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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093802
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】車両用バンパ構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/48 20060101AFI20220617BHJP
   B60R 19/04 20060101ALI20220617BHJP
   B60R 19/18 20060101ALN20220617BHJP
【FI】
B60R19/48 L
B60R19/04 A
B60R19/18 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206468
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】石川 翼
(72)【発明者】
【氏名】小玉 豊久
(57)【要約】
【課題】バンパの意匠設計の自由度を高くしつつ、バンパに衝突した衝突体が車体の内部に過度に進入することを抑制可能な車両用バンパ構造を提供する。
【解決手段】本発明の車両用バンパ構造1は、バンパリンフォース3と、リヤバンパ5と、第1、2スペーサ9a、9bと、ブレーキランプ装置7とを備えている。ブレーキランプ装置7は、リヤバンパ5に設けられており、第1、2スペーサ9a、9bよりも車体100aの上方に位置している。第1、2スペーサ9a、9bは、それぞれスペーサ本体91と、ブリッジ93と、規制爪95とを有している。規制爪95はブリッジ93の下端に設けられている。規制爪95は、バンパリンフォース3に対して車体100aの下方から当接しつつ、スペーサ本体91が車体100aの上方に向かって移動することを規制する。規制爪95には、第7~9リブ951~953が設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられて前記車体の幅方向に延びるバンパリンフォースと、
前記バンパリンフォースに対して前記車体の前後方向の一方又は他方に離隔しつつ、前記バンパリンフォースを覆うバンパと、
前記バンパリンフォースと前記バンパとの間に位置するスペーサと、
前記バンパに設けられて前記スペーサよりも前記車体の上方に位置する機能部品とを備えた車両用バンパ構造であって、
前記スペーサは、前記バンパリンフォースに固定されて前記バンパに向かって突出するスペーサ本体と、
前記車体の幅方向に延びるとともに前記車体の上下方向に延び、前記スペーサ本体に接続するとともに、前記スペーサ本体とは異なる位置で前記バンパリンフォースに固定されたブリッジと、
前記ブリッジの下端に設けられて前記バンパリンフォースに向かって延びる規制爪とを有し、
前記スペーサ本体は、前記ブリッジよりも前記バンパに向かって延び、
前記スペーサ本体には、前記車体の下方に面しつつ前記バンパリンフォースから前記バンパに向かって延びる下面と、前記下面と連続し、前記車体の上方に向かって傾斜しつつ前記バンパに向かって延びる傾斜面とが形成され、
前記規制爪は、前記バンパリンフォースに対して前記車体の下方から当接しつつ、前記スペーサ本体が前記車体の上方に向かって移動することを規制し、
前記規制爪には、前記規制爪を補強する補強部が設けられていることを特徴とする車両用バンパ構造。
【請求項2】
前記ブリッジは、前記ブリッジの下端に位置して前記幅方向に延びるとともに前記バンパに向かって延び、前記下面と接続する下壁を有し、
前記下壁は、前記規制爪が設けられた本体部と、前記幅方向で前記本体部と前記下面との間に位置して前記本体部と前記下面とに接続する接続部とを有し、
前記接続部は、前記幅方向で前記下面に向かうにつれて、前記本体部よりも前記バンパに近づくように延びている請求項1記載の車両用バンパ構造。
【請求項3】
前記ブリッジには、前記ブリッジを補強する複数のリブが設けられ、
前記各リブは、前記バンパに向かって延びる板状に形成されている請求項1又は2記載の車両用バンパ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用バンパ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図5に従来の車両用バンパ構造が開示されている。この車両用バンパ構造は、バンパリンフォースと、バンパと、スペーサとを備えている。バンパリンフォースは車体に設けられており、車体の幅方向に延びている。同文献では記載がされていないものの、この種の車両用バンパ構造では、バンパリンフォースは、クラッシュボックスを介して車体と接続されていることが一般的である。また、バンパリンフォースは、一般的にはアルミニウム合金製である。バンパは、具体的にはフロントバンパであり、車体の前部に設けられている。バンパは、バンパリンフォースに対して車体の前方に離隔しつつ、バンパリンフォースを覆っている。また、バンパは、下部がバンパリンフォースに近づくように延びている。
【0003】
スペーサは、バンパリンフォースに固定されており、バンパリンフォースとバンパとの間に位置している。スペーサは一般的には硬質の樹脂製であり、バンパリンフォースよりも剛性が高くなっている。スペーサは、バンパリンフォースからバンパに向かって突出する形状をなしている。また、スペーサには、下面と傾斜面とが形成されている。下面は、車体の下方に面しつつバンパリンフォースからバンパに向かって延びている。傾斜面は下面と接続している。傾斜面は、下面よりも車体の上方に向かって傾斜しつつ下面からバンパに向かって延びている。
【0004】
この車両用バンパ構造では、バンパに対して前方から衝突体が衝突することにより、スペーサは、バンパを介して衝突体と衝突する。この際の衝突エネルギーによって、スペーサ及びバンパリンフォースは押し潰される。そして、この衝突エネルギーは、クラッシュボックスに伝達されてクラッシュボックスに吸収される。こうして、この車両用バンパ構造は、衝突体がバンパリンフォースに向かって車体の内部に進入することを抑制している。
【0005】
また、この車両用バンパ構造では、スペーサに傾斜面が形成されているため、バンパの下部がバンパリンフォースに近づくように延びる形状でありつつも、スペーサとバンパとが干渉することが防止されている。これにより、この車両用バンパ構造は、バンパの意匠設計を制限し難くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-145159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、バンパ、ひいては車両の意匠設計の観点から、バンパにおいてスペーサよりも車体の上方となる位置に、例えばブレーキランプ等の機能部品を設けることが考えられる。一方、上記従来の車両用バンパ構造では、バンパに衝突した衝突体がスペーサの傾斜面に衝突しつつ、スペーサをバンパリンフォースに向けて押すことにより、スペーサ及びバンパリンフォースを押し潰すように設計されている。ここで、衝突体は、スペーサを介してバンパリンフォースに向かって移動するのに対し、傾斜面は、車体の上方に向かって傾斜して延びる形状である。このため、衝突体の形状によっては、スペーサには、当初設計したようなバンパリンフォースを押す荷重が十分作用せず、車体の上方に向かう荷重が作用する。このため、バンパに対して上述の位置に機能部品を設けた場合、車体の上方に移動したスペーサが機能部品と衝突することにより、機能部品が破損するおそれがある。
【0008】
そこで、たとえスペーサが車体の上方に移動した場合であっても、スペーサと機能部品とが衝突しないように、スペーサに対して機能部品を車体の上方に大きく離隔させることが考えられる。しかし、この場合には、バンパに機能部品を設ける位置が制限されることから、バンパの意匠設計の自由度が制限される。
【0009】
また、スペーサに対する傾斜面の形成を省略することによって、スペーサが車体の上方に移動することを抑制することも考えられるものの、この場合には、スペーサとバンパとが干渉しないようにバンパの形状を設計することが求められる。このため、やはり、バンパの意匠設計の自由度が制限される。
【0010】
また、スペーサが車体上方に移動することにより、バンパに衝突した衝突体が想定を超えて車体の内部に進入するおそれもある。この場合、バンパリンフォース等に機能部品が衝突することによって、機能部品が破損することが懸念される。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、バンパの意匠設計の自由度を高くしつつ、バンパに衝突した衝突体が車体の内部に過度に進入することを抑制可能な車両用バンパ構造を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の車両用バンパ構造は、車体に設けられて前記車体の幅方向に延びるバンパリンフォースと、
前記バンパリンフォースに対して前記車体の前後方向の一方又は他方に離隔しつつ、前記バンパリンフォースを覆うバンパと、
前記バンパリンフォースと前記バンパとの間に位置するスペーサと、
前記バンパに設けられて前記スペーサよりも前記車体の上方に位置する機能部品とを備えた車両用バンパ構造であって、
前記スペーサは、前記バンパリンフォースに固定されて前記バンパに向かって突出するスペーサ本体と、
前記車体の幅方向に延びるとともに前記車体の上下方向に延び、前記スペーサ本体に接続するとともに、前記スペーサ本体とは異なる位置で前記バンパリンフォースに固定されたブリッジと、
前記ブリッジの下端に設けられて前記バンパリンフォースに向かって延びる規制爪とを有し、
前記スペーサ本体は、前記ブリッジよりも前記バンパに向かって延び、
前記スペーサ本体には、前記車体の下方に面しつつ前記バンパリンフォースから前記バンパに向かって延びる下面と、前記下面と連続し、前記車体の上方に向かって傾斜しつつ前記バンパに向かって延びる傾斜面とが形成され、
前記規制爪は、前記バンパリンフォースに対して前記車体の下方から当接しつつ、前記スペーサ本体が前記車体の上方に向かって移動することを規制し、
前記規制爪には、前記規制爪を補強する補強部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の車両用バンパ構造では、スペーサがスペーサ本体と、ブリッジと、規制爪とを有している。そして、スペーサ本体には傾斜面が形成されている。これにより、この車両用バンパ構造では、たとえバンパについて、下部がバンパリンフォースに近づくように延びる形状に設計した場合であっても、スペーサ本体とバンパとが干渉し難い。ここで、スペーサ本体はブリッジよりもバンパに向かって延びる形状であるため、スペーサ本体とバンパとが干渉し難い以上、ブリッジとバンパとについても干渉し難い。これらのため、この車両用バンパ構造では、バンパの意匠設計の自由度を高くすることができる。
【0014】
そして、この車両用バンパ構造では、衝突体がスペーサ本体の傾斜面に衝突することにより、スペーサ本体を含め、スペーサ全体には、車体の上方に移動する荷重が作用することになる。この点、この車両用バンパ構造では、規制爪がバンパリンフォースに対して車体の下方から当接しつつ、スペーサ本体が荷重によって車体の上方に向かって移動することを規制する。つまり、この車両用バンパ構造では、規制爪がバンパリンフォースに当接することにより、スペーサ本体を車体の上方に移動させようとする上記の荷重に対する抵抗力が生じる。そして、この抵抗力がブリッジを通じてスペーサ本体に伝達される。こうして規制爪は、スペーサ本体が車体の上方に向かって移動することを規制する。ここで、規制爪はブリッジに設けられることにより、スペーサ本体から車体の幅方向に離隔している。さらに、規制爪は補強部によって補強されている。これらのため、規制爪は、バンパリンフォースに当接しつつ、スペーサ本体が車体の上方に向かって移動すること好適に規制できる。
【0015】
こうして、この車両用バンパ構造では、バンパに対してスペーサよりも車体の上方となる位置に機能部品が設けられていても、スペーサ本体と機能部品とが衝突し難い。これにより、この車両用バンパ構造では、スペーサと機能部品との衝突を防止するに当たって、スペーサと機能部品とを車両の上方に過度に大きく離隔させる必要がなく、バンパに機能部品を設ける際の位置の自由度を高くできる。
【0016】
また、バンパリンフォースに当接した規制爪によって、スペーサ本体の車体の上方への移動が規制されることにより、この車両用バンパ構造では、バンパに衝突した衝突体が車体の内部に過度に進入し難くなる。このため、この車両用バンパ構造では、バンパリンフォース等に機能部品が衝突することによって機能部品が破損することについても好適に防止できる。
【0017】
したがって、本発明の車両用バンパ構造によれば、バンパの意匠設計の自由度を高くしつつ、バンパに衝突した衝突体が車体の内部に過度に進入することを抑制できる。
【0018】
ブリッジは、ブリッジの下端に位置して幅方向に延びるとともにバンパに向かって延び、下面と接続する下壁を有し得る。また、下壁は、規制爪が設けられた本体部と、幅方向で本体部と下面との間に位置して本体部と下面とに接続する接続部とを有し得る。そして、接続部は、幅方向で下面に向かうにつれて、本体部よりもバンパに近づくように延びていることが好ましい。
【0019】
このように規制爪がスペーサ本体の上方への移動することを規制する際、すなわち、ブリッジを通じて規制爪からスペーサ本体に抵抗力が伝達される際、ブリッジには捩じれが不可避的に生じる。この点、この車両用バンパ構造では、ブリッジの下端に下壁が形成されており、下壁は、規制爪が設けられた本体部と、本体部及びスペーサ本体の下面に接続する接続部を有している。そして、接続部は、幅方向で下面に向かうにつれて、本体部よりもバンパに近づくように延びている。つまり、下壁は、車体の幅方向でスペーサ本体の下面に向かうにつれて、徐々にバンパに近づく方向に幅が広くなる形状である。これにより、この車両用バンパ構造では、下壁によって捩じれに対するブリッジの剛性を好適に向上させることができる。この結果、この車両用バンパ構造では、規制爪からスペーサ本体に抵抗力が好適に伝達されるため、規制爪がスペーサ本体の上方への移動を好適に規制することができる。これにより、この車両用バンパ構造では、バンパに機能部品を設ける際の位置の自由度をより高くできるとともに、バンパに衝突した衝突体が車体の内部に過度に進入することを好適に抑制できる。
【0020】
また、ブリッジには、ブリッジを補強する複数のリブが設けられ得る。そして、各リブは、バンパに向かって延びる板状に形成されていることが好ましい。この場合には、各リブによってブリッジを補強することによってブリッジの剛性を高くすることができる。このため、この車両用バンパ構造では、ブリッジに生じる捩じれをより小さくできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の車両用バンパ構造によれば、バンパの意匠設計の自由度を高くしつつ、バンパに衝突した衝突体が車体の内部に過度に進入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施例の車両用バンパ構造に係り、バンパリンフォース及びスペーサを示す正面図である。
図2図2は、実施例の車両用バンパ構造に係り、図1のA-A断面を示す断面図である。
図3図3は、実施例の車両用バンパ構造に係り、図1のB-B断面を示す断面図である。
図4図4は、実施例の車両用バンパ構造に係り、スペーサを示す拡大正面図である。
図5図5は、実施例の車両用バンパ構造に係り、スペーサを示す斜視図である。
図6図6は、実施例の車両用バンパ構造に係り、スペーサに衝突体が衝突した際における図3と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1及び図2に示す実施例の車両用バンパ構造1は、車両100に採用されている。車両100は、車体100aを有している。車体100aは、バンパリンフォース3と、リヤバンパ5と、ブレーキランプ装置7とを有している。なお、説明を容易にするため、図1では、リヤバンパ5及びブレーキランプ装置7の図示を省略している。後述する図4についても同様である。また、詳細な説明及び図示を省略するものの、車体100aは、車両100の走行に必要な公知の動力装置や制御装置の他、フロントバンパ等を有している。
【0025】
本実施例では、図1に示す実線矢印によって車体100aの上下方向を規定している他、車体100aの幅方向である左右方向を規定している。また、図2では、図1に対応して車体100aの上下方向を規定している他、車体100aの前後方向を規定している。そして、図3以降では、図1及び図2に対応して車体100aの上下方向、左右方向及び前後方向を規定している。これらの上下方向、左右方向及び前後方向は互いに直交する関係にある。ここで、車体100aの後方は、本発明における「前後方向の一方」に相当しており、車体100aの前方は、本発明における「前後方向の他方」に相当している。
【0026】
車両用バンパ構造1は、車体100a、ひいては車両100の後部に位置している。車両用バンパ構造1は、図1に示すバンパリンフォース3と、第1スペーサ9aと、第2スペーサ9bと、図2に示すリヤバンパ5と、ブレーキランプ装置7とを備えている。第1、2スペーサ9a、9bは、本発明における「スペーサ」の一例である。また、リヤバンパ5は、本発明における「バンパ」の一例である。そして、ブレーキランプ装置7は、本発明における「機能部品」の一例である。
【0027】
バンパリンフォース3はアルミニウム合金製である。バンパリンフォース3は、図示しないクラッシュボックスを介して車体100aの後方下部に固定されており、図1に示すように、車体100aの幅方向、すなわち左右方向に延びている。また、図2及び図3に示すように、バンパリンフォース3の右側には、第1取付孔3a及び第2取付孔3bが形成されている。第1取付孔3aと第2取付孔3bとは、左右方向に離隔して配置されている。なお、図示を省略するものの、バンパリンフォース3の左側についても第1取付孔3a及び第2取付孔3bと同様の2つの取付孔が形成されている。
【0028】
リヤバンパ5は樹脂製である。リヤバンパ5は車体100aの後端下部に設けられており、車両100のボディ(図示略)の一部を構成している。
【0029】
リヤバンパ5は、バンパリンフォース3に対して車体100aの後方に離隔している。リヤバンパ5は、車体100aの幅方向に延びており、バンパリンフォース3を後方から覆っている。リヤバンパ5は、第1壁部5aと、第2壁部5bと、第3壁部5cとを有している。第1壁部5aは、リヤバンパ5の後端に位置しており、車体100aの上下方向に延びている。第2壁部5bは、第1壁部5aの下端と接続しており、車体100aの下方に向かって延びている。より具体的には、第2壁部5bは、第1壁部5aから車体100aの下方に離隔するにつれて、徐々に車体100aの前方に向かうように傾斜している。第3壁部5cは、第2壁部5bの下端と接続しており、バンパリンフォース3に向かって、車体100aの前方に延びている。これらの第2壁部5b及び第3壁部5cにより、リヤバンパ5は、下部がバンパリンフォース3に近づくように延びる形状をなしている。
【0030】
図1に示すように、第1スペーサ9a及び第2スペーサ9bは、車体100aの幅方向に離隔して配置されている。より具体的には、第1スペーサ9aは、バンパリンフォース3の後部右下に固定されている。一方、第1スペーサ9aは、バンパリンフォース3の後部左下に固定されている。こうして、第1スペーサ9a及び第2スペーサ9bは、車体100aにおいて、バンパリンフォース3の後方かつリヤバンパ5の前方となる位置に配置されている。つまり、第1スペーサ9a及び第2スペーサ9bは、バンパリンフォース3とリヤバンパ5との間となる位置に配置されている(図2及び図3参照)。なお、バンパリンフォース3に対する第1スペーサ9a及び第2スペーサ9bの固定については後述する。
【0031】
図1に示す第1スペーサ9a及び第2スペーサ9bは、ポリプロピレン等の硬質の樹脂によって形成されている。これにより、第1スペーサ9a及び第2スペーサ9bは、バンパリンフォース3よりも剛性が高くなっている。第1スペーサ9a及び第2スペーサ9bは、それぞれスペーサ本体91と、ブリッジ93と、規制爪95とを有している。ここで、第1スペーサ9aと第2スペーサ9bとは、左右対称の形状である。以下、第1スペーサ9aを基に構成を説明する。
【0032】
図2に示すように、スペーサ本体91は、バンパリンフォース3側からリヤバンパ5側に向かって突出する略矩形の箱状に形成されている。ここで、スペーサ本体91は、ブリッジ93よりもリヤバンパ5に向かって突出している。これにより、スペーサ本体91は、第1スペーサ9aにおいて最もリヤバンパ5に向かって突出している。また、スペーサ本体91は、前方側、すなわちバンパリンフォース3側が開口している。図4に示すように、スペーサ本体91には、上面91a、下面91b、傾斜面91c、先端面91d、第1側面91e及び第2側面91fが形成されている他、第1固定クリップ91gが形成されている。
【0033】
図2に示すように、上面91aは、スペーサ本体91の上端に位置している。上面91aは、車体100aの上方に面しつつ、バンパリンフォース3からリヤバンパ5に向かって略水平に延びている。下面91bは、スペーサ本体91の下端に位置している。下面91bは、車体100aの下方に面しているとともに、リヤバンパ5の第3壁部5cと対向している。下面91bは、バンパリンフォース3からリヤバンパ5に向かって延びている。ここで、下面91bは、バンパリンフォース3からリヤバンパ5に向かうにつれて、車体100aの上方にやや上り傾斜となるように形成されている。なお、上面91aと同様、下面91bについても、バンパリンフォース3からリヤバンパ5に向かって略水平に延びる形状であっても良い。
【0034】
傾斜面91cは、上面91a及び下面91bよりも車体100aの後方に位置している。傾斜面91cは、下面91bの後端、すなわち、下面91bにおけるリヤバンパ5側と接続しており、リヤバンパ5の第2壁部5bと対向しつつ、下面91bからリヤバンパ5に向かって延びている。ここで、傾斜面91cは、下面91bからリヤバンパ5に向かうにつれて、車体100aの上方に向かって下面91bよりも大きく傾斜している。
【0035】
図2及び図3に示すように、先端面91dは、傾斜面91cの上部に位置しており、リヤバンパ5の第1壁部5aと対向している。先端面91dは、スペーサ本体91において最も後方に位置している。先端面91dは、傾斜面91cの上端と接続しつつ、車体100aの上方に向かって第1壁部5aと略平行に延びており、上面91aと接続している。
【0036】
図4に示すように、第1側面91eは、スペーサ本体91の右端であって、上面91aと下面91bとの間に位置している。第1側面91eは、車体100aの上下方向に延びるとともに、バンパリンフォース3からリヤバンパ5に向かって延びている。より詳細には、第1側面91eは、バンパリンフォース3からリヤバンパ5に向かって延びるにつれて、車体100aの左方に傾斜している。こうして、第1側面91eは、上面91a、下面91b、傾斜面91c及び先端面91dと接続している。また、第1側面91eには、位置決め部910が一体で形成されている。位置決め部910は、第1側面91eの後端に位置しており、第1側面91eよりも車体100aの右方に突出しつつ、バンパリンフォース3に向かって延びている。
【0037】
第2側面91fは、スペーサ本体91の左端であって、上面91aと下面91bとの間に位置している。第1側面91eは、車体100aの上下方向に延びるとともに、バンパリンフォース3からリヤバンパ5に向かって延びている。より詳細には、第2側面91fは、バンパリンフォース3からリヤバンパ5に向かって延びるにつれて、車体100aの右方に傾斜している。こうして、第2側面91fは、第1側面91eとは反対側で上面91a、下面91b、傾斜面91c及び先端面91dと接続している。
【0038】
第1固定クリップ91gは、傾斜面91cと先端面91dとに跨って配置されている。より具体的には、スペーサ本体91には、傾斜面91cと先端面91dとに跨りつつ、バンパリンフォース3に向かって凹む凹部900が形成されており、第1固定クリップ91gは、この凹部900内に一体に設けられている。第1固定クリップ91gは、凹部900からバンパリンフォース3に向かって延びている。第1固定クリップ91gは、弾性変形可能に形成されている。なお、第1固定クリップ91gの形状及び個数は適宜設計可能である。
【0039】
また、図2に示すように、スペーサ本体91の内部には、第1リブ911と第2リブ912とが形成されている。第1リブ911は、車体100aの上下方向に板状に延びており、上面91aと下面91bとに接続している。第2リブ912は、第1リブ911と一体をなしつつ車体100aの左右方向に板状に延びており、第1側面91eと第2側面91fとに接続している。なお、第1リブ911及び第2リブ912の形状や個数は、スペーサ本体91の形状の他、スペーサ本体91に要求される剛性に応じて適宜設計可能である。
【0040】
図4に示すように、ブリッジ93は、車体100aの左右方向に延びており、スペーサ本体91と一体をなしている。換言すれば、ブリッジ93は、スペーサ本体91と一体をなしつつ、スペーサ本体91から車体100aの左方に向かって延びている。ブリッジ93は、車体100aの上下方向及び左右方向に延びる矩形状をなしている。ここで、ブリッジ93における上下方向の長さは、スペーサ本体91における上下方向の長さに比べて短くされている。なお、ブリッジ93における上下方向及び左右方向の各長さは適宜設計可能である。
【0041】
ブリッジ93は、底壁93aと、下壁93bと、上壁93cと、接続壁93dと、第2固定クリップ93eとを有している。底壁93aは、上下方向及び左右方向に平面状に延びており、右端がスペーサ本体91の第2側面91fに接続している。また、底壁93aに対して第2固定クリップ93eが設けられている。より具体的には、第2固定クリップ93eは、底壁93aにおいて、左右方向の中央よりも左方となる位置に設けられている。これにより、第2固定クリップ93eは、スペーサ本体91の第1固定クリップ91gに対して、車体100aの左方に離隔して配置されている。第2固定クリップ93eは、第1固定クリップ91gと同様の形状であり、弾性変形可能となっている。第2固定クリップ93eは、底壁93aからバンパリンフォース3に向かって延びている。なお、第2固定クリップ93eの形状及び個数についても適宜設計可能である。
【0042】
下壁93bは、底壁93aの下端縁と一体をなしている。これにより、下壁93bは、ブリッジ93の下端に位置しており、車体100aの下方に面している。図5に示すように、下壁93bは、左右方向に延びているとともに、リヤバンパ5に向かって底壁93aから略直角で車体100aの後方に延びている。より具体的には、下壁93bは、第1本体部931と、第1接続部932とを有している。第1本体部931は、本発明における「本体部」の一例である。また、第1接続部932は、本発明における「接続部」の一例である。
【0043】
第1本体部931は、ブリッジ93の左端からスペーサ本体91に向かって直線状に延びている。ここで、第1本体部931が底壁93aからバンパリンフォース3に向かって後方に延びる長さ、すなわち、第1本体部931における前後方向の幅の長さは、第1長さL1で一定となっている。
【0044】
第1接続部932は、第1本体部931と、スペーサ本体91の下面91bとの間に位置している。つまり、第1接続部932は、下壁93bの右端を構成している。第1接続部932は、自己の左方で第1本体部931と接続しており、自己の右方で下面91bと接続している。こうして、下壁93bは、下面91bと接続して下面91bと一体をなしている。
【0045】
ここで、第1接続部932における前後方向の幅の長さは、第1本体部931との接続個所では、第1本体部931と同様に第1長さL1となっている。そして、第1接続部932は、第1本体部931から下面91bに向かうにつれて、前後方向の幅の長さが徐々に長くなっている。こうして、第1接続部932における前後方向の幅の長さは、下面91bとの接続個所では、第1長さL1よりも長い第2長さL2となっている。このように、第1本体部931から下面91bに向かうにつれて、前後方向の幅の長さが第1長さL1から第2長さL2まで変化することにより、第1接続部932は、左右方向で第1本体部931から下面91bに向かうにつれて、第1本体部931よりもリヤバンパ5に近づくように円弧状に湾曲する形状となっている。
【0046】
上壁93cは、底壁93aの上端縁と一体をなしている。これにより、上壁93cは、ブリッジ93の上端に位置しており、車体100aの上方に面している。下壁93bと同様、上壁93cについても、左右方向に延びているとともに、リヤバンパ5に向かって底壁93aから略直角で車体100aの後方に延びている。上壁93cは、第2本体部933と、第2接続部934とを有している。
【0047】
第2本体部933は、第1本体部931と対向しつつ、ブリッジ93の左端からスペーサ本体91に向かって直線状に延びている。ここで、第2本体部933における前後方向の幅の長さについても、第1本体部931と同様に第1長さL1で一定となっている。
【0048】
第2接続部934は、第2本体部933と、スペーサ本体91の第2側面91fとの間に位置している。つまり、第2接続部934は、上壁93cの右端を構成している。第2接続部934は、自己の左方で第2本体部933と接続しており、自己の右方で第2側面91fと接続している。こうして、上壁93cは、第2側面91fと一体をなしている。また、第1接続部932と同様、第2接続部934についても、第2本体部933から第2側面91fに向かうにつれて、前後方向の幅の長さが第1長さL1から第2長さL2まで徐々に長くなっている。つまり、第2接続部934についても、左右方向で第2本体部933から第2側面91fに向かうにつれて、第2本体部933よりもリヤバンパ5に近づくように円弧状に湾曲する形状となっている。なお、第2接続部934は、前後方向の幅の長さを第1長さL1で維持しつつ第2側面91fに接続しても良い。また、第2接続部934は、スペーサ本体91の上面91aに接続していても良い。
【0049】
接続壁93dは、底壁93aの左端縁と一体をなしている。これにより、接続壁93dは、ブリッジ93の左端に位置しており、第2スペーサ9b、ひいては車体100aの左方に面している。接続壁93dは、上下方向に延びているとともに、リヤバンパ5に向かって底壁93aから略直角で車体100aの後方に延びている。これにより、接続壁93dは、自己の下端で下壁93bの第1本体部931と接続しており、自己の上端で上壁93cの第2本体部933と接続している。こうして、接続壁93dは、下壁93bと上壁93cとを接続している。また、接続壁93dにおける前後方向の幅の長さは、第1本体部931及び第2本体部933と同様、第1長さL1で一定となっている。
【0050】
また、ブリッジ93には、板状をなす第3リブ93f、第4リブ93g、第5リブ93h及び第6リブ93iが設けられている。これらの第3~6リブ93f~93iは、本発明における「リブ」の一例である。
【0051】
第3~5リブ93f~93hは、それぞれ底壁93aと一体をなしており、リヤバンパ5に向かって底壁93aから略直角で車体100aの後方に延びている。ここで、第3~5リブ93f~93hにおける前後方向の幅の長さは、第1本体部931等と同様、第1長さL1で一定となっている。第3~5リブ93f~93hは、互いに左右方向に離隔しており、上下方向に延びて下壁93bの第1本体部931と、上壁93cの第2本体部933とに接続している。
【0052】
第6リブ93iについても、底壁93aと一体をなしており、リヤバンパ5に向かって底壁93aから略直角で車体100aの後方に延びている。第6リブ93iは、上下方向で下壁93bと上壁93cとの間に位置している。第6リブ93iは、第3~5リブ93f~93hとそれぞれ接続しつつ、左右方向に延びている。これにより、第6リブ93iは、自己の左端で接続壁93dと接続しているとともに、自己の右端でスペーサ本体91の第2側面91fと接続している。ここで、第6リブ93iについても、左右方向で第2側面91fに向かうにつれて、前後方向の幅の長さが第1長さL1から第2長さL2まで徐々に長くなっている。これにより、第6リブ93iは、第2側面91fに向かうにつれてリヤバンパ5に近づくように円弧状に湾曲しつつ延びる形状をなしており、第2側面91fと接続している。また、第6リブ93iは、第2固定クリップ93eの周囲となる個所では円環状をなしており、第2固定クリップ93eを囲包している。なお、第3~6リブ93f~93iにおける各形状は、適宜設計可能である。また、ブリッジ93に対する第3~6リブ93f~93iの形成を省略したり、第3~6リブ93f~93i以外にリブを設けたりしても良い。
【0053】
規制爪95は、ブリッジ93の下端に設けられている。より具体的には、規制爪95は、下壁93bの第1本体部931に一体で設けられている。これにより、規制爪95は、スペーサ本体91に対して左方に離隔している。規制爪95は、第1延在部95aと第2延在部95bとを有している。第1延在部95a及び第2延在部95bは板状をなしている。第1延在部95aは、第1本体部931と接続しつつ、第1本体部931から車体100aの下方に向かって直線状に延びている。第2延在部95bは、第1延在部95aの下端と接続しており、第1延在部95aから車体100aの後方、すなわちバンパリンフォース3に向かって直線状に延びている。これらの第1延在部95a及び第2延在部95bにより、規制爪95は、略L字形状をなしている。
【0054】
また、規制爪95には、第7リブ951、第8リブ952及び第9リブ953が設けられている。これらの第7~9リブ951~953は、本発明における「補強部」の一例である。第7~9リブ951~953は、それぞれ板状をなす略三角形状に形成されている。第7~9リブ951~953は、左右方向に所定の間隔を有して配置されており、それぞれ第1本体部931と第1延在部95aとに接続している。こうして、第7~9リブ951~953は、第1延在部95a、ひいては規制爪95を補強している。なお、第7~9リブ951~953の形状及び個数は適宜設計可能である。
【0055】
第1スペーサ9aをバンパリンフォース3に固定するに当たっては、図4に示すように、位置決め部910をバンパリンフォース3の左端に当接させてバンパリンフォース3に対する第1スペーサ9aの位置決めを行いつつ、規制爪95の第2延在部95bをバンパリンフォース3よりも車体100aの下方に位置させる。そして、この状態で図2に示すように、第1固定クリップ91gを弾性変形させつつ、バンパリンフォース3の第1取付孔3aに挿通する。さらに、図3に示すように、第2固定クリップ93eを弾性変形させつつ、バンパリンフォース3の第2取付孔3bに挿通する。この後、弾性変形した第1固定クリップ91gが初期の形状に復元し、第1固定クリップ91gがバンパリンフォース3における第1取付孔3aの周縁部分に係合することにより、第1取付孔3aからの第1固定クリップ91gの抜け止めが行われる。同様に、弾性変形した第2固定クリップ93eが初期の形状に復元し、第2固定クリップ93eがバンパリンフォース3における第2取付孔3bの周縁部分に係合することにより、第2取付孔3bからの第2固定クリップ93eの抜け止めが行われる。こうして、スペーサ本体91及びブリッジ93がそれぞれバンパリンフォース3の異なる位置に固定されることにより、第1スペーサ9aはバンパリンフォース3に固定されている。なお、第1、2固定クリップ91g、93eに換えて、ボルト等によってスペーサ本体91及びブリッジ93をバンパリンフォース3に固定しても良い。
【0056】
このように、第1スペーサ9aがバンパリンフォース3に固定されることにより、ブリッジ93の底壁93aは、バンパリンフォース3の後方に位置してバンパリンフォース3と対向する。また、規制爪95では、第2延在部95bがバンパリンフォース3の下端30よりも下方に位置しつつ、バンパリンフォース3に向かって車体100aの前方に延びる状態となる。ここで、この車両用バンパ構造1では、図3に示すように、スペーサ本体91と、後述する衝突体200とが非衝突である通常状態では、第2延在部95bは、バンパリンフォース3の下端30に対して車体100aの下方に離隔することにより、下端30とは非接触となっている。つまり、通常状態では、バンパリンフォース3の下端30と、第2延在部95bとの間には、隙間Sが存在している。図1に示す第2スペーサ9bについても同様である。
【0057】
図2及び図3に示すように、ブレーキランプ装置7はリヤバンパ5に設けられている。より具体的には、ブレーキランプ装置7は、リヤバンパ5において、第1、2スペーサ9a、9bよりも車体100aの上方となる位置に設けられている。
【0058】
ブレーキランプ装置7は、装置本体7aと、ランプカバー7bとを有している。装置本体7aは、バンパリンフォース3とリヤバンパ5との間であって、第1、2スペーサ9a、9bの上方となる位置に配置されている。装置本体7aはLED等の発光部を有している。装置本体7aは、車体100aに設けられた制御装置(図示略)と電気的に接続されており、車両100の操作に応じて発光部を発光させる。ランプカバー7bは、装置本体7aを車体100aの後方から覆っている。なお、図2等では、説明を容易にするため、ブレーキランプ装置7の形状を簡略化して図示している。
【0059】
このように、ブレーキランプ装置7がリヤバンパ5に設けられることにより、この車両用バンパ構造1では、ブレーキランプ装置7、特に装置本体7aは、第1、2スペーサ9a、9bの上方において、スペーサ本体91の上面91aに接近した状態で配置されている。
【0060】
以上のように構成されたこの車両用バンパ構造1では、図6に示すように、リヤバンパ5の右下部に対して車体100aの後方から衝突体200が衝突すれば、衝突体200は、リヤバンパ5の第1壁部5a及び第2壁部5bを押し潰しつつ、車体100aの前方に向かって移動する。これにより、衝突体200は、第1壁部5a及び第2壁部5b、すなわちリヤバンパ5を介して第1スペーサ9aや第2スペーサ9bと衝突する。ここで、衝突体200としては、例えば、路上設置物の他、車両100以外の車両等が挙げられる。なお、図6では、説明を容易にするため、衝突体200によって押し潰されたリヤバンパ5の一部を仮想線で示している。また、この車両用バンパ構造1では、衝突体200によってリヤバンパ5の一部又は全部が破壊されることにより、衝突体200と第1、2スペーサ9a、9bとが直接的に衝突する場合もあり得る。
【0061】
そして、リヤバンパ5に衝突体200が衝突した際の衝突エネルギーによって、第スペーサ9aや第2スペーサ9bは、バンパリンフォース3に向けて押し潰されるとともに、バンパリンフォース3も押し潰される。そして、この衝突エネルギーは、クラッシュボックスに伝達されてクラッシュボックスに吸収される。
【0062】
また、この車両用バンパ構造1では、第1、2スペーサ9a、9bのスペーサ本体91には、傾斜面91cが形成されている。これにより、この車両用バンパ構造1では、リヤバンパ5は、第2壁部5b及び第3壁部5cによって、下部がバンパリンフォース3に近づくように延びる形状をなしているものの、スペーサ本体91とリヤバンパ5との干渉が防止されている。ここで、スペーサ本体91はブリッジ93よりもリヤバンパ5に向かって延びる形状であるため、ブリッジ93とリヤバンパ5との干渉も防止されている。
【0063】
これらにより、この車両用バンパ構造1では、スペーサ本体91とリヤバンパ5との干渉を防止するに当たって、リヤバンパ5の意匠設計の自由度が制限され難くなっている。
【0064】
さらに、この車両用バンパ構造1では、ブレーキランプ装置7がリヤバンパ5に設けられることにより、ブレーキランプ装置7が第1、2スペーサ9a、9bの上方に接近した状態で配置されているものの、第1スペーサ9aや第2スペーサ9bは、ブレーキランプ装置7を破損させ難くなっている。以下、この作用について、衝突体200が第1スペーサ9aに衝突した場合を例に説明する。
【0065】
車体100aの後方から衝突体200が第1スペーサ9aと衝突した際には、衝突体200は、スペーサ本体91の傾斜面91cと衝突することになる。ここで、衝突体200は、傾斜面91cと衝突しつつ車体100aの後方から前方に向かって移動するのに対し、傾斜面91cは、リヤバンパ5に向かうにつれて車体100aの上方に向かって傾斜する形状である。このため、衝突体200が傾斜面91cに衝突することにより、スペーサ本体91を含め、第1スペーサ9aには、図6の黒色矢印で示すように、車体100aの上方に向かう荷重Fが作用する。このため、第1スペーサ9aは、衝突体200によって押し潰されつつ、荷重Fによって、車体100aの上方に移動しようとする。つまり、第1スペーサ9aには、バンパリンフォース3に対する車体100aの上方への滑りが生じる。
【0066】
この点、この車両用バンパ構造1では、衝突体200が第1スペーサ9aに衝突し、スペーサ本体91と衝突体200とが衝突状態となることにより、規制爪95の第2延在部95bがバンパリンフォース3の下端30に対して車体100aの下方から当接する。これにより、規制爪95には、荷重Fに対する抵抗力が生じる。そして、この抵抗力がブリッジ93を通じて規制爪95からスペーサ本体91に伝達されることにより、規制爪95は、スペーサ本体91が荷重Fによって車体100aの上方に向かって移動することを規制する。この際、規制爪95は、下壁93bの第1本体部931、ひいてはブリッジ93に設けられることにより、スペーサ本体91から車体100aの左右方向に離隔している。さらに、規制爪95は、第7~9リブ951~953によって補強されている。これらのため、規制爪95は、バンパリンフォース3の下端30に当接しつつ、スペーサ本体91が車体100aの上方に向かって移動すること好適に規制可能となっている。
【0067】
このように規制爪95がスペーサ本体91の上方への移動することを規制する際、すなわち、ブリッジ93を通じて規制爪95からスペーサ本体91に抵抗力が伝達される際、ブリッジ93には捩じれが不可避的に生じてしまう。
【0068】
しかし、ブリッジ93には、下壁93b、上壁93c及び接続壁93dが形成されており、下壁93b及び上壁93cは、接続壁93dを通じて接続している。さらに、下壁93bの第1接続部932は、スペーサ本体91の下面91bに向かうにつれて、前後方向の幅の長さを第1長さL1から第2長さL2まで変化させつつ、下面91bに接続している。同様に、上壁93cの第2接続部934は、スペーサ本体91の第2側面91fに向かうにつれて、前後方向の幅の長さを第1長さL1から第2長さL2まで変化させつつ、第2側面91fに接続している。これにより、下壁93b及び上壁93cは、規制爪95からスペーサ本体91に向かうにつれて、徐々にリヤバンパ5に近づく方向に幅が広くなる形状となっている。このため、この車両用バンパ構造1では、下壁93b、上壁93c及び接続壁93dによって、捩じれに対するブリッジ93の剛性が高くなっており、ブリッジ93に生じる捩じれを可及的に小さくすることが可能となっている。これにより、この車両用バンパ構造1では、規制爪95とバンパリンフォース3の下端30とが当接することによって生じた上記の抵抗力は、ブリッジ93を通じてスペーサ本体91に好適に伝達される。このため、スペーサ本体91が車体100aの上方に向かって移動すること好適に規制可能となっている。
【0069】
つまり、この車両用バンパ構造1では、衝突体200と衝突したスペーサ本体91は、バンパリンフォース3の下端30と、第2延在部95bとの間に存在する隙間Sの範囲において、図6の白色矢印で示すように、荷重Fによって車体100aの上方に僅かに移動し得ることになる。しかし、第2延在部95bがバンパリンフォース3の下端30に当接した以降は、規制爪95が荷重Fによるスペーサ本体91の移動を規制するため、スペーサ本体91は、車体100aの上方に大きく移動することがない。こうして、この車両用バンパ構造1では、スペーサ本体91がブレーキランプ装置7、より具体的には、装置本体7aに衝突することが防止されている。衝突体200が第2スペーサ9bに衝突する場合も同様である。
【0070】
このように、この車両用バンパ構造1では、第1、2スペーサ9a、9bとブレーキランプ装置7との衝突を防止するに当たって、第1、2スペーサ9a、9bに対してブレーキランプ装置7を車体100a上方に過度に大きく離隔させる必要がない。この結果、この車両用バンパ構造1では、リヤバンパ5におけるブレーキランプ装置7の位置の自由度を高くすることが可能となっている。
【0071】
また、バンパリンフォース3の下端30に当接した規制爪95によって、スペーサ本体91の車体100aの上方への移動が規制されることにより、この車両用バンパ構造では、リヤバンパ5に衝突した衝突体200が車体100aの内部に過度に進入し難くなっている。このため、この車両用バンパ構造では、リヤバンパ5に衝突体200が衝突した際にブレーキランプ装置7がバンパリンフォース3の他、ボデーにおけるリヤバンパ5以外の個所に衝突し難くなっている。この点においても、この車両用バンパ構造では、ブレーキランプ装置7が破損し難くなっている。
【0072】
したがって、実施例の車両用バンパ構造1によれば、リヤバンパ5の意匠設計の自由度を高くしつつ、リヤバンパ5に衝突した衝突体200が車体100aの内部に過度に進入することを抑制できる。
【0073】
特に、この車両用バンパ構造1では、ブリッジ93に対して、下壁93b、上壁93c及び接続壁93dに加えて、第3~6リブ93f~93iが設けられている。このため、捩じれに対するブリッジ93の剛性が十分に高くなっている。これにより、この車両用バンパ構造1は、上記の作用を好適に発揮することが可能となっている。
【0074】
また、スペーサ本体91がブリッジ93よりもリヤバンパ5に向かって延びる形状であるため、ブリッジ93がスペーサ本体91と同等の長さでリヤバンパ5に向かって延びる形状をなしている場合に比べて、ブリッジ93を小型化することが可能となっている。これにより、この車両用バンパ構造1では、第1、2スペーサ9a、9bの軽量化を図りつつ、ブリッジ93とリヤバンパ5との干渉を確実性高く防止することが可能となっている。
【0075】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0076】
例えば、実施例の車両用バンパ構造1は、車体100aの後部に位置しているが、これに限らず、車体100aの前部に設けられても良い。この場合、車体100aに設けられたフロントバンパが本発明における「バンパ」に相当する。
【0077】
また、第1、2スペーサ9a、9bは、スペーサ本体91、ブリッジ93及び規制爪95に加えて、他の構成を有していても良い。
【0078】
さらに、第1スペーサ9aと第2スペーサ9bとは、異なる形状であっても良い。
【0079】
また、ブリッジ93に対して、複数の規制爪95を設けても良い。
【0080】
さらに、実施例の車両用バンパ構造1では、下壁93bの第1本体部931に規制爪95を設けているが、これに限らず、下壁93bの第1接続部932に規制爪95を設けても良い。
【0081】
また、ブリッジ93に規制爪95を設けつつ、スペーサ本体91の下面91bにも規制爪95と同様の規制爪を設けても良い。
【0082】
さらに、実施例の車両用バンパ構造1では、本発明における「補強部」として第7~9リブ951~953を採用しているが、これに限らず、補強部として他の構成を採用しても良い。
【0083】
また、実施例の車両用バンパ構造1では、本発明における「機能部品」としてブレーキランプ装置7を採用しているが、これに限らず、例えばカメラ等を機能部品として採用しても良い。
【0084】
また、実施例の車両用バンパ構造1では、第1スペーサ9a及び第2スペーサ9bを樹脂製としているが、これに限らず、第1スペーサ9a及び第2スペーサ9bを金属等で形成しても良い。また、スペーサ本体91、ブリッジ93及び規制爪95をそれぞれ異なる材質で形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は乗用自動車や産業車両等の車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…車両用バンパ構造
3…バンパリンフォース
5…リヤバンパ(バンパ)
7…ブレーキランプ装置(機能部品)
9a…第1スペーサ(スペーサ)
9b…第2スペーサ(スペーサ)
91…スペーサ本体
91b…下面
91c…傾斜面
93…ブリッジ
93b…下壁
93f~93i…第3~6リブ(リブ)
100a…車体
200…衝突体
931…第1本体部(本体部)
932…第1接続部(接続部)
951~953…第7~9リブ(補強部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6