(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094325
(43)【公開日】2022-06-24
(54)【発明の名称】頸部支持装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20220617BHJP
A61F 5/01 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
A47G9/10 N
A47G9/10 T
A61F5/01 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021196740
(22)【出願日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】17/147,448
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202011467755.4
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110625030.1
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520276844
【氏名又は名称】ホー,ホイ ミン マイケル
【氏名又は名称原語表記】Ho,Hoi Ming Michael
【住所又は居所原語表記】H2,The Terrace at The Bloomsway,28 Tsing Ying Road,Tuen Mun,NT.,Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】ホー,ホイ ミン マイケル
【テーマコード(参考)】
3B102
4C098
【Fターム(参考)】
3B102AA01
3B102AA09
3B102AC02
4C098AA02
4C098BB03
4C098BC34
4C098BC42
4C098BD04
4C098BD14
(57)【要約】
【課題】調整可能なインフレータブル頸部支持装置を提供する。
【解決手段】頸部支持装置Sは、支持部S1および載置部S2を含み、載置部の上面の高さが支持部の上面の高さよりも低い。支持部に中央支持体11が設けられ、中央支持体の中に第1のインフレータブルエアバッグ13が内蔵されている。頸部支持装置には、2つの第2のインフレータブルエアバッグ19が設けられている。インフレータブル装置15は、第1および第2のインフレータブルエアバッグと接続されている。頸部支持装置の上面は、使用者の頸部を支持するように調整可能である。インフレータブル装置は、第1および第2のインフレータブルエアバッグを膨張または収縮させることによって、頸部支持装置の上面を変位させ、第1および第2のインフレータブルエアバッグに配置されている中央支持体および/または頸部支持装置の上面による頸部に対する支持力を調整する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能なインフレータブル頸部支持装置であって、
使用者の頸部を支持する上面と、第1の凹溝および前記第1の凹溝の両側にそれぞれ位置する2つの第2の凹溝が凹設される底面と、を含む、中央支持体と、
変位軸に沿って膨張または収縮し、前記中央支持体の上面を前記変位軸に沿って変位させ、前記第1の凹溝に収容される、第1のインフレータブルエアバッグと、
前記変位軸に沿って膨張または収縮し、当該頸部支持装置の上面を前記変位軸に沿って変位させ、前記第2の凹溝のそれぞれに収容される、2つの第2のインフレータブルエアバッグと、
前記第1のインフレータブルエアバッグおよび複数の前記第2のインフレータブルエアバッグと接続され、前記第1のインフレータブルエアバッグおよび複数の前記第2のインフレータブルエアバッグの膨張または収縮寸法を調整するように、前記第1のインフレータブルエアバッグおよび複数の前記第2のインフレータブルエアバッグを膨張または収縮させる、インフレータブル装置と、
を具備し、
少なくとも支持部および載置部を含み、前記支持部は、前記中央支持体および前記第1のインフレータブルエアバッグを含み、前記載置部は、仰向けでの使用者の後頭部位置を支持し、前記載置部の上面の高さが前記支持部の上面の高さよりも低い、ことを特徴とする、頸部支持装置。
【請求項2】
前記インフレータブル装置は、
複数のチューブと、
複数の前記チューブのうちの1つに組付けられる第1の空気弁と、
複数の前記チューブのうちの別のチューブにそれぞれ組付けられる少なくとも1つの第2の空気弁と、
複数の前記チューブを介して前記第1のインフレータブルエアバッグおよび複数の前記第2のインフレータブルエアバッグにそれぞれ連通する、少なくとも1つのインフレータブル部と、
を含み、
少なくとも1つの前記インフレータブル部は、前記第1の空気弁が開状態である場合に、前記第1のインフレータブルエアバッグを膨張または収縮させることができ、前記第2の空気弁が開状態である場合に、複数の前記第2のインフレータブルエアバッグを膨張または収縮させることができる、請求項1に記載の頸部支持装置。
【請求項3】
前記第1のインフレータブルエアバッグは、対応する前記変位軸に沿って第1の最大膨張状態に膨張することが可能であり、前記第1のインフレータブルエアバッグが前記変位軸に沿って膨張する最大高さは、5.5cm~9.5cmである、請求項1に記載の頸部支持装置。
【請求項4】
複数の前記第2のインフレータブルエアバッグのうちの少なくとも1つの前記第2のインフレータブルエアバッグは、前記変位軸に沿って第2の最大膨張状態に膨張することが可能であり、前記第2のインフレータブルエアバッグが前記変位軸に沿って膨張する最大高さは、6.5cm~10.5cmである、請求項1に記載の頸部支持装置。
【請求項5】
枕カバーおよび前記枕カバーに固定される複数の理学療法部が設けられ、
少なくとも1つの前記理学療法部は、使用者の頸部とフィットするように前記枕カバーにおける前記中央支持体と対応した位置に配置されるとともに、理学療法装置と電気的に接続し、前記理学療法装置から受電する、請求項1に記載の頸部支持装置。
【請求項6】
複数の前記理学療法部の少なくとも1つには電気療法ユニットが設けられ、前記電気療法ユニットは前記理学療法装置から受電し、使用者の頸部に電気刺激を出力する、請求項5に記載の頸部支持装置。
【請求項7】
複数の前記理学療法部の少なくとも1つには温熱療法ユニットが設けられ、前記温熱療法ユニットは、前記理学療法装置からの受電による発熱によって使用者の頸部を加温する、請求項5に記載の頸部支持装置。
【請求項8】
複数の前記理学療法部の少なくとも1つには電気療法および温熱療法混合ユニットが設けられ、前記電気療法および温熱療法混合ユニットは前記理学療法装置から受電し、使用者の頸部に電気刺激を出力しながら、使用者の頸部を加温する、請求項5に記載の頸部支持装置。
【請求項9】
枕本体および前記枕本体にかぶせる枕カバーを含み、
前記第1のインフレータブルエアバッグおよび複数の前記第2のインフレータブルエアバッグは、前記枕本体内に位置し、
前記インフレータブル装置は、前記枕本体および前記枕カバーの外部に位置し、
複数のチューブは、前記枕カバーを通って前記枕本体内に延在する、請求項1に記載の頸部支持装置。
【請求項10】
前記第1のインフレータブルエアバッグおよび前記第2のインフレータブルエアバッグのそれぞれは、延伸可能な上端部および延伸不可能な底端部を有する、請求項1に記載の頸部支持装置。
【請求項11】
前記第1のインフレータブルエアバッグには、弧状の第1の端部および前記第1の端部に対応する第2の端部が設けられ、
前記第1の端部は、前記第1の凹溝の上部内面と対向するように構成され、前記第2の端部は平坦面であり、前記第1の凹溝の底端部開口に対向するように構成され、
少なくとも1つの前記第2のインフレータブルエアバッグには、平坦な上端部および前記平坦な上端部に対応する平坦な底端部が設けられ、
前記平坦な上端部は、前記第2の凹溝の上部内面と対向するように構成され、前記平坦な底端部は、前記第2の凹溝の底端部開口に対向するように構成される、請求項1に記載の頸部支持装置。
【請求項12】
前記第2の凹溝は前記第1の凹溝よりもサイズが大きく、
非膨張状態にある前記第2のインフレータブルエアバッグの長さまたは体積の少なくとも1つが、非膨張状態にある前記第1のインフレータブルエアバッグよりも大きい、請求項1に記載の頸部支持装置。
【請求項13】
前記中央支持体は前記載置部の中央部分よりも硬く、
使用者の頸部が前記中央支持体にかかると、前記中央部分は使用者の後頭部に対応するように位置する、請求項1に記載の頸部支持装置。
【請求項14】
前記第2の凹溝に対応する枕本体の側方部は、前記支持部の一部および前記載置部の一部を含み、
前記側方部は前記載置部の他の部分よりも硬い、請求項1に記載の頸部支持装置。
【請求項15】
調整可能なインフレータブル頸部支持装置の製造方法であって、
使用者の頸部を支持するように用いられる支持上面と、使用者が仰向けで使用する際に使用者の後頭部を載置するように用いられ、前記支持上面より高さが低い載置上面と、第1の凹溝および前記第1の凹溝の両側に配置された2つの第2の凹溝が形成された底面と、を有する枕本体を形成することと、
前記枕本体の底端部の内周縁と対応する縁部を有する底板を形成することと、
第1のインフレータブルエアバッグを前記第1の凹溝に配置し、2つの第2のインフレータブルエアバッグをそれぞれ前記第2の凹溝に対応するように配置し、複数のチューブをそれぞれ前記第1のインフレータブルエアバッグおよび前記第2のインフレータブルエアバッグに組み込むことと、
前記枕本体の底端部の内周縁を前記底板の前記縁部に貼り付け、前記枕本体と前記底板とを組み合わせて当該頸部支持装置を形成し、前記第1のインフレータブルエアバッグおよび前記第2のインフレータブルエアバッグを当該頸部支持装置内に収容することと、
を含む、頸部支持装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頸部支持装置に関し、特に、独立して調整可能な3つのインフレータブルエアバッグを内部に備えた頸部支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の枕のデザインは、通常、綿球、成形発泡体(shaped foam)、発泡体チップ(foam chips)、発泡体ストリップ(foam strips)などの空気を含んだ柔らかいフワフワした素材を袋に詰めて製造される。従来の枕は、使い始めは確かに良い柔らかさと反発力を持っているが、時間が経つにつれて徐々にそのふんわり感が減少し、支持力に悪影響を及ぼす。また、枕は柔らかいふんわりとした素材でできているため、長時間頭や頸部に押し当てていると、枕が変形していく。このように、使用者が枕に頭を載せると、使用者の頭の角度が低すぎたり高すぎたりする。前述の状況では、頸部の筋肉に過度の緊張や疲労が生じ、頸部や肩部の痛み、頸部疾患に伴う頭痛(cervicogenic headaches)が発生するのみならず、呼吸のスムーズさにも影響が出るかもしれない。また、従来の枕では、長時間圧迫されることで中のふわふわした素材が変形したり絡まったりして通気性が悪くなる。通気性の悪い枕では中の空気の流れが制限されるため、仰向けや横向きで寝ることに慣れている使用者の健康に悪影響を及ぼしたり、睡眠時無呼吸症候群の使用者にとっては安全上の問題になったりすることがあった。また、従来の枕は、異なる使用者の体型や睡眠習慣に適合せず、使用者の頭や頸部の高さに合わせて高さを調整することができないため、使用者の頭部、頸椎、上部胸椎を適切に支持し、それらをニュートラルな解剖学的脊椎アライメント(neutral anatomical spinal alignment)に回復・維持することができないという問題があった。さらに、成型枕(または整形外科用枕(orthopedic pillows))の場合、例えば、使用する発泡体が柔らかすぎたり、硬すぎたりすることがある。例えば、高密度の弾力性のある発泡体で作られた成型枕は、硬いため、形状が使用者に適合しない場合、使用者の頸部に痛みや不快感を与えることがある。また、より柔らかいメモリーフォームで作られた成型枕は、高密度の弾力性のある発泡体よりも使用者の頸部や頭にフィットするが、柔らかすぎて元の成型形状に戻らないことが多く、使用しているうちに徐々に平らになってしまい、使用者の頭や頸部の形状に合わなくなってしまう。さらに、枕の素材は通常、内側も外側も同じであるため、枕の表面全体が同じ柔らかさや硬さになり、使用者の体の部位の違い(頭、頸部など)によって柔らかさや硬さが変化することはないという。その結果、使用者の頭や頸部が支えられず、痛みや不快感が生じたり、枕の発泡密度が高すぎたり低すぎたりすると、枕の使用感が悪くなり、使用者に不快感を与えたりする。成型された枕の形状が使用者の頸部や頭の形状に合わない場合にも、使用者に不快感や痛みを与えたりする。
【0003】
頚椎の上端が頭蓋骨に、頚椎の下端が胸椎につながっていることを考えると、前述の問題の重要性が過大評価されることはないとより明確になる。なお、現代人は、事故やスポーツによる怪我、転倒などが原因で、頚椎症(または頚椎症候群、頚椎症性関節症)に悩まされることが多くなっている。特に、悪い生活習慣(携帯電話やゲーム機、パソコンを、頭を下げて長時間操作する、不適切な立ち姿勢や座り姿勢など)や、頸部を長時間固定したままにする仕事(運転など)、過度の心理的ストレスなどにより、時間の経過とともに頸部の筋肉が硬くなる場合も少なくない。その結果、時間の経過とともに筋肉が硬くなったり短くなったりして、頚椎の姿勢が悪くなることがある。これにより、姿勢が悪くなり、さらには頚椎の関節の変形や変性、椎間板の膨らみ(過度の圧迫)が生じ、神経インピンジメント(nerve impingement)、関節炎、関節痛、椎間板の早期変性や菲薄化などが起こり、最終的には腕の痛みやしびれ、慢性頭痛、慢性疲労、不眠、慢性的な頸部や肩の痛みなどの症状に発展していく。
【0004】
頚椎症、特に慢性的な頸部や肩部の機能障害の多くは、頸部や肩部上部の筋肉の緊張や、頚椎の関節や椎間板に過度の圧力がかかることなどが原因である。前述のような状態では神経の刺激(irritation)やインピンジメント(impingements)が起こりやすく、ほぼ毎日頸部や肩部が痛くなり、特に一日中仕事をすると痛みが悪化している。このように、患者はリラックスして夜眠ることができない場合もある。さらに、市販の枕は頸椎症の患者にはほとんど効果がなく、前述の市販の枕で長時間休むと、頸部や肩の痛み、頭痛、腕のしびれなどがひどくなることがある。
【0005】
実際には、ほとんどの患者が従来の治療に必要な時間や費用を捻出できず、治療を受けることができず、不必要な苦しみを抱えているのが現状である。また、たとえ治療を受けたとしても、多くの人は必要な治療を適切に提供してくれる医療機関を利用できず、効果的な救済を受けられないままになっている。治療が受けられない、あるいはうまくいかない場合、鎮痛剤やクリーム、パッチなどを試す患者もいるが、これらの薬の効果は限定的で、長期的に使用すると重篤な副作用が出ることもある。
【0006】
人の頭部や頸部は、大きさ、形、長さ、柔軟性などがそれぞれ異なるため、従来の詰め物や成型品の枕では、人に応じて頭部や頸部を完璧に支持することは困難である。さらに、人は睡眠中にも寝返りを打つため、仰臥および横臥のいずれか一方に適しているとしても、からだの向きが変わると、従来の充填式や成型式の枕は、頭部や頸部をうまく支持することができなくなる。すなわち、一定の密度や形状を持つ単一サイズの枕では、仰向けでも横向きでも頭部や頸部を十分に支えられない。使用者の頭、頚椎、上背部をニュートラルな解剖学的脊椎アライメント(neutral anatomical spinal alignment)で支え、維持するのに役立たない枕で寝ると、背骨のズレ、傍脊柱筋の緊張、神経の炎症や痛みを引き起こし、急性または慢性の頸部や肩の痛み、頚椎原性頭痛、上肢のしびれなどの症状を引き起こす可能性がある。そのため、頸部や肩に違和感や痛みがあると、睡眠や深い眠りにさらに支障を来す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記から明らかなように、多くの使用者は、仰向けか横向きかにかかわらず、頚椎の適切な支持がなく、休息時や睡眠時に頭部、頚椎、上部胸椎をニュートラルな解剖学的脊椎アライメント(neutral anatomical spinal alignment)に回復・維持することができない。そのため、慢性的な頭痛、慢性的な頸部や肩の機能障害、その他、頸部の筋肉の硬さ、頚椎の関節への過度の圧迫、椎間板の変性や膨らみ、神経の圧迫や炎症などに起因する痛みに悩まされ、良い解決策が得られないまま、健康や生活の質の低下を招く。そのため、仰向けで寝る者または横向きで寝る者の頸部の輪郭および睡眠習慣に頸部支持装置を適合させることができるように、前述の問題を効果的に解決し、それによって睡眠または休息の快適性を高め、頸椎の治療に費やす多大な時間および/または費用を必要とせず、適切かつ調節可能な頸部支持によって、人々が自分で頸椎の症状を軽減および/または防止できるようにすることが本発明にとって重要なポイントである。
【0008】
本発明者は、既存の頸部支持装置が依然として前述のような欠点を持っていることに鑑み、長い間、熱心に研究と実験を行った結果、本発明を開発した。調節可能な膨張式の頸部支持装置を導入することで、より良いユーザー体験を提供し、既存の問題を効果的に解決することを目的とする。
【0009】
本発明にかかる1つの実施形態は、頸部支持装置における3つの別個の中空凹溝に埋め込まれた調整可能なエアクッション、例えば、インフレータブルエアバッグを3つ備えた、枕形状の頸部支持装置に関するものである。いくつかの実施形態では、頸部支持装置は、成形された発泡体で作られてもよい。頸部支持装置の形成材料と調整可能なインフレータブルエアバッグによって、仰向け、横向きを問わず、使用者の頭部、頸椎、上部胸椎が一直線に並ぶまで、使用者の頭部および/または顔面を持ち上げる効果を果たすことができる。この調節可能な頸部支持装置は、使用者が仰向けや横向きで寝たときに、頭、頸椎、上部胸椎を自然なニュートラルな背骨の位置と配列に保つように自分で調節でき、痛みや不快感を防ぐことが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的課題を解決するために、本発明に採用される技術的手段の1つとしては、調整可能なインフレータブル頸部支持装置を提供することである。頸部支持装置は、中央支持体と、第1のインフレータブルエアバッグと、2つの第2のインフレータブルエアバッグと、インフレータブル装置と、を具備する。
中央支持体は、使用者の頸部を支持する上面と、第1の凹溝および第1の凹溝の両側にそれぞれ位置する2つの第2の凹溝が凹設される底面とを含む。
第1のインフレータブルエアバッグは、変位軸に沿って膨張または収縮し、中央支持体の上面を変位軸に沿ってさせ、第1の凹溝に収容される。
2つの第2のインフレータブルエアバッグは、変位軸に沿って膨張または収縮し、頸部支持装置の上面を変位軸に沿って変位させ、第2の凹溝のそれぞれに収容される。
インフレータブル装置は、第1のインフレータブルエアバッグおよび複数の第2のインフレータブルエアバッグと接続され、第1のインフレータブルエアバッグおよび複数の第2のインフレータブルエアバッグの膨張または収縮寸法を調整するように、第1のインフレータブルエアバッグおよび複数の第2のインフレータブルエアバッグを膨張または収縮させる。
頸部支持装置は、少なくとも支持部および載置部を含む。支持部は、中央支持体および第1のインフレータブルエアバッグを含む。載置部は、仰向けでの使用者の後頭部位置を支持し、載置部の上面の高さは支持部の上面の高さよりも低い、ことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、インフレータブル装置は、手動デバイスまたは電動デバイスであってもよい。使用者はインフレータブル装置を操作し、第1のインフレータブルエアバッグおよび第2のインフレータブルエアバッグの膨張または収縮寸法を調整することで、中央支持体および/または頸部支持装置におけるそれぞれのエアバッグに対応する上面領域が使用者の頸部にかける力を調整し得る。それによって、頭部、頚椎、上部胸椎をニュートラルな解剖学的脊椎アライメント(neutral anatomical spinal alignment)に戻し、維持することができる。
【0012】
好ましくは、インフレータブル装置は、複数のチューブと、複数のチューブのうちの1つに組付けられる第1の空気弁と、複数のチューブのうちの別のチューブにそれぞれ組付けられる少なくとも1つの第2の空気弁と、複数のチューブを介して第1のインフレータブルエアバッグおよび複数の第2のインフレータブルエアバッグにそれぞれ連通する、少なくとも1つのインフレータブル部と、を含む。少なくとも1つのインフレータブル部は、第1の空気弁が開状態である場合に、第1のインフレータブルエアバッグを膨張または収縮させることができ、第2の空気弁が開状態である場合に、複数の第2のインフレータブルエアバッグを膨張または収縮させることができる。
【0013】
好ましくは、第1のインフレータブルエアバッグおよび第2のインフレータブルエアバッグのそれぞれは、延伸可能な上端部および延伸不可能な底端部を含む。
【0014】
好ましくは、第1のインフレータブルエアバッグおよび第2のインフレータブルエアバッグが膨張する場合、使用者の所望の膨張程度に対応する十分な空間を確保するために、第1の凹溝および第2の凹溝は特定の寸法を有する。それによって、使用者は、ニーズに応じて頸部支持装置の硬さ/柔らかさ、および、高さを調整することができる。エアバッグのうち少なくとも1つは、膨張によって延伸可能な上端部と、膨張によって延伸不可能か、あるいは、膨張率が最小の底端部とを含む。そのように、膨張する場合、エアバッグの大部分の領域は頸部支持装置に載った使用者に向かって上向きに膨張するが、頸部支持装置の底端部に向かう膨張は抑えられる。このような構造によって、エアバッグが膨張している時、使用者の頸部および頭部を支えることができるが、頸部支持装置の底端部にかかる力が過大なことによる頸部支持装置の損傷を避けることができる。すなわち、エアバッグが、弾性/膨張率が最も小さい底端部を有するように構成することは、頸部支持装置の構造の損傷を防ぎながら、使用者に向かって上向きの膨張を導くことに役立つ。
【0015】
好ましくは、第1のインフレータブルエアバッグには、弧状の第1の端部、および第1の端部に対応する第2の端部が設けられる。第1の端部は、第1の凹溝の上部内面と対向するように構成され、第2の端部は平坦面であり、第1の凹溝の底端部開口に対向するように構成される。少なくとも1つの第2のインフレータブルエアバッグには、平坦な上端部および平坦な上端部に対応する平坦な底端部が設けられる。平坦な上端部は、第2の凹溝の上部内面と対向するように構成され、平坦な底端部は、第2の凹溝の底端部開口に対向するように構成される。
【0016】
好ましくは、第1の凹溝に位置する第1のインフレータブルエアバッグは半チューブ状を呈し、弧状の第1の端部を有する。第1の端部は、第1の凹溝の上部内面に対向するように構成されてもよい。第1の端部に対応する第2の端部は平坦面であり、第1の凹溝の底端部開口に対向するように構成されてもよい。第1のインフレータブルエアバッグが膨張する場合、例えば、使用者が能動的に第1のインフレータブルエアバッグを膨張させる場合では、第1のインフレータブルエアバッグは、使用者の頸椎の解剖学的な形態(anatomical shape)にフィットするように、仰向けの姿勢で頸部支持装置に寝る使用者の頸椎後側に向かって上向きに膨張する。使用者がエアバッグを自身の要望に応じた高さおよび柔らかさ/硬さに調整すると、頸部支持装置の構成素材(整形外科用メモリーフォームなど)と、その内部から支持する膨張後のインフレータブルエアバッグとの連携によって、頸部支持装置は、仰向けでの使用者の頸部の湾曲に心地よくフィットする。使用者の頭部および頸部にカスタマイズされた支持を提供することによって、頭、頸椎および上部胸椎をニュートラルな解剖学的脊椎アライメントに保つように調節でき、仰向けで寝ることによる痛みや不快感を防ぐことが可能である。
【0017】
好ましくは、第2の凹溝は第1の凹溝よりもサイズが大きい。非膨張状態にある第2のインフレータブルエアバッグの長さまたは体積の少なくとも1つが、非膨張状態にある第1のインフレータブルエアバッグよりも大きい。
【0018】
好ましくは、第2の凹溝に位置決めされる第2のインフレータブルエアバッグは、頸部支持装置の側方部を規定する。側方部とは、使用者が頸部支持装置の一側に横向きで寝る場合、頸部支持装置における使用者の頭部、顔および頸部がかかる位置をいう。第2のインフレータブルエアバッグが非膨張状態での長さおよび/または体積は、非膨張の第1のインフレータブルエアバッグよりも大きいため、より大きな表面積を形成し得る。より大きな表面積は、横になっている使用者の頭や顔を含む横顔の表面積のほとんどをカバーできる。第2の凹溝の各々は、第1の凹溝よりも大きく、第2のインフレータブルエアバッグの少なくとも1つは、第2の凹溝の上部内面に面する平坦な上端部と、平坦な上端部とは反対側の、第2の凹溝の底部開口部に面する平坦な底部とを有する。平坦な底部は非弾力性/非膨張性であるため、第2のエアバッグを膨らませたときに下方への膨らみは最小限に抑えられ、平坦な上部は膨張性を有し、膨らませたときに使用者の頭、顔、頸部の側に向かって上方に膨らむ。第2の凹溝に配置された第2のインフレータブルエアバッグのそれぞれと、頸部支持装置の側方部とは、使用者が対応する側方部に、例えば、頸部支持装置の右側に寝ているときは右側の側方部、あるいは、使用者が頸部支持装置の左側に寝ているときは、左側の側方部に、寝ている使用者の頭部と頸部を支えることができる。また、エアバッグの膨張サイズは、大人から子供まで、また、頭部と頸部の大きさ、肩幅、頸部の硬さが異なる使用者にも対応できるように、幅広い支持とリフトアップを実現できる。
【0019】
エアバッグの少なくとも1つの上面と側面は、柔らかく柔軟な熱可塑性素材で作られており、低圧での膨張時に容易に膨張させることができ、経年変化による空気の漏れを抑えることができる。また、使用者が頸部支持装置上で動くことによる過度の騒音が、使用者の睡眠を妨げることがないように配慮される。
【0020】
好ましくは、また、第2の凹溝の第2のインフレータブルエアバッグは、第1の凹溝の第1のインフレータブルエアバッグとは独立して膨張させるか、あるいは、頸部支持装置に別の空気弁を設けて、第2のインフレータブルエアバッグと第1のインフレータブルエアバッグが互いに独立した膨張システムを持つようにすることもできる。また、第1のインフレータブルエアバッグの必要な膨らみ具合と、第2のインフレータブルエアバッグの必要な膨らみ具合が異なることが多いため、各インフレータブルエアバッグの必要な膨らみ具合を区別するために、独立したインフレータブル部や空気弁を設けて独立した膨張システムを形成する。使用者が第2のインフレータブルエアバッグを膨らませて、頸部支持装置の側方部の高さと柔らかさ/硬さを所望のレベルにすると、第2のインフレータブルエアバッグは、左または右の側方部に寝ている使用者の頭部、顔、頸部に向かって上向きに膨らむことができる。
【0021】
好ましくは、1つまたは複数のインフレータブル部は、手動ポンプ、例えば1つまたは複数の手動圧力式膨張ポンプ、または1つまたは複数の動力式ポンプ、例えば電動式膨張ポンプであってもよい。かつ、エアバッグは、チューブの配置関係が異なることで、各インフレータブル部によって膨らませることが可能である。例えば、複数の第2のインフレータブルエアバッグは、同時に膨張または収縮できるようにチューブと互いに接続され、一方、第1のインフレータブルエアバッグは、第2のインフレータブルエアバッグと独立してチューブに接続され、第1のインフレータブルエアバッグの膨張および収縮を第2のインフレータブルエアバッグとは独立して調整することができる。
【0022】
インフレータブル装置は、手動ポンプまたは動力式ポンプと、チューブに取り付けられた複数の空気弁で構成され、それぞれのエアバッグへの空気の出入りを制御することが可能である。
【0023】
好ましくは、各エアバッグは、頸部支持装置の第1の凹溝と第2の凹溝の内部に深く埋め込まれている。各エアバッグは、その側面と上面の少なくとも一部が、より良い快適性の効果を確保するためにモールド発泡体で構成される枕本体によって覆われてもよい。逆に、インフレータブルエアバッグを覆う発泡体などの素材を持たずに、膨らませたエアバッグだけを含むように頸部支持装置を設計した場合、頸部支持装置が使用者の頭や頸部にフィットせず、使用者に不快感を与えることになる。これを踏まえて、本願発明の頸部支持装置の設計では、エアバッグのフィット感、頸部支持装置の製造に使用される材料の可鍛性、およびその成形形状を考慮して対処している。したがって、使用者が仰向けや横向きで寝たときに、最大の快適性を得るために、頸部支持装置の高さ、柔らかさ/硬さ、サイズ、および形状をカスタマイズするように、使用者が頸部支持装置を容易に調整することができる。
【0024】
好ましくは、使用者が仰向けの姿で頸部支持装置に横たわったときに、使用者の後頭部に対応する頸部支持装置の領域は、使用者の頸部に対応する領域よりも柔らかく、頭が枕に快適に沈むことができるようになる。同時に、頸部に対応する領域は、例えば、使用者が頸部を中央支持体に寝かせたときに、載置部における使用者の後頭部に対応する中央領域よりも硬いので、頸部をよりよく支えることができる。
【0025】
好ましくは、使用者が仰向けの姿で頸部支持装置に横たわったとき、頸部支持装置における後頭部に対応する領域は側方部よりも柔らかい。すなわち、頸部支持装置の側方部は硬く、使用者が横たわったときにより多くの支持を提供し、例えば、枕本体において、第2の凹溝に対応する支持部と載置部の側方部は、載置部の残りの部分よりも硬くなっている。
【0026】
好ましくは、中央支持体は、載置部の中央部分よりも硬く、中央部分は、中央支持体に使用者の頸部を置いた状態での使用者の後頭部に対応している。
【0027】
好ましくは、第2の凹溝に対応する枕本体の側方部には、支持部の一部と載置部の一部とが含まれており、側方部は載置部の他の部分よりも硬い。
【0028】
好ましくは、硬さの違いを実現するために、枕本体に複数の穴を設け、後頭部に対応する頸部支持装置の中央部には、より大きな穴を設けて、枕本体の素材をより柔らかくし、頭部の重みでより大きな変形を生み出すようにしてもよい。より多くの支持を必要とする頸部支持装置の他の部分は、頭の重みで当該他の部分の枕本体の素材が柔らかくなりすぎたり、変形したりする可能性を減らすために、より小さな穴を設けるようにしてもよい。また、使用者にとっても、枕本体の素材に穴が開いていることで、通気性が良くなり、寝心地が涼しくなり、持ち運びにも軽くなる。頸部支持装置の様々な部分の穴の大きさが異なることで、頸部支持装置の自己形成機能(self-conforming)がさらに高まり、使用者にさらなる快適性を提供することができる。いくつかの実施形態では、枕本体には、電極ユニットなどの理学療法部が固定された、着脱可能な布や生地、または一般的な枕カバーが取り付けられてもよい。理学療法部は、使用者が仰向けの姿で頸部支持装置に横になったときに、頸部の後ろ側と肩の上側の少なくとも一方に対応するように配置される。電気治療を行いたい頸部や肩の痛みがある使用者にとって、本発明に従って理学療法部が前述の位置に固定された着脱可能な布または生地は、頭痛および/または頸部や肩の痛みなどの症状を効果的に治療するために、使用者が理学療法部を使用者の頸部や上肩の裏側のどこに配置する必要があるかを知らなくても、簡単に電気治療のターゲットとすることができる。枕カバーの理学療法部は、頸部の上部および頸部の下部と肩の上部の接合部の神経と筋肉を刺激するように配置されており、導電性材料および/または粘性ゲルを有するか、またはそれらで作られており、筋肉の緊張と痛みを軽減するために電気療法機器と組み合わせて使用することができる。
【0029】
好ましくは、第1のインフレータブルエアバッグは、変位軸に沿って第1の最大膨張状態まで膨らませることができ、第1のインフレータブルエアバッグは、第1の最大膨張状態となった場合の変位軸に沿った高さが5.5cm~9.5cmである。
【0030】
好ましくは、複数の第2のインフレータブルエアバッグのうち少なくとも1つは、変位軸に沿って第2の最大膨張状態まで膨らませることができ、第2のインフレータブルエアバッグは、第2の最大膨張状態となった場合の変位軸に沿った高さが6.5cm~10.5cmである。
【0031】
好ましくは、頸部支持装置は、枕カバーと、枕カバーに固定された複数の理学療法部とをさらに備える。理学療法部のうち少なくとも1つは、中央支持体に対応する位置で枕カバーに固定され、使用者の頸部に当てることができ、理学療法装置から電力を受け取るために理学療法装置に電気的に接続される。
【0032】
好ましくは、複数の理学療法部のうち、少なくとも1つの理学療法部には、電気療法ユニットが設けられており、電気療法ユニットは、理学療法装置から電力を受けて、使用者の頸部に電気刺激を出力する。
【0033】
好ましくは、複数の理学療法部のうち、少なくとも1つの理学療法部には、温熱療法ユニットが設けられており、温熱療法ユニットは、理学療法装置から電力の供給を受けて発熱し、使用者の頸部を温める。
【0034】
好ましくは、複数の理学療法部のうち、少なくとも1つの理学療法部には、電気療法および温熱療法混合ユニットが設けられている。電気療法および温熱療法混合ユニットは、理学療法装置から電力を受けて使用者の頸部に電気刺激を出力するとともに、使用者の頸部を温める。
【0035】
好ましくは、頸部支持装置は、枕本体と枕カバーとを備える。枕カバーは枕本体を覆うことが可能であり、第1のインフレータブルエアバッグおよび複数の第2のインフレータブルエアバッグは、枕本体内に配置される。インフレータブル装置は枕本体および枕ケースの外側に配置され、複数のチューブは枕ケースを貫通して枕本体内に延在する。
【0036】
本発明に採用される別の技術的手段は、調整可能なインフレータブル頸部支持装置の製造方法を提供することであり、製造方法は以下を含む。
使用者の頸部を支持するように用いられる支持上面と、使用者が仰向けで使用する際に使用者の後頭部を載置するように用いられ、前記支持上面より高さが低い載置上面と、第1の凹溝および前記第1の凹溝の両側に配置された2つの第2の凹溝が形成された底面と、を有する枕本体を形成すること。
枕本体の底端部の内周縁と対応する縁部を有する底板を形成すること。
第1のインフレータブルエアバッグを第1の凹溝に配置し、2つの第2のインフレータブルエアバッグをそれぞれ第2の凹溝に対応するように配置し、複数のチューブをそれぞれ第1のインフレータブルエアバッグおよび第2のインフレータブルエアバッグに組み込むこと。
枕本体の底端部の内周縁を底板の縁部に貼り付け、枕本体と底板とを組み合わせて頸部支持装置を形成し、第1のインフレータブルエアバッグおよび第2のインフレータブルエアバッグをいずれも頸部支持装置内に収容すること。
【0037】
本発明の特徴および技術的側面をよりよく理解するために、以下の本発明の詳細な説明および図面を参照されたい。これらの図面は、参照および説明のみを目的としており、本発明を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明にかかる頸部支持装置を示す模式図である。
【
図2】本発明にかかる頸部支持装置において、第1の/第2のエアバッグの相対位置を示す上面模式図である。
【
図3】本発明にかかる頸部支持装置に使用者が仰向けで寝る状態を示す側面図である。
【
図4】本発明にかかる頸部支持装置に使用者が仰向けで寝る状態を示す上面図である。
【
図5】本発明にかかる頸部支持装置に使用者が横向きで寝る状態を示す上面図である。
【
図6】本発明にかかる頸部支持装置に使用者が横向きで寝る状態を示す側面図である。
【
図7】本発明にかかる頸部支持装置を示す上面から見た分解模式図である。
【
図8】本発明にかかる頸部支持装置を示す下面から見た分解模式図である。
【
図9】本発明にかかる頸部支持装置における第1のインフレータブルエアバッグの膨張変化を示す模式図である。
【
図10】本発明にかかる頸部支持装置における第2のインフレータブルエアバッグの膨張変化を示す模式図である。
【
図11】本発明の別の実施形態にかかる頸部支持装置を示す上面模式図である。
【
図12】本発明の別の実施形態にかかる頸部支持装置を示す側面斜視図である。
【
図13】本発明の別の実施形態にかかる頸部支持装置を示すもう一方の側面斜視図である。
【
図14】本発明にかかる第1の実施形態において、リリース・ロック機構により理学療法装置を位置決め部材に固定する状態を示す模式図である。
【
図15】本発明にかかる第1の実施形態において、理学療法装置および位置決め部材を示す分解模式図である。
【
図16】本発明にかかる第1の実施形態において、理学療法装置、リリース・ロック機構および位置決め部材の詳細な構成を示す模式図である。
【
図17】本発明にかかる第1の実施形態において、理学療法装置、リリース・ロック機構および位置決め部材の詳細な構成を示す分解模式図である。
【
図18】本発明にかかる第2の実施形態において、理学療法装置が位置決め部材に固定された状態を示す模式図である。
【
図19】本発明にかかる第3の実施形態において、理学療法装置および位置決め部材を示す分解模式図である。
【
図20】本発明にかかる第3の実施形態において、理学療法装置および位置決め部材を示す分解模式図である。
【
図21】本発明にかかる第3の実施形態において、理学療法装置が位置決め部材に固定された状態を示す立体模式図である。
【
図22】本発明にかかる第3の実施形態において、理学療法装置および位置決め部材を示す分解模式図である。
【
図23】本発明にかかる第3の実施形態において、理学療法装置および位置決め部材の詳細な構成を示す分解模式図である。
【
図24A】本発明にかかる理学療法部に配置された電気療法ユニットを示す模式図である。
【
図24B】本発明にかかる理学療法部に配置された温熱療法ユニットを示す模式図である。
【
図24C】本発明にかかる理学療法部に配置された電気療法および温熱療法混合ユニットを示す模式図である。
【
図25】本発明にかかる頸部支持装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下は、本明細書に開示されている「調整可能なインフレータブル頸部支持装置およびその製造方法」の特定の実施形態によって本発明が実施される方法の説明であり、本明細書に開示されている本発明の利点および効果を当業者が理解することを可能にするものである。本発明は、他の具体的な実施形態によって実施または適用することができ、本明細書の詳細は、異なる見解や用途に基づいて、本発明のアイデアから逸脱することなく、様々に修正および変更することができるものとする。さらに、本発明の添付図面は簡単に例示したものに過ぎず、事前に述べたように実際の寸法を描写することを意図したものではない。以下の実施の形態では、本発明の関連する技術的側面をさらに詳細に説明するが、この開示は本発明の保護範囲を限定することを意図したものではない。さらに、本明細書で使用されている「または」という用語は、場合によっては、列挙された項目のいずれか1つまたは組み合わせを互いに関連させて含むことができる。
【0040】
さらに、本明細書で使用されている「実質的に(substantially)」または「同様(approximately)」という用語は、特定の値について当業者が認識または決定することができる複数の値の範囲または平均値を指す。特定の値を測定する際に生じる可能性のある特定の誤差を含めて、特定の値について当業者が認識または決定できる偏差の範囲内の値または複数の値の平均を指すことがあり、例えば、「実質的に(substantially)」で言及される値には、±5%、±3%、±1%、±0.5%、±0.1%または1つ以上の標準偏差範囲を含むことは説明しておきたい。
【0041】
本出願は、調整可能なインフレータブル頸部支持装置およびその製造方法に関するものである。説明を容易にするために、後続の文脈が互いに明確に示されていない限り、後続の実施形態では、
図1の右下を組立体の前側位置として、
図1の左上を組立体の後側位置として、
図1の右上を組立体の右側位置として、
図1の左下を組立体の左側位置として、
図1の上を組立体の上側位置として、
図1の下を組立体の下側位置として使用している。しかし、本発明はそれに限定されるものではない。特定の実施形態では、調整可能なインフレータブル頸部支持装置Sは、少なくとも1つの支持部S1と1つの載置部S2に分けられ、支持部S1と載置部S2の両方の上面は、載置部S2の上面の高さが支持部S1の上面の高さよりも低くなるように、頸椎の自然な湾曲に合うように人間工学的に設計されている。
【0042】
図1、
図3および
図4に示すように、使用者が仰向けの姿勢で頸部支持装置Sに寝た場合、載置部S2は、使用者の後頭部位置(例えば、
図3に示すように)に対応して使用者の後頭部を載置するとともに、支持部S1は使用者の頸部に対応して使用者の頸部を載置する。
図5および6を参照されたい。使用者が横向きの姿で頸部支持装置Sに寝た場合、載置部S2は使用者の頭部の側部(例えば、
図6に示すように)に対応して使用者の頭部の側部を載置するとともに、支持部S1は使用者の頸部の側部に対応して使用者の頸部の側部を載置する。支持部S1の輪郭は、人間の頸椎の頚椎前弯(cervical lordosis)と合わせて相応的な支持力を提供することによって、使用者の頭部、頸椎および上部胸椎を揃えて自然な状態にする。また、頸部支持装置Sは弾性があるため、使用者が頸部支持装置Sに寝る場合、頸部支持装置Sは変形することで、その上面が使用者の頭部および頸部の表面輪郭にフィットし、所望の載置および支持効果を果たせる。
【0043】
図7および
図8に示すように、本実施形態において、頸部支持装置Sは、枕本体1および枕カバー2を含む。枕カバー2内に嵌め込み空間20が設けられる。嵌め込み空間20は、枕本体1を覆うことによって、枕本体1を嵌め込み空間20に位置決めする。枕カバー2は着脱可能な布または織物であってもよい。枕カバー2に理学療法部21(例えば、電極ユニット)を固定することが可能であり、かつ、理学療法部21は、枕本体1の形状とマッチする輪郭を有してもよいが、本発明はこの例に制限されない。別の実施形態において、枕カバー2は一般的な枕カバーであってもよい。なかでも、枕カバー2は枕本体1と対応するように構成されるため、枕本体1を枕カバー2に装着した後、枕カバー2は依然としてはっきりと枕本体1の外形を示すことができる。そのため、便宜上、
図1において、枕カバー2で後述する枕本体1における対応する相対位置を示す。
【0044】
また、
図7および
図8に示すように、実施形態において、枕本体1は発泡材料および/または他の弾性体、あるいは/ならびに充填材・包装材(filling/packing)で構成される。枕本体1に支持部S1および載置部S2が設けられる。なかでも、支持部S1の中央位置に中央支持体11が配置される。中央支持体11の上面は、使用者の頸部(例えば、
図3に示すように)を支持し得る。また、頸部に対する支持効果をさらに向上させて、使用者の頸部を実質的に完全に支持するために、中央支持体11はさらに前方に延在するように構成されてもよい。そのように、中央支持体11が使用者の頸部にフィットする場合、使用者の頭部は自然に後ろに傾く。そのように、使用者の頭部を載置部S2にさらに安定的に固定させる。他の実施形態において、使用者が頸部を中央支持体11に置いた場合、使用者の頸部に対応する中央支持体11は、使用者の後頭部に対応する載置部S2の中央部分よりも固くなるように構成される。中央支持体11と載置部S2の中央部分との硬さの差により、頭部が枕本体1に心地よく沈み込み、また、中央支持体11が頸部を十分に支えることができる。他の実施形態では、硬さの違いは、枕本体1における穴の密度、穴の開口面積、直径および/または穴の位置の違いによるものである。例えば、載置部S2の中央部分の発泡材は、中央支持体11の穴よりも穴の密度分布が高く、穴の開口面積が大きく、および/または直径の大きい穴を有することによって、載置部S2の中央部分は中央支持体11よりも柔らかくなる。そのように、中央支持体11は中央部分よりも支持力が高くなる。他の実施形態では、中央支持体11は、載置部S2の全体より硬くてもよい。
【0045】
図7および
図8に示すように、中央支持体11の底面において第1の凹溝110が凹設され、かつ、第1のインフレータブルエアバッグ13は第1の凹溝110に収容されてもよい。第1の凹溝110は、少なくともその上部内面が第1の上方最大拡張程度まで伸長可能であるため、使用者が第1のインフレータブルエアバッグ13を膨張させる際に、膨張した第1のエアバッグ13が十分な空間が得られる。このように、使用者は、ニーズに応じて、第1のインフレータブルエアバッグ13の上面に対する頸部支持装置Sの高さや硬さ/柔らかさを調整することができる。この第1の上方最大拡張は、5cm~9cmとしてもよい。他の実施形態では、6.5cm~7.5cmとしてもよい。第1の凹溝110の底端部開口は、底板で覆われてもよい。例えば、
図8に示す底板16を参照されたい。この底板16は、プラスチック、金属、またはその他の非膨張性(non-expandable)、最小限の膨張性(minimal-expandable)、または発泡材料よりも膨張性の低い材料で作られてもよい。このように、第1のインフレータブルエアバッグ13が膨張する場合、第1のインフレータブルエアバッグ13の大部分は、頸部支持装置Sの上面に対応すると共に、枕の上で休んでいる使用者の頸部と頭部の方向を向いて上へ向いて膨張するようになる。同時に、頸部支持装置Sの底端部に対する過度の外向きの膨張力による頸部支持装置Sの損傷を防止するために、頸部支持装置Sの底部に向かう膨張を制限し、かつ第1のインフレータブルエアバッグ13は、第1の凹溝110の膨張可能な上側の内面とともに上方に向けて膨張する。他の実施形態では、第1の凹溝110は、収容空間を成形発泡体内から凹ませることによって形成し、第1の上方最大拡張程度の設定によって、第1のインフレータブルエアバッグ13を膨張させることができる程度を設定することができる。第1の凹溝110が第1のインフレータブルエアバッグ13を収容でき、第1のインフレータブルエアバッグ13を膨張または収縮することによって中央支持体11の上面を変位させることができる限り、第1の凹溝110は中央支持体11の底面に収容されていることを意味することは注意されたい。ここで、第1のインフレータブルエアバッグ13は、変位軸(例えば、
図7のZ軸)に沿って膨張または収縮するように膨らむことができる。特定の実施形態では、膨張していない第1のインフレータブルエアバッグ13の体積は、9cm
3~21cm
3であり、いくつかの実施形態では、14cm
3~17cm
3でもよい。膨張していない第1のインフレータブルエアバッグ13は、変位軸に沿って、上面が第1の凹溝110の上側内面に当たり、下面が底面開口部と同一平面に保持される。言い換えれば、底板16が第1の凹溝110の底端部開口を覆っている場合、第1のインフレータブルエアバッグ13は底板16に当接するようになる。かつ、第1のインフレータブルエアバッグ13の膨張していない側面は、第1の凹溝110の凹溝の縦軸および横軸に沿った内壁に当接する。凹溝の縦軸は、変位軸に対して垂直または実質的に垂直であると共に、頸部支持装置Sの前後方向に対して平行または実質的に平行である。凹溝の横軸は、凹溝の縦軸に対して垂直または実質的に垂直であると共に、かつ頸部支持装置Sの左右方向に対して平行または実質的に平行である。第1のインフレータブルエアバッグ13は、膨張していない状態において、第1の凹溝110の内壁に当たっている。それによって、第1のインフレータブルエアバッグ13と第1の凹溝110の内壁の膨張・展開にかかる連携関係の遅れを減し、第1のインフレータブルエアバッグ13の膨張による第1の凹溝110の変形をより効果的に行うことができる。そうではなく、第1の凹溝110と膨張していない第1のインフレータブルエアバッグ13との間に隙間がある場合、両者の対応関係の膨張・展開が遅れてしまうことがある。なお、本発明は上記の例に限定されない。特定の実施形態において、膨張していない第1のインフレータブルエアバッグ13の上側および下側の少なくとも一方は、変位軸に沿って第1の凹溝110の上側の内壁面と面一にならず、および/または、膨張していない第1のインフレータブルエアバッグ13の少なくとも一方の側は、第1の凹溝110の縦方向の軸または凹溝の横方向の軸に沿った4つの内壁面のいずれとも面一にならなくてもよい。
【0046】
第1のインフレータブルエアバッグ13がこの変位軸に沿って膨張または収縮すると、その膨張または収縮により、中央支持体11の上面がこの変位軸に沿って、例えば、上方または下方に変位する。他の実施形態では、第1のインフレータブルエアバッグ13は半チューブ状であり、第1の凹溝110の上部内面に面する湾曲した第1の端部と、第1の凹溝110の底端部開口に面する平坦な底部を有する対向する第2の端部とを有する。他の実施形態では、底部は非弾性であるか、または最小限の膨張力しかなく、第1のインフレータブルエアバッグ13が膨張すると、変位軸に沿った第1の端部の膨張が、変位軸に沿った第2の端部の膨張よりも大きくなる。第1のインフレータブルエアバッグ13が膨張し、かつ、使用者が頸部支持装置Sの中央支持体11の上に仰臥位で横たわると、第1のインフレータブルエアバッグ13は、使用者の頸椎の背面に向かって膨張し、中央支持体11の対応する上面を上方に変位させて、頸椎の解剖学的形状(anatomical shape)、例えば、使用者の頸椎の僅かな頚椎前弯に適合させることができる。他の実施形態では、第1のインフレータブルエアバッグ13は、第1の最大膨張状態まで膨張したときに、変位軸上で5.5cm~9.5cmの最大高さまで膨張してもよい。なお、別の実施形態では、7cm~8cmの最大高さまで膨張してもよいが、本願はこれに限定されない。そのため、使用者が第1のインフレータブルエアバッグ13を所望の高さと柔らかさ/硬さに膨張させると、膨張した第1のインフレータブルエアバッグ13と、第1のインフレータブルエアバッグ13の頸部支持装置Sを作るため、および頸部支持装置Sを支持するために使用された材料とのおかげで、使用者が仰臥位で横たわったときに、膨張した第1のインフレータブルエアバッグ13に対応する頸部支持装置Sの上面が使用者の頸椎の湾曲部に快適に当たるようになる。さらに、この頸部支持装置Sの素材(例えば整形外科用発泡体)と、その中にある膨張した第1のインフレータブルエアバッグ13との複合効果を利用して、使用者の頭部と頸部にカスタマイズされた支持を提供することができ、頭部、頸椎、背中の上部を自然でニュートラルな解剖学的配置に維持し、仰向けで寝たときの痛みや不快感を防ぐことができる。
【0047】
図7および
図8に示すように、特定の実施形態において、第1のインフレータブルエアバッグ13以外に、頸部支持装置Sはさらに少なくとも2つの第2のインフレータブルエアバッグ19を含んでもよい。膨張していない第2のインフレータブルエアバッグ19は、膨張していない第1のインフレータブルエアバッグ13よりも体積が大きい。例えば、膨張していない第2のインフレータブルエアバッグ19が変位軸に実質的に垂直となる最大断面積は、膨張していない第1のインフレータブルエアバッグ13が変位軸に実質的に垂直となる最大断面積よりも120cm
2~170cm
2大きく構成されてもよい。あるいは、ほかの実施形態において、膨張していない第2のインフレータブルエアバッグ19と膨張していない第1のインフレータブルエアバッグ13との最大断面積の差が、135cm
2~155cm
2であってもよいし、対応する凹溝に沿った長さの差が5cm~15cmであってもよいし、8.5cm~11.5cmであるように構成されてもよい。一方、第2のインフレータブルエアバッグ19は、限界まで膨張した第1のインフレータブルエアバッグ13よりも大きい最大膨張体積を有する。ここで、第2のインフレータブルエアバッグ19と第1のインフレータブルエアバッグ13との最大の膨張体積の差は、例えば、720cm
3~1800cm
3であるように設定されてもよい。このように、第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張によって変位する頸部支持装置Sの上面の面積は、第1のインフレータブルエアバッグ13の膨張によって変位する面積よりも大きくなる。それによって、使用者がこの頸部支持装置Sの片側に横向きで寝ているときに、使用者の頭、顔、頸部の大部分の横方向のプロファイルに対応する表面積を、例えば50%よりも大きくすることができる。枕本体1の底面に2つの第2の凹溝190が凹設されてもよい。第2の凹溝190の各々は、第1の凹溝110に関する反対側に位置し、枕本体1における互いに反対側となる部分にそれぞれ近接するように配置される。例えば、一方の第2の凹溝190を枕本体1の右端に近づけ、他方の第2の凹溝190を枕本体1の左端に近づけるように配置してもよい。すなわち、一方の第2の凹溝190を枕本体1の右端よりも枕本体1の左方向に近づけ、他方の第2の凹溝190を枕本体1の左端よりも枕本体1の右方向に近づけるように配置してもよい。各第2の凹溝190は、変位軸に垂直または実質的に垂直となると共に、頸部支持装置Sの前後方向に平行または実質的に平行となる凹溝縦軸と、この凹溝縦軸に垂直または実質的に垂直となると共に、頸部支持装置Sの左右方向に平行または実質的に平行となる凹溝横軸とを有している。他の実施形態では、その凹溝の凹溝縦軸に沿った膨張していない第2のインフレータブルエアバッグ19の長さを、少なくとも、その凹溝の凹溝縦軸に沿った膨張していない第1のインフレータブルエアバッグ13の長さよりも長く設定することが好ましい。それらの長さの差は、例えば、6cm~15cmであってもよいし、いくつかの実施形態では、8.5cm~11.5cmであってもよい。第2の凹溝190の各々は、第1の凹溝110の上部内面の面積よりも大きい面積を有し得る上部内面を有し、その凹溝の凹溝縦軸に沿った長さが、その第1の凹溝110の凹溝縦軸に沿った長さよりも長くてもよい。それによって、頸部支持装置Sの上面における変位面積が、第1のインフレータブルエアバッグ13が頸部支持装置Sの上面で変位により移動させる面積よりも大きくなる。このように、使用者が頸部支持装置Sの片側に横たわっているときに、頸部支持装置Sは、使用者の頭部、顔面および頸部の側面プロファイルの大部分に、例えば、50%を超えて、対応することができる。第2の凹溝190に対応する頸部支持装置Sの上部領域が、第2の凹溝190に収容された第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張または収縮に応じて変位し得るように、各第2の凹溝190は、全体が支持部S1内に位置してもよい。このように、頸部支持装置Sの上部領域の高さを横向きで寝たときの使用者の頸部の高さに合わせて調整し、頸椎を適切に支持することができるようになっているが、本発明は上記の例に制限されない。他の実施形態では、第2の凹溝190の少なくとも1つは、支持部S1および載置部S2の両方に配置されており、支持部S1に配置された第2の凹溝190の第1の部分は、載置部S2に配置された第2の凹溝190の第2の部分と体積が同じか、それよりも大きくすることが可能である。そのため、第2の凹溝190の上部領域に対応する頸部支持装置Sの高さは、横向きで寝ている使用者の頸部と頭の高さに合わせて調整することができ、頭、頸椎、上部胸椎を適切に支持して、脊椎のニュートラルな解剖学的脊椎アライメントを維持し、過度な頭の傾きを回避することができる。他の実施形態では、支持部S1に位置する第2のインフレータブルエアバッグ19の第1の部分は、第1の最大膨張高さに膨張できる。第1の最大膨張高さが6.5cm~10.5cmであってもよい。または、いくつかの実施形態では、第1の最大膨張高さが8.0cm~9.0cmであってもよい。この載置部S2に位置する第2のインフレータブルエアバッグ19の第2の部分は、第2の最大膨張高さに膨張できる。第2の最大膨張高さが5.5cm~9.5cmであってもよい。または、いくつかの実施形態では、第2の最大膨張高さが7.0cm~8.0cmであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の最大膨張高さは、第2の最大膨張高さよりも大きくなり、この第1の最大膨張高さとこの第2の最大膨張高さの比は、1.11:1~1.90:1であってもよい。
【0048】
他の実施形態では、枕本体1は、支持部S1と載置部S2との対応部分で構成された第2の凹溝190の側方部を備える。側方部は、載置部S2の他の部分よりも硬く、中央支持体11と同じかそれ以上の硬さを有することになり、使用者が頸部支持装置Sの側方に寝たときに、より多くの支持を得ることができる。他の実施形態では、第2の凹溝190の側方部において、載置部S2に対応する側方部が支持部S1に対応する側方部よりも軟らかくなるように配置されているため、支持部S1の側方部が頸部を十分に支え、同時に頭部が枕本体1に心地よく沈むことができるようになっている。前述の側方部と載置部S2の他の部分との間、および前述の側方部における載置部S2と支持部S1の間の硬さの違いは、枕本体1の穴部の密度、穴部の総面積、穴部の直径および/または位置の違いによって制御し得る。他の実施形態では、前述の側方部を含まない載置部S2は、前述の側方部の材料のものよりも密度分布の高い穴部、より大きな面積の穴部および/またはより大きな直径の穴部を有することで、前述の側方部を含まない載置部S2は、より大きな支持力を有する前述の側方部よりも軟らかい。他の実施形態では、前述の側方部の載置部S2の材料は、前述の側方部の支持部S1の材料よりも開口部の密度分布が高く、より大きな面積の穴部、および/または、より大きな直径の穴部を有することができるので、前述の側方部の載置部S2は、より大きな支持を有する前述の側方部の支持部S1よりも柔らかい。他の実施形態では、側方部における支持部S1の上面は、2.1cm~5.7cmの第1の最大変位を有する。なお、他の実施形態では、第1の最大変位が3.5cm~4.3cmであってもよい。側方部における載置部S2の上面は、1.4cm~5.0cmの第2の最大変位を有する。なお、他の実施形態では、第2の最大変位が2.9cm~3.5cmであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の最大変位は、第2の最大変位よりも大きく、かつ、第1の最大変位と第2の最大変位の比は、1.14:1~4.07:1である。
【0049】
再び
図7および
図8を参照する。第2のインフレータブルエアバッグ19のそれぞれは、対応する第2の凹溝190にそれぞれ収容されると共に、その変位軸(例えば、
図7に示すZ軸)に沿って膨張したり、収縮したりすることができる。第2の凹溝190の各々の少なくとも上部内面は、第2の上方最大拡張程度を有する。それによって、使用者が第2のインフレータブルエアバッグ19を膨張させる際に、使用者のニーズに応じて伸びるための十分なスペースが得られる。それで、使用者が頸部支持装置Sの高さを調整すると、頸部支持装置Sにおける対応する上面の所望の硬さ/柔らかさを作り出すことができる。第2の上方最大拡張程度は、6cm~10cmであってもよいし、他の実施形態では、7.5cm~8.5cmであってもよい。本願のいくつかの可能な実施形態では、第1の凹溝110および第2の凹溝190は、第1のインフレータブルエアバッグ13および第2のインフレータブルエアバッグ19が所望の膨張度合いに応じて膨張するのに十分な空間を確保できるように選択されたサイズであり、使用者が必要に応じて頸部支持装置Sの硬さ/柔らかさ、および、高さを調節できるようになっている。前述のエアバッグ13、19の少なくとも1つは、膨張で延伸できる上端部と、膨張不可能、または、最小限に膨張可能な底端部とを有するように設計することができる。そのため、膨張したとき、前述のエアバッグ13、19の大部分は、頸部支持装置S上に休んでいる使用者に向かって上方向に拡張し、頸部支持装置Sの底端部の方向への拡張を制限できる。このように、エアバッグ13、19の膨張は、膨張時に使用者の頸部や頭部を上方に押し上げるようにすることで、エアバッグ13、19による外側への膨張力が頸部支持装置Sの下部構造に過度にかかることにより、頸部支持装置Sの構造上の破損を招くことを回避している。すなわち、弾性率/膨張率の小さいエアバッグ13、19の底端部は、使用者に向かう上方への膨張を誘導しつつ、頸部支持装置Sの構造的な損傷を防止するのに役立っている。他の実施形態では、第1のインフレータブルエアバッグ13および第2のインフレータブルエアバッグ19の少なくとも一方は、その上面および側面のみが膨張可能であり、下面は膨張しない、または最小限の膨張が可能である。例えば、第1のエアバッグ13および第2のエアバッグ19の上面および側面のみを軟質で柔軟な熱可塑性材料で形成することで、低圧による膨張の場合にもかかわらず上方向および横方向に急速に膨らませることができる。さらに、そのような構成では、エアバッグの内圧が比較的高い場合に経時的に発生し得る漏れのリスクを低減するとともに、使用者の睡眠の質を阻害する騒音(例えば、使用者が頸部支持装置S上を移動して生じることがある)の発生可能性も低減させることができる。各第2の凹溝190の底端部開口は、例えば
図8に示されたような底板16で覆われてもよい。底板16は、プラスチック、金属、または発泡材料よりも非膨張性、最小限の膨張性、または少ない膨張性を有する他の材料で作られてもよい。従って、第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張時には、第2のインフレータブルエアバッグ19の大部分が上方向に膨張することになる。上方向は、頸部支持装置Sの上面、横になって休息する際に使用者の頸部や頭部に向かう方向である。同時に、第2のインフレータブルエアバッグ19は、頸部支持装置Sの底部構造に対して、外方向への過度の膨張を抑制するために、第2の凹溝190における膨張性を有する上内面とともに、上方向への膨張を誘導している。他の実施形態では、この第2の凹溝190は、成形発泡体内に保持空間を凹ませるように形成されてもよい。第2の上方最大膨張程度まで、第2のインフレータブルエアバッグ19は様々なサイズ寸法に膨張し得るように形成される。他の実施形態では、膨張していない第2のインフレータブルエアバッグ19の体積は、膨張していない第1のインフレータブルエアバッグ13の体積よりも大きい。例えば、特定の実施形態において、膨張していない第2のインフレータブルエアバッグ19の体積は、25cm
3~36cm
3であってもよいし、他の実施形態では28cm
3~33cm
3であってもよい。膨張していない第2のインフレータブルエアバッグ19の上面および下面は、それぞれ、第2の凹溝190の上端内面および第2の凹溝190の開口と面一とする。換言すれば、底板16が、変位軸に沿って、対応する第2の凹溝190の底端部開口を覆っていれば、第2のインフレータブルエアバッグ19は、底板16に当接するようになり、また、膨張しない第2のインフレータブルエアバッグ19の側面が、第2の凹溝における第2の凹溝の縦軸および横軸にそれぞれ沿った4つの内壁面に当接するようになる。また、非膨張状態の第2のインフレータブルエアバッグ19が、第2の凹溝190の内壁に当接することで、両者の膨張遅れの関係が緩和されて、第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張による第2の凹溝190の変形がより効果的に行われる。第2の凹溝190と非膨張状態の第2のインフレータブルエアバッグ19との間に隙間があると、上記のように両者の対応する膨張や伸びに遅れが発生する恐れがある。なお、この発明はこれに限定されない。他の実施形態では、非膨張状態の第2のインフレータブルエアバッグ19の上面および下面の少なくとも一方は、変位軸に沿った第2の凹溝190の上面内面またはその底端部開口に当接しない、または面一でなくてもよい。また、非膨張状態の第2のインフレータブルエアバッグ19の少なくとも一方の側面は、第2の凹溝190の縦軸またはその横軸に沿った4つの内壁面の何れにも当接しなくてもよい。
【0050】
第2のインフレータブルエアバッグ19が変位軸に沿って膨張または収縮すると、その膨張または収縮により、枕本体1の上面だけでなく、枕カバー2の上面も、例えば、上または下に向かって変位する。これによって、頸部支持装置Sの使用時に、第1のインフレータブルエアバッグ13の動きにより、使用者の頭や肩が中央支持体11から横方向にずれることを防止でき、使用者の頭や頸部を、頸部支持装置Sにおける第1のインフレータブルエアバッグ13に対応する、
図2に示されたような位置でより確実に固定する。使用者の肩が頸部支持装置Sの適切な位置に保持されることにより、効果的な電気治療、温熱治療、および/または牽引を行うことが可能となる。他の実施形態では、少なくとも1つの第2のインフレータブルエアバッグ19は、第2の凹溝190の上部内面に面する弾力性のある平坦な上端部と、それに対向する非弾力性または最小限の膨張性しかない平坦な底端部とを有する。平坦な上端部は、第2の凹溝190の底端部開口に面し、第2のインフレータブルエアバッグ19が膨らむと、平坦な底端部より大きく変位軸に沿って膨張する。一部の実施形態では、第2のインフレータブルエアバッグ19が第2の最大膨張状態に膨張したときの変位軸の最大高さは、6.5cm~10.5cmであってもよいし、他の実施形態では、8cm~9cmであってもよいが、本願は、これに限定されるものではない。さらに、一方の第2のインフレータブルエアバッグ19の最大高さは、他方の第2のインフレータブルエアバッグ19の最大高さと同じでも異なっていてもよい。そのため、頸部支持装置Sは、使用者に異なる側での高さ調整を提供でき、調整の自由度を高めることができる。
【0051】
また、第2のインフレータブルエアバッグ19は、横向きで寝ることに慣れた使用者(side sleeper)が、頸部支持装置Sの側部に頭を載せて休んだり寝たりする際に、頸部支持装置Sの側部の高さや硬さ(firmness)を調整できるように構成される。仰向けで寝ることに慣れている使用者(back sleeper)が頸部支持装置Sを使用する場合、使用者の頸椎をよりよく支え、頸椎前湾を自然の状態に戻す(すなわち、頸椎を正しい配置と姿勢に戻す)ために、第1のインフレータブルエアバッグ13を膨張または収縮させることで、頸部支持装置Sにおける第1のインフレータブルエアバッグ13および中央支持体11と対応する領域の高さと硬さを調整することが可能である。しかし、側臥位での使用者が頸部支持装置Sに掛ける位置が、頸部支持装置Sにおける、中央支持体11と第1のインフレータブルエアバッグ13と対応する対応部位から離れている。そのため、第1のインフレータブルエアバッグ13を調整することで、頸部支持装置Sの中央支持体11に対応する位置の高さや硬さを調整することは、側臥位での使用者の頭部および頸部を支持し、頭部、頸椎および胸椎上部のアライメントや姿勢を整えるニーズを十分に満たすことができない。また、横向き寝の場合、肩と頭・頸部(例えば側頭部)との間の垂直距離が、仰向け寝の場合よりも長いため、仰向け寝よりも頭・頸部の支持、および頚椎の正しいアライメントの回復・維持の必要性が高くなる。再び
図7および
図8を参照すると、側臥位での使用者は、頸部支持装置の、中央支持体11および第1のインフレータブルエアバッグ13に対応する部分に加えて、頸部支持装置Sの側方部の高さや硬さを調整することができる。そのため、第2のインフレータブルエアバッグ19を備えた頸部支持装置Sは、側臥位での使用者が必要とする頭部および頸部の支持力を高め、頭部、頸椎および上部胸椎のアライメントを適切に回復させ維持することができる。例えば、枕本体1および枕カバー2の左右近傍の上面側領域は、それぞれ、第2のインフレータブルエアバッグ19に対応し、第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張または収縮によって変位可能である。側臥位での使用者が頸部支持装置Sの上面側領域に横向きに頭を寝かせる際に、第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張または収縮によってその度合いを変更できるように構成されている。使用者が頸部支持装置Sの側方部に横たわるとき、第2のインフレータブルエアバッグ19は、使用者の頭部、頸椎および胸椎上部の側方に向かって上方に延在する。そのように、使用者の頭部、頸椎および胸椎の上部が直線状に並ぶように、第2のインフレータブルエアバッグ19を膨張させることで、頸部支持装置Sにおける第2のインフレータブルエアバッグ19に対応する上面を上方に変位させることが可能である。第2のインフレータブルエアバッグ19が、使用者によって、所定の高さおよび柔らかさ・硬さに膨張させられると、第2のインフレータブルエアバッグ19の上面に対応する頸部支持装置Sは、膨張した第2のインフレータブルエアバッグ19と頸部支持装置Sの製造材料との複合効果によって、側臥位での使用者の頭部、頸部および上部胸椎の側方輪郭に快適にフィットして、支持することができる。すなわち、側臥位での使用者は、横向きで寝る時に側頭部を支持する頸部支持装置Sの高さや硬さを、使用者の頭頸部を支持し、その頭部、頸椎および上部胸椎を、正しく整列した中立位置に維持・回復するために適切と考える高さや硬さに調節することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、整形外科用発泡体(例えば整形外科用メモリーフォーム)とその中の膨張可能な第2のインフレータブルエアバッグ19の複合効果により、頭部、頸椎および上背部の自然でニュートラルな解剖学的アライメントを維持し、横向きで寝るときに使用者の痛みおよび不快感を防止するように、使用者の頭部および頸部にカスタマイズされた支持を提供することが可能である。このように、第1のインフレータブルエアバッグ13と第2のインフレータブルエアバッグ19の特徴や利点により、頸部支持装置Sは、側臥位で寝る者や仰臥位で寝る者が日常的に寝るための枕として好適である。
【0052】
再び
図7および
図8を参照すると、第1のおよび第2のインフレータブルエアバッグ13、19にはそれぞれインフレータブル装置15が接続されている。インフレータブル装置15の作動時には、第1のおよび第2のインフレータブルエアバッグ13、19を膨張または収縮させて、第1のおよび第2のインフレータブルエアバッグ13、19の伸縮寸法を変化させることが可能である。本実施形態では、インフレータブル装置15は、インフレータブル部151と、複数のチューブ152と、第1の空気弁153と、第2の空気弁155とを備える。インフレータブル部151は、手回し式のエアポンプの形態であり、チューブ152が枕カバー2および枕本体1を貫通して第1のおよび第2のインフレータブルエアバッグ13、19にそれぞれ接続できるため、インフレータブル部151がチューブ152を介して第1の・第2のインフレータブルエアバッグ13、19を膨らませたり縮ませたりできるように構成される。また、第1の空気弁153に連通するために一方のチューブ152に第1の空気弁153が組付けられて、第2の空気弁155に連通するために他方のチューブ152に第2の空気弁155が組み付けられるが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態では、電動式膨張ポンプを使用してもよい。いくつかの実施形態では、インフレータブル装置15は、複数のインフレータブル部151からなり、インフレータブル部151は、手動のインフレータポンプの形態であってもよいし、電動のインフレータポンプの形態であってもよい。複数のインフレータブル部151において、1つ目のインフレータブル部151は、第1のインフレータブルエアバッグ13との接続用のチューブ152のうちの少なくとも1つと接続してもよい。第1の空気弁153は、第1のインフレータブルエアバッグ13のインフレータブル部151に対応するチューブ152に組み付けられ、接続されてもよい。複数のインフレータブル部151における2つ目のインフレータブル部151は、複数のチューブ152における別のチューブ152に接続されることによって、当該インフレータブル部151に対応したチューブ152を介して、第2のインフレータブルエアバッグ19に連通されてもよい。すなわち、少なくとも1つの第2のインフレータブルエアバッグ19を膨張させるためのインフレータブル部151は、第1のインフレータブルエアバッグ13を膨張させるためのインフレータブル部151と互いに独立して設けられてもよい。そのように、使用者はインフレータブル部151のそれぞれを別々に制御することができるため、使用者は、インフレータブル部151を介して、第1のインフレータブルエアバッグ13の膨張程度と、第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張程度とを別々に制御することができる。けだし、第1のインフレータブルエアバッグ13に必要な膨張程度は、第2のインフレータブルエアバッグ19とは違うかもしれない。第2の空気弁155は、インフレータブル部151に対応したチューブ152に組付けられてもよい。かつ、チューブ152は、第2のインフレータブルエアバッグ19と連通するように設けられてもよい。インフレータブル装置15は、手動デバイスまたは電動デバイスであってもよい。使用者は、インフレータブル装置15によって、第1のインフレータブルエアバッグ13および第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張または収縮度合を調整することによって、中央支持体11および/または頸部支持装置Sにおけるエアバッグ13、19に対応した位置の上面領域が使用者の頸部に与える支持力を調整することができる。それによって、頭部、頸椎および上部胸椎をニュートラルな解剖学的脊椎アライメント(neutral anatomical spinal alignment)に揃えるという目的を果たすことができる。
【0053】
図7および
図8を再び参照されたい。第1の空気弁153が開状態にされた後、インフレータブル部151によって、第1のインフレータブルエアバッグ13を膨張または収縮させることが可能である。一方、第1の空気弁153が閉状態にされた後、インフレータブル部151によって、第1のインフレータブルエアバッグ13を膨張または収縮させることができなくなる。同じように、第2の空気弁155が開状態にされた後、インフレータブル部151によって、2つの第2のインフレータブルエアバッグ19を同時に膨張または収縮させることが可能である。一方、第2の空気弁155が閉状態にされた後、インフレータブル部151によって、2つの第2のインフレータブルエアバッグ19を膨張または収縮させることができなくなる。他の実施形態において、インフレータブル部151は、電動式ポンプあるいは手動式ポンプであるかにかかわらず、第1のインフレータブルエアバッグ13および第2のインフレータブルエアバッグ19の体積を制御するために、第1のインフレータブルエアバッグ13および第2のインフレータブルエアバッグ19に接続する場合、第1のインフレータブルエアバッグ13および第2のインフレータブルエアバッグ19のそれぞれに対応したチューブ152における空気弁を操作することによって、エアバッグそれぞれの体積を制御することができる。
【0054】
また、
図7および
図8には、1つのみの第2の空気弁155を操作することで2つの第2のインフレータブルエアバッグ19の体積を同時に調整する構成が示されている。しかし、本発明にかかる他の実施形態において、2つの第2の空気弁155をそれぞれに操作することによって、第2のインフレータブルエアバッグ19のそれぞれの体積を別々に調整するように構成されてもよい。また、実際の応用では、使用者は、第1の空気弁153および第2の空気弁155を共に開状態にすることによって、インフレータブル部151により第1のインフレータブルエアバッグ13、および2つの第2のインフレータブルエアバッグ19を膨らませることができるが、第1のインフレータブルエアバッグ13の膨張効率を向上させるために、第1の空気弁153のみを開状態にして、第2の空気弁155を閉状態にすることもできる。同様に、第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張効率を向上させるために、第2の空気弁155のみを開状態にして、第1の空気弁153を閉状態にしてもよい。なお、本発明はこの例に制限されない。いくつかの実施形態において、第1のインフレータブルエアバッグ13および第2のインフレータブルエアバッグ19に対応するインフレータブル部151として電動式ポンプを使用することによって、第1のインフレータブルエアバッグ13および/または第2のインフレータブルエアバッグ19を同時にまたは別々に対応して膨張または収縮させてもよい。
【0055】
すなわち、一部の実施形態において、頸部支持装置Sは1つのインフレータブル部151を備えるように構成されてもよい。空気弁を開閉することによって、第1のインフレータブルエアバッグ13への空気の流れを閉鎖/許可する。第1のインフレータブルエアバッグ13は、仰向けでの使用者の頸部下方に設けられる。さらに、一部の実施形態において、空気弁を開閉することによって第1のインフレータブルエアバッグ13へ流れる空気を遮断すると共に、頸部支持装置Sの両側に位置する第2のインフレータブルエアバッグ19へ空気が流れるようになる。一部の実施形態において、頸部支持装置Sは複数のインフレータブル部151が設けられるように構成されてもよい。複数のインフレータブル部151において、1つのインフレータブル部151は、仰向けでの使用者の頸部下方に位置する第1のインフレータブルエアバッグ13への空気の流れを閉鎖/許可するために機能する。もう1つのインフレータブル部151は、第2のインフレータブルエアバッグ19のそれぞれへの空気の流れを閉鎖/許可するために機能する。そのように、インフレータブル部151のそれぞれは独立して機能するため、頸部支持装置Sには、単一のインフレータブル部を使用してもよいが、複数のインフレータブル部を使用してもよい。一部の実施形態において、前記のような構成のいずれであっても、第1のインフレータブルエアバッグ13の通気路は、第2のインフレータブルエアバッグ19の通気路と別々にすることも可能である。使用者の頸部下方に位置する第1のインフレータブルエアバッグ13を膨張または収縮させるとき、第2のインフレータブルエアバッグ19に影響を及ぼさない。同様に、使用者の頸部の左右両側下方に位置する第2のインフレータブルエアバッグ19を膨張または収縮させる場合、第1のインフレータブルエアバッグ13に影響を及ぼさないように構成されてもよいが、本発明はこの例に制限されない。
【0056】
図1、
図3および
図9を参照されたい。使用者の頭部が頸部支持装置Sに載った時、インフレータブル部151によって、第1のインフレータブルエアバッグ13を膨張させることができる。第1のインフレータブルエアバッグ13の膨張に応じて、中央支持体11の上面は徐々に上昇し、使用者の頸部を上に押し上げる。それによって、使用者の頸椎は自然な頚椎前弯、すなわち期待される弓の形に戻ることが可能である。中央支持体11の上面が、未だ第1のインフレータブルエアバッグ13の膨張により変位していない場合、中央支持体11の上面、すなわち、
図9に示されるように中央支持体11における第1のインフレータブルエアバッグ13のz軸方向に沿って最も高い位置から底面までの距離は、第1の高さN1として定義される。第1のインフレータブルエアバッグ13が、第1の最大膨張状態に膨張することで中央支持体11の上面を対応する位置に変位させると、中央支持体11の上面から底面、すなわち、
図9に示されるように中央支持体11における第1のインフレータブルエアバッグ13のz軸方向に沿って最も高い位置から底面までの距離は、第2の高さN2として定義される。また、一部の実施形態において、中央支持体11の変位前の第1の高さN1と、変位後の第2の高さN2との比の値は、1:1.10から1:1.70である。一部の実施形態において、比の値は、1:1.26から1:1.46である。このように、第1のインフレータブルエアバッグ13の設計のおかげで、使用者の頸部を適切な位置と良い姿勢に保ちながら、使用者の頭部、頸椎および上部胸椎を中心線に据えることができるように、使用者が頸部支持装置Sに横になっているとき、より正確には使用者が中央支持体11に仰向けで寝ているとき、使用者の頸部に対応する領域に対して頸部支持装置Sの高さと硬さを調節することができる。
【0057】
図7、
図8および
図10を参照されたい。インフレータブル部151によって第2のインフレータブルエアバッグ19の少なくとも1つを膨張させる場合、第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張に従って、枕本体1および枕カバー2の上面における第2のインフレータブルエアバッグ19に対応した領域が、徐々に上向きに変位する。使用者が横向きに寝て、頭部を頸部支持装置Sの側方部に休ませている場合、使用者の頸部に適当な支持を与えると共に、使用者の頭部、脊椎および上部胸椎を中央線に揃えることができる。頸部支持装置Sの上面が、未だ第2のインフレータブルエアバッグ19の膨張によって上昇していない場合、頸部支持装置Sの上面、すなわち、
図10に示されるように頸部支持装置Sにおける第2のインフレータブルエアバッグ19のz軸方向に沿って最も高い位置から底面までの距離は、第3の高さM1として定義される。第2のインフレータブルエアバッグ19が第2の最大膨張状態に膨張することで、頸部支持装置Sの上面を対応する位置に変位させると、頸部支持装置Sの上面から底面、すなわち、
図10に示されるように頸部支持装置Sにおける第2のインフレータブルエアバッグ19のz軸方向に沿って最も高い位置から底面までの距離は、第4の高さM2として定義される。また、一部の実施形態において、頸部支持装置Sの変位前の第3の高さM1と、変位後の第4の高さM2との比の値は、1:1.48から1:2.01である。一部の実施形態において、比の値は、1:1.64から1:1.85である。このように、第2のインフレータブルエアバッグ19の設計のおかげで、使用者の頸部を適切な位置と良い姿勢に保ちながら、使用者の頭部、頸椎および上部胸椎を中心線に据えることができるように、使用者が頸部支持装置Sに横になっているとき、より正確には使用者が中央支持体11に仰向けで寝ているとき、使用者の頸部に対応する領域に対して頸部支持装置Sの高さと硬さを調節することができる。
【0058】
図11および
図12を参照されたい。本発明にかかる他の実施形態において、頸部支持装置Sの一方側に電気インフレータブル装置18が配置される。なかでも、電気インフレータブル装置18に電動式ポンプが使用されると共に、少なくとも1つのチューブ、第1の空気弁、および少なくとも1つの第2の空気弁はいずれも、美観のために外部から見えないように頸部支持装置Sに内設されている。このように、使用者は、電気インフレータブル装置18の制御パネルを直感的に操作することで、第1のインフレータブルエアバッグ13および第2のインフレータブルエアバッグ19を膨張または収縮させることができる。
【0059】
使用者が頸部支持装置Sを使用する場合、第1のインフレータブルエアバッグ13と第2のインフレータブルエアバッグ19とを膨張させることで、頸椎と上部胸椎とのアライメントを支持・回復しながら、頸部や肩の筋肉をストレッチする。それに加え、同時に電気療法および/または温熱療法と協働することによって、頸部と肩部の筋肉をリラックスさせながら、局部の血液循環を改善して、頭部、頸部および肩部の痛み、ならびに、腕がつる、しびれるなどの症状を改善する。
【0060】
図1から
図8までを再び参照する。頸部支持装置Sに複数の理学療法部21がさらに設けられる。理学療法部21のそれぞれは、中央支持体11の配置位置と実質的に対応するように配置される。他の実施形態において、理学療法部21は電極ユニットであってもよい。使用者が仰向けに頸部支持装置Sに横になった場合、電極ユニットは、枕カバー2における使用者の肩上部、頸部後部に対応した位置に設けられる。使用者の頭部が頸部支持装置Sに載ると、理学療法部21のそれぞれは、使用者の頸部および肩上部の少なくとも一方にフィットすることで、頸部の上部、頸部の下部、肩の上部の接合部にある神経と筋肉を電極ユニットで刺激することができる。他の実施形態において、理学療法部21は、導電性材料および/または接着剤を有する、または塗布された、または、導電性材料および/または接着剤で作られた電極ユニットとすることができる。かつ、理学療法部21のそれぞれは、例えば、
図11および
図13に示すように、理学療法装置17と電気的に接続することによって、理学療法装置17、例えば、低周波治療(または経皮的電気神経刺激装置、TENS)、電気的筋肉刺激(EMS)からの電力を受電する。それによって、理学療法部21は電気療法および/または温熱療法の効果を発揮する。理学療法装置17に少なくとも1つのボタンが設けられてもよい。使用者がボタンを操作することで、理学療法装置17のオン、オフ、または出力電気パルスの大きさおよび/または頻度を制御するように構成されてもよい。別の実施形態において、理学療法装置17が無線信号(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)など)によって制御されるように構成されてもよい。そのように、使用者が無線コントローラーを操作することで、理学療法装置17のオン、オフ、または出力電気パルスの大きさおよび/または頻度を制御することができる。上記に示した実施形態では、理学療法部21と理学療法装置17の少なくとも一方は、枕カバー2に装着可能に取り付けられる。そのため、枕カバー2を洗濯する場合、理学療法部21および理学療法装置17の故障を招くことはない。本発明にかかる他の実施形態において、少なくとも1つの理学療法部21と、理学療法装置17の少なくともいずれか一方が枕本体1に配置され、かつ、理学療法装置17が外部に露出するように、枕カバー2に穿孔を設けるように構成されてもよい。なお、本発明はこの例に制限されない。
【0061】
さらに、
図14から
図23までを参照されたい。理学療法装置17は、位置決め部材Hによって頸部支持装置Sに固定される。位置決め部材Hはリリース・ロック機構Lを備える。リリース・ロック機構Lを操作することによって、理学療法装置17は位置決め部材Hにロックされ、または位置決め部材Hからリリースされることが可能である。このように、頸部支持装置S(例えば、枕カバー2)を洗濯しようとする場合、位置決め部材Hから理学療法装置17を取り外すことによって、理学療法装置17の故障を避けることが可能である。リリース・ロック機構Lとしては、ロッククリップ付きコネクター(harness)であってもよい。また、位置決め部材Hに導電部が設けられてもよい。導電部が、理学療法装置17および/またはそれに取り付けられる携帯式の電池ユニットによる電力を理学療法部21のそれぞれに送電することによって、理学療法部21は、電気療法および/または温熱療法を提供することができるようになる。
【0062】
図14から
図17までを参照されたい。一部の実施形態において、位置決め部材Hは、基板H11、位置決め本体H12、インナパネルH13、複数の導電部H14および複数の配線接続部H15を含む。なかでも、基板H11と位置決め本体H12とは、互いに組み合わさるように構成される。頸部支持装置S(例えば、枕カバー2または枕本体1)に取り付けるために、基板H11の裏側に例えば、マジックテープ(登録商標)が設けられてもよい。位置決め本体H12は、少なくとも1つの弾性材で作られると共に、前方側に収容スロットH120が設けられる。インナパネルH13は、収容スロットH120の底部に位置する。また、収容スロットH120の内径は、理学療法装置17の外径よりも僅かに小さく形成されることが好ましい。例えば、収容スロットH120の内径が、理学療法装置17の外径よりも0.1%から5%まで小さく形成される。理学療法装置17が収容スロットH120に配置された後、収容スロットH120のスロット壁(リリース・ロック機構L)は、自身の弾性力によって僅かに拡張し、理学療法装置17の外周縁部にタイトにフィットし、リリース・ロック機構Lとして形成される。そのように、理学療法装置17は位置決め本体H12に位置決めされる。理学療法装置17を取り外そうとする場合、収容スロットH120のスロット壁(リリース・ロック機構L)が理学療法装置17を挟持する力(すなわち、摩擦力あるいは挟持力)よりも大きい力で引くと、理学療法装置17をリリース・ロック機構Lから取り外すことができる。
【0063】
上記を踏まえて、
図16および
図17に示すように、導電部H14はそれぞれ収容スロットH120に延在し、インナパネルH13、収容スロットH120のスロット底部から基板H11まで順に通過する。配線接続部H15のそれぞれは、位置決め本体H12と基板H11との間に位置し、導電部H14のそれぞれと対応して電気的に接続される。配線接続部H15は外部導線と電気的に接続し得る。また、理学療法装置17の後側に複数の送電部171が配置される。理学療法装置17が収容スロットH120に収容されると、送電部171のそれぞれは、導電部H14のそれぞれと電気的に接続されることになる。このように、理学療法装置17から出力された電力(電流パルス信号)は、送電部171、導電部H14から配線接続部H15まで順に送電される。なお、本発明にかかる他の実施形態において、導電部H14が外部の電力を受電できる限り、導電部H14と配線接続部H15とが一体型の組立体(配線接続部H15を省略)として構成されてもよい。
【0064】
図18から
図20までを参照されたい。いくつかの実施形態において、位置決め部材Hは、基板H21、位置決め本体H22および複数の導電部H24を含む。なかでも、基板H21と位置決め本体H22とが一体型の組立体として組み合わされてもよい。導電部H24のそれぞれが位置決め本体H22に固定されてもよい。また、位置決め本体H22の前側に少なくとも1つの突条レールH211が突設される。突条レールH211は、リリース・ロック機構Lとしてもよい。この場合、理学療法装置17の後側に、少なくとも1つの凹溝173が配置されてもよい。かつ、凹溝173の幅および/または長さを、突条レールH211における対応する位置の幅および/または長さより僅かに小さくしてもよい。例えば、凹溝173の幅を、突条レールH211の幅よりも0.1%から5%まで小さくする。理学療法装置17が位置決め部材Hに組み合わされた場合、突条レールH211は対応する凹溝173に嵌め込まれる。それとともに、理学療法装置17の後側に配置された送電部171が対応する導電部H24に電気的に接続される。理学療法装置17を取り外そうとする場合、凹溝173と突条レールH211との互いのタイトフィットによる力よりも大きい力で引くと、理学療法装置17をリリース・ロック機構Lから取り外すことができる。
【0065】
図21から
図23までを参照されたい。一部の実施形態において、位置決め部材Hは、少なくとも1つの基板H31、位置決め本体H32および複数の導電部H34を含む。なかでも、各基板H31の前側部は、位置決め本体H32の後側部にフィットし、各基板H31の後側部が連結板H30(例えば、少なくとも1つのマジックテープ(登録商標)を介して)フィットする。位置決め本体H32、基板H31および連結板H30を、複数の留め具H36で一体に組み合わせることが可能である。位置決め本体H32の前側部に収容スロットH320が設けられる。理学療法装置17を収容スロットH320に収容し得る。収容スロットH320のスロット壁部がリリース・ロック機構Lとして構成される。位置決め本体H32と基板H31とが一体に組み合わされた場合、基板H31における位置決め本体H32で遮蔽されていない箇所に、少なくとも1つの固定組立体H37(例えば、ボタン)がさらに設けられてもよい。固定組立体H37は、頸部支持装置Sの対応するように配置された他方の固定組立体と互いに係合することによって、位置決め部材Hが、頸部支持装置Sによりしっかりと固定される。
【0066】
図14ないし
図23を再び参照されたい。言い換えると、位置決め部材Hには、上記のような様々な導電および接続部材が設けられてもよい。これによって、理学療法装置17を、理学療法部21および/または頸部後側および肩部上方の電極に接続させることができる。このように、本発明にかかる理学療法装置17を固定しながら、医療サービスを提供し得る構成により、頸部支持装置Sは、TENS、EMS、または、ほかの電気療法/温熱療法設備を用いて使用者の頸部および肩部を治療することによって、使用者の頭痛、頸部の痛み、肩の痛み、腕のしびれや痛みなどの症状を和らげる。
【0067】
上記のように、頸部支持装置Sを洗浄する前に、リリース・ロック機構Lを解除して理学療法装置17を位置決め部材Hから取り外しておくことによって、理学療法装置17内の水に敏感な電子機器(water sensitive electronics)の故障を防ぐことが可能である。一部の実施形態において、理学療法装置17は頸部支持装置Sに直接固定されてもよい。すなわち、理学療法装置17は、位置決め部材Hを介さずに頸部支持装置Sに固定されてもよい。理学療法装置17は理学療法部21に電気接続され、理学療法部21のそれぞれに送電するように構成される。
【0068】
図24Aを参照されたい。一部の実施形態において、理学療法部21には、電気療法ユニットEUが設けられてもよい。電気療法ユニットEUには導電層211が設けられてもよいし、好ましくは、電気療法ユニットEUには、フィルム層212および接続層213がさらに設けられてもよい。なかでも、導電層211は、導電性繊維、導電性フィルム、導電性布、アルミニウム箔またはそれらの混合物、あるいはその他の導電性材料で作られたものであってもよい。かつ、導電層211の一方側にフィルム層212(例えば、導電性ゲル)が選択的に配置されてもよい。導電層211の他方側に接続層213が配置されてもよい。導電層211は金属部材22と電気的に接続されると共に、金属部材22は電線215に電気的に接続される。上記の実施形態において、電線215は、絶縁テープ217を介して金属部材22に巻き付けて固定される。また、接続層213(例えば、粘着剤)は枕カバー2に固定される。他の実施形態において、接続層213が枕本体1に固定されてもよい。このように、使用者が理学療法部21を使用する場合、導電層211またはフィルム層212(理学療法部21にフィルム層212を有する場合)は、人の皮膚表面に粘着される。電線215が理学療法装置17に電気的に接続されると、理学療法装置17(例えば、TENSまたはEMS装置)による電力を受電することで、理学療法部21は、電気療法を施すために、使用者の頸部に電気的な刺激を出力することができる。なお、理学療法部21は上記のような構成に制限されず、本発明にかかる他の実施形態において、フィルム層212を介さずに導電層211を人の皮膚に直接接触させるようにしてもよい。接続層213は布(例えば不織布、綿)であり、枕本体1または枕カバー2との接着を良くするために、導電性シート(例えばアルミ箔)と接続して構成されてもよい。
【0069】
図24Bを参照されたい。一部の実施形態において、理学療法部21に温熱療法ユニットHUが設けられてもよい。温熱療法ユニットHUは、2つの隔離層218(例えば、不織布、Non-wover fabric)および発熱層219で構成されてもよい。なかでも、発熱層219は、電流を流すと発熱するように金属(Fe-Cr-Al合金線、Ni-Cr-Al合金線など)、グラフェン、炭素繊維などの電熱材料で構成されてもよい。また、発熱層219が2つの隔離層218の間に位置し、かつ、一方の隔離層218の外面が対応する枕カバー2に固定されるように構成されてもよい。他の実施形態において、隔離層218を枕本体1に固定してもよい。発熱層219は金属部材22と電気的に接続することで、電線215を介して理学療法装置17からの電力を受電する。それによって、理学療法部21に熱量の生成を促し、生成された熱量を隔離層218のそれぞれを介して外部に出力する。このように、使用者の頸部を温めることで血管を弛緩させ、局所の血液循環を高めて代謝率を上げることで、体内の炎症性物質の除去を促進し、筋肉組織の修復能力を向上させることができる。また、身体の軟部組織の弾力性を高め、筋肉のけいれんを抑えることで、身体が感じる痛みを軽減し、精神的にリラックスすることができる。他の実施形態では、理学療法部21は、隔離層218を省略し、発熱層219を皮膚に直接接触させてもよい。
【0070】
図24Cを参照する。いくつかの実施形態において、理学療法部21は、電気療法および温熱療法混合ユニットとすることができ、これは、前述の電気療法ユニットEUと温熱療法ユニットHUとの組み合わせによって構成される。例えば、2つの隔離層218の間に発熱層219を備え、隔離層218の1つはその外面が導電層211(例えば導電繊維)で覆われ、発熱層219および導電層211は、同じまたは異なる金属部材22を介して理学療法装置17から電気を受け取ることができる。導電層211は、使用者の頸部に電気刺激を与えることができ、発熱層219は、隔離層218および導電層211を介して発熱して使用者の頸部を加熱することができる。
【0071】
しかし、本願発明はこれに限定されるものではなく、理学療法部の構成や効果を得ることができる理学療法部の構造であれば、前述の構造は本願発明で定義する理学療法部21の範囲に含まれるものである。
【0072】
再び
図8を参照する。枕本体1の下面には、第1の凹溝110および第2の凹溝190を隠し、第1のインフレータブルエアバッグ13、第2のインフレータブルエアバッグ19およびチューブ152が枕本体1から離脱しないようにする底板16が組み付けられている。しかし、本願発明の他の実施形態では、枕本体1に底板16を設けず、第1のインフレータブルエアバッグ13、第2のインフレータブルエアバッグ19およびチューブ152を、枕本体1の弾性力によって保持するか、他のクランプ構造によって保持してもよい。
【0073】
本発明はまた、調節可能な膨張式頸部支持装置Sの製造方法を提供するが、その方法は、後述または
図25に記載される一連の工程に限定されないことに留意されたい。
図25では、その精神と範囲から逸脱することなく、実際のニーズおよび/または使用者の好みに応じてシーケンスを変更することができる。
【0074】
図25を参照し、
図1、2、7および8を参照する。ステップ100は、使用者の頸部を支持する支持上面と、使用者が仰臥位であるときに使用者の後頭骨を支持し、高さが支持上面の高さより低い載置上面と、第1の凹溝110および第1の凹溝110の両側にそれぞれ位置する二つの第2の凹溝190が凹設される底面と、を有する枕本体1を形成する。枕本体1は、圧縮成形、射出成形、遠心成形、押出成形、反応射出成形、熱成形等の成形加工により製造することができる。ステップ102は、枕本体1の底部の内周に対応し、かつ一致する縁部を有し、第1の凹溝110および2つの第2の凹溝190を覆う底板16を形成する。他の実施形態では、底板16は、圧縮成形、射出成形、遠心成形、押出成形、反応射出成形、熱成形などの成形プロセスによって製造することができる。底板16は、枕本体1とは別体の独立した部品であってもよいし、枕本体1に回動可能に連結されて共に殻状の構造を形成してもよい。
【0075】
ステップ104は、第1の凹溝110に第1のインフレータブルエアバッグ13を位置決めし、第2の凹溝190のそれぞれに2つの第2のインフレータブルエアバッグ19を位置決めし、枕本体1に設けられた管孔および管孔に連通して枕本体1に設けられた管腔を介して複数のチューブ152を延ばし、チューブ152を第1のインフレータブルエアバッグ13および第2のインフレータブルエアバッグ19に組み付ける。
【0076】
ステップ106は、枕本体1の底部内周縁を底板16の合わせ縁に接着することからなる。枕本体1と底板16とを互いに組み付けて調節可能な頸部支持装置Sを形成し、かつ、第1のインフレータブルエアバッグ13と第2のインフレータブルエアバッグ19とを頸部支持装置S内に収容する。いくつかの実施形態では、枕本体1と底板16とを長期間にわたって接着するのに適した接着強度を確保するために、接着剤、テープ、加熱加圧接着、および/または発泡体などに適用できる他の接着手段によって、底板16の周縁全体および枕本体1の内縁全体に沿って頸部支持装置Sを形成できるため、頸部支持装置Sはクローズドオブジェクトとして使用することができる。
【0077】
以上の開示内容は、本発明の好ましい実施形態および実現可能な実施形態の一例に過ぎず、本発明の特許出願の範囲を限定することを意図したものではない。したがって、本発明の明細書および図面の内容を適用してなされた同等の技術的変更は、本発明の特許出願の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1 枕本体
2 枕カバー
11 中央支持体
13 第1のインフレータブルエアバッグ
15 インフレータブル装置
151 インフレータブル部
152 チューブ
153 第1の空気弁
155 第2の空気弁
16 底板
17 理学療法装置
171 送電部
173 凹溝
18 電気インフレータブル装置
19 第2のインフレータブルエアバッグ
20 嵌め込み空間
21 理学療法部
211 導電層
212 フィルム層
213 接続層
215 電線
217 絶縁テープ
218 隔離層
219 発熱層
22 金属部材
110 第1の凹溝
190 第2の凹溝
EU 電気療法ユニット
H 位置決め部材
H11 基板
H12 位置決め本体
H120 収容スロット
H13 インナパネル
H14 導電部
H15 配線接続部
H21 基板
H211 突条レール
H22 位置決め本体
H24 導電部
H30 連結板
H31 基板
H32 位置決め本体
H320 収容スロット
H34 導電部
H36 留め具
H37 固定組立体
HU 温熱療法ユニット
L リリース・ロック機構
N1 第1の高さ
N2 第2の高さ
M1 第3の高さ
M2 第4の高さ
S 頸部支持装置
S1 支持部
S2 載置部
100、102、104、106 ステップ
【外国語明細書】