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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009394
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】携帯型音声再生機
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
G10K15/04 302F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172832
(22)【出願日】2021-10-22
(62)【分割の表示】P 2017053574の分割
【原出願日】2017-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】595047020
【氏名又は名称】メモリーテック・ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充朗
(72)【発明者】
【氏名】浅原 康路
(72)【発明者】
【氏名】土谷 昌義
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208DA00
5D208DC01
5D208DD01
(57)【要約】
【課題】複数のリストデータを利用可能な携帯型音声再生機を提供する。
【解決手段】本発明の一の実施形態に係る携帯型音声再生機は、制御回路は、記録媒体挿入部に記録媒体が挿入されたら、記録媒体に含まれる複数のディレクトリにおいて複数のリストデータを検索するモードを有し、記憶装置は、検出されたリストデータの名称を記憶し、表示装置は、検出されたリストデータの名称を選択可能に表示し、制御回路は、選択されたリストデータに含まれる音声データのアドレスを記憶装置から順次読み出して、読み出されたアドレスに基づいて記録媒体から音声データを読み出し、音声信号生成回路は、読み出された音声データを再生する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデジタルの音声データと、
前記複数の音声データの少なくとも一部のアドレス及び再生順を含む複数のリストデータと
を記録した記録媒体を挿入可能に構成され、前記記録媒体に記憶されたデジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成し、音声出力装置を介して音声を再生する携帯型音声再生機であって、
前記記録媒体を挿入可能な記録媒体挿入部と、
前記複数のリストデータの名称を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶されたリストデータの名称を、前記複数のリストデータから一のリストデータを選択可能な態様で表示する表示装置と、
選択された前記一のリストデータに従って前記記録媒体から音声データを順次読み出す制御回路と、
前記制御回路に読み出された前記音声データに基づいて前記音声信号を順次生成し、前記音声出力装置に出力する音声信号生成回路と
を備え、
前記制御回路は、前記記録媒体挿入部に前記記録媒体が挿入されたら、前記記録媒体に含まれる複数のディレクトリにおいて前記複数のリストデータを検索するモードを有し、
前記記憶装置は、検出された前記リストデータの名称を記憶し、
前記表示装置は、前記検出されたリストデータの名称を選択可能に表示し、
前記制御回路は、前記選択されたリストデータに含まれる音声データのアドレスを前記記憶装置から順次読み出して、前記読み出されたアドレスに基づいて前記記録媒体から前記音声データを読み出し、
前記音声信号生成回路は、前記読み出された音声データを再生する
携帯型音声再生機。
【請求項2】
前記制御回路は、前記記録媒体挿入部に前記記録媒体が挿入されたら、前記記録媒体に含まれる複数のディレクトリにおいて複数の音声データのアドレス及び名称を検索するモードを有し、
前記記憶装置は、検出された前記複数のアドレス及び名称を記憶し、
前記表示装置は、前記検出された音声データの名称を選択可能に表示し、
前記制御回路は、前記選択された名称と対応する音声データのアドレスを前記記憶装置から読み出して、前記読み出されたアドレスに基づいて前記記録媒体から前記音声データを読み出し、
前記音声信号生成回路は、前記読み出された音声データを再生する
請求項1記載の携帯型音声再生機。
【請求項3】
複数のデジタルの音声データと、
前記複数の音声データのそれぞれのアドレス及び名称と
を記録した記録媒体を挿入可能に構成され、前記記録媒体に記憶されたデジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成し、音声出力装置を介して音声を再生する携帯型音声再生機であって、
前記記録媒体を挿入可能な記録媒体挿入部と、
前記複数の音声データの前記記録媒体上のアドレス及び名称を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記複数の音声データの名称を、選択可能な態様で表示する表示装置と、
選択された前記音声データを前記記録媒体から順次読み出す制御回路と、
前記制御回路に読み出された前記音声データに基づいて前記音声信号を順次生成し、前記音声出力装置に出力する音声信号生成回路と
を備え、
前記制御回路は、前記記録媒体挿入部に前記記録媒体が挿入されたら、前記記録媒体に含まれる複数のディレクトリにおいて複数の音声データのアドレス及び名称を検索するモードを有し、
前記記憶装置は、検出された前記複数のアドレス及び名称を記憶し、
前記表示装置は、前記検出された音声データの名称を選択可能に表示し、
前記制御回路は、前記選択された名称と対応する音声データのアドレスを前記記憶装置から読み出して、前記読み出されたアドレスに基づいて前記記録媒体から前記音声データを読み出し、
前記音声信号生成回路は、前記読み出された音声データを再生する
携帯型音声再生機。
【請求項4】
前記制御回路は、前記記憶装置に記憶された複数のアドレスに対応する複数の音声データの再生順をランダムに並び替える
請求項1~3のいずれか1項記載の携帯型音声再生機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型音声再生機に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成し、イヤホンやヘッドホン等の音声出力装置を介して音声を再生する携帯型音声再生機が知られている。この様な携帯型音声再生機は、例えば、音声データに基づいて上記音声信号を生成し、音声出力装置に出力する音声信号生成回路と、この音声信号生成回路に音声データを出力する制御回路と、を備える。
【0003】
この様な携帯型音声再生機には、プレイリスト(リストデータ)を利用可能なものがある。このプレイリストは、複数の音声データの記録媒体におけるアドレス及び再生順を含む。このプレイリストを利用することにより、ユーザは、例えば、同じアルバムに含まれる複数の楽曲を連続で再生したり、ユーザによって予め指定された複数の楽曲を所定の順序で再生したりすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-011088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、複数のリストデータを利用可能な携帯型音声再生機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の実施形態に係る記録媒体は、複数のデジタルの音声データと、音声データのアドレス及び再生順を含む複数のリストデータと、複数の音声データ及び複数のリストデータのアドレス及び名称と、を記録する。
【0007】
本発明の一の実施形態に係る携帯型音声再生機は、このような記録媒体を挿入可能に構成され、この記録媒体に記憶されたデジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成し、イヤホンやヘッドホン等の音声出力装置を介して音声を再生する。また、この携帯型音声再生機は、上記記録媒体を挿入可能な記録媒体挿入部と、複数のリストデータの名称を記憶する記憶装置と、この記憶装置に記憶されたリストデータの名称を、複数のリストデータから一のリストデータを選択可能な態様で表示する表示装置と、選択された一のリストデータに従って記録媒体から音声データを順次読み出す制御回路と、制御回路に読み出された音声データに基づいて音声信号を順次生成し、上記音声出力装置に出力する音声信号生成回路と、を備える。
【0008】
この様な場合、ユーザが複数のリストデータの中から一のリストデータを選択し、この一のリストデータによって指定される楽曲等の音声の再生を行うことが出来る。これにより、複数のリストデータを利用可能な記録媒体及び携帯型音声再生機の提供が可能となる。
【0009】
この様な場合、上記制御回路は、上記一のリストデータに含まれる複数の音声データのアドレスを記録媒体から読み出し、記憶装置に記憶させても良い。この場合、制御回路は、記憶装置に記憶された複数のアドレスに対応する複数の音声データの再生順をランダムに並び替えても良い。これにより、複数のリストデータから一のリストデータを選択し、このリストデータに対応する複数の音声データをランダムな順番で再生することが可能となる。
【0010】
また、上記制御回路は、記録媒体に検索を行って複数のリストデータの名称を検出し、記憶装置に記憶させても良い。これにより、記録媒体内におけるリストデータのアドレスを限定する必要が無くなるため、ユーザは、記録媒体内のディレクトリ構造等を理解することなくリストデータLDを容易に利用することが可能となる。
【0011】
また、上記記録媒体は、例えば、複数の音声データ、複数のリストデータ、並びに、複数の音声データ及び複数のリストデータのアドレス及び名称を記録する第1の記録部と、この第1の記録部へのアクセス制限に用いられる第1のキーデータが記録された第2の記録部と、第1の記録部へのアクセス制限を行い、第1のキーデータ及び外部から入力された第2のキーデータに基づいて上記アクセス制限を解除する制御部と、を備えていても良い。
【0012】
また、本発明の一の実施形態に係る携帯型音声再生機は、このような記録媒体を挿入可能に構成され、この記録媒体に記憶されたデジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成し、音声出力装置を介して音声を再生する。また、この携帯型音声再生機は、上記記録媒体を挿入可能な記録媒体挿入部と、上記第2のキーデータを記録する記録装置と、電源の投入時、及び、記録媒体の挿入時の少なくとも一方に、記録媒体に第2のキーデータを送信し、上記音声データを読み出す制御回路と、制御回路に読み出された音声データに基づいて音声信号を生成し、音声出力装置に出力する音声信号生成回路と、を備える。
【0013】
この様な場合、第1の記録部へのアクセスが制限されるため、音声データの不正コピー等を好適に抑制可能である。また、電源の投入時及び記録媒体の挿入時の少なくとも一方に記録媒体に第2のキーデータを送信することにより上記アクセス制限が解除されるため、簡便な操作性と音声データの保護を同時に実現可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、複数のリストデータを利用可能な携帯型音声再生機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯型音声再生機の外観を示す正面図である。
図2】同携帯型音声再生機の外観を示す底面図である。
図3】同携帯型音声再生機の外観を示す平面図である。
図4】同携帯型音声再生機の外観を示す右側面図である。
図5】同携帯型音声再生機の外観を示す左側面図である。
図6】同実施形態に係る携帯型音声再生機の内部構成を示す概略的な機能ブロック図である。
図7】同実施形態に係る記録媒体及び携帯型音声再生機の一部の構成を示す概略的な機能ブロック図である。
図8】同携帯型音声再生機の動作を説明するためのフローチャートである。
図9】同携帯型音声再生機の一部の動作を説明するためのフローチャートである。
図10】同携帯型音声再生機の一部の動作を説明するためのフローチャートである。
図11】本発明の第2の実施形態に係る記録媒体及び携帯型音声再生機の一部の構成を示す概略的な機能ブロック図である。
図12】同記録媒体及び携帯型音声再生機の一部の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の説明は例示的なものであり、詳細については適宜変更可能である。例えば、携帯型音声再生機の外観、各構成の位置、大きさ及び範囲、各構成の具体的な態様等は適宜変更可能である。また、各図面においては、説明の都合上、一部の構成を省略することがある。
【0017】
[第1の実施形態]
[携帯型音声再生機の外観]
図1図5は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係る携帯型音声再生機の外観を示す正面図、底面図、平面図、右側面図及び左側面図である。
【0018】
図1に示す通り、筐体101の正面下部には3つのボタン102が、その上方にはディスプレイ103が設けられる。ボタン102は、音声の再生、停止、曲送り、音量の調整等の操作に用いられる。ディスプレイ103は、再生中の音声や選択される音声に関する情報を表示する。
【0019】
図2に示す通り、筐体101の下部には、音声端子104、充電端子105及び光源106が設けられる。音声端子104にはイヤホンやヘッドホン等の音声出力装置の接続端子(例えば、イヤホンジャック)を接続可能である。音声出力装置は、接続端子への音声信号の入力に応じて音声を出力する。本実施形態に係る携帯型音声再生機は、この音声出力装置に音声信号を出力することによって音声を再生する。充電端子105は、例えば、マイクロUSBケーブル用の端子であり、内蔵バッテリーの充電やファームウェアのインストール等に用いられる。光源106は、例えば、発光ダイオード等の光源であり、内蔵バッテリーの状態や充電の状態等に応じて発光する。
【0020】
図3に示す通り、筐体101の上部には、記録媒体挿入部107が設けられる。記録媒体挿入部107は、記録媒体を挿入可能なソケットである。本実施形態に係る携帯型音声再生機は、この記録媒体に記録された音声データに基づいて音声信号を生成する。尚、ここで言う記録媒体とは、例えば、microSDカードやSDカード等の半導体メモリ、補助記録媒体、又は、二次記録媒体である。
【0021】
図4に示す通り、筐体101の右側面には、電源操作部108が設けられる。電源操作部108は、例えば、スライド式のスイッチであり、携帯型音声再生機の電源の投入及び切断に用いられる。また、電源操作部108の上方には、ストラップ等の付属品を取り付け可能な付属品取付部が設けられる。付属品取付部はピン部材110等を備え、このピン部材110と筐体101との間にはホール部111が設けられる。
【0022】
図5に示す通り、筐体101の左側面には、ボタン操作切替部109が設けられる。ボタン操作切替部109は、例えば、ボタン102の操作の切替に用いられる。例えば、ボタン操作切替部109の操作により、ボタン102の操作がロックされても良いし、ボタン102に異なる動作が割り当てられても良い。例えば、ボタン操作切替部109が第1の状態である場合には筐体101正面の3つのボタン102にそれぞれ再生及び曲送り等の第1の動作が割り当てられ、第2の状態である場合には、表示切替及び音量調整等の第2の動作が割り当てられても良い。
【0023】
[携帯型音声再生機の内部構成]
図6は、第1の実施形態に係る携帯型音声再生機の内部構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0024】
筐体101内には、音声端子104、音声信号生成回路201、制御回路202、電源回路204、バッテリー205、電源スイッチ206、充電回路207等が格納される。
【0025】
音声端子104は、例えば、左耳用の音声電極141、右耳用の音声電極142、並びに、接地用の電極143,144を備える3極式の音声端子である。音声電極141,142、及び、接地用の電極143,144は、音声出力装置の接続端子(例えば、イヤホンジャック)を機械的に保持すると共に、この接続端子に電気的に接続される。尚、音声端子104は、2極式又は4極式等、他の構成であっても良い。
【0026】
音声信号生成回路201は、例えばDAコンバータであり、デジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成して音声電極141,142に出力する。具体的には、左耳用及び右耳用のアナログの音声信号(L,R)を生成し、それぞれ、出力端子201L,201Rから、カップリングコンデンサCCを介して、音声端子104の音声電極141、142に出力する。尚、ここで言う音声データとは、例えば、ハイレゾリューションオーディオ(以下、「ハイレゾ」と呼ぶ。)の音楽データである。ハイレゾの音楽データは、例えば、サンプリング周波数及び量子化ビット数の双方がCD音源よりも大きいか、サンプリング周波数及び量子化ビット数のどちらか一方がCD音源よりも大きく、且つ、他方がCD音源と同等である。尚、CD音源のサンプリング周波数は44.1kHz、量子化ビット数は16bitである。また、ハイレゾの音楽データは、例えば、FLAC(Free Lossless Audio Codec)やWAV等のデータ形式を有する。また、ここで言う音声信号とはアナログの交流信号であり、イヤホンやヘッドホン等の音声出力装置に出力されることにより、音楽等の音声が再生されるものである。
【0027】
制御回路202は、例えばMCUであり、ボタン102及びボタン操作切替部109の操作、並びに、制御回路202内部のROMに記憶されたファームウェアに従って動作する。例えば、音声の再生に際して、制御回路202は記録媒体挿入部107に挿入された記録媒体300から音声データを読み出して、音声信号生成回路201に出力する。また、制御回路202は、ディスプレイ103を制御して、文字や数字、ロゴ等を表示させる。これらの点については、後に図7を参照して詳述する。
【0028】
電源回路204は、例えば降圧回路、DC/DCコンバータ、レギュレータ等の集積回路であり、音声信号生成回路201、制御回路202、ディスプレイ103等の動作に適した電圧を生成して、これらの構成に供給する。
【0029】
バッテリー205は、例えばリチウムイオン電池等の充電池であり、電源回路204に電力を供給する。尚、バッテリー205は、交換式の電池であっても良い。
【0030】
電源スイッチ206は、例えば、電源操作部108と機械的に連動する機械式のスイッチであり、電源回路204に接続されたノードn10及びバッテリー205の陽極に接続されたノードn11を電気的に接続し、又は切断する。即ち、本実施形態においては、電源切断時に電源回路204に電力を供給しない。尚、電源スイッチ206は、機械式のスイッチでなくても良い。
【0031】
充電回路207は、例えば、充電端子105に供給された電力を調整してバッテリー205に供給する集積回路である。また、充電回路207には光源106が接続されており、例えば、バッテリー205の状態や充電の状態等に応じて光源106を発光させる。
【0032】
[制御回路202及び記録媒体300]
図7は、制御回路202及び記録媒体300についてより詳細に説明するための概略的な機能ブロック図である。
【0033】
記録媒体300のルートディレクトリRDには、例えば、複数のサブディレクトリSD1,SD2,SD3が記憶される。また、例えば、一部のサブディレクトリSD1,SD2には、複数の音声データMDが記憶され、他のサブディレクトリSD3には、複数のリストデータLDが記憶される。ここで言うリストデータLDとは、例えばm3uファイル等のプレイリストファイルであり、音声データMDの記録媒体300におけるアドレス(パス)、音声データMDの名称、及び、音声データMDの再生順等の情報を含むデータである。また、記録媒体300には、複数の音声データMD及び複数のリストデータLDに関する情報が記録される。複数の音声データMD及び複数のリストデータLDに関する情報とは、例えば音声データMD及びリストデータLDに対応する名称(例えば曲名やプレイリストの名称)や記録媒体300におけるアドレス(パス)、音声データMDのサンプリング周波数等である。
【0034】
制御回路202は、例えば、CPU221、一時記憶装置222、及び、ROM223を備える。CPU221は、ROM223内に記憶されたファームウェアFW等に従って動作する。
【0035】
CPU221は、例えば、記録媒体300から音声データMD及びリストデータLDに関する情報を読み出し、一時記憶装置222に記憶させる。尚、一時記憶装置222には、複数のリストデータLDを記憶させても良い。即ち、複数のリストデータLDに含まれる複数の音声データMDのアドレスや名称等を記憶させても良い。
【0036】
また、CPU221は、一時記憶装置222に記憶された音声データMD及びリストデータLDに関する情報を、複数の音声データMDや複数のリストデータLDから一の音声データMDや一のリストデータLDを選択可能な態様でディスプレイ103に表示させる。尚、ここで言う「選択可能な態様で表示」とは、例えば、選択対象の音声データMDやリストデータLDに対応する名称をディスプレイ103に表示し、ボタン102の操作に応じてディスプレイ103上で選択対象の音声データMDやリストデータLDの名称を切り換え、これによってユーザが音声データMDやリストデータLDを選択可能な状態にすることである。
【0037】
例えば一の音声データMDが選択された場合、CPU221は、一時記憶装置222に記憶された複数の音声データMDのアドレスの中から選択された音声データMDに対応するものを選択し、このアドレスを参照し、選択された音声データMDの読み出し及び音声信号生成回路201への出力を行う。これにより、音声信号が生成され、音声が再生される。
【0038】
一方、一のリストデータLDが選択された場合、CPU221は、例えば、一時記憶装置222に記憶された複数のリストデータLDのアドレスの中から選択されたリストデータLDに対応するものを選択し、このアドレスを参照し、選択されたリストデータLDを記録媒体300から読み出して、一時記憶装置222に記憶する。即ち、リストデータLDに含まれる複数の音声データMDのアドレスや名称等を一時記憶装置222に記憶する。その後、これら複数のアドレスを参照して音声データMDを順次読み出し、音声信号生成回路201に出力する。これにより、音声信号が順次生成され、音声が順次再生される。
【0039】
[携帯型音声再生機の動作]
次に、携帯型音声再生機の動作について説明する。以下の動作は、例えば、携帯型音声再生機の電源の投入に伴い、制御回路202内部のROM223(図7)に記憶されたファームウェアFWに従い、CPU221により実行される。
【0040】
図8は、第1の実施形態に係る携帯型音声再生機の動作を説明するためのフローチャートである。
【0041】
ステップS100においては、記録媒体300の状態が検知される。ステップS200においては、音声データMDの選択が行われる。ステップS300においては、音声の再生が行われる。ステップS400においては、音声データMDの切替が行われる。ステップS400が終了すると、再びステップS300が開始される。
【0042】
尚、ステップS300においては、制御回路202によって各種監視が行われる。例えば、他の音声データMD又はリストデータLDが選択されたり、停止や曲送り等が行われた場合には、これら操作に従って動作を行う。また、記録媒体300が引き抜かれた場合には、その旨をディスプレイ103に表示すると共に、音声の再生を中断する。
【0043】
[ステップS100]
図9は、ステップS100を説明するためのフローチャートである。
【0044】
ステップS100においては、例えば、まず記録媒体300の検知処理が行われる(ステップS101)。例えば、携帯型音声再生機に記録媒体300が挿入されているか否か判定し、挿入されていなかった場合、ディスプレイ103に“Please insert”等と表示して、記録媒体300の挿入をユーザに促す(ステップS102)。また、記録媒体300が挿入されていた場合、この記録媒体300が取扱い可能なものか否かを判定し、取扱いできないものであった場合、ディスプレイ103に“Card error Please eject”等と表示して、記録媒体300の排出をユーザに促す(ステップS103)。また、記録媒体300が取扱い可能なものであった場合には、記録媒体300に検索を行い、記録媒体300に音声データMD及びリストデータLDが記録されているか否かを判定する。もし音声データMDもリストデータLDも記録されていない場合、ディスプレイ103に“Music not found Please eject”等と表示して、記録媒体300の排出をユーザに促す(ステップS104)。もし音声データMD及びリストデータLDの少なくとも一方が検出された場合には、ステップS100が終了となる。
【0045】
尚、音声データMD及びリストデータLDの検索は、記録媒体300内の全ディレクトリRD,SD1,SD2,SD3に対して行っても良いし、記録媒体300のルートディレクトリRD、及び、所定階層分のサブディレクトリSD1,SD2,SD3のみに対して行っても良い。更に、ルートディレクトリRDのみに対して行ったり、所定のサブディレクトリSD3のみに対して行っても良い。尚、音声データMD及びリストデータLDの検索を行う際、図7を参照して説明した通り、例えば、制御回路202の一時記憶装置222内にリストデータLDに関する情報が記憶される。
【0046】
[ステップS200]
図10は、ステップS200を説明するためのフローチャートである。
【0047】
ステップS201においては、音声データMD及びリストデータLDが記録媒体300に記録されているか否かを判定する。この判定には、ステップS100における判定の結果を流用可能である。音声データMD及びリストデータLDの双方が記録されている場合にはステップS202が、音声データMDのみが記録されている場合にはステップS203が行われる。
【0048】
ステップS202においては、全曲再生モード又はリスト再生モードが選択される。全曲再生モードにおいては、記録媒体300内に記録された全ての音声データMDが所定の順序、例えば、記録媒体300に記憶された順序で再生される。リスト再生モードにおいては、リストデータLDによって指定された音声データMDが、例えばリストデータLDによって指定された順序で再生される。ステップS202においては、ディスプレイ103に“<<Select>> &> All play”等と表示し、ユーザによるボタン操作等に応じてディスプレイ103の表示を“<<Select>> &> List play”等に切り替える。前者が表示されている場合に特定のボタン操作が行われた場合には全曲再生モードが選択され、ステップS203が行われる。後者が表示されている場合に特定のボタン操作が行われた場合にはリスト再生モードが選択され、ステップS204が行われる。
【0049】
ステップS203においては、記録媒体300の検索が行われ、例えば図7を参照して説明した通り、制御回路202の一時記憶装置222内に音声データMDに関する情報が記憶される。尚、音声データMDの検索は、記録媒体300内の全ディレクトリRD,SD1,SD2,SD3に対して行っても良いし、記録媒体300のルートディレクトリRD、及び、所定階層分のサブディレクトリSD1,SD2,SD3に行っても良い。
【0050】
ステップS204においては、ステップS100において制御回路202の一時記憶装置222内に記憶された複数のリストデータLDの名称等を、複数のリストデータLDから一のリストデータLDを選択可能な態様でディスプレイ103に表示する。例えば、リストデータLDの名称が“ALBUM1”及び“ALBUM2”である場合、ディスプレイ103に“<<Select>> &> 1 ALBUM1”等と表示し、ユーザによるボタン操作等に応じてディスプレイ103の表示を“<<Select>> &> 2 ALBUM2”等に切り替える。前者が表示されている場合に特定のボタン操作が行われた場合には“ALBUM1”に対応するリストデータLDが選択され、後者が表示されている場合に特定のボタン操作が行われた場合には“ALBUM2”に対応するリストデータLDが選択される。
【0051】
ステップS205においては、記録媒体300の検索が行われ、例えば図7を参照して説明した通り、制御回路202の一時記憶装置222内に音声データMDに関する情報が記憶される。ステップS205においては、ステップS203と異なり、ステップS204において選択された一のリストデータLDに含まれるアドレス(パス)及び名称(曲名)が順次参照され、リストデータLDによって指定された音声データMDに関する情報が取得され、一時記憶装置222内に記憶される。
【0052】
ステップS206においては、ボタン操作等による再生開始の指示を待つ。再生開始の指示を待つ間、ディスプレイ103に“Please push > 123Musics”等と表示する。再生開始の指示が行われると、ステップS207が行われる。
【0053】
ステップS207においては、シャッフルモードが選択されているか否かを判定する。シャッフルモードが選択されている場合にはステップS208が行われ、選択されていない場合にはステップS200を終了する。
【0054】
ステップS208においては、音声データMDの再生順がランダムに入れ替えられる。ステップS208は、種々の態様で実現可能である。例えば一時記憶装置222内における音声データMDに関する情報の順序を入れ替えることによって実現しても良いし、これら情報にランダムに番号を付すことによって実現しても良い。
【0055】
[第1の実施形態に係る携帯型音声再生機の効果]
本実施形態に係る記録媒体300は、図7等を参照して説明した通り、複数のデジタルの音声データMDと、音声データMDのアドレス及び再生順を含む複数のリストデータLDと、複数の音声データMD及び複数のリストデータLDのアドレス及び名称と、を記録する。
【0056】
また、本実施形態に係る携帯型音声再生機は、記録媒体300を挿入可能に構成され、この記録媒体300に記憶されたデジタルの音声データMDに基づいてアナログの音声信号を生成し、イヤホンやヘッドホン等の音声出力装置を介して音声を再生する。また、この携帯型音声再生機は、上記記録媒体300を挿入可能な記録媒体挿入部107と、複数のリストデータLDの名称を記憶する一時記憶装置222と、この一時記憶装置222に記憶されたリストデータLDの名称を、複数のリストデータLDから一のリストデータLDを選択可能な態様で表示するディスプレイ103と、選択された一のリストデータLDに従って記録媒体300から音声データMDを順次読み出すCPU221と、CPU221に読み出された音声データMDに基づいて音声信号を順次生成し、上記音声出力装置に出力する音声信号生成回路201と、を備える。
【0057】
この様な場合、ユーザが複数のリストデータLDの中から一のリストデータLDを選択し、この一のリストデータLDによって指定される楽曲等の音声の再生を行うことが出来る。これにより、複数のリストデータLDを利用可能な記録媒体300及び携帯型音声再生機の提供が可能となる。
【0058】
また、本実施形態において、CPU221は、上記一のリストデータLDに含まれる複数の音声データMDのアドレスを記録媒体300から読み出し、一時記憶装置222に記憶させることが出来る。また、CPU221は、一時記憶装置222に記憶された複数のアドレスに対応する複数の音声データMDの再生順をランダムに並び替えることが出来る。これにより、複数のリストデータLDから一のリストデータLDを選択し、このリストデータLDに対応する複数の音声データMDをランダムな順番で再生することが可能となる。
【0059】
また、CPU221は、記録媒体300に検索を行って複数のリストデータLDの名称を検出し、記憶装置222に記憶させる。これにより、記録媒体300内におけるリストデータLDのアドレスを限定する必要が無くなるため、ユーザは、記録媒体300内のディレクトリ構造等を理解することなくリストデータLDを容易に利用することが可能となる。
【0060】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、以下の説明において、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
図11は、本実施形態に係る記録媒体310及び携帯型音声再生機の一部の構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0062】
本実施形態に係る記録媒体310は、例えば、第1の記録部301、第2の記録部302及び制御部303を備える。第1の記録部301には、複数の音声データMD、複数のリストデータLD、並びに、複数の音声データMD及び複数のリストデータLDに関する情報が記録される。第2の記録部302は、基本的に外部からのアクセスが制限される領域であり、第1の記録部301へのアクセス制限に用いられる第1のキーデータKey1が記憶される。制御部303は、第1の記録部301及び第2の記録部302へのアクセス、即ち、読出し、書き込み、消去等を行い、また、第1の記録部301へのアクセス制限及びその解除を行う。
【0063】
また、本実施形態に係る制御回路202においては、ROM223内に、ファームウェアFWに加え、第2のキーデータKey2が記録される。この第2のキーデータKey2は、記録媒体310の第1の記録部301へのアクセス制限を解除する為に用いられるデータである。
【0064】
図12は、第2の実施形態に係るステップS100を説明するためのフローチャートである。以下の動作は、例えば、ステップS100の開始に伴い、制御回路202内部のROM223(図11)に記憶されたファームウェアFWに従って、制御回路202内部のCPU221により実行される。
【0065】
本実施形態に係るステップS100は、基本的には第1の実施形態に係るステップS100と同様に行われる。ただし、本実施形態においては、ステップS101が行われる前に、制御回路202から記録媒体310に第2のキーデータKey2が送信される。第2のキーデータKey2が送信されると、記録媒体310の制御部303は、第2の記録部302に記録された第1のキーデータKey1を参照して、これら第1及び第2のキーデータKey1,Key2の組み合わせが所定の条件を満たすか否かを判定する。もしこの条件が満たされた場合には、制御回路202による記録媒体310へのアクセス制限が解除される。満たされない場合には、解除されない。
【0066】
尚、本実施形態においては、携帯型音声再生機の電源の投入時、及び、記録媒体310の挿入時の双方にステップS105が行われるが、どちらか一方のタイミングでのみステップS105が行われても良い。
【0067】
[第2の実施形態に係る携帯型音声再生機の効果]
本実施形態に係る記録媒体310は、図11等を参照して説明した通り、複数の音声データMD、複数のリストデータLD、並びに、複数の音声データMD及び複数のリストデータLDのアドレス及び名称を記録する第1の記録部301と、この第1の記録部301へのアクセス制限に用いられる第1のキーデータKey1が記録された第2の記録部302と、第1の記録部301へのアクセス制限を行い、第1のキーデータKey1及び外部から入力された第2のキーデータKey2に基づいて上記アクセス制限を解除する制御部303と、を備えている。
【0068】
また、本実施形態に係る携帯型音声再生機は、記録媒体310を挿入可能に構成され、この記録媒体310に記憶されたデジタルの音声データMDに基づいてアナログの音声信号を生成し、音声出力装置を介して音声を再生する。また、この携帯型音声再生機は、記録媒体310を挿入可能な記録媒体挿入部107と、上記第2のキーデータKey2を記録するROM223と、電源の投入時、及び、記録媒体310の挿入時の少なくとも一方に、記録媒体310に第2のキーデータKey2を送信し、音声データMDを読み出すCPU221と、CPU221に読み出された音声データMDに基づいて音声信号を生成し、音声出力装置に出力する音声信号生成回路201と、を備える。
【0069】
この様な場合、第1の記録部301へのアクセスが制限されるため、音声データMDの不正コピー等を好適に抑制可能である。また、電源の投入時及び記録媒体310の挿入時の少なくとも一方に記録媒体310に第2のキーデータKey2を送信することにより上記アクセス制限が解除されるため、簡便な操作性と音声データMDの保護を同時に実現可能である。
【0070】
[その他の実施形態]
上記実施形態に係る記録媒体及び携帯型音声再生機は説明のために例示したものであり、具体的な構成は適宜変更可能である。
【0071】
例えば、図6では、音声信号生成回路201と制御回路202とがそれぞれ独立した集積回路によって実現される例を示している。しかしながら、例えば、音声信号生成回路201と制御回路202とを一つの集積回路によって実現することも可能である。
【0072】
また、第1及び第2の実施形態においては、CPU221がROM223内に記憶されたファームウェアFW等に従って動作することにより、各種動作を実行していた。しかしながら、これら動作の一部または全部は、FPGA(Field Programable Gate Array)等の手段により、ファームウェアでなく回路等によって実現されても良い。
【0073】
また、例えば、上記実施形態に係る携帯型音声再生機は音声出力装置を含んでいないが、本発明は、音声出力装置と一体に形成されたものについて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
101…筐体、102…ボタン、103…ディスプレイ、104…音声端子、105…充電端子、106…光源、107…記録媒体挿入部、108…電源操作部、109…ボタン操作切替部、110…ピン部材、201…音声信号生成回路、202…制御回路、204…電源回路、205…バッテリー、206…電源スイッチ、207…充電回路、221…CPU、222…一時記憶装置、223…ROM、300…記録媒体、301…第1の記録部、302…第2の記録部、303…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12