(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093958
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】接続端子、及び当該接続端子の固定方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/34 20060101AFI20220617BHJP
H01R 11/12 20060101ALI20220617BHJP
H01R 4/18 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
H01R4/34
H01R11/12 D
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206706
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐之介
【テーマコード(参考)】
5E012
5E085
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E085BB02
5E085BB03
5E085BB12
5E085CC03
5E085DD16
5E085HH06
5E085JJ38
(57)【要約】
【課題】導電部品との接続作業の効率化を可能にする接続端子、及び当該接続端子の固定方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る接続端子(1)は、ワイヤハーネス(50)に電気接続される取付部(10)と、取付部と一体形成された板状の圧着端子部(20)であって、圧着端子部の厚さ方向に、圧着端子部の一方側の第1面から他方側の第2面に貫通する貫通孔(25)を有する圧着端子部と、圧着端子部に一体形成された座金部(30)であって、圧着端子部の第1面と第1面に対向する導電部品(70)との間に位置する座金部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスに電気接続される取付部と、
該取付部と一体形成された板状の圧着端子部であって、該圧着端子部の厚さ方向に、前記圧着端子部の一方側の第1面から他方側の第2面に貫通する貫通孔を有する圧着端子部と、
該圧着端子部に一体形成された座金部であって、前記圧着端子部の前記第1面と該第1面に対向する導電部品との間に位置する座金部と、を備えることを特徴とする接続端子。
【請求項2】
前記座金部は、前記貫通孔によって画成された前記圧着端子部の内側輪郭部に一体形成された複数の歯部から形成されており、
該歯部は、前記圧着端子部の前記第1面を越えて、前記圧着端子部の前記一方側に突出する第1突出部を含む第1歯を有する、請求項1記載の接続端子。
【請求項3】
前記歯部は、前記圧着端子部の前記第2面を越えて、前記圧着端子部の前記他方側に突出する第2突出部を含む第2歯を有する、請求項2記載の接続端子。
【請求項4】
前記座金部は、前記貫通孔を包囲するように前記圧着端子部の前記第1面に固定された環状の基部と、該基部に一体形成され、前記導電部品に向かって延びる複数の歯部と、を有する、請求項1記載の接続端子。
【請求項5】
前記座金部は、ばね座金として形成されており、
前記座金部は、前記貫通孔を包囲するように前記圧着端子部の前記第1面に固定されている、請求項1記載の接続端子。
【請求項6】
前記座金部は、超音波溶着、レーザ融着、又はスポット溶接により、前記圧着端子部の前記第1面に固定されている、請求項4又は5記載の接続端子。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の接続端子の固定方法であって、
前記圧着端子部の前記貫通孔が前記導電部品の係合孔と連通し、且つ、前記座金部が前記導電部品と接触するように、前記接続端子を前記導電部品に位置合わせする第1工程と、
該第1工程の後、前記圧着端子部の前記貫通孔に締結部材を挿通する第2工程と、
該第2工程の後、前記導電部品の前記係合孔に前記締結部材を螺合する第3工程と、を備えることを特徴とする接続端子の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接続端子、及び当該接続端子の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハーネスを介して電気機器と電気的に接続される接続端子が知られている。このような接続端子は、ネジ等の締結部品によって導電性の筐体に固定され、これにより筐体と電気機器とを電気的に接続するように構成されている。
【0003】
例えば特許文献1には、配線部材の端部に圧着端子を取り付け、当該圧着端子をフレームにねじ止めすることによって、フレームと配線部材を電気的に接続することが記載されている。具体的には、特許文献1には、圧着端子とフレームとの間に歯付き座金を入れて、圧着端子とフレームを接続した構造が記載されている(
図12参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の構造では、圧着端子にビスを挿通した後に歯付き座金を取り付けて、当該ビスをフレームに接続している。これにより、歯付き座金の歯によってフレームの被膜を削り、圧着端子とフレームとの間の導通を確保している。しかしながら、特許文献1に記載の構造では、ビスに圧着端子を通した後に歯付き座金をビスに通す必要があるため、作業時に歯付き座金がビスから落下するおそれがあり、作業性が低下することがあった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、導電部品との接続作業の効率化を可能にする接続端子、及び当該接続端子の固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る接続端子は、ワイヤハーネスに電気接続される取付部と、該取付部と一体形成された板状の圧着端子部であって、該圧着端子部の厚さ方向に、前記圧着端子部の一方側の第1面から他方側の第2面に貫通する貫通孔を有する圧着端子部と、該圧着端子部に一体形成された座金部であって、前記圧着端子部の前記第1面と該第1面に対向する導電部品との間に位置する座金部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る接続端子において、前記座金部は、前記貫通孔によって画成された前記圧着端子部の内側輪郭部に一体形成された複数の歯部から形成されており、該歯部は、前記圧着端子部の前記第1面を越えて、前記圧着端子部の前記一方側に突出する第1突出部を含む第1歯を有する。
【0009】
本発明の一態様に係る接続端子において、前記歯部は、前記圧着端子部の前記第2面を越えて、前記圧着端子部の前記他方側に突出する第2突出部を含む第2歯を有する。
【0010】
本発明の一態様に係る接続端子において、前記座金部は、前記貫通孔を包囲するように前記圧着端子部の前記第1面に固定された環状の基部と、該基部に一体形成され、前記導電部品に向かって延びる複数の歯部と、を有する。
【0011】
本発明の一態様に係る接続端子において、前記座金部は、ばね座金として形成されており、前記座金部は、前記貫通孔を包囲するように前記圧着端子部の前記第1面に固定されている。
【0012】
本発明の一態様に係る接続端子において、前記座金部は、超音波溶着、レーザ融着、又はスポット溶接により、前記圧着端子部の前記第1面に固定されている。
【0013】
本発明に係る接続端子の固定方法は、上記接続端子の固定方法であって、前記圧着端子部の前記貫通孔が前記導電部品の係合孔と連通し、且つ、前記座金部が前記導電部品と接触するように、前記接続端子を前記導電部品に位置合わせする第1工程と、該第1工程の後、前記圧着端子部の前記貫通孔に締結部材を挿通する第2工程と、該第2工程の後、前記導電部品の前記係合孔に前記締結部材を螺合する第3工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る接続端子は、圧着端子部に一体形成された座金部であって、圧着端子部の第1面と当該第1面に対向する導電部品との間に位置する座金部を含む。このように、座金部が圧着端子部に一体形成されているため、例えばネジ等の締結部材を用いて接続端子を導電部品に固定する際、座金部がネジ等から落下することを回避でき、これにより、接続端子と導電部品とを効率的に接続することができる。又、圧着端子部と導電部品との間に座金部が配置されているため、ネジ等の締結部材による締結力を、座金部を通じて導電部品に確実に伝達することができ、これにより、座金部を介して圧着端子と導電部品とをより強固に電気接続することができる。
【0015】
本発明に係る接続端子の固定方法は、上記接続端子の固定方法であって、圧着端子部の貫通孔が導電部品の係合孔と連通し、且つ、座金部が導電部品と接触するように、接続端子を導電部品に位置合わせする第1工程と、圧着端子部の貫通孔に締結部材を挿通する第2工程と、導電部品の係合孔に締結部材を螺合する第3工程と、を含む。このように、座金部が圧着端子部に予め一体形成された接続端子を導電部品に位置合わせした後で、締結部材を用いて当該接続端子を導電部品に固定するため、当該固定作業の際に、座金部が締結部材から落下することを回避できる。又、圧着端子部に座金部を位置合わせする作業を省略できるため、固定作業を効率的に行うことができる。これにより、接続端子と導電部品とを効率的に接続することができる。更に、圧着端子部と導電部品との間に座金部が配置された状態で締結部材を導電部品の係合孔に螺合するため、当該締結部材による締結力を、座金部を通じて導電部品に確実に伝達することができ、これにより、座金部を介して圧着端子と導電部品とをより強固に電気接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る接続端子を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の接続端子を横方向から見た状態を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図1の接続端子が導電部品にネジを用いて固定された状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る接続端子を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5の接続端子を横方向から見た状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る接続端子を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7の接続端子を横方向から見た状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
本発明を具体化した接続端子1の実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態に係る接続端子1を示す斜視図である。
図2は、
図1の接続端子1を横方向から見た状態を示す側面図である。
図3は、
図1の接続端子1が導電部品70にネジ80を用いて固定された状態を示す斜視図である。
図4は、
図3に示すA-A線に沿う断面図である。
【0018】
なお、説明の便宜上、接続端子1の圧着端子部20の厚さ方向を上下方向と定義する。具体的には、
図2に示すように、接続端子1において、圧着端子部20に対し取付部10が突出している側を上側とし、その反対側を下側とする。また、接続端子1において、取付部10が設けられている側を後側、固定部22が設けられている側を前側とする。以下、各図に示される「上」、「下」、「前」、「後」は、全て上記定義に基づくものである。
【0019】
図1及び
図2に示すように、接続端子1は、取付部10と、取付部10の前側に配設された圧着端子部20と、圧着端子部20に設けられた座金部30と、を備える。接続端子1は、導電性を有する平板状の金属部材(例えば銅部材)を適宜加工(曲げ加工、プレス加工等)して作製されている。なお、接続端子1は、取付部10と圧着端子部20とが一枚の銅部材から形成されるものであってもよいし、別個に準備した取付部10と圧着端子部20とが溶接等で結合されるものであってもよい。
【0020】
図3及び
図4に示すように、取付部10は、ワイヤハーネス50に電気接続される部分である。具体的には、ワイヤハーネス50は、導電性を有する芯線51を、絶縁性を有する絶縁部52が取り囲むように形成されており、使用状態において、絶縁部52の一部が切り取られ芯線51は露出している。取付部10は、ワイヤハーネス50の芯線51を加締ることによって、当該ワイヤハーネス50に固定されている。これにより、接続端子1の取付部10とワイヤハーネス50の芯線51との間に、電気接続が形成される。なお、
図1及び
図2では、ワイヤハーネス50が図示されていない。
【0021】
図1及び
図2に示すように、圧着端子部20は、取付部10と一体形成されている。具体的には、圧着端子部20は、一枚の銅板を適宜加工して形成されており、取付部10の前側端部11に接続された根元部21と、根元部21の前側に配設された固定部22とを含んで構成されている。根元部21は、平面視において矩形又は略矩形に形成された部分である。固定部22は、平面視において円環状又は略円環状の外側輪郭部26を有する部分である。又、圧着端子部20は、当該圧着端子部20の厚さ方向(上下方向)に、圧着端子部20の下側(一方側)の下面23(第1面)から上側(他方側)の上面24(第2面)に貫通する貫通孔25を有する。具体的には、貫通孔25は、圧着端子部20の固定部22を上下方向に貫通する孔であり、固定部22に円環状又は略円環状の内側輪郭部27を画成している。
【0022】
図1及び
図2に示すように、座金部30は、圧着端子部20に一体形成されている。具体的には、座金部30は、貫通孔25によって画成された圧着端子部20の内側輪郭部27に一体形成された複数の歯部31から形成されている。歯部31は、圧着端子部20の下面23を越えて、圧着端子部20の下側に突出する第1突出部34を含む第1歯32を有する。第1歯32は、固定部22の内側輪郭部27から内方に向かって延在する第1ベース部33を含み、第1突出部34は、第1ベース部33の下側から下方へ突出している。第1ベース部33は、固定部22の下面23と面一又は略面一に形成されており、固定部22の厚さと同等又は略同等に形成されている。更に、歯部31は、圧着端子部20の上面24を越えて、圧着端子部20の上側に突出する第2突出部37を含む第2歯35を有する。第2歯35は、固定部22の内側輪郭部27から内方に向かって延在する第2ベース部36を含み、第2突出部37は、第2ベース部36の上側から上方へ突出している。第2ベース部36は、固定部22の上面24と面一又は略面一に形成されており、固定部22の厚さと同等又は略同等に形成されている。第1歯32及び第2歯35の並びは特に限定されるものではなく、第1歯32及び第2歯35は、内側輪郭部27に沿って交互に配設されてもよいし、交互に配設されていなくてもよい。なお、図面の見易さの観点から、
図1及び
図2では、第1ベース部33及び第1突出部34、並びに、第2ベース部36及び第2突出部37の一部のみに番号を付している。
【0023】
図3及び
図4に示すように、座金部30は、圧着端子部20の下面23と当該下面23に対向する導電部品としての導電フレーム70との間に位置する。具体的には、接続端子1を導電フレーム70に固定した状態で、座金部30を構成する第1歯32の第1突出部34は、固定部22の下面23と導電フレーム70との間に位置する。なお、座金部30の歯部31の成形方法は特に限定されず、平板状の銅部材を加工(曲げ加工、プレス加工等)して接続端子1を作製する際に、例えば切削加工等によって歯部31を形成することができる。なお、歯部31と圧着端子部20とを別個に準備し、歯部31を圧着端子部20の固定部22に溶接等によって固定してもよい。
【0024】
図4に示すように、導電フレーム70には、上側に向かって開口する係合孔71が形成されている。係合孔71には、締結部材としてのネジ80の雄ネジ部81と螺合する雌ネジ部72が形成されている。なお、係合孔71は、雌ネジ部72を有さなくてもよく、この場合、係合孔71は導電フレーム70を上下方向に貫通して形成されている。そして、ネジ80に代替して準備されたボルトを係合孔71に通し、当該ボルトをナットで締結することで、接続端子1を導電フレーム70に固定してもよい。なお、導電フレーム70は、例えばステンレススチールやアルミニウム等によって形成されており、錆防止等の目的で金属酸化物被膜によって被覆されていてもよい。
【0025】
以上のように構成される接続端子1を導電フレーム70に固定する場合、まず、圧着端子部20の貫通孔25が導電フレーム70の係合孔71と連通し、且つ、座金部30の第1歯32が導電フレーム70と接触するように、接続端子1を導電フレーム70に位置合わせする。次いで、圧着端子部20の貫通孔25にネジ80を挿通する。最後に、導電フレーム70の係合孔71にネジ80を螺合する。このようにして、接続端子1は、ワイヤハーネス50を介して電気機器(例えば基板)と電気的に接続されるとともに、ネジ80によって導電フレーム70に固定される。これにより、接続端子1を介して、導電フレーム70と例えば基板とを電気的に接続することができる。なお、接続端子1は、ワイヤハーネス50によってアース接続(即ち接地)を形成するものであってもよい。
【0026】
次いで、第1実施形態の接続端子1の作用、効果について説明する。上述したように、第1実施形態に係る接続端子1は、圧着端子部20に一体形成された座金部30であって、圧着端子部20の下面23と当該下面23に対向する導電フレーム70との間に位置する座金部30を含む。このように、座金部30が圧着端子部20に一体形成されているため、例えばネジ80を用いて接続端子1を導電フレーム70に固定する際、座金部30がネジ80から落下することを回避でき、これにより、接続端子1と導電フレーム70とを効率的に接続することができる。又、圧着端子部20と導電フレーム70との間に座金部30が配置されているため、ネジ80による締結力を、座金部30を通じて導電フレーム70に確実に伝達することができ、これにより、座金部30を介して接続端子1と導電フレーム70とをより強固に電気接続することができる。
【0027】
又、第1実施形態に係る接続端子1によれば、座金部30は、貫通孔25によって画成された圧着端子部20の内側輪郭部27に一体形成された複数の歯部31から形成されており、歯部31は、圧着端子部20の下面23を越えて、圧着端子部20の下側に突出する第1突出部34を含む第1歯32を有する。このため、接続端子1を導電フレーム70に固定した状態で、第1歯32の第1突出部34は、固定部22の下面23と導電フレーム70との間に位置する。よって、接続端子1を導電フレーム70に固定するネジ80の締結力によって、第1突出部34は、平らに変形することによる所定のばね力と、導電フレーム70に食い込むことによる所定の摩擦力とを発揮する。このため、第1突出部34即ち座金部30を介して、接続端子1と導電フレーム70とをより強固に電気接続することができる。
【0028】
又、第1実施形態に係る接続端子1によれば、歯部31は、圧着端子部20の上面24を越えて、圧着端子部20の上側に突出する第2突出部37を含む第2歯35を有する。このため、ネジ80を用いて接続端子1を導電フレーム70に固定した状態で、第2歯35の第2突出部37は、固定部22の上面24とネジ80との間に位置する。よって、接続端子1を導電フレーム70に固定するネジ80の締結力によって、第2突出部37は、平らに変形することによる所定のばね力と、導電フレーム70に食い込むことによる所定の摩擦力とを発揮する。このため、第2突出部34即ち座金部30を介して、接続端子1と導電フレーム70とをより強固に電気接続することができる。
【0029】
又、第1実施形態に係る接続端子1の固定方法は、圧着端子部20の貫通孔25が導電フレーム70の係合孔71と連通し、且つ、座金部30が導電フレーム70と接触するように、接続端子1を導電フレーム70に位置合わせする第1工程と、圧着端子部20の貫通孔25にネジ80を挿通する第2工程と、導電フレーム70の係合孔71にネジ80を螺合する第3工程と、を含む。このように、座金部30が圧着端子部20に予め一体形成された接続端子1を導電フレーム70に位置合わせした後で、ネジ80を用いて当該接続端子1を導電フレーム70に固定するため、当該固定作業の際に、座金部30がネジ80から落下することを回避できる。又、圧着端子部20に座金部30を位置合わせする作業を省略できるため、固定作業を効率的に行うことができる。これにより、接続端子1と導電フレーム70とを効率的に接続することができる。更に、圧着端子部20と導電フレーム70との間に座金部30が配置された状態でネジ80を導電フレーム70の係合孔71に螺合するため、ネジ80による締結力を、座金部30を通じて導電フレーム70に確実に伝達することができ、これにより、座金部30を介して接続端子1と導電フレーム70とをより強固に電気接続することができる。
【0030】
<第2実施形態>
次いで、本発明を具体化した接続端子1aの実施形態を説明する。
図5は、第2実施形態に係る接続端子1aを示す斜視図である。
図6は、
図5の接続端子1aを横方向から見た状態を示す側面図である。
【0031】
第2実施形態の接続端子1aは、第1実施形態の接続端子1に対して、圧着端子部20とは別個に準備された座金部30aを有する点で異なる。以下、第1実施形態の接続端子1と同じ又は類似する機能を有する構成については、接続端子1と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0032】
図5及び
図6に示すように、座金部30aは、貫通孔25を包囲するように圧着端子部20の下面23に固定された環状の基部38aと、当該基部38aに一体形成され、導電部品70に向かって延びる複数の歯部31aと、を有する。具体的には、座金部30aの基部38aは、超音波溶着、レーザ融着、又はスポット溶接により、圧着端子部20の下面23に固定されている。
【0033】
基部38aは、平板状の金属部材(例えば銅部材)を適宜加工して形成されており、平面視において円環状又は略円環状の外側輪郭部40aを有する部材である。又、基部38aは、当該基部38aの厚さ方向(上下方向)に貫通する連通孔41aを有し、当該連通孔41aは、基部38aに円環状又は略円環状の内側輪郭部39aを画成している。連通孔41aは、基部38aが圧着端子部20に固定された状態で、圧着端子部20の貫通孔25と上下方向に連通するように形成されている。基部38aが圧着端子部20に固定された状態で、基部38aの外側輪郭部40aと圧着端子部20の外側輪郭部26とは互いに面一又は略面一となるとともに、基部38aの内側輪郭部39aと圧着端子部20の内側輪郭部27とは互いに面一又は略面一となるように形成されている。
【0034】
歯部31aは、連通孔41aによって画成された基部38aの内側輪郭部39aに一体形成された複数の第1歯32aから形成されている。第1歯32aは、基部38aの内側輪郭部39aから内方に向かって延在する第1ベース部33aと、基部38aの下面42aを越えて、基部38aの下側に突出する第1突出部34aとを含んで構成されている。第1突出部34aは、第1ベース部33aの下側から下方へ突出している。第1ベース部33aは、基部38aの下面42aと面一又は略面一に形成されており、基部38aの厚さと同等又は略同等に形成されている。なお、図面の見易さの観点から、
図5及び
図6は、第1ベース部33a及び第1突出部34aの一部のみに番号を付している。
【0035】
座金部30aを構成する歯部31aの第1歯32aは、基部38aの下面42aと当該下面42aに対向する導電フレーム70との間に位置する。具体的には、接続端子1aを導電フレーム70に固定した状態で、第1歯32aの第1突出部34aは、基部38aの下面42aと導電フレーム70との間に位置する。なお、基部38aの歯部31aの成形方法は特に限定されず、例えば切削加工等によって形成することができる。なお、歯部31aと基部38aとを別個に準備し、歯部31aを基部38aに溶接等によって固定してもよい。
【0036】
次いで、第2実施形態の接続端子1aの作用、効果について説明する。上述したように、第2実施形態に係る接続端子1aによれば、座金部30aは、貫通孔25を包囲するように圧着端子部20の下面23に固定された環状の基部38aと、当該基部38aに一体形成され、導電部品70に向かって延びる複数の歯部31aと、を有する。このため、接続端子1aを導電フレーム70に固定した状態で、第1歯32aの第1突出部34aは、基部38aの下面42aと導電フレーム70との間に位置する。よって、接続端子1aを導電フレーム70に固定するネジ80の締結力によって、第1突出部34aは、平らに変形することによる所定のばね力と、導電フレーム70に食い込むことによる所定の摩擦力とを発揮する。このため、第1突出部34a即ち座金部30aを介して、接続端子1aと導電フレーム70とをより強固に電気接続することができる。
【0037】
<第3実施形態>
次いで、本発明を具体化した接続端子1bの実施形態を説明する。
図7は、第3実施形態に係る接続端子1bを示す斜視図である。
図8は、
図7の接続端子1bを横方向から見た状態を示す側面図である。
【0038】
第3実施形態の接続端子1bは、第1実施形態の接続端子1に対して、圧着端子部20とは別個に準備された座金部30bを有する点で異なる。以下、第1実施形態の接続端子1と同じ又は類似する機能を有する構成については、接続端子1と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0039】
図7及び
図8に示すように、座金部30bは、ばね座金として形成されている。座金部30bは、貫通孔25を包囲するように圧着端子部20の下面23に固定されている。具体的には、座金部30bは、超音波溶着、レーザ融着、又はスポット溶接により、圧着端子部20の下面23に固定されている。より具体的には、座金部30bは、その一部が圧着端子部20の下面23に固定されるように構成されている。
【0040】
図7に示すように、座金部30bは、円環状又は略円環状に形成された平板状の金属部材(例えば銅部材)の円周上の一部を切断されている。更に、座金部30bは、一方の端面S1に対し他方の端面S2が下方にオフセットするように、上下方向に捩じり加工して形成されている。これにより、座金部30bを圧着端子部20に固定した状態で、他方の端面S2から所定の範囲(例えば半円周の範囲)は圧着端子部20の下面23から浮いた状態で保持される。座金部30bは、平面視において円環状又は略円環状の外側輪郭部40bを有する。又、座金部30bは、当該座金部30bの厚さ方向(上下方向)に貫通する連通孔41bを有し、当該連通孔41bは、座金部30bに円環状又は略円環状の内側輪郭部39bを画成している。連通孔41bは、座金部30bが圧着端子部20に固定された状態で、圧着端子部20の貫通孔25と上下方向に連通するように形成されている。座金部30bの一部が圧着端子部20に固定された状態で、座金部30bの外側輪郭部40bと圧着端子部20の外側輪郭部26とは互いに面一又は略面一となるとともに、座金部30bの内側輪郭部39bと圧着端子部20の内側輪郭部27とは互いに面一又は略面一となるように形成されている。
【0041】
次いで、第3実施形態の接続端子1bの作用、効果について説明する。上述したように、第3実施形態に係る接続端子1bによれば、座金部30bは、ばね座金として形成されており、貫通孔25を包囲するように圧着端子部20の下面23に固定されている。このため、接続端子1bを導電フレーム70に固定した状態で、座金部30bは、圧着端子部20の下面23と導電フレーム70との間に位置する。よって、接続端子1bを導電フレーム70に固定するネジ80の締結力によって、座金部30bは、平らに変形することによる所定のばね力と、導電フレーム70に食い込むことによる所定の摩擦力とを発揮する。このため、座金部30bを介して、接続端子1bと導電フレーム70とをより強固に電気接続することができる。
【0042】
以上、好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に係る接続端子1、1a、1bに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、各構成を適宜選択的に組み合わせても良い。例えば、第1実施形態では、座金部30をいわゆる内歯タイプの歯付き座金として説明したが、座金部30は、外側輪郭部26に歯部31を有するいわゆる外歯タイプの歯付き座金であってもよい。又、座金部30は、いわゆる皿形歯付きタイプの歯付き座金であってもよいし、内外歯タイプの歯付き座金であってもよい。又、第2実施形態では、座金部30aの第1歯32aが基部38aの内側輪郭部39aに設けられた態様について説明したが、第1歯32aは、基部38aの下面42aに直接配設され、当該下面42aから下方に延在するものであってもよい。また、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0043】
1,1a,1b 接続端子
10 取付部
20 圧着端子部
23 下面(第1面)
24 上面(第2面)
25 貫通孔
27 内側輪郭部
30,30a,30b 座金部
31,31a 歯部
34,34a 第1突出部
35 第2歯
37 第2突出部
38a 基部
50 ワイヤハーネス
70 導電フレーム(導電具品)
71 係合孔
80 ネジ(締結部材)