(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093771
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】航空機用電気コネクタおよび航空機
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20220617BHJP
H01R 13/533 20060101ALN20220617BHJP
【FI】
H01R13/46 301M
H01R13/533 D
H01R13/533 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206411
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】508208007
【氏名又は名称】三菱航空機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】古茂田 潮
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF03
5E087FF16
5E087LL03
5E087LL17
5E087MM08
5E087QQ06
5E087RR06
5E087RR15
5E087RR18
5E087RR29
5E087RR33
(57)【要約】
【課題】飛行中の強い振動等の過酷な条件下であっても、絶縁体が動いてコネクタピンや電線が露出するようなことを防いで短絡を防止することが可能な航空機用の電気コネクタ短絡防止構造を提供すること。
【解決手段】航空機用の電気コネクタ3に備わる導体30の短絡を防止する構造4は、導体30が貫通する開口部20が形成されたハウジング部材2と、導体30をハウジング部材2に支持する支持部33と、支持部33よりも内方で導体30を覆う絶縁性の保護体10とを備える。ハウジング部材2に支持部33により支持されている導体30に対する保護体10の内方への変位が規制されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用の電気コネクタに備わる導体の短絡を防止する構造であって、
前記導体が貫通する開口部が形成されたハウジング部材と、
前記導体を前記ハウジング部材に支持する支持部と、
前記支持部よりも内方で前記導体を覆う絶縁性の保護体と、を備え、
前記導体に対する前記保護体の内方への変位が規制されている、
ことを特徴とする航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項2】
前記支持部により前記保護体の外方への変位が規制されている、
請求項1に記載の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項3】
前記保護体が前記ハウジング部材に係止されることにより、
前記導体に対する前記保護体の内方への変位が規制されている、
請求項1または2に記載の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項4】
前記ハウジング部材には、
前記開口部から内方へ連なり、前記保護体が挿入される挿入孔が形成され、
前記保護体が前記挿入孔の内壁に係止されることにより、
前記導体に対する前記保護体の内方への変位が規制されている、
請求項3に記載の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項5】
前記保護体は、内方に向かうにつれて次第に細くなる縮小部を備え、
前記ハウジング部材は、前記縮小部に倣い、外方に向かうにつれて次第に拡大した拡大部を備え、
前記縮小部および前記拡大部によって前記導体に対する前記保護体の内方への変位が規制されている、
請求項4に記載の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項6】
前記ハウジング部材と前記保護体との係合により、
前記ハウジング部材に対する前記保護体の軸周り方向への回転が規制されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項7】
前記ハウジング部材の内部に位置する部材により前記保護体が内方から係止されることで、前記導体に対する前記保護体の内方への変位が規制されている、
請求項1、2、6のいずれか一項に記載の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項8】
前記ハウジング部材に前記保護体が内方から係止されることにより、前記保護体の外方への変位が規制されている、
請求項7に記載の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項9】
前記導体は、
前記電気コネクタに係合される相手コネクタの導体と接続されるコンタクトと、
前記コンタクトから前記ハウジング部材の内方に延びている電線と、を含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項10】
前記保護体には、複数の前記導体がそれぞれ個別に通される貫通孔が形成されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項11】
前記ハウジング部材には、燃料を利用先に送る燃料ポンプを駆動するモータが収容され、
前記導体を通じて前記モータに通電可能に構成されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の電気コネクタ短絡防止構造を備える、
ことを特徴とする航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用の電気コネクタ、およびそれを備えた航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機に装備される種々の機器は、電源や計器、あるいは他の機器と接続するための電気コネクタを備えている。
例えば、主翼の内部に収容された燃料を航空機のエンジンへ送る燃料ポンプは、駆動用のモータへ給電するための電気コネクタを備えている。
かかる電気コネクタは、例えば、特許文献1に示すように、電線が接続されるコネクタピンと、コネクタピンを保持するガラス製プラグと、ガラス製プラグが設けられるシェルとを備えている。コネクタピンおよび電線とシェルとの間はガラス製プラグにより絶縁される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛行中の強い振動により、電気コネクタには大きな負荷が加えられる。
本発明は、そうした過酷な条件下であっても、絶縁体が動いてコネクタピンや電線が露出するようなことを防いで短絡を防止することが可能な航空機用の電気コネクタ短絡防止構造、およびそれを備えた航空機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、航空機用の電気コネクタに備わる導体の短絡を防止する構造であって、導体が貫通する開口部が形成されたハウジング部材と、導体をハウジング部材に支持する支持部と、支持部よりも内方で導体を覆う絶縁性の保護体と、を備え、導体に対する保護体の内方への変位が規制されていることを特徴とする。
【0006】
本発明においては、開口部を通じてハウジング部材の内部と外部とを結ぶ方向における内側を「内方」と定義し、外側を「外方」と定義するものとする。
【0007】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、支持部により保護体の外方への変位が規制されていることが好ましい。
【0008】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、保護体がハウジング部材に係止されることにより、導体に対する保護体の内方への変位が規制されていることが好ましい。
【0009】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、ハウジング部材には、開口部から内方へ連なり、保護体が挿入される挿入孔が形成され、保護体が挿入孔の内壁に係止されることにより、導体に対する保護体の内方への変位が規制されていることが好ましい。
【0010】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、保護体は、内方に向かうにつれて次第に細くなる縮小部を備え、ハウジング部材は、縮小部に倣い、外方に向かうにつれて次第に拡大した拡大部を備え、縮小部および拡大部によって導体に対する保護体の内方への変位が規制されていることが好ましい。
【0011】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、ハウジング部材と保護体との係合により、ハウジング部材に対する保護体の軸周り方向への回転が規制されていることが好ましい。
【0012】
本発明においては、開口部を通じてハウジング部材の内部と外部とを結ぶ方向に設定した軸の回転方向のことを「軸周り方向」と定義するものとする。
【0013】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、ハウジング部材の内部に位置する部材により保護体が内方から係止されることで、導体に対する保護体の内方への変位が規制されていることが好ましい。
【0014】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、ハウジング部材に保護体が内方から係止されることにより、保護体の外方への変位が規制されていることが好ましい。
【0015】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、導体は、電気コネクタに係合される相手コネクタの導体と接続されるコンタクトと、コンタクトからハウジング部材の内方に延びている電線と、を含むことが好ましい。
【0016】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、保護体には、複数の導体がそれぞれ個別に通される貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、ハウジング部材には、燃料を利用先に送る燃料ポンプを駆動するモータが収容され、導体を通じてモータに通電可能に構成されていることが好ましい。
【0018】
本発明の航空機用の電気コネクタ短絡防止構造において、上述の電気コネクタ短絡防止構造を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ハウジング部材に支持部により支持されている導体に対する保護体の内方への変位が規制されていることにより、電気コネクタの導体から保護体が離れることなく導体に留められる。
したがって、飛行中に強い振動が電気コネクタに加えられたとしても、保護体が動いて導体が露出したり、保護体が動いて負荷が掛かったことで導体が変形したり電線被覆が破損したりといったことを防ぐことができる。そのため、保護体により導体が絶縁されている状態を維持して、電気コネクタにおける短絡発生を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る航空機の燃料ポンプの一部(駆動用モータ)と、電気コネクタとを示す一部破断断面図である。
【
図2】(a)は、第1実施形態に係る電気コネクタの短絡防止構造を示す一部破断断面図である。(b)は、(a)に示す電気コネクタの導体を覆う絶縁性の保護体を示す斜視図である。
【
図3】
図2(a)に示す構造を分解して示す図である。
【
図4】(a)は、第1実施形態の変形例に係る電気コネクタの短絡防止構造の平面図である。(b)は、(a)に示す保護体を示す斜視図である。
【
図5】(a)は、本発明の変形例に係る電気コネクタの短絡防止構造を示す一部破断断面図である。(b)は、(a)に示す保護体を示す斜視図である。(c)は、保護体の拡大部をフランジ状に形成した例を示す図である。
【
図6】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の他の変形例に係る電気コネクタの短絡防止構造を示す一部破断断面図である。
【
図7】第2実施形態に係る電気コネクタの短絡防止構造を示す一部破断断面図である。
【
図8】第3実施形態に係る電気コネクタの短絡防止構造を示す一部破断断面図である。(b)は、(a)に示す保護体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の各実施形態に係る電気コネクタ短絡防止構造について説明する。
本発明の各実施形態に係る電気コネクタは、航空機に装備される機器を作動させたり制御したりするために使用される。
航空機に装備される機器の一例としては、航空機のエンジンに燃料を送る燃料ポンプや、種々のバルブを駆動するアクチュエータ等を挙げることができる。
以下で説明する各実施形態では、航空機の燃料ポンプを駆動するモータへ電力を供給する電気コネクタにおける短絡防止構造を説明する。下記のモータ1は3相交流が供給されるが、直流モータであってもよい。
【0022】
図1は、航空機に装備される燃料ポンプを駆動するモータ1と、モータ1を収容するハウジング部材2と、ハウジング部材2に備えられた電気コネクタ3とを示している。
航空機の燃料ポンプは、モータ1と、モータ1により回転駆動される図示しないインペラと、ハウジング部材2を含むハウジングとを備えている。かかる燃料ポンプは、航空機の主翼の後端部に設けられており、主翼の内部に貯留された燃料をインペラの回転により汲み上げてエンジン(利用先)へと圧送する。
図1に示すハウジング部材2の形態は、あくまで一例である。ハウジング部材2は、燃料ポンプ等の機器に備わり電気コネクタ3が設けられるハウジングには必ずしも限らず、電気コネクタ3に備わるハウジングであってもよい。
【0023】
電気コネクタ3と図示しない相手コネクタとが係合されることで、モータ1と外部の電源とが接続される。つまり、導体30を通じてモータ1に外部から通電可能となる。そして、燃料ポンプの負荷に応じた電力が外部電源からモータ1の図示しないステータコイルへと給電される。
【0024】
電気コネクタ3は、ピン状のコンタクトであるコネクタピン31と、コネクタピン31に接続される電線32と、コネクタピン31を周囲から電気的に絶縁するとともにハウジング部材2に支持する支持部33と、相手コネクタの係合部と係合する係合部34とを備えている。
【0025】
コネクタピン31および電線32は、機器と、外部の電源や他の機器とを接続するための電気コネクタの最も基本的な構成要素である導体30に相当する。
コネクタピン31および電線32は、三相交流に対応して3つずつ存在している。コネクタピン31からハウジング部材2の内側へと延びている各電線32は、対応する相のステータコイルの端子に接合されている。
【0026】
コネクタピン31および電線32は、全体として、ハウジング部材2の内部と外部とを結ぶ方向にハウジング部材2を貫通している。
本明細書においては、特に断りのない限り、ハウジング部材2の開口部20を通じてハウジング部材2の内部と外部とを結ぶ方向(軸方向D1)における内側を「内方」と称し、外側を「外方」と称する。
【0027】
導体30の短絡を防止するため、複数の導体30同士、および導体30と周囲の部材との絶縁を確保するとともに、電気コネクタ3に振動等の外力が加えられた際にも、絶縁された状態を維持する必要がある。航空機用の電気コネクタ3には、飛行中に、自動車や鉄道用の電気コネクタと比べても顕著に強い振動が加えられる。
ここで、電気コネクタ3には、支持部33よりも内方に、絶縁性を有する保護体10が設けられている。この保護体10によりハウジング部材2の内部でコネクタピン31の端部および電線32の所定範囲が覆われていることで、電線32の絶縁被覆の摩耗や破損時にも電線32の心線を絶縁する。保護体10は、導体30の所定範囲を覆っている状態でその場に留まり、導体30が絶縁されている状態を維持する。
【0028】
以下で説明する各実施形態は、飛行中に電気コネクタ3に過酷な振動が加えられたとしても、保護体10が導体30から動いて導体30が短絡するのを防止する航空機用の電気コネクタ短絡防止構造4に主要な特徴を有している。
【0029】
電気コネクタ短絡防止構造4は、保護体10、電気コネクタ3およびハウジング部材2を含んで構成されている。この電気コネクタ短絡防止構造4は、導体30が周囲の導電性部材を介して機体へ、さらに大地へと地絡したり漏電したりすることをも含め、導体30から予期しない経路に電流が流れることを防止する。
【0030】
〔第1実施形態〕
図1~
図3を参照し、電気コネクタ3の構成をより具体的に説明するとともに、電気コネクタ3に備わる導体30の短絡を防止する短絡防止構造4の構成を説明する。
電気コネクタ3は、上述したように、モータ1に供給される3相交流に対応する3つの導体30(コネクタピン31および電線32)と、支持部33と、係合部34とを備えており、導体30の絶縁を確保するため、電気コネクタ3には保護体10が設けられている。
電気コネクタ3の短絡防止構造4は、開口部20が形成された導電性のハウジング部材2と、保護体10と、支持部33とを含んで構成されている。
【0031】
(ハウジング部材)
ハウジング部材2は、
図1に示すように、内側にモータ1を収容する略円筒状のハウジング部材本体21と、ハウジング部材本体21から径方向外側に突出し、電気コネクタ3が設けられるコネクタポート22とを備えている。
ハウジング部材2は、典型的には、アルミニウム合金等の金属材料を用いて鋳造により形成されている。
【0032】
ハウジング部材本体21の
図1に示す開口21Aから、ハウジング部材本体21の内側にモータ1が収容される。ハウジング部材本体21の開口21Aは、図示しないカバー部材あるいはモータ1の駆動制御用の基板等を備えた部材により塞がれる。
【0033】
コネクタポート22は、筒状に形成されており、コネクタポート22の先端部22Aに開口部20が位置している。
コネクタポート22の内側およびハウジング部材本体21には、開口部20から内方へ連なり、保護体10が挿入される挿入孔23が形成されている。本実施形態の挿入孔23は、円形の横断面を呈する。
挿入孔23は、ハウジング部材本体21の内方にも開口している。開口部20および挿入孔23を通じて、ハウジング部材2の内部と外部とが連通している。そして開口部20および挿入孔23に導体30が通されている。
【0034】
(支持部)
支持部33は、電気コネクタ3の3つのコネクタピン31を保護体10よりも外方でコネクタポート22に支持する。
支持部33は、
図2(a)に示すように、3つのコネクタピン31を相互に絶縁する絶縁体331と、絶縁体331を保持し、コネクタポート22の平面視矩形状の先端部22Aにファスナ332Aにより締結される金属製の固定プレート332とを備えている。3つのコネクタピン31は、互いに平行に、相互に所定の間隔をおいて絶縁体331を貫通している。
【0035】
固定プレート332の表側には、図示しない相手コネクタの係合部と係合する金属製の係合部34が設けられている。係合部34の外周部には、相手の係合部のねじと係合するねじ33Aが形成されている。上述の絶縁体331を貫通する各コネクタピン31は、円筒状の係合部34の内側に位置している。相手コネクタの係合部が係合部34にねじ込まれると、各コネクタピン31が相手コネクタの対応する相の導体(コンタクト)と接触して導通する。このとき、係合部34の内側に相手コンタクトの導体を保持する絶縁体が挿入されるため、3相間の絶縁が確保される。
【0036】
各コネクタピン31における絶縁体331の裏側に突出した部分(はんだ付け端子31A)には、図示しないはんだにより電線32の心線が接合される。電線32は、導電性の心線と、心線を被覆する絶縁性の被覆とを有している。
【0037】
(保護体)
次に、保護体10は、支持部33よりも内方で、具体的には、支持部33の裏側から、少なくとも挿入孔23の内端までの区間に亘り、導体30を覆っている。
コネクタピン31のはんだ付け端子31Aが保護体10の貫通孔11に挿入されることにより、保護体10が絶縁体331の裏側に突き当てられることが好ましい。
この保護体10は、支持部33により外方への変位が規制されている。
【0038】
保護体10は、絶縁性の樹脂材料を用いて形成されている。本実施形態の保護体10は、外観が略円柱状に形成されている。
保護体10の材料としては、絶縁性を有している限りにおいて、基本的に制約がない。但し、燃料ポンプ用の電気コネクタ3に係る本実施形態では、モータ1の軸受等の潤滑や冷却のため、モータ1の周囲に到達した燃料が保護体10にも接触する可能性を考慮して、燃料に対する耐性を有し、必要な経年特性を備えた材料を保護体10に用いることが好ましい。上述の絶縁体331の材料についても同様である。
本実施形態の保護体10に好適な樹脂材料としては、例えば、フルオロシリコーン等のゴム系材料の他、エポキシ樹脂等を挙げることができる。弾性率や、熱硬化性樹脂であるか熱可塑性樹脂であるかを問わず、また、光硬化性樹脂も含め、種々の樹脂材料を保護体10に用いることができる。
【0039】
また、保護体10を成形する方法としては、射出成形、切削等の機械加工を含む種々の方法を採用することができる。
【0040】
本実施形態の保護体10は、挿入孔23の内端23B(
図1)よりも内方へ、ハウジング部材本体21の内部にまで延びている。保護体10の内端10Bは、ハウジング部材本体21の内部に位置し、電線32を収容するカップ状の絶縁部材41に形成された切欠41Aに挿入されている。絶縁部材41は、モータ1からコネクタポート22へ取り回されている電線32の短絡を防止する。絶縁部材41の中央部に形成された開口41Bにはモータ1の軸1Aが位置している。
【0041】
保護体10には、3つの導体30がそれぞれ個別に通される3つの貫通孔11(
図2(b))が形成されている。貫通孔11は、保護体10の外端10Aから内端10Bまで保護体10を貫通している。貫通孔11は、保護体10の射出成形により形成されていてもよいし、成形された保護体10への孔あけ加工により形成されていてもよい。
【0042】
モータ1のステータコイルの端子から、孔41Cを通じて絶縁部材41の内側に引き出された電線32は、絶縁部材41の円環状の溝411に沿って、保護体10の内端10Bまで遠い経路を取り回され、貫通孔11に挿入される。溝411を取り回される電線32同士の擦れによる絶縁被覆の摩耗を避け、かつ、絶縁を十分に確保するため、3本の電線32が絶縁材料からなるシース39により被覆されることが好ましい。
【0043】
溝411に沿って取り回される電線32の区間の分、電線32の長さに余裕があるため、モータ1の整備の際に固定プレート332をハウジング部材2から取り外し、電気コネクタ3を電線32と共にハウジング部材2の外側へ引き出すことができる。そのため、コネクタピン31と電線32とのはんだ付けされた部分や、電線32の被覆の状態、あるいは保護体10の状態等の点検を容易に行える。
【0044】
(本実施形態の主要な特徴)
さて、保護体10は、ハウジング部材2の挿入孔23に、挿入孔23の軸方向(D1)に沿って通されている。
本実施形態の保護体10は、全長に亘り、内方に向かうにつれて次第に細くなっている円錐台である。つまり、保護体10が全体として縮小部に相当する。
保護体10が挿入される挿入孔23の内壁も、保護体10の外周部の縮径した形状に倣う形状に構成されている。具体的に、挿入孔23の内壁は、挿入孔23の内端から外端までに亘り、外方に向かうにつれて次第に径が拡大している。本実施形態の挿入孔23の内壁23Wが全体として拡大部に相当する。
【0045】
保護体10が、コネクタポート22の先端の開口部20から内方に向けて挿入孔23に挿入されると、内方に向かうにつれて縮径した保護体10の形状に基づいて、保護体10が挿入孔23の内壁23Wに突き当てられて係止されるため、それ以上内方へは保護体10が移動しない。
本実施形態の短絡防止構造4は、上記のように、保護体10およびハウジング部材2の形状に基づいて、ハウジング部材2に保護体10が係止されることにより、導体30に対する保護体10の内方への変位が規制されていることを主要な特徴としている。
【0046】
なお、保護体10の一部に内方へ向かうにつれて縮径した縮小部が備わり、挿入孔23の内壁の一部に外方に向かうにつれて拡径した拡大部が備わっていても、本実施形態と同様に、導体30に対する保護体10の内方への変位を規制することができる。
【0047】
本実施形態では、導体30に対する保護体10の内方への変位の規制に加えて、導体30に対する保護体10の外方への変位も支持部33により規制されている。そのため、保護体10が動くことによる電線32と保護体10との摩擦を抑えて、電線32の被覆の摩耗を防ぐことができる。
【0048】
ところで、典型的な電気コネクタの場合は、電気コネクタに、導体の短絡防止用の部材が付随している。例えば、国際公開2012/099075号に記載された電気コネクタでは、シール部材に電線保護部が一体成形されている。その他、電気コネクタの絶縁性のハウジングに短絡防止部が一体成形されている場合もある。
【0049】
しかしながら、航空機の装備品用の電気コネクタ3については、過酷な使用条件に対応した厳密な性能要求を満足する必要があるため、短絡防止部が一体に形成されるように電気コネクタ3を設計および開発しようとすると、性能の確認に多大な時間とコストを要する。
また、典型的には鋳造品であるハウジング部材2に短絡防止部を一体成形することも実現が困難である。
【0050】
上記を踏まえると、電気コネクタ3に短絡防止部を作り込むのではなく、既に性能が保証されている部材を調達して電気コネクタ3と組み付ける方が、開発期間が短く、信頼性も確保し易いという実情がある。特に、航空機の燃料ポンプ用の電気コネクタ3に関しては、防爆を確実に図る必要性から、仕様要求が厳しいため、例えば、米国のMIL規格(Military Specification and Standards)に適合し、短絡を防止する性能が担保されている保護体10を電気コネクタ3とは別途調達し、電気コネクタ3と組み付けることが現実的な選択である。
【0051】
(組み立ての手順)
本実施形態の電気コネクタ短絡防止構造4は、電気コネクタ3とは別部品である保護体10と、電気コネクタ3とをハウジング部材2に組み付けることで構成されている。
図3を参照し、電気コネクタ短絡防止構造4を組み立てる手順の例を説明する。
まず、ハウジング部材本体21(
図1)に収容されているモータ1のステータコイルに接続されているu,v,wの各相の電線32を絶縁部材41の溝411に沿わせ、挿入孔23を通じてハウジング部材2の外側に電線32を引き出す。
【0052】
さらに、ハウジング部材2の外側で保護体10の各貫通孔11(
図2(b))に電線32を通し、ストリップされた電線32の端部(心線)と、コネクタピン31のはんだ付け端子31Aとをはんだにより接合する。ここでは、コネクタピン31と、絶縁体331と、係合部34の設けられた固定プレート332とが予め組み付けられているものとする。接合後、保護体10の各貫通孔11にはんだ付け端子31Aを収容する。はんだ付け端子31Aと電線32の端部との接合により、電気コネクタ3と保護体10とが組み付けられる。
【0053】
次いで、電気コネクタ3および保護体10をコネクタポート22の開口部20から挿入孔23の内側に挿入すると、内方へ向けて縮径した保護体10が、外方へ向けて拡径した挿入孔23の内壁23Wにより係止される。このとき、保護体10の外端10Aがコネクタポート22の先端から若干外側に突出している(
図2(a))。
【0054】
続いて、固定プレート332をコネクタポート22の先端部22Aにファスナ332Aで締結すると、短絡防止構造4が組み立てられる。
固定プレート332がコネクタポート22に締結されると、先端部22Aより突出した保護体10の外端10Aが固定プレート332および絶縁体331により押される。ここで、保護体10の外周部は挿入孔23の内壁によりハウジング部材本体21の内方から係止されているため、保護体10の外端10Aが絶縁体331の裏側に押圧されて密着する。そうすると、保護体10と絶縁体331により導体30が隙間なく覆われるため、導体30の絶縁を十分に確保することができるとともに、コネクタピン31、絶縁体331、および固定プレート332が互いに密着して隙間が封止されるので、燃料の漏れを防ぐことができる。
【0055】
(本実施形態による効果)
以上で説明した本実施形態の電気コネクタ短絡防止構造4によれば、内方へ向けて縮径した保護体10と、外方へ向けて拡径した挿入孔23の内壁23Wとの係合により、導体30に対して保護体10が内方へ、挿入孔23の軸方向(D1)に沿って変位することが規制されているため、電気コネクタ3に与えられた保護体10が導体30から離れることなく導体30に留められる。
【0056】
したがって、飛行中に強い振動が電気コネクタ3に加えられたとしても、保護体10が導体30から離れる向き(内方)に動いて導体30が露出したり、保護体10が内方へ動いて負荷が掛かったことでコネクタピン31のはんだ付け端子31Aが変形したり電線32の被覆が破損したりといったことを防ぐことができる。そのため、保護体10により各導体30が相互に、かつ周囲の部材からも絶縁されている状態を維持して、電気コネクタ3における短絡を防止することができる。また、コネクタピン31の変形を避けて相手のコンタクトとの接続を安定させ、電線32の被覆の破損を避けて電線32の特性を維持することができるので、接続の信頼性を確保することもできる。
【0057】
本実施形態によれば、保護体10と、保護体10を受けるハウジング部材2の形状に基づいて、他の部材を付加する必要なしに、導体30に対する保護体10の変位を規制することができる。そのため、保護体10の変位を規制する機能を与えるために短絡防止構造4の部品点数が増加せず、部品の調達コストや組立工数の増加を避けることができる。
したがって、短絡防止構造4、そして燃料ポンプの製造コストを抑えつつ、電気コネクタ3における短絡を防止することができ、保護体10の変位を規制するために付加された部材の脱落等が問題となることもない。
【0058】
本実施形態では、保護体10の外周部が、全周かつ全長に亘り、挿入孔23の内壁の全域により受け止められるため、保護体10の内方への変位を十分に規制することができる。全周および全長に亘り保護体10を係止する挿入孔23の内壁23Wは、なだらかな形状であるため、ハウジング部材2が鋳造品であっても、挿入孔23の内壁23Wの形状を容易に実現することができる。
【0059】
〔第1実施形態の変形例〕
上述のように、導体30に対して挿入孔23の軸方向D1へ保護体10が変位することを規制することに加えて、保護体10の軸周り方向D2への変位も規制することが好ましい。
図4(a)および(b)に示す保護体12は、矩形状の横断面を呈する形態に構成されている。保護体12が挿入されるコネクタポート22の開口部および挿入孔(
図4(a)に25で図示)も、保護体12と同様の矩形状の横断面を呈する形態に構成されている。
保護体12および挿入孔25は、上記の第1実施形態における保護体10および挿入孔23の形状の特徴を備えている。つまり、保護体12は、内方に向かうにつれて細くなる角錐台状に形成されており、挿入孔25も、保護体12に倣い、外方に向けて拡大するように形成されている。
【0060】
図4(a)に示すように、断面矩形状の保護体12が、同じく断面矩形状の開口部および挿入孔25に挿入されると、保護体12と、開口部および挿入孔25の形成されたコネクタポート22とが係合する。この状態で、保護体12と、開口部および挿入孔25とが、キーとキー溝として機能することで、保護体12がコネクタポート22に対して軸周り方向D2に回転することが規制される。
そうすると、支持部33によりコネクタポート22に固定されており保護体12に一部が挿入されたコネクタピン31に対する保護体12の軸周り方向D2への回転も規制されることになるため、保護体12の回転によりコネクタピン31および電線32に負荷が掛かることを防ぐことができる。したがって、コネクタピン31や電線32の変形を避けて、短絡防止と、接続の信頼性とに寄与できる。
【0061】
キーおよびキー溝として機能する他の形態も採用できる。例えば、三角錐台等の横断面が多角形の形態に保護体12を構成し、それに対応した形態に挿入孔25の内壁を構成することもできる。
【0062】
図4(a)および(b)に示す例では、保護体12が開口部および挿入孔25の各々の内壁の両方に係合することにより保護体12の回転が規制されている。
ここで、保護体12の軸周り方向D2への回転を規制するためには、開口部および挿入孔25の各々の内壁の少なくともいずれか一方のみが、保護体12とキーおよびキー溝の関係をなしていれば足りる。そのため、例えば、保護体12の外端部のみに矩形状の形状を与え、保護体12の残りの部分は断面円形状に形成し、断面矩形状に形成した開口部の内壁(内周部)に対する係合のみによって保護体12の回転が規制されるように構成することもできる。
【0063】
保護体12と、それを受け止めるコネクタポート22の開口部あるいは挿入孔25との係合により保護体12の回転を規制する構成は、以下に述べる各実施形態および各変形例にも適用可能である。
【0064】
図示を省略するが、第1実施形態の保護体10の内端10B側に、絶縁部材41(
図1)の切欠41Aと係合するキーを設けることによって保護体10の軸周り方向D2への回転規制を図ることもできる。この場合、例えば、切欠41Aおよび保護体10のキーを矩形状に構成すればよい。
【0065】
〔軸方向変位規制手段の変形例〕
図5および
図6は、保護体10の軸方向D1への変位を規制するための他の構成を例示する。
図5(a)および(b)に示す保護体13は、相対的に外径が大きい拡大部131と、相対的に外径が小さい縮小部132とを有している。
保護体13の形状に対応して、挿入孔26の内壁の径が、外端側で大きく、内端側で小さい。そのため、コネクタポート22の外方から挿入孔26に、保護体13を縮小部132側から挿入すると、
図5(a)に示すように、保護体13の拡大部131が挿入孔26の大径部分と内径部分との境界の段差部261により内方から係止される。それによって、コネクタポート22に支持部33により支持されている導体30に対する軸方向D1への保護体13の変位が規制される点は、上述の第1実施形態と同様である。
【0066】
図5(c)に示すように、保護体14の外端にフランジ14Aを設け、フランジ14Aがコネクタポート22の先端部22Aに係止されるように構成することもできる。保護体14の本体14Bの外径は一定であり、本体14Bが挿入される挿入孔27の径も一定である。
図5(c)に示す例でも、
図5(a)および(b)に示す例と同様に、保護体13がコネクタポート22に係止され、それによって導体30に対する軸方向D1への保護体13の変位が規制される。
【0067】
図6(a)に示す保護体15には、外周部から径方向外側に突出した突条151が形成されている。突条151は、保護体15の全周に亘り環状に形成されている。但し、突条151の周方向の一部が欠損していてもよい。突条151を除き、保護体15の外径は一定である。
挿入孔28の内壁における突条151に対応する位置には、環状の溝281が形成されている。挿入孔28の径も、溝281の位置を除いて一定である。
【0068】
保護体15を挿入孔28に挿入すると、保護体15の突条151が挿入孔28に押し込まれ、溝281に入り込んで挿入孔28の内壁に係止される。それによって導体30に対する保護体15の内方への変位が規制されるとともに、保護体15の外方への変位も規制される。そのため、保護体15が動くことによる電線32と保護体10との摩擦を抑えることに寄与できる。
【0069】
図6(b)に示すハウジング部材2には、挿入孔29の内端で挿入孔29の径方向内側に向けて突出した突片29Cが設けられている。挿入孔29に挿入される保護体16の外径は一定であり、挿入孔29の径も一定である。
突片29Cにより保護体16が内方から係止されることにより、上述した他の例と同様に、導体30に対する保護体16の内方への変位が規制される。
【0070】
〔第2実施形態〕
次に、
図7を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態および後述する第3実施形態では、ハウジング部材本体21の内部に位置する絶縁部材41(
図1)を用いて保護体の内方への変位を規制する航空機用の電気コネクタ短絡防止構造5について説明する。
以下、第1実施形態と相違する事項を中心に、簡単に説明する。
【0071】
絶縁部材41は、
図1に示すように平面視円形のカップ状に形成されて電線32を収容しており、モータ1の端面を覆うように、ハウジング部材本体21の内部空間のほぼ全体に配置されている。絶縁部材41は、動かないようにハウジング部材本体21の内部に固定されている。
絶縁部材41の中央に形成されている開口41Bの内側に、モータ1の軸1Aが位置している。開口41Bの周囲には、電線32が取り回される溝411が形成されている。
この絶縁部材41は、適宜な絶縁性樹脂材料を用いて構成することができる。モータ1の潤滑および冷却に使用されている燃料に接触することを考慮すると、燃料への耐性を有する樹脂材料、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が好適である。
【0072】
第2実施形態では、
図7に示すように、絶縁部材41の切欠41Aの大きさが、保護体16の内端16Bの太さに対して狭くなっている。そのため、
図7に示すように、径が一定の挿入孔43に挿入された保護体16の内端16Bが絶縁部材41により内方から係止される。切欠41Aには、電線32が通されているが、保護体16は通されていない。本実施形態の保護体16の長さは、保護体16が外方から絶縁部材41に突き当てられる寸法に設定されている。
絶縁部材41の周方向における切欠41Aの両側の部位が、保護体16をハウジング部材2の内方から係止する部分に相当する。なお、係止部は絶縁部材41の周方向における切欠41Aの片側のみでも足りる。
【0073】
絶縁部材41により内方から保護体16が係止されることで、第1実施形態と同様に、導体30に対する保護体16の内方への変位が規制されるため、飛行中に強い振動が加えられたとしても、電気コネクタ3の導体30の短絡防止を図ることができる。
ここで、絶縁部材41は、モータ1からコネクタポート22へと電線32が取り回される区間における短絡防止のために使用されており、本実施形態では保護体16の係止部も兼ねている。そのため、保護体10と、保護体10を受けるハウジング部材2との形状に基づいて導体30に対する保護体10の変位を規制する第1実施形態と同様に、部品点数が増えない。
したがって、第2実施形態によっても、短絡防止構造5そして燃料ポンプの製造コストを抑えつつ、電気コネクタ3における短絡を防止することができる。
しかも、短絡防止のために保護体16および挿入孔43の形状等を変更する必要がない。
【0074】
なお、電気コネクタ3が適用される対象(機器等)が異なれば、保護体16の係止に利用できる部材も変わる。ハウジング部材2の内部に位置して保護体16を内方から係止する係止部は、カップ状等の特定の形状には限らず、また、必ずしも絶縁性である必要もない。
【0075】
〔第3実施形態〕
次に、
図8を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。
図8(a)および(b)に示すように、径が一定の挿入孔43へ挿入される保護体17の内端には、挿入孔43の大きさよりも径が大きい拡大部171が備えられている。保護体17がハウジング部材本体21の内方から挿入孔43へ挿入されると、拡大部171が挿入孔43の内端の周り(ハウジング部材2)に内方から係止されるので、保護体17の外方への変位が規制される。
【0076】
保護体17の拡大部171は、保護体17よりも内方に配置されている絶縁部材41により内方から係止されている。そのため、保護体17の内方への変位も規制されている。
本実施形態では、保護体17の拡大部171が絶縁部材41とハウジング部材2の一部との間に挟まれていることで、保護体17の内方および外方のいずれの方向への変位も規制されている。保護体17の変位は、ハウジング部材2に支持されている導体30に対しても規制されるから、保護体17が動くことによる電線32と保護体10との摩擦を抑えることに寄与できる。
【0077】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 モータ
1A 軸
2 ハウジング部材
3 電気コネクタ
4,5 電気コネクタ短絡防止構造
10,12~17 保護体
10A 外端
10B 内端
11 貫通孔
14A フランジ
14B 本体
16B 内端
20 開口部
21 ハウジング部材本体
21A 開口
22 コネクタポート
22A 先端部
23,25~29 挿入孔
23B 内端
23W 内壁
29C 突片
30 導体
31 コネクタピン
31A はんだ付け端子
32 電線
33 支持部
33A ねじ
34 係合部
39 シース
41 絶縁部材(係止部)
41A 切欠
41B 開口
41C 孔
43 挿入孔
131 拡大部
132 縮小部
151 突条
171 拡大部
261 段差部
281 溝
331 絶縁体
332 固定プレート
332A ファスナ
411 溝
D1 軸方向
D2 軸周り方向