(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093879
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】AEセンサを有する構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 1/72 20060101AFI20220617BHJP
G01N 29/14 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
E04B1/72
G01N29/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206598
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】馬場 祐
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一聡
(72)【発明者】
【氏名】山下 光貞
【テーマコード(参考)】
2E001
2G047
【Fターム(参考)】
2E001DH14
2E001EA09
2E001FA21
2E001QA02
2G047AA11
2G047BA05
2G047EA12
2G047GA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金属部材にAEセンサを取り付けやすくすることができる構造体を提供する。
【解決手段】構造体は、布基礎11、木製の構造材70、第1柱、第2柱22、及び金属部材30を備える。構造材70の側方に断熱材35が配置されている。金属部材30は、垂直断面がL字状であって、板材31と、板材31から延出する延出片32と、を有している。板材31は、主面が上下方向に沿う矩形板状である。板材31の主面は、構造材70の側面と当接している。板材31は、複数のビス75によって構造材70に取り付けられている。延出片32は、主面が水平方向に沿う矩形板状である。延出片32は、板材31の下端から水平方向に沿って延出しており、断熱材35の下方に位置している。AEセンサ40は、延出片32の下面に取り付けられており、断熱材35の下方に位置している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿って延びる天面を有する立上りを備えた基礎と、
上記天面が延びる延出方向に沿って延びており、当該天面の上方に位置する木製の構造材と、
上記構造材の側面に取り付けられた金属部材と、
上記金属部材に取り付けられたAEセンサと、を備えており、
上記金属部材は、
上記構造材の側面に主面が当接し、かつ上記延出方向に沿って延びる板材と、
上記主面と交差する方向に沿って延びる第1延出片と、を有しており、
上記AEセンサは、上記第1延出片に取り付けられている構造体。
【請求項2】
上記構造材の上記側面に対向して位置する部材を更に有しており、
上記第1延出片は、上記部材の上方又は下方に位置する請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
上記金属部材は、上記板材と上記第1延出片とが一体であって断面形状がL字である請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項4】
上記構造材の上記側面に対向して位置しており、上記板材と上記第1延出片との少なくとも一方と当接する木製部材を更に有する請求項3に記載の構造体。
【請求項5】
上記構造材の上記側面に対向して位置する木製部材を更に有しており、
上記金属部材は、
上記板材の上記主面と交差する方向に沿って当該板材から延びており、かつ、上記木製部材に主面が当接する第2延出片、或いは上記第1延出片の主面と交差する方向に沿って当該第1延出片から延びており、かつ上記木製部材に主面が当接する第2延出片をさらに有する請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項6】
水平方向に沿って延びる天面を有する立上りを備えた基礎と、
上記天面が延びる延出方向に沿って延びており、当該天面の上方に位置する木製の構造材と、
上記構造材の側面に対向して位置する木製部材と、
上記構造材及び上記木製部材の少なくとも一方に取り付けられた金属部材と、
上記金属部材に取り付けられたAEセンサと、を備えており、
上記金属部材は、
上記延出方向に沿って延びており、かつ上記構造材と当接する本体と、
上記本体から延びており、上記AEセンサが取り付けられた第1延出片と、を有しており、
上記木製部材は、上記本体と上記第1延出片との少なくとも一方と当接する構造体。
【請求項7】
上記本体は、主面が上記構造材及び上記木製部材に当接する板状であって、
上記金属部材は、上記本体と上記第1延出片とが一体であって断面形状がL字である請求項6に記載の構造体。
【請求項8】
上記本体は、
主面が上記構造材に当接する板材と、
上記板材から延出しており、主面が上記木製部材に当接する板状の第2延出片と、を有しており、
上記第1延出片は、上記板材の主面と交差する方向に沿って当該板材から延びており、或いは、上記第2延出片の主面と交差する方向に沿って当該第2延出片から延びる請求項6に記載の構造体。
【請求項9】
上記第1延出片は、
上記延出方向に並ぶ複数箇所に、上記AEセンサをそれぞれ取付可能な取付部をそれぞれ有する、請求項6から8のいずれかに記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白蟻による構造材の食害を検知するAEセンサを有する構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、白蟻が木材を齧るアコースティックエミッション波(以下、「AE波」とも称する。)を検知するAEセンサを備えた基礎構造体を開示する。AEセンサは、木材の側面に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
白蟻が木材を齧ることによって生じるAE波は微弱であるため、木材により伝達される範囲は広くない。したがって、AE波が伝達される範囲毎にAEセンサが木材に取り付けられて、AE波が検知されない範囲が生じないようにすることとなる。しかしながら、取り付けるAEセンサの個数が増えると、コストも増加するという問題がある。
【0005】
上記問題に対して、本発明者らは、長尺の金属板を木材に取り付け、この金属板にAEセンサを取り付けることにより、金属板を通じて伝達されるAE波をAEセンサによって検知することを考案した。金属板がAE波を伝達する範囲は木材よりも広いので、AEセンサの取り付け個数を減らす効果が期待される。しかしながら、構造材の側方には他の部材が位置することも多く、構造材の側方ではAEセンサが取り付け難いことがある。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属部材にAEセンサを取り付けやすくする手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る構造体は、水平方向に沿って延びる天面を有する立上りを備えた基礎と、上記天面が延びる延出方向に沿って延びており、当該天面の上方に位置する木製の構造材と、上記構造材の側面に取り付けられた金属部材と、上記金属部材に取り付けられたAEセンサと、を備える。上記金属部材は、上記構造材の側面に主面が当接し、かつ上記延出方向に沿って延びる板材と、上記主面と交差する方向に沿って延びる第1延出片と、を有する。上記AEセンサは、上記延出片に取り付けられている。
【0008】
AEセンサを構造材の側面に沿って取り付けなくてよいので、AEセンサが取り付けやすい。
【0009】
(2) 本発明に係る構造体は、上記構造材の上記側面に対向して位置する部材を更に有しており、上記第1延出片は、上記部材の上方又は下方に位置していてもよい。
【0010】
構造材の側方に位置する部材を回避してAEセンサを第1延出片に取り付けることができる。
【0011】
(3) 上記金属部材は、上記板材と上記第1延出片とが一体であって断面形状がL字であってもよい。
【0012】
断面形状がL字の簡単な形状の金属部材でAEセンサを取り付けやすくすることができる。
【0013】
(4) 本発明に係る構造体は、上記構造材の上記側面に対向して位置しており、上記板材と上記第1延出片との少なくとも一方と当接する木製部材を更に有していてもよい。
【0014】
金属部材は、構造材及び木製部材に当接するから、金属部材は、白蟻が構造材及び木製部材を齧ることによって生じるAE波をAEセンサに伝達することができる。
【0015】
(5) 本発明に係る構造体は、上記構造材の上記側面に対向して位置する木製部材を更に有しており、上記板材の上記主面と交差する方向に沿って当該板材から延びており、かつ、上記木製部材に主面が当接する第2延出片、或いは上記第1延出片の主面と交差する方向に沿って当該第1延出片から延びており、かつ上記木製部材に主面が当接する第2延出片をさらに有していてもよい。
【0016】
金属部材は、構造材及び木製部材に当接するから、白蟻が構造材及び木製部材を齧ることによって生じるAE波をAEセンサに伝達することができる。
【0017】
(6) 本発明に係る構造体は、水平方向に沿って延びる天面を有する立上りを備えた基礎と、上記天面が延びる延出方向に沿って延びており、当該天面の上方に位置する木製の構造材と、上記構造材の側面に対向して位置する木製部材と、上記構造材及び上記木製部材の少なくとも一方に取り付けられた金属部材と、上記金属部材に取り付けられたAEセンサと、を備える。上記金属部材は、上記延出方向に沿って延びており、かつ上記構造材と当接する本体と、上記本体から延びており、上記AEセンサが取り付けられた第1延出片と、を有する。上記木製部材は、上記本体と上記第1延出片との少なくとも一方と当接する。
【0018】
AEセンサは、本体から延びる延出片に取り付けられるから、AEセンサが取り付けやすい。また、白蟻が構造材及び木製部材を齧ることによって生じたAE波は、金属部材を通じてAEセンサに伝わる。すなわち、金属部材は、白蟻が構造材及び木製部材を齧ることによって生じたAE波をAEセンサに伝達することができる。
【0019】
(7) 上記本体は、主面が上記構造材及び上記木製部材に当接する板状であって、上記金属部材は、上記本体と上記第1延出片とが一体であって断面形状がL字であってもよい。
【0020】
断面形状がL字の簡単な形状の金属部材で、白蟻が構造材及び木製部材を齧ることによって生じたAE波をAEセンサに伝達することができる。
【0021】
(8) 上記本体は、主面が上記構造材に当接する板材と、上記板材から延出しており、主面が上記木製部材に当接する板状の第2延出片と、を有しており、上記第1延出片は、上記板材の主面と交差する方向に沿って当該板材から延びており、或いは、上記第2延出片の主面と交差する方向に沿って当該第2延出片から延びていてもよい。
【0022】
金属部材は、板材において構造材に当接し、第2延出片において木製部材に当接する。したがって、構造材と木製部材との並びに拘わらず、金属部材は、白蟻が構造材及び木製部材を齧ることによって生じたAE波をAEセンサに伝達することができる。
【0023】
(9) 上記第1延出片は、上記延出方向に並ぶ複数箇所に、上記AEセンサをそれぞれ取付可能な取付部をそれぞれ有していてもよい。
【0024】
取付部は、例えば、孔や切欠やAEセンサの位置決めを行う突起などである。取付部が、AE波を伝達させる本体ではなく第1延出片に設けられるので、AE波の伝達を阻害することなく、任意の位置にAEセンサを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る構造体は、金属部材にAEセンサを取り付けやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、基礎構造体10の一部の斜視図である。
【
図3】
図3は、構造材70、第1柱21、第2柱22、及び金属部材30の水平断面図である。
【
図4】
図4(A)は、
図1におけるIV(A)-IV(A)断面図であり、
図4(B)は、変形例1に係る断面図であって
図1におけるIV(B)-IV(B)断面図である。
【
図5】
図5は、端末装置50の機能ブロック図である。
【
図6】
図6(A)は、変形例2に係る構造体10の一部の垂直断面図であり、
図6(B)は、変形例3に係る構造体10の一部の垂直断面図である。
【
図7】
図7(A)は、変形例4に係る構造体10の一部の垂直断面図であり、
図7(B)は、変形例5に係る構造体10の一部の垂直断面図である。
【
図8】
図8(A)は、変形例6に係る構造体10の一部の垂直断面図であり、
図8(B)は、変形例7に係る構造体10の一部の垂直断面図である。
【
図9】
図9(A)は、変形例8に係る構造体10の一部の垂直断面図であり、
図9(B)は、変形例9に係る構造体10の一部の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0028】
図1は、本実施形態に係る構造体10の一部の斜視図であって、基礎外周部の斜視図である。構造体10は、布基礎11と、柱脚23と、第1柱21、第2柱22、及び第3柱24と、構造材70と、金属部材30と、AEセンサ40と、断熱材35(
図4(A))と、を備える。なお、構造体10は、布基礎11に代えて、べた基礎を備えていてもよい。布基礎11は、基礎の一例である。
【0029】
布基礎11は、フーチング12と、立上り13と、複数のアンカーボルト14(
図2)と、を備える。フーチング12は、地中に埋設されている。立上り13は、フーチング12から上向きに突出している。すなわち、立上り13は、地面から上向きに突出している。そして、立上り13の天面15は、水平方向に沿って延びている。以下では、天面15が延びる方向を延出方向9と記載して説明する。
【0030】
アンカーボルト14は、布基礎11に埋設された不図示の埋設体と、埋設体から上向きに突出するボルトと、を有する。当該ボルトの上端部は、立上り13の天面15から上向きに突出している。アンカーボルト14と、アンカーボルト14に締結されたナット19(
図2)とは、後述の柱脚23を固定する。
【0031】
作業者は、例えば、地面に設けた溝に砕石を敷設した後、捨てコンクリートを当該溝内に打設し、次いで当該溝に沿って型枠を設置するとともに、型枠に保持させて鉄筋及びアンカーボルト14を設置した後、型枠内に生コンクリートを流し込んで布基礎11を打設する。
【0032】
柱脚23は、第1柱21を布基礎11に固定する部材である。
図2に示される柱脚23は、金属製であり、下フランジ26、上フランジ27、ウェブ28、及び不図示の取付片を有する。下フランジ26及び上フランジ27は、主面が水平方向に沿う矩形板状である。ウェブ28は、主面が上下方向に沿う矩形板状であって、下端において下フランジ26と接続され、上端において上フランジ27と接続されている。下フランジ26は、アンカーボルト14が挿通される不図示のボルト孔を有する。
【0033】
作業者は、下フランジ26のボルト孔にアンカーボルト14を挿通させて柱脚23を立上り13の天面15に載置した後、アンカーボルト14にナット19を締結して、柱脚23を布基礎11に固定する。第1柱21の個数に合わせた個数の柱脚23が布基礎11に固定されている。
【0034】
柱脚23の取付片は、上フランジ27の上面から上向きに突出している。取付片は、第1柱21の下端部に設けられた不図示の嵌入溝に嵌入される。また、取付片は、ドリフトピン18が挿通される不図示のピン孔を有している。
【0035】
第1柱21は、木製であり、かつ、上下方向に延びる角柱状である。第1柱21は、例えば矩形板状の複数の板材を接着することによって製造される。第1柱21は、柱脚23の取付片が嵌入される嵌入溝を下端部に有する。また、ドリフトピン18が挿通される不図示のドリフトピン孔を下端部に有する。ドリフトピン孔は、水平方向において第1柱21の下端部を貫通している。
【0036】
作業者は、第1柱21の嵌入溝に柱脚23の取付片を嵌入させて第1柱21を柱脚23の上フランジ27に載置した後、ドリフトピン18をドリフトピン孔及び柱脚23の取付片のピン孔に挿通し、第1柱21を柱脚23に固定する。すなわち、第1柱21は、柱脚23によって布基礎11に固定されている。
【0037】
複数の第1柱21が、各柱脚23にそれぞれ固定されている。複数の第1柱21は、構造材70を固定する。詳しく説明すると、構造材70は、2つの第1柱21の間に配置されている。構造材70は、木製であり、かつ、延出方向9に沿って延びる角柱状である。構造材70は、例えば矩形板状の複数の板材を接着することによって製造される。
【0038】
構造材70は、延出方向9における一方の端面において一方の第1柱21の側面と当接し、他方の端面において他方の第1柱21の側面と当接している。構造材70は、取付金具90によって第1柱21に固定されている。
【0039】
取付金具90は、断面がL字状の金具であって、矩形板状の第1片91及び第2片92を有する。第1片91は、水平方向に延びる板状であり、ビス16が挿通される不図示のビス孔を有している。第1片91は、下面において構造材70の上面と当接している。第2片92は、上下方向に延びる板状であり、ビス16が挿通される不図示のビス孔を有している。第2片92は、主面において第1柱21の下端部の側面と当接している。
【0040】
取付金具90の第1片91のビス孔に挿通されたビス16は、構造材70にねじ込まれている。第2片92のビス孔に挿通されたビス16は、第1柱21にねじ込まれている。取付金具90は、ビス16によって、構造材70及び第1柱21にそれぞれ固定される。すなわち、構造材70は、取付金具90を介して第1柱21に固定される。具体的には、構造材70は、延出方向9における両端部を各第1柱21にそれぞれ固定されている。
【0041】
スペーサ17が、構造材70と布基礎11の立上り13の天面15との間に配置されている。スペーサ17は、例えば樹脂製である。スペーサ17は、構造材70を支持する。
【0042】
作業者は、例えば、布基礎11の立上り13の天面15にスペーサ17を載置した後、スペーサ17に構造材70を載置し、次いで、ビス16を用いて取付金具90を構造材70及び第1柱21にそれぞれ固定して、構造材70を第1柱21に固定する。
【0043】
第2柱22は、木製であり、かつ上下方向に延びる角柱状である。第2柱22は、例えば、第1柱21と同様に、矩形板状の複数の板材を貼り合わせて製造される。第2柱22は、いわゆる半柱である。
【0044】
第2柱22は、構造材70に載置され、構造材70に固定されている。作業者は、第2柱22を構造材70に設置した後、釘などを用いて第2柱22を構造材70に固定する。
【0045】
第3柱24は、木製であり、かつ上下方向に延びる角柱状である。第3柱24は、例えば、第1柱21と同様に、矩形板状の複数の板材を貼り合わせて製造される。第3柱24は、いわゆる間柱である。
【0046】
第3柱24は、構造材70に載置され、構造材70に固定されている。作業者は、第3柱24を構造材70に設置した後、釘などを用いて第3柱24を構造材70に固定する。
【0047】
金属部材30は、白蟻が構造材70や第1柱21を齧ることによって生じたAE波をAEセンサ40に伝達する部材である。
【0048】
金属部材30は、AE波の伝達効率を高めるために、比重の小さな金属で製造される。例えば、金属部材30は、アルミニウム製である。但し、金属部材30は、ステンレスなどの合金を含む他の種類の金属によって製造されていてもよい。
【0049】
金属部材30は、延出方向9に沿って延びる部材である。金属部材30は、垂直断面の形状がL字状であって、板材31と、板材31から延出する延出片32と、を有する。金属部材30は、例えば規定サイズのアルミニウム板を切断した後、プレス加工によって折り曲げて製造される。
【0050】
板材31は、主面が上下方向及び延出方向9に沿う矩形板状である。板材31の主面は、構造材70の側面に当接している。上方方向における板材31の長さは、上下方向における構造材70の長さの約半分である。板材31は、その下端が構造材70の下端に一致する位置に配置され、金属製の複数のビス75によって構造材70に固定されている。作業者は、金属部材30に設けられた不図示の挿通孔にビス75を挿通した後、ビス75を構造材70にねじ込んで金属部材30を構造材70に固定する。
図3に示されるように、各ビス75のビス頭は、金属部材30を第1柱21或いは構造材70に押し付けて、金属部材30を第1柱21及び構造材70に固定している。
【0051】
構造材70にねじ込まれたビス75は、金属部材30を構造材70に固定するとともに、構造材70を伝わるAE波を金属部材30に伝達する。同様に、第1柱21にねじ込まれたビス75は、金属部材30を第1柱21に固定するとともに、第1柱21を伝わるAE波を金属部材30に伝達する。
【0052】
図2に示すように、複数のビス75は、延出方向9に沿って一直線上に配置されている。延出方向9におけるビス75のピッチは、例えば100mm以上500mm以下である。望ましくは、250mm程度とされる。
【0053】
ビス頭から先端までのビス75の長さは、構造材70の内部を伝わるAE波を効率的に受け易くするため、第1柱21や構造材70の厚み方向における中心部にビス75の先端が位置する長さとされることが望ましい。ただし、ビス75の長さは、作業者がビス75を第1柱21や構造材70にねじ込む作業の作業性を考慮して、上記長さよりも短くされてもよい。
【0054】
ビス75の直径は、構造材70の内部を伝わるAE波を効率的に金属部材30に伝達可能なように、8mm以下とされ、かつ強度を確保するため、2.5mm以上とされる。好ましくは、ビス75の直径は、3mm以上5mm以下とされる。
【0055】
板材31は、ビス75を通じて伝わったAE波をAEセンサ40に伝達する機能を有する。板材31の厚みは、AE波を伝達可能な強度を板材31が有するように0.1mm以上とされ、伝達効率を高めるために6cm以下とされる。板材31の厚みは、好ましくは0.35mm以上3.2mm以下とされる。
【0056】
延出方向9における板材31の長さは、AEセンサ40がAE波を検知可能な長さとされる。
図1に示す例では、板材31の長さは、延出方向9における構造材70の長さよりも僅かに長い。
【0057】
延出片32は、AEセンサ40が取り付けられる部位である。すなわち、AEセンサ40は、板材31ではなく、延出片32に取り付けられている。AEセンサ40が延出片32に取り付けられることにより、AEセンサ40が、後述の断熱材35(
図4(A))と干渉する位置から退避され、かつAEセンサ40の取付向きが変更される。以下詳しく説明する。
【0058】
延出片32は、主面が水平方向に沿う矩形板状である。すなわち、延出片32の主面は、板材31と直交(交差)している。延出片32は、第1延出片の一例である。
【0059】
延出片32は、延出方向9における板材31の長さと略同一の長さを有する。延出片32の厚みは、板材31から延出片32へのAE波の伝達における損失を低減するため、板材31の厚みと略同一であることが望ましい。延出方向9及び上下方向に直交する方向(以下、幅方向8と記載する)における延出片32の長さである延出片32の幅は、AEセンサ40の幅よりも広い。すなわち、延出片32は、AEセンサ40を取付可能な幅を有する。延出片32の幅は、例えば数cmである。
【0060】
延出片32は、AEセンサ40を取り付けるための複数の取付部を有する。
図1に示す例では、取付部は、ねじがねじ込まれる2個のねじ孔33である。ねじ孔33は、上下方向において延出片32を貫通している。なお、AEセンサ40が接着剤等によって延出片32に取り付けられる場合、取付部は、AEセンサ40の取付位置を示す切欠や突出片や表記などであってもよい。突出片は、例えば、延出片32の一部をプレス加工などによって折り曲げて起こすことによって形成される。表記は、例えば、ケガキやシールなどである。
【0061】
複数の取付部は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。すなわち、AEセンサ40は、延出方向9において、種々の位置に取り付け可能である。AEセンサ40は、金属部材30が取り付けられる構造体10における位置によって、金属部材30における取付位置を変更される。すなわち、同一仕様の金属部材30を構造体10の種々の個所に使用することができる。
【0062】
図1では、断熱材35(
図4(A))の図示が省略されている。
図4(A)は、
図1におけるIV-IV断面である。
図4(A)に示されるように、断熱材35は、構造材70及び金属部材30の板材31の側方に位置している。
【0063】
AEセンサ40は、AE波を検知する検知部と、検知部が検知したAE波を電圧に変換して出力する検知回路と、検知部及び検知回路を収容する筐体と、を備える。例えば市販のAEセンサがAEセンサ40として用いられる。
【0064】
AEセンサ40は、例えばねじによって金属部材30の延出片32の下面に取り付けられている。或いは、AEセンサ40は、接着剤などによって金属部材30の延出片32に取り付けられていてもよい。
【0065】
AEセンサ40は、金属部材30の延出片32の下面に取り付けられることにより、断熱材35の下方に位置し、これにより、AEセンサ40と断熱材35との干渉が防止される。断熱材35は、構造材の側面に対向して位置する部材の一例である。
【0066】
AEセンサ40は、不図示の信号線によって、
図5に示される端末装置50と電気的に接続されている。端末装置50は、例えば、構造体10を備えた住宅の壁に取り付けられて使用される。端末装置50は、中央演算処理装置であるCPU51、メモリ52、入力インタフェース54、通信インタフェース55、報知装置56、及び通信バス57を備える。CPU51、メモリ52、入力インタフェース54、通信インタフェース55、及び報知装置56は、通信バス57と接続されており、通信バス57を介して相互に通信可能である。
【0067】
メモリ52は、サーバ42のURL(Uniform Resource Locator)や、顧客IDや、制御プログラム53などを記憶している。制御プログラム53は、CPU51によって実行される。実行された制御プログラム53は、入力インタフェース54を通じてAEセンサ40からの信号の入力を受け付け、通信インタフェース55及びインターネット41を通じて情報をサーバ42に送信する。
【0068】
報知装置56は、ディスプレイやスピーカなどであって、画像や音声によって住宅の住人に報知を行う装置である。
【0069】
サーバ42は、住宅を施工したメーカや、サービス提供業者が使用権限を有するウェブサーバなどであって、URLをインターネット41上に公開する。
【0070】
以下、白蟻が構造材70や第1柱21を齧ることによって生じたAE波をAEセンサ40が検知し、AEセンサ40がAE波を検知したことが端末装置50によってサーバ42に送信され、かつ報知装置56によって報知されることについて説明する。
【0071】
白蟻が第1柱21や構造材70を齧ることによって生じたAE波は、弾性波として第1柱21や構造材70の内部を伝達する。構造材70の内部を伝達したAE波は、ビス75を通じて金属部材30の板材31に伝わる。板材31に伝わったAE波は、板材31及び延出片32を通じてAEセンサ40に伝わる。AEセンサ40は、AE波を検知し、AE波を検知したことを示す検知信号を出力する。AEセンサ40が出力した検知信号は、信号線、入力インタフェース54、及び通信バス57を通じてCPU51に入力する。制御プログラム53は、検知信号が入力したと判断すると、白蟻が発生したことを示す情報及び顧客IDを含むHTTPリクエストを、サーバ42が公開するURL宛てに、通信インタフェース55を通じて送信する。また、制御プログラム53は、報知装置56を用いて、白蟻による食害が生じたことを住人に報知する。なお、端末装置50は、報知装置56と通信インタフェース55との一方のみを有していてもよい。すなわち、白蟻が発生したことを示す情報は、サーバ42宛てに送信されるだけでもよいし、報知装置56によって住人に報知されるだけでもよい。
【0072】
サーバ42を管理するサービス提供業者は、白蟻が発生したことを示す情報がサーバ42に入力された場合、白蟻が発生したおそれがあることを、顧客IDが示す顧客に通知する。
【0073】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、板材31から延出する延出片32にAEセンサ40を取り付けるから、板材31の主面にAEセンサ40を取り付ける場合に対して、AEセンサ40の取付位置や取付向きを自由に変更することができる。その結果、構造体10は、作業者によるAEセンサ40の取付作業を容易にすることができる。
【0074】
また、本実施形態では、AEセンサ40が延出片32の下面に取り付けられることにより、AEセンサ40と断熱材35との干渉が防止されている。
【0075】
また、本実施形態では、金属部材30は、断面形状がL字である。すなわち、簡単な形状の金属部材30によって、AEセンサ40の取付位置及び取付向きを変更することができる。
【0076】
[変形例1]
本変形例では、AEセンサ40が、白蟻が構造材70を齧ることによって生じたAE波に加え、白蟻が木製部材71(
図4(B))を齧ることによって生じたAE波を検知する例が説明される。
【0077】
図4(B)は、
図1におけるIV(B)-IV(B)の断面図である。なお、
図1では、木製部材71の図示が省略されている。
【0078】
図4(B)に示されるように、構造体10は、構造材70及び金属部材30の板材31の側方に位置する複数の木製部材71を備える。木製部材71は、幅方向8に延びる角注状の部材である。木製部材71は、例えば、いわゆる根太や大引や下地木などである。木製部材71は、例えば、不図示の支持部材によって支持されている。支持部材は、いわゆる束やダンパ等であっって、上下方向に延びる棒状である。支持部材の下端は、土間コンクリート等に当接し、支持部材の上端は、木製部材71の下面に当接している。
【0079】
複数の木製部材71は、延出方向9(
図4(B)の紙面に直交する方向)において並んでいる。上述の断熱材35は、延出方向9において隣り合う2つの木製部材71の間に位置している。幅方向8における木製部材71の端面は、金属部材30の板材31の主面に当接し、木製部材71の下面は、金属部材30の延出片32の上面に当接している。板材31は、本体の一例である。なお、木製部材71は、釘やボルトやピンや金具などの連結具によって構造材70と連結されていてもよい。
【0080】
なお、
図1や
図4(B)には示されていないが、複数の木製部材71に、床板或いは床板を支持する部材が載置されている。
【0081】
また、
図4(B)に示される例では、木製部材71の端面は金属部材30の板材31に当接しているが、木製部材71の端面は構造材70の側面に当接されていてもよい。例えば、構造材70の側面の下部に、金属部材30の板材31が嵌め込まれる凹部が設けられて、木製部材71の端面が構造材70の側面に当接される。或いは、木製部材71の端面から凹んで板材31が嵌め込まれる凹部が木製部材71に設けられて、木製部材71の端面が構造材70の側面に当接される。
【0082】
金属部材30の延出片32は、金属製のビス76がそれぞれ挿通される複数の挿通孔34を有している。挿通孔34は、上下方向において延出片32を貫通している。複数の挿通孔34は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。挿通孔34は、木製部材71の個数に応じた数だけ延出片32に設けられている。
【0083】
作業者は、延出片32の挿通孔34にビス76を挿通した後、ビス76を木製部材71にねじ込む。ビス76は、延出片32を木製部材71に固定するとともに、白蟻が木製部材71を齧ることによって生じたAE波を延出片32に伝達する。
【0084】
ビス76の長さは、ビス76の先端が木製部材71の中心近くに達する長さである。ビス76の直径は、ビス75の直径と略同一とされる。
【0085】
なお、
図4(B)に示す例では、木製部材71とビス75のビス頭との干渉を防止するため、当該ビス頭が嵌る凹部37が木製部材71に設けられている。或いは、
図9(A)に示されたビス78と同様に、ビス75には、ビス頭が円錐状である、いわゆる皿ねじが用いられてもよい。
【0086】
白蟻が木製部材71を齧ることによって生じたAE波は、ビス76を通じて延出片32に伝わる。延出片32に伝わったAE波は、板材31や延出片32を通じてAEセンサ40に伝わる。
【0087】
本変形例では、構造体10は、1つのAEセンサ40により、構造材70及び木製部材71の2つの部材において、白蟻によって生じたAE波を検知することができる。
【0088】
[変形例2]
本変形例では、
図6(A)に示されるように、構造体10が、上り框部を形成する木製部材72、木製部材73、及び上り框74を備え、金属部材80が木製部材72及び木製部材73に取り付けられる例が説明される。すなわち、本変形例では、上り框部に用いられる金属部材80が説明される。なお、以下では、実施形態と同じ構成は、同一の符号を付して説明する。また、以下で説明する構成以外の構成は、実施形態で説明した構成と同じである。
【0089】
木製部材72は、延出方向9(
図6(A)の紙面に垂直な方向)に沿って延びる角柱状である。木製部材72は、例えば構造材70(
図1)と同様に第1柱21や第2柱22に固定されている。木製部材72は、例えば、いわゆる根太や下地木である。
【0090】
木製部材73は、延出方向9に沿って延びる角柱状である。木製部材73は、木製部材72の側面と対向しており、例えば釘やボルトや金具などを用いて木製部材72に固定されている。木製部材73は、例えば、いわゆる根太や下地木である。なお、木製部材72、73には、不図示の床或いは床を支持する部材が載置される。
【0091】
上り框74は、延出方向9に沿って延びている。上り框74は、木製である。上り框74は、木製部材73の側面と対向しており、例えば釘やボルトや金具などを用いて木製部材73に固定されている。
【0092】
金属部材80は、延出方向9に沿って延びており、垂直断面がL字状の部材である。金属部材80の材質や厚みや長さは、実施形態と同様である。金属部材80は、板材81と、板材81から延出する延出片82と、を有する。
【0093】
板材81は、主面が水平方向に沿う矩形板状である。板材81の主面である上面は、木製部材72の下面及び木製部材73の下面と当接している。板材81は、ビス75がそれぞれ挿通される複数の不図示の挿通孔を有している。当該挿通孔は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。作業者は、ビス75を挿通孔に挿通した後、ビス75を木製部材73にねじ込んで金属部材80を木製部材73に取り付ける。木製部材73は、構造材の一例である。板材81の主面が当接する木製部材73の下面は、構造材の側面の一例である。
【0094】
延出片82は、延出方向9に沿って延びており、主面が延出方向9及び上下方向に沿う矩形板状である。延出片82は、下端において板材81と接続している。すなわち、延出片82は、板材81から上向きに延出している。
【0095】
延出片82は、ビス76がそれぞれ挿通される複数の不図示の挿通孔を有している。当該挿通孔は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。作業者は、ビス75を挿通孔に挿通した後、ビス76を木製部材72にねじ込んで金属部材80を木製部材72に取り付ける。
【0096】
また、延出片82は、上述の複数の取付部として、複数のねじ孔33を有している。AEセンサ40は、取付部において延出片82に取り付けられている。
【0097】
白蟻が木製部材72、73を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や、板材81や、延出片82を通じてAEセンサ40に伝わる。
【0098】
本変形例では、延出片82の主面が延出方向9及び上下方向に沿って延びており、当該主面にAEセンサ40が取り付けられている。したがって、延出片32の下面にAEセンサ40が取り付けられる場合に比べ、AEセンサ40を金属部材80に取り付ける作業が容易になる。
【0099】
また、本変形例では、白蟻が木製部材72或いは木製部材73を齧ることによって生じたAE波を1つのAEセンサ40で検知することができる。
【0100】
[変形例3]
本変形例では、
図6(B)に示されるように、構造体10が、上り框部を形成する木製部材72、木製部材73、及び上り框74と、断熱材35とを備え、金属部材83が断熱材35を避けて木製部材72及び木製部材73に取り付けられる例が説明される。なお、以下では、実施形態及び変形例2と同じ構成は、同一の符号を付して説明する。また、以下で説明する構成以外の構成は、実施形態及び変形例2で説明した構成と同じである。
【0101】
断熱材35は、木製部材72の側方に位置している。断熱材35は、構造材の側面に対向して位置する部材の一例である。
【0102】
金属部材83は、延出方向9(
図6(B)の紙面に垂直な方向)に沿って延びており、垂直断面がL字状の部材である。金属部材83の材質や厚みや長さは、実施形態と同様である。金属部材83は、板材84と、板材84から延出する延出片85とを有する。
【0103】
板材84は、主面が水平方向に沿う矩形板状である。板材84の主面である上面は、木製部材72の下面及び木製部材73の下面と当接している。板材84は、ビス75がそれぞれ挿通される複数の不図示の第1挿通孔と、ビス76が挿通される複数の第2挿通孔とを有している。第1挿通孔は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。第2挿通孔は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。
【0104】
作業者は、ビス75を第1挿通孔に挿通した後、ビス75を木製部材73にねじ込み、また、ビス76を第2挿通孔に挿通した後、ビス76を木製部材72にねじ込んで、金属部材83を木製部材72、73に取り付ける。木製部材73は、構造材の一例である。板材81の主面が当接する木製部材73の下面は、構造材の側面の一例である。
【0105】
延出片85は、主面が延出方向9及び上下方向に沿う矩形板状である。延出片85は、上端において板材84と接続している。すなわち、延出片85は、板材81から下向きに延出している。
【0106】
延出片85は、上述の複数の取付部として、複数のねじ孔33を有している。取付部において延出片85に取り付けられたAEセンサ40は、断熱材35の下方に位置する。すなわち、AEセンサ40は、断熱材35を避けて金属部材83に取り付けられている。
【0107】
白蟻が木製部材72や木製部材73を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や板材84や延出片85を通じてAEセンサ40に伝わる。
【0108】
本変形例では、白蟻が木製部材72や木製部材73を齧ることによって生じたAE波を1つのAEセンサ40で検知することができ、かつ、断熱材35を避けてAEセンサを金属部材83に取り付けることができる。
【0109】
[変形例4]
本変形例では、
図7(A)に示されるように、構造体10が、上り框部を形成する木製部材72、木製部材73、及び上り框74を備え、金属部材80が上り框74にも当接している例が説明される。なお、以下では、実施形態及び変形例2と同じ構成は、同一の符号を付して説明する。また、以下で説明する構成以外の構成は、実施形態及び変形例2で説明した構成と同じである。
【0110】
金属部材80は、板材81及び延出片82を備えている。板材81は、上り框74の下方まで延びており、板材81の主面である上面は、上り框74の下面と当接している。上り框74は、構造材の一例であり、上り框74の下面は、構造材の側面の一例であり、金属部材80の板材81は、金属部材の本体の一例である。
【0111】
延出片82は、ビス77が挿通される複数の不図示の挿通孔を有している。複数の挿通孔は、延出方向9(
図7(A)の紙面に垂直な方向)において互いに離間して並んでいる。作業者は、ビス77を延出片82の挿通孔に挿通した後、ビス77を上り框74にねじ込んで、延出片82を上り框74に固定する。
【0112】
なお、
図7(A)に示す例では、上り框74の下方に位置する部材60とビス77のビス頭との干渉を防止するため、当該ビス頭が嵌る凹部61が部材60に設けられている。或いは、
図9(A)に示されたビス78と同様に、ビス77には、ビス頭が円錐状である、いわゆる皿ねじが用いられてもよい。
【0113】
白蟻が木製部材72や木製部材73や上り框74を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や金属部材80の板材81や延出片82を通じてAEセンサ40に伝わる。したがって、構造体10は、白蟻が木製部材72や木製部材73や上り框74を齧ることによって生じたAE波を1つのAEセンサ40で検知することができる。
【0114】
なお、本変形例では、延出片82が板材81から上向きに延出する例が説明されたが、延出片82は、変形例3と同様に、板材81から下向きに延出していてもよい。
【0115】
[変形例5]
本変形例では、
図7(B)に示されるように、構造体10が、上り框部を形成する木製部材72、木製部材73、及び上り框74を備え、金属部材86が上り框74にも当接している例が説明される。なお、以下では、実施形態及び変形例2(
図6(A))と同じ構成は、同一の符号を付して説明する。また、以下で説明する構成以外の構成は、実施形態及び変形例2で説明した構成と同じである。
【0116】
金属部材86は、延出方向9に沿って延びており、垂直断面の断面形状がコの字状の部材である。金属部材86の材質や厚みや長さは、実施形態と同様である。金属部材86は、板材81と、板材81の第1端部87から延出する延出片82と、板材81の第2端部88から延出する延出片89と、を備えている。板材81及び延出片82の構成は、変形例2の板材81及び延出片82の構成と同じである。
【0117】
延出片82が延出する板材81の第1端部87は、延出方向9に沿っている。第2端部88は、第1端部87とは反対側の端部であり、延出方向9に沿っている。延出片89は、第2端部88から上向きに延出している。延出片89は、延出方向9及び上下方向に沿う主面を有する矩形板状である。延出片82は、第1延出片の一例であり、延出片89は、第2延出片の一例である。
【0118】
延出片89の主面は、上り框74の側面と当接している。延出片89は、ビス77が挿通される複数の不図示の挿通孔を有している。複数の挿通孔は、延出方向9(
図7(B)の紙面に垂直な方向)において互いに離間して並んでいる。作業者は、ビス77を延出片89の挿通孔に挿通した後、ビス77を上り框74にねじ込んで、延出片89を上り框74に取り付ける。
【0119】
なお、
図7(B)に示す例では、木製部材73とビス77のビス頭との干渉を防止するため、当該ビス頭が嵌る凹部62が木製部材73に設けられている。或いは、
図9(A)に示されたビス78と同様に、ビス77には、いわゆる皿ねじが用いられてもよい。
【0120】
白蟻が木製部材72や木製部材73や上り框74を齧ることによって生じたAE波は、金属部材86の板材81や延出片82、89を通じてAEセンサ40に伝わる。したがって、構造体10は、白蟻が木製部材72や木製部材73や上り框74を齧ることによって生じたAE波を1つのAEセンサ40で検知することができる。
【0121】
なお、本変形例では、延出片82が板材81から上向きに延出しており、金属部材86がコの字状である例が説明されたが、延出片82は、変形例3と同様に、板材81から下向きに延出していてもよい。その場合、金属部材86は、Z字状である。
【0122】
[変形例6]
本変形例では、
図8(A)に示されるように、断面形状がコの字状の金属部材93が用いられる。金属部材93は、主に、構造体10における低床部に用いられる。なお、以下では、実施形態及び変形例1と同じ構成は、同一の符号を付して説明する。また、以下で説明する構成以外の構成は、実施形態及び変形例1で説明した構成と同じである。
【0123】
構造体10は、木製部材71を備える。木製部材71は、変形例1で説明された木製部材71と同様の構成である。
【0124】
金属部材93は、延出方向9(
図8(A)の紙面に垂直な方向)に延びており、垂直断面がコの字状の部材である。金属部材93の材質や厚みや長さは、実施形態と同様である。金属部材93は、板材94と、板材94から延出する第2延出片95と、第2延出片95から延出する第1延出片96と、を有する。
【0125】
板材94は、主面が延出方向9及び上下方向に沿う矩形板状である。板材94の2つの主面のうちの一方の主面は、構造材70の側面に当接し、他方の主面は、木製部材71の側面に当接している。すなわち、板材94は、幅方向8において、構造材70と木製部材71とに挟まれている。
【0126】
板材94は、皿ねじであるビス78が挿通される複数の不図示の挿通孔を有している。複数の挿通孔は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。挿通孔の壁面は、円錐の側面の形状とされる。作業者は、ビス78を挿通孔に挿通した後、ビス78を構造材70にねじ込んで、板材94を構造材70に取り付ける。なお、皿ねじであるビス78のねじ頭は、板材94に埋没し、木製部材71と干渉しない。
【0127】
第2延出片95は、板材94の下端部から幅方向8に沿って延出している。第2延出片95は、延出方向9に沿って延びている。第2延出片95は、主面が水平方向に沿う矩形板状である。第2延出片95の主面である上面は、木製部材71の下面と当接している。第2延出片95は、ビス76が挿通される複数の不図示の挿通孔を有している。複数の挿通孔は、延出方向9にいて互いに離間して並んでいる。作業者は、ビス76を第2延出片95の挿通孔に挿通した後、ビス76を木製部材71にねじ込んで、第2延出片95を木製部材71に取り付ける。
【0128】
第1延出片96は、第2延出片95の端部から上向きに延出しており、幅方向8において板材94と対向している。第1延出片96は、延出方向9に沿って延びている。第1延出片96は、主面が延出方向9及び上下方向に沿う矩形板状である。第1延出片96の主面は、木製部材71の側面と当接している。すなわち、金属部材93の板材94と第1延出片96とは、幅方向8において木製部材71を挟んでいる。
【0129】
第1延出片96は、上述の複数の取付部として、ねじ孔33を有している。AEセンサ40は、取付部において、第1延出片96に取り付けられている。板材94及び第2延出片95は、金属部材の本体の一例である。なお、木製部材71が構造材の一例である場合、構造材70が木製部材の一例であり、第1延出片95が板材の一例であり、板材94が第2延出片の一例である。
【0130】
白蟻が構造材70及び木製部材71を齧ることによって生じたAE波は、ビス76、78や板材94や第2延出片95や第1延出片96を通じてAEセンサ40に伝わる。したがって、構造体10は、白蟻が構造材70や木製部材71を齧ることによって生じたAE波を1つのAEセンサ40で検知することができる。
【0131】
また、AEセンサ40を、木製部材71を避けて金属部材93に取り付けることができる。
【0132】
[変形例7]
本変形例では、低床部に用いられる金属部材63(
図8(B))であって、Z字状の金属部材63が説明される。なお、以下では、実施形態及び変形例6と同じ構成は、同一の符号を付して説明する。また、以下で説明する構成以外の構成は、実施形態及び変形例6で説明した構成と同じである。
【0133】
図8(B)に示される金属部材63は、延出方向9(紙面に垂直な方向)に延びており、垂直断面がZ字状の部材である。金属部材63の材質や厚みや長さは、実施形態と同様である。金属部材63は、板材64と、第2延出片95と、第1延出片96と、を有している。第2延出片95及び第1延出片96の構成は、変形例6で説明された第2延出片95及び第1延出片96の構成と同じである。
【0134】
板材64は、主面が延出方向9及び上下方向に沿う矩形板状である。板材64の上端から第2延出片95が幅方向8に沿って延出している。すなわち、金属部材63の断面形状は、Z字状である。
【0135】
板材64は、ビス75が挿通される複数の不図示の挿通孔を有している。複数の挿通孔は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。作業者は、ビス75を挿通孔に挿通した後、ビス75を構造材70にねじ込んで、板材64を構造材70に取り付ける。
【0136】
白蟻が構造材70及び木製部材71を齧ることによって生じたAE波は、ビス76、78や板材64や第2延出片95や第1延出片96を通じてAEセンサ40に伝わる。したがって、構造体10は、白蟻が構造材70や木製部材71を齧ることによって生じたAE波を1つのAEセンサ40で検知することができる。
【0137】
また、AEセンサ40を、木製部材71を避けて金属部材63に取り付けることができる。
【0138】
[変形例8]
本変形例では、低床部に用いられる金属部材65(
図9(A))であって、断面形状がZ字状の金属部材65が説明される。なお、以下では、実施形態及び変形例6と同じ構成は、同一の符号を付して説明する。また、以下で説明する構成以外の構成は、実施形態及び変形例6で説明した構成と同じである。
【0139】
図9(A)に示される金属部材65は、延出方向9(紙面に垂直な方向)に沿って延びており、垂直断面がZ字状の部材である。金属部材65の材質や厚みや長さは、実施形態と同様である。金属部材65は、板材94と、第2延出片67と、第1延出片68と、を有している。板材94の構成は、変形例6の板材94の構成と同じである。
【0140】
第2延出片67は、板材94の上端部から幅方向8に沿って延出している。第2延出片67は、延出方向9に沿って延びている。第2延出片67は、主面が水平方向に沿う矩形板状である。第2延出片67の主面である下面は、木製部材71の上面と当接している。第2延出片67は、ビス76が挿通される複数の不図示の挿通孔を有している。複数の挿通孔は、延出方向9にいて互いに離間して並んでいる。作業者は、ビス76を第2延出片67の挿通孔に挿通した後、ビス76を木製部材71にねじ込んで、第2延出片67を木製部材71に取り付ける。
【0141】
第1延出片68は、第2延出片67の端部から上向きに延出している。第1延出片68は、延出方向9に沿って延びている。第1延出片68は、主面が延出方向9及び上下方向に沿う矩形板状である。
【0142】
第1延出片68は、上述の複数の取付部として、複数のねじ孔33を有している。AEセンサ40は、取付部において、第1延出片68に取り付けられている。板材94及び第2延出片67は、金属部材の本体の一例である。なお、木製部材71が構造材の一例である場合、構造材70が木製部材の一例であり、第2延出片67が板材の一例であり、板材94が第2延出片の一例である。
【0143】
白蟻が構造材70及び木製部材71を齧ることによって生じたAE波は、ビス76、78や板材94や第2延出片67や第1延出片68を通じてAEセンサ40に伝わる。したがって、構造体10は、白蟻が構造材70や木製部材71を齧ることによって生じたAE波を1つのAEセンサ40で検知することができる。
【0144】
また、AEセンサ40を、木製部材71を避けて金属部材65に取り付けることができる。
【0145】
[変形例9]
本変形例では、低床部に用いられる金属部材100(
図9(A))であって、L字状の金属部材100が説明される。なお、以下では、実施形態及び変形例6と同じ構成は、同一の符号を付して説明する。また、以下で説明する構成以外の構成は、実施形態及び変形例6で説明した構成と同じである。
【0146】
図9(B)に示される金属部材100は、延出方向9(紙面に垂直な方向)に延びており、垂直断面がL字状の部材である。金属部材100の材質や厚みや長さは、実施形態と同様である。金属部材100は、板材101と、延出片102と、を有している。
【0147】
板材101は、主面が水平方向に延びる矩形板状である。板材101の主面である下面は、構造材70の上面及び木製部材71の上面と当接している。構造材70の上面は、構造材の側面の一例である。
【0148】
板材101は、ビス75が挿通される複数の不図示の第1挿通孔と、ビス76が挿通される複数の不図示の第2挿通孔とを有している。複数の第1挿通孔は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。複数の第2挿通孔は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。作業者は、ビス75を第1挿通孔に挿通した後、ビス75を構造材70にねじ込み、また、ビス76を第2挿通孔に挿通した後、ビス76を木製部材71にねじ込んで、板材101を構造材70及び木製部材71に取り付ける。板材は、金属部材の本体の一例である。
【0149】
延出片102は、幅方向8における板材101の端部から下向きに延出している。延出片102は、延出方向9に沿って延びている。延出片102は、主面が延出方向9及び上下方向に沿う矩形板状である。延出片102の主面は、木製部材71の側面と当接している。
【0150】
延出片102は、上述の複数の取付部として、複数のねじ孔33を有している。AEセンサ40は、取付部において、延出片102に取り付けられている。
【0151】
白蟻が構造材70及び木製部材71を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や、板材101や、延出片102を通じてAEセンサ40に伝わる。したがって、構造体10は、白蟻が構造材70や木製部材71を齧ることによって生じたAE波を1つのAEセンサ40で検知することができる。
【0152】
また、AEセンサ40を、木製部材71を避けて金属部材100に取り付けることができる。
【0153】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、ビス75によって金属部材30が構造材70に固定された例が説明された。しかしながら、ビス75に代えて、金属製の釘やピンなどが用いられてもよい。さらに、ビス75に代えて、金属部材30の板材31の表面を加工して形成した刺状の突出が用いられてもよい。
【0154】
上述の実施形態では、板材31と延出片32とが直角に接続している例を説明した。しかしながら、板材31と延出片32とは、鋭角や鈍角など直角以外の角度で接続していてもよい。
【0155】
上述の実施形態では、金属部材30の板材31を構造材70に固定する複数のビス75(
図1)が、一直線上に並ぶ例を説明した。しかしながら、複数のビス75は、一直線上に並んでいなくてもよい。複数のビス75は、例えば、千鳥状に配置されていていてもよいし、曲線状に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0156】
10・・・構造体
11・・・布基礎
13・・・立上り
15・・・天面
21・・・第1柱
22・・・第2柱
30、63、65、80、83、86、93、100・・・金属部材
31、64、81、84、101・・・板材
32、82、85、102・・・延出片
33・・・ねじ孔(取付部)
35・・・断熱材(部材)
40・・・AEセンサ
67、95・・・第2延出片
68、96・・・第1延出片
70・・・構造材
71、72、73・・・木製部材(構造材、木製部材)
74・・・上り框(構造材、木製部材)
75、76、77、78・・・ビス