(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094260
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】皮膚移植による白斑解消を促進する化粧料およびその治療法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/22 20060101AFI20220617BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220617BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20220617BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20220617BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220617BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220617BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20220617BHJP
A61L 27/24 20060101ALI20220617BHJP
A61L 27/60 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
A61L27/22
A61K8/19
A61K8/65
A61K8/64
A61Q19/00
A61P17/00
A61K38/39
A61L27/24
A61L27/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020219980
(22)【出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】519289383
【氏名又は名称】榎並 寿男
(72)【発明者】
【氏名】榎並 寿男
【テーマコード(参考)】
4C081
4C083
4C084
【Fターム(参考)】
4C081AB19
4C081CD11
4C081CD12
4C083AB231
4C083AB232
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD431
4C083AD432
4C083CC02
4C083EE13
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084MA02
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA89
(57)【要約】
【課題】白斑といった皮膚病は、治癒に時間を要する。ヒトの白斑と深い関係にあるケラチノサイト、メラノサイト、ファイブロブラストに作用し、皮膚移植に伴い優れた治療効果を示す化粧料およびその治療法を提供する。
【解決手段】
二価三価鉄の濃度が5~10mg/Lで、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が6g/L以上である化粧料を患部に継続的に塗布、活性化して、しかる後、穿孔して皮膚移植することを特徴とする白斑解消を促進する化粧料およびその治療法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価三価鉄の濃度が5~10mg/Lであり、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が6g/L以上である化粧料において、色素脱失した皮膚の領域を化粧料で塗布するか、あるいはレーザー光線や電動ドリルで局部穿孔し、化粧料を穿孔部に注入して塞ぎ活性化して、しかる後、その個所を穿孔して、正常皮膚移植片を自家移植することを特徴とする白斑解消を促進する化粧料およびその治療法。
【請求項2】
特許請求項1に記載の白斑解消を促進する化粧料およびその治療法において、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が15g/L以上であることを特徴とする化粧料およびその治療法。
【請求項3】
特許請求項1に記載の白斑解消を促進する化粧料およびその治療法において、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が30g/L以上であることを特徴とする化粧料およびその治療法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の白斑と深い関係にあるケラチノサイト、メラノサイト及びファイブロブラストに作用する化粧料を、色素脱失した皮膚の領域に注入、活性化し、しかる後、その個所を穿孔して、正常皮膚を自家移植することを特徴とする白斑解消を促進する化粧料およびその治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は人体の最大の器官であり、ヒトの全体重の約16%を占める。皮膚は環境との境界面を形成するため、生体防御において重要な機能を果たし、病原体および他の環境物質からの障壁の役目を果たす。皮膚はまた、半透性障壁を提供し、体液損失は防ぐ一方で、体から必須栄養素を流し去ることのないようにする。皮膚の他の機能は、隔離、体温調節、および感覚である。皮膚組織は、火傷、外傷、病気、および色素脱失(例えば白斑)を含む多くの形態の損傷を受ける可能性がある。
【0003】
そのような皮膚損傷を修復するために皮膚移植片を使用することが多い。皮膚移植は、ヒトの体の他の領域から皮膚片を切り取って(自家移植片)、別のヒトから切り取って(同種移植片)、または別の動物から切り取って(異種移植片)、患者の被移植部位、例えば創傷部位などに移植する外科手術がある。いずれの外科手術とも同様に、皮膚移植にはある種の危険性が含まれる。合併症には、移植不全、皮膚移植片拒絶反応、恵皮部または被移植部位の感染、または治癒時の自家移植片恵皮部からの体液および血液の滲出が含まれる。これらの合併症のうちのあるもの(例えば、移植不全および皮膚移植片拒絶反応)は、同種移植片や異種移植片の代わりに自家移植片を使用することによって軽減し得る。本発明では自家移植について言及する。
【0004】
自家移植片を使用する際に直面する問題は、移植片を生成するためにヒトの体の別の領域から皮膚を採取するため、恵皮部に外傷および創傷を形成することである。一般的に、移植片のサイズは被移植部位のサイズに適合するため、被移植部位が大きいと、恵皮部から大きな皮膚片を切り取る必要がある。恵皮部から切り取られる皮膚片のサイズが大きくなるにつれ、恵皮部が適切に治癒しない確率が高まり、追加的な治療および介入が必要となる。さらに、恵皮部から切り取られた皮膚片のサイズが大きくなるにつれ、感染の確率も高まる。大きな創傷が生じるために、大きな皮膚片の切り取りに付随する治癒にかかる時間も長くなる。
【0005】
本発明は、これらの問題に対処して、皮膚の白斑部を早急に解消するため、被移植部位が治癒され易いように、二価三価鉄水溶液と、コラーゲンペプチド、エラスチンペプチドとを含有する水溶液からなる化粧料を、白斑部に予め塗布しておくか、あるいは穿孔された白斑患部の小穴から注入し、活性化しておく。この時穿孔された白斑患部の小穴は傷口であり、体液の滲出を防ぐ必要がある。固化型の注入化粧料で塞ぎ、しかる後、残余の皮膚白斑部の穿孔と、恵皮部の自家移植をして、脱色部の着色を促進する技術である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、概して、培養を不用とし、または生物由来製品を不使用とした、皮膚移植方法に関する。その代わりに、本発明の方法は機械技術を使用して、極小の移植片を得て、恵皮部よりも大きな被移植部位を修復するものである。
【0007】
表皮のメラノサイトが死滅することにより、皮膚にメラニン色素がなくなり白色化する皮膚病が知られている。これが白斑と呼ばれる病気である。この病気においてもメラノサイトだけではなく、ケラチノサイトやファイブロブラストが大切な役割を果たしていることが最近分かってきた。
【0008】
白斑といった皮膚における問題に対応できる水溶液からなる化粧料の開発はきわめて重要である。二価三価鉄を微量に含む水溶液の塗布と紫外線照射の併用によって白斑と言った皮膚症状は改善されるが、何年と言った長期の治療期間が必要で、より短期に治癒する治療法の開発が課題であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、白斑と言った治癒に長期間を要する皮膚疾患を、予め特定の化粧料を白斑患部に塗布、あるいは小穴を開け注入し、活性化しておき、しかる後、残余の白斑個所を穿孔して、健康な部位の皮膚移植片をその部位に移植することを特徴とする白斑解消を促進する治療法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、水溶性二価三価鉄と、コラーゲンペプチドと、エラスチンペプチドとを含有する水溶性化粧料を、白斑部位に塗布、あるいは注入して、活性化し、しかる後、皮膚白斑部を機械技術で穿孔し、健康な部位の恵皮部を被移植部位に自家移植することで、これらの問題を解決することを見出し本発明に想到した。
【0011】
すなわち、本発明は、二価三価鉄の濃度が5~10mg/Lであり、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が6g/L以上である化粧料において、色素脱失した皮膚の領域を化粧料で塗布、あるいは注入し、活性化し、しかる後、その個所を機械技術で穿孔し、健康な部位の皮植皮片、分層植皮片、および全層植皮片からなる群から選択される皮膚移植片を自家移植することを特徴とする白斑解消を促進する化粧料およびその治療法である。
【0012】
前記コラーゲンペプチドとエラスチンペプチド合計の濃度が15g/L以上であることが好ましい。
【0013】
前記コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が30g/L以上であることが更に好ましい。
【発明の効果】
【0014】
水溶性二量体鉄塩の水溶液にコラーゲンペプチドとエラスチンペプチドとを含有させた本発明の化粧料は、皮膚の再生が極めて速い。すなわち、前者の水溶性二量体鉄塩の水溶液単独で患部への塗布では、白斑の着色改善効果は非常に遅く、3年程度の時間で漸く薄く患部に着色の発現が確認されるが、1年程度の患部への塗布では改善はほとんど見られない。一方、前者の水溶性二量体鉄塩の水溶液に、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドとを含有させた本発明の化粧料の塗布では、色素再生効果が顕著で、月単位で、白斑へ薄い色素沈着が進み、改善効果がみられたが、周囲の皮膚の色素レベルと見分けがつかなくなるには、なお2年程度の治癒期間が必要であった。
【0015】
色素脱着によって発生する白斑は、頭部、顔面、首部、手足部、胸部、腹部、背中と、人体のいずれの場所にも発生し、治療しないと拡がりをみせる。衣服で覆い隠せる場合は良いが、覆い隠せない顔面、手足部等、特に夏場の薄着の場合、手、首、肩等の患部を晒さざるを得ず、世界的にも多くの患者が苦しんでいる。
【0016】
皮膚疾患の中でも白斑は特に治療が難しく、これほど皮膚科学が発達したにも関わらず、未だ白斑の発症機構は十分に解明されていない。
【0017】
したがって、白斑を早く解消して、周囲の皮膚の色と差のない状態に戻すのが急務である。前述のような、治癒にかかる時間が、数年を要する治療法では時間がかかりすぎる。水溶性二量体鉄塩の水溶液を色素脱失した皮膚の領域に塗布、あるいは水溶性二量体鉄塩の水溶液にコラーゲンペプチドとエラスチンペプチドとを含有させた化粧料を用意する。白斑部域を電動ドリルあるいはレーザー光線で穴をあけ、この化粧量を注入、活性化し、1~3か月後、機械的技術を用いて白斑の被移植部位を除去し、同様の方法で正常な恵皮部を自家皮膚移植する技術を組み合わせて鋭意研究した結果、白斑部を早急に消失、解消できることを知見して本発明に到達したものである。なお、白斑部に水溶性二量体鉄塩の水溶液を塗布するだけよりも、白斑部を穿孔してこの穴の中に化粧料を注入し、正常恵皮部を自家皮膚移植してのち、紫外線を照射すると色素再生効果が顕著であることを確認した。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、水溶性二価三価鉄と、コラーゲンペプチドと、エラスチンペプチドとを含有する水溶性化粧料を、白斑部位に注入して活性化した後、機械技術で穿孔した白斑部位に恵皮部を自家移植することで、これらの問題を解決したことを、以下に実施例で説明するが、これら実施例に限定されるものではない。
【0019】
[1]化粧料
本発明の化粧料は水溶性二量体鉄塩の水溶液に、コラーゲンペプチド、エラスチンペプチドを含有している。本明細書に用いる用語「化粧料」は、化粧水、乳液、クリーム、美容液、リップクリーム等の基礎化粧料に限らず、ファンデーション、口紅、アイシャドー等のメーキャップ化粧料も含む。以下、化粧料に含まれる各成分について説明する。
【0020】
(1)水溶性二量体鉄塩
水溶性二量体鉄塩(Ferrous Ferric Chloride)は、二価の鉄イオンと三価の鉄イオンを含む複合体であり、典型的には鉄と塩素により表わされる組成を有する。水溶性二量体鉄塩の水溶液は大きな表面張力及び浸透圧を有し、表皮に存在するケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトならびに真皮のファイブロブラストの増殖及び分化を促進して色素再生効果が顕著である。水溶性二量体鉄塩が溶解してなる二価の鉄イオンと三価の鉄イオンの比は、水溶性二量体鉄塩の合成条件によって異なり、両者は任意の比率で存在し得る。そこで、両イオンをまとめて二価の鉄イオン及び/又は三価の鉄イオンと呼ぶ。
【0021】
化粧料中の二価の鉄イオン及び/又は三価の鉄イオンの濃度(水溶性二量体鉄塩の含有量により表す)は5~10mg/Lで、かつコラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が6g/L以上である化粧料が好ましい。二価の鉄イオン及び/又は三価の鉄イオンの濃度が5mg/L未満であると、色素脱失した皮膚の領域に継続的に塗布しても、白斑の着色改善効果は遅く、一方、二価の鉄イオン及び/又は三価の鉄イオンの濃度を10mg/L超とすると、色素再生効果で、月単位で、白斑へ薄い色素沈着が進み、改善効果がみられたが、周囲の皮膚の色素レベルと見分けがつかなくなるには、なお2年程度の治癒期間が必要である。
【0022】
(2)コラーゲンペプチド、エラスチンペプチド
コラーゲンペプチド、エラスチンペプチドは、水溶性二量体鉄塩の水溶液に、含有させて存在するコラーゲンペプチドとエラスチンペプチドが共存することで、白斑の症状を改善し、色素の再生、沈着を劇的に改善するが、何しろ時間がかかる。コラーゲンペプチドとエラスチンペプチド合計の濃度は、6g/L以上、好ましくは15g/L以上、最も好ましくは30g/L以上で、その上限は特に限定されないが50g/L程度で飽和する。
【0023】
表皮のメラノサイトが死滅することにより、皮膚にメラニン色素がなくなり白色化する皮膚病が白斑と呼ばれる病気である。この病気においてもメラノサイトだけではなく、ケラチノサイトやファイブロブラストが大切な役割を果たしていることが最近分かってきた。
【0024】
本発明においては、ファイブロブラストの機能を高めるコラーゲンやエラスチンの産生について鋭意研究したところ、塗布あるいは注入する化粧料に含まれるコラーゲンとエラスチンの含有量と白斑の色素再生のスピードとの間に良い相関があることを知見し、本発明に到達したものである。
【0025】
(3)任意成分
本発明の化粧料は任意成分として、細胞培養液(例えばHam’sF-10)に含まれる成分(無機塩類、アミノ酸等、アデニン、エタノールアミン、ホスホエタノールアミン、フェノールレッドNa、プトレシン2HC1、チアミンHC1、チォクト酸、チミジン、グルコース、HEPES、抗生物質等)、通常の化粧料に配合されている成分(油分、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、香料、色素、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、ビタミン等)、生薬、蛋白分解酵素等を含有してもよい。化粧料の組成をHam’sF-10培養液に近づけると、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖及び分化を一層促進することができる。任意成分の濃度は、Ham’sF-10中の濃度の1/100~100倍程度であるのが好ましく、1/10~10倍であるのがより好ましい。
【0026】
水溶性二量体鉄塩以外の無機塩類の例として、カルシウム塩、マグネシウム塩、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ピルビン酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸二水素カリウム、ヨウ化カリウム、塩化アンモニウム、無水ケイ酸、メタケイ酸、硫酸銅(II)、硫酸鉄(III)塩化マンガン、硫酸ニッケル、塩化スズ、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、珪酸アルミニウム、ホウ砂、メタバナジン酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム等が挙げられる。
【0027】
アミノ酸の例として、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-シスチン、L-グルタミン酸、L-グルタミン、L-グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リシン、L-メチオニン、L-フエ二ルアラニン、L-プロリン、L-ヒドロキシプロリン、L-セリン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン等が挙げられる。
【0028】
油分としては、ハッカ油、ジャスミン油、ショウノウ油、ヒノキ油、トウヒ油、リュウ油、テレビン油、ケイヒ油、ベルガモット油、ミカン油、ショウブ油、パイン油、ラベンダー油、ベイ油、クローブ油、ヒバ油、バラ油、ユーカリ油、レモン油、タイム油、ペパーミント油、ローズ油、セージ油、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネラール、ボルネオール、リナロール、ゲラニオール、カンファー、チモール、スピラントール、ビネン、リモネン等の精油類、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、カカオ脂、椿油、ヤシ油、木ロウ、グレープシード油、アボカド油、ミンク油、卵黄油、硬化油等の油脂類、鯨ロウ、蜜ロウ、ラノリン、カルナウパロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、流動パラフイン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ラノリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等の高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸プチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステル類が挙げられる。
【0029】
界面活性剤としては、(a)ステアリン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、N-アシルグルタミン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤。(b)塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤。(c)塩化アルキルアミノエチレングリシン液、レシチン等の両性界面活性剤、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノステアリン酸プロピレングリコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0030】
保湿剤としては、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、アミノ酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等NMF成分(Natural Moisturizing Factor。人間自身がもともと持っている肌中の保湿成分で、アミノ酸類、乳酸、尿素、クエン酸塩等)、ヒアルロン酸、コラーゲン、ムコ多糖類、コンドロイチン硫酸等の水溶性高分子物質が挙げられる。
【0031】
低級アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。
【0032】
増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、マルメ口種子抽出物、トラガカントガム、デンプン、カゼイン、水溶性ゼラチン、ペクチン、カラヤゴム、ローカストビーンガム、カラギナン、カーボポール、アカシヤゴム、カンテン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビ二ルポリマー、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0033】
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸が挙げられる。キレート剤としては、エデト酸ニナトリウム、エタンヒドロキシジホスフェート、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、酒石酸、グルクロン酸が挙げられる。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、リン酸一水素ナトリウムが挙げられる。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、デヒドロ酢酸、サリチル酸、安息香酸、ソルビン酸、塩化ベンザルコニウムが挙げられる。紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフエノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメートが挙げられる。紫外線散乱剤としては、酸化チタン、カオリン、タルク等を、ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK,ビタミンP、ビタミンU、カルニチン、フェルラ酸、γ-オリザノール、α-リポ酸、オロット酸及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0034】
生薬としては、ソウジュツ、ビャクジュツ、力ノコソウ、ケイガイ、コウボク、センキユウ、トウヒ、トウキ、ショウキョウ、オウゴン、サンシン、ガイヨウ、アロエ、ニンジン、ケイヒ、シャクヤク、ハッカ葉、プクリヨウ、ショウブ、マツブサ、ビャクシ、サフラン、オウバク、ウイキヨウ、チンピ、ガンピ、力ミツレ、ダイコン、ヤナギ、クスノキ、ニワトコ、ソクズ、ナキナ、タコウジュ、ヤツデ、セキショウ、ヨモギ、オトギリソウ、ユズ、ダイダイ、モモ、サイカチ、ビワ、スイカズラ、ヨロイグサ、ボダイジュ、トチノキ、ノコギリソウ、ホップ、ローズマリー、カバノ、マツ、ヤレンズラ、ランタナ、カンゾウ、キッソウコン、マロニエ等が挙げられる。
【0035】
[2]化粧料の製造方法
水溶性二量体鉄塩は、例えば杉二郎、外1名、「水溶性二量体鉄塩の製造法」、日本海水学会年会研究技術発表会講演要旨集Vol.42,p.11(1991)に記載の以下の合成方法によって作製することができる。
【0036】
2molのギ酸アンモニウム、1molのヒドロキシルアミン及び1molのフオルムアミドの混合液に、1molの塩化第二鉄(FeCl3・6H2O)を加える。この調製液を順次蒸留水で希釈し、α液(10-8mM)、β液(10-12mM)及びγ液(10-14mM)を得る。得られたα、β、γ液に、それぞれ塩化第二鉄(FeCl3・6H2O)を100g/Lの割合で溶解し、100℃以下で徐々に蒸発乾固して塩化鉄の結晶α、β、γを得る。これらの合成法により得られた二価三価鉄塩中の2価鉄:3価鉄の比率をメスバウアー法で測定した結果、結晶αは4:6、結晶βは6:4、結晶γは7:3であり、またイオンクロマト法、X線解析法等により塩化鉄中の2価鉄と3価鉄は単なる混合状態ではなく、いずれも二量体の形をとつていることが推測されると上記文献に記載されている。本発明で使用する二価三価鉄塩は、上記合成方法に限定されず、また2価鉄:3価鉄の比率も上記値に限定されるものではない。
【0037】
水溶性二量体鉄塩の水溶液と、カルシウムと、マグネシウムとを含有する化粧料はケラチノサイト、メラノブラスト、メラノサイト、ならびにファイブロブラストに働きかけ、これらの増殖及び分化を促進する。本発明者らによる研究の結果、水溶性二量体鉄塩の水溶液を含有し、Ham’sF-10培養液程度の濃度のカルシウムイオンと、マグネシウムイオンとを含有する溶液中で、ケラチノサイト、メラノブラスト、メラノサイト、ファイブロブラストの増殖が2~2.5倍に促進されることがわかっている。なお水溶性二量体鉄塩の水溶液、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンのいずれかを含有していない場合には、このような効果を得ることはできない。例えばカルシウム又はマグネシウムを含有していない溶液中では、ケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトの培養をすることができない。また水溶性二量体鉄塩の水溶液を含有していない溶液中では、培養は可能であるものの、ケラチノサイト、メラノブラスト、メラノサイト、ファイブロブラストの増殖及び分化を促進する効果を得ることはできない。従って、水溶性二量体鉄塩の水溶液、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンのいずれかを含有していない化粧料は、十分な美肌効果を奏することができない。
【0038】
[3]化粧料中の二価三価鉄の濃度、及びコラーゲンペプチドとエラスチンペプチド合計の濃度の特定法。
化粧料中には、二価三価鉄、及びコラーゲンペプチドとエラスチンペプチドを含有している。▲1▼二価三価鉄の濃度は、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析)で、▲2▼コラーゲンペプチドとエラスチンペプチド合計の濃度は、ゲルろ過クロマトグラフィー分析法で含有量を特定した。
【0039】
(1)水溶性二量体鉄塩濃度の特定法
水溶性二量体鉄塩濃度が、20mg/Lである水溶液の原液を純水で適宜希釈して、二量体鉄塩量とICP-MS検知元素濃度との対応キャリブレーションカーブを作製した。ICP-MSキャリブレーションカーブで得られた検知元素濃度より求めた二量体鉄塩量は、濃度を正確に秤量した二量体鉄塩量に完全に一致し、ICP-MSキャリブレーションカーブの信頼性を確認出来た。
【0040】
(2)コラーゲンペプチドとエラスチンペプチド合計の濃度の特定法
コラーゲンペプチドとエラスチンペプチド合計の濃度が、50g/Lである水溶液の原液を純水で適宜希釈して、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチド合計の濃度とゲルろ過クロマトグラフィー検知量とのキャリブレーションカーブを作製した。ゲルろ過クロマトグラフィーキャリブレーションカーブで得られた検知量より求めたコラーゲンペプチドとエラスチンペプチド合計の濃度は、濃度を正確に秤量したコラーゲンペプチドとエラスチンペプチド合計の濃度に完全に一致し、ゲルろ過クロマトグラフィーキャリブレーションカーブの信頼性が確認出来た。
【0041】
[4]治験方法
水溶性二量体鉄塩、及びコラーゲンペプチドとエラスチンペプチドを含有している化粧料を、色素脱失した皮膚の領域に塗布、あるいは注入し、活性化し、その個所を穿孔して、皮膚移植片を移植した後、治験状況を確認する。▲1▼コラーゲン繊維発生、及び▲2▼エラスチン繊維発生の確認は染色方法で行った。▲3▼メラノサイト分化は、ドーパ反応で、▲4▼メラノブラスト分化は、ドーパ・プレメラニン二重反応(ドーパ・プレメラノソーム二重反応)によって検出した。
【0042】
(1)コラーゲン染色法(組織化学的方法)
パラフィン切片をキシレン、アルコールを通し、水洗する。
アゾカルミンG染色液で室温20分染色。
水洗後5%リンタングステン酸水溶液で30分弁色。
水洗後アニリンブルー・オレンジG染色液で室温5分染色。
水洗後95%アルコールで室温数秒弁色。
そのあとAbsoluteアルコール、キシレンを通し、カナダバルサムで封入。コラーゲン繊維はアニリンブルーできれいな薄い青色に染まる。
【0043】
(2)エラスチン染色法(組織化学的方法)
パラフィン切片をキシレン、アルコールを通し、水洗する。
酸化液で室温10分処理する(エラスチン繊維を酸化させる。切片全体が濃い赤に染まる)。
水洗後2%シュウ酸で20~30秒処理(還元作用、切片は完全に白色に)。
水洗後95%アルコールに室温2分なじませ、ビクトリアブルー液で一晩室温染色。
翌日70%アルコールで弁色(室温5分処理)。
水洗後ケルンエヒトロート液で室温20分染色(表皮や毛包が桃色に染まる)。
水洗後95%アルコールで室温数秒弁色。
そのあと、絶対アルコール、キシレンを通し、カナダバルサムで封入。エラスチン繊維はビクトリアブルーできれいな濃青色に染まる。
【0044】
(3)メラノサイト分化(ドーパ反応)
メラノサイト内のチロシナーゼ活性によりドーパ(3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン:チロシナーゼの働く基質)が酸化され、やがてドーパメラニンになって沈着する。
そのため活性のある細胞は褐色に染まる。
【0045】
(4)メラノブラスト分化(ドーパ・プレメラニン二重反応)
ドーパ反応後にプレメラノソーム反応(アンモニア性硝酸銀溶液による銀染色)を行い、第I,II期メラノソーム(メラニン生成もなく、チロシナーゼ活性もない未分化な細胞)が形成されている段階のメラノブラストを染色する。
切片で染色する。
最期にエオシン染色(ドーパ反応、ドーパ・プレメラニン二重反応とも)してバルサム封入する。この方法でメラノサイトは黒く染まる。
一方メラノブラストは薄く染まる事によって見分けられるが、定量的にはドーパ・プレメラニン二重反応陽性細胞数からドーパ反応陽性細胞数を差し引いたものがメラノブラストの数になる。
【0046】
本発明の特許請求項1において、色素脱失した白斑部の皮膚の領域の土台作りは、▲1▼白斑部に、二価鉄三価鉄を極微量含む二価鉄三価鉄液のみの場合は0.005~0.01mg/cm2、毎日1回塗布するか、あるいは▲2▼レーザー光線や電動ドリルで直径0.6~1.0mmの穴を相当数局部穿孔して、化粧料を5~10mg/cm2単回注入して、両者とも引き続き308nm、311nmの紫外線を毎回、30秒程度交代で照射し、1~6ヶ月継続して活性化して、土台作りをする。この時、後者の穴は傷口で有り、放っておけば体液が体外に滲出してくるので、塞ぐ必要がある。化粧料注入の際に、塞ぐことを鋭意検討して、化粧料には常温固化型コラーゲンペプチドを用いることで傷口を塞ぐことを可能とした。
【0047】
常温固化型コラーゲンペプチドとしては、コーケンアテロコラーゲンインプラント((株)コーケン製)が好ましい。化粧料に入れて、冷蔵庫(2℃~4℃)で、液体状態で保管する。低温では流動性があり、体温付近の温度でゲル化する。注入時は流動性があるため、その注入部位の陥凹部にフィットして、術後は奇麗に仕上がる特徴がある。
【0048】
次に頭皮等から同様に電動ドリルを用いて移植片(ミニグラフト)を取る。白斑部域の面積にもよるが、通常、直径0.6~1.0mmの円柱状に電動ドリル機械穿孔して微小な穴を開け、150~400個のミニグラフトを一回の移植手術で用いる。一回の移植手術で用いるミニグラフトの面積は、1個のミニグラフトの面積が、0.3~0.8mm2で、通常150~400個とるので全面積は0.5cm2~3cm2になる。
【0049】
一方、白斑部を局部穿孔して常温固化型コラーゲンペプチド含有の化粧料で傷口を塞いで土台作りをした白斑部域を電動ドリルで皮膚片をくり抜くが、その実施面積もドナーの頭皮等と同程度の面積になる。そこに3~6個/1cm2の頭皮等のミニグラフトをピンセットで入れ込む。移植片をテープで固定し、包帯を巻き5日間程度経過を見る。その後継続して308nm、311nmの紫外線を毎回、30秒~1分程度交代で照射し、1~6ヶ月継続して経過をみることを特徴とする白斑解消を促進する化粧料およびその治療法である。
【0050】
更にまた、本発明の特許請求項2は、特許請求項1に記載の白斑解消を促進する化粧料およびその治療法において、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が好ましくは15g/L以上であることを特徴とする化粧料およびその治療法である。
【0051】
更にまた、本発明の特許請求項3は、特許請求項1に記載の白斑解消を促進する化粧料およびその治療法において、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が最も好ましくは30g/L以上であることを特徴とする化粧料およびその治療法である。
【0052】
このような二価三価鉄液とエラスチンペプチド、コラーゲンペプチドを加えたもので土台作りをした後に頭皮のミニグラフトを移植すると、土台作りをしないで頭皮のミニグラフトを移植したものより、皮膚の再生が極めて速かった。
【実施例0053】
本発明を以下の実施例、比較例で更に詳細に説明し、結果を表-1~2に示すが、本発明の実施例に限定されるものでは無い。
【0054】
(1)治療法
二価鉄三価鉄を極微量含む二価鉄三価鉄液を皮膚移植する1~3ヶ月前に白斑部に5~10mg/Lの濃度で毎日塗布し、週1回程度308nmと311nmの紫外線を交互に照射した。一方、電動ドリルを用いた皮膚移植(ミニグラフト)を行う1~3ケ月前に白斑部の真皮部分に土台作りを行う。二価三価鉄を極微量含む二価三価鉄液とエラスチンペプチド、コラーゲンペプチドを加えた粘性の化粧料液体を用意する。電動ドリルあるいはレーザー光線を用いて、直径0.6~1.0mmの穴を白斑部に相当数、局部穿孔して、常温固化コラーゲンペプチドとしてコーケンアテロコラーゲンインプラント((株)コーケン製)使用の化粧料を単回注入して、土台作りをする。1~3ヶ月経って移植する際には予め頭皮等から電動ドリルを用いて移植片(ミニグラフト、直径0.6~1.0mm)を取る。白斑部域の面積にもよるが、150~300個のミニグラフトを一回の移植手術で用いる。土台作りをした白斑部域の皮膚片(直径0.6~1.0mm)を電動ドリルで取り除き、頭皮等のミニグラフトをピンセットで挿入する。移植片をテープで固定し、包帯を巻き5日間経過を見る。
移植操作は1回のみで、その後継続して、週1回程度308nmと311nmの紫外線を交互に毎回、1分間移植部に照射して実施例、比較例に記載のミニグラフト移植からの治験期間での白斑部の変化を観測し、評価した。
【0055】
(2)土台作り
穴径:直径0.6~1.0mm(円柱状傷)。
電動ドリル:(SIRIUS NT MICRO at 3,000 rpm;Gerlach Sirius Nt Micro,Eduard Gerlach GmbH,Luebeck,Germany)を使用
穿孔部注入頻度:患者当たり1回のみ。
紫外線照射装置名称:308nmのエキシマライト(VTRAC)100mJ/cm2、及び311nmのナローバンド紫外線UVB(デルマレー400)50mJ/cm2、各1分交互に照射。
【0056】
(3)皮膚移植
頭皮から電動ドリル(SIRIUS NT MICRO at 3,000 rpm;Gerlach Sirius Nt Micro,Eduard Gerlach GmbH,Luebeck,Germanyを使用)を用いて移植片(ミニグラフト)を取る。
ミニグラフトの数は白斑部域の大きさによるが、通常150~400個。直径0.6~1.0mm。
一回の移植手術で用いるミニグラフトの面積:1個のミニグラフトの面積は0.3~0.8mm2通常150~400個とるので全面積は0.5cm2~3cm2になる。
土台作りをした白斑部域において電動ドリルで皮膚片をくり抜くが、その実施面積もドナーの頭皮と同じ。
上記の頭皮のミニグラフトを3~6個/1cm2の密度でピンセットで入れ込む。
移植片をテープで固定し、包帯を巻き5日間経過を見る。
その後継続して308nm、311nmの紫外線を交互に毎回、1分間照射。
上記の移植操作は1回のみで、実施例は、その後の最大3ケ月、比較例は最大6ケ月の経過観察と記載の治験方法で治癒状況を判断した。
【0057】
本発明を以下の実施例、比較例で更に詳細に説明し、結果を表-1~2に示すが、本発明に限定されるものでは無い。
【0058】
実施例1~13
上記(1)治療法(2)土台作り(3)皮膚移植に記載の方法で、皮膚移植をして治験効果を確認した。二価三価鉄の水溶液濃度が、5(mg/L)、コラーゲンペプチドの水溶液濃度が1.0(g/L)、エラスチンペプチド5.0(g/L)の組み合わせでエラスチン繊維の回復が見られ、メラノサイトやメラノブラストも分化し、短期間に白斑部の色素再生が確認された。
【0059】
【表1】
これらの結果から、白斑といった皮膚における問題を、二価三価鉄の濃度が5~10mg/Lで、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が6g/L以上である化粧料を患部に塗布、注入し、その後正常皮膚を移植することによって解消できることを確認した。コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が15g/Lの化粧料を使用した場合は、短期間に白斑部のより速い色素再生が見られ、30g/Lである化粧料を使用した場合は、より短期間に完全な色素再生が得られた。
【0060】
比較例1~13
実施例1~13と同様の方法で皮膚移植をして治験効果を確認した。二価三価鉄の水溶液濃度が5.0(mg/L)での比較例1~13は、最長9ケ月でもコラーゲン繊維、エラスチン繊維の回復は見られなかった。同様にメラノサイトもメラノブラストも分化しなかった。コラーゲンペプチド及びエラスチンペプチドを含まない場合には真皮の正常な構築も、メラノブラスト、メラノサイトの分化も見られないことが分かる。
【0061】
【0062】
表1~2の結果から、二価三価鉄の濃度が5~10mg/Lであり、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドの合計の濃度が6g/L以上である化粧料を、色素脱失した皮膚の領域に注入して活性化し、しかる後、その個所を機械技術で穿孔し、健康な部位の皮膚を自家移植すると非常に早く白斑を解消できることを確認した。