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特開2022-93690関節運動するエンドエフェクタを含む外科用装填ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093690
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】関節運動するエンドエフェクタを含む外科用装填ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076476
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2018086074の分割
【原出願日】2018-04-27
(31)【優先権主張番号】62/500,259
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/945,404
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ビアーズリー
(57)【要約】
【課題】外科用装填ユニットのエンドエフェクタを関節運動させるための関節運動組立体を有する外科用装填ユニットを提供すること。
【解決手段】外科用装填ユニットは、細長い本体と、細長い本体に枢動可能に連結されたエンドエフェクタと、細長い本体の遠位部分及びエンドエフェクタの近位部分を通って延在している可撓性ナイフバーと、を含む。第1の方向での細長い本体に対するエンドエフェクタの関節運動が、ナイフバーの第1の区画を第1の方向に移動させ、ナイフバーの第2の区画を第1の方向に対向する第2の方向に移動させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年5月2日に出願された、米国仮特許出願第62/500,259号の利益及びこれに対する優先権を主張し、その全体的な開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、内視鏡外科用装填ユニットに関し、より具体的には、外科用装填ユニットのエンドエフェクタを関節運動させるための関節運動組立体を有する外科用装填ユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
関連技術の背景
組織を内視鏡的に治療するのに使用される種々の種類の外科用機器が、当該技術分野で知られており、例えば、切断、切除、吻合において組織または器官を閉鎖し、胸部及び腹部の手技において器官を閉塞し、かつ組織を電子外科的に融合または封止するために一般的に使用されている。
【0004】
外科用機器の一例は、外科用ステープル留め機器である。典型的に、外科用ステープル留め機器は、外科用ステープルのアレイを支持するためのアンビル組立体及びカートリッジ組立体を有するエンドエフェクタと、カートリッジ組立体及びアンビル組立体に接近するための接近機構と、カートリッジ組立体から外科用ステープルを排出するための排出機構と、を含む。
【0005】
腹腔鏡または内視鏡外科手技中に、小切開を通して、または患者の小さい入口創傷を通して挿入された狭幅カニューレを通して、外科部位へのアクセスを達成する。外科部位にアクセスするのに利用可能な領域は限定的であるため、多くの内視鏡機器は、治療される組織へのアクセスを改善するために、機器の本体部分に対して機器のエンドエフェクタを関節運動させるための機構を含む。加えて、いくつかのエンドエフェクタは、エンドエフェクタの顎部により把持された組織に対して並進するナイフ刃を有する。エンドエフェクタの関節運動中、ナイフ刃は、エンドエフェクタの継続的な関節運動を通じてナイフ刃を劣化させ得る屈曲モーメント及び/またはせん断力を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、エンドエフェクタを通じて移動するナイフ刃に損傷を与えずに、多様な配向で本体部分に対してエンドエフェクタを関節運動させるための機構を含む、改善された外科用機器を提供することが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様において、細長い本体と、細長い本体の遠位部分に枢動可能に連結された近位部分を有するエンドエフェクタと、細長い本体内に配設されたナイフ組立体と、を含む、外科用装填ユニットを提供している。ナイフ組立体は細長いガイド部材と、可撓性ナイフバーとを含む。細長いガイド部材は、細長い本体の遠位部分に枢動可能に支持されている。ナイフバーは、細長いガイド部材を通って画定された長手方向に延在するチャネルを通って移動するように構成されている。第1の方向での細長い本体に対するエンドエフェクタの関節運動は、第1の方向に対向する第2の方向での細長いガイド部材の遠位部分の運動を生じさせる。
【0008】
いくつかの実施形態において、細長い本体は、第1の長手方向軸を画定し得、エンドエフェクタは、第2の長手方向軸を画定し得る。エンドエフェクタは、第2の長手方向軸が第1の長手方向軸と整合している第1の位置から、前2の長手方向軸が第1の長手方向軸と不整合である第2の位置まで細長い本体に対して移動するように構成され得る。エンドエフェクタの第2の位置への移動時に、エンドエフェクタの遠位部分が、細長い本体により画定された中央長手方向軸の第1の側上に配設され得、ナイフ組立体の細長いガイド部材の遠位部分が、細長い本体により画定された中央長手方向軸の第2の側上に配設され得る。
【0009】
ナイフバーは、細長いガイド部材の遠位方向に設けられたナイフバーの区画がエンドエフェクタの関節運動中に撓むときに、細長いガイド部材が直線形状を維持するように構成されるように、細長い部材より大きい可撓性を有し得ると考えられる。
【0010】
ナイフバーの対向する側に沿って延在している一対の吹き出し板をさらに含み得ると想定される。一対の吹き出し板は、エンドエフェクタの近位部分に連結された遠位部分を有し得る。第1の吹き出し板は、ナイフバーの第1の側面と細長いガイド部材の第1の側面との間に近位部分を有し得、第2の吹き出し板は、ナイフバーの第2の側面と細長いガイド部材の第2の側面との間に配設された近位部分を有し得る。第1の吹き出し板の近位部分は、細長いガイド部材に対して第1の軸方向に摺動するように構成され得、第2の吹き出し板の近位部分は、エンドエフェクタの関節運動に応答して、細長いガイド部材に対して第2の軸方向に摺動するように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、エンドエフェクタの近位部分は、第1及び第2の壁が、ナイフバーの遠位部分及び一対の吹き出し板の両方が延在している近位方向にフレア状の空洞を協働的に画定するように、近位方向にテーパ状である第1及び第2の壁を含み得る。第1及び第2の壁の各々は、互いに側方に離間した円弧状側面を画定し得る。第1の壁の円弧状側面は、エンドエフェクタが第1の方向に関節運動するときに第1の吹き出し板に接触するように構成され得、第2の壁の円弧状側面は、エンドエフェクタが第2の方向に関節運動するときに第2の吹き出し板に接触するように構成され得る。
【0012】
第1の壁の近位部分は、第1の方向でのエンドエフェクタの関節運動に応答して第1の吹き出し板に接触し、細長いガイド部材の前位部分を第2の方向に移動させるように構成され得ると考えられる。第2の壁の近位部分は、第2の方向でのエンドエフェクタの関節運動に応答して第2の吹き出し板に接触し、細長いガイド部材の遠位部分を第1の方向に移動させるように構成され得る。
【0013】
第1の壁の近位部分は、第1の方向でのエンドエフェクタの関節運動に応答して細長いガイド部材の遠位部分を第2の方向に移動させるように構成され得、第2の壁の近位部分は、第2の方向でのエンドエフェクタの関節運動に応答して細長いガイド部材の遠位部分を第1の方向に移動させるように構成され得ると想定される。
【0014】
いくつかの実施形態において、細長いガイド部材は、細長い本体に枢動可能に連結された近位部分を含み得る。細長いガイド部材の近位部分は、細長いガイド部材が、細長い本体に対して長手方向に並進することを防止するように、細長い本体に枢動可能に連結された円形タブを有し得る。
【0015】
ナイフ組立体は、長手方向に延在するチャネルを画定しているトラックをさらに含み得ると考えられる。可撓性ナイフバーは、第1のナイフバーシャフトと、第1のナイフバーシャフトに連結されており、かつこれと並行に延在している第2のナイフバーシャフトとを含み得る。第1のナイフバーシャフトは、細長いガイド部材のチャネルを通って延在し得る。第2のナイフバーシャフトは、トラックのチャネルを通って延在し得る。
【0016】
トラック及び細長いガイド部材は、トラック及び細長いガイド部材が、細長い本体に対するエンドエフェクタの関節運動中に直線形状を維持するように構成されるように、ナイフバーより小さい可撓性を有し得ると想定される。
【0017】
いくつかの実施形態において、外科用装填ユニットは、可撓性ナイフバーの第1及び第2のナイフバーシャフト間に配設された支持構造をさらに含み得る。支持構造は、細長いガイド部材が支持されている上面と、トラックが支持されている底面とを含み得る。
【0018】
いくつかの態様において、細長い本体は、ナイフ組立体が支持されている支持構造を含み得る。支持構造は、エンドエフェクタの近位部分に枢動可能に連結された遠位部分を有し得る。支持構造は、遠位方向にフレア状の空洞を内部に画定している平坦な上面を有し得る。細長いガイド部材は、遠位方向にフレア状の空洞内に配設され得る。
【0019】
細長い本体は、エンドエフェクタの関節運動を生じさせるための関節運動組立体を含み得ると考えられる。関節運動組立体は、支持構造の近位部分を通って延在している細長い駆動ナットと、支持構造の遠位部分を通って延在しており、かつ駆動ナットに螺合された近位部分を有する細長い駆動ねじと、駆動ねじの遠位部分に枢動可能に連結された近位部分、及びエンドエフェクタの近位部分に枢動可能に連結された遠位部分を有する関節運動リンクと、を含み得る。駆動ナットの回転が、駆動ねじを軸方向に移動させて、関節運動リンクを枢動させ、次に、エンドエフェクタを関節運動させ得る。
【0020】
関節運動組立体は、細長い本体により画定された中央長手方向軸から側方にオフセットされ得ると想定される。
【0021】
いくつかの実施形態において、ナイフバーは、細長い本体を通ってナイフバーを軸方向に移動させるためのアクチュエータと、組織を切断するためのナイフ刃を支持する遠位部分とを有し得る。エンドエフェクタは、ステープルカートリッジと、アンビルとを含み得る。ステープルカートリッジは、ナイフ刃を摺動可能に受容するように寸法決めされた長手方向に延在するチャネルを画定し得る。
【0022】
本開示の別の態様において、細長い本体と、細長い本体の遠位部分に枢動可能に連結された近位部分を有するエンドエフェクタと、細長い本体の遠位部分及びエンドエフェクタの近位部分を通って延在している可撓性ナイフバーとを含む外科用装填ユニットを提供している。第1の方向での細長い本体に対するエンドエフェクタの関節運動は、ナイフバーの第1の区画を第1の方向に湾曲させ得、第2の区画が直線形状を維持しながら、ナイフバーの第2の区画を第1の方向に対向する第2の方向に枢動させ得る。第2の区画は、第1の区画の近位方向に配設され得る。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
外科用装填ユニットであって、
細長い本体と、
上記細長い本体の遠位部分に枢動可能に連結された近位部分を有するエンドエフェクタと、
上記細長い本体内に配設されたナイフ組立体であって、
上記細長い本体の上記遠位部分に枢動可能に支持されており、長手方向に延在するチャネルを画定している、細長いガイド部材、及び 上記細長いガイド部材の上記チャネルを通って延在している可撓性ナイフバーであって、上記ナイフバーが、上記細長いガイド部材の上記チャネルを通って移動するように構成されており、第1の方向での上記細長い本体に対する上記エンドエフェクタの関節運動が、上記第1の方向とは反対の第2の方向での上記細長いガイド部材の遠位部分の運動を生じさせる、可撓性ナイフバーを含む、ナイフ組立体と、を備える、外科用装填ユニット。
(項目2)
上記細長い本体が、第1の長手方向軸を画定しており、上記エンドエフェクタが、第2の長手方向軸を画定しており、上記エンドエフェクタが、上記第2の長手方向軸が上記第1の長手方向軸と整合している第1の位置から、上記第2の長手方向軸が上記第1の長手方向軸と不整合である第2の位置まで上記細長い本体に対して移動するように構成されている、上記項目に記載の外科用装填ユニット。
(項目3)
上記エンドエフェクタの上記第2の位置への移動時に、上記エンドエフェクタの遠位部分が、上記細長い本体により画定された中央長手方向軸の第1の側上に配設され、上記ナイフ組立体の上記細長いガイド部材の上記遠位部分が、上記細長い本体により画定された上記中央長手方向軸の第2の側上に配設される、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目4)
上記ナイフバーが、上記細長いガイド部材の遠位方向に設けられた上記ナイフバーの区画が上記エンドエフェクタの関節運動中に撓むときに、上記細長いガイド部材が直線形状を維持するように構成されるように、上記細長いガイド部材より大きい可撓性を有する、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目5)
上記ナイフ組立体が、上記ナイフバーの対向する側に沿って延在している一対の吹き出し板をさらに含み、上記一対の吹き出し板が、上記エンドエフェクタの上記近位部分に連結された遠位部分を有する、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目6)
上記一対の吹き出し板の第1の吹き出し板が、上記ナイフバーの第1の側面と上記細長いガイド部材の第1の側面との間に配設された近位部分を有し、上記一対の吹き出し板の第2の吹き出し板が、上記ナイフバーの第2の側面と上記細長いガイド部材の第2の側面との間に配設された近位部分を有する、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目7)
上記エンドエフェクタの関節運動に応答して、上記第1の吹き出し板の上記近位部分が、上記細長いガイド部材に対して第1の軸方向に摺動するように構成されており、上記第2の吹き出し板の上記近位部分が、上記細長いガイド部材に対して第2の軸方向に摺動するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目8)
上記エンドエフェクタの上記近位部分が、
近位方向にテーパ状である第1の壁と、
第1及び第2の壁が、上記ナイフバーの上記遠位部分及び上記一対の吹き出し板の両方が延在している近位方向にフレア状の空洞を協働的に画定するように、近位方向にテーパ状である第2の壁と、を含む、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目9)
上記第1及び第2の壁の各々が、円弧状側面を画定しており、上記円弧状側面が、互いに側方に離間している、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目10)
上記第1の壁の上記円弧状側面が、上記エンドエフェクタが上記第1の方向に関節運動するときに上記第1の吹き出し板に接触するように構成されており、上記第2の壁の上記円弧状側面が、上記エンドエフェクタが上記第2の方向に関節運動するときに上記第2の吹き出し板に接触するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目11)
上記第1の壁の近位部分が、上記第1の方向での上記エンドエフェクタの関節運動に応答して上記第1の吹き出し板に接触して、上記細長いガイド部材の上記遠位部分を上記第2の方向に移動させるように構成されており、上記第2の壁の上記近位部分が、上記第2の方向での上記エンドエフェクタの関節運動に応答して上記第2の吹き出し板に接触して、上記細長いガイド部材の上記遠位部分を上記第1の方向に移動させるように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目12)
上記エンドエフェクタの上記近位部分が、
近位方向にテーパ状である第1の壁と、
第1及び第2の壁が、上記ナイフバーの遠位部分が延在している近位方向にフレア状の空洞を協働的に画定するように、近位方向にテーパ状である第2の壁と、を含む、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目13)
上記第1の壁の近位部分が、上記第1の方向での上記エンドエフェクタの関節運動に応答して、上記細長いガイド部材の上記遠位部分を上記第2の方向に移動させるように構成されており、上記第2の壁の近位部分が、上記第2の方向での上記エンドエフェクタの関節運動に応答して、上記細長いガイド部材の上記遠位部分を上記第1の方向に移動させるように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目14)
上記細長いガイド部材が、上記細長い本体に枢動可能に連結された近位部分を含む、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目15)
上記細長いガイド部材の上記近位部分が、上記細長いガイド部材が、上記細長い本体に対して長手方向に並進することを防止するように、上記細長い本体に枢動可能に連結された円形タブを有する、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目16)
上記ナイフ組立体が、長手方向に延在するチャネルを画定しているトラックをさらに含み、上記可撓性ナイフバーが、
上記細長いガイド部材の上記チャネルを通って延在している第1のナイフバーシャフトと、
上記第1のナイフバーシャフトに連結されており、かつこれと平行に延在している第2のナイフバーシャフトであって、上記トラックの上記チャネルを通って延在している、第2のナイフバーシャフトと、を含む、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。(項目17)
上記トラック及び上記細長いガイド部材が、上記トラック及び上記細長いガイド部材が、上記細長い本体に対する上記エンドエフェクタの関節運動中に直線形状を維持するように構成されるように、上記ナイフバーより小さい可撓性を有する、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目18)
上記可撓性ナイフバーの上記第1及び第2のナイフバーシャフト間に配設された支持構造をさらに備え、上記支持構造が、
上記細長いガイド部材が支持されている上面と、
上記トラックが支持されている底面と、を含む、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目19)
上記細長い本体が、上記ナイフ組立体が支持されている支持構造を含み、上記支持構造が、上記エンドエフェクタの上記近位部分に枢動可能に連結された遠位部分を有する、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目20)
上記支持構造が、内部に遠位方向にフレア状の空洞を画定している平坦な上面を有し、上記細長いガイド部材が、遠位方向にフレア状の空洞内に配設されている、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目21)
上記細長い本体が、上記エンドエフェクタの関節運動を生じさせるための関節運動組立体を含み、上記関節運動組立体が、
上記支持構造の近位部分を通って延在している細長い駆動ナットと、
上記支持構造の遠位部分を通って延在しており、かつ上記駆動ナットに螺合された近位部分を有する細長い駆動ねじと、
上記駆動ねじの遠位部分に枢動可能に連結された近位部分、及び上記エンドエフェクタの上記近位部分に枢動可能に連結された遠位部分を有する関節運動リンクと、を含み、上記駆動ナットの回転が、上記駆動ねじを軸方向に移動させて、上記関節運動リンクを枢動させ、次に、上記エンドエフェクタを関節運動させる、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目22)
上記関節運動組立体が、上記細長い本体により画定された中央長手方向軸から側方にオフセットされている、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目23)
上記ナイフバーが、上記細長い本体を通して上記ナイフバーを軸方向に移動させるためのアクチュエータに動作可能に連結された近位部分と、組織を切断するためのナイフ刃を支持する遠位部分とを有する、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目24)
上記エンドエフェクタが、ステープルカートリッジと、アンビルとを含み、上記ステープルカートリッジが、上記ナイフ刃を摺動可能に受容するように寸法決めされた長手方向に延在するチャネルを画定している、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。(摘要)
外科用装填ユニットは、細長い本体と、細長い本体に枢動可能に連結されたエンドエフェクタと、細長い本体の遠位部分及びエンドエフェクタの近位部分を通って延在している可撓性ナイフバーと、を含む。第1の方向での細長い本体に対するエンドエフェクタの関節運動が、ナイフバーの第1の区画を第1の方向に移動させ、ナイフバーの第2の区画を第1の方向に対向する第2の方向に移動させる。
【0023】
本開示の関節運動機構の実施形態を含む外科用装填ユニットが、図を参照して本明細書に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】本開示による外科用ステープル留め機器の斜視図である。
図1B】非関節運動位置または直線位置に示されている別の本開示による外科用ステープル留め機器の斜視図である。
図2A図1A及び1Bの外科用ステープル留め機器と共に使用するための外科用装填ユニットの遠位端部分の斜視図である。
図2B図2Aの装填ユニットの平面図である。
図2C図2Aの装填ユニットの第1の側面図である。
図2D図2Aの装填ユニットの第2の側面図である。
図3】関節運動機構及びそのナイフ組立体を図示している図2Aの装填ユニットの、外側ハウジングが取り外された状態の斜視図である。
図4図3の外科用装填ユニットの、外側ハウジング及び内側ハウジングが取り外された状態の拡大図である。
図5】関節運動機構を図示している装填ユニットの、図4の5-5線に沿って切り取られた斜視断面図である。
図6A】装填ユニットのエンドエフェクタが装填ユニットの細長い本体と軸方向に整合している状態の、非関節運動位置における装填ユニットを図示している図5の断面の平面図である。
図6B】装填ユニットの細長い本体に対して第1の関節運動位置における装填ユニットのエンドエフェクタを図示している図5の断面の平面図である。
図6C】装填ユニットの細長い本体に対して第2の関節運動位置における装填ユニットのエンドエフェクタを図示している図5の断面の平面図である。
図7】装填ユニットのナイフ組立体を図示している外科用装填ユニットの、細長い本体の外側ハウジングが取り外された状態の斜視図である。
図8】ナイフ組立体をさらに図示している図7の外科用装填ユニットの、細長い本体の内側及び外側ハウジングが取り外された状態の平面斜視図である。
図9図8の詳細の指定領域の拡大図である。
図10図9のナイフ組立体のナイフバー、吹き出し板、及びナイフバートラックの拡大図である。
図11】関節運動位置におけるエンドエフェクタを図示している図9の外科用装填ユニットの、部品が取り外された状態の平面斜視図である。
図12】関節運動位置におけるエンドエフェクタを図示している図11の外科用装填ユニットの側面図である。
図13A】開口位置におけるエンドエフェクタのステープルカートリッジ及びアンビルを図示している外科用装填ユニットの側面図である。
図13B】ステープルカートリッジ及びアンビルを近似した構成で図示している図13Aのエンドエフェクタの、13B-13B線に沿って切り取られた断面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に明確に記載されており、かつ添付の図に図示されている装填ユニット及び方法は、非制限的で例示的な実施形態であることを、当業者であれば理解するだろう。例示的な一実施形態に関連して図示または記載されている要素及び特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、別の要素及び特徴と組み合わされ得ると想定される。同様に、当業者であれば、記載されている実施形態に基づいて、本開示のさらなる特徴及び利点を理解するだろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲により示されているものを除いて、特に示され、かつ記載されているものにより限定されるべきではない。
【0026】
本明細書で使用されているように、「遠位」という用語は、臨床医から最も遠い外科用機器または装填ユニットのそのような部分を指し、「近位」という用語は、臨床医に最も近い外科用機器または装填ユニットのそのような部分を指す。加えて、本明細書で使用されているように、臨床医という用語は、医者、看護師、及び支援人員を含む医療スタッフを指す。
【0027】
本発明の開示は、関節運動する外科用装填ユニットまたは外科用機器において使用するためのナイフ組立体を対象としている。ナイフ組立体は、ナイフバーガイドによりいずれかの側上で支持された可撓性ナイフバーを含む。ナイフ組立体は、装填ユニットの細長い本体に対する装填ユニットのエンドエフェクタの関節運動時に、ナイフ組立体のナイフバーが、関節運動の方向に屈曲するのと同時に、関節運動の方向から離れる方向に移行するように構成されている。ナイフバーがナイフバーの屈曲と略反対方向に移行または枢動することで、エンドエフェクタの関節運動中に、ナイフバーに、より大きい半径の曲率を取らせる。より大きい半径の曲率に沿った屈曲が、ナイフバーにより受けたせん断力及び/または屈曲モーメントを低減させることにより、ナイフバーの寿命を延ばすと同時に、エンドエフェクタのより大きい関節運動角度を提供する。
【0028】
本発明の開示は、装填ユニットの細長い本体に対して装填ユニットのエンドエフェクタを関節運動させるための関節運動組立体をさらに提供している。下にさらに詳細に記載されるように、関節運動組立体は、細長い駆動ユニットと、互いに動作可能に連結されており、かつ各々が細長い本体の遠位端に向かって配設されている細長い駆動ねじとを含む。
【0029】
本開示のナイフ組立体、関節運動組立体、ならびに本開示のナイフ組立体及び関節運動組立体を含む外科用装填ユニットのさらなる利点を下に記載している。
【0030】
図1A及び1Bは、外科用ステープル留め機器10a及び10bと一般に参照される、本開示の関節運動組立体130及びナイフ組立体160の実施形態を組み込む外科用装填ユニットと共に使用するための外科用ステープル留め機器を図示している。外科用ステープル留め機器10a及び10bの各々は、同じ外科用装填ユニット100と共に使用され得る。図示されている外科用ステープル留め機器10a、10bは、ステープルを排出するが、外科用装填ユニット100は、クリップ及び2部品締め具等の任意の他の好適な締め具を排出するように適合され得ると考えられる。さらに、図は、直線状の外科用ステープル留め機器を図示しているが、本開示の関節運動組立体及びナイフ組立体は、非直線状の外科用ステープラ装填ユニット、内視鏡用鉗子、把持装置、解剖用器具、他の種類の外科用ステープル留め機器、電動容器密封及び/または切断装置等を含む他の種類の内視鏡外科用機器と共に使用するのに好適であると想定される。
【0031】
概して、図1Aを参照すると、外科用機器10aは、移動可能なハンドル14を含むハンドル組立体12と、ハンドル組立体12から延在しているアダプタ組立体16と、アダプタ組立体16の外管18の遠位端部分に連結された外科用装填ユニット100とを含む。当該技術分野で知られているように、移動可能なハンドル14は、駆動ロッドが駆動組立体(図示せず)の一部分に係合して、駆動組立体の少なくとも一部分が遠位方向に並進するように促し、それにより外科用装填ユニット100からステープルを排出するように、駆動ロッド(図示せず)の遠位前進を生じさせるように作動可能(例えば、1つ以上のストロークを通して)である。移動可能なハンドル14の作動が駆動ロッドの遠位前進を生じさせる方法についてのさらなる詳細は、Millimanらに対する米国特許第6,953,139号に説明されており、その全体的な内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
概して、図1Bを参照すると、外科用機器10bは、コントロールまたはボタン22を含むハンドル組立体20と、ハンドル組立体20に連結されたアダプタ組立体24と、アダプタ組立体24の外管30の遠位部分32に隣接して配設された外科用装填ユニット100と、を含む、モータ駆動式電気機械装置である。アダプタ組立体24は、ハンドル組立体20の遠位端部分に連結された外側ノブハウジング26を含み、アダプタ組立体24の外管30は、ノブハウジング26の遠位端部分から延在している。下にさらに詳細に記載されるように、ハンドル組立体20のボタン22は、作動ボタン22の作動により、関節運動機構130が装填ユニット100のエンドエフェクタ110を関節運動させるように、装填ユニット100の関節運動組立体130に動作可能に連結された電動駆動シャフト(図示せず)と電気通信している。
【0033】
外科用機器10bのハンドル組立体20及びアダプタ組立体24の種々の構成要素の詳細な説明は、例えば、米国特許出願第14/550,071号(現、米国特許出願公開第2015/0157320号)に見られ得、その全体的な内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
装填ユニット100は、外科用ステープル留め機器10bアダプタ組立体24の外管30(または外科用ステープル留め機器10aのアダプタ組立体16の外管18)に取り付けられるように適合されている。装填ユニット100は、1回の使用のために構成され得るか、または複数回使用されるように構成され得、細長い本体102と、細長い本体102の遠位部分102b上に支持されたエンドエフェクタ110とを含む。いくつかの実施形態において、ステープルカートリッジ112及びアンビル114を含むエンドエフェクタ110は、装填ユニット100の一部を形成しない場合があるが、むしろ、アダプタ組立体24の外管30の遠位部分32に直接枢動可能に連結され得る。
【0035】
装填ユニット100の細長い本体102は、第1の長手方向軸「X1」を画定しており、かつ例えば、差し込みまたはルアー型連結装置を使用して、外科用ステープル留め機器10bのアダプタ組立体24の外管30の遠位部分32内に取り外し可能に受容された近位部分102aを有する。装填ユニット100の細長い本体102は、外側ハウジングまたは管106(図2A)と、外側ハウジング106内に配設された内側ハウジングまたは管108とを含み得る。いくつかの実施形態において、装填ユニット100の細長い本体102は、外科用ステープル留め機器10bのアダプタ組立体24の外管30に一体的に接続され得るか、またはこれと共にモノリシックに形成され得る。
【0036】
図2A~2Dを参照すると、装填ユニット100のエンドエフェクタ110は、エンドエフェクタ110が非関節運動位置にあるとき(図2A~2D及び6A)に、細長い本体102の第1の長手方向軸「X1」と整合し、かつエンドエフェクタ110が関節運動位置にあるとき(図6B及び6C)に、細長い本体102の第1の長手方向軸「X1」と不整合である、第2の長手方向軸「X2」を画定している。エンドエフェクタ110は、細長い本体102の遠位部分102bに枢動可能に連結された近位部分110aを有する。
【0037】
特に、図3~6Cを参照すると、装填ユニット100の細長い本体102の遠位部分102bは、細長い本体102の内側ハウジング108内に軸方向に固定された支持構造またはプラットフォーム116を含む(図3)。支持構造116は、細長い平坦な構成を有するが、いくつかの実施形態において、管状、円筒状、または同様のもの等の任意の好適な構成を取り得る。細長い本体102の支持構造116は、遠位方向に延在しているテーパ状延長部118を有する。エンドエフェクタ110の近位部分110aは、そこから近位方向に延在している一対のフランジ113a、113bを含む。支持構造116のテーパ状延長部118は、エンドエフェクタ110の一対のフランジ113a、113b間に画定された空間内に受容されている。枢動ピン120は、細長い本体102の支持構造116のテーパ状延長部118及びエンドエフェクタ110の一対のフランジ113a、113bの各々を通って延在して、細長い本体102のエンドエフェクタ110に枢動可能に接続する。いくつかの実施形態において、例えば、ボール及びソケット接続等のエンドエフェクタ110と細長い本体102との間の他の枢動可能な接続が考えられる。
【0038】
図3~6Cを続けて参照すると、装填ユニット100は、細長い本体102に対するエンドエフェクタ110の関節運動を促進するように、エンドエフェクタ110を細長い本体102に動作可能に相互接続する関節運動組立体130を含む。本開示の関節運動組立体130は、図1Bの外科用ステープル留め機器10bと共に使用するのに最も好適である。しかしながら、関節運動組立体130は、図1Aの手動の外科用ステープル留め機器10aと共に使用するように改変され得ると考えられる。
【0039】
装填ユニット100の関節運動組立体130は、細長い本体102により画定された中央長手方向軸「X1」から側方にオフセットされており、かつ細長い駆動ナット132と、駆動ナット132に動作可能に連結された細長い駆動ねじ134と、駆動ねじ134に動作可能に連結された関節運動リンク136とを含む。駆動ナット132及び駆動ねじ134は、互いに軸方向に整合しており、各々が、平行に延在しており、かつ細長い本体102の中央長手方向軸「X1」から側方にオフセットされている。駆動ナット132は、支持構造116の長手方向側122の近位部分116aを通って延在しており、駆動ねじ134は、支持構造116の長手方向側122の遠位部分116bを通って延在している。駆動ナット132は、支持構造116の長手方向側122に回転可能に支持されており、かつこれに軸方向に固定されており、駆動ねじ134は、駆動ねじ134の回転を防止すると同時に、支持構造116に対する駆動ねじ134の直線状並進を可能にするように、支持構造116の長手方向側122に固定されている。
【0040】
関節運動組立体130の駆動ナット132及び駆動ねじ134を装填ユニット100の細長い本体102の近位端ではなく、遠位端に隣接して位置付けることにより、細長い本体102の近位端に通常生じるであろう隙間増加の量が低減される。
【0041】
関節運動組立体130の駆動ナット132は、ハンドル組立体20の作動ボタン22(図1B)に動作可能に連結された近位部分132aと、遠位部分132bとを有する。関節運動組立体130の駆動ねじ134は、駆動ナット132の遠位部分132b内に配設された近位部分134aを有し、かつ駆動ユニット132内に画定された内側スレッディングに動作可能に連結された外側スレッディングを画定している。このように、ボタン22(図1B)の作動に応答した、支持構造116に対する、かつ支持構造116内の駆動ナット132の回転が、支持構造116内の、かつ支持構造116に対する駆動ねじ134の直線状並進を生じさせる。
【0042】
関節運動組立体130の関節運動リンク136は、駆動ねじ134の遠位部分134bに枢動可能に連結された近位部分136aと、エンドエフェクタ110の近位部分110a(例えば、フランジ113aまたは113bのうちの1つまたは両方)に枢動可能に連結された遠位部分136bとを有する。関節運動リンク136は、装填ユニット100の枢軸に向かって配向された凸状側面及び枢軸から離れるように配向された凹状側を有する円弧状構成を有し得る。いくつかの実施形態において、関節運動リンク136は、例えば、直線等の任意の好適な形状を取り得る。関節運動リンク136は、駆動ねじ134の直線運動を枢動運動へと伝達して、関節運動する細長い本体102に対してエンドエフェクタ110を関節運動させる。
【0043】
図6A~6Cを参照すると、使用時に、ボタン22(図1B)の作動を介した関節運動組立体130の駆動ナット132の回転が、駆動ナット132の回転の方向に基づいて近位方向または遠位方向のうちの1つに関節運動組立体130の駆動ねじ134を直線状に並進させる。例えば、図6Bに示されているように、駆動ナット132の時計回りの回転が、駆動ナット132に対する駆動ねじ134の遠位並進を生じさせ得る。駆動ねじ134が、図6Bに矢印「A」で示されている遠位方向に並進すると、関節運動組立体130の関節運動リンク136は、細長い本体102に対して軸方向に固定されているエンドエフェクタ110に起因して、図6Bに矢印「B」で示されている第1の方向に、その近位部分136aの周りを、かつ駆動ねじ134の遠位部分134bに対して枢動する。関節運動リンク136はまた、エンドエフェクタ110の近位部分110aに対してその遠位部分136bの周りで枢動し、方向「B」でのエンドエフェクタ110の関節運動を生じさせる。
【0044】
同様に、図6Cに示されているように、駆動ナット132の反時計回りの回転が、駆動ナット132に対する駆動ねじ134の近位並進を生じさせ得る。駆動ねじ134が図6Cに矢印「C」で示されている近位方向に並進すると、関節運動リンク136は、駆動ねじ134の遠位部分134bに対して近位部分136aの周りでわずかに枢動する。関節運動リンク136の遠位部分136bは、エンドエフェクタ110の中央長手方向軸「X2」からオフセットされた場所でエンドエフェクタ110に連結されているため、エンドエフェクタ110は、図6Cに矢印「D」で示されている方向に細長い本体102に対して関節運動する。
【0045】
図2A~2D、3、4、及び7~12を参照すると、装填ユニット100のナイフ組立体160を図示している。上に簡単に述べられているように、ナイフ組立体160は、その第1または遠位区画162aでナイフ刃164(図13B)を支持し、かつ細長い本体102に対するエンドエフェクタ110の上に記載されている関節運動中に屈曲する可撓性ナイフバー162を含む。
【0046】
図7~12を特に参照すると、ナイフ組立体160のナイフバー162は、装填ユニット100の細長い本体102を通って延在している第2または中間区画162bと、ナイフバー162をハンドル組立体20のボタン22(図1B)に、またはハンドル組立体20の別の作動ボタン、例えば、作動ボタン23に連結させるように、ナイフバープッシャ166に動作可能に連結された第3または近位区画162cとを有する。ナイフ刃164(図13B)は、ナイフバー162の遠位区画162aに連結されているか、またはこれと共にモノリシックに形成されている。そのように、ボタン23の作動が、エンドエフェクタ110により把持された組織を切断するように、エンドエフェクタ110を通ってナイフバー162及び関連するナイフ刃164を遠位方向に並進させる。ナイフバー162は、その間に配設された細長い本体102の支持構造116を有する一対の長手方向に延在しているナイフバーシャフト168a、168b(図12)を画定するように、その長さに沿って分岐している。
【0047】
ナイフ組立体160は、ナイフバー162の中間または第2の区画162bを支持する細長いガイド部材またはトラック170をさらに含む。トラック170は、支持構造116の上側117a上で、かつ装填ユニット100の細長い本体102の内側ハウジング108(図3)内で支持されている。ナイフ組立体160のトラック170は、直線状の長方形状を有し、かつ内部に摺動可能に支持されたナイフバー162の中間区画162bを有する長手方向に延在するチャネル172を画定している。実施形態において、トラック170は、例えば、管状等の多様で好適な形状を取り得る。
【0048】
トラック170は、ナイフバー162の中間区画162bが支持されている底壁172と、底壁172から垂直方向に延在している一対の平行な側壁174、176とを含む。一対の側壁174、176は、トラック170がナイフバー162の中間区画162bを少なくとも部分的に囲むように、ナイフバー162の中間区画162bのそれぞれの側面178a、178bに沿って延在しており、かつこれらを支持している。トラック170は、ポリアミドイミドまたはポリエーテルエーテルケトン等のトラック170に軸剛性を与える材料から作製されている。トラック170は、可撓性ナイフバー162より大きい剛性(例えば、より小さい可撓性)を有する。ナイフバー162より大きい軸剛性を有するトラック170に起因して、トラック170は、ナイフバー162の中間区画162bの直線状態を維持するように、エンドエフェクタ110の関節運動中にその長さに沿った屈曲に耐える。
【0049】
ナイフ組立体160のトラック170は、細長い本体102の支持構造116の上側117a上で移動可能に支持されている。支持構造116の上側117aは、内部の浅い空洞180を画定している。トラック170は、支持構造116の空洞180内に枢動可能に支持されている。支持構造116内に画定された空洞180は、近位部分180aと、遠位方向にフレア状の遠位部分180bとを有する。下に詳細に記載されるように、空洞180の遠位部分180bは、エンドエフェクタ110の関節運動中にトラック170の遠位部分170bが内部を横断することを可能にする。支持構造116の空洞180及びトラック170は、トラック170が空洞180内の、かつ支持構造116に対する長手方向の並進を防止するように、略同様の長さを有する。いくつかの実施形態において、トラック170は、支持構造116に対するトラック170の回転を可能にするが、支持構造116に対するトラック170の長手方向の並進を防止するように、細長い本体102の内側ハウジング108(図3)に枢動可能に連結するトラック170の平行な側壁174、176から延在している円形タブ182を有し得る。
【0050】
図7~12を続けて参照すると、ナイフ組立体160は、それぞれ、ナイフバー162の側面178a、178bに沿って延在している吹き出し板または支持体184、186をさらに含む。吹き出し板184、186は、エンドエフェクタ110の関節運動中に板184、186の屈曲を可能にするように、トラック170より大きい可撓性を有するが、エンドエフェクタ110の関節運動中にナイフバー162の遠位区画162aの座屈を防止するように、ナイフバー162より小さい可撓性を有する。
【0051】
吹き出し板184、186の各々は、それぞれ、近位部分184a、186a、及び遠位部分184b、186bを有する。第1の吹き出し板184の近位部分184aは、ナイフバー162の第1の側面178aとトラック170の第1の側壁174との間に配設されている。第2の吹き出し板186の近位部分186aは、ナイフバー162の第2の側面178bとトラック170の第2の側壁176との間に配設されている。吹き出し板184、186の各々の近位部分184a、186aは、トラック170のチャネル172内に摺動可能に受容されている。
【0052】
吹き出し板184、186の各々の遠位部分184b、186bは、エンドエフェクタ110の近位部分110aに固定されている。このように、エンドエフェクタ110が細長い本体102に対して関節運動すると、吹き出し板184または186の一方が、近位方向に引っ張られ、吹き出し板184または186の他方が、エンドエフェクタ110の関節運動中に吹き出し板184、186間の径方向の距離での変化に起因して遠位方向に押されるだろう。吹き出し板184、186の遠位部分184b、186bの押し及び/または引っ張り中に、それらの近位部分184a、186aは、トラック170及びナイフバー162のチャネル172内を、かつこれに対して摺動する。
【0053】
図12に示されているように、ナイフ組立体160は、ナイフバー162の第2のナイフバーシャフト168b及び別の一対の吹き出し板184’、186’を支持する別のトラック170’を有し、それらの各々は、支持構造116の底側117b上に配設されている。支持構造116の上側117a上に配設されたナイフ組立体160の構成要素と、支持構造116の底側117b上に配設されたナイフ組立体160の構成要素との実質的な類似性に起因して、支持構造116の底側117b上のナイフ組立体160の構成要素は、記載していない。
【0054】
図7~12を続けて参照すると、装填ユニット100のエンドエフェクタ110の近位部分110aは、ナイフ組立体160と協働して、その軸に沿ったナイフ組立体160のナイフバー162の屈曲、及び細長い本体102の支持構造116に対するナイフバー162の移行を促進する。エンドエフェクタ110の近位部分110aは、近位方向にテーパ状である第1及び第2の壁188、190を含む。エンドエフェクタ110の壁188、190は、エンドエフェクタ110の上フランジ113a上に支持されている。上に記載されているように、ナイフバー162は、2つのシャフト168a、168bへと分割され、よってエンドエフェクタ110の近位部分110aは、ナイフバー162の第2のナイフバーシャフト168bと相互作用するようにエンドエフェクタ110の底フランジ113b上に支持された別の一対の壁(明示的に示さず)を有し得る。第1及び第2の壁188、190は、ナイフバー162の遠位区画162a及び吹き出し板184、186の各々の遠位部分184b、186bの両方が延在している近位方向にフレア状の空洞192を協働的に画定している。エンドエフェクタ110の近位部分110aの空洞192は、ナイフバー162がエンドエフェクタ110の関節運動により第1または第2の方向のいずれかに屈曲すると、ナイフバー162の遠位区画162aの運動を収容する。
【0055】
エンドエフェクタ110の第1及び第2の壁188、190の各々は、それぞれ、円弧状側面194、196を画定している。円弧状側面194、196は、エンドエフェクタ110の近位部分110aの空洞192にわたって互いに側方に離間している。いくつかの実施形態において、第1及び第2の壁188、190の側面194、196は、多様な形状を取り得る。第1の壁188の円弧状側面194は、ナイフバー162の第1の側面178aに向かって配向されており、第2の壁190の円弧状側面196は、ナイフバー162の第2の側面178bに向かって配向されている。下に詳細に記載されるように、細長い本体102に対するエンドエフェクタ110の関節運動中に、エンドエフェクタ110のそれぞれの第1及び第2の壁188、190の円弧状側面194、196は、それぞれの吹き出し板184、186に接触して、吹き出し板184、186及びナイフバー162の遠位区画162aを屈曲させる。
【0056】
動作時に、エンドエフェクタ110は、上に記載されているような関節運動組立体130を介して、細長い本体102に対して図6B及び11に矢印「B」で示されている第1の方向か、または図6Cに矢印「D」で示されている第2の方向のいずれかに、関節運動し得る。細長い本体102に対する第1の方向「B」での装填ユニット100のエンドエフェクタ110の関節運動中に、ナイフバー162の遠位区画162a(例えば、細長い本体102の遠位部分102b及びエンドエフェクタ110の近位部分110aの各々に及ぶナイフバー162の区画)は、第1の方向「B」に屈曲する。
【0057】
エンドエフェクタ110が閾値量の関節運動を達成すると、エンドエフェクタ110の第1の壁188の円弧状側面194は、第1の吹き出し板184を接触して、第1の方向「B」(例えば、図11に矢印「D」で示されている方向)と略反対方向にナイフバー162の遠位及び中間区画162a、162bを促す。方向「B」でのエンドエフェクタ110のさらなる関節運動により、エンドエフェクタ110の第1の壁188の近位端193が第1の吹き出し板184に接触して、ナイフバー162の遠位及び中間区画162a、162bをエンドエフェクタ110の関節運動動作とは略反対方向に促す。
【0058】
ナイフバー162の第2または中間区画162bは、ナイフ組立体160のトラック170のチャネル172内に配設されているため、方向「D」でのナイフバー162の運動または移行はまた、トラック170を方向「D」に移動させるか、または移行させる。トラック170の近位部分170aの支持構造116に対する軸方向の固定、及びトラック170の遠位部分170bの自由な移動に起因して、トラック170の遠位部分170bは、その近位部分170aの周りで枢動する。
【0059】
ナイフバー162の遠位区画162aは、エンドエフェクタ110の関節運動中に湾曲するが、ナイフバー162の中間区画162bは、ナイフバー162の中間区画162bがトラック170内に延在しているため、直線状態を維持する。ナイフ組立体160のトラック170が方向「D」に枢動すると、トラック170の遠位部分170bは、細長い本体102により画定された中央長手方向軸「X1」の第1の側に向かって移動し、エンドエフェクタ110の遠位部分110b(図2B)は、細長い本体102により画定された中央長手方向軸「X1」の第2の側に向かって移動する。
【0060】
ナイフ組立体160のトラック170がその近位部分170aの周りで枢動すると、ナイフ組立体160のナイフバー162は、ナイフバー162が点「P」でのトラック170の外側に配設されていると仮定した場合、トラック170の近位部分170aの直ぐ近位の点「P」で屈曲する。ナイフバー162の遠位区画162aは、エンドエフェクタ110の関節運動中に方向「B」に屈曲するが、点「P」でのナイフバー162は、方向「D」に屈曲する。このように、ナイフバー162の遠位及び中間区画162a、162bは、ナイフバー162の遠位区画162aの屈曲もしくは湾曲とは反対方向に移行しているか、または枢動している。ナイフバー162の遠位及び中間区画162a、162bを、ナイフバー162の遠位区画162aの屈曲方向のそれとは反対の方向に移動させることにより、ナイフバー162の遠位区画162aの曲率の半径が増加する。ナイフバー162の遠位区画162aの半径を増加させると、方向「B」でのエンドエフェクタ110の関節運動中のナイフバー162にかかる応力を低減させる。
【0061】
反対方向(例えば、方向「D」)での装填ユニット100のエンドエフェクタ110の関節運動が、ナイフ組立体160のナイフバー162における、同様であるが反対方向での現象を生じさせる。具体的には、エンドエフェクタ110が第2の方向「D」に関節運動すると、ナイフバー162の遠位区画162aは、第2の方向「D」に屈曲または湾曲する。エンドエフェクタ110の関節運動の閾値量の達成時に、エンドエフェクタ110の第2の壁190の円弧状側面196は、ナイフ組立体160の第2の吹き出し板186に接触して、ナイフバー162の遠位及び中間区画162a、162bを、第2の方向「D」(例えば、方向「B」)とは略反対方向に促す。
【0062】
ナイフバー162の中間区画162bは、トラック170のチャネル172内に配設されているため、方向「B」でのナイフバー162の中間区画162bの運動または移行がまた、トラック170を方向「B」に移動または枢動させる。トラック170がその近位部分170aの周りで枢動すると、ナイフバー162は、点「P」で屈曲する。ナイフバー162の中間区画162bの直線プロファイルは、トラック170により維持され、点「P」でのナイフバー162は、方向「B」に屈曲する。このように、ナイフバー162の遠位区画162aは、ナイフバー162の遠位及び中間区画162a、162bの移行または移動している方向とは反対方向に屈曲または湾曲している。ナイフバー162の遠位及び中間区画162a、162bを、ナイフバー162の遠位区画162aの屈曲方向のそれとは反対方向に移送させる移動させることにより、ナイフバー162の遠位区画162aの曲率の半径は、増加する。ナイフバー162の遠位区画162aの半径の増加が、方向「D」でのエンドエフェクタ110の関節運動中にナイフバー162にかかる応力を低減させる。
【0063】
図13及び14を参照すると、エンドエフェクタ110のステープルカートリッジ112及びアンビル114を図示している。ステープルカートリッジ112及びアンビル114の各々は、それぞれ、長手方向に延在するチャネル115a、115bを画定している。ナイフ刃164の上部分は、アンビル114のチャネル115b内に摺動可能に捕捉された側方に延在している突起164aを有し、ナイフ刃164の底部分は、ステープルカートリッジ112のチャネル115a内に摺動可能に捕捉された側方に延在している突起164bを有する。チャネル115a、115bは、エンドエフェクタ110を通したナイフ刃164の並進中にナイフ刃164を安定化させるように、ナイフ刃164を内部に支持している。
【0064】
本発明の開示はまた、外科手技を実行するために、及び/または外科用ステープル留め装填ユニットのエンドエフェクタを関節運動させるために、記載されている外科用ステープル留め機器10a、10bを使用する方法に関する。ステープルは、参照により本明細書に組み込まれている、Millimanらに対する米国特許第6,953,139号に開示されている同様の機構を採用したエンドエフェクタのステープルカートリッジから排出され得る。
【0065】
本明細書に明確に記載されており、かつ添付の図に図示されている装填ユニット及び方法は、非制限的で例示的な実施形態であることを、当業者であれば理解するだろう。例示的な一実施形態に関連して図示されているか、または記載されている要素及び特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、別の要素及び特徴と組み合わされ得ると想定される。同様に、当業者であれば、上に記載されている実施形態に基づいて、本開示のさらなる特徴及び利点を理解するだろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲により示されているものを除いて、特に図示及び記載されているものにより限定されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B