(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094180
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】クライミング足場
(51)【国際特許分類】
E04G 3/28 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
E04G3/28 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207058
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】306035122
【氏名又は名称】信和株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501438902
【氏名又は名称】東都機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】臼木 大介
(72)【発明者】
【氏名】阿部 和明
【テーマコード(参考)】
2E003
【Fターム(参考)】
2E003EA02
2E003EB05
(57)【要約】
【課題】揚重機等で吊り揚げができなくなって、下動した際に、衝撃荷重を小さくできるクライミング足場を提供する。
【解決手段】クライミング足場は、レール体20には、桁材32が構築物の階の間隔よりも短い間隔で複数固定されている。支持装置50は、桁材32を受け止めて仮設足場を支持する停止位置と、桁材32の上動時に、受け止めていた桁材32よりも下方に位置する他の桁材32により停止位置から上方へ揺動する。桁材32の通過後は停止位置に復帰する主支持体53及び副支持体54が上下に配置されている。仮設足場が下動した際、主支持体53、または副支持体54が桁材32を受け止める。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在し、構築物の階を亘って配置される被支持延長体を有する仮設足場と、前記構築物の高さの異なる階からそれぞれ外部に向かって延在して設置されるとともに、前記仮設足場を離脱自在に支持する支持装置とを複数備え、前記仮設足場が吊り揚げられることにより、上方へ移動するクライミング足場であって、
前記被支持延長体には、上下方向と直交する方向に延在する被支持部材が、前記構築物の階の間隔よりも短い間隔で複数固定され、
前記支持装置は、前記被支持部材を受け止めて前記仮設足場を支持する停止位置と、前記被支持部材の上動時に、前記受け止めていた被支持部材よりも下方に位置する他の被支持部材により前記停止位置から上方へ揺動し、該被支持部材の通過後は前記停止位置に復帰する第1揺動部材及び第2揺動部材が上下に配置され、
前記仮設足場が下動した際、停止位置に復帰している前記第1揺動部材が、該第1揺動部材よりも上方に位置する被支持部材を受け止めし、または、停止位置に復帰している前記第2揺動部材が、前記第1揺動部材と該第2揺動部材の間に位置する被支持部材を、または、前記第1揺動部材を通過した被支持部材を受け止めるクライミング足場。
【請求項2】
両揺動部材は、前記被支持部材の上動時において、前記停止位置での停止開始と揺動開始の間の時間領域が、相互に重ならないように配置されて、前記被支持部材が下動する際は、両揺動部材のいずれか一方が他方よりも先に前記停止位置に復帰していて、前記被支持部材のいずれか1つを受け止めて支持する請求項1に記載のクライミング足場。
【請求項3】
前記停止位置での停止開始と揺動開始の間の時間領域を停止領域とし、前記揺動開始と前記停止位置での停止開始までの時間領域を作動領域としたとき、前記第2揺動部材の作動領域は、前記第1揺動部材の作動領域と一部が重複していて、前記被支持部材が下動する際は、前記他方よりも先に前記一方が前記停止位置に復帰して、前記被支持部材のいずれか1つを受け止めて支持する請求項2に記載のクライミング足場。
【請求項4】
前記被支持部材は、等間隔で離間配置されている請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のクライミング足場。
【請求項5】
前記第1揺動部材の停止位置での仰角は、前記第2揺動部材(副支持体54)の停止位置での仰角よりも大きくされている請求項4に記載のクライミング足場。
【請求項6】
前記被支持延長体は、相互に平行に配置された一対のレールを含み、前記一対のレール間に前記被支持部材がラダー状に配置されている請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載のクライミング足場。
【請求項7】
前記第1揺動部材は、前記第2揺動部材よりも上方に配置されている請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載のクライミング足場。
【請求項8】
前記被支持部材の通過後に前記停止位置への復帰を促進する復帰促進手段を前記第1揺動部材及び第2揺動部材の少なくともいずれか一方が備える請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項に記載のクライミング足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライミング足場に関する。
【背景技術】
【0002】
クライミング足場は、特許文献1及び特許文献2が公知である。
特許文1のクライミング足場は、上下方向に延在されたレールと、該レールに設けられた支持部材を有している。前記レールは、建物側に支持されたガイドにより、クライミング足場が上昇時にガイドされる。前記支持部材は前記レールに対して常時は水平状態に保持されるとともに、クライミング足場が上昇時に、建物側の支持部に当接することにより揺動して、支持部を通過するようにされている。なお、前記支持部は、建物側の支持部は、建物の各階の駆体梁に設けられている。前記支持部材は、前記支持部を通過後は、自重により元の水平状態に復帰するとともに前記支持部材の上面に載置される。このことにより、クライミング足場は、上昇した位置にて再び、建物の支持部にて支持されるようにされている。
【0003】
特許文献2のクライミング足場は、上下方向に延在されたスライドレールと、該スライドレールに設けられた被支持プレート(被支持部)を有している。建物には、ガイドが設けられて、該ガイドによりクライミング足場が上昇時にスライドレールをガイドする。また、建物には、常時は水平状態に保持されるとともに、クライミング足場が上昇時に、前記被支持プレートが当接することにより上方へ揺動して、該被支持プレートを通過させる支持ブラケットが設けられている。前記ガイド及び支持ブラケットは、各階の外壁に設けられる。また、前記被支持プレートと隣接する他の被支持プレートは、前上の階と下の階のそれぞれの支持ブラケット間の設置距離と同じ距離となるように離間して配置されている。
【0004】
前記支持ブラケットは、前記被支持プレートが通過後は、自重により元の水平状態に復帰する。この状態で、前記クライミング足場が下がって前記被支持プレートが、支持ブラケットの上面に載置される。このことにより、クライミング足場は、上昇した位置にて再び、建物の支持ブラケットにて支持されるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4704123号公報
【特許文献2】特許第5232479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2のクライミング足場を上昇させる場合、クレーン等の揚重機等を用いて行われる。従って、上記クライミング足場は、今まで支持されていた階の支持部または支持ブラケットから離間して、次の上の階の支持部または支持ブラケットまでは、前記揚重機のみで吊り揚げられる。この吊り揚げ段階で、何らかの原因で、吊り揚げができなくなると、クライミング足場は、今まで支持されていた階の支持部または支持ブラケットまで、自重で落下することがある。なお、クライミング足場は、落下する場合、レール(スライドレール)が建物側のガイドにてガイドされているため、倒れることはない。しかし、落下したクライミング足場は、今まで支持していた支持部または支持ブラケットに対して衝突して受け止められることになる。この場合の衝撃荷重は、クライミング足場が今まで支持されていた支持部または支持ブラケットからの上昇距離(離間距離)が長い程大きなものとなる。特に、次の上の階の支持部または支持ブラケットに至る直前まで上昇したときに落下した場合は、その衝撃荷重は最大なものとなる。
【0007】
このように、揚重機による吊り揚げが不能となってクライミング足場が落下した場合の衝撃荷重は、足場の組立構成の観点から、小さい程好ましい。
本発明の目的は、上記課題を解決して、揚重機等で吊り揚げができなくなって、下動した際に衝撃荷重を小さくできるクライミング足場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、本発明のクライミング足場は、上下方向に延在し、構築物の階を亘って配置される被支持延長体を有する仮設足場と、前記構築物の高さの異なる階からそれぞれ外部に向かって延在して設置されるとともに、前記仮設足場を離脱自在に支持する支持装置とを複数備え、前記仮設足場が吊り揚げられることにより、上方へ移動するクライミング足場であって、前記被支持延長体には、上下方向と直交する方向に延在する複数の被支持部材が、前記構築物の階の間隔よりも短い間隔で固定され、前記支持装置は、前記被支持部材の1つを受け止めて前記仮設足場を支持する停止位置と、前記被支持部材の上動時に、前記受け止めていた被支持部材よりも下方に位置する他の被支持部材により前記停止位置から上方へ揺動し、該1つの被支持部材の通過後は前記停止位置に復帰する第1揺動部材及び第2揺動部材が上下に配置され、前記仮設足場が下動した際、停止位置に復帰している前記第1揺動部材が、該第1揺動部材よりも上方に位置する被支持部材を受け止めし、または、停止位置に復帰している前記第2揺動部材が、前記第1揺動部材と該第2揺動部材の間に位置する被支持部材を、または、前記第1揺動部材を通過した被支持部材を受け止めるものである。
【0009】
上記構成によれば、仮設足場が下動した際、停止位置に復帰している第1揺動部材が、第1揺動部材よりも上方に位置する被支持部材を受け止める。または、停止位置に復帰している前記第2揺動部材が、第1揺動部材と第2揺動部材の間に位置する被支持部材を、または、第1揺動部材を通過した被支持部材を受け止める。
【0010】
この結果、揚重機等で吊り揚げができなくなって、仮設足場が下動した際に、被支持部材が、第1揺動部材及び第2揺動部材のいずれか一方に受け止められることになる。従って、被支持部材は、構築物の階の間隔よりも短い間隔で固定されているため、第1揺動部材及び第2揺動部材のいずれか一方に被支持部材が受け止められたときの衝撃荷重を小さくできる。
【0011】
また、両揺動部材は、前記クライミング足場の上動時において、前記停止位置での停止開始と揺動開始の間の時間領域が、相互に重ならないように配置されて、前記クライミング足場が下動する際は、両揺動部材のいずれか一方が他方よりも先に前記停止位置に復帰していて、前記被支持部材のいずれか1つを受け止めて支持するようにしてもよい。
【0012】
上記構成によれば、両揺動部材は、被支持部材の上動時において、停止位置での停止開始と揺動開始の間の時間領域が、相互に重ならないように配置されている。そして、被支持部材が下動する際は、両揺動部材のいずれか一方が、他方よりも先に停止位置に位置していて、被支持部材のいずれか1つを受け止めて支持する。
【0013】
従って、この場合においても、被支持部材は、構築物の階の間隔よりも短い間隔で固定されているため、第1揺動部材及び第2揺動部材のいずれか一方に被支持部材が受け止められたときの衝撃荷重を小さくできる。
【0014】
また、前記停止位置での停止開始と揺動開始の間の時間領域を停止領域とし、前記揺動開始と前記停止位置での停止開始までの時間領域を作動領域としたとき、前記第2揺動部材の作動領域は、前記第1揺動部材の作動領域と一部が重複していて、前記被支持部材が下動する際は、前記他方よりも先に前記一方が前記停止位置に復帰して、前記被支持部材のいずれか1つを受け止めて支持してもよい。
【0015】
上記構成によれば、第2揺動部材の作動領域は、第1揺動部材の作動領域と一部が重複していても、被支持部材が下動する際は、他方よりも先に一方が停止位置に復帰して、被支持部材のいずれか1つを受け止めて支持できる。
【0016】
また、前記複数の被支持部材は、等間隔で離間配置されていてもよい。
上記構成によれば、等間隔で離間配置された、被支持部材であっても、第1揺動部材及び第2揺動部材のいずれか一方に受け止められたときの衝撃荷重を小さくできる。
【0017】
また、前記第1揺動部材の停止位置での仰角は、前記第2揺動部材の停止位置での仰角よりも大きくされていてもよい。
上記構成によれば、第1揺動部材の停止位置での仰角は、前記第2揺動部材の停止位置での仰角よりも大きくされていることにより、第1揺動部材が、揺動を終了したときから停止位置に復帰するまでの時間を第2揺動部材よりも短くできる。この結果、等間隔で配置された被支持部材により作動される第1揺動部材と第2揺動部材とでは、第2揺動部材の作動領域(時間)が相対的に長くなる。従って、第1揺動部材の停止位置での仰角を調整することにより、前記第2揺動部材の作動領域と、前記第1揺動部材の停止領域と一部の重複の調整が容易となる。
【0018】
また、前記被支持延長体は、相互に平行に配置された一対のレールを含み、前記一対のレール間に前記複数の被支持部材がラダー状に配置されていてもよい。
上記構成のように、一対のレール間に被支持部材がラダー状に配置された場合であっても、第1揺動部材及び第2揺動部材のいずれか一方に受け止められたときの衝撃荷重を小さくできる。
【0019】
また、前記第1揺動部材は、前記第2揺動部材よりも上方に配置されていてもよい。
上記構成によれば、第1揺動部材は、前記第2揺動部材よりも上方に配置されていても、第1揺動部材及び第2揺動部材のいずれか一方に受け止められたときの衝撃荷重を小さくできる。
【0020】
また、前記被支持部材の通過後に前記停止位置への復帰を促進する復帰促進手段を前記第1揺動部材及び第2揺動部材の少なくともいずれか一方が備えていてもよい。
上記構成によれば、復帰促進手段により、被支持部材の通過後に前記停止位置への復帰を促進することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、揚重機等で吊り揚げができなくなって、下動した際に、衝撃荷重を小さくできる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】(a)はレール支持枠体の正面図、(b)はレール支持枠体の正面図。
【
図6】レール組立ユニット30とレール支持枠体の連結構造を示す斜視図。
【
図7】保持ブラケットと、保持連結材との係合を示す部分断面図。
【
図8】レール体とレール支持枠体との連結構造を示す断面図。
【
図9】レール組立ユニット同士の連結構造を示す断面図。
【
図13】主支持体及び副支持体の停止位置に位置している状態の支持装置の断面図。
【
図14】主支持体及び副支持体が揺動している状態の支持装置の断面図。
【
図15】仮設足場を支持している状態の支持装置の断面図。
【
図16】仮設足場が上動している状態の支持装置の断面図。
【
図17】仮設足場が上動している状態の支持装置の断面図。
【
図18】仮設足場が上動している状態の支持装置の断面図。
【
図19】仮設足場が上動している状態の支持装置の断面図。
【
図20】仮設足場が上動している状態の支持装置の断面図。
【
図21】仮設足場が上動している状態の支持装置の断面図。
【
図22】仮設足場が上動した後、仮設足場を支持している状態の支持装置の断面図。
【
図23】(a)は主支持体の揺動角度の変化の説明図、(b)は副支持体の揺動角度の変化の説明図。
【
図24】(a)は他の実施形態の主支持体の揺動の説明図、(b)は他の実施形態の副支持体の揺動の説明図。
【
図25】(a)は
図24とは異なる他の実施形態の主支持体の揺動の説明図、(b)は他の実施形態の副支持体の揺動の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態のクライミング足場を
図1~
図23を参照して説明する。
クライミング足場は、建築物等の構築物の外部の壁面に沿って配置された
図1に示す仮設足場10と、構築物の各階に設けられた支持装置50を備えている。以下で説明する仮設足場10及び支持装置50等を構成する各部材は鉄鋼製である。
【0024】
<仮設足場10>
本実施形態では、仮設足場10は楔締結式足場であって、所定間隔で鋼管からなる複数の支柱12が配置されている。
図1及び
図2に示すように各支柱12間には水平材13、先行手摺14、踏板15、階段16などが連結固定されて構成されている。
【0025】
図1及び
図2に示すように仮設足場10の構築物側には、支柱12間に連結された一対のレール支持枠体22が相互に離間して配置されている。各レール支持枠体22により、上下方向に延在するレール体20が支持されている。レール体20は、被支持延長体に相当する。
【0026】
<レール支持枠体22>
図4、及び
図5に示すようにレール支持枠体22は、複数の四角柱状の組立ユニット24が上下に連結されることにより構成されている。
【0027】
組立ユニット24は、4本の管状の支柱26と、各支柱26の上下両端間及び中間部間をそれぞれ一体に連結するトラス連結プレート27と、構築物側に配置される支柱26と、反構築物側に配置される支柱26間を連結してラダー状に配置された複数の連結プレート28とにて構成されている。トラス連結プレート27及びトラス連結プレート27の支柱26に対する連結は溶接で行われている。なお、支柱26は、支柱12と同一構成であって、長さ方向において、所定間隔毎にポケットを有する締結部26a(
図4、
図5参照)が形成されている。支柱26は、該締結部26aのポケットに対して水平材13等の端部が備える楔が打ち込まれて、他の支柱12と緊結されることにより連結されている。
【0028】
図5に示すように組立ユニット24同士は、上下方向において、相互に対向する支柱26の端部内に連結部材29が挿入されて、上方に位置する支柱26及び連結部材29の上部、並びに下方に位置する支柱26及び連結部材29の下部に対してピン29a(
図4(a)及び
図4(b)参照)がそれぞれ抜き出し不能に挿通される。このことにより、組立ユニット24同士は、一体に連結されている。このように、組立ユニット24同士が複数個上下に連結されることにより、レール支持枠体22が構成されている。
【0029】
<レール体20>
レール体20は、レール組立ユニット30が上下に連結されることにより構成されている。
図5、
図8、及び
図9に示すようにレール組立ユニット30は、離間して平行状態で対向配置された溝形鋼からなる一対のレール31と、両レール31のウェブ31aの背面同士を連結する複数の桁材32とを有している。桁材32は、上下方向と直交する方向に延在して配置されている。桁材32は、被支持部材に相当する。ウェブ31aの幅方向両端には構築物側に位置するフランジ31cと反構築物側に位置するフランジ31bが形成されている。
【0030】
レール体20の桁材32は、レール組立ユニット30同士が相互に連結された状態で、所定のピッチPで等間隔となるように上下にラダー状に配置されている。ピッチPは、支持装置50が配置される階と隣接する他の階の間隔よりも短い間隔とされている。ピッチPは、例えば、150mmであるが、この値に限定するものではない。
【0031】
図4及び
図5に示すように、桁材32よりも反構築物側における両レール31のウェブ31aの背面間は、上下方向において離間した一対の保持連結材34により一体に連結されている。
【0032】
図5及び
図9に示すようにレール組立ユニット30同士は、連結部材35により相互に連結されている。
図9に示すように、連結部材35は、断面コ字状のチャネル部36と、チャネル部36の両端に対して相互に反対の外方向へ直交して折り曲げられた一対のフランジ37を有している。フランジ37の先端は、チャネル部36側へ直交して折り曲げられたリップ38が形成されている。
図9に示すようにチャネル部36の上下両部は、隣接する一方のレール組立ユニット30と他方のレール組立ユニット30の各対のレール31の上端、下端のウェブ31a間にそれぞれ嵌合されている。
【0033】
この状態で、
図9に示すようにチャネル部36の上下両部、及び両方のレール組立ユニット30の各対のレール31の上端、下端のウェブ31aに複数のピン39がそれぞれ抜き出し不能に挿通されることにより、上下に位置するレール組立ユニット30同士が連結されている。また、
図9に示すように、連結部材35において、チャネル部36とリップ38間に一対のレール31の反構築物側に位置するフランジ31bが嵌合されている。
【0034】
図5、
図6及び
図8に示すように、組立ユニット24には、レール体20を取付固定する取付部材40が複数固定されている。本実施形態では、各レール組立ユニット30は一対の取付部材40により組立ユニット24に対して取り付けられている。
【0035】
取付部材40は、長方形状の四角板状の底板41、底板41の三方側片からそれぞれ立設された側壁42、43,44を有する。
図6及び
図8に示すように側壁42、44は、相互に対向配置されていて、相互に対向配置された一対の連結プレート28の内面に対してボルト45及びナット46により締付固定されている。側壁42、44間に位置する側壁43には、レール体20の一対のレール31のウェブ31aがそれぞれ一対のボルト47及びナット48により締付固定されている。
【0036】
図6及び
図7に示すように側壁43には、保持ブラケット49が溶接等により固定されている。保持ブラケット49は、レール体20のレール31間の間隙内に延出されて挿入されている。
図7に示すように保持ブラケット49の上面には、係合凹部49aが凹設されている。
【0037】
レール体20が取付部材40に取り付けられる場合、係合凹部49aに対してレール体20の保持連結材34が係合されて載置されることにより、レール体20のレール支持枠体22に対する取付位置が決定される。そして、この取付位置が決定された状態で、側壁43に対してボルト47及びナット48を使用することによりレール体20のレール支持枠体22に対する取付が容易にできるようにされている。
【0038】
<支持装置50>
図3に示すように、支持装置50は、構築物Kの各階において、スラブ先端に設けられた立ち上がり部Kaに対して取付ブラケット71を介して支持されている。
【0039】
取付ブラケット71は、立ち上がり部Kaに係合可能な下向きの三方枠状に形成されている。取付ブラケット71は、立ち上がり部Kaの上面に載置されて当接する上部水平部72と、その一端から下方へ延出されて、下部が立ち上がり部Ka内面に臨む内側垂直部73と、他端から下方へ延出されて、下部が立ち上がり部Ka外面に臨む外側側垂直部74とを有する。内側垂直部73には、押しボルト75が螺合されている。押しボルト75が内側垂直部73に螺入されて立ち上がり部Ka内面を押圧することにより、取付ブラケット71は、該押しボルト75と外側側垂直部74との間で立ち上がり部Kaを着脱自在に挟着して取り付けられている。
【0040】
図3に示すように外側側垂直部74の外面には、アーム74aを介して平板状の取付板76が一体に固定されている。取付板76には支持装置50が取り付けられている。
図3及び
図10に示すように支持装置50は、ハウジング52と、主支持体53、副支持体54及び一対のガイドローラ部55を備えている。主支持体53は、第1揺動部材に相当する。副支持体54は第2揺動部材に相当する。
【0041】
(ハウジング52)
図10、
図11に示すようにハウジング52は、各レール組立ユニット30において、一対のレール31のフランジ31cに対してそれぞれ相対して配置される一対の翼部60と、各翼部60から構築物側に延在する延出部61と、延出部61の外端に一体に固定されたベースプレート62とを有している。
【0042】
各翼部60は断面チャンネル状の翼部本体63と、翼部本体63の上下両端の開口周縁に溶接等により固定された仕切板64とを備えている。両翼部本体63は、その背面が相互に対向して配置されて上下方向に延在して配置されるとともに、後述する各種の軸が架設されることにより間隙を有するように一体に連結されている。
【0043】
図10に示すように、両延出部61は、断面チャンネル状に形成されており、その背面が相互に対向して配置されている。両延出部61の上面と、翼部本体63の構築物側側面との間には一対のリブ65がそれぞれ溶接固定されている。
図3に示すように、ベースプレート62は、取付ブラケット71の取付板76に対して、ボルト62a及びナット62bにより着脱自在に取り付けられている。
【0044】
(ガイドローラ部55)
ガイドローラ部55は、翼部本体63毎に設けられている。
図10、
図12~
図14に示すように、両翼部本体63間には、上下に一対の固定軸66、67が架設されている。両固定軸66、67の両端は、両翼部本体63から外部に突出されていて、一対のローラ68、69が回動自在に設けられている。
図10及び
図12に示すように、レール31のフランジ31cに相対する両翼部本体63のフランジには、コ字状の凹部63aが形成されている。ローラ68、69は凹部63aを介してフランジ31cの外面に当接されていて、レール31が上下動した際に、回転する。なお、本明細書で、下動は、仮設足場10を揚重機等で吊り下げする場合と、落下する場合も含む趣旨である。
【0045】
翼部本体63のウェブ外面において、両固定軸66の間に位置するように、ローラ支持部材70が一体に固定されている。
図10、
図11に示すように、ローラ支持部材70の先端は、レール31のフランジ31cを超えるように延出されている。
図12、
図14に示すように、ローラ支持部材70の先端には、固定軸77が固定されている。固定軸77には、ローラ78が回動自在に取り付けられている。
図11に示すように、ローラ78は、フランジ31cの内面に当接されていて、レール31が上下動した際に回転する。
【0046】
(主支持体53)
図13、
図14に示すように、両翼部本体63間には、一対の支持軸80、81が上下に離間して架設されている。なお、
図13及び
図14は、
図15~
図22と異なり、レール体20は図示されておらず、主支持体53及び副支持体54が作動する範囲を示すための図である。
【0047】
支持軸80には、主支持体53が回動自在に支持されている。主支持体53は、支持軸80が下端寄りに支持していることにより、上端側が重心で傾くようにされている。この重心の支持軸80に対する偏位は、復帰促進手段に相当する。支持軸80の上端には、レール31の桁材32を嵌合する係止凹部53aが設けられている。両翼部本体63間において、支持軸80よりもレール31側であって、支持軸80より上方の位置、並びに下方の位置には、ストッパ82、83が架設されている。
【0048】
図13に示すように主支持体53は、支持軸80よりも上方に位置する部位がストッパ82に係止されることにより、主支持体53が斜め上方に向く状態となる。すなわち、主支持体53は、ストッパ82に係止された停止位置で、後述する副支持体54よりも大きな仰角を有するようにしている。この状態のときの姿勢を主支持体53の支持姿勢という。
図13に示すようにこの支持姿勢で、レール体20の桁材32を支持可能となっている。
【0049】
また、レール体20が上動する際は、係止凹部53aに係止されていた桁材32が上方へ移動した後、その桁材32よりも下方に位置する桁材32が主支持体53の先端下側に干渉することにより、主支持体53は上方へ回動可能となっている。
【0050】
ストッパ83は主支持体53が支持姿勢の状態から、上方へ回動した際、
図14に示すように、支持軸80よりも下方に位置する部位が主支持体53の下端に係止して、その回動量が制限される。
図14に示すように、この回動位置に位置している際は、主支持体53は、桁材32とは干渉しない退避姿勢となる。退避姿勢の状態となった主支持体53は、レール体20側に傾斜して、その重心が支持軸80を通過する鉛直線L1よりもレール体20側に位置するように設定されている。すなわち、主支持体53は、非拘束の状態では、重力により、ストッパ82側へ常に回動するようにされている。
【0051】
図13、
図14に示すように、一対のリブ65間には、ホルダ支持軸84及びホルダストッパ86が架設されている。
ホルダ支持軸84には、ホルダ85が回動自在に支持されている。ホルダ85は、
図13に示す回動位置において、ホルダ85の下部に設けられた錘87がホルダストッパ86に係止される。この状態では、錘87の重みにより、ホルダ85は、この回動位置に保持可能となっている。この回動位置に位置した状態でのホルダ85を上向きとする。
【0052】
ホルダ85は、
図13の状態から上方へ回動されて、下向きとなるようにホルダ支持軸84の回りで回動されると、ホルダストッパ86に係止可能となっている。ホルダストッパ86にホルダ85が係止された状態は、ホルダ85の上方に位置する錘87の重みにより維持可能となっている。ホルダ85の先端は、ホルダストッパ86に下向きで係止された際は、退避姿勢の状態となった主支持体53の下端に係合することにより、主支持体53のこの状態を保持するようにされている。
【0053】
(副支持体54)
図13、
図14に示すように主支持体53よりも下方に位置する支持軸81には副支持体54が長手方向の中央部にて回動自在に支持されている。すなわち、副支持体54は、
図13に示す水平状態と
図14に示す起立状態間の状態遷移が可能となっている。
【0054】
両翼部本体63間において、支持軸81よりも反レール31側(構築物側)には、上下に離間する一対のストッパ90、91が架設されている。また、両ストッパ90、91は、支持軸80よりも上方に位置している。
【0055】
副支持体54は、基端がストッパ91の下面に係止することにより、水平状態になるとともに、先端がストッパ90のレール体20に向かう側の面に係止されることにより、起立状態となって、これ以上の回動が規制される。
【0056】
副支持体54の支持軸81の周囲の一部には、錘92が一体に形成されている。錘92は、副支持体54が起立状態になった際、錘92によりその重心が支持軸81を通過する鉛直線L2よりもレール体20側に位置するように設定されている。すなわち、起立状態の副支持体54は、非拘束の状態では、重力により、先端がレール体20側へ常に回動するようにされている。また、副支持体54は、起立状態から上記のように回動して、
図13に示すようにその基端がストッパ91に係止されると、錘92の重量により水平状態の保持が可能となっている。また、副支持体54がストッパ90に係止された状態の姿勢は、前記先端が、桁材32の移動軌跡から退避して桁材32とは非干渉となる退避姿勢という。錘92は、復帰促進手段に相当する。
【0057】
副支持体54の先端面は、桁材32が通過し易いように凸状の円弧面を有している。副支持体54の先端は、副支持体54が水平状態となった際は、桁材32の移動軌跡上に位置するように延出されていて、
図18に示すように移動する桁材32と干渉可能とされている。副支持体54の先端において、水平状態となった際の上面には、桁材32を受け入れ可能とする係止凹部54aが設けられている。本実施形態では、副支持体54が水平状態となったときの姿勢を副支持体54の支持姿勢という。この支持姿勢で、レール体20が下動した場合において、桁材32を係止凹部54aで支持可能となっている。
【0058】
図12、
図13及び
図14に示すように、両延出部61の下面には、取付プレート93を介してストッパガイド94が一体に固定されている。ストッパガイド94は、断面チャンネル状に形成されて上方の開口部が取付プレート93により閉塞されている。ストッパガイド94は、先端が両翼部60間の空間に向けられている。ストッパガイド94内にはストッパピン95が長手方向に摺動自在に収納されている。
【0059】
ストッパピン95は、
図13に示すようにストッパガイド94内に埋没して収納される収納位置と、
図14に示すように先端が、退避姿勢の副支持体54の下端に係止する位置までの範囲で往復移動自在となっている。
【0060】
図13及び
図14に示すように、ストッパガイド94の周壁には、長手方向に延在するガイド長孔96が設けられている。ガイド長孔96の長手方向に位置する両端には、ガイド長孔96の延在方向とは直交する方向に凹設された一対の凹部96a、96bが形成されている。ストッパピン95には、ガイド長孔96を介して外部に突出した操作部97を有している。操作部97がガイド長孔96を摺動して凹部96aに係入されると、ストッパピン95が退避姿勢の副支持体54の下端に係止して、この姿勢を保持可能となっている。操作部97がガイド長孔96を摺動して凹部96bに係入されると、ストッパピン95をストッパガイド94内に埋没させて収納位置に保持可能となっている。
【0061】
(桁材32、主支持体53及び副支持体54の関係)
次に、桁材32、主支持体53及び副支持体54の関係について説明する。
主支持体53及び副支持体54は、仮設足場10が落下した際、すなわち、桁材32が下動した際、停止位置に復帰している主支持体53が、主支持体53よりも上方に位置する桁材32を受け止めるようにしている。
【0062】
または、停止位置に復帰している副支持体54が、主支持体53と副支持体54の間に位置する桁材32を、または、主支持体53を通過した桁材32を受け止めるように配置されている。
【0063】
なお、両揺動部材が停止位置に位置する場合とは、一方の揺動部材が停止位置に位置してから後、他方が時間差をもって停止位置に位置した場合である。この場合、停止位置に後者が停止位置に位置した時点で、両揺動部材の直上方に位置する桁材32のうち、揺動部材に対する落下距離が短い桁材32が、直下方に位置する該揺動部材の係止凹部に先に受け止められることになる。
【0064】
図23(a)は、レール体20が等速で上動した際、次々と上動する桁材32により、主支持体53が揺動する揺動角度の変化を示している。縦軸は、主支持体53が支持姿勢のときを基準とした揺動角度θ1である。横軸は、時間tである。
図13及び
図14において、符号Aは、主支持体53が停止位置に位置しているときの軸線を示している。揺動角度θ1は、この軸線Aからの揺動角度である。
【0065】
主支持体53の揺動の周期Tは、上動する桁材32の当接による主支持体53の揺動開始から、次の桁材32が再び主支持体53に当接するまでの時間である。周期Tは、桁材32の移動速度をVとしたとき、「T=P/V」であるため、桁材32の所定のピッチPに比例している。
【0066】
図23(a)に示すように、主支持体53の周期T内は、揺動角度θ1が変化する作動領域と、揺動角度θ1が変化しない停止領域がある。主支持体53の停止領域は、
図13に示すように主支持体53が支持姿勢の状態であって、停止位置での停止開始と揺動開始の間の時間領域である。主支持体53の作動領域は、揺動開始から停止位置での停止開始までの時間領域である。
【0067】
なお、
図23(a)上では、作動領域と停止領域における揺動角度θ1の変化は、説明の便宜上、垂直線で描いている。しかし、先端部が上昇した主支持体53が停止位置まで復帰するまでの移動時間を実際は要するため、斜線となる。
【0068】
主支持体53が支持姿勢である場合は、上動中のレール体20が突然下動した場合であっても、係止凹部53aが、
図16、
図17に示すように、係止凹部53aが桁材32の移動軌跡上に位置するため、直上方に位置する桁材32を確実に受け止めることが可能である。
【0069】
図23(b)は、レール体20が等速で上動した際、次々と上動する桁材32により、副支持体54が揺動する揺動角度θ2の変化を示している。縦軸は、副支持体54が支持姿勢のときを基準とした揺動角度θ2である。横軸は、時間tである。
【0070】
副支持体54の揺動の周期Tは、上動する桁材32の当接による副支持体54の揺動開始から、次の桁材32が再び副支持体54に当接するまでの時間である。
図23(b)に示すように、副支持体54の周期T内は、揺動角度θ2が変化する作動領域と、揺動角度θ2が変化しない停止領域がある。副支持体54の停止領域は、
図13に示すように副支持体54が支持姿勢の水平状態であって、停止位置での停止開始と揺動開始の間の時間領域である。副支持体54の作動領域は、揺動開始から停止位置での停止開始までの時間領域である。
【0071】
ここで、
図23(b)と
図23(a)に示すように、副支持体54(第2揺動部材)の作動領域の一部は、主支持体53(第1揺動部材)の停止領域と重複している。本実施形態では、
図23(b)に示すように、副支持体54の揺動立ち上がり時期が、主支持体53よりも遅いため、副支持体54の方が先に停止位置に位置することになる。このように、桁材32(被支持部材)が下動する際は、他方よりも先に一方が停止位置に復帰して、桁材32(被支持部材)のいずれか1つを受け止めて支持することになる。
【0072】
なお、
図23(b)上では、作動領域と停止領域における揺動角度θ2の変化は、説明の便宜上、垂直線で描いている。しかし、先端部が上昇した副支持体54が停止位置まで復帰するまでの移動時間を実際は要するため、斜線となる。
【0073】
副支持体54が支持姿勢である場合は、上動中のレール体20が突然下動した場合であっても、係止凹部54aが、
図18、
図19に示すように、係止凹部54aが桁材32の移動軌跡上に位置するため直上方に位置する桁材32を確実に受け止めることが可能である。
【0074】
本実施形態では、
図23(a)及び
図23(b)に示すように、主支持体53と副支持体54の停止領域が相互に重なることがないようにされている。このように両支持体の停止領域が重ねることがないようにするために、桁材32の所定のピッチPと、主支持体53、副支持体54の上下の離間距離の関係は、以下のようにされている。
【0075】
ここで、
図15に示すように、主支持体53が停止位置に位置して係止凹部53aに係止されている桁材32の符号を32(a)とし、その下方に順に位置する桁材32の符号を32(b)、32(c)、32(d)と付す。
図23(a)及び
図23(b)において、b、c、d、及びeは、それぞれ桁材32(a)、32(b)、32(c)、32(d)により、揺動されていることをあらわしている。また、
図23(a)及び
図23(b)において、「
図15」~「
図21」付きの矢印は、下記で説明する主支持体53及び副支持体54の揺動角度の変化の位置を示している。
【0076】
(1)
図18に示すように桁材32間の所定ピッチPは、両揺動部材が停止位置に位置しているときの係止凹部53a、54a間の離間距離よりも短くされている。そして、
図18に示すように、両揺動部材が停止位置に位置しているときにおいて、2つの桁材32(b)、32(c)が両揺動部材間に配置可能としている。
【0077】
(2)
図15に示すように、桁材32(a)が主支持体53の係止凹部53aに受け止められているとき、すなわち、仮設足場10が支持装置50に支持されているとき、副支持体54は、桁材32(c)により揺動中である。桁材32(b)は、主支持体53と副支持体54との間に位置している。
【0078】
(3)
図17に示すように桁材32(c)は、副支持体54の先端面の凸状の円弧面を通過中であって、このため、副支持体54は、錘92により停止位置へ復帰作動中である。一方、この時、桁材32(b)は、停止位置に位置する主支持体53の先端下面に当接されていないように配置されている。また、この時、レール組立ユニット30が下動した際、桁材32(c)よりも先に副支持体54が停止位置に復帰するようにされている。そして、桁材32(c)と停止位置に位置する副支持体54の係止凹部54aの離間距離が、停止位置の主支持体53の係止凹部53aと桁材32(a)との離間距離よりも短い。このため、桁材32(c)を係止凹部54aが受け止めるようにされている。
【0079】
(4)
図18に示すように、桁材32(b)、32(c)が、主支持体53及び副支持体54間に位置している。桁材32(b)、32(c)が、主支持体53及び54とは接触していない状態では、桁材32(a)と係止凹部53aとの離間距離よりも、桁材32(c)と係止凹部54aとの離間距離も短い。このため、この時、レール組立ユニット30が下動した場合、桁材32(c)を係止凹部54aが受け止めるようにされている。
【0080】
(5)
図19に示すように桁材32(b)は停止位置の主支持体53の揺動の開始直後の状態である。一方、桁材32(c)は、主支持体53と副支持体54の中間位置に位置する。このとき、桁材32(d)は、停止位置に位置する副支持体54の下面に当接するようにされている。
【0081】
この状態では、桁材32(c)と停止位置に位置する副支持体54の係止凹部54aの離間距離が、揺動の開始直後の主支持体53の係止凹部53aと桁材32(a)との離間距離よりも短い。このため、この時、レール組立ユニット30が下動した場合、桁材32(c)を係止凹部54aが受け止めるようにされている。
【0082】
(6)
図20は、桁材32(b)が主支持体53を通過しているところを示し、
図21は、その通過直後の状態を示している。
図21に示すように主支持体53は、停止位置に復帰するとともに、係止凹部53aの一辺が32(b)に係止するように配置されている。また、このとき、副支持体54は、32(d)により揺動中の状態となるようにされている。
【0083】
この状態では、桁材32(b)と停止位置に位置する主支持体53の係止凹部53aの離間距離が、揺動中の副支持体54の係止凹部54aと桁材32(c)との離間距離よりも短い。このため、この時、レール組立ユニット30が下動した場合、
図22に示すように、桁材32(b)を係止凹部53aが受け止めるようにされている。
【0084】
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成されたクライミング足場の作用について説明する。
図15に示すように仮設足場10を吊り揚げる場合、ホルダ85をホルダストッパ86に係止して上向きにする。ホルダ85が、上向きとなると、揺動が可能となっている。また、ストッパピン95はストッパガイド94内に埋没させて収納位置に保持する。この状態で、副支持体54は、揺動が可能となっている。
【0085】
図15は、仮設足場10が、レール体20を介して支持装置50により支持された状態を示している。
図15では、停止位置に位置する主支持体53の係止凹部53aに桁材32(a)が受け止められた状態である。副支持体54は、桁材32(c)により、揺動中の状態となっている。
【0086】
この状態から、図示しない揚重機等で、仮設足場10が吊り揚げられて、
図16に示すように、レール体20の桁材32が上動すると、桁材32(a)は、係止凹部53aから上方へ離間する。桁材32(c)は、さらに副支持体54を揺動させる。この状態で、何らかの理由によって仮設足場10が落下等の下動があるとする。このとき、主支持体53は、停止位置に位置しているが、副支持体54は、桁材32(c)による揺動中である。このため、桁材32(c)が下動して、副支持体54が停止位置に復帰しても、桁材32(a)と停止位置に位置する主支持体53の係止凹部53aの離間距離は、副支持体54の係止凹部53aと桁材32(b)との離間距離よりも短い。このため、桁材32(a)が、停止位置に位置する主支持体53の係止凹部53aに受け止められる。
【0087】
図17は、
図16に示すレール体20の状態から、さらに、仮設足場10が吊り揚げられた場合を示している。
図17では、桁材32(c)は、副支持体54の先端面の凸状の円弧面を通過中であって、このため、副支持体54は、錘92により停止位置へ復帰作動中である。一方、この時、桁材32(b)は、停止位置に位置する主支持体53の先端下面に当接されていない。
【0088】
また、この時、レール組立ユニット30が下動した場合、桁材32(c)よりも先に副支持体54が停止位置に復帰する。そして、桁材32(c)と停止位置に位置する副支持体54の係止凹部54aの離間距離は、停止位置の主支持体53の係止凹部53aと桁材32(a)との離間距離よりも短い。このため、桁材32(c)を係止凹部54aが受け止める。
【0089】
図18は、
図17に示すレール体20の状態から、さらに、仮設足場10が吊り揚げられた場合を示している。
図18では、桁材32(b)、32(c)が、主支持体53及び54とは接触していない状態では、桁材32(a)と係止凹部53aとの離間距離よりも、桁材32(c)と係止凹部54aとの離間距離も短い。このため、この時、レール組立ユニット30が下動した場合、停止位置に位置する副支持体54の係止凹部54aが桁材32(c)を受け止める。
【0090】
図19は、
図18に示すレール体20の状態から、さらに、仮設足場10が吊り揚げられた場合を示している。
図19では、桁材32(b)が停止位置の主支持体53の揺動の開始直後の状態である。桁材32(c)は、主支持体53と副支持体54の中間位置に位置する。このとき、桁材32(d)は、停止位置に位置する副支持体54の下面に当接する。
【0091】
この状態では、桁材32(c)と停止位置に位置する副支持体54の係止凹部54aの離間距離が、揺動の開始直後の主支持体53の係止凹部53aと桁材32(a)との離間距離よりも短い。このため、この時、レール組立ユニット30が下動した場合、桁材32(c)を係止凹部54aが受け止める。
【0092】
図20及び
図21は、
図19に示すレール体20の状態から、さらに、仮設足場10が吊り揚げられた場合を示している。
図20では、桁材32(b)が主支持体53を通過している状態である。この直後、
図21に示すように主支持体53は、停止位置に復帰するとともに、係止凹部53aの一辺が32(b)に係止する。また、このとき、副支持体54は、32(d)により揺動中の状態である。
【0093】
この状態では、桁材32(b)と停止位置に位置する主支持体53の係止凹部53aの離間距離が、揺動中の副支持体54の係止凹部54aと桁材32(c)との離間距離よりも短い。このため、この時、レール組立ユニット30が下動した場合、
図22に示すように、桁材32(b)を係止凹部53aが受け止める。
【0094】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1)本実施形態のクライミング足場は、レール体20(被支持延長体)には、上下方向と直交する方向に延在する桁材32(被支持部材)が、構築物の階の間隔よりも短い間隔で複数固定されている。支持装置50は、桁材32(被支持部材)を受け止めて仮設足場10を支持する停止位置と、桁材32(被支持部材)の上動時に、受け止めていた桁材32(被支持部材)よりも下方に位置する他の桁材32(被支持部材)により停止位置から上方へ揺動する。そして、該桁材32(被支持部材)の通過後は停止位置に復帰する主支持体53(第1揺動部材)及び副支持体54(第2揺動部材)が上下に配置されている。仮設足場10が下動した際、停止位置に復帰している主支持体53(第1揺動部材)が、主支持体53よりも上方に位置する桁材32(被支持部材)を受け止める。または、停止位置に復帰している副支持体54(第2揺動部材)が、主支持体53(第1揺動部材)と副支持体54(第2揺動部材)の間に位置する桁材32(被支持部材)を、または、主支持体53(第1揺動部材)を通過した桁材32(被支持部材)を受け止める。
【0095】
上記構成により、揚重機等で吊り揚げができなくなって、仮設足場が下動した際に、桁材32が、主支持体53及び副支持体54のいずれか一方に受け止められることになる。従って、桁材32が構築物の階の間隔よりも短い間隔で固定されているため、主支持体53及び副支持体54のいずれか一方に桁材32が受け止められたときの衝撃荷重を小さくできる。
【0096】
(2)本実施形態では、主支持体53及び副支持体54は、桁材32の上動時において、停止位置での停止開始と揺動開始の間の時間領域が、相互に重ならないように配置されている。また、桁材32が下動する際は、主支持体53と副支持体54のいずれか一方が他方よりも先に停止位置に復帰していて、桁材32のいずれか1つを受け止めて支持する。
【0097】
この結果、桁材32が構築物の階の間隔よりも短い間隔で固定されているため、主支持体53及び副支持体54のいずれか一方に桁材32が受け止められたときの衝撃荷重を小さくできる。
【0098】
(3)本実施形態では、副支持体54(第2揺動部材)の作動領域は、主支持体53(第1揺動部材)の作動領域と一部が重複していて、桁材32(被支持部材)が下動する際は、他方よりも先に一方が停止位置に復帰して、桁材32(被支持部材)のいずれか1つを受け止めて支持する。本実施形態では、
図23(b)に示すように、副支持体54の揺動立ち上がり時期が、主支持体53よりも遅いため、副支持体54の方が先に停止位置に位置することになる。
【0099】
上記構成によれば、第2揺動部材の作動領域は、第1揺動部材の作動領域と一部が重複していても、被支持部材が下動する際は、他方よりも先に一方が停止位置に復帰して、被支持部材のいずれか1つを受け止めて支持できる。
【0100】
(4)本実施形態では、桁材32(被支持部材)は、等間隔で離間配置されている。
この結果、等間隔で離間配置された、被支持部材であっても、主支持体53及び副支持体54のいずれか一方に受け止められたときの衝撃荷重を小さくできる。
【0101】
(5)本実施形態では、主支持体53の仰角は副支持体54の仰角よりも大きくしている。
上記構成によれば、主支持体53が、揺動を終了したときから停止位置に復帰するまでの時間を副支持体54よりも短くできる。この結果、等間隔で配置された被支持部材により作動される主支持体53と副支持体54とでは、副支持体54の作動領域(時間)が相対的に長くなる。従って、主支持体53の停止位置での仰角を調整することにより、副支持体54の作動領域と、主支持体53の停止領域と一部の重複の調整が容易となる。
【0102】
(6)本実施形態では、レール体20(被支持延長体)は、相互に平行に配置された一対のレール31を含む。そして、一対のレール31間に桁材32がラダー状に配置されている。
【0103】
上記構成によれば、一対のレール31間に桁材32がラダー状に配置された場合であっても、主支持体53及び副支持体54のいずれか一方に受け止められたときの衝撃荷重を小さくできる。
【0104】
(7)本実施形態では、主支持体53は、副支持体54よりも上方に配置されている。上記構成によれば、主支持体53及び副支持体54の上下の位置とは無関係に主支持体53及び副支持体54のいずれか一方に受け止められたときの衝撃荷重を小さくできる。
【0105】
(8)本実施形態では、主支持体53は、上端が傾くように方か寄りで支持軸80にて支持するという復帰促進手段により、停止位置の復帰を促進する。また、副支持体54は、復帰促進手段としての錘92により、停止位置の復帰を促進する。
【0106】
上記構成によれば、復帰促進手段により、被支持部材の通過後に前記停止位置への復帰を促進することが可能となる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
【0107】
本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・前記実施形態では、第1揺動部材としての主支持体53を、第2揺動部材としての副支持体54よりも上方に配置したが、これに代えて、第1揺動部材を、第2揺動部材の下方に配置されていてもよい。
【0108】
・前記実施形態では第2揺動部材としての副支持体54を停止位置では、水平状態にして、その仰角を0°としたが、0°を超える値としてもよい。
・前記実施形態では、第1揺動部材としての主支持体53及び第2揺動部材としての副支持体54を、停止位置では、それぞれ仰角を有するようにした。これに代えて、主支持体53及び副支持体54をともに停止位置では、俯角を有するようにしてもよい。または、主支持体53及び副支持体54のいずれか一方を停止位置では、仰角を有し、他方を停止位置では俯角を有するようにしてもよい。なお、主支持体53及び副支持体54が停止位置で俯角を有するようにした場合は、その先端の上面には、桁材32を受け入れて支持可能にする凹部を備えていることが好ましい。
【0109】
・前記実施形態において、
図20に示す桁材32(c)、桁材32(e)に相当する桁材を省略してもよい。すなわち、前記実施形態において、桁材32を1つ置きに省略してもよい。この場合、主支持体53の揺動角度θ1、及び副支持体54の揺動角度θ2の周期T1は
図24(a)及び
図24(b)に示すようになる。
【0110】
・桁材32を1つ置きに省略する場合、上記以外に、
図25(a)及び
図25(b)に示すように、
図20に示す桁材32(a)、桁材32(d)に相当する桁材を省略することも可能である。この場合、主支持体53の揺動角度θ1、及び副支持体54の揺動角度θ2の周期T1は
図25(a)及び
図25(b)に示すようになる。
【0111】
・前記実施形態では、錘92を被支持部材の通過後に停止位置への復帰を促進する復帰促進手段とした、この代わりに、バネ等の弾性部材を復帰促進手段としてもよい。
・前記復帰促進手段を主支持体53、副支持体54の少なくともいずれか一方が備えていてもよい。
【0112】
・前記実施形態では、桁材32を等間隔としたが、不等間隔であってもよい。
【符号の説明】
【0113】
10…仮設足場
12…支柱
20…レール体
22…レール支持枠体
24…組立ユニット
31…レール
30…レール組立ユニット
32…桁材32(被支持部材)
49…保持ブラケット
50…支持装置
53…主支持体(第1揺動部材)
53a…係止凹部
54…副支持体(第2揺動部材)
54a…係止凹部
θ1、θ2…揺動角度