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特開2022-9390FMCWレーダー処理のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009390
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】FMCWレーダー処理のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/34 20060101AFI20220106BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20220106BHJP
【FI】
G01S13/34
G01S13/931
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172805
(22)【出願日】2021-10-22
(62)【分割の表示】P 2018513779の分割
【原出願日】2016-09-15
(31)【優先権主張番号】14/855,057
(32)【優先日】2015-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】サンディープ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】カーティク ラマスブラマニアン
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AF03
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK40
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レーダーのメモリ要件を最適化する。
【解決手段】記載される例において、レーダー装置100が、第1のチャープを送信するトランスミッタ101を含む。第1のチャープは、一つ又は複数の障害物により拡散されて、拡散された信号が生成される。複数のレシーバ110が、拡散された信号を受信する。レシーバ110の各々は、拡散された信号の一つに応答してデジタル信号を生成する。プロセッサ120が、レシーバ110に結合され、レシーバ110からデジタル信号を受信する。プロセッサ120は、レシーバ110から受信したデジタル信号に対してレンジFFT(高速フーリエ変換)及び角度FFTを実施して、複素サンプルの第1のマトリックスが生成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダー装置であって、
第1のチャープを送信するように構成されるトランスミッタであって、前記第1のチャープが一つ又は複数の障害物により拡散されて、第1の複数の拡散信号を生成する、前記トランスミッタ、
前記第1の複数の拡散信号を受信するように構成される複数のレシーバであって、前記複数のレシーバの各レシーバが、前記第1の複数の拡散信号の或る拡散信号に応答してデジタル信号を生成するように構成される、前記複数のレシーバ、及び
前記複数のレシーバに結合され、前記複数のレシーバから前記デジタル信号を受信するように構成される、プロセッサであって、複素サンプルの第1のマトリックスを生成するため、前記複数のレシーバから受信された前記デジタル信号に対してレンジFFT(高速フーリエ変換)及び角度FFTを実施するように構成される、前記プロセッサ、
を含む、レーダー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダー装置であって、
前記プロセッサが、前記第1のチャープに対応する第1の出力データを生成するため、複素サンプルの前記第1のマトリックスに対して非線形演算を実施するように構成され、第2のチャープに対応する第2の出力データを生成するため、複素サンプルの第2のマトリックスに対して前記非線形演算を実施するように構成される、レーダー装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレーダー装置であって、
前記プロセッサが、二次元画像を生成するため、前記第1の出力データ及び前記第2の出力データを加算するように構成される、レーダー装置。
【請求項4】
請求項2に記載のレーダー装置であって、
前記プロセッサが、二次元画像を生成するため、前記第1の出力データ及び前記第2の出力データの重み付された平均を加算するように構成される、レーダー装置。
【請求項5】
請求項1に記載のレーダー装置であって、
前記プロセッサが、前記二次元画像から前記一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度を判定するように構成される、レーダー装置。
【請求項6】
請求項1に記載のレーダー装置であって、
前記トランスミッタが、
前記第1のチャープを生成するように構成される局部発振器、及び
前記局部発振器に結合され、前記第1のチャープを送信するように構成される、送信アンテナ、
を含む、レーダー装置。
【請求項7】
請求項1に記載のレーダー装置であって、
前記複数のレシーバの各レシーバが、
前記複数の拡散信号のうちの前記拡散信号を受信するように構成される受信アンテナ、
増幅された拡散信号を生成するため、前記拡散信号を増幅するように構成される低雑音アンプ(LNA)、
前記LNA及び前記局部発振器に結合されるミキサであって、IF(中間周波数)信号を生成するため、前記増幅された拡散信号及び前記第1のチャープをミキシングするように構成される、前記ミキサ、
前記ミキサに結合され、フィルタされたIF信号を前記IF信号から生成するように構成される、IFフィルタ、及び
前記IFフィルタに結合され、前記デジタル信号を生成するため、前記フィルタされたIF信号をサンプリングするように構成される、ADC(アナログデジタルコンバータ)、
を含む、レーダー装置。
【請求項8】
レーダー装置であって、
複数のチャープを送信するように構成されるトランスミッタであって、前記複数のチャープが一つ又は複数の障害物により拡散されて、複数の拡散信号を生成する、前記トランスミッタ、
前記複数の拡散信号を受信するように構成される複数のレシーバであって、前記複数のレシーバの各レシーバが、前記複数の拡散信号の或る拡散信号に応答してデジタル信号を生成するように構成される、前記複数のレシーバ、及び
前記複数のレシーバに結合され、各レシーバから前記デジタル信号を受信するように構成される、プロセッサ、
を含み、
前記プロセッサが、
前記複数のレシーバの各レシーバから前記デジタル信号を受信するように構成され、各レシーバからの前記デジタル信号が、前記複数のチャープのうちの或るチャープに対応しており、
前記チャープに対応する複素サンプルのマトリックスを生成するため、前記複数のレシーバから受信された前記デジタル信号に対してレンジFFT(高速フーリエ変換)及び角度FFTを実施するように構成され、及び、
二次元画像を生成するため、前記複数のチャープの各チャープに対応する複素サンプルのマトリックスをノンコヒーレントに累積するように構成される、レーダー装置。
【請求項9】
請求項8に記載のレーダー装置であって、
複素サンプルの前記マトリックスをノンコヒーレントに累積することが、
出力データを生成するため、前記複数のチャープのうちの或るチャープに対応して生成される、複素サンプルのマトリックスに対して非線形演算を実施すること、
前記出力データを二次メモリにストアすること、
前記出力データと、前記複数のチャープの各チャープに対応して生成される複素サンプルのマトリックスに対して前記非線形演算を実施することによるデータとを加算することによって二次メモリの前記出力データを更新することであって、前記出力データを更新することにより最終データが生成されること、及び
前記最終データから前記二次元画像を生成すること、
を更に含む、レーダー装置。
【請求項10】
請求項8に記載のレーダー装置であって、
複素サンプルの前記マトリックスをノンコヒーレントに累積することが、
出力データを生成するため、前記複数のチャープのうちの或るチャープに対応して生成される、複素サンプルのマトリックスに対して非線形演算を実施すること、
前記出力データを二次メモリにストアすること、
前記出力データと、前記複数のチャープの各チャープに対応して生成される複素サンプルのマトリックスに対して前記非線形演算を実施することによるデータとの重み付された平均を順次加算することによって二次メモリにおける前記出力データを更新することであって、前記出力データを更新することにより最終データが生成されること、及び
前記最終データから前記二次元画像を生成すること、
を更に含む、レーダー装置。
【請求項11】
請求項8に記載のレーダー装置であって、
前記プロセッサが、前記二次元画像から前記一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度を判定するように構成される、レーダー装置。
【請求項12】
方法であって、
第1のチャープに応答して第1の複数のデジタル信号を生成すること、
複素サンプルの第1のマトリックスを生成するため、前記第1の複数のデジタル信号に対してレンジFFT(高速フーリエ変換)及び角度FFTを実施すること、
第1の出力データを生成するため、複素サンプルの前記第1のマトリックスに対して非線形演算を実施すること、
第2のチャープに応答して第2の複数のデジタル信号を生成すること、
複素サンプルの第2のマトリックスを生成するため、前記第2の複数のデジタル信号に対してレンジFFT及び角度FFTを実施すること、
第2の出力データを生成するため、複素サンプルの前記第2のマトリックスに対して前記非線形演算を実施すること、
前記第1の出力データ及び前記第2の出力データから二次元画像を生成すること、及び
前記二次元画像から一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度を判定すること、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記二次元画像を生成することが、前記第1の出力データ及び前記第2の出力データを加算することを更に含む、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記二次元画像を生成することが、前記第1の出力データ及び前記第2の出力データの重み付された平均を加算することを更に含む、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、更に、
前記第1のチャープを送信することであって、前記第1のチャープが、前記一つ又は複数の障害物により拡散されて第1の複数の拡散信号を生成すること、
前記第1の複数の拡散信号から前記第1の複数のデジタル信号を生成すること、
前記第2のチャープを送信することであって、前記第2のチャープが、前記一つ又は複数の障害物により拡散されて第2の複数の拡散信号を生成すること、及び
前記第2の複数の拡散信号から前記第2の複数のデジタル信号を生成すること、
を含む、方法。
【請求項16】
方法であって、
複数のチャープを生成すること、
前記複数のチャープのうちの或るチャープに対応する複数のデジタル信号を生成すること、
前記チャープに対応して生成される前記複数のデジタル信号に対してレンジFFT(高速フーリエ変換)及び角度FFTを実施することにより、前記チャープに対応する複素サンプルのマトリックスを生成すること、及び
二次元画像を生成するため、前記複数のチャープの各チャープに対応する複素サンプルのマトリックスをノンコヒーレントに累積すること、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
複素サンプルの前記マトリックスをノンコヒーレントに累積することが、
出力データを生成するため、前記複数のチャープのうちの或るチャープに対応して生成される、複素サンプルのマトリックスに対して非線形演算を実施すること、
前記出力データを二次メモリにストアすること、
前記出力データと、前記複数のチャープの各チャープに対応して生成される複素サンプルのマトリックスに対して前記非線形演算を実施することによるデータとを加算することによって二次メモリにおける前記出力データを更新することであって、前記出力データを更新することにより最終データが生成されること、及び
前記最終データから前記二次元画像を生成すること、
を更に含む、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、
複素サンプルの前記マトリックスをノンコヒーレントに累積することが、
出力データを生成するため、前記複数のチャープのうちの或るチャープに対応して生成される、複素サンプルのマトリックスに対して非線形演算を実施すること、
前記出力データを二次メモリにストアすること、
前記出力データと、前記複数のチャープの各チャープに対応して生成される複素サンプルのマトリックスに対して前記非線形演算を実施することによるデータとの重み付された平均を順次加算することによって二次メモリにおける前記出力データを更新することであって、前記出力データを更新することにより最終データが生成されること、及び
前記最終データから前記二次元画像を生成すること、
を更に含む、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、
前記二次元画像から前記一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度を判定することを更に含む、方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法であって、更に、
前記複数のチャープを送信することであって、前記複数のチャープのうちの一つのチャープが、前記一つ又は複数の障害物により拡散されて、複数の拡散信号を生成すること、及び
前記複数の拡散信号から前記チャープに対応する前記複数のデジタル信号を生成すること、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概してレーダーに関し、更に特定して言えば、レーダーのメモリ要件を最適化することに関連する。
【背景技術】
【0002】
オートモーティブ応用例におけるレーダーの利用は急速に発展している。レーダーには、衝突警告、死角警告、レーン変更支援、駐車支援、及び後方衝突警告など、車両に関連する多くの応用例における用途が見出されている。このような応用例において、パルスレーダー及びFMCW(周波数変調連続波)レーダーが主として用いられている。
【0003】
FMCWレーダーにおいて、局部発振器が、送信信号を周波数変調することによって周波数ランプセグメントを生成する。周波数ランプセグメントはチャープとも呼ばれる。周波数ランプセグメントは、増幅され、一つ又は複数の送信ユニットにより発せられる。周波数ランプセグメントは、一つ又は複数の障害物により拡散されて、拡散された信号が生成される。拡散された信号は、FMCWレーダーにおける一つ又は複数の受信ユニットにより受信される。周波数ランプセグメントと拡散された信号とをミキシングすることにより得られる信号は、IF(中間周波数)信号と称される。IF信号の周波数(f)は、FMCWレーダーからの障害物の距離(d)に、及びまた、周波数ランプセグメントのスロープ(S)に比例する。
【0004】
IF信号は、ADC(アナログデジタルコンバータ)によりサンプリングされる。ADCにより生成されるサンプリングされたデータは、一つ又は複数の障害物の位置及び速度を得るために、プロセッサによって処理される。或る種類のFMCWレーダーにおいて、プロセッサは、サンプリングされたデータに対してFFT(高速フーリエ変換)ベースのコヒーレント処理を実施する。しかしながら、この従来の処理は、プロセッサ内の大量のメモリを必要とする。これはFMCWレーダーのサイズに悪影響を及ぼす。
【0005】
既存のFMCWレーダーには、FFT処理において生成されたデータを圧縮するために、既知のメモリ圧縮手法を用いるものがある。しかしながら、これらのメモリ圧縮手法は本質的に損失が多く、結果的に、レーダーシステムの精度が劣化する。メモリを低減する別の従来のアプローチは、FFT処理の単一フレームにおいて観測され得るFMCWレーダーのレンジを制限することに基づく。そのため、複数のフレームが送信ユニットにより送信され、各フレームは特定のレンジ(レンジ)に専用である。このアプローチでは、単一観測に複数のフレームが必要とされるので、FMCWレーダーの電力消費が増大され、また、リアルタイム応用例においてFMCWレーダーを用いることが困難となる。
【発明の概要】
【0006】
記載される例において、レーダー装置が、第1のチャープを送信するトランスミッタを含む。第1のチャープは、一つ又は複数の障害物により拡散されて、拡散された信号が生成される。複数のレシーバが、拡散された信号を受信する。レシーバの各々は、拡散された信号の一つに応答してデジタル信号を生成する。プロセッサが、レシーバに結合され、レシーバからデジタル信号を受信する。プロセッサは、レシーバから受信したデジタル信号に対してレンジFFT(高速フーリエ変換)及び角度FFTを実施して、複素サンプルの第1のマトリックスが生成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施例に従ったレーダー装置を図示する。
【0008】
図2A】レーダー装置におけるFFT処理を図示する。
図2B】レーダー装置におけるFFT処理を図示する。
図2C】レーダー装置におけるFFT処理を図示する。
【0009】
図3A】一実施例に従った、レーダー装置におけるFFT処理を図示する。
図3B】一実施例に従った、レーダー装置におけるFFT処理を図示する。
【0010】
図4】一実施例に従った、レーダー装置により生成される画像を図示する。
【0011】
図5】一実施例に従って、レーダー装置のオペレーションの方法を例示するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、一実施例に従ったレーダー装置100を図示する。レーダー装置100はトランスミッタ101を含む。トランスミッタ101は、局部発振器102及び送信アンテナ104を含む。送信アンテナ104は局部発振器102に結合される。一つのバージョンにおいて、局部発振器102と送信アンテナ104との間に電力増幅器が結合される。レーダー装置100はレシーバ110も含む。レシーバ110は、受信アンテナ108、低雑音アンプ(LNA)112、ミキサ114、中間周波数(IF)フィルタ116、及びアナログデジタルコンバータ(ADC)118を含む。LNA112は受信アンテナ108に結合される。ミキサ114はLNA112に結合される。ミキサ114は、局部発振器102にも結合される。
【0013】
IFフィルタ116はミキサ114に結合される。ADC118はIFフィルタ116に結合される。プロセッサ120がADC118に結合される。一つのバージョンにおいて、レーダー装置100は、接続及びオペレーションにおいてレシーバ110に類似する、複数のレシーバを含む。レシーバの各々は、受信アンテナ、LNA、ミキサ、IFフィルタ、及びADCを含む。レシーバの各々におけるADCは、プロセッサ120に結合される。一例において、レーダー装置100は複数のプロセッサを含み、レシーバの各々がプロセッサの一つに結合される。レーダー装置100は、説明を簡潔にするためここでは述べない、一つ又はそれ以上の付加的な構成要素を含み得る。
【0014】
図1のレーダー装置100のオペレーションにおいて、局部発振器102は、周波数ランプセグメント(チャープとも称される)を生成する。一例において、局部発振器102と送信アンテナ104との間に電力増幅器が結合される。チャープは、電力増幅器により増幅され、送信アンテナ104に提供される。トランスミッタ101における送信アンテナ104は、チャープを送信する。チャープは、一つ又は複数の障害物により拡散されて、複数の拡散された信号が生成される。
【0015】
拡散された信号の一つが、レシーバ110により受信される。受信アンテナ108は、拡散された信号を受信する。LNA112は、拡散された信号を増幅する。ミキサ114は、局部発振器102により生成されたチャープと、増幅された拡散信号から受信したLNA112とをミキシングする。ミキサ114は、IF(中間周波数)信号を生成する。IF信号は、IFフィルタ116によりフィルタされて、フィルタされたIF信号を生成する。ADC118は、デジタル信号を生成するため、フィルタされたIF信号をサンプリングする。
【0016】
上記の例において、レーダー装置100が複数のレシーバを含む場合、レシーバの各々が、拡散された信号の一つを受信し、デジタル信号を生成する。拡散された信号は、送信アンテナ104により送信されるチャープに対応して生成される。そのため、プロセッサ120はレシーバからデジタル信号を受信する。
【0017】
デジタル信号は、一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度を得るため、プロセッサ120によって処理される。プロセッサ120は、デジタル信号に対してFFT(高速フーリエ変換)を実施する。FFTスペクトルにおけるピークが障害物を表し、FFTスペクトルにおけるピークの位置が、レーダー装置100からの障害物の相対的な距離に比例する。プロセッサ120によって実施される処理は、図3A及び図3Bに関連する説明において後述する。
【0018】
図2A図2Cは、レーダー装置におけるFFT処理を図示する。FFT処理は、レーダー装置100に関連して説明される。レーダー装置100は複数のチャープを送信する。チャープのセットが、或るフレームを形成する。一例において、フレームがN個のチャープを含み、Nは整数である。N個のチャープのうちの或るチャープが、一つ又は複数の障害物により拡散されて、複数の拡散された信号が生成される。
【0019】
レーダー装置100が複数のレシーバを含む場合、レシーバの各々が、拡散された信号の一つを受信し、デジタル信号を生成する。そのため、プロセッサ120は、レシーバからデジタル信号を受信する。デジタル信号は、N個のチャープのうちの或るチャープに対応する。
【0020】
プロセッサ120は、レシーバから受信した各デジタル信号にわたってレンジFFT(高速フーリエ変換)又は1D FFTを実施する。レシーバにわたって及びチャープのセットにわたってプロセッサ120により生成されるレンジFFTデータが、プロセッサ120内の一次メモリにストアされる。これを、4つのレシーバの場合について図2Aに図示する。
【0021】
図2Aは、4つのレシーバに対応して生成されるM、M、M、及びMとして表される4つのマトリックスを図示する。これらのマトリックスは一次メモリにストアされる。フレームは、第1のチャープ、第2のチャープ~Ν番目のチャープを含む。プロセッサ120は、第1のチャープ(チャープ#1)に対応して4つのレシーバからデジタル信号を受信する。第1のレシーバは、第1のチャープ(チャープ#1)に対して第1のデジタル信号を生成する。プロセッサ120は、第1のデジタル信号に対応してレンジFFTデータ202を生成し、マトリックスMにそれをストアする。
【0022】
第2のレシーバが、第1のチャープ(チャープ#1)に対して第2のデジタル信号を生成する。プロセッサ120は、第2のデジタル信号に対応してレンジFFTデータ204を生成し、それをマトリックスMにストアする。同様に、プロセッサ120は、第1のチャープ(チャープ#1)に対応して第3のレシーバ及び第4のレシーバから受信したデジタル信号を処理し、それらを、それぞれ、マトリックスM及びマトリックスMにストアする。
【0023】
第1のレシーバは、第2のチャープ(チャープ#2)に対して第5のデジタル信号を生成する。プロセッサ120は、第5のデジタル信号に対応してレンジFFTデータ212を生成し、それをマトリックスMにストアする。第2のレシーバは、第2のチャープ(チャープ#2)に対して第6のデジタル信号を生成する。プロセッサ120は、第6のデジタル信号に対応してレンジFFTデータ214を生成し、それをマトリックスMにストアする。同様に、プロセッサ120は、第2のチャープ(チャープ#2)に対応して第3のレシーバ及び第4のレシーバから受信したデジタル信号を処理し、それらを、それぞれ、マトリックスM及びマトリックスMにストアする。
【0024】
同様の方式で、プロセッサ120は、Ν番目のチャープ(チャープ#N)に対応して受信したデジタル信号に対してレンジFFTを実施し、対応するマトリックスにレンジFFTデータをストアする。例えば、第1のレシーバは、N番目のチャープ(チャープ#N)に対応してデジタル信号を生成する。プロセッサ120は、Ν番目のチャープに対応してレンジFFTデータ220を生成し、それをマトリックスMにストアする。レンジFFTは、レンジにおける一つ又は複数の障害物を解像する。一例において、レンジFFTのサイズはNrangeである。
【0025】
フレーム全体に対応するレンジFFTデータが一次メモリにストアされた後、レーダー装置100は、図2Bに図示するように、ドップラーFFT又は2D FFTを実施する。ドップラーFFTは、コラムC1、C2~CMにわたって実施され、プロセッサ120により生成されるドップラーFFTデータが、240として図示されるドップラービンにストアされる。一例において、レンジFFTデータは、(図2Aに図示するように)一次メモリのロウ(row)にわたってストアされ、これらは、レンジビンと呼ばれ、230として図示される。ドップラーFFTは、一次メモリのコラムにわたって実施され、ドップラーFFTデータは、(図2Bに図示するように)240として図示されるドップラービンにストアされる。
【0026】
別の例において、レンジFFTデータが、一次メモリのコラムにわたってストアされる。従って、ドップラーFFTが、一次メモリのロウにわたって実施される。一例において、ドップラーFFTのサイズはNdopplerである。ドップラーFFTにおいてゼロパディングが実施される場合、Ndopplerは、フレーム毎のチャープの数より大きい。ドップラーFFTは、ドップラーにおける一つ又は複数の障害物を解像する。
【0027】
プロセッサ120がレンジFFT及びドップラーFFTを実施した後、各マトリックスは、図2Cに図示するように、複数のデータビンを含む。例えば、マトリックスMは、データビン(1,1)、(2,1)~(M,N)を含む。同様のデータビンが、マトリックスM、M、及びMにおいてつくられる。続いて、プロセッサ120は、一次メモリにストアされたデータに対して角度FFTを実施する。角度FFTは、マトリックスの対応する要素に沿って実施される。そのため、M(i,j)、M(i,j)、M(i,j)、及びM(i,j)に沿って角度FFTが実施される。例えば、角度FFTが、下記のデータビン、M(1,1)、M(1,1)、M(1,1)、及びM(1,1)に対して実施される。
【0028】
角度FFTは、マトリックスM~Mの全てのデータビンに対して実施される。一例において、角度FFTのサイズはNangleである。角度FFTにおいてゼロパディングが実施される場合、Nangleは、レーダー装置100におけるレシーバの数より大きい。レンジFFTのこのシーケンスの後、ドップラーFFTが続き、その後、角度FFTが続いて、それぞれ、レンジ、速度、及び角度における一つ又は複数の障害物を解像する。プロセッサ120は、このシーケンスを用いて、当該一つ又は複数の障害物のレンジ、速度、及び角度を判定する。
【0029】
しかしながら、プロセッサ120によって用いられるこのFFT処理手法は、大量の一次メモリを必要とする。一次メモリにストアされることが要求されるサンプリングの数は、(Nrange)×(Ndoppler)×(Nangle)である。一例において、これは、一次メモリにおいて512MBのサイズを要する。大きな一次メモリは、レーダー装置100のサイズに悪影響を及ぼす。
【0030】
図3A及び図3Bは、一実施例に従った、レーダー装置におけるFFT処理を図示する。FFT処理は、レーダー装置100に関連して説明される。レーダー装置100は、複数のチャープを送信する。チャープのセットが、フレームを形成する。一例において、フレームはN個のチャープを含み、ここで、Nは整数である。
【0031】
フレームは第1のチャープを含む。レーダー装置100におけるトランスミッタ101は、第1のチャープを送信する。第1のチャープは一つ又は複数の障害物により拡散されて、第1の複数の拡散された信号が生成される。レーダー装置100におけるレシーバ110に類似する複数のレシーバが、第1の複数の拡散された信号を受信する。理解し易くするため、この例ではレーダー装置100は、4つのレシーバ、レシーバ#1、レシーバ#2、レシーバ#3、及びレシーバ#4を含む。これらのレシーバの各々が、第1の複数の拡散された信号の一つに応答してデジタル信号を生成する。そのため、レーダー装置100は、第1のチャープに応答して第1の複数のデジタル信号を生成する。プロセッサ120は、レシーバから第1の複数のデジタル信号を受信し、デジタル信号に対してレンジFFT(高速フーリエ変換)を実施して、4つのレシーバに対応して図3Aに図示されるマトリックスが生成される。マトリックスは、一次メモリにストアされる。
【0032】
プロセッサ120は、第1のチャープに対応して4つのレシーバからデジタル信号を受信する。第1のレシーバ(レシーバ#l)が、第1のチャープに対して第1のデジタル信号を生成する。プロセッサ120は、第1のデジタル信号に対応してレンジFFTデータ302を生成し、それをマトリックスにストアする。
【0033】
第2のレシーバ(レシーバ#2)が、第1のチャープに対して第2のデジタル信号を生成する。プロセッサ120は、第2のデジタル信号に対応してレンジFFTデータ304を生成し、それをマトリックスにストアする。第3のレシーバ(レシーバ#3)が、第1のチャープに対して第3のデジタル信号を生成する。プロセッサ120は、第3のデジタル信号に対応してレンジFFTデータ306を生成し、それをマトリックスにストアする。第4のレシーバ(レシーバ#4)が、第1のチャープに対して第4のデジタル信号を生成する。プロセッサ120は、第4のデジタル信号に対応してレンジFFTデータ308を生成し、それをマトリックスにストアする。
【0034】
レンジFFTは、レンジにおける一つ又は複数の障害物を解像する。一例において、レンジFFTのサイズはNrangeである。第1のチャープに対応するレンジFFTデータが一次メモリにストアされた後、レーダー装置100は、図3Bに図示するように、角度FFT又は3D FFTを実施する。
【0035】
角度FFTは、コラムC1、C2~CNにわたって実施されて、複素サンプルの第1のマトリックスが生成される。プロセッサ120は、角度FFTを実施し、複素サンプルを一次メモリにストアする。複素サンプルの第1のマトリックスは、第1のチャープに対応する。一例において、レンジFFTデータは、(図3Aに図示するように)一次メモリのロウにわたってストアされる。角度FFTは、一次メモリのコラムにわたって実施され、そのため生成された複素サンプルの第1のマトリックスは、(図3Bに図示するように)一次メモリにストアされる。
【0036】
別の例において、レンジFFTデータが、一次メモリのコラムにわたってストアされる。従って、角度FFTが、一次メモリのロウにわたって実施される。一例において、角度FFTのサイズはNangleである。レンジFFTのこのシーケンスの後、角度FFTが続いて、それぞれ、レンジ及び角度において一つ又は複数の障害物を解像する。一例において、プロセッサ120は、一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度を判定するために、複素サンプルのマトリックスにおけるピーク値を用いる。
【0037】
プロセッサ120は、複素サンプルの第1のマトリックスから第1の出力データを生成する。第1の出力データは、第1のチャープに対応する。一例において、第1の出力データは、複素サンプルの第1のマトリックスに対して非線形演算から生成される。非線形演算は、モジュラス演算及び大きさ平方演算の少なくとも一方である。モジュラス演算では、複素サンプルの第1のマトリックスの各サンプルに対して、絶対値が生成される。大きさ平方演算では、複素サンプルの第1のマトリックスの各サンプルの実部及び虚部が、平方及び加算される。また、第1の出力データはマトリックスの形態である。プロセッサ120は、第1の出力データを二次メモリにストアする。
【0038】
上述したものと同様の方式で、プロセッサ120は、第2のチャープに対応して生成される複素サンプルの第2のマトリックスに対する非線形演算から第2の出力データを生成する。第2のチャープは、トランスミッタにおいて送信アンテナ104により送信される。第2のチャープは、一つ又は複数の障害物により拡散されて、第2の複数の拡散された信号が生成される。レーダー装置100における複数のレシーバは、第2の複数の拡散された信号を受信し、第2の複数のデジタル信号を生成する。
【0039】
プロセッサ120は、第2の複数のデジタル信号に対してレンジFFT及び角度FFTを実施して、複素サンプルの第2のマトリックスが生成される。プロセッサ120は、複素サンプルの第2のマトリックスから第2の出力データを生成する。一つのバージョンにおいて、プロセッサ120は、二次元画像を生成するため、複素サンプルの第1のマトリックスと第2の複素サンプルのマトリックスとをノンコヒーレントに累積する。
【0040】
別のバージョンにおいて、プロセッサ120は、二次元画像を生成するため、二次メモリにストアされた第1の出力データと第2の出力データとを加算するように構成される。これを下記式に示す。
final=Bfirst+Bsecond (1)
ここで、Bfirstは第1の出力データであり、Bsecondは第2の出力データであり、Bfinalは、二次メモリにストアされた第1の出力データを加算することにより得られる最終データである。Bfinalは、二次元画像を生成するためプロセッサ120に用いられる。
【0041】
更に別のバージョンにおいて、プロセッサ120は、二次元画像を生成するため、第1の出力データ及び第2の出力データの重み付された平均を加算するように構成される。二次元画像は二次メモリにストアされる。プロセッサ120は、二次元画像から一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度を判定する。これを下記式に示す。
final=αBfirst+(1-α)Bsecond (2)
ここで、αは重みを表す。
【0042】
ノンコヒーレント累積手法を用いるプロセッサ120によるメモリ要件は、Nrange×Nangle×2である(ここで、2の因数は、一次メモリ及び二次メモリ両方を考慮するためである)。これは、図2A図2Cに関連して述べたメモリ要件よりずっと小さい。
【0043】
トランスミッタ101により複数のチャープが送信される場合のレーダー装置100におけるFFT処理が説明される。第1のチャープ及び第2のチャープを参照して上記で説明した処理は、チャープが第1のチャープ及び第2のチャープを含む場合、下記説明に適合する。
【0044】
レーダー装置100におけるトランスミッタ101は、チャープを送信する。一例において、フレームはNチャープを含み、ここで、Nは整数である。複数のチャープは、一つ又は複数の障害物により拡散されて、複数の拡散された信号が生成される。
【0045】
レーダー装置100は複数のレシーバを含む。複数のレシーバは、拡散された信号を受信する。レシーバの各々が、拡散された信号の一つを受信し、デジタル信号を生成する。そのため、プロセッサ120は、レシーバの各々からデジタル信号を受信する。デジタル信号は、チャープの一つに対応する。
【0046】
プロセッサ120は、レシーバから受信したデジタル信号に対してレンジFFT及び角度FFTを実施して、チャープに対応する複素サンプルのマトリックスが生成される。プロセッサ120は、第1の複数のデジタル信号に関連して述べたものと同様の方式でレンジFFT及び角度FFTを実施する。プロセッサ120は、二次元画像を生成するため、チャープの各々に対応する複素サンプルのマトリックスをノンコヒーレントに累積する。
【0047】
プロセッサ120は、二つの方式でノンコヒーレント累積を実施する。第1の方式において、プロセッサ120は、チャープの一つに対応して生成される複素サンプルのマトリックスに対して非線形演算を実施することにより出力データを生成する。出力データは二次メモリにストアされる。プロセッサ120は、出力データと、チャープの各々に対応して生成される複素サンプルのマトリックスに対して非線形演算を実施することによるデータとを加算することによって、二次メモリを更新する。非線形演算は、モジュラス演算及び大きさ平方演算の少なくとも一方である。出力データを更新することによって最終データが生成される。プロセッサは、最終データから二次元画像を生成する。これは下記式に示される。この例示のために用いられる非線形演算は、複素サンプルのマトリックスの絶対値が考慮される、モジュラス演算である。例えば、初期的に出力データS0が二次メモリにストアされ、プロセッサ120は、第1のチャープに対応して生成される複素サンプルのマトリックスの絶対値|x1|を加算する。一例において、出力データS0はゼロに初期化される。最終データは、下記のように与えられる。
S1=S0+|x1| (3)
【0048】
プロセッサ120が、第2のチャープに対応して生成される複素サンプルのマトリックスの絶対値|x2|を加算するとき、最終データは、下記のように与えられる。
S2=S1+|x2| (4)
【0049】
そのため、プロセッサ120がN番目のチャープに対応して生成される複素サンプルのマトリックスの絶対値|xn|を加算し、ここで、Nが整数であるとき、最終データは下記のように与えられる。
SN=S(N-1)+|xn| (5)
【0050】
第2の方式において、プロセッサ120は、チャープの一つに対応して生成される複素サンプルのマトリックスに対して実施される非線形演算から出力データを生成する。出力データは二次メモリにストアされる。プロセッサ120は、出力データと、チャープの各々に対応して生成される複素サンプルのマトリックスに対して非線形演算を実施することによるデータとの重み付された平均を順次加算することによって、二次メモリを更新する。出力データを更新することによって最終データが生成される。プロセッサは、最終データから二次元画像を生成する。これは、下記数式において例示される。この例示のために用いられる非線形演算は、複素サンプルのマトリックスの絶対値が考慮される、モジュラス演算である。例えば、初期的に出力データS0が二次メモリにストアされる。一例において、出力データS0はゼロに初期化される。最終データは、下記のように与えられる。
S1=αS0+(1-α)|x1| (6)
ここで、αは重みである。
【0051】
プロセッサ120が、第2のチャープに対応して生成される複素サンプルのマトリックスの絶対値|x2|を加算するとき、最終データは下記のように与えられる。
S2=αSl+(l-α)|x2| (7)
【0052】
そのため、プロセッサ120が、N番目のチャープに対応して生成される複素サンプルのマトリックスの絶対値|xn|を加算し、Nが整数であるとき、最終データは下記のように与えられる。
SN=αS(N-l)+(l-α)|xn| (8)
【0053】
プロセッサ120は、最終データに対応する二次元画像から一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度を判定する。複数チャープにわたるデータのノンコヒーレント累積は、上述のように、レーダー装置100の信号対雑音比(SNR)を増大させるように働く。一例において、プロセッサ120は、フレームにおけるNチャープに対応する(二次メモリにおける)データをノンコヒーレントに累積し、その後、一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度の判定を実施する。
【0054】
別の例において、プロセッサ120は、定義された数のチャープに対応する(二次メモリにおける)データをノンコヒーレントに累積し、その後、一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度の判定を実施する。この特徴は、トランスミッタ101により連続チャープが送信されるとき有用である。
【0055】
また、連続するフレームにわたる障害物のレンジの差を用いることにより障害物の速度が測定され得る。
【0056】
図4は、一実施例に従った、レーダー装置により生成される画像を図示する。画像は、図3A及び図3Bに関連して記載されたFFT処理を用いてレーダー装置100により生成される。図4は、レーダー装置が8個のレシーバを含み、チャープ毎に256サンプルがあることを図示する。
【0057】
図4は、フレームにおける64チャープのノンコヒーレント累積の後の最終データ(SN)を表す表である。図4は、50のNrangeで生じるピーク、及び2の角度インデックス2を図示する。4cmのレンジ解像度のレーダー装置100では、50のNrangeは、50×4=200cmのレンジに対応する。同様に、2の角度インデックスは、sin(2×2/レシーバの数)=30度の方位角角度に対応する。
【0058】
図5は、一実施例に従った、レーダー装置のオペレーションの方法を図示するためのフローチャートである。工程502で、複数のチャープが生成される。一例において、フレームはNチャープを含み、Nは整数である。工程504で、複数のデジタル信号が、チャープの一つに対応して生成される。複数のチャープは、一つ又は複数の障害物により拡散され、各チャープに対して、複数の拡散された信号が生成される。例えば、図1に図示されるレーダー装置100は複数のレシーバを含む。各チャープに対して、レシーバは、拡散された信号を受信する。レシーバの各々が、拡散された信号の一つを受信し、デジタル信号を生成する。
【0059】
工程506で、チャープに対応する複素サンプルのマトリックスが、チャープに対応して生成されるデジタル信号に対してレンジFFT(高速フーリエ変換)及び角度FFTを実施することにより生成される。図1において図示されるプロセッサ120などのプロセッサが、レシーバの各々からデジタル信号を受信する。デジタル信号はチャープに対応する。プロセッサは、レシーバから受信したデジタル信号に対してレンジFFT及び角度FFTを実施して、複素サンプルのマトリックスに対応するチャープが生成される。
【0060】
工程508で、二次元画像を生成するため、チャープの各々に対応する複素サンプルのマトリックスが、ノンコヒーレントに累積される。プロセッサは、二次元画像から一つ又は複数の障害物のレンジ及び角度を判定する。複数チャープにわたるデータのノンコヒーレント累積は、レーダー装置の信号対雑音比(SR)を増大させるように働く。
【0061】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-11-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダー装置であって、
複数のチャープを送信するように構成されるトランスミッタ
複数のレシーバであって、各レシーバが、各チャープについての拡散信号を受信して前記拡散信号に応答してデジタル信号を生成するように構成される、前記複数のレシーバ
前記複数のレシーバに結合され、1次メモリと2次メモリとを含むプロセッサであって、
複素サンプルの第1のマトリックスを生成するために第1のチャープに対応する前記デジタル信号に対してレンジFFT(高速フーリエ変換)角度FFTを実施し、
前記1次メモリに前記複素サンプルの第1のマトリックスを格納し、
前記第1のチャープに対応する第1の出力データを生成するために前記複素サンプルの第1のマトリックスに対して非線形演算を実施し、
前記2次メモリに前記第1の出力データを格納し、
複素サンプルの第2のマトリックスを生成するために第2のチャープに対応する前記デジタル信号に対してレンジFFTと角度FFTとを実施し、
前記1次メモリに前記複素サンプルの第2のマトリックスを格納し、
前記第2のチャープに対応する第2の出力データを生成するために前記複素サンプルの第2のマトリックスに対して非線形演算を実施し、
2次元画像を生成するために前記2次メモリにおいて前記第2の出力データを前記第1の出力データとノンコヒーレントに累積する
ように構成される、前記プロセッサ
を含む、レーダー装置。
【請求項2】
請求項に記載のレーダー装置であって、
前記プロセッサが、次元画像を生成するため前記第1の出力データ前記第2の出力データを加算するように更に構成される、レーダー装置。
【請求項3】
請求項に記載のレーダー装置であって、
前記プロセッサが、次元画像を生成するため前記第1の出力データ前記第2の出力データの重み付された平均を加算するように更に構成される、レーダー装置。
【請求項4】
請求項1に記載のレーダー装置であって、
前記プロセッサが、前記次元画像からつ又は複数の障害物のレンジ角度を判定するように更に構成される、レーダー装置。
【請求項5】
請求項1に記載のレーダー装置であって、
前記トランスミッタが、
前記第1のチャープを生成するように構成される局部発振器
前記局部発振器に結合され、前記第1のチャープを送信するように構成される送信アンテナ
を含む、レーダー装置。
【請求項6】
請求項1に記載のレーダー装置であって、
前記複数のレシーバが、
複数の受信アンテナであって、各受信アンテナが前記複数の拡散信号の1つの拡散信号を受信するように構成される、前記複数の受信アンテナ
複数の低雑音増幅器(LNA)であって、各LNAが増幅された拡散信号を生成するため前記拡散信号を増幅するように構成される、前記複数のLNA
前記複数のLNAの各々と局部発振器に結合されるミキサであって、IF(中間周波数)信号を生成するため前記増幅された拡散信号前記第1のチャープ混合するように構成される、前記ミキサ
前記ミキサに結合され、前記IF信号からフィルタされたIF信号を生成するように構成されるIFフィルタ
前記IFフィルタに結合され、前記デジタル信号を生成するため前記フィルタされたIF信号をサンプリングするように構成されるADC(アナログデジタルコンバータ)
を含む、レーダー装置。
【請求項7】
請求項1に記載のレーダー装置であって、
前記非線形演算が、モジュラス演算である、レーダー装置。
【請求項8】
請求項1に記載のレーダー装置であって、
前記非線形演算が、大きさ平方演算である、レーダー装置。
【請求項9】
方法であって、
第1の複数のデジタル信号を生成することであって、前記第1の複数のデジタル信号の各々が複数のレシーバの関連する1つで受信された拡散された第1のチャープに対応する、前記第1の複数のデジタル信号を生成すること
前記第1の複数のデジタル信号に対してレンジ及び方位角FFT(高速フーリエ変換)を実施すること
前記第1の複数のデジタル信号に対するレンジ及び方位角FFTの結果を複素信号として1次メモリに格納することと、
第1の出力データを生成するために前記第1の複数のデジタル信号に対するレンジ及び方位角FFTに対応する前記複素信号に対して非線形演算を実施すること
前記第1の出力データを2次メモリに格納することと、
第2の複数のデジタル信号を生成することであって、前記第2の複数のデジタル信号の各々が前記複数のレシーバの関連する1つで受信された拡散された第2のチャープに対応する、前記第2の複数のデジタル信号を生成すること
前記第2の複数のデジタル信号に対してレンジ及び方位角FFTを実施すること
前記第2の複数のデジタル信号に対するレンジ及び方位角FFTの結果を複素信号として前記1次メモリに格納することと、
第2の出力データを生成するために前記第2の複数のデジタル信号に対するレンジ及び方位角FFTに対応する前複素信号に対して非線形演算を実施すること
2次元画像を生成するために前記2次メモリに前記第の出力データ前記第の出力データとノンコヒーレントに累積すること
を含む、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、
前記ノンコヒーレントに累積することが、
最終データを生成するために前記第1の出力データと前記第2の出力データとを加算することによって前記2次メモリ内容を更新することと、
前記最終データから前記次元画像を生成すること
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記加算することが、
前記最終データを生成するため前記第1の出力データと前記第2の出力データとの重み付された平均を加算することを含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
少なくとも1つの付加的なチャープについて、複数のデジタル信号を生成することと、前記複数のデジタル信号に対してレンジ及び方位角FFTを実施することと、前記レンジ及び方位角FFTの結果を複素信号として格納することと、前記複素信号に対して非線形演算を実施することと、ノンコヒーレントに累積することとを繰り返すことを更に含み、
少なくとも1つの付加的な拡散されたチャープについてノンコヒーレントに累積することによって最終データが生成される、方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、
前記非線形演算が、モジュラス演算である、方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法であって、
前記非線形演算が、大きさ平方演算である、方法。