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特開2022-93584情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093584
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/00 20160101AFI20220616BHJP
【FI】
A61B90/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075157
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2018561821の分割
【原出願日】2017-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2017002707
(32)【優先日】2017-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木島 公一朗
(72)【発明者】
【氏名】古川 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 博史
(72)【発明者】
【氏名】中村 直人
(72)【発明者】
【氏名】今野 上知郎
(57)【要約】
【課題】無影灯下においてスクリーンに表示される情報の医療行為者に対する視認性を向上させる。
【解決手段】医療行為に伴って医療行為者が把握すべき定量的数値に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得する情報取得部と、取得された前記情報に関する画像データを生成する画像データ生成部と、前記画像データを描画するように、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源の設置位置または前記描画光の照射位置を走査する光学系の稼働状態を制御する制御部と、を備える情報処理装置を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療行為に伴って医療行為者が把握すべき定量的数値に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得する情報取得部と、
取得された前記情報に関する画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データを描画するように、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源の設置位置、または、前記描画光の照射位置を走査する光学系の稼働状態を制御する制御部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
医療行為または患者の状態に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得することと、
取得された前記情報に関する画像データを生成することと、
前記画像データを描画するように、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源の設置位置または前記描画光の照射位置を走査する光学系の稼働状態を制御することと、を含む情報処理方法。
【請求項3】
プロセッサに、
医療行為または患者の状態に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得することと、
取得された前記情報に関する画像データを生成することと、
前記画像データを描画するように、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源の設置位置または前記描画光の照射位置を走査する光学系の稼働状態を制御することと、を行わせるプログラム。
【請求項4】
所定の材質から成る基板と、
前記基板上に、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を用いて画像を描画する情報描画装置からの前記描画光の波長について他の光の波長よりも高い反射率を有する選択反射層と、を備えるスクリーン。
【請求項5】
無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源と、
前記描画光の照射位置を走査する光学系と、
医療行為に伴って医療行為者が把握すべき定量的数値に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得する情報取得部と、
取得された前記情報に関する画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データを描画するように、前記光源の設置位置または前記光学系の稼働状態を制御する制御部と、を備える情報描画装置と、
所定の材質から成る基板と、
前記基板上に、前記情報描画装置からの前記描画光の波長に対して他の光の波長よりも高い反射率を有する選択反射層と、を備えるスクリーンから構成される、情報描画システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム、スクリーンおよび情報描画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の外科手術などにおいて、術者は血圧、心拍数、出血量などの患者の生体情報または医療用装置の設定値などの様々な情報を麻酔科医または看護師などの補助者に確認し、そして補助者から提供された情報を記憶しながら手術を行っている。このような補助者から術者への情報の提供は、主に口頭によって伝達される。これは、手術が行われている術部は清潔でなければならないため、術者の近くにいる補助者がメモを書くなどして、術部の清潔さを損なうような方法で術者に情報を提示することができないからである。また、一般的に手術は無影灯下で行われるため、補助者がメモを記載して当該メモを術者に提示しても、平坦な光沢面は無影灯の光を強く反射するため術者による確認が困難となることがある。
【0003】
かかる情報伝達に関し、特許文献1には、情報を術者に提供するための表示装置が開示されている。特許文献1に開示されている表示装置は、無影灯の光を遮光する遮光板を備え、当該遮光板によって遮光された位置に情報を表示するためのパネルが設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-292453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている表示装置では、術者は情報を視認できるものの、無影灯からの照明光が遮光されるため、術部における照度が不足するおそれがあった。そこで本開示では、無影灯下においてもより確実に術者に対して情報を提供することが可能な、情報処理装置、情報処理方法、プログラム、スクリーンおよび情報描画システムが提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、医療行為に伴って医療行為者が把握すべき定量的数値に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得する情報取得部と、取得された前記情報に関する画像データを生成する画像データ生成部と、前記画像データを描画するように、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源の設置位置または前記描画光の照射位置を走査する光学系の稼働状態を制御する制御部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、医療行為または患者の状態に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得することと、取得された前記情報に関する画像データを生成することと、前記画像データを描画するように、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源の設置位置または前記描画光の照射位置を走査する光学系の稼働状態を制御することと、を含む情報処理方法が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、プロセッサに、医療行為または患者の状態に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得することと、取得された前記情報に関する画像データを生成することと、前記画像データを描画するように、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源の設置位置または前記描画光の照射位置を走査する光学系の稼働状態を制御することと、を行わせるプログラムが提供される。
【0009】
また、本開示によれば、所定の材質から成る基板と、前記基板上に、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を用いて画像を描画する情報描画装置からの前記描画光の波長に対して他の光の波長よりも高い反射率を有する選択反射層と、を備えるスクリーンが提供される。
【0010】
また、本開示によれば、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源と、前記描画光の照射位置を走査する光学系と、医療行為に伴って医療行為者が把握すべき定量的数値に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得する情報取得部と、取得された前記情報に関する画像データを生成する画像データ生成部と、前記画像データを描画するように、前記光源の設置位置または前記光学系の稼働状態を制御する制御部と、を備える情報描画装置と、所定の材質から成る基板と、前記基板上に、前記情報描画装置からの前記描画光の波長に対して他の光の波長よりも高い反射率を有する選択反射層と、を備えるスクリーンから構成される、情報描画システムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本開示によれば、無影灯下においてもより確実に術者に対して情報を提供することが可能となる。
【0012】
なお、上記の効果は必ずしも限定されず、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一般的な手術の環境を示す図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る情報描画システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る情報描画システムの構成の一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係るコントローラの構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、本開示の実施形態の情報取得部における画像処理方法の一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施形態における情報の表示方法の一例を示す図である。
図7図7は、本開示の実施形態のコントローラにおける処理の一例を示すフロー図である。
図8図8は、本開示の実施形態の記憶部に記憶されるデータベースの一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施形態のコントローラにおける処理の一例を示すフロー図である。
図10図10は、無影灯のスペクトルの一例を示すグラフである。
図11図11は、無影灯のスペクトルの一例を示すグラフである。
図12図12は、本開示の実施形態のスクリーンの構成の一例を示す図である。
図13図13は、本開示の実施形態のスクリーンの選択反射層の構成の一例を示す図である。
図14図14は、本開示の実施形態のスクリーンの選択反射層の反射率の特性の一例を示すグラフである。
図15図15は、本開示の実施形態のスクリーンの選択反射層の構成の一例を示す図である。
図16図16は、本開示の実施形態のスクリーンの選択反射層の反射率の特性の一例を示すグラフである。
図17図17は、本開示の実施形態のスクリーンの選択反射層の構成の一例を示す図である。
図18図18は、本開示の実施形態のスクリーンの選択反射層の反射率の特性の一例を示すグラフである。
図19図19は、本開示の実施形態におけるスクリーンに備えられる保持部の一例を示す図である。
図20図20は、本開示の実施形態におけるスクリーンの設置例を示す図である。
図21図21は、本開示の実施形態におけるスクリーンに備えられる保持部の一例を示す図である。
図22図22は、本開示の実施形態におけるスクリーンの設置例を示す図である。
図23図23は、本開示の実施形態に係るコントローラのハードウェア構成の一例を模式的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
なお、説明は以下の順序で行う。
0.一般的な手術環境について
1.情報描画システムの構成例について
1-1.情報描画システムの全体構成について
1-2.コントローラの構成例について
1-3.コントローラの処理例について
2.スクリーンについて
2-1.スクリーンの構成について
2-2.スクリーンの設置方法について
2-3.スクリーンの他の構成例について
3.ハードウェア構成
4.補足
5.むすび
【0016】
<<0.一般的な手術環境について>>
図1は、一般的な手術室の環境を表す模式図である。一般的な手術環境では、無影灯800下でドレープ700を掛けられた患者18が手術台に横たわっており、複数人の医療行為者が患者18を囲むように位置する。医療行為者としては、例えば手術の執刀を行う術者10がおり、術者10に手術で使用する器具を渡す器具出し補助者12がおり、術者10の指示によって医療用装置の設定値を設定する外回り補助者14がおり、麻酔のコントロールを行う麻酔科医16がいる。なお、上述した医療行為者は一例であって、これらに限定されない。
【0017】
上述したような環境において術者10は、例えば麻酔科医16に血圧を上昇させるように指示を行い、血圧の値が術者10が指示した値になったかどうかを麻酔科医16に確認することがある。また術者10は、外回り補助者14に医療用器具の設定を変更するように指示を行い、医療用器具の設定値が術者10が指示した値になったかどうかを外回り補助者14に確認することがある。
【0018】
以上のような術者10からの指示に対する情報の提示は、メモによってなされることが考えられる。しかしながら術者10に医療器具を渡す器具出し補助者12は、手術に使用する器具に触れるためその他の不潔な物に触れることができず、メモを取ることができない。また外回り補助者14は、清潔ではない物に触れることができる一方、清潔な物には触れることができない。よって外回り補助者14は、たとえメモを取ったとしても清潔である必要性がある術野の近くにメモを提示することができない。また、器具出し補助者12または外回り補助者14が白い紙によりなるメモを術者10に提示したとしても、無影灯800下では光の反射が強く、術者10が視認することが困難である。また術者10は術野に注視できることが好ましいため、メモを視認するために視線を大きく動かすことは好ましくない。
【0019】
よって上述したような指示および確認は主に口頭連絡によって随時行われ、術者10は口頭連絡によって情報を取得し、定量的な数値を記憶して手術を行っている。
【0020】
また電子メスのようなノイズを発生させるおそれがある医療器具は、外回り補助者14から離れた位置に設置されることがあり、外回り補助者14が設定値の確認を行うために時間がかかることがある。術者10は、このような状況において外回り補助者14が設定値を確認するまで手術の進行を止めなければならないため、手術の進行にタイムロスが生じている。
【0021】
よって本実施形態では、術者10が術野から大きく視線を移動させることなく、術者10が把握すべき定量的な数値を提供できる情報描画システムを提案する。
【0022】
<<1.情報描画システムの構成例について>>
<1-1.情報描画システムの全体構成について>
図2は、本実施形態の情報描画システムの全体構成の一例を示す図である。本実施形態の情報描画システムは、血圧のような患者18の生体情報または電気メスまたは超音波メスなどの医療機器の設定値または手術台の角度などの術者10が把握すべき定量的な数値をスクリーン600に描画するシステムである。
【0023】
図2に示されるように情報描画システムは、複数の情報提供装置100から情報を受け取ってスクリーン600に描画光を照射する情報描画装置200と、スクリーン600とから構成される。また情報描画システムは、情報提供装置100に表示される情報を撮像する撮像装置120と、医療行為者によって操作される操作部302とを備えてもよい。情報提供装置100は、例えば、血圧を測定する機器、出血量を測定する機器、電気メスのモードおよび出力値を設定する機器および時間計測機器のような、術者10が把握すべき定量的な数値を提供する装置である。情報提供装置100は、提供する数値情報がどのような種類の情報であるかを示すヘッダ情報を数値情報と共に情報描画装置200に提供してもよい。ヘッダ情報は、例えば、血圧、脈拍、時間、医療用機器の名称または医療用機器のモードの名称などを示す情報である。撮像装置120は、情報提供装置100が数値情報等を外部機器に出力できない場合に情報提供装置100に表示される情報を撮像し、撮像した画像データを情報描画装置200に送信するための装置である。撮像装置120は情報提供装置100ごとに設置され、各撮像装置120が撮像する情報のヘッダ情報を情報描画装置200に提供してもよい。なお、情報提供装置100は上記の例に限定されない。
【0024】
情報描画装置200は、各部を制御するコントローラ300と、描画光を照射する光源400と、光源400からの描画光の照射位置を走査するための光学系500と、を備える。コントローラ300は、情報処理装置の一例であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等によって実現される。また、コントローラ300には、医療行為者によって操作される操作部302からの入力があってもよい。コントローラ300の詳細な構成および処理については後述される。
【0025】
光源400は、コントローラ300によって制御され、無影灯800の光の下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源400である。光源400は、例えば、半導体素子を用いたレーザ光源400であってもよい。半導体素子を用いたレーザ光源400は、例えば、おおよそ波長610nm~780nmの赤色のレーザを照射する光源400であってもよく、おおよそ波長430nm~460nmの青色のレーザを照射する光源400であってもよく、おおよそ波長500nm~570nmの緑色のレーザを照射する光源400であってもよい。上述したような半導体素子を用いたレーザ光源400は一般的にレーザポインタなどに使用されており、このような半導体素子を用いたレーザ光源400が使用されることによって、本実施形態の情報描画装置200は安価および小型に構成される。
【0026】
また光源400の波長に関して、赤色は医療行為者が見慣れている色であるので医療行為者の疲れが少ないと考えられる。また、緑色は術野に無い色であるので周囲に存在する器具とのコントラストが高くなるという利点がある。なお、光源400は、無影灯800の光の下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源400であればよく、光源400の構成は特に限定されない。本実施形態の情報描画システムでは、上述したような光源400を用いて描画光を点で走査させることにより、プロジェクタ等の表示装置に比べて高い照度でスクリーン600上に情報が表示される。これによって医療行為者は、無影灯800下においても情報を視認することが可能となる。
【0027】
光学系500は、コントローラ300によって制御され、光源400から照射される描画光のスクリーン600上での到達位置を走査するために使用される。なお、光源400および光学系500は、光照射部402と呼ばれてもよい。光照射部402の詳細な構成を図3に示す。
【0028】
図3に示されるように光学系500は、例えばスキャンミラー502と、スキャンレンズ504と、結像レンズ506と、を含んでもよい。また、スキャンミラー502は2次元のMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーであってもよく、1次元のMEMSミラーが2つ用いられてもよい。
【0029】
図3に示されるように、光源400から照射された描画光は、スキャンミラー502に照射される。スキャンミラー502は、コントローラ300によって稼働状態を制御されることによって、光源400から照射された描画光をスキャンレンズ504に入射させる。スキャンレンズ504に入射された描画光は、スキャンレンズ504によって結像面で結像される。そして結像面で結像された描画光によって描画される画像が、結像レンズ506によってスクリーン600上に表示される。
【0030】
なおスキャンミラー502はMEMSミラーの代わりにガルバノミラーが用いられてもよく、またスキャンミラー502が駆動しない構成であれば、バリアングルプリズムが用いられてもよい。バリアングルプリズムは、2枚のガラスの間をフィルムで形成された蛇腹で結合し、2枚のガラスの間を透明な高屈折率の液体で満たした構造を有している。また光学系500は、光源400からの描画光をスクリーン600上で走査する構成であればよく、上述したように光学系500の構成は特に限定されない。また、情報描画装置200は、光学系500を備えず、光源400の設置位置を直接動かすことによって、描画光を用いて画像をスクリーン600上に描画してもよい。
【0031】
<1-2.コントローラの構成例について>
以上では、本実施形態の情報描画システムの全体構成について説明された。以下では、本実施形態のコントローラ300の構成例について説明される。コントローラ300は、情報提供装置100から情報を取得し、光源400および光学系500を制御するための装置である。図4に示されるように、コントローラ300は、情報取得部304と、情報選択部306と、画像データ生成部308と、制御部310と、記憶部312とを備える。
【0032】
情報取得部304は、複数の情報提供装置100から患者18の生体情報または医療用機器の設定値などの数値情報と、数値情報がどのような情報であるかを示すヘッダ情報とを取得する。また、情報取得部304は、情報提供装置100に表示されている情報を撮像する撮像装置120から撮像画像を取得してもよい。上述したように撮像装置120は情報提供装置100ごとに設置され、情報取得部304は各撮像装置120が撮像する情報のヘッダ情報を撮像装置120から撮像画像と共に取得してもよい。
【0033】
図5は、情報取得部304が取得した撮像装置120からの撮像画像の処理方法を示す図である。604Aは撮像装置120が撮像した撮像画像であり、情報取得部304は604Bで示されるように、数値が表示されている画像領域を604Aで示される撮像画像から切り出す。そして情報取得部304は、切り出した画像に対してコントラスト調整および2値化を行う。次に情報取得部304は604Cで示されるように、604Bで処理された画像を反転させる。情報取得部304は、このような画像処理を行うことにより、撮像装置120から情報を取得する。ここで情報取得部304は撮像画像に基づく文字認識を行わないことにより、誤った数値が医療行為者に提示されることが防止される。医療行為において誤った情報が医療行為者に提供されることは、医療ミスにつながるため、誤認識を防ぐことは重要である。しかしながら、現在の文字認識技術は高度に発展しているため誤認識の確率は低く、より認識された文字情報を視認しやすい書体に変更するなど情報処理の自由度を向上させるために、情報取得部304は、撮像画像に基づく文字認識処理を行ってもよい。なお文字認識処理の具体的な方法は特に限定されず、例えばエッジ検出など従来から公知である技術によって行われてもよい。
【0034】
図4に戻って、情報取得部304は、上述したように情報提供装置100から直接取得したまたは撮像装置120から取得した数値情報およびヘッダ情報を、情報選択部306に送る。情報選択部306は、受け取ったヘッダ情報に基づいて情報取得部304から受け取った複数の数値情報のうちから描画光によって描画する数値情報を選択する。情報選択部306は、医療行為者が操作する操作部302からの出力に応じて情報の選択を行ってもよく、後述するように記憶部312に記憶されている医療行為と選択される情報とが関連付けられたデータベースに基づいて情報を選択してもよい。
【0035】
このように情報選択部306が情報を選択することによって、医療行為者が状況に応じて認識すべき情報が医療行為者に提示される。医療行為者は医療行為中に多くの情報を提示されても、どの情報が重要な情報であるかを区別することは難しく、情報選択部306によって提示される情報が選択されることは、医療行為者が重要な情報を確実に認識するために有益である。また多数の情報が選択されずに医療行為者に提示される場合、医療行為者は情報を誤認識する可能性があり、このような情報の誤認識は医療ミスにつながるため、防止されることが好ましい。このような観点からも情報選択部306によって、医療行為者に提示される情報が選択されることは有用である。
【0036】
なお操作部302は、フットペダルであってもよく、医療行為者の声を認識して選択する情報を出力する音声認識部であってもよい。医療行為者はフットペダルを用いることによって確実に情報を選択することができ、また音声認識によって医療行為者は体を動かさずに情報を選択することができる。上述したように確実に情報を選択できることは医療行為者による情報の誤認識を防ぐために有益であり、体を動かさずに情報を選択できることは、微細な体の動きが医療ミスにつながる医療現場(特に手術時)において有益である。なお操作部302は、医療行為者が情報を選択できる構成であればよく、特にその構成は限定されない。
【0037】
画像データ生成部308は、情報選択部306によって選択された情報に基づいて光源400から照射される描画光を用いて描画する画像データを生成する。例えば情報選択部306によって選択された情報が、電気メスの凝固モードの設定値である場合、「Power Co 1234」のような画像データを生成する。ここで「Power Co」は電気メスの凝固モードの設定値を示す情報であり、ヘッダ情報に基づいて生成される。また「1234」は情報提供装置100の1つである電気メスの制御装置から取得された数値情報に基づいて生成される。
【0038】
制御部310は、情報描画装置200の各部を制御し、例えばCPU、ROMまたはRAMから構成されてもよい。図4に示されるように制御部310は、撮像装置120、光源400および光学系500を制御してもよい。制御部310は、画像データ生成部308から受け取った画像データに基づく画像がスクリーン600上に描画光によって描画されるように、光源400および光学系500を制御する。
【0039】
図6は、上述された情報描画システムによって情報が提示される様子を示す図である。図6では、上述した画像データ生成部308によって生成された画像が、術部近くのドレープ700上に設置されたスクリーン600に描画光によって描画される。図6からわかるように、スクリーン600上では、ヘッダ情報がヘッダ情報表示領域602に表示され、ヘッダ情報に関連する数値情報が数値情報表示領域604に表示される。このように無影灯800の光の下で視認可能なように術部近くに情報が提示されることによって、医療行為者は補助者に数値情報等の確認を行わずに情報を確認することができる。これによって医療行為者は、医療行為をタイムロスなく進行することができる。また、医療行為者が補助者から口頭にて連絡された情報を聞き間違うことによる誤認識が防止される。
【0040】
<1-3.コントローラの処理例について>
以上では、コントローラ300の構成について説明された。以下では、コントローラ300において実行される処理例について説明される。図7は、コントローラ300において実行される基本的な処理を表すフロー図である。
【0041】
最初にS102において情報取得部304は、複数の情報提供装置100または撮像装置120から数値情報および当該数値情報の種別を表すヘッダ情報を取得する。次にS104において情報選択部306は、情報取得部304から数値情報およびヘッダ情報を受け取り、操作部302からの出力に基づいて、または記憶部312に記憶されているデータベースに基づいて、医療行為者に提示する情報を選択する。情報選択部306が、記憶部312に記憶されているデータベースに基づいて情報を選択する処理については後述する。
【0042】
次にS106において画像データ生成部308は、情報選択部306が選択した情報に基づいて、ヘッダ情報および数値情報に関する画像データを生成する。そしてS108において制御部310は、画像データ生成部308が生成した画像データを描画するように、光源400および光学系500を制御する。
【0043】
以上では、コントローラ300において実行される基本的な処理例について説明された。ここで図7のS104において、情報選択部306が記憶部312に記憶されているデータベースに基づいて情報を選択する処理について説明される。図8は、記憶部312に記憶される、医療行為と選択される情報とが関連付けられたデータベースの例を示す図である。
【0044】
例えば医療行為者によって実施される医療行為は、図8に示されるように「切開」、「動脈遮断」、「閉腹」などの医療行為であってもよく、選択される情報は各医療行為と関連付けられている。例えば「切開」が行われる際においては出血量および電気メスの設定値が重要な情報であるので、「切開」には「出血量」および「電気メスの設定値」が選択される情報として関連付けられる。同様に、医療行為である「動脈遮断」においては、動脈が遮断されてからの経過時間が重要な情報であるので、「動脈遮断からの経過時間」が選択される情報として関連付けられる。また、医療行為である「閉腹」においては、使用されたガーゼが腹部に取り残されてはいけないので、「ガーゼの枚数」が選択される情報として関連付けられる。
【0045】
また、本実施形態の情報描画システムは、呼吸器外科手術、肝臓手術、消化管手術、循環器外科手術、脳外科手術のような様々な手術に用いられることができる。よって例えば、データベースでは医療行為の一例である手術の術式と選択される情報とが関連付けられてもよい。例えば、呼吸器外科手術および肝臓手術は太い血管がある部分に対する手術であるため、出血量の管理が重要である。よってデータベースでは、医療行為としての「呼吸器外科手術」および「肝臓手術」と選択される情報としての「出血量」とが関連付けられてもよい。また、循環器外科手術および脳外科手術においては電気メスの設定値が頻繁に変更されるので、電気メスの設定値が重要な情報である。よってデータベースでは、医療行為としての「循環器外科手術」および「脳外科手術」と選択される情報としての「電気メスの設定値」とが関連付けられてもよい。
【0046】
上述したように医療行為と選択される情報が関連付けられたデータベースに基づいて、情報選択部306は医療行為者に提示する情報を選択する。例えば情報選択部306は、情報提供装置100の稼働状況から「切開」が行われていると判断すると、「出血量」および/または「電気メスの設定値」を医療行為者に提示する情報として選択する。また情報選択部306は、音声認識部からの情報に基づいて、どのような医療行為が行われているかを推定してもよい。例えば、会話の中で、「切開」という言葉が所定の頻度以上検出されると、情報選択部306は「切開」が行われていると推定し、データベースに基づいて医療行為者に提示する情報を選択してもよい。また情報選択部306は、医療行為(例えば手術)が開始されてからの経過時間に基づいて実施されている医療行為を推定してもよい。
【0047】
またデータベースでは、各医療行為におけるステップと選択される情報とが関連付けられてもよい。例えば医療行為として、「開腹」、「動脈遮断」、「閉腹」のステップを含む手術が行われる場合、各ステップに応じた情報が選択される。つまり、動脈遮断を伴う手術における開腹のステップでは、「出血量」または「電気メスの設定値」が、提示される情報として選択される。また動脈遮断のステップでは、「動脈遮断からの経過時間」が提示される情報として選択される。また閉腹のステップでは、「ガーゼの枚数」が提示される情報として選択される。このように、医療行為における各ステップと選択される情報とが関連付けられることによって、医療行為の各ステップにおいて重要である情報が適切に選択されて医療行為者に提示される。これにより医療行為者は、適切なタイミングで適切な情報を容易に認識することができる。
【0048】
以上では、記憶部312に記憶されるデータベースと、当該データベースを用いて情報選択部306が情報を選択する処理について説明された。次に図9では、様々な情報に基づいて情報選択部306が医療行為者に提示される情報を選択する処理の例が説明される。例えばS202において情報選択部306は、情報提供装置100の動作状態に変更があったか否かを判定する。ここでは例えば情報選択部306は、情報提供装置100の電源が投入されたことを検知してもよく、情報提供装置100の動作モードが変更されたことを検知してもよい。情報選択部306は、S202において情報提供装置100の動作状態が変更されたことを検知すると、S204において動作状態に変更があった情報提供装置100に関する情報を選択する。
【0049】
次にS206において情報選択部306は、操作部302が医療行為者によって操作されたか否かを判定する。情報選択部306は、S206において操作部302が医療行為者によって操作されたことを検知すると、操作部302からの出力に基づいて情報を選択する(S208)。
【0050】
次にS210において情報選択部306は、情報提供装置100から取得される所定の数値情報が所定の閾値に達したか否かを判定する。ここでは例えば情報選択部306は、出血量が所定の閾値に達したことを検知してもよい。情報選択部306は、S210において情報提供装置100から取得される所定の数値情報が所定の閾値に達したことを検知すると、S212において所定の閾値に達した情報を選択する。
【0051】
次にS214において情報選択部306は、情報提供装置100の設定値が変更されたか否かを判定する。ここでは例えば情報選択部306は、電気メスの設定値が変更されたことを検知してもよい。情報選択部306は、S214において情報提供装置100の設定値が変更されたことを検知すると、S216において変更された設定値を選択する。上述したように、情報選択部306は、様々な情報に基づいて描画すべき情報を選択する。このように構成されることによって、本実施形態の情報描画装置200は、様々なタイミングでそのタイミングに適した情報を医療行為者に提示することができる。
【0052】
<<2.スクリーンについて>>
以上では、本実施形態の情報描画装置200の構成について説明された。以下では、本実施形態で用いられるスクリーン600の構成について説明される。上述したように本実施形態の情報描画装置200は無影灯800下で使用されるため、無影灯800の光の下で視認可能な照度を有する描画光が用いられる。このような描画光が使用される情報描画装置200では、無影灯800の光を吸収し、描画光の波長に対する反射率が相対的に高いスクリーン600が用いられることによって、さらに医療行為者は提示される情報を視認しやすくなる。よって本実施形態では、無影灯800の光を吸収する層と、描画光の波長に対して相対的に高い反射率を有する層を含むスクリーン600が使用される。
【0053】
当該スクリーン600の特徴を説明するために、最初に無影灯800の波長スペクトルについて説明される。図10は、LED(Light Emitting Diode)を光源とする無影灯800のスペクトルを表すグラフである。図10に示される無影灯800のスペクトルでは、450nm付近の波長の光の強度および540~650nm付近の波長の光の強度が強くなっている一方、480~490nmの波長の光の強度は弱くなっている。したがって、このようなスペクトルを有する無影灯800に対しては、480~490nmの波長を有する光が描画光として用いられることが好ましい。また、スクリーン600は480~490nmの波長の光に対して他の波長の光に比べて比較的高い反射率を有することが好ましい。
【0054】
次に図11は、キセノンランプを光源とする無影灯800のスペクトルを表すグラフである。図11に示される無影灯800のスペクトルでは、特に光の強度が弱い波長域は存在しない。しかしながらこのようなスペクトルを有する無影灯800が使用される状況においても、スクリーン600が描画光の波長を選択的に反射し、その他の波長の光を吸収することによって、医療行為者はスクリーン600に表示される情報を視認しやすくなる。
【0055】
<2-1.スクリーンの構成について>
図12は、本実施形態のスクリーン600の構成の例を示す図である。図12に示されるように本実施形態のスクリーン600は、基板606と、光吸収層608と、選択反射層610と、から構成される。基板606は、例えばアルミニウムが用いられてもよく、その上部に光吸収層608として黒色アルマイト加工が施される。ここで黒色アルマイトの屈折率nは、1.7である。また、光吸収層608の上には、上述したように描画光の波長を選択的に反射する選択反射層610が形成される。選択反射層610の構成については以下に詳述される。
【0056】
図13は、本実施形態のスクリーン600に形成される選択反射層610の一例の構成を示す図である。選択反射層610は、高屈折率膜612と高屈折率膜612よりも低い屈折率を有する低屈折率膜614が交互に積層された多層膜で構成される。ここで高屈折率膜612には、例えば屈折率nが2.0である五酸化タンタル(Ta)が用いられてもよく、低屈折率膜614には、例えば屈折率nが1.47である二酸化ケイ素(SiO)が用いられてもよい。なお図13では、高屈折率膜612と低屈折率膜614が交互に合計して4層積層されて形成される選択反射層610について説明される。
【0057】
本実施形態の情報描画システムにおいて640nmの描画光が用いられると仮定すると、例えば高屈折率膜612の膜厚Z1は256nm(Z1=640nm/2×0.80)が好ましく、低屈折率膜614の膜厚Z2は261nm(Z2=640nm/1.47×0.60)が好ましい。
【0058】
図14は、図13で示された選択反射層610の反射率を表すグラフである。図14から理解されるように、図13で示された選択反射層610の構成は、描画光の波長である640nmの波長に対して他の波長よりも高い反射率(反射率は24.2%)を有する。
【0059】
次に図15は、図13において示された選択反射層610の構成の他の例を示す図である。ここで図15において示される選択反射層610の例では、図13で示された選択反射層610と同様、高屈折率膜612に五酸化タンタル(Ta)が用いられ、低屈折率膜614に二酸化ケイ素(SiO)が用いられる。なお図15では、高屈折率膜612と低屈折率膜614が交互に合計して8層積層されて形成される選択反射層610について説明される。
【0060】
図15で示される選択反射層610では、上述したように640nmの描画光が用いられると仮定すると、高屈折率膜612の膜厚Z1は272nm(Z1=640nm/2×0.85)が好ましく、低屈折率膜614の膜厚Z2は279nm(Z2=640nm/1.47×0.64)が好ましい。
【0061】
図16図15で示された選択反射層610の反射率を表すグラフであり、図16から理解されるように図15で示された選択反射層610の構成は、描画光の波長である640nmの波長に対して他の波長よりも高い反射率(反射率は47.5%)を有する。また、図16で示されるグラフにおける描画光の波長(640nm)に対する反射率(47.5%)は、図14で示された描画光の波長(640nm)に対する反射率(24.2%)よりも高くなっていることがわかる。
【0062】
図17は、図13および図15において示された選択反射層610の構成の他の例を示す図である。ここで図17において示される選択反射層610の例では、図13および図15で示された選択反射層610と同様、高屈折率膜612に五酸化タンタル(Ta)が用いられ、低屈折率膜614に二酸化ケイ素(SiO)が用いられる。なお図17では、高屈折率膜612と低屈折率膜614が交互に合計して12層積層されて形成される選択反射層610について説明される。
【0063】
図17で示される選択反射層610では、上述したように640nmの描画光が用いられると仮定すると、図15で示された選択反射層610の構成と同様、高屈折率膜612の膜厚Z1は272nm(Z1=640nm/2×0.85)が好ましく、低屈折率膜614の膜厚Z2は279nm(Z2=640nm/1.47×0.64)が好ましい。
【0064】
図18は、図17で示された選択反射層610の反射率を表すグラフであり、図18から理解されるように、図17で示された選択反射層610の構成は、描画光の波長である640nmの波長に対して他の波長よりも高い反射率(反射率は84%)を有する。また、図18で示されるグラフにおける描画光の波長(640nm)に対する反射率(84%)は、図16で示された描画光の波長(640nm)に対する反射率(47.5%)よりさらに高くなっていることがわかる。
【0065】
なお、上述した選択反射層610において反射率が低い波長(例えば450nm付近および500nm~600nmの波長)の光は、光吸収層608に到達し、吸収される。一方、上述したように640nmの波長(つまり赤色のレーザポインタの波長)の光の反射率は高いので、当該波長の光は光吸収層608に到達することなく反射される。したがって上述されたような構成を有するスクリーン600が本実施形態の情報描画システムで用いられることにより、描画光が他の波長の光に比べて高い強度で反射されるため、医療行為者は描画光で提示される情報をより視認しやすくなる。また、選択反射層610において反射率が低い波長の光は光吸収層608で吸収されるため、医療行為者は描画光によって提示される情報をより視認しやすくなる。
【0066】
<2-2.スクリーンの設置方法について>
以上では、本実施形態の情報描画装置200で用いられるスクリーン600の構成について説明された。以下では、本実施形態で用いられるスクリーン600の設置方法について説明される。図19は、上述したスクリーン600の選択反射層610が形成される面の反対側、つまりスクリーン600の基板606の裏側を示す図である。図19に示されるようにスクリーン600の裏側には、医療行為者の視野内にスクリーン600を設置するために用いられる保持部616が設けられる。
【0067】
保持部616は、例えばドレープ700と共に鉗子等の器具で挟み込まれることによって、ドレープ700に固定される。また図19に示されるように保持部616は、ドレープ700等への固定が容易になるように、屈曲可能な薄い部材を折り曲げることにより立ち上がるような部品、あるいは立ち上がっている部材で構成される。
【0068】
図20は、図19に示されるスクリーン600がドレープ700に固定された様子を示す図である。上述したようにスクリーン600は、保持部616がドレープ700と共に鉗子等の器具で挟み込まれることによって、ドレープ700に固定される。また、図20において矢印で示されるように、描画光はスクリーン600の上部から照射され、描画光によってスクリーン600上に医療行為者が把握すべき情報が描画される。このようにスクリーン600が設置されることによって医療行為者である術者10は、術野から目を離すことなく機器の設定値、血圧値、出血量などの定量的な数値を視認することができる。なおスクリーン600は、術者10の手技の邪魔にならないように、術者10が医療器具を持っている手の反対側に設置されることが好ましい。
【0069】
また保持部616は、図21で示されるようにスクリーン600の側面に設けられてもよい。このときスクリーン600は、図22で示されるようにフレームに固定されてもよい。
【0070】
<2-3.スクリーンの他の構成例について>
以上では、本実施形態で用いられるスクリーン600の設置方法について説明された。以下では、スクリーン600の他の構成例について説明される。本実施形態のスクリーン600は医療行為に用いられるため、清潔であることが求められる。よって、スクリーン600は使い捨てとされることが望ましい。このとき、スクリーン600がプラスティック樹脂によって構成されることにより、保持部616がスクリーン600と一体成型されることが可能であり、スクリーン600は極めて安価に作成される。スクリーン600が安価に作成されることにより、スクリーン600は使い捨てとすることも可能となり、清潔の信頼性を向上させることができる。なおスクリーン600の光学的特徴となる構成は、塗布方式などによって構成されてもよい。
【0071】
またスクリーン600は滅菌処理が可能であることが好ましい。よってスクリーン600の材料は、滅菌処理に耐えることができ、安価に作成でき、膜の形成が可能である材料であることが好ましい。またスクリーン600の材質は、スクリーン600が固定されたときにスクリーン600の平坦性が維持されることが好ましいため、ある程度の硬度が要求される。よってスクリーン600は、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリル樹脂、ポリサルフォンなどの材料によって構成されることが好ましい。また、スクリーン600の材料は高密度ポリエチレンまたはフッ素樹脂であってもよく、このとき表面改質などの処理が行われることによって、選択反射層610などの形成が容易となる。
【0072】
また本実施形態のスクリーン600は、手術などのスクリーン600表面に血液などの液体が付着する環境で使用されることが想定される。よってスクリーン600の表面には撥水加工が施されていることが好ましい。このようにスクリーン600の表面に撥水加工が施されることによって、補助者がガーゼで液体を容易に除去できる。撥水加工の例としては、フッ素樹脂が光学的な影響が現れない数nmの厚さで塗布される方法あるいは、成膜により撥水材料をスクリーン600の表面にコーティングする方法などがある。
【0073】
<<3.ハードウェア構成>>
以下では、図23を参照しながら、本開示の実施形態に係るコントローラ300のハードウェア構成について、詳細に説明する。図23は、本開示の実施形態に係るコントローラ300のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0074】
コントローラ300は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、コントローラ300は、更に、ホストバス907と、ブリッジ909と、外部バス911と、インターフェース913と、入力装置915と、出力装置917と、ストレージ装置919と、ドライブ921と、接続ポート923と、通信装置925とを備える。
【0075】
CPU901は、中心的な処理装置及び制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、又はリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、コントローラ300内の動作全般又はその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
【0076】
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0077】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、コントローラ300の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。ユーザは、この入力装置915を操作することにより、コントローラ300に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0078】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプなどの表示装置や、スピーカ及びヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置917は、例えば、コントローラ300が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、コントローラ300が行った各種処理により得られた結果を、テキスト又はイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0079】
ストレージ装置919は、コントローラ300の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、及び外部から取得した各種データなどを格納する。
【0080】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、コントローラ300に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD-DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、又は、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)又は電子機器等であってもよい。
【0081】
接続ポート923は、機器をコントローラ300に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS-232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、コントローラ300は、外部接続機器929から直接各種データを取得したり、外部接続機器929に各種データを提供したりする。
【0082】
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線又は無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等であってもよい。
【0083】
<<4.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0084】
例えば、図9のS210において情報選択部306が情報提供装置100からの数値情報が所定の閾値に達したことを判定することに代えて、情報選択部306は、情報提供装置100からの数値情報が所定の期間に所定の閾値以上変動したことを検知し、当該変動した情報を描画すべき情報として選択してもよい。このように本実施形態の情報描画装置200が構成されることによって、例えば医療行為者は大量の出血があることを認識することができる。
【0085】
また、図9のS204、S208、S212およびS216において情報選択部306によって選択された情報は、所定の時間だけ表示されてもよい。例えば、S202において情報選択部306が情報提供装置100の電源が投入されたことを検知し、S204において当該電源が投入された情報提供装置100に関する情報を描画する情報として選択した場合、当該選択された情報は、所定の時間(例えば数秒間)だけ表示されてもよい。このように本実施形態の情報描画装置200が構成されることによって、常時表示されることが必要でない情報がスクリーン600に表示され続けることを防ぐことができる。
【0086】
また、図9のS202またはS214において、情報提供装置100の動作状態に変更があったこと、または情報提供装置100の設定値が変更されたことが検知された場合、動作状態または設定値が変更されたことを示す表示が、数値情報およびヘッダ情報と共にスクリーン600上に表示されてもよい。例えば、「変更されました。」というメッセージが、数値情報およびヘッダ情報と共にスクリーン600上に表示されてもよい。
【0087】
また、上述したスクリーン600は複数配置されてもよく、複数配置されたスクリーン600の各々に描画光を照射する照射部が設けられてもよい。このように複数のスクリーン600が配置されることによってより多くの情報が医療行為者に提示される。
【0088】
また、上述したコントローラ300は汎用のプロセッサを用いて実現されてもよい。また、当該プロセッサを図7および図9において説明したように動作させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。また、このようなプログラムが記憶された記憶媒体が提供されてもよい。
【0089】
<<5.むすび>>
以上説明したように、本開示の情報描画システムでは、無影灯800の光の下で視認可能な照度を有する描画光によって、機器の設定値、血圧値、出血量などの定量的な数値をスクリーン600上に描画する。この構成によって医療行為者は、視覚でも定量的な数値を確認することができるので、聞き間違いによる事故を防止することができる。また、術者10と補助者との間の不要な会話が低減され、術者10の負担が軽減される。また、術者10と補助者との間の不要な会話が低減されることにより、手術時間の短縮がもたらされる。
【0090】
また、本開示の情報描画システムでは、描画光の波長を選択的に反射するスクリーン600が用いられる。これによって医療行為者は、描画光によって描画される情報を無影灯800の光の下で容易に視認できる。
【0091】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
医療行為に伴って医療行為者が把握すべき定量的数値に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得する情報取得部と、
取得された前記情報に関する画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データを描画するように、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源の設置位置、または、前記描画光の照射位置を走査する光学系の稼働状態を制御する制御部と、を備える情報処理装置。
(2)
前記光源はレーザ光源である、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記情報取得部は、前記定量的数値に関する情報とあわせて、前記情報の種別を表すヘッダ情報を取得する、前記(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記情報取得部が前記情報提供装置から取得した前記情報のうちから描画する前記情報を選択する情報選択部を備える、前記(1)から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(5)
前記情報選択部は、医療行為者が操作する操作部からの出力に基づいて、描画する前記情報を選択する、前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
医療行為と描画する前記情報とが関連付けられたデータベースを記憶する記憶部を備え、
前記情報選択部は、前記データベースを参照して前記医療行為に応じて、描画する前記情報を選択する、前記(4)に記載の情報処理装置。
(7)
前記情報選択部は、前記情報提供装置の設定値の変更に応じて、表示する前記情報を選択する、前記(4)に記載の情報処理装置。
(8)
前記情報選択部は、前記情報提供装置の動作状態に応じて、表示する前記情報を選択する、前記(4)に記載の情報処理装置。
(9)
前記情報選択部は、前記情報提供装置が計測する数値の変化に基づいて、表示する前記情報を選択する、前記(4)に記載の情報処理装置。
(10)
前記情報選択部は、前記情報提供装置が計測する数値が所定の閾値に到達したことに基づいて、表示する前記情報を選択する、前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記情報取得部は、前記情報提供装置に表示されている情報を撮像する撮像装置からの撮像画像を処理して、前記情報提供装置に関する前記情報を取得する、前記(1)から10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(12)
医療行為または患者の状態に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得することと、
取得された前記情報に関する画像データを生成することと、
前記画像データを描画するように、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源の設置位置または前記描画光の照射位置を走査する光学系の稼働状態を制御することと、を含む情報処理方法。
(13)
プロセッサに、
医療行為または患者の状態に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得することと、
取得された前記情報に関する画像データを生成することと、
前記画像データを描画するように、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源の設置位置または前記描画光の照射位置を走査する光学系の稼働状態を制御することと、を行わせるプログラム。
(14)
所定の材質から成る基板と、
前記基板上に、無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を用いて画像を描画する情報描画装置からの前記描画光の波長について他の光の波長よりも高い反射率を有する選択反射層と、を備えるスクリーン。
(15)
前記選択反射層は、異なる屈折率を有する材質が交互に積層された多層膜から構成される、前記(14)に記載のスクリーン。
(16)
前記選択反射層が形成される面の反対側または前記スクリーンの側面に、医療行為者の視野内に前記スクリーンを設置するための保持部を備える前記(14)または(15)に記載のスクリーン。
(17)
前記保持部は屈曲可能である、前記(16)に記載のスクリーン。
(18)
前記選択反射層上に撥水層を備える、前記(14)から17のいずれか1項に記載のスクリーン。
(19)
無影灯下で視認可能な照度を有する描画光を照射する光源と、
前記描画光の照射位置を走査する光学系と、
医療行為に伴って医療行為者が把握すべき定量的数値に関する情報を提供する情報提供装置から前記情報を取得する情報取得部と、
取得された前記情報に関する画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データを描画するように、前記光源の設置位置または前記光学系の稼働状態を制御する制御部と、を備える情報描画装置と、
所定の材質から成る基板と、
前記基板上に、前記情報描画装置からの前記描画光の波長に対して他の光の波長よりも高い反射率を有する選択反射層と、を備えるスクリーンから構成される、情報描画システム。
【符号の説明】
【0092】
10 術者
12 器具出し補助者
14 外回り補助者
16 麻酔科医
18 患者
100 情報提供装置
120 撮像装置
200 情報描画装置
300 コントローラ
302 操作部
304 情報取得部
306 情報選択部
308 画像データ生成部
310 制御部
312 記憶部
400 光源
402 光照射部
500 光学系
502 スキャンミラー
504 スキャンレンズ
506 結像レンズ
600 スクリーン
602 ヘッダ情報表示領域
604 数値情報表示領域
606 基板
608 光吸収層
610 選択反射層
612 高屈折率膜
614 低屈折率膜
616 保持部
700 ドレープ
800 無影灯
図1
図2
図3
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図5
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【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療行為に伴って医療行為者が把握すべき定量的数値に関する情報と、医療用測定機器、医療用機器、及び、時間計測機器のうちの少なくとも1つの機器の稼働状況に関する情報を取得する情報取得部と、
前記稼働状況に関する情報に基づいて、前記医療行為者の現在の医療行為を推定し、前記定量的数値に関する複数の情報のうちから、推定された前記医療行為に対応するとされた情報を選択する情報選択部と、
選択された前記定量的数値に関する情報に関する画像データを生成する画像データ生成部と、
備える情報処理装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記定量的数値に関する複数の情報とあわせて、前記定量的数値に関する複数の情報の種別をそれぞれ表すヘッダ情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報選択部は、前記医療行為者が操作する操作部からの出力に基づいて、前記定量的数値に関する情報を選択する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記医療行為と前記定量的数値に関する情報とが関連付けられたデータベースを記憶する記憶部をさらに備え、
前記情報選択部は、前記データベースを参照して、前記医療行為に応じて、前記定量的数値に関する情報を選択する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報選択部は、前記医療用測定機器、前記医療用機器、及び、前記時間計測機器のうちの少なくとも1つの機器の設定値の変更を検知した場合、変更が検知された前記設定値に応じて、前記定量的数値に関する情報を選択する、請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報選択部は、前記医療用測定機器、前記医療用機器、及び、前記時間計測機器のうちの少なくとも1つの機器の動作状態の変更を検知した場合、変更が検知された前記機器に応じて、前記定量的数値に関する情報を選択する、請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報選択部は、前記医療用測定機器が計測する数値が所定の閾値に到達したことを検知した場合、前記所定の閾値に到達した前記数値に応じて、前記定量的数値に関する情報を選択する、請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報取得部は、前記医療用測定機器、前記医療用機器、及び、前記時間計測機器のうちの少なくとも1つの機器に表示されている情報を撮像する撮像装置からの撮像画像を処理して、前記定量的数値に関する情報を取得する、請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記医療行為は、切開、動脈遮断、もしくは閉腹を含み、
前記定量的数値に関する情報は、出血量、電気メスの設定値、動脈遮断からの経過時間、もしくは、ガーゼの枚数を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
情報処理装置が、
医療行為に伴って医療行為者が把握すべき定量的数値に関する情報と、医療用測定機器、医療用機器、及び、時間計測機器のうちの少なくとも1つの機器の稼働状況に関する情報を取得することと、
前記稼働状況に関する情報に基づいて、前記医療行為者の現在の医療行為を推定し、前記定量的数値に関する複数の情報のうちから、推定された前記医療行為に対応するとされた情報を選択することと、
選択された前記定量的数値に関する情報に関する画像データを生成することと、
含む情報処理方法。
【請求項11】
プロセッサに、
医療行為に伴って医療行為者が把握すべき定量的数値に関する情報と、医療用測定機器、医療用機器、及び、時間計測機器のうちの少なくとも1つの機器の稼働状況に関する情報を取得することと、
前記稼働状況に関する情報に基づいて、前記医療行為者の現在の医療行為を推定し、前記定量的数値に関する複数の情報のうちから、推定された前記医療行為に対応するとされた情報を選択することと、
選択された前記定量的数値に関する情報に関する画像データを生成することと、行わせるプログラム。