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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094106
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220617BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206928
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】戸田 将也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恒太
(72)【発明者】
【氏名】松尾 和展
(72)【発明者】
【氏名】神谷 優太
(72)【発明者】
【氏名】森 伸二
(72)【発明者】
【氏名】虎谷 健一郎
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA10
5F083JA02
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR03
5F083PR05
5F101BA45
5F101BB02
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH13
(57)【要約】
【課題】金属元素を含む2つの膜を近接して好適に配置可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体装置は、複数の電極層と複数の絶縁層とを交互に含む積層膜と、前記積層膜内に第1絶縁膜を介して設けられた電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層内に第2絶縁膜を介して設けられた半導体層と、前記電極層と前記絶縁層との間と、前記電極層と前記第1絶縁膜との間とで、前記絶縁膜および前記第1絶縁膜の表面に第3絶縁膜を介して設けられた第1部分とを備える。前記第3絶縁膜は、第1金属元素と第1元素とを含み、前記第1部分は、第2元素と第3元素とを含む。前記電極層は、第2金属元素を含み、前記第1部分側に設けられた第1電極層と、第3金属元素を含み、前記第1部分の逆側に設けられた第2電極層とを備え、前記第2元素と前記第3元素との電気陰性度の差は、前記第1金属元素と前記第1元素との電気陰性度の差よりも大きい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極層と複数の絶縁層とを交互に含む積層膜と、
前記積層膜内に第1絶縁膜を介して設けられた電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層内に第2絶縁膜を介して設けられた半導体層と、
前記電極層と前記絶縁層との間と、前記電極層と前記第1絶縁膜との間とで、前記絶縁膜および前記第1絶縁膜の表面に第3絶縁膜を介して設けられた第1部分とを備え、
前記第3絶縁膜は、第1金属元素と第1元素とを含み、
前記第1部分は、第2元素と第3元素とを含み、
前記電極層は、第2金属元素を含み、前記第1部分側に設けられた第1電極層と、第3金属元素を含み、前記第1部分の逆側に設けられた第2電極層とを備え、
前記第2元素と前記第3元素との電気陰性度の差は、前記第1金属元素と前記第1元素との電気陰性度の差よりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記第1電極層は、前記第1部分に接している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1金属元素は、Al(アルミニウム)であり、前記第2金属元素は、Ti(チタン)である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2元素は、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Y(イットリウム)、Sc(スカンジウム)、La(ランタン)、またはTa(タンタル)であり、前記第3元素は、O(酸素)である、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2元素は、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Y(イットリウム)、またはLa(ランタン)であり、前記第3元素は、Cl(塩素)である、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2元素は、Si(シリコン)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Y(イットリウム)、Sc(スカンジウム)、La(ランタン)、Ta(タンタル)、またはV(バナジウム)であり、前記第3元素は、F(フッ素)である、請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1部分の厚さは、0.1nm以上かつ0.5nm以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1電極層の電気抵抗率は、前記第2電極層の電気抵抗率よりも高く、
前記第1電極層の厚さは、2.0nm以下である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3絶縁膜の誘電率は、前記第1絶縁膜の誘電率よりも高い、請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第3元素は、B(ボロン)、C(炭素)、N(窒素)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、またはAs(ヒ素)である、請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1部分はさらに、希ガス元素である第4元素を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
複数の電極層と複数の絶縁層とを交互に含む積層膜と、
前記積層膜内に第1絶縁膜を介して設けられた電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層内に第2絶縁膜を介して設けられた半導体層と、
前記電極層と前記絶縁層との間と、前記電極層と前記第1絶縁膜との間とで、前記絶縁膜および前記第1絶縁膜の表面に第3絶縁膜を介して設けられた第1部分とを備え、
前記第3絶縁膜は、第1金属元素と第1元素とを含み、
前記第1部分は、第2元素と第3元素とを含み、
前記電極層は、第2金属元素を含み、前記第1部分側に設けられた第1電極層と、第3金属元素を含み、前記第1部分の逆側に設けられた第2電極層とを備え、
前記第3元素は、B(ボロン)、C(炭素)、N(窒素)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、またはAs(ヒ素)である、半導体装置。
【請求項13】
前記第2元素は、H(水素)である、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1部分内の前記第3元素のドーズ量は、1.0×1013atoms/cm以上かつ1.0×1016atoms/cm以下である、請求項12または13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1部分内の前記第3元素の原子濃度は、前記第3絶縁膜内の前記第3元素の原子濃度よりも高い、請求項12から14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1部分はさらに、希ガス元素である第4元素を含む、請求項12から15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
複数の電極層と複数の絶縁層とを交互に含む積層膜と、
前記積層膜内に第1絶縁膜を介して設けられた電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層内に第2絶縁膜を介して設けられた半導体層と、
前記電極層と前記絶縁層との間と、前記電極層と前記第1絶縁膜との間とで、前記絶縁膜および前記第1絶縁膜の表面に第3絶縁膜を介して設けられた第1部分とを備え、
前記第3絶縁膜は、第1金属元素と第1元素とを含み、
前記第1部分は、第2元素と第3元素とを含み、
前記電極層は、第2金属元素を含み、前記第1部分側に設けられた第1電極層と、第3金属元素を含み、前記第1部分の逆側に設けられた第2電極層とを備え、
前記第1部分はさらに、希ガス元素である第4元素を含む、半導体装置。
【請求項18】
前記第2元素は、金属元素である、請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第3元素は、酸素である、請求項17または18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第4元素は、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、またはAr(アルゴン)である、請求項17から19のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では例えば、ブロック絶縁膜内のアルミニウム酸化膜と、電極層内のチタン窒化膜(バリアメタル層)のように、金属元素を含む2つの膜が近接して配置される場合がある。この場合、一方の膜が他方の膜に悪影響を及ぼすおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-168527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属元素を含む2つの膜が近接して配置される場合において、これらの膜を好適に配置することが可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置は、複数の電極層と複数の絶縁層とを交互に含む積層膜と、前記積層膜内に第1絶縁膜を介して設けられた電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層内に第2絶縁膜を介して設けられた半導体層と、前記電極層と前記絶縁層との間と、前記電極層と前記第1絶縁膜との間とで、前記絶縁膜および前記第1絶縁膜の表面に第3絶縁膜を介して設けられた第1部分とを備える。前記第3絶縁膜は、第1金属元素と第1元素とを含み、前記第1部分は、第2元素と第3元素とを含む。前記電極層は、第2金属元素を含み、前記第1部分側に設けられた第1電極層と、第3金属元素を含み、前記第1部分の逆側に設けられた第2電極層とを備え、前記第2元素と前記第3元素との電気陰性度の差は、前記第1金属元素と前記第1元素との電気陰性度の差よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体装置の構造を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/4)である。
図3】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/4)である。
図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/4)である。
図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/4)である。
図6】第1実施形態の吸着促進層について説明するための模式図である。
図7】第2実施形態の吸着促進層について説明するための模式図である。
図8】第2実施形態の吸着促進層について説明するための別の模式図である。
図9】第2実施形態の吸着促進層について説明するための別の模式図である。
図10】第3実施形態の吸着促進層について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図10において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す斜視図である。図1の半導体装置は、例えば3次元型のNANDメモリである。
【0009】
図1の半導体装置は、コア絶縁膜1と、チャネル半導体層2と、トンネル絶縁膜3と、電荷蓄積層4と、ブロック絶縁膜5と、吸着促進層6と、電極層7とを備えている。ブロック絶縁膜5は、絶縁膜5aと、絶縁膜5bとを含んでいる。電極層7は、バリアメタル層7aと、電極材層7bとを含んでいる。絶縁膜5aは第1絶縁膜の例であり、トンネル絶縁膜3は第2絶縁膜の例であり、絶縁膜5bは第3絶縁膜の例である。吸着促進層6は第1部分の例であり、バリアメタル層7aは第1電極層の例であり、電極材層7bは第2電極層の例である。
【0010】
図1では、基板上に複数の電極層と複数の絶縁層とが交互に積層されており、これらの電極層および絶縁層内にメモリホールH1が設けられている。図1は、これらの電極層のうちの1つの電極層7を示している。これらの電極層は例えば、NANDメモリのワード線として機能する。図1は、基板の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向とは一致していなくてもよい。
【0011】
コア絶縁膜1、チャネル半導体層2、トンネル絶縁膜3、電荷蓄積層4、および絶縁膜5aは、メモリホールH1内に形成されており、NANDメモリのメモリセルを構成している。絶縁膜5aは、メモリホールH1内の電極層および絶縁層の表面に形成され、電荷蓄積層4は、絶縁膜5aの表面に形成されている。電荷蓄積層4は、外側の側面と内側の側面との間に電荷を蓄積することが可能である。トンネル絶縁膜3は、電荷蓄積層4の表面に形成され、チャネル半導体層2は、トンネル絶縁膜3の表面に形成されている。チャネル半導体層2は、メモリセルのチャネルとして機能する。コア絶縁膜1は、チャネル半導体層2内に形成されている。
【0012】
絶縁膜5aは、例えばSiO膜(シリコン酸化膜)である。電荷蓄積層4は、例えばSiN膜(シリコン窒化膜)である。トンネル絶縁膜3は例えば、SiO膜、SiON膜(シリコン酸窒化膜)、または両者を含む積層膜である。チャネル半導体層2は、例えばポリシリコン層である。コア絶縁膜1は、例えばSiO膜である。
【0013】
絶縁膜5b、吸着促進層6、バリアメタル層7a、および電極材層7bは、互いに隣接する絶縁層間に形成されており、上側の絶縁層の下面と、下側の絶縁層の上面と、絶縁膜5aの側面とに順に形成されている。
【0014】
絶縁膜5bは例えば、Al膜(アルミニウム酸化膜)などの金属絶縁膜である。本実施形態では、絶縁膜5bの誘電率が、絶縁膜5aの誘電率と異なっており、好ましくは絶縁膜5aの誘電率よりも高くなっている。これにより、消去時の電界を緩和することが可能となり、リーク電流を低減することが可能となる。絶縁膜5b内のAl元素とO元素はそれぞれ、第1金属元素と第1元素の例である。
【0015】
絶縁膜5bは、高い誘電率と高いホールバリアハイトとを有することが望ましい。これにより、書込時や消去時のリーク電流を低減することが可能となる。また、絶縁膜5bの厚さは、1.5nm以上とすることが望ましい。これにより、バリアハイトの効果が十分に得られるバンドギャップを実現することが可能となる。また、絶縁膜5bは、Alのホールバリアハイト以上のホールバリアハイトを有する絶縁材料により形成することが望ましい。絶縁膜5bは例えば、LaF膜(ランタンフッ化膜)などの金属フッ化膜でもよい。
【0016】
吸着促進層6は例えば、HfO膜(ハフニウム酸化膜)などの金属絶縁膜である。本実施形態の吸着促進層6は、絶縁膜5bの形成後にバリアメタル層7aを形成する際に、バリアメタル層7aのソースガスが絶縁膜5bの表面に吸着されやすくなるために設けられている。本実施形態では、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6を介してソースガスを吸着させることで、絶縁膜5bの表面にソースガスを直接吸着させる場合に比べ、ソースガスが吸着されやすくなる。本実施形態の吸着促進層6は、絶縁膜5bの上面、下面、および側面に形成されており、絶縁膜5bに接している。吸着促進層6内のHf元素とO元素はそれぞれ、第2元素と第3元素の例である。
【0017】
吸着促進層6の厚さは、0.1nm以上かつ0.5nm以下とすることが望ましい。吸着促進層6の厚さを0.1nm以上とすることで、吸着促進層6にソースガスを吸着する機能を持たせることが可能となる。また、吸着促進層6の厚さを0.5nm以下とすることで、電極層7の薄膜化に起因する電極層7の高抵抗化を抑制することが可能となる。本実施形態の吸着促進層6は、層とは呼べないほどの薄い厚さや小さいサイズで、絶縁膜5bとバリアメタル層7aとの間に設けられていてもよい。吸着促進層6のさらなる詳細については、後述する。
【0018】
バリアメタル層7aは、電極層7内にて吸着促進層6側に設けられている。バリアメタル層7aは、例えばTiN膜(チタン窒化膜)である。本実施形態では、バリアメタル層7aの電気抵抗率は、電極材層7bの電気抵抗率よりも高くなっているが、バリアメタル層7aの厚さが2.0nm以下となっているため、バリアメタル層7aに起因する電極層7の過度の高抵抗化を抑制することが可能となる。本実施形態のバリアメタル層7aは、吸着促進層6の上面、下面、および側面に形成されており、吸着促進層6に接している。バリアメタル層7a内のTi元素は、第2金属元素の例である。
【0019】
電極材層7bは、電極層7内にて吸着促進層6の逆側に設けられている。電極材層7bは、例えばW(タングステン)層である。電極材層7b内のW元素は、第3金属元素の例である。
【0020】
なお、バリアメタル層7aは、TiN膜以外でもよく、例えばTaN膜(タンタル窒化膜)やWN膜(タングステン窒化膜)でもよい。この場合、バリアメタル層7a内のTa元素やW元素は、第2金属元素の例である。また、電極材層7bは、W層以外でもよく、例えばAl(アルミニウム)層やCu(銅)層やMo(モリブデン)層でもよい。この場合、電極材層7b内のAl元素やCu元素やMo元素は、第3金属元素の例である。
【0021】
図2図5は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0022】
まず、基板11上に下地層12を形成し、下地層12上に複数の犠牲層13と複数の絶縁層14とを交互に形成する(図2)。その結果、下地層12上に、複数の犠牲層13と複数の絶縁層14とを交互に含む積層膜15が形成される。次に、積層膜15と下地層12とを貫通するメモリホールH1を形成する(図2)。その結果、基板11の上面が、メモリホールH1内に露出する。
【0023】
基板11は例えば、Si(シリコン)基板などの半導体基板である。下地層12は例えば、基板11上に順に形成された絶縁膜12a、半導体層12b、および絶縁膜12cを含む積層膜である。絶縁膜12aは例えば、SiO膜、またはSiO膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。半導体層12bは、例えばポリシリコン層である。絶縁膜12cは例えば、SiO膜、またはSiO膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。犠牲層13は、例えばSiN膜である。絶縁層14は、例えばSiO膜である。
【0024】
次に、メモリホールH1内の基板11、下地層12、および積層膜15の表面に、絶縁膜5a、電荷蓄積層4、およびトンネル絶縁膜3を順に形成する。次に、メモリホールH1の底部から、絶縁膜5a、電荷蓄積層4、およびトンネル絶縁膜3をエッチングにより除去する。その結果、基板11の上面が、メモリホールH1内に再び露出する。次に、メモリホールH1内の基板11およびトンネル絶縁膜3の表面に、チャネル半導体層2とコア絶縁膜1とを順に形成する(図3)。その結果、メモリホールH1内の下地層12および積層膜15の側面に、絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1が順に形成される。
【0025】
次に、積層膜15内に不図示のスリットを形成し、このスリットを利用してリン酸などの薬液により犠牲層13を除去する。その結果、絶縁層14間に複数の空洞H2が形成される(図4)。
【0026】
次に、これらの空洞H2内の絶縁層14および絶縁膜5aの表面に、絶縁膜5b、吸着促進層6、バリアメタル層7a、および電極材層7bを順に形成する(図5)。その結果、絶縁膜5aと絶縁膜5bとを含むブロック絶縁膜5が形成される。さらには、各空洞H2内に、バリアメタル層7aと電極材層7bとを含む電極層7が形成される。さらには、下地層12上に、複数の電極層7と複数の絶縁層14とを交互に含む積層膜16が形成される。本実施形態のバリアメタル層7aは例えば、TiN膜であり、ソースガスとしてTiCl(四塩化チタン)ガスを用いて形成される。
【0027】
各空洞H2内では、絶縁膜5b、吸着促進層6、バリアメタル層7a、および電極材層7bが、上側の絶縁層14と下側の絶縁層14との間に形成される。よって、各空洞H2内の絶縁膜5bと吸着促進層6は、上側の絶縁層14の下面、下側の絶縁層14の上面、および絶縁膜5aの側面に形成され、上側の絶縁層14、下側の絶縁層14、および絶縁膜5aと、バリアメタル層7aとの間に挟まれる。本実施形態では、絶縁膜5bが絶縁膜5a側に形成され、吸着促進層6がバリアメタル層7a側に形成される。
【0028】
このようにして、本実施形態の半導体装置が製造される(図5)。図1は、図5に示す半導体装置の一部を示している。
【0029】
なお、本実施形態の半導体装置を製造する際には、図2から図5に示す工程や、これらの前後の工程にて、さらなる処理を行ってもよい。例えば、各金属層を結晶化する結晶化アニールや、積層膜15または積層膜16の上方または下方にさらなる層を形成する処理を行ってもよい。
【0030】
図6は、第1実施形態の吸着促進層6について説明するための模式図である。
【0031】
図6(a)は、TiCl分子21とSiO膜22とを示している。TiCl分子21内のTi元素とCl元素との電気陰性度の差は1.62であり、SiO膜22内のSi元素とO元素との電気陰性度の差は1.54である。図6(a)は、TiClガスをソースガスとして用いて、SiO膜22の表面にバリアメタル層7a(例えばTiN膜)を形成する過程を示している。
【0032】
SiO膜22の表面にバリアメタル層7aを形成しようとする際には、TiCl分子21とSiO膜22との間に引力が作用し、TiCl分子21がSiO膜22の表面に接近する。その結果、TiCl分子21からCl原子が脱離して、TiCl分子21がTiCl イオンに変化し、TiCl イオンがSiO膜22の表面のダングリングボンドに結合する。このようにして、SiO膜22の表面にバリアメタル層7aが形成される。なお、TiCl分子21から生じるイオンは、TiCl イオン以外のイオンでもよい。また、バリアメタル層7aが例えばTiN膜である場合には、TiClガスと共に例えばNHガスがソースガスとして使用される。
【0033】
TiCl分子21とSiO膜22との間の引力は例えば、SiO膜22内のSi元素とO元素との電気陰性度の差が大きいほど大きくなる。理由は、SiO膜22内の双極子モーメントが大きくなるからである。上記電気陰性度の差が大きいと、上記引力が大きくなり、バリアメタル層7aの形成がより促進される。しかしながら、Si元素とO元素との電気陰性度の差は、1.54と小さい。そのため、SiO膜22の表面にはバリアメタル層7aが形成されにくい。
【0034】
図6(b)は、TiCl分子21と、本実施形態の吸着促進層6の一例であるハフニウム酸化膜(HfO膜)23とを示している。図6(b)は、TiClガスをソースガスとして用いて、吸着促進層6(HfO膜23)の表面にバリアメタル層7a(例えばTiN膜)を形成する過程を示している。
【0035】
HfO膜23内のHf元素とO元素との電気陰性度の差は、2.14と大きい。そのため、吸着促進層6の表面にはバリアメタル層7aが形成されやすい。さらに、HfO膜23内のHf元素とO元素との電気陰性度の差(2.14)は、本実施形態の絶縁膜5bの一例であるアルミニウム酸化膜(AlO膜)内のAl元素とO元素との電気陰性度の差(1.83)よりも大きい。そのため、バリアメタル層7aは、絶縁膜5bの表面よりも吸着促進層6の表面に形成されやすい。よって、本実施形態によれば、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6を介してバリアメタル層7aを形成することで、絶縁膜5bの表面にバリアメタル層7aを直接形成する場合に比べ、バリアメタル層7aを容易に形成することが可能となる。
【0036】
例えば、絶縁膜5bの表面にバリアメタル層7aを直接形成する場合には、バリアメタル層7aが形成されにくいことから、本来1つの層になるはずのバリアメタル層7aが、2つ以上の層に分断されるおそれがある。本実施形態によれば、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6を介してバリアメタル層7aを形成することで、このような分断を抑制することが可能となる。本実施形態によれば、バリアメタル層7aを平滑に形成することが可能となり、メモリセルの信頼性を向上させることが可能となる。
【0037】
本実施形態では、以上のような効果を得るために、吸着促進層6内の2つの元素間の電気陰性度の差を大きくすることが望ましく、例えば絶縁膜5b内の2つの元素間の電気陰性度の差よりも大きくすることが望ましい。この場合、吸着促進層6は、HfO膜23以外の膜でもよい。
【0038】
例えば、吸着促進層6は、TiO膜(チタン酸化膜)、ZrO膜(ジルコニウム酸化膜)、YO膜(イットリウム酸化膜)、ScO膜(スカンジウム酸化膜)、LaO膜(ランタン酸化膜)、TaO膜(タンタル酸化膜)などの酸化膜でもよい。
【0039】
また、吸着促進層6は、ZrCl膜(ジルコニウム塩化膜)、HfCl膜(ハフニウム塩化膜)、YCl膜(イットリウム塩化膜)、LaCl膜(ランタン塩化膜)などの塩化膜でもよい。
【0040】
また、吸着促進層6は、SiF膜(シリコンフッ化膜)、TiF膜(チタンフッ化膜)、ZrF膜(ジルコニウムフッ化膜)、HfF膜(ハフニウムフッ化膜)、YF膜(イットリウムフッ化膜)、ScF膜(スカンジウムフッ化膜)、LaF膜(ランタンフッ化膜)、TaF膜(タンタルフッ化膜)、VF膜(バナジウムフッ化膜)などのフッ化膜でもよい。
【0041】
また、吸着促進層6は、これらの例の2つ以上を組み合わせた材料で形成されていてもよい。例えば、吸着促進層6は、TiO膜とZrCl膜とを含む積層膜でもよいし、Ti元素、O元素、Zr元素、およびCl元素を含む膜でもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態では、吸着促進層6内の元素間の電気陰性度の差を、絶縁膜5b内の元素間の電気陰性度の差よりも大きく設定する。よって、本実施形態によれば、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6を介してバリアメタル層7aを好適に形成することが可能となる。
【0043】
なお、本実施形態の吸着促進層6は、Hf元素などの金属元素と、O元素などの非金属元素に加え、その他の元素も含んでいてもよい。例えば、吸着促進層6は、Al元素と、O元素と、H(水素)元素と、B(ボロン)、C(炭素)、N(窒素)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、またはAs(ヒ素)元素とを含んでいてもよい。また、吸着促進層6は、Al元素と、O元素と、希ガス元素であるHe(ヘリウム)、Ne(ネオン)、またはAr(アルゴン)元素とを含んでいてもよい。このような吸着促進層6の例について、第2および第3実施形態で説明する。
【0044】
(第2実施形態)
本実施形態の半導体装置は、図1に示す構造を有し、図2から図5に示す方法で製造される。ただし、本実施形態の吸着促進層6は、第1実施形態の吸着促進層6と異なる材料で形成される。
【0045】
図7は、第2実施形態の吸着促進層6について説明するための模式図である。
【0046】
図7(a)は、TiCl イオン24と、HCl分子25と、本実施形態の絶縁膜5bの一例であるアルミニウム酸化膜(AlO膜)26と、AlO膜26の表面のダングリングボンド26aとを示している。図7(a)は、TiClガスをソースガスとして用いて、絶縁膜5b(AlO膜26)の表面にバリアメタル層7a(例えばTiN膜)を形成する過程を示している。
【0047】
図7(a)では、TiClガス内のTiCl分子と、AlO膜26のダングリングボンド26aに結合しているH(水素)原子とが反応し、TiCl イオン24と、HCl分子25とが生じている。これにより、TiCl イオン24がAlO膜26のダングリングボンド26aに結合可能となり、AlO膜26の表面にバリアメタル層7aが形成される。
【0048】
図7(b)は、図7(a)と同様に、TiCl イオン24と、HCl分子25と、本実施形態の絶縁膜5bの一例であるAlO膜26と、AlO膜26の表面のダングリングボンド26aとを示している。ただし、図7(b)に示すAlO膜26は、図7(a)に示すAlO膜26よりも多くのダングリングボンド26aを有している。これにより、TiCl イオン24がAlO膜26に結合されやすくなり、AlO膜26の表面にバリアメタル層7aが形成されやすくなる。
【0049】
このように、本実施形態のバリアメタル層7aは、ダングリングボンドの個数を増加させることで形成されやすくなる。そこで、本実施形態では、後述する方法でダングリングボンドの個数を増加させる。
【0050】
図8は、第2実施形態の吸着促進層6について説明するための別の模式図である。
【0051】
図8(a)、図8(b)、図8(c)はそれぞれ、BH(モノボラン)分子27、CH(メタン)分子28、NH(アンモニア)分子29を示している。B(ボロン)などの13族元素や、C(炭素)などの14族元素や、N(窒素)などの15族元素は、各原子が不対電子を多く含んでいる。そのため、BH分子27や、CH分子28や、NH分子29は、後述するように多くのダングリングボンドをもらたすことができる。
【0052】
図9は、第2実施形態の吸着促進層6について説明するための別の模式図である。
【0053】
図9(a)は、本実施形態の絶縁膜5bの一例であるAlO膜26と、AlO膜26の表面のダングリングボンド26aとを示している。図9(a)はさらに、BH イオンに変化してAlO膜26のダングリングボンド26aと結合したBH分子27と、CH イオンに変化してAlO膜26のダングリングボンド26aと結合したCH分子28と、NH イオンに変化してAlO膜26のダングリングボンド26aと結合したNH分子29とを示している。
【0054】
本実施形態では、図5に示す工程で絶縁膜5b(AlO膜26)の表面に、図9(a)に示すような態様でBH分子27、CH分子28、およびNH分子29の少なくともいずれかを吸着(結合)させる。その結果、絶縁膜5bの表面に、H元素と、B、C、およびN元素の少なくともいずれかとを含む吸着促進層6が形成される。H元素は第2元素の例であり、B、C、およびN元素は第3元素の例である。
【0055】
なお、本実施形態の吸着促進層6は、H元素と、B、C、およびN元素の少なくともいずれかに加え、Al元素などの金属元素と、O元素などの非金属元素とを含んでいてもよい。例えば、AlO膜26の表面付近でAlO膜26内にBH分子27が取り込まれて吸着促進層6が形成される場合には、吸着促進層6は、AlO膜26内に形成されることになるから、H元素、B元素、Al元素、およびO元素を含むことになる。
【0056】
図9(b)は、TiCl イオン24と、HCl分子25と、本実施形態の絶縁膜5bの一例であるAlO膜26と、AlO膜26の表面のダングリングボンド26aとを示している。図9(b)はさらに、BH イオンに変化してAlO膜26のダングリングボンド26aと結合したBH分子27と、CH イオンに変化してAlO膜26のダングリングボンド26aと結合したCH分子28と、NH イオンに変化してAlO膜26のダングリングボンド26aと結合したNH分子29とを示している。
【0057】
図9(b)では、TiCl イオン24が、BH分子27に由来するダングリングボンド27aや、CH分子28に由来するダングリングボンド28aや、NH分子29に由来するダングリングボンド(不図示)に結合することができる。すなわち、TiCl イオン24が、吸着促進層6のダングリングボンドと結合することができる。これにより、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6を介してバリアメタル層7aが形成される。
【0058】
図9(b)では、各BH分子27が最大で2つのダングリングボンドをもたらすことができ、各CH分子28が最大で3つのダングリングボンドをもたらすことができ、各NH分子29が最大で2つのダングリングボンドをもたらすことができる。よって、本実施形態によれば、絶縁膜5b(AlO膜26)の表面にBH分子27、CH分子28、またはNH分子29を結合させることで、絶縁膜5b(AlO膜26)の表面にBH分子27、CH分子28、またはNH分子29を介してTiCl イオン24を容易に結合させることが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6を形成することで、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6を介してバリアメタル層7aを容易に形成することが可能となる。
【0059】
なお、AlO膜26の表面に結合される分子は、B元素、C元素、およびN元素以外の13~15族元素を含んでいてもよい。例えば、AlO膜26の表面に結合される分子は、Ga(ガリウム)元素、Ge(ゲルマニウム)元素、およびAs(ヒ素)元素の少なくともいずれかを含んでいてもよい。これにより、図9(b)に示す場合と同様の効果を得ることが可能となる。ただし、B元素、C元素、またはN元素を使用する場合には、これらの元素の原子半径が小さいことから、原子を高密度に含む吸着促進層6を形成することが可能となる。一方、Ga元素、Ge元素、またはAs元素を使用する場合には、これらの元素の原子量が大きいことから、吸着促進層6内の原子の拡散を抑制することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態の吸着促進層6内のB、C、N、Ga、Ge、またはAs元素(原子)のドーズ量は、1.0×1013atoms/cm以上かつ1.0×1016atoms/cm以下とすることが望ましい。ドーズ量を1.0×1013atoms/cm以上とすることで、吸着促進層6にソースガスを吸着する機能を持たせることが可能となる。また、ドーズ量を1.0×1016atoms/cm以下とすることで、吸着促進層6に起因するリーク電流の増加を抑制することが可能となる。
【0061】
また、B、C、N、Ga、Ge、またはAs元素は、吸着促進層6内だけでなく、絶縁膜5b内にも含まれていてもよい。この場合、吸着促進層6内のB、C、N、Ga、Ge、またはAs元素の原子濃度(atoms/cm)は、絶縁膜5b内のB、C、N、Ga、Ge、またはAs元素の原子濃度よりも高くすることが望ましい。これにより、絶縁膜5bに起因するリーク電流の増加を抑制することが可能となる。
【0062】
以上のように、本実施形態の吸着促進層6は、B元素、C元素、N元素、Ga元素、Ge元素、As元素などの13~15族元素を含んでいる。よって、本実施形態によれば、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6を介してバリアメタル層7aを好適に形成することが可能となる。
【0063】
なお、本実施形態の吸着促進層6はさらに、He(ヘリウム)元素、Ne(ネオン)元素、Ar(アルゴン)元素などの希ガス元素を含んでいてもよい。希ガス元素を含む吸着促進層6の例については、第3実施形態で説明する。
【0064】
(第3実施形態)
本実施形態の半導体装置は、図1に示す構造を有し、図2から図5に示す方法で製造される。ただし、本実施形態の吸着促進層6は、第1および第2実施形態の吸着促進層6と異なる材料で形成される。
【0065】
図10は、第3実施形態の吸着促進層6について説明するための模式図である。
【0066】
図10(a)は、本実施形態の絶縁膜5bの一例であるAlO膜31と、希ガス原子であるAr(アルゴン)原子32とを示している。AlO膜31内の円は、Al原子およびO原子を示している。図10(a)は、AlO膜31内に不純物原子としてAr原子32が注入される過程を示している。
【0067】
図10(b)は、Ar原子32が注入されたAlO膜31を示している。本実施形態の半導体装置を製造する際には、図5に示す工程において、AlO膜31の表面付近でAlO膜31内にAr原子32を注入する。その結果、Al元素、O元素、およびAr元素を含む吸着促進層6が、AlO膜31の表面付近でAlO膜31内に形成される。このようにして、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6が形成される。Al元素、O元素、およびAr元素はそれぞれ、第2、第3、および第4元素の例である。
【0068】
Ar原子32は、希ガス原子であるため、不対電子を有していない。よって、Ar原子32がAlO膜31内に注入されると、Ar原子32に隣接する原子の不対電子が余ることになり、この不対電子がAlO膜31の表面にダングリングボンド31aをもたらすことになる。これにより、吸着促進層6の表面にダングリングボンド31aが生じ、このダングリングボンド31aにTiCl イオン24が結合する。よって、本実施形態によれば、AlO膜31内にAr原子32を注入することで、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6を介してバリアメタル層7aを容易に形成することが可能となる。
【0069】
AlO膜31内に注入される原子は、Ar原子32以外の希ガス原子でもよく、例えばHe(ヘリウム)原子またはNe(ネオン)原子でもよい。He原子またはNe原子を使用する場合には、これらの原子半径が小さいことから、希ガス原子を高密度に含み、ダングリングボンドを多く含む吸着促進層6を形成することが可能となる。一方、Ar原子32を使用する場合には、その原子量が大きいことから、吸着促進層6内のAr原子32の拡散を抑制し、吸着促進層6内のダングリングボンドを維持することが可能となる。
【0070】
以上のように、本実施形態の吸着促進層6は、He元素、Ne元素、Ar元素などの希ガス元素を不純物元素として含んでいる。よって、本実施形態によれば、絶縁膜5bの表面に吸着促進層6を介してバリアメタル層7aを好適に形成することが可能となる。
【0071】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0072】
1:コア絶縁膜、2:チャネル半導体層、3:トンネル絶縁膜、
4:電荷蓄積層、5:ブロック絶縁膜、5a:絶縁膜、5b:絶縁膜、
6:吸着促進層、7:電極層、7a:バリアメタル層、7b:電極材層、
11:基板、12:下地層、12a:絶縁膜、12b:半導体層、12c:絶縁膜、
13:犠牲層、14:絶縁層、15:積層膜、16:積層膜、
21:TiCl分子、22:SiO膜、23:HfO膜、
24:TiCl イオン、25:HCl分子、26:AlO膜、
26a:ダングリングボンド、27:BH分子、27a:ダングリングボンド、
28:CH分子、28a:ダングリングボンド、29:NH分子、
31:AlO膜、31a:ダングリングボンド、32:Ar原子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10