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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009410
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】卵管診断のためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20220106BHJP
   A61B 10/04 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61B10/02 500
A61B10/02 300A
A61B10/04
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173127
(22)【出願日】2021-10-22
(62)【分割の表示】P 2018563768の分割
【原出願日】2017-02-27
(31)【優先権主張番号】15/053,568
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】チン アルバート
(72)【発明者】
【氏名】サルナ スルビ
(72)【発明者】
【氏名】スノー デイヴィッド ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】マガナ ジーザス
(57)【要約】
【課題】低侵襲的な方法で卵管を診断するデバイスを提供する。
【解決手段】卵管診断のためのカテーテルは、遠位端部を有し且つ卵管(1)に対して位置決め可能なチューブ(10)と、近位端部と遠位端部を有するバルーン(12,14)を有する。バルーンは、バルーンの近位端部のところでチューブの遠位端部に結合され、且つ、折返された第1の位置と折返しを戻した第2の位置との間を移動可能であり、それにより、バルーンは、卵管の中で折返しを戻した第2の位置に伸長可能である。カテーテルは、更に、バルーンに取付けられたプッシュワイヤ(206)と、加圧時に制御された仕方でバルーンの折返しを戻すためにプッシュワイヤの前進を制御するアクチュエータ(220)を有する。
【選択図】図26A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵管診断のためのカテーテルであって、
遠位端部を有し且つ卵管に対して位置決め可能なチューブと、
近位端部と遠位端部を有するバルーンと、を有し、前記バルーンは、前記バルーンの近位端部のところで前記チューブの遠位端部に結合され、且つ、折返された第1の位置と折返しを戻した第2の位置との間を移動可能であり、それにより、前記バルーンは、卵管の中で折返しを戻した第2の位置に伸長可能であり、
更に、前記バルーンに取付けられたプッシュワイヤと、
加圧時に制御された仕方で前記バルーンの折返しを戻すために前記プッシュワイヤの前進を制御するアクチュエータと、を有するカテーテル。
【請求項2】
更に、前記バルーンと選択的に連通する加圧流体源を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
更に、子宮鏡を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
更に、前記アクチュエータのギアと機械連結された駆動ホイールを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記駆動ホイールは、前記アクチュエータの第1のギアの中に挿入されたボスを含み、前記第1のギアは、アイドルギアと第2のギアを駆動し、前記アイドルギアは、第4のギアを駆動する第3のギアを駆動する、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第1のギア、前記第2のギア、前記第3のギア、及び前記第4のギアの少なくとも1つは、前記プッシュワイヤを作動させるゴム伝達面を有し、前記プッシュワイヤは、前記第1のギアと前記第2のギアの間に位置決めされ、且つ、前記第3のギアと前記第4のギアの間に位置決めされる、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
更に、ハンドルを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記バルーンをしぼませたとき、一連の皺が、前記バルーンの表面に形成され、細胞を収集するための複数の縁部を生じさせる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
更に、前記チューブと同軸であるシースを有し、前記シースは、前記遠位端部から外方に延び且つ折返された前記バルーンの第1の長さ部を覆う、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
更に、前記遠位端部から外方に延び且つ折返された前記バルーンの第1の長さ部によって封入された薄肉チューブを有し、前記薄肉チューブは、前記第1の長さ部を支持して真直ぐにする、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
更に、前記バルーンの正方向の折返しの戻りを測定するフィードバック機構を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記フィードバック機構は、視覚マーカーを前記バルーン上に含み、前記マーカーは、前記バルーンに沿って、予め定められたピッチで離間し、又は、色が異なる、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
更に、折返しを戻した位置にある前記バルーンの外面上の結び目のある糸又は縫い目のうちの少なくとも1つを有し、前記縫い目は、接触している細胞を収集するように構成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記結び目又は縫い目は、放射線不透過性である、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
更に、折返しを戻した位置にある前記バルーンの遠位端部上の小直径のリードバルーン先端部を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項16】
更に、患者の狭窄部分への進入のために、前記カテーテルの前方部分を滑らかにするフルオロポリマー又はシリコーンのコーティングを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年2月25日出願の米国出願第15/053,568号の優先権の利益を主張し、この出願の内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、卵管診断に関し、詳細には、卵管内のナビゲーションと関連した解剖学的困難性に対応するカテーテル及び診断収集デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
卵巣癌は、女性の重大な病気であり、米国の女性の72人に1人が、生涯の間に卵巣癌と診断される。2012年には、米国で22,280人の女性がこの病気と診断されて、15,500人の女性がこの悪性腫瘍で亡くなった。卵巣癌は、このタイプの癌が何らかの明白な早期検出又はスクリーニング検査が不十分なため、非常に致死的であり、卵巣癌のほとんどのケースは、これらが進行段階に達するまで診断されないことを意味する。従って、卵巣癌スクリーニングは、この病気が一般に最も治癒可能な初期段階において検出できないので、高い臨床的関心事である。
【0004】
現在、卵巣癌の確定的検出は、診断のための細胞サンプルを得るための外科的処置を必要とする。卵巣は腹腔内にあるので、評価のために卵巣にアクセスするためには、腹腔鏡手術下又は直視下手術(開腹手術)を行う必要がある。さらに、卵巣の生検は、癌をさらに広めるリスクがあるので、診療ガイドラインでは一般に推奨されない。
【0005】
解剖学的に、卵巣は、卵管の遠位開口の領域にある卵管采に近接している。卵巣から放出される卵子は、卵管采によって集められて卵管を通って子宮に輸送される。卵巣癌では、細胞は卵管に沈着する可能性があり、これらの細胞の一部は、子宮内への道を探る場合がある。子宮から取得される細胞サンプルは、卵巣悪性腫瘍を検出することができるが、子宮への卵巣癌細胞の移動の発生率は、卵巣悪性腫瘍のための信頼性のある診断検査のための子宮サンプリングを提供するには低すぎる。より多くの卵巣癌細胞は、卵管に移動し、この数は、卵管の遠位部分、遠位開口の近くで増加する。卵管中の細胞を悪性腫瘍に関して検査する能力は、癌細胞を分散させることを意識することなく行うことができる場合、このような癌の早期検出及び治療にとってかなり臨床的価値があるものになる。加えて、それらの間の様々な治療計画を含むいくつかの理由のために、卵管中の異常な細胞の発見に基づいて卵巣癌を卵管癌と区別する必要性が存在する。
【0006】
しかしながら、卵管内への診断デバイスの導入は、問題であり、その理由は、卵管が非常にもろく、大部分のデバイスの通過中、孔があく傾向があるからである。かかる孔は、一般的に、子宮卵管接合部(UTJ)のところに生じ、子宮卵管接合部(UTJ)は、子宮内の卵管の近位開口の遠位側約1cmのところに生じる狭窄部である。この狭窄部の内腔サイズは、0.3mm又は0.5mm程度に小さく、子宮卵管接合部に隣接した卵管の内腔サイズは、約1mmである。図1は、子宮4を卵巣6に接続する卵管1の断面図を示し、卵管1は、子宮卵管接合部(UTJ)2を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、低侵襲的な方法で、特に皮膚切開を必要とすることなく、卵巣癌の評価のために卵管から細胞サンプルを得ることを可能にするためのデバイス及びプロセスに対する要望が存在する。さらに、初期段階の癌を検査するためにカテーテルを用いて卵管から代表的な細胞のサンプルを確保する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
卵管診断に有用な低侵襲処置を行うための方法及びデバイスを開示する。少なくとも1つの実施形態では、卵管の近位開口は、子宮内アプローチによりアクセスされ、導入カテーテルを前進させ、カニューレを挿入して、卵管の近位開口と流体密シールを形成し、導入カテーテルの内側の第2のカテーテルを、卵管の長さにわたって進めて腹腔内に出し、第2のカテーテルの端部のバルーンを膨らませ、バルーンにより卵管の遠位開口を密封するまで、第2のカテーテルを引込め、潅注を実質的に卵管の長さにわたって行い、潅注液を、細胞診又は細胞分析のために収集する。
【0009】
本発明は、以下の本発明の非限定的な具体的な実施形態に関して詳細に説明される。特許請求の範囲は、詳述された特定のデバイスに限定されないと解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】子宮を卵巣に接続し且つ子宮卵管接合部(UTJ)を有する卵管の断面図である。
図2A】卵管挿入カテーテル内への本発明のカテーテルの特定の実施形態の一連の挿入のうち、卵管端部を密封するところを示す概略的な断面側面図である。
図2B】卵管挿入カテーテル内への本発明のカテーテルの特定の実施形態の一連の挿入のうち、折返しスリーブ付きカテーテルを挿入カテーテルの中を通して卵管内に挿入するところを示す概略的な断面側面図である。
図2C】卵管挿入カテーテル内への本発明のカテーテルの特定の実施形態の一連の挿入のうち、折返しスリーブを伸長させて、遠位バルーンを膨らませるところを示す概略的な断面側面図である。
図2D】卵管挿入カテーテル内への本発明のカテーテルの特定の実施形態の一連の挿入のうち、卵管内腔壁から細胞を取出すために潅注が行われるところを示す概略的な断面側面図である。
図3】本明細書で開示する本発明のカテーテルの実施形態を展開するのに好適な従来技術の子宮鏡の概略図である。
図4】近位導入カテーテルの実施形態の概略図である。
図5A】しぼませ状態の弾性の遠位バルーン先端部を有する折返しスリーブの概略的な断面図である。
図5B】膨らまし状態の弾性の遠位バルーン先端部を有する折返しスリーブの概略的な断面図である。
図6A】しぼませ状態の外側構成スリーブを有する折返しバルーンの概略的な断面図である。
図6B】膨らまし状態の外側構成スリーブを有する折返しバルーンの概略的な断面図である。
図6C】外側構成スリーブを有する折返しバルーンの実施形態の一連の図である。
図7A】しぼませ状態の非弾性の送出バルーンを有する折返し(スリーブ及び弾性のバルーン)の概略的な断面図である。
図7B】膨らまし状態の非弾性の送出バルーンを有する折返し(スリーブ及び弾性のバルーン)の概略的な断面図である。
図7C】非弾性送出バルーンを有する折返し(スリーブ及び弾性のバルーン)の実施形態の一連の図である。
図8A】しぼませ状態の潅流内腔を有する折返し(スリーブ及び弾性のバルーン)の概略的な断面図である。
図8B】膨らまし状態の潅流内腔を有する折返し(スリーブ及び弾性のバルーン)の概略的な断面図である。
図9A】挿入点に対して遠位のフィラメントスパイラルを有する、しぼませ状態の挿入カテーテル内に配置されるように構成された折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図9B】挿入点に対して遠位のフィラメントスパイラルを有する、膨らまし状態の挿入カテーテル内に配置されるように構成された折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図9C】15ミリメートル(mm)の直径を有する例示のスパイラルフィラメントの図である。
図9D】バルーンに加熱シールされ且つ挿入点に対して遠位にあるフィラメントスパイラルを有する、しぼませ状態の挿入カテーテル内に配置されるように構成された折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図9E】バルーンに加熱シールされ且つ挿入点に対して遠位にあるフィラメントスパイラルを有する、膨らまし状態の挿入カテーテル内に配置されるように構成された折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図10図9A図9Eのカテーテルを展開するための従来技術の子宮鏡の側面図である。
図11A】挿入点に対して遠位側にある膨張ブラシを有し、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、しぼませ状態の折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図11B】挿入点に対して遠位側にある膨張ブラシを有し、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、膨らまし状態の折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図12A】挿入点に対して遠位側にある膨張フォームを有し、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、しぼませ状態の折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図12B】挿入点に対して遠位側にある膨張フォームを有し、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、膨らまし状態の折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図13A】挿入点に対して遠位側にある拡大膨張球状バルーン付属物を有し、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、しぼませ状態の折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図13B】挿入点に対して遠位側にある拡大膨張球状バルーン付属物を有し、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、膨らまし状態の折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図14A】挿入点に対して遠位側にある超弾性コイルを有し、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、しぼませ状態の折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図14B】挿入点に対して遠位側にある超弾性コイルを有し、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、膨らまし状態の折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図15A】挿入点に対して遠位側にある拡大膨張スパイラルバルーン付属物を有し、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、しぼませ状態の折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図15B】挿入点に対して遠位側にある拡大膨張スパイラルバルーン付属物を有し、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、膨らまし状態の折返しバルーンカテーテルの概略的な断面図である。
図16A】挿入カテーテル内に配置されるように構成された、挿入点に対して遠位側にあるしぼませ状態の折返しアークバルーンカニューレの概略的な断面図である。
図16B】挿入カテーテル内に配置されるように構成された、挿入点に対して遠位側にある膨らまし状態の折返しアークバルーンカニューレの概略的な断面図である。
図17A】折返しを戻すために加圧している内腔を有し、且つ、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、しぼませ状態の折返しバルーンカニューレの概略的な断面図である。
図17B】折返しを戻すために加圧している内腔を有し、且つ、挿入カテーテル内に配置されるように構成された、膨らまし状態の折返しバルーンカニューレの概略的な断面図である。
図18】繊維を有し、本明細書において図9A図9Eに示すようなカテーテルとの関連において作動可能なプラチナコイルワイヤの図である。
図19図10のカテーテルの内腔を有する別個の拡張部分の図である。
図20図10のカテーテルのオリフィスを越えて展開形態の別個の拡張部分の図である。
図21A】中空ばねの中からバルーンを展開する前の、本発明の実施形態によるボール先端部折返しバルーンカテーテルの概略的な断面側面図である。
図21B】バルーンが中空ばねの中を通って折返された、本発明の実施形態によるボール先端部折返しバルーンカテーテルを示す概略的な横断面図である。
図22A】球状ボールを有するナイロン可撓性先端部から出た、本発明の実施形態による折返しバルーンの図である。
図22B】球状ボールを有するナイロン可撓性先端部から出た、本発明の実施形態による折返しバルーンの図である。
図22C】球状ボールを有するナイロン可撓性先端部から出た、本発明の実施形態による折返しバルーンの図である。
図23A】本発明の実施形態によるシース付き折返しバルーン先端部カテーテルを示す概略的な断面側面図である。
図23B】本発明の実施形態による図23Aのシース付き折返しバルーン先端部カテーテルの図である。
図23C】本発明の実施形態による高圧管リザーバ及び膨らまし装置を有する図23Aのシース付き折返しバルーン先端部カテーテルの図である。
図24】本発明の実施形態による超弾性プッシュロッド及び螺旋形キャリアで構成されたシース付き折返しバルーン先端部カテーテルの概略的な断面側面図である。
図25】本発明の実施形態によるバルーンを前進及び後退させるためのハンドル及び駆動ホイールで構成されたシース付き折返しバルーン先端部カテーテルを示す側面図である。
図26A図25のハンドル部分の概略的な断面図である。
図26B図26Aに示すハンドル部分のギアシステムの詳細図である。
図27】患者の子宮卵管接合部の中に挿入するために折返しバルーンの膨張直径よりも小さい直径を有する薄肉チューブを備えた本発明の実施形態による折返しバルーン先端部カテーテルを示す概略的な断面側面図である。
図28】患者の子宮卵管接合部の中に挿入するために折返しバルーン先端部の中に延びるカニューレの遠位端部に取付けられた、1又は2以上の可撓性プラスチックモノフィラメントストランドを備えた、本発明の実施形態による折返しバルーン先端部カテーテルを示す概略的な断面側面図である。
図29A】ガイドワイヤを用いて操縦可能な本発明の実施形態によるバルーン先端部の側面斜視図である。
図29B】ガイドワイヤを用いて操縦可能な本発明の実施形態によるバルーン先端部の側面斜視図である。
図29C】ガイドワイヤを用いて操縦可能な本発明の実施形態によるバルーン先端部の側面斜視図である。
図30】本発明の実施形態による、より小さい直径のリードバルーン先端部を有するバルーンカテーテルの側面斜視図である。
図31】本発明の実施形態によるバルーンカテーテルの先端部上に可撓性のガイドワイヤを有するバルーンカテーテルの側面斜視図である。
図32】本発明の実施形態による図12のカテーテル又はカニューレの中に縞模様付きバルーンの折返しを戻す前のバルーンカテーテルの部分的な側面斜視図である。
図33】本発明の実施形態によるシース付き折返しバルーン先端部カテーテルを示す概略的な断面側面図である。
図34】本発明の実施形態による一連の結び目又は縫い目を有する糸の側面斜視図である。
図35】本発明の実施形態に使用されるバルーンの折返しを戻す複数のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、診断目的で卵管の内壁と係合してそこから細胞を効率的に取出すのに有用である。デバイス及びプロセスは、いくつかの実施形態では、皮膚切開なしに行われる低侵襲処置においてこのような細胞の収集のために設けられる。
【0012】
値の範囲が与えられる場合、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、下限の10分の1の単位まで、その範囲の上限と下限との間の介在する各値も明確に開示されていることを理解されたい。規定範囲内の任意の規定値又は介在値と、その規定範囲内の任意の他の規定又は介在値との間の、より小さい範囲はそれぞれ、本発明中に含まれる。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立に、その範囲内に含まれること又は除外されることができ、そして、上限下限のいずれかがそのより小さい範囲内に含まれる場合、いずれも含まれない場合、または両方が含まれる場合の各範囲もまた、本発明中に含まれる。規定範囲が上限下限の一方又は両方を含む場合は、これらの含まれる上限下限の、いずれか又は両方を除いた範囲もまた、本発明中に含まれる。
【0013】
本明細書で用いられるように及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数形の指示対象を含むことに留意する必要がある。従って、例えば、「バルーン」への参照は、複数のそのようなバルーンを含み、「チャネル」への参照は、1又は2以上のチャネル及び当業者に公知のその均等物等への参照を含む。
【0014】
卵管診断のための発明のカテーテルの実施形態は、(1)子宮内アプローチを介した卵管の近位開口へのアクセス、(2)カニューレを挿入して近位開口と流体密閉シールを形成するための導入カテーテルの前進、(3)卵管の長さにわたって進めて腹腔内に出すための、導入カテーテル内側の第2のカテーテルの使用、(4)バルーンが卵管の遠位開口を密封するまでの第2のカテーテルの引込みと、第2のカテーテルの端部にあるバルーンの膨らまし(第2のカテーテルの引込みは、卵管の内腔内面との接触を生じ、サンプリング改善のための細胞を分離する)、及び(5)卵管を潅注して細胞診又は細胞分析のために潅注流体を収集するための提供を含む、低侵襲的処置を行なうために提供される。
【0015】
また、卵管診断のための本発明のカテーテルの特定の実施形態は(1)子宮内アプローチを介した卵管の近位開口へのアクセス、(2)近位開口をカニューレ挿入するための導入カテーテルの前進、(3)卵管の内側を進む導入カテーテルの内側の第2のカテーテルの使用(第2のカテーテルの端部にある膨張バルーンは、卵管の近位部分を横切って進み、卵管内にさらに反転する)、(4)バルーンは卵管の腔内表面と接触してサンプリング改善のための細胞を掻き取る、(5)バルーンは取り外されて、細胞収集のためにバイアルの中に挿入され、その後処理されることを含む、低侵襲処置を行うために提供される。
【0016】
本発明のカテーテルの実施形態は、卵管内に挿入するように構成され、これは一般的には非常に困難である。卵管は湾曲し、管の軟組織が潰れ、通過を試みると多重の収縮につながる。このことは、子宮卵管接合部(UTJ)に特に当てはまり、子宮内で卵管の近位開口(開口部)の遠位の約1cmで生じるしぼませ状態で医療機器が挿入される場合に貫通する傾向がある。また、子宮卵管接合部(UTJ)は、典型的には、0.3mm又は0.5mmほどの大きさとすることができる収縮での内腔サイズで下方曲げを呈するが、子宮卵管接合部に隣接した卵管の内腔サイズは、約1mmである。
【0017】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、最初、カテーテル内腔内の細長い折返しバルーンが展開される。カテーテル内部の加圧時、バルーンの折返しは戻され、折返しを巻き戻すメカニズムは、卵管のねじれ又は収縮に関係なく、卵管を通る道を作る。バルーンの長さの大部分は、実質的に非弾性であり、その結果、バルーンは、その折返しが戻されるとき、卵管を実質的に膨張及び拡張させず、好ましくは、卵管は、バルーンの折返しが戻されるとき、膨張又は拡張しない。バルーンの膨らましは、卵管を破裂させ又は傷つける場合がある。しかしながら、そのデザインは、膨らませたバルーンを引込めるときに遠位開口の密封を可能にする弾性の遠位バルーン端部を組み込んでいる。
【0018】
本発明のデバイスの種々の実施形態に共通している本発明のプロセスは、カテーテルの遠位端部の展開を含む。本発明のいくつかの実施形態では、発明のカテーテル遠位端部は、従来の子宮鏡を用いて卵管の近位端部に送出される。展開のモードに関係なく、発明のカテーテルの引込められた部分は、卵管の内壁と接触して伸長する。驚くことに、その部分を伸長する作用は、組織学的評価を行うのに十分な細胞を卵管壁から擦り剥くことを見出した。これは、外見的には非研削の特性の平面に見られる。いくつかの実施形態では、管の接触面上に研削が存在するが、このような研削は必然的ではないと考えられる。また、驚くことに、拡張部分の引込みが依然として多くの細胞を取出すことも見出した。本発明の他のプロセスでは、拡張部分は、掻き取った卵管細胞が周囲組織へ分散するのを防ぐように、カテーテルを取り外す前に引込まれる。ここで細胞に覆われている露出部分を顕微鏡スライド又は他の診断基材と接触させることは、異常な細胞、詳細には癌細胞を試験するのに十分である。
【0019】
ここで図を参照すると、図2A図2Dにおいて、導入カテーテル10は、折返された非弾性のスリーブ12と、それに取付けられた遠位側の弾性のバルーン14を有し、弾性のバルーン14を、手術用子宮鏡20(図3)の作動チャネル22内に存在する導入カテーテル10の中を通して挿入し、卵管1の近位開口にカニューレを挿入するのに用い(図2A)、弾性のバルーン14を膨らませ、スリーブ12の折返しを卵管1の長さにわたって戻し、遠位側の弾性のバルーン14を膨らませ(図2B)、わずかに引込めて、折返された弾性のスリーブ12を完全に前進させたとき、弾性のバルーン14の膨らましによって、卵管1の遠位開口18を密封する(図2C)。図2Dは、導入カテーテル10と折返しを戻したスリーブ12の間で卵管1の長さにわたって潅注するために生理食塩水の導入を示し、膨らませた弾性のバルーン14を引込め、遠位開口を密封し、引き続いて、潅注流体の収集し、細胞サンプルを卵管1の実質的に全長から取得し、卵巣癌又は他の病状の検出での細胞分析をする。
【0020】
上述し、また、後でより詳細に説明するカテーテル10は、手術用子宮鏡20を用いて、患者の子宮内に導入されるのがよく、その例を図3に示す。手術用子宮鏡20は、内視鏡と、多チャネルを含み、1つのチャネルは、潅注を行って子宮を膨張させ、内視鏡による可視化を可能にし、1又は2以上の追加のチャネル22は、器具及び/又はカテーテルを子宮鏡の遠位側に前進させることを可能にする。近位導入カテーテル10(図2A及び図4を参照)は、手術用子宮鏡の作動チャネルを通って前進することができ、卵管の近位開口にカニューレを挿入するために用いることができる。近位導入カテーテル10上のバルーン14が膨らんで近位開口を閉塞し、折返しバルーンカテーテルは、近位導入カテーテル10の中を通って卵管の近位部へ前進する。スリーブ/バルーン要素14は、完全に折返され、遠位開口を密封するように膨張バルーン先端部が引き戻される。潅注水は、ポート11を介して導入され、近位導入カテーテル10の潅注ポート11を介して吸引され、サンプルを収集することができる。また、潅注は、折返しバルーンカテーテル及び近位導入カテーテルの両方を通って導入され、その後、一方又は両方のポート(11、13)から吸引することができる。
【0021】
カテーテルの本発明の実施形態では、折返しスリーブカテーテルのスリーブ12は、好ましくは、柔軟性であり、細長く、実質的に非弾性のチューブであり、図5A及び図5Bに見られるように、弾性のバルーン先端部14がスリーブ12の遠位端部に取付けられる。非弾性のチューブ12は、図5Bに示すように、その長さにわたって複数の隆起部15を有するのがよく、隆起部15は、チューブ12が伸長/展開されたとき、チューブ12の外面にある。展開前、チューブ12が折返されているので、隆起部15は、図5Aに示すように、内面にある。図5Bにおけるように、スリーブ12の折返しを完全に戻したとき、隆起部15が外面にあれば、隆起部15は、卵管の内腔表面に露出される。これらの隆起部15は、バルーンを引込めるときに細胞を集めるスリーブの能力を増大させる。変形例として、折返しが戻された非弾性のチューブの外面は、バルーンを引込めている間の細胞の分離を増大させるために、布又はその他の織物等で覆われるのがよい。
【0022】
図6A図6Cは、折返しスリーブカテーテル10Aの実施形態を示し、折返しスリーブカテーテル10Aは、展開中の折返しスリーブカテーテル10Aのバルーンとスリーブの間の結合により、図5A及び図5Bの実施形態で提供された折返しスリーブカテーテルよりも優れた保護を提供する。図6A図6Cの実施形態の構成は、折返しスリーブカテーテルの遠位先端部への細長い弾性のバルーンの取付けを伴う。弾性のバルーン14よりもわずかに短い実質的に非弾性のスリーブ17は、カテーテルの遠位先端部のところで弾性のバルーン14に取付けられ、折返されて、弾性のバルーンの内側にある。バルーン/スリーブの組合せ14Aの折返しを戻すとき、非弾性のスリーブ17は、カテーテル10Aの二重壁19から現れて、弾性のバルーンの外面にあり、弾性のバルーンの長さの大部分にわたって弾性のバルーンを閉込め、折返しスリーブを卵管の中を通して前進させている間、弾性のバルーンが膨張して卵管を破裂させる可能性を防止する。バルーン/スリーブの折返しを完全に戻したとき、遠位側の弾性のバルーンは、スリーブの直径の3倍~5倍まで膨らみ、膨らませたバルーンの引戻しを伴うようにカテーテルを引込めるとき、遠位開口を塞ぐ。所望であれば、カテーテルは、バルーンと外側スリーブとの間の潅注が生じることを可能にするポート11を含んでいてもよい。
【0023】
図7A図7Cは、折返しスリーブカテーテル10Bの実施形態を示し、折返しスリーブカテーテル10Bにおいて、同心の二重壁カテーテルが設けられ、3層の折返し部が遠位カテーテル先端部に取付けられ、(1)細長い非弾性のバルーン21が、内側カテーテル23の遠位先端部に取付けられ、バルーン21は、内側カテーテルの内腔25の中にあり、(2)細長い弾性のバルーン14Bが、カテーテル10Bの外壁27の遠位先端部に取付けられ、弾性のバルーン14Bは、非弾性のバルーン21と長さが等しく、非弾性のバルーン21の内側にあり、(3)非弾性のスリーブ29が、外側カテーテル壁27の遠位先端部に取付けられ、非弾性のスリーブ29は、弾性のバルーン14Bよりも短く、弾性のバルーン14Bの内側にある。内側カテーテル23の加圧により、非弾性のバルーン21の折返しを戻し、弾性のバルーン14B及び外側の閉込めスリーブ29を送出させる。3層全ての折返しを完全に戻したら、内側カテーテルの壁と外側カテーテルの壁の間の加圧により、弾性のバルーン14Bを膨らませる。非弾性のスリーブ29は、弾性のバルーン14Bをその長さの大部分にわたって閉込め、バルーン14Tの遠位側の閉じ込められていない先端部が膨張して、閉塞要素を形成する。このデザインの潜在的利点は、折返しを戻すプロセス中の摩擦特性の減少である。本実施形態では、非弾性のバルーン21は、弾性のバルーン及び閉込めスリーブを送出する。弾性のバルーンは、その折返しが完全に戻されるまで、膨張を行わず、従って、以前の実施形態におけるような折返しを戻す間の折返しスリーブの壁との摩擦を増大させず、このことは、特に、卵管を貫通するのに必要とされる小径カテーテルを用いて作業するとき、展開を容易にする著しい利点を有する。
【0024】
図8A及び図8Bは、折返しスリーブカテーテル10Cの実施形態を示し、非弾性のシース29Aが、潅注のための小さい内腔31を有し、内腔31は、第3のポート11Aに接続され、第3のポート11Aは、流体潅注のために使用され、また、細胞診用サンプルを取得するための吸引に用いられる。
【0025】
図9A図9Eに、修正されたデザインを示す。細長いバルーン32が、その遠位端部に取付けられた拡張可能な部材34と一緒に、カテーテル30の内腔36の中に折返されている。折返しのとき、拡張可能な部材34は、細長いバルーン32の内側にある。本発明のいくつかの実施形態では、拡張可能な部材34は、フィラメントの複数ループ38からなる螺旋部である。拡張可能な部材34を形成するフィラメントは、様々な材料から容易に形成され、かかる材料は、例えば、ナイロン又はポリプロピレン、フルオロポリマー、又はポリ乳酸等のモノフィラメントプラスチック材料;ステンレス鋼チタン、又はプラチナ等の金属;ニチノール等の超弾性金属を含む。いくつかの実施形態では、基準マーカーが存在して(図示せず)、引続いて細胞サンプリングの位置に戻ることを容易にする。また、膨張部分が変形形態を有してもよいことを認識すべきである。例えば、膨張部分34は、プラスチック又は金属の複数の外向きの剛毛40を含んでいてもよいし(図18)、膨張部分34は、カテーテルの内側に閉込められた状態から解放されたときに、所定の形状までカールした形態38になったり、(扇状に)広がった形態42になったり、丸まった形態44になったりする材料の細長いストランドとして存在してもよいし(図11A図11B又は図14A図14B)、膨張部分34は、湿潤環境の中に放出されたときに膨張する圧縮プラスチックフォームであってもよい(図12A図12B)。遠位開口に隣接したカテーテルを加圧するとき、バルーン32の折返しは戻され、折返された部分を伸長位置まで外方に押しやり、卵管内壁細胞と接触させる。本発明のいくつかの実施形態では、バルーンの折返しを完全に戻したとき、拡張部分34は、卵管の遠位開口から腹腔内に送出される。いくつかの実施形態では、拡張部分34は、約15~20mmの外径を有する。
【0026】
複数の剛毛を有する拡張部分34の利点は、細胞を収集することができる表面積が広いことであり、かかる表面積は、デバイスを引戻すときに剪断力に曝される可能性がない面積を含む。この方法は、図18図20に示すように、細胞収集を最大にすることができ、デバイスが卵管の中を引かれ又はシースに引込まれるときに拭き取られる細胞の量を最小にする。延長部分が比較的広い表面積を有するこれらの実施形態では、卵管の直線単位あたりの細胞収集は、典型的には、増大し、輪郭のない延長部分と比べて、加圧のような条件下でそのように係合して。
【0027】
本発明のカテーテルのさらに他の実施形態では、拡張部分は、展開のとき、以下の形態を有してもよく、かかる形態は、例えば、バルーン32の遠位端部に取付けられ、バルーンの折返しの際に外側に広がってブラシ42を形成する複数のフィラメント(図11A図11B);バルーン32の内側に圧縮され、バルーン32を折返して流体環境に露出させると膨張するプラスチックフォーム構造物46(図12A図12B);非弾性のスリーブバルーン32の遠位端部のところの弾性又は非弾性のバルーン48(図13A図13B)、超弾性ワイヤコイルを有する折返しバルーン(図14A図14B)、螺旋形折返しバルーン50(図15A図15B)、折返し遠位アークバルーン52(図16A図16B);又は、バルーンを折返すときに三次元構造に集まるプラスチック又は金属の弾性の細長いフィラメント、例えば内腔54(図17A図17B)、及び外向きの複数の剛毛を有する膨張部分34(図18)である。本発明のカテーテルの延長部分のこれらの任意の実施形態は、必要なときに、卵管に戻るようにナビゲートするのに用いられる基準マーカーに容易に適合することを認識すべきである。このようなマーカーは当技術分野で既知であり、例えば、放射線不透過マーカー、同位体マーカー、及び無線周波数マーカーを含む。さらに他の実施形態では、生分解性延長部分又は恒久的延長部分は、カテーテルから切り離される。さらに他の実施形態では、拡張部分は、化学療法剤、抗生物質、抗炎症剤、又はこれらの組合せなどの卵管組織の治療薬を配送する。
【0028】
カテーテルを子宮鏡の作動チャネル内に引込むとき、細胞は、卵管の内面の全長から分離される。いくつかの実施形態では、収集した細胞をカテーテル先端部領域の内側ボアで保護するために、延長部分を、バルーンを用いたガス圧の減少によって折返す(図19)。
【0029】
特定の理論によって拘束されることを意図するわけではないが、輪郭のない膨張部分のいくつかの例でさえも、膨張部分は、細胞を分離して膨張部分に付着させるのに十分な摩擦を、膨張部分の外側表面と卵管の内側ライニングの間に生じさせる。バルーンの遠位端部の膨張したスパイラルは、卵管の遠位端部で采と接触し、スパイラルを引くときに細胞サンプルを集める。卵管の内径は、近位側から遠位端部に向かって増大するので、膨張部分は、細胞サンプルが卵管の遠位端部(卵管の采部分)で取得されることを確保する。いくつかの手順の実施形態では、細長いバルーン及び遠位側の膨張部分を、子宮鏡の作動チャネル内に引込み、子宮鏡を患者から取出すときに細胞サンプルが失われることを回避する。子宮鏡の作動チャネルの近位端部におけるエラストマーシールは、カテーテルの外面に対して密封する。カテーテル本体上のマークは、細長いバルーン及び遠位側のスパイラルが子宮鏡の作動チャネル内に存在することを確保するのに必要な引込み長さを示す。子宮鏡を患者から取出すとき、幾つかの実施形態では、生理食塩溶液を含むシリンジが、作動チャネルの近位端部のところのルアー継手に取付けられ、生理食塩水を用いて、細長いバルーン及び膨張スパイラルによって集められた細胞を試験管の中に洗い流す。拡張部分に付いた細胞が、試験のために従来の技術によって容易に収集されて、細胞学的、分子学的、又は遺伝子学的試験のために調製されることを認識すべきである。
【0030】
コイルが折返しバルーンの端部に取付けられた、図17A図17Bに示すカテーテルの変形実施形態では、例示の材料のポリエチレンテレフタレート(PET)で形成された内腔が設けられる。折返しプロセスは、前述の実施形態のプロセスに続く。この変形実施形態は、膨らまし用サイドポートと、近位シールを含み、近位シールは、子宮鏡と患者の身体組織との間の流体連通させるように内腔を通るオリフィスを維持しながら、バルーンを折返すことを可能にする。折返すと、内腔は、別の拡張部分又は手術器具パッケージが通る通路を構成する。このような収集デバイスの例は、図19及び図20に示す螺旋形である。デバイスを取出すときに、遠位側の細胞が卵管の近位側の内面によって拭き取られる可能性を防ぐために、細胞を卵管の特定部分、例えば、采から収集して、次いで、内腔の中に引き戻してもよいことを認識すべきである。
【0031】
図21A及び図21Bは、本発明の少なくとも1つの実施形態によるボール先端部折返しバルーンカテーテルの概略的な断面側面図である。球状ボール122は、カテーテル126に固定されたばね先端部124の遠位端部に取付けられ、患者の子宮卵管接合部(UTJ)の側壁を貫通する孔をあけないように、子宮卵管接合部(UTJ)中をうまく通り抜けるように構成される。ばね先端部124及び球状ボール122は、ばね先端部124及び球状ボール122の中を延びる開放した内腔128を有する。ばね先端部124上の球状ボール122は、約0.8~1.0mmの直径を有し、中空のばね先端部124は、約1.5cmの長さ及び約0.6mmの外径を有する。中空のばね先端部124は、金属(ステンレス鋼又は超弾性金属、例えば、ニチノール)コイルばねであるのがよく、その外面の上に、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、又は同様の材料で作られた薄肉のプラスチック熱収縮チューブのシースを有する。本発明の特定の実施形態では、ばね先端部124は、管状プラスチック体の中に共押出しされた金属コイルばねであるのがよい。また。中空のばね先端部124は、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標))、又は同様の材料で作られた可撓性プラスチックチューブであってもよい。長い折返しバルーン130は、中空のばね先端部124の内側に位置する。折返しバルーン130は、導入カテーテル126(全体的に可撓性の管状構造)又はカニューレ(全体的に合成の管状構造)の主内腔132の内側を近位方向に延び、折返しバルーン130の近位端部は、カテーテル126又はカニューレの近位端部のシール136を貫通するプッシュロッド134に取付けられる。患者の手術に使用するとき、可撓性ボール先端部122を手で前進させて子宮卵管接合部を通過させる。可撓性ボール先端部122及びばね先端部124が子宮卵管接合部をうまく通過したら、プッシュロッド134を前進させて、予め加圧された導入カテーテル126又はカニューレのシール136を貫く。プッシュロッド134の前進により、中空のばね先端部124から卵管の長さにわたって出るバルーン130の折返しの戻りが制御される。
【0032】
本発明の実施形態では、最初にカテーテル内腔内に折返されていた細長いバルーンを展開させるとき、バルーンは、カテーテルの内側の加圧下で折返され、折返しの巻戻し機構は、卵管のねじれ又は収縮と無関係に、卵管に追従する。バルーンの長さの大部分は、実質的に非弾性であるべきであり、それにより、バルーンが折返されるとき、バルーンは、卵管を実質的に膨らませたりしぼませたりせず、卵管は、バルーンの折返しを戻すときに膨張又は拡張しない。バルーンの膨張は、卵管を破裂する又は傷つける場合がある。
【0033】
本発明のデバイスの種々の実施形態に共通している本発明の方法は、カテーテルの遠位端部の展開を含む。本発明のいくつかの実施形態では、本発明のカテーテル遠位端部は、従来の子宮鏡を用いて卵管の近位端部に配送される。展開モードとは関係なしに、本発明のカテーテルの引込み部分は、伸長して卵管の内壁と接触する。驚くべきことに、引込み部分を伸長させる作用は、組織学的評価を行うのに十分な細胞を卵管壁からこすり取ることを見出した。このことは、外見的にこすり取られていない特性の平面について観察された。いくつかの実施形態では、管の接触面上にこすり取りが存在するけれども、このようなこすり取りは必然的ではないと考えられる。また、驚くことに、拡張部分の引込みが依然として多くの細胞を分離させることも見出した。本発明の他のプロセスでは、拡張部分は、分離した卵管細胞が周囲組織へ分散するのを防ぐように、カテーテルを取出す前に引込められる。ここで細胞に覆われている露出部分を顕微鏡スライド又は他の診断基材と接触させることは、異常な細胞、特に癌細胞を試験するのに十分である。
【0034】
上述し且つ後でより詳細に説明されるカテーテル126を、手術用子宮鏡40を用いて患者の子宮に導入し、その実施例を図3に示す。手術用子宮鏡は、内視鏡と、多重チャネルを含み、1つのチャネルは、潅注を行って子宮を膨張させ、内視鏡可視化を可能にするのがよく、1又は2以上の追加のチャネルは、器具及び/又はカテーテルを子宮鏡の遠位側に前進させることを可能にする。カテーテル126(図21A及び図21B参照)を、手術用子宮鏡の作動チャネルの中を通して前進させ、カテーテル126を用いて、卵管の近位開口にカニューレを挿入する。折返しバルーン130を、近位カテーテル126の中を通して卵管の近位部分の中に前進させる。
【0035】
図22A図22Cは、本発明の実施形態による球状ボール122を有するナイロン可撓性先端部152から出た折返しバルーン130の一連の図である。ナイロン可撓性先端部152及び球状ボール122は、卵管内の折返されたバルーン130の展開のために、患者子宮卵管接合部(UTJ)を通過するように構成される。ナイロンボール先端部の本発明のいくつかの実施形態では、折返しバルーンカテーテル150は、直径0.66mm及び長さ18mmのナイロン先端部上の0.9mmボール先端部を有するように構成され、すなわち先端部(24atm;2.4×106Pa)を通りかつこれを越えて折返しを戻す直径0.64mmの手動バルーンを有する4Fr(1.27mm)カテーテルである。
【0036】
図23Aは、図23Bの図に示されている、本発明の実施形態によるシース付き折返しバルーン先端部カテーテル160又はカニューレを示す概略的な横断面図である。約0.8~1.0mmの外径を有する長い折返しバルーン130は、カテーテル126又はカニューレの遠位端部の外に約1~3cm、最も好ましくは、1.2~1.5cmの長さだけ折返される。バルーン130を、約14~24atm(206~353psi;1.4×106~2.4×106Pa)の圧力まで流体で膨らませる。加圧されたバルーン130は、丸い端部と、バルーン130の長さにわたってある程度の可撓性を有し、また、バルーン130を手で前進させて子宮卵管接合部を通過させることを可能にするのに十分な長さ方向強度を有する。特定の実施形態では、バルーン130は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ナイロン、又はそれらと同様の材料等の薄肉プラスチック材料で構成され、バルーン130は、約0.25mil(0.00025”;0.00635ミリメートル)の肉厚を有する。バルーンは、使用中の可視化を促進させるために、不透明色であるのがよい。完全に折返しが戻されたバルーン130の長さは、約7cmであり、完全に折返しが戻されたとき、バルーン130は、子宮卵管接合部を通過する折返しバルーンの長さ1.5cmの良好な前進の後、患者の卵管の中を延びる。バルーン130の折返しは、カテーテル126の近位端部のところの流体密シール136を貫通させるようにプッシュロッド134を前進させることによって、制御された仕方で行われる。カテーテル126の少なくとも一部分167は、透明であるのが好ましく、それにより、バルーン130の移動を、カテーテルが挿入された子宮鏡を介して見ることができ、ユーザに挿入手順の直接的な観察を可能にする。カテーテル126は、ポリマー又は金属コイル又は編組補強材の有無にかかわらず、ナイロン(好ましい)、Pebax(登録商標)、ポリウレタンPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレン、又はポリ塩化ビニル(PVC)プラスチック等のポリマーで構成されるのがよい。
【0037】
しかしながら、カテーテル126又はカニューレから外に折返されたときの長さ1.5cmの上述した寸法のバルーンは、真直ぐのままではないことがあり、むしろ、バルーン130は、単一のC字形曲線又はS字形曲線のいずれかの湾曲形態をとることがある。しかしながら、湾曲したバルーンを有するカニューレを卵管の近位開口に挿入すること、及び、それを前進させて子宮卵管接合部を通過させることは、困難であり又はほぼ不可能である。折返しバルーン130の長さ1.5cmを、外側プラスチックシース162を使用することによって真直ぐにするのがよく、外側プラスチックシース162は、カテーテル126又はカニューレと同軸に位置し、1.5cmの折返しバルーン先端部を覆う。シース162の少なくとも一部分167は、透明であるのが好ましく、それにより、バルーン130の移動を、カテーテルが挿入された子宮鏡を介して見ることができ、ユーザに挿入手順の直接的な観察を可能にする。シース162は、ポリマー又は金属コイル又は編組補強材の有無にかかわらず、ナイロン(好ましい)、Pebax(登録商標)、ポリウレタンPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレン、又はポリ塩化ビニル(PVC)プラスチック等のポリマーで構成されるのがよい。
【0038】
図35は、展開中のバルーンの直線的な折返しの戻しを示す。折返しバルーンの断面の例では、点Xのところのバルーンの一方の端部は、固定され、点Yのところの他方の端部は、移動することができる。バルーンは、ステップ1に示す位置からステップ2に示す位置、ステップ3に示す位置に折返される。折返しの戻しプロセスにおいて、点A、B、Cは、図の左方に向かって移動する。図示のように、バルーンを図の左方に巻き戻されるとき、点Aは、バルーンの内径から外径に移動する。実際には、準備ステップの間に折返されたバルーンを、卵管の近位端部の中に前進させる。バルーンのさらなる折返し(伸長)(卵管内に合計2~3cmまで)を、駆動ホイール204のさらなる回転によって達成する。次いで、バルーン130を、膨らまし装置内の圧力を解放することによってしぼませる。次いで、バルーン130を、卵管から引込める。卵管は潜在的な空間であるので、卵管組織は、バルーンの周りにつぶれる。バルーンは卵管を満たすので、バルーンの表面積は、卵管の内側の表面積と等しい。この一致した表面積は、組織ほ卵管の内面から収集するのを最適にする。
【0039】
組織収集をさらに最適にするために、バルーンの表面に皺が追加されるのがよく、バルーンがしぼんで、多数の縁部を形成するとき、皺が生じ、これらの皺も、細胞収集を助ける。これらの縁部は、承認済みUスコープデバイスのキュレットの縁部及び承認済み生検鉗子デバイスにおける顎部の縁部と同様の仕方で機能する。承認済みデバイスに関するこれらの特徴と同様、皺が生じたルーンによって形成された縁部は、細胞を収集するための接触力を解剖学的な壁上に集中させる。しかしながら、収集面がポリマーバルーンであるので、内皮細胞との接触は、従来技術の診断デバイスのステンレス鋼の接触面よりも非外傷性である。細胞組織を収集するためのバルーン上の皺の非外傷性の性質により、卵管の内側におけるバルーンの膨らまし/しぼませの繰返しを可能にし、細胞を自由に掻き取ることを可能にする。次いで、本発明のバルーン展開デバイスを、子宮鏡の作動チャネルから及び患者から取出す。患者からデバイスを取出したら、バルーンを細胞防腐剤の中に浸して、細胞を攪拌するようにかき混ぜることによって、細胞をバルーンから取出すことができる。変形例として、バルーンとシースの両方を切離して、細胞学的防腐剤の中に配置してもよい。特定の実施形態では、バルーンをしぼませて取出すとき、シースがバルーンの上に延びて展開して、バルーン表面に存在する組織サンプルを保護してもよい。
【0040】
図24は、本発明の実施形態によるシース付き折返しバルーン先端部カテーテル160’を示す概略的な横断面図であり、折返しバルーン先端部カテーテル160’は、超弾性プッシュロッド175と、螺旋形キャリア176を有するように構成され、これらは、プッシュロッドの全長に対してプッシュロッドを後方に伸長させる必要をなくす。プッシュロッド175は、ニチノール(ニッケル-チタン化合物)ワイヤ等の超弾性材料で構成される。この場合、プッシュロッド175の長さは、ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))で作られた管状の螺旋形キャリア176の中に複数回巻かれるのがよい。螺旋形キャリア176の螺旋外径は、約8cmであるのがよく、より一層小型の近位作動長を提供する。プラスチック製の螺旋形キャリア176は、プラスチック又はシリコーンゴム材料で構成された可撓性ストラップ177を用いて、カテーテル上の近位側Tuohy-Borst継手136に取付けられるのがよい。特定の実施形態では、超弾性のプッシュロッド175は、約0.025”(0.635mm)の直径を有し、このワイヤを把持してTuohy-Borstシール136の中を前方に押すことは困難である。従って、プッシュロッド175の上を自由に摺動するが追加されており、可撓性グリップ178を親指と人差し指との間で圧縮するとき、プッシュロッド175の前進のための優れた把持部を提供する。可撓性グリップ178は、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、又は同様の可撓性化合物で作られた楕円形の断面フレームであるのがよく、その内寸法は、長さが約2cm、幅が1cm、及び高さが3mmであり、約2mmの肉厚を有する。グリップの近位面及び遠位面の孔は、プッシュロッド175と一致するスリップである。
【0041】
図25は、ハンドル202を有するように構成された、シース付き折返しバルーン先端部カテーテル200の本発明の実施形態を示す概略的な側面図である。ハンドル202は、駆動ホイール204を有し、駆動ホイール204は、バルーン130の折返しを直線的に戻す(内側が外側になるように徐々に伸ばす)プッシュワイヤ206を前進させたり引込めたりする。駆動ホイール204は、プラスチック、例えば、ABSで作られるのがよい。駆動ホイール204の外縁は、カテーテル200の操作中の駆動ホイール204の把持を容易にするノッチを有するのがよい。駆動ホイール204の上面は、成形された矢印を有し、矢印は、バルーンの折返しを戻すように回転させる正しい方向を示すのがよい。駆動ホイール204の反対側は、正方形ボスを有し、正方形のボスは、駆動ギアに挿入されるのがよい。
【0042】
カテーテル200は、バルーン130を、シャフト210(ステンレス鋼チューブ及びナイロンチューブで作られるのがよい)と、シース212と、シースノブ214内に保持する。また、ハンドル202は、ハンドル本体のルアー継手218に取付けられた延長チューブ216を有する。バルーンの前進を可能にするために、バルーン130及びシャフト210は、延長チューブ216に取付けられた膨らまし装置(例えば、図23Cの膨らまし装置172)で加圧される。カテーテルデバイス200を加圧したら、ユーザは、駆動ホイール204を回転させることにより、プッシュワイヤ206を前進させる。
【0043】
図26Aは、図25のハンドル部分の断面図であり、図26Bは、内部ハンドルギア機構220を示す詳細図である。駆動ホイール204は、駆動ギア224の正方形の孔222に挿入された正方形のボス(図示せず)を有する。駆動ホイール204を時計回りに回転させると、正方形のボスは、駆動ギア224を回転させる。駆動ギア224は、アイドルギア226及び第1のギア228に係合し、これらのギアを回転させる。同様に、アイドルギア226は、第2のギア230及びそれにより第3のギア232を回転させる。プッシュワイヤ206は、4つの大きいギア(224、228、230、232)の各々の上及びその間のゴム伝達表面の間を移動し、図26Bに示すように、バルーン130を前進させている間移動する。バルーン130は、プッシュワイヤ206の近位端部が駆動ギア224と第1のギア228との間を通過するまで前進する。内部ハンドルギア機構220は、バルーン130の展開及び引込みのための精密で、正確で、制御された移動を可能にする。
【0044】
卵管に入ってその中をたどるのに用いられる一連のステップを、図23Aの実施形態で説明する。長さ15mmの折返しバルーン130が子宮卵管接合部を横断又は通過することを望むとき、外側プラスチックシース162を卵管の近位開口の近くに且つ近位開口に入らないように配置する。外側プラスチックシース162は、長さ15mmの折返しバルーン130を、それが近位開口に入るまで支持する。支持用の外側プラスチックシース162から出た短い長さの加圧された折返しバルーン130は、子宮卵管接合部を手で前進させて通過させるのに十分な長さ方向強度を有するのに対し、支持されていない長さ15mmの折返しバルーン130は、それ自体十分な剛性を有しておらず、それを前進させて近位開口及び子宮卵管接合部を通過させようとすると曲がる。
【0045】
シース162は、5Fr(1.59mm)の外径を有し、シース162の近位端部は、Tuohy-Borstシール136コネクタを用いて雄のルアーロック継手164に取付けられる。Tuohy-Borstアダプタは、装置と装置の間のシールを形成してカテーテルを種々の他の装置に取付けるために用いられる医療デバイスである。Tuohy-Borstシール136は、シース162を適所に保持するカテーテル又はカニューレと滑り嵌めを有するように締付けられ、それにより、折返しバルーン先端部を覆う。雄のルアーロック継手164は、もし存在すれば、子宮鏡の作動チャネルの雌のルアーロック継手と噛合うのがよい。これらのルアー継手が連結されるとき、外側シースの先端部は、子宮鏡の遠位端部から約2~3cm突出する。また、外側シースは、長さ1.5cmの折返しバルーン先端部を、カテーテル又はカニューレを金属製の子宮鏡の作動チャネルの中を前進させるときに傷つかないように保護する。外径0.050”(1.27mm)で肉厚0.004”(0.0102mm)のステンレス鋼チューブは、子宮鏡の作動チャネルの近位端部から突出する部分のねじれを防止するのに十分な剛性をもたらすので、内側カニューレ126に望ましい。
【0046】
図23Cは、高圧管リザーバ168及び膨らまし装置172を有する、本発明の実施形態による図23Aのシース付き折返しバルーン先端部カテーテル160の図である。流体注入を用いるバルーン130の加圧は、膨らまし装置172同様にすぼませ装置として一般的に知られているねじ山付きシリンジ装置を用いて行われるのがよい。解除可能なロックによるねじ山付きプランジャシャフトの回転は、膨らまし装置172内の圧力を増大させて維持し、膨らまし装置172に設けられた圧力計174は、入力圧力の制御を可能にする。シース付き折返しバルーン先端部カテーテル160の特定の実施形態では、デバイスの一人操作を可能にする。所定の長さの高圧管168が、膨らまし装置172とデバイス上の膨らましポート166の間に追加される。高圧管168は、金属コイル又は編組補強材の有無にかかわらず、ポリウレタン又はポリ塩化ビニル(PVC)のようなポリマーで構成することができる。圧力管体168は、所定の固有の弾性を有するが、折返しバルーンは概して非弾性である。バルーン130の完全な加圧時に、圧力管体168は、システムに対して液体容量を付与する。少量の流体が折返しバルーンに入っており、この容量は、プッシュロッド134(折返しを戻す際にバルーン130の中に移動する)が占める容量だけさらに差し引かれる。得られた折返しバルーンの容量は、圧力管体168のより大きな容量と比較して小さく、これにより、シース付き折返しバルーン先端カ部テーテル160が加圧されると、バルーン13は、著しい圧力低下なしにその全長の折返しを戻すことができる。圧力管体168と膨らまし装置172との間の栓弁170は、加圧後に閉鎖することができ、重量のある膨らまし装置172は、バルーン130の挿入及び折返しの戻しの前に試験フィールドから取り除くことができる。煩わしくない1人のオペレータ手術は、図23Cに示すようなデザインの実施形態の結果である。
【0047】
図23A図23Cに関して上述したように、折返しバルーン130は、卵管の全長を通過させるために、カテーテルの先端部に対して遠位側に約7cmの全体距離だけ延びる。折返しバルーン130は、それがカテーテル先端部から出るとき、ドーナツ形状をとり、折返し部分は、二重壁形態を有する。かくして、長さ7cmの折返しバルーンを生じさせるために、プッシュロッド134は、14cmの距離だけ前進しなければならない。この長さのプッシュロッドは、最初、カテーテル126の近位端部から後方に、直接オペレータの顔の方に延び、その使用を面倒にする。また、この長さのプッシュロッド314は、長いプッシュロッドの近位端部が使用中に医師の顔又は手術用マスクと接触する可能性があるので、滅菌デバイスの汚染を受けやすい。従って、その全長が後方に延びる必要がないプッシュロッドシステムを提供することが望ましい。図24の超弾性プッシュロッド及びキャリアのデザイン、並びに、図25のハンドル202を有するように構成されたシース付き折返しバルーン先端部カテーテル200は、プッシュロッドを格納するように作用し、プッシュロッドをユーザに向かって後方に延ばす必要性を回避する。
【0048】
図27は、薄肉チューブ182を有する本発明の実施形態による折返しバルーン先端部カテーテル180を示す概略的な断面側面図であり、薄肉チューブ182は、患者の子宮卵管接合部に挿入するために、折返しバルーン130の膨らまし直径よりも小さい直径を有する。薄肉チューブ182は、バルーン先端部163の一部分を真直ぐにする。薄肉チューブ182は、約0.0005”~0.001”(約0.0127mm~0.0254mm)の肉厚を有するのがよく、カニューレの先端部の遠位側に1.5cm延びるのがよい。薄肉チューブ延長部182は、バルーン130を支持し、バルーン先端部163を真直ぐに保つが、薄肉チューブの直径がバルーン直径よりも小さいので、バルーン130が柔軟性及び圧縮性を保持することを可能にし、これらは、バルーン130を前進させて子宮卵管接合部を通過させるのに必要な特性である。特定の実施形態では、バルーンの外径は0.04”(1mm)であり、バルーンを支持して真直ぐにするために、外径0.033”(0.0762mm)で肉厚0.001”(0.0254mm)で長さ1.5cmの内側チューブを有する。
【0049】
図28は、1又は2以上の可撓性プラスチックモノフィラメントストランド192を有する本発明の実施形態による折返しバルーン先端部カテーテル190を示す概略的な断面側面図であり、1又は2以上の可撓性プラスチックモノフィラメントストランド192は、カニューレ126の遠位端部に取付けられ、且つ、折返しバルーン先端部163の中に延び、それにより、患者の子宮卵管接合部の中に挿入するために、先端部を真直ぐに支持して保つ。特定の実施形態では、1又は2以上の可撓性プラスチックモノフィラメントストランド192は、バルーン先端部163の中に1.5cm延びる。モノフィラメントは、ナイロン、ポリプロピレン、又は他の可撓性プラスチック材料で形成されるのがよい。モノフィラメントストランドは、約0.006”~0.012”(約0.1524mm~0.3048mm)の直径を有するのがよい。特定の実施形態では、バルーンの外径は0.033”(0.8mm)であり、1.5cm長さの折返しバルーン先端部の内側に直径0.008”(0.2mm)のナイロンモノフィラメントを有する。
【0050】
図29A図29Cは、本発明の実施形態によるガイドワイヤを用いて折返されるバルーンカテーテル250のための操縦可能なバルーン先端部252の一連の側面斜視図である。図29Aに示すように、操縦可能なバルーン先端部252は。右方向ガイドワイヤ254及び左方向ガイドワイヤ256によって制御される。図29Bでは、右方向ガイドワイヤ254を引いて(矢印によって示すように)、バルーン202を右方向に向ける。これとは反対に、図29Cでは、左方向ガイドワイヤ256を引いて(矢印によって示すように)、バルーン202を左方向に向ける。図示のような一対のガイドワイヤで達成されるX-Y平面内での移動に加えて、別のガイドワイヤを追加して、Z平面内での移動を可能にしてもよいことに注目すべきである。
【0051】
図30は、より小さい直径のリードバルーン先端部262を折返しバルーン130の遠位端部のところに有する、本発明の実施形態によるバルーンカテーテル260の側面斜視図である。より小さい直径のリードバルーン先端部262は、患者の子宮卵管接合部によって示される狭窄部のところの開口を徐々に拡大させるように寸法決めされ、可撓性であり、子宮卵管接合部の壁に孔をあけないように尖っていない縁部を有する。
【0052】
図31は、可撓性のガイドワイヤ272をバルーン130の先端部に有する、本発明の実施形態によるバルーンカテーテル270の側面斜視図である。可撓性のガイドワイヤは、バルーンカテーテル220を、患者の子宮卵管接合部の中を通るように案内する。
【0053】
本発明の折返しバルーンカテーテルの実施形態では、折返しバルーンの一部分は、卵管の狭窄部分に入るバルーンカテーテルの実施形態のリード部分の表面を滑りやすくするフルオロポリマー、シリコーン、及びそれらと同様の材料コーティングで処理されるのがよい。
【0054】
図32は、本発明の実施形態による縞模様付きバルーン130Sの部分的な側面斜視図であり、縞模様付きバルーン130Sを図32のカテーテル又はカニューレの中に折返す前の状態である。バルーン上の印131は、バルーンの折返しの進行の視覚フィードバックインジケータを構成する。特定の実施形態では、印131は、幅約1mmであり、バルーン130Sの全長に沿って約1cmのピッチで離間するのがよい。バルーン上のストリップ又は他の視覚マーカーの変形例の離間は、より細かい位置フィードバックのために互いに比較的近くに離間していてもよいし、おおまかなフィードバックのために比較的遠くに離間していてもよい。折返し長さの他の視覚マーカーは、既知の周期長さを有する正弦波状の印を含む。また、長さの印は、既知の長さの異なる色の複数のセグメントを含むことを認識すべきである。
【0055】
図33は、縞模様付きバルーン130Cを有する本発明の実施形態によるシース付き折返しバルーン先端部カテーテル280を示す概略的な横断面図である。図33に示すように、縞模様付き折返しバルーン130Sの印131は、カニューレ又はカテーテル126の透明な遠位部167と組合されて、バルーンの折返しの視覚フィードバックを提供する。特定の実施形態では、印131は、幅約1mmであり、バルーンの全長に沿って約1cmピッチで離間し、非常に目立つ色の消えないマーカーで印刷され又は記されたパッドであるのがよい。パッド印刷(tampographyとも呼ばれる)は、2次元画像を3次元物体上に転写することができる印刷方法である。バルーン130Sの表面上の印131の代わりに又はこれに加えて、他のパターンを使用してもよい。例えば、バルーン130S上の印131は、10cm離間し、印と印の間の残りの間隔ごとにドットを追加してもよい。プッシュロッドをバルーンの長さ5cmの折返しに相当する長さ10cm前進させなければならないとき、透明な遠位部167内で見ることができる各印131は、バルーンの長さ5cmのうまくいった折返しを示す。様々な厚さの印、異なる色の印、異なる数の印を、縞模様とドットの組合せについて説明した仕方と同じ仕方で使用してもよい。特定な実施形態では、色分けされた部分をバルーンに追加して、バルーンの折返しの程度を示してもよい。
【0056】
正方向のバルーンの折返しの程度を患者の身体の外側の医師が外部から見ることができるフィードバックマーカーの本発明の追加の実施形態は、結び目又は縫い目のある糸の使用を含み、これらは、既知の増分で離間して、バルーンの折返しの進行の触覚フィードバックを提供する。結び目又は縫い目は、放射線不透過性であるのがよい。糸は、オペレータにフィードバックするための色分け領域を有するのがよい。図34は、本発明の実施形態による一連の結び目又は縫い目142を有する糸140を示す。バルーン130は、糸、結び目、又は縫い目の視認性を高めるために、透明であるのがよい。特定の実施形態では、結び目又は縫い目は、追加の細胞収集面を構成してもよい。
【0057】
本発明のさらなるフィードバック機構は、バルーンのための超音波生理食塩水-空気マーキング及び正弦波パターンを含み、正弦波の最大値の間の距離は、バルーンの折返しのピッチを定める。
【0058】
本明細書において言及される任意の特許文献または刊行物は、あたかも個々の刊行物が明確に個々に示されて参照により組み込まれるのと同程度に、参照により本明細書中に組み込まれる。前述の説明は本発明の特定の実施態様の実施例であるが、その実施の際に制限されることを意図しない。
【符号の説明】
【0059】
1 卵管
10 導入カテーテル(卵管に対して位置決めか可能なチューブ)
12 非弾性のスリーブ(バルーン)
14 弾性のバルーン(バルーン)
202 ハンドル
204 駆動ホイール
206 プッシュワイヤ
220 内部ハンドルギア機構(アクチュエータ)
222 駆動ギア(第1のギア)
226 アイドルギア
228、230、232 第1のギア~第3のギア(第2のギア~第4のギア)
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図24
図25
図26A
図26B
図27
図28
図29A
図29B
図29C
図30
図31
図32
図33
図34
図35