(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093999
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】分離器及びそれを用いた圧縮空気圧回路
(51)【国際特許分類】
B04C 5/081 20060101AFI20220617BHJP
B01D 45/12 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B04C5/081
B01D45/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206768
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000154521
【氏名又は名称】株式会社フクハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100180415
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 滋人
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘幸
【テーマコード(参考)】
4D031
4D053
【Fターム(参考)】
4D031AC04
4D031BA07
4D031BB10
4D031EA01
4D053AA01
4D053AB01
4D053BA03
4D053BB02
4D053BC01
4D053BD04
4D053CA02
4D053CB02
4D053CB14
(57)【要約】
【課題】ループ管路内の液分を適正に除去することのできる分離器を提供することである。
【解決手段】第1接続口部212が設けられるとともに、第2接続口部212が設けられたケース本体200と、第1接続口部211に結合されてケース本体200の上部202から延びてケース本体200内で開口する内筒体221と、ケース本体200の胴部201を貫通する第3接続口部213が結合し、内筒体221を内側に含むようにケース本体200の上部202から延びてケース本体200内で開口する外筒体222と、を備え、
内筒体221及び外筒体222のそれぞれは、ケース本体200の上部202から下方に向って徐々に広がるテーパ形状であり、第1接続口部211が当該圧縮空気圧回路を流れる圧縮空気を利用する機器に接続されるとともに、前記第2接続口部212及び前記第3接続口部213がループ管路に接続される、構成となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気が流れるループ管路内に設けられ、前記ループ管路内の空気流から液分を分離する分離器であって、
上部に第1接続口部が設けられるとともに、胴部に第2接続口部が設けられたケース本体と、
前記ケース本体内に設けられ、前記第1接続口部に結合されて該ケース本体の上部から延びて前記ケース本体内で開口する内筒体と、
前記ケース本体内に設けられ、前記ケース本体の胴部を貫通する第3接続口部が結合し、前記内筒体を内側に含むように前記ケース本体の上部から延びて当該ケース本体内で開口する外筒体と、を備え、
前記内筒体及び外筒体のそれぞれは、前記ケース本体の上部から下方に向って徐々に広がるテーパ形状であり、
前記第1接続口部が前記ループ管路を流れる圧縮空気を利用する機器に結合されるとともに、前記第2接続口部及び前記第3接続口部のそれぞれが前記ループ管路に直列的に接続される、分離器。
【請求項2】
前記ケース本体の内周面と外筒体の外周面との隙間は、前記ケース本体の上部から下方に向って徐々に狭くなる、請求項1記載の分離器。
【請求項3】
前記外筒体の内周面と前記内筒体の外周面との間の隙間は、前記ケース本体の上部から下方に向って徐々に狭くなる、請求項1または2記載の分離器。
【請求項4】
圧縮空気が流れるループ管路内に設けられ、前記ループ管路内の空気流から液分を分離する分離器であって、
上部に第1接続口部が設けられるとともに、胴部に第2接続口部が設けられたケース本体と、
前記ケース本体内に設けられ、前記第1接続口部に結合されて該ケース本体の上部から延びて前記ケース本体内で開口する内筒体と、
前記ケース本体内に設けられ、前記ケース本体の胴部を貫通する第3接続口部が結合し、前記内筒体を内側に含むように前記ケース本体の上部から延びて当該ケース本体内で開口する外筒体と、
前記第2接続口部より下方の前記ケース本体の内周面と前記外筒体の外周面との間に設けられ、前記第2接続口部から前記ケース本体に流入する空気を前記外筒体の外周面に沿って回転するように誘導する第1回転誘導リング体と、
前記第3接続口部より下方の前記外筒体の内周面と前記内筒体の外周面との間に設けられ、前記第3接続口部から前記外筒体に流入する空気を前記内筒体の外周面に沿って回転するように誘導する第2回転誘導リング体と、を備え、
前記第1接続口部が前記圧ループ管路を流れる圧縮空気を利用する機器に結合されるとともに、前記第2接続口部及び前記第3接続口部のそれぞれが前記ループ管路に直列的に接続される、分離器。
【請求項5】
前記第1回転誘導リング体は、
前記ケース本体の内周面に接合する第1外リングと、
前記外筒体の外周面に接合する第1内リングと、
前記第1外リングと前記第1内リングとの間でその周方向に延び、当該第1回転誘導リング体の上面側から下面側に向けて傾斜する複数のガイド羽根と、を有し、
前記上面側からの空気を前記複数のガイド羽根に沿わせて前記下面側に導く、請求項4記載の分離器。
【請求項6】
前記第2回転誘導リング体は、
前記外筒体の内周面に接合する第2外リングと、
前記内筒体の外周面に接合する第2内リングと、
前記第2外リングと前記第2外リングとの間でその周方向に延び、当該第2回転誘導リング体の上面側から下面側に向けて傾斜する複数のガイド羽根と、を有し、
上面側からの空気を前記複数のガイド羽根に沿わせて下面側に導く、請求項4または5記載の分離器。
【請求項7】
空気圧縮機からの圧縮空気が供給され、環状のループ管路と、前記ループ管路からの圧縮空気を機器に分配する分配管路と、を備えた圧縮空気圧管路であって、
請求項1乃至6のいずれかに記載の分離器を備え、
前記第2接続口部及び前記第3接続口部のそれぞれが前記ループ配管に直列的に接続され、
前記第3接続部が前記分配管路を介して前記機器に接続される、圧縮空気圧管路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループ管路内に設けられ、前記ループ管路の空気流から液分を分離する分離器、及びその分離器が設けられたループ管路を含む圧縮空気圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の圧縮空気圧回路が知られている。この圧縮空気圧回路は、環状のループ管路を有すること特徴としている。ループ管路には一又は複数の分配管路が結合しており、各分配管路に空圧機器(例えば、エアガン、エアシリンダ等)が接続されている。そして、ループ管路に対して空気圧縮機から圧縮空気が供給される。このような圧縮空気圧回路では、いずれかの空圧機器の使用に際して、ループ管路から分配管路を通してその空圧機器に圧縮空気が供給され、その圧縮空気によって空圧機器が動作、例えば、エアガンから高圧空気が噴射され、また、例えば、エアシリンダが動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなループ管路を含む圧縮空気圧回路では、凝縮液等の液分が圧縮空気とともにループ管路を流れる。このようにループ管路を流れる液分は分配管路を通して機器に流れ込み、機器が正常に動作できないおそれがある。このような機器への液分の流れ込みを防止するために、通常、ループ管路から分岐して機器に延びる分配管路に分離器(セパレータ)が設けられる。これにより、ループ管路から分配管路に進入する液分が分離器により除去されて、液分が機器に流れ込むことを防止することができる。
【0005】
しかし、上述した分配管路に設けられた分離器では、分配管路に流れ込んだ圧縮空気に含まれる液分は除去できるものの、ループ管路を流れる圧縮空気に含まれる液分は除去することができない。このため、長時間の使用により、ループ管路内の液分が増大してしまい、圧縮空気の流れを阻害してしまうおそれがある。
【0006】
ループ管路内の圧縮空気の流れの方向は、そのループ管路における空気圧縮機からのループ管路への圧縮空気の供給点と、使用される(動作する)機器(例えば、エアガン、エアシリンダ等)が接続される分配管路のループ管路への接続点との位置関係によって変わる。そのため、圧縮空気の一方向の流れにしか対応できない通常の分離器(セパレータ)では、ループ管路を流れる圧縮空気から凝縮液等の液分を適正に分離、除去することができない。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ループ管路内を流れる圧縮空気から液分を適正に分離、除去することのできる分離器を提供するものである。
【0008】
また、適正に液分が除去された状態の圧縮空気が流れ得る圧縮空気圧回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る分離器は、圧縮空気が流れるループ管路内に設けられ、前記ループ管路内の空気流から液分を分離する分離器であって、上部に第1接続口部が設けられるとともに、胴部に第2接続口部が設けられたケース本体と、前記ケース本体内に設けられ、前記第1接続口部に結合されて該ケース本体の上部から延びて前記ケース本体内で開口する内筒体と、前記ケース本体内に設けられ、前記ケース本体の胴部を貫通する第3接続口部が結合し、前記内筒体を内側に含むように前記ケース本体の上部から延びて当該ケース本体内で開口する外筒体と、を備え、前記内筒体及び外筒体のそれぞれは、前記ケース本体の上部から下方に向って徐々に広がるテーパ形状であり、前記第1接続口部が前記ループ管路を流れる圧縮空気を利用する機器に結合されるとともに、前記第2接続口部及び前記第3接続口部のそれぞれが前記ループ管路に直列的に接続される、構成となる。
【0010】
このような構成により、機器が使用されておらず(動作しておらず)、第1接続口部を通した機器への圧縮空気の流れが無い状態で、ループ管路において第2接続口部から圧縮空気がケース本体内に流れ込むと、その圧縮空気は、ケース本体の内周面と外筒体の外周面との間の隙間を、テーパ形状の外筒体の外周面に沿って回転しつつケース本体の下方に向って流れる。そして、外筒体の下端縁から流れ出してケース本体の内周面と外筒体の外周面との間から解放された圧縮空気が、外筒体及び内筒体の下方側から、その外筒体の内周面と内筒体の外周面との間の隙間を通って第3接続口部からループ管路内に流れていく。このようにして、テーパ形状の外筒体の外周面に沿って圧縮空気が回転しつつ流れる過程で、遠心力の作用によって圧縮空気内に含まれる液分(凝縮液)は空気から分離され、ケース本体内に溜まる。
【0011】
一方、第1接続口部を通した機器への圧縮空気の流れが無い状態において、ループ管路において第3接続口部から圧縮空気が外筒体内に流れ込むと、その圧縮空気は、外筒体の内周面と内筒体の外周面との間の隙間を、テーパ形状の内筒体の外周面に沿って回転しつつ外筒体(ケース本体)の下方に向って流れる。そして、内筒体の下端縁から流れ出して外筒体の内周面と内筒体の外周面との間の隙間から解放された圧縮空気が、外筒体及び内筒体の下方側から、そのケース本体の内周面と外筒体の外周面との間の隙間を通って第2接続口部からループ管路内に流れていく。このようにして、テーパ形状の内筒体の外周面に沿って圧縮空気が回転しつつ流れる過程で、遠心力の作用によって圧縮空気内に含まれる液分(凝縮液)は空気から分離され、ケース本体の底に溜まる。
【0012】
本発明に係る分離器において、前記ケース本体の内周面と外筒体の外周面との隙間は、前記ケース本体の上部から下方に向って徐々に狭くなる、構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、第2接続口部から流れ込む圧縮空気は、徐々に狭くなるケース本体の内周面と外筒体の外周面との間の隙間を回転しつつ下方に流れるので、徐々に流れの速度が増大して、より効果的に液分を空気から遠心分離できるようになる。
【0014】
本発明に係る分離器において、前記外筒体の内周面と前記内筒体の外周面との間の隙間は、前記ケース本体の上部から下方に向って徐々に狭くなる、構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、第3接続口部から流れ込む圧縮空気は、徐々に狭くなる外筒体の内周面と内筒体の外周面との間の隙間を回転しつつ下方に流れるので、徐々に流れの速度が増大して、より効果的に液分を空気から遠心分離できるようになる。
【0016】
また、本発明に係る分離器は、圧縮空気が流れるループ管路内に設けられ、前記ループ管路内の空気流から液分を分離する分離器であって、上部に第1接続口部が設けられるとともに、胴部に第2接続口部が設けられたケース本体と、前記ケース本体内に設けられ、前記第1接続口部に結合されて該ケース本体の上部から延びて前記ケース本体内で開口する内筒体と、前記ケース本体内に設けられ、前記ケース本体の胴部を貫通する第3接続口部が結合し、前記内筒体を内側に含むように前記ケース本体の上部から延びて当該ケース本体内で開口する外筒体と、前記第2接続口部より下方の前記ケース本体の内周面と前記外筒体の外周面との間に設けられ、前記第2接続口部から前記ケース本体に流入する空気を前記外筒体の外周面に沿って回転するように誘導する第1回転誘導リング体と、前記第3接続口部より下方の前記外筒体の内周面と前記内筒体の外周面との間に設けられ、前記第3接続口部から前記外筒体に流入する空気を前記内筒体の外周面に沿って回転するように誘導する第2回転誘導リング体と、を備え、前記第1接続口部が前記圧ループ管路を流れる圧縮空気を利用する機器に結合されるとともに、前記第2接続口部及び前記第3接続口部のそれぞれが前記ループ管路に直列的に接続される、構成となる。
【0017】
このような構成により、機器が使用されておらず(動作しておらず)、第1接続口部を通した機器への圧縮空気の流れが無い状態で、ループ管路において第2接続口部から圧縮空気がケース本体内に流れ込むと、その圧縮空気は、ケース本体の内周面と外筒体の外周面との間に設けられた第1回転誘導リング体を通る。その際、圧縮空気は、第1回転誘導リング体により、外筒体の外周面に沿って回転するように誘導されて、当該外筒体の外周面に沿って回転しつつケース本体の下方に向って流れる。そして、外筒体の下端縁から流れ出してケース本体の内周面と外筒体の外周面との間から解放された圧縮空気が、外筒体及び内筒体の下方側から、外筒体の内周面と内筒体の外周面との間の第2回転誘導リング体を通過して第3接続口部からループ管路内に流れていく。前記第1回転誘導リング体によって外筒体の外周面に沿って圧縮空気が回転しつつ流れる過程で、遠心力の作用によって圧縮空気に含まれる液分(凝縮液)は空気から分離され、ケース本体の底に溜まる。
【0018】
一方、第1接続口部を通した機器への圧縮空気の流れが無い状態において、ループ管路において第3接続口部から圧縮空気が外筒体内に流れ込むと、その圧縮空気は、外筒体の内周面と内筒体の外周面との間に設けられた第2回転誘導リング体を通る。その際、圧縮空気は、第2回転誘導リング体により、内筒体の外周面に沿って回転するように誘導されて、当該内筒体の外周面に沿って回転しつつ外筒体(ケース本体)の下方に向って流れる。そして、内筒体の下端縁から流れ出して外筒体の内周面と内筒体の外周面との間から解放された圧縮空気が、外筒体及び内筒体の下方側から、ケース本体の内周面と外筒体の外周面との間の第1回転誘導リング体を通過して第2接続口部からループ管路内に流れていく。前記第2回転誘導リング体によって内筒体の外周面に沿って圧縮空気が回転しつつ流れる過程で、遠心力の作用によって圧縮空気に含まれる液分(凝縮液)は空気から分離され、ケース本体の底に溜まる。
【0019】
本発明に係る分離器において、前記第1回転誘導リング体は、前記ケース本体の内周面に接合する第1外リングと、前記外筒体の外周面に接合する第1内リングと、前記第1外リングと前記第1内リングとの間でその周方向に延び、当該第1回転誘導リング体の上面側から下面側に向けて傾斜する複数のガイド羽根と、を有し、前記上面側からの空気を前記複数のガイド羽根に沿わせて前記下面側に導く、構成とすることができる。
【0020】
このような構成により、第2接続口部からケース本体内に流れ込んだ圧縮空気が、第1回転誘導リング体の第1外リングと第1内リングとの間でその周方向に延びる複数のガイド羽根に沿って当該第1回転誘導リングの上面側から下面側に流れる際に、その圧縮空気に前記複数のガイド羽根によって回転する力が与えられる。そして、その第1回転誘導リング体を通過して回転する力が与えられた圧縮空気が外筒体の外周面に沿って回転しつつ流れる。
【0021】
本発明に係る分離器において、前記第2回転誘導リング体は、前記外筒体の内周面に接合する第2外リングと、前記内筒体の外周面に接合する第2内リングと、前記第2外リングと前記第2外リングとの間でその周方向に延び、当該第2回転誘導リング体の上面側から下面側に向けて傾斜する複数のガイド羽根と、を有し、上面側からの空気を前記複数のガイド羽根に沿わせて下面側に導く、構成とすることができる。
【0022】
このような構成により、第3接続口部から外筒体に流れ込んだ圧縮空気が、第2回転誘導リング体の第2外リングと第2内リングとの間でその周方向に延びる複数のガイド羽根に沿って当該第2回転誘導リングの上面側から下面側に流れる際に、その圧縮空気に前記複数のガイド羽根によって回転する力が与えられる。そして、その第2回転誘導リング体を通過して回転する力が与えられた圧縮空気が内筒体の外周面に沿って回転しつつ流れる。
【0023】
本発明に係る圧縮空気圧回路は、空気圧縮機からの圧縮空気が供給され、環状のループ管路と、前記ループ管路からの圧縮空気を機器に分配する分配管路と、を備えた圧縮空気圧管路であって、前述したいずれかの分離器を備え、前記第2接続口部及び前記第3接続口部のそれぞれが前記ループ配管に直列的に接続され、前記第3接続部が前記分配管路を介して前記機器に接続される、構成となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る分離器によれば、ループ管路内を2つのいずれの方向に流れる圧縮空気からも凝縮液等の液分を適正に分離、除去することができる。
【0025】
また、本発明に係る圧縮空気圧回路によれば、ループ管路に設けられた分離器によって当該ループ管路を流れる圧縮空気から液分が適正に分離、除去されるので、ループ管路に残留し得る液分の量が減り、そのループ管路内における圧縮空気の流れを阻害してしまう事態を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る圧縮空気圧回路を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る分離器、及びその分離器内での圧縮空気の流れ(その1)を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る分離器、及びその分離器内での圧縮空気の流れ(その2)を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る分離器、及びその分離器内での圧縮空気の流れ(その1)を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る分離器、及びその分離器内での圧縮空気の流れ(その2)を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図4及び
図5に示す分離器に用いられる第1回転誘導リング体(第2回転誘導リング体)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0028】
本発明の実施の一形態に係る圧縮空気圧回路は、
図1に示すように構成される。
【0029】
図1において、この圧縮空気圧回路は、平面状に形成された環状のループ管路10を有している。ループ管路10は、概ね矩形状の管路として形成されている。このループ管路10は、吊り下げ機構(図示略)及び/又は支持機構(図示略)によって水平に維持された状態で設置される。
【0030】
エアコンプレッサ30、エアタンク31、サイクロンセパレータ32、エアドライヤ33及びサイクロンセパレータ34が接続管にて直列的に接続され、サイクロンセパレータ34から延びる基管路17がループ管路10に接続されている。エアコンプレッサ30で生成される圧縮空気がエアタンク31に溜められ、そのエアタンク31からの圧縮空気が、サイクロンセパレータ32による液分(凝縮液等)の分離、除去、エアドライヤ33による乾燥、サイクロンセパレータ34による再度の液分の分離、除去を経て、最終的に基管路17を通してループ管路10に供給される。
【0031】
ループ管路10には、それぞれ本発明の分離器の第1の実施の形態に係る2つの二層式サイクロンセパレータ20a、20bが設けられている。一方の二層式サイクロンセパレータ20aは、基管路17が接続される圧縮空気の供給点Psに近い位置に、他方の二層式サイクロンセパレータ20bは、圧縮空気の供給点Psから遠い位置に、それぞれ設けられている。二層式サイクロンセパレータ20aから一旦上方に向けて延びてから水平に延びる分配管路11にはエアフィルタ21aが接続され、そのエアフィルタ21aから延びる接続管14に空圧機器としてのエアシリンダ41が接続されている。他方の二層式サイクロンセパレータ20bから一旦上方に向けて延びてから水平に延びる分配管路12にはエアフィルタ21bが接続され、そのエアフィルタ21bから延びる接続管15に空圧機器としてのエアシリンダ42が接続されている。
【0032】
ループ管路10の他の位置から一旦上方に延びてから水平に延びる分配管路13がエアフィルタ21cに接続され、そのエアフィルタ21cとサイクロンセパレータ22とが直列的に接続され、更に、そのサイクロンセパレータ22から延びる接続管16に空圧機器としてのエアガン43が接続されている。また、ループ管路10の2つのコーナ部分のそれぞれから下方に延びる接続管には、ドレントラップ23a、23bが接続されている。
【0033】
上述したようにループ管路10を有する圧縮空気圧回路では、エアタンク31から、サイクロンセパレータ32、エアドライヤ33、サイクロンセパレータ34及び基管路17を介して供給されるループ管路11内の圧縮空気が、二層式サイクロンセパレータ20a(詳細については後述する)、分配管路11、エアフィルタ21a及び接続管14を通してエアシリンダ41に供給され、そのエアシリンダ41が動作する。また、ループ管路11内の圧縮空気が、二層式サイクロンセパレータ20b(詳細について後述する)、分配管路12、エアフィルタ21a及び接続管15を通してエアシリンダ42に供給され、そのエアシリンダが動作する。更にまた、エアガン43が操作されると、ループ管路10内の圧縮空気が、分配管路13、エアフィルタ21c、サイクロンセパレータ22及び接続管16を通してエアガン43に供給され、そのエアガン43から高圧空気が噴射される。
【0034】
上述した圧縮空気圧回路では、各二層式サイクロンセパレータ20a、20bによってループ管路10内の圧縮空気から液分(凝縮液等)が分離、除去(詳細については後述する)される。また、各二層式サイクロンセパレータ20a、20bは、ループ管路10から分配管路11、12を通してエアシリンダ41、42に向う圧縮空気からも液分の分離、除去を行う(詳細については後述する)。サイクロンセパレータ22によって、ループ管路10から分配管路13を通してエアガン43に向う圧縮空気から液分が分離、除去される。更に、ループ管路10の2つのコーナ部分に溜まる液分(凝縮液等)は、接続管を通してドレントラップ23a、23bに排出される。このように、前述したループ管路10を有する圧縮空気圧回路では、各所において圧縮空気からの液分の分離、除去が行われる。
【0035】
上述したようにループ管路10に設けられる各二層式サイクロンセパレータ20a、20bは、
図2に示すように構成される。なお、各二層式サイクロンセパレータ20a、20bの構造の説明においては、また、二層式サイクロンセパレータを総称する場合には、その参照番号を「20」とする。
【0036】
図2において、二層式サイクロンセパレータ20は、ケース本体200と、それぞれケース本体200内に設けられた内筒体221及び外筒体222とを備えている。ケース本体200は、上端部が開口して概ね円筒状の胴部を有し、全体としてカップ状の収容部201と、収容部201の開口を塞ぐ蓋部202とによって構成されている。カップ状の収容部201の湾曲した底部分には、ドレントラップ230が結合しており、収容部201(ケース本体200)の底部分に溜まるドレン(凝縮液:液分)がドレントラップ230に排出される。
【0037】
蓋部202は、収容部201の上端縁に形成された鍔部分にボルトによって気密性が保持された状態で固定されている。蓋部202の中央部にはその蓋体202を貫通するように第1接続口部211が固定されている。内筒体221の上端が、蓋部202の内面に、第1接続口部211の蓋部202から内方に突出した部分に結合するように固定されている。このようにして蓋部202の内面から延びる内筒体221は、下方に向って徐々に広がるテーパ形状(例えば、円錐台形状)であって、収容部201(ケース本体200)内で開口する。また、ケース本体200の収容部201(胴部分)の上方部分には、第2接続口部212が接続されている。この第2接続口部212の内周面は、当該第2接続口部212を通る圧縮空気が収容部201(ケース本体200)の内周面に向けて斜めに導入されるように加工されている。
【0038】
外筒体222の上端が、ケース本体200の蓋部202の内面に、当該外筒体222が前述した内筒体221を含むように固定されている。このようにして内筒体221を含む状態で蓋部202の内面から延びる外筒体222は、内筒体221と同様に、下方に向って広がるテーパ形状(例えば、円錐台形状)であって、収容部201(ケース本体200)内で開口する。外筒体222のテーパの傾きの程度は、内筒体221のテーパの傾きの程度より小さく、外筒体222の内周面と内筒体221の外周面との間の隙間Giは、ケース本体200(収容部201)の上部から下方に向って徐々に狭くなっている。また、収容部201(ケース本体200)の内周面と外筒体222の外周面との間の隙間Goも、ケース本体200(収容部201)の上部から下方に向って徐々に狭くなっている。ケース本体200の収容部201を貫通する第3接続口部213が外筒体222の上方部分に接続されている。この第3接続口部213の内周面も、第2接続口部212と同様に、当該第3接続口部213が通る圧縮空気が外筒体222の内周面に向けて斜めに導入されるように加工されている。
【0039】
上述した構造の二層式サイクロンセパレータ20aは、第2接続口部212及び第3接続口部213のそれぞれがループ管路10に直列的に接続される。そして、第1接続口部211が、
図1に示すように、分配管路11に接続され、その分配管路11、エアフィルタ21a及び接続管14を介してエアシリンダ41に結合する。また、上述した構造の二層式サイクロンセパレータ20bも、第2接続口部212及び第3接続口部213のそれぞれがループ管路10に直列的に接続される。そして、第1接続口211が、
図1に示すように、分配管路12に接続され、その分配管路12、エアフィルタ21b及び接続管15を介してエアシリンダ42に結合する。
【0040】
上述したようにループ管路10に設けられる二層式サイクロンセパレータ20は、次のようにしてループ管路10を流れる圧縮空気から液分(凝縮水等)を分離して除去する。
【0041】
第1接続口部211に結合する空圧機器(例えば、エアシリンダ)が動作しておらず、第1接続口211を通した圧縮空気の流れが無い状態で、例えば、ループ管路10を流れる圧縮空気が、第2接続口部212から二層式サイクロンセパレータ20に流入する。この場合、
図2の破線矢印で示すように、圧縮空気は、第2接続口部212からケース本体200(収容部201)に流れ込み、その圧縮空気は、ケース本体200(収容部201)の内周面と外筒体222の外周面との間の隙間Goを、テーパ形状の外筒体222の外周面に沿って回転しつつケース本体200の下方に向って流れる。そして、外筒体222の下端縁から流れ出してケース本体200の内周面と外筒体222の外周面との間の隙間Goから解放された圧縮空気が、外筒体222及び内筒体221の下方側から、その外筒体222の内周面と内筒体221の外周面との間の隙間Giを通って、外筒体222に接続される第3接続口部213からループ管路10内に流れていく。このようにして、テーパ形状の外筒体222の外周面に沿って圧縮空気が回転しつつ流れる過程で、遠心力の作用によって圧縮空気に含まれる凝縮液は空気から分離、除去される。そして、その凝縮液Dnが外筒体222の外周面を伝ってケース本体200(収容部201)の底部分に落ち、ケース本体200の底部分からドレントラップ230に排出される。
【0042】
一方、同様に第1接続口211を通した圧縮空気の流れが無い状態で、例えば、ループ管路10を流れる圧縮空気が、第3接続口部213から二層式サイクロンセパレータ20に流入する場合、その圧縮空気は、二層式サイクロンセパレータ20内において、
図3の破線矢印で示すように流れる。第3接続口部213からの圧縮空気は、外筒体222内に流れ込み、外筒体222の内周面と内筒体221の外周面との間の隙間Giを、テーパ形状の内筒体221の外周面に沿って回転しつつ外筒体222(ケース本体200)の下方に向って流れる。そして、内筒体221の下端縁から流れ出して外筒体222の内周面と内筒体221の外周面との間の隙間Giから解放された圧縮空気が、外筒体222及び内筒体221の下方側から、ケース本体200(収容部201)の内周面と外筒体222の外周面との間の隙間Goを通って、ケース本体200(収容部201)に接続される第2接続口部212からループ管路10内に流れていく。このようにして、テーパ形状の内筒体221の外周面に沿って圧縮空気が回転しつつ流れる過程で、遠心力の作用によって圧縮空気に含まれる凝縮液は空気から分離され、内筒体221の外周面を伝ってケース本体200(収容部201)の底部分に落ち、その凝縮液Dnがケース本体200の底部分からドレントラップ230に排出される。
【0043】
上述した二層式サイクロンセパレータ20によれば、接続される機器(エアシリンダ、エアガン等)が動作せずに、第1接続口部211を通した圧縮空気の流れが無い状態で、ループ管路10をいずれの方向に流れる圧縮空気からも凝縮液等の液分を適正に分離、除去することができる。また、ケース本体(収容部201)の内周面と外筒体222のテーパ形状の外周面との間の隙間Goがケース本体200の上部から下方に向って徐々に狭くなっているので、第2接続口部212から流れ込む圧縮空気は、徐々に狭くなるケース本体200(収容部201)の内周面と外筒体222の外周面との間の隙間Goを回転しつつ下方に流れる際に、徐々にその流れの速度が増大して、より効果的に液分を空気から遠心分離できるようになる。更にまた、外筒体222の内周面と内筒体221の外周面との間の隙間Giがケース本体200の上部から下方に向って徐々に狭くなっているので、第3接続口部213から流れ込む圧縮空気は、徐々に狭くなる外筒体222の内周面と内筒体221の外周面との間の隙間Giを回転しつつ下方に流れる際に、徐々にその流れの速度が増大して、より効果的に液分を空気から遠心分離できるようになる。
【0044】
そして、上述したような二層式サイクロンセパレータ20が設けられたループ管路10を有する圧縮空気圧回路によれば、二層式サイクロンセパレータ20によってループ管路10を流れる圧縮空気から液分が適正に分離、除去されるので、ループ管路10に残留し得る液分の量が減り、そのループ管路10内における圧縮空気の流れを阻害してしまう事態を有効に防止することができる。
【0045】
なお、上述した二層式サイクロンセパレータ20において、第1接続口部211に結合する機器(エアシリンダ、エアガン等)が動作する場合、圧縮空気の流れは次のようになる。
【0046】
ループ管路10内の圧縮空気が、例えば、第2接続口部212からケース本体200(収容部201)に流入すると、その圧縮空気は、ケース本体200(収容部201)の内周面と外筒体222の外周面との間の隙間Goを、テーパ形状の外筒体222の外周面に沿って回転しつつケース本体200の下方に向って流れる。この際、外筒体222の外周面に沿って回転しながら流れる圧縮空気から液分が遠心分離される。このようにして液分が分離、除去された圧縮空気が、ケース本体200の内周面と外筒体222の外周面との間の隙間Goから流れ出し、内筒体221の内部を通って、第1接続口部211から機器に向けて流れる。
【0047】
ループ管路10内の圧縮空気が、例えば、第3接続口部213から外筒体222に流入すると、その圧縮空気は、外筒体222の内周面と内筒体221の外周面との間の隙間Giを、テーパ形状の内筒体221の外周面に沿って回転しつつ外筒体222(ケース本体200)の下方に向って流れる。この際、内筒体221の外周に沿って回転しつつ流れる圧縮空気から液分が遠心分離される。このように液分が分離、除去された圧縮空気が、外筒体222の内周面と内筒体222の外周面との間の隙間Giから流れ出し、内筒体221の内部を通って、第1接続口部211から機器に向けて流れる。
【0048】
上述した構造の二層サクロンセパレータ20に代えて、
図4に示す構造の二層式サイクロンセパレータ50(本発明の第2の実施の形態に係る分離器)を用いることもできる。
【0049】
図4において、この二層式サイクロンセパレータ50は、第1の実施の形態の場合(
図2、
図3参照)と同様に、収容部501と蓋部502とが一体となって形成されるケース本体500の内部に、内筒体521及び外筒体522が設けられている。そして、内筒体521は、ケース本体500の蓋部502を貫通する第1接続口部511に結合した状態で蓋部502の内面に固定され、外筒体522は、内筒体521を含むように蓋部502の内面に固定されている。また、第1の実施の形態の場合(
図2、
図3参照)と同様に、第2接続口部512がケース本体500(収容部501)に接続され、第3接続口部513がケース本体500(収容部501)を貫通して外筒体522に接続されている。そして、カップ状の収容部501(ケース本体500)の湾曲した底部分には、ドレントラップ550が結合している。
【0050】
内筒体521及び外筒体522のそれぞれは、第1の実施の形態の場合(
図2、
図3参照)とは異なり、円筒形状である。そして、それら内筒体521と外筒体522とは、同心的に配置されている。ケース本体500内には、第2接続口部512の下方のケース本体500(収容部501)の内周面と外筒体522の外周面との間に嵌め込まれるように、第1回転誘導リング体530が設けられている。この第1回転誘導リング体530は、第2接続口部512からケース本体500(収容部501)に流入する圧縮空気を外筒体522の外周面に沿って回転するように誘導する。また、ケース本体500には、第3接続口部513の下方の外筒体522の内周面と内筒体521の外周面との間に嵌め込まれるように、第2回転誘導リング体540が設けられている。この第2回転誘導リング体540は、第3接続口513から外筒体522に流入する圧縮空気を内筒体522の外周面に沿って回転するように誘導する。
【0051】
第1回転誘導リング体530は、
図6に示すように構成される。なお、第2回転誘導リング体540は、この第1回転誘導リング体530とサイズは異なるが、基本的な構造は第1回転誘導リング体530と同じである。
【0052】
図6において、第1回転誘導リング体530は、ケース本体500の収容部501の内径と略同一の外径となる外リング531(第1外リング)と、外筒体522の外径と略同一の内径となる内リング532(第1内リング)とを有している。外リング531と内リングとは、それらの間に放射状に形成される複数(7つ)の連結部533a、533b、533c、533d、533e、533f、533gによって連結されている。外リング531と内リング532との間には、一の連結部(例えば、連結部533a)からそれに隣接する連結部(例えば、533b)まで周方向に延び、当該第1回転誘導リンツ540の上面(
図6に表れている面)側から下面(
図6に表れていない面)側に向けて傾斜するガイド羽根534a、534b、534c、534d、534e、534f、534gが形成されている。この第1回転誘導リング体530においては、上面側から各ガイド羽根534a~534bに沿い、対応する連結部533a~533gをくぐって下面側に抜ける空気の流路が形成されている(下面側から上面側にも各ガイド羽根に沿って空気が流れ得る)。
【0053】
第2回転誘導リング体540は、第1回転誘導リング体530と同様に、内リング(第2内リング)、外リング(第2外リング)、連結部、及び複数のガイド羽根にて構成される。そして、外リング(第2外リング)の外径は、外筒体522の内径と略同一に設定され、内リング(第2内リング)の内径は、内筒体521の外径と略同一に設定される。
【0054】
ループ管路10に設けられた二層式サイクロンセパレータ50は、次のようにしてループ管路10を流れる圧縮空気から液分(凝縮液等)を分離して除去する。
【0055】
第1接続口部511に結合する空圧機器(例えば、エアシリンダ、エアガン等)が動作しておらず、第1接続口部511を通した圧縮空気の流れが無い状態で、例えば、ループ管路10を流れる圧縮空気が、第2接続口部512から二層サイクロンセパレータ50に流入する。この場合、
図4の破線矢印で示すように、第2接続口部512から本体ケース500(収容部501)に流れ込み、その圧縮空気は、ケース本体500(収容部501)の内面と外筒体522の外周面との間に設けられた第1回転誘導リング体530をその上面側から下面側にぬける。その際、圧縮空気は、第1回転誘導リング体530の外リング531と内リング532との間でその周方向に延びる複数のガイド羽根534a~534gに沿って流れることにより、回転する力が与えられる。第1回転誘導リング体530を通過して回転する力が与えられた圧縮空気が外筒体522の外周面に沿って回転しつつ下方に向って流れる。このように、第1回転誘導リング体530により、外筒体522の外周面に沿って回転するように誘導されて、当該外筒体522の外周面に沿って回転しつつケース本体の下方に向って流れる圧縮空気は、外筒体522及び内筒体521の下方側から、外筒体522の内周面と内筒体521の外周面との間の第2回転誘導リング体540を下面側から上面側に向けて通過して第3接続口部513からループ管路10内に流れていく。第1回転誘導リング体530によって外筒体522の外周面に沿って圧縮空気が回転しつつ流れる過程で、遠心力の作用によって圧縮空気に含まれる凝縮液は空気から分離、除去される。そして、その凝縮液Dnが外筒体522の外周面を伝ってケース本体500(収容部501)の底部分に落ち、ケース本体500の底部分からドレントラップ550に排出される。
【0056】
一方、同様に第1接続口511を通した圧縮空気の流れが無い状態で、例えば、ループ管路10を流れる圧縮空気が、第3接続接続口513から二層式サイクロンセパレータ50に流入する場合、その圧縮空気は、二層式サイクロンセパレータ50内において、
図5の破線矢印で示すように流れる。第3接続口513からの圧縮空気は、外筒体522内に流れ込み、外筒体522の内面と内筒体521の外周面との間に設けられた第2回転誘導リング体540をその上面側から下面側に流れる。その際、圧縮空気は、前述した第1回転誘導リング体530を通過する場合と同様に、第2回転誘導リング体540の外リングと内リングとの間でその周方向に延びる複数のガイド羽根に沿って流れることにより、回転する力が与えられる。第2回転誘導リング体540を通過して回転する力が与えられた圧縮空気が内筒体521の外周面に沿って回転しつつ下方に向って流れる。このように、第2回転誘導リング体540により、内筒体521の外周面に沿って回転するように誘導されて、当該内筒体521の外周面に沿って回転しつつケース本体の下方に向って流れる圧縮空気は、内筒体521の下方側から、ケース本体500(収容部501)の内周面と外筒体522の外周面との間の第1回転誘導リング体530を下面側から上面側に向けて通過して第2接続口部512からループ管路10内に流れていく。第2回転誘導リング体540によって内筒体521の外周面に沿って圧縮空気が回転しつつ流れる過程で、遠心力の作用によって圧縮空気に含まれる凝縮液は空気から分離、除去される。そして、その凝縮液Dnが外筒体522の外周面を伝ってケース本体500(収容部501)の底部分に落ち、ケース本体500の底部分からドレントラップ550に排出される。
【0057】
上述した二層式サイクロンセパレータ50によれば、前述した二層式サイクロンセパレータ20(
図2、
図3参照)と同様に、接続される機器(エアシリンダ、エアガン等)が動作せずに、第1接続口部511を通した圧縮空気の流れが無い状態で、ループ管路10をいずれの方向に流れる圧縮空気からも凝縮液等の液分を適正に分離、除去することができる。そして、その二層式サイクロンセパレータ50が設けられたループ管路10を有する圧縮空気圧回路によれば、二層式サイクロンセパレータ50によってループ管路10を流れる圧縮空気から液分が適正に分離、除去されるので、ループ管路10に残留し得る液分の量が減り、そのループ管路10内における圧縮空気の流れを阻害してしまう事態を有効に防止することができる。
【0058】
なお、上述した二層式サイクロンセパレータ50において、第1接続口部511に結合する機器(エアシリンダ、エアガン等)が動作する場合、圧縮空気の流れは次のようになる。
【0059】
ループ管路10内の圧縮空気が、例えば、第2接続口部512からケース本体500(収容部501)に流入すると、その圧縮空気は、第1回転誘導リング体530をその上面側から下面側に向けて通過する。その際、圧縮空気が、外筒体522の外周面に沿って回転するように誘導されて、当該外筒体521の外周面に沿って回転しつつケース本体500の下方に向って流れる。この回転しつつ流れる圧縮空気から液分が遠心分離される。このようにして液分が分離、除去された圧縮空気が、ケース本体500の内周面と外筒体522の外周面との間から流れ出し、内筒体521の内部を通って、第1接続口部511から機器に向けて流れる。
【0060】
ループ管路10内の圧縮空気が、例えば、第3接続口部513から外筒体522に流入すると、その圧縮空気は、第2回転誘導リング体540をその上面側から下面側に向けて通過する。その際、圧縮空気が、内筒体521の外周面に沿って回転するように誘導されて、当該内筒体521の外周面に沿って回転しつつ外筒体522の下方に向って流れる。この回転しつつ流れる圧縮空気から液分が遠心分離される。このようにして液分が分離、除去された圧縮空気が、外筒体522の内周面と内筒体521の内周面との間から流れ出し、内筒体521の内部を通って、第1接続口部511から機器に向けて流れる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、各実施の形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上、説明したように、本発明に係る分離器は、ループ管路内に設けられ、前記ループ管路の空気流から液分を分離する分離器として有用である。
【符号の説明】
【0063】
10 ループ管路
11、12、13 分配管路
14、15、16 接続管
17 基管路
20、20a、20b 二層式サイクロンセパレータ(分離器)
21a、21b、21c エアフィルタ
22 サイクロンセパレータ
23a、23b ドレントラップ
30 エアコンプレッサ
31 エアタンク
32、34 サイクロンセパレータ
41、42 エアシリンダ
43 エアガン
50 二層式サイクロンセパレータ(分離器)
200、500 ケース本体
201、501 収容部
202、502 蓋部
211、511 第1接続口部
212、512 第2接続口部
213、513 第3接続口部
221、521 内筒体
222、522 外筒体
230、550 ドレントラップ
530 第1回転誘導リング体
540 第2回転誘導リング体