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  • 特開-次亜塩素酸水生成装置 図1
  • 特開-次亜塩素酸水生成装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094077
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】次亜塩素酸水生成装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20060101AFI20220617BHJP
   C02F 1/50 20060101ALI20220617BHJP
   C02F 1/76 20060101ALI20220617BHJP
   C01B 11/04 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
C02F1/461 A
C02F1/50 531M
C02F1/50 540B
C02F1/50 550D
C02F1/50 550L
C02F1/50 560F
C02F1/76 A
C01B11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206892
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】石渡 幸則
【テーマコード(参考)】
4D050
4D061
【Fターム(参考)】
4D050AA01
4D050AA12
4D050AB06
4D050BB04
4D050BD04
4D050BD06
4D050CA10
4D061DA03
4D061DB07
4D061DB08
4D061EA02
4D061EB01
4D061EB04
4D061EB11
4D061EB12
4D061EB19
4D061EB37
4D061EB39
4D061ED13
4D061GA02
4D061GA12
4D061GA14
4D061GC12
4D061GC14
4D061GC20
(57)【要約】
【課題】電解水生成装置により生成される電解水に含まれる次亜塩素酸の濃度よりも高い次亜塩素酸が含まれる次亜塩素酸水生成装置を提供する。
【解決手段】次亜塩素酸水生成装置10は、塩化ナトリウムを電解質として含む被電解水を電気分解して次亜塩素酸を含む酸性電解水を生成する電解水生成装置20と、電解水生成装置20により生成された酸性電解水を送出する電解水送出管27と、電解水送出管27内に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給して、電解水送出管27内で次亜塩素酸ナトリウムを酸性電解水に含まれる塩酸と反応させて次亜塩素酸を生成させるための次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40とを備え、電解水送出管27内で酸性電解水に含まれる次亜塩素酸と、次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸とが含まれる次亜塩素酸水を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極に電圧を印加することで塩化ナトリウムを電解質として含む被電解水を電気分解して次亜塩素酸を含む酸性電解水を生成する電解水生成装置と、
前記電解水生成装置により生成された酸性電解水を送出する電解水送出管と、
前記電解水送出管内に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給して、前記電解水送出管内で次亜塩素酸ナトリウムを前記酸性電解水に含まれる塩酸と反応させて次亜塩素酸を生成させるための次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部とを備え、
前記酸性電解水に含まれる次亜塩素酸と、前記次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸とが含まれる次亜塩素酸水を前記電解水送出管内で生成する次亜塩素酸水生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の次亜塩素酸水生成装置において、
生成された次亜塩素酸水はpH2.5~8.5で有効塩素濃度が80~160ppmの性質を有した次亜塩素酸水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成装置に関し、特に、電解水生成装置により生成される酸性電解水よりも次亜塩素酸が多く含まれる次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には電解水生成装置の発明が開示されている。この電解水生成装置は、塩化ナトリウムを電解質として電気分解して酸性の電解水とアルカリ性の電解水を生成するものである。電解水生成装置は、一対の電極を配設した有隔膜の電解槽と、水道等の給水源から電解槽に原水を供給する原水供給管と、電解槽に供給される原水に塩化ナトリウム水溶液を貯えた塩水タンクから電解質水溶液を供給する電解質水溶液供給管と、電解質水溶液供給管に介装されて電解質水溶液を送り出す送出ポンプと、電解槽にて生成された電解水を注出する注出管と、一対の電極の間に直流電圧を印加する電源装置とを備えている。
【0003】
この電解水生成装置においては、電解槽の陽極室では塩化ナトリウムの塩素イオンが陽極の電極と接触して電荷を失い、電解槽の陰極室では塩化ナトリウムのナトリウムイオンが陰極の電極と接触して電荷を失う。陽極の電極と接触して電荷を失った塩素の一部は水と反応して次亜塩素酸または次亜塩素酸イオンとなり、塩素の残る一部は塩素ガスまたは塩酸となり、電解槽の陽極室で生成される電解水は酸性となる。このように、電解槽の陽極室で生成された電解水は次亜塩素酸を含む酸性の電解水となる。陰極の電極と接触して電荷を失ったナトリウムは陰極室の水と反応して水酸化ナトリウムと遊離水素となり、電解槽の陰極室で生成される電解水はアルカリ性となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-167600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電解水生成装置においては、電解槽の陽極室では次亜塩素酸を含む酸性の電解水が生成されており、生成された次亜塩素酸を含む酸性の電解水は殺菌効果を有していることが知られている。しかし、電解水生成装置で生成される酸性の電解水は特定のウイルスや細菌等の殺菌を目的としたときの有効塩素濃度の要件を満たさないことがある。本発明は、電解水生成装置により生成される電解水に含まれる次亜塩素酸の濃度よりも高い次亜塩素酸が含まれる次亜塩素酸水生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、一対の電極に電圧を印加することで塩化ナトリウムを電解質として含む被電解水を電気分解して次亜塩素酸を含む酸性電解水を生成する電解水生成装置と、電解水生成装置により生成された酸性電解水を送出する電解水送出管と、電解水送出管内に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給して、電解水送出管内で次亜塩素酸ナトリウムを酸性電解水に含まれる塩酸と反応させて次亜塩素酸を生成させるための次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部とを備え、酸性電解水に含まれる次亜塩素酸と、次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸とが含まれる次亜塩素酸水を電解水送出管内で生成する次亜塩素酸水生成装置を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した次亜塩素酸水生成装置においては、電解水送出管内に次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部から次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給したときに、次亜塩素酸ナトリウムは電解水送出管内で酸性電解水に含まれる塩酸と反応して次亜塩素酸が生成され、電解水送出管内の酸性電解水は電気分解の際に生成された次亜塩素酸と、次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸とが含まれる次亜塩素酸水となる。この次亜塩素酸水生成装置で生成される次亜塩素酸水は、電解水生成装置で生成される酸性電解水に含まれる次亜塩素酸と、次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸とが含まれているので、電解水生成装置で生成される酸性電解水よりも次亜塩素酸が多く含まれることにより有効塩素濃度を高くすることができる。
【0008】
上記のように構成した次亜塩素酸水生成装置においては、生成された次亜塩素酸水はpH2.5~8.5で有効塩素濃度が80~160ppmの性質を有するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の次亜塩素酸水生成装置の概略図である。
図2】制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の次亜塩素酸水生成装置の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本実施形態の次亜塩素酸水生成装置10は、ケーシング11内に電解水を生成する電解水生成装置20と、電解水生成装置20で生成された酸性電解水を送出する第1電解水送出管27内に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給して、第1電解水送出管27内で次亜塩素酸ナトリウムを酸性電解水に含まれる塩酸と反応させて次亜塩素酸を生成させるための次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40とを備えている。この次亜塩素酸水生成装置10は、電解水生成装置20にて生成された酸性電解水に含まれる次亜塩素酸と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40から供給される次亜塩素酸ナトリウム水溶液に含まれる次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸とが含まれる次亜塩素酸水を第1電解水送出管27内で生成するものである。以下に、この次亜塩素酸水生成装置10について詳述する。
【0011】
電解水生成装置20は、被電解水を電気分解するための電解槽21を備え、電解槽21は被電解水を電気分解して酸性の電解水(酸性電解水)とアルカリ性の電解水を生成するものである。電解槽21内には被電解水に含まれる電解質イオンが通過可能な隔膜22が配設されており、電解槽21内は隔膜22によって陽極側と陰極側とからなる2つの電解室21a,21bに仕切られている。電解槽21の各電解室21a,21bには電極23,24が配設されており、各電解室21a,21b内に供給される被電解水は一対の電極23,24に直流電圧を印可することにより電気分解される。
【0012】
電解槽21には被電解水を構成する原水を供給する原水供給管25が接続されており、原水供給管25には原水に電解質水溶液として塩化ナトリウム水溶液(食塩水)を供給する電解質水溶液供給管26が接続されている。原水供給管25は主として管部材により構成されており、原水供給管25の導入端部は水道等の給水源に接続されている。原水供給管25の導出部は2つに分岐する分岐部25a,25bを備えており、分岐部25a,25bは電解槽21の陽極側及び陰極側の電解室21a,21bに接続されている。
【0013】
原水供給管25には減圧弁25cが介装されており、水道等の給水源から送出される原水は減圧弁25cによって所定の圧力以下に減圧される。原水供給管25には減圧弁25cより下流側に通水弁25dが介装されており、水道等の給水源から送出される原水は通水弁25dの開放によって原水供給管25を通って電解槽21に送られる。原水供給管路25には通水弁25dより下流側に流量センサ25eが介装されており、流量センサ25eは原水供給管25を通る原水の流量を検出している。
【0014】
電解質水溶液供給管26は原水供給管25を通過する原水に電解質水溶液を供給するものであり、原水供給管25を通る原水は電解質水溶液供給管26から電解質水溶液が供給されて被電解水となって電解槽21に送られる。電解質水溶液供給管26の導入端部は塩化ナトリウムを電解質の成分とした電解室水溶液を貯える電解質水溶液タンク26aに接続され、電解質水溶液タンク26a内の電解質水溶液は電解質水溶液供給管26を通って原水供給管25を通る原水に送られる。電解質水溶液供給管26には送出ポンプ26bが介装されており、電解質水溶液タンク26a内の電解質水溶液は送出ポンプ26bの作動によって原水供給管25を通る原水に送られる。
【0015】
電解槽21の陽極側及び陰極側の電解室21a,21bには第1及び第2電解水送出管27,28が接続されており、第1電解水送出管27は陽極側の電解室21aから酸性電解水を送出し、第2電解水送出管28は陰極側の電解室21bからアルカリ性電解水を送出する。第1電解水送出管27には後述する次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40が介装されており、陽極側の電解室21aで生成された酸性電解水に次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40から次亜塩素酸ナトリウムが供給されている。なお、この実施形態では、陰極側の電解室21bで生成されたアルカリ性電解水は第2電解水送出管28を通って外側に排出されている。
【0016】
電極23,24には電源装置30が接続されており、電源装置30は電解槽21内の電極23,24の間に直流電圧を印加して、電解槽21内の被電解水を電気分解するものである。電源装置30と電極23との間には電流計31が接続されており、電流計31は電源装置30から電極23を接続する配線を流れる電流を計測することで、電解槽21を流れる電解電流を計測するものである。電極23,24の間には電圧計32が接続されており、電圧計32は電極23,24に印加される電圧を計測することで、電解槽21の電解電圧を計測するものである。
【0017】
次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40は、第1電解水送出管27内に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給して、第1電解水送出管27内で次亜塩素酸ナトリウムを酸性電解水に含まれる塩酸と反応させて次亜塩素酸を生成させるためのものである。次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を貯える次亜塩素酸ナトリウム水溶液タンク41と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液タンク41と第1電解水送出管27とを接続する送液管42と、送液管42に介装されて次亜塩素酸ナトリウム水溶液タンク41内の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を送り出す送液ポンプ43とを備えている。
【0018】
次亜塩素酸ナトリウム水溶液タンク41内には6%の濃度でpH12の次亜塩素酸ナトリウム水溶液が貯えられている。送液ポンプ43はこの実施形態ではチューブポンプが採用されており、モータによって回転する回転部に設けた複数のローラーによって送液管42を押しつぶしながら送液するものである。この送液ポンプ43はモータの回転数を変えることにより送液管42により送出する次亜塩素酸ナトリウム水溶液の送液流量を変更可能としている。なお、この実施形態では送液ポンプ43にチューブポンプを採用したが、例えばダイアフラム式のパルスポンプ等の他の形式のポンプを用いてもよい。さらに、送液ポンプ43を用いずに、第1電解水送出管27を流れる酸性電解水が流れる水流によって次亜塩素酸ナトリウム水溶液タンク41内の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を負圧吸引したものであってもよい。
【0019】
次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40には送液ポンプ43による送液流量を選択する2つのスイッチ44,45がケーシング46に設けられており、第1スイッチ44は送液流量が少なく設定され、第2スイッチ45は送液流量が多く設定されている。第1スイッチ44または第2スイッチ45を選択することで、送液管42から第1電解水送出管27に送出される次亜塩素酸ナトリウム水溶液の流量を変えることができ、第1電解水送出管27内で次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸の生成量を変えることができる。
【0020】
この次亜塩素酸水生成装置10は制御装置50を備えており、制御装置50は、通水弁25d、流量センサ25e、送出ポンプ26b、電源装置30、電流計31、電圧計32及び送液ポンプ43に接続されている。制御装置50は、マイクロコンピュータ(図示省略)を備えており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(何れも図示省略)を備えている。
【0021】
制御装置50は、次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成プログラムを備えており、ケーシング11に設けた注出スイッチ等のオン操作による操作信号の入力によって次亜塩素酸水生成プログラムが実行される。制御装置50は、次亜塩素酸水生成プログラムを実行したときには、電解水生成装置20を制御して電解水を生成させ、電解水生成装置20で生成した酸性電解水に第1電解水送出管27内で次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40により次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給するように制御して、酸性電解水に含まれる次亜塩素酸と次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸とが含まれる次亜塩素酸水を第1電解水送出管27内で生成する。
【0022】
具体的には、制御装置50は、次亜塩素酸水生成プログラムを実行したときに、電解水生成装置20では、通水弁25dを1回の注出量に応じた所定時間で開放させるとともに、流量センサ25eの検出流量、電流計31による計測電流及び電圧計32による計測電圧に応じて電源装置30と送出ポンプ26bとを作動させる。給水源の原水は通水弁25dの開放によって原水供給管25を通って電解槽21に流れるとともに、原水供給管25を流れる原水には送出ポンプ26bの作動によって電解質水溶液タンク26a内の電解質水溶液が加えられ、電解槽21の各電解室21a,21bには電解質を含む被電解水が送られる。
【0023】
電解槽21の各電解室21a,21bに送られた被電解水は電源装置30から電極23,24の間を流れる直流電流により電気分解される。陽極側の電解室21aでは塩化ナトリウムの塩素イオンが陽極の電極23と接触して電荷を失い、陽極の電極23と接触して電荷を失った塩素の一部は水と反応して次亜塩素酸または次亜塩素酸イオンとなり、塩素の残る一部は塩素ガスまたは塩酸となり、電解槽21の陽極側の電解室21aでは次亜塩素酸を含む酸性の電解水が生成される。陰極側の電解室21bでは塩化ナトリウムのナトリウムイオンが陰極の電極24と接触して電荷を失い、陰極の電極24と接触して電荷を失ったナトリウムは水と反応して水酸化ナトリウムと遊離水素となり、電解槽21の陰極側の電解室21bではアルカリ性の電解水が生成される。電解槽21の各電解室21a,21bで生成された酸性電解水及びアルカリ性電解水は各々の第1及び第2電解水送出管27,28から外側に送出される。
【0024】
電解槽21の陽極側の電解室21aで生成された酸性電解水には塩酸と次亜塩素酸が含まれており、電解室21aで生成された塩酸と次亜塩素酸を含む酸性電解水は第1電解水送出管27に送られる。制御装置50は、上述したように酸性電解水を生成するように電解水生成装置20を制御するとともに、第1電解水送出管27内で電解水生成装置20で生成した酸性電解水に次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40により次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給するように制御している。次亜塩素酸ナトリウム水溶液タンク41内の次亜塩素酸ナトリウム水溶液は送液ポンプ43の作動によって送液管42から第1電解水送出管27に送られ、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は第1電解水送出管27を流れる酸性電解水の水流によって酸性電解水と混合される。
【0025】
次亜塩素酸ナトリウムは第1電解水送出管27内で酸性電解水に含まれる塩酸と反応して次亜塩素酸と塩化ナトリウムとなり、酸性電解水に含まれる次亜塩素酸と、次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸とが含まれる次亜塩素酸水が第1電解水送出管27で生成される。第1電解水送出管27で生成される次亜塩素酸水は、電気分解によって生成された次亜塩素酸と、次亜塩素酸ナトリウムから生成された次亜塩素酸とを含むので、電解水生成装置20で生成された酸性電解水よりも多く次亜塩素酸を含み、電解水生成装置20で生成された酸性電解水の有効塩素濃度より高くなっている。また、第1電解水送出管27内で生成される次亜塩素酸水は、電解水生成装置20で生成された酸性電解水に含まれる塩酸が次亜塩素酸ナトリウムと反応して次亜塩素酸と塩化ナトリウムが生成されているので、電解水生成装置20で生成された酸性電解水よりもpHが高くなっている。
【0026】
この実施形態では、電解水生成装置20の陽極側の電解室21aで生成された酸性電解水は次亜塩素酸を含み、pH2~5、有効塩素濃度20~60ppmの性質となっている。この電解水生成装置20により生成された酸性電解水を用いて第1電解水送出管27で生成された次亜塩素酸水は、pH2.5~8.5、有効塩素濃度が80~120ppmの性質となる。さらに、電解水生成装置20の電解条件を必要に応じて変更するとともに、次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40からの次亜塩素酸ナトリウム水溶液の送液流量を制御することで、第1電解水送出管27で生成された次亜塩素酸水は、pH6~8、有効塩素濃度が80~100ppmの性質とすることもできる。また、上記の実施形態では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40は、第1スイッチ44を選択したときの送液流量で次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給したに生成される次亜塩素酸の性質であるが、第2スイッチ45を選択したときの送液流量で次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給したときには第1スイッチ44を選択したときよりも生成される次亜塩素酸のpHを高く、有効塩素濃度を高くすることができる。
【0027】
上記のように構成した次亜塩素酸水生成装置10においては、第1電解水送出管27内に次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部40から次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給したときに、次亜塩素酸ナトリウムは第1電解水送出管27内で酸性電解水に含まれる塩酸と反応して次亜塩素酸が生成され、第1電解水送出管27内の酸性電解水は電気分解の際に生成された次亜塩素酸と、次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸とが含まれる次亜塩素酸水となる。この次亜塩素酸水生成装置10で生成される次亜塩素酸水は、電解水生成装置20で生成される酸性電解水に含まれる次亜塩素酸と、次亜塩素酸ナトリウムから生成される次亜塩素酸とが含まれているので、電解水生成装置20で生成される酸性電解水よりも次亜塩素酸が多く含まれることにより有効塩素濃度を高くすることができる。これにより、次亜塩素酸水生成装置10で様々なウイルスや細菌等の殺菌に効果を有する次亜塩素酸水を生成することができるようになる。
【0028】
上記の実施形態の次亜塩素酸水生成装置10に用いられる電解水生成装置20は、電解槽21が隔膜22によって陽極側と陰極側の電解室21a,21bに仕切られた有隔膜の電解槽が採用され、陽極側の電解室21aで酸性電解水を生成するものであるが、本発明はこれに限られるものでなく、隔膜を有しない電解槽内で被電解水を電気分解して酸性電解水を生成するものであってもよい(無隔膜の電解水生成装置)。この場合に、塩化ナトリウム水溶液(食塩水)よりなる電解質水溶液を原水に加えた被電解水を電解槽内に供給するようにしたものであってもよいし、塩酸を混ぜた塩化ナトリウム水溶液よりなる電解質水溶液を原水に加えた被電解水を電解槽内に供給するようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
10…次亜塩素酸水生成装置、20…電解水生成装置、23,24…電極、27…電解水送出管(第1電解水送出管)、40…次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給部。
図1
図2