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  • 特開-ミラーディスプレイ 図1
  • 特開-ミラーディスプレイ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094194
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】ミラーディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/02 20060101AFI20220617BHJP
   A47K 1/02 20060101ALN20220617BHJP
   A47B 67/02 20060101ALN20220617BHJP
【FI】
A47G1/02 Z
A47K1/02 B
A47B67/02 502A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207085
(22)【出願日】2020-12-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年12月2日~令和2年12月4日 第5回[高性能]建材・住設EXPO2020 [刊行物等] 令和2年12月7日~令和2年12月14日 凸版印刷株式会社秋葉原ショールーム 「FOREST」
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 太基
(72)【発明者】
【氏名】花井 真弘
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 那知
(72)【発明者】
【氏名】木村 信之
【テーマコード(参考)】
3B111
【Fターム(参考)】
3B111AA04
3B111AB00
3B111AB03
3B111AD01
(57)【要約】
【課題】より省電力で且つ視認性に優れた鏡面部を有するミラーディスプレイを提供する。
【解決手段】鏡面部は、ハーフミラー1と、上記ハーフミラー1の背面に配置され、上記ハーフミラー1の背面に表示面を向け、発光を伴って表示を行うディスプレイ装置と、上記ハーフミラー1の前方に存在する人の有無を検知する人体検知センサ8と、非接触で体温を測定する体温測定器9と、を有し、正面視で、上記ディスプレイ装置の表示面は、上記ハーフミラー1と70%以上重なり、上記ディスプレイ装置を制御する制御部3を備え、上記制御部3は、上記人体検知センサ8が人を検知したと判定した場合にだけ、上記ディスプレイ装置の画面表示を行い、上記体温測定器9が検知した体温情報を上記ディスプレイ装置の表示面に表示する制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面を写す鏡面部を有するミラーディスプレイであって、
上記鏡面部は、
正面を写すハーフミラーと、
上記ハーフミラーの背面に配置され、上記ハーフミラーの背面に表示面を向け、発光を伴って表示を行うディスプレイ装置と、
上記ハーフミラーの前方に存在する人の有無を検知する人体検知センサと、
非接触で体温を測定する体温測定器と、
を有し、
正面視で、上記ディスプレイ装置の表示面は、上記ハーフミラーと70%以上重なり、
上記ディスプレイ装置を制御する制御部を備え、
上記制御部は、上記人体検知センサが人を検知したと判定した場合にだけ、上記ディスプレイ装置の画面表示を行い、上記体温測定器が検知した体温情報を上記ディスプレイ装置の表示面に表示する制御を行う、
ことを特徴とするミラーディスプレイ。
【請求項2】
上記体温測定器は、上記ハーフミラーの下方に配置されると共に、検出方向を下方に向け、当該体温測定器の下方に置かれた人体の一部の温度を測定可能となっている、ことを特徴とする請求項1に記載したミラーディスプレイ。
【請求項3】
外部から情報を取得する通信機器を有し、
上記制御部は、上記通信機器が受信した情報を上記ディスプレイ装置の表示面に表示する制御を行う、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したミラーディスプレイ。
【請求項4】
上記ハーフミラーの下方に上記体温測定器と共に下方に向けて光を照射する殺菌ランプを備え、上記殺菌ランプの照射範囲と上記体温測定器の測定範囲とが重なっている、ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載したミラーディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示機能付きミラーを有する鏡面部を備えるミラーディスプレイに関する。本発明は、例えば、住宅、商業施設、公共施設等が有する化粧洗面台やトイレ、玄関、建物のエントランスの情報提供エリアなどに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
ミラーに表示機能を有する洗面化粧台としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1では、液晶モニターによる鏡面部の一部に画像を表示する表示部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-151020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術では、上記表示部に表示が行われる場合、消費電力が大きくなるという課題がある。
本発明は、上記のような点を鑑みてなされたもので、より省電力で且つ視認性に優れた鏡面部を有するミラーディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するために、本発明の一態様は、正面を写す鏡面部を有するミラーディスプレイであって、上記鏡面部は、正面を写すハーフミラーと、上記ハーフミラーの背面に配置され、上記ハーフミラーの背面に表示面を向け、発光を伴って表示を行うディスプレイ装置と、上記ハーフミラーの前方に存在する人の有無を検知する人体検知センサと、非接触で体温を測定する体温測定器と、を有し、正面視で、上記ディスプレイ装置の表示面は、上記ハーフミラーと70%以上重なり、上記ディスプレイ装置を制御する制御部を備え、上記制御部は、上記人体検知センサが人を検知したと判定した場合にだけ、上記ディスプレイ装置の画面表示を行い、上記体温測定器が検知した体温情報を上記ディスプレイ装置の表示面に表示する制御を行う、ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、例えば次のA~Dの機能を備えることができる。
A:鏡面部に、人を映すミラーとしての機能と、ミラー越しに情報を映して提示する機能の両機能を持たせることができる。
B:上記のようにミラー越しに情報を表示する機能を有していても、人がミラーの前に立ったときだけ、情報を映し出すことで、ディスプレイ装置の消費電力を抑えることができる。
また、人がミラーの前に立ったときに、ディスプレイ装置が表示を開始することで、人がミラーディスプレイに近づいたときに、ディスプレイ装置の光がミラーに対する間接照明となって、鏡面部周りが視認しやすくなる。
C:正面視でディスプレイ装置の表示面がハーフミラーに70%以上重なっているため、ミラーのほぼ全面に情報表示することが可能となると共に、上記鏡面部全体の間接照明がより確実に行われるようになる。
D:またミラー近傍に手をかざすだけで、体温測定が可能となる。なお、測定された体温は例えば、ディスプレイ装置によって表示するようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に基づく実施形態に係る洗面化粧台における鏡面部の構成例を示す模式的側面図である。
図2】鏡面部の構成例を示す模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に実施形態について説明する。
ここで、同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付けて説明する。また、各図面において、各構成要素の厚さや比率は誇張されていることがあり、構成要素の数も実施品と相違させて図示していることがある。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない限りにおいて、適宜の組合せや変形によって具体化でき、そのような変更や改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0009】
(構成)
本実施形態は、本発明のミラーディスプレイを、洗面化粧台に適用した場合を例に説明する。ただし、発明のミラーディスプレイの適用は、洗面化粧台のミラー部分に限定されない。ミラーディスプレイは、例えば、住宅、商業施設,公共施設等が有するトイレ内のミラー部分、玄関の姿見、建物のエントランスなどに設置される情報提供エリアなどに用いられても良い。
本実施形態の洗面化粧台は、図1及び図2に示すような鏡面部を有する。
本実施形態の洗面化粧台は、ミラーディスプレイとして、鏡面部に対し、ミラーと、ディスプレイ装置としてのLCDモニター2と、人体検知センサ8と、体温測定器9とを備える。更に、ミラーディスプレイは、ディスプレイ装置用の制御部3と、通信機器4と、を備える。符号2A、4Aは、それぞれLCDモニター2及び通信機器4の電源ケーブルを示す。
【0010】
ミラー1は、ミラーディスプレイの鏡本体であって、本実施形態では、背面からの光を透過可能なハーフミラーからなる。
LCDモニター2は、発光を伴って表示を行うディスプレイ装置を構成する。LCDモニター2は、ミラー1の背面に表示面を向けて配置されている。ミラー1越しの表示を鮮明する観点からはミラー1の背面にLCDモニター2の表示面を接触された方が良いが、LCDモニター2からの放熱を考えると、ミラー1の背面とLCDモニター2との間に僅かに隙間を有することが好ましい。
LCDモニター2の表示面が、ミラー1の70%以上重なっていることが好ましい。
LCDモニター2の外周に枠体5が設けられ、その枠体5によって、ミラー1及びLCDモニター2が、洗面化粧台の躯体16における立上り部16Aに取り付けられている。立上り部16Aは、例えば建物の壁35に接して配置されている。
【0011】
躯体16は、上記の立上り部16Aと、立上り部16A下端部に連続する水平部16Bとを有する。躯体16の水平部16Aは、土台部11に支持されている。
また、ミラー1の下部に梁部材7が配置されている。梁部材7は、ミラー1の左右方向と同方向に延在している。
人体検知センサ8は、ミラー1の前方(例えば2mの範囲)に存在する人の有無を検知するセンサである。本実施形態では、人体検知センサ8は、検出部を前方に向けた状態で梁部材7の前面に配置されている。人体検知センサ8が検出した信号は、制御部3に供給される。人体検知センサ8は、例えば赤外線センサからなる。
【0012】
体温測定器9は、非接触で体温を測定するセンサであって、梁部材7の下面に配置され、検出部が下方に向いて、具体的には水平部16Aに向かっている。本実施形態では、正面にも体温測定器13を備える。
また、梁部材7の下部には、紫外線殺菌ランプ10が配置され、殺菌用の光線としての紫外線が下方に向けて照射可能となっている。符号ARA3は、紫外線の照射範囲の例であって、上記人体検知センサ8の測定範囲ARA2と重なっている。
符号12は、照度センサであって、鏡面部周りの明るさを検出する。
符号14は、LCDモニター2の電源スイッチである。
符号6は平面スピーカである。
【0013】
符号31は、洗面化粧台前方の床30に配置された体組成計である。
通信機器4は、無線通信によって外部の装置20から情報を取得する機器である。符号21はインターネットを示す。
制御部3は、LCDモニター2の制御を行う。制御部3は、人体検知センサ8から信号に基づき人を検出したと判定するとLCDモニター2のモニター部を駆動状態(発光状態)とし、人体検知センサ8からの信号に基づき非検出状態と判定すると、LCDモニター2のモニター部(表示部)を非駆動状態(例えば待機状態)とする。
【0014】
また、制御部3は、LCDモニター2の表示部が駆動状態のときに、体温測定器9や外部の装置20などから表示情報を取得すると、その情報をLCDモニター2の表示部に表示する処理を実行する。例えば、制御部3は体温測定器9からの信号に基づき、LCDモニター2を介した体温の表示を行う。図2中、ARA1はLCDモニター2の表示部と重なる位置であって、表示可能な領域を示す。常時表示する情報や表示することが多い情報は、ミラーの中央部を避けて、ARA1-1やARA1-2などのミラー1の上部及び下部の範囲に表示することが好ましい。
外部の装置20は、例えば、体組成計31である。すなわち、制御部3は、通信機器4を介した体組成計31からの信号に基づき、LCDモニター2を対し体組成情報の表示処理を行う。
【0015】
(動作その他)
本実施形態では、鏡面部は、人を映すミラー1の機能とLCDモニター2の情報を表示する機能の両立が図ることができる。
また、LCDモニター2が常に点灯することなく、人がミラー1に近づいたときだけLCDモニター2が点灯する。これによって、LCDモニター2の消費電力が抑えられる。
また、ミラー1のほぼ全面にLCDモニター2が重なっているので、ミラー1に近づいた際にLCDモニター2が点灯し、その点灯による光がミラー1のほぼ全面に対する間接照明の役割を有し、ミラー1周りを視認しやすくする。このとき、ミラー1周りの明るさに応じて、LCDモニター2の明るさを調整するようにしてもよい。
【0016】
また、ミラー1下部に、手をかざすだけ体温が測定されて、ミラー1越しに表示される。すなわち、体温測定ニーズが高いが、ミラー1下部での測定であるため、身長差に関係なく体温測定が可能となる。
ここで、ミラー1越しの表示を主としてミラー1の上部及び下部の領域(ARA1-1やARA1-2)とすることで、人のミラー1への映りへの影響を最小限とすることが可能となる。
【0017】
梁部材7の前面に、光透過性を有する木目調の化粧材を貼り付けておりてもよい。木目シートを透過して体温数値を表示可能となる。この場合、梁部材7の前面にも表示ARA4を設けておく。すなわち、梁部材7の前面に別途、ミラー1越しの表示とは別に、体温などを表示しても良い。梁部材7前面での表示は、例えば液晶モニターを配置することで可能である。符号ARA4は、梁部材7前面に設けた表示部の例である。梁部材7前面に対し、LCDモニター2の表示を指示する操作子を配置してもよい。
【0018】
ミラー1越しの表示としては、例えば、時計、天気予報、測定した体重、体温、睡眠の情報、マットレス下に設置した睡眠情報などでもよい。
体重、体温、睡眠情報は、グラフ表示などでもよい。また、体重や睡眠は昨日や平均に比べて良かったのか悪かったのかを一目でわかる表示形式でも良い。
また、動画共有サイトを表示することでミラー1越しに動画を表示するようにしてもよい。
体温測定器9が測定した情報は、通信手段を介して外部サーバーで集約し、スマホでの閲覧・操作、ミラー1での閲覧表示ができるように構成してもよい。
なお、カメラはプライバシー懸念のため、搭載しないことが好ましい。
【0019】
(その他)
本実施形態では、以下のような構成も取ることができる。
(1)正面を写す鏡面部を有するミラーディスプレイであって、上記鏡面部は、正面を写すハーフミラーと、上記ハーフミラーの背面に配置され、上記ハーフミラーの背面に表示面を向け、発光を伴って表示を行うディスプレイ装置と、上記ハーフミラーの前方に存在する人の有無を検知する人体検知センサと、非接触で体温を測定する体温測定器と、を有し、正面視で、上記ディスプレイ装置の表示面は、上記ハーフミラーと70%以上重なり、上記ディスプレイ装置を制御する制御部を備え、上記制御部は、上記人体検知センサが人を検知したと判定した場合にだけ、上記ディスプレイ装置の画面表示を行い、上記体温測定器が検知した体温情報を上記ディスプレイ装置の表示面に表示する制御を行う、ことを特徴とするミラーディスプレイ。
【0020】
この構成によれば、鏡面部に、人を映すミラーとしての機能と、ミラー越しに情報を映して提示する機能の両機能を持たせることができる。上記のようにミラー越しに情報を表示する機能を有していても、人がミラーの前に立ったときだけ、情報を映し出すことで、ディスプレイ装置の消費電力を抑えることができる。また、人がミラーの前に立ったときに、ディスプレイ装置が表示を開始することで、人がミラーディスプレイに近づいたとき、ディスプレイ装置の光がミラーに対する間接照明となって、鏡面部周りが視認しやすくなる。正面視でディスプレイ装置の表示面がハーフミラーに70%以上重なっているため、ミラーのほぼ全面に情報表示することが可能となると共に、上記鏡面部全体の間接照明が行われるようになる。またミラー近傍に手をかざすだけで、体温測定が可能となる。なお、測定された体温は例えば、ディスプレイ装置によって表示するようにすれば良い。
【0021】
(2)上記体温測定器は、上記ハーフミラーの下方に配置されると共に、検出方向を下方に向け、当該体温測定器の下方に置かれた人体の一部の温度を測定可能となっている。
この構成によれば、体温測定ニーズが高いが、ミラー下部での測定であるため、身長差に関係なく体温測定が可能となる。
(3)外部から情報を取得する通信機器を有し、上記制御部は、上記通信機器が受信した情報を上記ディスプレイ装置の表示面に表示する制御を行う。
この構成によれば、種々の情報を提供可能となる。
(4)上記ハーフミラーの下方に上記体温測定器と共に下方に向けて光を照射する殺菌ランプを備え、上記殺菌ランプの照射範囲と上記体温測定器の測定範囲とが重なっている。
この構成によれば、例えば洗面化粧台で手洗い後に紫外線殺菌等の殺菌処理のために手を出した際に、体温が測定され体調を管理することも可能となる。
【符号の説明】
【0022】
1 ミラー
2 LCDモニター(ディスプレイ装置)
3 制御部
4 通信機器
5 枠体
7 梁部材
8 人体検知センサ
9 体温測定器
10 紫外線殺菌ランプ
13 体温測定器
20 外部の装置
図1
図2