD10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を通過させ、PBS緩衝液pH8で溶出した。溶出液をアルゴン下室温で一晩撹拌した。これに続いて超遠心分離による濃縮およびPBS緩衝液(pH7.2)による再希釈を行った。
【0344】
【0345】
実施例8
【化52】
代表的な手順A:
アルゴン下で、DMSO50μlに溶解した5当量(0.2mg)の中間体Q8をPBS0.5ml中の当の抗体5mgに添加した(c=10mg/ml)。室温で1時間撹拌した後、再び同量を添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。その後、反応混合物をPBS緩衝液(pH7.2)で2.5mlに希釈し、Sephadexカラムで精製し、次いで、超遠心分離によって濃縮し、PBS(pH7.2)で再希釈した。
【0346】
【0347】
実施例9
【化53】
代表的な手順A:
アルゴン下で、DMSO50μlに溶解した5当量(0.2mg)の中間体Q9をPBS0.5ml中の当の抗体5mgに添加した(c=10mg/ml)。室温で1時間撹拌した後、再び同量を添加し、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。その後、反応混合物をPBS緩衝液(pH7.2)で2.5mlに希釈し、Sephadexカラムで精製し、次いで、超遠心分離によって濃縮し、PBS(pH7.2)で再希釈した。
【0348】
【0349】
実施例10
【化54】
代表的な手順A:
アルゴン下、TCEP0.029mgのPBS緩衝液0.05ml中溶液を、PBS緩衝液(pH7.2)0.5ml中当の抗体5mg(c=10mg/ml)に添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO50μlに溶解した中間体Q10 0.295mg(0.00023mmol)を添加した。室温でさらに20時間撹拌した後、反応物をPBS緩衝液で総容量2.5mlに希釈した。次いで、この溶液を、PBS緩衝液(pH7.2)で平衡化したPD10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)にアプライし、PBS緩衝液(pH7.2)で溶出した。これに続いて超遠心分離による濃縮およびPBS緩衝液(pH7.2)による再希釈を行った。
【0350】
より高いDARを得るための代表的な手順C:
アルゴン下、TCEP0.057mgのPBS緩衝液0.05ml中溶液を、PBS緩衝液(pH7.2)0.5ml中当の抗体5mg(c=10mg/ml)に添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO50μlに溶解した中間体Q10 0.59mg(0.00053mmol)を添加した。室温でさらに20時間撹拌した後、反応物をPBS緩衝液で総容量2.5mlに希釈した。次いで、この溶液を、PBS緩衝液(pH7.2)で平衡化したPD10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)にアプライし、PBS緩衝液(pH7.2)で溶出した。これに続いて超遠心分離による濃縮およびPBS緩衝液(pH7.2)による再希釈を行った。
【0351】
【0352】
実施例11
【化55】
代表的な手順A:
アルゴン下、TCEP0.029mgのPBS緩衝液0.05ml中溶液を、PBS緩衝液(pH7.2)0.4ml中当の抗体5mg(c=12.5mg/ml)に添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO50μlに溶解した中間体Q11 0.32mg(0.00023mmol)を添加した。室温でさらに20時間撹拌した後、反応物をPBS緩衝液で総容量2.5mlに希釈した。次いで、この溶液を、PBS緩衝液(pH7.2)で平衡化したPD10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)にアプライし、PBS緩衝液(pH7.2)で溶出した。これに続いて超遠心分離による濃縮およびPBS緩衝液(pH7.2)による再希釈を行った。
【0353】
【0354】
比較のために、以下のADCを調製した:
参照実施例R1:
【化56】
このようなADCは、例えばセツキシマブおよびトラスツズマブを含む種々の抗体と共に国際公開第2015/096982号パンフレットおよび国際公開第WO2016/096610号パンフレットに開示されている。比較のために、そこに開示されている前駆体中間体F194もさらにTPP-6013(抗CD123AK)と反応させた。以下のADCを比較のために使用した:
【0355】
【0356】
参照実施例R2:
【化57】
このようなADCは、非グリコシル化抗TWEAKR抗体と共に国際公開第2016/096610号パンフレットに開示されている。比較のために、そこに開示されている前駆体中間体F291もさらにTPP-9574(抗CXCR5 AK)、TPP-981(抗EGFR)およびTPP-1015(抗HER2 AK)と反応させた。以下のADCを比較のために使用した:
【0357】
【0358】
参照実施例R1については、国際公開第2015/096982号パンフレットに、それに由来する代謝産物実施例98が記載されている。参照実施例R2については、国際公開第2016/096610号パンフレットに、同一の代謝産物である実施例M9が記載されており、これは本明細書中で参照実施例R3Mとして列挙されている。
【0359】
参照実施例R3M:
N-(3-アミノプロピル)-N-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2-ヒドロキシアセトアミド
【化58】
調製は、実施例98として国際公開第2015/096982号パンフレットに記載された。
【0360】
前記出願に開示されているこれらの参照化合物についてのまたは新規の参照化合物について得られた生物学的データを、C章に記載する。
【0361】
C:生物学的有効性の評価
本発明による化合物の生物学的活性を以下に記載されるアッセイで示すことができる:
a.C-1a ADCの細胞傷害性効果の決定
ADCの細胞傷害効果の分析を、種々の細胞株を用いて行った:
NCI-H292:ヒト粘表皮肺癌細胞、ATCC-CRL-1848、標準培地:RPMI 1640(Biochrom;番号FG1215、stab.グルタミン)+10%FCS(Sigma;番号F2442)、TWEAKR陽性;EGFR陽性。
【0362】
BxPC3:ヒト膵臓癌細胞、ATCC-CRL-1687、標準培地:RPMI 1640(Biochrom;番号FG1215、stab.グルタミン)+10%FCS(Sigma;番号F2442)、TWEAKR陽性。
【0363】
LoVo:ヒト結腸直腸がん細胞、ATCC番号CCL-229、MTTアッセイのための培養:標準培地:Kaighn’s+L-グルタミン(Invitrogen 21127)+10%熱不活性化FCS(Gibco製、番号10500-064)。CTGアッセイのための培養:RPMI 1640(Biochrom;番号FG1215、stab.グルタミン)+10%FCS(Sigma番号F2442)。TWEAKR陽性。
【0364】
KPL4:ヒト乳がん細胞株、Bayer Pharma AG(DSMZで2012年7月19日に同一性を検査および確認)、標準培地:RPMI 1640(Gibco製;番号21875-059、stab.L-グルタミン)+10%熱不活性化FCS(Gibco、番号10500-064);HER2陽性。
【0365】
SK-HEP-1:ヒト肝細胞癌細胞株、ATCC番号HTB-52、標準培地:アール塩を含むMEM+Glutamax I(Invitrogen 41090)+10%熱不活性化FCS(Gibco製、番号10500-064);EGFR陽性、TWEAKR陽性
【0366】
MOLM-13:ヒト急性単球性白血病細胞(AML-M5a)、DSMZ、番号ACC554、標準培地:RPMI1640(Gibco製;番号21875-059、stab.L-グルタミン)+20%熱不活性化FCS(Gibco、番号10500-064);CD123陽性。
【0367】
MV-4-11:末梢血から得たヒト二重表現型(biphenotypic)B骨髄単球性白血病細胞、ATCC-CRL-9591、標準培地:IMDM(ATCC:30-2005)+10%熱不活性化FCS(Gibco、番号10500-064);CD123陽性。
【0368】
NB4:骨髄から得たヒト急性前骨髄球性白血病細胞、DSMZ、番号ACC 207、標準培地:RPMI 1640+GlutaMAX I(Invitrogen 61870)+10%熱不活性化FCS(Gibco、番号10500-064)+グルコース2.5g(20%グルコース溶液、Gibco、番号19002)+10mM Hepes(Invitrogen 15630)+1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen 11360);CD123陰性
【0369】
Rec-1:ヒトマントル細胞リンパ腫細胞(B細胞非ホジキンリンパ腫)ATCC CRL-3004、標準培地:RPMI 1640+GlutaMAX I(Invitrogen 61870)+10%熱不活性化FCS(Gibco、番号10500-064)+10mM)CXCR 5陽性
【0370】
U251:ヒト神経膠芽腫細胞、標準培地:RPMI 1640(Biochrom;番号FG1215、stab.グルタミン)+10%FCS(Biochrom;番号S0415)、B7H3陽性。
【0371】
HBL-1:ヒトB細胞リンパ腫細胞(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)ATT CRL-RRID(資源識別イニシアチブ):CVCL_4213、最初にAbeらCancer 61:483~490(1988)に記載され、Lenz教授、ミュンスター大学から得られた;標準培地:RPMI 1640(Biochrom;版ふぉうFG1215、stab.グルタミン)+10%FCS(Biochrom;番号S0415)、Rec-1細胞と同様の培養;CXCR5陽性
【0372】
当の細胞株について、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)またはLeibniz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)によって明言されている標準的方法によって細胞を培養した。
【0373】
CTGアッセイ
細胞を、C-1に指定されている増殖培地を用いて標準的な方法によって培養した。トリプシン(0.05%)およびEDTA(0.02%)のPBS(Biochrom AG番号L2143)中溶液で細胞を剥離し、ペレット化し、培養培地に再懸濁し、計数し、白色底の96ウェル培養プレート(Costar番号3610)に播種し(75μl/ウェルで、1ウェルあたり以下の細胞数である:NCI-H292:2500細胞/ウェル、BxPC3 2500細胞/ウェル、LoVo 3000細胞/ウェル)、37℃および5%二酸化炭素でインキュベーター中でインキュベートすることによって、試験を行った。懸濁細胞を計数し、白色底を有する96ウェル培養プレート(Costar番号3610)(75μl/ウェル、1ウェル当たり以下の細胞数:Rec-1:3000細胞/ウェル、HBL-1:6000細胞/ウェル)に播種した。24時間後、抗体薬物コンジュゲートを、25μlの培養培地(4倍濃縮)中細胞に添加して、細胞上3×10-7M~3×10-11Mの最終抗体薬物コンジュゲート濃度を得た(3連)。次いで、細胞を37℃および5%二酸化炭素のインキュベーター内でインキュベートした。並列プレート上で、薬物処理開始時(0日目)の細胞活性を、Cell Titer Glow(CTG)発光細胞生存率アッセイ(Promega番号G7573および番号G7571)を使用して決定した。この目的のために、1細胞バッチ当たり100μlの基質を添加し、次いで、プレートをアルミ箔で覆い、プレートシェーカー上180rpmで2分間振盪し、実験室ベンチに8分間放置し、次いで、ルミノメーター(Victor X2、Perkin Elmer)を使用して測定した。基質は、その強度が細胞の生存率に正比例する発光シグナルを生成する生細胞中のATP含量を検出する。次いで、抗体薬物コンジュゲートとの72時間のインキュベーション後、これらの細胞の生存率も、上記のCell Titer Glow発光細胞生存率アッセイを使用して決定した。測定されたデータから、増殖阻害のIC50を、0日目と比較して、DRC(用量反応曲線)分析スプレッドシートおよび4パラメータ当てはめを使用して計算した。DRC分析スプレッドシートは、IDBS E-WorkBook Suiteプラットフォーム(IDBS:ID Business Solutions Ltd.、Guildford、英国)でBayer Pharma AGおよびBayer Business Servicesによって開発されたバイオブックスプレッドシートである。
【0374】
MTTアッセイ
細胞を、C-1に指定されている増殖培地を用いて標準的な方法によって培養した。細胞をAccutase(登録商標)のPBS中溶液(Biochrom AG製 番号L2143)で剥離し、ペレット化し、培養培地に再懸濁し、計数し、白色底の96ウェル培養プレート(Costar製 番号3610)に播種することによって(NCI H292:2500細胞/ウェル;SK-HEP-1:1000細胞/ウェル;KPL-4:1200細胞/ウェル;総容量100μl)、試験を行った。次いで、細胞を37℃および5%二酸化炭素のインキュベーター内でインキュベートした。48時間後、培地を交換した。次いで、10-5M~10-13Mの濃度の培養培地10μl中の抗体薬物コンジュゲートを細胞にピペットで分注し(3連で)、次いで、アッセイを37℃および5%二酸化炭素のインキュベーター内でインキュベートした。懸濁細胞を計数し、白色底の96ウェルプレート(Costar製 番号3610)(番号3610)に播種した(総容量100μl中MOLM-13:2000細胞/ウェル;NB4:7000細胞/ウェル;MV-4-11:5000細胞/ウェル)。37℃および5%二酸化炭素で6時間インキュベートした後、培地を交換し、抗体-薬物コンジュゲートまたは代謝産物を、90μl中細胞に(3連)、10-5M~10-13Mの濃度で培養培地10μlにピペットによって添加した。バッチをインキュベーター中、37℃および5%二酸化炭素でインキュベートした。96時間後、MTTアッセイ(ATCC、Manassas、Virginia、米国、カタログ番号30-1010K)を用いて細胞増殖を検出した。この目的のために、MTT試薬を細胞と共に4時間インキュベートし、引き続いて界面活性剤を添加して細胞を一晩溶解させた。形成された色素を570nmで検出した(Infinite M1000 pro、Tecan)。測定したデータを使用して、DRC(用量応答曲線)を用いて増殖阻害のIC50を計算した。試験物質で処理しなかったが、それ以外は同様に処理した細胞の増殖を100%の数値として定義した。
【0375】
以下の表1aおよび1bは、これらのアッセイからの代表的な実施例についてのIC50値を示す:
【0376】
【0377】
【0378】
以下の表1cは、これらのアッセイからの参照実施例についてのIC50値を列挙する。
【0379】
【0380】
報告される活性データは、薬物/mAB比が示される本実験節に記載される実施例に関連する。この値は、薬物/mAB比が異なる場合に逸脱する可能性がある。IC50値は、いくつかの独立した実験または個々の値の平均である。抗体薬物コンジュゲートの作用は、それぞれのリンカーおよび担毒体を含むそれぞれのアイソタイプ対照に対して選択的であった。CD123に対するADCについて、CD123陰性細胞で試験することによって標的特異性をさらに実証した。
【0381】
一般に、本発明によるADCは、対応する参照実施例と比較して有意に改善した細胞傷害性効果を示す。
【0382】
C-1b 選択された実施例によるキネシンスピンドルタンパク質KSP/Eg5の阻害の測定
ヒトキネシンスピンドルタンパク質KSP/Eg5(tebu-bio/Cytoskeleton Inc、番号027EG01-XL)のモータードメインを、10nMの濃度で、50μg/mlのタキソール(Sigma番号T7191-5MG)で安定化した微小管(ウシまたはブタ、tebu-bio/Cytoskeleton Inc)と共に、15mM PIPES、pH6.8(5mM MgCl2および10mM DTT、Sigma)中室温で5分間インキュベートした。新たに調製した混合物を、384MTP(Corning製)に等分した。次いで、1.0×10-6M~1.0×10-13Mの濃度で試験する阻害剤およびATP(最終濃度500μM、Sigma)を添加した。インキュベーションを室温で2時間行った。マラカイトグリーン(Biomol)を用いて形成された無機リン酸塩を検出することによってATPアーゼ活性を検出した。試薬の添加後、アッセイを室温で50分間インキュベートした後、620nmの波長での吸収を検出した。使用した陽性対照は、モナストロール(Sigma、M8515-1mg)およびイスピネシブ(AdooQ Bioscience A10486)であった。用量-活性曲線の個々のデータは、8倍の測定値である。IC50値は、2つの独立した実験の平均である。100%対照は阻害剤で処理しなかった試料とした。
【0383】
以下の表2は、記載されるアッセイからの代表的な実施例のIC50値を列挙し、対応する細胞傷害性データ(MTTアッセイ)を要約している:
【0384】
【0385】
報告される活性データは、本実験節に記載される実施例に関連する。
【0386】
C-1c酵素アッセイ
a:カテプシンBアッセイ
試験する全てのカテプシンB切断可能プロドラッグについて、混合物を微小反応容器(0.5ml、エッペンドルフ製)で作製した。ここで使用した酵素はヒト肝組織から得た。2μgのカテプシンB(Sigma C8571 25μg)を最初に装入し、200μlの50mMリン酸Na緩衝液、pH6.0、2mM DTTで総容量200μlにした。次いで、試験する基質溶液50μlをピペットで入れた。混合物をサーモブロック(Thermo Fisher Scientific製)中、40℃で300rpmで一定撹拌しながらインキュベートした。酵素反応を速度論的に制御した。このために、10μlの試料を様々な時間に採取した。酵素反応を停止させるために、採取した試料を直ちに20μlの氷冷メタノールと混和し、次いで、-20℃で凍結した。サンプリングのために選択した時間は、10分後、2時間後、4時間後および24時間後であった。試料をRP-HPLC分析(逆相HPLC、Agilent Technologies 1200シリーズ)によって調べた。放出された担毒体の決定によって、酵素反応の半減期t1/2の決定が可能になった。
【0387】
b:レグマインアッセイ
組換えヒト酵素を用いてレグマインアッセイを行った。レグマイン酵素溶液(カタログ番号2199-CY、R&D Systems)を50mM酢酸ナトリウム緩衝液/100mM NaCl、pH4.0に所望の濃度に希釈し、37℃で2時間プレインキュベートした。次いで、rhレグマインを、50mM MES緩衝液、250mM NaCl、pH5.0中1ng/μlの最終濃度に調整した。試験する全てのレグマイン切断可能プロドラッグについて、混合物を微小反応容器(0.5ml、エッペンドルフ製)で作製した。このために、基質溶液を50mM MES緩衝液、250mM NaCl、pH5.0で所望の濃度(2倍濃度)に調整した。酵素反応の速度論的測定のために、250μlのレグマイン溶液を最初に装入し、250μlの基質溶液を添加することによって酵素反応を開始した(最終濃度:単一濃度;3μM)。種々の時点で、50μlの試料を採取した。直ちに、酵素反応を停止させるために100μlの氷冷メタノールをこの試料に添加、次いで、試料を-20℃で凍結した。サンプリングのために選択した時間は、0.5時間後、1時間後、3時間後および24時間後であった。次いで、試料をRP-HPLC分析およびLC-MS分析によって分析した。放出された担毒体の決定によって、酵素反応の半減期t1/2の決定が可能になった。
【0388】
レグマイン媒介切断を示すための代表例として、レグマインアッセイで生成された基質はモデル化合物AおよびBであった。
【0389】
参照実施例モデル化合物A
N-(ピリジン-4-イルアセチル)-L-アラニル-L-アラニル-N
1-[(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-(メチルアミノ)-1-オキソブタン-2-イル]-L-アスパルトアミド
【化59】
まず、トリフルオロ酢酸(2S)-2-アミノ-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-N-メチルブタンアミドを国際公開第2015096982号パンフレットに記載されるように調製した。その後、この中間体を使用して、HATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、DMF中で中間体L103にカップリングさせることによって標記化合物を調製した。
LC-MS(方法1):R
t=0.86分;MS(ESIpos):m/z=902[M+H]
+。
【0390】
参照実施例モデル化合物B
N-(ピリジン-4-イルアセチル)-L-アラニル-N-メチル-L-アラニル-N
1-[(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-1-(メチルアミノ)-1-オキソブタン-2-イル]-L-アスパルトアミド
【化60】
まず、トリフルオロ酢酸(2S)-2-アミノ-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-N-メチルブタンアミドを国際公開第2015096982号パンフレットに記載されるように調製した。その後、この中間体を使用して、HATUおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、DMF中で中間体L118にカップリングさせることによって標記化合物を調製した。
LC-MS(方法1):R
t=0.83分;MS(ESIpos):m/z=916[M+H]
+。
【0391】
モデル化合物Aを、レグマインについて上記の条件下で、0.4時間の半減期で標的化合物に切断した。
【化61】
【0392】
モデル化合物Bを、レグマインについて上記の条件下で、0.5時間の半減期で標的化合物に切断した。
【化62】
【0393】
C-2内在化アッセイ
内在化は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を介した抗原発現がん細胞における細胞傷害性ペイロードの特異的かつ効率的な提供を可能にする重要な過程である。この過程を、特異的抗体の蛍光標識およびアイソタイプ対照抗体を介して監視する。まず、蛍光色素を抗体のリジンにコンジュゲートした。コンジュゲーションは、2倍~10倍モル過剰のCypHer 5EモノNHSエステル(バッチ357392、GE Healthcare)を用いてpH8.3で行った。カップリング後、反応混合物をゲルクロマトグラフィー(Zeba Spin Desalting Columns、40K、Thermo Scientific、番号87768;溶出緩衝液:ダルベッコPBS、Sigma-Aldrich、番号D8537)によって精製して、過剰の色素を除去し、pHを調整した。タンパク質溶液をVIVASPIN 500カラム(Sartorius stedim biotec)を用いて濃縮した。抗体の色素負荷を、分光光度分析(NanoDrop製)およびその後の計算(D/P=A色素εタンパク質:(A280-0.16A色素)ε色素)によって決定した。
【0394】
ここで試験する抗体およびアイソタイプ対照の色素負荷は同程度であった。細胞結合アッセイで、カップリングが抗体の親和性の変化をもたらさないことが確認された。
【0395】
標識抗体を内在化アッセイに使用した。処理開始前に、細胞(2×104/ウェル)を96ウェルMTP(脂肪、黒色、透明底番号4308776、Applied Biosystems製)中の100μl培地に播種した。37℃/5%CO2で18時間インキュベートした後、培地を交換し、標識抗体を様々な濃度(10、5、2.5、1、0.1μg/ml)で添加した。標識アイソタイプ対照(陰性対照)にも同じ処理プロトコルを適用した。選択したインキュベーション時間は、0時間、0.25時間、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、6時間および24時間であった。蛍光測定を、InCellAnalyzer 1000(GE Healthcare製)を用いて行った。これに続いて、顆粒数/細胞および総顆粒強度/細胞のパラメータの測定を介した速度論的評価を行った。
【0396】
受容体への結合後、抗体をそれらの内在化能力について調査した。この目的のために、様々な受容体発現レベルを有する細胞を選択した。標的媒介の特異的な内在化が抗体で観察されたが、アイソタイプ対照は内在化を示さなかった。
【0397】
C-2b懸濁細胞を用いた内在化アッセイ
蛍光色素のカップリングを、C2に記載されるように行った。調査する抗原を造血懸濁細胞によって発現させる;結果として、内在化をFACSベースの内在化アッセイで調査した。
【0398】
様々な標的発現レベルを有する細胞を調査した。細胞(5×104個/ウェル)を96-MTP(Greiner bio-one、CELLSTAR、650 180、U底)中に全量100μlで播種した。標的特異的抗体を最終濃度10μg/mlで添加した後、バッチを様々な期間(3連で1時間、2時間、6時間)、37℃でインキュベートした。アイソタイプ対照を同一条件下で処理した。並行バッチを処理し、絶えず4℃でインキュベートした(陰性対照)。Guavaフローサイトメーター(Millipore)を用いてFACS分析を行った。蛍光強度を測定することによって速度論的評価を行い、評価をguavaSoft 2.6ソフトウェア(Millipore)を用いて行った。ここで記載される標的および標的特異的抗体については、有意で特異的な内在化が種々の細胞において検出された;アイソタイプ対照は内在化を示さなかった。
【0399】
C-2c抗CD123抗体の共局在化アッセイ
リンカーのおかげで、抗体-薬物コンジュゲートの活性代謝産物がリソソーム分解によって産生される。したがって、内在化が起こった後の細胞内輸送は本質的に重要である。リソソームオルガネラに特異的な標識(例えば、表面分子または小型GTPアーゼ)を用いた抗体の共局在化に関する研究により、所望のプロファイルを有する抗体の選択が可能になる。この目的のために、全量100μlの標的陽性細胞(5×104/ウェル)を96-MTP(Greiner bio-one、CELLSTAR、650 180、U底)に播種した。CypHer5E標識抗標的抗体(最終濃度20μg/ml)を添加した後、バッチ(1時点あたり複製)をインキュベーター(5%CO2)内で37℃で30分間、2時間および6時間インキュベートした。選択されたインキュベーション時間の終了の30分前に、リソソーム特異的標識を試験するバッチに添加した。CytoPainter LysoGreen指示薬(最終濃度1:2000;abcam、ab176826)を用いて、リソソームを染色した。インキュベーション後、氷冷FACS緩衝液200μl(ダルベッコPBS、Sigma-Aldrich、番号D8537+3%FBS熱不活性化FBS、Gibco、番号10500-064)を添加し、細胞懸濁液を400×gおよび4℃で5分間遠心分離した。細胞ペレットを氷冷FACS緩衝液300μlに再懸濁し、再度遠心分離した(4分間、4℃で400×g)。遠心分離後、上清を捨て、細胞ペレットを氷冷FACS緩衝液30μlに溶解した。次いで、試料を直ちにFACS/画像分析(FlowSight amnis、Millipore)に供した。特別なソフトウェア(共局在ソフトウェアIDEAS Application v6.1)を用いて共局在を評価した。表3は、抗CD123抗体について例示的な方法でこのアッセイからの結果を要約している。
【0400】
【0401】
ヒト化抗体TPP-9476およびTPP-8987は、親マウス抗体と比較して著しく改善したプロファイルを示す。
【0402】
C-3細胞透過性を決定するためのインビトロ試験
Caco-2細胞を用いるフラックスアッセイでのインビトロ試験によって、物質の細胞透過性を調査することができる[M.D.TroutmanおよびD.R.Thakker、Pharm.Res.20(8)、1210~1224(2003)]。この目的のために、細胞を24ウェルフィルタープレート上で15~16日間培養した。透過性を測定するために、それぞれの試験物質をHEPES緩衝液中で細胞に頂端に(A)または基底に(B)適用し、2時間インキュベートした。0時間後および2時間後、試料をシスおよびトランス区画から採取した。試料を逆相カラムを用いてHPLC(Agilent 1200、Boblingen、ドイツ)によって分離した。HPLCシステムを、ターボイオンスプレーインターフェースを介してトリプル四重極質量分析計API 4000(AB SCIEX Deutschland GmbH、Darmstadt、ドイツ)に連結した。透過性を、Schwabら[D.Schwabら、J.Med.Chem.46、1716~1725(2003)]によって公開された式を用いて計算したPapp値に基づいて評価した。Papp(B-A)とPapp(A-B)の比(流出比)が2超または0.5未満である場合、物質が能動的に輸送されたと分類した。
【0403】
細胞内に放出される担毒体にとって非常に重要なのは、BからAへの透過性[Papp(B-A)]およびPapp(B-A)とPapp(A-B)の比(流出率)である:この透過性が低いほど、Caco-2細胞の単層を通した物質の能動的および受動的輸送過程が遅くなり、結果として物質は、細胞内放出後、細胞内に長く残る。代謝産物が細胞内に長く留まる結果として、生化学的標的(ここではキネシンスピンドルタンパク質KSP/Eg5)との相互作用の可能性が高まり、細胞傷害作用が改善される。
【0404】
以下の表4は、このアッセイからの代表的な実施例についての透過性データを示す:
【0405】
【0406】
本発明による結合剤-薬物コンジュゲートから形成され得る代謝産物M1は、参照実施例2の結合剤-薬物コンジュゲートから形成され得る参照代謝産物R3Mと比較して、細胞からの輸送の減少と排出比の低下の両方を示す。
【0407】
C-4 P-糖タンパク質(P-gp)の基質特性を決定するためのインビトロ試験
多くの腫瘍細胞は薬物のためにトランスポータータンパク質を発現し、これはしばしば細胞増殖抑制剤に対する耐性の発達を伴う。したがって、例えば、P-糖タンパク質(P-gp)またはBCRPなどの、このようなトランスポータータンパク質の基質ではない物質は、改善された活性プロファイルを示すことができるだろう。
【0408】
P-gpを過剰発現するLLC-PK1細胞(L-MDR1細胞)を用いた流出アッセイによって[A.H.Schinkelら、J.Clin.Invest.96、1698~1705(1995)]、P-gp(ABCB1)についての物質の基質特性を決定した。この目的のために、LLC-PK1細胞またはL-MDR1細胞を96ウェルフィルタープレート上で3~4日間培養した。透過性を測定するために、それぞれの試験物質を、単独でまたは阻害剤(例えば、イベルメクチンもしくはベラパミルなど)の存在下で、HEPES緩衝液中で細胞に頂端に(A)または基底に(B)適用し、2時間インキュベートした。0時間後および2時間後、試料をシスおよびトランス区画から採取した。試料を逆相カラムを用いてHPLCによって分離した。HPLCシステムを、ターボイオンスプレーインターフェースを介してAPI 3000トリプル四重極質量分析計(Applied Biosystems Applera、Darmstadt、ドイツ)に連結した。透過性を、Schwabら[D.Schwabら、J.Med.Chem.46、1716~1725(2003)]によって公開された式を用いて計算したPapp値に基づいて評価した。Papp(B-A)とPapp(A-B)の流出比が2超である場合、物質をP-gp基質と分類した。
【0409】
P-gp基質特性を評価するためのさらなる基準として、L-MDR1およびLLC-PK1細胞における流出比または阻害剤の存在下もしくは非存在下での流出比を比較することができる。これらの値が2倍超異なる場合、当の物質はP-gp基質である。
【0410】
C-5薬物動態
5mg/kgの実施例2c-9476(DAR6.3)および実施例2c-9476(DAR3.4)の雄ウィスターラットへの静脈内投与後に、ADCの血漿濃度をELISAによって測定し、クリアランス(CL)、曲線下面積(AUC)および半減期(t1/2)などの薬物動態パラメータを計算した。
【0411】
表5は、DAR 6.3およびDAR 3.4.を用いた実施例2c-9476の薬物動態パラメータを要約している。
【0412】
【0413】
ラットに対するこの探索的PK試験では、両方の実施例について、静脈内投与後に典型的なIgGプロファイルが観察された。DAR6.3を用いた実施例2c-9476とDAR3.4を用いた実施例2c-9476との間に有意な差は観察されなかった。
【0414】
使用するADCの定量のための分析
ADCの抗体部分を、血漿試料および腫瘍溶解液中の全IgG濃度として、リガンド結合アッセイ(ELISA)を用いて測定した。ここでは、サンドイッチELISAフォーマットを使用した。このELISAは、血漿および腫瘍試料における測定のために適格であり、有効であった。ELISAプレートを抗ヒトヤギIgG Fc抗体でコーティングした。試料とのインキュベーションの後、プレートを洗浄し、サル抗ヒトIgG(H+L)抗体および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の検出コンジュゲートとインキュベートした。さらなる洗浄ステップの後、HRP基質をOPDに添加し、発色を490nmでの吸収を介して監視した。既知のIgG濃度を有する標準試料を、4パラメータ方程式を用いて当てはめた。定量下限(LLOQ)および上限(ULOQ)内で、未知の濃度を内挿によって決定した。
【0415】
C5a:インビトロでの内在化後のADC代謝産物の識別
方法の説明:
イムノコンジュゲート(immunoconjugate)による内在化試験を行って、細胞内で形成される代謝産物を分析する。この目的のために、ヒト肺腫瘍細胞NCI H292(3×105個/ウェル)を6ウェルプレートに播種し、一晩(37℃、5%CO2)インキュベートする。細胞を、10μg/ml(66nM)の試験するADCで処理する。内在化を、37℃および5%CO2で行った。細胞試料を種々の時点(0、4、24、48、72時間)でさらなる分析のために採取する。まず、上清(約5ml)を収穫し、遠心分離(2分間、室温、1000rpm、Heraeus Variofuge 3.0R)後、-80℃で保存する。細胞をPBSで洗浄し、Accutase(登録商標)で剥離し、細胞数を決定する。さらなる洗浄後、規定の数の細胞(2×105個)を溶解緩衝液100ml(Mammalian Cell Lysis Kit(Sigma MCL1))で処理し、連続振盪(Thermomixer、15分間、4℃、650rpm)しながら、Protein LoBindチューブ(Eppendorfカタログ番号0030 108.116)中でインキュベートする。インキュベーション後、溶解液を遠心分離し(10分間、4℃、12000g、eppendorf 5415R)、上清を収穫する。得られた上清を-80℃で保存する。次いで、全ての試料を以下のように分析する。
【0416】
培養上清/細胞溶解液50μlの精密検査のために、沈殿試薬(メタノール)150μlを添加し、混合物を10秒間振盪する。沈殿試薬は、適切な濃度(一般に20~100μg/lの範囲内)の内部標準(ISTD)を含有する。1881gで10分間遠心分離した後、上清をオートサンプラーバイアルに移し、溶離液に合わせた緩衝液300μlで構成し、再度振盪し、1881gで10分間遠心分離する。
【0417】
細胞溶解液および上清試料を、AB SCIEX Deutschland GmbH製のHPLC連結API6500トリプル四重極質量分析計を使用して最後に分析する。
【0418】
較正のために、ブランク溶解液またはブランク上清を適切な濃度(0.1~1000μg/l)で混和する。検出限界(LLOQ)は約0.2μg/lである。
【0419】
妥当性を試験するための品質管理には、4μg/lおよび40μg/lが含まれる。
【0420】
C5b:インビボでのADC代謝物の識別
3~30mg/kgの様々なADCの静脈内投与後に、ADCおよび生じる任意の代謝産物の血漿および腫瘍濃度を測定することができ、クリアランス(CL)、曲線下面積(AUC)および半減期(t1/2)などの薬物動態パラメータを計算することができる。
【0421】
潜在的代謝産物の定量のための分析
血漿、腫瘍、肝臓および腎臓中の化合物の分析は、トリプル四重極質量分析計(MS)に連結された高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、一般的にメタノールによるタンパク質の沈殿後に行われる。
【0422】
血漿50μlの精密検査のために、沈殿試薬(一般にメタノール)150μlを添加し、混合物を10秒間振盪する。沈殿試薬は、適切な濃度(一般に20~100μg/lの範囲内)の内部標準(ISTD)を含有する。1881gで10分間遠心分離した後、上清をオートサンプラーバイアルに移し、溶離液に合わせた緩衝液300μlで構成し、再度振盪する。
【0423】
腫瘍または臓器材料の精密検査では、特定の材料を3~20倍量の抽出緩衝液と混合する。抽出緩衝液は、組織タンパク質抽出試薬50ml(Pierce、Rockford、IL)、2ペレットの完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Diagnostics GmbH、Mannheim、ドイツ)および最終濃度1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(Sigma、St.Louis、MO)を含有する。組織の種類(硬い:腫瘍、柔らかい:肝臓、腎臓)に従って、Prescellys 24溶解およびホモジナイゼーションシステム(Bertin Technologies)の溶解およびホモジナイゼーションプログラムを選択する(www.prescellys.com)。ホモジナイズした試料を4℃で一晩放置する。ホモジネート50μlをオートサンプラーバイアルに移し、ISTDを含むメタノール150μlで構成し、10秒間撹拌し、次いで、5分間放置する。酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.8)300μlを添加し、短時間撹拌した後、試料を1881 gで10分間遠心分離する。
【0424】
較正のために、血漿試料用の血漿および組織試料用の対応するブランクマトリックスを0.6~1000μg/lの濃度で混和する。試料の種類または組織の種類に応じて、検出限界(LOQ)は1~20μg/lとなる。
【0425】
血漿およびマトリックス試料を、AB SCIEX Deutschland GmbH製のHPLC連結API4500トリプル四重極質量分析計を使用して最後に分析する。
【0426】
妥当性を試験するための品質管理には、4、40および400μg/lが含まれる。
【0427】
表6は、5mg/kgの実施例2c-9476からのADCの投与の24時間後の、腫瘍、肝臓、腎臓および血漿中で測定されたMOLM-13異種移植マウスモデルにおける代謝産物濃度を示す(n=3)。測定した代謝産物は代謝産物M1であった。n.c.=計算されていない;LOQ:定量下限
【0428】
【0429】
レグマイン切断可能リンカーを有する本発明による実施例2c-9476のADCの投与は、他の健康な器官/組織と比較して標的組織(腫瘍)での活性化合物の著しく選択的な濃縮をもたらす。
【0430】
C-6インビボでの活性試験
本発明によるコンジュゲートの活性を、例えば異種移植片モデルを用いてインビボで試験した。当業者であれば、本発明による化合物の活性を試験することを可能にする先行技術の方法に精通している(例えば、国際公開第2005/081711号パンフレット;Polsonら、Cancer Res.2009年3月15日;69(6):2358-64参照)。この目的のために、結合剤の標的分子を発現する腫瘍細胞株をげっ歯類(例えばマウス)に接種した。次いで、本発明によるコンジュゲート、アイソタイプ抗体対照コンジュゲート、対照抗体または等張食塩水を接種動物に投与した。投与を2回以上行った。数日のインキュベーション期間後、コンジュゲート処置動物と対照群を比較することによって、腫瘍サイズを決定した。コンジュゲート処置動物はより小さい腫瘍サイズを示した。
【0431】
C-6a.マウスにおける実験腫瘍の増殖阻害/退行
抗体-薬物コンジュゲートの抗原を発現するヒト腫瘍細胞を、免疫抑制マウス、例えばNMRiヌードマウスまたはSCIDマウスの側腹部に皮下接種する。100万~1000万個の細胞を細胞培養液から剥離し、遠心分離し、培地または培地/matrigelに再懸濁する。細胞懸濁液をマウスの皮下に注射する。
【0432】
数日以内に、腫瘍が成長する。腫瘍が確立された後、約40mm2の腫瘍サイズで処置を開始する。より大きな腫瘍への効果を調べるために、処置を50~100mm2の腫瘍サイズでのみ開始してもよい。
【0433】
APDCおよびADCによる処置を、マウスの尾静脈への静脈内(i.v.)経路を介して行う。ADCを5ml/kgの容量で投与する。
【0434】
処置プロトコルは抗体の薬物動態に依存する。本発明によるコンジュゲートでは、処置を標準として週1回、2週間または3週間行う。素早い評価のためには、単一処置によるプロトコルもまた適切であり得る。しかしながら、処置を継続してもよく、または3処置日の第2のサイクルが後に続いてもよい。
【0435】
標準として、1処置群あたり8匹の動物を使用する。活性物質が投与される群に加えて、1つの群を、同じプロトコルに従って、緩衝液のみを用いる対照群として処置する。
【0436】
実験中、ノギスを用いて腫瘍面積を二次元(長さ/幅)で定期的に測定する。腫瘍面積を長さ×幅として決定する。処置群の平均腫瘍面積と対照群の平均腫瘍面積の比を、T/C面積として記載する。
【0437】
処置終了後、実験の全ての群を同時に終了したら、腫瘍を取り出し、秤量することができる。処置群の平均腫瘍重量と対照群の平均腫瘍重量の比を、T/C重量として記載する。
【0438】
C-6b.種々の腫瘍モデルにおける本発明によるADCの有効性
腫瘍細胞(例えば、NCI-H292、REC-1、MOLM-13およびMV-4-11)を雌NMRIヌードマウス(Janvier)の側腹部に皮下接種する。約40mm2の腫瘍サイズで、抗体-薬物コンジュゲートを用いて静脈内処置を行う。処置後、適切ならば腫瘍増殖の監視を続ける。
【0439】
本発明によるADCによる処置は、対照群およびコンジュゲートアイソタイプ対照抗体と比較して腫瘍増殖の明確である場合には長期持続性の阻害をもたらす。表7は、処置の開始から計算された、実験の終了のそれぞれの日に腫瘍面積について決定されたT/C値を示す。
【0440】
【配列表】
【外国語明細書】