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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094107
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
G02B15/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206929
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 伸幸
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087KA02
2H087MA15
2H087MA16
2H087RA32
2H087SA23
2H087SA27
2H087SA29
2H087SA32
2H087SA43
2H087SA47
2H087SA49
2H087SA53
2H087SA55
2H087SA57
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SA72
2H087SA74
2H087SA75
2H087SA76
2H087SB03
2H087SB12
2H087SB13
2H087SB22
2H087SB24
2H087SB25
2H087SB26
2H087SB27
2H087SB32
2H087SB34
2H087SB42
(57)【要約】
【課題】小型のズームレンズを提供する。
【解決手段】ズームレンズは、物体側から像側へ順に、2つのレンズからなる正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、複数の後続レンズ群を有し、変倍において第1レンズ群は移動せず、第4から第6レンズ群のうち少なくとも1つのレンズ群は移動し、隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズである。ズームレンズの光学全長をL、ズームレンズの望遠端での焦点距離をft、ズームレンズに含まれる正レンズのうち最も像側の正レンズのアッベ数をνipをとして、L/ft<0.95および10≦νip≦35なる条件式を満足する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、2つのレンズからなる正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、複数の後続レンズ群を有し、変倍において前記第1レンズ群は移動せず、第4から第6レンズ群のうち少なくとも1つのレンズ群は移動し、隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記ズームレンズの光学全長をL、前記ズームレンズの望遠端での焦点距離をft、前記ズームレンズに含まれる正レンズのうち最も像側の正レンズのアッベ数をνipをとして、
L/ft<0.95
10≦νip≦35
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
6つ以下のレンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1として、
L/f1≦2.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記第1レンズ群は、負レンズを含み、
前記負レンズのアッベ数をν1nとして、
24≦ν1n≦45
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記最も像側の正レンズは、正の屈折力のレンズ群に含まれていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記最も像側の正レンズからなるレンズ群を有することを特徴とする請求項5に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記複数の後続レンズ群のうち第4レンズ群以降のレンズ群がフォーカシングのために移動することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記ズームレンズの変倍比をzとして、
z≦3.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2として、
-3.29≦f1/f2≦-1.65
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から8いずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
望遠端での前記第2レンズ群における最も像側のレンズ面から前記後続レンズ群のうち前記第3レンズ群における最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離をD23t、広角端から望遠端までの前記第2レンズ群の移動量をM2、該移動量を広角端での前記第2レンズ群よりも望遠端での前記第2レンズ群が像側に位置する場合に正として、
0.012≦D23t/M2≦0.104
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のズームレンズと、
該ズームレンズにより形成された像を撮る撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ビデオカメラ、TVカメラ、監視カメラ等の撮像装置における小型かつ高変倍比のズームレンズとして、物体側から像側へ順に、正の屈折力のレンズ群と負の屈折力のレンズ群とを有するものが知られている。特許文献1には、物体側から像側へ順に、それぞれ正、負、正および正の屈折力の第1ないし第4レンズ群を有し、変倍(ズーミング)において第2レンズ群および第3レンズ群が移動する変倍比3程度のズームレンズが開示されている。また、特許文献2には、物体側から像側へ順に、それぞれ正、負、正、負および正の屈折力の第1ないし第5レンズ群を有し、変倍において第1、第3および第4レンズ群が移動する変倍比3倍程度のズームレンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-329930号公報
【特許文献2】特開2014-016601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたズームレンズは、第1レンズ群において最も物体側に配された負レンズと第1レンズ群において最も像側に配された正レンズとの距離が長く、ズームレンズの長さの点で不利となりうる。また、特許文献2に開示されたズームレンズは、ズーミングのために第1レンズ群が移動するところ、質量の大きな第1レンズ群を移動させるのは、駆動機構の大きさの点で不利となりうる。本発明は、例えば、小型の点で有利なズームレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に、2つのレンズからなる正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、複数の後続レンズ群を有し、変倍において第1レンズ群は移動せず、第4から第6レンズ群のうち少なくとも1つのレンズ群は移動し、隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズである。ズームレンズの光学全長をL、ズームレンズの望遠端での焦点距離をft、ズームレンズに含まれる正レンズのうち最も像側の正レンズのアッベ数をνipをとして、
L/ft<0.95
10≦νip≦35
なる条件式を満足する。なお、上記ズームレンズを備えた撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、例えば、小型の点で有利なズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1のズームレンズの断面図。
図2】実施例1のズームレンズの広角端における収差図。
図3】実施例1のズームレンズの中間ズーム位置および望遠端における収差図。
図4】実施例2のズームレンズの断面図。
図5】実施例2のズームレンズの広角端における収差図。
図6】実施例2のズームレンズの中間ズーム位置と望遠端における収差図。
図7】実施例3のズームレンズの断面図。
図8】実施例3のズームレンズの広角端における収差図。
図9】実施例3のズームレンズの中間ズーム位置と望遠端における収差図。
図10】実施例4のズームレンズの断面図。
図11】実施例4のズームレンズの広角端における収差図。
図12】実施例4のズームレンズの中間ズーム位置と望遠端における収差図。
図13】実施例5のズームレンズの断面図。
図14】実施例5のズームレンズの広角端における収差図。
図15】実施例5のズームレンズの中間ズーム位置と望遠端における収差図。
図16】実施例6のズームレンズの断面図。
図17】実施例6のズームレンズの広角端における収差図。
図18】実施例6のズームレンズの中間ズーム位置と望遠端における収差図。
図19】各実施例のズームレンズを備えた撮像装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。まず具体的な実施例(数値例)の説明に先立って、各実施例に共通する事項について説明する。
【0009】
各実施例のズームレンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群および複数の後続レンズ群(第3レンズ群~第6レンズ群)を有する。変倍(ズーミング)に際して、第1レンズ群は不動であり、後続レンズ群のうち少なくとも1つのレンズ群が移動する。これにより、小型のズームレンズとして構成されている。また、第1レンズ群を2枚のレンズにより構成することで、軽量化が図られている。
【0010】
さらに各実施例のズームレンズは、Lがズームレンズの光学全長、ftがズームレンズの望遠端での焦点距離、νipがズームレンズに含まれる正レンズのうち最も像側の正レンズのアッベ数であるとき、以下の条件式(1)、(2)を満足する。
【0011】
L/ft<0.95 (1)
10≦νip≦35 (2)
アッベ数は、後述するようにd線(波長587.6nm)を基準とする値である。光学全長は、ズームレンズの最前面(最も物体側のレンズ面)から最終面までの光軸上の距離に後述する「バックフォーカス」を加えた長さである。バックフォーカス中にガラスブロック等の光学素子が配されている場合は、該光学素子により伸びた分もバックフォーカスに加算する。
【0012】
条件式(1)は、ズームレンズの光学全長と望遠端での焦点距離との関係に関する条件を示す。L/ftが条件式(1)の上限値を超えると、光学全長が長くなるため、好ましくない。
【0013】
条件式(2)は、最も像側の正レンズのアッベ数に関する条件を示す。νipが条件式(2)の上限値を超えると、倍率色収差の補正が困難となるため、好ましくない。またνipが条件式(2)の下限値を下回ると、短波長の倍率色収差の補正が困難となるため、好ましくない。第1レンズ群を2枚構成と簡素にしているため、第1レンズ群内で色収差は補正残りが生じるが、条件式(2)を満足することで、ズームレンズ全体の色収差を良好に補正することが可能となる。
【0014】
さらに、各実施例のズームレンズは、全体で6つ以下のレンズ群により構成されることが好ましい。レンズ群数が多いと、これらを保持する鏡筒の機構が煩雑になるため、好ましくない。
【0015】
また、各実施例のズームレンズは、f1が第1レンズ群の焦点距離であるとき、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
【0016】
L/f1≦2.0 (3)
条件式(3)は、ズームレンズの光学全長と第1レンズ群の焦点距離との関係に関する条件である。L/f1が条件式(3)の上限値を超えると、光学全長が長くなるため、好ましくない。
【0017】
また、各実施例のズームレンズは、第1レンズ群に負レンズを含み、かつν1nが第1レンズ群に含まれる負レンズのアッベ数であるとき、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
【0018】
24≦ν1n≦45 (4)
各実施例のズームレンズは、正の屈折力の第1レンズ群内に負レンズを配することで、色収差を補正する。条件式(4)は、第1レンズ群内の負レンズのアッベ数に関する条件を示す。ν1nが条件式(4)の上限値を超えると、望遠端での軸上色収差の補正が困難となるため、好ましくない。ν1nが条件式(4)の下限値を下回ると、望遠端での軸上色収差の補正が過剰になるため、好ましくない。
【0019】
また、各実施例のズームレンズに含まれる正レンズのうち最も像側の正レンズは、全体として正の屈折力を有するレンズ群に含まれていることが望ましい。これは、最も像側の正レンズが正の屈折力のレンズ群内にある方が、正レンズの屈折力を調整し易く、諸収差を補正し易いためである。
【0020】
また、各実施例のズームレンズに含まれる正レンズのうち最も像側の正レンズを含むレンズ群は、その正レンズ1枚により構成されることが望ましい。これは、条件式(2)を満足する硝材は、屈折率が高いことが多く、1枚のレンズでも諸収差を補正し易いためである。
【0021】
また、各実施例のズームレンズは、フォーカシングのために、第4レンズ群以降のレンズ群のうち少なくとも1つのレンズ群が移動することが望ましい。フォーカシングのために移動するレンズ群の質量は小さい方が、これを駆動する機構を構成する上では好ましい。また、フォーカシングに際して焦点距離の変化が少ない方が好ましい。第4レンズ群以降のレンズ群は質量が小さくなり易く、また変倍作用も小さいため、フォーカシングのために移動させるレンズ群として好適である。
【0022】
さらに、各実施例のズームレンズは、zがズームレンズの変倍比であるとき、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
【0023】
z≦3.0 (5)
条件式(5)は、ズームレンズの変倍比に関する条件を示す。zが条件式(5)の上限値を超えると、ズームレンズの光学全長を抑制することが困難となるため、好ましくない
また、各実施例のズームレンズは、f2が第2レンズ群の焦点距離とするとき、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
【0024】
-3.29≦f1/f2≦-1.65 (6)
条件式(6)は、第1レンズ群の焦点距離と第2レンズ群の焦点距離との関係に関する条件である。f1/f2が条件式(6)の上限値を超えると、望遠端での球面収差と軸上色収差の補正が困難となるため、好ましくない。f1/f2が条件式(6)の下限値を下回ると、ズームレンズの光学全長の抑制が困難となるため、好ましくない。
【0025】
また、各実施例のズームレンズは、D23tが望遠端での第2レンズ群の最も像側のレンズ面から第3レンズ群の最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離、M2が広角端から望遠端までの第2レンズ群の移動量とするとき、以下の条件式(7)を満足することが好ましい。なお、M2は、第2レンズ群が広角端に対して望遠端にて像側に位置する場合を正の移動量とする。
【0026】
0.012≦D23t/M2≦0.104 (7)
条件式(7)は、望遠端における第2および第3レンズ群間の間隔(距離)と広角端から望遠端までの第2レンズ群の移動量との関係に関する条件を示す。D23t/M2が条件式(7)の上限値を超えると、変倍比を効率良く確保することが困難となるため、好ましくない。D23t/M2が条件式(7)の下限値を下回ると、鏡筒の構築が困難となるため、好ましくない。
条件式(1)~(7)の数値範囲を以下のように設定することがより望ましい。
【0027】
0.62≦L/ft≦0.90 (1a)
16.6≦νip≦35.0 (2a)
0.85≦L/f1≦1.16 (3a)
25.2≦ν1n≦42.8 (4a)
1.81≦z≦2.79 (5a)
-3.14≦f1/f2≦-1.74 (6a)
0.013≦D23t/M2≦0.100 (7a)
また、条件式(1)~(7)の数値範囲を以下のように設定することがさらに望ましい。
【0028】
0.70≦L/ft≦0.87 (1b)
17.0≦νip≦34.6 (2b)
0.88≦L/f1≦1.12 (3b)
26.0≦ν1n≦41.0 (4b)
2.00≦z≦2.70 (5b)
-3.00≦f1/f2≦-2.00 (6b)
0.013≦D23t/M2≦0.098 (7b)
以下、実施例1~6のズームレンズの具体的な構成について説明する。図1図4図7図10図13および図16は実施例1~6のズームレンズの断面を示している。
【0029】
各断面図において、L1、L2、L3、L4、L5およびL6はそれぞれ、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群、第5レンズ群および第6レンズ群を示している。SPは開口絞り、Iは像面を示している。像面Iには、撮像装置におけるCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子の撮像面または銀塩フィルムの感光面が配置される。Pは撮像素子のフェースプレートやローパスフィルタ等を含むガラスブロックを示している。
【0030】
図1および図7に示す実施例1および実施例3のズームレンズは、正、負、正、負および正の屈折力の第1から第5レンズ群L1~L5により構成されている。第1レンズ群L1は、物体側の正レンズと像側の負レンズの2枚により構成されている。第5レンズ群L5は、ズームレンズにおける最も物体側の正レンズ1枚により構成されている。開口絞りSPは、第3レンズ群L3内に配置されている。
【0031】
実施例1、3のズームレンズにおいて、ズーミングのために第2レンズ群L2と第4レンズ群L4と第5レンズ群L5が光軸方向に移動する。図において第2レンズ群L2と第4レンズ群L4と第5レンズ群L5の下に描かれた矢印は広角端から望遠端へのズーミングに際しての第2レンズ群L2と第4レンズ群L4と第5レンズ群L5の移動軌跡を示している。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群L2と第5レンズ群L5は像側へ移動し、第4レンズ群L4は像側に凸形状の移動軌跡を描くように移動する。
【0032】
また実施例1、3のズームレンズでは、フォーカシングのために第4レンズ群L4が光軸方向に移動する。図において第4レンズ群L4の下に描かれた実線と点線の矢印はそれぞれ、無限遠物体と近距離物体へのフォーカシングに際しての第4レンズ群L4の移動軌跡を示している。
【0033】
図4および図16に示す実施例2および実施例6のズームレンズは、正、負、正、負および正の屈折力の第1から第5レンズ群L1~L5により構成されている。第1レンズ群L1は、物体側の負レンズと像側の正レンズの2枚により構成されている。第5レンズ群L5は、ズームレンズにおける最も物体側の正レンズ1枚により構成されている。開口絞りSPは、第3レンズ群L3内に配置されている。
【0034】
実施例2、6のズームレンズにおいて、ズーミングのために第2レンズ群L2と第4レンズ群L4が光軸方向に移動する。図において第2レンズ群L2と第4レンズ群L4の下に描かれた矢印は、広角端から望遠端へのズーミングに際しての第2レンズ群L2と第4レンズ群L4の移動軌跡を示している。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群L2は像側へ移動し、第4レンズ群L4は物体側へ移動する。
【0035】
また実施例2、6のズームレンズでは、フォーカシングのために第4レンズ群L4が光軸方向に移動する。図において第4レンズ群L4の下に描かれた実線と点線の矢印はそれぞれ、無限遠物体と近距離物体へのフォーカシングに際しての第4レンズ群L4の移動軌跡を示している。
【0036】
図10に示す実施例4のズームレンズは、正、負、正および正の屈折力の第1から第4レンズ群L1~L4により構成されている。第1レンズ群L1は、物体側の正レンズと像側の負レンズの2枚により構成されている。第4レンズ群L4は、ズームレンズにおける最も物体側の正レンズ1枚により構成されている。開口絞りSPは、第3レンズ群L3内に配置されている。
【0037】
実施例4のズームレンズにおいて、ズーミングのために第2レンズ群L2と第4レンズ群L4が光軸方向に移動する。図において第2レンズ群L2と第4レンズ群L4の下に描かれた矢印は、広角端から望遠端へのズーミングに際しての第2レンズ群L2と第4レンズ群L4の移動軌跡を示している。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群L2は像側へ移動し、第4レンズ群L4は物体側に凸形状の移動軌跡を描くように移動する。
【0038】
また実施例4のズームレンズでは、フォーカシングのために第4レンズ群L4が光軸方向に移動する。図において第4レンズ群L4の下に描かれた実線と点線の矢印はそれぞれ、無限遠物体と近距離物体へのフォーカシングに際しての第4レンズ群L4の移動軌跡を示している。
【0039】
図13に示す実施例5のズームレンズは、正、負、正、正、負および正の屈折力の第1から第6レンズ群L1~L6により構成されている。第1レンズ群L1は、物体側の正レンズと像側の負レンズの2枚により構成されている。第6レンズ群L6は、ズームレンズにおける最も物体側の正レンズ1枚により構成されている。開口絞りSPは、第4レンズ群L4内に配置されている。
【0040】
実施例5のズームレンズにおいて、ズーミングのために第2レンズ群L2と第3レンズ群L3と第5レンズ群L5が光軸方向に移動する。図において第2レンズ群L2と第3レンズ群L3と第5レンズ群L5の下に描かれた矢印は広角端から望遠端へのズーミングに際しての第2レンズ群L2と第3レンズ群L3と第5レンズ群L5の移動軌跡を示している。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群L2は像側へ移動し、第3レンズ群L3は像側に凸形状の移動軌跡を描くように移動し、第5レンズ群L5は物体側に移動する。
【0041】
また実施例5のズームレンズでは、フォーカシングのために第5レンズ群L5が光軸方向に移動する。図において第5レンズ群L5の下に描かれた実線と点線の矢印はそれぞれ、無限遠物体と近距離物体へのフォーカシングに際しての第5レンズ群L5の移動軌跡を示している。
【0042】
以下、実施例1~6の具体的な数値例である数値実施例1~6を示す。各数値実施例において、面番号iは物体側から数えたときの面の順番を示す。rは物体側からi番目の面の曲率半径(mm)、dはi番目と(i+1)番目の面間のレンズ厚または空気間隔(mm)、ndは第i面と第i+1面間の光学材料のd線における屈折率である。νdiは第i面と第i+1面間の光学材料のd線を基準としたアッベ数である。
【0043】
光学材料のアッベ数νdは、d線(587.6nm)、F線(波長486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、νd=(Nd-1)/(NF-NC)で表される。
BFはバックフォーカス(mm)を表す。「バックフォーカス」は、ズームレンズの最終面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものである。「レンズ全長」は、ズームレンズの最前面(最も物体側のレンズ面)から最終面までの光軸上の距離にバックフォーカスを加えた長さである。なお、ここでのバックフォーカスは、ガラスブロックPを含まない場合の値である。半画角は、光線追跡により求められた値である。
【0044】
図2図5図8図11図14および図17は数値実施例1~6のズームレンズの広角端における収差図である。図3(A)、(B)、図6(A)、(B)、図9(A)、(B)、図12(A)、(B)、図15(A)、(B)および図18(A)、(B)は、数値実施例1~6のズームレンズの(A)中間ズーム位置および(B)望遠端における収差図である。
【0045】
球面収差図において、FnoはFナンバーを示し、実線はd線(587.6nm)に対する球面収差を、二点鎖線はg線(435.8nm)に対する球面収差をそれぞれ示している。非点収差図において、実線Sはサジタル像面を、破線Mはメリディオナル像面を示している。歪曲収差はd線に対するものを示している。色収差図はg線における倍率色収差を示している。ωは半画角(°)である。
[数値実施例1]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 45.039 6.17 1.49700 81.5
2 -148.501 14.00
3 -65.655 1.02 1.76182 26.5
4 -270.241 (可変)
5 -136.043 0.71 1.74400 44.8
6 20.359 1.79 1.95906 17.5
7 34.443 (可変)
8 18.403 4.65 1.60311 60.6
9 -94.415 0.17
10 21.528 4.13 1.48749 70.2
11 -35.417 1.19 1.90366 31.3
12 37.307 3.24
13(絞り) ∞ 11.00
14 -12.608 0.60 1.90366 31.3
15 27.671 3.31 1.48749 70.2
16 -17.185 0.80
17 41.468 1.99 2.00069 25.5
18 -56.524 (可変)
19 -23.980 0.60 1.48749 70.2
20 30.621 (可変)
21 119.283 3.01 2.00069 25.5
22 -48.065 (可変)
23 ∞ 1.20 1.51633 64.1
24 ∞ 1.00
像面 ∞

各種データ
ズーム比 2.65
広角 中間 望遠
焦点距離 65.13 132.49 172.86
Fナンバー 4.12 4.12 4.84
半画角(°) 9.32 4.59 3.52
像高 10.82 10.82 10.82
レンズ全長 126.66 126.66 126.66
BF 20.68 10.92 8.44

d 4 0.98 27.08 35.78
d 7 35.30 9.20 0.50
d18 4.60 6.81 2.95
d20 6.71 14.27 20.60
d22 18.89 9.13 6.65

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 131.82
2 5 -44.13
3 8 38.44
4 19 -27.49
5 21 34.55
6 23 ∞

[数値実施例2]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 52.567 1.32 1.67270 32.1
2 35.314 6.13 1.49700 81.5
3 -557.518 (可変)
4 -84.863 0.83 1.58144 40.8
5 25.193 3.02 1.95906 17.5
6 36.373 (可変)
7 22.107 5.21 1.85150 40.8
8 278.665 2.52
9 15.379 4.25 1.48749 70.2
10 -80.273 1.17 2.00100 29.1
11 13.582 7.76
12(絞り) ∞ 12.01
13 38.040 1.58 1.71999 50.2
14 -486.330 (可変)
15 -59.811 0.63 1.48749 70.2
16 36.193 (可変)
17 113.897 1.81 1.95906 17.5
18 -120.999 6.72
19 ∞ 1.20 1.51633 64.1
20 ∞ 1.00
像面 ∞

各種データ
ズーム比 2.24
広角 中間 望遠
焦点距離 65.98 120.73 147.81
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
半画角(°) 9.40 5.05 4.10
像高 10.82 10.82 10.82
レンズ全長 126.69 126.69 126.69
BF 8.51 8.51 8.51

d 3 1.50 29.16 38.38
d 6 37.37 9.72 0.50
d14 21.72 11.24 3.70
d16 9.35 19.82 27.37

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 114.61
2 4 -55.75
3 7 49.72
4 15 -46.15
5 17 61.41
6 19 ∞

[数値実施例3]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 40.454 6.41 1.49700 81.5
2 -160.025 12.47
3 -66.793 1.03 1.90366 31.3
4 -327.946 (可変)
5 -92.107 0.73 1.48749 70.2
6 21.401 2.60 1.95906 17.5
7 26.661 (可変)
8 76.270 2.62 1.49700 81.5
9 -39.516 0.17
10 28.656 3.45 1.74400 44.8
11 -43.943 0.65 1.85478 24.8
12 51.368 3.28
13(絞り) ∞ (可変)
14 -35.435 0.60 1.48749 70.2
15 23.156 (可変)
16 64.805 3.63 1.90366 31.3
17 -56.549 (可変)
18 ∞ 1.20 1.51633 64.1
19 ∞ 1.00
像面 ∞

各種データ
ズーム比 2.25
広角 中間 望遠
焦点距離 65.66 118.97 147.88
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
半画角(°) 9.37 5.12 4.10
像高 10.82 10.82 10.82
レンズ全長 126.69 126.69 126.69
BF 21.75 11.98 8.60

d 4 1.21 24.91 32.81
d 7 34.61 10.90 3.00
d13 19.03 20.35 18.55
d15 12.46 20.91 26.10
d17 19.96 10.19 6.81

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 141.66
2 5 -54.16
3 8 36.25
4 14 -28.63
5 16 33.90
6 18 ∞

[数値実施例4]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 54.368 5.16 1.49700 81.5
2 -152.553 14.93
3 -76.256 1.06 1.76182 26.5
4 -170.794 (可変)
5 -76.585 0.70 1.67003 47.2
6 20.504 0.19
7 21.017 1.75 1.96300 24.1
8 36.706 (可変)
9 17.232 4.29 1.49700 81.5
10 -134.824 0.42
11 24.629 3.41 1.49700 81.5
12 -43.555 0.61 1.89190 37.1
13 84.620 2.85
14(絞り) ∞ 10.52
15 -12.323 1.17 1.67003 47.2
16 29.161 0.69
17 -475.420 1.41 1.75500 52.3
18 -27.545 (可変)
19 34.948 4.15 1.63980 34.5
20 -94.005 (可変)
21 ∞ 1.20 1.51633 64.1
22 ∞ 1.00
像面 ∞

各種データ
ズーム比 2.23
広角 中間 望遠
焦点距離 66.33 114.47 147.86
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
半画角(°) 9.43 5.42 4.10
像高 10.82 10.82 10.82
レンズ全長 126.62 126.62 126.62
BF 29.28 23.86 14.78

d 4 1.14 26.08 34.39
d 8 33.74 8.81 0.50
d18 9.15 14.58 23.66
d20 27.49 22.06 12.98

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 125.87
2 5 -46.24
3 9 52.89
4 19 40.33
5 21 ∞

[数値実施例5]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 46.858 7.63 1.49700 81.5
2 -79.530 2.83
3 -71.562 1.30 1.88300 40.8
4 -274.316 (可変)
5 -77.084 0.80 1.57099 50.8
6 53.024 (可変)
7 107.810 0.81 1.95906 17.5
8 193.512 (可変)
9 24.269 3.53 1.48749 70.2
10 -141.966 8.43
11(絞り) ∞ 8.12
12 39.009 1.71 1.53775 74.7
13 -57.992 0.46
14 -26.465 0.60 1.96300 24.1
15 -98.143 (可変)
16 -34.480 0.59 1.49700 81.5
17 21.934 (可変)
18 -706.480 2.28 1.92286 18.9
19 -40.776 6.78
20 ∞ 1.20 1.51633 64.1
21 ∞ 1.00
像面 ∞

各種データ
ズーム比 2.30
広角 中間 望遠
焦点距離 68.17 126.83 156.80
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
半画角(°) 8.90 4.79 3.89
像高 10.82 10.82 10.82
レンズ全長 126.65 126.65 126.65
BF 8.57 8.57 8.57

d 4 1.38 36.37 48.03
d 6 7.04 13.55 2.32
d 8 43.09 1.59 1.15
d15 20.26 8.08 2.42
d17 7.23 19.41 25.06

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 120.40
2 5 -54.90
3 7 252.65
4 9 44.73
5 16 -26.88
6 18 46.81
7 20 ∞

[数値実施例6]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 45.308 5.45 1.49700 81.5
2 -140.538 13.11
3 -69.190 1.00 2.00100 29.1
4 -171.951 (可変)
5 -115.848 0.71 1.48749 70.2
6 28.803 0.17
7 31.288 0.97 1.95906 17.5
8 40.395 (可変)
9 16.364 3.43 1.49700 81.5
10 79.490 13.30
11(絞り) ∞ 2.49
12 43.049 2.48 1.51633 64.1
13 -11.682 0.60 2.00100 29.1
14 200.601 11.91
15 69.759 1.45 1.96300 24.1
16 -68.814 (可変)
17 -29.019 0.60 1.49700 81.5
18 24.160 (可変)
19 -51.500 3.38 1.95906 17.5
20 -26.786 6.78
21 ∞ 1.20 1.51633 64.1
22 ∞ 1.00
像面 ∞

各種データ
ズーム比 1.90
広角 中間 望遠
焦点距離 103.00 168.72 196.00
Fナンバー 5.48 5.77 5.77
半画角(°) 5.92 3.66 3.17
像高 10.82 10.82 10.82
レンズ全長 126.62 126.62 126.62
BF 8.57 8.57 8.57

d 4 0.94 22.56 29.77
d 8 29.33 7.71 0.50
d16 20.18 9.04 4.18
d18 6.54 17.69 22.55

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 130.15
2 5 -70.90
3 9 52.80
4 17 -26.43
5 19 54.55
6 21 ∞

前述した条件式(1)~(7)と数値実施例1~6との関係を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
各実施例によれば、簡素な構成でありながらも十分な変倍比を有する小型のズームレンズを実現することができる。
【0048】
図19(A)、(B)は、上述した各実施例のズームレンズを撮像光学系として用いた撮像装置(監視カメラ)10を示している。図19(A)において、11は監視カメラ本体、16は各実施例のズームレンズを含むレンズ部である。レンズ部16は、カメラ本体11に対して着脱(交換)可能であってもよい。
【0049】
12はカメラ本体11に内蔵され、レンズ部16によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子(光電変換素子)である。13は撮像素子12によって撮像された画像情報を記録するメモリ部である。14は画像情報を外部に転送するためのネットワークケーブルである。
【0050】
図19(B)は、ドーム状のカバー15を装着した監視カメラを天井に取り付けた様子を示している。各実施例のズームレンズを撮影光学系として用いることにより、小型で高い光学性能を有する撮像装置を実現することができる。
【0051】
なお、撮像装置には、監視カメラに限定されることなく、一般的なビデオカメラやデジタルカメラ等も含まれる。
【0052】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
L5 第5レンズ群
L6 第6レンズ群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19