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特開2022-93813電子デバイス及び電子デバイスの姿勢追跡方法
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  • 特開-電子デバイス及び電子デバイスの姿勢追跡方法 図1
  • 特開-電子デバイス及び電子デバイスの姿勢追跡方法 図2
  • 特開-電子デバイス及び電子デバイスの姿勢追跡方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093813
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】電子デバイス及び電子デバイスの姿勢追跡方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0346 20130101AFI20220617BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20220617BHJP
【FI】
G06F3/0346 426
G06F3/0346 425
G06T7/20 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020206500
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】518427524
【氏名又は名称】未來市股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】許 丞佑
(72)【発明者】
【氏名】▲ホアン▼ ▲イー▼雅
【テーマコード(参考)】
5B087
5L096
【Fターム(参考)】
5B087AA07
5B087AC04
5B087BC05
5B087BC32
5B087BC34
5L096CA04
5L096FA09
5L096FA67
5L096FA69
5L096JA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電子デバイス及び電子デバイスの姿勢追跡方法を提供する。
【解決手段】方法は、自由度(DOF)上の該電子デバイスの複数の特定サンプル値を取得することと、複数の有効サンプル値を取り出して、それに応じて予測サンプル値を取得することと、DOF上の実サンプル値を感知することと、予測サンプル値と実サンプル値との間の差が閾値よりも大きいと判定したことに応じて、実サンプル値を無効と判定して、予測サンプル値と実サンプル値との組合せに基づきDOF上の出力サンプル値を決定することと、予測サンプル値と実サンプル値との間の差が閾値よりも大きくないと判定したことに応じて、実サンプル値を有効と判定して、実サンプル値をDOF上の出力サンプル値として決定することと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの姿勢追跡方法であって、
自由度(DOF)上の上記電子デバイスの複数の特定サンプル値を取得することであって、前記特定サンプル値が特定の窓内にあることと、
前記特定サンプル値から複数の有効サンプル値を取り出して、前記有効サンプル値に基づき予測サンプル値を取得することと、
前記DOF上の前記電子デバイスの第1の実サンプル値を感知することと、
前記予測サンプル値と前記第1の実サンプル値との間の特定の差が所定の閾値よりも大きいことに応じて、前記第1の実サンプル値を無効と判定して、前記予測サンプル値と前記第1の実サンプル値との組合せに基づき前記DOF上の出力サンプル値を決定することと、
前記予測サンプル値と前記第1の実サンプル値との間の前記特定の差が前記所定の閾値よりも大きくないことに応じて、前記第1の実サンプル値を有効と判定して、前記第1の実サンプル値を前記DOF上の前記出力サンプル値として決定することと
を含む、
方法。
【請求項2】
電子デバイスであって、
プログラムコードを格納する、非一時的なメモリと、
前記メモリに連接され、
自由度(DOF)上の上記電子デバイスの複数の特定サンプル値を取得することであって、前記特定サンプル値が特定の窓内にあることと、
前記特定サンプル値から複数の有効サンプル値を取り出して、前記有効サンプル値に基づき予測サンプル値を取得することと、
前記DOF上の前記電子デバイスの第1の実サンプル値を感知することと、
前記予測サンプル値と前記第1の実サンプル値との間の特定の差が所定の閾値よりも大きいことに応じて、前記第1の実サンプル値を無効と判定して、前記予測サンプル値と前記第1の実サンプル値との組合せに基づき前記DOF上の出力サンプル値を決定することと、
前記予測サンプル値と前記第1の実サンプル値との間の前記特定の差が前記所定の閾値よりも大きくないことに応じて、前記第1の実サンプル値を有効と判定して、前記第1の実サンプル値を前記DOF上の前記出力サンプル値として決定することと
を実行するためプログラムコードを読み込む、プロセッサと
を含む、
電子デバイス。
【請求項3】
前記有効サンプル値に基づき前記予測サンプル値を取得するステップが、
前記有効サンプル値のj番目の有効サンプル値に対応する差分値を取得することであって、前記j番目の有効サンプル値に対応する前記差分値が、前記有効サンプル値の前記j番目の有効サンプル値と(j+1)番目の有効サンプル値との間の差であって、1≦j≦M-1であり、Mが前記有効サンプル値の数であることと、
各前記j番目の有効サンプル値に対応する前記差分値に基づき、予測差分値を取得することと、
前記予測差分値を前記有効サンプル値のM番目の有効サンプル値と組み合わせることを介し、前記予測サンプル値を生成することと
を含む、
請求項1に記載の方法、
又は、
前記プロセッサが、
前記有効サンプル値のj番目の有効サンプル値に対応する差分値を取得することであって、前記j番目の有効サンプル値に対応する前記差分値が、前記有効サンプル値の前記j番目の有効サンプル値と(j+1)番目の有効サンプル値との間の差であって、1≦j≦M-1であり、Mが有効サンプル値の数であることと、
各前記j番目の有効サンプル値に対応する前記差分値に基づき、予測差分値を取得することと、
前記予測差分値を前記有効サンプル値のM番目の有効サンプル値と組み合わせることを介し、前記予測サンプル値を生成することと
を実行するよう構成された、
請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記予測差分値が、各前記j番目の有効サンプル値に対応する前記差分値の線形結合である、
請求項3に記載の方法、
又は、
前記予測差分値が、各前記j番目の有効サンプル値に対応する前記差分値の線形結合である、
請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
各前記有効サンプル値に対応する前記差分値が重み付けを指定され、前記予測差分値が各前記有効サンプル値に対応する前記差分値の重み付けされた平均として特徴付けられた、
請求項4に記載の方法、
又は、
各前記有効サンプル値に対応する前記差分値が重み付けを指定され、前記予測差分値が各前記有効サンプル値に対応する前記差分値の重み付けされた平均として特徴付けられた、
請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記(j+1)番目の有効サンプル値に対応する前記差分値の前記重み付けが、前記j番目の有効サンプル値に対応する前記差分値の前記重み付けよりも大きい、
請求項4に記載の方法、
又は、
前記(j+1)番目の有効サンプル値に対応する前記差分値の前記重み付けが、前記j番目の有効サンプル値に対応する前記差分値の前記重み付けよりも大きい、
請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記特定の窓がi番目の時点~(i+N-1)番目の時点を含み、前記特定サンプル値がi番目の特定サンプル値~(i+N-1)番目の特定サンプル値を含み、前記予測サンプル値が(i+N)番目の時点に対応し、前記第1の実サンプル値が前記(i+N)番目の時点で感知される、
請求項1に記載の方法、
又は、
前記特定の窓がi番目の時点~(i+N-1)番目の時点を含み、前記特定サンプル値がi番目の特定サンプル値~(i+N-1)番目の特定サンプル値を含み、前記予測サンプル値が(i+N)番目の時点に対応し、前記第1の実サンプル値が前記(i+N)番目の時点で感知される、
請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記予測サンプル値が第1の重み付けを指定され、前記第1の実サンプル値が前記第1の重み付けよりも大きい第2の重み付けを指定され、前記予測サンプル値と前記第1の実サンプル値との組合せに基づき前記出力サンプル値を決定するステップが、
前記予測サンプル値と前記第1の実サンプル値との重み付けされた平均を前記(i+N)番目の時点の前記出力サンプル値として取得すること
を含む、
請求項7に記載の方法、
又は、
前記予測サンプル値が第1の重み付けを指定され、前記第1の実サンプル値が前記第1の重み付けよりも大きい第2の重み付けを指定され、前記プロセッサが、
前記予測サンプル値と前記第1の実サンプル値との重み付けされた平均を前記(i+N)番目の時点の前記出力サンプル値として取得する
よう構成された、
請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記第1の実サンプル値が無効であると判定したことに応じて、
前記第1の実サンプル値をバッファに格納することと、
(i+N+1)番目の時点での第2の実サンプル値を感知して、前記第2の実サンプル値が有効であるか否かを判定することと、
前記第2の実サンプル値が有効であると判定したことに応じ、前記バッファをリセットすることと、
前記第2の実サンプル値が無効であると判定したことに応じ、前記第2の実サンプル値を前記バッファに格納することと
を更に含む、
請求項8に記載の方法、
又は、
前記第1の実サンプル値が無効であると判定したことに応じて、前記プロセッサが、
前記第1の実サンプル値をバッファに格納することと、
(i+N+1)番目の時点での第2の実サンプル値を感知して、前記第2の実サンプル値が有効であるか否かを判定することと、
前記第2の実サンプル値が有効であると判定したことに応じ、前記バッファをリセットすることと、
前記第2の実サンプル値が無効であると判定したことに応じ、前記第2の実サンプル値を前記バッファに格納することと
を実行するよう更に構成された、
請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記バッファが所定の数の実サンプル値を格納したと判定したことに応じて、
前記バッファ内の前記実サンプル値を有効と再定義し、前記バッファをリセットすること
を更に含む、
請求項9に記載の方法、
又は、
前記バッファが所定の数の実サンプル値を格納したと判定したことに応じて、前記プロセッサが、前記実サンプル値を有効であると再定義し、前記バッファをリセットするよう更に構成された、
請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記電子デバイスが慣性計測装置(IMU)を含み、各前記特定サンプル値と前記第1の実サンプル値とが、前記DOF上の第1の感知結果と前記DOF上の第2の感知結果との少なくとも1つに基づき取得され、前記DOF上の前記第1の感知結果が、対応する時点で前記IMUにより提供され、前記DOF上の前記第2の感知結果が、前記対応する時点で撮像された複数のグレースケール画像に対し画像認識を実行することを介し、前記電子デバイスにより取得される、
請求項1に記載の方法、
又は、
前記電子デバイスが慣性計測装置(IMU)を更に含み、各前記特定サンプル値と前記第1の実サンプル値とが、前記DOF上の第1の感知結果と前記DOF上の第2の感知結果との少なくとも1つに基づき取得され、前記DOF上の前記第1の感知結果が、対応する時点で前記IMUにより提供され、前記DOF上の前記第2の感知結果が、前記対応する時点で撮像された複数のグレースケール画像に対し画像認識を実行することを介し、前記電子デバイスにより取得される、
請求項2に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢追跡技術に関するものであり、特に、電子デバイス及び電子デバイスの姿勢追跡方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の方法では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、その前方カメラにより撮像された画像に基づき、自身の姿勢を追跡する。しかし、HMD前方の情景が、ランドマークが少なすぎる、又は、明るすぎる/暗すぎる場合、HMDは姿勢追跡メカニズムを適切に実行することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の場合、仮想環境(例えば、仮想世界)におけるHMDの位置は随時漂い、このためHMDの装着者は眩暈を感じ、これはユーザ体験を悪化させる。従って、本発明は上記技術的課題を解決するために用いられる電子デバイス及び電子デバイスの姿勢追跡方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下を含む電子デバイスの姿勢追跡方法を提供する。自由度(DOF)上の電子デバイスの複数の特定サンプル値を取得することであって、特定サンプル値が特定の窓内にあることと、特定サンプル値から複数の有効サンプル値を取り出して、有効サンプル値に基づき予測サンプル値を取得することと、DOF上の電子デバイスの第1の実サンプル値を感知することと、予測サンプル値と第1の実サンプル値との間の特定の差が所定の閾値よりも大きいと判定したことに応じて、第1の実サンプル値を無効と判定して、予測サンプル値と第1の実サンプル値との組合せに基づきDOF上の出力サンプル値を決定することと、予測サンプル値と第1の実サンプル値との間の特定の差が所定の閾値よりも大きくないと判定したことに応じて、第1の実サンプル値を有効と判定して、第1の実サンプル値をDOF上の出力サンプル値として決定すること。
【0005】
本発明は、メモリとプロセッサとを含む電子デバイスを提供する。メモリはプログラムコードを格納する。プロセッサはメモリに連接され、以下を実行するためプログラムコードを読み込む。自由度(DOF)上の電子デバイスの複数の特定サンプル値を取得することであって、特定サンプル値が特定の窓内にあることと、特定サンプル値から複数の有効サンプル値を取り出し、有効サンプル値に基づき予測サンプル値を取得することと、DOF上の電子デバイスの第1の実サンプル値を感知することと、予測サンプル値と第1の実サンプル値との間の特定の差が所定の閾値よりも大きいと判定したことに応じて、第1の実サンプル値を無効と判定して、予測サンプル値と第1の実サンプル値との組合せに基づきDOF上の出力サンプル値を決定することと、予測サンプル値と第1の実サンプル値との間の特定の差が所定の閾値よりも大きくないと判定したことに応じて、第1の実サンプル値を有効と判定して、第1の実サンプル値をDOF上の出力サンプル値として決定すること。
【発明の効果】
【0006】
電子デバイスの装着者は眩暈を感じる可能性が低くなり、これはユーザ体験を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の更なる理解のため添付図面が含まれ、本明細書に包含され、本明細書の一部を構成する。図面は本発明の実施形態を表し、明細書と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0008】
図1】本発明の例示的な実施形態の1つによる電子デバイスを表すブロック図である。
【0009】
図2】本発明の1つの実施形態による6DOF上のサンプル値を示す。
【0010】
図3】本発明の1つの実施形態による、電子デバイスの姿勢追跡方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施形態の詳細を述べる。実施例は添付の図面に表される。可能な限り、図面と明細書において同一の符号が同一又は類似の部材に対し用いられる。
【0012】
図1は、本発明の例示的な実施形態の1つによる電子デバイスを表すブロック図である。様々な実施形態において、電子デバイス100は、HMD、又は姿勢追跡を実行することのできる他の電子デバイスであってよいが、本発明はこれに限定されない。図1を参照し、電子デバイス100は、メモリ101と、慣性計測装置(IMU)102と、プロセッサ104とを含む。電子デバイス100は、VR、AR、MR、又は他の現実シミュレーション関連技術などのXRに適合されてよい。
【0013】
メモリ101は、固定又は取り外し可能なランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、類似のデバイス、又は上記デバイスの組合せの如何なる種類であってもよい。メモリ101は、プログラムコード、デバイス設定、バッファデータ、又は、(ユーザデータ、訓練データ、感情識別子、感情決定、感情構成、重み付けされた関係、線形関係、感情グループといった)永続的データを記録し、これらデータについては後に紹介する。
【0014】
IMU102は、異なる時点での6DOFサンプル値を提供する。例えば、IMU102は、1ミリ秒毎に6DOFサンプル値の組を提供してよいが、本発明はこれに限定されない。
【0015】
プロセッサ104は、メモリ101とIMU102とに連接される。プロセッサは、本発明の例示的な実施形態の手順を実行するため、メモリ101に格納されたプログラムコードを読み込むよう構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、プロセッサ104は、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号処理(DSP)チップ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であってよい。プロセッサ104の機能は、独立した電子デバイス又は集積回路(IC)により実装されてもよく、プロセッサ104の動作はソフトウェアにより実装されてもよい。
【0017】
本発明の概念のより好ましい理解のため、本発明の1つの実施形態による6DOF上のサンプル値を示す図2を例として用いる。
【0018】
図2において、プロセッサ104は、各時点で6DOFサンプル値の組を取得してよい。例えば、時点Tで、プロセッサ104は各6DOF上の対応するサンプル値、例えば、X軸上のx、Y軸上のy、Z軸上のz、ヨー軸上のα、ピッチ軸上のβ、ロール軸上のγ、を取得してよいが、本発明はこれに限定されない。
【0019】
1つの実施形態において、各6DOF上のサンプル値は少なくとも、対応するDOF上の第1の感知結果と、対応するDOF上の第2の感知結果とに基づき取得されてよい。
【0020】
X軸上のサンプル値xを例とし、IMU102が時点TでX軸上の第1のサンプル値を感知すると仮定し、プロセッサ104は第1のサンプル値を第1の感知結果として定義してよい。その間、電子デバイス100の前方カメラ(図示せず)が時点Tでグレースケール画像を撮像すると仮定し、プロセッサ104は、従来の姿勢追跡方法に基づき、時点TでのX軸上の第2のサンプル値を取得するため、グレースケール画像に対し画像認識を実行してよく、第2のサンプル値が第2の感知結果として定義されてよい。
【0021】
この場合、プロセッサ104は、第2の感知結果を時点TでのX軸上のサンプル値xとするよう修正するため、第1の感知結果を用いてよい。
【0022】
もう1つの実施形態において、電子デバイス100の前方カメラが時点Tでグレースケール画像を撮像しない場合、プロセッサ104は、第1の感知結果(例えば、時点TでのX軸上の第1のサンプル値)を、時点TでのX軸上のサンプル値xとして定義してよいが、本発明はこれに限定されない。
【0023】
Y軸上のyをもう1つの例として、IMU102が時点TでY軸上の第1のサンプル値を感知すると仮定し、プロセッサ104は第3のサンプル値を第1の感知結果として定義してよい。その間、電子デバイス100の前方カメラが時点Tでグレースケール画像を撮像すると仮定し、プロセッサ104は、従来の姿勢追跡方法に基づき、時点TでのY軸上の第4のサンプル値を取得するため、グレースケール画像に画像認識を実行してよく、第4のサンプル値が第2の感知結果として定義されてよい。
【0024】
この場合、プロセッサ104は、第2の感知結果を時点TでのY軸上のサンプル値yとするよう修正するため、第1の感知結果を用いてよい。
【0025】
もう1つの実施形態において、電子デバイス100の前方カメラが時点Tでグレースケール画像を撮像しない場合、プロセッサ104は、第1の感知結果(例えば、時点TでのY軸上の第3のサンプル値)を、時点TでのY軸上のサンプル値yとして定義してよいが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
1つの従来の方法において、グレースケール画像を撮像する前方カメラのフレーム長がKミリ秒であり(即ち、前方カメラがKミリ秒毎に撮像する)、前方カメラが時点T、Ti+Kでグレースケール画像を撮像すると仮定し、サンプル値xとxi+Kとの間の差がサンプル値xi+K~xi+K-1(即ち、サンプル値xとxi+Kとの間のIMU102により提供されるサンプル値)を修正するために用いられる。同様に、サンプル値yとyi+Kとの間の差がサンプル値yi+1~yi+K-1を修正するために用いられ、他のDOF上のサンプル値も同様である。
【0027】
この場合、電子デバイス100(例えば、HMD)の前方の情景が、ランドマークが少なすぎる、又は、明るすぎる/暗すぎる場合、従来の方法は電子デバイス100が各6DOF上の正確なサンプル値の取得を失敗させる。このため、仮想環境(例えば、仮想世界)における電子デバイス100の位置/姿勢が随時漂い、これにより電子デバイス100の装着者が眩暈を感じ、これはユーザ体験を悪化させる。
【0028】
本発明の実施形態において、プロセッサ104は、上記課題を解決するため、以下に更に説明される、本発明において提供される電子デバイス100の姿勢追跡方法を実装するため、メモリ101に格納されたモジュールにアクセスしてよい。
【0029】
本発明の1つの実施形態による電子デバイスの姿勢追跡方法のフロー図を示す図3を参照する。本実施形態の方法は、図1の電子デバイス100により実行されてよく、図3の各ステップの詳細は図1図2を伴い説明される。
【0030】
本発明の実施形態において、プロセッサ104は、各DOF上のサンプル値について本発明の方法を実行してよい。理解し易いよう、以下の説明において考慮されるDOFはX軸であると仮定し、当業者は本発明の方法が他のDOF(例えば、Y軸、Z軸、ヨー軸、ピッチ軸、ロール軸)に対し如何に機能するか理解できるであろう。
【0031】
大まかに言えば、考慮されるDOF(例えば、X軸)上のサンプル値について、本発明の方法は、特定の窓(その長さをNと呼称する)に続く特定の時点に対応するもう1つのサンプル値を予測するため、特定の窓における特定サンプル値の一部を用いてよく、予測サンプル値は特定の窓に続く時点での実サンプル値と比較されるために用いられる。予測サンプル値が実サンプル値に近い場合、実サンプル値が、特定の窓に続く時点に対応する出力サンプル値として直接用いられてよい。一方、予測サンプル値が実サンプル値から逸脱している場合、実サンプル値は予測サンプル値に基づき修正され、修正された実サンプル値が特定の窓に続く時点に対応する出力サンプル値として用いられてよい。詳細な説明を以下に提供する。
【0032】
先ず、ステップS310において、プロセッサ104は、DOF上の電子デバイス100の複数の特定サンプル値を取得してよい。第1の実施形態において、考慮されるDOFは図2のX軸であると仮定し、考慮される特定の窓は時点T~Ti+N-1(即ち、特定の窓の長さはN)を含んでよく、プロセッサ104はサンプル値x~xi+N-1をX軸上の特定サンプルとして取得してよいが、本願はこれに限定されない。
【0033】
ステップS320において、プロセッサ104は、特定サンプル値(例えば、サンプル値x~xi+N-1)から複数の有効サンプル値を取り出し、有効サンプル値に基づき予測サンプル値^xi+Nを取得してよい。本発明の実施形態において、特定サンプル値における有効サンプル値は、時点Ti+N(即ち、特定の窓に続く時点)に対応する予測サンプル値^xi+Nを取得するための参考として用いられるのに適すると理解されてよい。一方、特定サンプル値のいくつかは無効なサンプル値である可能性があり、無効なサンプル値は時点Ti+Nに対応する予測サンプル値^xi+Nを取得するための参考として用いられるのに適さないと理解されてよいが、本発明はこれに限定されない。サンプル値が有効か無効かを判定するメカニズムは後述する。
【0034】
以下の説明のより好ましい理解のため、第1の実施形態において、全ての特定サンプル値(例えば、サンプル値x~xi+N-1)が有効サンプル値であると仮定するが、本発明はこれに限定されない。
【0035】
1つの実施形態において、予測サンプル値^xi+Nを取得する処理において、プロセッサ104は、有効サンプル値のj番目の有効サンプル値に対応する差分値を取得してよく、j番目の有効サンプル値に対応する差分値は、j番目の有効サンプル値と(j+1)番目の有効サンプル値との間の差であり、ここで1≦j≦M-1であり、Mは有効サンプル値の数である。
【0036】
第1の実施形態において、全ての特定サンプル値(即ち、サンプル値x~xi+N-1)が有効であると仮定することから、MはNと等しく、j番目(1≦j≦M-1)の有効サンプル値(即ち、サンプル値x)に対応する差分値は差分値Δxであってよく、これはxj+1からxを減算することで得られてよい。
【0037】
次に、プロセッサ104は、各j番目の有効サンプル値に対応する差分値に基づき、予測差分値Δ^xi+N-1を取得してよい。第1の実施形態において、プロセッサ104は、差分値Δx(即ち、l番目の有効サンプル値に対応する)~Δxi+N-2(即ち、(M-1)番目の有効サンプル値に対応する)に基づき、予測差分値Δ^xi+N-1を取得してよい。
【0038】
1つの実施形態において、プロセッサ104は、差分値Δx~Δxi+N-2に対し線形結合を実行することを介し、予測差分値Δ^xi+N-1を取得してよい。具体的には、各差分値Δx~Δxi+N-2には重み付けが指定されてよく、予測差分値Δ^xi+N-1は、差分値Δx~Δxi+N-2の重み付けされた平均として特徴付けられてよい。1つの実施形態において、各差分値Δx~Δxi+N-2の重み付けは、その時間指標と正の関係にある。例えば、(j+1)番目の有効サンプル値に対応する差分値の重み付けは、j番目の有効サンプル値に対応する差分値の重み付けよりも大きくてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
次に、プロセッサ104は、予測差分値Δ^xi+N-1を有効サンプル値のM番目の有効サンプル値と組み合わせることを介し、予測サンプル値^xi+Nを生成してよい。第1の実施形態において、M番目の有効サンプル値はサンプル値xi+N-1であってよく、故に予測サンプル値^xi+Nは予測差分値Δ^xi+N-1をサンプル値xi+N-1と組み合わせることにより取得されてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0040】
ステップS330において予測サンプル値^xi+Nを取得した後、プロセッサ104は、DOF上の電子デバイス100の実サンプル値を感知してよい。第1の実施形態において、第1の実サンプル値は、時点Ti+Nで感知されたサンプル値xi+Nであってよい。
【0041】
上述したように、時点Ti+Nでグレースケール画像が撮像されない場合、DOF(即ち、X軸)上の第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)は、IMU102により直接提供されてよい。一方、電子デバイス100の前方カメラが時点Ti+Nでグレースケール画像を撮像する場合、プロセッサ104は、時点Ti+NでのX軸上のサンプル値xとするよう第2の感知結果を修正するため第1の感知結果を用いることにより、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)を取得してよく、その詳細はここでは繰り返さない。
【0042】
ステップS340において、プロセッサ104は、予測サンプル値^xi+Nと第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)との間の特定の差が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0043】
本発明の実施形態において、所定の閾値は、第1の実サンプル値が予測サンプル値^xi+Nから過度に逸脱しているか否かを判定するための参考として理解されてよく、設計者の要件に基づく任意の所望の値に決定されてよい。
【0044】
1つの実施形態において、予測サンプル値^xi+Nと第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)との間の特定の差が所定の閾値よりも大きくない場合、第1の実サンプル値が正確に測定されたサンプル値であることを表し、故にプロセッサ104は、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)を有効であると判定して第1の実サンプル値をDOF上の出力サンプル値として決定するため、ステップS350を実行してよい。即ち、プロセッサ104は、第1の実サンプル値に基づき電子デバイス100の姿勢を定義し、これに応じてVRコンテンツを描画するといった動作を実行してよいが、本発明はこれに限定されない。
【0045】
もう1つの実施形態において、予測サンプル値^xi+Nと第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)との間の特定の差が所定の閾値よりも大きい場合、第1の実サンプル値が不正確に測定されたサンプル値であることを表し、故にプロセッサ104は、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)を無効であると判定して、予測サンプル値^xi+Nと第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)との組合せに基づきDOF上の出力サンプル値を決定するため、ステップS360を実行してよい。即ち、プロセッサ104は、時点Ti+Nの出力サンプル値に基づき電子デバイス100の姿勢を定義し、これに従いVRコンテンツを描画するといった動作を実行してよいが、本発明はこれに限定されない。
【0046】
1つの実施形態において、予測サンプル値^xi+Nには第1の重み付けが指定されてよく、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)には第1の重み付けよりも大きい第2の重み付けが指定されてよい。従って、プロセッサ104は、予測サンプル値^xi+Nと第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)との重み付けされた平均を、時点Ti+Nの出力サンプル値として取得してよい。
【0047】
もう1つの観点から、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)は、予測サンプル値^xi+Nに基づき、時点Ti+Nの出力サンプル値として修正されると理解されてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0048】
上述したように、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)が有効であると判定された場合、第1の実サンプル値は、他の予測サンプル値を取得するための参考として用いられるのに適する。このため、考慮される特定の窓が時点Ti+1~Ti+Nを含むよう変わった場合、時点Ti+N+1でのDOF上の出力サンプル値を取得するため図3の方法が再度実行されてよく、ここでステップS310における特定サンプル値はサンプル値xi+1~xi+Nである。加えて、サンプル値xi+1~xi+Nが有効であることから、ステップS320における有効サンプル値は特定サンプル値と同一であり、他のステップの詳細は上記教示を参照でき、ここでは繰り返さない。
【0049】
一方、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)が無効であると判定された場合、第1の実サンプル値は、他の予測サンプル値を取得するための参考として用いられるのに適さない。このため、考慮される特定の窓が時点Ti+1~Ti+Nを含むよう変わった場合、時点Ti+N+1でのDOF上の出力サンプル値を取得するため図3の方法が再度実行されてよく、ステップS310における特定サンプル値もサンプル値xi+1~xi+Nである。
【0050】
しかし、サンプル値xi+Nが無効であることから、ステップS320における有効サンプル値は特定サンプル値と同一ではなく、サンプル値xi+1~xi+N-1を含むのみである。この場合、プロセッサ104は、有効サンプル値(即ち、サンプル値xi+1~xi+N-1)に基づき予測サンプル値^xi+N+1を取得してよく、その詳細は上記教示を参照でき、ここでは繰り返さない。
【0051】
1つの実施形態において、サンプル値xi+N+1が有効であると判定された場合、サンプル値xi+N+1は、他の予測サンプル値を取得するための参考として用いられるのに適する。このため、考慮される特定の窓が時点Ti+2~Ti+N+1を含むよう変更された場合、時点Ti+N+2でのDOF上の出力サンプル値を取得するため図3の方法が再度実行されてよく、ステップS310における特定サンプル値はサンプル値xi+2~xi+N+1である。
【0052】
しかし、サンプル値xi+N+1が無効であることから、ステップS320における有効サンプル値はサンプル値xi+2~xi+N-1とxi+N+1(即ち、無効とされたサンプル値xi+Nは含まれない)とを含む。この場合、プロセッサ104は、有効サンプル値(即ち、サンプル値xi+2~xi+N-1とxi+N+1)に基づき予測サンプル値^xi+N+2を取得してよく、その詳細は上記教示を参照でき、ここでは繰り返さない。
【0053】
一方、サンプル値xi+N+1もサンプル値xi+Nと同様に無効であると判定された場合、サンプル値xi+N+1は他の予測サンプル値を取得するための参考として用いられるのに適さない。このため、考慮される特定の窓が時点Ti+2~Ti+N+1を含むよう変わった場合、時点Ti+N+2でのDOF上の出力サンプル値を取得するため図3の方法が再度実行されてよく、ステップS310における特定サンプル値はサンプル値xi+2~xi+N+1である。
【0054】
しかし、サンプル値xi+Nとxi+N+1が無効であることから、ステップS320における有効サンプル値はサンプル値xi+2~xi+N-1(即ち、無効とされたサンプル値xi+Nとxi+N+1は含まれない)を含む。この場合、プロセッサ104は、有効サンプル値(即ち、サンプル値xi+2~xi+N-1)に基づき予測サンプル値^xi+N+2を取得してよく、その詳細は上記教示を参照でき、ここでは繰り返さない。
【0055】
上記に基づき理解できるように、本発明の方法は、従来の方法とは異なる方法において、考慮される時点でのDOF上の出力サンプル値を取得してよい。より具体的には、本発明の方法は、感知された実サンプル値が、対応する予測サンプル値から過度に逸脱しているか否かを判定し、実サンプル値を出力サンプル値に適応的に修正してよい。更に、感知された実サンプル値が無効であると判定された場合、感知された実サンプル値は、他の予測サンプル値を取得するための参考として用いられないが、本発明はこれに限定されない。
【0056】
従って、仮想環境(例えば、仮想世界)における電子デバイス100の位置は随時漂うことはなく、これにより電子デバイス100の装着者が眩暈を感じる可能性が低くなり、これはユーザ体験を改善できる。
【0057】
いくつかの実施形態において、たとえ予測サンプル値^xi+Nと第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)との間の特定の差が所定の閾値より大きくても、第1の実サンプル値が不正確に測定されたサンプル値のはずであることを意味しない。例えば、電子デバイス100(例えば、HMD)が時点Ti+Nで突然に移動した場合、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)が予測サンプル値^xi+Nから大きく逸脱することを引き起こす。即ち、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)は電子デバイス100の移動を正確に特徴付けており、故に第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)はこの場合有効であると判定されるべきである。
【0058】
サンプル値を不適切に無効であると判定することを防ぐため、本発明は更に以下のメカニズムを提供する。大まかに言えば、以下のメカニズムにおいて、プロセッサ104は、所定の数の連続した実サンプル値が無効であるか否かを判定する。もし無効であれば、これら連続した実サンプル値が、対応する予測サンプル値から大きく逸脱していることを表し、不正確に測定されたのではなく、電子デバイス100の突然の移動の結果でありうる。このため、プロセッサ104は、これら連続した実サンプル値を有効であると再判定してよく、これによりこれら連続した実サンプル値は他の予測サンプル値を取得する参考として用いられるのに適する。
【0059】
具体的には、1つの実施形態において、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N)が無効であると判定されたことに応じて、プロセッサ104は更に、第1の実サンプル値をバッファに格納する。
【0060】
次に、プロセッサ104は、時点Ti+N+1で第2の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N+1)を感知して、第2の実サンプル値が有効であるか否かを判定してよい。第2の実サンプル値を感知することと第2の実サンプル値が有効であるか否かを判定することの詳細は上記教示を参照でき、ここでは繰り返さない。
【0061】
1つの実施形態において、第2の実サンプル値が有効であると判定されたことに応じて、これは第1の実サンプル値が不正確に測定された値である、即ち、第1の実サンプル値は電子デバイス100の突然の移動の結果によるものではないことを表す。このため、プロセッサ104はバッファをリセットしてよい。即ち、プロセッサ104はバッファを消去してよい。
【0062】
一方、第2の実サンプル値が第1の実サンプル値と同様に無効であると判定されたことに応じ、これは第1の実サンプル値と第2の実サンプル値とが恐らく電子デバイス100の突然の移動の結果によることを表す。このため、プロセッサ104は第2の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N+1)をバッファに格納してよい。
【0063】
1つの実施形態において、プロセッサ104は、バッファが所定の数(例えば、5)の実サンプル値を格納したか否かを判定する。格納した場合、バッファ内の全ての実サンプル値が不正確に測定されたものでなく、電子デバイス100の突然の移動の結果であることを表す。このため、プロセッサ104はバッファ内の実サンプル値を有効と再定義し、バッファをリセットしてよい。
【0064】
例えば、所定の数が5であり、バッファに格納された4つの実サンプル値(例えば、サンプル値xi+N~xi+N+3)が存在すると仮定する。この場合、プロセッサ104がサンプル値xi+N+4が無効であると更に判定し、サンプル値xi+N+4をバッファに格納した場合、プロセッサ104は、バッファ内の実サンプル値(即ち、サンプル値xi+N~xi+N+4)が不正確に測定されたものでなく、電子デバイス100の突然の移動の結果であると判定してよい。このため、プロセッサ104はサンプル値xi+N~xi+N+4を有効であると再定義してよく、これによりサンプル値xi+N~xi+N+4は他の予測サンプル値を取得するための参考として用いられるのに適するが、本発明はこれに限定されない。
【0065】
上述したように、上記教示が考慮されるDOFとしてX軸に関して紹介されているとはいえ、当業者は該方法が他のDOFに如何に適用されるか理解できるはずである。
【0066】
例えば、Y軸が考慮すべきDOFであると仮定する第2の実施形態において、プロセッサ104は、特定の窓におけるサンプル値y~yi+N-1をY軸上の特定サンプルとして取得してよいが、本発明はこれに限定されない。
【0067】
次に、プロセッサ104は、特定サンプル値(例えば、サンプル値y~yi+N-1)から複数の有効サンプル値を取り出して、有効サンプル値に基づき予測サンプル値^yi+Nを取得してよい。予測サンプル値を取得した後、プロセッサ104は、DOF上の電子デバイス100の第1の実サンプル値(サンプル値yi+Nとして呼称される)を感知してよい。第2の実施形態において、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値yi+N)は時点Ti+Nで感知されてよい。
【0068】
その後、プロセッサ104は、予測サンプル値^yi+Nと第1の実サンプル値(即ち、サンプル値yi+N)との間の特定の差が所定の閾値よりも大きいか否かを判定してよい。
【0069】
予測サンプル値^yi+Nと第1の実サンプル値(即ち、サンプル値yi+N)との間の特定の差が所定の閾値よりも大きくない場合、プロセッサ104は、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値yi+N)を有効と判定して、第1の実サンプル値をDOF上の出力サンプル値として決定してよい。
【0070】
一方、予測サンプル値^yi+Nと第1の実サンプル値(即ち、サンプル値yi+N)との間の特定の差が所定の閾値よりも大きい場合、プロセッサ104は、第1の実サンプル値(即ち、サンプル値yi+N)を無効と判定し、予測サンプル値^yi+Nと第1の実サンプル値(即ち、サンプル値yi+N)との組合せに基づきDOF上の出力サンプル値を決定してよい。
【0071】
同様に、他のDOF(例えば、Z軸、ヨー軸、ピッチ軸、ロール軸)について、プロセッサ104は、時点Ti+Nでの各DOFの出力サンプル値を取得してよい。この場合、プロセッサ104は、時点Ti+Nでの各DOFの出力サンプル値に基づき、時点Ti+Nでの電子デバイス100の姿勢を判定してよい。
【0072】
まとめると、本発明の実施形態は、従来の方法とは異なる方法において、考慮される時点でのDOF上の出力サンプル値を取得してよい。より具体的には、本発明の実施形態は、感知された実サンプル値が、対応する予測サンプル値から過度に逸脱しているか否かを判定し、実サンプル値を出力サンプル値として適応的に修正してよい。更に、感知された実サンプル値が無効であると判定された場合、感知された実サンプル値は他の予測サンプル値を取得するための参考として用いられないが、本発明はこれに限定されない。
【0073】
従って、仮想環境(例えば、仮想世界)における電子デバイスの位置が随時漂うことがなく、これによりユーザが眩暈を感じる可能性が低くなり、これはユーザ体験を改善できる。
【0074】
当業者にとって、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明の構造に様々な改変と変形を行うことができることは明らかであろう。上記を鑑み、本発明は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にあるという条件で、本発明の改変及び変形を網羅することを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の実施形態は、HMDといった、姿勢追跡機構を有する電子デバイスに応用することができる。
【符号の説明】
【0076】
100:電子デバイス
101:メモリ
102:IMU
104:プロセッサ
S310~S360:ステップ
~xi+N+2、y~yi+N、z~zi+N-2、α、β、γ:サンプル値
^xi+N、^xi+N+2:予測サンプル値
Δx~Δxi+N-2:差分値
Δ^xi+N-1:予測差分値
~Ti+N+2:時点
図1
図2
図3
【外国語明細書】