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特開2022-94160意思決定支援装置、意思決定支援プログラム及び意思決定支援方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094160
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】意思決定支援装置、意思決定支援プログラム及び意思決定支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20220617BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20220617BHJP
   G06N 99/00 20190101ALI20220617BHJP
   G06N 5/04 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/04
G06N99/00 180
G06N5/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207018
(22)【出願日】2020-12-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高須賀 将秀
(72)【発明者】
【氏名】小林 敦志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】複数の指標が定義され得る問題を解く際に考慮されるべき要素が新しく追加されても、既存の装置やプログラムを活用して意思決定を行うことを支援すること。
【解決手段】意思決定支援装置は、複数の指標が定義され得る問題を第一指標に着目して解くことにより得られた解を示す第一解データを取得し、当該問題を第一指標と異なる第二指標に着目して解くことにより得られた解を示す第二解データを取得し、当該問題を第一指標及び第二指標に着目して解いた場合に得られる目的解と、第一解データにより示される解との類似度を示す第一類似度データ及び目的解と、第二解データにより示される解との類似度を示す第二類似度データを取得し、第一解データにより示される解との類似度が第一類似度データに基づく第一条件及び第二解データにより示される解との類似度が第二類似度データに基づく第二条件を満たす好適解を探索して出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の指標が定義され得る問題を第一指標に着目して解くことにより得られた解を示す第一解データを取得する第一解データ取得部と、
前記問題を前記第一指標と異なる第二指標に着目して解くことにより得られた解を示す第二解データを取得する第二解データ取得部と、
前記問題を前記第一指標及び前記第二指標に着目して解いた場合に得られる目的解と、前記第一解データにより示される解との類似度を示す第一類似度データ及び前記目的解と、前記第二解データにより示される解との類似度を示す第二類似度データを取得する類似度データ取得部と、
前記第一解データにより示される解との類似度が前記第一類似度データに基づく第一条件及び前記第二解データにより示される解との類似度が前記第二類似度データに基づく第二条件を満たす好適解を探索して出力する好適解探索部と、
を備える意思決定支援装置。
【請求項2】
前記好適解探索部は、前記第一解データにより示される解との類似度が所定の第一範囲に含まれているという前記第一条件を満たし、前記第二解データにより示される解との類似度が所定の第二範囲に含まれているという前記第二条件を満たす前記好適解を探索して出力する、
請求項1に記載の意思決定支援装置。
【請求項3】
前記好適解探索部は、前記目的解を前記好適解として探索して出力する、
請求項1又は請求項2に記載の意思決定支援装置。
【請求項4】
前記好適解探索部は、二分探索を使用して前記好適解を探索する、
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の意思決定支援装置。
【請求項5】
前記好適解探索部は、前記第一指標及び前記第二指標に着目して前記問題を考慮した場合におけるパレート効率性が所定の閾値以上である領域内で前記好適解を探索して出力する、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の意思決定支援装置。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の指標が定義され得る問題を第一指標に着目して解くことにより得られた解を示す第一解データを取得する第一解データ取得機能と、
前記問題を前記第一指標と異なる第二指標に着目して解くことにより得られた解を示す第二解データを取得する第二解データ取得機能と、
前記問題を前記第一指標及び前記第二指標に着目して解いた場合に得られる目的解と、前記第一解データにより示される解との類似度を示す第一類似度データ及び前記目的解と、前記第二解データにより示される解との類似度を示す第二類似度データを取得する類似度データ取得機能と、
前記第一解データにより示される解との類似度が前記第一類似度データに基づく第一条件及び前記第二解データにより示される解との類似度が前記第二類似度データに基づく第二条件を満たす好適解を探索して出力する好適解探索機能と、
を実現させる意思決定支援プログラム。
【請求項7】
複数の指標が定義され得る問題を第一指標に着目して解くことにより得られた解を示す第一解データを第一解データ取得部又は第一解データ取得機能により取得し、
前記問題を前記第一指標と異なる第二指標に着目して解くことにより得られた解を示す第二解データを第二解データ取得部又は第二解データ取得機能により取得し、
前記問題を前記第一指標及び前記第二指標に着目して解いた場合に得られる目的解と、前記第一解データにより示される解との類似度を示す第一類似度データ及び前記目的解と、前記第二解データにより示される解との類似度を示す第二類似度データを類似度データ取得部又は類似度データ取得機能により取得し、
前記第一解データにより示される解との類似度が前記第一類似度データに基づく第一条件及び前記第二解データにより示される解との類似度が前記第二類似度データに基づく第二条件を満たす好適解を好適解探索部又は好適解探索機能により探索して出力する、
意思決定支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意思決定支援装置、意思決定支援プログラム及び意思決定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路等のインフラの老朽化が深刻な社会問題となっている。このため、インフラを点検する工事、インフラを補修する工事等の件数が増加している。これらの工事は、当該工事現場の周辺に位置する情報通信設備、送電線、ガス管、水道管等のライフライン関連設備その他設備に影響を及ぼすことがある。したがって、これらの工事が実施される場合、ライフライン関連設備その他設備に関する知識を有する監督者を工事に立ち会わせる必要がある。
【0003】
複数の工事現場に複数の監督者を割り当てる作業は、様々な要素を考慮して実行される必要がある。これらの要素は、例えば、監督者が複数の工事現場を巡回するために移動する必要がある道程、監督者が複数の工事現場を巡回するために必要な時間、監督者が有する知識、監督者が有する経験及び監督者が所持している装備の少なくとも一つと工事の内容との整合性、監督者が工事を監督する場合に負う負担である。また、これらの要素は、互いに関連し合っている場合やトレードオフの関係にある場合もある。なお、このような割り当て作業のように、複数の要素を考慮した上で行われ、実情に即した好適な結果が得られているかを判断することが困難な作業は、実社会に多数存在する。
【0004】
このような割り当て作業を補助し得る技術として、例えば、特許文献1に開示されている問題解決方法が挙げられる。この問題解決方法は、ポッツスピンを用いた非平衡なニューラルネットワークモデルを用いて複数のカオス解を得るステップおよび複数のカオス解によって得られた複数の解が表現している巡回路の中から最短のものを選び、それを巡回セールスマン問題の解とするステップを含む。この問題解決方法は、一人の監督者が複数の工事現場を巡回するために移動する必要がある道程を自動的に最短にすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09-146908号公報
【0006】
しかし、この問題解決方法は、当該作業を取り巻く状況の変化、割り当て作業を実施する担当者の交代等により割り当て作業を実施する際に考慮されるべき要素が新しく追加された場合であっても、新しく追加された要素を同時に考慮することができない。
【0007】
また、割り当て作業を実施する際に考慮されるべき要素が新しく追加された場合、割り当て作業の解を出力するシステムに実装されているプログラムを更新する作業が必要になる。ところが、このような作業は、考慮されるべき要素の数が増えることによりプログラムが複雑になり、これまで活用されてきた既存のプログラムが流用され得ないため、負担が大きくなることが多い。さらに、これらの問題は、上述した割当作業に限らず、複数の指標が定義され得る問題を解く際に障害となることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の指標が定義され得る問題を解く際に考慮されるべき要素が新しく追加されても、既存の装置やプログラムを活用して意思決定を行うことを支援することができる意思決定支援装置、意思決定支援プログラム及び意思決定支援方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、複数の指標が定義され得る問題を第一指標に着目して解くことにより得られた解を示す第一解データを取得する第一解データ取得部と、前記問題を前記第一指標と異なる第二指標に着目して解くことにより得られた解を示す第二解データを取得する第二解データ取得部と、前記問題を前記第一指標及び前記第二指標に着目して解いた場合に得られる目的解と、前記第一解データにより示される解との類似度を示す第一類似度データ及び前記目的解と、前記第二解データにより示される解との類似度を示す第二類似度データを取得する類似度データ取得部と、前記第一解データにより示される解との類似度が前記第一類似度データに基づく第一条件及び前記第二解データにより示される解との類似度が前記第二類似度データに基づく第二条件を満たす好適解を探索して出力する好適解探索部と、を備える意思決定支援装置である。
【0010】
上述した意思決定支援装置において、前記好適解探索部は、前記第一解データにより示される解との類似度が所定の第一範囲に含まれているという前記第一条件を満たし、前記第二解データにより示される解との類似度が所定の第二範囲に含まれているという前記第二条件を満たす前記好適解を探索して出力してもよい。
【0011】
上述した意思決定支援装置において、前記好適解探索部は、前記目的解を前記好適解として探索して出力してもよい。
【0012】
上述した意思決定支援装置において、前記好適解探索部は、二分探索を使用して前記好適解を探索してもよい。
【0013】
上述した意思決定支援装置において、前記好適解探索部は、前記第一指標及び前記第二指標に着目して前記問題を考慮した場合におけるパレート効率性が所定の閾値以上である領域内で前記好適解を探索して出力してもよい。
【0014】
本発明の一態様は、コンピュータに、複数の指標が定義され得る問題を第一指標に着目して解くことにより得られた解を示す第一解データを取得する第一解データ取得機能と、前記問題を前記第一指標と異なる第二指標に着目して解くことにより得られた解を示す第二解データを取得する第二解データ取得機能と、前記問題を前記第一指標及び前記第二指標に着目して解いた場合に得られる目的解と、前記第一解データにより示される解との類似度を示す第一類似度データ及び前記目的解と、前記第二解データにより示される解との類似度を示す第二類似度データを取得する類似度データ取得機能と、前記第一解データにより示される解との類似度が前記第一類似度データに基づく第一条件及び前記第二解データにより示される解との類似度が前記第二類似度データに基づく第二条件を満たす好適解を探索して出力する好適解探索機能と、を実現させる意思決定支援プログラムである。
【0015】
本発明の一態様は、複数の指標が定義され得る問題を第一指標に着目して解くことにより得られた解を示す第一解データを第一解データ取得部又は第一解データ取得機能により取得し、前記問題を前記第一指標と異なる第二指標に着目して解くことにより得られた解を示す第二解データを第二解データ取得部又は第二解データ取得機能により取得し、前記問題を前記第一指標及び前記第二指標に着目して解いた場合に得られる目的解と、前記第一解データにより示される解との類似度を示す第一類似度データ及び前記目的解と、前記第二解データにより示される解との類似度を示す第二類似度データを類似度データ取得部又は類似度データ取得機能により取得し、前記第一解データにより示される解との類似度が前記第一類似度データに基づく第一条件及び前記第二解データにより示される解との類似度が前記第二類似度データに基づく第二条件を満たす好適解を好適解探索部又は好適解探索機能により探索して出力する、意思決定支援方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の指標が定義され得る問題を解く際に考慮されるべき要素が新しく追加されても、既存の装置やプログラムを活用して意思決定を行うことを支援することができる意思決定支援装置、意思決定支援プログラム及び意思決定支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る意思決定支援装置を構成しているハードウェア及び意思決定支援装置に付帯しているハードウェアの一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る意思決定支援装置の機能的な構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る各解を表す点の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る第一解データにより示される解を表示する画像の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る第一解データにより示される解が表している工事現場の組み合わせを表す隣接行列の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る第一解データにより示される解が表している各工事現場への監督者の割り当てを表す隣接行列の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る第二解データにより示される解を表示する画像の一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る第二解データにより示される解が表している工事現場の組み合わせを表す隣接行列の一例を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る第二解データにより示される解が表している各工事現場への監督者の割り当てを表す隣接行列の一例を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係る目的解と第一解データにより示される解との類似度及び目的解と第二解データにより示される解との類似度を要素として含む類似度行列の一例を示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る意思決定支援装置により無作為に選択された解を表示する画像の一例を示す図である。
図12図11に示した画像に表示されている解が表している工事現場の組み合わせを表す隣接行列の一例を示す図である。
図13図11に示した画像に表示されている解が表している各工事現場への監督者の割り当てを表す隣接行列の一例を示す図である。
図14図11に示した画像に表示されている解と第一解データにより示される解との類似度及び図11に示した画像に表示されている解と第二解データにより示される解との類似度を要素として含む類似度行列の一例を示す図である。
図15】本発明の実施形態に係る意思決定支援装置により探索された解を表示する画像の一例を示す図である。
図16図15に示した画像に表示されている解が表している工事現場の組み合わせを表す隣接行列の一例を示す図である。
図17図15に示した画像に表示されている解が表している各工事現場への監督者の割り当てを表す隣接行列の一例を示す図である。
図18図15に示した画像に表示されている解と第一解データにより示される解との類似度及び図15に示した画像に表示されている解と第二解データにより示される解との類似度を要素として含む類似度行列の一例を示す図である。
図19】本発明の実施形態に係る意思決定支援装置により探索された解を表示する画像の一例を示す図である。
図20図19に示した画像に表示されている解が表している工事現場の組み合わせを表す隣接行列の一例を示す図である。
図21図19に示した画像に表示されている解が表している各工事現場への監督者の割り当てを表す隣接行列の一例を示す図である。
図22図19に示した画像に表示されている解と第一解データにより示される解との類似度及び図19に示した画像に表示されている解と第二解データにより示される解との類似度を要素として含む類似度行列の一例を示す図である。
図23】本発明の実施形態に係る意思決定支援装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から図22を参照しながら実施形態に係る意思決定支援装置、意思決定支援プログラム及び意思決定支援方法について説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る意思決定支援装置を構成しているハードウェア及び意思決定支援装置に付帯しているハードウェアの一例を示す図である。図1に示すように、意思決定支援装置10は、プロセッサ11と、主記憶装置12と、通信インターフェース13と、補助記憶装置14と、入出力装置15と、バス16とを備える。
【0020】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、意思決定支援プログラムを読み出して実行し、意思決定支援装置10が有する各機能を実現させる。また、プロセッサ11は、意思決定支援プログラム以外のプログラムを読み出して実行し、意思決定支援装置10が有する各機能を実現させる上で必要な機能を実現させてもよい。
【0021】
主記憶装置12は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、プロセッサ11により読み出されて実行される意思決定支援プログラム、その他プログラムを予め記憶している。
【0022】
通信インターフェース13は、ネットワークNWを介して演算装置200と通信を実行するためのインターフェース回路である。ネットワークNWは、例えば、インターネット、イントラネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)である。演算装置200は、多目的最適化問題において定義されている複数の指標の一つに着目して多目的最適化問題の解を算出し、当該解を示す解データを生成する装置である。また、演算装置200は、各指標に特化したプログラムが実装されており、着目する指標に応じてプログラムを使い分けて多目的最適化問題の解を算出する。
【0023】
補助記憶装置14は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ROM(Read Only Memory)である。
【0024】
入出力装置15は、例えば、入出力ポート(Input/Output Port)である。入出力装置15は、例えば、図1に示したマウス151、キーボード152及びディスプレイ153が接続される。マウス151及びキーボード152は、例えば、意思決定支援装置10を操作するために必要なデータを入力する作業に使用される。ディスプレイ153は、例えば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ153は、例えば、意思決定支援装置10のグラフィカルユーザインターフェース(GUI:Graphical User Interface)を表示する。
【0025】
バス16は、プロセッサ11、主記憶装置12、通信インターフェース13、補助記憶装置14及び入出力装置15を互いにデータの送受信が可能なように接続している。
【0026】
図1に示した意思決定支援装置10は、多目的最適化問題の解を探索して出力する。多目的最適化問題は、複数の指標が定義され得る問題である。指標は、多目的最適化問題において考慮される必要がある要素を表す。例えば、多目的最適化問題が複数の工事現場に複数の監督者を割り当てる問題である場合、指標は、各監督者が複数の工事現場を巡回するために移動する総移動距離、各監督者が複数の工事現場を巡回するために必要な時間の合計、監督者が有する知識、監督者が有する経験及び監督者が所持している装備の少なくとも一つと工事の内容との整合性の度合い、監督者が工事を監督する場合に負う負担の度合いとなる。ここで言う装備は、例えば、工事を監督する場合に使用される脚立等の機材である。また、多目的最適化問題の解は、出来る限り多数の指標を出来る限り大きくすること又は出来る限り小さくすることが好ましく、出来る限り多数の指標を最大にすること又は最小にすることが更に好ましい。
【0027】
図2は、本発明の実施形態に係る意思決定支援装置の機能的な構成の一例を示す図である。図2に示すように、意思決定支援装置10は、第一解データ取得部101と、第二解データ取得部102と、類似度データ取得部103と、好適解探索部104とを備える。図3は、本発明の実施形態に係る各解を表す点の一例を示す図である。図3の横軸は、後述する第一指標を示している。図3の縦軸は、後述する第二指標を示している。図3は、点P1、点P2、点PX、点PX1、点PX2及び破線Eを示している。
【0028】
第一解データ取得部101は、複数の指標が定義され得る問題を第一指標に着目して解くことにより得られた解M1を示す第一解データを演算装置200から取得する。ここで言う第一指標は、例えば、工事現場の組み合わせの観点から考慮した場合における各監督者の総移動距離であり、既に上述した問題を解く際に考慮されていた指標である。また、解M1は、図3において点P1で表される。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る第一解データにより示される解を表示する画像の一例を示す図である。図4に示した画像L1は、工事現場W1、工事現場W2、…及び工事現場W9各々の位置を地図上に描出している。また、図4に示した画像L1は、監督者A、監督者B、監督者C及び監督者D各々の巡回経路を実線、破線、一点鎖線及び二点鎖線で描出している。図4に示した画像L1は、監督者Aが工事現場W1及び工事現場W2を巡回し、監督者Bが工事現場W3及び工事現場W4を巡回し、監督者Cが工事現場W5及び工事現場W6を巡回し、監督者Dが工事現場W7、工事現場W8及び工事現場W9を巡回する解M1を示している。
【0030】
図5は、本発明の実施形態に係る第一解データにより示される解が表している工事現場の組み合わせを表す隣接行列の一例を示す図である。図5に示した隣接行列は、図4に示した巡回経路を単純無向グラフとして捉えた場合における工事現場同士の接続関係を示している。
【0031】
図5に示した隣接行列は、一行二列目の要素「1」により工事現場W1が工事現場W2と組み合わせられていることを示しており、二行一列目の要素「1」により工事現場W2が工事現場W1と組み合わせられていることを示している。また、図5に示した隣接行列は、七行八列目の要素「1」により工事現場W7が工事現場W8と組み合わせられており、七行九列目の要素「1」により工事現場W7が工事現場W9と組み合わせられていることを示している。また、他の要素「1」も同様の内容を示している。
【0032】
一方、図5に示した隣接行列は、三行一列目の要素「0」により工事現場W3が工事現場W1と組み合わせられていないことを示している。また、図5に示した隣接行列は、四行二列目の要素「0」により工事現場W4が工事現場W2と組み合わせられていないことを示している。また、他の要素「0」も同様の内容を示している。
【0033】
図6は、本発明の実施形態に係る第一解データにより示される解が表している各工事現場への監督者の割り当てを表す隣接行列の一例を示す図である。図6に示した隣接行列は、一行一列目の要素「1」及び一行二列目の要素「1」により監督者Aが工事現場W1及び工事現場W2を巡回することを示している。また、図6に示した隣接行列は、二行三列目の要素「1」及び二行四列目の要素「1」により監督者Bが工事現場W3及び工事現場W4を巡回することを示している。同様に、図6に示した隣接行列は、三行五列目の要素「1」及び三行六列目の要素「1」により監督者Cが工事現場W5及び工事現場W6を巡回することを示している。また、図6に示した隣接行列は、四行七列目から四行九列目の要素「1」により監督者Dが工事現場W7、工事現場W8及び工事現場W9を巡回することを示している。また、他の要素「1」も同様の内容を示している。
【0034】
一方、図6に示した隣接行列は、一行三列目の要素「0」により監督者Aが工事現場W3を巡回しないことを示している。また、図6に示した隣接行列は、二行五列目の要素「0」により監督者Bが工事現場W5を巡回しないことを示している。また、他の要素「0」も同様の内容を示している。
【0035】
第二解データ取得部102は、複数の指標が定義され得る問題を第一指標と異なる第二指標に着目して解くことにより得られた解M2を示す第二解データを演算装置200から取得する。ここで言う第二指標は、例えば、各工事現場への監督者の割り当ての観点から考慮した場合における各監督者の総移動距離であり、上述した問題を解く際に新しく考慮する必要が発生した指標である。このような必要が発生する事情としては、例えば、上述した問題を解く作業を取り巻く状況の変化、当該作業を実施する担当者の交代、当該作業を解く際の方針の変更が挙げられる。また、解M2は、図3において点P2で表される。
【0036】
図7は、本発明の実施形態に係る第二解データにより示される解を表示する画像の一例を示す図である。図7に示した画像L2は、工事現場W1、工事現場W2、…及び工事現場W9各々の位置を地図上に描出している。また、図7に示した画像L2は、監督者A、監督者B及び監督者C各々の巡回経路を実線、破線及び一点鎖線で描出している。図7に示した画像L2は、監督者Aが工事現場W1、工事現場W2及び工事現場W4を巡回し、監督者Bが工事現場W3、工事現場W5及び工事現場W6を巡回し、監督者Cが工事現場W7、工事現場W8及び工事現場W9を巡回する解M2を示している。
【0037】
図8は、本発明の実施形態に係る第二解データにより示される解が表している工事現場の組み合わせを表す隣接行列の一例を示す図である。図8に示した隣接行列は、図7に示した巡回経路を単純無向グラフとして捉えた場合における工事現場同士の接続関係を示している。
【0038】
図8に示した隣接行列は、一行二列目の要素「1」により工事現場W1が工事現場W2と組み合わせられていることを示しており、二行一列目の要素「1」により工事現場W2が工事現場W1と組み合わせられていることを示している。また、図8に示した隣接行列は、七行八列目の要素「1」により工事現場W7が工事現場W8と組み合わせられており、七行九列目の要素「1」により工事現場W7が工事現場W9と組み合わせられていることを示している。また、他の要素「1」も同様の内容を示している。
【0039】
一方、図8に示した隣接行列は、三行一列目の要素「0」により工事現場W3が工事現場W1と組み合わせられていないことを示している。また、図8に示した隣接行列は、四行三列目の要素「0」により工事現場W4が工事現場W3と組み合わせられていないことを示している。また、他の要素「0」も同様の内容を示している。
【0040】
図9は、本発明の実施形態に係る第二解データにより示される解が表している各工事現場への監督者の割り当てを表す隣接行列の一例を示す図である。図9に示した隣接行列は、一行一列目の要素「1」、一行二列目の要素「1」及び一行四列目の要素「1」により監督者Aが工事現場W1、工事現場W2及び工事現場W4を巡回することを示している。また、図9に示した隣接行列は、二行三列目の要素「1」、二行五列目の要素「1」及び二行六列目の要素「1」により監督者Bが工事現場W3、工事現場W5及び工事現場W6を巡回することを示している。同様に、図9に示した隣接行列は、三行七列目の要素「1」から三行九列目の要素「1」により監督者Cが工事現場W7、工事現場W8及び工事現場W9を巡回することを示している。
【0041】
一方、図9に示した隣接行列は、一行三列目の要素「0」により監督者Aが工事現場W3を巡回しないことを示している。また、図6に示した隣接行列は、二行四列目の要素「0」により監督者Bが工事現場W4を巡回しないことを示している。また、他の要素「0」も同様の内容を示している。
【0042】
類似度データ取得部103は、複数の指標が定義され得る問題を第一指標及び第二指標に着目して解いた場合に得られる目的解MXと、第一解データにより示される解M1との類似度を示す第一類似度データを取得する。類似度は、二つの解の間で定義され、二つの解各々の隣接行列の上三角行列の要素のうち値が互いに異なっている数となる。なぜなら、隣接行列により表される二つの単純無向グラフの全ての辺が異なる場合、互いに異なる隣接行列の上三角行列の要素の数は、一つの巡回経路に含まれている工事の数の二倍となるからである。また、類似度は、値が小さい程、二つの解が類似していることを示しており、値が大きい程、二つの解が乖離していることを示している。第一類似度データにより示される類似度は、目的解MXを想定して任意に与えられた類似度であり、例えば、マウス151及びキーボード152を使用して入力される。
【0043】
また、類似度データ取得部103は、複数の指標が定義され得る問題を第一指標及び第二指標に着目して解いた場合に得られる目的解MXと、第二解データにより示される解M2との類似度を示す第二類似度データを取得する。第二類似度データにより示される類似度は、目的解MXを想定して任意に与えられた類似度であり、例えば、マウス151及びキーボード152を使用して入力される。
【0044】
図10は、本発明の実施形態に係る目的解と第一解データにより示される解との類似度及び目的解と第二解データにより示される解との類似度を要素として含む類似度行列の一例を示す図である。図10に示した類似度行列の一行三列目の要素「3/5」及び三行一列目の要素「3/5」は、目的解MXと解M1との類似度を示している。また、図10に示した類似度行列の二行三列目の要素「7/7」及び三行二列目の要素「7/7」は、目的解MXと解M2との類似度を示している。また、図10に示した類似度行列の一行二列目の要素「10/12」及び二行一列目の要素「10/12」は、解M1と解M2との類似度を示している。なお、図10に示した類似度行列の対角成分は、同じ解の間の類似度を示す要素であるため、いずれも「0」となっている。
【0045】
好適解探索部104は、第一解データにより示される解M1との類似度が第一類似度データに基づく第一条件及び第二解データにより示される解M2との類似度が第二類似度データに基づく第二条件を満たす好適解を探索して出力する。
【0046】
第一条件は、例えば、第一解データにより示される解M1との類似度が所定の第一範囲に含まれている解を好適解とする条件である。第一範囲としては、例えば、第一類似度未満の範囲、第一類似度を含む所定の範囲が挙げられる。第二条件は、例えば、第二解データにより示される解M2との類似度が所定の第二範囲に含まれている解を好適解とする条件である。第二範囲としては、例えば、第二類似度未満の範囲、第二類似度を含む所定の範囲が挙げられる。以下の説明では、解M1との類似度が解M1と目的解MXとの類似度に一致しているという条件が第一条件であり、解M2との類似度が解M2と目的解MXとの類似度に一致しているという条件が第二条件である場合を例に挙げて説明する。
【0047】
また、好適解探索部104は、第一指標及び第二指標に着目して問題を考慮した場合におけるパレート効率性が所定の閾値以上である領域内で好適解を探索して出力することが好ましい。例えば、好適解探索部104は、図3に示した破線E上で好適解を探索して出力することが好ましい。さらに、好適解探索部104は、二分探索を使用して好適解を探索することが好ましい。
【0048】
図11は、本発明の実施形態に係る意思決定支援装置により無作為に選択された解を表示する画像の一例を示す図である。初めに、好適解探索部104は、例えば、図11に示した画像LX1により示され、図3において点PX1で表される解MX1を無作為に選択する。解MX1は、図3に示した破線E上に位置している解の一例である。
【0049】
図11に示した画像LX1は、工事現場W1、工事現場W2、…及び工事現場W9各々の位置を地図上に描出している。また、図11に示した画像LX1は、監督者A、監督者B及び監督者C各々の巡回経路を実線、破線及び一点鎖線で描出している。図11に示した画像LX1は、監督者Aが工事現場W1、工事現場W2及び工事現場W4を巡回し、監督者Bが工事現場W3、工事現場W5及び工事現場W8を巡回し、監督者Cが工事現場W6、工事現場W7及び工事現場W9を巡回する解MX1を示している。
【0050】
図12は、図11に示した画像に表示されている解が表している工事現場の組み合わせを表す隣接行列の一例を示す図である。図12に示した隣接行列は、図11に示した巡回経路を単純無向グラフとして捉えた場合における工事現場同士の接続関係を示している。
【0051】
図12に示した隣接行列は、一行二列目の要素「1」により工事現場W1が工事現場W2と組み合わせられていることを示しており、一行四列目の要素「1」により工事現場W1が工事現場W4と組み合わせられていることを示している。また、図12に示した隣接行列は、三行五列目の要素「1」により工事現場W3が工事現場W5と組み合わせられており、三行八列目の要素「1」により工事現場W3が工事現場W8と組み合わせられていることを示している。また、他の要素「1」も同様の内容を示している。
【0052】
一方、図12に示した隣接行列は、三行一列目の要素「0」により工事現場W3が工事現場W1と組み合わせられていないことを示している。また、図5に示した隣接行列は、四行三列目の要素「0」により工事現場W4が工事現場W3と組み合わせられていないことを示している。また、他の要素「0」も同様の内容を示している。
【0053】
図13は、図11に示した画像に表示されている解が表している各工事現場への監督者の割り当てを表す隣接行列の一例を示す図である。図13に示した隣接行列は、一行一列目の要素「1」、一行二列目の要素「1」及び一行四列目の要素「1」により監督者Aが工事現場W1、工事現場W2及び工事現場W4を巡回することを示している。また、図13に示した隣接行列は、二行三列目の要素「1」、二行五列目の要素「1」及び二行八列目の要素「1」により監督者Bが工事現場W3、工事現場W5及び工事現場W8を巡回することを示している。同様に、図13に示した隣接行列は、三行六列目の要素「1」、三行七列目の要素「1」及び三行九列目の要素「1」により監督者Cが工事現場W6、工事現場W7及び工事現場W9を巡回することを示している。
【0054】
一方、図13に示した隣接行列は、一行三列目の要素「0」により監督者Aが工事現場W3を巡回しないことを示している。また、図6に示した隣接行列は、二行四列目の要素「0」により監督者Bが工事現場W4を巡回しないことを示している。また、他の要素「0」も同様の内容を示している。
【0055】
次に、好適解探索部104は、図11に示した画像LX1により示される解MX1と第一解データにより示される解M1との類似度、図11に示した画像LX1により示される解MX1と第二解データにより示される解M2との類似度等を算出し、図14に示した類似度行列を生成する。
【0056】
図14は、図11に示した画像に表示されている解と第一解データにより示される解との類似度及び図11に示した画像に表示されている解と第二解データにより示される解との類似度を要素として含む類似度行列の一例を示す図である。図14に示した類似度行列の一行三列目の要素「8/10」及び三行一列目の要素「8/10」は、解MX1と解M1との類似度を示している。また、図14に示した類似度行列の二行三列目の要素「2/2」及び三行二列目の要素「2/2」は、解MX1と解M2との類似度を示している。また、図14に示した類似度行列の一行二列目の要素「10/12」及び二行一列目の要素「10/12」は、解M1と解M2との類似度を示している。なお、図14に示した類似度行列の対角成分は、同じ解の間の類似度を示す要素であるため、いずれも「0」となっている。
【0057】
次に、好適解探索部104は、解MX1が第一条件及び第二条件を満たしているか否かを判定する。例えば、好適解探索部104は、解MX1と解M1との類似度が目的解MXと解M1との類似度に一致しているという第一条件及び解MX1と解M2との類似度が目的解MXと解M2との類似度に一致しているという第二条件を解MX1が満たしているか否かを判定する。
【0058】
図10に示した類似度行列の三行一列目の要素「3/5」と図14に示した類似度行列の三行一列目の要素「8/10」とを比較した場合、両者が一致していないため、好適解探索部104は、解MX1が第一条件を満たしていないと判定する。また、図10に示した類似度行列の三行二列目の要素「7/7」と図14に示した類似度行列の三行二列目の要素「2/2」とを比較した場合、両者が一致しているため、好適解探索部104は、解MX1が第二条件を満たしていると判定する。したがって、好適解探索部104は、解MX1を好適解として出力しない。
【0059】
図15は、本発明の実施形態に係る意思決定支援装置により探索された解を表示する画像の一例を示す図である。好適解探索部104は、例えば、図15に示した画像LX2により示され、図3において点PX2で表される解MX2を選択する。解MX2は、図3に示した破線E上に位置しており、二分探索を使用して探索された解の一例である。
【0060】
図15に示した画像LX2は、工事現場W1、工事現場W2、…及び工事現場W9各々の位置を地図上に描出している。また、図15に示した画像LX2は、監督者A、監督者B、監督者C及び監督者D各々の巡回経路を実線、破線、一点鎖線及び二点鎖線で描出している。図15に示した画像LX2は、監督者Aが工事現場W1及び工事現場W2を巡回し、監督者Bが工事現場W3及び工事現場W4を巡回し、監督者Cが工事現場W6及び工事現場W7を巡回し、監督者Dが工事現場W5、工事現場W8及び工事現場W9を巡回する解MX2を示している。
【0061】
図16は、図15に示した画像に表示されている解が表している工事現場の組み合わせを表す隣接行列の一例を示す図である。図16に示した隣接行列は、図15に示した巡回経路を単純無向グラフとして捉えた場合における工事現場同士の接続関係を示している。
【0062】
図16に示した隣接行列は、一行二列目の要素「1」により工事現場W1が工事現場W2と組み合わせられていることを示しており、二行一列目の要素「1」により工事現場W2が工事現場W1と組み合わせられていることを示している。また、図16に示した隣接行列は、三行四列目の要素「1」により工事現場W3が工事現場W4と組み合わせられており、四行三列目の要素「1」により工事現場W4が工事現場W3と組み合わせられていることを示している。また、他の要素「1」も同様の内容を示している。
【0063】
一方、図16に示した隣接行列は、三行一列目の要素「0」により工事現場W3が工事現場W1と組み合わせられていないことを示している。また、図16に示した隣接行列は、四行一列目の要素「0」により工事現場W4が工事現場W1と組み合わせられていないことを示している。また、他の要素「0」も同様の内容を示している。
【0064】
図17は、図15に示した画像に表示されている解が表している各工事現場への監督者の割り当てを表す隣接行列の一例を示す図である。図17に示した隣接行列は、一行一列目の要素「1」及び一行二列目の要素「1」により監督者Aが工事現場W1及び工事現場W2を巡回することを示している。また、図17に示した隣接行列は、二行三列目の要素「1」及び二行四列目の要素「1」により監督者Bが工事現場W3及び工事現場W4を巡回することを示している。同様に、図17に示した隣接行列は、三行六列目の要素「1」及び三行七列目の要素「1」により監督者Cが工事現場W6及び工事現場W7を巡回することを示している。また、図17に示した隣接行列は、四行五列目の要素「1」、四行八列目の要素「1」及び四行九列目の要素「1」により監督者Dが工事現場W5、工事現場W8及び工事現場W9を巡回することを示している。
【0065】
一方、図17に示した隣接行列は、一行三列目の要素「0」により監督者Aが工事現場W3を巡回しないことを示している。また、図17に示した隣接行列は、二行五列目の要素「0」により監督者Bが工事現場W5を巡回しないことを示している。また、他の要素「0」も同様の内容を示している。
【0066】
次に、好適解探索部104は、図15に示した画像LX2により示される解MX2と第一解データにより示される解M1との類似度、図15に示した画像LX2により示される解MX2と第二解データにより示される解M2との類似度等を算出し、図18に示した類似度行列を生成する。
【0067】
図18は、図15に示した画像に表示されている解と第一解データにより示される解との類似度及び図15に示した画像に表示されている解と第二解データにより示される解との類似度を要素として含む類似度行列の一例を示す図である。図18に示した類似度行列の一行三列目の要素「2/2」及び三行一列目の要素「2/2」は、解MX2と解M1との類似度を示している。また、図18に示した類似度行列の二行三列目の要素「8/10」及び三行二列目の要素「8/10」は、解MX2と解M2との類似度を示している。また、図18に示した類似度行列の一行二列目の要素「10/12」及び二行一列目の要素「10/12」は、解M1と解M2との類似度を示している。なお、図18に示した類似度行列の対角成分は、同じ解の間の類似度を示す要素であるため、いずれも「0」となっている。
【0068】
次に、好適解探索部104は、解MX2が第一条件及び第二条件を満たしているか否かを判定する。例えば、好適解探索部104は、解MX2と解M1との類似度が目的解MXと解M1との類似度に一致しているという第一条件及び解MX2と解M2との類似度が目的解MXと解M2との類似度に一致しているという第二条件を解MX2が満たしているか否かを判定する。
【0069】
図10に示した類似度行列の三行一列目の要素「3/5」と図18に示した類似度行列の三行一列目の要素「2/2」とを比較した場合、両者が一致していないため、好適解探索部104は、解MX2が第一条件を満たしていないと判定する。また、図10に示した類似度行列の三行二列目の要素「7/7」と図14に示した類似度行列の三行二列目の要素「8/10」とを比較した場合、両者が一致していないため、好適解探索部104は、解MX2が第二条件を満たしていないと判定する。したがって、好適解探索部104は、解MX2を好適解として出力しない。
【0070】
図19は、本発明の実施形態に係る意思決定支援装置により探索された解を表示する画像の一例を示す図である。好適解探索部104は、例えば、図19に示した画像LXnにより示される解MXnを選択する。解MXnは、図3に示した破線E上に位置しており、二分探索を使用して探索された解の一例である。
【0071】
図19に示した画像LXnは、工事現場W1、工事現場W2、…及び工事現場W9各々の位置を地図上に描出している。また、図19に示した画像LXnは、監督者A、監督者B及び監督者C各々の巡回経路を実線、破線及び一点鎖線で描出している。図19に示した画像LXnは、監督者Aが工事現場W1、工事現場W2及び工事現場W4を巡回し、監督者Bが工事現場W3、工事現場W6及び工事現場W7を巡回し、監督者Cが工事現場W5、工事現場W8及び工事現場W9を巡回する解MX2を示している。
【0072】
図20は、図19に示した画像に表示されている解が表している工事現場の組み合わせを表す隣接行列の一例を示す図である。図20に示した隣接行列は、図19に示した巡回経路を単純無向グラフとして捉えた場合における工事現場同士の接続関係を示している。
【0073】
図20に示した隣接行列は、一行二列目の要素「1」により工事現場W1が工事現場W2と組み合わせられていることを示しており、一行四列目の要素「1」により工事現場W1が工事現場W4と組み合わせられていることを示している。また、図20に示した隣接行列は、三行六列目の要素「1」により工事現場W3が工事現場W6と組み合わせられており、三行七列目の要素「1」により工事現場W3が工事現場W7と組み合わせられていることを示している。また、他の要素「1」も同様の内容を示している。
【0074】
一方、図20に示した隣接行列は、三行一列目の要素「0」により工事現場W3が工事現場W1と組み合わせられていないことを示している。また、図20に示した隣接行列は、四行三列目の要素「0」により工事現場W4が工事現場W3と組み合わせられていないことを示している。また、他の要素「0」も同様の内容を示している。
【0075】
図21は、図19に示した画像に表示されている解が表している各工事現場への監督者の割り当てを表す隣接行列の一例を示す図である。図21に示した隣接行列は、一行一列目の要素「1」、一行二列目の要素「1」及び一行四列目の要素「1」により監督者Aが工事現場W1、工事現場W2及び工事現場W4を巡回することを示している。また、図21に示した隣接行列は、二行三列目の要素「1」、二行六列目の要素「1」及び二行七列目の要素「1」により監督者Bが工事現場W3、工事現場W6及び工事現場W7を巡回することを示している。同様に、図20に示した隣接行列は、三行五列目の要素「1」、三行八列目の要素「1」及び三行九列目の要素「1」により監督者Cが工事現場W5、工事現場W8及び工事現場W9を巡回することを示している。
【0076】
一方、図21に示した隣接行列は、一行三列目の要素「0」により監督者Aが工事現場W3を巡回しないことを示している。また、図21に示した隣接行列は、二行一列目の要素「0」により監督者Bが工事現場W1を巡回しないことを示している。また、他の要素「0」も同様の内容を示している。
【0077】
次に、好適解探索部104は、図19に示した画像LXnにより示される解MXnと第一解データにより示される解M1との類似度、図19に示した画像LXnにより示される解MXnと第二解データにより示される解M2との類似度等を算出し、図22に示した類似度行列を生成する。
【0078】
図22は、図19に示した画像に表示されている解と第一解データにより示される解との類似度及び図19に示した画像に表示されている解と第二解データにより示される解との類似度を要素として含む類似度行列の一例を示す図である。図22に示した類似度行列の一行三列目の要素「3/5」及び三行一列目の要素「3/5」は、解MXnと解M1との類似度を示している。また、図22に示した類似度行列の二行三列目の要素「7/7」及び三行二列目の要素「7/7」は、解MXnと解M2との類似度を示している。また、図22に示した類似度行列の一行二列目の要素「10/12」及び二行一列目の要素「10/12」は、解M1と解M2との類似度を示している。なお、図22に示した類似度行列の対角成分は、同じ解の間の類似度を示す要素であるため、いずれも「0」となっている。
【0079】
次に、好適解探索部104は、解MXnが第一条件及び第二条件を満たしているか否かを判定する。例えば、好適解探索部104は、解MXnと解M1との類似度が目的解MXと解M1との類似度に一致しているという第一条件及び解MXnと解M2との類似度が目的解MXと解M2との類似度に一致しているという第二条件を解MX2が満たしているか否かを判定する。
【0080】
図10に示した類似度行列の三行一列目の要素「3/5」と図22に示した類似度行列の三行一列目の要素「3/5」とを比較した場合、両者が一致していないため、好適解探索部104は、解MXnが第一条件を満たしていると判定する。また、図10に示した類似度行列の三行二列目の要素「7/7」と図22に示した類似度行列の三行二列目の要素「7/7」とを比較した場合、両者が一致していないため、好適解探索部104は、解MXnが第二条件を満たしていると判定する。
【0081】
したがって、好適解探索部104は、解MXnを好適解として出力する。また、図22に示した類似度行列は、図10に示した類似度行列と同じ類似度行列である。このため、解MXnは、目的解MXであると言える。なお、好適解が出力される態様としては、例えば、好適解を表示する画像、好適解に関する隣接行列、好適解と解M1との類似度及び好適解と解M2との類似度の少なくとも一つを図1に示したディスプレイ153に表示させる態様が挙げられる。
【0082】
次に、図23を参照しながら実施形態に係る意思決定支援装置が実行する処理の一例を説明する。図23は、本発明の実施形態に係る意思決定支援装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0083】
ステップS10において、第一解データ取得部101は、複数の指標が定義され得る問題を第一指標に着目して解くことにより得られた解を示す第一解データを取得する。
【0084】
ステップS20において、第二解データ取得部102は、複数の指標が定義され得る問題を第二指標に着目して解くことにより得られた解を示す第二解データを取得する。
【0085】
ステップS30において、類似度データ取得部103は、目的解と、第一解データにより示される解との類似度を示す第一類似度データ及び目的解と、第二解データにより示される解との類似度を示す第二類似度データを取得する。
【0086】
ステップS40において、好適解探索部104は、第一解データにより示される解との類似度が第一類似度に基づく第一条件及び第二解データにより示される解との類似度が第二類似度に基づく第二条件を満たす好適解を探索して出力する。
【0087】
以上、実施形態に係る意思決定支援装置10について説明した。意思決定支援装置10は、第一解データ取得部101と、第二解データ取得部102と、類似度データ取得部103と、好適解探索部104とを備える。第一解データ取得部101は、複数の指標が定義され得る問題を第一指標に着目して解くことにより得られた解M1を示す第一解データを取得する。第二解データ取得部102は、複数の指標が定義され得る問題を第二指標に着目して解くことにより得られた解M2を示す第二解データを取得する。類似度データ取得部103は、目的解MXと解M1との類似度を示す第一類似度データ及び目的解MXと解M2との類似度を示す第二類似度データを取得する。好適解探索部104は、第一解データにより示される解M1との類似度が第一類似度に基づく第一条件及び第二解データにより示される解M2との類似度が第二類似度に基づく第二条件を満たす好適解を探索して出力する。
【0088】
このため、意思決定支援装置10は、第一指標を含む複数の指標が定義され得る問題を解く際に新たな指標である第二指標を考慮する必要が生じた場合であっても、当該問題を第一指標に着目して解く既存の装置やプログラム及び当該問題を第二指標に着目して解く新しい装置やプログラムしか必要としない。したがって、意思決定支援装置10は、複数の指標が定義され得る問題を解く際に考慮されるべき要素が新しく追加されても、既存の装置やプログラムを活用して意思決定を行うことを支援することができる。また、これにより、意思決定支援装置10は、複数の指標が定義され得る問題を第一指標及び第二指標を考慮して解く新しい装置やプログラムを開発する労力を省くことができる。
【0089】
また、意思決定支援装置10は、第一解データにより示される解M1との類似度が所定の第一範囲に含まれているという第一条件を満たし、第二解データにより示される解M2との類似度が所定の第二範囲に含まれているという第二条件を満たす好適解を探索して出力する。これにより、意思決定支援装置10は、目的解に比較的近い解又は目的解に等しい解を好適解として探索して出力することができる。
【0090】
また、意思決定支援装置10は、目的解を好適解として探索して出力する。これにより、意思決定支援装置10は、複数の指標が定義され得る問題を取り扱う担当者が最も望んでいる解探索して出力することができる。
【0091】
また、意思決定支援装置10は、二分探索を使用して好適解を探索する。これにより、意思決定支援装置10は、効率的な探索方法を使用して好適解を探索するため、好適解を更に短い時間で探索することができる。或いは、これにより、意思決定支援装置10は、効率的な探索方法を使用して好適解を探索するため、好適解を更に少ない処理負荷で探索することができる。
【0092】
また、意思決定支援装置10は、第一指標及び第二指標に着目して問題を考慮した場合におけるパレート効率性が所定の閾値以上である領域内で好適解を探索して出力する。これにより、意思決定支援装置10は、効率的な探索方法を使用して好適解を探索するため、好適解を更に短い時間で探索することができる。或いは、これにより、意思決定支援装置10は、効率的な探索方法を使用して好適解を探索するため、好適解を更に少ない処理負荷で探索することができる。
【0093】
なお、上述した実施形態では、多目的最適化問題として、複数の監督者を複数の工事に割り当てる問題を例にあげたが、これに限定されない。例えば、上述した多目的最適化問題として、仮想化により複数のハードウェアを統合し、複数のソフトウェアに割り当てる問題が挙げられる。この場合、指標は、例えば、各ハードウェアの稼働率、各ハードウェアに掛かる負荷、各ハードウェアの処理速度となる。或いは、上述した多目的最適化問題として、複数のテーマを有する技術開発を遂行する場合に複数の技術者を複数のテーマに割り当てる問題が挙げられる。この場合、指標は、例えば、各技術者が有する知識及び経験、各テーマの重要度、各テーマの納期、技術開発全体の納期となる。
【0094】
また、上述した実施形態では、図1に示した意思決定支援装置10が有する各機能が意思決定支援プログラムを読み出して実行するプロセッサ11により実現される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。図1に示した意思決定支援装置10が有する機能の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等の回路部(circuitry)を含むハードウェアにより実現されてもよい。或いは、図1に示した意思決定支援装置10が有する機能の少なくとも一部は、ソフトウェアとハードウェアの協働により実現されてもよい。また、これらのハードウェアは、一つに統合されていてもよいし、複数に分かれていてもよい。
【0095】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述した。ただし、本発明の実施形態の具体的な構成は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の組み合わせ、変形、置換及び設計変更の少なくとも一つを上述した実施形態に加えたものであってもよい。
【0096】
また、上述した実施形態で説明した本発明の効果は、例として示した効果である。したがって、本発明は、上述した効果以外にも上述した実施形態の記載から当業者が認識し得る他の効果も奏し得る。
【0097】
なお、本明細書に記載されている内容は、将来、査読付き論文誌に投稿される予定である。
【符号の説明】
【0098】
10…意思決定支援装置、11…プロセッサ、12…主記憶装置、13…通信インターフェース、14…補助記憶装置、15…入出力装置、101…第一解データ取得部、102…第二解データ取得部、103…類似度データ取得部、104…好適解探索部、151…マウス、152…キーボード、153…ディスプレイ、200…演算装置、NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23