IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社図南の特許一覧

<>
  • 特開-タイヤカバープレート離脱阻止装置 図1
  • 特開-タイヤカバープレート離脱阻止装置 図2
  • 特開-タイヤカバープレート離脱阻止装置 図3
  • 特開-タイヤカバープレート離脱阻止装置 図4
  • 特開-タイヤカバープレート離脱阻止装置 図5
  • 特開-タイヤカバープレート離脱阻止装置 図6
  • 特開-タイヤカバープレート離脱阻止装置 図7
  • 特開-タイヤカバープレート離脱阻止装置 図8
  • 特開-タイヤカバープレート離脱阻止装置 図9
  • 特開-タイヤカバープレート離脱阻止装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093951
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】タイヤカバープレート離脱阻止装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 7/04 20060101AFI20220617BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
A47F7/04
B60C19/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206692
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】517347850
【氏名又は名称】株式会社図南
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】特許業務法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091557
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 修
(72)【発明者】
【氏名】北村 俊郎
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC55
3D131BC57
3D131LA40
(57)【要約】
【課題】タイヤの内部に雨水や塵埃等が入り込むのを確実に防ぐことができるとともに、サイズの異なる各種のタイヤにタイヤカバープレートを使用することができるようにするタイヤカバープレート離脱阻止装置を提供する。
【解決手段】このタイヤカバープレート離脱阻止装置3は、タイヤの側面に配置されてタイヤの中心孔を覆うタイヤカバープレート2がタイヤから離脱するのを阻止する装置であり、タイヤのビード部に引っ掛ける3つの引掛け部31と、3つの引掛け部31をタイヤ径方向に沿ってスライド可能に支持する支持部32とを備えている。3つの引掛け部31は、支持部32の周方向へ所定間隔に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの側面に配置されて前記タイヤの中心孔を覆うタイヤカバープレート
が前記タイヤから離脱するのを阻止するタイヤカバープレート離脱阻止装置であって、
前記タイヤのビード部に引っ掛ける少なくとも3つの引掛け部と、
前記タイヤカバープレートに連結され、前記少なくとも3つの引掛け部をタイヤ径方向に沿ってスライド可能に支持する支持部と
を備え、
前記少なくとも3つの引掛け部が、前記支持部の周方向へ所定間隔に配置されている
ことを特徴とするタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項2】
前記支持部が、
前記タイヤカバープレートの一方の面に配置される第1プレートと、
前記第1プレートの一方の面に配置される第2プレートとを有し、
前記第1のプレートが、
前記支持部の中心点から放射状に延びる少なくとも3つの切欠きを有し、
前記第2プレートが、
前記少なくとも3つの切欠きにそれぞれ通じ前記支持部の中心点から放射状に延びる少なくとも3つのスリットを有し、
前記少なくとも3つの切欠きと前記少なくとも3つのスリットとがそれぞれ前記支持部の周方向へ等間隔に配置され、
前記少なくとも3つの引掛け部がそれぞれ、
前記少なくとも3つの切欠きにスライド可能に収容されるスライド部と、
前記スライド部に対して垂直に連なり、前記スリットを通じて外部に突き出る引掛け部本体とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項3】
前記引掛け部本体が、前記タイヤのビード部に引っ掛かる鉤形部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項4】
前記少なくとも3つの引掛け部の位置関係を一定に保つ位置関係維持部材を、更に備えている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項5】
前記位置関係維持部材が、
前記維持部材本体と、
前記維持部材本体から放射状に延びる3つのアーム部と、
前記3つのアーム部の自由端部に形成され、前記維持部材本体の一部を受け容れる受容部と
を有する
ことを特徴とする請求項4記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項6】
前記引掛け部本体が、
前記受容部と嵌合する引掛け部側切欠きを有する
ことを特徴とする請求項5に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項7】
前記第1プレートが、
前記3つの引掛け部を収容する第1プレート側引掛け部収容切欠きを有し、
前記第2プレートが、
前記第1プレート側引掛け部収容切欠きに通じ、前記少なくとも3つの引掛け部を収容する第2プレート側引掛け部収容切欠きを有し、
前記支持部が、
前記第2プレートの表面に固定され、前記第1プレート側引掛け部収容切欠きと前記第2プレート側引掛け部収容切欠きとに収容された前記少なくとも3つの引掛け部を支持する支持プレート部を有する
ことを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項8】
前記支持プレート部が、
前記第2プレートの表面に固定される第1支持プレート部と、
前記第1支持プレート部の表面に固定される第2支持プレート部とを有し、
前記第2支持プレート部の一部と前記第2プレートの表面との間に形成される空間部に前記位置関係維持部材の一部が収容され、前記位置関係維持部材の一部が前記第2支持プレート部の一部と前記第2プレートの表面とで支持可能である
ことを特徴とする請求項7に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項9】
前記切欠きと前記第1プレート側引掛け部収容切欠きとが前記支持部の周方向へ交互に配置され、
前記スリットと前記第2プレート側引掛け部収容切欠きとが前記支持部の周方向へ交互に配置されている
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項10】
前記少なくとも3つの引掛け部と前記支持部とがそれぞれプラスチックダンボール製である
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤの中心孔を覆うタイヤカバープレートがそのタイヤから離脱するのを阻止するタイヤカバープレート離脱阻止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの内部に雨水や塵埃等が入り込むのを防ぐタイヤカバーの従来技術として、閉塞円板部と、脱落防止爪を有する脱落防止板と、宣伝用の表示とを備える雨水浸入防止デバイスがある(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-126011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
雨水浸入防止デバイスが装着されたタイヤは屋外に置かれるので、雨水浸入防止デバイスの使用期間が長くなると、雨、風、日射し等の影響を受けて、閉塞円板部が反ったり、タイヤに対する閉塞円板部の固定強度が低下したりして、タイヤの側面と閉塞円板部との隙間が大きくなり、雨水浸入防止デバイスの雨水浸入防止機能が低下したり、雨水浸入防止デバイスがタイヤから外れたりすることがある。
【0005】
また、雨水浸入防止デバイスを装着するタイヤのサイズによっては、雨水浸入防止デバイスをタイヤに装着できなかったり、タイヤに装着できたとしても雨水浸入防止デバイスがタイヤから簡単に外れたりすることがある。
【0006】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、タイヤの内部に雨水や塵埃等が入り込むのを確実に防ぐことができるとともに、サイズの異なる各種のタイヤにタイヤカバープレートを使用することができるようにするタイヤカバープレート離脱阻止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため請求項1に記載の発明は、タイヤの側面に配置されて前記タイヤの中心孔を覆うタイヤカバープレートが前記タイヤから離脱するのを阻止するタイヤカバープレート離脱阻止装置であって、前記タイヤのビード部に引っ掛ける少なくとも3つの引掛け部と、前記タイヤカバープレートに連結され、前記少なくとも3つの引掛け部をタイヤ径方向に沿ってスライド可能に支持する支持部とを備え、前記少なくとも3つの引掛け部が、前記支持部の周方向へ所定間隔に配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記支持部が、前記タイヤカバープレートの一方の面に配置される第1プレートと、前記第1プレートの一方の面に配置される第2プレートとを有し、前記第1のプレートが、前記支持部の中心点から放射状に延びる少なくとも3つの切欠きを有し、前記第2プレートが、前記少なくとも3つの切欠きにそれぞれ通じ前記支持部の中心点から放射状に延びる少なくとも3つのスリットを有し、前記少なくとも3つの切欠きと前記少なくとも3つのスリットとがそれぞれ前記支持部の周方向へ等間隔に配置され、前記少なくとも3つの引掛け部がそれぞれ、前記少なくとも3つの切欠きにスライド可能に収容されるスライド部と、前記スライド部に対して垂直に連なり、前記スリットを通じて外部に突き出る引掛け部本体とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記引掛け部本体が、前記タイヤのビード部に引っ掛かる鉤形部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記少なくとも3つの引掛け部の位置関係を一定に保つ位置関係維持部材を、更に備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記位置関係維持部材が、前記維持部材本体と、前記維持部材本体から放射状に延びる3つのアーム部と、前記3つのアーム部の自由端部に形成され、前記維持部材本体の一部を受け容れる受容部とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記引掛け部本体が、前記受容部と嵌合する引掛け部側切欠きを有することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項2~6のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記第1プレートが、前記3つの引掛け部を収容する第1プレート側引掛け部収容切欠きを有し、前記第2プレートが、前記第1プレート側引掛け部収容切欠きに通じ、前記少なくとも3つの引掛け部を収容する第2プレート側引掛け部収容切欠きを有し、前記支持部が、前記第2プレートの表面に固定され、前記第1プレート側引掛け部収容切欠きと前記第2プレート側引掛け部収容切欠きとに収容された前記少なくとも3つの引掛け部を支持する支持プレート部を有することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記支持プレート部が、前記第2プレートの表面に固定される第1支持プレート部と、前記第1支持プレート部の表面に固定される第2支持プレート部とを有し、前記第2支持プレート部の一部と前記第2プレートの表面との間に形成される空間部に前記位置関係維持部材の一部が収容され、前記位置関係維持部材の一部が前記第2支持プレート部の一部と前記第2プレートの表面とで支持可能であることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記切欠きと前記第1プレート側引掛け部収容切欠きとが前記支持部の周方向へ交互に配置され、前記スリットと前記第2プレート側引掛け部収容切欠きとが前記支持部の周方向へ交互に配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1~9のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記少なくとも3つの引掛け部と前記支持部とがそれぞれプラスチックダンボール製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明は、タイヤの内部に雨水や塵埃等が入り込むのを確実に防ぐことができるとともに、サイズの異なる各種のタイヤにタイヤカバープレートを使用することができるようにするタイヤカバープレート離脱阻止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1はこの発明の一実施形態に係るタイヤカバープレート離脱阻止装置の斜視図である。
図2図2図1のタイヤカバープレート離脱阻止装置の分解斜視図である。
図3図3図1のタイヤカバープレート離脱阻止装置の支持部の下側プレートの平面図である。
図4図4図1のタイヤカバープレート離脱阻止装置の支持部の上側プレートの平面図である。
図5図5図1のタイヤカバープレート離脱阻止装置の支持部の支持プレート部の平面図である。
図6図6図1のタイヤカバープレート離脱阻止装置の支持部の他の支持プレートを示す図であり、図6(a)は支持プレート部の第1プレート部の平面図、図6(b)は支持プレート部の第2プレート部の平面図、図6(c)は第1プレート部を第2プレート部に貼り付けたときの支持プレート部の平面図である。
図7図7図1のタイヤカバープレート離脱阻止装置の引掛け部を示す図であり、図7(a)は引掛け部の分解斜視図、図7(b)は引掛け部の斜視図である。
図8図8図1のタイヤカバープレート離脱阻止装置の3つの引掛け部の位置関係を維持する位置関係維持部材の平面図である。
図9図9はタイヤカバープレート離脱阻止装置の使用状態を示す断面図である。
図10図10はタイヤカバープレート離脱阻止装置の保管状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1はこの発明の一実施形態に係るタイヤカバープレート離脱阻止装置の斜視図、図2図1のタイヤカバープレート離脱阻止装置の分解斜視図である。タイヤカバープレート離脱阻止装置3は、タイヤ8の側面8aに配置されてタイヤ8の中心孔8hを塞ぐ円形のタイヤカバープレート2がタイヤ8から離脱するのを阻止する装置である。タイヤカバープレート2は、支持部32をタイヤカバープレート2に連結するための留め部材Fを通す6つの留め部材通し孔21と、中心マーク22とを有している。図2には上記留め部材Fが図示省略されている。
【0021】
タイヤカバープレート2とタイヤカバープレート離脱阻止装置3とはそれぞれプラスチックダンボール製である。この実施形態では、表側のライナとそのライナに対向する裏側のライナと両ライナ間に等間隔に配置される複数のリブとで構成されるプラスチックダンボール(図示せず)が使用されている。両ライナはいずれもシート状であり、リブは帯状である。両ライナ間の空間は複数のリブによって複数の空間に分断されている。
【0022】
タイヤカバープレート離脱阻止装置3は、図2に示すように、タイヤ8のビード部8b(図9参照)に引っ掛ける3つの引掛け部31と、タイヤカバープレート2に連結され、3つの引掛け部31をタイヤ径方向に沿ってスライド可能に支持する支持部32と、3つの引掛け部31の位置関係を一定に保つ位置関係維持部材5とを備えている。
【0023】
3つの引掛け部31は、支持部32の周方向(支持部32の中心点を中心とする仮想円の周方向)へ所定間隔に配置されている。この実施形態では、3つの引掛け部31が支持部32の周方向へ120度間隔に配置されている。
【0024】
支持部32は、図2に示すように、タイヤカバープレート2の一方の面に配置される下側プレート(第1プレート)321と、下側プレート321の一方の面に貼り付けられる上側プレート(第2プレート)322と、後述する支持プレート部323~325とを有する。
【0025】
下側プレート321は、図3に示すように、支持部32の中心点から放射状に延びる3つの切欠き321Aと、3つの引掛け部31を収容する3つの下側プレート側引掛け部収容切欠き(第1プレート側引掛け部収容切欠き)321Bと、1つの中心孔321Dと、タイヤカバープレート2の6つの留め部材通し孔21に対応する、留め部材Fを通す6つの留め部材通し孔321Cとを有する。
【0026】
上側プレート322は、図4に示すように、支持部32の中心点から放射状に延びる少なくとも3つのスリット322Aと、3つの引掛け部31を収容する3つの上側プレート側引掛け部収容切欠き(第2プレート側引掛け部収容切欠き)322Bと、1つの中心孔322Dと、タイヤカバープレート2の6つの留め部材通し孔21に対応する、留め部材Fを通す6つの留め部材通し孔322Cとを有する。
【0027】
スリット322Aはタイヤ中心軸方向Oで切欠き321Aに通じる。上側プレート側引掛け部収容切欠き322Bはタイヤ中心軸方向Oで下側プレート側引掛け部収容切欠き321Bに通じる。
【0028】
支持プレート部323~325はそれぞれ、上側プレート322の表面に貼り付けられ、下側プレート側引掛け部収容切欠き321Bと上側プレート側引掛け部収容切欠き322Bとに収容された引掛け部31が抜けないようにその引掛け部31を支持する。
【0029】
3つの引掛け部31はそれぞれ、支持部32の下側プレート321の切欠き321Aにスライド可能に収容されるスライド部311と、スライド部311に対して垂直に連なり、上側プレート322のスリット322Aを通じて外部に突き出る引掛け部本体312とを有する(図7(a)、図7(b)参照)。
【0030】
引掛け部本体312は、図7(a)、図7(b)に示すように、位置関係維持部材5の切欠き52aと嵌合する引掛け部側切欠き3121と、タイヤ8のビード部8bに引っ掛かる鉤形部3122とを有する。引掛け部本体312は、留め部材Fを通す留め部材通し孔314を有する。
【0031】
引掛け部31は引掛け部構成部材31Aと引掛け部構成部材31Bとで構成されている(図7(b)参照)。引掛け部構成部材31Aは、水平部311Aと、留め部材Fを通す孔3141を有する垂直部312Aとを備えている。引掛け部構成部材31Bは、水平部311Bと、留め部材Fを通す孔3142を有する垂直部312Bと、留め部材Fを通す孔3143を有し、垂直部312Bに折り曲げ可能に連なるビード保護プレート部312Cとを備えている。引掛け部構成部材31Aと引掛け部構成部材31Bとを留め部材Fで一体的に連結することによって引掛け部31が組み立てられる(図7(b)、図1図2参照)。なお、図7(b)において留め部材Fの図示は省略されている。
【0032】
位置関係維持部材5は、図8に示すように、中心孔51aを有する維持部材本体51と、維持部材本体51から放射状に延びる3つのアーム部52と、維持部材本体51及びアーム部52の強度を補強する3つの補強プレート53とを有する。
【0033】
3つのアーム部52は維持部材本体51の中心孔51aを中心とする仮想円の周方向へ等間隔に配置されている。中心孔51aは、位置関係維持部材5の着脱作業の際に指を差し込むための孔である。各アーム部52の自由端部には、引掛け部31の引掛け部本体312の一部を受け容れる切欠き(受容部)52aが形成されている。各アーム部52には、複数の三角形の孔52bがアーム部52の長手方向へ沿って形成されている。複数の三角形の孔52bは各種のタイヤ8(例えば12インチから17インチのタイヤ8)に対応しており、その三角形の孔52bを目印にしてアーム部52の自由端部をカッタ又ははさみで切断することにより、各種のタイヤ8のサイズに応じた長さのアーム部52を有する位置関係維持部材5を簡単に得ることができる。アーム部52の自由端部を切断したとき、そのアーム部52の複数の三角形の孔52bのうちの最も自由端部側に位置する孔52bが、引掛け部31の引掛け部本体312の引掛け部側切欠き3121を受け容れる切欠き(受容部)52aとなる。なお、孔52bの形状は四角形等でもよい。
【0034】
維持部材本体51とアーム部52には折曲線N51,N52が形成され、補強プレート53には折曲線N53が形成されている(図8参照)。補強プレート53は、プラスチック段ボールの一方のライナとリブとに形成された直線的な切れ込みである。各折曲線N51,N52,N53は、アーム部52の切欠き52aを引掛け部31の引掛け部本体312の一部に嵌合させ易くする折曲線として機能する。
【0035】
3つの補強プレート53は維持部材本体51及びアーム部52の表面に貼り付けられている。
【0036】
各補強プレート53はほぼ120度に曲がっている。3つの補強プレート53のうちの1つの補強プレート53は、他の2つの補強プレート53よりも、維持部材本体51の中心孔51aに近い位置にある(図8参照)。
【0037】
支持プレート部323,324はそれぞれ、上側プレート322の表面に固定される1つのプレートで構成される。支持プレート部323,324はそれぞれ、下側プレート側引掛け部収容切欠き321Bと上側プレート側引掛け部収容切欠き322Bとに収容された引掛け部31が抜けないように、引掛け部31のスライドプレート部311と引掛け部本体312の下部とを支持する(図10参照)。
【0038】
支持プレート部323,324はそれぞれ、図5に示すように、引掛け部31の引掛け部構成部材31Bのビード保護プレート部312Cを逃がす切欠き323a,324aと、位置決め用の孔323b,324bとを有する。
【0039】
支持プレート部325は、図6(a)~図6(c)に示すように、上側プレート322の表面に固定される第1支持プレート部3251と、第1支持プレート部3251の表面に固定される第2支持プレート部3252とで構成される。支持プレート部325は、下側プレート側引掛け部収容切欠き321Bと上側プレート側引掛け部収容切欠き322Bとに収容された引掛け部31が抜けないように、引掛け部31のスライドプレート部311と引掛け部本体312の下部とを支持する(図10参照)。
【0040】
第1支持プレート部3251は、引掛け部31の引掛け部構成部材31Bのビード保護プレート部312Cを逃がす切欠き3251aと、位置決め用の孔3251bとを有する(図6(a)参照)。第1支持プレート部3251の先端部3251cは円弧状であり、後端部3251dは山形である。切欠き3251aは第1支持プレート部3251の先端部3251cに形成されている。
【0041】
第2支持プレート部3252は、引掛け部31の引掛け部構成部材31Bのビード保護プレート部312Cを逃がす切欠き3252aを有する(図6(b)参照)。第2支持プレート部3252は第1支持プレート部3251より大きい(図6(c)参照)。第2支持プレート部3252の先端部3252cは円弧状であり、後端部3252dは山形である。切欠き3252aは第2支持プレート部3252の先端部3252cに形成されている。第1支持プレート部3251に第2支持プレート部3252を、切欠き3251aと切欠き3252aとが一致するように、貼り付けると、第2支持プレート部3252の後端部3252dが上側プレート322の中心孔322D側に突出し、第2支持プレート部3252の後端部3252dと上側プレート322の表面との間に空間部が形成される。この空間部には、タイヤカバープレート離脱阻止装置3を使用しないとき、位置関係維持部材5の一部(維持部材本体51とアーム部52との一部分)が収容され、位置関係維持部材5の一部は第2支持プレート部3252の後端部と上側プレート322の表面とで支持される(図10参照)。
【0042】
次に、タイヤカバープレート離脱阻止装置3の組立方法と使用方法との一例を説明する。
【0043】
まず、下側プレート321に上側プレート322を貼り付ける。このとき、下側プレート321の中心孔321Dと上側プレート322の中心孔322Dとを互いに一致させるとともに、下側プレート321の下側プレート側引掛け部収容切欠き321Bと上側プレート322の上側プレート側引掛け部収容切欠き322Bとを互いに一致させる。
【0044】
上側プレート322を上述のように下側プレート321に貼り付けると、下側プレート321の3つの切欠き321Aと上側プレート322の3つのスリット322Aとがタイヤ中心軸方向Oで通じる。
【0045】
次に、支持プレート部323,324をそれぞれ上側プレート322に貼り付ける。このとき、上側プレート322の上側プレート側引掛け部収容切欠き322Bの奥部322B1に支持プレート部323,324の置決め用の孔323b,324bの中心を合わせる。
【0046】
更に、支持プレート部325の第1支持プレート部3251を上側プレート322に貼り付けるとともに、第2支持プレート部3252を第1支持プレート部3251に貼り付ける。このとき、切欠き3251aと切欠き3252aとが一致するように、第1支持プレート部3251に第2支持プレート部3252を、貼り付ける。
【0047】
支持プレート部323~325を上側プレート322に貼り付けると、上側プレート322の3つ上側プレート側引掛け部収容切欠き322Bの一部が覆われる。
【0048】
また、支持プレート部325の第2支持プレート部3252の後端部3252dと上側プレート322の表面との間に空間部が形成されるので、タイヤカバープレート離脱阻止装置3を使用しないとき、位置関係維持部材5の一部は第2支持プレート部3252の後端部3252dと上側プレート322の表面とで支持される(図10参照)。
【0049】
次に、一方の引掛け部構成部材31Aの垂直部312Aと他方の引掛け部構成部材31Bの垂直部312Bとを重ね、他方の引掛け部構成部材31Bのビード保護プレート部312Cを折り曲げて一方の引掛け部構成部材31Aの垂直部312Aに重ねる。更に、一方の引掛け部構成部材31Aの垂直部312Aの孔3141と他方の引掛け部構成部材31Bの垂直部312Bの孔3142とビード保護プレート部312Cの孔3143とを互いに対向させ、留め部材通し孔314に留め部材Fを挿入して、一方の引掛け部構成部材31Aと他方の引掛け部構成部材31Bとを連結する。このようにして引掛け部31が組み立てられる(図7(a)、図7(c)参照)。
【0050】
その後、維持部材本体51及びアーム部52に3つの補強プレート53を貼り付けて位置関係維持部材5を作る。
【0051】
次に、タイヤカバープレート2に支持部32を配置する。このとき、タイヤカバープレート2の中心マーク22と上側プレート322の中心孔322Dとを一致させるとともに、タイヤカバープレート2の6つの留め部材通し孔21と上側プレート322の6つの留め部材通し孔322Cとを一致させ、上側プレート322の中心孔322Dと下側プレート321の中心孔321Dとタイヤカバープレート2の6つの留め部材通し孔21とに留め部材Fを挿入して、タイヤカバープレート2に支持部32を連結する。
【0052】
その後、3つの切欠き321Aに3つの引掛け部31のスライドプレート部311を挿入するとともに、3つのスリット322Aに3つの引掛け部31の引掛け部本体312を挿入し、3つの引掛け部31を上側プレート322の中心部322Dに近づくようにスライドさせる。
【0053】
次に、3つの引掛け部31がタイヤ中心孔8hに収まるように、タイヤ8をタイヤカバープレート2に載せる。
【0054】
その後、3つの引掛け部31を上側プレート322の中心孔322Dから遠ざかるようにスライドさせる。その結果、引掛け部31がタイヤ8のビード部8bに突き当たると、引掛け部31の鉤形部3122がタイヤ8のビード部8bに引っ掛かる(図9参照)。
【0055】
次に、3つの引掛け部31の引掛け部本体312の引掛け部側切欠き3221に位置関係維持部材5の各アーム部52の切欠き52aを嵌合する。その結果、位置関係維持部材5によって3つの引掛け部31の位置関係が維持される(図1参照)。位置関係維持部材5には折曲線N51,N52,N53が形成されており、位置関係維持部材5を曲げることができるので、3つの引掛け部31の引掛け部本体312の引掛け部側切欠き3121に位置関係維持部材5の各アーム部52の切欠き52aを嵌合し得る。
【0056】
最後に、タイヤカバープレート2がタイヤ8の上に位置するようにタイヤ8をひっくり返し、そのタイヤ8を図示しない積層された(いわゆる平積みされた)複数のタイヤ(図示せず)の上に載せる。
【0057】
この実施形態に係るタイヤカバープレート離脱阻止装置3では、タイヤ8のビード部8bに引っ掛ける3つの引掛け部31が、タイヤカバープレート2に連結された支持部32にタイヤ径方向に沿ってそれぞれ独立にスライド可能に支持されるので、タイヤカバープレート2をサイズの異なる各種のタイヤ8に装着することができる。
【0058】
また、3つの引掛け部31が、支持部32の周方向へ所定間隔(この実施形態では120度間隔)に配置されているので、タイヤカバープレート2にタイヤ径方向の外力が作用しても、3つの引掛け部31の位置関係は維持され、タイヤカバープレート2はほとんど動かない。タイヤカバープレート2のずれを簡単な構成で防ぐことができるので、タイヤカバープレート離脱阻止装置3の製造コストを低減することができる。
【0059】
更に、引掛け部31の鉤形部3122がタイヤ8のビード部8bに引っ掛かって、引掛け部31のタイヤ中心軸方向Oの移動が阻止され、タイヤ8に対するタイヤカバープレート2の固定強度が大きくなるので、タイヤカバープレート2とタイヤ8の側面8aとの間の隙間の増加が抑制され、タイヤカバープレート2の雨水浸入防止機能の低下やタイヤカバープレート2のタイヤ8からの離脱という現象が起こりにくい。
【0060】
また、3つの引掛け部31の引掛け部本体312の引掛け部側切欠き3121に位置関係維持部材5の各アーム部52の切欠き52aが嵌合するので、位置関係維持部材5によって3つの引掛け部31の位置関係が確実に維持される。
【0061】
更に、維持部材本体51とアーム部52とに補強プレート53が貼り付けられ、維持部材本体51とアーム部52との強度が補強されているので、3つの引掛け部31の位置関係がより確実に維持される。その一方、維持部材本体51とアーム部52とは折曲線N51,N52で折り曲げ可能であるとともに、各補強プレート53は折曲線N53で折り曲げ可能であるので、アーム部52の切欠き52aを引掛け部31の引掛け部本体312の引掛け部側切欠き3121に支障なく嵌合させることができる。
【0062】
また、維持部材本体51の中心孔51aに指を差し込むことができるので、位置関係維持部材5の着脱作業を円滑にすることができる。
【0063】
更に、各アーム部52に複数の三角形の孔52bがアーム部52の長手方向へ沿って形成されているので、各種のタイヤ8のサイズに応じた長さのアーム部52を有する位置関係維持部材5を簡単に用意することができる。
【0064】
また、タイヤカバープレート離脱阻止装置3を使用しないとき、図10に示すように、位置関係維持部材5の一部を、支持プレート部325の第2支持プレート部3252の後端部3252dと上側プレート322の表面との間に形成される空間部に押し込み、位置関係維持部材5を支持部32に支持させることができるとともに、引掛け部31のスライドプレート部311の水平部311A,311Bを重ねて平坦な状態にし、その引掛け部31を互いに対向する下側プレート321の下側プレート側引掛け部収容切欠き321Bと上側プレート322の上側プレート側引掛け部収容切欠き322Bとに収容し、引掛け部31を支持プレート323~325とタイヤカバープレート2とに支持させることができるので、タイヤカバープレート離脱阻止装置3の構成部品を分散させずに、タイヤカバープレート離脱阻止装置3を保管することができる。
【0065】
なお、上述の実施形態のタイヤカバープレート離脱阻止装置3では、引掛け部31が3つであるが、引掛け部31の数は3つに限定されない。切欠き321Aとスリット322Aの数は引掛け部31の数に対応するので、例えば引掛け部31の数が4つのとき、切欠き321Aとスリット322Aの数はそれぞれ4つである。
【0066】
また、上述の実施形態では3つの引掛け部31を支持部32の周方向へ120度間隔に配置したが3つの引掛け部31の配置は等間隔に限定されない。
【0067】
なお、この実施形態では、タイヤカバープレート2と引掛け部31と支持部32と位置関係維持部材5とがそれぞれプラスチックダンボール製であるが、それらの材料としては、プラスチックダンボール以外のプラスチックでもよいし、プラスチック以外の材料でもよい。
【符号の説明】
【0068】
2 タイヤカバープレート
21 留め部材通し孔
22 タイヤカバープレートの中心マーク
3 タイヤカバープレート離脱阻止装置
31 引掛け部
31A,31B 引掛け部構成部材
311 スライドプレート部
311A,311B 水平部
312 引掛け部本体
312A,312B 垂直部
312C ビード保護プレート部
3121 引掛け部側切欠き
3122 鉤形部
314 留め部材通し孔
3141 孔
3142 孔
3143 孔
32 支持部
321下側プレート(第1プレート)
321A 切欠き
321B 下側プレート側引掛け部収容切欠き
321C 留め部材通し孔
321D 中心孔
322 上側プレート(第2プレート)
322A スリット
322B 上側プレート側引掛け部収容切欠き
322B1 上側プレート側引掛け部収容切欠きの奥部
322C 留め部材通し孔
322D 中心孔
323 支持プレート部
323a 切欠き
323b 位置決め用の孔
324 支持プレート部
324a 切欠き
324b 位置決め用の孔
325 支持プレート部
3251 第1支持プレート部
3251a 切欠き
3251b 位置決め用の孔
3251c 先端部
3251d 後端部
3252 第2支持プレート部
3252a 切欠き
3252c 先端部
3252d 後端部
5 位置関係維持部材
51 維持部材本体
51a 維持部材本体の中心孔
52 アーム部
52a 切欠き(受容部)
52b 孔
53 補強プレート
53a 一端部
53b 中間部
53c 他端部
8 タイヤ
8a タイヤの側面
8b タイヤのビード部
8h タイヤの中心孔
O タイヤ中心軸方向
F 留め部材
N51,N52,N53 折曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10