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特開2022-94192トンネルずり搬送システム、及びトンネルずり搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094192
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】トンネルずり搬送システム、及びトンネルずり搬送方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/12 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
E21D9/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207083
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】平野 宏幸
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054DA02
2D054DA19
2D054DA21
2D054DA24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ダンプトラックの台数を低減することにより、施工費を低減できるとともに、トンネル工事全体の作業効率を向上させることができるトンネルずり搬送システム、及びトンネルずり搬送方法を提供する。
【解決手段】本坑トンネル11において第1切羽11Aから坑外14まで第1切羽11Aの移動とともに延伸可能に配置された延伸ベルトコンベア2と、本坑トンネル11における連絡坑13との接続部13Aに設けられた中間ずり仮置ヤードS0付近に配置され、延伸ベルトコンベア2に対して掘削ずりを横載せするずり横載せ装置3と、避難坑トンネル12の第2切羽12Aから連絡坑13を通じて中間ずり仮置ヤードS0までの間で掘削ずりを搬送する第1ダンプトラック4Aと、を備えたトンネルずり搬送システムを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに複数箇所で連結坑によって連結された第1トンネルと第2トンネルとのそれぞれが並行して掘削され、前記第1トンネル及び前記第2トンネルで掘削された掘削ずりを坑外に搬出するためのトンネルずり搬送システムであって、
前記第1トンネルにおいて第1切羽から坑外まで該第1切羽の移動とともに延伸可能に配置された延伸ベルトコンベアと、
前記第1トンネルにおける前記連結坑との接続部に設けられた中間ずり仮置ヤード付近に配置され、前記延伸ベルトコンベアに対して前記掘削ずりを横載せするずり横載せ装置と、
前記第2トンネルの第2切羽から前記連結坑を通じて前記中間ずり仮置ヤードまでの間で掘削ずりを搬送する第1ダンプトラックと、
を備えていることを特徴とするトンネルずり搬送システム。
【請求項2】
前記第1トンネルにおいて、前記第1切羽と前記中間ずり仮置ヤードとの間の中間ずり発生部で掘削された掘削ずりを搬送する第2ダンプトラックが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトンネルずり搬送システム。
【請求項3】
前記ずり横載せ装置は、トンネルの掘進とともに切羽側に近い前記連結坑との接続部に移設されることを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネルずり搬送システム。
【請求項4】
互いに複数箇所で連結坑によって連結された第1トンネルと第2トンネルとのそれぞれが並行して掘削され、前記第1トンネル及び前記第2トンネルで掘削された掘削ずりを坑外に搬出するためのトンネルずり搬送方法であって、
前記第1トンネルの第1切羽で掘削された掘削ずりを、前記第1トンネルにおいて第1切羽から坑外まで該第1切羽の移動とともに延伸可能に配置された延伸ベルトコンベアで坑外に搬送する工程と、
前記第2トンネルの第2切羽で掘削された掘削ずりを第1ダンプトラックによって、前記連結坑を通じて前記第1トンネルにおける該連結坑との接続部に設けられた中間ずり仮置ヤード付近まで搬送する工程と、
前記第1ダンプトラックで搬送された前記中間ずり仮置ヤードの掘削ずりを前記延伸ベルトコンベアに横載せする工程と、
を有することを特徴とするトンネルずり搬送方法。
【請求項5】
前記第1トンネルの第1切羽と前記中間ずり発生部との間の中間ずり発生部で発生した掘削ずりは、第2ダンプトラックによって前記中間ずり発生部に搬送されることを特徴とする請求項4に記載のトンネルずり搬送方法。
【請求項6】
前記中間ずり仮置ヤードの掘削ずりは、前記第1切羽で発生した掘削ずりが前記延伸ベルトコンベアで搬送されていない合間に前記延伸ベルトコンベアに横載せされることを特徴とする請求項4又は5に記載のトンネルずり搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルずり搬送システム、及びトンネルずり搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル工事における掘削ずりの搬送方法として、互いに複数箇所で連絡坑によって連結された本坑トンネルと避難坑トンネルとのそれぞれが並行して掘削され、本坑トンネル及び避難坑トンネルで掘削された掘削ずりを坑外に搬出する道路トンネル工事が知られている。
【0003】
このようなトンネル工事では、トンネル延長が長距離となる場合やトンネル工事中の作業環境や安全性を考慮する場合において、本坑トンネルの切羽の掘削ずりの搬送方法としてダンプトラックに代えて延伸ベルトコンベアを使用するケースが増えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-242382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来のトンネル工事における掘削ずりの搬送方法では、とくにトンネル延長が長い場合には、本坑トンネルに延伸ベルトコンベアを使用しても、避難坑トンネルの掘削ずりはトンネル全長にわたってダンプトラックを走行させて坑外に搬出する方法となっていた。また、本坑トンネルのインバート施工部で発生する掘削ずりは、ダンプトラックを使用して坑外に搬出している。そして、トンネル工事においては、ダンプトラックが坑内を走行することに起因して、トンネル工事全体の作業効率が低下するという問題があった。
【0006】
このように、従来では、延伸ベルトコンベアを一部に適用することでダンプトラックの台数を減らすことができるものの、施工費のさらなる低減やトンネル工事全体の作業効率を向上させるためには、掘削ずりの搬出にさらなる好適な方法が求められており、その点で改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ダンプトラックの台数を低減することにより、施工費を低減できるとともに、トンネル工事全体の作業効率を向上させることができるトンネルずり搬送システム、及びトンネルずり搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るトンネルずり搬送システムは、互いに複数箇所で連結坑によって連結された第1トンネルと第2トンネルとのそれぞれが並行して掘削され、前記第1トンネル及び前記第2トンネルで掘削された掘削ずりを坑外に搬出するためのトンネルずり搬送システムであって、前記第1トンネルにおいて第1切羽から坑外まで該第1切羽の移動とともに延伸可能に配置された延伸ベルトコンベアと、前記第1トンネルにおける前記連結坑との接続部に設けられた中間ずり仮置ヤード付近に配置され、前記延伸ベルトコンベアに対して前記掘削ずりを横載せするずり横載せ装置と、前記第2トンネルの第2切羽から前記連結坑を通じて前記中間ずり仮置ヤードまでの間で掘削ずりを搬送する第1ダンプトラックと、を備えていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係るトンネルずり搬送方法は、互いに複数箇所で連結坑によって連結された第1トンネルと第2トンネルとのそれぞれが並行して掘削され、前記第1トンネル及び前記第2トンネルで掘削された掘削ずりを坑外に搬出するためのトンネルずり搬送方法であって、前記第1トンネルの第1切羽で掘削された掘削ずりを、前記第1トンネルにおいて第1切羽から坑外まで該第1切羽の移動とともに延伸可能に配置された延伸ベルトコンベアで坑外に搬送する工程と、前記第2トンネルの第2切羽で掘削された掘削ずりを第1ダンプトラックによって、前記連結坑を通じて前記第1トンネルにおける該連結坑との接続部に設けられた中間ずり仮置ヤード付近まで搬送する工程と、前記第1ダンプトラックで搬送された前記中間ずり仮置ヤードの掘削ずりを前記延伸ベルトコンベアに横載せする工程と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明では、第2トンネルの第2切羽で掘削された掘削ずりを第1ダンプトラックを使用し、複数の連結坑のうち切羽に近い連結坑を使用してその連結坑の第1トンネルとの接続部付近の中間ずり仮置ヤードまで搬送することができる。その後、中間ずり仮置ヤードにおいてずり横載せ装置を使用し、第1ダンプトラックで搬送された第2トンネルの掘削ずりを延伸ベルトコンベアに横載せすることができ、延伸ベルトコンベアによって坑外に搬出することができる。このように第2トンネルで発生する掘削ずりの坑内の搬送の一部を第1トンネルに設置される延伸ベルトコンベアを使用して搬送することができる。
そのため、第2トンネル内を走行するダンプトラックによるずり搬出距離を短くすることができ、ダンプトラックの使用台数を低減することができる。したがって、本発明では、ダンプトラックにかかるコストを抑えることで施工費を低減できる。しかも、ダンプトラックが坑内を走行することに伴って生じるトンネル工事全体の作業効率の低下を抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係るトンネルずり搬送システムは、前記第1トンネルにおいて、前記第1切羽と前記中間ずり仮置ヤードとの間の中間ずり発生部で掘削された掘削ずりを搬送する第2ダンプトラックが設けられていることを特徴としてもよい。
【0012】
また、本発明に係るトンネルずり搬送方法は、前記第1トンネルの第1切羽と前記中間ずり発生部との間の中間ずり発生部で発生した掘削ずりは、第2ダンプトラックによって前記中間ずり発生部に搬送されることを特徴としてもよい。
【0013】
本発明では、第1トンネルにおける例えばインバート施工部のような中間ずり発生部で発生した掘削ずりをずり横載せ装置が配置される中間ずり仮置ヤードまで第2ダンプトラックを使用して搬送し、その中間ずり発生部の掘削ずりもずり横載せ装置で延伸ベルトコンベア2に横載せすることができる。そのため、第2ダンプトラックによる搬送距離を短距離とすることができ、従来のように中間ずり発生部から坑外までダンプトラックを使用して掘削ずりを搬送する場合に比べてダンプトラックの使用台数を減らすことができ、コストの低減を図ることができる。
【0014】
また、本発明に係るトンネルずり搬送システムは、前記ずり横載せ装置は、トンネルの掘進とともに切羽側に近い前記連結坑との接続部に移設されることを特徴としてもよい。
【0015】
本発明では、トンネル掘削の進行に合わせて切羽側に新たに施工される連結坑との接続部付近にずり横載せ装置を移設することで、第1ダンプトラックの走行距離を最短の状態にしたずり搬送を行うことができる。そのため、ダンプトラックが走行する区間を短くでき、トンネル工事全体の作業効率の向上を図ることができる。
【0016】
また、本発明に係るトンネルずり搬送方法は、前記中間ずり仮置ヤードの掘削ずりは、前記第1切羽で発生した掘削ずりが前記延伸ベルトコンベアで搬送されていない合間に前記延伸ベルトコンベアに横載せされることを特徴としてもよい。
【0017】
本発明では、第1切羽を掘削した掘削ずりと第2切羽を掘削した掘削ずりとを同時ではなく異なるタイミングで延伸ベルトコンベアで搬送することができるため、搬送ベルト上の掘削ずりの積載状態が均一となる。そのため、双方の掘削ずりを同時に搬送ベルト上に投入する場合のように積載状態が不均一になって、溢れたり、荷重が増大することによって延伸ベルトコンベアの移動、駆動が不具合となることを防止することができる。
このように本発明では、延伸ベルトコンベアの不具合による故障やメンテナンスにかかる時間を低減できるので、作業効率の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のトンネルずり搬送システム、及びトンネルずり搬送方法によれば、ダンプトラックの台数を低減することにより、施工費を低減できるとともに、トンネル工事全体の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態による延伸ベルトコンベアを使用したトンネルずり搬送システムの全体構成を示す斜視図である。
図2図1に示すトンネルずり搬送システムの概要を示す一部破断した平面図である。
図3】本坑トンネルに配置されるずり横載せ装置を使用して延伸ベルトコンベアに掘削ずりを横載せする施工状態を示す側面図である。
図4図3に示す施工状態を上方から見た平面図である。
図5】ずり横載せ装置のトンネル延長方向からみた正面図である。
図6図5に示すずり横載せ装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態によるトンネルずり搬送システム、及びトンネルずり搬送方法について、図面に基づいて説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態のトンネルずり搬送システム1は、NATM工法によって施工されるトンネル工事において、道路トンネルの本坑トンネル11(第1トンネル)と、本坑トンネル11の隣に構築される避難坑トンネル12(第2トンネル)とが並行に掘進される施工に採用されている。
【0022】
トンネルずり搬送システム1は、互いに複数箇所で連絡坑13(連結坑)によって連結された本坑トンネル11と避難坑トンネル12とのそれぞれが並行して掘削され、本坑トンネル11で掘削された掘削ずりを本坑トンネル11に配置された延伸ベルトコンベア2を使用して坑外に効率よく搬出するためのシステムである。そして、トンネルずり搬送システム1では、本坑トンネル11と避難坑トンネル12の掘削の進行に合わせてずり搬出に使用する連絡坑13を切羽に近い連絡坑13に切り替えながらずり搬出を行うことができる構成となっている。
【0023】
ここで、本トンネル工事では、本坑トンネル11の第1切羽11Aと避難坑トンネル12の第2切羽12Aとがほぼ同じ位置、あるいは第2切羽12Aを第1切羽11Aよりやや先行させて掘進している。そして、それぞれのトンネル11、12が坑口から所定距離掘進された時点で、本坑トンネル11と避難坑トンネル12とを連絡する連絡坑13が新たに切羽側の所定位置に形成される。所定の連絡坑13には、避難坑トンネル12で発生した掘削ずりを搬送する第1ダンプトラック4Aが通行される。
【0024】
トンネルずり搬送システム1は、本坑トンネル11において第1切羽11Aから坑外14まで第1切羽11Aの移動とともに延伸可能に配置された延伸ベルトコンベア2と、本坑トンネル11における連絡坑13との接続部13Aに位置され、延伸ベルトコンベア2に対して掘削ずりを横載せするずり横載せ装置3と、避難坑トンネル12の第2切羽12Aから連絡坑13を介してずり横載せ装置3までの間で掘削ずりを搬送する前記第1ダンプトラック4Aと、を備えている。
【0025】
延伸ベルトコンベア2は、本坑トンネル11に配置され、無端状の搬送ベルト20が掘進に伴って延伸方向に延伸されて本坑トンネル11に配置されている。延伸ベルトコンベア2は、延伸方向の一端(切羽側端部2a)が第1切羽11Aの近傍(第1切羽11Aより手前の所定位置)に掘削進行に合わせて移動可能に設けられ、他端(坑外側端部2b)が坑外14に配置される坑外ずり仮置ヤード15に固定されている。
【0026】
本坑トンネル11に配置される延伸ベルトコンベア2の切羽側端部2aには、第1切羽11Aから離れた坑口側に配置され掘削に伴って切羽側に移動するテールピース台車21と、テールピース台車21の切羽側に同じく走行可能に配置された移動式のクラッシャー22と、を備えている。延伸ベルトコンベア2の坑外側端部2bには、不図示のベルトストレージが設けられている。
【0027】
テールピース台車21のずり排出口には、延伸ベルトコンベア2が配置されている。掘削の進行に合わせて、テールピース台車21をスライドさせるとともに、クラッシャー22を第1切羽11A側に前進させる。なお、テールピース台車21及びクラッシャー22が配置される位置は、掘削方法に応じた位置で、かつクラッシャー22の近傍にショベル41で掘削ずりを直接投入するための第1ずり発生部S1を確保できる位置とされる。テールピース台車21及びクラッシャー22の配置位置としては、例えば切羽の掘削方法が発破である場合には、十分に安全を確保できる位置、すなわち切羽から100m程度離れた位置に設定される。
【0028】
前述したベルトストレージ内には複数のローラが多段に配置され、ローラに搬送ベルト20が無端状に掛け回されている。搬送ベルト20の先端はベルトストレージの先端より引き出され、テールピース台車21に設けた従動プーリ(図示省略)に掛け回され、さらにベルトストレージ内に戻される構造となっている。
【0029】
延伸ベルトコンベア2には、坑外側端部2bにモータ駆動側となる駆動プーリと、切羽側端部2aのテールピース台車21に配置される従動プーリと、が設けられている。延伸ベルトコンベア2は、トンネルの側壁あるいはインバートから支持され延在方向に間隔をあけて設けられた複数のローラブラケット(図示省略)に取り付けられているローラよって移動可能に支持されている。これらローラブラケットは、搬送ベルト20において坑外側に移動するキャリアローラと、坑外のベルトストレージから引出されて切羽側に移動するリターンローラと、を支持するための支持部材である。
【0030】
第1切羽11Aで掘削された掘削ずりは、ショベル41を使用してクラッシャー22に投入されて適当な大きさに破砕され、テールピース台車21のホッパを介して延伸ベルトコンベア2の搬送ベルト20に投下される。そして、搬送ベルト20上の掘削ずりは、本坑トンネル11内を移送され、坑外14の最終搬送先となる坑外ずり仮置ヤード15まで搬送される。
【0031】
図3及び図4に示すように、ずり横載せ装置3が配置される連絡坑13との接続部13Aには、ずり横載せ装置3に掘削ずりを入れる中間クラッシャー23が設けられている。接続部13Aの近傍には、第1切羽11Aとずり横載せ装置3との間のインバート施工部16(中間ずり発生部)で掘削された掘削ずりと、避難坑トンネル12で発生し第1ダンプトラック4Aによって搬送された掘削ずりと、が仮置きされる中間ずり仮置ヤードS0が配置されている。ここで、インバート施工部16には、インバートを掘削したときに発生する掘削ずりを第2ダンプトラック4Bに積み込む箇所となる第2ずり発生部S2が設けられている。
【0032】
図5及び図6に示すように、ずり横載せ装置3は、架台31と、ホッパ32と、シュート33と、排出案内板34と、を有している。これらホッパ32、シュート33、及び排出案内板34は、延伸ベルトコンベア2の搬送ベルト20の上方に位置するように設けられている。架台31は、搬送ベルト20を幅方向に橋渡しするように設けられ、ホッパ32、シュート33、及び排出案内板34が延伸ベルトコンベア2の搬送ベルト20の上方に位置するように設けられている。
【0033】
ホッパ32には、中間クラッシャー23で適当な大きさに破砕された掘削ずりが投入される。
シュート33は、排出案内板34側に向けて下り傾斜面となり、ホッパ32に投入された掘削ずりが一定量で排出案内板34に送り出されるようになっている。
排出案内板34は、シュート33から投下された掘削ずりを搬送ベルト20上に排出するように板状に形成され、搬送ベルト20の上方の左右両側に配置されている。
【0034】
本坑トンネル11において、第1切羽11Aとずり横載せ装置3との間のインバート施工部16で掘削された掘削ずりを第2ずり発生部S2から中間ずり仮置ヤードS0まで搬送する第2ダンプトラック4Bが設けられている。ここで、図2に示す符号R2は、第2ダンプトラック4Bによって搬送される掘削ずりの第2搬送ルートを示している。
【0035】
ずり横載せ装置3は、トンネルの掘進とともに切羽側により近い連絡坑13との接続部13Aに移設される。
【0036】
次に、避難坑トンネル12の掘進によって生じる掘削ずりを搬出するための第1ダンプトラック4Aについて説明する。
図1及び図2に示すように、第1ダンプトラック4Aには、第3ずり発生部S3において、ショベル44によって避難坑トンネル12の第2切羽12Aを掘削した掘削ずりが積み込まれる。掘削土砂を積み込んだ第1ダンプトラック4Aは、第3ずり発生部S3から本坑トンネル11の接続部13A近傍の中間ずり仮置ヤードS0まで避難坑トンネル12で発生した掘削ずりを搬送する。ここで、図2に示す符号R1は、第1ダンプトラック4Aによって搬送される掘削ずりの第1搬送ルートを示している。
なお、第1ダンプトラック4Aは、避難坑トンネル12の第2切羽12Aの掘削以外で発生したインバート掘削等の掘削ずりも搬送される。
【0037】
上述したトンネルずり搬送システム1を使用し、本坑トンネル11と避難坑トンネル12とのそれぞれで掘削された掘削ずりを坑外14に搬出するためのトンネルずり搬送方法について、図面に基づいて説明する。
【0038】
先ず、本坑トンネル11で発生した掘削ずりの搬送方法について説明する。図1及び図2に示すように、第1切羽11Aで発破等で掘削された掘削ずりは延伸ベルトコンベア2で坑外14に搬送する。具体的には、第1切羽11Aで掘削された掘削ずりは一時的に第1ずり発生部S1に置かれ、ショベル41を用いて第1ずり発生部S1の掘削ずりをクラッシャー22に投入する。クラッシャー22で投入された掘削ずりを適当な大きさに破砕し、その破砕され細片となった掘削ずりをテールピース台車21において延伸ベルトコンベア2の搬送ベルト20上に受け渡す。そして、掘削ずりは延伸ベルトコンベア2によって坑外ずり仮置ヤード15まで搬送される。
【0039】
そして、搬送ベルト20上に掘削ずりを載せないタイミングで、延伸ベルトコンベア2を駆動させた状態のまま、テールピース台車21とクラッシャー22を第1切羽11A側となる前方に移動させる。このときのテールピース台車21の前進によって、その前進した長さだけ搬送ベルト20が延伸される。テールピース台車21が前進した範囲を通過する搬送ベルト20は、上述した不図示のローラブラケットを追加することで支持される。
【0040】
次に、延伸ベルトコンベア2の延在方向の中間部で搬送ベルト20上に掘削ずりを横載せするずり横載せ装置3は、連絡坑13の本坑トンネル11との接続部13Aの近傍に配置される。この連絡坑13は、避難坑トンネル12の掘削ずりの第1搬送ルートR1として使用される連絡坑13は、本坑トンネル11及び避難坑トンネル12の各切羽11A、12Aの進行に応じてなるべく切羽側の連絡坑13に移設される。なお、ずり横載せ装置3に掘削ずりを投入する中間クラッシャー23および中間ずり仮置ヤードS0も、ずり横載せ装置3の移設の際に共に移設される。
【0041】
避難坑トンネル12の第2切羽12Aで掘削された掘削ずりは、第1ダンプトラック4Aによって第1搬送ルートR1に沿って連絡坑13を通じて本坑トンネル11内の中間ずり仮置ヤードS0に搬送する。具体的には、第2切羽12Aで掘削された掘削ずりは一時的に第3ずり発生部S3に置かれ、ショベル44を用いて第3ずり発生部S3の掘削ずりを第1ダンプトラック4Aに積み込む。そして、第1ダンプトラック4Aによって中間ずり仮置ヤードS0まで搬送し、その中間ずり仮置ヤードS0に一時的に仮置きされる。
図1に示すように、このように避難坑トンネル12において、ずり搬出に使用する連絡坑13の位置から坑口までの区間は、第1ダンプトラック4Aが走行することがない領域となる。
【0042】
また、本坑トンネル11のインバート施工部16で掘削された掘削ずりは、ショベル43によって積み込まれた第2ダンプトラック4Bによって第2搬送ルートR2に沿って本坑トンネル11内の中間ずり仮置ヤードS0に搬送する。具体的には、インバート施工部16で掘削された掘削ずりは一時的に第2ずり発生部S2に置かれ、ショベル43を用いて第2ずり発生部S2の掘削ずりを第2ダンプトラック4Bに積み込む。そして、積み込まれた掘削ずりは、第2ダンプトラック4Bによって中間ずり仮置ヤードS0まで搬送され、その中間ずり仮置ヤードS0に一時的に仮置きされる。
【0043】
図3及び図4に示すように、中間ずり仮置ヤードS0に仮置きされている掘削ずりは、ショベル42を用いて中間クラッシャー23に投入される。中間クラッシャー23で投入された掘削ずりを適当な大きさに破砕し、その破砕され細片となった掘削ずりをずり横載せ装置3のホッパ32に投入し、図5及び図6に示すシュート33から延伸ベルトコンベア2の搬送ベルト20上に落下させる。ずり横載せ装置3から搬送ベルト20上に横載せされた掘削ずりは延伸ベルトコンベア2によって坑外ずり仮置ヤード15まで搬送される。
以降、上述したトンネルずり搬送システム1による本坑トンネル11と避難坑トンネル12との掘削ずりの搬送方法が繰り返される。
【0044】
接続部13Aで延伸ベルトコンベア2に横載せする掘削ずりは、延伸ベルトコンベア2において第1切羽11Aで発生した掘削ずりが搬送されていない間に横載せすることで、搬送ベルト20上の積載量のバランスを調整できる。
【0045】
次に、上述したトンネルずり搬送システム、及びトンネルずり搬送方法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態による延伸ベルトコンベア2を使用したトンネルずり搬送システム1では、避難坑トンネル12の第2切羽12Aで掘削された掘削ずりを第1ダンプトラック4Aを使用し、複数の連絡坑13のうち第1切羽11Aに近い連絡坑13を使用してその連絡坑13の本坑トンネル11との接続部13A付近の中間ずり仮置ヤードS0まで搬送することができる。
【0046】
その後、中間ずり仮置ヤードS0においてずり横載せ装置3を使用し、第1ダンプトラック4Aで搬送された避難坑トンネル12の掘削ずりを延伸ベルトコンベア2に横載せすることができ、延伸ベルトコンベア2によって坑外14に搬出することができる。このように避難坑トンネル12で発生する掘削ずりの坑内の搬送の一部を本坑トンネル11に設置される延伸ベルトコンベア2を使用して搬送することができる。
そのため、避難坑トンネル12内を走行する第1ダンプトラック4Aによるずり搬出距離を短くすることができ、ダンプトラックの使用台数を低減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、本坑トンネル11における例えばインバート施工部16のような中間ずり仮置ヤードS0で発生した掘削ずりをずり横載せ装置3が配置される中間ずり仮置ヤードS0まで第2ダンプトラック4Bを使用して搬送し、そのインバート施工部16の掘削ずりもずり横載せ装置3で延伸ベルトコンベア2に横載せすることができる。
そのため、第2ダンプトラック4Bによる搬送距離を短距離とすることができ、従来のようにインバート施工部16から坑外14までダンプトラックを使用して掘削ずりを搬送する場合に比べてダンプトラックの使用台数を減らすことができ、コストの低減を図ることができる。
【0048】
例えば、従来、避難坑トンネル12において第2切羽12Aから坑外14までをダンプトラックを使用して搬出する場合には、4tダンプトラックで4台から最大6台を走行させていた。これに対して、本実施形態によるトンネルずり搬送システム1を適用すると、避難坑トンネル12において、4tダンプトラックが2台となり、ダンプトラックの使用台数を半分以下に低減することができる。
また、本坑トンネル11のインバート施工部16で発生する掘削ずりの搬出においても、従来、インバート施工部16から坑外まで10tダンプトラックを2台から最大4台を走行させていた。これに対して、本実施形態によるトンネルずり搬送システム1を適用すると、本坑トンネル11において、10tダンプトラックが最大2台ですみ、ダンプトラックの使用台数を低減することができる。
【0049】
したがって、本実施形態では、ダンプトラックにかかるコストを抑えることで施工費を低減できる。しかも、ダンプトラックが坑内を走行することに伴って生じるトンネル工事全体の作業効率の低下を抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、トンネル掘削の進行に合わせて切羽側に新たに施工される連絡坑13との接続部13A付近にずり横載せ装置3を移設することで、第1ダンプトラック4Aの走行距離を最短の状態にしたずり搬送を行うことができる。そのため、第1ダンプトラック4Aが走行する区間を短くでき、トンネル工事全体の作業効率の向上を図ることができる。
【0051】
また、本実施形態では、接続部13Aでずり横載せ装置3を使用して延伸ベルトコンベア2に横載せする掘削ずりは、第1切羽11Aで発生した掘削ずりが延伸ベルトコンベア2で搬送されていない合間に延伸ベルトコンベア2に横載せされる。すなわち、第1切羽11Aを掘削した掘削ずりと第2切羽12Aを掘削した掘削ずりとを同時ではなく異なるタイミングで延伸ベルトコンベア2で搬送することができるため、搬送ベルト20上の掘削ずりの積載状態が均一となる。そのため、双方の掘削ずりを同時に搬送ベルト20上に投入する場合のように積載状態が不均一になって、溢れたり、荷重が増大することによって延伸ベルトコンベア2の移動、駆動が不具合となることを防止することができる。
このように本実施形態では、延伸ベルトコンベア2の不具合による故障やメンテナンスにかかる時間を低減できるので、作業効率の低下を抑制できる。
【0052】
上述のように本実施形態による延伸ベルトコンベアを使用したトンネルずり搬送システムでは、ダンプトラックの台数を低減することにより、施工費を低減できるとともに、トンネル工事全体の作業効率を向上させることができる。
【0053】
以上、本発明による延伸ベルトコンベアを使用したトンネルずり搬送システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、本坑トンネル11において、第1切羽11Aと中間ずり仮置ヤードS0との間のインバート施工部16で掘削された掘削ずりを搬送する第2ダンプトラック4Bを設けた構成としているが、インバート施工部16のような中間ずり仮置ヤードS0がないトンネル工事の場合には、第2ずり発生部S2や第2ダンプトラック4Bが省略される。
【0055】
また、本実施形態では、ずり横載せ装置3や中間ずり仮置ヤードS0が本坑トンネル11の掘進とともに切羽側に近い連絡坑13との接続部13Aに移設されているが、ずり搬出で使用される連絡坑13はトンネル工事の状況に応じて任意に選択可能である。例えば、インバート施工部16の作業に干渉しないよう、インバート施工部16が完了した領域の最も切羽側に位置する連絡坑13が使用される。あるいは、トンネル内の他の工事で作業の支障がない連絡坑13に移設してもよい。要は、ずり横載せ装置3、中間クラッシャー23、及び中間ずり仮置ヤードS0は容易に移動することが可能であるので、トンネル内の施工条件に合わせて適宜移設すればよい。
【0056】
また、本実施形態では、中間ずり仮置ヤードS0の掘削ずりを、本坑トンネル11の第1切羽11Aで発生した掘削ずりが延伸ベルトコンベア2で搬送されていない合間に延伸ベルトコンベア2に横載せするようにしているが、必ずしもこのようなタイミングであることに制限されることはない。例えば、第1切羽11A付近の第1ずり発生部S1から延伸ベルトコンベア2に載せられる掘削ずりの量が少ない場合には、同時にずり横載せ装置3で延伸ベルトコンベア2に掘削ずりを投入して搬送することも可能である。
【0057】
さらに、ずり横載せ装置3の構成については、上述した実施形態に限定されることはない。また、第1切羽11A付近でテールピース台車21に破砕した掘削ずりを投入するクラッシャー22や、中間ずり仮置ヤードS0付近でずり横載せ装置3に破砕した掘削ずりを投入する中間クラッシャー23を省略することも可能である。つまり、本実施形態では、トンネルの掘削方法として発破方式を採用した一例を示しているが、例えばロードヘッダ等の機械掘削方式とした場合で掘削ずりが比較的、小片となる場合にはクラッシャーを省略してもよい。
【0058】
さらにまた、本実施形態では、ずり横載せ装置3によって延伸ベルトコンベア2に掘削ずりを投入する箇所が本坑トンネル11で1箇所としているが、複数の連絡坑13を使用して複数箇所においてずり横載せ装置3を設けて掘削ずりを投入する構成であってもかまわない。
【0059】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 トンネルずり搬送システム
2 延伸ベルトコンベア
3 ずり横載せ装置
4A 第1ダンプトラック
4B 第2ダンプトラック
11 本坑トンネル(第1トンネル)
11A 第1切羽
12 避難坑トンネル(第2トンネル)
12A 第2切羽
13 連絡坑(連結坑)
13A 接続部
14 坑外
15 坑外ずり仮置ヤード
16 インバート施工部(中間ずり発生部)
20 搬送ベルト
21 テールピース台車
22 クラッシャー
23 中間クラッシャー
R1 第1搬送ルート
R2 第2搬送ルート
S0 中間ずり仮置ヤード
S1 第1ずり発生部
S2 第2ずり発生部
S3 第3ずり発生部
図1
図2
図3
図4
図5
図6