(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094279
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】流路弁およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
F16K31/06 305K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072091
(22)【出願日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2020206872
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】古賀 隆法
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 拓也
(72)【発明者】
【氏名】梶野 祥貴
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 篤
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DA08
3H106DA12
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DC18
3H106DD03
3H106EE34
3H106GB01
3H106GB08
3H106JJ03
3H106KK05
(57)【要約】
【課題】必要な流路領域を確保しつつ小型化が可能な流路弁を提供する。
【解決手段】流体が流入する流入流路21と、流体が流出する流出流路22と、流入流路21と流出流路22との間に設けられ流入流路21及び流出流路22と連通して流体の流路26となる流路空間23と、を有するバルブハウジング10と、流入流路21と流出流路22のうちいずれか一方を開閉する弁体31と、弁体31を開閉させる駆動源40と、を備え、弁体31及び駆動源40が流路空間23に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流入する流入流路と、前記流体が流出する流出流路と、前記流入流路と前記流出流路との間に設けられ前記流入流路及び前記流出流路と連通して前記流体の流路となる流路空間と、を有するバルブハウジングと、
前記流入流路及び前記流出流路のうちいずれか一方を開閉する弁体と、
前記弁体を開閉させる駆動源と、を備え、
前記弁体及び前記駆動源が前記流路空間に配置されている流路弁。
【請求項2】
前記流路空間の前記流路が、前記駆動源の外周側に形成されている請求項1に記載の流路弁。
【請求項3】
前記駆動源が、前記バルブハウジングの内側に設けられたリブによって前記流路空間内で支持されている請求項1または2に記載の流路弁。
【請求項4】
前記バルブハウジングは、第一流路及び第二流路として、前記流入流路及び前記流出流路のうちいずれか一方を2つ有しており、
前記駆動源が、コイルと前記コイルへの通電により往復移動するプランジャとを含むソレノイドを有しており、
前記弁体は前記駆動源の両側の外方に夫々配置され、2個の前記弁体は何れも前記プランジャの往復移動に応じて往復移動し、
前記プランジャの往復移動に伴う前記弁体の往復移動により、前記第一流路及び前記第二流路は一方が開放されると共に他方が閉鎖される請求項1から3のいずれか一項に記載の流路弁。
【請求項5】
前記駆動源が、駆動源カバー、及び、前記駆動源カバーに覆われ、コイルと前記コイルへの通電により往復移動するプランジャとを含むソレノイドを有しており、
前記弁体は前記駆動源の外方における両側の少なくとも一方に配置され、前記弁体は前記プランジャの往復移動に応じて往復移動し、
前記弁体は、前記流入流路又は前記流出流路を開閉する本体部と、前記本体部の外周側に設けられ前記駆動源カバーの端部に固定される周縁部と、前記本体部と前記周縁部との間に設けられ前記プランジャの移動に伴って前記プランジャの移動方向に伸縮可能な伸縮部と、を有し、
前記弁体が前記駆動源カバーの前記端部の開口を封止している請求項1から3のいずれか一項に記載の流路弁。
【請求項6】
前記弁体の前記本体部は、板状部材と前記板状部材の少なくとも一部を覆うカバー部材とによって構成され、
前記伸縮部が前記カバー部材に連設されている請求項5に記載の流路弁。
【請求項7】
前記板状部材は、前記流入流路又は前記流出流路に対向する第1面と、前記第1面の裏側の第2面と、を有し、
前記カバー部材は、前記板状部材の前記第1面の少なくとも周縁を被覆する第1カバー部を有する請求項6に記載の流路弁。
【請求項8】
前記第1カバー部が前記板状部材の前記第1面の全体を被覆する請求項7に記載の流路弁。
【請求項9】
前記カバー部材は、前記板状部材の前記第2面の少なくとも周縁を被覆する第2カバー部を有し、
前記板状部材は、前記第1カバー部及び前記第2カバー部によって挟持可能に構成されている請求項7または8に記載の流路弁。
【請求項10】
流体が流入する流入流路と、前記流体が流出する流出流路と、前記流入流路と前記流出流路との間に設けられ前記流入流路及び前記流出流路と連通して前記流体の流路となる流路空間と、を有するバルブハウジングと、前記流入流路と前記流出流路のうちいずれか一方を開閉する弁体と、コイルと前記コイルへの通電により往復移動するプランジャとを含むソレノイドを有し前記弁体を開閉させる駆動源と、を備える流路弁の製造方法であって
、
射出成形により、前記コイルから離間して前記コイルを囲むようにして前記流路を形成しつつ前記コイルを支持して、前記バルブハウジングの一部となる第一ハウジング部を形成する流路形成工程と、
前記コイルの内周側に前記プランジャを配置するプランジャ配置工程と、
前記ソレノイドの外方に前記プランジャの往復移動に応じて往復移動するように前記弁体を配置する弁体配置工程と、
前記第一ハウジング部に対し、前記流入流路及び前記流出流路のうちいずれか一方を有し前記バルブハウジングの一部となる第二ハウジング部を、前記流入流路及び前記流出流路の当該一方が前記弁体と対向するように接合するバルブハウジング接合工程とを含む流路弁の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路弁およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流路弁としては、コイルが巻回された円筒状のボビンと、ボビン内に固定されたコアと、ボビン内を軸方向に摺動可能なプランジャと、プランジャによって往復移動可能な弁体と、流路を有するハウジングとを備え、流路を切り替えるものが存在する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の流路弁では、ソレノイド部(コイル、ボビン、コア、プランジャ)が、シール部材を介して流路部と仕切られた状態で配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0305569号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の流路弁では、ソレノイド部が流路部の外部に配置されていることから、流路弁が大型になり易い。また、流路に沿って弁体が移動する形態であるため、弁体の存在により流路面積が制限されて圧損が大きくなる傾向にある。
【0005】
上記実情に鑑み、必要な流路領域を確保しつつ小型化が可能な流路弁が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る流路弁の特徴構成は、流体が流入する流入流路と、前記流体が流出する流出流路と、前記流入流路と前記流出流路との間に設けられ前記流入流路及び前記流出流路と連通して前記流体の流路となる流路空間と、を有するバルブハウジングと、前記流入流路及び前記流出流路のうちいずれか一方を開閉する弁体と、前記弁体を開閉させる駆動源と、を備え、前記弁体及び前記駆動源が前記流路空間に配置されている点にある。
【0007】
本構成によれば、弁体と弁体を開閉させる駆動源とがバルブハウジングに設けられた流路空間に配置されているので、流路径は大きくなるものの、駆動源を流路空間の外部に配置した場合のように、流路弁が大型化するようなことはない。また、駆動源を流路空間の外部に配置した場合に必要となる、駆動源と流路空間との間のシール部材が不要になる。
したがって、流路弁をコンパクトに形成することができる。また、バルブハウジングに設けられる流路空間は、駆動源に隣接した領域を流路として用いることができ、流路領域を容易に確保することができる。また、流路空間に駆動源が配置されることで、例えば、三方弁の場合には2個の弁体を駆動源の両端に往復移動可能に配置することもできる。その場合には、2個の弁体によって駆動源の両端側に設けられた夫々の流路の開閉が可能となり、特許文献1に示す構成のように駆動源の一端側に2個の弁体を配置して2つの流路を開閉する構成に比べて、流路への弁体の突出量を小さくすることが可能になるため、弁体の移動による流路の圧損を低減することができる。さらに、流路空間に配置される駆動源が発熱性を有する場合でも、例えば流路弁を流れる流体が冷却水である場合には、駆動源を流体によって冷却することもできる。
【0008】
他の特徴構成として、前記流路空間の前記流路が、前記駆動源の外周側に形成されていてもよい。
【0009】
本構成の如く、駆動源の外周側に流路が形成されることで、流路空間において流路面積を大きく確保でき、流路弁において圧力損失の低減が可能になる。
【0010】
他の特徴構成として、前記駆動源が、前記バルブハウジングの内側に設けられたリブによって前記流路空間内で支持されていてもよい。
【0011】
本構成によれば、流路空間に配置される駆動源を、バルブハウジングに設けられたリブによって確実に支持することができる。また、例えば、バルブハウジングを樹脂で形成する場合には、駆動源を樹脂成形金型内に配置した状態で駆動源の周囲にバルブハウジングとリブとを一体的に樹脂成形することで、駆動源を流路空間内の全方向に対して間隙(流路)を有した状態で配置できる。
【0012】
他の特徴構成として、前記バルブハウジングは、第一流路及び第二流路として、前記流入流路及び前記流出流路のうちいずれか一方を2つ有しており、前記駆動源が、コイルと前記コイルへの通電により往復移動するプランジャとを含むソレノイドを有しており、
前記弁体は前記駆動源の両側の外方に夫々配置され、2個の前記弁体は何れも前記プランジャの往復移動に応じて往復移動し、前記プランジャの往復移動に伴う前記弁体の往復移動により、前記第一流路及び前記第二流路は一方が開放されると共に他方が閉鎖されるよう構成されてもよい。
【0013】
本構成によれば、1つの駆動源によって2つの流路を交互に開閉可能な流路弁を容易に構成することができる。
【0014】
他の特徴構成として、前記駆動源が、駆動源カバー、及び、前記駆動源カバーに覆われ、コイルと前記コイルへの通電により往復移動するプランジャとを含むソレノイドを有しており、前記弁体は前記駆動源の外方における両側の少なくとも一方に配置され、前記弁体は前記プランジャの往復移動に応じて往復移動し、前記弁体は、前記流入流路又は前記流出流路を開閉する本体部と、前記本体部の外周側に設けられ前記駆動源カバーの端部に固定される周縁部と、前記本体部と前記周縁部との間に設けられ前記プランジャの移動に伴って前記プランジャの移動方向に伸縮可能な伸縮部と、を有し、前記弁体が前記駆動源カバーの前記端部の開口を封止していてもよい。
【0015】
本構成によれば、弁体によって駆動源カバーの端部の開口が封止されるので、駆動源カバーに覆われるソレノイドを流路に接しない状態で配置することができる。これにより、駆動源の可動部への流路からの異物侵入を防止することができる。また、駆動源カバーに覆われるソレノイドと流路との間には弁体が存在することで、ソレノイドと流路とが完全に分離されるため、流路空間を流れる流体がソレノイドへ浸入するのを防止することができる。これにより、駆動源の耐久性を向上させることができる。また、ソレノイドへの流体の浸入を阻止するべく、ボビンと成形樹脂との間の融着構造を複雑にする必要がないため、ボビンと成形樹脂との間の融着構造を簡素にすることもできる。
【0016】
他の特徴構成として、前記弁体の前記本体部は、板状部材と前記板状部材の少なくとも一部を覆うカバー部材とによって構成され、前記伸縮部が前記カバー部材に連設されていてもよい。
【0017】
本構成によれば、弁体の本体部が板状部材とカバー部材によって構成されているので、例えば板状部材が剛体であれば、板状部材によって弁体の本体部の強度を向上させることができるとともに、カバー部材によって板状部材の一部が覆われることで弁体の本体部の耐久性を向上させることができる。
【0018】
他の特徴構成として、前記板状部材は、前記流入流路又は前記流出流路に対向する第1面と、前記第1面の裏側の第2面と、を有し、前記カバー部材は、前記板状部材の前記第1面の少なくとも周縁を被覆する第1カバー部を有してもよい。
【0019】
本構成によれば、弁体の本体部において、板状部材は流入流路又は流出流路に対向する第1面のうち少なくとも周縁がカバー部材の第1カバー部によって被覆されるので、第1カバー部によって板状部材の第1面の周縁を保護することができる。これにより、弁体の本体部は耐久性を向上させることができる。
【0020】
他の特徴構成として、前記第1カバー部が前記板状部材の前記第1面の全体を被覆してもよい。
【0021】
本構成によれば、弁体の本体部は板状部材の両面のうち流入流路又は流出流路に対向する第1面の全体がカバー部材の第1カバー部によって被覆されるので、第1カバー部によって板状部材の第1面の全体を保護することができる。これにより、弁体の本体部は耐久性をより向上させることができる。
【0022】
他の特徴構成として、前記カバー部材は、前記板状部材の前記第2面の少なくとも周縁を被覆する第2カバー部を有し、前記板状部材は、前記第1カバー部及び前記第2カバー部によって挟持可能に構成されていてもよい。
【0023】
本構成によれば、弁体の本体部において、板状部材はカバー部材の第1カバー部及び第2カバー部に挟持されることで、カバー部材によって板状部材を確実に保持することができる。また、第2カバー部が板状部材の第2面の周縁のみを被覆する構成であれば、板状部材を第2カバー部の側から第1カバー部に向けて押し付けて板状部材を第1カバー部及と第2カバー部との間に移動させることで、板状部材をカバー部材に容易に装着することができる。
【0024】
本発明に係る流路弁の製造方法の特徴は、流体が流入する流入流路と、前記流体が流出する流出流路と、前記流入流路と前記流出流路との間に設けられ前記流入流路及び前記流出流路と連通して前記流体の流路となる流路空間と、を有するバルブハウジングと、前記流入流路と前記流出流路のうちいずれか一方を開閉する弁体と、コイルと前記コイルへの通電により往復移動するプランジャとを含むソレノイドを有し前記弁体を開閉させる駆動源と、を備える流路弁の製造方法であって、射出成形により、前記コイルから離間して前記コイルを囲むようにして前記流路を形成しつつ前記コイルを支持して、前記バルブハウジングの一部となる第一ハウジング部を形成する流路形成工程と、前記コイルの内周側に前記プランジャを配置するプランジャ配置工程と、前記ソレノイドの外方に前記プランジャの往復移動に応じて往復移動するように前記弁体を配置する弁体配置工程と、前記第一ハウジング部に対し、前記流入流路及び前記流出流路のうちいずれか一方を有し前記バルブハウジングの一部となる第二ハウジング部を、前記流入流路及び前記流出流路の当該一方が前記弁体と対向するように接合するバルブハウジング接合工程とを含む点にある。
【0025】
本製造方法によれば、バルブハウジングに設けられた流路空間に、弁体と弁体を開閉させる駆動源とを配置した流路弁を容易に製造することができる。製造された流路弁は、流路径は大きくなるものの、駆動源を流路空間の外部に配置した場合のように、流路弁が大型化するようなことはない。また、駆動源とバルブハウジングの内部に形成される流路との間のシール部材が不要になる。したがって、コンパクトな流路弁を製造することができる。また、バルブハウジングに設けられる流路空間は、駆動源に隣接した領域を流路として用いることができ、流路領域を容易に確保することができる。また、流路空間に駆動源が配置されることで、例えば、三方弁の場合には2個の弁体を駆動源の両端に往復移動可能に配置することもできる。その場合には、2個の弁体によって駆動源の両端側に設けられた夫々の流路の開閉が可能となり、特許文献1に示す構成のように駆動源の一端側に2個の弁体を配置して2つの流路を開閉する構成に比べて、流路への弁体の突出量を小さくすることが可能になるため、弁体の移動による流路の圧損を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図8】第2実施形態の変形例1の要部断面図である。
【
図9】第2実施形態の変形例2の要部断面図である。
【
図10】第2実施形態の変形例3の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る流路弁の実施形態について、図面に基づいて説明する。本発明に係る流路弁は、二方弁型や三方弁型のソレノイドバルブとして構成されている。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る流路弁1は、三方弁として構成されている。
【0029】
流路弁1は、樹脂製のバルブハウジング10と、弁体31と、駆動源40とを備える。
バルブハウジング10は、主ハウジング部11(第一ハウジング部の一例)と、主ハウジング部11に接合される2つの副ハウジング部12,13(第二ハウジング部の一例)とによって構成されている。
【0030】
バルブハウジング10は、流体が流入する流入流路21と、流体が流出する流出流路22と、流路空間23と、を有する。流路空間23は、流入流路21と流出流路22との間に設けられ流入流路21及び流出流路22と連通して流体の流路26となる。本実施形態では、主ハウジング部11が流入流路21を1つ有し、副ハウジング部12,13が流出流路22を1つずつ計2つ有する。副ハウジング部12は流出流路22として第一流路24を有する。副ハウジング部13は流出流路22として第二流路25を有する。流路空間23は、バルブハウジング10の内部であって、流入流路21と流出流路22との間の合流部位に設けられている。
【0031】
流路弁1は、流入流路21と流出流路22のうちいずれか一方を開閉する弁体31と、弁体31を開閉させる駆動源40と、を備えており、弁体31及び駆動源40はバルブハウジング10の流路空間23に配置されている。本実施形態では、2個の弁体31によって2つの流出流路22(第一流路24及び第二流路25)を交互に開閉するよう構成されている。
【0032】
バルブハウジング10のうち主ハウジング部11は、流路空間23の一部を構成し、円筒形状の第一筒部11Aと、円筒形状の流入流路21を構成する第二筒部11Bとを有する。バルブハウジング10のうち副ハウジング部12,13は、円筒形状の第三筒部12A,13Aと、円板状の端面部12B,13Bと、円筒形状の第四筒部12C,13Cと、を夫々有する。第三筒部12A,13Aは、第一筒部11Aの両端に接続され流路空間23の一部を構成する。端面部12B,13Bは、第三筒部12A,13Aから連続し第三筒部12A,13Aに垂直に配置され流路空間23の一部を構成する。すなわち、バルブハウジング10において、流路空間23は、主ハウジング部11の第一筒部11A、副ハウジング部12,13の第三筒部12A,13A、及び、端面部12B,13Bによって形成された円筒形状の空間である。第四筒部12C,13Cは、端面部12B,13Bの中央に形成される開口から外部に向けて設けられて流出流路22を構成する。
【0033】
駆動源40は全体が円柱形状に形成されており、流路空間23の内周面(第一筒部11A、第三筒部12A,13Aの内面)から径内方向に離間して配置されている。流路空間23の内周面と駆動源40の外周面との間隙には流路26が形成されている。駆動源40はバルブハウジング10と同じく樹脂製の駆動源カバー15によって覆われている。駆動源40の外周面は第一筒部11Aに対向する筒状部15Aによって覆われ、駆動源40の外周面以外(外周面に垂直な円柱における底面)は、端面部12B,13Bに対向する端面部15B,15Bによって覆われている。なお、端面部15B,15Bには中央に貫通孔17,17(
図5参照)が形成されている。流路26は、第一筒部11Aと筒状部15Aとの間と、第三筒部12A,13A及び端面部12B,13Bと端面部15B,15Bとの間に形成される。このように駆動源40の径外方向に流路26が形成されることで、流路空間23において流路面積を大きく確保でき、流路弁1において圧力損失の低減が可能になる。
【0034】
第一筒部11Aと筒状部15Aと間には両者に接続されるリブ16が設けられている。
本実施形態では、
図1、
図2に示すように、バルブハウジング10と駆動源40との間の周方向において、リブ16が均等に分散された位置に3つ設けられている。3つのリブ16によって、流路26は3つに区分される。リブ16は、円周方向に2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。こうして、流路空間23において、流路26の一部は、第一筒部11Aと筒状部15Aとリブ16とによって囲まれた領域に設けられている。
駆動源40のうち、後述のボビン42、コイル43、コア44、及びヨーク45(以下、これらを「磁気力発生部」と総称する。)は、リブ16及び第一筒部11Aによって流路空間23内で支持されている。なお、副ハウジング部12,13には、リブは形成されておらず、第三筒部12A,13Aにおいては、流路26は駆動源40の周方向の全体に亘って繋がっている。
【0035】
本実施形態によれば、流路空間23に配置される駆動源40のうち磁気力発生部を、バルブハウジング10に設けられたリブ16によって確実に支持することができる。また、例えば、バルブハウジング10を樹脂で形成する場合には、磁気力発生部を樹脂成形金型内に配置した状態で磁気力発生部の周囲にバルブハウジング10とリブ16と筒状部15Aとを一体的に樹脂成形することで、磁気力発生部を流路空間23内の全方向に対して間隙(流路26)を有した状態で配置できる。本実施形態では、リブ16は、第一筒部11Aの軸方向領域の全体に亘って設けられておらず、中央寄りの部位のみに設けられている(
図1、
図3参照)。これにより、流路空間23において流路26の領域をより大きく確保することができる。ただし、リブ16は、第一筒部11Aの軸方向領域の全体に亘って設けてもよい。
【0036】
駆動源40は、ソレノイド41と、シャフト52と、を有している。ソレノイド41は、磁気力発生部を構成するボビン42、コイル43、コア44、及びヨーク45を備え、更にプランジャ51と、圧縮スプリング53と、を備える。ソレノイド41は、バルブハウジング10に配設される配線(不図示)を介して外部の電源からコイル43への通電が可能に構成されている。
【0037】
コイル43は、樹脂製のボビン42に巻回されている。コア44は、磁性体からなり、軸状部材に円板状部材が圧入等の方法により嵌め込まれ、
図1の断面視で略T字状を有している。コア44は、ボビン42のヨーク45の側とは反対側の端部に固定されており、軸状部材はボビン42の内周側に形成された貫通孔に嵌め込まれている。コア44の軸状部材は、ボビン42の軸方向に沿う貫通孔を有する。ヨーク45は、コイル43の外側に配置される磁性体の部材であり、
図1の断面視で略U字状に形成されている。即ち、ヨーク45は、ボビン42の軸方向に沿って延在すると共に一端がボビン42の一端側で径内方向に屈曲した形状に形成されており、コイル43の外周の一部を覆う形状となっている。なお、ヨーク45が、コイル43の外周の全部を覆うようなケースとして形成されていてもよい。磁気力発生部は駆動源カバー15に覆われており、一体化されている。すなわち、磁気力発生部は、リブ16を介してバルブハウジング10に固定されている。
【0038】
プランジャ51は、磁性体からなる有底筒状部材であり、ボビン42の軸方向に沿う貫通孔の中を軸方向に沿って摺動可能となっている。プランジャ51の底部の中央には軸方向に沿って貫通孔が形成されており、シャフト52が該貫通孔を貫通している。シャフト52は、非磁性の金属(例えばSUS)からなり、プランジャ51に固定されプランジャ51と共に軸方向に沿って移動する。シャフト52はコア44の貫通孔を貫通しており、シャフト52の両端は端面部15B,15Bから突出している。シャフト52は、コア44には接合されていない。シャフト52の両端には、別部材のブッシュ54,55が組付けられる。ブッシュ54,55は、円錐台状筒体であって円錐台の下底に相当する部分がシャフト52の端部に外嵌される。ブッシュ54,55は、例えば樹脂製であってシャフト52の端部に圧入または接着されて固定される。ブッシュ54,55は、シャフト52と同材料(例えばSUS)で形成されてもよいし、他の材料で形成されてもよい。シャフト52の両端に組付けられたブッシュ54,55には、弁体31(第一弁体32、第二弁体33)が夫々取り付けられ、シャフト52の両端部とブッシュ54,55及び弁体31とが一体化されている。第一弁体32はコア44から突出したシャフト52の端部にブッシュ55を覆うように取り付けられており、第二弁体33はプランジャ51から突出したシャフト52の端部にブッシュ54を覆うように取り付けられている。弁体31は球欠状に形成されており、弁体31の球状部分が第一流路24及び第二流路25に対向するように配置されている。弁体31は、例えばゴム等の弾性を有する材料もしくは樹脂で形成されている。
【0039】
プランジャ51とコア44との間にはプランジャ51とコア44とを離間させる方向に付勢する圧縮スプリング53が配置されている。上述したように、コア44はバルブハウジング10に固定されているので、
図1に示すように、プランジャ51は、圧縮スプリング53の付勢力によりボビン42から突出する方向に移動して、シャフト52に取り付けられた第二弁体33が端面部13Bの開口に押し付けられることにより閉弁して第二流路25を閉鎖する。このとき、第一弁体32は開弁し、第一流路24を開放する。
【0040】
次に、流路弁1の動作について説明する。不図示の制御部の通電制御によりコイル43に通電されていないときは、ソレノイド41には駆動力が生じないので、
図1に示すように、圧縮スプリング53の付勢力によりシャフト52が下方に移動して、第一弁体32が開弁して第一流路24を開放すると共に第二弁体33が閉弁して第二流路25を閉鎖する。これにより、バルブハウジング10の流入流路21から流路空間23の流路26に流入した流体は、流出流路22の一方である第一流路24から流出する。
【0041】
不図示の制御部の通電制御により外部の電源からコイル43への通電が開始されると、プランジャ51、コア44、ヨーク45の順にコイル43の回りを周回するように磁束が流れる磁気回路が形成され、コア44とプランジャ51との間に駆動力(磁気吸引力)が発生する。この磁気吸引力によりプランジャ51は、圧縮スプリング53の付勢力に抗して
図1の上方向に移動してコア44に当接する位置で停止する。このとき、第二弁体33が開弁して第二流路25を開放すると共に第一弁体32が端面部12Bの開口に押し付けられることにより閉弁して第一流路24を閉鎖する。これにより、バルブハウジング10の流入流路21から流路空間23の流路26に流入した流体は、流出流路22の他方である第二流路25から流出する。
【0042】
このように、2個の弁体31(第一弁体32、第二弁体33)は、シャフト52の両側の外方に夫々配置されており、ソレノイド41のプランジャ51の往復移動に応じて夫々が開弁と閉弁を交互に繰り返すので、第一流路24及び第二流路25は何れか一方だけが開放され他方は閉鎖される。これにより、1つの駆動源40によって第一流路24及び第二流路25を交互に開閉可能な三方弁である流路弁1を容易に構成することができる。
【0043】
本実施形態によれば、弁体31と弁体31を開閉させる駆動源40とがバルブハウジング10に設けられた流路空間23に配置されているので、流路径は大きくなるものの、駆動源40を流路空間23の外部に配置した場合のように、流路弁1が大型化するようなことはない。また、駆動源40を流路空間23の外部に配置した場合に必要となる、駆動源40と流路空間23との間の仕切りであるシール部材が不要になる。したがって、流路弁1をコンパクトに形成することができる。また、バルブハウジング10に設けられる流路空間23は、駆動源40に隣接した領域を流路26として用いることができ、流路領域を容易に確保することができる。また、本実施形態では、2個の弁体31(第一弁体32、第二弁体33)が駆動源40の両端に往復移動可能に配置されているので、駆動源40の一端側に2個の弁体31を配置して2つの流路を開閉する構成に比べて、流路26において2個の弁体31の夫々の突出量を小さくすることができる。これにより、弁体31の移動による流路26の圧損を低減することができる。さらに、流路空間23に配置される駆動源40が発熱性を有したとしても、例えば流路弁1を流れる流体が冷却水である場合には、駆動源40を流体によって冷却することもできる。
【0044】
次に、流路弁1の製造方法について説明する。流路弁1の製造方法は、流路形成工程と、プランジャ配置工程と、弁体配置工程と、ハウジング接合工程と、を含む。
【0045】
流路形成工程では、射出成形により、コイル43を含む磁気力発生部から離間してコイル43(磁気力発生部)を囲むようにして流路26を形成しつつコイル43(磁気力発生部)を支持して、バルブハウジング10の一部となる主ハウジング部11を形成する。具体的には、ソレノイド41のうち、コイル43を含む磁気力発生部をインサート成形用の金型70内に配置する(
図4参照)。なお、
図4では、金型70を構成する第一型71及び第二型72の一部が示されている。その後、金型70内に溶融樹脂を注入して硬化させるインサート成形により主ハウジング部11と磁気力発生部を一体成形させた成形物を生成する(
図5参照)。コイル43の収容空間に樹脂を注入して樹脂製の駆動源カバー15を成形する際に、樹脂製のボビン42は駆動源カバー15に接する部分が溶融樹脂によって融かされることで、ボビン42は駆動源カバー15の内側樹脂部と融着する。詳述すると、ボビン42は上下端面に小径部46,46と、小径部46,46の夫々の外周側に上下方向の中央側に引退する段部48,49を有して形成される大径部47,47とを有し、段部48(49)には上方(下方)に突出した環状の突起部48a(49a)が少なくとも一つ形成されている(本実施形態では2つ)。突起部48a,49aは断面形状が細く尖った三角形状であり環状に連続する突条である。このため、突起部48a,49aは樹脂の熱で溶け易く、溶融樹脂と良好に融合する。したがって、形成した駆動源カバー15とボビン42の界面を通して水等の流体がコイル43側に浸入することを防止できる。なお、突起部48a,49aは、ボビン42に装着されるコイル43の上方及び下方に備えていればよい。
【0046】
これにより、第一筒部11A及び第二筒部11Bを有する主ハウジング部11が形成されると共に、磁気力発生部の周囲には、筒状部15Aと端面部15Bとを有する樹脂製の駆動源カバー15が形成され、磁気力発生部においてヨーク45とコイル43との隙間及びボビン42の内周面にも溶融樹脂が注入される。さらに、第一筒部11Aと筒状部15Aとの間には、両者を接続する複数のリブ16(本実施形態では3つ)が形成される。複数のリブ16は、バルブハウジング10の円周方向において均等に分散配置されている。こうして、流路弁1において、主ハウジング部11及びソレノイド41のうち磁気力発生部が一体成形品となり、主ハウジング部11の第一筒部11Aの内面と磁気力発生部の外周の筒状部15Aとの間に流路26が形成される(
図5参照)。
【0047】
続いて、プランジャ配置工程では、磁気力発生部のボビン42(コイル43)の内周側にプランジャ51を配置する。具体的には、まず、プランジャ51の貫通孔にシャフト52を挿入して接着等の方法でシャフト52をプランジャ51に固定する。次に、シャフト52に圧縮スプリング53を挿入し、プランジャ51をボビン42の内周に挿入する。このとき、シャフト52はコア44の貫通孔に挿通され、先端が端面部15Bから突出する。続いて、弁体配置工程において、ソレノイド41の外方にプランジャ51の往復移動に応じて往復移動するように弁体31を配置する。本実施形態では、シャフト52の両端にブッシュ54,55を組付けた後に、ブッシュ54,55に2個の弁体31(第一弁体32、第二弁体33)を夫々取り付ける。
【0048】
主ハウジング部11に接合する副ハウジング部12、13は別途成形されたものを用意する。副ハウジング部12、13は、端面が主ハウジング部11の第一筒部11Aに接合されて流路空間23の一部を形成する第三筒部12A,13A及び端面部12B,13Bと、流出流路22(第一流路24、第二流路25)を形成する第四筒部12C,13Cと、を有する。主ハウジング部11は、駆動源40が収容される第一筒部11Aと、流入流路21を形成する第二筒部11Bと、を有する。
【0049】
バルブハウジング接合工程において、主ハウジング部11の第一筒部11Aの両端面に副ハウジング部12,13の第三筒部12A,13Aの端面を夫々対向させ、溶着等の方法により接合する。これにより、流路弁1が完成する。
【0050】
〔第2実施形態〕
図6及び
図7に示すように、第2実施形態に係る流路弁1は、第1実施形態とは駆動源カバー15、ソレノイド41、及び弁体31の構成が異なる。第2実施形態では、駆動源カバー15の端面部15Bは上下方向の外方に向かう筒状の端部68,68を有しており、夫々の端部68には開口75が設けられている。端部68の外周面には凹溝69が設けられている。
【0051】
弁体31は、例えばゴム等の弾性力を有する材料もしくは樹脂で形成されており、ブッシュ54、55を介してシャフト52に取付けられる本体部61と、本体部61の外周側に設けられる周縁部63と、本体部61と周縁部63との間に設けられる伸縮部62と、有する。本体部61は流出流路22を開閉する。周縁部63は、駆動源カバー15の端部68に固定される。伸縮部62は、プランジャ51の移動に伴ってプランジャ51の移動方向に伸縮可能に構成されている。ここで、「伸縮部」は、弾性変形により伸び縮みする態様だけでなく、折り畳まれることで縮み状態になり展開されることで伸び状態となる態様も含む。
図6及び
図7に示すように、本実施形態の伸縮部62は、折り畳みと展開とによって伸び縮みする態様である。
【0052】
周縁部63には、駆動源カバー15の端部68の凹溝69に係合する凸状の係合部64が設けられている。駆動源カバー15の端部68の凹溝69に周縁部63の係合部64が係合されることで、弁体31は駆動源カバー15の端部68の開口75を封止する。弁体31の周縁部63の係合部64は駆動源カバー15の端部68の凹溝69に対して各種接着剤を用いて接着固定することができる。
【0053】
本実施形態によれば、弁体31によって駆動源カバー15の端部68の開口75が封止されるので、駆動源カバー15に覆われるソレノイド41を流路26に接しない状態で配置することができる。これにより、駆動源40のプランジャ51やシャフト52等の可動部への流路26からの異物侵入を防止することができる。これにより、当該可動部が異物の侵入によって故障する不具合を回避することができるので、駆動源40の耐久性を向上させることができる。また、弁体31によって流路26からソレノイド41への流体浸入を防止することができるので、駆動源40においてソレノイド41の信頼性を高めることができる。また、第1実施形態のように、ソレノイド41においてコイル43が装着されるボビン42の段部48,49に突起部48a,49aを設けて当該段部48,49と駆動源カバー15の内側樹脂部とを融着させる必要がないため、ボビン42の外面形状を簡素にすることもできる。
【0054】
〔第2実施形態の変形例1〕
図8に示すように、変形例1では、駆動源カバー15において、筒状部15Aは両端に端部68を有しており、端面部15Bを有しない。
図8では、2つの弁体31のうち第二弁体33のみを示す。図示しないが、第一弁体32も第二弁体33と同様の構成である。第二弁体33(弁体31)の本体部61は、板状部材65と板状部材65の少なくとも一部を覆うカバー部材66とによって構成されている。変形例1においては、上記各実施形態とは異なり、シャフト52の両端にブッシュ54,55は組付けられていない。板状部材65は例えば円板状に形成され、シャフト52の両端に直接板状部材65が夫々組付けられる。板状部材65は、軸心部分に貫通孔76が形成され、シャフト52の端部に外嵌される。板状部材65は、例えば金属製の剛体であってシャフト52の端部に圧入または接着されて固定される。板状部材65は、シャフト52と同材料(例えばSUS)で形成されてもよいし、他の材料で形成されてもよい。シャフト52に組付けられた板状部材65は、カバー部材66によって少なくとも一部が被覆されている。第二弁体33の伸縮部62はカバー部材66に連設されている。変形例1では、カバー部材66はゴム等の弾性力を有する材料であって伸縮部62及び周縁部63と一体形成されている。板状部材65とカバー部材66とは各種接着剤を用いて接着固定することができる。
【0055】
板状部材65は、第二流路25(流出流路22)に対向する第1面65aと、第1面65aの裏側の第2面65bと、第1面65aと第2面65bとの間に形成される側面65cと、を有する。
図8に示される変形例1の板状部材65は、第1面65aが第2面65bよりも小径であり、縦断面が逆台形状に形成されている。カバー部材66は、板状部材65の第1面65aの少なくとも周縁を被覆する第1カバー部66aと、第2面65bの少なくとも周縁を被覆する第2カバー部66bと、側面65cを被覆する第3カバー部66cと、を有する。
図8に示される変形例1のカバー部材66は、第1カバー部66aは第1面65aの周縁のみを被覆し、第2カバー部66bは第2面65bの周縁のみを被覆する。板状部材65は、また、第1カバー部66a及び第2カバー部66bによって挟持可能に構成されている。変形例1においては、第1カバー部66aが端面部13Bに押し付けられることにより、第二弁体33が閉弁して、第二流路25を閉鎖する。このとき、第一弁体32は開弁し、第一流路24を開放する。
【0056】
変形例1によれば、第二弁体33(弁体31)の本体部61において、板状部材65を用いることにより、本体部61の強度を向上させることができる。また、板状部材65は第二流路25(流出流路22)に対向する第1面65aのうち少なくとも周縁がカバー部材66の第1カバー部66aによって被覆されるので、第1カバー部66aによって板状部材65の第1面65aの周縁を保護することができる。これにより、第二弁体33(弁体31)の本体部61は耐久性を向上させることができる。また、第二弁体33(弁体31)の本体部61において、板状部材65はカバー部材66の第1カバー部66a及び第2カバー部66bに挟持されることで、カバー部材66によって板状部材65を確実に保持することができる。また、変形例1のように、第2カバー部66bが板状部材65の第2面65bの周縁のみを被覆する構成であれば、板状部材65を第2カバー部66bの側から第1カバー部66aに向けて押し付けて板状部材65を第1カバー部66aと第2カバー部66bとの間に移動させることで、板状部材65をカバー部材66に容易に装着することができる。
【0057】
〔第2実施形態の変形例2〕
上記の変形例1では、弁体31の本体部61において、第1カバー部66aが板状部材65の第1面65aの周縁のみを覆う例を示したが、
図9に示されるように、第1カバー部66aが板状部材65の第1面65aの全体を覆う構成でもよい。変形例2では、板状部材65が円板状であり、板状部材65の第1面65a及び第2面65bは同径である。カバー部材66は、板状部材65の第1面65aの全体を被覆する第1カバー部66aと、板状部材65の側面65cを被覆する第3カバー部66cを有し、第2面65bを被覆する第2カバー部は有しない。したがって、変形例2では、第1カバー部66aによって板状部材65の第1面65aの全体を保護することができるので、変形例1に比べて、弁体31の本体部61は耐久性をより向上させることができる。なお、変形例2では、板状部材65は第1カバー部66aに対して例えば不図示の接着層等の介在によって固定されている。変形例2においても、第1カバー部66aが端面部13Bに押し付けられることにより、第二弁体33が閉弁して、第二流路25を閉鎖する。このとき、第一弁体32は開弁し、第一流路24を開放する。
【0058】
〔第2実施形態の変形例3〕
変形例3では、
図10に示されるように、弁体31の本体部61において、板状部材65が変形例2と同形状である。ただし、カバー部材66が、板状部材65の第1面65aの全体を被覆する第1カバー部66aと、板状部材65の側面65cを被覆する第3カバー部66cの他に、板状部材65の第2面65bに周縁を被覆する第2カバー部66bを有する点で変形例2とは異なる。変形例3においても、変形例2と同じく、弁体31の本体部61はカバー部材66によって耐久性を向上させることができる。また、板状部材65は、第1カバー部66a及び第2カバー部66bによって挟持可能に構成されている。したがって、変形例3では、変形例1と同じく、板状部材65をカバー部材66に容易に装着することができる。変形例3においても、第1カバー部66aが端面部13Bに押し付けられることにより、第二弁体33が閉弁して、第二流路25を閉鎖する。このとき、第一弁体32は開弁し、第一流路24を開放する。
【0059】
〔他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、三方弁で形成された流路弁1において、流入流路21を1つ有し流出流路22を2つ有する例を示したが、流入流路21を2つ有し流出流路22を1つ有する構成であってもよい。この場合、第二筒部11Bが流出流路22となり、第四筒部12C,13Cが流入流路21となる。
【0060】
(2)上記の実施形態では、流路弁1が三方弁で適用される例を示した。しかし、流路弁1は、三方弁に限定されない。
図11及び
図12に示すように、流路弁1は二方弁として構成されてもよい。
図11に示す例では、流路弁1は、流入流路21と流出流路22とが直交するよう構成されている。
図12に示す例では、流路弁1は、流入流路21と流出流路22とが軸方向で同一直線上に位置するよう構成されている。いずれの流路弁1においても、流出流路22側に弁体31を1つ有する。
図11に示される流路弁1では、副ハウジング部12に流出流路22(第四筒部12C)が形成されていない。また、
図12に示される流路弁1では、主ハウジング部11には流入流路21及び流出流路22のいずれも形成されておらず(第二筒部11Bが形成されておらず)、副ハウジング部12に流入流路21(第四筒部12C)が設けられ、副ハウジング部13に流出流路22(第四筒部13C)が設けられている。
図11及び
図12の流路弁1では、シャフト52の一端(流出流路22の側)に大径部52aが形成されている。大径部52aはシャフト52の先端に向かうほど径が小さくなる円錐台状に形成されており、大径部52aに弁体31が取り付けられている。大径部52aは、上記の実施形態と同様に、別部材(例えばブッシュ54)で構成してもよい。その他、流路弁1が二方弁の場合には、シャフト52を用いずにプランジャ51に弁体31を直接取付けて流路弁1を構成してもよい。また、
図11及び
図12に示される二方弁としての流路弁1において、駆動源カバー15、ソレノイド41、及び弁体31を第2実施形態(変形例を含む)に示す構成に変更してもよい。
【0061】
図11及び
図12に示す流路弁1を製造するには、第1実施形態と同様に、主ハウジング部11を成形した後、副ハウジング部12,13を接合する。なお、
図11に示す流路弁1においては、主ハウジング部11の成形の際に、流入流路21(または流出流路22)を有しない副ハウジング部12を一体化させて成形するようにしてもよい。
【0062】
(3)上記の実施形態では、駆動源40がソレノイド41を有して構成される例を示したが、駆動源40はソレノイド41以外で構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、流路弁に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 :流路弁
10 :バルブハウジング
11 :主ハウジング部(第一ハウジング部)
11A :第一筒部
12,13 :副ハウジング部(第二ハウジング部)
15 :駆動源カバー
15A :筒状部
16 :リブ
21 :流入流路
22 :流出流路
23 :流路空間
24 :第一流路
25 :第二流路
26 :流路
31 :弁体
32 :第一弁体
33 :第二弁体
40 :駆動源
41 :ソレノイド
48,49:段部
48a,49a:突起部
51 :プランジャ
61 :本体部
62 :伸縮部
63 :周縁部
65 :板状部材
65a :第1面
65b :第2面
66 :カバー部材
66a :第1カバー部
66b :第2カバー部
68 :端部
75 :開口