(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093816
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】ブレーキオイル抜取装置
(51)【国際特許分類】
B60T 17/00 20060101AFI20220617BHJP
B25H 3/00 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B60T17/00 A
B25H3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206505
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】597095120
【氏名又は名称】株式会社岡常歯車製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼部 義幸
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 浩治
【テーマコード(参考)】
3C012
3D049
【Fターム(参考)】
3C012BG04
3D049BB36
3D049BB39
3D049KK17
3D049KK19
(57)【要約】
【課題】コンプレッサを不要として、作業中の騒音を防ぎ、少ない使用電力でブレーキオイル抜取作業を機動的に行うことができるブレーキオイル抜取装置を提供する。
【解決手段】ブレーキオイルを吸込むオイルポンプ5と、該オイルポンプ5を駆動する電気モータ6とを、備え、電動工具に交換自在として使用されている充電式バッテリー3を、上記電気モータ6の電源とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキオイルを吸込むオイルポンプ(5)と、該オイルポンプ(5)を駆動する電気モータ(6)とを、備え、
電動工具(17)に交換自在として使用されている充電式バッテリー(3)を、上記電気モータ(6)の電源としたことを特徴とするブレーキオイル抜取装置。
【請求項2】
手動工具及び電動工具(17)を載置して移動可能な車輪付きのツールワゴン(15)に、載置させて、移動自在とした請求項1記載のブレーキオイル抜取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキオイル抜取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のブレーキオイル抜取装置として、複数のポンプと、吸引パイプと、吐出パイプと、を備え、ポンプによりブレーキオイルの抜取りを行うものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の、従来のブレーキオイル抜取装置は、大型のため、ガソリンスタンド付属の修理工場等の小規模な修理工場で使用することは困難であった。また、構造が複雑で、装置全体が大型のため、作業を機動的に行うことが困難であった。
【0005】
また、、
図4に示す様な、作業者がハンドル45を手で握って持ち運び可能な小型のオイルボトル41に、オイル吸引パイプ42と、コンプレッサに接続した送気パイプ43を、備えた簡易な抜取装置も使用されている。
この抜取装置では、コンプレッサから送気パイプ43を通って送られる空気が矢印F
0 の方向に抜ける際に、オイルボトル41の内部を負圧として、自動車のブレーキパイプに接続されたオイル吸引パイプ42により、ブレーキオイルを吸引して、オイルボトル41に収容するものである。
しかしながら、ブレーキオイルに気泡が混じることを防ぐため、作業の間中、コンプレッサを作動させ続けなければならず、作業中は騒音が発生し続け、また使用電力が多くなる欠点があった。
【0006】
そこで、本発明は、コンパクトでありながら効果的にブレーキオイルを抜取ることができ、コンプレッサを不要として、作業中の騒音を防ぎ、少ない使用電力でブレーキオイル抜取作業を機動的に行うことができるブレーキオイル抜取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るブレーキオイル抜取装置は、ブレーキオイルを吸込むオイルポンプと、該オイルポンプを駆動する電気モータとを、備え、電動工具に交換自在として使用されている充電式バッテリーを、上記電気モータの電源としたものである。
【0008】
また、手動工具及び電動工具を載置して移動可能な車輪付きのツールワゴンに、載置させて、移動自在としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のブレーキオイル抜取装置によれば、コンパクトで持ち運びできる装置により、効果的にブレーキオイルを抜取ることができ、コンプレッサを不要として、作業中の騒音を防ぎ、少ない使用電力でブレーキオイル抜取作業を機動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のブレーキオイル抜取装置の実施形態を示す一部透視側面図である。
【
図2】本発明のブレーキオイル抜取装置の実施形態を示す平面図である。
【
図4】従来のブレーキオイル抜取装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1及び
図2は、本発明のブレーキオイル抜取装置の実施の一形態を示す。このブレーキオイル抜取装置は、抜取装置本体1と、抜取装置本体1の上面に配設され、接続端子2aを有するバッテリー接続部2と、バッテリー接続部2に接続されるバッテリー3と、抜取装置を作動させるスイッチ4と、スイッチ4を入れると作動してブレーキオイル抜取を行うモータ6と、モータ6に駆動されるオイルポンプ5と、バッテリー3から供給される電気の電圧をモータ6に適した電圧に変換するコンバータ7と、オイルポンプ5へブレーキオイルを吸引するための吸油孔8と、オイルポンプ5からブレーキオイルを吐出するための吐出孔9と、持ち運びのためのハンドル10と、を備えている。
【0012】
バッテリー3は、電動工具に交換自在として使用される工具用充電式バッテリーであり、作業現場において、電動工具を使用する際には、後述の作業台(ツールワゴン)15に充電済のバッテリー3数個を常備しておくことが好ましい。バッテリー3の電圧は、例えば、電動工具に使用できるように14~18Vが望ましい。
【0013】
バッテリー3をバッテリー接続部2の接続端子2aに接続し、スイッチ4を入れるとモータ6が作動して、オイルポンプ5が駆動される。モータ6は、適切な回転数を維持するため、減速機を内蔵したギアモータが使用される。
【0014】
作業に先立って、吸油孔8に吸油ホース11を接続し、吐出孔9に吐出ホース12を接続する。
図2に示すように、吸油ホース11は、先端にブレーキパイプに接続するためのアダプタ14を備え、アダプタ14から吸油孔8までの中間位置に、吸引されるブレーキオイルの逆流を防止する逆止弁(ワンウェイバルブ)13が配設される。吐出ホース12は、吐出孔9から吐出するブレーキオイルを吐出するためのものである。
【0015】
吸油ホース11及び吐出ホース12の接続が完了すると、スイッチ4を入れてモータ6を作動させ、オイルポンプ5を駆動して、ブレーキオイル抜取作業を開始する。
【0016】
自動車のブレーキパイプから吸引されたブレーキオイルは、
図2の矢印Aで示すように、オイルポンプ5へと吸引されてゆき、吸引されてオイルポンプ5を通過したブレーキオイルは、矢印Bで示すように吐出孔9から吐出ホース12を通って
図3に示すオイルタンク16に吐出される。
【0017】
ブレーキオイル抜取作業は、車種にもよるが、10秒~20秒程度で終了し、作業終了を確認した後、スイッチ4を切って吸油ホース11を自動車のブレーキパイプから取り外し、ハンドル10を作業者が手で把持して、次の作業場所へと容易に移動して機動的に作業を行うことができる。作業者が容易に持ち運びを行うため、抜取装置本体1の外形は、コンパクトであることが望ましく、例えば、幅300mm、高さ200mm、奥行き150mm程度が好ましい。
【0018】
本発明のブレーキオイル抜取装置は、自動車修理工場、ガソリンスタンド等で使用されるもので、自動車修理の作業現場には、
図3に示すように、インパクトレンチ、ドライバードリル等の電動工具17を載せた移動用の車輪付きの作業台(ツールワゴン)15が備えられている。
【0019】
ブレーキオイル抜取作業中に、バッテリー3が消耗してモータ6を動かせなくなった場合でも、バッテリー接続部2の接続端子2aから電気が尽きたバッテリー3を取り外し、換わりに作業台(ツールワゴン)15上に置かれている他の電動工具用のバッテリーを接続端子2aに接続して作業を続けることができる。
【0020】
本発明は、上述の実施形態に限定されず、例えば、抜取装置本体1の外形は、作業者が容易に持ち運びできる限り、図示の形状以外のものでもよい。また、吸油ホース11及び吐出ホース12の長さについては、作業を妨げない範囲で自由に選択可能である。また、多様な種類のバッテリー3に対応するため、バッテリー接続部2を、異なる種類や数の接続端子2aを有するものに交換可能とするも好ましい。
【0021】
本発明は上述のように、ブレーキオイルを吸込むオイルポンプ5と、該オイルポンプ5を駆動する電気モータ6とを、備え、電動工具17に交換自在として使用されている充電式バッテリー3を、上記電気モータ6の電源としたので、コンパクトで持ち運びできる装置として、効果的にブレーキオイルを抜取ることができ、コンプレッサを不要として、作業中の騒音を防ぎ、少ない使用電力でブレーキオイル抜取作業を機動的に行うことができる。
【0022】
また、手動工具及び電動工具17を載置して移動可能な車輪付きのツールワゴン15に、載置させて、移動自在としたので、ブレーキオイル抜取作業を機動的に行うことができる。また、ブレーキオイル抜取作業中に、バッテリー3が消耗してモータ6を動かせなくなった場合でも、バッテリー接続部2の接続端子2aから電気が尽きたバッテリー3を取り外し、換わりにツールワゴン15上に置かれている他の電動工具用のバッテリーを接続端子2aに接続して作業を続けることができる。
【符号の説明】
【0023】
3 バッテリー
5 オイルポンプ
6 モータ
15 ツールワゴン
17 電動工具