(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009426
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】粉粒体供給装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20220106BHJP
B65G 65/30 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61J3/00 310D
B65G65/30 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173349
(22)【出願日】2021-10-22
(62)【分割の表示】P 2017224646の分割
【原出願日】2017-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】野崎 知之
(72)【発明者】
【氏名】長村 佳則
(72)【発明者】
【氏名】吉井 進一
(72)【発明者】
【氏名】大賀 優希
(72)【発明者】
【氏名】勝丸 智行
(72)【発明者】
【氏名】岩川 明弘
(72)【発明者】
【氏名】澤田 優貴
(72)【発明者】
【氏名】河井 崇
【テーマコード(参考)】
3F075
4C047
【Fターム(参考)】
3F075AA08
3F075BA09
3F075BB03
3F075CA02
3F075CA06
3F075CA09
3F075CB12
3F075CD04
4C047JJ03
4C047JJ13
4C047JJ33
4C047KK28
(57)【要約】
【課題】粉粒体の性状に応じて適切な供給を行うことができる粉粒体供給装置を提供することを課題とする。
【解決手段】粉粒体Mを貯留する容器21と、容器21から供給対象物Tに対して粉粒体Mを供給する粉粒体供給部2bと、粉粒体供給部2bを制御する制御部と、を備え、容器21には、貯留された粉粒体Mの種類ごとの粉粒体供給部2bの駆動条件に関連付けられた固有情報が付与されており、固有情報を容器21から取得する情報読取部を備え、前記固有情報は、粉粒体Mの飛散しやすさに応じており、制御部9は、情報読取部により取得した固有情報に基づいて粉粒体供給部2bの駆動条件を設定し、粉粒体供給部2bを当該駆動条件に対応するよう制御して粉粒体Mを供給することで、供給時の粉粒体Mの飛散を抑制できる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を貯留する容器と、
前記容器から供給対象物に対して粉粒体を供給する粉粒体供給部と、
前記粉粒体供給部を制御する制御部と、を備え、
前記容器には、貯留された粉粒体の種類ごとの前記粉粒体供給部の駆動条件に関連付けられた固有情報が付与されており、
前記固有情報を前記容器から取得する情報読取部を備え、
前記固有情報は、粉粒体の飛散しやすさに応じており、
前記制御部は、前記情報読取部により取得した前記固有情報に基づいて前記粉粒体供給部の駆動条件を設定し、前記粉粒体供給部を当該駆動条件に対応するよう制御して粉粒体を供給することで、供給時の粉粒体の飛散を抑制できる、粉粒体供給装置。
【請求項2】
前記容器は、外部に開放されて粉粒体を供給する供給口を備え、
前記粉粒体供給部は、前記容器内で回転することにより粉粒体を前記供給口に向けて移送する移送体を有し、
前記固有情報は、前記移送体の回転速度の情報を含む、請求項1に記載の粉粒体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を供給するために用いられる粉粒体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体供給装置の一例として、特許文献1に記載された装置がある。この装置は、容器の中に羽根車を設け、羽根の間を「一枡」として落下口から粉体を排出することで粉体を供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一方、粉粒体の性状により排出時の挙動は異なる。しかし特許文献1に係る発明では、粉粒体の性状の違いには全く着目されていなかった。
【0005】
そこで本発明は、粉粒体の性状に応じて適切な供給を行うことができる粉粒体供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、粉粒体を貯留する容器と、前記容器から供給対象物に対して粉粒体を供給する粉粒体供給部と、前記粉粒体供給部を制御する制御部と、を備え、前記容器には、貯留された粉粒体の種類ごとの前記粉粒体供給部の駆動条件に関連付けられた固有情報が付与されており、前記固有情報を前記容器から取得する情報読取部を備え、前記固有情報は、粉粒体の飛散しやすさに応じており、前記制御部は、前記情報読取部により取得した前記固有情報に基づいて前記粉粒体供給部の駆動条件を設定し、前記粉粒体供給部を当該駆動条件に対応するよう制御して粉粒体を供給することで、供給時の粉粒体の飛散を抑制できる、粉粒体供給装置である。
【0007】
前記構成によれば、供給時の粉粒体の飛散(飛び散り)を抑制できるため、確実に供給対象物への粉粒体の供給が可能である。
【0008】
また、前記容器は、外部に開放されて粉粒体を供給する供給口を備え、前記粉粒体供給部は、前記容器内で回転することにより粉粒体を前記供給口に向けて移送する移送体を有し、前記固有情報は、前記移送体の回転速度の情報を含むものであってもよい。
【0009】
前記構成によれば、固有情報に移送体の回転速度の情報を含むことにより、例えば飛散しやすい(飛び散り易い)粉粒体に関しては、制御部が移送体の回転速度を遅くする制御を行うことができ、確実に供給対象物への粉粒体の供給が可能である。
【発明の効果】
【0010】
以上より、本発明によれば、制御部による粉粒体供給部の制御を、粉粒体の種類に応じて最適化できる。このため、粉粒体の性状に応じて適切な供給を行うことができる粉粒体供給装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る秤量装置の外観を示す正面図である。
【
図2】同実施形態に係る秤量装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】同実施形態に係る秤量装置の主要部分の斜視図である。
【
図4】同実施形態に係る秤量装置の主要部分の正面図である。
【
図5】同実施形態に係る秤量装置の主要部分の平面図であって、自動で秤量を行う場合の平面図である。
【
図6】同実施形態に係る秤量装置の主要部分の平面図であって、手動で秤量を行う場合の平面図である。
【
図7】同実施形態に係る秤量装置の散剤容器を示す正面及び平面側の斜視図である。
【
図8】同実施形態に係る秤量装置の散剤容器を示す背面及び底面側の斜視図である。
【
図9】同実施形態に係る秤量装置の散剤容器の分解斜視図である。
【
図10】同実施形態に係る秤量装置の主要部分の断面図であって、払出位置に散剤容器が位置合わせされた状態を説明するための断面図である。
【
図11】同実施形態に係る秤量装置において、第1供給口、第2供給口と下側移送体との関係につき、両者を抜き出して示した、平面視の概略図である。
【
図12】同実施形態に係る秤量装置において、仕切体と下側移送体との関係につき、両者を抜き出して示した、底面側の斜視図(立てた状態で示す)である。
【
図13】同実施形態に係る秤量装置において、第1供給口、第2供給口と開閉体との関係を示した底面視の概略図であって、(A)は第1供給口、第2供給口が共に開放された第1開放状態を示し、(B)は第2供給口のみが開放された第2開放状態を示し、(C)は第1供給口、第2供給口が共に閉鎖された全閉状態を示す。
【
図14】同実施形態に係る秤量装置において、保持体に散剤容器を装着した状態を示す背面及び平面側の斜視図である。
【
図15】同実施形態に係る秤量装置の払出機構を単体で示す斜視図である。
【
図16】同実施形態に係る秤量装置の制御に係る構成を示したブロック図である。
【
図17】同実施形態に係る秤量装置の散剤供給にかかわる制御の一例を示すフローチャートである。
【
図18】同実施形態に係る秤量装置の情報表示部に表示される情報を説明するための図である。
【
図19】他の実施形態に係る秤量装置のトレイ集積部を示す平面視の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る、粉粒体供給装置としての散剤供給装置2aを備えた秤量装置1について、図面を参照しつつ説明する。以下説明における方向の表示は、
図3に示した方向に対応している。なお、「幅方向」のことを「左右方向」とも称している。また、本実施形態で用いられる供給対象物としてのトレイT(
図18参照)は、トレイ待機部4、秤量部3、トレイ集積部6の順に移動する。そのため、各構成要素の配置関係に対して、トレイTの移動方向を流れに例えて、「上流」等の表現で説明する場合がある。
【0013】
本発明に係る粉粒体供給装置の被供給対象物である粉粒体は、集合した状態で不定形の物体であって、例えば、粉状や顆粒状の物体である。本実施形態における散剤供給装置2aが取り扱う被供給対象物は、粉状や顆粒状の薬品である散剤Mである。
【0014】
[概要]
本実施形態の秤量装置1は、従来、薬剤師等の作業者が散剤を調剤する際に手作業で行っていた、散剤Mの秤量作業を機械的に行うことができ、必要によっては作業者による手作業で行うこともできる装置である。この秤量装置1は、秤量部3に載置したトレイTに対して機械的または手作業で散剤Mを供給して秤量できる。本実施形態の各トレイTには1種類の散剤Mが供給され、作業者が後工程で(分包装置への投入時等)必要に応じて異種の散剤Mを混合させる。ただし、場合によっては各トレイTに複数種類の散剤Mを供給することも可能である。また、各トレイTの散剤Mを収容する領域を複数に仕切り、仕切られた各領域に異なる種類の散剤Mを収容できるようにしてもよい。
【0015】
図1~
図3等に示すように、本実施形態の秤量装置1は主に、払出部2、秤量部3、トレイ待機部4、トレイ移送部5、トレイ集積部6、情報書込部7、装置側表示部8、制御部9(
図16参照)、筐体10を備える。以下、各部について主な構成を説明する。
【0016】
[払出部]
払出部2は、散剤Mを収容して貯留可能な容器である散剤容器21と、散剤容器21を着脱可能に保持する保持体22と、保持体22に保持された散剤容器21を移動させる移動機構23と、散剤容器21から散剤Mを払い出させる払出機構24とを備え、更に、散剤容器21、保持体22、移動機構23、払出機構24をそれぞれ支持するテーブル25を備える。なお、
図3~
図6では一部の保持体22に散剤容器21が取り付けられていない状態を示している。
【0017】
(散剤容器)
散剤容器21は水平方向に複数設けられている。散剤容器21は、移動機構23により、散剤Mを払い出すための払出位置P1に移動させられる。払出機構24により払い出される散剤は、
図10に示すように、散剤容器21から落下して、下方に位置する秤量部3に載置されたトレイTに収容される。本実施形態では、散剤容器21は14個設けられている。ただし散剤容器21の数量はこれに限定されるものではない。本実施形態の散剤容器21の各々には、通常では、散剤Mが種類別に収容されている。即ち、1つの散剤容器21に1種類の散剤Mが収容されている。ただし、例えば使用量の多い散剤Mに関しては、1種類の散剤Mを2つ以上の散剤容器21に収容することもできる。
【0018】
図7~
図9に示すように、散剤容器21は、筒状の胴部211と、該胴部211の一端(下端)である底部に設けられた底部部材212と、胴部211の他端(上端)に設けられた蓋部213とを有する。底部部材212は底部上部材212aと底部下部材212bとから構成されている。散剤容器21は、胴部211及び底部部材212によって散剤Mを収容する空間を画定し、蓋部213で胴部211の他端を閉じることで、収容された散剤Mを散剤容器21内に格納する。そして、秤量部3における秤量検出値に基づき、払出機構24からトレイTに一定量の散剤Mが払い出されるように構成されている。以下、胴部211の軸方向を上下方向とする。本実施形態の散剤容器21は、前記軸方向が鉛直方向と略一致し、水平面上に起立するように配置されている。散剤容器21は、底部部材212を下側に位置させた状態で保持体22に対して着脱される。
【0019】
胴部211は、円筒状に形成されている。本実施形態の胴部211は、例えば透明材料で形成されている。そのため、胴部211内に収容された散剤Mは、胴部211の外側から視認可能となっている。これにより、散剤容器21内の散剤Mの量を外部から把握することができる。透明材料は、胴部211の全体を占めていてもよいし、視認窓とする一部だけを占めていてもよい。また、胴部211の背面側には、ケースに収納された状態でRFIDタグ214が設けられている。このRFIDタグ214には、後述する固有情報等、散剤Mを払い出すために必要な情報が書き込まれている。
【0020】
底部部材212には、散剤Mを落下させることにより払い出すための供給口が形成されている。この供給口は外部に開放されており、ここから落下させて散剤MをトレイTに供給できる。この供給口は、
図9に示すように底部上部材212aに形成され、散剤容器21の底部において別々に開口した第1供給口2121と第2供給口2122とを有している。各供給口2121,2122が2箇所に分かれて存在することにより、落下した散剤MによりトレイTに形成される「山」の高さを、1箇所から落下させた場合に比べて低くできる。このため、散剤MがトレイTの外部に散る可能性を低減して、安定した散剤Mの供給が可能である。底部下部材212bにおいて、第1供給口2121と第2供給口2122の更に下方には、1つの通路である底部通路2123が形成されている。
図8に示すように、この底部通路2123は散剤容器21の底面に開口している。この底部通路2123は、
図10に示すように、保持体22に散剤容器21を装着した際、保持本体221の連通口221aに連通する。
【0021】
第1供給口2121は外周孔2181に連通しており、この外周孔2181から散剤Mを落下させられるよう開口している。第1供給口2121は外周孔2181の下に位置している。本実施形態の第1供給口2121は外周孔2181の直下に位置している。このため、散剤容器21に貯留された散剤Mは直接的に落下する。
【0022】
第2供給口2122は、仕切体218の内周孔2182と周方向にずれた位置に設けられている。本実施形態では約180°ずれている。また、第2供給口2122は、第1供給口2121とは周方向にずれた位置であり、かつ、径方向に重なる位置に設けられている。第2供給口2122を第1供給口2121とは周方向にずれた位置(重なり合わない位置)とすることで、径方向に重ねた分、第2供給口2122の開口面積を拡大できる。このため、
図11に示すように、下側移送体219の各移送片2191間の移送領域219aに対し、第2供給口2122の径方向外縁部を径方向外方に離すことができる。さらに、外周仕切部2183を、第2供給口2122と周方向に同じ位置において、下側移送体219の各移送片2191間の移送領域219aに対し、径方向外方に離すことができる。このため、第2供給口2122を径方向に余裕を持って開口させられる。よって、下側移送体219により移送される散剤Mを第2供給口2122から落下させ、トレイTに対して確実に供給できる。この第2供給口2122は、仕切体218の内周孔2182から落下し、その上で下側移送体219により移送された(本実施形態では略180°分移送された)散剤Mを落下させる。第1供給口2121と第2供給口2122の両方、または、第2供給口2122のみ(この際第1供給口2121は閉鎖される)から散剤Mを落下させることで、散剤Mが払い出される。
【0023】
第1供給口2121と第2供給口2122とは、散剤容器21の底部において近接した位置に設けられている。具体的には、第1供給口2121と第2供給口2122とは、周方向に隣接して設けられている。この位置関係により、各供給口2121,2122から落下する散剤Mの流れが一部重なり合うか、少なくとも隣り合うようにできる。このため、各供給口2121,2122から散剤Mが落下する位置を近くできる。
【0024】
底部下部材212bには、散剤容器21の内部において回転する部材(撹拌体215、上側移送体217、下側移送体219)を回転させるための回転軸21B、及び、駆動力を払出機構24から受けるための駆動入力軸21C、また、開閉体21Aを移動させるための機構等が設けられている。
【0025】
蓋部213は、胴部211の一端を塞ぐ部分である。蓋部213は、胴部211の径方向に平行な軸まわりに、胴部211に対して回動可能に取り付けられている。
【0026】
(散剤容器の内部構造)
次に、散剤容器21の内部構造について説明する。
図9に示すように、散剤容器21の内部のうち下方には、上から順に、撹拌体215、遮蔽体216、移送体(上側移送体)217、仕切体218、移送体(下側移送体)219、開閉体21Aが配置されている。これらのうち、上側移送体217、下側移送体219、仕切体218、開閉体21Aを少なくとも有するように、粉粒体供給部としての散剤供給部2bが構成される。散剤供給部2bは、散剤容器21からトレイTに対して散剤Mを供給するよう機能する。散剤供給部2bは制御部9により制御される。回転軸21Bにより、撹拌体215、上側移送体217、下側移送体219は同軸で一体に回転する。この回転は、散剤容器21の底部に交差する中心軸(本実施形態では鉛直軸)まわりの回転である。また、下側移送体219による散剤の移送が間欠的になされるようにするため、前記回転は間欠的な回転となる場合がある。
【0027】
回転軸21Bは駆動入力軸21Cから、回転のための駆動力が伝達される。
図8に示すように、駆動入力軸21Cは背面側端部に入力嵌合部21C1を備えている。入力嵌合部21C1は、払出機構24における駆動出力軸242の正面側端部における出力嵌合部2421(
図15参照)に嵌合できる形状であって、周方向に交互に並ぶ凹凸を有している。入力嵌合部21C1は、底部部材212における底部下部材212bの背面よりも正面側に配置され、前記凹凸が外方に突出しないように位置している。このため、保持体22から取り外された状態の散剤容器21に物体が衝突すること等により、駆動入力軸21Cが不意に回転してしまうことを抑制できる。
【0028】
撹拌体215は、径方向に延びた後上方に立ち上がった形状の立ち上げブレード2151と、径方向に延びる水平ブレード2152とを有する。撹拌体215の回転に伴い、立ち上げブレード2151は胴部211の内面に付着した散剤Mに触れることで、散剤Mを落下させられる。水平ブレード2152は、遮蔽体216の上方に存在する散剤Mを移動させることができる。よって、立ち上げブレード2151が回転することにより、散剤容器21に収容された散剤Mがファンネルフロー状に排出されること(胴部211の内面に近い部分の散剤Mが残留したままになり、胴部211の内面から離れた部分の散剤Mだけが落下するような状態)を抑制し、マスフロー状(胴部211内部の散剤Mが均一に落下するような状態)に払い出すことができる。また、水平ブレード2152が回転することにより、遮蔽体216の上方に散剤Mが残留しないようにすることができる。
【0029】
遮蔽体216は、散剤容器21内部に固定され、外周孔遮蔽体2161、内周孔遮蔽体2162、連結輪2163を一体に備えている。外周孔遮蔽体2161は仕切体218の外周孔2181の上方に位置し、外周孔2181を上方から遮蔽する。本実施形態において前記「遮蔽」とは、上側移送体217の回転による外周孔2181からの散剤Mの落下を阻害しない程度に、上側移送体217の上方において外周孔2181を覆うことを意味している。この外周孔遮蔽体2161により、散剤容器21に貯留された散剤Mの圧力が、上側移送体217により外周孔2181に移送された散剤Mにかからないようにできる。同じく、内周孔遮蔽体2162は仕切体218の内周孔2182の上方に位置しており、当該内周孔2182を上方から遮蔽する。この内周孔遮蔽体2162により、散剤容器21に貯留された散剤Mの圧力が下側移送体219に移送された散剤Mにかからないようにできる。連結輪2163は、外周孔遮蔽体2161と内周孔遮蔽体2162とを連結する。
【0030】
上側移送体217には、径外方向に延びる複数の移送片2171が周方向に間隔をあけて配されている。本実施形態の移送片2171は径方向に対して周方向にずれるように延びた形状であるが、移送片2171の形状は特に限定されない。上側移送体217は、回転することにより各移送片2171間の移送領域217aに位置する散剤Mを、回転方向に移送する。これにより、上側移送体217は、仕切体218に載置される散剤Mを移送することができる。上側移送体217の外縁(移送片2171の径方向端縁)は、仕切体218の外周孔2181及び内周孔2182よりも径方向外方を回転する。このため、移送される散剤Mは、外周孔2181と内周孔2182とから落下する。
【0031】
仕切体218は、散剤容器21内を上下に仕切る。この仕切体218は、上下に貫通した外周孔2181及び内周孔2182、また、外周仕切部2183を備える。外周孔2181と内周孔2182とは仕切体218の中心を挟み略対向して位置している。外周孔2181は径方向の外側に位置し、内周孔2182は径方向の内側に位置している。外周仕切部2183は、
図12に示すように、下側移送体219の外縁(移送片2191の径方向端縁)を径外方向に囲うように配され、下側移送体219が回転する領域を、当該領域の径外領域に対して仕切るものである。この外周仕切部2183により、下側移送体219により移送される散剤Mが径外側に逃げないようにガイドできる。なお外周仕切部2183は、第1供給口2121と周方向に同じ位置及び第2供給口2122と周方向に同じ位置においては、各供給口2121、2122の径外側に位置する。本実施形態の外周仕切部2183は、仕切体218に一体に設けられ、仕切体218の下面から下方に延びている。
【0032】
下側移送体219は上側移送体217よりも小径に形成されている。下側移送体219の移送領域219aは、上側移送体217の移送領域217aよりも内径側に位置されている。この下側移送体219には、径外方向に延びる複数の移送片2191が周方向に間隔をあけて配されている。各移送片2191間には、例えば半円形状の移送領域219aが形成される。移送領域219aは複数の移送片2191により形成され、径外方向が開放された領域であることが望ましい。下側移送体219は、回転することにより各移送片2191間の移送領域219aに位置する散剤Mを、回転方向に移送する。これにより、下側移送体219は、上側移送体217によって仕切体218の内周孔2182から落下した散剤Mを移送することができる。
図9に示すように、下側移送体219の移送領域219aは、上側移送体217の移送領域217aよりも、移送できる散剤Mの体積が小さくなるよう構成されている。このため上側移送体217に比べ、下側移送体219では散剤Mの相対的に少量な供給が可能である。
【0033】
開閉体21Aは、周方向に開放された開口部21A1と、開口部21A1に周方向で隣り合う閉鎖部21A2とを有する。この開閉体21Aは回転により、散剤容器21の底部における第1供給口2121と第2供給口2122とを共に開放した第1開放状態とできる(
図13(A)参照)。また開閉体21Aは、第1供給口2121を閉鎖して第2供給口2122のみを開放した第2開放状態とできる(
図13(B)参照)。また開閉体21Aは、第1供給口2121と第2供給口2122とを共に閉鎖した全閉状態とできる(
図13(B)参照)。
【0034】
(保持体)
保持体22は、散剤容器21を着脱可能に保持する部分である。保持体22は、散剤容器21を保持する保持本体221と、移動機構23に固定された被固定部223と、を備える。本実施形態の保持体22は、散剤容器21を1つ保持するように構成されている。そのため、保持体22は、散剤容器21の個数に対応する個数設けられている。本実施形態の保持体22は、14個設けられている。しかしながら、保持体22は、複数の散剤容器21をまとめて保持するように構成されていてもよい。
【0035】
保持本体221には、散剤容器21の供給口(第1供給口2121及び第2供給口2122)に対応する位置に連通口221aが形成されている。
図10に示すように、散剤容器21から払い出された散剤Mは、該連通口221aを通過して落下する。
【0036】
被固定部223は、後述する移動機構23の、移動本体231であるベルトに対してネジ止めされ、これによって保持体22が移動機構23に支持される。この支持は、被固定部223が、左右方向に移動可能(詳しくは揺動可能)な状態でなされる。本実施形態では、ベルトが撓むことで被固定部223が前記移動可能となる。ただし、前記移動可能とするための構成はこれに限らず種々の構成とできる。被固定部223が前記移動可能となるように支持されることで、払出位置P1において散剤容器21を払出機構24に連結することをスムーズに行うことができる。
【0037】
図14に示すように、被固定部223の下部には、水平方向に長いスリット2231が貫通している。払出位置P1にある保持体22において、このスリット2231に払出機構24の開閉操作レバー243(
図15参照)が貫通させられる。また、被固定部223の最下部における左右中央には、保持体22を払出位置P1で位置合わせするための、位置合わせ凹部2232が設けられている。
【0038】
(移動機構)
移動機構23は、保持体22に保持された散剤容器21を移動させるための機構である。具体的には、移動機構23は、保持体22を移動させることによって散剤容器21を移動させる。移動機構23は、複数の散剤容器21を水平方向に移動させる。本実施形態の移動機構23は、保持体22を、水平面内で周回移動させる。
図5には、散剤容器21の移動軌道Qが示されている。本実施形態の移動機構23は、保持体22を移動させる移動本体231と、該移動本体231を駆動するための移動駆動部232とを有する。移動本体231として、本実施形態ではベルトが用いられている。そして、後述の払出位置P1及び着脱位置P2にある散剤容器21を検知するため、散剤容器21に設けられたRFIDタグ214(
図10参照)に対して情報を読み書きできるRFIDリーダライタ233が、払出位置P1及び着脱位置P2における散剤容器21のRFIDタグ214に対応する位置に設けられている。
【0039】
図5及び
図6に示すように、移動軌道Qには、散剤容器21から散剤Mを払い出すための払出位置P1が設定されている。また、移動軌道Qには、散剤容器21を保持体22に対して着脱するための着脱位置P2が設定されている。着脱位置P2は、例えば、該着脱位置P2の部分だけ散剤容器21の上方に空間が確保されたことで着脱可能とされており、他の部分は散剤容器21が筐体10内の天井部分に引っ掛かって着脱不能とすることで実現できる。
【0040】
着脱位置P2は、払出位置P1とは水平方向に異なる位置に設けられている。本実施形態では、着脱位置P2は、払出位置P1を基準とした場合、払出位置P1に近い位置である、一つから三つ隣の散剤容器21が保持される位置である。着脱位置P2を払出位置P1と同一の位置にしていない理由は、払出位置P1の下方にトレイTが位置するため、着脱する散剤容器21に付着した散剤Mが落下することや、着脱時の振動により保持体22から散剤Mが落下することにより、意図せずトレイTに散剤Mが混入してしまう可能性があるからである。そしてこの位置関係により、散剤Mが無くなった散剤容器21を着脱位置P2に移動させ、保持体22から散剤容器21を取り外して散剤Mを速やかに補充できる。更に、散剤補充後の散剤容器21を速やかに払出位置P1に移動させることができる。このため、散剤Mが無くなった状態から払い出し再開までの時間を短縮することができる。なお、一つ隣であると、着脱位置P2における散剤容器21の着脱の際、作業者の手や着脱する散剤容器21が払出位置P1にある散剤容器21に当たってしまい、意図しない散剤の落下を招く可能性があるため、二つ以上隣である方が好ましい。
【0041】
本実施形態では、移動機構23は、保持体22を周回移動させるので、散剤容器21の移動軌道Qはすなわち周回軌道となっている。移動機構23は、必要に応じて(例えば払出位置P1までの移動距離が小さい方向となるように)散剤容器21を時計回り及び反時計回りの双方向に周回させることができる。本実施形態の移動軌道Qは長円形状である。そのため、本実施形態の周回軌道である移動軌道Qは、保持体22が直線上に移動する一対のストレート軌道Q1と、カーブしながら移動する一対の湾曲軌道Q2とから構成されている。周回軌道である移動軌道Qは、長円形状に限定されず、円形状、楕円形状、矩形状等であってもよい。また、移動機構23は、保持体22を周回移動させるものに限定されず、所定範囲内で直線状または湾曲状に往復移動させるものであってもよい。
【0042】
なお、本実施形態における秤量部3、トレイ待機部4、トレイ移送部5、トレイ集積部6は、それぞれ前記移動軌道Qにおける正面側の範囲(前半分の範囲)の下方に位置している。
【0043】
以下、一対のストレート軌道Q1のうちの一方側を正面側、他方側を背面側(奥行側)として、一対のストレート軌道Q1が対向する方向を奥行方向(前後方向と称する場合もある)とする。また、一対の湾曲軌道Q2が対向する方向を幅方向(左右方向と称する場合もある)とする。払出位置P1は、移動軌道Qにおける正面側の範囲に設定されている。また、着脱位置P2も、移動軌道Qにおける正面側の範囲に設定されている。本実施形態では、散剤容器21の移動軌道Qの長さ(大きさ)に対応して筐体10のサイズが定まっている。即ち、散剤容器21の移動軌道Qにおける一対のストレート軌道Q1の対向距離に基づいて筐体10の奥行方向の長さが定められ、一対の湾曲軌道Q2の対向距離に基づいて筐体10の幅方向の長さが定められる。
【0044】
本実施形態の移動本体231は、表面が上下方向に沿って配置されたベルト式に構成されている。このベルトに保持体22の被固定部223が固定されている。移動本体231は、環状に形成されている。該環状のベルトの中心が、保持体22が周回移動する周回中心である。移動本体231は、長円形状に形成されている。移動本体231の周方向に沿って散剤容器21の移動軌道Qが形成され、保持体22及び散剤容器21は、移動本体231の外周を周回する。移動本体231には、周方向における等間隔に保持体22の被固定部223を固定するための固定部231aが設けられている。
【0045】
移動駆動部232は、移動本体231を周回移動させる。移動駆動部232は、制御部9からの命令に基づいて、移動本体231を駆動し、又は停止する。
【0046】
(払出機構)
払出機構24は、散剤容器21の移動軌道Q上にある所定の払出位置P1に移動した散剤容器21から散剤Mを払い出させるための機構である。払出機構24は、所定量の散剤Mを供給口(第1供給口2121及び/または第2供給口2122)に払い出すように構成されている。
【0047】
本実施形態における払出機構24を単体で示したものが
図15である。払出機構24は、基部24aと、内蔵された駆動機構により基部24aに対して前後(正面-背面方向)に移動可能な本体部24bとを備える。基部24aには、払い出しを行う際に駆動力を発生する払出駆動部241が内蔵されている。払出駆動部241は、制御部9からの命令に基づいて、払出機構24を駆動させ、又は駆動を停止させる。
【0048】
本体部24bの正面側端面からは駆動出力軸242が突出している。この駆動出力軸242は正面側端部に出力嵌合部2421を備えている。出力嵌合部2421は、散剤容器21における駆動入力軸21Cの背面側端部における入力嵌合部21C1(
図8参照)に嵌合できる形状であって、周方向に交互に並ぶ凹凸を有している。駆動出力軸242は、払出駆動部241の駆動力が伝達されることで、前後に延びる軸まわりに回転する。払出駆動部241による駆動出力軸242の駆動は、例えばベルト駆動によりなされる。
【0049】
本体部24bの正面側端面にて、駆動出力軸242の上方には、開閉操作レバー243が突出している。本実施形態の開閉操作レバー243は正面側端部が二股に分かれた板状体とされている。この開閉操作レバー243は、本体部24bに対して左右方向に移動するよう構成されている。この開閉操作レバー243は、保持体22の被固定部223を貫通する、水平方向に長いスリット2231を貫通して散剤容器21の底部部材212に差し込まれる。この状態で開閉操作レバー243が移動することで、散剤容器21における開閉体21Aを第1開放状態と、第2開放状態と、全閉状態とに切り替える。
【0050】
本体部24bの正面側端面にて、駆動出力軸242の下方には、位置合わせ突起244が突出している。本実施形態の位置合わせ突起244は、正面側端部においてコロ状の導入部2441を備えている。導入部2441は縦軸まわりに回動可能とされている。位置合わせ突起244は、本体部24bが正面側(前方)に移動することに伴い、保持体22の背面側下部に設けられた位置合わせ凹部2232(
図14参照)に入り込む。導入部2441が回動可能であること、また、保持体22の移動機構23に対する支持が、左右方向に移動可能(詳しくは揺動可能)であることから、位置合わせ突起244をスムーズに位置合わせ凹部2232に入り込ませることができる。このため、払出位置P1に移動した散剤容器21の位置のばらつきに対応できる。
【0051】
ここで、駆動出力軸242と駆動入力軸21Cとの連結の際における、払出機構24の動作について、
図17(フローチャート)を示しつつ説明する。払出位置P1に移動した散剤容器21に対して連結を行うべく、本体部24bが正面側に前進する(
図17のS1)この場合、駆動入力軸21Cの入力嵌合部21C1に対して、駆動出力軸242の出力嵌合部2421がうまく凹凸嵌合できれば、駆動出力軸242と駆動入力軸21Cとの連結は完了する(
図17のS9、S10)。
【0052】
しかし、駆動入力軸21Cの入力嵌合部21C1における凸部と、駆動出力軸242の出力嵌合部2421における凸部とが当接することにより、凹凸嵌合ができないことがある。この場合、本体部24bの前進が途中で止まって、例えば背面側に押し返されるような挙動が生じるので、この挙動をリミットセンサー等により検出することで(
図17のS2)、再度の連結のための動作を行うことができる。再度の連結のための動作としては、まず、本体部24bが前記前進を止めて(
図17のS3)、背面側に一旦後退する(
図17のS4)。これにより、駆動入力軸21Cに対して駆動出力軸242が離反するので、前記凸部同士の当接が解除される。この後退は、前記リミットセンサー等の検出が非検出となるまでなされる(
図17のS5、S6)その後、駆動出力軸242を所定角度回転させる(
図17のS7、S8)。具体的には、出力嵌合部2421における凹凸の位置関係が交代する程度の角度分回転させる。その後、本体部24bが正面側に前進する(
図17のS1)。これにより、駆動出力軸242と駆動入力軸21Cとの連結は完了する。連結の完了は、正しい連結状態の位置を検出する別のセンサー(図示しない)により検出されて(
図17のS9)、本体部24bの前進が停止する(
図17のS10)。もしも、連結が再び失敗した場合には、前述の動作を再度行う(
図17のS1に戻る)。
【0053】
(テーブル)
テーブル25は、散剤容器21、保持体22、移動機構23、及び払出機構24を載置する。テーブル25は、板状に形成されている。テーブル25は、散剤容器21の移動軌道Qに対応して、長辺と短辺とを有する長方形状に形成されている。移動軌道Qは、該テーブル25の略中心に設定されている。テーブル25には、長手方向と移動本体231の延びる方向とが一致するように移動本体231が設置されている。移動本体231は、テーブル25の中央部に設置されている。テーブル25は、水平に設置されており、散剤容器21及び保持体22は、水平に配置されている。
【0054】
テーブル25には、散剤容器21の移動(周回)軌道上の払出位置P1に対応する位置に開口251が形成されている。即ち、保持体22及び散剤容器21が払出位置P1に位置すると、散剤容器21の供給口(第1供給口2121及び第2供給口2122)、保持体22の連通口221a、及びテーブル25の開口251が上下方向に重なった状態となる。これにより、散剤容器21内の散剤Mが払い出される。
【0055】
テーブル25は、テーブル25の下面に設けられ、テーブル25の開口251を開閉するシャッターを備える。本実施形態のシャッターは板状に形成されている。シャッターは、例えば、保持本体221の下方側に配置されていてもよい。なお、このテーブル25におけるシャッターは払出部2において必須ではなく、設けないこともできる。
【0056】
[秤量部]
重量検出部としての秤量部3は、散剤容器21から払い出された散剤Mを収容するトレイTを載置し、トレイTに供給された散剤Mを秤量する。また、制御部9が散剤供給部2bを制御するのに用いる検出重量値を得るため、散剤Mの重量を検出する。また、払出機構24により散剤容器21から払い出すことなくトレイTに供給される散剤Mを秤量する。秤量部3は、払出部2の下方に上下方向で該払出部2に対して重なって位置している。具体的には、秤量部3は、テーブル25の下に配置されている。本実施形態の秤量部3は、電子天秤である。秤量部3における秤量検出値は制御部9に送られる。そして、秤量部(電子天秤)3が有する表示部には秤量検出値が表示され、この表示は払出機構24により散剤容器21から払い出すことなく、手作業などによりトレイTに散剤Mを供給する際に作業者によって視認される。
【0057】
本実施形態の秤量部3は、奥行方向に移動可能に構成されている。秤量部3は、後述する自動秤量モード(第1のモード)では、奥行方向における背面側(作業者から遠い側)の第1位置S1に位置し、後述する手動秤量モード(第2のモード)では、奥行方向における正面側(作業者に近い側)の第2位置S2に位置させることができる。秤量部3は、奥行方向に移動自在な架台101に載置され、該架台101が移動することで秤量部3が移動する。架台101は、作業者が取手102を把持することによって引き出される。ただし、引き出し用の駆動部を設けておき、手動秤量モードに切り替わると、自動的に架台101が引き出されるよう構成することもできる。
【0058】
ここで、筐体10において秤量部3の正面側に設置された扉10bにはロック部3aが設けられている。自動秤量モードではロック部3aが扉10bを開放できないようにロックすることで、秤量部3を第1位置S1に移動不能に保持し、第2位置S2に移動させられないようにされている。なお、ロック部3aを架台101に設けておき、自動秤量モードではロック部3aが秤量部3を移動できないようにロックするよう構成することもできる。
【0059】
第1位置S1は、
図5に示すように、秤量部3が払出部2(テーブル25)と上下方向において少なくとも一部が重なる位置である。第1位置S1は、払出位置P1の下方側に設定されている。このため、第1位置S1は自動秤量に適した位置である。第2位置S2は、秤量部3が払出部2(テーブル25)に対して前方側の位置である。第2位置S2では、秤量部3の上方が作業空間として開放されており、後述するように、手動秤量モード(第2のモード)における手動秤量作業を行うための空間が確保されている。このため、第2位置S2は手動秤量に適した位置である。このように、第1位置S1が自動秤量時の位置に対応し、第2位置S2が手動秤量時の位置に対応していればよいので、前記第1位置S1と第2位置S2は、本実施形態のように奥行方向の位置関係に限定されず、種々の位置関係とできる。
【0060】
[トレイ待機部]
トレイ待機部4は、秤量部3に移動させる前のトレイTを保持する部分である。トレイ待機部4は、複数のトレイT(本実施形態では9つであるが、これに限定されない)を保持する。トレイ待機部4は、トレイTを載置して、トレイ移送部5によるトレイTの把持が可能なように搬送するように構成されている。トレイ待機部4のうち少なくとも一部(本実施形態では背面側の一部)は、払出部2の下方に上下方向で該払出部2に対して重なって位置している。トレイ待機部4は、トレイTを載置して搬送するための待機トレイ移送部41と、該待機トレイ移送部41を駆動するための待機駆動部42とを有する。
【0061】
待機トレイ移送部41は、所定の方向に延びるベルトコンベヤで構成されている。本実施形態の待機トレイ移送部41は、奥行方向に延びている。複数のトレイTは、該待機トレイ移送部41の延びる方向(奥行方向)に並べられ、且つ積み重ねられる。
図3には、一例として、トレイTが奥行方向に3つ並べられ、各トレイTの上にトレイTが重ねられ、トレイTが計3段重ねられた状態(9つのトレイT)を示す。本実施形態の待機トレイ移送部41は、払出部2におけるテーブル25の下に設置されている。待機トレイ移送部41は、該奥行方向において半分以上が上下方向でテーブル25と重なるように配置されている。待機トレイ移送部41は、正面側から背面側に移動して、載置されたトレイTを奥行方向の背面(後方)側へ、トレイ移送部5の移送部本体51の下方まで移動させる。
【0062】
待機駆動部42は、待機トレイ移送部41を駆動する。待機駆動部42は、制御部9からの命令に基づいて、待機トレイ移送部41を駆動し、又は停止する。
【0063】
[トレイ移送部]
トレイ移送部5は、トレイTを移送する部分である。トレイ移送部5は、少なくとも、秤量後にトレイTを秤量部3から取り外すように構成されている。具体的には、トレイ移送部5は、散剤の払い出しに先立ちトレイ待機部4からトレイTを秤量部3に移動させ、散剤の払い出し後にトレイTを秤量部3から取り外すように構成されている。更に、本実施形態のトレイ移送部5は、トレイTを秤量部3から取り外した後、トレイ集積部6に載置する。このようにトレイ移送部5は、トレイ待機部4から秤量部3を経由してトレイ集積部6まで一連のトレイTの移送を行う部分である。トレイ移送部5は、払出部2の下方に上下方向で該払出部2に対して重なって位置している。
【0064】
トレイ移送部5は、トレイTを移送するための移送部本体51と、該移送部本体51を駆動するための移送駆動部52とを有する。
【0065】
移送部本体51は、左右方向(X方向)及び上下方向(Y方向)に移動する。移送部本体51は、トレイTを把持するように構成されている。本実施形態の移送部本体51は、一対のアーム51aを有する。移送部本体51は、該一対のアーム51aでトレイTを把持して、トレイTを移送する。一対のアーム51aは、左右方向に離間しており、互いに接近及び離反する動作をなすように構成されている。
【0066】
移送部本体51は、トレイTを移送しない待機状態においては、トレイ待機部4の上方に位置している。待機状態における位置を移送部本体51の標準位置とする。移送部本体51は、該標準位置を基準に上下方向及び左右方向に移動可能に構成されている。本実施形態の移送部本体51は奥行方向には移動しないが、移動可能に構成することもできる。移送部本体51は、トレイ待機部4に載置されたトレイTを秤量部3に移送する際には、標準位置から下方に移動して(下降して)トレイTを把持し、トレイTを把持した状態で上方に移動する(上昇する)。移送部本体51は、標準位置を経由して左右方向における右方(
図3の右側)に移動し、秤量部3の上方で停止する。続いて、移送部本体51は、下方に移動してトレイTを秤量部3に載置し、載置後トレイTを離し、トレイTを離した位置で待機する。
【0067】
移送部本体51は、散剤MがトレイTに払い出された後に、散剤Mが入ったトレイTを把持する。そして、トレイTを把持したまま上昇し、そのまま右方に移動する。移送部本体51は、トレイ集積部6の上方まで移動して、所定の位置で下降してトレイTをトレイ集積部6に載置する。移送部本体51は、載置後トレイTを離し、上方へ移動する。そして、移送部本体51は、左方(
図3の左側)に移動して、標準位置に戻る。
【0068】
[トレイ集積部]
トレイ集積部6は、秤量後の散剤Mが収容されたトレイTが載置される秤量後トレイ置き場である。トレイ集積部6に載置されたトレイTは、作業者によって取り出され、後工程(分包装置)に回される。なお、後工程に回された後の空になったトレイTは、吸引装置等により清掃されて残留した散剤Mが除去され、その後作業者の手によってトレイ待機部4に戻される。
【0069】
このトレイ集積部6は、払出部2(テーブル25)の下方に重なって位置している。トレイ集積部6は、複数のトレイT(本実施形態では3つであるが、これに限定されない)を載置可能に構成されている。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、左右方向に並んだ3つのトレイTのうち右側2つが正面側に露出した状態とされており、これら2つのトレイTを作業者が秤量装置1の外部に取り出すことができる。トレイ集積部6は、トレイTを載置して、搬送するように構成されている。トレイ集積部6は、トレイTを載置して搬送するための集積トレイ移送部61と、該集積トレイ移送部61を駆動するための集積駆動部62とを有する。
【0070】
集積トレイ移送部61は、所定の方向に延びるベルトコンベヤで構成されている。本実施形態の集積トレイ移送部61は、左右方向に延びている。複数のトレイTは、該集積トレイ移送部61の延びる方向(左右方向)に並べられる。
図3には、一例として、トレイTが左右方向に3つ並べられた状態(3つのトレイT)を示す。本実施形態の集積トレイ移送部61は、払出部2におけるテーブル25の下に設置されている。集積トレイ移送部61は、略全域が上下方向でテーブル25と重なるように配置されている。移送部本体51がトレイTを集積トレイ移送部61に載置して標準位置に戻ると、集積トレイ移送部61は、左右方向における左側から右側に移動して、載置されたトレイTを左から右へ移動させる。これにより、トレイTは秤量装置1の外部に取り出すことができる位置に移動する。
【0071】
集積駆動部62は、集積トレイ移送部61を駆動する。集積駆動部62は、制御部9からの命令に基づいて、集積トレイ移送部61を駆動し、又は停止する。
【0072】
なお、トレイ移送部5がトレイTを秤量部3から取り外し、その後、該トレイTを処方情報に対応する供給指示毎に前記トレイ集積部6に集積させることもできる。これに対応するため、例えば
図19に示すように、集積トレイ移送部61を複数並列したベルトコンベヤで構成した並列トレイ集積部6X,6Yを形成し、供給指示に対応して各トレイ集積部6X,6YにトレイTを分けて載置するよう構成することもできる。この場合、トレイ移送部5は、トレイ集積部6X,6Yに対応するベルトコンベアの上方にトレイTを移動させることができるよう構成される。つまり、トレイ移送部5は処方情報に対応する供給指示毎に複数のトレイTを振り分ける振り分け手段として機能する。
【0073】
[情報書込部]
情報書込部7は、トレイTに設けられた情報表示部T1へ、トレイTに収容される散剤の処方情報等、散剤Mを識別するための情報の書き込みを行う。書き込みは非接触(無線)の電力供給により行われる。書き込みは、後述する自動秤量モードの場合も手動秤量モードの場合も行われる。情報表示部T1には、該収容される散剤の処方情報が表示される。トレイTの情報表示部T1については後述する。情報書込部7は、情報表示部T1に対して光学的に読み取り可能な識別子を書き込むことができるように構成されている。情報書込部7は、秤量部3の上流側に設置され、トレイTが秤量部3に載置される前に情報表示部T1に処方情報を書き込む。
【0074】
本実施形態では、情報書込部7は、例えば、標準位置に位置した移送部本体51の正面側(
図3において二点鎖線で示した位置)に配置されている。情報書込部7は、トレイTがトレイ待機部4から秤量部3に移動する経路上で情報表示部T1に処方情報を書き込む。即ち、情報書込部7は、トレイTに対して散剤Mが供給される前に、情報表示部T1に処方情報を書き込む。例えば、情報書込部7は、トレイ待機部4から移送部本体51によって持ち上げられて標準位置で停止したトレイTに対して、処方情報を書き込んでもよい。なお、これに限らず、情報書込部7はトレイTをトレイ集積部6に載置するまでの間に、情報表示部T1に処方情報を書き込めばよい。そうすることにより、作業者がトレイ集積部6からトレイTを取り出す際に取り違いが生じることを抑制できる。ただし、手動秤量モードの実行を前提とするなら、情報書込部7はトレイTを秤量部3に載置するまでの間に、情報表示部T1に処方情報を書き込む必要がある。これにより、払出機構24により散剤容器21から払い出すことなく、手作業などによりトレイTに散剤Mを供給する際に誤った散剤Mを供給することを防止できる。
【0075】
また、情報書込部7は秤量部3における秤量がされた以降に、情報表示部T1に処方情報を書き込むこともできる。この場合、書き込む情報には、処方情報のほかに実際の供給に関する情報(例えば秤量値(実測値)や散剤容器21から払い出した散剤Mが目標量に達していないことなど)を含むことができる。これにより、もしもトレイTに払い出された散剤Mに不足があった場合、作業者に注意喚起でき、散剤の不足分を補わないまま、誤って後工程(分包など)に回してしまうことを抑制できる。
【0076】
[装置側表示部]
装置側表示部8は、散剤の供給に関する所定の情報を表示する部分である。
図1及び
図2に示すように、装置側表示部8は筐体10の正面側に設けられている。本実施形態の装置側表示部8は、モニターである。なお、装置側表示部8は、作業者が所定の操作を行う操作部(操作パネル)を兼用していてもよい。
【0077】
[制御部]
制御部9は、秤量装置1全体の動作を制御する部分である。制御部9に接続される主な部分を
図16に示す。制御部9は、接続されている指示入力部9aを介して入力された供給指示に係る散剤量の目標値に応じて、秤量部3で秤量しながら払出機構24により散剤容器21から散剤Mを払い出す第1のモードとしての自動秤量モードと、払出機構24により散剤容器21から散剤Mを払い出すことなく、トレイTに投入される散剤Mを秤量部3で秤量する第2のモードとしての手動秤量モードと、を切り替える。供給指示には、例えば、払出機構24により払い出す散剤の種類、各散剤の供給量や供給の目標値等が含まれる。指示入力部9aは、一例として、調剤薬局等に設置されたホストシステムから処方情報を受ける入力部や、バーコードリーダー、RFIDリーダー、キーボード、タッチパネルが挙げられ、種々の態様を取り得る。
【0078】
記憶部9bは、制御部9による制御に必要な情報を記憶しておく部分である。本実施形態の記憶部9bは、
図16に示すように、制御部9とは別に設けられ、制御部9に対して接続されている。しかし、例えば記憶部9bが制御部9の一部として構成されることもでき、秤量装置1内での配置は特に限定されない。
【0079】
自動秤量モードにおいて、制御部9は、払出駆動部241を駆動させて、散剤容器21から散剤の払い出しを行う。制御部9は、秤量部3から入力される秤量検出値に応じて払出駆動部241の駆動を制御し、供給指示に係る散剤量の払い出しを行う。本実施形態における制御部9の制御として、以下の複数パターンが例示できる。
【0080】
制御部9は、前記供給指示に係る散剤Mが散剤容器21に収容されている散剤の場合、自動秤量モードとし、そうでない散剤の場合、手動秤量モードとすることができる。具体的には、調剤する散剤MがA薬である場合に、制御部9には、供給指示に係る散剤MをA薬として、供給すべき散剤量の目標値と共に入力される。制御部9は、該A薬が散剤容器21に収容されている場合には、払出機構24にA薬を払い出させる(自動秤量モード)。一方、制御部9は、A薬が散剤容器21に収容されていない場合には、払出機構24に払い出しの指示を行わず、手動秤量モードを実行する。本実施形態では、自動秤量モードでは、供給指示に係る散剤量の目標値に応じて散剤Mが自動で秤量される。手動秤量モードでは、払出機構24による払出が実施されないので、例えば、作業者は、A薬が収容された散剤瓶などからA薬をトレイTに移し、秤量部3で秤量する。
【0081】
また、制御部9は、自動秤量モードで払い出す散剤Mが不足する場合、散剤容器21に散剤Mを補充して自動秤量モードによる払い出しを継続するか、手動秤量モードへ切り替えるかを作業者が選択可能に構成されることができる。即ち、散剤容器21が空になった場合、または、散剤容器21内の散剤量が払い出し終了までに目標値に対して不足することが予測される場合等に、作業者は、散剤容器21に散剤Mを補充して自動秤量を続行するか(自動秤量モード)、又は目標値に対して不足する散剤量について手動秤量するか(手動秤量モード)を選択することができる。作業者は、例えば、該選択を操作パネル(装置側表示部8等)にて行うことができる。
【0082】
ここで、散剤容器21が空になったことは、秤量部3における秤量検出値の変化(具体的には増加)が一定時間なかったことにより検出できる。また、散剤容器21内の散剤量が不足することは、供給指示に係る散剤量の目標値と払い出し開始前に把握されている散剤の残量を比較することにより予測できる。
【0083】
また、制御部9は、自動秤量モードで払い出す散剤Mが不足する場合、自動秤量モードに係る動作を終了させ、手動秤量モードに移行させることができる。即ち、制御部9は、作業者の判断によることなく、自動秤量モードから手動秤量モードに自動的に移行させてもよい。この場合、制御部9に前記制御を行わせるか否かについては、作業者が予め設定可能であってもよい。制御部9は、手動秤量モードでトレイTに供給することが必要な散剤量を装置側表示部8に表示させることができる。具体的には、制御部9は、散剤Mが不足して自動秤量モードを終了させた後におけるトレイTに収容された散剤の秤量検出値及びトレイTに供給すべき散剤量の目標値から、不足する散剤量を算出し、該不足する散剤量を装置側表示部8に表示させる。これにより、第2モードに切り替えられた状態で、作業者は表示された散剤量をトレイTに供給すればよく、手作業による秤量作業が容易となる。また、装置側表示部8には不足する散剤量を表示せず、トレイTに収容された散剤の秤量値及びトレイTに供給すべき散剤量の目標値を表示させるようにしてもよく、作業者が不足する散剤量を把握できる表示であればよい。
【0084】
また、供給指示に係る複数種の散剤Mに、複数の散剤容器21のいずれかに収容されている散剤Mとそうでない散剤Mとがある場合、制御部9は、先に自動秤量モードとしてその後手動秤量モードとするか、先に手動秤量モードとしてその後自動秤量モードとするか、作業者が選択可能に構成されることができる。また、制御部9は、前記選択することなく、先に自動秤量モードとしてその後手動秤量モードとすることもできる。更に、制御部9は、前記選択することなく、自動秤量モードに先立って手動秤量モードとし、手動秤量モードが終了後に自動秤量モードとすることもできる。
【0085】
また、制御部9は、複数種の散剤の払い出しを行う際における自動秤量モードの実行中に手動秤量モードを実行するように指示された場合、実行中の散剤の払い出しが完了すると自動秤量モードを中断して手動秤量モードに移行することができる。
【0086】
本実施形態の制御部9は、自動秤量モードの際にはロック部3aを作動させて、例えば秤量部3の正面側に位置する扉10bを開放できないようにする。また、制御部9は、手動秤量モードの際には前記ロック部3aの作動を解除する。
【0087】
制御部9は、散剤容器21を払出位置P1に移動させ、その後、トレイ移送部5がトレイTをトレイ待機部4から秤量部3に移動させる。即ち、制御部9は、トレイTが秤量部3に載置されている状態で、散剤容器21が払出位置P1を通過しないように制御している。
【0088】
テーブル25がシャッターを備える場合、制御部9は、移動機構23による複数の散剤容器21の移動中にはテーブル25のシャッターを閉鎖し、トレイ移送部5がトレイTを秤量部3に移動させた後にシャッターを開放する。また、制御部9は、シャッター、散剤容器21から散剤Mを払い出す前に開放する。具体的には、制御部9は、秤量部3にトレイTが載置された後であって、秤量部3のゼロ調整(風袋引き)の後にシャッターを開放する。
【0089】
[筐体]
筐体10は、払出部2、秤量部3、トレイ待機部4、トレイ移送部5、トレイ集積部6、情報書込部7、装置側表示部8、及び制御部9を囲むように構成される。
図1及び
図2に示すように、筐体10には、散剤容器21の着脱位置P2に対応した位置に散剤容器21を着脱するための着脱用窓10aが形成されている。また、筐体10には、秤量部3の正面側に扉10bが設置されている(
図1及び
図2は扉10bの開放状態を示している)。手動秤量モードの際には、作業者は該扉10bを開いて秤量部3を第2位置S2まで引き出し、手動秤量を行う。前述した各部分のほか、筐体10には供給された散剤の処方情報や供給結果に関する情報を紙にプリントするためのジャーナルプリンタ、散剤容器21を管理するためのバーコードリーダー等、散剤の供給に伴い必要な作業を支援するための種々の機構を設けることができる。
【0090】
[トレイ]
本実施形態の秤量装置1において用いられるトレイTは、供給される散剤Mを収容するためのものである。このトレイTは、秤量部3に載置されることで供給された散剤Mを秤量することができ、且つ、トレイ移送部5によって移送できる形状とされており、本実施形態では
図18に示すように、扁平であって上端が開口した略直方体状に形成されている。このトレイTは、
図3に示すように上方に複数積み重ねできる形状であることが好ましい。また、このトレイTは、トレイ移送部5の一対のアーム51aに係合し、または作業者が指を掛けることのできる側方突起T2を有している。
【0091】
図18に示すように、トレイTは、収容される散剤の処方情報が表示される情報表示部T1を備える。情報表示部T1は、4つの側面のうちの1つ側面に設けられている。本実施形態の情報表示部T1は、図示のようにトレイTの本体に対して差し込みにより取り付けできるよう構成されているが、例えばトレイTの側面に貼り付けることもできる。本実施形態では、情報表示部T1として、電子ペーパーを備えた表示ユニットが用いられている。電子ペーパーは表示内容を、電力を要することなく保持することができるので、例えば液晶表示に比べて省エネに資することができる。また、情報書込部7により、情報表示部T1に表示される情報を書き換えることができる。また、本実施形態の情報表示部T1は、情報書込部7によって書き込まれた表示が、次回の情報書込部7による書き込みまで保持されるように構成されている。なお、後工程の装置(分包装置など)において情報表示部T1に表示された識別子が読み取られると共に、該識別子を含む情報表示部T1の表示が消去されるよう構成することもできる。
【0092】
情報表示部T1には種々の情報を表示することができる。例えば、
図18に示すように、処方情報として、受付番号J1、受付日時J2、患者名J3、年齢J4、薬品名J5、薬種記号表示J6、秤量値J7、バーコードJ8、RP番号J9等を表示できる。また、処方情報には、患者情報(患者名、患者ID、患者の生年月日、患者の年齢)、薬剤情報(薬剤名、薬剤コード、用量)、用法情報(用法、用法コード)、服用情報(内服、外用など)、診察種別(外来、入院など)、処方箋交付日時などの情報が含まれる。受付番号J1は、調剤薬局等に設置されたホストシステムが処方オーダリングシステムなどの上位コンピュータから処方情報を受信する際に処方情報ごとに付与される番号である。受付日時J2は、ホストシステムが処方情報を受信した日時である。ホストシステムでは、上位コンピュータから受信した処方情報に基づいて各調剤機器に調剤指示を割り当てるために、薬剤種、用法、服用時点などの特定の条件により処方情報を組み分けて、組み分けた各データにRP番号(RP1、RP2・・・)を付与する。また、上位システムから受信した処方情報は、各調剤機器を作動させるために必要な情報(患者名、患者ID、患者の生年月日、患者の年齢、薬剤名、薬剤コード、用量、用法、用法コードなど)が抜粋される。そして、ホストシステムでは、受付番号および受付日時と、組み分けられた各データのRP番号と、各データに対応する抜粋された処方情報とが紐づけて記憶され、各調剤機器を作動させるための調剤情報が生成される。制御部9は該調剤情報を取得して、取得した調剤情報に基づき供給指示を行う。
【0093】
なお、バーコードJ8に対応する表示としては、図示したバーコード(1次元コード)の他、2次元コード等の光学的に読み取り可能な識別子であってよい。該識別子にはホストシステムで生成される各調剤情報に固有の情報が記憶される。該識別子はバーコードリーダー等の読取手段で容易に情報を読み取ることができるため、後工程での機械的な処理がしやすい利点がある。このため例えば、該識別子を読取手段で読み取ることにより、ホストシステムに記憶された調剤情報が呼び出され、調剤情報をホストシステムから分包装置に自動的に入力することができるようなシステムを構築することができる。更に、情報表示部T1には光学的に読み取り可能な識別子に代えて、または該識別子と共に、RFIDタグ等の電気的に読み取り可能な識別子を設けることもできる。
【0094】
[使用方法の説明]
以上のように構成された本実施形態に係る秤量装置1の使用方法の概略を説明する。なお、以下の使用方法は一例に過ぎずこれに限定される訳ではない。使用に先立ち、作業者は、複数の散剤容器21の各々に散剤Mを収容する。この際、各散剤容器21に異種の散剤Mを収容することもできるし、2つ以上の散剤容器21に同種の散剤Mを収容することもできる。次に作業者は、散剤Mが収容された散剤容器21を、着脱位置P2において保持体22に装着する。
【0095】
次に、指示入力部9aを経由して秤量装置1に処方情報が入力される。すると、制御部9は、トレイ移送部5を制御して、トレイ待機部4にあるトレイTを秤量部3に移動させるとともに、移動機構23を作動させて保持体22を周回移動させる。制御部9は前記移動の途中のトレイTに対し、情報書込部7を作動させてトレイTに設けられた情報表示部T1に処方情報の書き込みをさせる。払い出し対象の散剤Mが収容された散剤容器21が払出位置P1に来ると、制御部9は移動機構23を停止させる。払い出し対象の散剤Mが収容された散剤容器21が払出位置P1に位置すると、トレイTを秤量部3に移動させる。
【0096】
次に制御部9は、払出機構24を作動させて散剤の払い出しを開始する。制御部9は、秤量部3から送られた秤量検出値を基に払出機構24を制御し、処方情報に対応した量の散剤MがトレイTに供給されると、払出機構24の駆動を停止させる。
【0097】
次に、制御部9はトレイ移送部5を制御して、散剤の供給されたトレイTを、秤量部3からトレイ集積部6に移動させる。作業者は、トレイ集積部6に移動したトレイTを手で持って分包装置等に投入する等する。
【0098】
前述の説明は自動秤量モードにおける使用方法である。手動秤量モードでは、自動秤量モードと同様に、トレイ待機部4にあるトレイTを秤量部に移動させ、移動の途中に情報書込部7を作動させてトレイTに設けられた情報表示部T1に処方情報の書き込みをさせる。トレイTが秤量部に移動されると、制御部9はロック部3aのロックを解除する。これにより、扉10bが開放可能となる。作業者は扉10bを開放し、取手102を把持して架台101ごと秤量部3を第2位置S2に引き出す。トレイ移送部5によりトレイTを秤量部3に移動させず、作業者が秤量部3にトレイTを載せるようにしてもよい。この場合、作業者が装置側表示部8を操作するなどしたことにより、制御部9がロック部3aのロックを解除する。そして秤量部を第2位置S2に引き出した後、散剤瓶から散剤MをトレイTに供給する。作業者は、秤量部3が有する表示部に表示される秤量検出値を視認しつつ供給量を処方情報に対応するように調整する。散剤の供給されたトレイTは、作業者が秤量部3から取り外し、分包装置等に投入する等する。また、散剤MをトレイTに供給した後に秤量部を第1位置S1に戻し、自動秤量モードと同様に、制御部9はトレイ移送部5を制御して、散剤の供給されたトレイTを、秤量部3からトレイ集積部6に移動させるようにしてもよい。
【0099】
[供給制御の内容]
次に、散剤の供給に関する制御に関して、観点を3つに分けて制御A~制御Cを例示して以下に説明する。これらの制御A~Cは別個に行うこともできるし同時に行うこともできる。
【0100】
(制御A)
制御Aは、短時間に小さい誤差で散剤Mを供給することを目的とし、散剤Mの供給量を途中で減少させる制御である。制御部9は、第1供給動作としての前供給動作を行った後、第2供給動作としての後供給動作を行う。
【0101】
前供給動作は、第1供給口2121と第2供給口2122とが開放された状態で、上側移送体217と下側移送体219とを回転させる動作である。この動作により、上側移送体217により散剤Mを移送して、外周孔2181から散剤Mを落下させて第1供給口2121から散剤Mを供給するとともに、内周孔2182から散剤Mを落下させて下側移送体219により散剤Mを搬送して、第2供給口2122から散剤Mを供給する。両供給口2121,2122から同時に散剤Mを供給できるので、各移送体217,219の単位回転量あたりの供給量を多くできる。
【0102】
後供給動作は、前供給動作の後、第1供給口2121を閉じるとともに、上側移送体217により散剤Mを移送して、内周孔2182から散剤Mを落下させて下側移送体219により散剤Mを搬送して、第2供給口2122から散剤Mを供給する後供給動作を行う動作である。第1供給口2121を閉じて、第2供給口2122から散剤Mを供給するので、各移送体217,219の単位回転量あたりの供給量を前供給動作に比べて少なくできる。更に本実施形態では、前供給動作に比べて各移送体217,219の単位時間あたりの回転数を小さくしている。このため、前供給動作と同一時間回転した場合に比べ、供給量が少なくなっている。
【0103】
この制御Aにおいて、制御部9は、供給すべき散剤Mの重量に係る目標重量値(あらかじめ設定された値)と、秤量部3から得た検出重量値(刻々変化する値)と、に基づき散剤供給部2bを制御する。制御部9は、前供給動作中に、目標重量値より小さく設定された中間重量値に到達すると、後供給動作に移行する。制御部9は、後供給動作では、秤量部3から得た検出重量値が目標重量値に到達するまでの間、下側移送体219を間欠的に回転させる。下側移送体219の前記間欠的な回転は、下側移送体219における各移送片2191間の移送領域219aに相当する角度分なされる。
【0104】
後供給動作を行うに当たり、記憶部9bには、下側移送体219の各移送片2191間の移送領域219aに対応する散剤Mの重量値が記憶されている。そして制御部9は、秤量部3から得た検出重量値の目標重量値に対する不足重量値に対応した各移送片2191間の移送領域219aに相当する角度分(つまり、移送領域219aひとつが移送する散剤Mの重量値で不足重量値を割った値に各移送片2191間の角度を掛けた角度分)だけ下側移送体219を間欠的に回転させる。これにより、目標重量値に到達するように散剤Mを供給できる。
【0105】
(制御B)
制御Bは、散剤Mの性状(例えば飛散しやすい(飛び散り易い)性質の散剤M)に応じて適切な供給を行うことを目的とする制御である。
【0106】
制御Bを行うに当たり、散剤容器21には、貯留された散剤Mの種類ごとの散剤供給部2bの駆動条件に関連付けられた固有情報が付与されている。具体的には、前記固有情報がRFIDタグ214に書き込まれている。
【0107】
情報読取部としてのRFIDリーダライタ233は、前記固有情報を散剤容器21のRFIDタグ214から取得する。制御部9は、RFIDリーダライタ233により取得した固有情報に基づいて散剤供給部2bの駆動条件を設定し、散剤供給部2bを当該駆動条件に対応するよう制御して散剤Mを供給する。
【0108】
前記固有情報は、供給停止の指示がされてから実際に供給される散剤Mの供給量に係る余剰供給重量値の情報を含む。余剰供給は、供給停止の指示がされてから散剤Mが実際に落下し終わる(落下し切る)までのタイムラグにより生じる。具体的には、開閉体21Aが各供給口2121,2122を閉じるまでに時間を要すること、また、開閉体21Aの下方に落下中の散剤Mが存在することによる。制御部9は、供給すべき散剤Mの重量に係る目標重量値と余剰供給重量値とに基づき散剤供給部2bを制御して散剤Mを供給する。
【0109】
固有情報には、各移送体217,219の回転速度の情報を含むようにできる。この情報を利用して、例えば飛散しやすい(飛び散り易い)散剤Mに関しては、制御部9が各移送体217,219の回転速度を遅くする制御を行うことができる。これにより、供給時の散剤Mの飛散(飛び散り)を抑制でき、確実にトレイTに供給できる。前記回転速度は、周速度、角速度のいずれであってもよい。
【0110】
また、固有情報には、各移送体217,219の回転量に対応する散剤Mの供給量の情報を含むようにできる。この情報を利用して、各移送体217,219の回転量と散剤Mの供給量との関係に応じて各移送体217,219を制御できる。ここで、下側移送体219の移送領域219aは、上側移送体217の移送領域217aよりも、移送できる散剤Mの体積が小さくなるよう構成されているので、散剤Mのこまめな供給が可能である。よって、前記固有情報において、特に下側移送体219の回転量に対応する散剤Mの供給量の情報を含むようにすることで、供給すべき散剤Mの重量に係る目標重量値と余剰供給重量値との差を埋めるための散剤Mの供給に関し、供給精度を高めることができる。
【0111】
また、固有情報には、トレイTの1つあたりに供給できる散剤Mの最大量の情報を含む。この情報を利用して、トレイTから散剤Mをあふれさせないように制御できる。
【0112】
(制御C)
制御Cは、散剤Mを迅速に供給完了することを目的とし、単位時間あたりの供給量、及び、供給精度を異なるように設定した複数の供給動作を順次切り替える制御である。
【0113】
前記複数の供給動作は、本実施形態では、第1の供給動作としての大供給動作、第2の供給動作としての中供給動作、第3の供給動作としての小供給動作が設定されている。制御部9は、散剤供給部2bによる供給動作の制御につき、大供給動作、中供給動作、小供給動作の順で実行する。中供給動作は、大供給動作よりも、単位時間あたりの散剤Mの供給量が小さく、かつ、供給精度が高い動作である。小供給動作は、中供給動作よりも、単位時間あたりの散剤Mの供給量が小さく、かつ、供給精度が高い動作である。本実施形態では、大供給動作は、第1供給口2121及び第2供給口2122を開放した状態で連続回転する上側移送体217及び下側移送体219により供給を行う動作である。中供給動作は、第2供給口2122のみを開放した状態で連続回転する下側移送体219により供給を行う動作である。なお、中供給動作の単位時間あたりの回転量は、大供給動作の単位時間あたりの回転量よりも小さく設定されている。小供給動作は、第2供給口2122のみを開放した状態で間欠回転する下側移送体219により供給を行う動作である。なお、中供給動作及び小供給動作の際、上側移送体217も回転はしているが、第1供給口2121が閉鎖されていることから、この際の上側移送体217は、仕切体218の下方への散剤Mの送り込みのために機能し、散剤Mの供給のために直接的に機能するものは下側移送体219となる(つまり、上側移送体217は散剤Mの供給のために間接的に機能する)。
【0114】
なお、前記「供給精度」とは、言い換えると、散剤Mの供給量の目標値に向かって実際の供給量(累積量)を近づけていく際の近づき度合のことである。本実施形態において、中供給動作は、上側移送体217により移送される散剤Mは第1供給口2121から供給されず、かつ、上側移送体217の各移送片2171間の領域217aよりも狭い下側移送体219の各移送片2191間の領域219aにより移送される散剤Mが供給されるため、上側移送体217により移送される散剤Mが第1供給口2121から供給される大供給動作に比べて供給精度を高めている。また、小供給動作は、下側移送体219を間欠回転させ、下側移送体219の個々の移送領域219aでの供給をさせることで、連続回転時(中供給動作)に比べて供給精度を高めている。つまり小供給動作は、下側移送体219の回転態様を変化させることで、供給精度を高めている。
【0115】
更に、制御部9は、散剤Mの供給量に関して、散剤供給装置2aの使用者等による指示入力部9aを介した入力により指定される目標値に基づいて、第1中間重量値と第2中間重量値とを設定する。第1中間重量値は目標値よりも小さい値である。そして第1中間重量値は、大供給動作によって余分の散剤Mが供給されたとしても、秤量部3による検出値が第2中間重量値を超えない値に設定されている。第2中間重量値は、目標値よりも小さく、かつ、第1中間重量値よりも大きい値である。そして第2中間重量値は、中供給動作によって余分の散剤Mが供給されたとしても、秤量部3による検出値が目標値を超えない値に設定されている。前記「余分の散剤M」とは、供給停止の指示がされてから実際に供給される散剤Mのことである。余分の散剤Mの量は、散剤の比重や流動性によって異なるので、散剤Mごとに定められる。前記設定により、第2中間重量値に達するまでに中供給動作が省略されずに必ず行われる。中供給動作が必ず行われることで、例えば大供給動作からいきなり供給量の少ない小供給動作に移行することに比べ、目標値に近づいた状態で小供給を開始することができるため、短時間で目標値に到達させることが可能である。
【0116】
図17(フローチャート)に示すように、この制御Cにおいて、制御部9はまず、払出機構24の払出駆動部241を連続的に駆動させて大供給動作を実行する(
図17のS11)。これと共に、制御部9は開閉体21Aを開き方向に回転させる(
図17のS12)。第1供給口2121と第2供給口2122とが開放された状態(第1開放状態)がセンサー(図示しない)により検出されると(
図17のS13)、開閉体21Aの回転が停止する(
図17のS14)。
【0117】
秤量部3による検出値が第1中間重量値を超えると、制御部9は大供給動作を終了させて中供給動作を払出機構24に指示する(
図17のS15)。中供給動作では、大供給動作と同様に、払出機構24の払出駆動部241が連続的に駆動する(
図17のS16)。これと共に、制御部9は開閉体21Aを回転させる(
図17のS17)。第1供給口2121が閉鎖し、第2供給口2122が開放された状態(第2開放状態)がセンサー(図示しない)により検出されると(
図17のS18)、開閉体21Aの回転が停止する(
図17のS19)。
【0118】
次に、秤量部3による検出値が第2中間重量値を超えると、制御部9は中供給動作を終了させて小供給動作を払出機構24に指示する(
図17のS20)。小供給動作では、払出機構24の払出駆動部241の連続的な駆動が停止し(
図17のS21)、間欠的に駆動するようになる(
図17のS22)。この間欠的な駆動は、秤量部3による検出値が目標値に到達するまで(
図17のS23)繰り返される。秤量部3による検出値が目標値に到達すると、制御部9は開閉体21Aを回転させる(
図17のS24)。第1供給口2121と第2供給口2122とが閉鎖された状態(全閉状態)がセンサー(図示しない)により検出されると(
図17のS25)、開閉体21Aの回転が停止する(
図17のS26)。制御Cはここで終了する。
【0119】
なお制御Cの後、使用済みの散剤容器21を払出位置P1から外すことができるように、払出機構24の本体部24bが背面側に後退する(
図17のS27)。センサー(図示しない)により本体部24bが待機位置に移動したことが検出されると(
図17のS28)、本体部24bの後退が停止する(
図17のS29)
【0120】
本実施形態の制御部9は、小供給動作中に、散剤供給部2bによる散剤Mの供給動作を一旦停止させ、その状態で、秤量部3は、散剤供給部2bから供給された散剤Mの重量を検出することが可能である(
図17のS21~S23)。供給動作を一旦停止した状態で重量検出を行うことができるため、散剤Mの供給状況の現状把握が正確にできる。この際、制御部9は、秤量部3による検出値が目標値に満たない場合には、供給動作を再開させ(
図17のS22)、秤量部3による検出値が目標値に到達した場合(
図17のS23)には、供給動作を終了させる(
図17のS24に移行)。
【0121】
[実施形態のまとめ]
以下、前記実施形態に係る秤量装置1における構成の組み合わせ、及び、該構成の組み合わせが奏することを期待できる作用につき、第1~第5の実施形態に分けて記す。また、前記実施形態に係る秤量装置1が備える散剤供給装置2aにおける構成の組み合わせ、及び、該構成の組み合わせが奏することを期待できる作用につき、第6~第9の実施形態に分けて記す。
【0122】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の秤量装置1は、散剤Mが収容可能な散剤容器21を有し、前記散剤容器21から散剤Mを払い出させる払出部2と、前記散剤容器21から払い出された散剤Mを受けるトレイTを載置し、前記トレイTに払い出された散剤Mを秤量する秤量部3と、秤量後に前記トレイTを前記秤量部3から取り外すトレイ移送部5と、秤量後の散剤Mが収容された複数の前記トレイTが載置されるトレイ集積部6と、を備える。
【0123】
前記構成によれば、散剤Mが収容された複数のトレイTがトレイ集積部6に載置されることで、トレイTが一時的にトレイ集積部6に留め置かれる。このため、トレイ集積部6にトレイTが載置された状態で、次のトレイに散剤Mを供給することができ、散剤Mの供給の度に散剤Mが収容されたトレイTを秤量装置1から取り外す必要がない。また、分包が終了しなくても次に分包する散剤Mを秤量することができるため、秤量装置の稼働率を低下させることがない。秤量後に即時に分包等の後工程の処理がされる構成に比べると、分包装置等の他の調剤装置を使用して、作業者が複数のトレイTのうち任意のトレイTに収容された散剤Mを調剤することができるので、秤量後における後工程の自由度を高めることができる。また、複数種類の散剤Mを秤量しておき、それぞれの散剤Mを複数台の分包装置を用いて並行して分包することができる。
【0124】
また、秤量装置1は、前記トレイTに設けられる情報表示部T1に対して、前記トレイTに収容される散剤Mを識別するための情報を書き込む情報書込部7を備えている。
【0125】
前記構成によれば、トレイTに設けられる情報表示部に、トレイに収容される散剤Mを識別するための情報が表示されるため、作業者によるトレイTの取り間違いを防止できる。また、作業者が、後工程において分包装置等に誤った散剤Mを供給することを防止することができる。また、払出部2により散剤容器21から払い出すことなく、手作業などによりトレイTに散剤Mを供給する際に誤った散剤Mを供給することを防止できる。
【0126】
また、前記情報書込部7は、前記情報表示部T1に対して光学的に読み取り可能な識別子を書き込む。
【0127】
前記構成によれば、情報書込部7が前記情報表示部T1に対して光学的に読み取り可能な識別子を書き込む。したがって調剤装置に該識別子を読み込む装置を備えておくことで、トレイTに収容される散剤Mを、調剤装置において識別することができる。
【0128】
また、前記情報表示部T1として電子ペーパーが用いられている。
【0129】
前記構成によれば、情報表示部T1に表示された内容を、電力を要することなく保持することができる。また、情報書込部7により、情報表示部T1に表示される情報を書き換えることができる。
【0130】
また、前記トレイ移送部5は前記トレイTを前記秤量部3から取り外し、その後、前記トレイTを処方情報に対応する供給指示毎に前記トレイ集積部6に集積させるようになっている。
【0131】
前記構成によれば、処方情報に対応する供給指示毎にトレイがまとまってトレイ集積部に集積されるので、作業者はトレイTがどの供給指示に対応するものなのかを混同しにくい。
【0132】
以上のように、第1の実施形態によれば、散剤Mの供給の度に散剤Mが収容されたトレイTを秤量装置1から取り外す必要がなく、分包が終了しなくても次に分包する散剤Mを秤量することができるため、秤量装置1の稼働率を低下させることがない。また、秤量後における後工程の自由度を高めることができる。また、複数種類の散剤Mを例えば複数台の分包装置を用いて並行して分包することができる。よって、効率良く散剤Mの秤量を行うことができて使い勝手の良い秤量装置1を提供することができる。
【0133】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の秤量装置1は、各々に散剤Mが収容可能であって供給口(第1供給口2121及び第2供給口2122)を有する複数の散剤容器21、前記複数の散剤容器21を移動させる移動機構23、前記複数の散剤容器21の移動軌道Q上にある所定の払出位置P1に移動した前記散剤容器21から散剤Mを払い出させる払出機構24、をそれぞれ有する払出部2と、前記散剤容器21から払い出された散剤Mを受けるトレイTを載置し、前記トレイTに払い出された散剤Mを秤量する秤量部3と、前記秤量部3に移動させる前の複数の前記トレイTを保持するトレイ待機部4と、前記トレイTを前記トレイ待機部4から前記秤量部3に移動させ、払い出し後に前記トレイTを前記秤量部3から取り外すトレイ移送部5と、秤量後の散剤Mが収容された前記トレイTが載置される秤量後トレイ置き場6と、を備え、前記払出部2には、前記複数の散剤容器21が水平方向に配置され、前記トレイ待機部4、前記トレイ移送部5、前記秤量部3、前記秤量後トレイ置き場6は、それぞれ前記払出部2の下方に重なって位置する。
【0134】
前記構成によれば、払出部2に複数の散剤容器21が水平方向に配置され、且つトレイ待機部4、トレイ移送部5、秤量部3、及び秤量後トレイ置き場6がそれぞれ払出部2の下方に重なって位置している。そのため、払出部2の下方側のスペースを有効利用することができる。よって、装置内の構成要素を立体的に配置できるので、装置を幅方向、奥行方向に小さく構成することができ、狭い場所にも配置することができる。
【0135】
また、前記トレイ待機部4には、複数の前記トレイTが奥行方向に配置されている。
【0136】
前記構成によれば、トレイ待機部4上のトレイTが奥行方向に配置されているので、装置の幅寸法を拡大させずにトレイ待機部4に保持できるトレイの数量を増やすことができる。
【0137】
また、前記秤量後トレイ置き場6は、秤量後の散剤Mが収容された複数の前記トレイTが載置されるトレイ集積部6であり、前記トレイ集積部6は前記払出部2の下方に重なって位置している。
【0138】
前記構成によれば、複数のトレイTが載置されるトレイ集積部6が払出部2の下方に重なって位置しているので、払出部2の下方側のスペースに秤量後の複数のトレイTを配置することができる。そのため、秤量後トレイ置き場6に複数のトレイTを載置する場合であっても、幅方向、奥行方向に装置を拡大させることなく装置がコンパクトなままで複数のトレイTを集積可能となる。
【0139】
また、前記払出部2は、前記複数の散剤容器21を着脱可能に保持する複数の保持体22を有し、前記複数の保持体22は、正面側から背面側にわたる周回軌道Q上を周回するよう構成されている。
【0140】
前記構成によれば、保持体22が正面側から背面側にわたる周回軌道Q上を周回するように構成されているので、正面視において正面側と背面側とで移動軌道Qを重複させられる。このため、秤量装置1を幅方向に小さく構成することができる。
【0141】
また、前記トレイ待機部4、前記トレイ移送部5、前記秤量部3、前記秤量後トレイ置き場6は、それぞれ前記周回軌道Qにおける正面側の範囲の下方に位置する。
【0142】
前記構成によれば、トレイ待機部4、トレイ移送部5、秤量部3、及び秤量後トレイ置き場6が、周回軌道Qにおける正面側の範囲の下方に位置するので、作業者が作業を行う正面側から各部にアクセスし易く、手作業における払い出し、または、秤量後のトレイTの取り出しが容易となっている。
【0143】
以上のように、第2の実施形態によれば、装置内の構成要素を立体的に配置できるので、装置を幅方向、奥行方向に小さく構成することができ、狭い場所にも配置することができる。よって、狭い設置箇所にも対応できる秤量装置1を提供することができる。
【0144】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の秤量装置1は、各々に散剤Mが収容可能であって供給口(第1供給口2121及び第2供給口2122)を有する複数の散剤容器21、前記複数の散剤容器21を着脱可能に保持する複数の保持体22、前記保持体22に保持された前記複数の散剤容器21を移動させる移動機構23、前記複数の散剤容器21の移動軌道Q上にある所定の払出位置P1に移動した前記散剤容器21から散剤Mを払い出させる払出機構24、をそれぞれ有する払出部2と、前記払出位置P1の下方に位置するもので、前記散剤容器21から払い出された散剤Mを受けるトレイTを載置し、前記トレイTに払い出された散剤Mを秤量する秤量部3と、を備え、前記払出部2には、前記複数の散剤容器21が水平方向に配置され、前記移動機構23は、前記複数の散剤容器21を水平方向に移動させ、前記散剤容器21は前記移動機構23により前記払出位置P1に移動され、前記払出機構24により払い出される散剤Mは落下して前記秤量部3に載置された前記トレイTに収容され、前記散剤容器21が前記保持体22に対して着脱可能な着脱位置P2が、前記払出位置P1とは水平方向に異なる位置に設けられている。
【0145】
前記構成によれば、散剤容器21から散剤Mを払い出す位置と、散剤容器21を保持体22に着脱する位置とが水平方向に異なる位置に設定されているので、散剤容器21の着脱の際に着脱に係る散剤容器21の下方側にトレイTが位置しない。そのため、着脱させようとする散剤容器21の供給口(第1供給口2121及び第2供給口2122)や保持体22に付着していた散剤Mが不意に秤量部3や秤量部3に載置されたトレイTに落下することを防止できる。
【0146】
また、前記複数の保持体22は、正面側から背面側にわたる周回軌道Q上を周回するよう構成され、前記着脱位置P2は、前記周回軌道Qにおける正面側の範囲に位置している。
【0147】
前記構成によれば、着脱位置P2が、周回軌道Qにおける正面側に位置しているので、作業者が作業を行う正面側から散剤容器21にアクセスし易く、着脱の作業性が良い。
【0148】
また、前記着脱位置P2が、前記払出位置P1を基準とした場合、一つから三つ隣の前記保持体22にあってもよい。
【0149】
前記構成によれば、着脱位置P2が、払出位置P1を基準とした場合、一つから三つ隣の前記保持体22が位置する場所に設定されているので、散剤容器21を払出位置P1から速やかに着脱位置P2に移動でき、しかも、着脱位置P2において散剤容器21を装着後、該散剤容器21を速やかに払出位置P1に移動させることができるため、散剤容器21の着脱に関する所要時間を短縮することができる。
【0150】
以上のように、第3の実施形態によれば、着脱させようとする散剤容器21の供給口(第1供給口2121及び第2供給口2122)や保持体22に残留していた散剤Mが不意に秤量部3や秤量部3に載置されたトレイTに落下することを防止できる。よって、異種の散剤Mが混ざってしまうこと(クロスコンタミネーション)を防止でき、安全な秤量装置1を提供することができる。
【0151】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の秤量装置1は、散剤Mが収容可能な散剤容器21を有し、前記散剤容器21から散剤Mを払い出させる払出部2と、前記散剤容器21から払い出された散剤Mを受けるトレイTを載置し、前記トレイTに払い出された散剤Mを秤量する秤量部3と、装置全体の動作を制御する制御部9と、を備え、前記制御部9は、入力された供給指示に係る散剤量の目標値に応じて、前記秤量部3で秤量しながら前記払出部2により前記散剤容器21から散剤Mを払い出す、自動秤量モード(第1のモード)と、前記払出部2により前記散剤容器21から散剤Mを払い出すことなく、前記トレイTに投入される散剤Mを前記秤量部3で秤量する、手動秤量モード(第2のモード)と、を切り替えることができる。
【0152】
前記構成によれば、自動秤量モード(第1のモード)と手動秤量モード(第2のモード)とを切り替えることができるので、散剤容器21に収容されておらず、自動秤量モード(第1のモード)で払い出しのできない散剤M(残量不足で払い出しできない場合を含む)を供給する際に手動秤量モード(第2のモード)に切り替えて、所望の散剤Mを秤量することができる。
【0153】
また、前記制御部9は、前記供給指示に係る散剤Mが前記散剤容器21に収容されている散剤Mの場合、前記自動秤量モード(第1のモード)とし、そうでない散剤Mの場合、前記手動秤量モード(第2のモード)とする。
【0154】
前記構成によれば、散剤容器21に供給指示に係る散剤Mが収容されていない場合であっても、手動秤量モード(第2のモード)で作業を行うことで、払出部2に準備していない散剤Mも秤量することができる。
【0155】
また、前記制御部9は、前記自動秤量モード(第1のモード)で払い出す散剤Mが不足する場合、前記散剤容器21に散剤Mを補充して前記自動秤量モード(第1のモード)による払い出しを継続するか、前記手動秤量モード(第2のモード)へ切り替えるかを作業者が選択可能とする。
【0156】
前記構成によれば、払い出しの途中で散剤容器21に散剤Mを補充して払い出しを続行することができる。また、散剤容器21への散剤Mの補充を行わなくても、手作業により秤量することができる。このように、自動秤量モード(第1のモード)で払い出しを行うか、手動秤量モード(第2のモード)で払い出しを行うかが作業者の判断に委ねられ、作業の自由度を高めることができる。
【0157】
また、前記制御部9は、前記自動秤量モード(第1のモード)で払い出す散剤Mが不足する場合、前記自動秤量モード(第1のモード)に係る動作を終了させ、前記手動秤量モード(第2のモード)に移行させる。
【0158】
前記構成によれば、自動秤量モード(第1のモード)で払い出す散剤Mが不足する場合には、手動秤量モード(第2のモード)に自動的に切り替わるので、作業を単純化することができる。
【0159】
また、秤量装置1は、装置側表示部8を更に備え、前記制御部9は、前記手動秤量モード(第2のモード)で前記トレイに投入することが必要な散剤量を前記装置側表示部8に表示させる。
【0160】
前記構成によれば、手動秤量モード(第2のモード)でトレイTに投入することが必要な散剤量を装置側表示部8に表示させることができるので、トレイTに供給する散剤Mとして不足している散剤量を作業者が把握することができ、手作業による秤量作業の負担を軽減することができる。
【0161】
また、前記払出部は、複数の前記散剤容器21を有し、前記散剤容器21の各々には、散剤Mが種類別に収容されており、前記供給指示に係る複数種の散剤Mに、複数の前記散剤容器21のいずれかに収容されている散剤Mとそうでない散剤Mとがある場合、前記制御部9は、先に前記自動秤量モード(第1のモード)としてその後前記手動秤量モード(第2のモード)とするか、先に前記手動秤量モード(第2のモード)としてその後前記自動秤量モード(第1のモード)とするか、選択することができる。
【0162】
前記構成によれば、選択により、自動秤量モード(第1のモード)の後に手動秤量モード(第2のモード)とすることで、自動秤量モード(第1のモード)の実行中に作業者が手動秤量モード(第2のモード)の準備を進めることができる。もしくは、選択により、手動秤量モード(第2のモード)の後に自動秤量モード(第1のモード)とすることで、手作業により手動秤量モード(第2のモード)を先に終わらせることができるため、その後の自動秤量モード(第1のモード)の実行中は、該自動秤量モード(第1のモード)が終了するまで作業者が待機している必要がない。
【0163】
また、前記払出部は、複数の前記散剤容器21を有し、前記散剤容器21の各々には、散剤Mが種類別に収容されており、前記供給指示に係る複数種の散剤Mに、複数の前記散剤容器21のいずれかに収容されている散剤Mとそうでない散剤Mとがある場合、前記制御部9は、先に前記自動秤量モード(第1のモード)としてその後前記手動秤量モード(第2のモード)とする。
【0164】
前記構成によれば、自動秤量モード(第1のモード)が実施されている間(自動払出中)の時間を利用して、例えば手動秤量モード(第2のモード)で必要な手作業の準備を進めることができるので、自動秤量モード(第1のモード)の終了後に即座に手動秤量モード(第2のモード)に移行することができ、効率的に秤量することができる。
【0165】
また、前記制御部9は、複数種の散剤Mの払い出しを行う際における前記自動秤量モード(第1のモード)の実行中に前記手動秤量モード(第2のモード)を実行するように指示された場合、実行中の散剤Mの払い出しが完了すると前記自動秤量モード(第1のモード)を中断して前記手動秤量モード(第2のモード)に移行する。
【0166】
前記構成によれば、例えば、至急に払い出しが必要な散剤Mを手作業で迅速に供給したいときに、自動秤量モード(第1のモード)を中断して、手作業により供給することができる。また、自動秤量モード(第1のモード)による自動供給を行っているときに作業者の手が空いた場合に、手作業による散剤Mの供給ができる。このように、自動秤量モード(第1のモード)が実行中であっても、所望のタイミングで手動秤量モード(第2のモード)に切り替えられるので、作業者の作業状況に臨機応変に対応することができる。
【0167】
また、前記払出部2は、複数の前記散剤容器21を有し、前記複数の散剤容器21の各々には、散剤Mが種類別に収容されており、前記供給指示に係る複数種の散剤Mに、前記複数の散剤容器21のいずれかに収容されている散剤Mとそうでない散剤Mとがある場合、前記制御部9は、前記自動秤量モード(第1のモード)に先立って前記手動秤量モード(第2のモード)とし、前記手動秤量モード(第2のモード)が終了後に前記自動秤量モード(第1のモード)とする。
【0168】
前記構成によれば、手作業により手動秤量モード(第2のモード)を先に終わらせることができるため、その後の自動秤量モード(第1のモード)の実行中は、該自動秤量モード(第1のモード)が終了するまで作業者が待機している必要がない。
【0169】
また、秤量装置1は、前記トレイTに設けられ、収容される散剤Mの処方情報が表示される情報表示部T1への書き込みを、前記秤量部3での秤量が開始される前に行う情報書込部7を備える。
【0170】
前記構成によれば、秤量部3での秤量開始前に情報表示部T1の表示がなされた状態になっているので、手作業により供給する散剤Mを間違うことがなく、その後即時に誤りなくトレイTを後工程に回すことができる。
【0171】
また、前記情報表示部T1の表示が、次回の前記情報書込部7による書き込みまで保持される。
【0172】
前記構成によれば、前回の供給の際にトレイTに収容されていた散剤Mを把握することができるので、トレイTの清掃を行う指標とすることができる。
【0173】
また、前記秤量部3は移動可能に構成され、前記自動秤量モード(第1のモード)の際に前記秤量部3を移動不能とするロック部3aを備え、前記制御部9は、前記手動秤量モード(第2のモード)の際にロック部3aを解除する。
【0174】
前記構成によれば、作業者が誤って自動秤量モード(第1のモード)中における自動供給の実行中に秤量部3を使用しようとしても、ロック部3aにより秤量部3が移動せず、自動秤量モード(第1のモード)が中断することを防止できる。また、手動秤量モード(第2のモード)の際には、秤量部3を作業位置まで移動させることができる。
【0175】
また、前記秤量部3は移動可能に構成され、前記制御部9は、前記自動秤量モード(第1のモード)の際に、前記秤量部3を前記散剤容器21から散剤Mが払い出される位置である払出位置P1の下方に位置させ、前記手動秤量モード(第2のモード)の際に、手作業により散剤Mを投入するための作業空間を確保できる位置に前記秤量部3を移動させる。
【0176】
前記構成によれば、自動秤量モード(第1のモード)中には、払出位置P1の下方という作業者の手の届き難い場所から秤量部3を移動不能としておくことで、自動秤量モード(第1のモード)の際に作業者が誤って秤量部3を移動させることを防止でき、且つ手動秤量モード(第2のモード)中には、作業空間を確保できる位置に秤量部3を移動させることができるので作業者が作業し易くなっている。
【0177】
以上のように、第4の実施形態によれば、散剤容器21に収容されておらず、自動秤量モード(第1のモード)で払い出しのできない散剤M(残量不足の場合を含む)を払い出す際に手動秤量モード(第2のモード)に切り替えて、所望の散剤Mを秤量することができる。よって、供給指示に応じて散剤Mを効率的に用意することのできる秤量装置を提供することができる。
【0178】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の秤量装置1は、各々に散剤Mが収容可能であって供給口(第1供給口2121及び第2供給口2122)を有する複数の散剤容器21、前記複数の散剤容器21を移動させる移動機構23、前記複数の散剤容器21の移動軌道Q上にある所定の払出位置P1に移動した前記散剤容器21から散剤Mを払い出させる払出機構24、をそれぞれ有する払出部2と、前記払出位置P1の下方に位置するもので、前記散剤容器21から払い出された散剤Mを受けるトレイTを載置し、前記トレイTに払い出された散剤Mを秤量する秤量部3と、前記秤量部3に移動させる前の複数の前記トレイTを保持するトレイ待機部4と、前記トレイTを前記トレイ待機部4から前記秤量部3に移動させ、払い出し後に前記トレイTを前記秤量部3から取り外すトレイ移送部5と、装置全体の動作を制御する制御部9と、を備え、前記散剤容器21は前記移動機構23により前記払出位置P1に移動され、前記払出機構24により払い出される散剤Mは落下して前記秤量部3に載置されたトレイTに収容され、前記制御部9は、前記散剤容器21を前記払出位置P1に移動させ、その後、前記トレイ移送部5がトレイTを前記トレイ待機部4から前記秤量部3に移動させる。
【0179】
前記構成によれば、制御部9は、散剤容器21を払出位置P1に移動させ、その後、トレイ移送部5がトレイTをトレイ待機部4から秤量部3に移動させる。そのため、払い出し対象でない散剤Mを収容する散剤容器21がトレイTの上方を通過する際、散剤容器21の供給口(第1供給口2121及び第2供給口2122)とその周辺に付着した散剤Mが落下しても供給口の下方にトレイTが載置されていないので、落下した散剤MがトレイTに入ることを防止することができる。このように、前記構成によれば、払い出し対象でない散剤MがトレイTに収容されることによるクロスコンタミネーションを防止できる。
【0180】
また、前記払出部2と前記秤量部3との間に位置し、前記秤量部3の上方を移動する前記散剤容器21から散剤Mが前記秤量部3に落下することを防ぐシャッターをさらに備え、前記制御部9は、前記移動機構23による前記複数の散剤容器21の移動中には前記シャッターを閉鎖し、前記トレイ移送部5が前記トレイTを前記秤量部3に移動させた後に前記シャッターを開放する。
【0181】
前記構成によれば、制御部9は、移動機構23による複数の散剤容器21の移動中にはシャッターを閉鎖し、トレイ移送部5がトレイTを秤量部3に移動させた後にシャッターを開放する。そのため、トレイTが秤量部3に載置されるまでシャッターを閉鎖しておくことができ、払い出し対象でない散剤Mが秤量部3やトレイTに落下するのを防止できる。
【0182】
また、前記制御部9は、前記秤量部3に前記トレイTが載置された後であって、前記秤量部3のゼロ調整の後に前記シャッターを開放して前記散剤容器から散剤Mを払い出す。
【0183】
前記構成によれば、秤量部3がゼロ調整された後にシャッターが開放されるので、散剤Mを正確に秤量することができる。
【0184】
以上のように、第5の実施形態によれば、払い出し対象でない散剤MがトレイTに収容されることによるクロスコンタミネーションを防止することができる。よって、異種の散剤Mが混ざってしまうこと(クロスコンタミネーション)を防止でき、安全な秤量装置を提供することができる。
【0185】
(第6の実施形態)
第6の実施形態の散剤供給装置2aは、散剤Mを貯留し、底部には、散剤Mを落下させる供給口2121,2122が形成される散剤容器21と、前記散剤容器21の底部に交差する中心軸周りに回転し、径外方向に延びる複数の移送片2171,2191が周方向に間隔をあけて配され、回転することにより各移送片間の移送領域217a,219aに位置する散剤Mを移送する移送体217,219と、前記散剤容器21内を上下に仕切り、上下に貫通した外周孔2181と内周孔2182とを有する仕切体218と、前記供給口2121,2122を開閉する開閉体21Aと、を備え、前記移送体217,219は、前記仕切体218の上方に配置されて前記仕切体218に載置される散剤Mを移送する上側移送体217であって、移送される散剤Mを前記外周孔2181と前記内周孔2182とから落下させる上側移送体217と、前記仕切体218の下方に配置されて前記上側移送体217と同軸に回転し、前記内周孔2182から落下された散剤Mを移送する下側移送体219であって、前記上側移送体217よりも各移送片2191間の移送領域219aが狭い下側移送体219と、を有し、前記供給口2121,2122は、第1供給口2121と第2供給口2122とを有し、前記第1供給口2121は、前記外周孔2181に連通しており、前記外周孔2181からの散剤Mを落下させ、前記第2供給口2122は、前記内周孔2182と周方向にずれた位置に設けられており、前記内周孔2182から落下して前記下側移送体219により移送された散剤Mを落下させ、前記開閉体21Aは、前記第1供給口2121と前記第2供給口2122とを共に開放すること、または、前記第1供給口2121を閉鎖して前記第2供給口2122のみを開放することができる。
【0186】
前記構成によれば、上側移送体217により移送される散剤Mの一部は第1供給口2121から供給される。上側移送体217により移送される散剤Mの他の一部は、下側移送体219により移送されて第2供給口2122から供給される。このとき、第1供給口2121と第2供給口2122とが共に開放される。上側移送体217により移送される散剤Mは、共に開かれた第1供給口2121と第2供給口2122とから落下するため、上側移送体217により移送される散剤Mを第1供給口2121のみから供給するよりも多くの散剤Mを供給できる。そして、第1供給口2121を閉鎖して第2供給口2122を開放することにより、上側移送体217により移送された散剤Mは第1供給口2121から落下することなく、下側移送体219により移送され、第2供給口2122のみから供給できる。移送体217,219の単位回転量あたりの供給量が減少することになるため、供給量を調整することができる。さらに、下側移送体219では各移送片2191間の領域219aが上側移送体217よりも狭いので、上側移送体217に比べて少量の散剤Mを定量ごとに移送できるため、少量の散剤Mを定量ごとに精度よく供給することができる。
【0187】
また、前記第2供給口2122は前記第1供給口2121とは周方向にずれた位置であり、かつ、径方向に重なる位置に設けられる。
【0188】
前記構成によれば、第2供給口2122を第1供給口2121とは周方向にずれた位置とすることで、第2供給口2122の開口面積を拡大できる。このため、下側移送体219の各移送片2191間の領域219aに対し、第2供給口2122を径方向に余裕を持って開口させられる。よって、下側移送体219により移送される散剤Mを供給対象物に対して確実に供給できる。
【0189】
また、前記第1供給口2121と前記第2供給口2122とは、前記散剤容器21の底部において近接した位置に設けられている。
【0190】
前記構成によれば、各供給口2121,2122から散剤Mが落下する位置を近くできる。このため、落下した散剤Mが供給対象物から外れてしまうことを抑制できる。
【0191】
また、前記下側移送体219の外縁を囲うように配され、前記下側移送体219が回転する領域を、当該領域の径外領域に対して仕切る外周仕切部2183を備える。
【0192】
前記構成によれば、外周仕切部2183により、下側移送体219により移送される散剤Mが外周側に逃げないようにガイドできる。このため、下側移送体219により移送される散剤Mを確実に供給できる。
【0193】
また、前記外周仕切部2183は、前記仕切体218の下面から下方に延びている。
【0194】
前記構成によれば、外周仕切部2183を仕切体218と一体化することができ、散剤供給装置2aの構成点数を減少させられる。
【0195】
また、前記外周孔2181を遮蔽する外周孔遮蔽体2161を、前記上側移送体217よりも上方に備える。
【0196】
前記構成によれば、外周孔遮蔽体2161により、散剤容器21に貯留された散剤Mの圧力が外周孔2181に直接的にかからないようにできることから、外周孔2181において散剤Mが凝集されないようにできる。このため、外周孔2181に連通した第1供給口2121から散剤Mを均一な密度で供給できる。また、上側移送体217から移送される散剤Mだけを第1供給口2121から供給できるため、定量の供給ができる。
【0197】
また、前記内周孔2182を遮蔽する内周孔遮蔽体2162を、前記上側移送体217よりも上方に備える。
【0198】
前記構成によれば、内周孔遮蔽体2162により、散剤容器21に貯留された散剤M自体の圧力が内周孔2182に直接的にかからないようにできることから、内周孔2182において散剤Mが凝集されないようにできる。また、下側移送体219に、前記散剤M自体の圧力がかからないから、下側移送体219の回転をスムーズにできる。
【0199】
以上のように、第6の実施形態によれば、上側移送体217により移送される散剤Mを第1供給口2121のみから供給するよりも多くの散剤Mを供給できる。そして、移送体217,219の単位回転量あたりの供給量を減少させられるため、供給量を調整することができる。さらに、少量の散剤Mを定量ごとに精度よく供給することができる。このため、供給量を調整することができ、さらに、少量の散剤Mを定量ごとに精度よく供給することができる散剤供給装置2aを提供できる。
【0200】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の散剤供給装置2aは、散剤Mを貯留し、底部には、散剤Mを落下させる供給口2121,2122が形成される散剤容器21と、前記散剤容器21から供給対象物に対して散剤Mを供給する散剤供給部2bと、前記散剤供給部2bを制御する制御部9と、を備え、前記散剤供給部2bは、前記散剤容器21の底部に交差する中心軸周りに回転し、径外方向に延びる複数の移送片2171,2191が周方向に間隔をあけて配され、回転することにより各移送片2171,2191間の移送領域217a,219aに位置する散剤Mを移送する移送体217,219と、前記散剤容器21内を上下に仕切り、上下に貫通した外周孔2181と内周孔2182とを有する仕切体218と、前記供給口2121,2122を開閉する開閉体21Aと、を有し、前記移送体217,219は、前記仕切体218の上方に配置されて前記仕切体218に載置される散剤Mを移送する上側移送体217であって、移送される散剤Mを前記外周孔2181と前記内周孔2182とから落下させる上側移送体217と、前記仕切体218の下方に配置されて前記上側移送体217と同軸に回転し、前記内周孔2182から落下された散剤Mを移送する下側移送体219であって、前記上側移送体217よりも各移送片2191間の移送領域219aが狭い下側移送体219と、を有し、前記供給口2121,2122は、第1供給口2121と第2供給口2122とを有し、前記第1供給口2121は、前記外周孔2181に連通しており、前記外周孔2181からの散剤Mを落下させ、前記第2供給口2122は、前記内周孔2182と周方向にずれた位置に設けられており、前記内周孔2182から落下して前記下側移送体219により移送された散剤Mを落下させ、前記開閉体21Aは、前記第1供給口2121と前記第2供給口2122とを共に開放すること、または、前記第1供給口2121を閉鎖して前記第2供給口2122のみを開放することができ、前記制御部9は、前記第1供給口2121と前記第2供給口2122とが開放された状態で、前記上側移送体217と前記下側移送体219とを回転させ、前記上側移送体217により散剤Mを移送して、前記外周孔2181から散剤Mを落下させて前記第1供給口2121から散剤Mを供給するとともに、前記内周孔2182から散剤Mを落下させて前記下側移送体219により散剤Mを搬送して、前記第2供給口2122から散剤Mを供給する前供給動作を行い、その後、前記第1供給口2121を閉じるとともに、前記上側移送体217により散剤Mを移送して、前記内周孔2182から散剤Mを落下させて前記下側移送体219により散剤Mを搬送して、前記第2供給口2122から散剤Mを供給する後供給動作を行う。
【0201】
前記構成によれば、散剤Mを供給開始した時点では前供給動作により単位回転量あたりの供給量を多くし、目標量に近づくと後供給動作により単位回転量あたりの供給量を少なくできる。このため、短時間で精度よく目標量に到達する供給をできる。
【0202】
また、前記散剤容器21から供給された散剤Mの重量を検出する秤量部3をさらに備え、前記制御部9は、供給すべき散剤Mの重量に係る目標重量値と、前記秤量部3から得た検出重量値と、に基づき前記散剤供給部2bを制御するものであって、前記制御部9は、前記前供給動作中に、前記目標重量値より小さく設定された中間重量値に到達すると、前記後供給動作に移行する。
【0203】
前記構成によれば、中間重量値に到達するまでは前供給動作により供給量を多くし、中間重量値に到達した後は後供給動作により供給量を小さくできる。このため、中間重量値をもとに、短時間で精度よく目標量に到達する供給のための制御をできる。
【0204】
また、前記制御部9は、前記後供給動作では、前記秤量部3から得た検出重量値が前記目標重量値に到達するまでの間、前記下側移送体219を間欠的に回転させる。
【0205】
前記構成によれば、下側移送体219の間欠的な回転により、徐々に目標重量値に近づけながら散剤Mを供給できる。
【0206】
また、前記間欠的な回転は、前記下側移送体219における前記各移送片2191間の移送領域219aに相当する角度分なされる。
【0207】
前記構成によれば、間欠的な回転ごとの供給量が、下側移送体219における各移送片2191間の移送領域219aに位置する散剤Mの量に一致するので、目標重量値に近づける制御を行いやすい。
【0208】
また、前記下側移送体219の前記各移送片2191間の移送領域219aに対応する散剤Mの重量値を記憶する記憶部を備え、前記制御部9は、前記秤量部3から得た検出重量値の前記目標重量値に対する不足重量値に対応した前記各移送片2191間の移送領域219aに相当する角度分だけ前記下側移送体219を回転させる。
【0209】
前記構成によれば、不足重量値に対する下側移送体219の回転量を定めやすい。
【0210】
以上のように、第7の実施形態によれば、短時間で精度よく目標量に到達する供給をできる。このため、短時間に小さい誤差で散剤Mを供給することができる散剤供給装置2aを提供できる。
【0211】
(第8の実施形態)
第8の実施形態の散剤供給装置2aは、散剤Mを貯留する散剤容器21と、前記散剤容器21から供給対象物に対して散剤Mを供給する散剤供給部2bと、前記散剤供給部2bを制御する制御部9と、を備え、前記散剤容器21には、貯留された散剤Mの種類ごとの前記散剤供給部2bの駆動条件に関連付けられた固有情報が付与されており、前記固有情報を前記散剤容器21から取得する情報読取部(RFIDリーダライタ233)を備え、前記制御部9は、前記情報読取部(RFIDリーダライタ233)により取得した前記固有情報に基づいて前記散剤供給部2bの駆動条件を設定し、前記散剤供給部2bを当該駆動条件に対応するよう制御して散剤Mを供給する。
【0212】
前記構成によれば、制御部9による散剤供給部2bの制御を、散剤Mの種類に応じて最適化できる。
【0213】
また、前記固有情報は、供給停止の指示がされてから実際に供給される散剤Mの供給量に係る余剰供給重量値の情報を含み、前記制御部9は、供給すべき散剤Mの重量に係る目標重量値と前記余剰供給重量値とに基づき前記散剤供給部2bを制御して散剤Mを供給する。
【0214】
前記構成によれば、制御部9が固有情報中の余剰供給重量値を用いて散剤供給部2bを制御して散剤Mを供給することにより、目標重量値を超えないよう散剤Mを供給することができ、正確な量の供給が可能である。
【0215】
また、前記散剤容器21は、外部に開放されて散剤Mを供給する供給口2121,2122を備え、前記散剤供給部2bは、前記散剤容器21の中心軸周りに回転することにより散剤Mを前記供給口2121,2122に向けて移送する移送体217,219を有し、前記固有情報は、前記移送体217,219の回転速度の情報を含む。
【0216】
前記構成によれば、固有情報に移送体217,219の回転速度の情報を含むことにより、例えば飛散しやすい(飛び散り易い)散剤Mに関しては、制御部9が移送体217,219の回転速度を遅くする制御を行うことができ、確実に供給対象物への散剤Mの供給が可能である。
【0217】
また、前記散剤容器21は、外部に開放されて散剤Mを供給する供給口2121,2122を備え、前記散剤供給部2bは、前記散剤容器21の中心軸周りに回転することにより散剤Mを前記供給口2121,2122に向けて移送する移送体217,219を有し、前記固有情報は、前記移送体217,219の回転量に対応する散剤Mの供給量の情報を含む。
【0218】
前記構成によれば、移送体217,219の回転量と散剤Mの供給量との関係に応じて移送体217,219が制御されるので、目標重量値に応じて移送体217,219の回転量を定めることが可能である。
【0219】
また、前記固有情報は、供給対象物1つあたりに供給できる散剤Mの最大量の情報を含む。
【0220】
前記構成によれば、固有情報を基に制御することで、供給対象物から散剤Mをあふれさせることなく、散剤Mを最大量供給できる。
【0221】
以上のように、第8の実施形態によれば、制御部9による散剤供給部2bの制御を、散剤Mの種類に応じて最適化できる。このため、散剤Mの性状に応じて適切な供給を行うことができる散剤供給装置2aを提供できる。
【0222】
(第9の実施形態)
第9の実施形態の散剤供給装置2aは、散剤Mを供給する散剤供給部2bと、前記散剤供給部2bから供給された散剤Mの重量を検出する秤量部3と、前記秤量部3の検出値に基づいて、前記散剤供給部2bによる供給動作を制御する制御部9と、を備え、前記制御部9は、大供給動作と、前記大供給動作よりも、単位時間あたりの供給量が小さく、かつ、供給精度が高い中供給動作と、前記中供給動作よりも、単位時間あたりの供給量が小さく、かつ、供給精度が高い小供給動作と、を順に実行し、更に、前記制御部9は、散剤Mの供給量に関して指定される目標値に基づいて、前記目標値よりも小さい第1中間重量値と、前記目標値よりも小さく、かつ、前記第1中間重量値よりも大きい第2中間重量値と、を設定した上で、前記秤量部3による検出値が前記第1中間重量値を超えると、当該制御部9は前記大供給動作を終了させて前記中供給動作を実行し、前記秤量部3による検出値が前記第2中間重量値を超えると、当該制御部9は前記中供給動作を終了させて前記小供給動作を実行し、前記秤量部3による検出値が前記目標値に到達すると、当該制御部9は前記小供給動作を終了させるものであって、前記第1中間重量値は、前記大供給動作によって余分の散剤Mが供給されたとしても、前記秤量部3による検出値が前記第2中間重量値を超えない値に設定され、前記第2中間重量値は、前記中供給動作によって余分の散剤Mが供給されたとしても、前記秤量部3による検出値が前記目標値を超えない値に設定される。
【0223】
秤量部3による検出値に基づいて散剤供給部2bによる供給動作を制御すると、散剤Mが余分に供給されることがある。これに対して前記構成によれば、中供給動作は、大供給動作よりも単位時間当たりの供給量が小さく、かつ、供給精度が高い。このため、中供給動作で余分に供給される散剤Mの量は、大供給動作で余分に供給される散剤Mの量よりも少なく、前記余分に供給される散剤Mの重量のばらつきを小さくできる。また、第1中間重量値は、大供給動作によって余分の散剤Mが供給されたとしても、第2中間重量値を超えないように設定されているため、大供給動作を行った後に、中供給動作を行うことができる。中供給動作を行うことにより、目標値に対して精度よく散剤Mを供給することができる。このため、目標値に近い量の散剤Mを供給した状態で、更に供給量が小さくて精密な供給ができる小供給動作を開始することができる。また、供給量の大きい大供給動作を行うことにより、供給動作全体の時間を短くすることができる。
【0224】
また、前記制御部9は、前記小供給動作中に、前記散剤供給部2bによる散剤Mの供給動作を一旦停止させ、その状態で、前記秤量部3は、前記散剤供給部2bから供給された散剤Mの重量を検出し、前記制御部9は、前記秤量部3による検出値が前記目標値に満たない場合には、前記供給動作を再開させ、前記秤量部3による検出値が前記目標値に到達した場合には、前記供給動作を終了させる。
【0225】
前記構成によれば、供給動作を一旦停止した状態で重量検出を行うので、散剤Mの供給状況の現状把握が正確にできる。
【0226】
以上のように、第9の実施形態によれば、余分に供給される散剤Mの重量のばらつきを小さくできる。また、目標値に近い量の散剤Mを供給した状態で、更に供給量が小さくて精密な供給ができる小供給動作を開始することができる。また、供給量の大きい大供給動作を行うことにより、供給動作全体の時間を短くすることができる。
このため、迅速に供給完了できる散剤供給装置2aを提供できる。
【0227】
[実施形態の変更可能性]
なお、本発明の秤量装置1(散剤供給装置2aを含む)は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。つまり、前記実施形態において明示していない構成についても、明示した構成と同一の作用を奏する構成については本発明の範囲内で変更が可能であって、該構成を明示していないことをもって意識的に除外している訳ではない。
【0228】
例えば、前記実施形態では、粉粒体供給装置としての散剤供給装置2aが秤量装置1に備えられたものであったが、この態様に限られない。粉粒体供給装置は単体で機能するものとして成立し得る。また、粉粒体供給装置が秤量装置以外の装置に備えられたものであってよい。
【0229】
また、前記実施形態の粉粒体供給装置における被供給対象物である粉粒体は、形状が粉状や顆粒状の薬品である散剤Mであった。しかし、これに限定されず、薬品以外の種々の粉粒体(例えば、小麦粉等の食品に関する粉粒体や、セメント等の産業資材に関する粉粒体)を被供給対象物とできる。
【0230】
また、トレイ集積部6に関し、各トレイTを載置した各区画に対応する表示器を設けておくこともできる。この場合、例えば後工程に係る分包装置で分包情報を呼び出すと、対応する表示器が表示状態になるように構成することができる。表示器として例えばLEDランプを用いることができる。この構成によると、分包情報に対応するトレイ集積部6上の区画を認識でき、作業者において分包に必要なトレイTが容易にわかる点で有利である。
【0231】
また、秤量部3に関し、散剤容器21からトレイTに払い出される散剤Mを秤量する第1秤量部と、手作業によりトレイに投入される散剤Mを秤量する第2秤量部の二つを設けることもできる。この場合、トレイ移送部5がトレイTを自動秤量モード、手動秤量モードに応じて第1秤量部または第2秤量部に振り分けるよう構成することができる。
【0232】
また、制御部9に関し、複数の供給指示が秤量装置1に入力された場合で、該複数の供給指示中に同一種類の散剤Mを払い出す指示を含む場合、制御部9は、同一の散剤Mが連続して払い出されるように順番を設定することもできる。これにより、複数の供給指示に対応した全体の払出時間を短縮できる。
【0233】
また、制御部9に関し、供給指示に含まれる散剤種の情報に応じて、制御部9が自動秤量モードとするか手動秤量モードとするかを決定することもできる。例えば、規制医薬品(毒薬、劇薬、麻薬、向精神薬など)に関しては、もしもクロスコンタミネーションが発生すると深刻な悪影響が生じる可能性があるため、規制医薬品の情報が供給指示に含まれる場合、規制医薬品の払い出しは手動で行うようにできる。
【0234】
また、制御部9に関し、秤量部(電子天秤)3が有する表示部を撮影できるカメラを設けておき、該カメラにより得られた、秤量部3における秤量検出値の表示情報と、トレイTの情報表示部T1に表示された秤量値J7とが一致しているか確認するよう構成することもできる。
【0235】
また、トレイTに関し、前記実施形態では情報表示部T1として電子ペーパーが用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば液晶画面等の種々の表示手段を用いることができる。更に、利便性は低下するものの、情報表示部T1として紙等の印刷可能なシートを用い、情報書込部7としてプリンターを用いてもよい。
【0236】
また、トレイTに関し、各トレイに固有の識別情報を付すことができる。この場合、制御部9で特定のトレイTと、該トレイTに収容される散剤Mとの対応関係を記憶しておき、該トレイTに収容する散剤Mを固定化することもできる。これにより、万が一トレイTに異種の散剤Mが残留していたことによるクロスコンタミネーションの発生を防止できる。
【0237】
また、トレイTに関し、容量の異なる複数のトレイTを用いることもできる。この場合、制御部9で特定容量のトレイTと、該トレイTに収容される散剤Mとの対応関係を記憶しておくこともできる。これにより、払い出し量の大きな散剤Mに対しては容量の大きなトレイTを利用でき、払い出し量の小さな散剤Mに対しては容量の小さなトレイTを利用できる。よって、後工程に回す際に散剤Mを取り出しやすくできる。
【符号の説明】
【0238】
1…秤量装置、2…払出部、2a…粉粒体供給装置(散剤供給装置)、2b…粉粒体供給部(散剤供給部)、21…容器(散剤容器)、211…胴部、212…底部部材、2121…払出口(第1供給口)、2122…払出口(第2供給口)、213…蓋部、214…RFIDタグ、215…撹拌体、216…遮蔽体、2161…外周孔遮蔽体、2162…内周孔遮蔽体、217…移送体(上側移送体)、2171…上側移送体の移送片、217a…移送片間の領域(移送領域)、218…仕切体、2181…外周孔、2182…内周孔、2183…外周仕切部、219…移送体(下側移送体)、2191…下側移送体の移送片、219a…移送片間の領域(移送領域)、21A…開閉体、22…保持体、221…保持本体、221a…連通口、223…被固定部、23…移動機構、231…移動本体、231a…固定部、232…移動駆動部、233…情報読取部(RFIDリーダライタ)、24…払出機構、241…払出駆動部、25…テーブル、251…開口、3…重量検出部(秤量部)、3a…ロック部、4…トレイ待機部、41…待機トレイ移送部、42…待機駆動部、5…トレイ移送部、51…移送部本体、51a…アーム、52…移送駆動部、6…トレイ集積部(秤量後トレイ置き場)、6X,6Y…並列トレイ集積部、61…集積トレイ移送部、62…集積駆動部、7…情報書込部、8…装置側表示部、9…制御部、9a…指示入力部、9b…記憶部、10…筐体、10a…着脱用窓、101…架台、M…散剤、P1…払出位置、P2…着脱位置、Q…移動軌道(周回軌道)、Q1…ストレート軌道、Q2…湾曲軌道、S1…第1位置、S2…第2位置、T…供給対象物(トレイ)、T1…情報表示部