(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093725
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】振動呼気陽圧装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20220616BHJP
A61M 16/20 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A61M16/00 320Z
A61M16/20 F
A61M16/00 355Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076874
(22)【出願日】2022-05-09
(62)【分割の表示】P 2020088193の分割
【原出願日】2013-11-29
(31)【優先権主張番号】61/731,861
(32)【優先日】2012-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/733,791
(32)【優先日】2012-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/781,533
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501393922
【氏名又は名称】トルーデル メディカル インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー, アダム
(72)【発明者】
【氏名】コパラ, ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ドブソン, クリス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】アリゾティ, ネリタン
(57)【要約】
【課題】人体内の気管支分泌物を除去するための気管支清浄化技術であるOPEP療法の改良された装置を提供する。
【解決手段】当該呼吸器官治療装置600は、チャンバーを有するハウジング601と、吸入口602と、マウスピース603と、それらの間の吸気流路604と、呼気流路604に配置された制限部材609と、吸入口602に配置された圧力閾値バルブ611とを備える。制限部材609は、吸気流路604に沿った空気の流れに応じて、空気の流れが制限される閉止位置と空気の流れがあまり制限されない開放位置との間で動く。圧力閾値バルブ611は吸入口602において負圧が得られるまでは吸入口602を閉じた状態を維持する。呼吸器官治療装置600はOPEP療法と直列して圧力閾値療法を提供する。
【選択図】
図69
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのチャンバーを有するハウジングと、
前記ハウジング内の空気が前記ハウジングから出ることができるようにするチャンバー出口と、
前記ハウジングの外の空気が前記チャンバーに入ることができるようにするチャンバー入口と、
前記チャンバー入口と前記チャンバー出口との間に画定された流路と、
前記流路内に配置された制限部材であって、前記流路に沿った空気の流れに応じて、前記流路に沿った空気の流れが制限される閉止位置と、前記流路に沿った空気の流れがあまり制限されない開放位置との間で動くようにされた制限部材と、
前記チャンバー入口に関連付けられ、閾値圧力が得られるまで前記チャンバー入口を閉止するようにされた一方向性バルブと、
を備える、呼吸器官治療装置。
【請求項2】
圧力閾値療法と直列に振動圧力療法を提供するようにされた、請求項1に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項3】
前記流路と流体連通した羽根を更に備え、前記羽根が、前記制限部材に動作可能に接続されて、前記流路に沿った空気の流れに応じて第一の位置と第二の位置との間を往復動するようにされた、請求項2に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項4】
前記チャンバー入口と前記チャンバー出口との間に吸気流路が画定されており、前記一方向性バルブが、閾値吸気圧力が得られるまで前記チャンバー入口を閉止するようにされた、請求項1に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項5】
前記吸気流路と流体連通した羽根を更に備え、前記羽根が、前記制限部材に動作可能に接続されて、前記吸気流路に沿った空気の流れに応じて第一の位置と第二の位置との間を往復動するようにされた、請求項4に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項6】
前記吸気流路を進む空気が、前記一方向性バルブを通過し、次いで前記制限部材を通過し、さらに前記羽根を通過するようにされた、請求項5に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項7】
前記流路を進む空気が、閾値圧力が得られると、前記一方向性バルブを通過するようにされた、請求項1に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項8】
前記チャンバー入口を通って前記ハウジングに入った空気の全てが前記チャンバー出口を通って前記ハウジングから出るようにされた、請求項1に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項9】
少なくとも一つのチャンバーを有するハウジングと、
前記ハウジング内の空気が前記ハウジングから出ることができるようにするチャンバー出口と、
前記ハウジングの外の空気が前記チャンバーに入ることができるようにするチャンバー入口と、
前記チャンバー入口と前記チャンバー出口との間に画定された流路と、
前記流路内に配置された制限部材であって、前記流路に沿った空気の流れに応じて、前記流路に沿った空気の流れが制限される閉止位置と、前記流路に沿った空気の流れがあまり制限されない開放位置との間で動くようにされた制限部材と、
前記チャンバー出口に関連付けられて、閾値圧力が得られるまで前記チャンバー出口を閉止するようにされた一方向性バルブと、
を備え、
前記チャンバー入口を通って前記ハウジングに入った空気の全てが前記チャンバー出口を通って前記ハウジングから出るようにされた、呼吸器官治療装置。
【請求項10】
圧力閾値療法と並列に振動圧力療法を提供するようにされた、請求項9に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項11】
前記チャンバー入口と前記チャンバー出口との間に呼気流路が画定されており、前記一方向性バルブが、閾値呼気圧力が得られるまで前記チャンバー出口を閉止するようにされた、請求項9に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項12】
前記呼気流路と流体連通した羽根をさらに備え、前記羽根が、前記制限部材に動作可能に接続されて、前記呼気流路に沿った空気の流れに応じて第一の位置と第二の位置との間を往復動するようにされた、請求項11に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項13】
前記呼気流路を進む空気が、前記制限部材を通過し、次いで前記羽根を通過し、さらに前記一方向性バルブを通過するようにされた、請求項12に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項14】
前記流路と流体連通した羽根を更に備え、前記羽根が、前記制限部材に動作可能に接続されて、前記流路に沿った空気の流れに応じて第一の位置と第二の位置との間を往復動するようにされた、請求項9に記載の呼吸器官治療装置。
【請求項15】
前記流路を進む空気が、閾値圧力が得られたときに、前記一方向性バルブを通過するようにされた、請求項9に記載の呼吸器官治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、呼吸器官治療装置に関し、より詳細には、振動呼気陽圧(「OPEP」)装置に関する。
【0002】
関連出願
本願は、2012年11月30日に出願されて係属中の米国仮出願第61/731,861号、2012年12月5日に出願されて係属中の米国仮出願第61/733,791号、及び2013年3月14日に出願されて係属中の米国仮出願第61/781,533号の利益を主張し、ここに参照して組み入れる。
【背景技術】
【0003】
毎日、人は気管支分泌物の一種である痰を30ミリリットル以上出している。咳は、通常、分泌物を分離して体の気道から除去するのに十分に効果的である。しかし、気道虚脱のようなより重大な気管支閉塞を患っている人にとって、一度だけの咳では閉塞物を除去するのにおそらく十分でない。
【0004】
OPEP療法は、人体内の気管支分泌物を除去するための効果的な気管支の清浄化技術であり、慢性的な閉塞性肺疾患を患っている患者のような気管支閉塞の患者に対する治療や継続的な看護において重要となっている。OPEP療法、すなわち呼息中の呼気圧力の振動が、効果的に肺に背圧を伝え、それによって閉塞した気道が開き、気管支閉塞の一因となる分泌物が分離されると考えられている。
【0005】
OPEP療法は魅力的な治療形態である。なぜならば、それをほとんどの患者に容易に教えることができるし、そのような患者は入院中でも家からでもOPEP療法の施療に対して責任を持つことができるからである。そのため、多くの可搬型のOPEP装置が開発されてきた。
【発明の概要】
【0006】
一形態においては、呼吸器官治療装置は、少なくとも一つのチャンバーを有するハウジングと、少なくとも一つのチャンバー内に空気を受け入れるようにされたチャンバー吸気口と、空気少なくとも一つのチャンバーから空気がでることを許容するようにされた少なくとも一つのチャンバー排気口と、チャンバー吸気口と少なくとも一つのチャンバー排気口との間に形成された流路と、を備える。オリフィスが少なくとも一つのチャンバー内に流路に沿って配置されていて、この流路がこのオリフィスを通るようにされている。羽根が、オリフィスに隣接して配置されて、オリフィスを通る空気の流れに応じて回転するようになっている。羽根の周辺部分は、羽根の中央部分が実質的にオリフィスと整列したときにオリフィスを通る実質的に全ての空気の流れを羽根の一方の側に向けるように、羽根の中央部分に対して曲げられている。羽根の中央部分は、実質的に平面とすることができる。
【0007】
別の形態においては、制限部材は、羽根に動作可能に接続されて、流路に沿う空気の流れが制限される閉止位置と流路に沿う空気の流れがあまり制限されない開放位置との間で回転するようにされている。制限部材と羽根とは、軸によって動作可能に連結されるようにすることができる。制限部材は、軸の回転軸線からずれた位置に重心を有するようにすることができる。重力が、制限部材及び羽根を、羽根の中央部分がオリフィスと整列しない位置に向かって、付勢するようにすることができる。
【0008】
別の形態においては、呼吸器官治療装置は、少なくとも一つのチャンバーを有するハウジングと、少なくとも一つのチャンバー内に空気を受け入れるようにされたチャンバー吸気口と、少なくとも一つのチャンバーから空気が出ることを許容するようにされた少なくとも一つのチャンバー排気口と、チャンバー吸気口と少なくとも一つのチャンバー排気口との間に形成された流路と、を備える。オリフィスが少なくとも一つのチャンバー内に流路に沿って配置されて、この流路がこのオリフィスを通るようにされている。羽根が、オリフィスに隣接して配置されて、オリフィスを通る空気の流れに応じて回転するようになっている。羽根の周辺部分は、オリフィスを通る空気の流れに応じて、羽根の中央部分に対して曲がるようにされている。羽根は、実質的に平面とすることができる。
【0009】
別の形態においては、羽根の周辺部分の柔軟性が、羽根の中央部分の柔軟性よりも大きくなるようにすることができる。羽根の周辺部分と羽根の中央部分とは、少なくとも一つのヒンジ点により分けられるようにすることができる。少なくとも一つのヒンジ点が、溝を有するようにすることができる。
【0010】
別の形態においては、制限部材は、羽根に動作可能に接続されて、流路に沿う空気の流れが制限される閉止位置と流路に沿う空気の流れがあまり制限されない開放位置との間で回転するようにされている。
【0011】
別の形態においては、呼吸器官治療装置は、少なくとも一つのチャンバーを有するハウジングと、少なくとも一つのチャンバー内に空気を受け入れるようにされたチャンバー吸気口と、少なくとも一つのチャンバーから空気が出ることを許容するようにされた少なくとも一つのチャンバー排気口と、チャンバー吸気口と少なくとも一つのチャンバー排気口との間に形成された流路と、を備える。オリフィスが少なくとも一つのチャンバー内に流路に沿って配置されていて、この流路がこのオリフィスを通るようにされている。羽根が、オリフィスに隣接して配置されていて、オリフィスを通る空気の流れに応じて回転するようになっている。羽根は、羽根の中央部分がオリフィスと整列しない位置に向かって付勢されている。羽根は、実質的に平面とすることができる。
【0012】
さらに別の形態においては、羽根は、弾性バンドによって付勢されている。弾性バンドの一端は、羽根の、オリフィスに隣接している側とは反対の側に取り付けられるようにすることができる。
【0013】
別の形態においては、制限部材は、羽根に動作可能に接続されて、流路に沿う空気の流れが制限される閉止位置と流路に沿う空気の流れがあまり制限されない開放位置との間で回転するようにされている。制限部材及び羽根は、軸によって動作可能に連結されるようにすることができる。制限部材は、軸の回転軸線からずれた位置に重心を有するようにすることができる。重力が、制限部材及び羽根を、羽根の中央部分がオリフィスと整列しない位置に向かって、付勢するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【0015】
【
図2】
図1に示すOPEP装置の後方斜視図である。
【0016】
【
図3】
図1のII-II線におけるOPEP装置の断面斜視図であり、OPEP装置の内部構成要素を省略して示す図である。
【0017】
【
図4】
図1のOPEP装置の分解図であり、OPEP装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0018】
【
図5】
図1のIII-III線におけるOPEP装置の断面斜視図であり、OPEP装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0019】
【
図6】
図1のVI-VI線におけるOPEP装置の別の断面斜視図であり、OPEP装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0020】
【
図7】
図1のVII-VII線におけるOPEP装置の別の断面斜視図であり、OPEP装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0021】
【
図8】羽根に動作可能に接続された制限部材の前方斜視図である。
【0022】
【
図9】
図8に示す羽根に動作可能に接続された制限部材の後方斜視図である。
【0023】
【
図10】
図8に示す羽根に動作可能に接続された制限部材の正面図である。
【0024】
【
図11】
図8に示す羽根に動作可能に接続された制限部材の頂面図である。
【0025】
【
図12】可変ノズルの前方斜視図であり、そこを通る呼気の流れがない状態の図である。
【0026】
【
図13】
図12の可変ノズルの後方斜視図であり、そこを通る呼気の流れがない状態の図である。
【0027】
【
図14】
図12の可変ノズルの前方斜視図であり、そこを通る呼気が大流量である状態の図である。
【0028】
【
図15A】
図1のOPEP装置の頂面透視図であり、
図1のOPEP装置の動作の典型例を示す図である。
【
図15B】
図1のOPEP装置の頂面透視図であり、
図1のOPEP装置の動作の典型例を示す図である。
【
図15C】
図1のOPEP装置の頂面透視図であり、
図1のOPEP装置の動作の典型例を示す図である。
【0029】
【
図16】可変ノズルの別の実施形態の前方斜視図であり、そこを通る呼気の流れがない状態の図である。
【0030】
【
図17】
図16の可変ノズルの後方斜視図であり、そこを通る呼気の流れがない状態の図である。
【0031】
【
図18】第二の実施形態に係るOPEP装置の前方斜視図である。
【0032】
【0033】
【
図20】
図18のOPEP装置の分解図であり、OPEP装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0034】
【
図21】
図18のI-I線におけるOPEP装置の断面図であり、OPEP装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0035】
【
図22】
図18のII-II線におけるOPEP装置の断面図であり、OPEP装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0036】
【
図23】
図18のIII-III線におけるOPEP装置の断面図であり、OPEP装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0037】
【
図24】
図18のOPEP装置の調整機構の前方斜視図である。
【0038】
【0039】
【
図26】
図18のOPEP装置に使用するための、羽根に動作可能に接続された制限部材の前方斜視図である。
【0040】
【0041】
【0042】
【
図29A】
図18のOPEP装置内における、
図27の組み立て体の取り付けを説明する部分断面図である。
【
図29B】
図18のOPEP装置内における、
図27の組み立て体の取り付けを説明する部分断面図である。
【0043】
【
図30】
図18のOPEP装置の正面図であり、OPEP装置の調整機能の外観を示す図である。
【0044】
【0045】
【
図32A】
図18のIII-III線におけるOPEP装置の部分断面図であり、OPEP装置の可能な配置を示す図である。
【
図32B】
図18のIII-III線におけるOPEP装置の部分断面図であり、OPEP装置の可能な配置を示す図である。
【0046】
【0047】
【
図34A】
図18のOPEP装置の透視図であり、OPEP装置の調整機構を示す図である。
【
図34B】
図18のOPEP装置の透視図であり、OPEP装置の調整機構を示す図である。
【0048】
【
図35】別の実施形態に係るOPEP装置の前方斜視図である。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【
図39】
図35のI-I線における断面図であり、OPEP装置の内部構成要素を省略した図である。
【0053】
【
図40】
図35のI-I線における断面図であり、OPEP装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0054】
【
図41】
図35のOPEP装置の内部ケーシングの前方斜視図である。
【0055】
【
図42】
図41のI-I線における内部ケーシングの断面図である。
【0056】
【0057】
【
図44】
図35のOPEP装置の制限部材の前方斜視図である。
【0058】
【0059】
【0060】
【
図47】
図35のOPEP装置の調整機構の前方斜視図である。
【0061】
【0062】
【0063】
【
図50】
図35のOPEP装置の可変ノズルの前方斜視図である。
【0064】
【0065】
【
図52】
図35のOPEP装置の一方向性バルブの前方斜視図である。
【0066】
【
図53】別の実施形態に係る呼吸器官治療装置の斜視図である。
【0067】
【0068】
【
図55】
図53のI-I線における呼吸器官治療装置の断面斜視図であり、該装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0069】
【
図56】
図53のII-II線における呼吸器官治療装置の断面斜視図であり、該装置の内部構成要素とともに示す図である。
【0070】
【
図57】
図53のI-I線における呼吸器官治療装置の別の断面斜視図であり、典型的な呼気流路の一部を示す図である。
【0071】
【
図58】
図53のII-II線における呼吸器官治療装置の別の断面斜視図であり、典型的な呼気流路の一部を示す図である。
【0072】
【
図59】
図53のI-I線における別の断面斜視図であり、典型的な吸気流路の一部を示す図である。
【0073】
【
図60】
図53のII-II線における別の断面斜視図であり、典型的な吸気流路の一部を示す図である。
【0074】
【
図61】呼吸器官治療装置の別の実施形態の前方斜視図である。
【0075】
【0076】
【
図63A】
図61の呼吸器官治療装置の前方斜視図であり、装置ハウジングに形成された開口部を示す図である。
【
図63B】
図61の呼吸器官治療装置の後方斜視図であり、装置ハウジングに形成された開口部を示す図である。
【0077】
【
図64A】
図61の呼吸器官治療装置の正面図であり、呼気、吸気、またはその両方によって選択的にOPEP療法の施療を制御するための開口部に対するスイッチの位置を示す図である。
【
図64B】
図61の呼吸器官治療装置の正面図であり、呼気、吸気、またはその両方によって選択的にOPEP療法の施療を制御するための開口部に対するスイッチの位置を示す図である。
【
図64C】
図61の呼吸器官治療装置の正面図であり、呼気、吸気、またはその両方によって選択的にOPEP療法の施療を制御するための開口部に対するスイッチの位置を示す図である。
【0078】
【
図65】
図62のI-I線における呼吸器官治療装置の断面図である。
【0079】
【
図66】
図62のII-II線における呼吸器官治療装置の断面図である。
【0080】
【
図67】OPEP療法と直列に圧力閾値療法を実施するようにされた、別の実施形態に係る呼吸器官治療装置の前方斜視図である。
【0081】
【
図68】
図67の呼吸器官治療装置のI-I線における断面図である。
【0082】
【
図69】
図67の呼吸器官治療装置のI-I線における別の断面図である。
【0083】
【
図70】
図67の呼吸器官治療装置のII-II線における断面図である。
【0084】
【
図71】OPEP療法と並列に圧力閾値療法を実施するようにされた、別の実施形態に係る呼吸器官治療装置の前方斜視図である。
【0085】
【
図72】
図71の呼吸器官治療装置のI-I線における断面図である。
【0086】
【
図73】
図71の呼吸器官治療装置のI-I線における別の断面図である。
【0087】
【
図74】
図71の呼吸器官治療装置のII-II線における断面図である。
【0088】
【
図75】
図71の呼吸器官治療装置のIII-III線における断面図である。
【0089】
【
図76】呼息期間中に制限部材が閉止位置から開放位置にまで回転したときの、
図35のOPEP装置の制限部材と羽根との周りでの正味トルクの典型例を示す図である。
【0090】
【
図77A】
図35のOPEP装置の断面図であり、呼息期間中に制限部材が閉止位置から開放位置にまで回転したときの、いくつかの位置での制限部材と羽根の位置を示す図である。
【
図77B】
図35のOPEP装置の断面図であり、呼息期間中に制限部材が閉止位置から開放位置にまで回転したときの、いくつかの位置での制限部材と羽根の位置を示す図である。
【
図77C】
図35のOPEP装置の断面図であり、呼息期間中に制限部材が閉止位置から開放位置にまで回転したときの、いくつかの位置での制限部材と羽根の位置を示す図である。
【
図77D】
図35のOPEP装置の断面図であり、呼息期間中に制限部材が閉止位置から開放位置にまで回転したときの、いくつかの位置での制限部材と羽根の位置を示す図である。
【0091】
【
図78A】呼息期間中に
図35のOPEP装置の制限部材と羽根とに加わるトルクを示す図である。
【
図78B】呼息期間中に
図35のOPEP装置の制限部材と羽根とに加わるトルクを示す図である。
【
図78C】呼息期間中に
図35のOPEP装置の制限部材と羽根とに加わるトルクを示す図である。
【
図78D】
図35のOPEP装置の制限部材と羽根に対する改良を示す図である。
【
図78E】
図35のOPEP装置の制限部材と羽根に対する改良を示す図である。
【
図78F】
図35のOPEP装置の制限部材と羽根に対する改良を示す図である。
【
図78G】
図35のOPEP装置の制限部材と羽根に対する改良を示す図である。
【
図78H】
図35のOPEP装置の制限部材と羽根に対する改良を示す図である。
【0092】
【
図79A】呼息期間中に
図35のOPEP装置の制限部材に加わるトルクを示し、またそれに対する改良を示す頂面図である。
【
図79B】呼息期間中に
図35のOPEP装置の制限部材に加わるトルクを示し、またそれに対する改良を示す頂面図である。
【0093】
【
図80A】呼息期間中に
図35のOPEP装置の制限部材と羽根とに加わるトルクを示し、またそれに対する改良を示す頂面図である。
【
図80B】呼息期間中に
図35のOPEP装置の制限部材と羽根とに加わるトルクを示し、またそれに対する改良を示す頂面図である。
【0094】
【
図81B】別の実施形態に係る重りを有する羽根及び軸を示す図である。
【
図81C】別の実施形態に係る重りを有する羽根及び軸を示す図である。
【
図81D】別の実施形態に係る重りを有する羽根及び軸を示す図である。
【
図81E】別の実施形態に係る重りを有する羽根及び軸を示す図である。
【0095】
【
図82A】
図35のOPEP装置の断面図であり、羽根に取り付けられた付勢部材を示す図である。
【
図82B】
図35のOPEP装置の断面図であり、羽根に取り付けられた付勢部材を示す図である。
【
図82C】
図35のOPEP装置の断面図であり、羽根に取り付けられた付勢部材を示す図である。
【0096】
【
図83A】シャトル弁を備えるように改良した、
図35のOPEP装置の部分断面図である
【
図83B】シャトル弁を備えるように改良した、
図35のOPEP装置の部分断面図である
【0097】
【
図84A】
図35のOPEP装置の部分断面図であり、分流器がないときの制限部材周りでの正味トルクを示す図である。
【
図84B】
図35のOPEP装置の部分断面図であり、分流器があるときの制限部材周りでの正味トルクを示す図である。
【0098】
【
図85A】吸息期間中に制限部材と羽根とが回転するようにされた、
図35のOPEP装置の断面図である。
【
図85B】吸息期間中に制限部材と羽根とが回転するようにされた、
図35のOPEP装置の断面図である。
【
図85C】吸息期間中に制限部材と羽根とが回転するようにされた、
図35のOPEP装置の断面図である。
【0099】
【発明を実施するための形態】
【0100】
OPEP療法は、動作条件の範囲内において有効である。例えば、成人の呼気流量は10から60リットル/分の範囲であり、呼気の静圧は8から18cmH2Oの範囲に維持される。これらのパラメータの範囲内において、OPEP療法は、呼気圧力(すなわち振幅)が10から40Hzの周波数で振動しながら、5から20cmH2Oの範囲での変化があるときに、最も効果的であると考えられている。一方で、未成年者の呼気流量はずっと低いかもしれないし、また呼気の静圧も低く維持されるかもしれない。そのため、OPEP療法の施療にとって最も効率的となる動作条件は変わる。同様に、呼吸器疾患を患っている人や、対照的に健康な運動選手にとっての理想的な動作条件は、平均的な成人のものとは異なっているかもしれない。後述するように、ここに開示したOPEP装置の構成要素は、理想的な動作条件(すなわち、振動圧力の振幅や周波数)が特定されて維持されるように、選択可能であったり調整可能であったりする。ここに開示するいくつかの実施形態では、上述の望ましい範囲内の周波数および振幅を実現することができる。ここに開示するいくつかの実施形態ではまた、先に説明した範囲の外の周波数および振幅の範囲を実現するようにすることもできる。
第1の実施形態
【0101】
図1-4には、OPEP装置100の、前方斜視図、後方斜視図、前方断面斜視図、分解図がそれぞれ示されている。説明のために、
図3においては、OPEP装置100の内部構成要素が省略されている。OPEP装置100は概して、ハウジング102、チャンバー吸気口104、第1のチャンバー排気口106、第2のチャンバー排気口108(
図2及び7に最もよく示されている)、及びチャンバー吸気口104と流体連通するマウスピース109を備える。
図1-4においては、マウスピース109はハウジング102と一体に形成されているように示されているが、マウスピース109は、理想的な動作条件を維持するように、取り外して、大きさや形状が異なるマウスピース109と置き換え可能とすることも想定される。概して、ハウジング102及びマウスピース109は、ポリマーのような耐久性のあるどのような材料によっても構成することができる。そのような材料の一つとして、ポリプロピレンがある。または、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)を使用することもできる。
【0102】
また、呼吸管やガスマスク(図示しない)のような他の又は追加のインターフェースをマウスピース109と流体連通させたり、ハウジング102に関連づけたりして取り付けることもできる。例えば、ハウジング102に、マウスピース109と流体連通する別体の一方向性吸息バルブ(図示しない)を有する吸入口(図示しない)を設けて、OPEP装置100の使用者が、呼息期間と吸息期間との間にOPEP装置100のマウスピース109を出すことなく、この一方向性バルブを通して周囲空気を吸息するとともにチャンバー吸気口104を通して呼息することができるようにすることができる。加えて、エアロゾル療法とOPEP療法とを同時に実施するために、いかなる数のエアロゾル送達装置を、例えば上述の吸入口を介して、OPEP装置100に接続してもよい。吸気口が、使用者がOPEP装置100とともに使用しようとする特定のエアロゾル送達装置の排気口や異なるマウスピースに対して適合可能な、例えば弾性のあるアダプター又は他の柔軟なアダプターを有するようにできる。本明細書においては、エアロゾル送達装置との用語には、以下に限定するものではないが、例えば、ネブライザー、ソフトミスト吸入器、加圧定量吸入器、ドライパウダー吸入器、保持チャンバーと加圧定量吸入器との組み合わせ、又は同種のものが含まれる。適した市販のエアロゾル送達装置には、以下に限定するものではないが、AEROECLIPSE nebulizer、RESPIMAT soft mist inhaler、LC Sprint nebulizer、AEROCHAMBER PLUS holding chambers、MICRO MIST nebulizer、SIDESTREAM nebulizer、Inspiration Elite nebulizer、FLOVENT pMDI、VENTOLIN pMDI、AZMACORT pMDI、BECLOVENT pMDI、QVAR pMDI and AEROBID PMDI、XOPENEX pMDI、PROAIR pMDI、PROVENT pMDI、SYMBICORT pMDI、TURBOHALER DPI、及びDISKHALER DPIが含まれる。適したエアロゾル送達装置の記載は、米国特許第4,566,452号公報;第5,012,803号公報;第5,012,804号公報;第5,312,046号公報;第5,497,944号公報;第5,622,162号公報;第5,823,179号公報;第6,293、279号公報;第6,435、177号公報;第6,484,717号公報;第6,848,443号公報;第7,360,537号公報;第7,568,480号公報;及び第7,905,228号公報にあり、参照することによりこれらの全体を本明細書に組み入れる。
【0103】
図1-4においては、ハウジング102は概して箱型である。しかし、いかなる形状のハウジング102を使用することもできる。さらに、チャンバー吸気口104、第1のチャンバー排気口106、及び第2のチャンバー排気口108は、複数(すなわち、2つ以上)の円形通路または直線状長穴のような、いかなる形状または一連の形状とすることができる。さらに重要なことには、当然のことながら、チャンバー吸気口104、第1のチャンバー排気口106、及び第2のチャンバー排気口108の断面形状は、後述する理想的な動作条件に影響を与える要因のほんの一部に過ぎない。
【0104】
好ましくは、ハウジング102は、理想的な動作条件を維持するために、それに含まれる構成要素が定期的にアクセスされ、清掃され、交換され、または再構成されるように、開けることができる。そのため、ハウジング102は、
図1-4において、前方部分101、中間部分103、及び後方部分105を有するものとして示されている。前方部分101、中間部分103、及び後方部分105は、OPEP装置100がOPEP療法を適切に施すのに十分な程度の密封を相互部分間に形成するように、スナップフィットや圧入などのようなあらゆる適当な手段によって、互いに取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0105】
図3に示すように、破線で示されている呼気流路110は、マウスピース109と、第1のチャンバー排気口106及び第2のチャンバー排気口108(
図7)とのうちの少なくとも一つとの間に形成される。より具体的には、呼気流路110は、マウスピース109の部分から始まり、チャンバー吸気口104を通り、そして第1のチャンバー114すなわち入口チャンバー内に入る。第1のチャンバー114において、呼気流路は、180度曲がり、チャンバー通路116を通り、そして第2のチャンバー118すなわち出口チャンバー内に入る。第2のチャンバー118において、呼気流路110は、第1のチャンバー排気口106及び第2のチャンバー排気口108のうちの少なくとも一つを通って、OPEP装置100を出る。このようにして、呼気流路110は「折り返し」、すなわち、チャンバー吸気口104と第1のチャンバー排気口106及び第2のチャンバー排気口108のうちの少なくとも一つとの間において長手方向で反転される。しかし、破線で示される呼気流路110は例示的なものであり、OPEP装置100内に吐かれた空気が、マウスピース109又はチャンバー吸気口104から第1のチャンバー排気口106又は第2のチャンバー排気口108にまで進む際に、如何なる方向や経路にも流れうることは、当業者には当然のことであろう。
【0106】
図3は、OPEP装置100のハウジング102に関連したいくつかの他の特徴部を示している。例えば、押え部122は、後述するように、制限部材130(
図5)が間違った方向に開くことを防止しており、制限部材130を収容する形状とされた座部124は、チャンバー吸気口104の周りに形成され、上部軸受部126と下部軸受部128とがハウジング102内に形成されてその間に回転可能に取り付けられた軸を収容するようにされている。一つ又は複数のガイド壁120が、第2のチャンバー118内に配置されていて、呼気を呼気流路110に沿って案内する。
【0107】
図5-7には、OPEP装置100の断面斜視図がその内部構成要素とともに示されている。OPEP装置100の内部構成要素は、制限部材130と、羽根132と、任意的な可変ノズル136とを備える。図示のように、制限部材130と羽根132とは、上部軸受部126と下部軸受部128との間に回転可能に取り付けられた軸134によって動作可能に連結されており、制限部材130と羽根132とが軸134の周りで一緒に回転可能となるようになっている。より詳細な点は後述するが、可変ノズル136は、そこを通る呼気の流れに応じてサイズが大きくなるようにされたオリフィス138を有する。
【0108】
図4-6はさらに、ハウジング102内の第1のチャンバー114及び第2のチャンバー118の分割された部分を示している。上述のように、チャンバー吸気口104は第1のチャンバー114への入り口を形成している。制限部材130は、チャンバー吸気口104の周囲の座部124に対して第1のチャンバー114の中側に配置されて、チャンバー吸気口104を通る呼気流路110に沿った呼気の流れが制限される閉止位置と、チャンバー吸気口104を通る呼気の流れがあまり制限されない開放位置との間で移動可能となっている。同様に、任意のものである可変ノズル136は、第1のチャンバー114に入った呼気の流れが可変ノズル136のオリフィス138を通って第1のチャンバー114から出るように、チャンバー通路116の周り又は中に配置されている。可変ノズル136のオリフィス138を通って第1のチャンバー114に入った呼気は、羽根132とガイド壁120とによって占められたハウジング102内における空間によって形成される第2のチャンバーに入る。羽根132の位置に応じて、呼気は、その後、第1のチャンバー排気口106と第2のチャンバー排気口108とのうちの少なくとも一方を通って第2のチャンバー118から出ることができる。
【0109】
図8-14は、OPEP装置の内部構成要素100をより詳細に示す。まず
図8-9を見ると、前方斜視図と後方斜視図とによって、軸134によって羽根132に動作可能に接続された制限部材130が示されている。制限部材130及び羽根132は、制限部材130が回転することによって羽根132が対応して回転し、またその逆も生じるように、軸134の周りで回転可能とされている。ハウジング102と同様に、制限部材130及び羽根132は、ポリマーのような耐久性のあるどのような材料によっても作製することができる。好ましくは、それらは、低収縮、低摩擦のプラスチックで構成される。そのような材料の一つとして、アセタールがある。
【0110】
図示のように、制限部材130、羽根132、及び軸134は、一体の部材として形成される。制限部材130は概して円板状であり、羽根132は平面である。制限部材130は、軸134からずれている略円形の面140と、チャンバー吸気口104の周りに形成された座部124に係合する形状とされた、傾斜すなわち面取りをした縁142とを有する。このように、制限部材130は、チャンバー吸気口104を通る呼気の流れを実質的に密封して制限する閉止位置において座部124に係合するように、軸134によって形成される回転軸線の周りでチャンバー吸気口104に対して動くようにされている。しかし、制限部材130及び羽根132は、それらが、理想的な動作条件を維持するように選択された、異なる形状、大きさ、又は重さの制限部材130又は羽根132と独立して交換可能であるように、適当な手段によって連結される別々の構成要素として形成されてもよいことが想定される。例えば、制限部材130や羽根132は、一つ又は複数の起伏のある表面を有していてもよい。または、制限部材130はバタフライバルブによって構成されていてもよい。
【0111】
図10には、制限部材130及び羽根132の正面図が示されている。上述のように、制限部材130は軸134からずれた略円形の面140を備える。制限部材30はさらに、閉止位置と開放位置との間の制限部材130の動きを容易にするように設計された第2のずれを有する。より具体的には、制限部材130の面140の中心点144が、放射方向でのずれと、軸134すなわち回転軸線とによって形成される平面からずれている。言い換えると、制限部材130の面140の表面積のうち軸134の一方の側の部分が、軸134の他方の側の部分に比べて、より大きくなっている。呼気により生ずるチャンバー吸気口104における圧力が、制限部材130の面140に作用する力をもたらす。制限部材130の面140の中心点144が上述のようにずれているので、その結果として生じる力の差により、軸134周りでのトルクが生じる。詳細は後述するが、このトルクが閉止位置と開放位置との間における制限部材30の動きを促す。
【0112】
図11には、制限部材130及び羽根132の頂面図が示されている。図示のように、羽根132は制限部材130の面140に対して75°の角度で軸134に取り付けられている。羽根132の角度は、上述のように理想的な動作条件を維持するように選択的に調整されることが想定されるが、好ましくは、60°から80°の間に維持される。また好ましくは、OPEP装置100が完全に組み立てられて制限部材130が閉止位置にあるときに、可変ノズル136の中心線と羽根132との間の角度が10°から25°の間となるように、羽根132及び制限部材130が構成される。また、その構成に関わらず、制限部材130と羽根132との組み合わせが、軸134すなわち回転軸線上に重心を有するのが好ましい。本明細書の開示の全体からすれば、羽根132の角度は、ハウジング102の大きさや形状によって制限されて、羽根132及び制限部材130の全回転の概して半分より小さくなることは当業者にとって明らかである。
【0113】
図12及び
図13には、可変ノズル136の前方斜視図及び後方斜視図が、そこを通る呼気の流れがない状態で示されている。概して、可変ノズル136は、頂部と底部の壁146、側壁148、及びそれらの間に形成されたV字スリット150を有する。図示のように、可変ノズルは概してダックビル型バルブのような形をしている。しかし、他の形状や大きさのノズルやバルブを使用することも当然に可能である。可変ノズル136は、ハウジング102内において第1のチャンバー114と第2のチャンバー118との間に可変ノズル136を取り付けるように構成されたリップ部152を有していてもよい。可変ノズル136は、シリコンのような適度な柔軟性を有するどのような材料によって構成又は成形されていてもよく、好ましくは、0.50から2.00ミリメートルの厚さの壁と、0.25から1.00ミリメートルの幅、又は製造能力によってはより小さい幅のオリフィスとを有する。
【0114】
上述のように、可変ノズル136は、OPEP装置100の動作上、任意のものである。OPEP装置100は、チャンバー通路116と可変ノズル136との両方を省略して、単一チャンバーの形態とすることも当然に可能である。OPEP装置100は、可変ノズル136なしでも機能はするが、可変ノズル136を備えた状態で動作すると、OPEP装置100の性能は呼気流量のより広い範囲に亘って向上する。可変ノズル136がないときのチャンバー通路116、または可変ノズル136が含まれるときの可変ノズル136のオリフィス138は、増速した呼気の噴流を生じさせる役目を果たす。以下で詳細に説明するように、第2のチャンバー118に流入する呼気の速度が増加することで、呼気によって羽根132に加えられる力が比例的に増加し、そして、軸134周りでのトルクが増加するが、これら全てが理想的な動作条件に影響を与える。
【0115】
可変ノズル136なしの状態では、第1のチャンバー114と第2のチャンバー118との間のオリフィスは、チャンバー通路116の大きさ、形状、及び断面積に従って決定され、それらは、ハウジングの中間部分103や後方部分105を交換するなどの適切な手段によって選択的に調整することができる。一方で、可変ノズル136がOPEP装置100内に含まれる場合には、第1のチャンバー114と第2のチャンバー118との間のオリフィスは、可変ノズル136のオリフィス138の大きさ、形状、及び断面積によって形成され、それらは呼気の流量や第1のチャンバー114内の圧力に応じて変化する。
【0116】
図14には、可変ノズル136の前方斜視図が、そこを通る呼気の流れがある状態で、示されている。
図14に示す可変ノズル136の一つの特徴は、オリフィス138がそこを通る呼気の流れに応じて開いた際にオリフィス138の断面形状が略長方形に維持され、それにより、OPEP療法の施療中において可変ノズル136を第1のチャンバー114(
図3、
図5)から第2のチャンバー118に向かって通過するときの圧力降下がより小さくなることにある。流量が増加しているときの、可変ノズル136のオリフィス138の略一貫した長方形形状は、頂部及び底部の壁146と側壁148との間に形成されるV字スリット150によって実現され、V字スリット150は側壁148が無制限に曲がるようにするのに役立つ。V字スリット150は、そこを通る呼気の漏れを最小限にするためにできる限り細くされるのが好ましい。例えば、V字スリット150の幅はおよそ0.25ミリメートルであるが、製造装置の能力によっては、0.10から0.50ミリメートルの範囲内とすることもできる。V字スリット150を通って漏れる呼気は、最終的には第2のチャンバー118内でハウジング102から突出しているガイド壁120によって、呼気流路に沿うように向けられる。
【0117】
当然のことながら、可変ノズル136が有する、OPEP装置100の性能に影響を与える効果には、可変ノズル136の形状や材質を含む多数の要因が関係している。単なる一例として、呼気流量15リットル/分で10から13Hzという目標振動圧力周波数を実現するために、一実施形態においては、1.0×20.0ミリメートルの通路すなわちオリフィスを利用することができる。しかし、呼気流量が増加するとこの実施形態における振動圧力の周波数も増加するが、それは目標周波数に比べて急すぎる変化率となる。呼気流量45リットル/分で18から20Hzという目標振動圧力周波数を実現するために、同実施形態で3.0×20.0ミリメートルの通路すなわちオリフィスを利用することができる。このような関係性は、通路すなわちオリフィスが、可変ノズル136を隔てた圧力の降下を制限するために、呼気流量が増加したときに断面積が拡大することが望ましいことを明示している。
【0118】
図15A-Cには、OPEP装置100の頂面透視図によって、OPEP装置100の動作の典型的な図が示されている。具体的には、
図15Aは、初期位置、すなわちチャンバー吸気口104を通過する呼気の流れが制限されて羽根132が第1位置にあって呼気の流れを第1のチャンバー排気口106に向ける閉止位置、にある制限部材130を示している。
図15Bは、チャンバー吸気口104を通過する呼気の流れがあまり制限されなくなり、羽根132が可変ノズル136から流出する呼気の噴流に対してまっすぐに整列した、部分的な開放位置にある制限部材130を示している。
図15Cは、チャンバー吸気口104を通過する呼気の流れがさらに制限されなくなり、羽根132が第2位置となって、呼気の流れを第2のチャンバー排気口108に向ける開放位置にあるときの制限部材130を示している。当然のことながら、後述するサイクルはOPEP装置100の動作の単なる典型例であり、また多数の要因がOPEP装置100の動作に影響を与え、その結果、記載されたサイクルから逸脱することもある。しかし、OPEP装置100の動作中、制限部材130及び羽根132は、概して
図15Aに示す位置と15Cに示す位置との間で往復動する。
【0119】
OPEP療法の施療中、制限部材130及び羽根132は、最初、
図15Aに示すように位置するかもしれない。この位置において、制限部材130は、チャンバー吸気口104を通過して呼気流路に沿う呼気の流れが実質的に制限される閉止位置にある。そのため、使用者がマウスピース108内に息を吐くと、チャンバー吸気口104における呼気圧力が上昇する。チャンバー吸気口104における呼気圧力が上昇すると、それに対応して制限部材130の面140に作用する力が大きくなる。上述のように、面140の中心点144が径方向のずれと軸134とによって形成される平面からずれているので、その結果として生じる合力が軸周りでの負のトルク、すなわち開放トルクを生み出す。これにより、開放トルクが制限部材130を回転させて開放するように付勢して、呼気が第1のチャンバー114に入るようにし、また、羽根132をその第1位置から離れるように付勢する。制限部材130が開き、呼気が第1のチャンバー114に導入されると、チャンバー吸気口104での圧力が降下して制限部材の面140に作用する力が小さくなり始めて、制限部材130を付勢しているトルクが小さくなり始める。
【0120】
呼気がチャンバー吸気口104を通過して第1のチャンバー114に流入し続けると、呼気は、第1のチャンバー114と第2のチャンバー118との間に配置されたチャンバー通路116に到達するまで、ハウジング102によって呼気流路110に沿って案内される。もしOPEP装置100が可変ノズル136なしで動作されると、呼気は、呼気の噴流を形成する断面積の減少によりチャンバー通路116を通って加速される。同様に、もしOPEP装置100が可変ノズル136ありで動作されると、呼気は、可変ノズル136のオリフィス138を通って加速し、オリフィス138を通過する圧力が可変ノズル136の側壁148を外側に曲げ、それによりオリフィス138の大きさが増加し、また結果としてそこを通る呼気の流れも増加する。いくらかの呼気が可変ノズル136のV字スリット150から漏れている程度においては、その呼気はハウジング102内に突出するガイド壁120によって呼気の噴流に戻されて、呼気流路に沿って案内される。
【0121】
次に、呼気が可変ノズル136やチャンバー通路116を通過して第1のチャンバー114から出て第2のチャンバー118に入ると、呼気は羽根132によってハウジング102の前方部分101に向けて案内され、逆方向に向けられた後に開放した第1のチャンバーの排気口106を通ってOPEP装置100から出る。ハウジング102の前方部分101に向かって呼気の方向が変化することによって、ハウジング102の前方部分101の近くでの第2のチャンバー118内での圧力が蓄積し、これにより、隣接する羽根132への力が生じ、追加的な軸134周りでの負のトルクすなわち開放トルクが生じる。制限部材130の面140及び羽根132に作用する力によって軸134の周りで生じる複合した開放トルクが、制限部材130及び羽根132を
図15Aに示す位置から
図15Bに示す位置に向かって軸134周りで回転させる。
【0122】
制限部材130及び羽根132が
図15Bに示す位置に回転すると、羽根132は可変ノズル136又はチャンバー通路116から出る呼気の噴流を横断する。最初、可変ノズル136又はチャンバー通路116からの呼気の噴流は羽根132上に力を生じさせ、その力が、羽根132、軸134、及び制限部材130の運動量とともに、羽根132及び制限部材130を
図15Cに示す位置にまで推進する。しかし、
図15Bに示す位置のあたりでは、可変ノズル136からの呼気によって羽根132に作用する力が、負のトルクすなわち開放トルクから正のトルクすなわち閉止トルクへと切り替わる。より具体的には、呼気が可変ノズル136を通過して第1のチャンバー114から出て第2のチャンバー118に入ると、呼気は羽根132によってハウジング102の前方部分101に向けて案内され、逆方向に向けられた後に開放した第2のチャンバーの排気口108を通ってOPEP装置100から出る。ハウジング102の前方部分101に向かって呼気の方向が変化することによって、ハウジング102の前方部分101の近くでの第2のチャンバー118内での圧力が蓄積し、これにより、隣接する羽根132への力が生じ、軸134周りでの正のトルクすなわち閉止トルクが生じる。羽根132及び制限部材130が
図15Cに示す位置に近づくように移動し続けると、第2のチャンバー118内のハウジング102の前方部分101の近くに蓄積する圧力及びこれによる軸134周りでの正のトルクすなわち閉止トルクが増加し続けて、呼気流路110に沿ってチャンバー吸気口104を通過する呼気の流れがあまり制限されなくなる。その一方で、制限部材130上に作用する力による軸134周りでのトルクも
図15Bに示す位置のあたりで負のトルクすなわち開放トルクから正のトルクすなわち閉止トルクに切り替わるが、その大きさは、制限部材130及び羽根132が
図15Bに示す位置から
図15Cに示す位置に回転するときには基本的には無視できるほどのものである。
【0123】
羽根132及び制限部材130は、
図15Cに示す位置に到達した後には、軸134周りでの正のトルクすなわち閉止トルクの増加によって、逆向きに
図15Bに示す位置に向かって戻るように回転し始める。羽根132及び制限部材130が
図15Bに示す位置に近づき、チャンバー吸気口104を通る呼気の流れがだんだんと制限されていくと、軸134周りでの正のトルクすなわち閉止トルクが減少し始める。制限部材130及び羽根132が
図15Bに示す位置に到達すると、羽根132が可変ノズル136又はチャンバー通路116から出る呼気の噴流を横断し、これにより羽根132上への力が、羽根132、軸134、及び制限部材130の運動量とともに、羽根132及び制限部材130を
図15Aに示す位置にまで戻すように推進する。制限部材130及び羽根132が
図15Aに示す位置にまで戻った後は、チャンバー吸気口104を通過する呼気の流れが制限され、そして、上述のサイクルが繰り返される。
【0124】
当然のことながら、一回の呼気期間中に、上述のサイクルは何度も繰り返される。このようにして制限部材130が、チャンバー吸気口104を通過する呼気の流れが制限される閉止位置とチャンバー吸気口104を通過する呼気の流れがあまり制限されなくなる開放位置との間で繰り返し動くことで、OPEP装置100の使用者に振動する背圧が伝わり、OPEP療法が施される。
【0125】
ここで
図16-17を見ると、別の実施形態に係る可変ノズル236が示されている。可変ノズル236は、OPEP装置100において、上述の可変ノズル136に替えて使用できる。
図16-17に示すように、可変ノズル236は、オリフィス238、頂部及び底部の壁246、側壁248、及びリップ部252を有し、該リップ部252は、可変ノズル136と同様に、OPEP装置100のハウジング内において第1のチャンバー114と第2のチャンバー118との間に可変ノズル236を取り付けるように構成されている。
図12-13に示す可変ノズル136と同様に、この可変ノズル236は、シリコンのような適度な柔軟性を有するどのような材料によって構成又は成形されていてもよい。
【0126】
OPEP療法の施療中に、可変ノズル236のオリフィス238がそこを通る呼気の流れに応じて開いた際に、オリフィス238の断面形状は略長方形に維持され、それにより、可変ノズル236を第1のチャンバー114から第2のチャンバー118に向かって通過するときの圧力降下がより小さくなる。流量が増加しているときの、可変ノズル236のオリフィス238の略一貫した長方形形状は、頂部及び底部の壁246に形成された薄くて、折り目の付けられた壁によって実現され、これにより側壁248がより容易に且つより小さい抵抗で曲がることを可能とする。当該実施形態のさらなる利点として、呼気が可変ノズル236のオリフィス238を通って流れている間に、例えば、
図12-13に示す可変ノズル136のV字スリット150を介した漏れのような、頂部及び底部の壁246からの外部への漏れがないことがある。
【0127】
ある応用においては正の呼気圧力だけ(振動なし)が望まれ、そのような場合にはOPEP装置100は、制限部材130なしとし、固定されたオリフィスまたは手動調整可能なオリフィスを代わりに使って動作させてもよいことは当業者にとって当然であろう。正の呼気圧力の実施形態は、望ましい範囲内において背圧を比較的に一定に維持するために、可変ノズル136又は可変ノズル236を備えてもよい。
第二の実施形態
【0128】
ここで
図18-19を見ると、第二の実施形態に係るOPEP装置200の前方斜視図及び後方斜視図が示されている。OPEP装置200の構成及び動作は、OPEP装置100と同様である。しかし、
図20-24に最もよく示されるように、OPEP装置200はさらに、ハウジング202と制限部材230とに対するチャンバー吸気口204の相対的位置を変更するようにされた調整機構253を備え、この調整機構253に対して操作可能に取り付けられた羽根232の回転範囲を変更するようになっている。それによって、以下で説明するように、使用者は、ハウジング202を開けたりOPEP装置200の構成要素を分解したりすること無く、OPEP装置200によって施療されるOPEP療法の周波数と振幅との両方を簡便に調整することが可能となる。
【0129】
OPEP装置200は、概して、ハウジング202、チャンバー吸気口204、第1のチャンバー排気口206(
図23、
図32)、第2のチャンバー排気口208(
図23、
図32)、及びチャンバー吸気口204と流体連通するマウスピース209を備える。OPEP装置100と同様に、前方部分201、中間部分203、及びハウジング202の後方部分205は、理想的な動作条件を維持するために、それに含まれる構成要素が定期的にアクセスされ、清掃され、交換され、または再構成されるように、分解可能である。OPEP装置は、後述するように、調整ダイヤル254も有する。
【0130】
OPEP装置100に関連して上述したように、OPEP装置200は、エアロゾル送達装置などの他の又は追加のインターフェースとともに使用できるようにしてもよい。これに関連して、OPEP装置200は、マウスピース209とチャンバー吸気口204とに流体連通した吸入口211(
図19、
図21、
図23)を備える。上述の通り、吸入口が一方向性バルブ(図示しない)を有していて、OPEP装置200の使用者が、吸息期間と呼息期間との間にOPEP装置200のマウスピース209を出すことなく、この一方向性バルブを通して周囲の空気を吸息し且つチャンバー吸気口204を通して呼息することができるようにすることができる。加えて、上述のエアロゾル送達装置を吸入口211に取り付けて、エアロゾル療法とOPEP療法との同時施療を行うようにすることもできる。
【0131】
OPEP装置200の分解図が
図20に示されている。上述のハウジングの構成要素に加えて、OPEP装置200は、ピン231によって羽根232に動作可能に接続された制限部材230、調整機構253、及び可変ノズル236を備える。
図21の断面図に示すように、OPEP装置200の使用中、可変ノズル236は中間部分203とハウジング202の後方部分205との間に位置し、調整機構253、制限部材230、及び羽根232の組み立て体を形成している。
【0132】
図21-23には、いくつかのOPEP装置200の断面斜視図が示されている。OPEP装置100と同様に、破線によって示される呼気流路210は、マウスピース209と、第1のチャンバー排気口206と第2のチャンバー排気口208(
図23、
図32)とのうちの少なくとも一方との間に形成される。呼気流路210は、一方向性バルブ(図示しない)や吸入口211に取り付けられたエアロゾル送達装置(図示しない)によって、動作中に制限部材230によって閉じられたり閉じられなかったりするかもしれないが、マウスピース209から始まりチャンバー吸気口204に向けられる。チャンバー吸気口204を通過後、呼気流路210は、第1のチャンバー214に入り、そして可変ノズル236に向かって180°曲がる。可変ノズル236のオリフィス238を通過後、呼気流路210は第2のチャンバー218に入る。第2のチャンバー218において、呼気流路210は、第1のチャンバー排気口206と第2のチャンバー排気口208とのうちの少なくとも一方を通ってOPEP装置200から出る。破線によって示される呼気流路210は例示的なものであり、OPEP装置200内に吐かれた空気が、マウスピース209又はチャンバー吸気口204から第1のチャンバー排気口206又は第2のチャンバー排気口208にまで横断する際に、如何なる方向や経路にも流れ得ることは、当業者には当然のことであろう。
【0133】
図24-25を参照すると、OPEP装置200の調整機構253の前方及び後方からの斜視図が示されている。概して、調整機構253は、調整ダイヤル254、軸255、及びフレーム256を備える。後述するように、突起258が調整ダイヤルの後方面260に配置されていて、使用者による調整機構253の選択的回転を制限するようになっている。軸255は、ハウジング200(
図21、
図28-29)に形成された上部及び下部軸受部226、228内に嵌合するようにされたキー溝部262を有する。軸は、制限部材230と羽根232とを動作可能に連結するためのピン231を受け入れるようにされた軸方向穴264をさらに有する。図示のように、フレーム256は、球状であり、以下で説明するように、ハウジング202に対して回転すると同時に、ハウジング202とフレーム256との間にOPEP療法の施療を可能とするのに十分なだけの密封を形成するように構成されている。フレーム256は、制限部材230を収容するようにされた座部224によって形成される円形開口を有する。使用時、円形開口はチャンバー吸気口204として機能する。フレーム256は、制限部材230が間違った方向に開くのを防止するための押え部222をさらに有する。
【0134】
図26には、制限部材230及び羽根232の前方斜視図が示されている。制限部材230及び羽根232のデザイン、材料、及び構成は、OPEP装置100に関して上述したものと同様である。しかし、OPEP装置200における制限部材230及び羽根232は、調整機構253の軸255における軸方向穴264に挿通されるようにされたピン231によって動作可能に連結される。ピン231は、例えば、ステンレス鋼によって構成される。このようにして、制限部材230の回転が羽根232の対応する回転を生じさせ、またその逆も生じさせる。
【0135】
図27には、制限部材230と羽根232とに組み付けられた調整機構253の前方斜視図が示されている。この構成においては、制限部材230が、チャンバー吸気口204を通る呼気流路210に沿う呼気の流れが制限される閉止位置(図示の通り)と、チャンバー吸気口204を通る呼気の流れがあまり制限されない開放位置(図示しない)との間で、フレーム256と座部224とに対して回転可能であることが分かる。上述のように、羽根232は、軸255を通って延在するピン231によって制限部材230に動作可能に接続されて、制限部材230と一緒に動くようにされている。制限部材230及び羽根232は、以下で説明するように、OPEP装置200のハウジング202内において回転可能な調整機構253によって支持されている。
【0136】
図28及び
図29A-Bは、OPEP装置200のハウジング202内に取り付けられた調整機構253を示す部分断面図である。
図28に示すように、調整機構253は、制限部材230及び羽根232とともに、上部及び下部軸受部226、228の周りで回転可能にハウジング200に取り付けられており、これにより使用者が調整ダイヤル254を使って調整機構253を回転させることができるようにしている。
図29A-29Bはさらに、ハウジング202の下部軸受部228内に調整機構253を取り付けてロックするときの工程を示している。より具体的には、軸255のキー溝部262が、
図29Aに示すように、ハウジング202に形成された回転ロック部266と整列してそこを通して挿入される。軸255のキー溝部262が回転ロック部266を通して挿入されると、軸255は90°回転されてロック位置となるが、回転自在なままとなる。調整機構253も同様に、上部軸受部226内に取り付けられてロックされる。
【0137】
ハウジング202及びOPEP装置200の内部構成要素が組み付けられると、軸255の回転は、回転ロック部266のロック位置内に軸255が保持されるように制限される。
図30のOPEP装置200の正面図に示すように、2つの押え部268、288がハウジング202上に配置されて、使用者が調整ダイヤル254を所定の位置に回転させたときにそれら押え部268、288が調整ダイヤル254の後方面260に形成された突起258に係合するようになっている。説明のために
図30においては、OPEP装置200が、ハウジング202から開口部269を通って延在することになる調整ダイヤル254又は調整機構253なしで示されている。このようにして、調整ダイヤル254、調整機構253、及び軸255のキー溝部262の回転が適切に制限される。
【0138】
図31には、ハウジング200内に取り付けられた調整機構253の部分断面図が示されている。上述のように、調整機構253のフレーム256は、球状であり、ハウジング202に対して回転すると同時に、ハウジング202とフレーム256との間にOPEP療法の施療を可能とするのに十分なだけの密封を形成するように構成されている。
図31に示すように、ハウジング202から延在する柔軟性のある筒状部271が、フレーム256の一部を完全に取り囲んで、密封縁270を形成している。ハウジング202及び制限部材230と同様に、柔軟性のある筒状部271及びフレーム256は、低収縮、低摩擦のプラスチックから構成することができる。そのような材料の一つとして、アセタールがある。このようにして、密封縁270はフレーム256と全360°接触して、調整部材253の許容回転量の全範囲内において密封を形成する。
【0139】
ここでOPEP装置200の選択的調整を、
図32A-B、33A-B、及び34A-Bを参照して説明する。
図32A-BはOPEP装置200の部分断面図であり、
図33A-BはOPEP装置200の調整機構を示す図であり、
図34A-BはOPEP装置200の頂面透視図である。OPEP装置100に関連して上述したように、好ましくは、OPEP装置200が完全に組み立てられて制限部材230が閉止位置にあるときに、可変ノズル236の中心線と羽根232との間の角度が10°から25°の間となるように、羽根232及び制限部材230が構成される。しかし、当然のことながら、OPEP装置200の調整機構はここに記載したパラメータに限定されるものではなく、理想的な動作条件内においてOPEP療法を施療するために如何なる構成が選択されてもよい。
【0140】
図32Aは可変ノズル236の中心線からの角度が10°であるときの羽根232を示し、一方、
図32Bは可変ノズル236の中心線からの角度が25°であるときの羽根232を示している。
図33Aは、制限部材230が閉止位置にあるときに可変ノズル236の中心線と羽根232との間の角度が10°となるようにするための、フレーム256(透視図で示す)の可変ノズル236に対する必要な配置を示す。一方で、
図33Bは制限部材230が閉止位置にあるときに可変ノズル236の中心線と羽根232との間の角度が25°となるようにするための、フレーム256(透視図で示す)の可変ノズル236に対する必要な配置を示す。
【0141】
図34A-Bを参照すると、OPEP装置200の側面透視図が示されている。
図34Aに示す構成は
図32A及び
図33Aに示す図に対応し、制限部材230が閉止位置にあるときに可変ノズル236の中心線と羽根232との間の角度が10°となっている。一方で、
図34Bは、
図32B及び
図33Bに示す図に対応し、制限部材230が閉止位置にあるときに可変ノズル236の中心線と羽根232との間の角度が25°となっている。要するに、調整部材253のフレーム256は
図34Aに示す位置から
図34Bに示す位置にまで反時計周りに15°回転され、それにより羽根232の許容回転量も大きくなっている。
【0142】
このようにして使用者は、調整ダイヤル254を回転させて、制限部材230及びハウジング202に対するチャンバー吸気口204の向きを選択的に調整することができる。例えば、使用者は、調整ダイヤル254を回転させて、それによりフレーム256を
図34Aに示す位置に向かって回転させることにより、OPEP装置200によって施療されるOPEP療法の周波数及び振幅を増加させることができる。代わりに、使用者が、調整ダイヤル254を回転させて、それによりフレーム256を
図34Bに示す位置にまで回転することによって、OPEP装置200によって施療されるOPEP療法の周波数及び振幅を減少させることもできる。また、例えば
図18及び
図30に示すように、使用者がOPEP装置200を適切な構成に設定するのを補助するためにしるしを設けてもよい。
【0143】
OPEP装置800を参照して後述する動作条件と同様な動作条件をOPEP装置200に係るOPEP装置に対して実現可能とすることもできる。
第3の実施形態
【0144】
図35-37には、別の実施形態に係るOPEP装置300が示されている。OPEP装置300は、選択的に調整可能である点においてOPEP装置200と同様である。
図35、
図37、
図40、及び
図49によく示されるように、OPEP装置300は、OPEP装置200と同様に、ハウジング302と制限部材330とに対するチャンバー吸気口304の相対的位置を変更するようにされた調整機構353を備え、該調整機構353に対して操作可能に取り付けられた羽根332の回転範囲を変更するようになっている。OPEP装置200に関連して上述したように、使用者は、ハウジング302を開けたりOPEP装置300の構成要素を分解したりすること無く、OPEP装置300によって施療されるOPEP療法の周波数と振幅との両方を簡便に調整することが可能である。OPEP装置300を使用したOPEP療法の施療は、別の面では、OPEP装置100に関して上述したものと同様である。
【0145】
OPEP装置300は、前方部分301、後方部分305、及び内部ケーシング303を有するハウジング302を備える。上述のOPEP装置と同様に、前方部分301、後方部分305、及び内部ケーシング303は、理想的な動作条件を維持するために、それに含まれる構成要素が定期的にアクセスされ、清掃され、交換され、または再構成されるように、分解可能である。例えば
図35-37に示すように、ハウジング302の前方部分301及び後方部分305は、スナップフィット係合によって取り外し可能に連結されている。
【0146】
OPEP装置300の構成要素が
図38の分解図にさらに示されている。概して、OPEP装置300は、前方部分301、後方部分305、及び内部ケーシング303に加えて、マウスピース309、吸入口311、それらの間に配置された一方向性バルブ384、調整機構353、制限部材330、羽根332、及び可変ノズル336を備える。
【0147】
図39-40に見られるように、内部ケーシング303は、ハウジング302内の前方部分301と後方部分305との間に嵌合され、第1のチャンバー314と第2のチャンバー318とを部分的に形成している。内部ケーシング303は、
図41-42に示す斜視断面図においてより詳細に示されている。第1のチャンバー排気口306及び第2のチャンバー排気口308は、内部ケーシング303内に形成されている。内部ケーシング303の一端385は、可変ノズル336を受け入れるようにされていて、後方部分305と内部ケーシング303との間に可変ノズル336を維持する。調整機構353を支持するための上部軸受部326及び下部軸受部328は、内部ケーシング303内に少なくとも部分的に形成されている。OPEP装置200に関連して上述した柔軟性のある筒状部271及び密封縁270と同様に、内部ケーシング303も、調整機構353のフレーム356の周囲に係合するための密封縁370を有する柔軟性のある筒状部371を備える。
【0148】
羽根332は、
図43の斜視図においてより詳細に示されている。軸334は、羽根332から延在していて、制限部材330の穴365内の対応するキー溝部と係合して固定される。このようにして、軸334は、羽根332と制限部材330とが一緒に回転するように、羽根332を制限部材330に動作可能に連結する。
【0149】
制限部材330は、
図44-45の斜視図においてさらに詳細に示されている。制限部材330は、羽根332から延在している軸334を受け入れるためのキー穴365と、調整部材353の座部324に対する制限部材330の許容回転量を制限する押え部322とを有する。
図46の正面図に示すように、制限部材330は、制限部材230と同様に、閉止位置と開放位置との間における制限部材330の動きを容易にするように設計されたずれをさらに有する。より具体的には、制限部材330の面340の表面積のうち軸334を受け入れるための穴365の一方の側の部分が、穴365の他方の側の部分に比べて、より大きくなるようにしている。制限部材130に関連して上述したように、このずれが軸334周りの開放トルクを呼息期間中に生じさせる。
【0150】
調整機構353は、
図47及び48の前方及び後方斜視図により詳細に示されている。概して、調整機構は、内部ケーシング303上に形成された柔軟性のある筒状部371の密封縁370と係合するようにされたフレーム356を備える。フレーム356の円形開口が、制限部材330を収容するような形状とされた座部324を形成している。この実施形態においては、座部324がチャンバー吸気口304も形成する。調整機構353は、OPEP装置300が完全に組み立てられたときに使用者が調整機構353及びチャンバー吸気口304の向きを選択的に調整できるようにするために、フレーム356からハウジング302を超える位置にまで延在するようにされた腕部354をさらに備える。調整機構353は、軸334を受け入れるための上部軸受部385及び下部軸受部386も有する。
【0151】
羽根332、調整機構353、及び制限部材330の組み立て体が、
図49の斜視図に示されている。上述のように、羽根332と制限部材330とは軸334によって動作可能に連結されており、羽根332の回転が制限部材330の回転を生じさせ、またその逆も生じさせる。それに対して、調整機構353、及びチャンバー吸気口304を形成する座部324は、羽根332及び制限部材330に対して軸334周りで回転するようにされている。このようにして使用者は、腕部354を回転させることで、制限部材330及びハウジング302に対するチャンバー吸気口304の向きを選択可能に調整できる。例えば、使用者は、時計周りの方向に腕部354を回転させて、それによりフレーム356を回転させることで、OPEP装置300によって施療されるOPEP療法の周波数及び振幅を増加させることができる。または、使用者は、反時計周りの方向に調整用の腕部354を回転させて、それによりフレーム356を回転させることで、OPEP装置300によって施療されるOPEP療法の周波数及び振幅を減少させることができる。また、例えば
図35及び
図37に示すように、使用者がOPEP装置300を適切な構成に設定するのを補助するために、ハウジング302にしるしを設けてもよい。
【0152】
図50-51の前方及び後方斜視図に、可変ノズル336がより詳細に示されている。OPEP装置300における可変ノズル336は、可変ノズル336が、内部ケーシング303の一端385(
図41-42)内に嵌合されて後方部分305と内部ケーシング303との間に可変ノズル336を維持するようにされた基板387を有する点を除き、OPEP装置200に関連して上述した可変ノズル236と同様である。可変ノズル236と同様に、可変ノズル336及び基板387はシリコンから形成することができる。
【0153】
図52の前方斜視図に、一方向性バルブ384がさらに詳細に示されている。概して、一方向性バルブ384は、ハウジング302の前方部分301に取り付けるようにされた支持部388と、力や圧力に応じて支持部388に対して曲がるか枢動するようにされたフラップ389とを備える。本明細書に開示する当該実施形態及び他の実施形態において、本開示の技術から逸脱することなく他の一方向性バルブを使用できることは、当業者には当然のことであろう。
図39-40から分かるように、一方向性バルブ384は、ハウジング302内でマウスピース309と吸入口311との間に配置される。
【0154】
OPEP装置100に関連して上述したように、OPEP装置300はエアロゾル送達装置のような他の又は追加のインターフェースとともに使用するようにすることができる。これに関連して、OPEP装置300は、マウスピース309と流体連通した吸入口311(
図35-36、
図38-40)を備える。上述のように、吸入口が別体の一方向性バルブ384(
図39-40、
図52)を有しており、吸息期間と呼息期間との間にOPEP装置300のマウスピース309を出すことなく、この一方向性バルブ384を通して周囲の空気を吸息し且つチャンバー吸気口304を通して呼息することができるようにすることができる。加えて、上述の市販のエアロゾル送達装置を吸入口31に取り付けて、エアロゾル療法(吸息時)とOPEP療法(呼息時)との同時施療を行うようにすることもできる。
【0155】
OPEP装置300と上述の構成要素とが、
図39-40に示す断面図においてさらに説明されている。説明のために、
図39の断面図はOPEP装置の全ての内部構成要素300を省略して示されている。
【0156】
前方部分301、後方部分305、及び内部ケーシング303は組み立てられて第1のチャンバー314及び第2のチャンバー318を形成する。OPEP装置100と同様に、破線によって示された呼気流路310は、マウスピース309と、内部ケーシング303内に形成されている第1のチャンバー排気口306(
図39-40、
図42)と第2のチャンバー排気口308(
図41)とのうちの少なくとも一方との間に形成されている。呼気流路310は、吸入口311及び一方向性バルブ348によって、動作中に制限部材330によって閉じられたり閉じられなかったりするかもしれないが、マウスピース309から始まりチャンバー吸気口304の方に向けられる。呼気流路310は、チャンバー吸気口304を通過後、第1のチャンバー314に入り、可変ノズル336に向かって180°曲がる。呼気流路310は、可変ノズル336のオリフィス338を通過後、第2のチャンバー318に入る。第2のチャンバー318内において、呼気流路310は、第2のチャンバー318から出て、第1のチャンバー排気口306と第2のチャンバー排気口308とのうちの少なくとも一方を通って最終的にハウジング302から出る。破線によって示された呼気流路310は例示的なものであり、OPEP装置300内に吐かれた空気が、マウスピース309又はチャンバー吸気口304から第1のチャンバー排気口306又は第2のチャンバー排気口308にまで進む際に、如何なる方向は経路にも流れ得ることは、当業者には当然のことであろう。上述のように、OPEP装置300を使用したOPEP療法の施療は、別の面では、OPEP装置100に関して上述したものと同様である。
【0157】
単なる例ではあるが、以下の動作条件又は動作特性が、調整ダイヤル354を周波数及び振幅を増加させるように設定したOPEP装置300に係るOPEP装置によってなされる。
周波数及び振幅は、例えば、調整ダイヤル354を周波数及び振幅を減少させるように設定すると約20%減少する。他の周波数及び振幅の目標値は各要素の特定の構成や大きさを変更することでなされ、例えば、羽根332の長さを増加させると周波数がゆっくりになり、一方でオリフィス338の大きさを小さくすると周波数が高くなる。上記の例は、上述の実施形態に係るOPEP装置に対する動作条件の可能性のある単なる一組み合わせに過ぎない。
第4の実施形態
【0158】
図53-56には、別の実施形態に係る呼吸器官治療装置400が示されている。これまでに説明したOPEP装置とは異なり、呼吸器官治療装置400は呼息時と吸息時の両方で振動圧力療法を施すようにされている。当該呼吸器官治療装置400に関して後述する概念は、上述のどのOPEP装置にも適用することができ、それによって振動圧力療法が呼息時と吸息時の両方において施されるようにすることができることは、当業者にとって当然のことであろう。同様に、呼吸器官治療装置400はこれまでに説明したOPEP装置に関する上述の如何なる概念も含むことができ、例えば、可変ノズル、エアロゾル療法の施療のためのエアロゾル送達装置とともに使用できるようにされた吸入口、調整機構などを含むことができる。
【0159】
図53及び
図54に示すように、呼吸器官治療装置400は、前方部分401、中間部分403、及び後方部分405、を有するハウジング402を備える。上述のOPEP装置と同様に、ハウジング402は、理想的な動作条件を維持するための清掃やその中に収容されている構成要素の選択的な交換又は調整のためにハウジング402内の要素にアクセスできるようにするように、開けられるようになっている。ハウジング402は、第1の開口412、第2の開口413、及び第3の開口415をさらに備える。
【0160】
第1の開口412はマウスピース409と関連づけられて
図53及び
図54に示されているが、第1の開口412は、代わりに、例えばガスマスクや呼吸管のような他のユーザーインターフェイスに関連づけられてもよい。第2の開口413は、第1の開口412での呼息時にハウジング402内に吐かれた空気がハウジング402から出ることを許容する一方向性呼息バルブ490を有する。第3の開口415は、第1の開口412での吸息時にハウジング402の外の空気がハウジング402内に入ることを許容する一方向性吸息バルブ484を有する。
図54にさらに詳細に示すように、呼吸器官治療装置400は、呼気通路494及び吸気通路495を有する分岐板493をさらに備える。一方向性バルブ491は、呼気通路494に隣接して分岐板493に取り付けられ、第1の開口412に吐かれた空気に応じて開き、第1の開口412を通して吸い込まれた空気に応じて閉じるようにされている。別の一方向性バルブ492は、吸気通路495に隣接して分岐板493に取り付けられ、第1の開口412に吐かれた空気に応じて閉じ、第1の開口412を通して吸い込まれた空気に応じて開くようにされている。呼吸器官治療装置400は、軸434によって動作可能に連結された制限部材430及び羽根432も備え、その組み立て体は上述のOPEP装置と同様な形態で動作可能である。
【0161】
図55及び
図56には、
図53におけるI線及びII線における断面斜視図がそれぞれ示されている。呼吸器官治療装置400は、上述のOPEP装置に関連して示し且つ説明したものと同様な形態で、吸息時と呼息時との両方において振動圧力療法を施す。以下でさらに詳細に説明するように、OPEP装置400は、複数の(すなわち、2つ以上の)チャンバーを備える。ハウジング402の第1の開口412を通して送られる空気は、吸い込まれたか吐かれたかに関わらず、第1のチャンバー414に収容された制限部材430を少なくとも部分的に通り、また制限部材430に動作可能に接続された羽根432を収容する第2のチャンバー418を通る流路を進む。これに関連して、第1の開口412に吐かれた空気と第1の開口412から吸い込まれた空気の両方の経路の少なくとも一部が重複して同方向となる。
【0162】
例えば、典型的な流路481が
図55及び
図56において破線で示されている。上述のOPEP装置と同様に、制限部材430は第1のチャンバー414内に配置されて、チャンバー吸気口404を通る空気の流れが制限される閉止位置と、チャンバー吸気口404を通る空気の流れがあまり制限されない開放位置との間で、チャンバー吸気口404に対して移動可能とされている。典型的な流路481は、チャンバー吸気口404を通過して第1のチャンバー414に入った後、180度曲がり、すなわち長手軸線方向で逆向きとなり(すなわち、流路481が折り返され)、オリフィス438を通って第2のチャンバー418に入る。上述のOPEP装置と同様に、羽根432は、第2のチャンバー418内に配置され、羽根に隣接する圧力の上昇に伴って第1の位置と第2の位置との間で往復動するようにされており、それによって、動作可能に連結された制限部材430が閉止位置と開放位置との間で繰り返し移動するようにされている。典型的な流路481に沿って流れる空気は、羽根432の位置に従って、第1のチャンバー排気口406と第2のチャンバー排気口408とのうちのどちらか一方に向けられる。結果として、吸気又は呼気が典型的な流路481を進むと、チャンバー吸気口404での圧力が振動する。
【0163】
チャンバー吸気口404での振動圧力が、一連のチャンバーを介して、呼吸器官治療装置400の使用者に、すなわち第1の開口412に効果的に送り返される。
図55及び
図56に示すように、呼吸器官治療装置は、以下で詳細に説明する、第1の追加チャンバー496、第2の追加チャンバー497、及び第3の追加チャンバー498を備える。
【0164】
マウスピース409及び第1の追加チャンバー496は、第1の開口412を介してハウジング402と連通している。第1の追加チャンバー496及び第2の追加チャンバー497は、分岐板493によって仕切られていて、呼気通路494を介して連通している。呼気通路494に隣接して取り付けられた一方向性バルブ491は、第1の開口412内に吐かれた空気に応じて開き、第1の開口412を通して吸い込まれた空気に応じて閉じるようにされている。
【0165】
第1の追加チャンバー496及び第3の追加チャンバー498も分岐板493によって仕切られて、吸気通路495を介して連通している。吸気通路495に隣接して取り付けられた一方向性バルブ492は、第1の開口412に吐かれた空気に応じて閉じ、第1の開口412を通して吸い込まれた空気に応じて開くようにされている。
【0166】
呼吸器官治療装置400の周辺の空気と第1の追加チャンバー497とは、ハウジング402の第3の開口415を介して連通している。一方向性バルブ484は、第1の開口412内に吐かれた空気に応じて閉じ、第1の開口412を通って吸い込まれた空気に応じて開くようにされている。
【0167】
呼吸器官治療装置400の周囲の空気と第3の追加チャンバー498とは、ハウジング402の第2の開口413を介して連通している。第2の開口413に隣接して取り付けられた一方向性バルブ490は、第1の開口412内に吐かれた空気に応じて開き、第1の開口412を通して吸い込まれた空気に応じて閉じるようにされている。第3の追加チャンバー498は、第1のチャンバー排気口406及び第2のチャンバー排気口408を介して第2のチャンバー418と連通している。
【0168】
図57-58を見ると、
図53のI線及びII線における各断面斜視図が第1の開口412すなわちマウスピース409と第2の開口413との間に形成される典型的な呼気流路410を示している。概して、ハウジング402の第1の開口412内への使用者による呼息時に、第1の追加チャンバー496内に圧力が生じて、一方向性バルブ491が開き、そして一方向性バルブ492が閉じる。次に、呼気は呼気通路494を通って第1の追加チャンバー497に入り、第1の追加チャンバー497内に圧力が生じ、一方向性バルブ484が閉じて、制限部材430が開く。次に、呼気は、チャンバー吸気口404を通って第1のチャンバー414に入り、長手軸線方向で逆向きとなり、第1のチャンバー414と第2のチャンバー418とを仕切っているオリフィス438を通って加速される。羽根432の向きに応じて、呼気は、次に第1のチャンバー排気口406と第2のチャンバー排気口408とのうちのどちらか一方を通って第2のチャンバー418から出て、第3の追加チャンバー498に入る。第3の追加チャンバー498内に圧力が生じると、一方向性バルブ490が開き、呼気が第2の開口413を通ってハウジング402から出ることが許容される。呼気流路410に沿う呼気の流れが一旦確立すると、上述のOPEP装置に関連して説明したように、羽根432は第1の位置と第2の位置との間を往復動し、これによって制限部材430が閉止位置と開放位置との間を移動する。このようにして、呼吸器官治療装置400は呼息時に振動療法を提供する。
【0169】
図59-60を見ると、
図53のI線及びII線における別の各断面斜視図が、第3の開口415と第1の開口412すなわちマウスピース409との間に形成された典型的な吸気流路499を示している。概して、第1の開口412を通した使用者による吸息時に、第1の追加チャンバー496内の圧力が降下し、一方向性バルブ491が閉じて、一方向性バルブ492が開く。空気が第3の追加チャンバー498から第1の追加チャンバー496内に吸気通路495を通って吸い込まれると、第3の追加チャンバー498内の圧力が降下し始めて、一方向性バルブ490が閉じる。圧力が第3の追加チャンバー498内で降下し続けると、空気が第1のチャンバー排気口406と第2のチャンバー排気口408とを通して第2のチャンバー418から引き込まれる。空気が第2のチャンバー418から引き込まれると、第2のチャンバー418と第1のチャンバー414とを接続しているオリフィス438を通して第1のチャンバー414から空気が引き込まれる。空気が第1のチャンバー414から引き込まれると、第1の追加チャンバー497からチャンバー吸気口404を通って空気が引き込まれて、第1の追加チャンバー497内の圧力が降下し、一方向性バルブ484が開いて、空気が第3の開口415を通してハウジング402内に入ることが許容される。第1の追加チャンバー496と第1の追加チャンバー497との間の圧力差によって、一方向性バルブ491は閉じた状態に維持される。吸気流路499に沿う吸気の流れが一旦確立すると、羽根432は、上述のOPEP装置に関連して説明したように、第1の位置と第2の位置との間で往復動し、これによって、制限部材430が閉止位置と開放位置との間で移動する。このようにして、呼吸器官治療装置400は吸息時に振動圧力療法を提供する。
第5の実施形態
【0170】
図61-66には、別の実施形態に係る呼吸器官治療装置500が示されている。呼吸器官治療装置400と同様に、呼吸器官治療装置500は呼息時と吸息時の両方においてOPEP療法を提供するようにされている。後述の点以外は、その構成要素及びOPEP装置400の構成は呼吸器官治療装置400のものと全く同じか同様である。
【0171】
呼吸器官治療装置500は、OPEP療法の提供を、呼息時だけとするか、吸息時だけとするか、又は呼息時と吸息時の両方とするかを選択するようにされている点において呼吸器官治療装置400と異なる。以下により詳細に説明するように、使用者は、スイッチ504の操作によって、OPEP療法の施療を呼息時だけとするか、吸息時だけとするか、又は呼息時と吸息時の両方とするかを選択することができる。呼吸器官治療装置500に関連して後述する概念をこれまでに説明したどの実施形態にも適用できることは、当業者にとって当然のことであろう。
【0172】
図61及び
図62は呼吸器官治療装置500の前方及び後方斜視図である。
図63Aはスイッチ504を省略して示された呼吸器官治療装置500の前方斜視図であり、
図63Bは後述するバルブ機構550を省略して示された呼吸器官治療装置500の後方斜視図である。概して、呼吸器官治療装置500は、前方部分501、中間部分503、及び後方部分505を有するハウジング502を備える。呼吸器官治療装置400と同様に、ハウジング502は、その中に収容された構成要素の清掃や選択的交換又は調整にためにハウジング502の収容要素アクセスできるように、開けられるようになっている。
【0173】
ハウジング502は、呼吸器官治療装置400と同様に、
図63Bに示すように、第1の開口512、第2の開口513、及び第3の開口515を有する。
図63Aに示すように、呼吸器官治療装置500のハウジング502は、第4の開口516、及び第5の開口517をさらに備える。バルブ機構550は、一体に形成された一方向性呼息バルブ部材590及び一方向性吸息バルブ部材584を有し、それぞれ、第1の開口512での呼息時には空気がハウジング502から第2の開口513を通って出て、第1の開口512での吸息時には空気が第3の開口515を通ってハウジング502に入るようになっている点において、呼吸器官治療装置400の一方向性呼息バルブ490及び一方向性吸息バルブ484と同様である。
【0174】
第1の開口512はマウスピース509と関連づけられるように示されているが、第1の開口512は他のユーザーインターフェイスと関連づけられてもよい。加えて、
図61-62に示すように、マウスピース509が規制部材579を備える制御孔580を備えていて、この規制部材579を、制御孔580を通過することができる呼気又は吸気の量を使用者が選択的に調整できるようにすることができる。
図61-62に示すように、規制部材579は、空気が流れる制御孔579の断面積を増減させるための、マウスピース509に対して回転するようにされたリングとして形成されている。空気が流れる制御孔580の断面積を選択的に増加させることにより、使用者は呼吸器官治療装置500によって施療されるOPEP療法の振幅及び周波数を減少させることができ、またその逆も可能となっている。このようにして、使用者は呼吸器官治療装置500を選択的に調整して理想的な動作条件を維持することができる。
【0175】
図64A-Cには、呼吸器官治療装置500の正面図が示されており、それらは、OPEP療法の施療を呼息時だけとするか、吸息時だけとするか、又は呼息時と吸息時の両方とするかを選択的に制御するための、第4の開口516及び第5の開口517に対するスイッチ504の位置を示している。もし
図64Aに示すようにスイッチ504が中間位置にあると、第4の開口516と第5の開口517の両方が閉じられて、呼吸器官治療装置500は呼息時と吸息時の両方においてOPEP療法を提供するようになる。スイッチ504が中間位置にある状態では、呼吸器官治療装置500は、
図57-60に示され、また呼吸器官治療装置400に関連して上述したように動作する。
【0176】
スイッチ504が左方位置に移動された状態では、
図64Bに示すように、第4の開口516が閉じられる一方で第5の開口517は開けられたままとなり、呼吸器官治療装置500は、
図57-58に示す呼吸器官治療装置400と同様な形態で、呼息時においてOPEP療法を提供するようになる。吸息時には、空気は、
図65の断面図に示すように、第5の開口517を通してハウジング502内に引き込まれる。引き込まれた空気は、その後、実線で示されるように第5の開口517と第1の開口512に関連づけられたマウスピース509との間を、吸気流路518に沿って進んでいく。これに対して、スイッチ504が中間位置にあるときには、吸い込まれた空気は、
図59-60に示す呼吸器官治療装置400の吸気流路499と同様に、第3の開口515を通ってハウジング502内へと引き込まれて、破線によって示された吸気流路519を部分的に進む。
【0177】
もしスイッチ504が、
図64Cに示すように、右方位置に動かされると、第4の開口516が開いた状態に維持されて、呼吸器官治療装置500は
図59-60に示す呼吸器官治療装置400と同様な形態で吸息時にOPEP療法を提供するようになる。呼息時には、空気は、
図66の断面図に示すように、第4の開口516を通ってハウジング502から出る。呼気は、実線で示されるように、第1の開口512に関連づけられたマウスピース509と第4の開口516との間の呼気流路510を進む。これに対して、スイッチ504が中間位置にあるときには、呼気は、
図57-58に示す呼吸器官治療装置400の呼気流路410と同様に、破線によって示された呼気流路511を進む。
第6の実施形態
【0178】
図67-70には、別の実施形態に係る呼吸器官治療装置600が示されている。以下で説明するように、呼吸器官治療装置600は、OPEP療法と直列に圧力閾値療法を提供するようにされている。この呼吸器官治療装置600は、吸息時にOPEP療法と直列に圧力閾値療法を実施するように説明されているが、呼吸器官治療装置600は呼息時にOPEP療法と直列に圧力閾値療法を実施するようにすることも可能であることが想定される。
【0179】
概して、呼吸器官治療装置600は、ここに開示する他の実施形態と同様な形態でOPEP療法を提供する。呼吸器官治療装置は、吸息入口端602及びマウスピース603を含むハウジング601を備える。吸気流路604は、破線で示されるように、呼息入口端602とマウスピース603との間でハウジング601内を通って規定される。吸気流路604は、呼息入口端602から始まり、第1のチャンバー605内、そして第2のチャンバー606内を通過し、その後にマウスピース603を通ってハウジング601から出る。呼息入口端602とマウスピースとは壁610によって仕切られている。呼息入口端602と第1のチャンバー605とは制限部材609によって仕切られている。第1のチャンバー605と第2のチャンバー606とはオリフィス607によって仕切られている。制限部材609は第2のチャンバー606内に配置された羽根608に動作可能に接続されており、羽根608の回転によって制限部材609が回転するようになっている。上述の実施形態に関連して説明したOPEP療法の施療と同様に、空気は吸気流路604に沿って流れ、羽根608及び制限部材609は、制限部材609が閉じられた第1の位置と制限部材609が開けられた第2の位置との間で往復動し、これによって、マウスピース603での振動圧力が生じる。
【0180】
加えて、呼吸器官治療装置600は、呼吸入口端602内に配置された圧力閾値バルブ611を備える。圧力閾値バルブ611は、呼息入口端602において負圧が得られるまでは閉じた状態が維持されるようにされた、どのようなタイプの適したバルブとすることもできる。このようにして、呼吸器官治療装置600はOPEP療法と直列して圧力閾値療法を提供する。例えば、使用者がマウスピース603で吸息すると、マウスピース603内の圧力が降下し、それによって第2のチャンバー606内の圧力が降下し、第1のチャンバー605内の圧力が降下して、吸入口602内の圧力が降下する。呼息入口端602内が閾値圧力に達すると、圧力閾値バルブ611が開いて、空気が呼息入口端602を通ってハウジング601内に入ることができるようになる。空気が呼息入口端602を通ってハウジング601内に入ると、吸気流路604に沿って空気が引き込まれて、OPEP療法の施療がなされる。
第7の実施形態
【0181】
図71-75には、別の実施形態に係る呼吸器官治療700装置が示されている。以下で説明するように、呼吸器官治療装置700はOPEP療法と並列に圧力閾値療法を提供するようにされている。この呼吸器官治療装置700は吸息時にOPEP療法と並列に圧力閾値療法を実施するように説明されているが、呼吸器官治療装置700は呼息時にOPEP療法と並列に圧力閾値療法を実施するようにすることも可能であることが想定される。
【0182】
概して、呼吸器官治療装置700は、ここに開示する他の実施形態と同様な形態でOPEP療法提供する。呼吸器官治療装置は、呼息入口端702及びマウスピース703を含むハウジング701を備える。ハウジング701は一つ又は複数の吸気開口部711を備える。吸気流路704は、点線で示されるように、吸気開口部711とマウスピース703との間をハウジング701を通って形成される。吸気流路704は、吸気開口部711から始まり、第1のチャンバー705内、そして第2のチャンバー706内を通過し、その後にマウスピース703を通ってハウジング701から出る。呼息入口端702と吸気開口部711とは壁710によって仕切られている。吸気開口部711と第1のチャンバー705とは制限部材709によって仕切られている。第1のチャンバー705と第2のチャンバー706とはオリフィス707によって仕切られている。制限部材709は第2のチャンバー706内に配置された羽根708に動作可能に接続されており、羽根708の回転によって制限部材709が回転するようになっている。上述の実施形態に関連して説明したOPEP療法の施療と同様に、空気は吸気流路704に沿って流れ、羽根708及び制限部材709は、制限部材709が閉じられた第1の位置と制限部材709が開けられた第2の位置との間で往復動し、これによって、マウスピース703での振動圧力が生じる。加えて、呼吸器官治療装置700は、呼吸入口端702内に配置された圧力閾値バルブ711を備える。圧力閾値バルブ711は、呼息入口端702において負圧が得られるまで閉じた状態が維持されるようにされた、どのようなタイプの適したバルブとすることもできる。このようにして、呼吸器官治療装置700はOPEP療法と並列して圧力閾値療法を提供する。例えば、使用者がマウスピース703で吸息すると、マウスピース703及び呼息入口端702において圧力が降下し、それによって第2のチャンバー706内の圧力が降下し、第1のチャンバー705内の圧力が降下して、吸気開口部711を通ってハウジング701内に空気が引き込まれる。空気が吸気開口部711を通ってハウジング701内に入ると、OPEP療法の施療のための吸気流路704に沿って空気が引き込まれる。加えて、もし呼息入口端702内が閾値圧力に達すると、圧力閾値バルブ711が開いて、空気が呼息入口端702を通ってハウジング701内に入ることができるようになる。空気が呼息入口端702を通してハウジング701に入ると、空気が、破線で示されるように、第2の吸気流路712に沿って引き込まれる。
無トルク状態
【0183】
ここで、実施形態の動作における「無トルク状態」を、無トルク状態の可能性を低減する手段とともに説明する。以下の無トルク状態の可能性を低減する手段についての説明は
図35のOPEP装置300に関連してなされるが、当然のことながら、無トルク状態は上述のどの実施形態においても起こりうるし、以下で説明する無トルク状態の可能性を低減する手段はどの装置においても利用できる。同様に、当然のことながら、以下で説明する無トルク状態の可能性を低減するための手段は、2012年5月6日に出願され、ここに参照として包含する米国特許出願第13/489,984に示され又は説明されているような、他の呼吸器官治療装置においても利用することができる。
【0184】
無トルク状態は、上述の実施形態において、例えば呼息開始時点において制限部材と羽根とに負荷される正味トルクがゼロであるときに発生する。そのような状況においては、制限部材及び羽根は回転せず、OPEP療法が施療されない。本明細書においてトルクは、軸線、支点、又は旋回軸の周りで物体を回転させる性質の力として定義され、回転方向によって正または負のいずれかとなる。以下での説明のために、正のトルクは制限部材330を開くトルクとして定義され、負のトルクは制限部材330を閉じるトルクとして定義される。上述のように、トルクは、制限部材330と羽根332との両方に作用し、呼気流路310に沿う呼気の圧力と流れとにより発生する。制限部材330に作用するトルクは常に正であるが、一方で羽根332に作用するトルクは羽根332の位置に応じて正または負のいずれかとなる。本明細書において正味トルクは、制限部材330と羽根332とに作用する全トルクの合計として定義される。
【0185】
図76には、呼息期間中に制限部材330が閉止位置から開放位置にまで回転するときの、OPEP装置300の制限部材330及び羽根330の周りでの例示的な正味トルクが示されている。
図76に示す正味トルクは、単なる例であり、OPEP装置300に対する動作特性の可能性のある一例を示すに過ぎない。
図76に示された、制限部材330の回転中の4つの特定点について、以下で説明する。
【0186】
第1の特定点、すなわち回転0°の点においては、制限部材330は完全に閉じられて、呼息期間中に第1のチャンバー314の中へと制限部材330を通って流れることができる空気はない。この点における制限部材330と羽根332との相対的位置は、
図77A及び
図77Bに示されるとおりである。そのような位置においては、羽根332へのトルクはゼロとなり、制限部材330へのトルクは使用者によって発生される圧力に依存する。
【0187】
第2の特定点においては、制限部材330は、例えばOPEP装置300内へと呼息している使用者によって発生された圧力によって開きはじめて、空気が制限部材330を通過して第1のチャンバー314の中へと流れることができるようになる。制限部材330が開くと、制限部材330上に作用するトルクは減少し始める一方で、羽根332上に作用するトルクは増加し始める。この点においては、制限部材330上のトルクが支配的であるので、制限部材330と羽根332とに作用する正味トルクは減少する。
【0188】
第3の特定点においては、制限部材330及び羽根332は、制限部材330と羽根332とに作用する正味トルクが無い位置にある。この点における制限部材330及び羽根332のおおよその位置は、それぞれ
図77C及び77Dに示す通りである。
図77Dに示すように、この位置においては、羽根332は可変ノズル336のオリフィス338とほぼ整列している。もし制限部材330及び羽根332が呼息期間開始時点においておよそそのような位置に静止していたとすると、結果として生じる正味トルクはおそらくゼロとなる。しかし、通常の動作条件下においては、制限部材330及び羽根332は静止せず、OPEP療法の連続した施療に対して、制限部材330及び羽根332をそのような位置を通過させて回転させるのに十分な運動量がある。
【0189】
第4の特定点においては、制限部材330は第3の特定点として説明した「無トルク位置」を過ぎており、制限部材330及び羽根332に負荷されている正味トルクは負となる。
【0190】
図78Aは、
図35のOPEP装置300の断面図であり、可能性のある無トルク状態を示している。上述のように、無トルク状態は、羽根332が可変ノズル336のオリフィス338にほぼ整列した位置で静止してしまったときに起こり得る。そのような状態において、使用者は、羽根332が
図78Aに示す位置でないところに回転するまで、OPEP装置300を単に叩いたり振ったりするかもしれない。または、使用者は、ハウジング302を開けて、羽根332を
図78Aに示す位置でないところに回転させるかもしれない。
【0191】
図78Aに示す位置において、オリフィス338を通って可変ノズル336から出る空気が、
図78Aの矢印で示すように、羽根332の両側に相対的に均等に分かれて、制限部材330及び羽根332に作用する正味トルクがゼロとなると、羽根332は呼気流路310に沿う呼気の流れに応じて回転しないかもしれない。この位置においては、羽根332の両側の圧力が相対的に均等に維持されて、羽根332周りでのトルクは制限部材330周りでの反対のトルクによって相殺される。
図78Bにさらに示すように、羽根332が可変ノズル336と整列したときに、トルクは制限部材330に作用し続けている。そのため、羽根332が可変ノズル336と一致しているときには、制限部材330及び羽根332に作用するトルクは、開放トルクT1だけとなる。このトルクが制限部材330を回転させ始めて、それによって羽根332を回転させ始めると、羽根332の先端が、
図78Cに示すように、可変ノズル336から出る空気を羽根332の一方の側に向けさせ、それによって負のトルクT2が発生する。T1がT2に等しいときに、もし制限部材330及び羽根332の運動量が制限部材330及び羽根332を無トルク位置を超えて回転させ続けるのに十分でないとすると、無トルク状態が起こりうる。
【0192】
ここで説明するように、無トルク状態の可能性を低減するための様々な方法の中には、羽根332が無トルク位置で停止することを防止することや、羽根332を無トルク位置でないところに強制的に移動させることがある。
図78Cに示す一実施形態においては、改良された羽根333が、無トルク状態の可能性を低減するようにされている。具体的には、改良された羽根333の周辺部分335が、改良された羽根333の中央部分337に対して曲げられている。そのため、
図78Eに示すように、もし、改良された羽根333の中央部分337が可変ノズル336のオリフィス338とまっすぐに一直線となる位置に改良された羽根333が静止してしまったとしても、改良された羽根333の曲げられた周辺部分335が、オリフィス338を通って可変ノズル336から出る空気を羽根333の一方の側に向ける。結果として、高い圧力が羽根333の一方の側に生じて、羽根333に回転を生じさせる。
【0193】
改良された羽根333をOPEP装置300内に包含することによるさらなる改良が、
図78Fに示されている。改良された羽根333の曲げられた周辺部分335により、改良された羽根333の総回転量が、改良していない羽根332に比べて小さくなる。具体的には、改良された羽根333の周辺部分335は、改良していない羽根332よりも小さい回転の向きで第2のチャンバー318の壁に接触する。結果として、制限部材330(
図38-40)が完全に閉じず、OPEP装置300の性能に影響を与えかもしれない。制限部材330が確実に完全に閉じるようにするために、制限部材330に対する改良された羽根333の中央部分337の角度を調整することができる。
【0194】
同様に、曲げられた周辺部分335は、無トルク位置を超えて回転し続けるために、制限部材330及び改良された羽根333の回転量を増加させて、その運動量を増大させる必要がある。例えば、OPEP装置300が高い設定用に構成されて制限部材330が完全に閉じている状態である、
図78G-Hに示す一実施形態においては、羽根332は6.5°の回転量をもたらすが、改良された羽根333は10.4°をもたらす。
【0195】
図79A-Bに示す別の実施形態においては、重り331が制限部材330に加えられて、羽根332が無トルク位置に停止することを重力によって防止するようにしている。
図79Aに示す上述の設計においては、制限部材330は、その重心が回転軸線に整列し、重力による追加的なトルクが生じないように、バランスがとられている。
図79Bに示す改良された設計においては、追加された重り331によって重心が回転軸線から移動している。そのため、OPEP装置300が垂直位置に保持されたときには、例えば、付加的な重力トルクが制限部材330を閉じるように作用し、羽根332を無トルク位置でないところに移動させる。しかし、重り331を追加することによって、OPEP装置300の動作特性が影響を受ける。そのため、制限機構330及び羽根332を無トルク位置でないところに移動させるのに十分な追加の重り331を設けるようにしながらも、その重りがOPEP装置300の性能を低下させるほどには多くないようにすることが重要である。一実施形態においては、追加の重りの理想的な量は0.25gである。
【0196】
別の実施形態においては、
図80A-Bに示すように、上述の改良点の両方が利用されている。この実施形態においては、重り331が制限部材330に追加され、また、改良された羽根333の周辺部分335が中央部分337に対して曲げられている。このようにして、改良された羽根333は、T1及びT2が互いに打ち消し合うというよりもむしろ協働するように、改良された羽根333に作用する正のトルクT2を生じさせる。
【0197】
図81に示す別の実施形態においては、追加の重り339が、
図79Bに示す制限部材330の追加の重り331の反対側に追加されている。追加の重り339は制限部材330を開くように機能する正のトルクを発生させるのに役立つ。この実施形態の一つの利点は、無トルク位置を過ぎて回転するための運動量を増大させるために必要な制限部材330及び羽根332の回転量が、完全な開放位置からより大きくなる点にある。しかし、流量が低いときには、OPEP装置300の性能が影響を受けるかもしれない。
【0198】
別の実施形態においては、制限部材330上の重りに代えて又は追加して、重りが羽根332、軸334、又はその両方に追加されている。
図81B、
図81C、
図81D及び
図81Eに示すように、重りは、多くの異なる形態、形状、大きさを持ち、羽根332の一方の側、軸334、又はその両方に、好ましくは羽根332の中央位置に向かって取り付けられるか一体として構成される。必要に応じて、カウンタウェイト(図示しない)を、羽根332の反対側、軸334、又はその両方に同様な形態、形状、大きさで、又は、羽根332の反対側又は軸334に取り付けられるか一体として構成された重り390とは異なる形態、形状、大きさで追加することもできる。
【0199】
別の実施形態においては、
図82A-Cに示すように、弾性バンド341が、羽根332の中央部分337における可変ノズル336の反対側において羽根332に取り付けられている。
図82A及び
図82Cに示すように羽根332が図示の位置にまで回転すると、弾性バンド341は張力を受けない。
図82Bに示すように羽根が図示の位置に回転すると、弾性バンド341が張力を受けて、羽根332を
図82A又は
図82Bに示す位置に向かって付勢する。
【0200】
図83A-83Bに示すさらに別の実施形態においては、羽根332を無トルク位置でないところに回転させるために空気の流れが利用される。呼息の開始時点においては、
図83Aに示すように、空気の流れは制限部材330によって第1のチャンバー314内に通る。第1のチャンバー314内で、シャトル弁342が呼気流路310を妨害する。シャトル弁342は、例えばスプリング(図示しない)によって、設計圧力で開閉するように付勢される。シャトル弁がこの位置にある状態では、呼気は出口開口343を通って第1のチャンバー314から出ることができる。そのため、制限部材330を過ぎて出口開口343から出る呼気の流れが、制限部材330及び羽根332を無トルク位置でないところに回転させる。そして、
図83Bに示すように、一定圧力で、シャトル弁342が開き、呼気の流れがOPEP療法の施療のために呼気流路310を進む。シャトル弁342が呼気流路310に沿う呼気の流れを開放すると、シャトル弁342は理想的な動作特性を維持するために出口開口343を閉じる。
【0201】
図84A-Bに示す別の実施形態においては、制限部材330及び羽根332を無トルク位置でないところに移動させるのに空気の流れが利用される。制限部材330の頂面図が
図84A-Bに示されている。
図84Aに示すように、無トルク位置において、呼気は、制限部材330の両側を通って流れることができる。開放トルクT1(上記参照)は、制限部材330に作用する全トルクの合計である。
図84Bに示すように、制限部材330の一方の側に呼気の流れの全てを導いて、開放トルクを増大させるために、分流器が制限部材330の上流側に追加されている。より大きな開放トルクによって開始時により多くの運動量がもたらされて、無トルク状態の可能性がより低くなる。
【0202】
図85A-Cに示す別の実施形態においては、制限部材330及び羽根332を無トルク位置でないところに移動させるのに吸い込まれた空気が利用される。上述のように、OPEP装置300は、吸息時に開くようにされた一方向性バルブ384を有する吸入口311を備える。
図85A-Bに示すこの実施形態においては、空気が吸息中に制限部材330を通って流れることができるように、第2の一方向性バルブ383がOPEP装置300に追加されている。通常、吸息中は、可変ノズル336が閉じているので、空気は制限部材330を通って流れることができない。この実施形態においては、吸息中に制限部材330を通る空気の流れが、制限部材330及び羽根332を無トルク位置でないところに移動させるトルクを発生させる。
図85Cに示すように、呼息中は、両吸息バルブ383、384が閉じて、OPEP装置300が通常通り機能する。
【0203】
図86A-Cに示すさらに別の実施形態においては、制限部材330及び羽根332を無トルク位置でないところに移動させるのに羽根332の先端での空気の流れが利用される。
図86Aに示すように、無トルク位置において、空気が可変ノズル336から出るときに曲がったり振動したりする柔軟な先端部347が羽根332の端部に加えられている。柔軟な先端部347は適したどのような弾性材料から形成してもよい。柔軟な先端部347が曲がったり振動したりすると、羽根332は無トルク位置でないところに移動される。柔軟な先端部347は一つ又は複数のヒンジ点349を有してもよい。柔軟な先端部347がその両側にヒンジ点349を有する場合には、
図86Bに示すように、柔軟な先端部が両方向に曲げられることになる。柔軟な先端部347が柔軟な先端部347の一方の側にのみヒンジ点349を有する場合には、
図86Cに示すように、柔軟な先端部はその方向にのみ曲げられることになり、これにより、上述の改良された羽根333と同様の、羽根332の曲げられた周辺部分が生じる。
【0204】
呼吸器官治療装置の特定の実施形態に関連してこれまでに説明してきた様々な概念は、他の実施形態に関連して具体的に示したり説明したりしていないとしても、本明細書で説明した他のどの実施形態においても適用可能であることは、当業者にとって当然のことであろう。例えば、本明細書で説明したどの実施形態も、可変ノズル、エアロゾル療法の施療のためのエアロゾル送達装置とともに使用するために適合された吸入口、チャンバー吸気口の相対的位置や制限部材による許容動作範囲を調整するための調整機構、無トルク状態の可能性を低減する手段、などを備えることができる。
【0205】
以上の説明はOPEP装置を背景としてなされてきたが、如何なる呼吸器官装置もここに含まれる様々な技術の恩恵を受けられることは当業者にとって明らかである。以上の説明は、説明と記載の目的のために示されたものであり、発明を網羅したり、発明を開示された詳細な形態に限定したりすることを意図するものではない。本発明が、特許請求の範囲内に含まれる多くの変形例と改良を受け入れる余地があることは、当業者にとって明らかであろう。
典型的な実施例
【0206】
他の実施例では、呼吸器官治療装置は、少なくとも一つのチャンバーを有するハウジング、ハウジング内の空気がハウジングから出ることができるようにするチャンバー排気口、及びハウジングの外の空気がハウジング内に入ることができるようにするチャンバー吸気口を備える。チャンバー吸気口とチャンバー排気口との間には流路が形成される。制限部材は、流路内に配置され、流路に沿う空気の流れが制限される閉止位置と流路に沿う空気の流れが制限されない開放位置との間で移動可能とされる。羽根は、流路と流体連通し、制限部材に動作可能に接続されて、第1の位置と第2の位置との間を、流路に沿う空気の流れに応じて、往復動するようにされている。一方向性バルブは、チャンバー吸気口とチャンバー排気口とのうちの一方に配置され、チャンバー吸気口とチャンバー排気口とのうちの該一方を閾値圧力が得られるまで閉じるようにされている。呼吸器官治療装置は、圧力閾値療法と直列にOPEP療法を提供するように構成することもできる。
【0207】
他の実施例では、呼吸器官治療装置は、少なくとも一つのチャンバーを有するハウジング、ハウジング内の空気がハウジングから出ることができるようにするチャンバー排気口、及びハウジングの外の空気がハウジング内に入ることができるようにするチャンバー吸気口を備える。チャンバー吸気口とチャンバー排気口との間には流路が形成される。制限部材は、流路内に配置され、流路に沿う空気の流れが制限される閉止位置と流路に沿う空気の流れがあまり制限されない開放位置との間で移動可能とされる。羽根は、流路と流体連通し、制限部材に動作可能に接続されて、第1の位置と第2の位置との間を流路に沿う空気の流れに応じて往復動するようにされている。一方向性バルブは、開口に配置されて、閾値圧力が得られるまで該開口を閉じるようにされている。呼吸器官治療装置は、圧力閾値療法と並列にOPEP療法を提供するように構成することもできる。
【0208】
別の実施形態では、呼吸器官治療装置は、少なくとも一つのチャンバーを有するハウジング、呼気を該少なくとも一つのチャンバー内に受け入れることができるようにするチャンバー吸気口、及び呼気が該少なくとも一つのチャンバーから出ることができるようにするチャンバー排気口を備える。チャンバー吸気口とチャンバー排気口との間には呼気流路が形成される。制限部材は、流路内に配置され、流路に沿う呼気の流れが制限される閉止位置と呼気流路に沿う呼気の流れが制限されない開放位置との間で移動可能とされる。羽根は、呼気流路と流体連通し、制限部材に動作可能に接続されて、第1の位置と第2の位置との間を呼気流路に沿う空気の流れに応じて往復動するようにされている。シャトル弁は、制限部材と羽根との間の位置で呼気の流れの中に配置され、チャンバー吸気口において得られた閾値圧力に応じて、呼気流路に沿う空気の流れが出口開口にそらされる第1の位置と、呼気流路に沿ってシャトル弁を過ぎる空気の流れが許容される第2の位置との間で、移動するようにされている。
【0209】
別の実施形態では、呼吸器官治療装置は、少なくとも一つのチャンバーを有するハウジング、この少なくとも一つのチャンバー内に呼気を受け入れることができるようにするチャンバー吸気口、及び呼気が少なくとも一つのチャンバーから出ることができるようにするチャンバー排気口を備える。チャンバー吸気口とチャンバー排気口との間には呼気流路が形成される。制限部材は、流路内に配置され、流路に沿う呼気の流れが制限される閉止位置と呼気流路に沿う呼気の流れがあまり制限されない開放位置との間で移動可能とされる。羽根は、呼気流路と流体連通し、制限部材に動作可能に接続されて、呼気流路に沿う空気の流れに応じて第1の位置と第2の位置との間を往復動するようにされている。一方向性吸息バルブは、制限部材と羽根との間の位置において呼気流路に沿って配置され、吸息中にチャンバー吸気口において閾値圧力が得られると開くようにされている。