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特開2022-9376ガスをリリースするための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009376
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ガスをリリースするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/23 20220101AFI20220106BHJP
   B01F 21/00 20220101ALI20220106BHJP
   C12G 1/02 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
B01F3/04 A
B01F1/00 A
C12G1/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172642
(22)【出願日】2021-10-21
(62)【分割の表示】P 2018545800の分割
【原出願日】2016-11-18
(31)【優先権主張番号】714409
(32)【優先日】2015-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(71)【出願人】
【識別番号】509111319
【氏名又は名称】ザ ニュージーランド インスティテュート フォー プラント アンド フード リサーチ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】特許業務法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルムスリー ハミシュ ジョン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】キング ベンジャミン マーティン
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AA01
4G035AB05
4G035AB28
(57)【要約】
【課題】この開示は、液体へのガスの放出のための装置に関し、液体の品質を改善するために液体中にガスを放出するための装置を提供することを目的とする。
【解決手段】容器100に収容される液体Lの中にガスを放出する装置であって、圧縮ガスの供給源(ハウジング16)と、前記圧縮ガスの供給源と連通して流体内に置かれるフロート5と、前記圧縮ガスの供給源および前記フロート5と連通して流体内に置かれるガス解放部材(膜7)とを備える。前記ガス解放部材は、前記液体の中にガスを放出するのに適している。前記フロート5は、当該フロート5と前記ガス解放部材を当該フロート5の浮力に応じて上昇および下降させる可変的な浮力を有し、前記フロート5の浮力は、前記ガスが前記液体の中に解放されるのに伴って減少する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容される液体の中にガスを放出する装置であって、
a.圧縮ガスの供給源を含むガス組み立て体と、
b.前記圧縮ガスの供給源と連通して流体内に置かれるフロートと、
c.前記圧縮ガスの供給源および前記フロートと連通して流体内に置かれるガス解放部材であり、前記液体の中にガスを放出するのに適しているガス解放部材と、を備え、
前記フロートは、当該フロートと前記ガス解放部材を当該フロートの浮力に応じて上昇および下降させる可変的な浮力を有し、前記フロートの浮力は、前記ガスが前記液体の中に解放されるのに伴って減少する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、液体へのガスの放出のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワインの色、味および口あたりを改良するために、ワインは一般にしばらくの間熟成させられる。その熟成プロセスは、伝統的にオーク樽の中で行われてきた。オークは、少量の酸素を自然に取り入れ、それがワインのタンニンを発現させて、結果としてより味のよい製品を生み出す。ワインの生産量が増大するのに伴い、ワインメーカーは、より多くの生産量を可能とするために大きな鉄製タンクの中でワインを生産するようになっている。しかしながら、鉄は酸素を浸透させないためワインの熟成を阻害する。その代わりに、ワインメーカーは、樽の中に浸透する酸素を模倣するために専用のマイクロ酸素化システムを用いている。マイクロ酸素化処理は、色、味および口あたりを改良するだけでなく、成熟処理の速度を速め、未処理のワインおよび樽熟成のワインに比べて、ワインが市場に出荷されるまでの時間枠を短縮することができる。周知のマイクロ酸素化システムが有する主な欠点は、システムの初期コストと複雑さが、多くのワインメーカーにとって過剰な負担となることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
周知のマイクロ酸素化システムは、概してバブルプルーム拡散法で作動する。この方法は、ディフューザを通してタンクの底部付近に酸素の小さな泡を放出する工程を伴う。その酸素は、上方へ移動するにつれてワインに吸収される。このような方法の有効性は、泡のサイズとタンクの深さによって決せられる。
【0004】
本発明の少なくとも好ましい実施形態の目的は、液体の品質を改善するために液体中にガスを放出するための装置および方法を提供することである。本発明の少なくとも好ましい実施形態の更なるまたは代替の目的は、公衆に対して少なくとも役に立つ代替を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、容器に収容される液体の中にガスを放出する装置であって、
a.圧縮ガスの供給源を含むガス組み立て体と、
b.前記圧縮ガスの供給源と連通して流体内に置かれるフロートと、
c.前記圧縮ガスの供給源および前記フロートと連通して流体内に置かれるガス解放部材であり、前記液体の中にガスを放出するのに適しているガス解放部材と、を備え、
前記フロートは、当該フロートと前記ガス解放部材を当該フロートの浮力に応じて上昇および下降させる可変的な浮力を有し、前記フロートの浮力は、前記ガスが前記液体の中に解放されるのに伴って減少する装置が提供される。
【0006】
実施形態において、前記圧縮ガスの供給源は、前記容器の外側に提供されるのに適しており、前記フロートおよび前記ガス解放部材は、前記容器の内部に収納されるのに適している。代替の実施形態において、圧縮ガスの供給源、フロートおよびガス解放部材は、容器内に収容されるのに適した完全独立の組み立て体である。
【0007】
実施形態において、前記膜は、前記ガス組み立て体と前記フロートとの間に伸びている。
【0008】
実施形態において、前記膜は、前記圧縮ガスの供給源と前記フロートとの間に部分的に伸びている。
【0009】
実施形態において、前記膜は、フレキシブルなチューブを備えている。
【0010】
実施形態において、前記フロートは、当該フロートが上昇および/または下降するのに伴ってそのフロートを概して横に移動させる流体力学効果を生み出すように成形されている。
【0011】
実施形態において、前記フロートは、一つ以上の横方向に延びるフィンを備えている。
【0012】
実施形態において、前記装置は、前記ガスの供給源から前記フロートおよび膜へのガスの流れを制御する弁を更に備えている。
【0013】
実施形態において、前記ガスは、酸素、二酸化硫黄、二酸化炭素、および/または窒素の一つ以上の単独あるいは併用であるか、その一つ以上を備えている。
【0014】
実施形態において、前記ガスは酸素であるか、酸素を備えている。
【0015】
実施形態において、前記ガスは、一つ以上の風味またはアロマが吹き込まれている。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、液体の中にガスを放出する方法であって、
a.液体を収容している容器を提供する工程と、
b.ガスの供給源と、前記ガスの供給源と連通して流体内に置かれるフロートと、前記ガスの供給源および前記フロートと連通して流体内に置かれるガス解放部材とを提供する工程と、
c.前記フロートおよび前記ガス解放部材を前記容器の中の前記液体の中に配置する工程と、
d.前記ガス解放部材および前記フロートの中にガスを配給することで、前記フロートの浮力を増加させ、前記液体の中に前記ガス解放部材を通して前記ガスの供給源からガスを放出し、それにより前記フロートの浮力を減少させる工程と、
e.前記フロートの相対的な浮力に応じて前記容器の中の液体の範囲内で前記フロートが上昇および下降するのを許容する工程と、
を備える方法が提供される。
【0017】
実施形態において、前記方法は、前記フロートの内部の圧力が上方閾値に達したときに前記ガスの供給源からのガスの流れが減少または阻止され、前記フロートの内部の圧力が下方閾値に低下したときに前記ガスの供給源から前記フロートおよび前記ガス解放部材へと前記ガスが流れるのを許容するように、前記ガスの供給源から前記フロートおよび前記ガス解放部材へのガスの流れを制御する工程を更に備える。
【0018】
実施形態において、前記ガスの供給源から前記フロートおよび前記ガス解放部材へのガスの流れは、第1の期間に亘ってガスが放出されて第2の期間に亘ってガスが放出されないというサイクルで周期的に制御される。
【0019】
実施形態において、前記サイクルは、約20分と約24時間との間である。
【0020】
実施形態において、前記フロートは、当該フロートが上昇および下降する際に前記容器の中の前記液体の範囲内で横に移動する。
【0021】
実施形態において、前記ガスは、酸素、二酸化硫黄、二酸化炭素、および/または窒素の一つ以上であるか、その一つ以上を備えている。
【0022】
実施形態において、前記ガスは酸素であるか、酸素を備えている。
【0023】
実施形態において、前記液体は飲料である。
【0024】
実施形態において、前記飲料はワインである。
【0025】
この明細書および請求項において用いられている「備えている」との用語は、「部分的に少なくとも存在する』ことを意味している。「備えている」という用語を含むこの明細書および請求項の記載を解釈する際には、各記載においてこの用語で始まる特徴とは別の他の特徴も存在することができる。「備える」および「備えられる」のような関連用語は、同様の方法で解釈されるものとする。
【0026】
本願明細書において開示される数の範囲の参照(例えば、1~10)は、その範囲内にすべての有理数の参照(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9および10)も、更に、その範囲内の有理数のいかなる範囲(例えば、2~8、1.5~5.5および3.1~4.7)も組み込み、そして従って、本願明細書に明示されるすべての範囲のすべてのサブレンジがここに明示されることが意図されている。これらは、特に意図されることの例に過ぎず、列挙された最も低い値と最も高い値の間の数値のすべての可能な組み合わせが、同様の方法で本出願において明確に述べられていると考えられるものとする。
【0027】
本発明に関する当業者に対して、数多くの構造の変化並びに大きく異なる実施形態および本発明の応用は、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲でそれ自身を示唆している。本願明細書の開示および説明は純粋に例示であり、かつ、いかなる意味においても制限的なことを目的とするものではない。本発明が関連する周知の等価物を有する特定の整数が本願明細書において言及されている場合、そのような周知の等価物はあたかも個々に記載されているかのように本願明細書に組み込まれたものとみなされる。
【0028】
本明細書で用いている名詞後の(s)という用語は、その名詞の複数および/または単数形を意味する。
【0029】
本明細書で用いている用語「および/または」は「および」または「または」、あるいは文脈が許す場合にはそれらの双方を意味する。本発明は、先に述べたものの中に存在しておりかつ、以下に例としてのみ提示する構造を更に想定している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下、下記内容の添付図面を参照して例示としてのみ、本発明について説明する。
図1】圧縮ガス供給源、レギュレータ、弁およびそれらの構成要素のためのハウジングの分解斜視図である。
図2】圧縮ガス供給源、レギュレータおよび弁を収容しているハウジングの斜視図である。
図3】一緒に組み立てられる圧縮ガス供給源、レギュレータおよび弁の斜視図である。
図4】フロートの分解斜視図である。
図5】相対的に浮力のない位置におかれたフロートを伴う装置の斜視図である。
図6】相対的に浮力のある位置におかれるフロートを伴う装置の斜視図である。
図7】代替の実施形態のフロートの正面図である。
図8図7のフロートの斜視図である。
図9図7のフロートの側面図である。
図10】相対的に負の浮力の構成におかれた代替の実施形態のフロートの斜視横断面である。
図11】相対的に正の浮力の構成におかれた代替の実施形態のフロートの斜視横断面である。
図12】相対的に正の浮力の位置におかれた図5の装置を有するタンクの斜視透視図である。
図13】相対的に負の浮力の位置におかれた図5の装置を有するタンクの斜視透視図である。
図14】容器内に置かれた膜とフロートを伴い、他の構成要素がタンクの外部に配置されることになるタンクの斜視投資図である。
図15】装置をモニタし、および/または制御するための制御系を示す。
図16】時間の経過に伴う膜圧のグラフを示す。
図17】時間の経過に伴う膜圧のグラフを示す。
図18】本発明の装置の実施形態、既存のマイクロ酸素化システム、および制御によって扱われたピノノワールを比較した集計属性ランキングを示す。
図19】本発明の装置の実施形態、既存のマイクロ酸素化システム、および制御によって扱われたメルロを比較した集計属性ランキングを示す。
図20】トライアルの間の酸素の放出のグラフを示す。
図21】トライアルの間に集められた酸素の放出のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1乃至6、12および13を参照して、容器100に収容された液体の中にガスを放出するための好適な実施形態の装置を示す。この装置は、概して参照符号1によって示される。容器100は、バット、樽、タンク、貯蔵部、または液体の貯蔵、熟成および/または輸送に用いられる他のいかなる容器であってもよい。その容器は、鉄タンク、または繰り返し使用されることにより樽孔が詰まってしまった場合には、伝統的な木樽であってもよい。
【0032】
装置1は、ガスカートリッジ3の形をとる圧縮ガス供給源と、フロート5と、膜7の形をとるガス放出部材とを備える。ガスカートリッジは、圧力レギュレータ9およびパイロット弁11と繋がっている。圧力フィードバックチューブ13と共に、弁11は、チューブ10を経由してカートリッジから膜7に向かうガスの流れを制御する。弁11が開閉する圧力は、膜の拡散速度と適合している。圧力レギュレータ9、チューブ10、パイロット弁11およびフィードバックチューブ13は、蓋15を有するハウジング16の中に収容される。圧力レギュレータは、調節可能であってもよい。フロート5の特徴および機能は、シリンジと類似している。プランジャは、すべり摩擦を殆どまたは全く有しない膜シールを備えていてもよい。
【0033】
ガスがガスカートリッジ3からフロート5まで解放されることができるように、フロート5はガスカートリッジ3と流体を連通させる状態にある。膜7は、ガスカートリッジ3およびフロート5と流体を連通させる状態にある。特に、膜7は、ガスカートリッジ3からフロート5までガスを配送する。膜7は、液体Lへガスを放出するのにも適している。
【0034】
図4乃至図6を参照して、フロートの第1の実施形態を示す。フロート5は、フロート5の浮力に応じて液体L中でフロート5を上昇および下降させる可変的な浮力を有する。フロート5は、ハウジング17と、膜7と流体を連通させる状態にあるガスポート18とを有している。
【0035】
ハウジング17は、ハウジングのフランジ20に接続するキャップ19も含んでいる。ハウジング17の中には、スプリング21、スペーサ23、および軸27を有するプランジャ25が備えられている。スペーサ23は、スプリングの張力を設定し、そのスプリング張力を調整するために取り除いて、より短い、またはより長いスペーサに置き換えることができる。スプリングの張力は、膜7の拡散速度と適合している。スペーサ23およびスプリング21は、エンドキャップ19によってハウジング17の中に保持されている。ガスポート18は、ガスが膜7の内部と、ポート18とプランジャ25の間のハウジング17の内部との間を流れることができるように、膜7に連結している。
【0036】
始めにガスが膜7およびフロート5の中に放出されると、相対的に高いガス圧が、プランジャとスプリング21に作用し、プランジャ25をエンドキャップ19に向けて移動させる。これにより、フロート5は相対的に正の浮力を有し、図6に示すように液体Lの中で浮き上がる。時間の経過に伴ってガスが膜7を通って放出され、フロート5内の圧力が低下する。スプリング21は、プランジャ25をエンドキャップ19から遠ざける方向に移動させる。フロートは、相対的に負の浮力を持つことになり、図6に示すように降下する。
【0037】
図7乃至図9を参照して、代替の実施形態のフロート105を示す。この代替の実施形態のフロート105は、図4乃至図6との関係で図示および説明したフロートと同様の特徴および機能を有しており、同様の参照符号は同様の部分を表すのに用いられている。相違点は、フロート105が、液体の中で上昇および/または下降する際にフロート105を横に移動させる流体力学の効果を生み出すように形作られていることである。
【0038】
図示される実施形態において、フロート105は、横方向に延びるフィン129を一つ以上備えている。図示される好適な実施形態において、フロートは、2つのフィン129を備えている。フィン129は、上から見ると実質的に矩形であるが、六角形、円形、或いは三角形のような他の形状であってもよい。フィン129は、フロートハウジングの長さと関連して特定の角度に伸びる。その角度は、フロートが液体Lの中で上昇または下降する際にフロートを横に移動させる流体力学の効果を有している。
【0039】
加えて、上述した如何なる実施形態も、フロートがガスで満ちる際に流体が急速に変位して流体力学の力を生成するようにフロート設計の中に流体ジェットを作り出すことにより横への移動をも提供する場合がある。更に、または代替として、横の移動は、形作られた膜によって提供される場合があり、つまり、膜はカーブした形状を有していてもよい。
【0040】
この実施形態において、エンドキャップ119は、フロート105が容器100の中で移動する際に、その垂直方向を維持するためのウエイトでもある。ウエイト119は、フロートハウジング117のフランジ120に取り付けられる。
【0041】
図10および図11を参照して、フロート205の第3の実施形態を示す。第3の実施形態のフロート205は、図4乃至図6との関係で図示および説明した第1の実施形態のフロートと同様の特徴および機能を有しており、同様の参照符号は同様の部分を表すのに用いられている。このフロートは、ハウジング217、ピストン225、およびシール216を備えている。1つの違いは、そのシール216が、ピストンが移動する際にハウジングに沿って摺動するのではなく、ピストンが移動する際に、要求に応じて形状を変化させるローリングシールであることである。これにより、ピストンの動作に伴う摩擦は、殆ど或いは全く発生しない。
【0042】
ローリングシール216は、ハウジング217に取り付けられると共にピストン225に取り付けられる。図10に示す位置からピストン225が移動するに連れて、図11に示す状況に至るまで、ローリングシール216は展開する。フロート5が液体の中を移動するにつれて、膜7は液体Lの中を進行させられる。膜7は、フロート5/105が液体Lの中を移動する際の移動と変形の双方のために適切な柔軟性を有している。例えば、図5および図13は、フロート5が負の浮力を示すため、膜7が、ハウジング16からまっすぐ下に降下した状態を示している。図6および図12は、フロート5が正の浮力を示し、かつハウジング16から離れているため、膜7がカーブした形状を有している状態を示している。
【0043】
図示される実施形態において、膜7は、ハウジング16とフロート5の間に伸びている。代替の実施形態では、膜7が、ハウジング16とフロート5の間で部分的に伸びる場合がある。この代替の実施形態において、装置1は、ハウジング16から膜7まで伸びている透過性の低い、または極めて透過性の低いチューブを有する場合がある。加えて、または代替として、装置は、フロートから膜7まで伸び非透過性のチューブを有する場合がある。
【0044】
膜7は、液体内にガスを放出するシリコーンチューブを備える。幾つかの代替の実施形態において、膜は、他のガス透過性材料で形成される場合がある。ガスは、泡として、または液体内に直接溶解して、液体内に拡散する場合がある。適切な市販されている膜の例の二例は、以下の通りである。
【0045】
Saint-Gobain製造のTygon 3350
材料:プラチナ硬化シリコーンチューブ
長さ:2メートル
膜の内径:3mm
膜の外径:6mm
膜の厚さ:1.5mm
【0046】
Saint-Gobain製造のVersilic SPX-50
材料:シリコン管
長さ:2メートル
膜の内径:3mm
膜の外径:6mm
膜の厚さ:1.5mm
【0047】
概して、膜の長さは(これに限定されるものではないが)0.5m~5mの間のどこかから変動する場合がある。その長さは、特定のワイン、および/またはワイン容器のサイズおよびそこに貯留されるワインの量から要求される酸素放出レートによって選択され、または決定されることは考慮されるべきである。幾つかの特定のワインのための酸素放出レートの例は以下の通りである。
メルロ:1~5mg/L/月
ピノノワール:1~2mg/L/月
シャルドネ:1~2mg/L/月
【0048】
膜7の長さは、例えば、大凡、0.6m、0.7m、0.8m、0.9m、1.0m、1.1m、1.2m、1.3m、1.4m、1.5m、1.6m、1.7m、1.8m、1.9m、2.0m、2.1m 2.2m、2.3m、2.4m、2.5m、2.6m、2.7m、2.8m、2.9m、3.0m、3.1m 3.2m、3.3m、3.4m、3.5m、3.6m、3.7m、3.8m、3.9m、4.0m、4.1m、4.2m、4.3m、4.4m、4.5m、4.6m、4.7m、4.8m、4.9m、または5.0mである場合がある。
【0049】
膜の長さは、酸素放出レートを決定するために調整することのできる数多くのパラメータのうちの1つである。他のパラメータには、圧力、膜の材料、膜の厚さ、膜の直径、およびワインそれ自体が含まれる。
【0050】
ガスは、酸素、亜硫酸ガス、二酸化炭素および/または窒素の一つ以上の単独または組み合わせであり、或いはその単独または組み合わせを備える。好適な実施形態では、そのガスは酸素であり、或いは酸素を備える。幾つかの実施形態において、ガスには、オークのような一つ以上の風味またはアロマが吹き込まれる場合がある。
【0051】
装置の内部に酸素と一緒に更なるガスを含ませる利点は、追加のガスが、風味、色および/またはテクスチャを改良し、或いは望ましくない特徴を取り除くための直接的な反応をワインの内部で生じさせることである。
【0052】
一の実施形態において、ガスカートリッジ3、フロート5および膜7は、容器100の内部に全体が収容されるのに適した完全独立の組み立て体である。すなわち、その組み立て体の如何なる部分も容器100の外側には存在しない。図5および図6は、その実施形態を示している。この実施形態の利点は、何らの変形や外部器材を必要とすることなく、その装置が従前のワインタンクまたはワイン樽と共に用い得るということである。この装置は、一旦容器100の中に導入されれば、殆ど、或いは全く、オペレータによる入力を必要としない。
【0053】
図14は、フロート5と膜7は容器100の中に提供される場合があるが、その他の構成要素が容器の外に提供されることになる代替の実施形態を示す。特に、ガスカートリッジ3、圧力レギュレータ9、および弁11は容器100の外に置かれる場合がある。
【0054】
チューブは、容器100の開口、入口ポートまたは栓を通って延びることができ、液体L内の膜7にガスを供給することができる。他の代替の実施形態では、栓/蓋の代わりにハウジングを容器100の外に設置することができる。
【0055】
それらの構成要素はハウジング16の中にある場合がある。この実施形態の利点は、ガスカートリッジ3にアクセスしてそれが作動していることを確認し、また、ガスカートリッジ3を交換することが、オペレータにとって相対的に容易なことである。
【0056】
液体と接触する装置の各要素は食品グレードの材料とされている。例えば、膜は食品グレードのシリコンにより、また、ハウジング、フロートハウジング、およびエンドキャップは夫々食品グレードのプラスチック材料により形成されている。弁は真鍮とステンレス鋼で形成されており、また、カートリッジは鉄で形成されている。
【0057】
次に、液体内にガスを放出する方法について説明する。その方法は、容器100内の液体の中に、ガスカートリッジと弁11を収容するハウジングとフロートとを設置する工程備える。
【0058】
使用に際して、ガスは弁11を通してガスカートリッジ3から膜7の中に放出される。ガス圧は、フロート5のプランジャ27に作用してプランジャを上方へ移動させ、そして、フロートは浮力を得て上方へ浮かび上がる。膜7およびフロート5内の圧力は、弁11にフィードバックされ、これを閉弁させる。ガスは、膜7を通して液体内に拡散される。フロート5内の圧力が中間の圧力に減少すると、浮力が負となってフロート5は沈下する。ガスは、膜7を通して液体内に広まり続ける。低圧側の閾値において弁11が開き、上記のサイクルが再び開始される。
【0059】
図15は、装置の代替の実施形態をモニタリングし、および/または制御する制御システムを示す。この代替実施形態の制御系は、複数のセンサからのフィードバックに基づいて電磁弁を作動させることにより、ガスカートリッジからフロートと膜にガスを提供するために作動する。図15は、圧力を制御するための一つの可能な方法を示すに過ぎないことは理解されるべきである。他の方法も可能である。図15では、酸素ボンベ3と圧力レギュレータ9の間に圧力センサ13を示している。他のプレッシャセンサ33が、フロートに位置するか、または膜内の圧力を測定するために位置する場合がある。温度センサ35は、タンク内のワインの温度を測定する。周辺温度センサ37は、周囲温度を測定する。このシステムは、39において、周辺温度センサ、圧力センサおよびタンクの温度センサから受け取ったデータに基づく信号調整を実施する。データは、次いでマイクロコントローラに送信され、そこから弁ドライバに、電磁弁を作動させるための信号が送信される。フロート内のガスの圧力が低圧側の閾値に到達すると、制御システムは電磁弁を作動させる。このシステムは、一つの低圧側閾値と、一つの高圧側閾値をもっている場合がある。あるいは、このシステムは、圧力閾値の帯において作動する場合がある。
【0060】
図16および17は、システムが圧力の帯において作動する時間の経過に伴うフロート膜内の圧力のグラフを示す。各グラフは、膜の圧力が2つの圧力帯の間で、個々の圧力帯の範囲内で行き来する様子を示している。一つの帯は、相対的に高い圧力を有し、ワインのタンク内で相対的に高く位置するフロートに対応している。圧力帯の範囲内で、そのグラフは、圧力が時間の経過に伴って変化し、約1.6バールと約1.7バールの間で行き来することを示している。
【0061】
もう一つのバンドは、相対的に低い圧力を有し、ワインのタンク内で低く位置するフロートに対応している。例えば、そのフロートは、タンクの中央またはその近傍に位置し、或いはタンクの底部またはその近傍に位置する場合がある。圧力帯の範囲内で、そのグラフは、圧力が時間の経過に伴って変化し、約1.3バールと約1.4バールの間で行き来することを示している。
【0062】
フロートは、圧力が2つの帯の間を遷移する際に、図16及び図17の場合には1.5バールである中立浮力点を通過することにより移動する。加えて、浮力が負である(または低圧側の圧力帯の中にある)場合のフロートの位置は、膜の長さによって決められる。浮力が正である(または上方の圧力帯の中にある)場合、フロートは液体の表面上に残ることになる。
【0063】
中立浮力の圧力は、以下の手法で決定することができる。
1.フロート圧をゼロとする(または、膜内に何らかの酸素が入れられる前にこれを行う)。
2.30秒毎に0.05バール増加といった程度で膜内の圧力をゆっくりと上昇させる。
3.膜内の圧力を連続的にモニタする。
4.圧力が中立浮力点に届き、かつそれを越えると、フロートが液体の中で上昇し、それにより静水圧が減少することにより、静水圧の変化の投影である膜内の圧力変化が検出できる。
【0064】
ハウジング16は、液体Lに浮く場合があり、また、容器100の底に向かって下方へ移動する場合がある。ハウジングは、カートリッジ3の中に残っている酸素の量に応じて、傾き、浮き、または下方へ移動する場合がある。膜7とフロート5が移動するのに加えて、ハウジング16も移動する場合がある。
【0065】
膜7を動かすことで、液体Lのタンクの全体に、酸素をより良好に全体的に分配することが可能となる。周期的に膜7を動かすことにより、膜が静止または相対的に静止している場合と比較して、液体のより多大な割合が膜7に隣接して来ることとなる。その結果、アクティブなフロートは、静止または相対的に静止した膜と比較して、より有効なマイクロ酸素化処理を提供する。
【0066】
液体Lの中でアクティブなフロートを動かすことにより、膜7の外側周辺に酸素が蓄積してしまうのを防ぐことができ、または少なくとも実質的に妨げることができ、或いは、膜が静止している場合と比べて少なくとも相対的に減少させることができる。膜を通して酸素を液体に導入する処理は、濃度差によって進められる。膜7のまわりの液体が酸素で過剰飽和してしまうと、膜7を通した酸素の放出レートが低減され、或いは完全に停止されてしまう場合さえある。膜7を周期的に動かすことで、酸素の飽和を防止し、或いは少なくとも実質的に妨げることができる。装置が、図7乃至図9に関連して図示および説明したフロート105を備える場合は、上昇または下降するのに伴い、容器内の液体の中でフロートが横に移動する。
【0067】
一の実施形態において、ガスの流れは、第1の期間に亘りガスが放出され、第2の期間に亘りガスが放出されないサイクルにおいて、周期的に制御される。
【0068】
この方法は、好ましくは多数のサイクルに亘って実施され、また、それらのサイクルは最低で1ヵ月以上繰り返される。このサイクルは、約20分と約24時間との間である場合がある。酸素放出のレートは、時間の経過に伴うリットル当たりの酸素量が異なるように制御される場合がある。一の例は以下の通りである。1ヶ月目は、リットル当たりの酸素を5mgとする。2ヵ月目は、リットル当たりの酸素を3mgとする。3ヵ月目は、リットル当たりの酸素を1mgとする。
【0069】
幾つかの実施形態において、この方法は、出荷前にワインを『開かせる』ために、1リットルのワインに対して1mgの酸素を適用することを含む場合がある。ワインの輸送の間に、本願明細書に記載した装置および方法を用いて酸素を適用することも可能である。
【0070】
作動パラメータは、処理される液体のタイプに応じて調整されることになる。この装置および方法は、ラム、ビール、酢、シェリー、ウィスキーまたはブランデのエイジングのために用いられる場合がある。
【0071】
実験結果
上記の好適な実施形態の装置および方法を用いることで、以下の初期結果が得られた。
【0072】
メルロ
膜タイプ:Tygon 3350
膜の長さ:2m
膜の平均圧力:1.45バール
平均膜サイクルタイム:55分
酸素放出レート:1ヵ月につき15.45グラム
ワインの容積:11,000リットル
【0073】
ピノノワール
膜タイプ:Tygon 3350
膜の長さ:1m
膜の平均圧力:1.25バール
平均膜サイクルタイム:55分
酸素放出レート:1ヵ月につき7.18グラム
ワインの容積:11,000リットル
【0074】
好適な実施形態の装置を用いて処理されたワインと、酸素処理が施されていない同じワインとについて比較試験を実施した。処理済みのワインは、未処置のワインと比較して風味の違いを呈し、処理済みのワインの酸素化とエイジングを示すものであった。
【0075】
トライアルの背景
液体の中にガスを放出する装置の実施形態の適合性とパフォーマンスを試験するために更に詳細なトライアルを実行した。このトライアルは、装置の実施形態を評価し、かつ、既存のマイクロ酸素化システムおよび制御と比較するために設計された。この制御は、いかなるマイクロ酸素化システムも用いないワインである。トライアルは、6つのタンクおよび2種類のワインについて実施された。環境要因は、ワイン製造の活動において経過する時間と同様に再現された。例えば、全てのタンクは、同じ時間の量だけ外部の酸素に晒された。
【0076】
ワインは、トライアルの全体に亘って能動的にモニタされ、その結果のワインはトライアルの全体に亘り定期的に独立した研究室によりって評価された。
【0077】
タンクセットアップ
トライアルには6つのタンクが含まれ、各タンクは以下の寸法を有していた。
・高さ:2.5m
・直径:2.35m
・容量:11,000
【0078】
タンクのワインタイプと酸素処理レート
タンク1:
1ヵ月1リットルにつき1mgの酸素放出レートで2ヵ月間、装置の実施形態でピノノワールを処理
タンク2:
1ヵ月1リットルにつき1mgの酸素放出レートで2ヵ月、競合者の装置でピノノワールを処理
タンク3:
1ヵ月1リットルにつき0mgの酸素放出レートで2ヵ月、ピノノワールを制御
タンク4:
1ヵ月1リットルにつき2mgの酸素放出レートで1ヵ月、1ヵ月1リットルにつき1mgの酸素放出レートで1ヵ月、装置の実施形態でメルロを処理
タンク5:
1ヵ月1リットルにつき、2mgの放出レートで1ヶ月、1mgの酸素放出レートで1ヵ月、競合者の装置でメルロを処理
タンク6:
1ヵ月1リットルにつき酸素0mgで2ヶ月メルロを制御
【0079】
ワインメーカーの目標
各ワインの目標および特徴は、トライアルの開始前に決定された。ピノノワールは、「ワインにより多くの深さおよびフルネスを与えるためにボディを造ってタンニンを軟化する」ことを必要とした。メルロは、味覚全体に深さを持ち込み、後味のドライさをより少なくするために、タンニンを精製して軟化することを必要とした。これらの開発目標は、タンクワインタイプ処理酸素レートとの関係で上述した通り、品種ごとに必要とされる酸素フローレートを決定した。
【0080】
トライアルの監視
ブラインドテイスティング
開発目的に対する進展を評価するために、ワインメーカーは、二週間に一回の間隔で各ワインの系統的なブラインドテイスティングを行った。各サンプルは、その個々の属性に着目して、その品種の範囲内で、それらを他のブラインドサンプルと比較して、その味および開発が評価された。
【0081】
独立研究室での分析
各ワインのサンプルが採取され、ワイン分析を専門に扱っている独立研究室に送付され、そこでは、トライアル前とトライアル後にベーシックワインパネルが各サンプルに亘って実行された。このパネル分析は、ワインのpH、滴定酸度(TA)、遊離および総二酸化硫黄、アルコール、酢酸、ブドウ糖/フルクトース、リンゴ酸の測定から成っている。二週間に一回のテストおよび分析も、サンプルのレンジに亘ってその研究室によって行われた。これに加えて、ワインメーカーもワインの化学分析を行い、トライアルの全体に亘り温度、溶融酸素、色、密度および濁りが測定されると共に、pH、遊離および総二酸化硫黄、TA、揮発酸性度の変化が評価された。
【0082】
リアルタイム遠隔監視
装置は、各ユニットのリアルタイム監視と共に用いられる場合がある。この監視は、酸素の放出レートの遠隔調整と同様にパフォーマンスの監視を可能とする。この監視は、フローレート、圧力、フロート振動、酸素レベルおよび温度に関する有益なフィードバックを提供した。リアルタイム監視はトライアルの間に用いられ、10週間のトライアルの全体に亘って5分毎に自動的にデータが報告されることで、強力なデータセットが提供された。
【0083】
トライアルの終わりに当たり、異なる処理が互いに容易に識別可能であったか否かを判断するため、および各ワインの個々の属性を評価するために、ブラインド味覚試験がワインメーカーのパネルによって実行された。パネルは、6つのタンク全体の味覚プロファイルを確立し、競合者の取り扱いによるワインおよび制御ワインとの関係で、好適な実施形態の装置がどの程度実績を上げたかをランキングするとの目標と共に、ブラインドサンプルの提供を受けた。
【0084】
図18は、装置の実施形態によって処理されたピノノワール(三角形のシンボルで示す)と、既存のマイクロ酸素化システム(正方形のシンボルで示す)と、制御(円のシンボルで示す)とを比較した集計属性ランキングを示す。
【0085】
図19は、装置の実施形態によって処理されたメルロ(三角形のシンボルで示す)と、既存のマイクロ酸素化システム(正方形のシンボルで示す)と、制御(円のシンボルで示す)とを比較した集計属性ランキングを示す。
【0086】
図18および図19から分かるように、集計テイスティングパネル属性ランキングは、装置の実施形態によって処理されたワインは、十項目の異なる属性の夫々の全てに亘り、既存のマイクロ酸素化システムによって処理されたワインおよび制御ワインと同等に、若しくはより上位にランク付けされることを示している。
【0087】
テイスティングノート
トライアルの全体に亘って取られたテイスティングノートも、好適な実施形態の装置で処理されたワインのサンプルが、各サンプル点の各ワイン品種の中で最も好ましいサンプルであることを証明している。
【0088】
「赤い果実と風味豊かなハイライトを有する複雑な香り。D(制御)およびE(競合者)より深い味わい。E(競合者)よりワインの全体の流れに僅かに統合された構造。
【0089】
「幾つかのスパイスのきいたリフトを伴うスイートブラックベリーのアロマ。エントリでのリッチさと深さ、良質な複雑さは、粒状タンニンと軽い渋みにつながる。これら3つのワインの中で最も柔らかく、バランスが取れている。」
【0090】
3つのグラスの中で、複雑な風味のよい特色を伴う甘いダークな焼き果実を最も想起させる。実質のある構造のタンニンでありながら、プレート全体に亘り良好に持続するアタックにおいて優れた深さである。飲み終わりに渋みが残らない。深さと構造において全体としてバランスが良好である。」
【0091】
遠隔データ分析
好適な実施形態の装置を用いることにより生じたデータセットは、好適な実施形態の装置の両ユニットが放出する酸素レートが、ユニット1(メルロ)およびユニット3(ピノノワール)につき夫々1月当たり13.04グラムおよび6.66グラムを放出し、所定の目標の範囲内に留まることをも示している。そのデータは、グラフ化すると、酸素の均一な一貫した流れを示している。これは、酸素の導入に伴うワインの成長を追跡するワインメーカーから受け取るフィードバックと整合している。トライアルの全体に亘ってワインの大樽の全体を30分毎に振動するアクティブフロートの信頼性に富むパフォーマンスも確認することを推奨する。
【0092】
独立した研究室での分析
独立した基本パネル試験が実行されている。分析結果は、化学分析の視点からは各品種の3つのサンプル間に如何なる有意な差異も認められないことを示している。これは、好適な実施形態の装置は、ワインに何らの化学的影響を及ぼすことなくワインを効果的に改善していることを示している。
【0093】
【表1】
【0094】
本発明の好適な実施形態は、ここまで例示の手法でのみ説明されており、本発明の技術的範囲を逸脱することなく、変形例を作成することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21