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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093982
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】ユニット建物の換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20220617BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20220617BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20220617BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
F24F7/06 L
F24F7/10 Z
E04B1/348 V
E04B1/70 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206747
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】591077704
【氏名又は名称】東亜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107906
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】狩野 巧
【テーマコード(参考)】
2E001
3L058
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001FA01
2E001FA02
2E001FA24
2E001NA03
2E001NA04
2E001ND01
2E001ND05
2E001ND14
3L058BE08
(57)【要約】
【課題】室内壁面に換気扇設置用の穴を開け止水施工を行う必要がなく、施工作業が簡単な家屋の換気システムを提供する。
【解決手段】家屋の換気システム100は、ユニット建物の上下方向に立設された角管体からなる一対の支柱1a,1bと、この一対の支柱1a,1bのそれぞれの上端部の間に掛け渡された角管体からなる天井梁2aと、この天井梁2に取り付けられユニット建物の室内空気を天井梁2aの管体内部に吸気する換気扇3,3と、を備える。天井梁2aの管体内部空間は、一対の支柱1a,1bの管体内部空間と連通しており、換気扇3,3から吸気された室内空気は、天井梁2aから一対の支柱1a,1bを通過して一対の支柱1a,1bの下端部の開口端1cからユニット建物外に排気される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット建物の上下方向に立設された管体からなり換気用の開口端を有する一対の支柱と、
前記一対の支柱の間に掛け渡された管体からなる梁と、
前記梁に取り付けられた換気扇と、を備え、
前記梁の管体内部空間は前記支柱の管体内部空間と連通しており、
前記換気扇は前記支柱及び前記梁の管体内部空間を換気経路として室内を換気することを特徴とするユニット建物の換気システム。
【請求項2】
ユニット建物の上下方向に立設された管体からなり換気用の開口端を有する一対の支柱と、
前記一対の支柱の間に掛け渡された管体からなる天井梁と、
前記天井梁の下方に設置され換気孔を有する天井パネルと、
前記天井梁に取り付けられ前記天井パネルの上方に位置する換気扇と、を備え、
前記天井梁の管体内部空間は前記支柱の管体内部空間と連通しており、
前記換気扇は前記支柱及び前記天井梁の管体内部空間を換気経路として室内を換気することを特徴とするユニット建物の換気システム。
【請求項3】
ユニット建物の上下方向に立設された管体からなり換気用の開口端を有する一対の支柱と、
前記一対の支柱の間に掛け渡された管体からなる床梁と、
前記床梁の上方に設置され換気孔を有する床パネルと、
前記床梁に取り付けられ前記床パネルの下方に位置する換気扇と、を備え、
前記床梁の管体内部空間は前記支柱の管体内部空間と連通しており、
前記換気扇は前記支柱及び前記床梁の管体内部空間を換気経路として室内を換気することを特徴とするユニット建物の換気システム。
【請求項4】
前記一対の支柱の間に設置された間仕切りパネルを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のユニット建物の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット建物の換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユニット建物(例えば、ユニット住宅、ユニットハウス等)は住居等の様々な用途の簡易建物として利用されている。特許文献1には、ユニット建物の室内壁面に換気扇を設置した換気システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-266351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のユニット建物の換気システムにおいては、室内壁面に換気扇を設置するための開口部(穴)を穴あけ機具を用いて形成し、その開口部に換気扇を嵌め込み、止水施工を行う必要があり、施工作業が複雑であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題に鑑み、本発明のユニット建物の換気システムは、ユニット建物の上下方向に立設された管体からなり換気用の開口端を有する一対の支柱と、前記一対の支柱の間に掛け渡された管体からなる梁と、前記梁に取り付けられた換気扇と、を備え、
前記梁の管体内部空間は前記支柱の管体内部空間と連通しており、
前記換気扇は前記支柱及び前記梁の管体内部空間を換気経路として室内を換気することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、要するに、支柱及び梁を管体で構成して、支柱及び梁の管体内部を換気経路として室内を換気するので、従来のように、室内壁面に換気扇設置用の穴を開け、止水施工を行う必要がなく、ユニット建物の換気システムを簡単に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態におけるユニット建物の換気システムの斜視図である。
図2】本発明の実施形態におけるユニット建物の換気システムの平面図である。
図3】本発明の実施形態におけるユニット建物の換気システムの正面である。
図4】本発明の実施形態における天井梁、換気扇及び天井パネルの位置関係をユニット建物の正面方向から見た図である。
図5】本発明の実施形態における床梁、換気扇及び床パネルの位置関係をユニット建物の正面方向から見た図である。
図6】ユニット建物を1枚の仕切りパネルで仕切って2部屋を設けた状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図7】ユニット建物を3枚の仕切りパネルで仕切って4部屋を設けた状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態におけるユニット建物の換気システム100を図1図7に基づいて説明する。
【0009】
図1図3に示すように、ユニット建物の骨組構造は全体としては、金属製の角管体(断面四角形の角パイプ)を用いて組まれた立方体状骨組である。ユニット建物の骨組構造を角管体で構成するのは、本来的にはユニット建物の軽量化と高剛性化のためであるが、このユニット建物の換気システム100では、角管体を室内空気の換気経路として利用している。なお、角管体は、「管体」の一例であって、これに限らず、例えば断面丸型の丸管体であってもよい。
【0010】
以下、ユニット建物の換気システム100の構成を説明する。角管体からなる一対の支柱1a,1bはユニット建物の正面から見て左右の上下方向に立設されている。また、一対の支柱1a,1bは一定の間隔を置いて、ユニット建物の前後方向に複数対並設されている。一対の支柱1a,1bの下端部にはそれぞれ換気用の開口端1c,1cが設けられている。
【0011】
同じく角管体からなる左右側に延びた天井梁2は、左右一対の支柱1a,1bのそれぞれの上端部の間に掛け渡されている。このように、一対の支柱1a,1bと天井梁2aは門型に連結されている。
【0012】
換気扇3,3は、左右側の天井梁2aの側面にファン面が室内側に向くように取り付けられる。一般に、換気扇3,3には、室内空気の排気を行うタイプ、室内空気と室外空気との入れ替えを行うタイプがある。この場合、換気扇3,3は天井梁2aの底面や上面に取り付けることもできるが、天井梁2aの側面に取り付けることで、室内空気を効率的に換気することができる。
【0013】
天井梁2aの管体内部空間は、天井梁2aと一対の支柱1a,1bの接続部において、一対の支柱1a,1bの管体内部空間と連通している。そして、例えば、換気扇3,3から吸気された室内空気は、天井梁2aの管体内部空間から一対の支柱1a,1bの管体内部空間を通過して、一対の支柱1a,1bの下端部にそれぞれ設けられた開口端1c,1cからユニット建物外に排気されるようになっている。
【0014】
また、隣接する左右側に延びた天井梁2aの中央部の間には前後側に延びた1本の天井梁2bが掛け渡されている。さらに、隣接する左右側に延びた天井梁2aの両端部の間には、それぞれ前後側に延びた2本の天井梁2bが掛け渡されている。これらの天井梁2a,天井梁2bにより簀の子状に一体化された天井梁2が形成されている。
【0015】
換気扇3,3は、天井梁2aの中央部の間に掛け渡された前後側に延びた天井梁2bを間に挟んでその両側の対称位置に取り付けられていることが好ましい。これにより、例えば換気扇3,3から吸気された室内空気は、それぞれ、一対の支柱1a,1bを通して排気されるようになっている。図1等において、空気の流れを矢印で表してある。
【0016】
このように、門型に連結された一対の支柱1a,1bと天井梁2a、換気扇3,3が、1つの換気ユニットを構成しており、この換気ユニットがユニット建物の前後方向に複数個並設されることで、ユニット建物の換気システム100が構成されている。
【0017】
また、ユニット建物の換気システム100において、換気扇3,3は、天井梁2a、床梁4aのいずれか又は両方に取り付けることができる。
【0018】
床梁4aは、一対の支柱1a,1bの下端部の間に掛け渡され左右側に延びる梁である。床梁4aの管体内部空間は、床梁4aと一対の支柱1a,1bの接続部において一対の支柱1a,1bの管体内部空間と連通している。隣接する左右側の床梁4aの間には、前後側に延びた床梁4bが5本掛け渡され、これらの床梁4a,4bで簀の子状に一体化された床梁4が形成されている。
【0019】
換気扇3,3は、床梁4aの中央部の間に掛け渡された前後側の床梁4bを間に挟んでその両側の対称位置に取り付けられていることが好ましい。
【0020】
そして、例えば、換気扇3,3から吸気された室内空気は、床梁4aの管体内部空間から 一対の支柱1a,1bの管体内部空間を通過して、一対の支柱1a,1bの下端部にそれぞれ設けられた開口端1c,1cからユニット建物外に排気されるようになっている。
【0021】
また、ユニット建物の換気システム100において、換気扇3,3により、室外空気の排気を行うだけでなく、室外空気と室外空気(ユニット建物外空気)の入れ替えを行うように構成することもできる。例えば、換気扇3,3により、室外空気を排気した後に、逆に室外空気を室内に取り入れる(給気)することができる。
【0022】
また、天井梁2aと床梁4aの両方に換気扇3,3を取り付ける場合に、天井梁2aに取り付けられた換気扇3,3によりユニット建物外の空気を室内に一定時間取り入れ、その後、床梁4aに取り付けられた換気扇3,3により排気することもできる。
【0023】
また、それとは反対に、床梁4aに取り付けられた換気扇3,3により、ユニット室外空気を室内に一定時間取り入れ、その後天井2aに取り付けられた換気扇3,3により排気することもできる。
【0024】
このようなユニット建物の換気システム100によれば、従来のように、室内壁面に換気扇設置用の穴を開け、止水施工を行う必要がなく、施工作業を簡単化することができる。
【0025】
また、図4に示すように、天井梁2の下には天井パネル5が取り付けられる。天井梁2及び天井パネル5の上方には屋根6が設置される。天井パネル5のパネル面に天井換気孔5aが形成される。換気扇3,3は天井パネル5の上方(天井裏側)に位置し、ユニット建物の室内空気は天井換気孔5aを通して換気扇3,3により換気されるように構成されている。
【0026】
天井換気孔5aは、天井パネル5のパネル面に穴を形成するか、またはガラリを取り付けることで形成することができる。このように構成することで、換気扇3,3は室内空間に直接露出することがないので、換気扇3,3が目障りにならないという利点がある。
【0027】
また、図5に示すように、床梁4の下には床パネル7が取り付けられる。天井パネル5と同様に、床パネル7のパネル面に床換気孔7aが形成される。換気扇3,3は床パネル7の下方(床下側)に位置し、ユニット建物の室内空気は床換気孔7aを通して換気扇3,3により換気されるように構成されている。
【0028】
さらに、ユニット建物の骨組構造の前後、左右の開口部(例えば、隣接する支柱1a,1a、天井梁2b及び床梁4bで囲まれた開口部)には壁パネル(内壁パネル及び外壁パネル)が取り付けられる。これにより、天井パネル6、床パネル7、及び壁パネルで囲まれたユニット建物の室内空間が形成される。
【0029】
また、ユニット建物の換気システム100によれば、門型に連結された一対の支柱1a,1bと天井梁2a(又は床梁4a)が1つの換気ユニットを構成しているので、門型に連結された一対の支柱1a,1bと天井梁2a(又は床梁4a)で形成される枠体に間仕切りパネル8を嵌め込むことで、ユニット建物の室内空間を仕切って複数の部屋を作ることができ、部屋毎に室内空気を換気することが可能になる。
【0030】
例えば、図6に示すように、ユニット建物の室内空間を1枚の間仕切りパネル8で仕切って2つの部屋A,Bを設けることができ、2つの部屋A,B毎に室内空気を換気することが可能になる。
【0031】
また、図7に示すように、ユニット建物の室内空間を3枚の間仕切りパネル8a,8b,8cで仕切って4つの部屋A,B,C,Dを設けることができ、4つの部屋A,B,C,D毎に室内空気を換気することが可能になる。
【符号の説明】
【0032】
1a,1b 支柱
1c 開口端
2a,2b,2 天井梁
3 換気扇
4a,4b,4 床梁
5 天井パネル
5a 天井換気孔
6 屋根
7 床パネル
7a 床換気孔
8,8a,8b,8c 間仕切りパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット建物の上下方向に立設された管体からなり換気用の開口端を有する一対の支柱と、
前記一対の支柱の間に掛け渡された管体からなる梁と、
前記梁の側面にファン面が室内側に向くように取り付けられた一対の換気扇と、を備え、
前記一対の換気扇は、前記梁の中央部の両側に取り付けられ、
前記梁の管体内部空間は前記一対の支柱の管体内部空間と連通しており、
前記一対の換気扇は前記一対の支柱及び前記梁の管体内部空間を換気経路として室内を換気することを特徴とするユニット建物の換気システム。
【請求項2】
ユニット建物の上下方向に立設された管体からなり換気用の開口端を有する一対の支柱と、
前記一対の支柱の間に掛け渡された管体からなる天井梁と、
前記天井梁の下方に設置され天井換気孔を有する天井パネルと、
前記天井梁の側面にファン面が室内側に向くように取り付けられ前記天井パネルの上方に位置する一対の換気扇と、を備え、
前記一対の換気扇は、前記天井梁の中央部の両側に取り付けられ、
前記天井梁の管体内部空間は前記一対の支柱の管体内部空間と連通しており、
前記一対の換気扇は前記天井換気孔を通して、前記一対の支柱及び前記天井梁の管体内部空間を換気経路として室内を換気することを特徴とするユニット建物の換気システム。
【請求項3】
ユニット建物の上下方向に立設された管体からなり換気用の開口端を有する一対の支柱と、
前記一対の支柱の間に掛け渡された管体からなる床梁と、
前記床梁の上方に設置され換気孔を有する床パネルと、
前記床梁の側面にファン面が室内側に向くように取り付けられ前記床パネルの下方に位置する一対の換気扇と、を備え、
前記一対の換気扇は、前記床梁の中央部の両側に取り付けられ、
前記床梁の管体内部空間は前記一対の支柱の管体内部空間と連通しており、
前記一対の換気扇は前記床換気孔を通して、前記一対の支柱及び前記床梁の管体内部空間を換気経路として室内を換気することを特徴とするユニット建物の換気システム。
【請求項4】
前記一対の支柱の間に設置された間仕切りパネルを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のユニット建物の換気システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上述の課題に鑑み、本発明のユニット建物の換気システムは、ユニット建物の上下方向に立設された管体からなり換気用の開口端を有する一対の支柱と、前記一対の支柱の間に掛け渡された管体からなる梁と、前記梁の側面にファン面が室内側に向くように取り付けられた一対の換気扇と、を備え、前記一対の換気扇は、前記梁の中央部の両側に取り付けられ、前記梁の管体内部空間は前記一対の支柱の管体内部空間と連通しており、 前記一対の換気扇は前記一対の支柱及び前記梁の管体内部空間を換気経路として室内を換気することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
また、ユニット建物の換気システム100において、換気扇3,3により、室内空気の排気を行うだけでなく、室内空気と室外空気(ユニット建物外空気)の入れ替えを行うように構成することもできる。例えば、換気扇3,3により、室内空気を排気した後に、逆に室外空気を室内に取り入れる(給気)することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
また、図5に示すように、床梁4の上には床パネル7が取り付けられる。天井パネル5と同様に、床パネル7のパネル面に床換気孔7aが形成される。換気扇3,3は床パネル7の下方(床下側)に位置し、ユニット建物の室内空気は床換気孔7aを通して換気扇3,3により換気されるように構成されている。