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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094066
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
B60P1/44 J
B60P1/44 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206875
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀之内 良和
(57)【要約】
【課題】荷受台を格納する際の荷受台と周辺構造物との干渉を抑制する。
【解決手段】折り畳み式の荷受台を車枠の下に引き込んで格納する荷受台昇降装置において、操作装置から入力される操作信号に応じてリフトシリンダ及びスライドシリンダの動作指令をし、前記荷受台の折り畳み状態が検知されていることを条件として、上げ操作信号に応じて前記荷受台を前記車枠の下に引き込む制御装置を備え、前記制御装置が、前記上げ操作信号の入力開始時点で前記荷受台が前記折り畳み状態であると判定した場合、前記上げ操作信号に基づく前記荷受台の引込動作を不能とする構成とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式の荷受台を車枠の下に引き込んで格納する荷受台昇降装置において、
前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、
前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、
前記アームを回動させて前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、
前記スライダと共に前記荷受台を前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、
前記荷受台が折り畳まれた状態であることを検知するセンサと、
前記荷受台の上げ操作及び下げ操作をして前記リフトシリンダの動作を指示するための操作装置と、
前記操作装置から入力される操作信号に応じて前記リフトシリンダ及び前記スライドシリンダの動作指令をし、前記センサの出力を基に前記荷受台の折り畳み状態が検知されていることを条件として、前記上げ操作に伴って前記操作装置から入力される上げ操作信号に応じて前記荷受台を前記車枠の下に引き込む制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記センサの出力を基に、前記上げ操作信号の入力開始時点で前記荷受台が前記折り畳み状態であると判定した場合、前記上げ操作信号に基づく前記荷受台の引込動作を不能とすることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
折り畳み式の荷受台を車枠の下に引き込んで格納する荷受台昇降装置において、
前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、
前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、
前記アームを回動させて前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、
前記スライダと共に前記荷受台を前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、
前記スライダの移動範囲の引き出し方向の端部を制限するストッパと、
前記荷受台が折り畳まれた状態であることを検知する第1センサと、
前記ストッパと前記スライダの間隔が設定距離以下であることを検知する第2センサと、
前記荷受台の上げ操作及び下げ操作をして前記リフトシリンダの動作を指示するための操作装置と、
前記操作装置から入力される操作信号に応じて前記リフトシリンダ及び前記スライドシリンダの動作指令をし、前記第1センサの出力を基に前記荷受台の折り畳み状態が検知されていることを条件として、前記上げ操作に伴って前記操作装置から入力される上げ操作信号に応じて前記荷受台を前記車枠の下に引き込む制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記第1センサ及び前記第2センサの出力を基に、前記上げ操作信号の入力開始時点で、前記ストッパと前記スライダの間隔が前記設定距離以下であり、かつ荷受台が前記折り畳み状態であると判定した場合、前記上げ操作信号に基づく前記荷受台の引込動作を不能とし、
前記上げ操作信号の入力中に前記第1センサの出力を基に前記荷受台が前記折り畳み状態に姿勢変化したと判定した場合、前記上げ操作信号の入力が途絶えても、前記第2センサの出力を基に前記ストッパと前記スライダの間隔が前記設定距離を超えるまで前記荷受台を引き込み方向にスライドさせる
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台に対する荷物等の積み下ろし作業を支援する荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置は、車両の荷台床面の高さと地面との間で荷受台を昇降させ、荷台に対する荷物等の積み下ろし作業を支援する装置である。荷受台昇降装置には、荷受台を折り畳み車枠の下に引き込んで格納する床下格納式のものがある。この種の荷受台昇降装置には、荷受台が後端位置にあるかを検知する後端センサと、荷受台が折り畳まれた状態であるかを検知するゲートセンサを持ち、荷受台を引き出して地面に下ろす動作やその逆の動作にシーケンス制御を適用したものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-64447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、荷役作業後に荷受台を格納する場合、荷受台を折り畳まれた状態とするための準備作業として作業者が地面で荷受台をガイドローラに直接立て掛け、この作業の後に荷受台の上げ操作をする。この上げ操作に基づく上昇過程において、後端センサで検知されている状態に加えて荷受台が折り畳まれた状態に姿勢変化したことがゲートセンサで検知されたら、上昇から前進に動作が切り換わって荷受台が車枠の下に引き込まれる。この荷受台を車枠の下に引き込む動作の指示には上昇動作を指示する上スイッチが兼用され、上スイッチの操作に伴い、ゲートセンサがオフであれば荷受台が上昇し、オンであれば前進する。
【0005】
ここで、荷受台が後端位置で所定の高さ以上の高位置にある場合、荷受台を折り畳んだ時点でゲートセンサと後端センサの双方がオンになり得る。この場合、上スイッチを操作すれば荷受台は前進させることができる。そのため、例えば荷物等を荷受台から荷台に積み込んだ後、そのまま荷台の床面付近で荷受台を折り畳み、必要に応じて荷受台を下げて高さを調節してから上スイッチを操作すれば、地面で荷受台をガイドローラに立て掛ける正規の手順を踏まずに荷受台を格納することもできる。
【0006】
しかし、車枠の下のスペースには余裕がなく、床下格納状態における最低地上高を確保するために極力高位置、つまり極力車枠の近くで荷受台を格納すべき事情もあり、荷受台の前後移動を許容する高さの遊びは極力小さくする必要がある。そのため、上記のようにオペレータが正規の手順を踏まずに荷受台の高さを目視判断して前進させると、荷受台が周辺構造物に干渉する恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、荷受台を格納する際の荷受台と周辺構造物との干渉を抑制することができる荷受台昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、折り畳み式の荷受台を車枠の下に引き込んで格納する荷受台昇降装置において、前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、前記アームを回動させて前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、前記スライダと共に前記荷受台を前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、前記荷受台が折り畳まれた状態であることを検知するセンサと、前記荷受台の上げ操作及び下げ操作をして前記リフトシリンダの動作を指示するための操作装置と、前記操作装置から入力される操作信号に応じて前記リフトシリンダ及び前記スライドシリンダの動作指令をし、前記センサの出力を基に前記荷受台の折り畳み状態が検知されていることを条件として、前記上げ操作に伴って前記操作装置から入力される上げ操作信号に応じて前記荷受台を前記車枠の下に引き込む制御装置とを備え、前記制御装置は、前記センサの出力を基に、前記上げ操作信号の入力開始時点で前記荷受台が前記折り畳み状態であると判定した場合、前記上げ操作信号に基づく前記荷受台の引込動作を不能とする荷受台昇降装置を提供する。なお、上記「折り畳み状態」とは、車枠の下に引き込まれて「格納された状態」と同じ姿勢まで荷受台が折り畳まれた状態であり、スライダがガイドレールに沿って移動する際に荷受台がガイドレール周辺の構造物に干渉することがなく、車両が走行する中でも良好に格納された状態を指している。
【0009】
第2の発明は、折り畳み式の荷受台を車枠の下に引き込んで格納する荷受台昇降装置において、前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、前記アームを回動させて前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、前記スライダと共に前記荷受台を前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、前記スライダの移動範囲の引き出し方向の端部を制限するストッパと、前記荷受台が折り畳まれた状態であることを検知する第1センサと、前記ストッパと前記スライダの間隔が設定距離以下であることを検知する第2センサと、前記荷受台の上げ操作及び下げ操作をして前記リフトシリンダの動作を指示するための操作装置と、前記操作装置から入力される操作信号に応じて前記リフトシリンダ及び前記スライドシリンダの動作指令をし、前記第1センサの出力を基に前記荷受台の折り畳み状態が検知されていることを条件として、前記上げ操作に伴って前記操作装置から入力される上げ操作信号に応じて前記荷受台を前記車枠の下に引き込む制御装置とを備え、前記制御装置は、前記第1センサ及び前記第2センサの出力を基に、前記上げ操作信号の入力開始時点で、前記ストッパと前記スライダの間隔が前記設定距離以下であり、かつ前記荷受台が前記折り畳み状態であると判定した場合、前記上げ操作信号に基づく前記荷受台の引込動作を不能とし、前記上げ操作信号の入力中に前記第1センサの出力を基に前記荷受台が前記折り畳み状態に姿勢変化したと判定した場合、前記上げ操作信号の入力が途絶えても、前記第2センサの出力を基に前記ストッパと前記スライダの間隔が前記設定距離を超えるまで前記荷受台を引き込み方向にスライドさせる荷受台昇降装置を提供する。第2の発明における「折り畳み状態」も第1の発明の折り畳み状態と同様である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷受台を格納する際の荷受台と周辺構造物との干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図
図2】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置(荷受台を格納した状態)の詳細構造を表す斜視図
図3】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置(荷受台を展開した状態)の詳細構造を表す斜視図
図4】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置に備わったパワーユニットの一構成例を表す油圧回路図
図5】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置のスライダが引き出しストロークの後端位置付近にある状態の部分側面図
図6】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置に備わった操作装置及び制御装置の模式図
図7】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置における荷受台の引込開始動作の制御手順を表すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0013】
1.車両
図1は本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図である。本願明細書においては、図1の左右を荷受台昇降装置4の前後とする。
【0014】
図1に示した車両は、車枠1と、車枠1の前方に設けた運転室2と、車枠1上に搭載した荷台3と、車枠1の下側後部に設けた床下格納式の荷受台昇降装置4とを含んで構成されている。この荷受台昇降装置4は、車両走行運転時等の不使用時には荷受台5が折り畳まれて車枠1の下に格納される。使用時時には、荷受台5を後方に引き出して展開し、荷台3の床面の高さと地面の高さとの間で昇降させて荷役作業(荷台3に対する荷物の積み下ろし作業)を支援する。
【0015】
2.荷受台昇降装置
図2及び図3は荷受台昇降装置4の詳細構造を表す斜視図で、図2は荷受台5を格納した状態、図3は荷受台5を展開した状態を表している。
【0016】
図2及び図3に示したように、荷受台昇降装置4は、荷物を積載する上記の荷受台5の他、スライドユニット6、リフトユニット7、パワーユニット26及び制御装置45(図6)を含んで構成されている。スライドユニット6は、荷受台5を前後にスライドさせるユニットである。リフトユニット7は、荷受台5を昇降させるユニットである。パワーユニット26は、スライドユニット6及びリフトユニット7を駆動するユニットである。制御装置45は、パワーユニット26を制御する装置(例えばコンピュータ)である。これら要素について順次説明していく。
【0017】
2-1.スライドユニット
スライドユニット6は、左右のガイドレール8、左右のスライダ9、クロスメンバ10、左右のブラケット11、左右のサポート13(図3)、ガイドローラ12、左右のスライドシリンダ14等を含んで構成されている。左右のガイドレール8は、車枠1の下側後部に前後方向に延在するように取り付けてある。左右のスライダ9は、左右のガイドレール8にそれぞれ支持されており、ガイドレール8に沿って移動可能である。クロスメンバ10は、左右のスライダ9を連結している。左右のブラケット11は、スライダ9の外側に突き出たクロスメンバ10の端部に設けてある。左右のサポート13は、スライダ9に固定されて後方に突出する片持ち梁状のフレームである。ガイドローラ12は、サポート13の先端(後端)に回転軸を左右に延ばした姿勢で回転自在に支持されており、格納及び展開の際に荷受台5を支持し荷受台5をガイドする。左右のスライドシリンダ14は複動シリンダであり、適宜支持部材を介してガイドレール8及びスライダ9に両端が連結されており、その伸縮動作によりガイドレール8に沿って左右のスライダ9を前後に移動させる。スライダ9が移動すると、これと一体となってクロスメンバ10、ブラケット11、サポート13、ガイドローラ12及び荷受台5がガイドレール8に沿って前後に移動する。
【0018】
2-2.リフトユニット
リフトユニット7は、第1アーム(チルトアーム)17、第2アーム(リフトアーム)18、第3アーム(コンプレッションアーム)19及びリフトシリンダ20を左右一組ずつ含んで構成されている。第1アーム17は、上端部がブラケット11に回動可能に連結されている。第2アーム18は、前端が第1アーム17に、後端が荷受台5に、それぞれ回動可能に連結されている。第3アーム19は、前端がブラケット11に、後端が荷受台5に、それぞれ回動可能に連結されている。リフトシリンダ20は単動シリンダであり、ロッド側が第1アーム17の下端部に、ボトム側が第2アーム18に、それぞれ回動可能に連結されている。第2アーム18及び第3アーム19はスライダ9に対して荷受台5を昇降可能に連結する平行リンクを形成し、この平行リンクがリフトシリンダ20の伸縮駆動に伴って上下に回動駆動することで荷受台5が水平姿勢を保って昇降する。
【0019】
2-3.荷受台
荷受台5は折り畳み式であり、リフトユニット7に支持された荷受台基端部21、荷受台基端部21にヒンジ22を介して連結された荷受台本体部23、及び荷受台本体部23にヒンジ24を介して連結された荷受台先端部25を含んで構成されている。ヒンジ22は、荷受台基端部21及び荷受台本体部23に対して両端がピン(不図示)を介して回動可能に連結されており、荷受台基端部21に対する荷受台本体部23の回動機構がヒンジ22を介する2軸の折り畳み構造になっている。同様に、ヒンジ24は荷受台本体部23及び荷受台先端部25に対してピン(不図示)を介して回動可能に連結されており、荷受台本体部23に対する荷受台先端部25の回動機構が、ヒンジ24を介する2軸の折り畳み構造になっている。荷受台先端部25及び荷受台本体部23は展開状態から上方に回動し、それぞれ荷受台本体部23及び荷受台基端部21の上側に折り重なる。この例では2箇所で折り畳まれる荷受台5を例示しているが、荷受台5は1箇所のみで折り畳まれる構成とする場合もある。
【0020】
3.パワーユニット
パワーユニット26は、スライドユニット6及びリフトユニット7、具体的にはスライドシリンダ14及びリフトシリンダ20を駆動するための油圧駆動装置を含んでおり、本実施形態ではスライドユニット6の右側部のブラケット11に設けられている。
【0021】
図4はパワーユニット26の一構成例を表す油圧回路図である。この図に示したパワーユニット26は、電動モータ28、油圧ポンプ29、上昇用制御弁32、下降用制御弁34、流量制御弁35、メインリリーフ弁36及びコンダクタリレー37を含んで構成されている。
【0022】
電動モータ28はバッテリ57(図6)で駆動される。油圧ポンプは電動モータ28によって駆動され、作動油タンク30から吸い込んだ作動油を吐出管路29aに吐出する。この吐出管路29aの最大圧はメインリリーフ弁36で規定される。
【0023】
上昇用制御弁32は、吐出管路29aとリフトシリンダ20のボトム側油室とを接続する供給管路31に設けられ、供給管路31を開通及び遮断する。下降用制御弁34は、供給管路31から分岐して作動油タンク30に接続する戻り管路33に設けられ、戻り管路33を開通及び遮断する。戻り管路33は供給管路31を介してリフトシリンダ20のボトム側油室に接続しており、作動油タンク30とリフトシリンダ20の油室とを接続する管路を供給管路31と共に構成する。
【0024】
また、上記供給管路31には、この戻り管路33の分岐部よりも上流側に位置するように逆止弁40aが設けられている。逆止弁40aは作動油が油圧ポンプ29側に流れることを防止している。流量制御弁35は、下降用制御弁34の下流側に設けられている。コンダクタリレー37は、電動モータ28とバッテリ57(図6)との間に介在するように設けられている。
【0025】
なお、上昇用制御弁32及び下降用制御弁34は、共にノーマルクローズタイプの電磁駆動式の開閉弁であり、制御装置45からの指令信号(電流)によってソレノイド32a,34aが励磁されると開き、消磁されると閉じる。また、下降用制御弁34の消磁状態のポジションである遮断位置には逆止弁が設けられており、消磁時には作動油タンク30に向かう作動油の流れを遮断する。上昇用制御弁32の消磁状態のポジションである遮断位置にも逆止弁が設けられており、消磁時にはリフトシリンダ20に向かう作動油の流れを遮断する一方で、リフトシリンダ20から排出される作動油の流通を許容する。上昇用制御弁32が遮断位置の場合、下降用制御弁34が遮断位置であれば戻り管路33が遮断されるので、下降用制御弁34及び逆止弁40aによりリフトシリンダ20の油室に保持圧が立ち、リフトシリンダ20の伸縮状態を確りと保持できる。
【0026】
また、パワーユニット26は、絞り弁39、逆止弁40b、引出用制御弁42及び引込用制御弁44を更に含んでいる。
【0027】
絞り弁39及び逆止弁40bは、油圧ポンプ29の吐出管路29aから分岐してスライドシリンダ14のロッド側油室に接続する供給管路38に設けられている。
【0028】
引出用制御弁42は、供給管路38から分岐してスライドシリンダ14のボトム側油室に接続する供給管路41に設けられ、供給管路41を開通及び遮断する。供給管路41は、供給管路38と共に、油圧ポンプ29とスライドシリンダ14の油室とを接続する管路を構成する。引込用制御弁44は、引出用制御弁42の下流側で供給管路41から分岐して作動油タンク30に接続した戻り管路43に設けられ、戻り管路43を開通及び遮断する。戻り管路43は供給管路41を介してスライドシリンダ14のボトム側油室に接続しており、作動油タンク30とスライドシリンダ14の油室とを接続する管路を供給管路41と共に構成する。
【0029】
なお、引出用制御弁42及び引込用制御弁44は、共にノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、制御装置45からの指令信号(電流)によってソレノイド42a,44aが励磁されると開き、消磁されると閉じる。また、引出用制御弁42の消磁状態のポジションである遮断位置には逆止弁が設けられており、消磁時にはスライドシリンダ14に向かう作動油の流れを遮断する。引込用制御弁44の消磁状態のポジションである遮断位置にも逆止弁が設けられており、消磁時には作動油タンク30に向かう作動油の流れを遮断する。
【0030】
本実施形態においては、メインリリーフ弁36よりも下流側で引出用制御弁42及び引込用制御弁44よりも上流側の位置において吐出管路29aからバイパス管路71が分岐し、戻り管路43に接続している。このバイパス管路71には、サブリリーフ弁73と切換弁72が設けてある。切換弁72はサブリリーフ弁73の上流側に設けているが、下流側に設けても良い。切換弁72の消磁状態のポジションである遮断位置には逆止弁が設けられており、消磁時には作動油タンク30に向かう作動油の流れを遮断する。切換弁72は制御装置45からの指令信号(電流)によってソレノイド72aが励磁されると開通位置(図中上側の位置)に切り換わり、バイパス管路71を開通する。反対に消磁されると切換弁72は遮断位置(図中下側の位置)に切り換わり、バイパス管路71を遮断する。サブリリーフ弁73のリリーフ圧(例えば6MPa程度)はメインリリーフ弁36のリリーフ圧(例えば20MPa程度)よりも低く設定してあり、バイパス管路71が開通すると吐出管路29aの最大圧がメインリリーフ弁36のリリーフ圧よりも低くなる。
【0031】
4.センサ
荷受台昇降装置4には、後端センサ15(図5図6)、格納センサ16(同)、ゲートセンサ56(図6)及び圧力センサ74(図4図6)が備わっている。
【0032】
圧力センサ74は、荷受台5の格納動作時にガイドレール8に荷受台5が押し付けられたことを検知するセンサであり、油圧ポンプ29の吐出管路29aに設けられている。リフトシリンダ20が伸長してガイドレール8に荷受台5が接触すると吐出管路29aの圧力が上昇することから、圧力センサ74の検出値に閾値(設定値)を設けておき、検出値が閾値を超えたらガイドレール8に荷受台5が接触したと判定することができる。特に図示していないが、ガイドレール8と荷受台5とはパッドを介して接触するようになっている。
【0033】
図5はスライダ9が引き出しストロークの後端位置の付近にある状態の荷受台昇降装置4の部分側面図である。この図に示したように、本実施形態では、スライダ9の前後方向の移動範囲(引き出しストローク)を規制する前後のストッパ(後側のストッパ75のみ図5に図示)がガイドレール8に設けられている。スライダ9の移動範囲の引き出し方向の端部はストッパ75で制限される。本実施形態において、上記の後端センサ15及び格納センサ16は、図5に例示したようにスライダ9に設けてある。
【0034】
後端センサ15は、荷受台5が後端位置(スライダ9がストッパ75に接触する位置)付近にあること、具体的にはストッパ75とスライダ9(ストッパ75との当接部76)の間隔が設定距離L(例えば50mm程度)以下であることを検知するセンサである。後端センサ15は、例えば近接スイッチであり、ガイドレール8に取り付けた後側ストライカ(不図示)に近接するとオンになり、後側ストライカから離れるとオフになる。後側ストライカは、例えばガイドレール8の後部に取り付けてある。後側ストライカの前端は、スライダ9が後端位置にあるときの後端センサ15の位置よりも設定距離Lだけ前側に位置している。設定距離Lは、例えば後端センサ15や後側ストライカの配置により設定でき、0mmに設定することも可能である。後側ストライカは、その前端から後方に延び、スライダ9が後端位置にあるときの後端センサ15の位置までカバーする。これにより、荷受台5が後端位置から設定距離L以内に位置していることが後端センサ15で検知される。
【0035】
格納センサ16は、荷受台5が前端位置(スライダ9が前側ストッパに接触する位置)付近にあること、具体的には前端位置から所定距離(例えば100mm程度)以内に荷受台5が位置することを検知するセンサである。格納センサ16は例えば近接スイッチであり、ガイドレール8に取り付けた前側ストライカ(不図示)に近接するとオンになり、前側ストライカから離れるとオフになる。前側ストライカは例えばガイドレール8の前部に取り付けてある。前側ストライカの後端の位置は、スライダ9が前端位置から所定距離にあるときの格納センサ16の位置に一致し、当然に後側ストライカの前端よりも前側である。前側ストライカは、その後端から前方に延び、スライダ9が前端位置にあるときの格納センサ16の位置までカバーする。これにより、荷受台5が前端位置から所定距離以内に位置することが格納センサ16で検知される。
【0036】
また、ゲートセンサ56(図6)は、荷受台5が折り畳まれた状態であることを検知するセンサである。このゲートセンサ56には、例えばヒンジ22の荷受台基端部21に対する角度を検出する角度センサを用いることができる。本実施形態で言う「荷受台5が折り畳まれた状態」は、荷受台基端部21の荷受面と、荷受台本体部23及び荷受台先端部25の荷受面とのなす角R(図3)が設定角度R1(0≦R1<90)以下に荷受台5の折り畳みが進行した状態をいう。ゲートセンサ56が検知する「荷受台5が折り畳まれた状態」は、荷受台基端部21、荷受台本体部23及び荷受台先端部25の各荷受面が上下に重なって平行になった状態(図2)には限定されない。但し、後述する引込に関する動作が円滑に行えるように設定角度R1は小さい方が好ましい。
【0037】
5.操作装置
図6は荷受台昇降装置4に備わった操作装置及び制御装置の模式図である。この図に示した例では、荷受台昇降装置4の操作装置として、有線式(例えばペンダント操作方式)の操作装置27と無線式の操作装置46(リモコン)が備わっている。これら操作装置27,46は、荷役作業時に、荷受台5の上げ操作及び下げ操作をしてリフトシリンダ20の動作を指示するための装置である。「上げ操作」とは、後述する上スイッチ47A又は48Aの操作であり、「下げ操作」とは、下スイッチ47B又は48Bの操作である。本願明細書では、上げ操作に伴って操作装置27又は46から出力される操作信号を「上げ操作信号」、下げ操作に伴って操作装置27又は46から出力される操作信号を「下げ操作信号」と記載する。
【0038】
操作装置27は、例えばスイッチボックスに収納されて左側のブラケット11に支持されている。この操作装置27は、押しボタン式の上スイッチ47A及び下スイッチ47Bを備えており、上スイッチ47A又は下スイッチ47Bの操作(上げ操作又は下げ操作)による操作信号(上げ操作信号又は下げ操作信号)を制御装置45にケーブルを介して出力する。上スイッチ47A及び下スイッチ47Bは、モーメンタリスイッチである。
【0039】
操作装置46は、押しボタン式の上スイッチ48A、下スイッチ48B、電源スイッチ48C、及び送信部49を含んで構成されている。電源スイッチ48Cにより電源が入っている状態で上げ操作又は下げ操作すると、それらスイッチのオンオフ状態のシリアルデータが生成され、シリアルデータが上げ操作信号又は下げ操作信号として送信部49から制御装置45に無線送信される。操作装置46は、運転室2や荷台3の内部等、任意の場所に保管しておくことができる。上スイッチ48A及び下スイッチ48Bも、モーメンタリスイッチである。
【0040】
なお、上スイッチ47A,48Aや下スイッチ47B,48Bは、荷受台5の荷役作業時の他、荷受台5を車枠1の下部に引き込んで格納したり車枠1の下から引き出したりする際にも用いられる。
【0041】
6.制御装置
制御装置45は、例えばパワーユニット26に設けられている。制御装置45は、荷受台昇降装置4のバッテリ(電源)57に電源スイッチ58を介して接続しており、電源スイッチ58によって制御装置45の電源のオンオフが切り換えられる。電源スイッチ58は、例えば車両の運転室2又はパワーユニット26に設置することができる。
【0042】
制御装置45は、入力部50、受信部(入力部)51、記憶部(メモリ)52、演算部(CPU)53、及び出力部54を含んで構成されている。入力部50には、後端センサ15、格納センサ16、ゲートセンサ56及び圧力センサ74からの出力、操作装置27からの操作信号が入力される。受信部51では、操作装置46からの無線操作信号が受信される。記憶部52には、荷受台昇降装置4のプログラムや制御閾値等の各種データが記憶されている。演算部53は、記憶部52に記憶されたプログラムに従った処理を実行し、操作信号やセンサの出力に基づいてリフトシリンダ20やスライドシリンダ14の伸縮動作を指令する指令信号を生成する。演算部53で生成された指令信号は、出力部54を介してパワーユニット26、具体的には各制御弁のソレノイド32a,34a,42a,44a,72aやコンダクタリレー37に適宜出力される。
【0043】
制御装置45は、上記構成により、操作装置27,46から入力される操作信号に応じてリフトシリンダ20及びスライドシリンダ14の動作指令をする。例えば、制御装置45は、原則として、上げ操作信号又は下げ操作信号に応じて、リフトシリンダ20の伸縮動作、つまり荷受台5の昇降動作を指令する。但し、例外的に、各センサのオンオフの所定の条件下で、制御装置45は、動作指令の対象をリフトシリンダ20からスライドシリンダ14に切り換え、上げ操作信号又は下げ操作信号に応じて荷受台5の引込動作又は引出動作を指令する。一例として、制御装置45は、ゲートセンサ56の出力を基に荷受台5の折り畳み状態が検知されていることを条件として、上げ操作信号に応じてスライドシリンダ14の収縮動作を指令し、荷受台5を車枠1の下に引き込む。
【0044】
7.動作
荷受台昇降装置4の動作を説明する。以下に説明する動作は、制御装置45が各制御弁のソレノイド32a,34a,42a,44a,72aやコンダクタリレー37に指令することで実行される。
【0045】
7-1.荷役動作
荷受台5の展開時(ゲートセンサ56がオフの場合)、上げ操作信号が入力されると、制御装置45からコンダクタリレー37及び上昇用制御弁32に指令信号が出力される。これによりコンダクタリレー37のコイル37a(図4)に通電され、ノーマルオープンの接点37bが閉じ、接点37bを介してバッテリ57から電動モータ28に給電されて油圧ポンプ29が駆動する。同時に、ソレノイド32aが励磁されて上昇用制御弁32が図4中左側の開通位置に切り換わる。消磁状態の下降用制御弁34は図4中下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの作動油が供給管路31を介しリフトシリンダ20に供給され、リフトシリンダ20が伸長して荷受台5が上昇する。
【0046】
また、下げ操作信号が入力されると、制御装置45から下降用制御弁34に指令信号が出力される。コンダクタリレー37のコイル37aは消磁されるので油圧ポンプ29は停止する。同時にソレノイド34aが励磁され、下降用制御弁34が図中上側の開通位置に切り換わり、リフトシリンダ20の油室が作動油タンク30に繋がって荷受台5が自重で下降する。
【0047】
7-2.展開動作
荷受台昇降装置4の展開動作とは、リフトシリンダ20及びスライドシリンダ14を対象としたシーケンス制御による動作であり、格納状態の荷受台5を車枠1の下から引き出して地面に下ろす動作をいう。この展開動作は、ゲートセンサ56がオンの条件下で、下げ操作により開始される。本実施形態の展開動作は、第1引出動作、第1下降動作、第2引出動作、第2下降動作を含み、図1に矢印で示したように、ステップ状に荷受台5を移動させる。第1引出動作では、格納位置から格納センサ16がオフになる位置まで荷受台5が後方に引き出される。第1引出動作の後、第1下降動作では、ゲートセンサ56がオフになる高さまで荷受台5が下降する。第1下降動作の後、第2引出動作では、後端センサ15がオンになる位置まで荷受台5が引き出される。第2下降動作の後、最後の第2下降動作では、更に荷受台5が下降して接地する。
【0048】
7-3.格納動作
荷受台昇降装置4の格納動作とは、リフトシリンダ20及びスライドシリンダ14を対象とした制御装置45によるシーケンス制御による動作であり、荷受台5を車枠1の下に引き込んで格納する動作をいう。本実施形態の格納動作は、第1上昇動作、第1引込動作、第2上昇動作、第2引込動作を含み、展開動作と同じようにステップ状に荷受台5を移動させる。この格納動作は、上げ操作の間、つまり上スイッチ48Aを押している間に実行されるが、荷受台5を折り畳んでガイドローラ12に立て掛ける準備作業を事前に行っておき、荷受台5が上昇する過程でゲートセンサ56がオンになるようにしておく必要がある。第1上昇動作では、地面からゲートセンサ56がオンになる位置まで荷受台5が上昇する。第1上昇動作の後、第1引込動作では、格納センサ16がオンになる位置まで荷受台5が前方に引き込まれる。第1引込動作の後、第2上昇動作では、圧力センサ74がオンになるまで荷受台5が上昇する。第2上昇動作の後、第2引込動作では、荷受台5が更に前進して前端位置に到達する。
【0049】
なお、上記の準備作業は、本実施形態においては作業者自らが荷受台5を手で直接持ち上げて行うようになっているが、油圧シリンダ等を用いて機械的に行われる構成としても良い。
【0050】
8.荷受台の引込開始動作
図7は制御装置45による荷受台の引込開始動作の制御手順を表すフローチャートである。同図のフローは所定のサイクルタイム(例えば0.1s)で繰り返し実行される。同図に示した手順は、格納動作における第1上昇動作から第1引込動作に切り換わる間のプログラムに当たる。
【0051】
まず、制御装置45は、上げ操作信号の入力の有無で上げ操作がされているかを判定し(ステップS11)、上げ操作がされていなければ現在のサイクルを終了し、手順を戻して上げ操作がされているかの判定(ステップS11)を繰り返す。上げ操作がされていれば、制御装置45は、ステップS11からステップS12に手順を移す。
【0052】
上げ操作信号の入力中、制御装置45は、ゲートセンサ56がオフであるか、また後端センサ15がオンであるかを判定する(ステップS12,S13)。ゲートセンサ56がオンであれば、制御装置45は、現在のサイクルを終了してステップS11に手順を戻す。ゲートセンサ56がオフであれば、制御装置45は、後端センサ15がオンであるかを判定し、後端センサ15がオンであれば荷受台5の上昇を指令する(ステップS14)。仮に後端センサ15がオフであれば、制御装置45は、現在のサイクルを終了してステップS11に手順を戻すが、荷役作業直後の場面では後端センサ15はオンであり、ステップS13の判定は満たされる前提である。
【0053】
また、ステップS12の条件判定は、前述した準備作業をした上で格納動作を行っていれば、上げ操作開始の時点では荷受台5が折り畳み状態に移行していないため満たされる。ステップS12の判定が満たされない場面としては、例えば荷物等を荷受台5から荷台3に積み込んだ後、そのまま荷台3の床面付近で荷受台5を折り畳み、必要に応じて荷受台5を下げて高さを調節してから格納動作を意図して上げ操作をする場合が想定される。この場合、上げ操作による荷受台5の引込動作は実行されないが、下げ操作による下降動作は可能である。
【0054】
荷受台5の上昇を指令したら、制御装置45は、ゲートセンサ56がオンになったかを判定する(ステップS15)。荷受台5が折り畳み状態に移行しておらずゲートセンサ56が依然としてオフであれば、制御装置45は、現在のサイクルを終了してステップS11に手順を戻し、ステップS11-S15の手順を繰り返し実行する。この上昇動作の間、上げ操作を中断すれば、ステップS11の判定が不満足となって荷受台5の上昇動作が停止し、上げ操作を再開すれば再びステップS11-S13の判定が満たされて荷受台5が上昇する。
【0055】
上昇動作の繰り返しに伴って荷受台5が折り畳み状態に移行しゲートセンサ56がオンになったら、制御装置45は、上昇指令を停止して荷受台5の引込動作を指令する(ステップS16)。荷受台5の引込動作を指令したら、制御装置45は、後端センサ15がオフになったかを判定する(ステップS17)。荷受台5が後端位置から設定距離L以内の距離にあって後端センサ15がオンのままであれば、制御装置45は、ステップS11に手順を戻すことなく、ステップS16に手順を戻して荷受台5の引込動作の指令を継続する。その結果、上げ操作信号の入力の有無に関係なく(上げ操作を中断しても)、ゲートセンサ56がオンになってから後端センサ15がオフになるまでの間、荷受台5の引込動作が継続する。荷受台5が後端位置から設定距離Lを超えて前進し後端センサ15がオフになったら、制御装置45は、図7の手順を終了し、操作に応じて例えば第1引込動作の制御を実行する。
【0056】
以上のように、制御装置45は、上げ操作信号の入力開始時点でゲートセンサ56の出力を基に荷受台5が折り畳み状態であると判定した場合、上げ操作信号に基づく荷受台5の後端位置からの引込動作を不能とする(ステップS11,S12)。
【0057】
また、上げ操作信号の入力中にゲートセンサ56の出力を基に荷受台5が折り畳み状態に姿勢変化したと判定した場合、制御装置45は、後端センサ15の出力を基にストッパ75とスライダ9の間隔が設定距離Lを超えるまで荷受台5を前進させる。この荷受台5の折り畳み状態を検知してからの荷受台5の引込動作は、その間に上げ操作信号の入力が途絶えても後端センサ15がオフになるまで強制的に継続される。
【0058】
9.効果
(1)従来、後端センサ及びゲートセンサがオンの条件が満たされた状態であれば、上げ操作信号が入力に伴って荷受台の引込動作が実行されていた。この場合、例えば荷受台を荷台の床面付近で折り畳み格納を意図して上げ操作をしても、後端センサ及びゲートセンサがオンの条件が満たされていれば荷受台が前進する。しかし、これは前述した格納動作のシーケンスに則った動作ではない。後端位置から荷受台を引き込む高さには精度が要求され、上昇過程でゲートセンサがオンになる高さは厳格に調整されている。所定の高さよりも高位置で荷受台が車枠の下に引き込まれると荷受台と周辺構造物とが干渉するためである。
【0059】
それに対し、本実施形態では、荷受台5が後端位置にある場合、上げ操作信号が入力された時点でゲートセンサ56が既にオンであれば、荷受台5の引込動作は実行されない。後端位置からの荷受台5の引き込み動作は、上昇動作中にゲートセンサ56がオンになった瞬間にのみ許容される。このようなインタロックにより、荷受台5を格納する際の荷受台と周辺構造物との干渉を抑制することができる。
【0060】
なお、仮にゲートセンサ56の出力をオンオフでなく数値とすれば、その数値が所定値である場合に上げ操作により荷受台5の引込動作がされるシーケンスを構築することができる。この場合、荷受台5を地面から上昇させても、荷台3の床面付近から下降させても、荷受台5を所定の高さで車枠1の下部に引き込むことができる。しかし、ゲートセンサ56にはヒステリシスがあるため、下降時に検出される所定高さは、上昇時に検出される所定高さと異なり得る。下降時に所定高さを検出するセンサを上昇時に所定高さを検出するセンサと別に設ければ、ヒステリシスの問題は避けられるが不経済である。これらの観点では、荷受台5を引き込む高さの精度を厳格に管理する上で、ゲートセンサ56による状態検知に関する荷受台5の動作方向を一方向に制限することが望ましい。この点において、本実施形態のように上昇動作時にゲートセンサ56がオンになった場合にのみ後端位置から荷受台5が引き込まれる構成とすることは合理的である。
【0061】
(2)上記の通り、本実施形態によれば、後端位置から荷受台5を引き込む動作にインタロックをかけることで、格納動作時の荷受台5と周辺構造物との干渉を抑制することができる。但し、操作装置27,46のスイッチはモーメンタリスイッチであり、荷受台5が動作するのは原則的に上スイッチ又は下スイッチを押している間のみである。そのため、正規の手順で地面から格納動作を開始しても、例えばゲートセンサ56がオンになった瞬間に上げ操作を中断した場合、後端センサ15がオンのままであれば、上げ操作の再開時にインタロックが働いて格納動作が偶発的に不能となる。上記設定距離Lは短くゲートセンサ56がオンになってから後端センサ15がオフになるまでは極短時間であり、この短時間に上げ操作信号の入力停止が重なる確率は低い。しかし、偶発的にこのような状況が発生すると、格納動作を再開するために一旦下げ操作をしてゲートセンサ56をオフにする一手間が加わり得る。
【0062】
そこで、本実施形態では、ゲートセンサ56がオンになった場合、上げ操作信号の有無の判定(ステップS11)を中断し、上げ操作の有無に関係なく後端センサ15がオフになるまで格納動作が継続して実行される。これにより、仮にゲートセンサ56がオンになってから後端センサ15がオフになるまでの間に上げ操作信号が途絶えても、下げ操作を挟むことなく再び上げ操作をすれば格納動作を再開させることができる。
【0063】
10.変形例
なお、第1上昇動作、第1引込動作、第2上昇動作、第2引込動作という手順を含む格納動作を例に挙げて説明したが、上げ操作の開始時点でゲートセンサ56が既にオンである場合に荷受台5が後端位置から引き込まれないようにすることが発明の本質である。従って、後端センサ15がオフになるまで引き込まれて以降の格納動作時の荷受台5の軌道については特に限定されない。例えば、単純に後端位置から一直線に前端位置まで荷受台5を引き込んで格納動作を終えるようにしても良いし、荷受台5が後端位置から前端位置に至るまでに介在する上昇動作の数を増やしても良い。
【0064】
本実施形態では、荷受台昇降装置には、車枠の下に荷受台を格納する格納姿勢の他、荷受台を荷台の後部に起立させた格納姿勢を選択することができるものも存在する。本実施形態は、このような複数の格納姿勢を採用する種の荷受台昇降装置であっても、荷受台を車枠の下から引き出す際に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、荷受台5が車枠1の後方に引き出される荷受台昇降装置を適用対象として説明したが、車枠1の側方(例えば左側)に荷受台5が引き出されるものにも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1…車枠、4…荷受台昇降装置、5…荷受台、8…ガイドレール、9…スライダ、15…後端センサ(第2センサ)、14…スライドシリンダ、17…第1アーム(アーム)、18…第2アーム(アーム)、19…第3アーム(アーム)、20…リフトシリンダ、27…操作装置、45…制御装置、46…操作装置、56…ゲートセンサ(第1センサ)、75…ストッパ、L…設定距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7