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特開2022-93809搬送装置、樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093809
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】搬送装置、樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20220617BHJP
   B29C 33/12 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C33/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206491
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
【テーマコード(参考)】
4F202
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AA36
4F202AD07
4F202AH33
4F202AH37
4F202CA12
4F202CB01
4F202CB12
4F202CQ05
4F202CQ07
5F061AA01
5F061BA03
5F061CA21
5F061DA01
5F061DA11
5F061DD01
(57)【要約】
【課題】成形型の凹部の側面に基準面部材を確実に接触できるようにする。
【解決手段】成形対象物W1が載置される型面側に凹部15Mが形成された成形型14に成形対象物W1を搬送する搬送装置13であって、成形型15に載置された成形対象物W1の位置決め基準となる基準面PRを有する位置基準機構30と、成形型15に載置された成形対象物W1を基準面PRに向けて移動させる成形対象物移動機構40とを備え、位置基準機構30は、基準面PRを有し、凹部15Mの側面15M1に接触可能に設けられた基準面部材31と、凹部15Mの底面15M2に接触して基準面部材31を凹部15Mの底面15M2から離れた状態とするリフト機構32と、リフト機構32により基準面部材31が凹部15Mの底面15M2から離れた状態で、基準面部材31を凹部15Mの側面15M1に向けて移動させる基準面移動機構33とを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形対象物が載置される型面側に凹部が形成された成形型に前記成形対象物を搬送する搬送装置であって、
前記成形型に載置された前記成形対象物の位置決め基準となる基準面を有する位置基準機構と、
前記成形型に載置された前記成形対象物を前記基準面に向けて移動させる成形対象物移動機構とを備え、
前記位置基準機構は、
前記基準面を有し、前記凹部の側面に接触可能に設けられた基準面部材と、
前記凹部の底面に接触して前記基準面部材を前記凹部の底面から離れた状態とするリフト機構と、
前記リフト機構により前記基準面部材が前記凹部の底面から離れた状態で、前記基準面部材を前記凹部の側面に向けて移動させる基準面移動機構とを有する、搬送装置。
【請求項2】
前記成形型は、樹脂材料が収容されるポットが形成されたポットブロックを有し、当該ポットブロックが型面よりも下側に位置することにより前記凹部が形成されたものであり、
前記リフト機構が、前記ポットブロックの上面に接触して、前記基準面部材を前記ポットブロックの上面から離れた状態とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記成形対象物を保持する保持ユニットをさらに備え、
前記リフト機構は、前記凹部の底面に接触可能に設けられたリフト部材と、前記保持ユニットに対して前記リフト部材を昇降するようにスライドさせる昇降スライド部とを備える、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記基準面部材は、前記リフト部材とともに前記成形型に対して昇降移動可能に構成されている、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記基準面部材の下端と前記リフト部材の下端との上下方向に沿った距離は、前記凹部の深さ寸法よりも小さい、請求項1乃至4の何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記基準面部材は、前記リフト部材に対して水平移動可能に構成されている、請求項1乃至5の何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記昇降スライド部は、昇降レール部材と、当該昇降レール部材をスライドする昇降スライド部材とを有し、
前記基準面部材は、前記昇降スライド部材に設けられた水平スライド部により前記リフト部材に対して水平移動可能に構成されている、請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記基準面移動機構は、カム機構を用いたものであり、
アクチュエータにより昇降移動するカムドライバと、
前記基準面部材に設けられ、前記カムドライバに接触して水平移動するカムスライダとを有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記成形型に載置された前記成形対象物を前記成形型に向かって押さえる押さえ部材をさらに備え、
前記基準面部材及び前記リフト機構は、前記押さえ部材に設けられている、請求項1乃至8の何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の搬送装置を有する樹脂成形装置。
【請求項11】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の搬送装置を用いた成形対象物の搬送方法であって、
前記基準面部材を前記成形型に接触させ、
前記成形型に載置された前記成形対象物を前記基準面に向けて移動して位置決めし、
位置決めされた前記成形対象物を樹脂成形する、樹脂成形品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように、成形対象物を位置決めするための位置決めピンが無い成形型に対して、成形対象物を搬送して位置決めする搬送装置が考えられている。
【0003】
この搬送装置では、下型のポットブロックが収容される凹部の内面に、成形対象物の位置決め基準となる位置規定部材を接触させ、この位置規定部材の端面に成形対象物を接触させることにより、成形対象物を位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6655148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の構成では、位置規定部材を凹部の内面に接触させる際に、位置規定部材の上下方向の位置決めが難しく、位置規定部材が凹部の内面に接触しない場合がある。また、上記の構成では、位置規定部材の下端がポットブロックの上面に接触して傷付いてしまう又は破損してしまう恐れがある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、成形型に形成された凹部の側面に、成形対象物の位置決め基準となる部材を確実に接触させることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る搬送装置は、成形対象物が載置される型面側に凹部が形成された成形型に前記成形対象物を搬送する搬送装置であって、前記成形型に載置された前記成形対象物の位置決め基準となる基準面を有する位置基準機構と、前記成形型に載置された前記成形対象物を前記基準面に向けて移動させる成形対象物移動機構とを備え、前記位置基準機構は、前記基準面を有し、前記凹部の側面に接触可能に設けられた基準面部材と、前記凹部の底面に接触して前記基準面部材を前記凹部の底面から離れた状態とするリフト機構と、前記リフト機構により前記基準面部材が前記凹部の底面から離れた状態で、前記基準面部材を前記凹部の側面に向けて移動させる基準面移動機構とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成した本発明によれば、成形型に形成された凹部の側面に、成形対象物の位置決め基準となる部材を確実に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る一実施形態の樹脂成形装置の構成を示す模式図である。
図2】同実施形態における成形モジュールの成形対象物載置状態及び樹脂材料装填状態を示す模式図である。
図3】同実施形態における成形モジュールの型締め状態を示す模式図である。
図4】同実施形態における成形モジュールの樹脂注入状態を示す模式図である。
図5】同実施形態における成形モジュールの型開き状態を示す模式図である。
図6】同実施形態における搬送装置が成形対象物を保持した状態を模式的に示す側面図である。
図7】同実施形態における成形対象物に対する基準位置機構及び成形対象物移動機構の配置態様を模式的に示す平面図である。
図8】同実施形態におけるリフト機構の動作を模式的に示す側面図である。
図9】同実施形態における基準面移動機構の動作を模式的に示す側面図である。
図10】同実施形態における搬送装置のリフト部材が凹部の底面に接触した状態を模式的に示す側面図である。
図11】同実施形態における搬送装置の基準面部材が凹部の側面に接触した状態を模式的に示す平面図である。
図12】同実施形態における搬送装置が押さえ部材を成形対象物から離れた状態を模式的に示す側面図である。
図13】同実施形態における搬送装置が成形対象物を下形に載置した状態を模式的に示す側面図である。
図14】同実施形態における搬送装置の成形対象物移動機構が成形対象物を基準面に寄せた状態を模式的に示す平面図である。
図15】同実施形態における搬送装置が押さえ部材により成形対象物を押さえた状態を模式的に示す側面図である。
図16】同実施形態における搬送装置が位置決めを完了した後の動作を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0011】
本発明の搬送装置は、前述のとおり、成形対象物が載置される型面側に凹部が形成された成形型に前記成形対象物を搬送する搬送装置であって、前記成形型に載置された前記成形対象物の位置決め基準となる基準面を有する位置基準機構と、前記成形型に載置された前記成形対象物を前記基準面に向けて移動させる成形対象物移動機構とを備え、前記位置基準機構は、前記基準面を有し、前記凹部の側面に接触可能に設けられた基準面部材と、前記凹部の底面に接触して前記基準面部材を前記凹部の底面から離れた状態とするリフト機構と、前記リフト機構により前記基準面部材が前記凹部の底面から離れた状態で、前記基準面部材を前記凹部の側面に向けて移動させる基準面移動機構とを有することを特徴とする。
この搬送装置であれば、リフト機構により基準面部材を凹部の底面から離れた状態とした後に、基準面移動機構が基準面部材を凹部の側面に向けて移動させるので、基準面部材を凹部の側面に移動させる際に、基準面部材を移動しやすくするとともに、基準面部材を凹部の側面に確実に接触させることができる。また、基準面部材が凹部の底面に接触しないので、搬送装置又は成形型が傷付いたり、破損したりすることを防ぐことができる。
【0012】
具体的に成形型は、樹脂材料が収容されるポットが形成されたポットブロックを有し、当該ポットブロックが型面よりも下側に位置することにより前記凹部が形成されたものであることが考えられる。
この構成においては、前記リフト機構が、前記ポットブロックの上面に接触して、前記基準面部材を前記ポットブロックの上面から離れた状態とする。
これにより、基準面部材がポットブロックの上面に接触しないので、基準面部材の破損やポットブロックの上面が傷付くことを防止できる。
【0013】
本発明の搬送装置は、前記成形対象物を保持する保持ユニットをさらに備えており、前記リフト機構は、前記凹部の底面に接触可能に設けられたリフト部材と、前記保持ユニットに対して前記リフト部材を昇降するようにスライドさせる昇降スライド部とを備えることが望ましい。
この構成であれば、保持ユニットに対してリフト部材を昇降移動可能に構成しているので、保持ユニットによりリフト部材の上下方向の位置を精度良く決めることなく、リフト部材を凹部の底面に接触させることができる。つまり、リフト部材が凹部の底面に接触した後に保持ユニットが下降したとしても、昇降スライド部が保持ユニットの下降分を吸収することになる。これにより、リフト部材が凹部の底面を過度に押すことがなくなり、リフト部材又は成形型が傷付いたり、破損したりすることを防ぐことができる。
【0014】
上記のリフト部材を凹部の底面に接触させるだけで基準面部材の上下方向の位置を決定するためには、前記基準面部材は、前記リフト部材に対する上下方向の相対位置が固定されており、前記リフト部材とともに前記成形型に対して昇降移動可能に構成されていることが望ましい。
【0015】
リフト部材が凹部の底面に接触した状態で、基準面部材を凹部の側面に水平方向に沿って対向した位置とするためには、前記基準面部材の下端と前記リフト部材の下端との上下方向に沿った距離は、前記凹部の深さ寸法よりも小さいことが望ましい。
【0016】
凹部の底面に接触したリフト部材が水平方向に移動しないようにしつつ、基準面部材を水平方向に移動可能にするためには、前記基準面部材は、前記リフト部材に対して水平移動可能に構成されていることが望ましい。
【0017】
基準面部材及びリフト部材の昇降移動を可能にしつつ、基準面部材のみを水平移動させるためには、前記昇降スライド機構は、レール部材と、当該レール部材をスライドするスライド部材とを有し、前記基準面部材は、前記スライド部材に設けられた水平スライド部により前記リフト部材に対して水平移動可能に構成されていることが望ましい。
【0018】
前記基準面移動機構の具体的な実施の態様としては、カム機構を用いたものであることが考えられる。具体的には、前記基準面移動機構は、アクチュエータにより昇降移動するカムと、前記基準面部材に設けられ、前記カムに接触して水平移動するフォロアとを有することが望ましい。
【0019】
本発明の搬送装置は、前記成形型に載置された前記成形対象物を前記成形型に向かって押さえる押さえ部材をさらに備えていることが考えられる。この構成において搬送装置の小型化や構造の簡単化を実現するためには、前記基準面部材及び前記リフト機構は、前記押さえ部材に設けられていることが望ましい。
【0020】
また、上述した搬送装置を有する樹脂成形装置も本発明の一態様である。
【0021】
その上、本発明の樹脂成形品の製造方法は、上述した搬送装置を用いたものであり、前記基準面部材を前記成形型に接触させ、前記成形型に載置された前記成形対象物を前記基準面に向けて移動して位置決めし、位置決めされた前記成形対象物を樹脂成形することを特徴とする。
【0022】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る樹脂成形装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0023】
<樹脂成形装置100の全体構成>
本実施形態の樹脂成形装置100は、例えば電子部品Wxが実装された成形対象物W1を、樹脂材料Jを用いたトランスファー成形によって樹脂成形するものである。
【0024】
ここで、成形対象物W1としては、例えば金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板、セラミックス製基板、回路基板、半導体製基板、配線基板、リードフレーム等であり、配線の有無は問わない。成形対象物W1の上面に実装される電子部品Wxとしては、例えばベアチップ又は樹脂封止されたチップである。また、樹脂成形のための樹脂材料Jは例えば熱硬化性樹脂を含む複合材料であり、樹脂材料Jの形態は顆粒状、粉末状、液状、シート状又はタブレット状等である。
【0025】
具体的に樹脂成形装置100は、図1に示すように、成形前の成形対象物W1及び樹脂材料Jを供給する供給モジュール100Aと、樹脂成形する成形モジュール100Bと、成形後の成形対象物W2(以下、樹脂成形品W2)を収容する収納モジュール100Cとを、それぞれ構成要素として備えている。なお、供給モジュール100Aと、成形モジュール100Bと、収納モジュール100Cとは、それぞれ他の構成要素に対して、互いに着脱することができ、かつ、交換することができる。
【0026】
供給モジュール100Aには、成形対象物W1を供給する成形対象物供給部11と、樹脂材料Jを供給する樹脂材料供給部12と、成形対象物供給部11から成形対象物W1を受け取り成形モジュール100Bに搬送し、樹脂材料供給部12から樹脂材料Jを受け取り成形モジュール100Bに搬送する搬送装置13(以下、ローダ13)とが設けられている。
【0027】
ローダ13は、供給モジュール100Aと成形モジュール100Bとの間を行き来するものであり、供給モジュール100Aと成形モジュール100Bとに亘って設けられたレール(不図示)に沿って移動する。なお、ローダ13の詳細は後述する。
【0028】
成形モジュール100Bは、図2図5に示すように、樹脂注入部14が設けられた成形型の一方の型15(以下、下型15)と、下型15に対向して設けられ、樹脂材料Jが注入されるキャビティ16aが形成された成形型の他方の型16(以下、上型16)と、下型15及び上型16を型締めする型締め機構17とを有する。下型15は、型締め機構17により昇降する可動盤101に下プラテン102を介して設けられている。上型16は、上部固定盤(不図示)に上プラテン103を介して設けられている。
【0029】
本実施形態の樹脂注入部14は、樹脂材料Jを収容するポット141aが形成されたポットブロック141と、ポット141aに収容された樹脂材料Jを圧送するためのプランジャ142と、当該プランジャ142を駆動するプランジャ駆動部143とを有している。なお、プランジャ142は、ポット141aにおいて加熱されて溶融した樹脂材料Jを圧送するものである。
【0030】
ポットブロック141は、下型15の成形対象物W1が載置される型面15aよりも下側に位置している。つまり、ポットブロック141の上面141bは、下型15の型面15aよりも下側に位置している(図2の「凹部の詳細」参照)。この構成により、下型15の型面15a側には、凹部15Mが形成されることになる。また、ポットブロック141の上面141bが凹部15Mの底面15M2となる。
【0031】
上型16には、成形対象物W1の電子部品Wxを収容するとともに溶融した樹脂材料Jが注入されるキャビティ16aが形成されている。また、上型16には、ポット141aに対向する部分に凹部であるカル部16bが形成されるとともに、当該カル部16bとキャビティ16aを接続するランナ部16cが形成されている。なお、図示しないが上型16には、ポット141aとは反対側にエアベントが形成されている。
【0032】
そして、図3に示すように、型締め機構17により下型15及び上型16を型締めすると、カル部16bとランナ部16cとからなる樹脂流路が、ポット141aとキャビティ16aとを連通する。この状態でプランジャ142により溶融した樹脂材料Jをキャビティ16aに注入すると、成形対象物W1の電子部品Wxが樹脂封止される。
【0033】
収納モジュール100Cには、樹脂成形品W2を収納する収納部18と、成形モジュール100Bから樹脂成形品W2を受け取り、収納部18に搬送する搬送装置19(以下、アンローダ19)とが設けられている。
【0034】
アンローダ19は、成形モジュール100Bと収納モジュール100Cとの間を行き来するものであり、成形モジュール100Bと収納モジュール100Cとに亘って設けられたレール(不図示)に沿って移動する。
【0035】
<樹脂成形装置100の基本動作>
この樹脂成形装置100の基本動作について、図2図5を参照して簡単に説明する。
【0036】
図2に示すように、下型15と上型16とが型開きされた状態で、ローダ13により成形前の成形対象物W1が搬送されて下型15に渡されて載置される。この際、上型16及び下型15は、樹脂材料Jを溶融し、硬化させることができる温度に昇温されている。その後、ローダ13により、後述するように下型15上の成形対象物W1が位置決めされ、樹脂材料Jが搬送されてポットブロック141のポット141a内に収容される。
【0037】
この状態で、型締め機構17により下型15を上昇させると、下型15及び上型16が型締めされる(図3参照)。この型締め後にプランジャ駆動部143によりプランジャ142を上昇させると、図4に示すように、ポット141a内の溶融した樹脂材料Jが樹脂通路を通ってキャビティ16a内に注入される。そして、キャビティ16a内で樹脂材料Jが硬化した後に、図5に示すように、型締め機構17により型開きし、アンローダ19により樹脂成形品W2を搬出して、収納部18に搬送する。
【0038】
<ローダ13の具体的な構成>
次に、本実施形態におけるローダ13の具体的な構成について、図6図16を参照して説明する。なお、図6図16において、電子部品Wxの図示を省略している。
【0039】
ローダ13は、図6等に示すように、成形対象物W1を保持して下型15に渡して載置する保持ユニット20と、下型15に載置された成形対象物W1の位置決め基準となる基準面PRを有する位置基準機構30と、下型15に載置された成形対象物W1を基準面PRに向けて移動させる成形対象物移動機構40とを備えている。
【0040】
(1)保持ユニット20の構成
保持ユニット20は、図6等に示すように、レール(不図示)に沿って移動可能に設けられたベース部材21と、当該ベース部材21に設けられ、成形対象物W1を保持する保持機構22と、下型15に載置された成形対象物W1を押さえる押さえ部材23と、当該押さえ部材23を昇降移動させる昇降移動機構24とを備えている。また、ベース部材21には、樹脂材料Jを保持する樹脂保持部(不図示)が設けられている。
【0041】
保持機構22は、図6等に示すように、成形対象物W1の両端部を引っ掛けて保持する対をなす搬送爪22aと、当該搬送爪22a同士の間隔を拡大又は縮小する駆動部(不図示)とを有している。駆動部により搬送爪22aの間隔を縮小させることによって成形対象物W1を引っ掛けて保持し、搬送爪22aの間隔を拡大させることによって成形対象物W1の保持を解除する。本実施形態の保持機構22は、図6に示すように、搬送爪22aに成形対象物W1を引っ掛けて保持した状態で、当該成形対象物W1とともに押さえ部材23も保持する。つまり、搬送爪22aに保持された成形対象物W1の上面に押さえ部材23が載った状態となる。なお、保持機構22は押さえ部材23を保持しないものであってもよい。
【0042】
押さえ部材23は、図6等に示すように、成形対象物W1の外周縁部を押さえることによって、成形対象物W1の反りを抑えるものである。具体的に押さえ部材23の下面には、成形対象物W1の外周縁部に接触する押さえ部23aが設けられるとともに、成形対象物W1に搭載された電子部品Wxを収容する凹部23bが形成されている。その他、後述するが、押さえ部材23には、位置基準機構30の基準面部材31及びリフト機構32が設けられている。
【0043】
昇降移動機構24は、図6等に示すように、ベース部材21に設けられて、押さえ部材23の成形対象物W1に対する高さ位置を調整するものである。本実施形態の昇降移動機構24は、例えばエアシリンダを用いて構成されており、押さえ部材23を(a)保持機構22に保持された成形対象物W1を押さえた状態(図6図10図11参照)と、(b)保持機構22に保持された成形対象物W1から離れた状態(図12参照)と、(c)下型15に載置された成形対象物W1を押さえた状態(図15参照)と、(d)下型15に載置された成形対象物W1から離れた状態(図13図14図16参照)とにすることができる。
【0044】
(2)位置基準機構30の構成
位置基準機構30は、図6等に示すように、基準面PRを有し、凹部15Mの側面15M1に接触可能に設けられた基準面部材31と、凹部15Mの底面15M2に接触して基準面部材31を凹部15Mの底面15M2から離れた状態とするリフト機構32と、リフト機構32により基準面部材31が凹部15Mの底面15M2から離れた状態で、基準面部材31を凹部15Mの側面15M1に向けて移動させる基準面移動機構33とを有している。なお、位置基準機構30は、図7に示すように、第1方向(ベント側からポット側に沿った方向)に直交する幅方向に複数(ここでは2箇所)設けられている。
【0045】
基準面部材31は、下型15に形成された凹部15Mの側面15M1に接触するものであり、ベント側を向く面に平面状をなす基準面PRが形成されている。この基準面部材31は、凹部15Mの側面15M1に接触して、基準面PRが成形対象物W1の位置決め基準となる位置に設定される。
【0046】
リフト機構32は、ポットブロック141の上面141b(凹部15Mの底面15M2)に接触して、基準面部材31をポットブロック141の上面141bから予め設定された所定距離離れた状態とするものである(図8参照)。具体的にリフト機構32は、ポットブロック141の上面141b(凹部15Mの底面15M2)に接触可能に設けられたリフト部材321と、保持ユニット20に対してリフト部材321を昇降するようにスライドさせる昇降スライド部322とを備えている。
【0047】
リフト部材321は、基準面部材31に対して上下方向の相対位置が固定されたものであり、基準面部材31の下端とリフト部材321の下端との上下方向に沿った距離が固定されている。図8に示すように、基準面部材31の下端とリフト部材321の下端との上下方向に沿った距離L1は、凹部15Mの深さ寸法L2(つまり、型面15aとポットブロック141の上面141bとの上下方向に沿った距離)よりも小さくなるように設定されている。
【0048】
昇降スライド部322は、保持ユニット31側に上下方向に沿って設けられた昇降レール部材322aと、当該昇降レール部材322aをスライドするとともにリフト部材321が設けられた昇降スライド部材322bとを有している。本実施形態の昇降レール部材322aは、押さえ部材23に設けられている。つまり、リフト部材321は、押さえ部材23に対して昇降移動可能に構成されている。
【0049】
そして、基準面部材31は、リフト部材321とともに下型15に対して昇降移動可能に構成されるとともに、リフト部材321に対して水平移動可能に構成されている。
【0050】
具体的に基準面部材31は、昇降スライド部材322bに設けられた水平スライド部34によりリフト部材321に対して水平移動可能に構成されている(図9参照)。ここで水平スライド部34は、昇降スライド部材322bに水平方向に沿って設けられた水平レール部材341と、当該水平レール部材341をスライドするとともに基準面部材31が設けられた水平スライド部材342とを有している。このように基準面部材31を水平スライド部34を介して昇降スライド部材322bに設けることによって、リフト部材321とともに昇降移動可能にしつつ、リフト部材321に対して水平移動可能に構成している。
【0051】
基準面移動機構33は、基準面PRを有する基準面部材31を水平方向に移動させるものであり、カム機構を用いて構成されている。具体的に基準面移動機構33は、保持ユニット20に設けられたアクチュエータ331と、当該アクチュエータ331により昇降移動するカムドライバ332と、基準面部材31に設けられ、カムドライバ332に接触して水平方向に沿って移動するカムスライダ333とを有する。
【0052】
アクチュエータ331は、保持ユニット20のベース部材21に設けられ、カムドライバ332を上下方向に沿って昇降移動させるものであり、例えばエアシリンダを用いて構成されたものである。
【0053】
カムドライバ332は、エアシリンダ331により昇降移動されるレバー部材334の下端部に設けられている。このレバー部材334は、エアシリンダ331をオンすることにより上昇する。また、レバー部材334は、スプリング等の弾性部材335により下方に付勢されており、エアシリンダ331をオフにすると、弾性部材335の弾性力を受けつつ下降する。
【0054】
カムスライダ333は、基準面部材31が設けられた水平スライド部材342の上部に設けられている。このカムスライダ333は、ポット141a側を向く傾斜面333aを有しており(図8及び図9参照)、カムドライバ332が下降すると、当該カムドライバ332が傾斜面333aに接触して、水平方向に沿ってベント側(凹部15Mの側面15M1側)に向かって移動する。また、カムスライダ333は、スプリング等の弾性部材336によりポット側(凹部15Mの側面15M1から離れる方向)に付勢されており、カムドライバ332が上昇すると、弾性部材336の弾性力を受けつつポット側に移動する。
【0055】
ここで、カムスライダ333は、カムドライバ332が下降して基準面部材31が凹部15Mの側面15M1に接触した状態において、カムドライバ332が接触する傾斜面333aの傾斜角度が、鉛直方向から0度~30度の範囲内、好ましくは、0度から15度の範囲内の角度となるようにしている。このように構成することで、成形対象物W1が基準面PRを用いて位置決めされる際に、基準面部材31が成形対象物W1から受ける反力により、基準面部材31が動かないようにすることができる。
【0056】
(3)成形対象物移動機構40の構成
成形対象物移動機構40は、図6等に示すように、下型15に載置された成形対象物W1をポット側にスライド移動させて、位置基準機構30により固定された基準面PRを用いて成形対象物W1を位置決めするものである。
【0057】
具体的に成形対象物移動機構40は、保持ユニット20に移動可能に設けられ、成形対象物W1に接触する成形対象物接触部41と、成形対象物接触部41を移動させる成形対象物駆動部42とを有している。
【0058】
本実施形態の成形対象物接触部41は、保持ユニット20のベース部材21に第1方向(ベント側からポット側に沿った方向)に移動可能に設けられており、成形対象物W1のベント側端部に接触するものである。この成形対象物接触部41は、例えば棒状をなすものであり、第1方向に直交する幅方向に複数(例えば2つ)設けられている(図7参照)。
【0059】
成形対象物駆動部42は、成形対象物接触部41を第1方向に移動させることにより、成形対象物W1のポット側端部を基準面PRに接触させて位置決めするものである。この成形対象物駆動部42は、例えばエアシリンダを用いて構成されている。
【0060】
また成形対象物接触部41及び成形対象物駆動部42は、連結部材43を介して接続されている。そして、成形対象物接触部41の上端部は、連結部材43に対して回転部材44により回転可能に連結されており、その下端部が成形対象物W1のベント側端部に接触するように構成されている。なお、下型15には、図11等に示すように、成形対象物接触部41の移動を妨げないように少なくとも成形対象物接触部41の下端部の移動範囲において逃げ溝151が形成されている。
【0061】
さらに、成形対象物移動機構40は、図6等に示すように、成形対象物接触部41の第1方向の移動に伴い弾性変形して成形対象物接触部41をポット側に付勢するスプリング等の弾性部材45を有している。本実施形態の弾性部材45は、連結部材43と成形対象物接触部41との間に設けられている。この弾性部材45は、成形対象物接触部41に対してベント側に設けられており、成形対象物接触部41が成形対象物W1に接触した後に、成形対象物駆動部42の移動量を吸収して、その弾性力により成形対象物W1のポット側端部を基準面PRに押し付ける(図14参照)。
【0062】
<ローダ13の動作>
次に、ローダ13の搬送動作及び位置決め動作について図6図16を参照して説明する。
【0063】
まず、図6に示すように、ローダ13を下型15の上方に移動させた後に、図10に示すように、リフト機構32のリフト部材321がポットブロック141の上面141bに接触するまでローダ13を下降させる。
【0064】
ここで、リフト部材321がポットブロック141の上面141bに接触するまで下降させる態様としては、予め設定された下降量でローダ13を下降させる構成や、リフト部材321の昇降スライド部322でのスライド量を例えば接触センサなどのセンサで検出する構成等が考えられる。このローダ13の下降動作により、基準面部材31の下端は、凹部15Mの内部に位置しており、凹部15Mの底面15M2から離れ、且つ凹部15Mの側面15M1に対向した状態となる(図8(B)参照)。
【0065】
次に、図11に示すように、基準面移動機構33により、基準面部材31を水平方向に沿って、凹部15Mの側面15M1側(ベント側)に移動させる。具体的には、基準面移動機構33のアクチュエータ331によりカムドライバ332を下降させて、カムスライダ333を水平スライド部34により水平移動させることにより、基準面部材31を凹部15Mの側面15M1に接触させて固定する。これにより、成形対象物W1の位置決め基準となる基準面PRが下型15に対して固定される(図9(B)参照)。
【0066】
本実施形態では、成形対象物W1を下型15に載置する前に基準面PRを下型15に対して固定する構成としている。なお、成形対象物W1を下型15に載置した後に基準面PRを下型15に対して固定すると、成形対象物W1を下型15に載置した際にポット141a側に飛び出す場合がある。この状態で基準面部材31を移動させると、基準面部材31によって成形対象物W1がベント側に弾かれる可能性があり、位置決めができない場合がある。
【0067】
そして、ローダ13は、図12に示すように、搬送爪22aによる成形対象物W1の保持を解除する前に、昇降移動機構24により押さえ部材23を持ち上げて、成形対象物W1を押さえていない状態(フローティングした状態)とする。その後、ローダ13は、図13に示すように、搬送爪22aの間隔を拡大させることで保持機構22による成形対象物W1の保持を解除して成形対象物W1を下型15に載置する。
【0068】
本実施形態では、成形対象物W1の保持を解除する前に押さえ部材23を成形対象物W1からフローティングした状態とすることで、成形対象物W1の破損や載置ミスを防いでいる。一方で、押さえ部材23で成形対象物W1を押さえた状態で搬送爪22aを開けると、搬送爪22aと成形対象物W1との間の摩擦で成形対象物W1が移動してしまい、成形対象物W1の破損や載置ミスが生じてしまう。
【0069】
下型15に成形対象物W1を載置した後に、図14に示すように、成形対象物移動機構40により成形対象物W1を第1方向に沿ってポット側に移動させる。この第1方向の移動により成形対象物W1のポット側端部が基準面PRに接触するとともに、弾性部材45が弾性変形して成形対象物接触部41が成形対象物W1を基準面PRに押し付ける。
【0070】
この成形対象物移動機構40による成形対象物W1の位置決め動作は、2回以上行うことが望ましい。成形対象物W1のポット側端部が型面15aから浮き上がっていると、次の動作(押さえ部材23で押さえる動作)で、成形対象物W1がポット側にはみ出る可能性があるが、位置決め動作を2回以上すれば、その可能性が低減されるからである。
【0071】
その後、図15に示すように、昇降移動機構24により押さえ部材203を下降して、成形対象物W1の外周縁部に接触させて押さえる。この状態で、下型15に設けられた吸着機構(不図示)により、下型15に成形対象物W1が吸着保持される。本実施形態では、成形対象物W1が変形していた場合でも押さえ部材23によって成形対象物W1を押さえるので吸着保持が可能となる。
【0072】
吸着保持された後に、図16に示すように、位置基準機構30のアクチュエータ331がカムドライバ332を上昇させることにより、基準面部材31が凹部15Mの側面15M1から離れる。また、成形対象物移動機構40の成形対象物駆動部42が成形対象物接触部41をベント側に移動させることにより、成形対象物接触部41が成形対象物W1から離れる。上記一連の位置決め動作の後に、ローダ13に設けた樹脂保持部によって樹脂材料Jをポット141a内に収容して、ローダ13は、所定の待機位置に移動する。
【0073】
<本実施形態の効果>
本実施形態の樹脂成形装置100によれば、リフト機構32により基準面部材31が凹部15Mの底面15M2から離れた状態とした後に、基準面移動機構33が基準面部材31を凹部15Mの側面15M1に向けて移動させるので、基準面部材31を凹部15Mの側面15M1に移動させる際に、基準面部材31を移動しやすくするとともに、基準面部材31を凹部15Mの側面15M1に確実に接触させることができる。また、基準面部材31が凹部15Mの底面15M2に接触しないので、搬送装置13又は成形型15が傷付いたり、破損したりすることを防ぐことができる。具体的には、リフト機構32が、ポットブロック141の上面141bに接触して、基準面部材31をポットブロック141の上面141bから離れた状態としているので、基準面部材31がポットブロック141の上面141bに接触しないようにでき、基準面部材31の破損やポットブロック141の上面141bが傷付くことを防止できる。
【0074】
また、本実施形態では、保持ユニット20の押さえ部材23に対して昇降スライド部322によりリフト部材321を昇降移動可能に構成しているので、保持ユニット20でリフト部材321の上下位置を精度良く決めることなく、リフト部材321を凹部15Mの底面15M2(ポットブロック141の上面141b)に接触させることができる。つまり、リフト部材321が凹部15Mの底面15M2に接触した後に保持ユニット20が下降したとしても、昇降スライド部322が保持ユニット20の下降分を吸収することになる。これにより、リフト部材321が凹部15Mの底面15M2を過度に押すことがなくなり、リフト部材321又はポットブロック141の上面141bが傷付いたり、破損したりすることを防ぐことができる。
【0075】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0076】
例えば、前記実施形態では、基準面部材31が凹部15Mの側面15M1に対して水平方向に沿って直線移動するものであったが、凹部15Mの側面15M1に対して傾斜した方向から直線移動するものであってもよい。
【0077】
また、基準面部材31は凹部15Mの側面15M1に対して直線移動する構成の他に、凹部15Mの側面15M1に対して回転移動する構成としてもよい。この場合、基準面部材31は、例えば押さえ部材23又はベース部材21に設けられた回転軸周りに回転する構成とすることが考えられる。この構成であっても、リフト機構32によって、基準面部材31が凹部15Mの底面15M2に接触することを防ぐことができる。
【0078】
前記実施形態では、ポットブロック141の上面141bが下型15の型面15aよりも下側に位置することにより凹部15Mが形成されているが、ポットブロック141の上面141bと下型15の型面15aとの上下関係に関わらず、下型15の型面側に、基準面部材31が接触する凹部を形成しても良い。
【0079】
前記実施形態の基準面移動機構33はカム機構を用いて、アクチュエータ331及びカムドライバ332をベース部材21に、カムスライダ333を押さえ部材23に設けて分離した構成としていたが、アクチュエータ331及びカムドライバ332を押さえ部材23に設けた構成としても良い。また、基準面移動機構33はカム機構を用いない構成としても良い。
【0080】
さらに、前記実施形態の搬送装置13は、樹脂材料供給部12から樹脂材料Jを受け取り成形モジュール100Bに搬送する樹脂材料搬送機能を有していたが、搬送装置13が樹脂材料搬送機能を有することなく、別に樹脂材料搬送機構を設けても良い。
【0081】
前記実施形態では、成形対象物W1を下型15に対して位置決めするものであったが、成形対象物W1を上型16に保持する構成の場合には、上型16に形成された凹部に対して成形対象物W1を位置決めするものであっても良い。また、一対の成形型は、上型及び下型に限られず、その他の成形型であっても良い。
【0082】
本発明の樹脂成形装置は、トランスファー成形に限られず、例えば圧縮成形等であっても良い。
【0083】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0084】
100・・・樹脂成形装置
W・・・成形対象物
13・・・搬送装置
141・・・ポットブロック
15・・・成形型
15M・・・凹部
15M1・・・凹部の側面
15M2・・・凹部の底面
20・・・保持ユニット
23・・・押さえ部材
30・・・位置基準機構
PR・・・基準面
31・・・基準面部材
32・・・リフト機構
33・・・基準面移動機構
321・・・リフト部材
322・・・昇降スライド部
322a・・・昇降レール部材
322b・・・昇降スライド部材
332・・・カムドライバ
333・・・カムスライダ
34・・・水平スライド部
40・・・成形対象物移動機構

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16