(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094212
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂組成物及びフィルムそれぞれの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/10 20060101AFI20220617BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20220617BHJP
C08J 3/22 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
C08L23/10
C08K3/36
C08J3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207113
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】596133485
【氏名又は名称】日本ポリプロ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】米山 奈央子
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA15
4F070AB24
4F070AC23
4F070AC37
4F070AC42
4F070AC43
4F070AC55
4F070AD04
4F070AE01
4F070AE03
4F070AE09
4F070BA02
4F070FA01
4F070FA06
4F070FB03
4F070FC06
4J002BB121
4J002BB151
4J002DJ016
4J002EJ067
4J002EW067
4J002FD016
4J002FD077
4J002GG00
(57)【要約】
【課題】分散性、フィッシュアイ特性、耐ブロッキング性及び透明性に優れたポリプロピレンフィルムの形成に用いるマスターバッチとして好適なポリオレフィン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】プロピレン系重合体(A)を冷凍粉砕して乾燥工程を経た平均粒子径50~700μmの粉末体100重量部に対して、無定形シリカ(B)を1~20重量部含有するポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン系重合体(A)を冷凍粉砕して乾燥工程を経た平均粒子径50~700μmの粉末体100重量部に対して、無定形シリカ(B)を1~20重量部含有するポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造方法。
【請求項2】
プロピレン系重合体(A)を冷凍粉砕して乾燥工程を経た平均粒子径50~700μmの粉末体100重量部に対して、少なくとも1種の酸化防止剤を0.01~1重量部更に含有する請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造方法。
【請求項3】
プロピレン系重合体(C)100重量部に対して、請求項1又は請求項2に記載の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂組成物(X)を0.01~30重量部配合してなるポリオレフィン系フィルムの製造方法。
【請求項4】
多層構造を有する多層ポリオレフィン系フィルムの製造方法であって、多層構造の表層は、プロピレン系重合体(D)100重量部に対して、請求項1又は請求項2に記載の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂組成物(X)を0.01~30重量部配合してなる多層ポリオレフィン系フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法及び該ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法により得られる組成物を用いたフィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリプロピレン系樹脂は、良好な物性及び成形性を有し、また、環境にやさしい材料として急速にその使用範囲が拡大している。例えば、その用途として、ポリプロピレンフィルムがあり、ポリプロピレンフィルムに求められる性能は、ますます高まってきている。中でも、アンチブロッキング性(又は耐ブロッキング性ともいう。)は、フィルム成形時に巻き取られ、その後の二次加工時に繰り出す際にブロッキングを発生させることなく、安定的な加工を行うためには必要不可欠な性能である。その性能付与のために、通常、アンチブロッキング剤が好適な配合剤として用いられている。
【0003】
また、ポリプロピレンフィルムは、食品包装材に代表される各種包装材として、広く使用されるため、アンチブロッキング性(耐ブロッキング性)やスリップ性を付与するために、好適な配合剤として、通常、アンチブロッキング剤が使用されるが、このアンチブロッキング剤の分散性が悪いと、白斑、フィッシュアイ等の外観不良が発生し、商品価値を低下させることから、分散性と耐ブロッキング性が良好なものが必要となってくる。
【0004】
アンチブロッキング剤には、シリカに代表される無機系のものと、アクリル系やシリコン系等の有機系のものが存在するが、最終的に、フィルムへ添加された際の透明性、耐ブロッキング性,、傷つき性等のバランスを考慮すると、無機系アンチブロッキング剤が用いられることが多い。
【0005】
ところが、無機系アンチブロッキング剤は、フィルムの表面に物理的な凹凸を形成するため、配合量が少なすぎると、耐ブロッキング性が得られず、一方、アンチブロッキング剤の配合量が多すぎると、分散性が悪くなり白斑、フィッシュアイ等の外観不良が発生する。
そのため、アンチブロッキング剤の分散性及び耐ブロッキング性が維持されるポリプロピレンフィルムが求められている。
【0006】
一方、先行技術として、特許文献1には、耐傷つき性に優れ、フィルム製膜時にフィッシュアイを発生し難いフィルムを製造し得るポリオレフィン樹脂組成物を提供するために、(A)平均粒子径が700~1500μmであるプロピレン系重合体粒子10~75重量%と、(B)冷凍粉砕で得られた平均粒子径が100~600μmであり、粒子径200μm以下の粒子が20~100重量%であるプロピレン系重合体粒子90~25重量%とからなる粒子組成物と、(A)+(B)100重量部に対して、平均粒子径が0.5~10μmであり、見掛比重が0.1~0.5g/cm3である無機微粒子1~20重量部とを含むものが開示されている。
【0007】
また、特許文献2にはフィルム製膜時にメヤニが発生し難く、フィッシュアイが少なく、透明性が良く、耐スクラッチ性に優れるポリプロピレン系フィルムを得ることができるポリプロピレン系樹脂組成物を提供するために、平均粒子径が600~1500μmであるポリプロピレン系樹脂粒子100重量部と、真球度が1.0~1.5であり、コールターカウンターで測定した平均粒子径が1.0~4.0μmであり、比表面積が260~1000m2/gであり、吸油量が100~700ml/100gであり、細孔容積が0.5~1.4ml/gである球状シリカ微粉末1~10重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物であることや、球状シリカ微粉末を分散させる観点から、冷凍粉砕で得られた平均粒子径が100~600μmであり、粒子径が200μm以下の粒子が20~100重量%であるポリプロピレン系樹脂粒子を含んでいても良いと開示されている。
【0008】
しかしながら上記の特許文献に記載の発明では無機微粒子や球状シリカ微粉末の分散性を向上させるためにポリプロピレン系樹脂組成物に使用されるプロピレン系樹脂粒子径は200μm以下の粒子が20~100重量%の使用が必要であり、200μm以下の粒子の割合の制御を必要とする手法は必ずしも分散性の向上を満足するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011-252082号公報
【特許文献2】特開2012-214709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、分散性、フィッシュアイ特性、耐ブロッキング性及び透明性に優れたポリプロピレン製フィルムの形成に用いるマスターバッチとして好適なポリオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、プロピレン系重合体を冷凍粉砕して乾燥工程を経た特定の平均粒子径の粉末体に、無定形シリカを高含有量で含むポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法であれば、アンチブロッキング剤マスターバッチとして好適であり、該マスターバッチを配合することによって、分散性、フィッシュアイ特性、耐ブロッキング性及び透明性に優れたポリプロピレンフィルムを提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本願の第1の発明によれば、プロピレン系重合体(A)を冷凍粉砕して乾燥工程を経た平均粒子径50~700μmの粉末体100重量部に対して、無定形シリカ(B)を1~20重量部含有するポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造方法が提供される。
【0013】
また、本願の第2の発明によれば、プロピレン系重合体(A)を冷凍粉砕して乾燥工程を経た平均粒子径50~700μmの粉末体100重量部に対して、少なくとも1種の酸化防止剤を0.01~1重量部更に含有する第1の発明に記載のポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造方法が提供される。
【0014】
また、本願の第3の発明によれば、プロピレン系重合体(C)100重量部に対して、第1の発明又は第2の発明に記載の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂組成物(X)を0.01~30重量部配合してなるポリオレフィン系フィルムの製造方法が提供される。
【0015】
また、本願の第4の発明によれば、多層構造を有する多層ポリオレフィン系フィルムの製造方法であって、多層構造の表層は、プロピレン系重合体(D)100重量部に対して、第1の発明又は第2の発明に記載の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂組成物(X)を0.01~30重量部配合してなる多層ポリオレフィン系フィルムの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、分散性、フィッシュアイ特性、耐ブロッキング性及び透明性に優れたポリプロピレンフィルムの形成に用いるマスターバッチとして好適なポリオレフィン系樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、項目ごとに詳細に説明する。
【0018】
1.プロピレン系重合体(A)、(C)及び(D)
本発明において、プロピレン系重合体(A)は、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)を製造する際に無定形シリカ(B)と共に用いられるプロピレン系重合体を指し、プロピレン系重合体(C)は、ポリオレフィン系フィルムを製造する際に上記ポリオレフィン系樹脂組成物(X)と共に用いられるプロピレン系重合体を指し、プロピレン系重合体(D)は、多層ポリオレフィン系フィルムを製造する際に表層として上記ポリオレフィン系樹脂組成物(X)と共に配合されるプロピレン系重合体を指す。後述するプロピレン系重合体は、プロピレン系重合体(A)、(C)及び(D)のいずれとしても使用できる。プロピレン系重合体(A)、(C)及び(D)の形状は、いずれもパウダーであってもペレットであってもよいが、プロピレン系重合体(A)の好ましい形状は、ペレットである。
【0019】
本発明に用いられるプロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体、及び/又はプロピレンとプロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体(以下、本明細書においては単に、「プロピレン-α-オレフィン共重合体」と称することがある。)である。
プロピレン-α-オレフィン共重合体は、プロピレンとプロピレンを除く炭素数2~8のα-オレフィンをコモノマーとする共重合体、好ましくはプロピレン含有量が88重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、特に好ましくは97重量%以上、最も好ましくは99重量%以上の主成分であるプロピレンと副成分であるα-オレフィンとのランダム共重合体である。ここでは、α-オレフィンの異なるランダム共重合体の混合物であってもよい。
また、プロピレンと共重合させるプロピレンを除く炭素数2~8のα-オレフィンであるコモノマーは、1種用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プロピレン-α-オレフィン共重合体としては、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1ランダム共重合体等が好ましい。
プロピレンを除く炭素数2~8のα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、1-オクテン等を挙げることができる。
【0020】
本発明に用いられるプロピレン系重合体は、JIS K7210に準拠したメルトフローレート(以下、MFRとも記す。)[測定温度230℃、2.16kg荷重]について、特に制限はないが、MFRが1~20g/10分であるのが好ましく、1~10g/10分がより好ましい。MFRが1g/10分以上、20g/10分以下であると、押出性や外観の点で好ましい。
【0021】
本発明に用いられるプロピレン系重合体を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒(例えば、ポリプロピレンハンドブック(1998年5月15日 初版第1刷発行)等に記載)、又は、メタロセン触媒(例えば、特開平5-295022号公報等に記載)が使用できる。
【0022】
本発明に用いられるプロピレン系重合体を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、バッチ重合法や連続重合法のいずれも用いることができ、所望により、二段及び三段等の複数段の連続重合法を用いてもよい。また、2種以上のプロピレン系重合体を機械的に溶融混練することによっても、製造することができる。
このようなプロピレン系重合体としては、市販のものを用いることができ、例えば、日本ポリプロ(株)製の商品名:ウィンテック(WINTEC)、ノバテック PP(NOVATEC PP)等を挙げることができる。
【0023】
(1)プロピレン系重合体(A)の粉末体の調製方法
本発明に用いられるプロピレン系重合体(A)の粉末体は、プロピレン系重合体(A)を冷凍粉砕して乾燥工程を経ることによって得ることができる。冷凍粉砕は、プロピレン系重合体(A)を液体窒素(約-196℃)雰囲気下で脆化点以下に冷却した後、ピンミル、ターボミル、ハンマーミル、リンレックスミル等の衝撃型粉砕機を用いて粉砕を行う。好ましい衝撃型粉砕機はピンミルである。常温粉砕では不可能な硬いものでも冷凍粉砕を行うことで、均一な粉末体を得ることができる。
乾燥工程は、ギヤーオーブン、スピードドライヤー等の乾燥機を用いて好ましくは、60~110℃の温度範囲で2~72時間の範囲で乾燥を行う。60℃以上であると粉末体の水分が十分に乾燥され好ましい。110℃以下であると粉末体の溶融の可能性が小さい。より好ましい温度範囲は80~110℃、更に好ましくは80~105℃である。
【0024】
(2)プロピレン系重合体(A)の粉末体の平均粒子径
本発明に用いられるプロピレン系重合体(A)の粉末体は、動的画像解析法で測定した平均粒子径が50~700μmであり、好ましくは50~600μmであり、より好ましくは50~500μmである。平均粒子径が上記の範囲にあると、分散性及びフィッシュアイ特性に優れるので、好ましい。
【0025】
2.無定形シリカ(B)
本発明に用いられる無定形シリカ(B)は、アンチブロッキング剤として機能するものであり、透明性を悪化させない観点から、レーザー回折法により測定される平均粒子径が1~10μm、B.E.T比表面積が30~700m2/g、かさ密度が0.02~1g/ml、細孔容積が0.3~3ml/g、及び吸油量が50~500ml/100gである無定形シリカであることが好ましい。本発明に用いられる二酸化ケイ素(シリカ)は、無定形のものであり、定形のものに比べ耐脱落性に優れ、更に耐傷つき性に優れる。
【0026】
(1)平均粒子径
本発明に用いられる無定形シリカ(B)は、レーザー回折法で測定した平均粒子径が好ましくは1~10μmであり、より好ましくは1.5~7μmであり、更に好ましくは1.8~5μmである。平均粒子径が上記の範囲にあると、分散性に優れ、2次凝集が抑制されることになり、耐ブロッキング性が向上する。平均粒子径が10μm以下であると、得られるフィルムの表面の凹凸が小さくなることにより、耐脱落性が改善され、透明性も向上する。また、平均粒子径が1μm以上では、巻き取り時のフィルムのスリップ性および耐ブロッキング性が向上するので、好ましい。
【0027】
(2)比表面積
さらに、本発明に用いられる無定形シリカ(B)は、B.E.T法により測定した比表面積(B.E.T比表面積とも記す。)が好ましくは30~700m2/gであり、より好ましくは100~700m2/gであり、更に好ましくは250~700m2/gである。比表面積は、吸油量と相関があり、シリカの構造を示しているといえる。比表面積が上記の範囲にあると、分散性に優れ、2次凝集が抑制される。比表面積が700m2/g以下であると、シリカが硬く、崩壊しにくい構造となることで2次凝集しにくくなる。その結果として、フィッシュアイが減少し、外観が向上する。また、比表面積が30m2/g以上であると、粒子が柔らかく、フィルムを成形した際、フィルム表面のこすれによる傷付きが抑制され、外観が向上する。
【0028】
(3)かさ密度
さらに、本発明に用いられる無定形シリカ(B)は、かさ密度が好ましくは0.02~1g/mlであり、より好ましくは0.1~1g/mlである。かさ密度が上記の範囲にあると、分散性に優れ、2次凝集が抑制される。かさ密度が1g/ml以下であると、粒子が柔らかく、フィルムを成形した際、フィルム表面のこすれによる傷付きが抑制され、外観が向上する。また、かさ密度が0.02g/ml以上であると、シリカが硬く、崩壊しにくい構造となることで2次凝集しにくくなる。その結果として、フィッシュアイが減少し、外観が向上する。
【0029】
(4)細孔容積
本発明に用いられる無定形シリカ(B)は、N2吸着法で測定した細孔容積が好ましくは0.3~3ml/gであり、より好ましくは0.4~2ml/gである。細孔容積が上記の範囲にあると、分散性に優れ、2次凝集が抑制される。細孔容積が3ml/g以下であると、硬くシリカが崩壊しにくくなるため、プロピレン系重合体(A)との混合時に、凝集しにくく、フィッシュアイ特性が向上する。
【0030】
(5)吸油量
また、本発明に用いられる無定形シリカ(B)は、JIS K5101に準拠して測定した吸油量が好ましくは50~500ml/100gである。吸油量が上記の範囲にあると、分散性に優れ、2次凝集が抑制される。
【0031】
(6)その他の特性
また、本発明に用いられる無定形シリカ(B)は、特に、表面処理剤で表面処理されてもよく、また、表面処理されていなくてもよい。例えば、表面処理剤によって処理されていることにより、アンチブロッキング剤として使用するシリカの耐脱落性を改善する効果が得られる。表面処理剤としては、例えば、パラフィン、脂肪酸、多価アルコール、シランカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、クエン酸等が挙げられる。
【0032】
さらに、本発明に用いられる無定形シリカ(B)は、該当する製品を選択して、使用することができる。無定形シリカ(B)に該当する製品は、例えば、富士シリシア化学社等から入手することができる。
【0033】
3.ポリオレフィン系樹脂組成物(X)
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(X)は、上述したプロピレン系重合体(A)の粉末体及び無定形シリカ(B)を含有するが、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(X)における無定形シリカ(B)の含有量は、プロピレン系重合体(A)を冷凍粉砕して乾燥工程を経た平均粒子径50~700μmの粉末体100重量部に対して、1~20重量部である。20重量部以下であると無定形シリカ(B)の分散性が良好となり、外観の観点で好ましい。1重量部以上であるとアンチブロッキング性能を得ることができる。好ましい無定形シリカ(B)の含有量は1~11重量部である。
無定形シリカ(B)の含有量が上記範囲であるポリオレフィン系樹脂組成物(X)をプロピレン系重合体(C)に配合してなるポリオレフィン系フィルムは、分散性、フィッシュアイ特性、耐ブロッキング性及び透明性に優れる。
【0034】
[その他の配合成分]
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(X)には、上述した無定形シリカ(B)に加えて、他の付加的成分を、本発明の効果を著しく損なわない範囲で配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤を挙げることができる。また、公知の酸変性ポリオレフィン系樹脂等を、性能に悪影響を与えない範囲で、配合することもできる。少なくとも1種の酸化防止剤を含有させることが好ましい。
【0035】
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等を挙げることができる。
【0036】
燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルフォスファイト)、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシル)フォスファイト、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジ-トリデシルフォスファイト-5-t-ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-フォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジ-フォスフォナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジ-フォスフォナイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-フォスファイト等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ-ステアリル-チオ-ジ-プロピオネート、ジ-ミリスチル-チオ-ジ-プロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス-(3-ラウリル-チオ-プロピオネート)等を挙げることができる。
これら酸化防止剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0037】
酸化防止剤の含有量は、プロピレン系重合体(A)を冷凍粉砕して乾燥工程を経た平均粒子径50~700μmの粉末体100重量部に対して、好ましくは0.01~1重量部、より好ましくは0.02~0.5重量部、更に好ましくは0.05~0.1重量部である。含有量が0.01重量部以上であれば熱安定性の効果が得られ、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)を製造する際に樹脂の劣化が起こり難く、樹脂が焼け(黒色の炭化物)となってフィッシュアイの原因となる可能性が小さい。また、1重量部以下であればそれ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり難く好ましい。
【0038】
4.ポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造方法
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(X)は通常の単軸押出機、二軸押出機等を用いて製造することができる。上述したプロピレン系重合体(A)の粉末体、無定形シリカ(B)及びその他の添加剤の各所定量を、必要に応じてヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合(ドライブレンド)した後、メインホッパーにより押出機に投入し、このブレンド物を100~280℃程度の温度範囲で溶融混練することにより、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)を得ることができる。
【0039】
5.ポリオレフィン系樹脂成形品
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(X)は、アンチブロッキング剤が必要な用途に適用可能であり、該ポリオレフィン系樹脂組成物(X)を、任意のプロピレン系樹脂又はプロピレン系樹脂組成物に任意の割合で添加した後、公知の射出成形機、押出成形機、フィルム成形機、ブロー成形機、繊維成形機等各種の成形機により成形することが可能である。
このようにして得られた好ましい成形品としては、具体的には、二軸延伸ポリプロピレンフィルムや未延伸ポリプロピレンフィルムのようなポリプロピレンフィルムが挙げられる。
【0040】
本発明の成形品がポリオレフィン系フィルムの場合、主材であるプロピレン系重合体(C)100重量部に対して、上記のポリオレフィン系樹脂組成物(X)を0.01~30重量部、好ましくは0.1~30重量部配合して、公知のフィルム作製方法により、ポリオレフィン系フィルムを得ることができる。
フィルムの層構成としては、単層構成でも多層構成でもよく、多層構成の場合は表層にポリオレフィン系樹脂組成物(X)を配合することが好ましい。
本発明の多層ポリオレフィン系フィルムは、その多層構造の表層が、プロピレン系重合体(D)100重量部に対して、上記のポリオレフィン系樹脂組成物(X)を0.01~30重量部、好ましくは0.1~30重量部配合して、公知のフィルム作製方法により得ることができる。
【実施例0041】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0042】
[プロピレン系重合体特性]
(1)MFR(メルトフローレート)
JIS K-7210-1995に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した(単位:g/10分)。
(2)融解ピーク温度
示差走査型熱量計(TA(ティー・エイ)インスツルメント社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tm)を測定した(単位:℃)。
(3)粉末体の粒径
MicrotracBEL(マイクロトラック・ベル(株))製、商品名:CAMSIZER P4(動的画像解析式)を用いて平均粒子径を測定した(単位:μm)。
[無定形シリカ(アンチブロッキング剤、AB剤)特性]
(1)平均粒子径;レーザー回折粒度分布測定装置を用いて測定した(単位:μm)。
(2)B.E.T比表面積;自動ガス吸着量測定装置を用いた窒素吸着測定より算出した(単位:m2/g)。
(3)かさ密度;粉体5gをメスシリンダーに入れて振ったのち静置し、その占有体積を計測することにより算出した(単位:g/ml)。
(4)細孔容積;自動ガス吸着量測定装置を用いた窒素吸着測定より算出した(単位:ml/g)。
(5)吸油量;JISK5101に準じて測定した(単位:ml/100g)。
【0043】
[フィルムの評価方法]
(1)透明性(ヘーズ)
ASTM D1003に準拠し、成形したフィルムの透明性をヘーズメータで測定した。得られた値が小さいほど、透明性に優れるものと評価した(単位:%)。
(2)耐ブロッキング性(ブロッキング強度)
フィルムをカッターで20mm×90mmに裁断し、この裁断片2枚を長手方向において上下に20mm以上重なるようにフィルムをずらしサンプルをセットする。このサンプルをパラフィン紙と交互に8組重ね合せ、20mm×30mm角の錘1を圧着面が20mm×20mmになるように載せ、合計1kgになるように錘1の上に錘2を載せ荷重をかけ、40℃の環境で24時間放置する。サンプルを取り出して常温まで放冷して試験片を、引張試験機を使用し、JIS K7127に準拠して引張速度500mm/分で剪断応力を測定した(単位:N/4cm2)。
(3)物性(ヘーズ及びブロッキング強度)
ヘーズ及びブロッキング強度を以下の基準により、物性として評価した。
○:「ヘーズが5%未満」及び「ブロッキング強度が5N/4cm2未満」。
△:「ヘーズが10%未満」及び「ブロッキング強度が10N/4cm2未満」。
但し、「ヘーズが5%未満」及び「ブロッキング強度が5N/4cm2未満」を除く。
×:「ヘーズが10%以上」及び/又は「ブロッキング強度が10N/4cm2以上」。
(4)分散性(フィッシュアイ)
得られたフィルム15cm(幅)×20cm(長)に存在するフィッシュアイ(単位:個数/300cm2)を、目視でカウントした。
カウントされたフィッシュアイの個数に応じて、その分散性を以下の基準により、評価した。
◎:30個未満。
○:30個以上70個未満。
△:70個以上100個未満。
×:100個以上又は個数が多すぎて測定不可。
(5)総合評価(判定)
上記の全ての評価結果から、総合判定を以下の基準により、実施した。
○:すべての評価結果に、『△』又は『×』が存在しない。
△:すべての評価結果に、『×』は存在しないが、『△』の項目がある。
×:1項目でも特性結果に、『×』がある。
【0044】
[使用材料]
(1)プロピレン系重合体(A)
プロピレン系重合体(A)として、下記のものを使用した。
A1:日本ポリプロ株式会社製、商品名「WINTEC WFX4」(プロピレン-エチレンランダム共重合体、MFR=7.0g/10分、Tm=125℃、ペレット形状)
A2:日本ポリプロ株式会社製、商品名「NOVATEC PP FL100A」(プロピレン単独重合体、MFR=3.0g/10分、ペレット形状)
(2)無定形シリカ(B)
無定形シリカ(B)として、下記のものを使用し、その特性を表1に示す。
B:富士シリシア化学株式会社製、商品名「サイリシア430」(平均粒子径 4.1μm、B.E.T比表面積 350m2/g、かさ密度 0.09g/ml、細孔容積 1.25ml/g、吸油量 350ml/100g)
(3)その他の配合成分
酸化防止剤、中和剤として、それぞれ下記のものを使用した。
フェノール系酸化防止剤「イルガノックス1010」テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン。BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」。
燐系酸化防止剤「イルガフォス168」トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト。BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」。
中和剤「ステアリン酸カルシウム」ステアリン酸カルシウム。日東化成工業(株)製、商品名「Ca-St」。
【0045】
【表1】
(3)粉末体
粉末体として、下記のものを使用し、その特性を表2に示す。
プロピレン系重合体(A)としてWINTEC WFX4(A1)又はNOVATEC PP FL100A(A2)を使用した。プロピレン系重合体(A)のペレットの粉砕は、粉体技研株式会社にて行った。冷凍粉砕後、ブロースルー式篩いで粒子の分級を行った。
A1-1:平均粒子径260μmの冷凍粉砕体
A1-2:平均粒子径309μmの冷凍粉砕体を、スピードドライヤー((株)松井製作所製)を用いて105℃で2時間、乾燥を行った。
A1-3:平均粒子径309μmの冷凍粉砕体
A2-1:平均粒子径446μmの冷凍粉砕体を、スピードドライヤー((株)松井製作所製)を用いて105℃で2時間、乾燥を行った。
A2-2:平均粒子径446μmの冷凍粉砕体。
【0046】
【0047】
[ポリオレフィン系樹脂組成物(X)(マスターバッチ:MB)の作製]
[MB-1]
粉末体(A1-2)100重量部に、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を2重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-1を得た。
[MB-2]
粉末体(A1-2)100重量部に、酸化防止剤としてイルガノックス1010を0.1重量部とイルガフォス168を0.1重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を5重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-2を得た。
[MB-3]
粉末体(A1-2)100重量部に、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を10重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-3を得た。
[MB-4]
粉末体(A1-2)100重量部に、酸化防止剤としてイルガノックス1010を0.1重量部とイルガフォス168を0.1重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を2重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-4を得た。
[MB-5]
粉末体(A1-1)100重量部に、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を2重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-5を得た。
[MB-6]
粉末体(A1-3)100重量部に、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を2重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-6を得た。
[MB-7]
粉末体(A1-3)100重量部に、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を5重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-7を得た。
【0048】
[MB-8]
粉末体(A2-1)100重量部に、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を2重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-8を得た。
[MB-9]
粉末体(A2-1)100重量部に、酸化防止剤としてイルガノックス1010を0.1重量部とイルガフォス168を0.1重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を2重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-9を得た。
[MB-10]
粉末体(A2-2)100重量部に、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を2重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-10を得た。
[MB-11]
粉末体(A2-2)100重量部に、無定形シリカ(B)としてサイリシア430を5重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。30mmφの2軸押出機を用いて、メインホッパーより該ブレンド物を投入し、シリンダ温度200℃で溶融混練してMB-11を得た。
【0049】
MB-1~MB-11の配合処方を表3に示す。
【0050】
【0051】
[実施例1]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-1を15重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
[実施例2]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-2を6重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
[実施例3]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-3を3重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
[実施例4]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-4を15重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
[実施例5]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-8を15重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
[実施例6]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-9を15重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
【0052】
[比較例1]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-5を15重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
[比較例2]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-6を15重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
[比較例3]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-7を6重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
[比較例4]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-10を15重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
[比較例5]
プロピレン系重合体(C)としてWINTEC WFX4 100重量部に、MB-11を6重量部加え、ヘンシェルミキサー(商品名)にてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、ブロッキングを測定した。
【0053】
フィルムの配合処方及びフィルムの評価結果を表4に示す。
【0054】