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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093589
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】ドア装置用パネル及びドア装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
B61B1/02
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075246
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2017186714の分割
【原出願日】2017-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】新山 智章
(57)【要約】
【課題】乗降客や荷物の衝突による情報表示媒体の損傷や盗難を回避することのできるホームドア装置用パネル及びホームドア装置を提供する。
【解決手段】ホームドア装置用パネルは、透過部を有する第1板材21と、第1板材21と対向して配置される第2板材22と、第1板材21と第2板材22との間に設けられる中間板23とを備える。第1板材21と第2板材22と中間板23との間に情報表示媒体30を収容する収納空間24を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過部を有する第1板状材と、
前記第1板状材と対向して配置される第2板状材と、
前記第1板状材と前記第2板状材との間に設けられる空間形成部と、を備え、
前記第1板状材と前記第2板状材と前記空間形成部との間に情報表示媒体を収容する収納空間を有する
ホームドア装置用パネル。
【請求項2】
前記第2板状材に固定される前記情報表示媒体を備える
請求項1に記載のホームドア装置用パネル。
【請求項3】
前記第2板状材に前記空間形成部を一体に設ける
請求項1又は2に記載のホームドア装置用パネル。
【請求項4】
前記空間形成部は、前記第1板状材の前記第2板状材と対向する面に接着される
請求項1又は2に記載のホームドア装置用パネル。
【請求項5】
前記空間形成部は、締結部材によって前記第2板状材に締結される
請求項1~4のいずれか一項に記載のホームドア装置用パネル。
【請求項6】
前記第1板状材又は前記第1板状材に固定された前記空間形成部は、前記情報表示媒体が固定された前記第2板状材に対し、締結部材を介して締結されている
請求項1に記載のホームドア装置用パネル。
【請求項7】
前記第2板状材は、プラットホームに設置されるホームドア装置に取り付ける取付部材を備える
請求項1~6のいずれか一項に記載のホームドア装置用パネル。
【請求項8】
前記取付部材は、前記ホームドア装置の戸袋部に対して揺動可能に取り付けられ、前記戸袋部のメンテナンス用開口を開閉する
請求項7に記載のホームドア装置用パネル。
【請求項9】
プラットホームに設置されるホームドア装置であって、
移動可能に設けられるドアと、
前記ドアを駆動する駆動装置と、
前記駆動装置を収納した戸袋部と、
請求項1~8のいずれか一項に記載のホームドア装置用パネルと、を備え、
前記ホームドア装置用パネルは、前記戸袋部のメンテナンス用開口を開閉する
ホームドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームドア装置用パネル及びホームドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラットホームに設置されて、プラットホームと線路等の軌道とを区画するホームドア装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。ホームドア装置は、プラットホームに固定された戸袋部にドアが往復移動可能に支持されている。戸袋部内には、ドアを開閉駆動するための駆動部や制御部が収納されている。
【0003】
特許文献1に記載のホームドア装置では、戸袋部のホーム側の側面に情報を表示する表示装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-116391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載のホームドア装置では、戸袋部に取り付けられた表示装置は外部に露出している。こうしたホームドア装置は、乗降客や荷物の衝突による表示装置の損傷や、乗降客の表示装置等の情報表示媒体に対する盗難を回避することはできない。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗降客や荷物の衝突による情報表示媒体の損傷や盗難を回避することのできるホームドア装置用パネル及びホームドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するホームドア装置用パネルは、透過部を有する第1板状材と、前記第1板状材と対向して配置される第2板状材と、前記第1板状材と前記第2板状材との間に設けられる空間形成部と、を備え、前記第1板状材と前記第2板状材と前記空間形成部との間に情報表示媒体を収容する収納空間を有する。
【0008】
上記構成によれば、ホームドア装置の外壁面となるホームドア装置用パネルの内部に外部から視認可能な収納空間を確保することができる。この収納空間は、内部に配置した表示装置等の情報表示媒体を視認可能にするとともに、乗降客や荷物の衝突による情報表示媒体の損傷や盗難を回避することができる。
【0009】
上記ホームドア装置用パネルについて、前記第2板状材に固定される前記情報表示媒体を備えることが好ましい。
上記構成によれば、第1板状材が乗降客や荷物の衝突により破損した際に、第1板状材を第2板状材から外して交換すればよく、情報表示媒体を第2板状材から外さなくてもよい。
【0010】
上記ホームドア装置用パネルについて、前記第2板状材に前記空間形成部を一体に設けることが好ましい。
上記構成によれば、空間形成部を別部材で構成した場合に比べて、構成部材の数を減らすことができる。
【0011】
上記ホームドア装置用パネルについて、前記空間形成部は、前記第1板状材の前記第2板状材と対向する面に接着されることが好ましい。
上記構成によれば、ホームドア装置の外壁面となる第1板状材の表面に影響を与えることなく、空間形成部と第1板状材とを固定することができる。
【0012】
上記ホームドア装置用パネルについて、前記空間形成部は、締結部材によって前記第2板状材に締結されることが好ましい。
上記構成によれば、空間形成部が接着された第1板状材と第2板状材とを固定するとともに、締結部材を外して第1板状材と第2板状材とを分離することができる。空間形成部が接着された第1板状材を交換する際には、締結部材を外すことで、第1板状材を空間形成部とともに交換することができる。
【0013】
上記ホームドア装置用パネルについて、前記第1板状材又は前記第1板状材に固定された前記空間形成部は、前記情報表示媒体が固定された前記第2板状材に対し、締結部材を介して締結されていることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、第1板状材が乗降客や荷物の衝突により破損した際に、締結部材を外すことにより第1板状材を第2板状材から情報表示媒体を取り外すことなく分離することができ、第1板状材を交換することができる。
【0015】
上記ホームドア装置用パネルについて、前記第2板状材は、プラットホームに設置されるホームドア装置に取り付ける取付部材を備えることが好ましい。
上記構成によれば、取付部材によって第2板状材をホームドア装置に取り付けることができる。第2板状材をホームドア装置に取り付けた状態で、第1板状材を第2板状材から取り外して交換できる。同じ状態で、収納空間内の情報表示媒体を交換することができる。
【0016】
上記ホームドア装置用パネルについて、前記取付部材は、前記ホームドア装置の戸袋部に対して揺動可能に取り付けられ、前記戸袋部のメンテナンス用開口を開閉することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、ホームドア装置用パネルを戸袋部のメンテナンス用開口に対して揺動して開閉することができる。
上記課題を解決するホームドア装置は、プラットホームに設置されるホームドア装置であって、移動可能に設けられるドアと、前記ドアを駆動する駆動装置と、前記駆動装置を収納した戸袋部と、上記のホームドア装置用パネルと、を備え、前記ホームドア装置用パネルは、前記戸袋部のメンテナンス用開口を開閉する。
【0018】
上記構成によれば、ホームドア装置の外壁面となるホームドア装置用パネルの内部に外部から視認可能な収納空間を確保することができる。この収納空間は、内部に配置した表示装置等の情報表示媒体を視認可能にするとともに、乗降客や荷物の衝突による情報表示媒体の損傷や盗難を回避することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、乗降客や荷物の衝突による情報表示媒体の損傷や盗難を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ホームドア装置の一実施形態の構成を示す斜視図。
図2】同実施形態のホームドア装置の構成を示す正面図。
図3】同実施形態のホームドア装置用パネルを開いた状態を示す斜視図。
図4】同実施形態のホームドア装置の構成を示す右側面図。
図5】同実施形態のホームドア装置用パネルの構成を示す横断面図。
図6】同実施形態のホームドア装置用パネルの構成を示す分解斜視図。
図7】同実施形態のホームドア装置用パネルの組み立てを示す断面模式図。
図8】同実施形態のホームドア装置用パネルの組み立てを示す模式図。
図9】同実施形態のホームドア装置用パネルの組み立てを示す分解斜視図。
図10】ホームドア装置用パネルの変形例の構成を示す断面模式図。
図11】ホームドア装置用パネルの変形例の構成を示す断面模式図。
図12】ホームドア装置用パネルの変形例の構成を示す断面模式図。
図13】(a)~(d)は、ホームドア装置用パネルの第2板材に対する空間形成部の配置の変形例を示す模式図。
図14】(a)(b)は、ホームドア装置用パネルの第2板材の変形例を示す模式図。
図15】ホームドア装置用パネルの変形例を示す模式図。
図16】ホームドア装置用パネルの変形例を示す模式図。
図17】(a)(b)は、ホームドア装置用パネルの第2板材の変形例を示す模式図。
図18】ホームドア装置用パネルの変形例の組み立てを示す分解斜視図。
図19】ホームドア装置の変形例を示す右側面図。
図20】ホームドア装置の変形例を示す正面図。
図21】ホームドア装置の変形例を示す正面図。
図22】ホームドア装置の変形例を示す平面図。
図23】ホームドア装置の変形例を示す平面図。
図24】ホームドア装置の変形例を示す正面図。
図25】ホームドア装置の変形例を示す平面図。
図26】ホームドア装置用パネルの変形例を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1図8を参照して、ホームドア装置用パネルを備えるホームドア装置の一実施形態について説明する。このホームドア装置は、鉄道等のプラットホームに設置される。
【0022】
<ホームドア装置10>
図1図4に示すように、ホームドア装置10は、略矩形状のケース12を有する戸袋部11を備えている。戸袋部11は、プラットホーム1に固定されている。戸袋部11は、戸袋部11から図中左側へ進出する第1ドア15を移動可能に支持しているとともに、第1ドア15を駆動する第1駆動装置が収納されている。また、戸袋部11は、戸袋部11から図中右側へ進出する第2ドア16を移動可能に支持しているとともに、第2ドア16を駆動する第2駆動装置が収納されている。第1ドア15及び第2ドア16は、一枚の引戸となっており、戸袋部11内において前後に引違い構造となっている。
【0023】
ホームドア装置10は、プラットホーム1の軌道2側の縁部に沿って設置される。ホームドア装置10は、プラットホーム1を軌道2側とプラットホーム1側とに区画する。なお、図示しないが、ホームドア装置10は、間隔をおいて複数設置され、隣同士のホームドア装置10の第1ドア15と第2ドア16とによって乗降通路が開閉される。
【0024】
<ホームドア装置用パネル20>
図3に示すように、ホームドア装置10は、戸袋部11のプラットホーム1側の壁面にホームドア装置用パネル20を備えている。戸袋部11のケース12のプラットホーム1側の面には、戸袋部11内の駆動機器を保守整備するためのメンテナンス用開口13が全面に亘って設けられている。ホームドア装置用パネル20は、戸袋部11に対して揺動可能に取り付けられ、戸袋部11のメンテナンス用開口13を開閉する。なお、メンテナンス用開口13は、戸袋部11のケース12の全面でなく、一部であってもよい。また、メンテナンス用開口13を複数のホームドア装置用パネル20により開閉してもよい。
【0025】
図5及び図6に示すように、ホームドア装置用パネル20は、透過部21Aを有する第1板材21と、第1板材21と対向して配置される第2板材22と、第1板材21と第2板材22との間に設けられる中間板23とを備えている。
【0026】
第1板材21は、ケース12のメンテナンス用開口13の大きさとほぼ同じ大きさの板状材である。第1板材21が第1板状材に相当する。第1板材21は、第1板材21を介してホームドア装置用パネル20の内部を外部から視認可能な例えばガラス製のガラス板や透明樹脂製の樹脂板等である。第1板材21の一部が透過部21Aとなっている。透過部21Aは、透明であり、外部から内部を視認することができる部分である。透過部21Aは、第1板材21の上方寄りに位置している。第1板材21の透過部21A以外の部分は、内側又は外側の面に塗装が施されている。なお、第1板材21の全部が透過部21Aであってもよい。第1板材21は、透過部21Aをガラスや透明樹脂で形成し、透過部21A以外の部分を不透明な他の部材で形成することもできる。透過部21Aの大きさや位置は、ホームドア装置用パネル20の内部に設置されて透過部21Aを介して視認可能とされる情報表示媒体30の大きさや位置に合わせて設計することができる。ここで、透明とは、無色透明、有色透明、半透明を含む。また、第1板材21は、偏光させることができる部材であってもよく、外部から内部を視認することができる方向や範囲を指定してもよい。また、第1板材21は、透明と不透明とを切り替えることができる調光ガラスや調光フィルムを用いてもよい。第1板材21の表面は、平面だけに限らず曲面でもよい。
【0027】
第2板材22もケース12のメンテナンス用開口13の大きさとほぼ同じ大きさの板状材である。第2板材22が第2板状材に相当する。第2板材22の縁部22Aは、第1板材21側へ折り曲げられている。第2板材22は、鋼板やアルミニウム板等の金属板である。縁部22Aの折り曲げによって、第2板材22は、変形を抑えながら厚みを薄くでき、軽量化を図ることができる。第2板材22は、第1板材21及び中間板23とともに収納空間24を形成する。第2板材22の表面は、平面だけに限らず曲面でもよい。
【0028】
中間板23は、第1板材21の各辺に対応して設けられ、4本の棒状の板材である。中間板23と第1板材21とは、接着材25によって接着されている。この接着は、第1板材21と中間板23との位置ずれに起因するホームドア装置用パネル20の変形を抑えることができる。中間板23は、ねじ28によって第2板材22に締結されている。ねじ28は、第2板材22の外側から中間板23に螺着している。中間板23は、空間形成部に相当する。ねじ28は、締結部材に相当する。なお、中間板23は、第1板材21の各辺に対応する部分がそれぞれ接続された枠状の板材でもよい。
【0029】
中間板23は、まず、接着材25によって第1板材21に接着された後、ねじ28によって第2板材22に固定されることで、第1板材21が第2板材22に固定される。
ホームドア装置用パネル20は、第1板材21と第2板材22と中間板23との間に情報表示媒体30を収容する収納空間24を有する。ホームドア装置用パネル20は、情報表示媒体30を備える。情報表示媒体30は、表示装置31である。表示装置31は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどを用いることができる。この表示装置31に表示される情報は、ドア15,16の状態に応じて切り替わる情報であってもよく、ドア15,16の開閉状態によらず切り替わる情報であってもよい。この情報は、鉄道運行に関する文字、画像や映像、広告や注意喚起のための文字、画像や映像である。表示装置31は、プラットホーム1側に向いている場合、プラットホーム1の乗降客に向けた情報を表示する。表示装置31は、軌道2側に向いている場合、軌道2上の車両内の乗降客に向けた情報を表示する。
【0030】
表示装置31は、ねじ28によって第2板材22に固定されている。ねじ28は、収納空間24側から第2板材22に螺着している。すなわち、表示装置31は、第2板材22に固定された上で、ホームドア装置用パネル20が組み立てられる。なお、ねじ28を第2板材22から挿入して表示装置31に螺着してもよい。
【0031】
ホームドア装置用パネル20は、収納空間24を囲むようにシール材26が設置されている。シール材26は弾性を有する樹脂等である。シール材26は、第1板材21と第2板材22とに密着することで収納空間24を密閉している。よって、収納空間24の内部に水等の液体が外部から浸入することを抑制することができる。
【0032】
ホームドア装置用パネル20は、第1板材21の側面21Bと第2板材22の縁部22Aとを覆う化粧カバー27を備えている。化粧カバー27は、断面コ字状の棒状部材であって、第2板材22の辺毎に設けられている。図5において、ホームドア装置用パネル20の左端部の化粧カバー27は、第2板材22の縁部22Aに底面が当接し、ねじ28とナット29とによって第2板材22と締結されている。ねじ28は、化粧カバー27の外側から化粧カバー27と第2板材22とに挿入され、ナット29に螺着している。ホームドア装置用パネル20の右端部では、第2板材22の縁部22Aは、第1板材21側に折り曲げられた上で、断面コ字状に折り曲げられている。そして、ホームドア装置用パネル20の右端部の化粧カバー27Aは、第2板材22の縁部22Aに沿って断面L字状に形成され、ねじ28とナット29とによって第2板材22と締結されている。なお、化粧カバー27は、不透明の金属材料から形成し、中間板23、接着材25、及びシール材26を覆うように設けることで、第1板材21の全てが透過部であっても、これら中間板23、接着材25、及びシール材26を外部から見えなくすることができる。
【0033】
図3及び図5に示すように、第2板材22は、ホームドア装置10の戸袋部11に取り付ける取付部材40を備えている。取付部材40は、ホームドア装置10の戸袋部11に対して揺動可能に取り付けられる。取付部材40は、第2板材22の右端の上下それぞれに設けられた回転軸41である。各回転軸41は、鉛直方向に延出する。戸袋部11は、これら回転軸41を回転可能に支持する穴部を備える。ホームドア装置用パネル20は、回転軸41を中心にプラットホーム1側へ揺動することでメンテナンス用開口13を開閉する。なお、第2板材22と戸袋部11とを蝶番を介して連結することもできる。この場合、その蝶番のうち第2板材22側に固定された部位が取付部材40に相当する。また、取付部材40は、第2板材22の他、ホームドア装置用パネル20を構成する部材のいずれかに設けてもよい。
【0034】
ホームドア装置用パネル20のプラットホーム1側の表面20Aと反対側の背面20Bには、表示装置31を制御する表示制御部を収容した筐体35が固定されている。表示制御部は、表示装置31に情報を表示させる。表示制御部は、表示装置31に表示される文字、画像や映像のデータを保存又は外部から受信し、当該データを用いて表示装置31に表示させるための機能を備えている。筐体35は、鉛直方向が長手方向である直方体である。筐体35は、第2板材22に取り付けられ、第2板材22の鉛直方向に延びる二つの端部のうち、取付部材40側の端部寄りに設けられている。言い換えると、鉛直方向に延びるホームドア装置用パネル20の2つの端部のうち、ホームドア装置用パネル20を開いた状態において、メンテナンス用開口13に近い側の端部を基端部34Aとし、メンテナンス用開口13から遠い側の端部を先端部34Bとするとき、筐体35は、ホームドア装置用パネル20の基端部34A寄りに設けられている。
【0035】
<組み立て>
次に、図7図9を参照して、ホームドア装置用パネル20の組み立てについて説明する。なお、図7及び図8は、ホームドア装置用パネル20の構成を模式的に示した図である。
【0036】
まず、図7に示すように、第1板材21に対して中間板23を接着材25によって接着する。これにより、中間板23及び接着材25の高さ分が第1板材21と第2板材22との隙間となる。なお、表示装置31の厚みは、この隙間よりも短く設定されている。なお、表示装置31の厚みと隙間とを同じにしてもよい。
【0037】
次に、第1板材21に対して中間板23の内側の位置に、シール材26を設置する。シール材26の高さは、第1板材21と第2板材22とに密着する必要があるため、中間板23及び接着材25の高さよりも若干長く設定されている。
【0038】
次に、第2板材22に対して表示装置31をねじ28によって締結する。ねじ28は、収納空間24側から第2板材22に螺着する。
続いて、中間板23が固定されるとともにシール材26が設置された第1板材21に対して、表示装置31が固定された第2板材22を組み付け(図8参照)、ねじ28を第2板材22の外側から中間板23に螺着する。これにより第1板材21と第2板材22とが固定される。このとき、第2板材22は、中間板23に接触する。シール材26は、第1板材21と第2板材22とによって押し潰されて、第1板材21と第2板材22とに密着する。そして、第1板材21と第2板材22と中間板23との間に収納空間24が形成される。第2板材22の縁部22Aは、第1板材21の側面21Bまで覆う。
【0039】
次に、組み付けられた第1板材21及び第2板材22の4辺に対して、化粧カバー27を取り付ける。化粧カバー27を取り付けることで、第1板材21と第2板材22との間を覆うことで粉塵や水の浸入を抑えるとともに、第1板材21と第2板材22とがさらに固定される。さらに、ねじ28を化粧カバー27の外側から化粧カバー27と第2板材22とに挿入して、ナット29を螺着することで、化粧カバー27と第2板材22とが固定される。
【0040】
次に、図9に示すように、ホームドア装置用パネル20の背面20Bに対して、表示制御部35Aが収容された筐体35を取り付ける。ホームドア装置用パネル20の第2板材22には、貫通孔22Hが設けられている。貫通孔22Hは、第2板材22において筐体35が取り付けられる位置に設けられている。貫通孔22Hには、表示制御部35Aと表示装置31とを電気的に接続する信号線が通される。また、表示制御部35Aは、表示する情報等を指示する外部の中央制御部等と無線又は有線で接続されている。
【0041】
<作用>
次に、上記のように構成されたホームドア装置用パネル20の作用について説明する。
図5に示すように、情報表示媒体30は、ホームドア装置用パネル20に形成された収納空間24に収容されている。そして、情報表示媒体30は、第1板材21の透過部21Aを介して外部から視認可能である。このため、ホームドア装置用パネル20は、車両の乗降客による情報表示媒体30の視認を可能にするとともに、車両の乗降客や荷物がホームドア装置用パネル20に衝突したとしても、第1板材21に衝突することになり、情報表示媒体30が損傷することを回避することができる。また、情報表示媒体30は、ホームドア装置用パネル20の収納空間24に収納されているため、容易に取り外すことができず、情報表示媒体30の盗難を回避することができる。
【0042】
また、第1板材21に対する乗降客や荷物等の衝突によって、第1板材21が損傷した場合には、中間板23に螺着しているねじ28を外して、第1板材21と中間板23とを新しいものに交換するだけで、情報表示媒体30を外すことなく、ホームドア装置用パネル20を修理することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)ホームドア装置10の外壁面となるホームドア装置用パネル20の内部に外部から視認可能な収納空間24を確保することができる。この収納空間24は、内部に配置した情報表示媒体30を視認可能にするとともに、乗降客や荷物の衝突による情報表示媒体30の損傷や盗難を回避することができる。
【0044】
(2)第1板材21が破損した際に第1板材21と中間板23とを外して交換すればよく、情報表示媒体30を外さなくてもよい。
(3)第1板材21の第2板材22と対向する面に中間板23が接着されるため、ホームドア装置10の外壁面となる第1板材21の表面に影響を与えることなく、中間板23と第1板材21とを固定することができる。
【0045】
(4)ねじ28により中間板23が接着された第1板材21と第2板材22とを固定するとともに、ねじ28を外して第1板材21と第2板材22とを分離することができる。また、中間板23が接着された第1板材21を交換する際には、中間板23に螺着したねじ28を外すことで、第1板材21を中間板23とともに交換することができる。
【0046】
(5)第1板材21が乗降客や荷物の衝突により破損した際に、ねじ28を外すことにより第1板材21を第2板材22から情報表示媒体30を取り外すことなく分離することができ、第1板材21を交換することができる。
【0047】
(6)取付部材40によって第2板材22をホームドア装置10に取り付けることができる。第2板材22をホームドア装置10に取り付けた状態で、第1板材21を第2板材22から取り外して交換することができる。同じ状態で収納空間24の情報表示媒体30を交換することができる。
【0048】
(7)ホームドア装置用パネル20を戸袋部11のメンテナンス用開口13に対して揺動して開閉することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
【0049】
・上記実施形態では、中間板23を接着材25によって第1板材21に接着するとともに、第1板材21と第2板材22との間にシール材26を設置した。しかしながら、図10に示すように、中間板23に代えて、収納空間24を形成する厚みを有し、弾性を有する中間部材50を採用すれば、接着材25及びシール材26を省略することができる。この場合、化粧カバー27により第1板材21と第2板材22とを固定する。化粧カバー27を外せば、第1板材21と第2板材22とを分離できる。第1板材21が乗降客等の衝突により破損した際には、化粧カバー27を外した後、第1板材21を第2板材22から外して交換すればよい。中間部材50は、上記実施形態の中間板23のように第1板材21に接着されていないため、第1板材21の交換に合わせて交換する必要がない。
【0050】
・上記実施形態では、第1板材21及び第1板材21に固定された中間板23を第2板材22に対しねじ28を介して締結したが、第1板材21と中間板23のいずれか一方を第2板材22に対しねじ28を介して締結してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、締結部材としてねじ28を採用したが、ねじに限らず、締結部材としてフックやリベット、クランプ等を採用してもよい。また、締結部材としてゴムバンド等の弾性変形して固定することができる部材を採用してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、第2板材22と空間形成部としての中間板23とを別体としたが、第2板材22に空間形成部を一体に設けてもよい。例えば、図11に示すように、第2板材22の第1板材21側に突出して厚みを持った空間形成部22Bを設けることで、第2板材22の一部が空間形成部として機能する。また、図12に示すように、第2板材22に第1板材21側に突出した突条の空間形成部22Cを設けることで、第2板材22の一部が空間形成部として機能する。
【0053】
・上記実施形態では、空間形成部として機能する中間板23を第1板材21の各辺に対応して4個設けたが、第1板材21と第2板材22との間に空間を形成することができれば、空間形成部を他の態様で設けてもよい。例えば、図13(a)に示すように、第2板材22の鉛直方向に延出する辺のみに対応した空間形成部23Aを設けてもよい。また、図13(b)に示すように、第2板材22の水平方向に延出する辺のみに対応した空間形成部23Bを設けてもよい。また、図13(c)に示すように、第2板材22の各角及び各辺の中央に対応した空間形成部23Cを設けてもよい。また、図13(d)に示すように、第2板材22の水平方向に延出する辺のみに対応した空間形成部23Bと、第2板材22の鉛直方向に延出する各辺の中央に対応した空間形成部23Dとを設けてもよい。なお、空間形成部23A,23B,23C,23Dは、第2板材22に対応させても第1板材21に対応させてもどちらでもよい。
【0054】
・上記構成において、第2板材22に孔を設けて、軽量化してもよい。例えば、図14(a)に示すように、第2板材22の中央付近に四角形の孔22Dを形成してもよい。また、図14(b)に示すように、第2板材22の中央付近に円形の孔22Eを形成してもよい。
【0055】
・上記構成において、第2板材22の一部を省略して、軽量化してもよい。例えば、図15に示すように、第2板材51は、鉛直方向の中央部分を省略している。中間形成部23Eも第2板材51の長さに合わせて同様に省略されている。一部が省略された第2板材51は、第1板材21に組み付けられることによって形状が規定される。
【0056】
・上記実施形態では、第2板材22の縁部22Aを折り曲げたが、図16に示すように、第2板材22の折り曲げられた縁部22Aを省略してもよい。
・上記実施形態では、第2板材22の4辺の縁部22Aを折り曲げたが、図17(a)に示すように、第2板材22の水平方向に延出する辺の縁部22Aのみ折り曲げてもよい。また、図17(b)に示すように、第2板材22の垂直方向に延出する辺の縁部22Aのみ折り曲げてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、ホームドア装置用パネル20の背面20Bを構成する第2板材22に筐体35を取り付けたが、筐体35をホームドア装置用パネル20に嵌め込んでもよい。例えば、図18に示すように、第2板材22に筐体35が貫通する大きさの収容孔22Kを形成し、筐体35に収容される表示制御部35Aを表示装置31に直接取り付ける。この場合、第2板材22と筐体35との間はシール材によって密閉することが望ましい。また、表示制御部35Aを筐体35に固定して、筐体35を表示装置31又は第2板材22に固定してもよい。
【0058】
・上記実施形態では、ホームドア装置用パネル20が回転軸41を中心に回転してメンテナンス用開口13を開閉するようにしたが、他の位置に回転軸を設けてホームドア装置用パネル20を回転させてメンテナンス用開口13を開閉するようにしてもよい。例えば、図19に示すように、ドア15,16の移動方向に延出する回転軸42を、ホームドア装置用パネル20の上端部に備えている。この回転軸42は、戸袋部11の上端部に固定されている。よって、ホームドア装置用パネル20は、回転軸42を中心に戸袋部11に対して回転する。また、ホームドア装置用パネル20は、ホームドア装置用パネル20と戸袋部11とに接続されるダンパー43を備えている。ダンパー43は、ホームドア装置用パネル20を戸袋部11のメンテナンス用開口13から開いた状態に維持することができる。
【0059】
・また、図20に示す例では、ホームドア装置用パネル20は戸袋部11に対して鉛直方向に移動可能な図示しないスライド機構を備える。ホームドア装置用パネル20は、戸袋部11のメンテナンス用開口13を覆う位置と覆わない位置との間で移動して、メンテナンス用開口13を開閉する。
【0060】
・また、図21に示す例では、ホームドア装置用パネル20は戸袋部11の左上の角に回転軸44が設けられている。回転軸44は、戸袋部11の正面に対して垂直に設けられている。よって、ホームドア装置用パネル20は、戸袋部11のメンテナンス用開口13上を回転することでメンテナンス用開口13を開閉する。
【0061】
・また、図22に示す例では、ホームドア装置用パネル20は2分割されて、左側のパネルの左端の上下それぞれに回転軸45Aが設けられ、右側のパネルの右端の上下それぞれに回転軸45Bが設けられている。右側のパネルは回転軸45Aを中心に回転し左側のパネルは回転軸45Bを中心に回転して、メンテナンス用開口13を開閉する。
【0062】
・また、図23に示す例では、ホームドア装置用パネル20が折り畳み機構46を備え、この折り畳まれたそれぞれのパネルに表示装置を設けてもよい。ホームドア装置用パネル20を折り畳むことでメンテナンス用開口13を開閉する。
【0063】
・また、ホームドア装置用パネル20は、メンテナンス用開口13を開くときには、ケース12から取り外すようにしてもよい。
・上記実施形態では、戸袋部11のメンテナンス用開口13を開閉する蓋としてホームドア装置用パネル20を採用した。しかしながら、他のホームドア装置にホームドア装置用パネル20を採用してもよい。例えば、図24に示すように、ドア15,16を駆動する駆動装置が収納された一対のガイドボックス18,19を備えるホームドア装置10において、一対のガイドボックス18,19の間に設けられるパネルとしてホームドア装置用パネル20を採用してもよい。また、ガイドボックス18,19の表面にもホームドア装置用パネル20を採用してもよい。
【0064】
・また、図25に示すように、ホームドア装置用パネル20を非常時に開口可能とする非常扉60としてもよい。非常扉60は、一方のガイドボックス19に対して回動可能に取り付けられる。
【0065】
・上記実施形態では、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等の表示装置31を収納空間24に収容した。しかしながら、図26に示すように、表示装置31に代えて紙のポスター等の紙媒体32を収納空間24に収容してもよい。
【0066】
・上記実施形態では、ホームドア装置用パネル20をホームドア装置10のプラットホーム1側に設けたが、ホームドア装置用パネル20をホームドア装置10の軌道2側に設けてもよい。なお、ホームドア装置用パネル20は、ホームドア装置10のプラットホーム1側と軌道2側との両方に設けてもよいし、ホームドア装置10の軌道2側のみに設けてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、各ドアを一枚の引き違い引戸のホームドア装置10としたが、各ドアを二重引き違い引戸や三重以上の引き違い引戸のホームドア装置としてもよい。
・上記実施形態では、各ドアを異なるレール上を移動する引き違い引戸のホームドア装置10としたが、各ドアを同じレール上を移動する引戸のホームドア装置としてもよい。
【0068】
・上記実施形態では、ドアを2個備えたホームドア装置10としたが、ドアを1個のみ備えたホームドア装置としてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…プラットホーム、2…軌道、10…ホームドア装置、11…戸袋部、12…ケース、13…メンテナンス用開口、15…第1ドア、16…第2ドア、20…ホームドア装置用パネル、20A…表面、20B…背面、21…第1板材、21A…透過部、21B…側面、22…第2板材、22A…縁部、22B…空間形成部、22C…空間形成部、22D…孔、22E…孔、22H…貫通孔、22K…収容孔、23…空間形成部としての中間板、23A…空間形成部、23B…空間形成部、23C…空間形成部、23D…空間形成部、23E…空間形成部、24…収納空間、25…接着材、26…シール材、27,27A…化粧カバー、28…ねじ、29…ナット、30…情報表示媒体、31…表示装置、32…紙媒体、35…筐体、35A…表示制御部、40…取付部材、41…回転軸、50…中間部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2022-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過部を有する第1板状材と、
前記第1板状材と対向して配置される第2板状材と、
前記第1板状材と前記第2板状材との間に設けられる空間形成部と、を備え、
前記第1板状材と前記第2板状材と前記空間形成部との間に表示装置を収容する収納空間を有し、
前記表示装置は、前記第2板状材に固定され、
前記空間形成部は、前記第1板状材及び前記第2板状材と別体であり、前記第1板状材に接着される
ア装置用パネル。
【請求項2】
前記第1板状材又は前記空間形成部は、締結部材によって前記第2板状材に締結される
請求項1に記載のドア装置用パネル。
【請求項3】
前記第2板状材は、ドア装置に取り付ける取付部材を備える
請求項1又は2に記載のドア装置用パネル。
【請求項4】
前記取付部材は、前記ドア装置の戸袋部に対して揺動可能に取り付けられ、前記戸袋部のメンテナンス用開口を開閉する
請求項に記載のドア装置用パネル。
【請求項5】
移動可能に設けられるドアと、
前記ドアを駆動する駆動装置と、
前記駆動装置を収納した戸袋部と、
請求項1~のいずれか一項に記載のドア装置用パネルと、を備え、
記ドア装置用パネルは、前記戸袋部のメンテナンス用開口を開閉する
ア装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、ドア装置用パネル及びドア装置に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗降客や荷物の衝突による情報表示媒体の損傷や盗難を回避することのできるドア装置用パネル及びドア装置を提供することにある。