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特開2022-93943特装車、特装車の無線通信システム、特装車の無線通信システムを実現するためのコンピュータプログラム、および、特装車の無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093943
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】特装車、特装車の無線通信システム、特装車の無線通信システムを実現するためのコンピュータプログラム、および、特装車の無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20220617BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B60P1/44 J
H04Q9/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206681
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】堀之内 良和
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA13
5K048BA42
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB02
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】効率よく車両を組み立てることができ、かつ、信号の送受信を確実に行う。
【解決手段】特装車10は、キャブ11と、キャブ11の後方に配置された架装物15と、架装物15に対して所定の動作を行う駆動装置16と、キャブ11の外部に配置され、駆動装置16の動作を制御する制御装置30と、キャブ11に配置され、制御装置30をオンするためのオン信号S1を発信するメインスイッチ41と、キャブ11またはキャブ11から所定の距離以内に離れた位置に配置され、メインスイッチ41のオン信号S1を送信する送信機45と、キャブ11の外部に配置され、オン信号S1を受信して制御装置30に伝える受信機25とを備えている。受信機25は、送信機45が送信したオン信号S1を、中継通信機70を介して間接的に無線通信を通じて受信するように構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブと、
前記キャブの後方に配置された架装物と、
前記架装物に対して所定の動作を行う駆動装置と、
前記キャブの外部に配置され、前記駆動装置の動作を制御する制御装置と、
前記キャブの内部に配置され、前記制御装置をオンするためのオン信号を発信するメインスイッチと、
前記キャブまたは前記キャブから所定の距離以内に離れた位置に配置され、前記メインスイッチの前記オン信号を送信する送信機と、
前記キャブの外部に配置され、前記オン信号を受信して前記制御装置に伝える受信機と、
を備え、
前記受信機は、前記送信機が送信した前記オン信号を、中継通信機を介して間接的に無線通信を通じて受信するように構成されている、特装車。
【請求項2】
前記キャブおよび前記架装物を支持するシャーシと、
前記キャブの外部に設けられ、ユーザが前記駆動装置を操作可能な操作装置と、
を備え、
前記架装物は、荷箱であり、
前記駆動装置は、前記架装物の後部に設けられたテールゲートリフタであり、
前記操作装置と前記受信機は、前記シャーシの後側の部分に設けられている、請求項1に記載された特装車。
【請求項3】
前記キャブの外部に設けられ、ユーザが前記駆動装置を操作可能な操作装置と、
前記送信機を介して前記オン信号を前記中継通信機に送信する送信部を有するスイッチ制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記受信機を介して前記中継通信機から前記オン信号を受信する受信部と、
前記受信部によって前記オン信号が受信されたとき、前記駆動装置の動作の制御を許可する許可部と、
前記許可部によって前記駆動装置の動作の制御が許可されたとき、前記操作装置の操作に基づいて前記駆動装置の動作を制御する動作制御部と、
を備えた、請求項1または2に記載された特装車。
【請求項4】
キャブと、前記キャブの後方に配置された架装物と、前記架装物に対して所定の動作を行う駆動装置と、前記キャブの外部に配置され、前記駆動装置の動作を制御する制御装置と、前記キャブの内部に配置され、前記制御装置をオンするためのオン信号を発信するメインスイッチと、を備えた特装車に対する無線通信システムであって、
前記キャブまたは前記キャブから所定の距離以内に離れた位置に配置され、前記メインスイッチの前記オン信号を送信する送信機と、
前記送信機と無線通信可能であり、前記送信機から送信された前記オン信号を受信し、かつ、前記オン信号を送信する中継通信機と、
前記キャブの外部に配置され、前記中継通信機から送信された前記オン信号を、無線通信を通じて受信して前記制御装置に伝える受信機と、
を備えた、特装車の無線通信システム。
【請求項5】
前記中継通信機は、携帯可能な携帯端末である、請求項4に記載された特装車の無線通信システム。
【請求項6】
前記送信機は、前記中継通信機が前記キャブ内、かつ、前記送信機から所定の範囲内に入っているとき、前記オン信号を前記中継通信機に送信可能に構成され、
前記受信機は、前記中継通信機が前記受信機から前記所定の範囲内に入っているとき、前記中継通信機から前記オン信号を受信可能に構成されている、請求項5に記載された特装車の無線通信システム。
【請求項7】
前記中継通信機は、前記特装車の外部に設けられたサーバである、請求項4に記載された特装車の無線通信システム。
【請求項8】
特装車の無線通信システムを実現するためのコンピュータプログラムであって、
前記特装車は、
キャブと、
前記キャブの後方に配置された架装物と、
前記架装物に対して所定の動作を行う駆動装置と、
前記キャブの外部に配置され、前記駆動装置の動作を制御する制御装置と、
前記キャブの内部に配置され、前記制御装置をオンするためのオン信号を発信するメインスイッチと、
前記キャブまたは前記キャブから所定の距離以内に離れた位置に配置され、前記メインスイッチの前記オン信号を送信する送信機と、
前記キャブの外部に配置され、前記オン信号を受信して前記制御装置に伝える受信機と、
を備え、
前記送信機を介して前記オン信号を中継通信機に送信する送信部と、
前記受信機を介して前記中継通信機から前記オン信号を受信する受信部と、
前記受信部によって前記オン信号が受信されたとき、前記駆動装置の動作の制御を許可する許可部と、
を実現するためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
キャブと、前記キャブの後方に配置された架装物と、前記架装物に対して所定の動作を行う駆動装置と、前記キャブの外部に配置され、前記駆動装置の動作を制御する制御装置と、前記キャブの内部に配置され、前記制御装置をオンするためのオン信号を発信するメインスイッチと、を備えた特装車に対する無線通信方法であって、
前記メインスイッチの前記オン信号を中継通信機に無線通信を通じて送信する送信ステップと、
前記中継通信機から無線通信を通じて前記オン信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで前記オン信号を受信したとき、前記制御装置による前記駆動装置への動作の制御を許可する許可ステップと、
を包含する、特装車の無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特装車、特装車の無線通信システム、特装車の無線通信システムを実現するためのコンピュータプログラム、および、特装車の無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、シャーシと、シャーシの前部に設けられたキャブと、キャブの後方に設けられた荷箱と、荷箱に設けられた駆動装置と、駆動装置の電源スイッチと、駆動装置をユーザが操作するための操作装置とを備えた車両が開示されている。駆動装置を動作させるときには、電源スイッチをオンにすることで、ユーザによる操作装置の操作に応じて駆動装置が動作する。
【0003】
ところで、電源スイッチは、仮にキャブの外部に設けられていると第3者に勝手に操作されるおそれがあるため、キャブの内部に設けられている。操作装置は、駆動装置の動作を見ながら操作されるため、例えばキャブの外部であって、シャーシの後部に設けられる。このように、電源スイッチは、駆動装置および操作装置から離れた位置に配置されているが、駆動装置および操作装置と通信可能に接続する必要がある。
【0004】
特許文献1に開示された車両では、電源スイッチと、駆動装置および操作装置とは、電線で接続(有線接続)されている。特許文献2に開示された車両では、電源スイッチと、駆動装置および操作装置とは、無線通信で直接接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5094516号公報
【特許文献2】特許第5448665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された車両では、キャブ内の電源スイッチが設けられたシャーシの前部から、駆動装置用の操作装置が設けられたシャーシの後部まで電線が延びているために長く、当該電線の配置が煩雑化する。車両の組み立ての効率化の観点から、電線の配置は煩雑化しない方が好ましい。更に、当該電線は、キャブ内とキャブ外との間の車両各部位で多くの入出力のために用いられるため、当該電線の数や種類も多い。そのため、電線の配線条件が厳しいため、電線の配線における作業工数の増加を抑制することも期待されている。また、特許文献2に開示された車両では、無線通信で直接接続されているため、上記のような電線の配置の煩雑化を抑制することができる。しかしながら、特許文献2に開示された車両では、車両内で無線通信を行うため、キャブやシャーシなどを形成する金属で電波が遮蔽されるおそれがあり、更なる改良が求められている。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率よく車両を組み立てることができると共に、信号の送受信を確実に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る特装車は、キャブと、架装物と、駆動装置と、制御装置と、メインスイッチと、送信機と、受信機と、を備えている。前記架装物は、前記キャブの後方に配置されている。前記駆動装置は、前記架装物に対して所定の動作を行う。前記制御装置は、前記キャブの外部に配置され、前記駆動装置の動作を制御する。前記メインスイッチは、前記キャブの内部に配置され、前記制御装置をオンするためのオン信号を発信する。前記送信機は、前記キャブまたは前記キャブから所定の距離以内に離れた位置に配置され、前記メインスイッチの前記オン信号を送信する。前記受信機は、前記キャブの外部に配置され、前記オン信号を受信して前記制御装置に伝える。前記受信機は、前記送信機が送信した前記オン信号を、中継通信機を介して間接的に無線通信を通じて受信するように構成されている。
【0009】
上記特装車によれば、メインスイッチから発信されたオン信号は、送信機から中継通信機を介して間接的に無線通信で受信機に送信される。受信機がオン信号を受信したときに制御装置に伝えられ、制御装置による駆動装置の動作の制御が可能になる。このように、メインスイッチのオン信号は、無線通信で送信されるため、オン信号を送信するための電線を要しない。よって、オン信号が送信される電線の省略により、特装車で使用される電線の本数を削減することができるため、車両の組み立ての効率化を図ることができる。また、上記特装車によれば、オン信号は、中継通信機を介して受信機に送信される。よって、特許文献2に開示された車両のような、無線で直接接続されている車両と比較して、オン信号が中継通信機を介して送信される際に、オン信号などの電波の遮断を抑制することができる。したがって、オン信号を受信機に確実に送信することができる。
【0010】
本発明に係る特装車の好ましい一態様によれば、前記特装車は、前記キャブおよび前記架装物を支持するシャーシと、前記キャブの外部に設けられ、ユーザが前記駆動装置を操作可能な操作装置と、を備えている。前記架装物は、荷箱である。前記駆動装置は、前記架装物の後部に設けられたテールゲートリフタである。前記操作装置と前記受信機は、前記シャーシの後側の部分に設けられている。
【0011】
上記態様によれば、テールゲートリフタは、荷箱の後部に設けられるものであり、キャブ内に設けられるメインスイッチとの距離は比較的に長い。このように、メインスイッチからの距離が比較的に長い場合において、仮にメインスイッチと制御装置が電線で有線接続されていると、電線がより長くなり、電線の配置が煩雑化する。しかしながら、上記態様では、オン信号が中継通信機を介して無線通信で送信され、オン信号が送信される電線が省略されるため、電線の配置の煩雑化を抑制することができる。また、キャブの内部に配置された送信機と、シャーシの後側の部分に設けられた受信機との距離が比較的に長い。このように、送信機と受信機との距離が比較的に長い場合であっても、中継通信機を介してオン信号を受信機に送信することで、オン信号が中継通信機を介して送信される際に、オン信号が特装車を形成する金属を通過する箇所が少なく、当該金属によって遮蔽され難い。
【0012】
本発明に係る特装車の好ましい他の一態様によれば、前記特装車は、前記キャブの外部に設けられ、ユーザが前記駆動装置を操作可能な操作装置と、スイッチ制御装置とを備えている。前記スイッチ制御装置は、前記送信機を介して前記オン信号を前記中継通信機に送信する送信部を有する。前記制御装置は、受信部と、許可部と、動作制御部とを備えている。前記受信部は、前記受信機を介して前記中継通信機から前記オン信号を受信する。前記許可部は、前記受信部によって前記オン信号が受信されたとき、前記駆動装置の動作の制御を許可する。前記動作制御部は、前記許可部によって前記駆動装置の動作の制御が許可されたとき、前記操作装置の操作に基づいて前記駆動装置の動作を制御する。
【0013】
上記態様によれば、受信部が受信機を介してオン信号を受信したタイミングで、許可部が駆動装置の動作の制御を許可することができる。許可部が駆動装置の動作の制御を許可することを待って、ユーザは、操作装置の操作をすることで、駆動装置を動作させることができる。
【0014】
本発明に係る特装車の無線通信システムは、キャブと、前記キャブの後方に配置された架装物と、前記架装物に対して所定の動作を行う駆動装置と、前記キャブの外部に配置され、前記駆動装置の動作を制御する制御装置と、前記キャブの内部に配置され、前記制御装置をオンするためのオン信号を発信するメインスイッチと、を備えた特装車(10)に対する無線通信システムである。前記無線通信システムは、送信機と、中継通信機と、受信機とを備えている。前記送信機は、前記キャブまたは前記キャブから所定の距離以内に離れた位置に配置され、前記メインスイッチの前記オン信号を送信する。前記中継通信機は、前記送信機と無線通信可能であり、前記送信機から送信された前記オン信号を受信し、かつ、前記オン信号を送信する。前記受信機は、前記キャブの外部に配置され、前記中継通信機から送信された前記オン信号を、無線通信を通じて受信して前記制御装置に伝える。
【0015】
本発明に係る特装車の無線通信システムの好ましい一態様によれば、前記中継通信機は、例えば携帯可能な携帯端末であってもよい。
【0016】
上記態様によれば、送信機に携帯端末を近づけることで、送信機を介してオン信号を携帯端末に送信する。オン信号を受信した携帯端末を持ったユーザが、受信機の近くまで移動し、受信機に携帯端末を近づけることで、受信機は携帯端末からオン信号を受信する。このように、中継通信機を携帯端末にすることで、特装車を形成する金属でオン信号の送信が遮蔽されることを更に抑制することができる。
【0017】
本発明に係る特装車の無線通信システムの好ましい他の一態様によれば、前記送信機は、前記中継通信機が前記キャブ内、かつ、前記送信機から所定の範囲内に入っているとき、前記オン信号を前記中継通信機に送信可能に構成されている。前記受信機は、前記中継通信機が前記受信機から前記所定の範囲内に入っているとき、前記中継通信機から前記オン信号を受信可能に構成されている。
【0018】
仮に送信機または受信機と、中継通信機が離れている状態で無線通信可能になると、例えば隣りに駐車している特装車のオン信号が中継通信機に誤送信または誤受信されることがあり得る。しかしながら、上記態様によれば、送信機または受信機から所定の範囲よりも外に中継通信機がある場合には、送信機または受信機と、中継通信機とは無線通信を行うことができない。よって、ユーザが意図しない特装車に対して、中継通信機がオン信号を誤送信または誤受信し難くすることができる。
【0019】
本発明に係る特装車の無線通信システムの好ましい他の一態様によれば、前記中継通信機は、サーバであってもよい。
【0020】
上記態様によれば、オン信号は、特装車の外部に設けられたサーバを介して、受信機に送信される。ここでは、サーバを介しているため、特許文献2に開示された車両のような、無線で直接接続されている車両と比較して、電波強度が大きくなる。そのため、オン信号がサーバを介して送信される際に、オン信号が特装車を形成する金属を通過する場合であっても、当該金属によって遮蔽され難い。
【0021】
本発明に係るコンピュータプログラムは、特装車の無線通信システムを実現するためのコンピュータプログラムである。前記特装車は、キャブと、架装物と、駆動装置と、制御装置と、メインスイッチと、送信機と、受信機とを備えている。前記架装物は、前記キャブの後方に配置されている。前記駆動装置は、前記架装物に対して所定の動作を行う。前記制御装置は、前記キャブの外部に配置され、前記駆動装置の動作を制御する。前記メインスイッチは、前記キャブの内部に配置され、前記制御装置をオンするためのオン信号を発信する。前記送信機は、前記キャブまたは前記キャブから所定の距離以内に離れた位置に配置され、前記メインスイッチの前記オン信号を送信する。前記受信機は、前記キャブの外部に配置され、前記オン信号を受信して前記制御装置に伝える。前記コンピュータプログラムは、前記送信機を介して前記オン信号を中継通信機に送信する送信部と、前記受信機を介して前記中継通信機から前記オン信号を受信する受信部と、前記受信部によって前記オン信号が受信されたとき、前記駆動装置の動作の制御を許可する許可部と、を実現するためのコンピュータプログラムである。
【0022】
本発明に係る特装車の無線通信方法は、キャブと、前記キャブの後方に配置された架装物と、前記架装物に対して所定の動作を行う駆動装置と、前記キャブの外部に配置され、前記駆動装置の動作を制御する制御装置と、前記キャブの内部に配置され、前記制御装置をオンするためのオン信号を発信するメインスイッチと、を備えた特装車に対する無線通信方法である。前記無線通信方法は、送信ステップと、受信ステップと、許可ステップとを包含する。前記送信ステップでは、前記メインスイッチの前記オン信号を中継通信機に無線通信を通じて送信する。前記受信ステップでは、前記中継通信機から無線通信を通じて前記オン信号を受信する。前記許可ステップでは、前記受信ステップで前記オン信号を受信したとき、前記制御装置による前記駆動装置への動作の制御を許可する。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば作業工数の低減によって効率よく車両を組み立てることができると共に、オン信号の送受信を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係る無線通信システムの構成図である。
図2】第1実施形態に係る特装車の背面図である。
図3】第1実施形態に係る特装車の部分斜視図である。
図4】第1実施形態に係る無線通信システムのブロック図である。
図5】第1実施形態に係る無線通信方法を利用して、携帯端末を介して無線通信でスイッチ情報を取得する手順を示したフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る無線通信システムの構成図である。
図7】第2実施形態に係る無線通信システムのブロック図である。
図8】第2実施形態に係る無線通信方法を利用して、サーバを介して無線通信でスイッチ情報を取得する手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここで説明される実施の形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
【0026】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態に係る特装車10は、携帯端末70と無線通信で信号の送受信を行うことが可能なものである。特装車10と携帯端末70との無線通信は、無線通信システム1によって実現される。本実施形態に係る特装車10の種類は特に限定されないが、ここでは、特装車10として、図1図3に示す荷箱付運搬車を例に挙げて説明する。
【0027】
本実施形態に係る特装車10は、図1に示すように、内部に運転席(図示せず)を有するキャブ11と、キャブ11を支持するシャーシ12と、シャーシ12の前部に設けられた左右の前輪13と、シャーシ12の後部に設けられた左右の後輪14とを備えている。
【0028】
また、特装車10は、シャーシ12に支持され、キャブ11の後方に配置された荷箱15と、荷箱15の後部に設けられたテールゲートリフタ16とを備えている。荷箱15は、架装物の一例である。テールゲートリフタ16は、荷箱15に収容された荷物などを積み降ろしする際に使用されるものである。テールゲートリフタ16は、所定の動作を行う駆動装置の一例である。ここでは、図2に示すように、テールゲートリフタ16は、直立状態と水平状態とに回動可能なテールゲート17と、テールゲート17を回動および昇降させる回動昇降装置18とを有している。
【0029】
図1に示すように、特装車10は、パワーユニット20と、スイッチユニット40とを備えている。パワーユニット20は、テールゲートリフタ16の動作を制御するものであり、ここでは、回動昇降装置18を制御することで、テールゲート17の回動および昇降を制御する。図4に示すように、パワーユニット20は、操作装置21と、受信機25と、記憶装置28と、制御装置30と、を有している。
【0030】
操作装置21は、ユーザ3がテールゲートリフタ16を操作可能な装置である。図示は省略するが、操作装置21には、例えばレバーやボタンなどが備えられている。ユーザ3は、当該レバーやボタンを操作することで、テールゲート17を回動させたり昇降させたりすることができる。受信機25は、無線通信可能なものであり、ここでは携帯端末70と無線通信を行うことができる。
【0031】
図1に示すように、操作装置21および受信機25は、キャブ11の外部に設けられており、シャーシ12に設けられている。操作装置21および受信機25は、シャーシ12の後部、本実施形態では、シャーシ12を前後に2分割(例えば2等分)したときの後側の部分12aに設けられている。詳しくは、操作装置21および受信機25は、後輪14よりも後方、かつ、テールゲートリフタ16よりも前方に配置されている。図3に示すように、操作装置21および受信機25は、シャーシ12の側部に配置されており、ここでは、シャーシ12の左側部分に設けられているが、右側部分に設けられていてもよい。
【0032】
操作装置21と受信機25とは互いに近い位置に配置されている。例えば操作装置21は、テールゲートリフタ16の近傍に配置されている。このことで、ユーザ3はテールゲートリフタ16の稼働状況を、テールゲートリフタ16の傍で、目視で確認しながら作業することができる。また、ユーザ3は、テールゲートリフタ16を操作するために、キャブ11の外に出た後に操作装置21の配置位置まで移動する。そのため、受信機25が操作装置21から近い位置に配置されていることで、携帯端末70を持つユーザ3が操作装置21を操作するための移動の間に、携帯端末70と受信機25との通信処理を行うことができる。よって、携帯端末70と受信機25との通信処理のみのための時間が生じないため、時間効率を向上させることができる。なお、操作装置21および受信機25の位置は特に限定されない。
【0033】
図4に示すように、記憶装置28は、各情報を記憶するものである。制御装置30は、キャブ11の外部に配置され、テールゲートリフタ16(詳しくは回動昇降装置18)、操作装置21および受信機25と電気的に接続されている。また、制御装置30は、記憶装置28と電気的に接続されている。制御装置30は、受信機25を通じて、例えば携帯端末70から情報を取得する。また、制御装置30は、テールゲートリフタ16の動作を制御する。ここでは、制御装置30は、ユーザ3が操作装置21を操作したとき、当該操作に応じて回動昇降装置18を制御する。このことで、テールゲート17が回動または昇降される。なお、制御装置30の具体的な構成や制御については後述する。
【0034】
スイッチユニット40は、パワーユニット20の制御装置30のオンとオフとを切り替えるユニットである。例えばスイッチユニット40をオンにしたとき、制御装置30におけるテールゲートリフタ16の動作が制御可能となる。一方、スイッチユニット40をオフにしたとき、制御装置30におけるテールゲートリフタ16の動作の制御ができなくなる。すなわち、ここでは、制御装置30のオンとは、制御装置30によるテールゲートリフタ16の制御を許可することを意味する。一方、制御装置30のオフとは、制御装置30によるテールゲートリフタ16の制御を許可しないことを意味する。図4に示すように、スイッチユニット40は、メインスイッチ41と、送信機45と、スイッチ記憶装置48と、スイッチ制御装置50とを備えている。
【0035】
メインスイッチ41は、ユーザ3が制御装置30のオンとオフとを切り替え操作可能なスイッチである。図示は省略するが、メインスイッチ41には、例えばスイッチボタンなどが備えられている。ユーザ3は当該スイッチボタンを押すごとに、制御装置30のオンとオフとを切り替えることができる。ここでは、メインスイッチ41は、制御装置30をオンするためのオン信号S1(図5参照)と、制御装置30をオフするためのオフ信号S2(図5参照)とを発信する。送信機45は、無線通信可能なものであり、ここでは携帯端末70と無線通信を行うことができる。図1に示すように、メインスイッチ41と送信機45は、キャブ11内に設けられている。ここでは、メインスイッチ41と送信機45とは、互いに近い位置に配置されている。
【0036】
図4のスイッチ記憶装置48には、スイッチ情報D1(図5参照)が記憶されている。スイッチ情報D1は、メインスイッチ41のオン信号S1と、オフ信号S2とを含む。ここでは、スイッチ記憶装置48は、メインスイッチ41と電気的に接続されており、ユーザ3がメインスイッチ41を操作して制御装置30のオンとオフとが切り替えられるごとに、スイッチ記憶装置48に記憶されるスイッチ情報D1が更新される。
【0037】
スイッチ制御装置50は、メインスイッチ41、送信機45およびスイッチ記憶装置48と電気的に接続されている。スイッチ制御装置50は、例えばスイッチ記憶装置48に記憶されたスイッチ情報D1を、送信機45を介して携帯端末70に送信する。なお、スイッチ制御装置50の具体的な構成や制御については後述する。
【0038】
また、本実施形態では、図4に示すように、特装車10は、車両識別情報D2(図5参照)が記憶された識別記憶装置60を備えている。この車両識別情報D2は、個々の車両を識別するものである。車両識別情報D2は、車両を識別できるものであればその種類は特に限定されないが、例えば特装車10の製造番号である。車両識別情報D2は、更新できない固定番号である。なお、この識別記憶装置60と、上記の記憶装置28と、上記のスイッチ記憶装置48とは、同一のメモリによって実現されるものであってもよいし、異なるメモリによって実現されるものであってもよい。
【0039】
図1に示すように、携帯端末70は、携帯式の端末である。ここで、携帯式の端末とは、ユーザ3が携帯可能な情報端末のことである。携帯端末70には、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット式のコンピュータ、ノート型のコンピュータなどの汎用的な携帯式の端末の他、本実施形態に係る無線通信システム1のための専用の携帯式の端末が含まれる。本実施形態では、携帯端末70は、スマートフォンによって構成されている。携帯端末70は、中継通信機の一例である。
【0040】
図4に示すように、携帯端末70は、表示装置71と、端末操作装置73と、端末通信機75と、端末記憶装置78と、端末制御装置80とを備えている。表示装置71は、文字、図形または画像などを表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどである。端末操作装置73は、ユーザ3が情報などを入力や選択するために用いる装置であり、例えばボタン、またはタッチパネル式ディスプレイである。端末通信機75は、パワーユニット20の受信機25、および、スイッチユニット40の送信機45と無線通信可能なものである。
【0041】
端末記憶装置78には、端末通信機75を介して取得された情報が記憶される。また、端末記憶装置78には、特装車10と無線通信させるためのアプリケーションソフト(またはコンピュータプログラム)が記憶されている。このアプリケーションソフトを起動することで、携帯端末70は、特装車10の受信機25および送信機45と無線通信を行うことができる。端末制御装置80は、表示装置71、端末操作装置73、端末通信機75、および端末記憶装置78と電気的に接続されている。端末制御装置80は、端末通信機75を介して情報(例えばスイッチ情報D1(図5参照))を受信し、端末通信機75を介して情報を送信する。なお、端末制御装置80の具体的な構成や制御については後述する。
【0042】
ところで、本実施形態に係る特装車10では、ユーザ3がメインスイッチ41を操作してオンに切り替えたとき、制御装置30がオンになる。メインスイッチ41がオンのとき、テールゲートリフタ16を操作する操作装置21に対するユーザ3による操作に応じて、制御装置30がテールゲートリフタ16の回動昇降装置18を制御することで、テールゲート17の回動や昇降を制御する。ここで、制御装置30は、メインスイッチ41がオンになっているかオフになっているかは、スイッチ情報D1を取得することで判断する。本実施形態では、スイッチ情報D1の取得は、携帯端末70を介して無線通信で行われる。
【0043】
本実施形態では、携帯端末70を介して無線通信でスイッチ情報D1(詳しくは、オン信号S1またはオフ信号S2)を制御装置30が取得することを、無線通信システム1が実現する。本実施形態に係る無線通信システム1は、無線通信可能な送信機45と、スイッチ情報D1が記憶されるスイッチ記憶装置48と、スイッチ制御装置50と、無線通信可能な受信機25と、制御装置30と、携帯端末70とを備えている。
【0044】
本実施形態では、携帯端末70の端末通信機75と特装車10の送信機45との無線通信、および、携帯端末70の端末通信機75と特装車10の受信機25との無線通信は、ブルートゥース(登録商標)による無線通信である。ここでは、特装車10の送信機45を中心に所定の範囲内に携帯端末70が入り込んだとき、送信機45と携帯端末70とが無線通信可能となる。また、特装車10の受信機25を中心に所定の範囲内に携帯端末70が入り込んだとき、受信機25と携帯端末70とが無線通信可能となる。逆に、送信機45から所定の範囲外に携帯端末70があるとき、送信機45と携帯端末70とは通信できず、受信機25から所定の範囲外に携帯端末70があるとき、受信機25と携帯端末70とは通信できない。なお、この所定の範囲とは、送信機45または受信機25からの距離のことであり、具体的な値は特に限定されるものではない。所定の範囲は、例えばブルートゥース(登録商標)のクラスによって決定される。例えばクラス3の場合には、所定の範囲は、1m程度になる。なお、この所定の範囲は、適宜設定の変更が可能であり、テールゲートリフタ16の稼働状況または安全状況をユーザ3が確認できる程度の距離であることが望ましい。
【0045】
本実施形態では、図4に示すように、特装車10のスイッチ制御装置50は、送信部51と、スイッチ受信部53とを備えている。特装車10の制御装置30は、受信部31と、判定部33と、許可部35と、動作制御部37とを備えている。携帯端末70の端末制御装置80は、端末受信部81と、端末送信部83とを備えている。これらスイッチ制御装置50の各部、制御装置30の各部、および、端末制御装置80の各部の詳しい制御は、後述するが、これらの制御によってスイッチ情報D1に基づいて、テールゲートリフタ16の動作が可能になる。
【0046】
次に、本実施形態に係る無線通信システム1において、携帯端末70を介した無線通信で、特装車10の制御装置30がスイッチ情報D1を取得する手順について、図5のフローチャートに沿って説明する。
【0047】
図5のステップS101では、携帯端末70は、送信機45とペアリングを行う。ステップS101では、まず携帯端末70を持ったユーザ3がキャブ11内に入る。このとき、キャブ11内において携帯端末70は、送信機45から所定の範囲内に入っている。本実施形態では、送信機45から所定の範囲内に携帯端末70が入っているときに、ペアリングを行うことが可能になる。
【0048】
その後、携帯端末70の端末通信機75を通信可能状態で待機させ、送信機45から発せられる信号を受信する。この信号には、例えば送信機45を識別するための通信機識別情報が含まれる。携帯端末70では、上記の通信機識別情報を含む信号を受信すると、表示装置71にペアリングの候補先として、送信機45が表示される。ユーザ3は、携帯端末70の端末操作装置73を操作して、表示装置71に表示されたペアリングの候補先の中から、送信機45を選択する。このことで、携帯端末70が送信機45とペアリングした状態となり、携帯端末70と送信機45との無線通信が可能となる。
【0049】
なお、上記のペアリングの候補先としては、ユーザ3が通信対象としている特装車10の送信機45以外に、例えばユーザ3が所有するブルートゥース(登録商標)で通信するもの(例えばイヤホンなど)が考えられる。しかしながら、本実施形態では、通信対象の特装車10のキャブ11内で送信機45に携帯端末70を近づけてペアリングを行うため、例えば隣りに駐車している他の特装車の送信機とは、距離が確保されているため、他の特装車の送信機は、ペアリングの候補先にはなり難い。よって、通信対象の特装車10のキャブ11内でペアリングを行うことで、ユーザが意図しない特装車の送信機に対してペアリングが行われ難くすることができる。
【0050】
次に、図5のステップS103では、スイッチ制御装置50の送信部51は、送信機45を介してスイッチ情報D1を携帯端末70に送信する。ここで携帯端末70に送信されるスイッチ情報D1は、スイッチ記憶装置48に記憶されている情報であり、メインスイッチ41から発信されたオン信号S1またはオフ信号S2を含む。なお、ここでは、ステップS103では、送信部51は、スイッチ情報D1と共に、識別記憶装置60に記憶された車両識別情報D2を送信する。
【0051】
本実施形態では、例えば携帯端末70の端末操作装置73をユーザ3が操作して、端末送信部83が、端末通信機75を介して取得信号をスイッチ制御装置50に送信する。特装車10では、スイッチ制御装置50のスイッチ受信部53は、上記取得信号を受信する。この取得信号を受信したときに、送信部51は、送信機45を介して、スイッチ情報D1と共に車両識別情報D2を携帯端末70に送信する。
【0052】
なお、携帯端末70は、上記のようにユーザ3が端末操作装置73を操作することで、スイッチ情報D1と共に車両識別情報D2を受信する形態に限定されない。例えば、携帯端末70は、端末操作装置73を操作せずに、ユーザ3がメインスイッチ41を操作した際にその信号を感知することで、送信機45からのスイッチ情報D1および車両識別情報D2を自動で受信したり、ユーザ3が受信機25に移動した際にスイッチ情報D1および車両識別情報D2を自動で送信したりすることが可能な形態であってもよい。このような端末操作装置73を操作しないで信号の送受信を行う携帯端末70の一例として、例えば鍵を鍵穴に挿入することなく、ドアの解錠および施錠が可能なキーレスエントリー機能を有する特装車10用の携帯機が挙げられる。
【0053】
このようにスイッチ情報D1および車両識別情報D2が送信された後、携帯端末70では、端末受信部81は、送信部51から送信されたスイッチ情報D1および車両識別情報D2を、端末通信機75を介して受信する。なお、端末受信部81によって受信されたスイッチ情報D1および車両識別情報D2は、端末記憶装置78に記憶される。
【0054】
次に、図5のステップS105では、携帯端末70は、特装車10の受信機25とペアリングを行う。ここでは、携帯端末70を持ったユーザ3は、キャブ11の外に出て、シャーシ12の後部に設けられた受信機25から所定の範囲内に移動する。このことで、携帯端末70は、受信機25から所定の範囲内に入り、携帯端末70と受信機25とのペアリングが可能になる。
【0055】
その後、ステップS101のときと同様に、携帯端末70の端末通信機75を通信可能状態で待機させ、受信機25から発せられる信号であって、受信機25を識別する通信機識別情報を含む信号を受信する。携帯端末70では、上記信号を受信すると、表示装置71にペアリングの候補先として、受信機25が表示される。ユーザ3は、端末操作装置73を介して受信機25を選択する。このことで、携帯端末70が受信機25とペアリングした状態となり、携帯端末70と受信機25との無線通信が可能となる。
【0056】
次に、図5のステップS107では、特装車10の制御装置30の受信部31は、受信機25を介して携帯端末70からスイッチ情報D1を受信して制御装置30に伝える。ここで、受信部31が受信するスイッチ情報D1は、携帯端末70の端末記憶装置78に記憶されたスイッチ情報D1である。なお、本実施形態では、ステップS107において、受信部31は、スイッチ情報D1と共に、端末記憶装置78に記憶された車両識別情報D2を、受信機25を介して携帯端末70から受信する。
【0057】
本実施形態では、例えば携帯端末70の端末操作装置73をユーザ3が操作して、端末送信部83が、端末記憶装置78に記憶されたスイッチ情報D1および車両識別情報D2を、端末通信機75を介して特装車10の制御装置30に送信する。特装車10では、制御装置30の受信部31は、受信機25を介して携帯端末70からスイッチ情報D1および車両識別情報D2を受信する。なお、受信部31によって受信されたスイッチ情報D1および車両識別情報D2は、特装車10の記憶装置28に記憶される。
【0058】
次に、図5のステップS109では、制御装置30の判定部33は、受信部31によって受信されたスイッチ情報D1に、メインスイッチ41から発信されたオン信号S1が含まれているか否かを判定する。更に、判定部33は、受信部31によって受信された車両識別情報D2が、識別記憶装置60に記憶された車両識別情報D2と一致するか否かを判定する。ここで、受信部31によって受信された車両識別情報D2が、識別記憶装置60に記憶された車両識別情報D2と一致しない場合には、受信部31によって受信されたスイッチ情報D1が、車両識別情報D2が異なる他の車両のスイッチ情報D1であると判断される。この場合、スイッチ情報D1にオン信号S1が含まれているか、オフ信号S2が含まれているかに関わらず、制御装置30の制御はできない。そこで、判定部33によって、スイッチ情報D1にメインスイッチ41のオン信号S1が含まれていない(言い換えると、オフ信号S2が含まれている)、または、受信部31によって受信された車両識別情報D2が、識別記憶装置60に記憶された車両識別情報D2と一致しないと判定されたとき、次に図5のステップS111に進む。
【0059】
ステップS111では、特装車10の許可部35は、制御装置30におけるテールゲートリフタ16の動作の制御を許可しない。ここでは、ユーザ3がパワーユニット20の操作装置21を操作した場合であっても、テールゲートリフタ16は動作しない。ここで、テールゲートリフタ16の動作の制御を許可しないとは、例えばテールゲートリフタ16の回動昇降装置18に接続されている車両のバッテリ(図示せず)において、当該バッテリと回動昇降装置18とを通電させない状態にすることである。本実施形態では、ステップS111よりも前において、携帯端末70と受信機25とがペアリングしていないときには、バッテリと回動昇降装置18が通電しないように構成されている。
【0060】
図5のステップS109において、判定部33によって、受信部31が受信したスイッチ情報D1にメインスイッチ41から発信されたオン信号S1が含まれており、かつ、受信部31が受信した車両識別情報D2が、識別記憶装置60に記憶された車両識別情報D2と一致していると判定されたとき、次に図5のステップS113に進む。ステップS113では、許可部35は、制御装置30におけるテールゲートリフタ16の動作の制御を許可する。ここでは、テールゲートリフタ16の回動昇降装置18に接続されているバッテリにおいて、携帯端末70と受信機25とがペアリングしているときに、当該バッテリと回動昇降装置18とを通電させた状態になるように構成されている。
【0061】
このように、ステップS113においてテールゲートリフタ16の動作の制御が許可された後、特装車10の動作制御部37(図4参照)は、操作装置21のユーザ3による操作に基づいてテールゲートリフタ16の動作を制御する。ここでは、シャーシ12の後部の側部に設けられた操作装置21に備えられたレバーやボタンをユーザ3が操作する。操作装置21に対するユーザ3の操作に沿って、動作制御部37は、テールゲートリフタ16の回動昇降装置18を制御する。回動昇降装置18の駆動制御に沿って、テールゲートリフタ16のテールゲート17は、回動したり昇降したりする。
【0062】
以上、本実施形態では、図1に示すように、メインスイッチ41は、キャブ11の内部に配置され、制御装置30をオンするオン信号S1(図5のステップS103参照)を発信する。送信機45は、キャブ11の内部に配置され、メインスイッチ41のオン信号S1を送信する。受信機25は、キャブ11の外部に配置され、オン信号S1を受信して制御装置30に伝える。受信機25は、送信機45が送信したオン信号S1を、中継通信機の一例である携帯端末70を介して間接的に無線通信を通じて受信するように構成されている。このことによって、受信機25がオン信号S1を受信したときに制御装置30に伝えられ、制御装置30によるテールゲートリフタ16の動作の制御が可能になる。メインスイッチ41のオン信号S1は、無線通信で送信されるため、オン信号S1を送信するための電線を要しない。よって、オン信号S1が送信される電線の省略により、特装車10で使用される電線の本数を削減することができるため、車両の組み立ての効率化を図ることができる。また、本実施形態では、オン信号S1は、携帯端末70を介して受信機25に送信される。よって、特許文献2に開示された車両のような、無線で直接接続されている車両と比較して、オン信号S1が携帯端末70を介して送信される際に、オン信号S1が特装車10を形成する金属を通過する箇所が少なく、当該金属によって遮蔽され難い。したがって、オン信号S1を受信機25により確実に送信することができる。
【0063】
また、本実施形態では、携帯端末70を介してオン信号S1などのスイッチ情報D1を送受信することで、ユーザ3の一連の動作における適切なタイミングで当該送受信を行うことができる。例えばユーザ3が特装車10を運転しているときには、キャブ11内に居るため、特装車10を停止後にキャブ11内のメインスイッチ41の操作を迅速に行うことができる。よって、携帯端末70と送信機45とのペアリングを迅速に行うことが可能になる。そして、ユーザ3は、テールゲートリフタ16を操作するときには、キャブ11外の操作装置21まで携帯端末70を携帯した状態で移動する。そのため、ユーザ3が移動している間に、携帯端末70と受信機25との簡易的なペアリングを行うことができる。このように、本実施形態では、必要なタイミングと共に必要な場所でペアリングが行われて確実な通電状態を可能とすることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、送信機45は、キャブ11の内部に設けられていたが、キャブ11の近傍、言い換えると、キャブ11から所定の距離以内に離れた位置に配置されていてもよい。ここで、キャブ11から所定の距離以内における所定の距離とは、キャブ11の外部ではあるがキャブ11の直ぐ傍となる程度の距離のことをいい、例えば1m程度のこという。送信機45は、例えばキャブ11に対して後方側1m程度の近傍範囲内や、キャブ11の外壁などに配置されてもよい。このことで、キャブ11の内部にある送信機45と車両後部に配置された受信機25とを接続するように電線を配索する場合と比べて電線の長さを短くすることができ、その結果、車両の組み立てに関する効率化やメンテナンスの効率化を果たすことができる。
【0065】
また、スイッチ情報D1などの受信の際に用いられる受信機25は、上述のように特装車10で使用される電線の本数の削減に寄与しているが、バッテリとの通電許否のトリガとなり得るものである。そのため、受信機25の位置は、シャーシ12の後側の部分12aに限定されるものではなく、バッテリの近傍であってもよい。この場合であっても、配策する電線の長さを短くすることができる。さらに、受信機25は、バッテリよりも車両前方側(例えばキャブ11の後方外側)に配置されてもよい。特に、キャブ11の内部と外部との間における電線配索条件は厳しく、電線を通す挿通孔も限定された箇所や大きさとなっているために、車両の組立などにおける作業工数が多くなる傾向にある。しかしながら、本実施形態のような受信機25を適用することで、キャブ11の内部と外部との間における電線の配索作業を省略できる効果は大きい。また、少なくともキャブ11とテールゲートリフタ16との間に受信機25が設けられていることで、キャブ11とテールゲートリフタ16との間を往復するユーザ3にとって、移動中に意識することなく受信機25にも接近することができる。
【0066】
本実施形態では、図4に示すスイッチ制御装置50の送信部51は、送信機45を介してスイッチ情報D1のオン信号S1を携帯端末70に送信する(図5のステップS103参照)。制御装置30では、受信部31は、受信機25を介して携帯端末70からスイッチ情報D1のオン信号S1を受信する(図5のステップS107参照)。許可部35は、受信部31によってオン信号S1が受信されたとき、駆動装置の一例であるテールゲートリフタ16の動作の制御を許可する(図5のステップS113参照)。図4の動作制御部37は、許可部35によってテールゲートリフタ16の動作の制御を許可されたとき、操作装置21の操作に基づいてテールゲートリフタ16の動作を制御する。このことによって、受信部31が受信機25を介してオン信号S1を受信したタイミングで、許可部35がテールゲートリフタ16の動作の制御を許可することができる。許可部35がテールゲートリフタ16の動作の制御を許可することを待って、ユーザ3が操作装置21の操作をすることで、テールゲートリフタ16を動作させることができる。
【0067】
本実施形態では、図1に示すように、テールゲートリフタ16は、荷箱15の後部に設けられているものであり、キャブ11内に設けられるメインスイッチ41との距離は比較的に長い。このように、メインスイッチ41からの距離が比較的に長い場合において、仮にメインスイッチ41と制御装置30とが電線で有線接続されていると、電線がより長くなり、電線の配置が煩雑化する。しかしながら、本実施形態では、スイッチ情報D1が携帯端末70を介して無線通信で送信され、スイッチ情報D1が送信される電線が省略されるため、電線の配置の煩雑化を抑制することができる。
【0068】
本実施形態では、図1に示すように、シャーシ12は、キャブ11および荷箱15を支持している。操作装置21と受信機25は、シャーシ12を前後に2分割したときの後側の部分12aに設けられている。このことによれば、キャブ11の内部に配置された送信機45と、シャーシ12を前後に2分割したときの後側の部分12aに設けられた受信機25との距離が比較的に長い。このように、送信機45と受信機25との距離が比較的に長い場合であっても、携帯端末70を介してスイッチ情報D1を受信機25に送信することで、スイッチ情報D1が携帯端末70を介して送信される際に、スイッチ情報D1が特装車10を形成する金属を通過する箇所が少なく、当該金属によって遮蔽され難い。
【0069】
本実施形態では、図4の識別記憶装置60には、個々の車両を識別する車両識別情報D2が記憶されている。送信部51は、スイッチ情報D1(例えばオン信号S1またはオフ信号S2)と共に車両識別情報D2を携帯端末70に送信する(図5のステップS103参照)。受信部31は、スイッチ情報D1と共に車両識別情報D2を携帯端末70から受信する(図5のステップS107参照)。判定部33は、受信部31が受信したスイッチ情報D1にオン信号S1が含まれ、かつ、受信部31が受信した車両識別情報D2が、識別記憶装置60に記憶された車両識別情報D2と一致するか否かを判定する(図5のステップS109参照)。許可部35は、判定部33によって、受信部31が受信したスイッチ情報D1にオン信号S1が含まれ、かつ、受信部31が受信した車両識別情報D2が、識別記憶装置60に記憶された車両識別情報D2と一致すると判定されたとき、動作制御部37によるテールゲートリフタ16の動作の制御を許可する(図5のステップS113参照)。
【0070】
例えば携帯端末70から受信機25に送信されたスイッチ情報D1(例えばオン信号S1またはオフ信号S2)が、車両識別情報D2が異なる特装車10のスイッチ情報D1であることがあり得る。本実施形態によれば、携帯端末70からスイッチ情報D1と共に送信された車両識別情報D2が、識別記憶装置60に記憶された車両識別情報D2と異なる場合には、スイッチ情報D1にオン信号S1が含まれているか、オフ信号S2が含まれているかに関わらず、テールゲートリフタ16の動作の制御が許可されない。よって、異なる車両識別情報D2の特装車10のスイッチ情報D1を受信した場合には、テールゲートリフタ16の動作が誤って行われることを防止することができる。
【0071】
本実施形態では、図1に示すように、携帯端末70は、ユーザ3が携帯可能な端末である。このことによって、送信機45に携帯端末70を近づけることで、送信機45を介してスイッチ情報D1を携帯端末70に送信する。スイッチ情報D1を受信した携帯端末70を持ったユーザ3が、受信機25の近くまで移動し、受信機25に携帯端末70を近づけることで、受信機25はスイッチ情報D1を携帯端末70から受信する。このように、携帯型の携帯端末70を移動させることで、特装車10のキャブ11やシャーシ12などを形成する金属でスイッチ情報D1の送信が遮蔽されることを更に抑制することができる。
【0072】
本実施形態では、送信機45は、図5のステップS103において、携帯端末70がキャブ11内、かつ、送信機45から所定の範囲内に入っているとき、スイッチ情報D1(例えばオン信号S1またはオフ信号S2)を携帯端末70に送信可能に構成されている。受信機25は、図5のステップS107において、携帯端末70が受信機25から所定の範囲内に入っているとき、携帯端末70からスイッチ情報D1を受信可能に構成されている。このことによって、例えば隣りに駐車している特装車10からの出力される電波が強い場合であっても、所定の範囲内に入っている携帯端末70のスイッチ情報D1を確実に受信機25が受信することができるため、隣りの特装車10の強い電波による干渉の影響を抑制することができる。特に、上述したようなペアリングも行われるため、隣りの特装車10などからの電波に基づくスイッチ情報D1が携帯端末70に誤送信または誤受信されることは予め防止されているが、仮にペアリングが行われていない特装車10であっても、本実施形態のように、送信機45または受信機25から所定の範囲よりも外に携帯端末70がある場合には、送信機45または受信機25と、携帯端末70とは無線通信を行うことができない。よって、ユーザ3が意図しない特装車10に対して、携帯端末70がスイッチ情報D1を誤送信または誤受信し難くすることができる。
【0073】
なお、本実施形態において、特装車10の無線通信用のコンピュータプログラム、および、特装車10の無線通信方法が含まれるものとする。特装車10の無線通信用のコンピュータプログラムは、送信機45を介してスイッチ情報D1(例えばオン信号S1またはオフ信号S2)を携帯端末70に送信する送信部51と、受信機25を介して携帯端末70からスイッチ情報D1を受信する受信部31と、受信部31によってスイッチ情報D1のオン信号S1が受信されたとき、テールゲートリフタ16の動作の制御を許可する許可部35と、を少なくとも実現するためのコンピュータプログラムである。
【0074】
特装車10の無線通信方法は、送信ステップと、受信ステップと、判定ステップと、許可ステップとを包含する。送信ステップは、図5のステップS103において送信部51によって具現化されたものであり、携帯端末70が特装車10のキャブ11内、かつ、メインスイッチ41から所定の範囲内に入っているとき、メインスイッチ41のスイッチ情報D1(例えばオン信号S1またはオフ信号S2)を、携帯端末70に無線通信を通じて送信するステップである。受信ステップは、図5のステップS107において受信部31によって具現化されたものであり、携帯端末70が操作装置21から所定の範囲内に入っているとき、携帯端末70から無線通信を通じてスイッチ情報D1を受信するステップである。判定ステップは、図5のステップS109において判定部33によって具現化されたものであり、受信ステップで受信したスイッチ情報D1にオン信号S1が含まれているか否かを判定するステップである。許可ステップは、図5のステップS113において許可部35によって具現化されたものであり、判定ステップにおいて、スイッチ情報D1にオン信号S1が含まれ、受信ステップでオン信号S1を受信したとき、制御装置30によるテールゲートリフタ16への動作の制御を許可するステップである。
【0075】
なお、本実施形態では、特装車10から携帯端末70に、スイッチ情報D1と共に車両識別情報D2が送信されていた。しかしながら、例えば特装車10と携帯端末70が1対1の関係の場合、すなわち携帯端末70が、識別記憶装置60に記憶された車両識別情報D2に該当する特装車10専用の端末の場合、車両識別情報D2の送信は省略されてもよい。車両識別情報D2の送信が省略された場合、図5のステップS109では、制御装置30の判定部33は、受信部31によって受信されたスイッチ情報D1に、メインスイッチ41が発信したオン信号S1が含まれているか否かのみを判定する。そして、判定部33によってスイッチ情報D1にメインスイッチ41から発信されたオン信号S1が含まれていないと判定された場合、次にステップS111に進む。一方、判定部33によってスイッチ情報D1にメインスイッチ41から発信されたオン信号S1が含まれていると判定された場合、次にステップS113に進む。
【0076】
<第2実施形態>
第1実施形態では、本発明に係る中継通信機は、ユーザ3が携帯可能な携帯端末70であった。しかしながら、本発明に係る中継通信機は、携帯端末70に限定されない。図6に示す第2実施形態に係る無線通信システム1Aのように、本発明に係る中継通信機は、サーバ70Aであってもよい。
【0077】
本実施形態に係る無線通信システム1Aでは、サーバ70Aは、特装車10の外部に設けられており、特装車10の受信機25および送信機45と無線通信可能なものである。サーバ70Aは、ネットワーク2を介して特装車10の制御装置30およびスイッチ制御装置50と無線通信可能である。ここで、ネットワーク2は、インターネットや、図示しない無線基地局によって構築される各種移動通信システムなどで構成されている。移動通信システムとしては、第4世代移動通信システム(4G)または第5世代移動通信システム(5G)などの各世代移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、および、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))などが挙げられる。
【0078】
図7に示すように、サーバ70Aは、サーバ通信機75Aと、サーバ記憶装置78Aと、サーバ制御装置80Aとを備えている。サーバ通信機75Aは、パワーユニット20の受信機25、および、スイッチユニット40の送信機45と、ネットワーク2(図6参照)を介して無線通信可能なものである。サーバ記憶装置78Aには、サーバ通信機75Aを介して取得された情報が記憶される。
【0079】
サーバ制御装置80Aは、サーバ通信機75Aおよびサーバ記憶装置78Aと電気的に接続されている。本実施形態では、サーバ制御装置80Aは、サーバ受信部81Aと、サーバ送信部83Aとを備えている。サーバ受信部81Aと、サーバ送信部83Aとは、それぞれ第1実施形態の携帯端末70の端末操作装置73の端末受信部81と、端末送信部83(図4参照)と実質的に同じ制御を行う。
【0080】
次に、本実施形態に係る無線通信システム1Aにおいて、サーバ70Aを介した無線通信で、特装車10の制御装置30がスイッチ情報D1を取得する手順について、図8のフローチャートに沿って説明する。
【0081】
本実施形態では、サーバ70Aと、特装車10の受信機25および送信機45との無線通信の接続は、例えば特装車10のエンジンを掛けることで確立している状態になる。そのため、図5のステップS101およびステップS105のようなペアリングの作業は省略される。
【0082】
ここでは、図8のステップS201、S203、S205、S207、S209の制御は、それぞれ図5のステップS103、S107、S109、S111、S113の制御に対応している。そのため、以下では、図8のフローチャートのうち、図5のフローチャートと異なる制御の部分のみを説明し、共通する制御の部分についての説明は省略する。
【0083】
図8のステップS201では、スイッチ制御装置50の送信部51は、送信機45を介してスイッチ情報D1(詳しくはオン信号S1またはオフ信号S2)と共に、識別記憶装置60に記憶された車両識別情報D2をサーバ70Aに送信する。ここでは、例えばメインスイッチ41には、図示しない送信ボタンが備えられている。ユーザ3は、キャブ11内で上記送信ボタンを押すことで、スイッチ情報D1および車両識別情報D2がサーバ70Aに送信される。サーバ70Aでは、サーバ受信部81Aは、送信部51から送信されたスイッチ情報D1および車両識別情報D2を、サーバ通信機75Aを介して受信する。サーバ受信部81Aによって受信されたスイッチ情報D1および車両識別情報D2は、サーバ記憶装置78Aに記憶される。
【0084】
図8のステップS203では、サーバ70Aのサーバ送信部83Aが、サーバ記憶装置78Aに記憶されたスイッチ情報D1および車両識別情報D2を、サーバ通信機75Aを介して特装車10の制御装置30に送信する。特装車10では、制御装置30の受信部31は、受信機25を介してサーバ70Aからスイッチ情報D1および車両識別情報D2を受信する。
【0085】
以上のように、本実施形態では、本発明の中継通信機は、特装車10の外部に設けられたサーバ70Aである。そのため、スイッチ情報D1は、特装車10の外部に設けられたサーバ70Aを介して、パワーユニット20に送信される。本実施形態では、サーバ70Aを介しているため、特許文献2に開示された車両のような、無線で直接接続されている車両と比較して、電波強度が大きくなる。そのため、スイッチ情報D1がサーバ70Aを介して送信される際に、スイッチ情報D1が特装車10を形成する金属を通過する場合であっても、当該金属によって遮蔽され難い。
【0086】
上記各実施形態では、テールゲートリフタ16が、所定の動作を行う駆動装置の一例であった。しかしながら、本発明に係る駆動装置は、テールゲートリフタ16に限定されない。本発明に係る駆動装置は、キャブ11からの信号(詳しくは、キャブ11内に配置された装置などからの信号)を受信するものを対象としている。上記各実施形態におけるテールゲートリフタ16の場合では、駆動装置とバッテリを通電可能とするためのメインスイッチ41の信号をキャブ11の外部に出力する構成であったが、通電するための信号以外(例えば、PTO(Power Take Off)信号やキースイッチ信号など)を出力する特装車(例えば塵芥収集車、コンテナ脱着車、散水車など)においても適用可能である。いずれの特装車であっても、電線の本数や長さを削減し、車両の組み立てやメンテナンスに要する作業工数の低減効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 無線通信システム(特装車の無線通信システム)
10 特装車
11 キャブ
12 シャーシ
15 荷箱(架装物)
16 テールゲートリフタ(駆動装置)
20 パワーユニット
21 操作装置
25 受信機
30 制御装置
31 受信部
33 判定部
35 許可部
37 動作制御部
40 スイッチユニット
41 メインスイッチ
45 送信機
48 スイッチ記憶装置
50 スイッチ制御装置
51 送信部
60 識別記憶装置
70 携帯端末(中継通信機)
70A サーバ(中継通信機)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8