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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094293
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】カバー
(51)【国際特許分類】
   A46B 17/04 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
A46B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143334
(22)【出願日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2020206472
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勝己
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB20
3B202AB24
3B202GB03
3B202GB11
(57)【要約】
【課題】多種多様の歯ブラシに利用可能なカバーを提供する。
【解決手段】一対の側壁120は、これらの対向面同士の間隔を頭部の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ基部110から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部122と、傾斜部122の下方に設けられ、前記頭部のうち柄の先端部を挟持可能な保持部121と、をそれぞれ有しており、一対の保持部121の下方には、これら保持部121同士を連結し、かつ、これら保持部121同士の離間を許容しつつ、これら保持部121同士の間隔が拡がるにつれて、これら保持部121が元の位置に戻ろうとするように弾性力を有する連結部が少なくとも一か所に設けられていることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシにおける、柄の先端部とブラシ毛が植毛された植毛部を含む頭部を保護するカバーであって、
前記ブラシ毛の先端に対向するように配される基部と、
前記基部の両側面側から垂下し、前記頭部の両側面にそれぞれ対向するように配される一対の側壁と、
を備え、
前記一対の側壁は、
これらの対向面同士の間隔を前記頭部の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ前記基部から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の下方に設けられ、前記頭部のうち前記柄の先端部を挟持可能な保持部と、をそれぞれ有しており、
一対の前記保持部の下方には、これら保持部同士を連結し、かつ、これら保持部同士の離間を許容しつつ、これら保持部同士の間隔が拡がるにつれて、これら保持部が元の位置に戻ろうとするように弾性力を有する連結部が少なくとも一か所に設けられていることを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記連結部は、一対の前記保持部のうち、前記頭部の挿入口側とは反対側に片寄った位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記連結部は、一対の前記保持部のうち、前記頭部の挿入口側に片寄った位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項4】
前記連結部は、前記保持部に対し垂直に設けられると共に、U字状の可撓部と、前記可撓部の両端から略直角に折れ曲がるように伸びて、一対の前記保持部の下部にそれぞれ接続する部分とから構成されることを特徴とする請求項1,2または3に記載のカバー。
【請求項5】
一対の前記保持部同士の対向面には、前記頭部の前記基部側への移動を規制する第1ストッパ部がそれぞれ設けられており、前記保持部の下部から前記基部に向かうにつれて互いの間隔が徐々に狭くなる傾斜面をそれぞれ有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のカバー。
【請求項6】
前記保持部の下端には、前記柄における前記植毛部とは反対側の面に対向し、前記頭部の抜け出しを抑制する第2ストッパ部が、前記連結部とは別に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のカバー。
【請求項7】
前記基部の前端には、前記一対の側壁とは間隔を空けた状態で、前記頭部の先端側への移動を規制する第3ストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載のカバー。
【請求項8】
前記第3ストッパ部は、幅方向の中央が幅方向の両端よりも先端側に向かって突出した屈曲形状となっており、前記連結部が、該第3ストッパ部の屈曲形状内部に進入するように設けられていることを特徴とする請求項7に記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシに用いられるカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯ブラシにおける頭部(植毛部が設けられている部分)を保護するためのカバーが知られている。このようなカバーにおいては、ブラシ毛の先端が、カバーに接しないようにするのが望ましい。そのため、頭部の形状及び寸法に合わせて、専用のカバーが用いられるのが一般的である。従って、多種多様の歯ブラシに対応させるためには、それぞれ寸法及び形状が異なるカバーが必要となり、製造用の金型を複数種類用意しなければならないなど、コストが増加してしまっていた。
【0003】
そこで、本願の出願人は、多種多様の歯ブラシに利用可能なカバーに関する技術を既に提案している(特願2020-019524号)。しかしながら、歯ブラシの頭部の寸法によっては、頭部に対するカバーによる保持力が不十分となり、輸送時などに衝撃を受けたり、応力を受け続けたりすることで、頭部に対するカバーの位置がずれてしまうことが懸念される。例えば、カバーが、図1中矢印X方向の力を受けることで、頭部に対して、カバーが矢印Y方向に回転するように位置がずれてしまうことが懸念される。これにより、頭部の先端がカバーからはみ出してしまうおそれもある。特に、先端から後端までの長さが短い頭部の場合に、頭部に対するカバーによる保持力が低くなり、上記のような現象が生じ易いことが分かった。そのため、カバーを適用することが可能な歯ブラシの種類が十分多いとは必ずしも言えない。従って、未だ改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-53610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、多種多様の歯ブラシに利用可能なカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0007】
すなわち、本発明のカバーは、
歯ブラシにおける、柄の先端部とブラシ毛が植毛された植毛部を含む頭部を保護するカバーであって、
前記ブラシ毛の先端に対向するように配される基部と、
前記基部の両側面側から垂下し、前記頭部の両側面にそれぞれ対向するように配される一対の側壁と、
を備え、
前記一対の側壁は、
これらの対向面同士の間隔を前記頭部の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ前記基部から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の下方に設けられ、前記頭部のうち前記柄の先端部を挟持可能な保持部と、をそれぞれ有しており、
一対の前記保持部の下方には、これら保持部同士を連結し、かつ、これら保持部同士の離間を許容しつつ、これら保持部同士の間隔が拡がるにつれて、これら保持部が元の位置
に戻ろうとするように弾性力を有する連結部が少なくとも一か所に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、一対の側壁は、これらの対向面同士の間隔が頭部の幅に応じて変更可能な可撓性を有する傾斜部を備えている。そのため、サイズの異なる各種頭部に対して、本発明のカバーを適用することができ、また、一対の傾斜部の下方には、頭部のうち柄の先端部を挟持可能な保持部をそれぞれ有しているので、柄の先端部が動いてしまうことを抑制することができる。これにより、ブラシ毛の先端などがカバーに接してしまうことを抑制することができる。そして、連結部が設けられることで、頭部の保持部内への挿入により、保持部同士が拡がると、これら保持部が元の位置に戻ろうとするため、保持部による保持力が高められる。そのため、柄の先端部が動いてしまうことを、より確実に抑制することができる。また、連結部によって、一対の保持部の下端側から頭部が抜け出してしまうことを抑制することもできる。従って、より一層、サイズの異なる各種頭部に対して、本発明のカバーを適用することができる。
【0009】
また、連結部が設けられることで、いわゆるスタッキングを抑制できる効果もある。すなわち、保持部同士の間に隙間があると、搬送などのため複数のカバーをまとめて収容される状態にすると、あるカバーの隙間に、別のカバーの一部が入り込んでしまう(スタッキングと呼ばれる)。これにより、これらのカバー同士が連結されたような状態になってしまう。このような状態になると、カバーを別々に取り外す作業が必要となってしまう。しかしながら、連結部が設けられることで、隙間を少なくすることができ、上記のようなスタッキング現象の発生を抑制することができる。
【0010】
前記連結部は、一対の前記保持部のうち、前記頭部の挿入口側とは反対側に片寄った位置に設けられているとよい。
【0011】
また、前記連結部は、一対の前記保持部のうち、前記頭部の挿入口側に片寄った位置に設けられていることも好適である。
【0012】
また、前記連結部は、前記保持部に対し垂直に設けられると共に、U字状の可撓部と、前記可撓部の両端から略直角に折れ曲がるように伸びて、一対の前記保持部の下部にそれぞれ接続する部分とから構成されるとよい。
【0013】
一対の前記保持部同士の対向面には、前記頭部の前記基部側への移動を規制する第1ストッパ部がそれぞれ設けられており、前記保持部の下部から前記基部に向かうにつれて互いの間隔が徐々に狭くなる傾斜面をそれぞれ有するとよい。
【0014】
これにより、カバーに対して、柄の先端部が動いてしまうことを、より確実に抑制することができる。また、厚みの異なる頭部に対しても、第1ストッパ部による頭部に対する移動規制機能を好適に発揮させることができる。
【0015】
前記保持部の下端には、前記柄における前記植毛部とは反対側の面に対向し、前記頭部の抜け出しを抑制する第2ストッパ部が、前記連結部とは別に設けられているとよい。
【0016】
これにより、カバーから歯ブラシの頭部が抜け出してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0017】
前記基部の前端には、前記一対の側壁とは間隔を空けた状態で、前記頭部の先端側への移動を規制する第3ストッパ部が設けられているとよい。
【0018】
これにより、側壁の可撓性を失うことなくカバーが歯ブラシの柄の方に移動してしまうことを抑制することができる。
【0019】
前記第3ストッパ部は、幅方向の中央が幅方向の両端よりも先端側に向かって突出した屈曲形状となっており、前記連結部が、該第3ストッパ部の屈曲形状内部に進入するように設けられているとよい。
【0020】
これにより、一対の側壁と第3ストッパ部の間の隙間が、連結部によって遮られるため、柄の先端部が隙間に入り込むことによるカバーと歯ブラシの位置ずれを防止できるとともに、上述したようなスタッキング現象の発生を抑制することができる。
【0021】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、多種多様の歯ブラシに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は歯ブラシに本発明の実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す図である。
図2図2は本発明の実施例1に係るカバーの斜視図である。
図3図3は本発明の実施例1に係るカバーの平面図である。
図4図4は本発明の実施例1に係るカバーの正面図である。
図5図5は本発明の実施例1に係るカバーの側面図である。
図6図6は本発明の実施例1に係るカバーの底面図である。
図7図7は本発明の実施例1に係るカバーの模式的断面図である。
図8図8は歯ブラシに本発明の実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す正面図である。
図9図9は本発明の実施例2に係るカバーの底面図である。
図10図10は本発明の実施例3に係るカバーの底面図である。
図11図11は本発明の実施例4に係るカバーの底面図である。
図12図12は本発明の実施例5に係るカバーの底面図である。
図13図13は本発明の実施例6に係る頭部と保持部との位置関係を説明する図である。
図14図14は本発明の実施例6に係るカバーの斜視図である。
図15図15は本発明の実施例に係るカバーの保持部による保持位置と歯ブラシの頭部の挙動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0025】
(実施例1)
図1図8を参照して、本発明の実施例1に係るカバーについて説明する。本実施例に係るカバーは、歯ブラシにおける頭部を保護するために用いられる。図1を参照して、本実施例に係るカバーの使用形態について説明する。
【0026】
<カバーの使用形態>
図1は歯ブラシに本実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す図である。図1
中のカバーについては、模式的断面図にて示している。歯ブラシ1は、柄10と、頭部20とを備えている。頭部20は、柄10の先端側に一体に設けられる先端部22と、この先端部22の上面にブラシ毛が植毛された植毛部21とを備えている。本実施例に係るカバー100は、この頭部20に取り付けられることで、頭部20を保護する役割を担っている。
【0027】
<カバー>
特に、図2図7を参照して、本実施例に係るカバー100の構成について説明する。図2は本発明の実施例1に係るカバーの斜視図である。図3は本発明の実施例1に係るカバーの平面図である。図4は本発明の実施例1に係るカバーの正面図であり、図3中、V1方向に見た図である。図5は本発明の実施例1に係るカバーの側面図であり、図3中、V2方向に見た図である。図6は本発明の実施例1に係るカバーの底面図である。図7は本発明の実施例1に係るカバーの模式的断面図であり、図3中、AA断面図である。なお、上記の図1中のカバー100についても、図3中のAA断面図に相当する。
【0028】
本実施例に係るカバー100は、樹脂材料により構成され、射出成形など従来の成形方法によって得ることができる。また、カバー100を構成する樹脂材料は、外部から頭部20を見ることができるように、透明の材料を用いると好適である。具体的には、透過率が90%以上の材料を用いると好適である。更に、カバー100は、頭部20を保護するという観点から、ある程度の硬さが得られるように硬質材料により構成されると好適である。その一方で、以下に示すように、ある程度弾性変形が可能となるような弾性を有する材料であるのが望ましい。これらの各種条件を満たす材料としては、PP(ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)などを挙げることができる。
【0029】
そして、カバー100は、植毛部21におけるブラシ毛の先端に対向するように配される基部110と、基部110の両側面側から垂下し、頭部20の両側面にそれぞれ対向するように配される一対の側壁120とを備えている。一対の側壁120は、これらの対向面同士の間隔を頭部20の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ基部110から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部122をそれぞれ有している。また、一対の側壁120は、傾斜部122の下方に設けられ、頭部20のうち柄10の先端部22を挟持可能な保持部121をそれぞれ有している。更に、一対の側壁120は、傾斜部122と保持部121とのなす角度の変化を抑制する補強部として機能するリブ123a,123bをそれぞれ有している。
【0030】
リブ123a,123bは、傾斜部122及び保持部121の外壁面から更に外側に張り出すように設けられている。本実施例においては、一対の側壁120に、それぞれ2か所のリブ123a,123bが、傾斜部122及び保持部121のうち頭部20の挿入口側の端部と、その反対側の端部に設けられている。リブ123aは、頭部20を保持部121の内部に導くためのガイドとしての役割も担っている。
【0031】
そして、一対の保持部121同士の対向面には、頭部20の基部110側への移動を規制する第1ストッパ部125がそれぞれ設けられている。これら一対の第1ストッパ部125は、保持部121の下部から基部110に向かうにつれて互いの間隔が徐々に狭くなる傾斜面125aをそれぞれ有している(図4参照)。
【0032】
また、一対の保持部121の下方には、柄10における植毛部21とは反対側の面に対向し、頭部20の抜け出しを抑制するストッパ機能部130が設けられている。本実施例に係るストッパ機能部130は、二か所の連結部131a,131bと、第2ストッパ部132とから構成されている(図6参照)。連結部131a,131bは、一対の保持部121同士を連結し、かつ、これら保持部121同士の離間を許容しつつ、これら保持部
121同士の間隔が拡がるにつれて、これら保持部121が元の位置に戻ろうとするように弾性力を有する機能を備えている。本実施例に係る連結部131a,131bは、いずれも、保持部121に対し垂直に設けられる。そして、これらの連結部131a,131bは、いずれも、U字状の可撓部131ax,131bxと、可撓部131ax,131bxの両端から略直角に折れ曲がるように伸びて(可撓部131ax,131bxの両端から一対の保持部121のそれぞれに向かって真っ直ぐに伸びて)一対の保持部121の下部にそれぞれ接続する部分131ay,131byとから構成される。このような構成により、頭部20が挿入されると、U字状の可撓部131ax,131bxの両端が拡がるように、可撓部131ax,131bxが基部110と平行な方向(保持部121に対して垂直な方向)に撓むように変形する。
【0033】
また、連結部131aは、一対の保持部121のうち、頭部20の挿入口側とは反対側に片寄った位置に設けられている。また、連結部131bは、一対の保持部121のうち、頭部20の挿入口側に片寄った位置に設けられている。そして、第2ストッパ部132は、連結部131aと連結部131bとの間に設けられている。本実施例においては、一対の保持部121同士の下端付近の隙間(以下、便宜上、第1隙間S1と称する)は、連結部131bによって遮られる。
【0034】
また、基部110の前端には、一対の側壁120とは間隔を空けた状態で、頭部20の先端側への移動を規制する第3ストッパ部140が設けられている。以下、一対の側壁120と第3ストッパ部140との間の隙間を、便宜上、第2隙間S2と称する。
【0035】
第3ストッパ部140は、幅方向の中央が幅方向の両端よりも先端側に向かって突出した屈曲形状となっている(図3及び図6参照)。そして、本実施例においては、連結部131aが、第3ストッパ部140の屈曲形状内部に進入するように構成されている。これにより、図5に示すように、第2隙間S2のうち、保持部121付近が連結部131aによって遮られるように構成されている。
【0036】
<本実施例に係るカバーの優れた点>
上記のように構成されるカバー100においては、歯ブラシ1の頭部20がカバー100に挿入される際、頭部20のブラシ毛の先端が基部110に対向するように挿入される。すると、柄10の先端部22の側面は保持部121に保持される(図8参照)。なお、図8は歯ブラシに本発明の実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す正面図であり、柄10の部分については断面図にて示している。そして、本実施例に係るカバー100によれば、一対の側壁120は、これらの対向面同士の間隔が頭部20の幅に応じて変更可能な可撓性を有する傾斜部122を備えている。そのため、サイズの異なる各種頭部に対して、本実施例に係るカバー100を適用することができる。なお、一対の側壁120に傾斜部122を設けることによって、幅の広い頭部20を一対の保持部121により保持した状態においても、基部110に対して、その幅方向の外側に、側壁120が出っ張ってしまうことを抑制できる効果もある。
【0037】
また、上記の通り、柄10の先端部22は保持部121により挟持されるので、柄10の先端部22が動いてしまうことを抑制することができる。これにより、ブラシ毛の先端などがカバー100に接してしまうことを抑制することができる。そして、連結部131,131bが設けられることで、頭部20の保持部121内への挿入により、保持部121同士が拡がると、これら保持部121が元の位置に戻ろうとするため、保持部121による保持力が高められる。そのため、柄10の先端部22が動いてしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0038】
また、ストッパ機能部130(二か所の連結部131a,131bと、一か所の第2ス
トッパ部132)によって、一対の保持部121の下端側から頭部20が抜け出してしまうことを抑制することもできる。従って、より一層、サイズの異なる各種頭部に対して、本実施例に係るカバー100を適用することができる。
【0039】
また、連結部131a,131bが設けられることで、いわゆるスタッキングを抑制できる効果もある。連結部131aは、第2隙間S2を遮るように設けられているため、第2隙間S2を起因とするスタッキングを抑制する機能を発揮する。また、連結部131bは、第1隙間S1を遮るように設けられているため、第1隙間S1を起因とするスタッキングを抑制する機能を発揮する。特に、自動機を用いて、カバー100を歯ブラシ1に取り付けるようにする場合には、スタッキングは大きな障害となる。本実施例に係るカバー100によれば、このようなスタッキングの発生も抑制することができるため、自動機による歯ブラシ1へのカバー100の取付作業においても障害を抑制することができる。
【0040】
更に、本実施例においては、一対の保持部121同士の対向面には、頭部20の基部110側への移動を規制する第1ストッパ部125がそれぞれ設けられている。これにより、カバー100に対して、柄10の先端部22が動いてしまうことを、より確実に抑制することができる。なお、本実施例に係る一対の第1ストッパ部125は、保持部121の下部から基部110に向かうにつれて互いの間隔が徐々に狭くなる傾斜面125aをそれぞれ有している。これにより、厚みの異なる頭部20に対しても、第1ストッパ部125による頭部20に対する移動規制機能を好適に発揮させることができる。
【0041】
以上のように、保持部121による保持力が高まることに加えて、第1ストッパ部125による頭部20に対するカバー100の移動規制がなされることで、頭部20に対するカバー100の位置ずれを抑制することができる。例えば、カバー100に対して、図1中、矢印X方向に力が加わると、カバー100は、頭部20に対して、矢印Y方向に回転してしまうおそれがある。しかしながら、本実施例では、保持部121による保持力と、第1ストッパ部125による移動規制とが相俟って、矢印Y方向への回転を効果的に抑制することができる。また、本実施例においては、連結部131aによって、保持部121同士を繋げている部位が、柄10の先端部22の先端付近に対して対向するように設けられている。これにより、もし、カバー100が矢印Y方向に回転してしまっても、柄10の先端部22が連結部131aに接するため、先端部22がカバー100から飛び出だしてしまうことはない。
【0042】
また、本実施例に係るカバー100においては、頭部20の先端側への移動を規制する第2ストッパ部140も設けられている。これにより、カバー100が歯ブラシ1の柄10の方向に移動してしまうことを抑制することができる。
【0043】
(実施例2)
図9には、本発明の実施例2が示されている。本実施例においては、保持部の下端に設けられるストッパ機能部の構成が、上記実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図9は本発明の実施例2に係るカバーの底面図である。
【0044】
本実施例に係るストッパ機能部130は、一か所の連結部131cと、一か所の第2ストッパ部132a,132bとから構成される。連結部131cの役割については、実施例1で示した二か所の連結部131a,131bの役割と同様である。本実施例に係る連結部131cは、一対の保持部121のうち、頭部20の挿入口側とは反対側に片寄った位置に設けられている。本実施例に係る連結部131cにおいては、保持部121同士を繋げる部分が、実施例1における連結部131aとは逆向きに構成されている。ただし、本実施例に係る連結部131cについても、第3ストッパ部140の屈曲形状内部に進入
するように構成されている。これにより、第2隙間S2のうち、基部110とは反対側の端部付近が、連結部131cによって遮られるように構成されている。これにより、スタッキングの発生を抑制することができる。
【0045】
また、第2ストッパ部132aと第2ストッパ部132bとの間の第1隙間S1は、非直線的な隙間により構成されている。このような構成を採用することで、第1隙間S1について、その一端側から他端側を直視した場合に、他端側の隙間が見えないように構成されている。これにより、スタッキングの発生を抑制することができる。
【0046】
以上のように構成される本実施例に係るカバー100Aにおいても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0047】
(実施例3)
図10には、本発明の実施例3が示されている。本実施例においては、保持部の下端に設けられるストッパ機能部の構成が、上記実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図10は本発明の実施例3に係るカバーの底面図である。
【0048】
本実施例に係るストッパ機能部130は、二か所の連結部131b,131cにより構成される。連結部131bの構成は、実施例1で示した連結部131bの構成と同様であり、連結部131cの構成は、実施例2で示した連結部131cの構成と同様である。
【0049】
以上のように構成される本実施例に係るカバー100Bにおいても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0050】
(実施例4)
図11には、本発明の実施例4が示されている。本実施例においては、保持部の下端に設けられるストッパ機能部の構成が、上記実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図11は本発明の実施例4に係るカバーの底面図である。
【0051】
本実施例に係るストッパ機能部130は、一か所の連結部131bと一か所の第2ストッパ部132cとにより構成される。連結部131bの構成は、実施例1で示した連結部131bの構成と同様である。本実施例に係る第2ストッパ部132cは、第3ストッパ部140の屈曲形状内部に進入するように設けられている。これにより、第2隙間S2のうち、基部110とは反対側の端部付近が、第2ストッパ部132cによって遮られるように構成されている。これにより、スタッキングの発生を抑制することができる。
【0052】
以上のように構成される本実施例に係るカバー100Cにおいても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0053】
(実施例5)
図12には、本発明の実施例5が示されている。本実施例においては、保持部の下端に設けられるストッパ機能部の構成が、上記実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図12は本発明の実施例5に係るカバーの底面図である。
【0054】
本実施例に係るストッパ機能部130は、二か所の連結部131d,131eにより構成される。連結部131dは、一対の保持部121のうち、頭部20の挿入口側とは反対側に片寄った位置に設けられている。また、連結部131eは、一対の保持部121のうち、頭部20の挿入口側に片寄った位置に設けられている。上記各実施例で示した連結部は、U字状の可撓部を有する構成であるのに対して、本実施例に係る連結部131d,131eは、蛇行するような形状で構成されている。このように、連結部については、一対の保持部121同士を連結し、かつ、これら保持部121同士の離間を許容しつつ、これら保持部121同士の間隔が拡がるにつれて、これら保持部121が元の位置に戻ろうとするように弾性力を有する機能が発揮されれば、各種形状を採用し得る。
【0055】
以上のように構成される本実施例に係るカバー100Dにおいても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(実施例6)
図13及び図14には、本発明の実施例6が示されている。本実施例においては、第3ストッパ部の構成が、上記実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図13は本発明の実施例6に係る頭部と保持部との位置関係を説明する図である。図14は本発明の実施例6に係るカバーの斜視図である。
【0057】
上記の通り、第3ストッパ部140は、幅方向の中央が幅方向の両端よりも先端側に向かって突出した屈曲形状となっている。そのため、歯ブラシ1の頭部20における柄10の先端部22の幅が狭いほど、頭部20はカバー100に対して先端側に配された状態で保持部121に保持される。この点について、図13(a)を参照して説明する。
【0058】
図13は、第3ストッパ部140と、先端部22と、先端部22を保持した際の保持部121との位置関係を示したものである。図13(a)は上記実施例1に示す構成の場合について示している。図中の点線は、サイズが大きな頭部における先端部22Xと、この先端部22Xを保持した際の保持部121Xについて示している。これに対して、サイズが小さな頭部における先端部22Yと、この先端部22Yを保持した際の保持部121Yについて、実線にて示している。この図から明らかなように、幅が狭い先端部22Yの方が、幅が広い先端部22Xよりも、頭部20はカバー100に対して先端側に配された状態で保持部121(121Y)に保持される。一般的に、幅が狭いサイズの頭部は、先端から後端までの長さも短い。そのため、先端部22Yがカバー100に対して先端側に配された状態で保持部121に保持されると、先端部22Yが保持部121に保持される領域が少なくなってしまう。これにより、保持状態が不安定になるおそれがある。
【0059】
そこで、本実施例においては、このような不具合が発生し得る場合の対策構造を有する構成を採用している。すなわち、本実施例に係るカバー100においては、図14に示すように、第3ストッパ部140における屈曲形状の幅方向の中央に、頭部20の先端側への移動を規制するリブ141を設ける構成が採用されている。なお、このリブ1141は上下方向に伸びる構成を採用しているが、少なくとも、頭部20における先端部22が突き当たる位置に設ければ、その範囲は限定されることはない。
【0060】
図13(b)は本実施例に示す構成の場合において、第3ストッパ部140と、先端部22と、先端部22を保持した際の保持部121との位置関係を示したものである。図中の点線は、サイズが大きな頭部における先端部22Xと、この先端部22Xを保持した際の保持部121Xについて示している。これに対して、サイズが小さな頭部における先端部22Yと、この先端部22Yを保持した際の保持部121Yについて、実線にて示している。この図から明らかなように、幅が狭い先端部22Y、及び幅が広い先端部22Xは
、いずれもリブ141に当接した状態で保持部121(121Y,121X)に保持される。
【0061】
以上のように、本実施例に係るカバー100によれば、リブ141によって、先端部22の先端側への移動が規制されるため、幅の狭い先端部22Yであっても、保持部121に保持される領域が少なくなってしまうことを抑制することができる。これにより、幅の狭い先端部22Yであっても、保持部121によって安定的に保持することができる。なお、本実施例においては、実施例1における第3ストッパ部140にリブ141を設ける場合の構成を示したが、実施例2~5における第3ストッパ部140にリブ141を設ける構成を採用することもできる。
【0062】
(その他)
上記各実施例で示した連結部は、一対の保持部121のうち、頭部20の挿入口側とは反対側に片寄った位置、又は、頭部20の挿入口側に片寄った位置設けられる場合を示した。このように、連結部を、頭部20の挿入口側とは反対側、又は挿入口側に片寄った位置に設ける理由について、図15を参照して説明する。
【0063】
一対の保持部121による頭部20(柄10の先端部22)に対する保持力は、連結部が設けられる部分(連結部と保持部121との接続部分)で最も大きくなる。仮に、連結部を、一対の保持部121のうち、頭部20の挿入口側とその反対側と間の中心付近に設けた場合には、頭部20の中央付近(矢印S参照)での保持力が最も高くなる。この場合、頭部20は、カバーに対して、図中、矢印T方向への移動の規制があまり効かなくなってしまう。従って、上記のように、連結部は、柄10の先端部22の大きさに関わらず保持力が伝達されるように、頭部20の挿入口側とは反対側、又は挿入口側に片寄った位置に設けるのが望ましい。
【0064】
なお、各実施例において示した各種連結部と各種第2ストッパ部については、上記各実施例で示した組み合わせ以外の組み合わせでも適用可能である。ただし、少なくとも一か所に連結部を設ける必要がある。また、上記各実施例では、最大2か所に連結部を設ける構成を示したが、3か所以上に連結部を設けてもよい。第2ストッパ部については、設けなくても良いし、一か所又は二か所以上設けてもよい。また、実施例5でも説明した通り、連結部の形状は各実施例で示した形状に限定されることはない。同様に、第2ストッパ部の形状についても、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0065】
1…歯ブラシ
10…柄
20…頭部
21…植毛部 22…先端部
100,100A,100B,100C,100D…カバー
110…基部
120…側壁
121…保持部 122…傾斜部 123a,123b…リブ 125…第1ストッパ部
130…ストッパ機能部
131a,131b,131c,131d,131e…連結部
132,132a,132b,132c…第2ストッパ部
140…第3ストッパ部
S1…第1隙間
S2…第2隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15