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特開2022-93848摂食嚥下機能評価装置、摂食嚥下機能評価方法、及び、摂食嚥下機能評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093848
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】摂食嚥下機能評価装置、摂食嚥下機能評価方法、及び、摂食嚥下機能評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20220617BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206557
(22)【出願日】2020-12-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100131428
【弁理士】
【氏名又は名称】若山 剛
(72)【発明者】
【氏名】目黒 謙一
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB02
4C117XF01
4C117XF03
4C117XG03
4C117XJ13
4C117XJ37
4C117XJ38
4C117XM01
4C117XM02
4C117XM04
4C117XP03
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】対象者の摂食率が過小である原因を適切に認識することが可能な摂食嚥下機能評価装置を提供すること。
【解決手段】摂食嚥下機能評価装置1は、対象者の摂食嚥下機能を評価するための装置である。摂食嚥下機能評価装置は、摂食行動情報取得部103と正誤情報取得部108と摂食行動評価情報出力部105と意味記憶評価情報出力部110とを備える。摂食行動情報取得部は、対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得する。正誤情報取得部は、対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得する。摂食行動評価情報出力部は、取得された摂食行動情報に基づいて、対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力する。意味記憶評価情報出力部は、取得された正誤情報に基づいて、対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の摂食嚥下機能を評価するための摂食嚥下機能評価装置であって、
前記対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得する摂食行動情報取得部と、
前記対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得する正誤情報取得部と、
前記取得された摂食行動情報に基づいて、前記対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力する摂食行動評価情報出力部と、
前記取得された正誤情報に基づいて、前記対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する意味記憶評価情報出力部と、
を備える、摂食嚥下機能評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の摂食嚥下機能評価装置であって、
前記意味記憶課題は、食物画像が表す食物の名称を前記対象者に問うことであり、
前記摂食嚥下機能評価装置は、
前記食物画像を出力する食物画像出力部を備え、
前記正誤情報取得部は、前記対象者が前記出力された食物画像を見ることにより行われた前記回答の正誤を表す正誤情報を取得する、摂食嚥下機能評価装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の摂食嚥下機能評価装置であって、
前記摂食行動評価情報は、前記対象者の摂食行動のうちの、姿勢に関する行動が正常である程度を表す姿勢行動評価情報、前記対象者の摂食行動のうちの、道具の使用に関する行動が正常である程度を表す道具使用行動評価情報、前記対象者の摂食行動のうちの、食べる様子に関する行動が正常である程度を表す食事態様行動評価情報、及び、前記対象者の摂食行動のうちの、食欲又は嗜好に関する行動が正常である程度を表す食欲嗜好行動評価情報、の少なくとも1つを含む、摂食嚥下機能評価装置。
【請求項4】
対象者の摂食嚥下機能を評価するための摂食嚥下機能評価方法であって、
前記対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得し、
前記対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得し、
前記取得された摂食行動情報に基づいて、前記対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力し、
前記取得された正誤情報に基づいて、前記対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する、
ことを含む、摂食嚥下機能評価方法。
【請求項5】
対象者の摂食嚥下機能を評価するための処理をコンピュータに実行させる摂食嚥下機能評価プログラムであって、
前記処理は、
前記対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得し、
前記対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得し、
前記取得された摂食行動情報に基づいて、前記対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力し、
前記取得された正誤情報に基づいて、前記対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する、
ことを含む、摂食嚥下機能評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摂食嚥下機能評価装置、摂食嚥下機能評価方法、及び、摂食嚥下機能評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象者の摂食嚥下機能を評価するための摂食嚥下機能評価装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の摂食嚥下機能評価装置は、対象者の摂食行動のうちの、姿勢保持に関する行動が正常である程度を表す情報と、対象者の摂食行動のうちの、認知・意欲に関する行動が正常である程度を表す情報と、を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-180956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、対象者の摂食行動が正常である程度が十分に高い場合であっても、対象者の摂食率が過小である場合がある。これに対し、本願の発明者は、鋭意検討の結果、対象者の摂食行動が正常である程度が十分に高い場合であっても、対象者が意味記憶機能に障害を有する場合には、対象者の摂食率が低下しやすい場合があることを見出した。
【0005】
しかしながら、上記摂食嚥下機能評価装置においては、対象者の意味記憶機能に関する情報が出力されない。このため、上記摂食嚥下機能評価装置においては、対象者の摂食率が過小である原因を認識できない虞があった。その結果、上記摂食嚥下機能評価装置を用いても、対象者の摂食率を高めるための適切な支援方法を選択できない虞があった。
【0006】
本発明の目的の一つは、対象者の摂食率が過小である原因を適切に認識することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面では、摂食嚥下機能評価装置は、対象者の摂食嚥下機能を評価するための装置である。
摂食嚥下機能評価装置は、摂食行動情報取得部と、正誤情報取得部と、摂食行動評価情報出力部と、意味記憶評価情報出力部と、を備える。摂食行動情報取得部は、対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得する。正誤情報取得部は、対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得する。摂食行動評価情報出力部は、取得された摂食行動情報に基づいて、対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力する。意味記憶評価情報出力部は、取得された正誤情報に基づいて、対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する。
【0008】
また、摂食嚥下機能評価方法は、対象者の摂食嚥下機能を評価するための方法である。
摂食嚥下機能評価方法は、
対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得し、
対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得し、
取得された摂食行動情報に基づいて、対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力し、
取得された正誤情報に基づいて、対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する、
ことを含む。
【0009】
また、摂食嚥下機能評価プログラムは、対象者の摂食嚥下機能を評価するための処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
この処理は、
対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得し、
対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得し、
取得された摂食行動情報に基づいて、対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力し、
取得された正誤情報に基づいて、対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する、
ことを含む。
【発明の効果】
【0010】
対象者の摂食率が過小である原因を適切に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置の構成を表すブロック図である。
図2】第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置の機能を表すブロック図である。
図3】第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置により出力される行動分類及び観点条件を表す説明図である。
図4】第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置により出力される摂食行動評価情報及び意味記憶評価情報を表す説明図である。
図5】第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置により出力される食物画像を表す説明図である。
図6】FIM食事点数と摂食行動点数との関係を表すグラフである。
図7】FIM食事点数と意味記憶課題点数との関係を表すグラフである。
図8】MMSE点数と摂食行動点数との関係を表すグラフである。
図9】MMSE点数と意味記憶課題点数との関係を表すグラフである。
図10】摂食率と摂食行動点数との関係を表すグラフである。
図11】摂食率と意味記憶課題点数との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の、摂食嚥下機能評価装置、摂食嚥下機能評価方法、及び、摂食嚥下機能評価プログラムに関する各実施形態について図1乃至図11を参照しながら説明する。
【0013】
<第1実施形態>
(概要)
第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置は、対象者の摂食嚥下機能を評価するための装置である。摂食嚥下機能評価装置は、摂食行動情報取得部と、正誤情報取得部と、摂食行動評価情報出力部と、意味記憶評価情報出力部と、を備える。
【0014】
摂食行動情報取得部は、対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得する。正誤情報取得部は、対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得する。摂食行動評価情報出力部は、取得された摂食行動情報に基づいて、対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力する。意味記憶評価情報出力部は、取得された正誤情報に基づいて、対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する。
【0015】
これによれば、対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報に加えて、対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報が出力される。従って、摂食嚥下機能評価装置の操作者は、対象者の摂食行動が正常である程度に加えて、対象者の意味記憶機能が正常である程度を知得できる。これにより、摂食嚥下機能評価装置の操作者は、対象者の摂食率が過小である原因を適切に認識することができる。この結果、対象者の摂食率を高めるための適切な支援方法を選択できる。
次に、第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置について、より詳細に説明する。
【0016】
(構成)
図1に表されるように、摂食嚥下機能評価装置1は、バスBU1を介して互いに接続された、処理装置11、記憶装置12、入力装置13、及び、出力装置14を備える。例えば、摂食嚥下機能評価装置1は、コンピュータ(換言すると、情報処理装置)により構成される。なお、コンピュータは、サーバ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、又は、タブレット型コンピュータであってよい。また、コンピュータは、据置型ゲーム機、携帯型ゲーム機、テレビ受像機、又は、スマートフォン等の少なくとも一部であってよい。また、摂食嚥下機能評価装置1は、互いに通信可能に接続された複数の装置により構成されてもよい。
【0017】
処理装置11は、記憶装置12に記憶されているプログラムを実行することにより、記憶装置12、入力装置13、及び、出力装置14を制御する。これにより、処理装置11は、後述する機能を実現する。
【0018】
本例では、処理装置11は、CPU(Central Processing Unit)である。なお、処理装置11は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、DSP(Digital Signal Processor)を含んでもよい。
【0019】
本例では、記憶装置12は、揮発性メモリと不揮発性メモリとを含む。例えば、記憶装置12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、半導体メモリ、有機メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、及び、SSD(Solid State Drive)の少なくとも1つを含む。
【0020】
入力装置13は、摂食嚥下機能評価装置1の外部から情報を入力する。本例では、入力装置13は、キーボード、及び、マウスを備える。なお、入力装置13は、マイクロフォンを備えてもよい。
出力装置14は、摂食嚥下機能評価装置1の外部に情報を出力する。本例では、出力装置14は、ディスプレイを備える。なお、出力装置14は、スピーカを備えてもよい。
なお、摂食嚥下機能評価装置1は、入力装置13及び出力装置14の両方を構成するタッチパネル式のディスプレイを備えてもよい。
【0021】
(機能)
摂食嚥下機能評価装置1は、対象者の摂食嚥下機能を評価するために用いられる。図2に表されるように、摂食嚥下機能評価装置1の機能は、観点条件情報記憶部101と、観点条件情報出力部102と、摂食行動情報取得部103と、摂食行動情報記憶部104と、摂食行動評価情報出力部105と、食物画像記憶部106と、食物画像出力部107と、正誤情報取得部108と、正誤情報記憶部109と、意味記憶評価情報出力部110と、を含む。
【0022】
観点条件情報記憶部101は、観点条件情報を記憶装置12に予め記憶させている。観点条件情報は、対象者の摂食行動が、所定の観点において正常であることに対応する条件である観点条件を表す情報である。図3に表されるように、観点条件情報は、複数(本例では、4個)の行動分類のいずれか1つに属する。
【0023】
本例では、複数の行動分類は、姿勢に関する行動を表す姿勢分類と、道具の使用に関する行動を表す道具使用分類と、食べる様子に関する行動を表す食事態様分類と、食欲又は嗜好に関する行動を表す食欲嗜好分類と、からなる。
【0024】
本例では、観点条件情報記憶部101は、互いに異なる複数(本例では、10個)の観点条件情報のそれぞれと、当該観点条件情報が属する行動分類を識別する行動分類識別情報と、を対応付けて記憶装置12に記憶させる。
【0025】
観点条件情報出力部102は、観点条件情報記憶部101により記憶されている複数の観点条件情報のそれぞれを出力装置14を介して出力する。本例では、図3に表されるように、観点条件情報出力部102は、観点条件情報記憶部101により記憶されている複数の観点条件情報のそれぞれに対して、当該観点条件情報が表す観点条件と、当該観点条件情報が属する行動分類と、を対応付けて、出力装置14のディスプレイに表示する。
【0026】
摂食行動情報取得部103は、観点条件情報記憶部101により記憶されている複数の観点条件情報のそれぞれに対して、摂食行動情報を取得する。各観点条件情報に対する摂食行動情報は、当該観点条件情報が表す観点条件を、対象者の摂食行動が満足するか否かを表す情報である。換言すると、摂食行動情報は、対象者の摂食行動を表す。
【0027】
本例では、摂食行動情報取得部103は、摂食嚥下機能評価装置1の操作者によって入力装置13を介して入力された摂食行動情報を受け付けることにより摂食行動情報を取得する。
【0028】
なお、観点条件情報出力部102は、観点条件を満足しない事例を、当該観点条件と対応付けて出力してもよい。これによれば、摂食嚥下機能評価装置1の操作者は、対象者の摂食行動が観点条件を満足するか否かを容易に判断することができる。
【0029】
摂食行動情報記憶部104は、観点条件情報記憶部101により記憶されている複数の観点条件情報のそれぞれに対して、摂食行動情報取得部103により取得された摂食行動情報を、対象者を識別する対象者識別情報、及び、当該観点条件情報と対応付けて記憶装置12に記憶させる。
【0030】
摂食行動評価情報出力部105は、対象者を識別する対象者識別情報と対応付けて摂食行動情報記憶部104により記憶されている複数の摂食行動情報に基づいて、当該対象者に対する摂食行動評価情報を生成する。
【0031】
摂食行動評価情報は、対象者の摂食行動が正常である程度を表す情報である。本例では、摂食行動評価情報は、姿勢分類に対応付けられた姿勢行動評価情報と、道具使用分類に対応付けられた道具使用行動評価情報と、食事態様分類に対応付けられた食事態様行動評価情報と、食欲嗜好分類に対応付けられた食欲嗜好行動評価情報と、を含む。なお、摂食行動評価情報は、姿勢行動評価情報、道具使用行動評価情報、食事態様行動評価情報、及び、食欲嗜好行動評価情報のうちの一部のみを含んでいてもよい。
【0032】
姿勢行動評価情報は、対象者の摂食行動のうちの、姿勢に関する行動が正常である程度を表す情報である。摂食行動評価情報出力部105は、姿勢分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報に基づいて、姿勢行動評価情報を生成する。
【0033】
本例では、姿勢行動評価情報は、姿勢分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報のうちの、観点条件情報が表す観点条件が満足されることを表す摂食行動情報の数が、所定の閾値以上である場合に姿勢に関する行動が正常であること(本例では、「〇」)を表し、当該閾値よりも小さい場合に姿勢に関する行動が正常でないこと(本例では、「×」)を表す。なお、姿勢行動評価情報は、姿勢分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報のうちの、観点条件情報が表す観点条件が満足されることを表す摂食行動情報の数を表す情報であってもよい。
【0034】
道具使用行動評価情報は、対象者の摂食行動のうちの、道具の使用に関する行動が正常である程度を表す情報である。摂食行動評価情報出力部105は、道具使用分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報に基づいて、道具使用行動評価情報を生成する。
【0035】
本例では、道具使用行動評価情報は、道具使用分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報のうちの、観点条件情報が表す観点条件が満足されることを表す摂食行動情報の数が、所定の閾値以上である場合に道具の使用に関する行動が正常であること(本例では、「〇」)を表し、当該閾値よりも小さい場合に道具の使用に関する行動が正常でないこと(本例では、「×」)を表す。なお、道具使用行動評価情報は、道具使用分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報のうちの、観点条件情報が表す観点条件が満足されることを表す摂食行動情報の数を表す情報であってもよい。
【0036】
食事態様行動評価情報は、対象者の摂食行動のうちの、食べる様子に関する行動が正常である程度を表す情報である。摂食行動評価情報出力部105は、食事態様分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報に基づいて、食事態様行動評価情報を生成する。
【0037】
本例では、食事態様行動評価情報は、食事態様分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報のうちの、観点条件情報が表す観点条件が満足されることを表す摂食行動情報の数が、所定の閾値以上である場合に食べる様子に関する行動が正常であること(本例では、「〇」)を表し、当該閾値よりも小さい場合に食べる様子に関する行動が正常でないこと(本例では、「×」)を表す。なお、食事態様行動評価情報は、食事態様分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報のうちの、観点条件情報が表す観点条件が満足されることを表す摂食行動情報の数を表す情報であってもよい。
【0038】
食欲嗜好行動評価情報は、対象者の摂食行動のうちの、食欲又は嗜好に関する行動が正常である程度を表す情報である。摂食行動評価情報出力部105は、食欲嗜好分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報に基づいて、食欲嗜好行動評価情報を生成する。
【0039】
本例では、食欲嗜好行動評価情報は、食欲嗜好分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報のうちの、観点条件情報が表す観点条件が満足されることを表す摂食行動情報の数が、所定の閾値以上である場合に食欲又は嗜好に関する行動が正常であること(本例では、「〇」)を表し、当該閾値よりも小さい場合に食欲又は嗜好に関する行動が正常でないこと(本例では、「×」)を表す。なお、食欲嗜好行動評価情報は、食欲嗜好分類に属する観点条件情報と対応付けられた摂食行動情報のうちの、観点条件情報が表す観点条件が満足されることを表す摂食行動情報の数を表す情報であってもよい。
【0040】
摂食行動評価情報出力部105は、生成された摂食行動評価情報を出力装置14を介して出力する。本例では、図4に表されるように、摂食行動評価情報出力部105は、姿勢行動評価情報と、道具使用行動評価情報と、食事態様行動評価情報と、食欲嗜好行動評価情報と、を各情報に対応付けられた行動分類とともに、出力装置14のディスプレイに表示する。
【0041】
食物画像記憶部106は、複数の食物画像を記憶装置12に予め記憶させている。本例では、図4に表されるように、食物画像は、食物(本例では、チョコレート)を表す画像である。
【0042】
本例では、食物画像記憶部106により記憶されている複数の食物画像は、1つの種類の青果、鮮魚、又は、精肉等の生鮮食品(例えば、メロン、りんご、レモン、バナナ、にんじん、又は、ピーマン等)を表す食物画像と、1つの種類の加工食品(例えば、うめぼし、すじこ、たくあん、チョコレート、又は、コーヒー等)を表す食物画像と、複数の食材が混在する調理品(例えば、おにぎり、みそ汁、肉じゃが、カレーライス、ハンバーグ、てんぷら、又は、寿司等)を表す食物画像と、を含む。
【0043】
食物画像出力部107は、食物画像記憶部106により記憶されている複数の食物画像のそれぞれを出力装置14を介して出力する(本例では、複数の食物画像を1つずつ順に出力装置14のディスプレイに表示する)。本例では、食物画像出力部107は、食物画像を出力装置14のディスプレイに表示することにより、当該食物画像が表す食物の名称を対象者に問う、という意味記憶課題を当該対象者に提示する。
【0044】
正誤情報取得部108は、食物画像記憶部106により記憶されている複数の食物画像のそれぞれに対して、食物画像出力部107により対象者に対して提示された意味記憶課題に対する当該対象者の回答の正誤を表す正誤情報を取得する。
【0045】
本例では、対象者の、意味記憶課題に対する回答は、当該対象者が、出力装置14のディスプレイに表示された食物画像を見ることにより、当該食物画像が表す食物の名称を音声にて発することにより行われる。本例では、摂食嚥下機能評価装置1の操作者は、対象者により発せられた音声を聴取するとともに、出力装置14のディスプレイに表示された食物画像を見ることにより、対象者の回答の正誤を判定する。
【0046】
本例では、正誤情報取得部108は、摂食嚥下機能評価装置1の操作者によって入力装置13を介して入力された正誤情報を受け付けることにより正誤情報を取得する。なお、正誤情報取得部108は、対象者が発した音声を回答として受け付けるとともに、受け付けられた回答を公知の音声認識技術を用いて文字列に変換し、変換後の文字列に基づいて正誤情報を取得してもよい。
【0047】
正誤情報記憶部109は、食物画像記憶部106により記憶されている複数の食物画像のそれぞれに対して、正誤情報取得部108により取得された正誤情報を、対象者を識別する対象者識別情報、及び、当該食物画像と対応付けて記憶装置12に記憶させる。
【0048】
意味記憶評価情報出力部110は、対象者を識別する対象者識別情報と対応付けて正誤情報記憶部109により記憶されている複数の正誤情報に基づいて、当該対象者に対する意味記憶評価情報を生成する。意味記憶評価情報は、対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す情報である。
【0049】
本例では、意味記憶評価情報は、正誤情報記憶部109により記憶されている正誤情報のうちの、回答が正しいことを表す正誤情報の数が、所定の閾値以上である場合に意味記憶機能が正常であること(本例では、「〇」)を表し、当該閾値よりも小さい場合に意味記憶機能が正常でないこと(本例では、「×」)を表す。なお、意味記憶評価情報は、正誤情報記憶部109により記憶されている正誤情報のうちの、回答が正しいことを表す正誤情報の数を表す情報であってもよい。
【0050】
意味記憶評価情報出力部110は、生成された意味記憶評価情報を出力装置14を介して出力する。本例では、図4に表されるように、意味記憶評価情報出力部110は、意味記憶評価情報を出力装置14のディスプレイに表示する。
更に、本例では、図4に表されるように、摂食嚥下機能評価装置1は、摂食率を表す情報を出力装置14を介して出力する(本例では、出力装置14のディスプレイに表示する)。なお、摂食率を表す情報は、摂食嚥下機能評価装置1の操作者によって入力装置13を介して入力されてよい。
【0051】
(動作)
次に、摂食嚥下機能評価装置1の動作の一例について説明する。
先ず、摂食嚥下機能評価装置1は、図3に表されるように、記憶装置12に記憶されている複数の観点条件情報のそれぞれに対して、当該観点条件情報が表す観点条件と、当該観点条件情報が属する行動分類と、を対応付けて、出力装置14のディスプレイに表示する。
【0052】
次いで、摂食嚥下機能評価装置1の操作者は、表示されている複数の観点条件のそれぞれに対して、対象者の摂食行動が当該観点条件を満足するか否かを判定し、判定の結果に基づいて摂食行動情報を入力装置13を介して入力する。これにより、摂食嚥下機能評価装置1は、記憶装置12に記憶されている複数の観点条件情報のそれぞれに対して摂食行動情報を取得する。
【0053】
次いで、摂食嚥下機能評価装置1は、記憶装置12に記憶されている複数の観点条件情報のそれぞれに対して、取得された摂食行動情報を、対象者を識別する対象者識別情報、及び、当該観点条件情報と対応付けて記憶装置12に記憶させる。
【0054】
次いで、摂食嚥下機能評価装置1は、図5に表されるように、記憶装置12に記憶されている複数の食物画像を1つずつ順に出力装置14のディスプレイに表示する。対象者は、出力装置14のディスプレイに表示された食物画像を見ることにより、当該食物画像が表す食物の名称を音声にて発することにより、意味記憶課題に対する回答を行う。
【0055】
摂食嚥下機能評価装置1の操作者は、順次に表示される複数の食物画像のそれぞれに対して、対象者により発せられた音声を聴取するとともに、出力装置14のディスプレイに表示された食物画像を見ることにより、対象者の回答の正誤を判定し、判定の結果に基づいて正誤情報を入力装置13を介して入力する。これにより、摂食嚥下機能評価装置1は、記憶装置12に記憶されている複数の食物画像のそれぞれに対して正誤情報を取得する。
【0056】
次いで、摂食嚥下機能評価装置1は、記憶装置12に記憶されている複数の食物画像のそれぞれに対して、取得された正誤情報を、対象者を識別する対象者識別情報、及び、当該食物画像と対応付けて記憶装置12に記憶させる。
【0057】
次いで、摂食嚥下機能評価装置1は、記憶装置12に記憶されている複数の摂食行動情報に基づいて摂食行動評価情報を生成する。更に、摂食嚥下機能評価装置1は、記憶装置12に記憶されている複数の正誤情報に基づいて意味記憶評価情報を生成する。
【0058】
次いで、摂食嚥下機能評価装置1は、図4に表されるように、生成された摂食行動評価情報及び意味記憶評価情報を、出力装置14のディスプレイに表示する。
【0059】
ところで、上述の動作例においては、摂食行動情報が取得された後に、正誤情報が取得される。なお、他の動作例においては、正誤情報が取得された後に、摂食行動情報が取得されてもよい。
【0060】
以上、説明したように、第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置1は、対象者の摂食嚥下機能を評価するための装置である。摂食嚥下機能評価装置1は、摂食行動情報取得部103と、正誤情報取得部108と、摂食行動評価情報出力部105と、意味記憶評価情報出力部110と、を備える。
【0061】
摂食行動情報取得部103は、対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得する。正誤情報取得部108は、対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得する。摂食行動評価情報出力部105は、取得された摂食行動情報に基づいて、対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力する。意味記憶評価情報出力部110は、取得された正誤情報に基づいて、対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する。
【0062】
これによれば、対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報に加えて、対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報が出力される。従って、摂食嚥下機能評価装置1の操作者は、対象者の摂食行動が正常である程度に加えて、対象者の意味記憶機能が正常である程度を知得できる。これにより、摂食嚥下機能評価装置1の操作者は、対象者の摂食率が過小である原因を適切に認識することができる。この結果、対象者の摂食率を高めるための適切な支援方法を選択できる。
【0063】
更に、第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置1において、意味記憶課題は、食物画像が表す食物の名称を対象者に問うことである。加えて、摂食嚥下機能評価装置1は、食物画像を出力する食物画像出力部107を備える。正誤情報取得部108は、対象者が、出力された食物画像を見ることにより行われた回答の正誤を表す正誤情報を取得する。
【0064】
ところで、本願の発明者は、対象者が、食物を表す食物画像を見た場合に、当該食物の名称を正しく認識できるか否かと、対象者が当該食物を摂食する程度と、が強い相関を有することを見出した。従って、摂食嚥下機能評価装置1によれば、対象者の摂食率は、意味記憶評価情報に高い精度にて反映される。これにより、摂食嚥下機能評価装置1の操作者は、対象者の摂食率が過小である原因を適切に認識することができる。この結果、対象者の摂食率を高めるための適切な支援方法を選択できる。
【0065】
更に、第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置1において、摂食行動評価情報は、対象者の摂食行動のうちの、姿勢に関する行動が正常である程度を表す姿勢行動評価情報、対象者の摂食行動のうちの、道具の使用に関する行動が正常である程度を表す道具使用行動評価情報、対象者の摂食行動のうちの、食べる様子に関する行動が正常である程度を表す食事態様行動評価情報、及び、対象者の摂食行動のうちの、食欲又は嗜好に関する行動が正常である程度を表す食欲嗜好行動評価情報、の少なくとも1つを含む。
【0066】
ところで、対象者の姿勢、対象者の道具の使用、対象者の食べる様子、又は、対象者の食欲又は嗜好と、対象者の摂食率と、は比較的強い相関を有する。従って、摂食嚥下機能評価装置1によれば、対象者の摂食率は、摂食行動評価情報に高い精度にて反映される。これにより、摂食嚥下機能評価装置1の操作者は、対象者の摂食率が過小である原因を適切に認識することができる。この結果、対象者の摂食率を高めるための適切な支援方法を選択できる。
【0067】
(第1変形例)
第1実施形態の第1変形例の摂食嚥下機能評価装置1において、摂食行動評価情報は、対象者を識別する対象者識別情報と対応付けて記憶装置12に記憶されている複数の摂食行動情報のうちの、観点条件情報が表す観点条件が満足されることを表す摂食行動情報の数を表す情報である。この場合、摂食行動評価情報は、摂食行動点数と表されてもよい。
【0068】
更に、第1実施形態の第1変形例の摂食嚥下機能評価装置1において、意味記憶評価情報は、対象者を識別する対象者識別情報と対応付けて記憶装置12に記憶されている複数の正誤情報のうちの、回答が正しいことを表す正誤情報の数を表す情報である。この場合、意味記憶評価情報は、意味記憶課題点数と表されてもよい。
【0069】
以上、説明したように、第1実施形態の第1変形例の摂食嚥下機能評価装置1によれば、第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置1と同様の作用及び効果が奏される。
【0070】
(第1実施例)
第1実施形態の第1変形例の摂食嚥下機能評価装置1を用いて、複数(本例では、73人)の対象者のそれぞれに対して、摂食行動点数、及び、意味記憶課題点数が取得された。
本例では、当該複数の対象者のそれぞれは、認知症患者である。なお、当該複数の対象者は、視覚障害を有する人、嚥下不能な人(本例では、改訂水飲みテスト(Modified Water Swallowing Test)で2点以下の人)、明らかな抑うつ状態である等の精神状態が不安定な人、歯の状態に問題がある人、及び、消化器症状のある薬剤(ただし、コリンエステラーゼ阻害剤を除く)を服用している人を含まない。
【0071】
図6は、FIM(Functional Independence Measure)食事点数と、摂食行動点数と、の関係を表すグラフである。FIM食事点数は、FIMの食事項目における点数である。FIM食事点数は、対象者の食事における介助量を表す。図7は、FIM食事点数と、意味記憶課題点数と、の関係を表すグラフである。
【0072】
図8は、MMSE(Mini-Mental State Examination)点数と、摂食行動点数と、の関係を表すグラフである。MMSE点数は、MMSEにおける点数である。MMSE点数は、対象者の認知機能が正常である程度を表す。図9は、MMSE点数と、意味記憶課題点数と、の関係を表すグラフである。
【0073】
図10は、摂食率と、摂食行動点数と、の関係を表すグラフである。図11は、摂食率と、意味記憶課題点数と、の関係を表すグラフである。図10に表されるように、摂食行動点数が比較的高い場合であっても、摂食率が低いことがある。また、図11に表されるように、意味記憶課題点数が比較的高い場合であっても、摂食率が低いことがある。従って、摂食行動評価情報、及び、意味記憶評価情報の両方が適切に認識されることが、対象者の摂食率を高めるために重要である。
【0074】
(第2変形例)
第1実施形態の第2変形例の摂食嚥下機能評価装置1において、食物画像は、複数(本例では、3個)の食物分類のいずれか1つに属する。本例では、複数の食物分類は、1つの種類の青果、鮮魚、又は、精肉等の生鮮食品を表す単独生鮮食品分類と、1つの種類の加工食品を表す単独加工食品分類と、複数の食材が混在する調理品を表す混在調理品分類と、からなる。
【0075】
第2変形例の摂食嚥下機能評価装置1は、複数の食物分類のそれぞれに対して、意味記憶評価情報を生成し、生成された意味記憶評価情報を、当該食物分類と対応付けて出力装置14を介して出力する。
【0076】
以上、説明したように、第1実施形態の第2変形例の摂食嚥下機能評価装置1によれば、第1実施形態の摂食嚥下機能評価装置1と同様の作用及び効果が奏される。更に、第1実施形態の第2変形例の摂食嚥下機能評価装置1によれば、摂食嚥下機能評価装置1の操作者は、対象者の意味記憶機能を適切に認識することができる。この結果、対象者の摂食率を高めるための適切な支援方法を選択できる。
【0077】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられてよい。
【0078】
例えば、摂食嚥下機能評価装置1は、食物画像を出力しなくてもよい。この場合、摂食嚥下機能評価装置1の操作者は、食物画像が印刷された紙、カード、又は、ボード等を用いることにより、意味記憶課題を当該対象者に提示してよい。
【符号の説明】
【0079】
1 摂食嚥下機能評価装置
11 処理装置
12 記憶装置
13 入力装置
14 出力装置
101 観点条件情報記憶部
102 観点条件情報出力部
103 摂食行動情報取得部
104 摂食行動情報記憶部
105 摂食行動評価情報出力部
106 食物画像記憶部
107 食物画像出力部
108 正誤情報取得部
109 正誤情報記憶部
110 意味記憶評価情報出力部
BU1 バス

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の摂食嚥下機能を評価するための摂食嚥下機能評価装置であって、
前記対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得する摂食行動情報取得部と、
前記対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得する正誤情報取得部と、
前記取得された摂食行動情報に基づいて、前記対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力する摂食行動評価情報出力部と、
前記取得された正誤情報に基づいて、前記対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する意味記憶評価情報出力部と、
を備え
前記意味記憶課題は、食物画像が表す食物の名称を前記対象者に問うことであり、
前記食物画像は、1つの種類の生鮮食品を表す単独生鮮食品分類と、1つの種類の加工食品を表す単独加工食品分類と、複数の食材が混在する調理品を表す混在調理品分類と、からなる複数の食物分類のいずれか1つに属し、
前記摂食嚥下機能評価装置は、前記食物画像を出力する食物画像出力部を備え、
前記正誤情報取得部は、前記対象者が前記出力された食物画像を見ることにより行われた前記回答の正誤を表す正誤情報を取得し、
前記意味記憶評価情報出力部は、前記複数の食物分類のそれぞれに対して、前記意味記憶評価情報を当該食物分類と対応付けて出力する、摂食嚥下機能評価装置
【請求項2】
請求項に記載の摂食嚥下機能評価装置であって、
前記摂食行動評価情報は、前記対象者の摂食行動のうちの、姿勢に関する行動が正常である程度を表す姿勢行動評価情報、前記対象者の摂食行動のうちの、道具の使用に関する行動が正常である程度を表す道具使用行動評価情報、前記対象者の摂食行動のうちの、食べる様子に関する行動が正常である程度を表す食事態様行動評価情報、及び、前記対象者の摂食行動のうちの、食欲又は嗜好に関する行動が正常である程度を表す食欲嗜好行動評価情報を含む、摂食嚥下機能評価装置。
【請求項3】
対象者の摂食嚥下機能を評価するための処理をコンピュータが実行する摂食嚥下機能評価方法であって、
前記処理は、
前記対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得し、
前記対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得し、
前記取得された摂食行動情報に基づいて、前記対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力し、
前記取得された正誤情報に基づいて、前記対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する、
ことを含み、
前記意味記憶課題は、食物画像が表す食物の名称を前記対象者に問うことであり、
前記食物画像は、1つの種類の生鮮食品を表す単独生鮮食品分類と、1つの種類の加工食品を表す単独加工食品分類と、複数の食材が混在する調理品を表す混在調理品分類と、からなる複数の食物分類のいずれか1つに属し、
前記処理は、
前記食物画像を出力し、
前記対象者が前記出力された食物画像を見ることにより行われた前記回答の正誤を表す正誤情報を取得し、
前記複数の食物分類のそれぞれに対して、前記意味記憶評価情報を当該食物分類と対応付けて出力する
ことを含む、摂食嚥下機能評価方法。
【請求項4】
対象者の摂食嚥下機能を評価するための処理をコンピュータに実行させる摂食嚥下機能評価プログラムであって、
前記処理は、
前記対象者の摂食行動を表す摂食行動情報を取得し、
前記対象者の意味記憶課題に対する回答の正誤を表す正誤情報を取得し、
前記取得された摂食行動情報に基づいて、前記対象者の摂食行動が正常である程度を表す摂食行動評価情報を出力し、
前記取得された正誤情報に基づいて、前記対象者の意味記憶機能が正常である程度を表す意味記憶評価情報を出力する、
ことを含み、
前記意味記憶課題は、食物画像が表す食物の名称を前記対象者に問うことであり、
前記食物画像は、1つの種類の生鮮食品を表す単独生鮮食品分類と、1つの種類の加工食品を表す単独加工食品分類と、複数の食材が混在する調理品を表す混在調理品分類と、からなる複数の食物分類のいずれか1つに属し、
前記処理は、
前記食物画像を出力し、
前記対象者が前記出力された食物画像を見ることにより行われた前記回答の正誤を表す正誤情報を取得し、
前記複数の食物分類のそれぞれに対して、前記意味記憶評価情報を当該食物分類と対応付けて出力する
ことを含む、摂食嚥下機能評価プログラム。