IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライオン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094030
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20220617BHJP
   A61K 8/21 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220617BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/21
A61K8/46
A61K8/44
A61K8/73
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206811
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康彦
(72)【発明者】
【氏名】石黒 敬二
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB272
4C083AB282
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB471
4C083AB472
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC612
4C083AC622
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC862
4C083AD042
4C083AD132
4C083AD272
4C083AD302
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD472
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD662
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD28
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE32
4C083EE36
(57)【要約】
【課題】口腔内に高い効果実感を与え、泡立ち及び味も良く、う蝕の予防又は抑制用として有効なα-オレフィンスルホン酸塩含有の口腔用組成物を提供する。
【解決手段】(A)α-オレフィンスルホン酸塩、(B)水溶性スズ塩、並びに(C)アシルサルコシン酸塩(C1)、脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2)及びキサンタンガム(C3)から選ばれる1種以上を含有する口腔用組成物。更に、(D)冷感剤を含有する上記口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)α-オレフィンスルホン酸塩、
(B)水溶性スズ塩
並びに
(C)アシルサルコシン酸塩(C1)、脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2)及びキサンタンガム(C3)から選ばれる1種以上
を含有することを特徴とする口腔用組成物。
【請求項2】
(A)α-オレフィンスルホン酸塩が、炭素数14~16のα-オレフィンスルホン酸ナトリウムである請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(B)水溶性スズ塩が、塩化スズ及びフッ化スズから選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
【請求項4】
アシルサルコシン酸塩(C1)が、ラウロイルサルコシンナトリウムであり、脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2)が、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン及びラウロイルアミドプロピルベタインから選ばれる請求項1~3のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(B)((B)成分のスズイオン量)/(C)が、質量比として0.05~30である請求項1~4のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項6】
(A)成分の含有量が0.1~3質量%、(B)成分の含有量がスズイオンとして0.02~1質量%、(C)成分の含有量が0.01~2質量%である請求項1~5のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項7】
更に、(D)N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、エチル-3-(p-メンタン-カルボキサミド)アセテート、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-(ピリジン-2-イル)-3-p-メンタンカルボキサミド)、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、メントングリセロールアセタール、メントキシプロパン-1,2-ジオール、乳酸メンチル及びコハク酸メンチルから選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1~6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項8】
(D)成分の含有量が0.00001~0.1質量%である請求項7記載の口腔用組成物。
【請求項9】
歯磨剤、洗口剤又はマウススプレー剤である請求項1~8のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内に高い効果実感を与え、う蝕の予防又は抑制用として有効なα-オレフィンスルホン酸塩含有の口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン性界面活性剤であるα-オレフィンスルホン酸塩は、歯垢を分散し、除去し易くする作用があり、歯垢分散除去効果を有することから、う蝕の予防又は抑制成分として口腔用組成物に配合されてきた。α-オレフィンスルホン酸塩にアシルアミノ酸塩、アルギニン又は特定の水不溶性顆粒を併用することで口腔バイオフィルム除去効果を増強し、歯垢除去効果を高めることも提案されている(特許文献1~3;特開2016-199598号公報、特開2013-151474号公報、国際公開第2017/094580号)。
【0003】
しかしながら、α-オレフィンスルホン酸塩による歯垢分散除去の作用は、目視によっては認識しにくく、使用による実効感を感じにくいため、使用者の使用意欲の維持が保てない場合があった。α-オレフィンスルホン酸塩の作用効果を最大限に引き出すためにも、使用者の使用意欲を維持して継続使用を促すことが重要であり、そのためには、毎回の使用毎に口腔内で効いていることを、例えばさっぱりとした歯垢除去実感として使用者に感じさせてモチベーションを高めることが効果的であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-199598号公報
【特許文献2】特開2013-151474号公報
【特許文献3】国際公開第2017/094580号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口腔内に高い効果実感を与え、う蝕の予防又は抑制用として有効なα-オレフィンスルホン酸塩含有の口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)α-オレフィンスルホン酸塩を配合した口腔用組成物に、(B)水溶性スズ塩と、(C)アシルサルコシン酸塩(C1)、脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2)及びキサンタンガム(C3)から選ばれる1種以上とを組み合わせて配合すると、口腔内に独特かつ顕著なさっぱり感を与え、これにより、口腔内で使用毎に、(A)成分による歯垢分散除去の実効果のみならず、例えばさっぱりとした歯垢除去実感として高い効果実感を付与することができ、また、適度かつ速やかに起泡して泡立ちが良く、味も良い使用感を確保することもできることを知見した。即ち、本発明では、(A)、(B)及び(C)成分を含有する口腔用組成物が、1回の使用でも、口腔内に高い効果実感を与え、また、泡立ち及び味も良く、う蝕の予防又は抑制用として有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0007】
更に詳述すると、本発明では、口腔用組成物において、(A)成分に(B)成分を併用することで、独特かつ顕著な口腔内のさっぱり感(使用直後に口腔内がさっぱりと清掃されたと顕著に感じられる独特な感覚、以下「口腔内のさっぱり感」と略記することもある)を与え、高い効果実感を付与することができた。なお、前記口腔内のさっぱり感は、(A)成分に(B)成分が併用されることで特異的に得られる独特な感覚であり、例えばメントール等の一般的な口腔用香料やエタノールによって得られる清涼感とは異なるものであった。また更に、(A)成分に(B)成分を併用すると、アニオン性界面活性剤である(A)成分による起泡性が弱くなって起泡速度が顕著に遅くなり、泡立ちが悪く、また、後味の悪さが際立ち、嗜好性が著しく悪化するという問題が生じた。しかし、更に、(C)成分を添加することで、上記起泡速度や後味に関する問題を生じさせることなく、適度かつ速やかに起泡して泡立ち、良い味も確保して、上記口腔内のさっぱり感によって高い効果実感を与えることができた。
後述の比較例に示すように、口腔用組成物に(A)成分が配合され、(B)及び(C)成分が配合されていないと、効果実感(口腔内のさっぱり感)が低く(比較例1)、(A)及び(B)成分が配合され、(C)成分が配合されていないと、使用中の起泡速度が劣り、使用後の嫌味のなさも劣った(比較例2)。これに対して、実施例に示す本発明の(A)、(B)及び(C)成分が配合された口腔用組成物は、効果実感(口腔内のさっぱり感)が高く、使用中の起泡速度及び使用後の嫌味のなさも良好であった。
【0008】
従って、本発明は、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕
(A)α-オレフィンスルホン酸塩、
(B)水溶性スズ塩
並びに
(C)アシルサルコシン酸塩(C1)、脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2)及びキサンタンガム(C3)から選ばれる1種以上
を含有することを特徴とする口腔用組成物。
〔2〕
(A)α-オレフィンスルホン酸塩が、炭素数14~16のα-オレフィンスルホン酸ナトリウムである〔1〕記載の口腔用組成物。
〔3〕
(B)水溶性スズ塩が、塩化スズ及びフッ化スズから選ばれる1種以上である〔1〕又は〔2〕記載の口腔用組成物。
〔4〕
アシルサルコシン酸塩(C1)が、ラウロイルサルコシンナトリウムであり、脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2)が、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン及びラウロイルアミドプロピルベタインから選ばれる〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔5〕
(B)((B)成分のスズイオン量)/(C)が、質量比として0.05~30である〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔6〕
(A)成分の含有量が0.1~3質量%、(B)成分の含有量がスズイオンとして0.02~1質量%、(C)成分の含有量が0.01~2質量%である〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔7〕
更に、(D)N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、エチル-3-(p-メンタン-カルボキサミド)アセテート、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-(ピリジン-2-イル)-3-p-メンタンカルボキサミド)、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、メントングリセロールアセタール、メントキシプロパン-1,2-ジオール、乳酸メンチル及びコハク酸メンチルから選ばれる1種又は2種以上を含有する〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔8〕
(D)成分の含有量が0.00001~0.1質量%である〔7〕記載の口腔用組成物。
〔9〕
歯磨剤、洗口剤又はマウススプレー剤である〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、(A)成分による歯垢分散除去効果と共に、(A)成分が効いていると感じられる高い効果実感を付与することができ、また、適度かつ速やかに泡立ち、味も良い口腔用組成物を提供できる。本発明の口腔用組成物は、(A)成分による歯垢分散除去効果が効果的に発揮され、う蝕の予防又は抑制用として有効である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の口腔用組成物は、(A)α-オレフィンスルホン酸塩、(B)水溶性スズ塩、並びに(C)アシルサルコシン酸塩(C1)、脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2)及びキサンタンガム(C3)から選ばれる1種以上を含有する。
【0011】
(A)α-オレフィンスルホン酸塩は、歯垢分散除去効果を有する。
(A)α-オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数が14~16のα-オレフィンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩を用いることができ、好ましくは炭素数14のα-オレフィンスルホン酸塩、特にナトリウム塩(一般名;テトラデセンスルホン酸ナトリウム)である。これらは口腔用製剤に使用可能な市販品を入手することができ、例えばライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の商品名「KリポランPJ-400CJ」を使用し得る。
【0012】
(A)α-オレフィンスルホン酸塩の配合量は、組成物全体の0.1~3%(質量%、以下同様)が好ましく、より好ましくは0.3~2.5%である。配合量が多いほど、歯垢分散除去効果が得られるが、多すぎると嗜好性に影響することがあり、3%以下であると、味の良さを十分に確保できる。
【0013】
(B)水溶性スズ塩は、(A)成分と併用することで、独特かつ顕著な口腔内のさっぱり感を与え、このさっぱり感によって効果実感を付与する作用を奏する。
(B)水溶性スズ塩としては、例えば塩化スズ、フッ化スズ、酢酸スズ、グルコン酸スズ、シュウ酸スズ、硫酸スズ、乳酸スズ、酒石酸スズ、クエン酸スズ、リンゴ酸スズ、リン酸スズ、ピロリン酸スズ、メタリン酸スズ等が挙げられるが、中でも、塩化スズ、フッ化スズが好ましい。
塩化スズは、塩化スズ(II)(塩化第一スズ)を用いることができ、塩化スズ(II)二水和物等の水和物でもよい。フッ化スズは、フッ化スズ(II)(フッ化第一スズ)、フッ化スズ(IV)(フッ化第二スズ)を用いることができる。特に、う蝕予防効果を付与することもできる点から、フッ化スズ(II)(フッ化第一スズ)が好ましい。これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0014】
(B)水溶性スズ塩の配合量は、スズイオンとして組成物全体の0.02~1%が好ましく、より好ましくは0.05~0.7%である。スズイオンの含有量が0.02%以上であると、口腔内のさっぱり感が十分に得られ、1%以下であると、(C)成分による起泡速度の改善効果が十分に発揮され、泡立ちが確保され、また、(C)成分による嫌味改善効果が十分に発揮され、外観安定性が確保される。
【0015】
(C)成分は、アシルサルコシン酸塩(C1)、脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2)及びキサンタンガム(C3)から選ばれる1種以上又は2種以上であり、(C1)、(C2)及び(C3)成分の三者を組み合わせて使用してもよい。(C)成分は、(A)及び(B)成分を併用することによって生じる起泡速度の低下及び嫌味を改善する作用を奏する。
【0016】
アシルサルコシン酸塩(C1)のアシル基は、好ましくは炭素数10~18、より好ましくは10~14であり、また、その塩は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩である。
具体的にアシルサルコシン酸塩は、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、パルミトイルサルコシンナトリウム、ステアロイルサルコシンナトリウム等が挙げられ、中でも、ラウロイルサルコシンナトリウムが好ましい。
アシルサルコシン酸塩は、川研ファインケミカル(株)製のソイポンSLP(ラウロイルサルコシンナトリウム)アシルサルコシン塩等の市販品を用いることができる。
【0017】
脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2)は、炭素数10~16のアルキル基を有するものが好ましく、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウロイルアミドプロピルベタイン等を使用できる。
脂肪酸アミドプロピルベタインは、EVONIK社製のTego Betain CK OK(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、30%品)等の市販品を用いることができる。
キサンタンガム(C3)は、市販品を使用し得る。
【0018】
(C)成分の配合量は、組成物全体の0.01~2%が好ましく、より好ましくは0.07~1.5%、更に好ましくは0.1~1.0%である。配合量が0.01%以上であると、起泡速度の改善効果及び嫌味改善効果が十分に得られる。配合量が多すぎると、(C)成分自身の感覚((C1)成分の脱脂感や、(C2)及び(C3)成分のべたつき感)が口腔内のさっぱり感に悪影響を及ぼす場合があり、2%以下であると、口腔内のさっぱり感が十分に確保される。
【0019】
本発明において、(B)成分の配合量(スズイオンとしての配合量)と(C)成分の配合量との量比を示す(B)/(C)は、質量比として0.05~30が好ましく、より好ましくは0.2~10、更に好ましくは0.2~6である。(B)/(C)の質量比が上記範囲内であると、口腔内のさっぱり感がより優れ、また、起泡速度及び嫌味が一層改善する。(B)/(C)の質量比が0.05未満であると、(C)成分である(C1)成分の脱脂感や、(C2)及び(C3)成分のべたつき感によって、口腔内のさっぱり感の発現が妨害され、口腔内のさっぱり感が低下する場合がある。
【0020】
本発明の口腔用組成物は、更に、(D)冷感剤を配合することができる。(D)成分を配合すると、口腔内のさっぱり感がより高まり、効果実感が一層向上する。
(D)成分としては、例えば、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、エチル-3-(p-メンタン-カルボキサミド)アセテート、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-(ピリジン-2-イル)-3-p-メンタンカルボキサミド)、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、メントングリセロールアセタール、メントキシプロパン-1,2-ジオール、乳酸メンチル、コハク酸メンチル等が挙げられる。中でも、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-(ピリジン-2-イル)-3-p-メンタンカルボキサミド)が、より好ましい。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
具体的は、下記に示す市販品を用いることができる。
N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド;シムライズ社製、WS-3
エチル-3-(p-メンタン-カルボキサミド)アセテート;豊玉香料(株)製、WS-5
N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド:ジボダンジャパン(株)製、エバークール(EVERCOOL)180
N-(2-(ピリジン-2-イル)-3-p-メンタンカルボキサミド);ジボダンジャパン(株)製、エバークール(EVERCOOL)190
2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド;ジボダンジャパン(株)製、WS-23
メントングリセロールアセタール;シムライズ社製、MGA
メントキシプロパン-1,2-ジオール;高砂香料工業(株)製、CA10
乳酸メンチル;シムライズ社製
コハク酸メンチル(コハク酸モノメンチル);ヴィマンフィス社製
【0022】
(D)成分を配合する場合、その配合量は、組成物全体の0.00001~0.1%が好ましく、より好ましくは0.00003~0.07%、特に好ましくは0.00005~0.05%である。
【0023】
本発明の口腔用組成物は、ペースト状、ジェル状、液体状等の形態で、練歯磨、ジェル状歯磨、液体歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、洗口剤、マウスウォッシュ等のスプレー剤に調製して使用することができる。中でも、歯磨剤、洗口剤又はスプレー剤、特に歯磨剤として好適である。調製方法は、形態や剤型に応じた常法を採用できる。
この場合、口腔用組成物の目的、剤型等に応じて、上述した成分以外にも適宜なその他の任意成分を必要に応じて配合できる。任意成分は、例えば、界面活性剤、研磨剤、増粘剤、湿潤剤、溶剤、甘味剤、香料、防腐剤、着色剤、有効成分等が挙げられる。
以下に任意成分の具体例を示す。これら任意成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて配合でき、また、各任意成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とし得る。
【0024】
任意の界面活性剤:
界面活性剤は、(A)α-オレフィンスルホン酸塩及び(C)成分のアシルサルコシン酸塩(C1)以外のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、(C)成分の脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2)以外の両性界面活性剤が挙げられ、具体的には下記(i)~(iii)に示す。
(i)アニオン性界面活性剤
ラウリル硫酸塩等のアルキル硫酸塩、アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩が挙げられ、上記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
(ii)ノニオン性界面活性剤
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライドが挙げられる。
(iii)両性界面活性剤
N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩が挙げられる。
任意の界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.001~10%、特に0.1~5%がよい。
【0025】
研磨剤:
無水ケイ酸等のシリカ系研磨剤、ゼオライト、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウムが挙げられる。
研磨剤の配合量は、通常、組成物全体の2~50%、特に10~40%である。
【0026】
増粘剤:
増粘剤は、キサンタンガム(C3)以外の有機増粘剤や、無機増粘剤を使用できる。具体的には、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等の有機増粘剤、増粘性シリカ等の無機増粘剤が挙げられる。
任意の増粘剤の配合量は、通常、組成物全体の0.1~10%、特に0.1~8%である。
【0027】
湿潤剤:
ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)等の多価アルコールが挙げられる。
湿潤剤の配合量は、通常、組成物全体の2~50%である。
【0028】
溶剤:
精製水、エタノール等の炭素数1~3の低級アルコールが挙げられる。なお、エタノールは、配合する場合は組成物全体の25%以下でもよく、配合しなくてもよい。
甘味剤:
サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロースが挙げられる。
【0029】
香料:
メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
香料の配合量は、通常、組成物全体の0.01~2%である。
【0030】
防腐剤:
パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウムが挙げられる。
着色剤:
青色1号、青色2号、緑色3号、黄色4号、黄色5号、赤色106号、赤色227号、カラメル、酸化チタン、雲母チタンが挙げられる。
【0031】
任意の有効成分:
フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素含有化合物、デキストラナーゼ等の酵素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸、アラントイン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、塩化ナトリウム、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸銅、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ヒノキチオール、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ゼオライト、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、グリセロリン酸カルシウム、オウバクエキスが挙げられる。
【実施例0032】
以下、実施例及び比較例、処方例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
【0033】
[実施例、比較例]
表1~4に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨)を常法によって調製し、下記方法で評価した。結果を表に併記した。
なお、(A)α-オレフィンスルホン酸塩を含有する実施例の歯磨剤組成物は、いずれも(A)成分由来の歯垢分散除去効果を有していた。
【0034】
(1)効果実感(口腔内のさっぱり感)の評価方法
被験者として専門パネラー10人を用いて官能評価した。ラミネートチューブに充填した歯磨剤組成物を歯ブラシ上に1cm押出して載せ、普段と同じ方法で3分間の歯磨きを行い、口腔内を水で漱ぎ、使用して1分間経過後の口腔内のさっぱり感を下記の判定基準で判定した。
ここで、口腔内のさっぱり感とは、使用直後に口腔内がさっぱりと清掃されたと顕著に感じられる独特な感覚である。
判定基準
5:さっぱり感を非常に強く感じる
4:さっぱり感を強く感じる
3:さっぱり感がある
2:さっぱり感がかすかにある
1:さっぱり感がない
10人の判定結果の平均値を算出し、下記の評価基準で評価した。〇、◎及び☆の評価が確保されるものを、口腔内のさっぱり感が優れ、(A)α-オレフィンスルホン酸塩による歯垢分散除去効果の効果実感が高い歯磨剤組成物であると判断した。
評価基準
☆:平均点4.5点以上
◎:平均点4.0点以上4.5点未満
○:平均点3.0点以上4.0点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0035】
(2)使用中の起泡速度の評価方法
被験者として専門パネラー10人を用いて官能評価した。ラミネートチューブに充填した歯磨剤組成物を歯ブラシ上に1cm押出して載せ、普段と同じ方法で歯磨きを行い、ブラッシング開始から30秒間の泡の立つ速さについて、(B)及び(C)成分を含まない以外は同組成の歯磨剤組成物(コントロール品)と比較し、下記の判定基準で判定した。
判定基準
4点:コントロール品よりも起泡速度が速い
3点:コントロール品と同等の起泡速度である
2点:コントロール品よりやや起泡速度が遅い
1点:コントロール品より起泡速度が遅い
10人の判定結果の平均値を算出し、下記の評価基準で評価した。◎及び○の評価が確保されるものを、使用中の起泡速度が速く適度であり、泡立ちの良い歯磨剤組成物であると判断した。
評価基準
◎:平均点3.5点以上
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0036】
(3)使用後の嫌味のなさの評価方法
被験者として専門パネラー10人を用いて官能評価した。ラミネートチューブに充填した歯磨剤組成物を歯ブラシ上に1cm押出して載せ、普段と同じ方法で3分間の歯磨きを行い、使用して10分間経過後の口中に残る嫌味(嫌味のなさ)について、下記の判定基準で判定した。
判定基準
4点:嫌味を全く感じない
3点:嫌味をほとんど感じない
2点:嫌味を感じる
1点:嫌味を非常に強く感じる
10人の判定結果の平均値を算出し、下記の評価基準で評価した。◎及び○の評価が確保されるものを、使用後の嫌味のあと残りが感じられず、味の良い歯磨剤組成物であると判断した。
評価基準
◎:平均点4.0点
○:平均点3.0点以上4.0点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0037】
使用原料の詳細を下記に示す。
(A)テトラデセンスルホン酸ナトリウム;ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ
(株)製、KリポランPJ-400CJ
(B)塩化スズ;富士フィルム和光純薬(株)製、塩化スズ(II)二水和物
(B)フッ化スズ;富士フィルム和光純薬(株)製、フッ化スズ(II)
(C)ラウロイルサルコシンナトリウム(C1);日光ケミカルズ(株)製、NIKKO
L サルコシネートLN
(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(C2);EVONIK社製、Tego Betain CK OK
(C)キサンタンガム(C3);CPケルコ社製、モナートガムDA
(D)N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド;
ジボダンジャパン(株)製、エバークール180
(D)N-(2-(ピリジン-2-イル)-3-p-メンタンカルボキサミド);
ジボダンジャパン(株)製、エバークール190
香料Aの組成の詳細は後述の通りである。
なお、表中の配合量を示す数値は、純分量(%)記載がない成分については、純分換算量である(以下同様)。
【0038】
【表1】

注;(B)/(C)は、((B)成分のスズイオンとしての配合量)/((C)成分の配合量)の質量比である(以下同様)。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
香料Aの組成;
ペパーミント油 50
ペパーミント精製油(前溜部20%カット) 5
ペパーミント精製油(前溜部・後溜部15%カット) 5
スペアミント油 1
スペアミント精製油(前溜部20%カット) 1
和種ハッカ油 1
和種ハッカ精製油(前溜部30%カット) 1
メントール 10
カルボン 1
1,8-シネオール 1
アネトール 5
シンナミックアルデヒド 1
オイゲノール 1
メチルサリシレート 1
フレーバー1(表5) 1
フレーバー2(表6) 1
フレーバー3(表7) 1
フレーバー4(表8) 1
フレーバー5(表9) 1
フレーバー6(表10) 1
フレーバー7(表11) 1
溶剤(表12) 残
合計 100%
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
【表8】
【0047】
【表9】
【0048】
【表10】
【0049】
【表11】
【0050】
【表12】
【0051】
以下に処方例を示す。
【0052】
[処方例1]歯磨剤
(A)テトラデセンスルホン酸ナトリウム 1
(B)フッ化スズ(フッ化第一スズ) 0.4
(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液(30%) 0.9
(C)ラウロイルサルコシンナトリウム 0.2
(C)キサンタンガム 0.3
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.38
トラネキサム酸 0.05
酢酸トコフェロール 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.05
乳酸アルミニウム 2
硝酸カリウム 5
クエン酸ナトリウム 0.5
ヘキサメタリン酸ナトリウム 1
研磨性シリカ 18
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 0.6
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.5
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 0.1
70%ソルビトール液 30
プロピレングリコール 3
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
ポリエチレングリコール4000 0.5
グルコン酸銅 0.1
増粘性シリカ 1
酸化チタン 0.4
サッカリンナトリウム 0.08
水酸化ナトリウム 適量(pHを5.8に調整)
香料A 1.3
精製水 バランス
合計 100%
【0053】
[処方例2]歯磨剤
(A)テトラデセンスルホン酸ナトリウム 1
(B)フッ化スズ(フッ化第一スズ) 0.4
(C)ラウロイルサルコシンナトリウム 0.2
(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液(30%) 0.9
(C)キサンタンガム 0.3
フッ化ナトリウム 0.11
デキストラナーゼ(13,000単位/g品) 0.15
カチオン化セルロース 0.05
イプシロンアミノカプロン酸 0.05
酢酸トコフェロール 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.05
乳酸アルミニウム 2
硝酸カリウム 5
クエン酸ナトリウム 0.5
ヘキサメタリン酸ナトリウム 1
研磨性シリカ 15
ラウリル硫酸ナトリウム 0.6
85%グリセリン液 28
プロピレングリコール 3
カラギーナン 0.3
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.7
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 3.0
増粘性シリカ 2
酸化チタン 0.3
サッカリンナトリウム 0.1
水酸化ナトリウム 適量(pHを6.1に調整)
香料A 1.3
精製水 バランス
合計 100%
【0054】
[処方例3]洗口剤
(A)テトラデセンスルホン酸ナトリウム 0.3
(B)フッ化スズ(フッ化第一スズ) 0.1
(C)ラウロイルサルコシンナトリウム 0.05
(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液(30%) 0.9
(C)キサンタンガム 0.02
デキストラナーゼ(13,000単位/g品) 0.15
トラネキサム酸 0.05
酢酸トコフェロール 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.05
70%ソルビトール液 5
85%グリセリン液 1
キシリトール 1
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.1
アルギン酸プロピレングリコールエステル 0.1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル 0.1
プロピレングリコール 3
エタノール 10
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.3
水酸化ナトリウム 適量(pHを6.0に調整)
香料A 0.1
精製水 バランス
合計 100%
【0055】
[処方例4]マウススプレー
(A)テトラデセンスルホン酸ナトリウム 0.3
(B)フッ化スズ(フッ化第一スズ) 0.1
(C)ラウロイルサルコシンナトリウム 0.05
(C)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液(30%) 0.9
(C)キサンタンガム 0.02
トラネキサム酸 0.05
酢酸トコフェロール 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.05
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.01
85%グリセリン液 30
70%ソルビトール液 4
ポリエチレングリコール400 2
キシリトール 1
塩化セチルピリジニウム 0.05
エタノール 25
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 2
グルコン酸銅 0.01
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.3
水酸化ナトリウム 適量(pHを6.0に調整)
香料A 0.5
精製水 バランス
合計 100%