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  • 特開-開閉器 図1
  • 特開-開閉器 図2
  • 特開-開閉器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094013
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/66 20060101AFI20220617BHJP
   H01H 33/42 20060101ALI20220617BHJP
   H02B 13/035 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
H01H33/66 Q
H01H33/42 C
H01H33/42 F
H02B13/035 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206784
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】細野 喬文
(72)【発明者】
【氏名】小林 将人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】寺井 誠
(72)【発明者】
【氏名】田村 幸三
(72)【発明者】
【氏名】芝山 慎一
【テーマコード(参考)】
5G017
5G026
【Fターム(参考)】
5G017BB01
5G017DD01
5G017HH04
5G026QA06
(57)【要約】
【課題】
乾燥剤の交換といったメンテナンス作業を不要にし、絶縁性能を向上できる開閉器を提供することにある。
【解決手段】
可動側導体と連結した真空バルブと、真空バルブを覆う絶縁層と、可動側導体に連結される絶縁操作ロッドと、絶縁操作ロッドに連結され、可動側導体を動作させる操作機構とを有し、絶縁層は、内部にシールドを有し、絶縁操作ロッドの側に絶縁物を有する開閉器。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動側導体と連結した真空バルブと、
前記真空バルブを覆う絶縁層と、
前記可動側導体に連結される絶縁操作ロッドと、
前記絶縁操作ロッドに連結され、前記可動側導体を動作させる操作機構とを有し、
前記絶縁層は、
内部にシールドを有し、前記絶縁操作ロッドの側に絶縁物を有する開閉器。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉器において、
前記絶縁物は、弾性体である開閉器。
【請求項3】
請求項1に記載の開閉器において、
前記絶縁物は、前記絶縁操作ロッドの外径より大きい内径を有する開閉器。
【請求項4】
請求項1に記載の開閉器において、
前記絶縁物は、前記絶縁層の内壁に固定される開閉器。
【請求項5】
請求項4に記載の開閉器において、
前記絶縁層の内壁に凹部もしくは凸部があり、前記凹部もしくは前記凸部に前記絶縁物が固定される開閉器。
【請求項6】
請求項1に記載の開閉器において、
前記操作機構の側に封止板が配置され、
前記絶縁操作ロッドが配置される空間に絶縁性のあるガスが封入される開閉器。
【請求項7】
請求項1に記載の開閉器において、
前記シールドは、前記絶縁物より、前記真空バルブ側に配置される開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉器に関し、特に固体絶縁形の開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
固体絶縁形の開閉器は、遮断部を内包する真空バルブの周囲を固体絶縁物で覆うことで、絶縁性能を強化した開閉器である。真空バルブの可動側には、可動側導体を操作するための絶縁操作ロッドが連結されており、さらに絶縁操作ロッドの他端部には操作機構が連結されている。このため、真空バルブの可動側は固体絶縁物で覆うことができず、特別な処置を施さない限りは気中部となる。
【0003】
固体絶縁形の開閉器として特許文献1が知られている。特許文献1は、モールドされた真空バルブと操作機構とを連結する可動側絶縁体の空間部を簡易な構造で除湿する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-120250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
気中部はその周囲環境により絶縁性能が変化し、特に高湿度の場合には固体絶縁物表面に付着した水分により沿面放電が発生しやすくなるため、絶縁弱点部となりやすい。このような問題に対し、特許文献1では、気中部を封止し、その内部に乾燥剤を設置することで、高湿度対策を施し絶縁性能を維持している。
【0006】
しかし、封止状態の悪化により気中部の湿度が高くなる可能性がある。また、乾燥剤の水分吸着量が一定量を超えると湿度が高くなる。そのため、封止状態の確認や乾燥剤の交換といった定期的なメンテナンス作業が発生する。
【0007】
本発明の目的は、乾燥剤の交換といったメンテナンス作業を不要にし、絶縁性能を向上できる開閉器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい一例としては、可動側導体と連結した真空バルブと、前記真空バルブを覆う絶縁層と、前記可動側導体に連結される絶縁操作ロッドと、前記絶縁操作ロッドに連結され、前記可動側導体を動作させる操作機構とを有し、
前記絶縁層は、内部にシールドを有し、前記絶縁操作ロッドの側に絶縁物を有する開閉器である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乾燥剤の交換といったメンテナンス作業を不要にし、絶縁性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の開閉器の縦方向の内部構成図である。
図2】実施例2の開閉器の縦方向の内部構成図である。
図3】実施例3の開閉器の縦方向の内部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施する上で好適となる実施例について図面を用いて説明する。尚、下記はあくまでも実施の例に過ぎず、発明の内容が下記具体的態様に限定されるものではない。本発明は、下記態様を含めて種々の態様に変形することが無論可能である。
【実施例0012】
実施例1について図1を用いて説明する。
【0013】
図1に示す如く、本実施例の開閉器は、図示されていない接離自在な対となる電極(固定電極と可動電極)を収納する真空バルブ1と、真空バルブ1を覆う絶縁層2と、絶縁層2の開口部を覆うフランジ6と、真空バルブ1と連結する可動側導体3と、可動側導体3に連結される絶縁操作ロッド4と、絶縁操作ロッド4の真空バルブ1との連結部と反対側の端部である他端において連結され、可動側導体3を動作させることが可能な操作機構7とで構成される。
【0014】
絶縁操作ロッド4の周囲を覆う絶縁層2の内部にはシールド8が配置されており、可動側導体3や絶縁操作ロッド4の電界を緩和する構成となっている。シールド8は、上面もしくは下面から見たときは、円筒状に絶縁操作ロッド4の周囲を囲う形状である。
【0015】
絶縁層2の内壁はシールド8の先端近傍で電界が高いため、放電の起点なる。そのため、対策として、絶縁層2の絶縁操作ロッド4側に、凸部を有する縦用ゴム部品9Aを取り付け、下方に向かって内径が広がる絶縁層2の内壁から発生する放電を抑制する。
【0016】
シールド8は、絶縁層2の内部に配置され、凸部を有する縦用ゴム部品9Aといった絶縁物より真空バルブ1側に配置されている。そのような構成により上記したようにシールドの先端からの放電を抑制できる。
【0017】
ただし、真空バルブの動作や地震などの振動でゴム部品の配置が変わると絶縁弱点部をゴム部品で覆うことができなくなる。そこで、絶縁操作ロッド4の周囲を覆う絶縁層2の内壁に、絶縁層縦方向凹み部バルブ側2Aと絶縁層縦方向凹み部フランジ側2Bをもうけ、それらに凸部を有する縦用ゴム部品9Aをひっかける。ゴム部品が凹部内で伸長してゴムがずれること防ぐことができるので、絶縁物(凸部を有する縦用ゴム部品9A)を絶縁層2の内壁に固定できる。凸部を有する縦用ゴム部品9Aは、メンテナンスで交換する際にも、ゴム部品なので簡易に交換ができる。
【0018】
なお、図1では絶縁層の縦方向凹み部の数を、左右の内壁それぞれに2個としているが、絶縁層の縦方向凹み部の数は1個以上であればよく、凸部を有する縦用ゴム部品9Aに伝わる振動の強さによって、絶縁層の縦方向凹み部の数を変更してよい。
【0019】
絶縁操作ロッド4の動作時に凸部を有する縦用ゴム部品9Aと絶縁操作ロッド4が触れると動作スピードが落ちたり、凸部を有する縦用ゴム部品9Aが破損する可能性がある。そのため、凸部を有する縦用ゴム部品9Aの中心には絶縁操作ロッド4の外径よりも大きな半径の穴が開いている。つまり、絶縁物は、円筒状の中空を備える形状を有し、絶縁操作ロッド4の外径より大きい内径を有する。凸部を有する縦用ゴム部品9Aと絶縁層2に隙間があると弱点部となるので、グリスや接着剤をつけると良い。
【0020】
なお、絶縁層の隙間をなくすために凸部を有する絶縁物はゴムとしたが、ゴムに限らず弾性体であればよい。また、隙間が発生しないのであれば絶縁性のある他の部材に変えてもよい。
【0021】
本実施例では、絶縁層2の方を凹部とし、その内壁に取り付ける絶縁物の形状を凸部としたが、互いに逆の形状であっても、嵌め合うことで固定される形状であればよい。
【0022】
本実施例によれば、乾燥剤は必要ないので、乾燥剤の交換といったメンテナンス作業は不要であり、絶縁層2の内壁における絶縁性能を向上できる。また、気中部を封止する封止板を配置する必要はない。そのため可動側導体の操作性は向上できる。
【実施例0023】
実施例2について図2を用いて説明する。尚、実施例1と重複する箇所については、ここでの説明を省略する。
【0024】
図1では絶縁層2の内壁に縦方向に凹み部を設けて凸部を有する縦用ゴム部品9Aのずれを対策した。ただし、凹または凸の形状は縦の必要はなく横方向でもよい。
【0025】
本実施例では、図2に示すように絶縁操作ロッド4の周囲を覆う絶縁層2の内壁に、絶縁層横方向凹み部バルブ側2Cと絶縁層横方向凹み部フランジ側2Dを設け、凸部を有する横用ゴム部品9Bをひっかけることで凸部を有する横用ゴム部品9Bのずれを対策できる。
【0026】
なお、図2では絶縁層横方向凹み部の数を、左右の内壁それぞれに2個としているが、絶縁層横方向凹み部の数は1個以上であればよく、ゴムに伝わる振動の強さによって数を変更するとよい。
【0027】
本実施例によれば、実施例1と同じ効果を有する。さらに、凸部を有する横用ゴム部品9Bを絶縁層の内壁にはめ込むので、縦方向の力に対してより固定しやすくできる。
【実施例0028】
実施例3について図3を用いて説明する。尚、実施例1と実施例2と重複する箇所については、ここでの説明を省略する。
【0029】
図1における気中部5を、図3では封止板10で封止している。絶縁操作ロッド4が配置されている空間を、真空引きした後に、ガス11を封入する。沿面放電とギャップ放電はガス中でも同様の効果があると考えられるため、開閉器をより小形にすることができる。ガスは絶縁性のある気体で、例えばSF6、二酸化酸素、窒素、乾燥空気が想定される。また、図3では、実施例1(図1)の構成を前提にした例を示したが、実施例2(図2)についても、実施例3は同様に適用でき、同様の効果が得られる。
【0030】
本実施例によれば、乾燥剤の交換といったメンテナンス作業は不要であり、絶縁層2の内壁における絶縁性能を向上できる。また、絶縁性のある気体を封入しているので開閉器をより小形にすることができる。
【0031】
上記の実施例では、真空バルブ1が操作機構7の上部にある開閉器を例に説明したが、操作機構7が、真空バルブ1の上部にある開閉器であってもよい。また、操作機構7と真空バルブ1が水平方向に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 真空バルブ
2 絶縁層
2A 絶縁層縦方向凹み部バルブ側
2B 絶縁層縦方向凹み部フランジ側
2C 絶縁層横方向凹み部バルブ側
2D 絶縁層横方向凹み部フランジ側
3 可動側導体
4 絶縁操作ロッド
5 気中部
6 フランジ
7 操作機構
8 シールド
9A 凸部を有する縦用ゴム部品
9B 凸部を有する横用ゴム部品
10 封止板
11 ガス
図1
図2
図3